JP2006064947A - 光学素子、レンズユニット、および撮像装置 - Google Patents

光学素子、レンズユニット、および撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】長期にわたって光の透過性を維持することができる光学素子、レンズユニット、および撮像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】相互に屈折率が異なる、相互に不混和な、それぞれが光透過性を有する、水性液体および油性液体が内部に収容された、少なくとも所定の光軸方向については光を透過させる液体収容器と、液体収容器の内面の少なくとも一部を覆う、電圧の印加を受けて、水性液体あるいは油性液体と接触する面の分子の形状が変化して、面の親疎水性が変化する被覆膜と、被覆膜に対して電圧を印加するための電極とを備えたことを特徴とする。液体の境界面の形状を変化させるのに、液体に電荷を放電する必要がないため、液体が電気分解されて気泡が発生する不具合が回避され、長期にわたって光の透過性を維持することができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、光を透過する光学素子、レンズユニット、および被写体光を結像して画像データを取得する撮像装置に関する。
Charge Coupled Device(CCD)などといった固体撮像素子上に被写体の像を結像させて、その被写体を表す画像データを信号として取り込む電子スチールカメラや、写真フィルム上に写真撮影を行うフィルムカメラなどの中には、撮影画角を自在に設定するズーム機能を備えたものがあり、このようなカメラにはズームスイッチの操作に応じて焦点距離が変化する撮影レンズが備えられている。この撮影レンズは、一般に、複数のレンズエレメントの組み合わせからなる複合レンズであって、ズームスイッチによって設定された焦点距離に応じて複数のレンズエレメントの相対位置が調整される。このようなカメラにはカム機構が備えられており、ズームスイッチの操作に応じてそのカム機構がモータの回転を伝達することによって複数のレンズエレメントそれぞれが光軸方向に前後して相対位置が調整され、焦点距離が変化する。
また、複数のレンズエレメントの中にはピント調整用のフォーカスレンズもあり、このフォーカスレンズを移動させるレンズ駆動機構が上記カム機構とは別に配備されている場合もある。
近年、上述した、駆動機構を有する撮影レンズに替えて、相互に屈折率が異なる、相互に不混和な2種類の液体が内部に収容された焦点距離可変の液体レンズが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
この非特許文献1に提案された液体レンズには、相互に屈折率が異なる、相互に不混和な2種類の液体が内部に収容されており、これら2種類の液体のうちの一方の液体は導電性水溶液であり、もう一方の液体は絶縁性オイルである。これら2種類の液体は、短いガラス製のチューブの両端が、光透過性を有する透明なエンドキャップで塞がれた液体収容器の中に収容されている。また、このチューブの内壁と一方のエンドキャップの内壁とが撥水性膜で被覆されている。このように構成された液体レンズによれば、2種類の液体のうちの導電性水溶液が、撥水性膜で被覆されたチューブの内壁、および一方のエンドキャップの内壁と反撥することとなり、この導電性水溶液が、他方のエンドキャップに接触する状態で半球形状を有して滞留するため、導電性水溶液と絶縁性オイルとの界面部分が凹レンズとして機能する。また、この液体レンズには、導電性水溶液に対して電圧を印加するための2つの電極も備えられていて、これら2つの電極のうちの一方の電極は導電性水溶液に接するように配設され、他方の電極は撥水性膜の裏側に配設されている。このような電極に対して電圧が印加されると、導電性水溶液に接するように配設された電極からこの導電性水溶液中に電荷が放出され、放出された電荷が導電性水溶液中の、絶縁性オイルとの界面部分に溜まる現象が生じる。この界面部分に溜まった電荷と、この電荷とは逆極性の、撥水性膜の裏側に配設された電極に集まった電荷とがクーロン力によって引き合って、導電性水溶液中の電荷が撥水性膜付近に引き付けられる。その結果、導電性水溶液がチューブの内壁に被覆された撥水性膜を濡らし始めて、2種類の液体の界面形状が変化する。即ち、導電性水溶液に対して電圧が強くかけられるに従って、最初に凹レンズとして機能していた導電性水溶液の、絶縁性オイルとの界面部分の曲率半径が変化し、例えば、その界面部分が完全に平らになったり、その導電性水溶液が凸レンズとして機能するようになったりして、焦点距離が変化することとなる。
このような液体レンズによると、レンズを移動させずに焦点距離の変化などを行うことができるため、上述したカム機構やレンズ駆動機構などを設けなくても、ズーム機能やフォーカス機能を実現することができる。したがって、装置を大幅に小型化することができ、携帯電話などといった小型機器にも適用することができる。
"Philips´Fluid Lenses"、[online]、平成16年3月3日、Royal Philips Electronics、[平成16年3月31日検索]、インターネット<URL:http://www.dpreview.com/news/0403/04030302philipsfluidlens.asp>
しかし、非特許文献1に記載された液体レンズによると、電極から放出された電荷によって導電性水溶液が電気分解されるため、長期にわたって使用していると、発生した気体が液体収容器内に溜まって気泡化してしまい、光の散乱が起こって光の透過率が低下してしまうという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑み、長期にわたって光の透過性を維持することができる光学素子、レンズユニット、および撮像装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の光学素子は、相互に屈折率が異なる、相互に不混和な、それぞれが光透過性を有する、水性液体および油性液体が内部に収容された、少なくとも所定の光軸方向については光を透過させる液体収容器と、
液体収容器の内面の少なくとも一部を覆う、電圧の印加を受けて、水性液体あるいは油性液体と接触する面の分子の形状が変化して、その面の親疎水性が変化する被覆膜と、
被覆膜に対して電圧を印加するための電極とを備えたことを特徴とする。
本発明の光学素子によると、被覆膜に対して電圧が印加されることによって、被覆膜の、液体と接触する面の分子の形状が変化し、その面の親疎水性が変化することによって、水性液体と油性液体の境界面の形状が変化する。水性液体および油性液体に電荷が放出されることなく、水性液体と油性液体との境界面の形状が変化するため、液体が電気分解されて気泡が生じてしまう不具合が回避され、長期にわたって光の透過性が維持される。
また、本発明の光学素子は、上記液体収容器の内面の、被覆膜に覆われた部分を除く部分の少なくとも一部を覆う、水性液体に対する濡れ性が油性液体に対する濡れ性よりも低い疎水膜を備えたことが好ましい。
このような疎水膜が設けられることによって、水性液体と油性液体との境界面の形状が効率よく変化することとなる。
また、本発明の光学素子において、上記被覆膜は、ひも状の疎水部分の一端に親水部分が結合した構造を有する分子が一端に対する他端で液体収容器の内面に接触して並んだ単分子膜であることが好ましい。
例えば、一方の極性に偏った親水部分を有する分子で構成された単分子膜の場合、その単分子膜に対して電圧が印加されて、液体収容器の内面に親水部分とは逆極性を有する電荷が集まると、その親水部分が液体収容器の電荷に引き付けられる。その結果、ひも状の疎水部分が折れ曲がって親水部分が液体収容器の内面に近づき、その折れ曲がった疎水部分が液体と対向することによって、単分子膜が疎水的に変化する。また、単分子膜に対して、液体収容器の内面に親水部分と同極性の電荷が集まるように電圧が印加されると、その電荷と親水部分とが反撥しあい、折れ曲がっていた疎水部分が伸びて親水部分が液体と対向することによって、単分子膜が親水的に変化する。このように、被覆膜として単分子膜が設けられることによって、被覆膜の親疎水性が容易に変化する。
また、本発明の光学素子において、上記被覆膜は、親水部分としてイオン性基を有する分子が並んだ単分子膜であることが好ましい。
被覆膜として、イオン性基を有する単分子膜が設けられることによって、被覆膜の親水性が向上する。
また、本発明の光学素子において、上記被覆膜は、疎水部分としてフッ素系アルキル鎖を有する分子が並んだ単分子膜であることが好ましい。
被覆膜として、フッ素系アルキル鎖を有する単分子膜が設けられることによって、被覆膜の疎水性が向上する。
また、本発明の光学素子において、上記電極は、液体収容器の壁の少なくとも一部を構成するものであり、
上記被覆膜は、電極の内面を覆うものであることが好ましい。
電極上に被覆膜が設けられることによって、効率よく被覆膜に対して電圧が印加され、水性液体と油性液体との境界面の形状が精度良く変化することとなる。
また、本発明の光学素子において、上記電極は、金で構成されたものであり、
上記被覆膜は、電極の表面とアルカンチオールとが反応して生じた単分子膜であることが好適である。
本発明の好適な形態の光学素子によると、電極と被覆膜とが強く結合されるため、光学素子の光学性能が安定する。
また、本発明の光学素子において、上記電極は、インジウム−スズ−オキサイド電極であり、
上記被覆膜は、電極の表面とシランカップリング剤とが反応して生じた単分子膜であることも好ましい。
インジウム−スズ−オキサイド電極は透明であるため、このような電極が被覆膜で覆われることによって、光学素子の光透過性が向上する。
また、上記目的を達成する本発明のレンズユニットは、相互に屈折率が異なる、相互に不混和な、それぞれが光透過性を有する、水性液体および油性液体が内部に収容された、少なくとも所定の光軸方向については光を透過させる液体収容器と、
液体収容器の内面の少なくとも一部を覆う、電圧の印加を受けて、水性液体あるいは油性液体と接触する面の分子の形状が変化して、面の親疎水性が変化する被覆膜と、
被覆膜に対して電圧を印加するための電極とを備え、
電極に印加される電圧に応じて、水性液体と油性液体との境界面の形状が変化することを特徴とする。
本発明のレンズユニットによると、本発明の光学素子と同様に、長期にわたって光の透過性を維持することができる。
なお、本発明にいうレンズユニットについては、ここではその基本形態のみを示すのにとどめるが、これは単に重複を避けるためであり、本発明にいうレンズユニットには、上記の基本形態のみではなく、前述した光学素子の各形態に対応する各種の形態が含まれる。
また、上記目的を達成する本発明の撮像装置は、相互に屈折率が異なる、相互に不混和な、それぞれが光透過性を有する、水性液体および油性液体が内部に収容された、少なくとも所定の光軸方向については光を透過させる液体収容器と、
液体収容器の内面の少なくとも一部を覆う、電圧の印加を受けて、水性液体あるいは油性液体と接触する面の分子の形状が変化して、面の親疎水性が変化する被覆膜と、
被覆膜に対して電圧を印加するための電極と、
電極に電圧を印加することによって、水性液体と油性液体との境界面の形状を変化させる制御部と、
水性液体、および油性液体を通ってきた被写体光が表面に結像されて、被写体光を表わす画像信号を生成する撮像素子とを備えたことを特徴とする。
本発明の撮像装置によると、本発明の光学素子と同様に、長期にわたって光の透過性を維持することができる。
なお、本発明にいう撮像装置については、ここではその基本形態のみを示すのにとどめるが、これは単に重複を避けるためであり、本発明にいう撮像装置には、上記の基本形態のみではなく、前述した光学素子の各形態に対応する各種の形態が含まれる。
本発明によれば、長期にわたって光の透過性を維持することができる光学素子、レンズユニット、および撮像装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明するのに先立って、上述した非特許文献1に記載された液体レンズの問題点について詳しく分析する。
図1は、比較例である液体レンズの概略構成図である。以下では、矢印Oの方向に光が透過するものとし、光の入射側(図1の上側)を上側、光の出射側(図1の下側)を下側と称する。
図1に示すように、液体レンズ1は、ガラス製のチューブ11aの両端がガラス製のキャップ11b,11cで塞がれたガラス製の容器11の内部に、支持電解質が加えられた透明な水21と、絶縁性液体である透明な油22とが互いに混じり合わずに収容されている。水21よりも油22の方が光の屈折率が大きいため、液体レンズ1では、油22が光を屈折させるレンズの役割を担う。
容器11の、チューブ11aの内面と、チューブ11aの上端を塞ぐキャップ11bの内面は、撥水性を有する撥水性膜15で覆われており、チューブ11aの下端を塞ぐキャップ11cの内面は、親水性を有する親水性膜16で覆われている。
また、チューブ11aと撥水性膜15との間には、絶縁膜14が設けられており、液体レンズ1には、水21と接する第1電極12と、絶縁膜14によって水21と絶縁された第2電極13も備えられている。
第1電極12と第2電極13との相互間に電圧が印加されていない状態では、図1のパート(A)に示すように、水21は撥水性膜15と反撥して親水性膜16と接触するため、水21と撥水性膜15との接触部分P1が小さくなる。このため、水21は半球形状に滞留し、水21に押された油22は円筒形状から半球を刳り貫いた形状に滞留する。油22からみたときの、水21と油22との境界面の形状は凹状であるため、パート(A)では、液体レンズ1は凹レンズとして機能する。
また、例えば、第1電極12にプラスの電圧を印加し、第2電極13にマイナスの電圧を印加すると、第1電極12から水21にプラス電荷31aが放出され、第2電極13にはマイナス電荷31bが溜まる。このとき、水21に放出されたプラス電荷31aが、クーロン力によって第2電極13のマイナス電荷31bに引き付けられ、水21と撥水性膜15との接触部分P2が印加電圧に応じて大きくなる。パート(B)では、油22からみたときの、水21と油22との境界面の形状は凸状となっており、液体レンズ1は凸レンズとして機能する。また、第1電極12および第2電極13に印加される電圧を調整することによって、水21と油22との境界面の形状を少しずつ変化させることができる。
このように、液体レンズ1によると、レンズを移動させる機構を設けなくても、水21と油22との境界面の形状を変化させることによって、ズーム機能やフォーカス機能を実現することができる。
ここで、液体レンズ1では、第1電極12から放出されたプラス電荷31aなどによって、水21が電気分解されて気体が発生する。ガラス製の容器11は気体を通さないため、長期間のうちに気体が溜まって水21や油22中に気泡が生じてしまい、その気泡によって光の散乱が生じて光の透過性が劣化してしまうという問題がある。
本発明は、上記のような詳しい分析に基づいたものである。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図2は、本発明の一実施形態が適用されたデジタルカメラを前面斜め上から見た外観斜視図である。
図2に示すように、このデジタルカメラ100の前面中央部には、撮影レンズ101が備えられている。また、このデジタルカメラ100の前面上部には、光学式ファインダ対物窓102および補助光発光部103が備えられている。さらに、このデジタルカメラ100の上面には、スライド式の電源スイッチ104およびレリーズスイッチ150が備えられている。
図3は、図1に示すデジタルカメラ100の概略構成図である。
図3に示すように、デジタルカメラ100の内訳は、大きく分けて撮影光学系110と信号処理部120とに分かれる。デジタルカメラ100には、それらのほかにも、撮影した画像を表示させるための画像表示部130、撮影した画像信号を記録しておくための外部記録媒体140、撮影のための各種処理をデジタルカメラ100に行なわせる、ズームスイッチ170、撮影モードスイッチ160、およびレリーズスイッチ150が設けられている。
まず撮影光学系110の構成を、図3を参照して説明する。
デジタルカメラ100では、図3の左方から被写体光が入射し、ズームレンズ115およびフォーカスレンズ114を経て、被写体光の光量を調整するアイリス113を通過した後、シャッタ112が開いている場合は固体撮像素子111に結像する。この固体撮像素子111は、本発明にいう撮像素子の一例に相当する。本来、撮影光学系には複数のレンズが配備され、それら複数のレンズのうち少なくとも1つのレンズがピント調節に大きく関与し、各レンズの相対位置が焦点距離に関与するが、この図3では、焦点距離の変更に係わるレンズをズームレンズ115として模式的に示しており、同じくピントの調節に係わるレンズをフォーカスレンズ114として模式的に示している。
ズームレンズ115、アイリス113、およびシャッタ112は、ズームモータ115a、アイリスモータ113a、およびシャッタモータ112aによりそれぞれ駆動され移動する。また、フォーカスレンズ114には、モータの替わりに、フォーカスレンズ114のレンズ形状を変化させるフォーカスコントローラ114aが設けられている。これらズームモータ115a、アイリスモータ113a、およびシャッタモータ112aを作動させる指示は、信号処理部120中のデジタル信号処理部120bからモータドライバ120cを通じて伝達されるとともに、フォーカスコントローラ114aを作動させる指示は、デジタル信号処理部120bから直接伝達される。
ズームレンズ115は、ズームモータ115aによって光軸に沿う方向に移動される。ズームレンズ115が、信号処理部120からの信号に応じた位置に移動されることによって、焦点距離が変化して撮影倍率が決定される。
フォーカスレンズ114は、TTLAF(Through The Lens Auto Focus)機能を実現するためのレンズである。このTTLAF機能とは、一般的には、光軸に沿う方向にフォーカスレンズを移動させながら、固体撮像素子111で得られた画像信号のコントラストを信号処理部120のAF/AE演算部126で検出し、そのコントラストのピークが得られるレンズ位置をピント位置として、フォーカスレンズ114をピント位置に調節するものである。このTTLAF機能によって、コントラストがピークになる被写体(つまり、最も近くにある最近被写体)に自動的に焦点を合わせて撮影を行うことができる。本実施形態においては、フォーカスレンズ114を移動させる替わりに、フォーカスコントローラ114aでフォーカスレンズ114のレンズ形状を変化させることによって、最近被写体に焦点を合わせる。このフォーカスレンズ114の構成と、レンズ形状を変化させる方法については、後で詳しく説明する。
アイリス113は、デジタル信号処理部120bのAF/AE演算部126から与えられた指示に基づいて駆動されることによって、被写体光の光量を調整する。
以上が撮影光学系110の構成である。
続いて信号処理部120の構成を説明する。撮影光学系で固体撮像素子111に結像させた被写体像が画像信号としてアナログ処理(A/D)部120aに読み出され、このアナログ処理部(A/D)120aでアナログ信号がデジタル信号に変換されデジタル信号処理部120bへと供給される。デジタル信号処理部120bにはシステムコントローラ121が配備されており、そのシステムコントローラ121内の動作の手順を示したプログラムにしたがってデジタル信号処理部120b内の信号処理が行なわれる。このシステムコントローラ121と、画像信号処理部122、画像表示制御部123、画像圧縮部124、メディアコントローラ125、AF/AE演算部126、キーコントローラ127、バッファメモリ128、内部メモリ129との間のデータの受け渡しはバス1200を介して行なわれ、そのバス1200を介してデータの受け渡しが行なわれるときのバッファとして内部メモリ129が働いている。この内部メモリ129に各部の処理プロセスの進行状況に応じて変数となるデータが随時書き込まれて、システムコントローラ121、および画像信号処理部122、画像表示制御部123、画像圧縮部124、メディアコントローラ125、AF/AE演算部126、キーコントローラ127の各部では、そのデータを参照することにより適切な処理が行なわれる。つまり、システムコントローラ121からの指示がバス1200を介して上記の各部に伝えられ、各部の処理プロセスが立ち上げられる。そして、その内部メモリ129のデータがプロセスの進行状況に応じて書き換えられ、さらにシステムコントローラ121側で参照されて上記の各部の動作が管理される。言い換えれば、電源が投入され、システムコントローラ121内のプログラムの手順にしたがって各部のプロセスが立ち上げられる。たとえば、レリーズスイッチ150、ズームスイッチ、撮影モードスイッチのスイッチが操作されると、その操作されたという情報がキーコントローラ127を経由してシステムコントローラ121に伝えられ、その操作に応じた処理がシステムコントローラ121内のプログラムの手順にしたがって行われる。
レリーズ操作が行われると、固体撮像素子から読み出された画像データは、アナログ処理(A/D)部120aでアナログ信号からデジタル信号に変換され、このデジタル化された画像データがデジタル信号処理部120b内のバッファメモリ128にいったん蓄えられる。このデジタル化された画像データのRGB信号が画像信号処理部122でYC信号に変換され、さらに画像圧縮部124でJPEG圧縮と呼ばれる圧縮が行なわれて画像信号が画像ファイルとなってメディアコントローラ125を介して外部記録媒体140に記録される。この画像ファイルとして記録された画像データは、画像表示制御部123を通じて画像表示部130において再生される。この処理の際、RGB信号に基づいてピント調節および露出調節の演算を行なっているのがAF/AE演算部である。このAF/AE演算部126ではピント調節のためにRGB信号から被写体距離ごとにコントラストを検出することが行なわれる。この検出結果に基づいて、フォーカスレンズ114によってピント調整が行われる。またAF/AE演算部ではRGB信号から輝度信号が抽出され、そこから被写界輝度が検出される。この結果に基づき、固体撮像素子に与えられる被写体光の光量が適切になるように、アイリス113によって露出調節が行なわれる。
デジタルカメラ100は、基本的には以上のように構成されている。
ここで、デジタルカメラ100における本発明の特徴は、フォーカスレンズ114にある。以下では、このフォーカスレンズ114について詳しく説明する。
図4は、フォーカスレンズの概略構成図である。尚、図4のパート(A)およびパート(B)それぞれにおいて、左側から矢印Oの方向に被写体光が入射し、光が入射する側(図4のパート(A)およびパート(B)それぞれの左側)を前側、光が出射する側(図4のパート(A)およびパート(B)それぞれの右側)を後側と称して説明を行う。
フォーカスレンズ114は、液体収容器200内に、水性液体301と、水性液体301と不混和な油性液体302とが収容されて形成されている。
液体収容器200は、円筒形状を有する複数の第1電極201が同軸上に並べられ、それら複数の第1電極201によって形成される円筒形状の両端がキャップ203,204で塞がれて構成されている。また、液体収容器200の後側(図4の右側)には、後端の第1電極201との間にキャップ204を挟んで配置された第2電極202が設けられている。この液体収容器200は、本発明にいう液体収容器の一例に相当する。
キャップ203,204は、透明なガラスで構成されている。前側(図4の左側)のキャップ203の、液体と接触する面(内面)は、疎水性を有する疎水性絶縁膜203aで覆われており、後側(図4の右側)のキャップ204の内面は、親水性を有する親水性絶縁膜204aで覆われている。これら疎水性絶縁膜203a、および親水性絶縁膜204aは、液体収容器200内の水性液体301と油性液体302の電気的な分解を抑制するためのものであり、第2電極202は、後側のキャップ204を覆う親水性絶縁膜204aによって液体から絶縁されている。また、疎水性絶縁膜203a、および親水性絶縁膜204aは、特に、水性液体301の位置を規制する役割も担い、疎水性絶縁膜203aは、本発明にいう疎水膜の一例に相当する。本実施形態においては、ポリイミド膜のアルキル鎖の親疎水性が調整されたもののうち、疎水性のポリイミド系絶縁膜が疎水性絶縁膜203aとして適用され、親水性のポリイミド系絶縁膜が親水性絶縁膜204aとして適用される。
複数の第1電極201には、電圧印加/印加停止をそれぞれに切り替える複数のスイッチ205aが設けられている。図3に示すフォーカスコントローラ114aは、複数のスイッチ205aそれぞれのON/OFFを制御することによって、複数の第1電極201それぞれと、第2の電極202との相互間に電源205から電圧を印加する。フォーカスコントローラ114aは、本発明にいう制御部の一例に相当し、第1電極201および第2の電極202は、本発明にいう電極の一例に相当する。
また、複数の第1電極201が形成する円筒形状の内面は、電圧の印加を受けて親疎水性が変化する被覆膜206で覆われている。この被覆膜206は、本発明にいう被覆膜の一例に相当する。
ここで、一旦図4の説明を中断し、図5、図6、図7を用いて、第1電極201を覆う被覆膜206について説明する。
図5は、第1電極201として金電極を用いる場合の、被覆膜206の生成方法を示す図である。
まず、金で構成された第1電極201と、一端にクロロフェニルジフェニルメタンエステル基411を有するアルキル鎖412がフッ素置換されたアルカンチオール410のエタノール溶液を用意する(図5のステップS1)。
続いて、第1電極201をアルカンチオール410のエタノール溶液に浸漬させて、複数の分子413が、クロロフェニルジフェニルメタンエステル基411が第1電極201から遠い側にくるように、第1電極201表面に1つずつ並んで結合された単分子膜400を形成する(図5のステップS2)。
さらに、単分子膜400が形成された第1電極201を、トリフルオロ酢酸のエタノール溶液に浸漬させてクロロフェニルジフェニルメチル基を除去し、アルキル鎖412の、第1の電極201と結合された側とは逆側の端にカルボキシ基414を有する単分子膜206aを形成する(図5のステップS3)。クロロフェニルジフェニルメチル基が除去された分子413´は、本発明にいう分子の一例に相当する。また、アルキル鎖412は疎水性を有しており、本発明にいう疎水部分の一例にあたるとともに、本発明にいうフッ素系アルキル基の一例に相当する。また、カルボキシ基414は親水性を有しており、本発明にいう親水部分の一例にあたるとともに、本発明にいうイオン性基の一例に相当する。このようにして形成された単分子膜206aが被覆膜206として用いられる。
図6は、電圧が印加されたときの単分子膜206aを示す図である。
例えば、フォーカスコントローラ114aによって、第1電極201と、第2電極202との相互間に電圧が印加され、図6のパート(A)に示すように、第1電極201にマイナス電荷201aが集まると、マイナスに帯電したカルボキシ基414と第1電極201のマイナス電荷201aとが反撥しあい、カルボキシ基414は、第1電極201から遠い側に移動する。この結果、単分子膜206aの表面(第1電極201と接触している側と逆の面)が親水性を有するカルボキシ基414で覆われ、単分子膜206aの表面に親水性が付与される。
また、フォーカスコントローラ114aによって、第1電極201と、第2電極202との相互間に上記とは逆方向の電圧が印加され、図6のパート(B)に示すように、第1電極201にプラス電荷201bが集まると、マイナスに帯電したカルボキシ基414が第1電極201のプラス電荷201bに引き寄せられ、アルキル鎖412が折れ曲がってカルボキシ基414が第1電極201に接触する。この結果、単分子膜206aの表面が疎水性を有するアルキル鎖412に覆われ、単分子膜206aの表面に疎水性が付与される。
このように、被覆膜206は、電圧の印加に応じて親疎水性が変化する。尚、上記では、クロロフェニルジフェニルメタンエステル基411を有する分子413が用いられ、単分子膜206aを生成する過程で、その分子からクロロフェニルジフェニルメチル基を除去することが行われるが、これは、単分子膜206aを構成する分子413´同士の間隔を空けるために行われる。分子413´同士の間隔を空けることによって、図6のパート(B)に示すように、被覆膜206に疎水性を付与する際にアルキル鎖412が曲がりやすくなり、単分子膜206aの電圧印加による反応精度が向上する。また、第1電極201aとして金電極が用いられ、その金電極とアルカンチオール410とが反応させられることによって、第1電極201aと強固に結合した単分子膜206aが形成され、フォーカスレンズ114の耐久性が向上する。
続いて、第1電極201として、金電極の替わりにインジウム−スズ−オキサイド電極(ITO電極)を用いる場合の被覆膜206の生成方法について説明する。
図7は、ITO電極上に形成された被覆膜206を示す図である。
まず、ITO電極201´を、クロロフェニルジフェニルメタンエステル基を片端に有するアルキル鎖412がフッ素置換されたシランカップリング剤のエタノール溶液に浸漬させて、ITO電極201´上に、クロロフェニルジフェニルメタンエステル基を末端に有する単分子膜を形成する。
次に、ITO電極201´をトリフルオロ酢酸のエタノール溶液に浸漬させて、クロロフェニルジフェニルメチル基を除去し、末端にカルボキシ基414を有する単分子膜206bを得る。この単分子膜206bを、被覆膜206として用いてもよい。
このようなITO電極201´と単分子膜206bとが適用されることによって、透明な第1電極201と被覆膜206が形成され、フォーカスレンズ114の光透過性が向上する。
被覆膜206の説明を終了し、図4に戻って説明する。
以上のようにして構成された液体収容器200に、相互に光屈折率が異なる水性液体301と、油性液体302とが収容される。本実施形態では、水性液体301として、エチレングリコール(屈折率1.43)が適用され、油性液体302として、有機溶媒であるアイソパー(エクソン社製:屈折率1.48)が適用される。この水性液体301は、本発明にいう水性液体の一例にあたり、油性液体302は、本発明にいう油性液体の一例に相当する。尚、エチレングリコールとアイソパーとの組み合わせは、0℃以下の温度環境下でも光学性能が保たれるという利点があるが、例えば、安価な液体の組み合わせとして、水性液体として水を用い、油性液体としてテトラリンを用いてもよい。
図3に示す信号処理部120からの指示に従って、フォーカスコントローラ114aが複数の第1電極201それぞれと、第2電極202との間に電圧を印加し、複数の第1電極201それぞれをマイナスに帯電させると、図6のパート(A)に示すように、被覆膜206は、液体と対向する側にカルボキシ基414が並んで親水性膜として機能する。このとき、水性液体301は、疎水性絶縁膜203aと反撥して、親水性を有する被覆膜206および親水性絶縁膜204aと接触するため、水性液体301と油性液体302との境界面が、例えば、図4のパート(A)に実線で示すような形状に変化する。
また、図4のパート(A)に示す状態から、例えば、複数の第1電極201のうち前側(図4の左側)にある複数の第1電極201それぞれをプラスに帯電させると、被覆膜206の、プラスに帯電された第1電極201に対応する部分は、図6のパート(B)に示すように、カルボキシ基414が第1電極201に引き付けられて、液体と対向する側にアルキル鎖412が並ぶ。この結果、被覆膜206の、プラスに帯電された第1電極201に対応する部分が疎水的に変化し、水性液体301と反撥しあうことによって、水性液体301と油性液体302との境界面が、例えば、図4のパート(B)に実線で示すような形状に変化する。
このフォーカスレンズ114を用いて、以下のような手順でTTLAF機能が実現される。
まず、フォーカスコントローラ114aによって、複数の第1電極201それぞれと、第2電極202との相互間に電圧が印加されることによって、全ての第1電極201がマイナスに帯電されて、図6のパート(A)に示すように、被覆膜206全体に親水性が付与される。
続いて、フォーカスコントローラ114aによって、片側から順次にスイッチ205aが入れられて、スイッチ205aが入れられた第1電極201それぞれがプラスに帯電されることによって、水性液体301と油性液体302との境界面の形状が変えられながら、図3に示す固体撮像素子111で画像信号が取得される。続いて、撮像信号のコントラストがAF/AE演算部126で検出され、コントラストのピークが得られるときの電圧が第1電極201、および第2電極202に印加される。このようにして、レンズ形状が確定された状態で撮影が行われることによって、被写体に焦点を合わせることができる。
尚、水性溶液301と油性溶液302との境界面の形状が変化される際には、被覆膜206に対して電圧が印加されればよく、液体中に電荷が放出される必要がないため、これらの液体が電気分解されて、気泡が発生する不具合が回避される。この結果、長期にわたって光の透過性が維持され、デジタルカメラ100の寿命が向上する。
以上で、本発明の第1実施形態の説明を終了し、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態のテレ/ワイドコンバータは、第1実施形態のフォーカスレンズ114(図4参照)とほぼ同じ構成を有し、また、テレ/ワイドコンバータは、図3に示すデジタルカメラに追加されるものであるため、図3を第2実施形態でも使い、図4に示すフォーカスレンズ114と同じ要素には同じ符号を付して、第1実施形態との相違点のみ説明する。
上述したように、図3では、撮影光学系110に備えられた複数のレンズのうち、焦点距離の変更に係わるレンズをズームレンズ115として模式的に示しており、同じくピントの調節に係わるレンズをフォーカスレンズ114として模式的に示している。
図8は、撮像光学系110に備えられる複数のレンズを示す図である。
撮像光学系110を構成するレンズ群500には、最前列に配置される主レンズ510、図3に示すズームレンズ115を構成するバリエーダー520およびコンペンセータ530、図3のフォーカスレンズ114と同様の光学性能を有する複数のフォーカス用レンズ540などが含まれ、本実施形態では、さらに、フォーカス用レンズ540よりも後側に、前レンズ550aと後レンズ550bとでなるテレ/ワイドコンバータ550が備えられている。このテレ/ワイドコンバータ550は、望遠/広角撮影を実現するものであり、デジタルカメラ100に設けられたテレ/ワイド切替スイッチ(図示しない)に同期して作動する。テレ/ワイドコンバータ550は、レンズ群500の後段に設けられることによって、レンズ径が小さくても、精度良く撮影画角を変化させることができる。
図9は、テレ/ワイドコンバータ550の簡略構成図である。
テレ/ワイドコンバータ550を構成する前レンズ550aおよび後レンズ550bは、図4に示すフォーカスレンズ114とほぼ同様の構成を有するが、これら前レンズ550および後レンズ550bには、第1電極201が1つずつ設けられている。尚、以下では、油性液体302の屈折率が水性液体301の屈折率よりも大きいものとして説明する。
オペレータによって、テレ/ワイド切替スイッチ(図示しない)がワイド側に設定されたときには、前レンズ550aでは、第1電極201がプラスに帯電されて、図6のパート(B)に示すように、被覆膜206が疎水的に変化する。このとき、図9のパート(A)に示すように、油性液体302と水性液体301の液面の形状が、油性液体302から見たときに凹状になり、前レンズ550aが凹レンズとして機能する。逆に、後レンズ550bでは、第1電極201がマイナスに帯電されて、図6のパート(A)に示すように、被覆膜206が親水的に変化し、後レンズ550bが凸レンズとして機能する。
このとき、テレ/ワイドコンバータ550は、凹レンズ、凸レンズの順でレンズが配置されており、広角撮影を行うためのワイドコンバータとして機能する。
また、オペレータによって、テレ/ワイド切替スイッチ(図示しない)がテレ側に設定されたときには、図9のパート(B)に示すように、前レンズ550aでは、第1電極201がマイナスに帯電されることによって、前レンズ550aが凸レンズとして機能し、後レンズ550bでは、第1電極201がプラスに帯電されることによって、後レンズ550bが凹レンズとして機能する。
このとき、テレ/ワイドコンバータ550は、凸レンズ、凹レンズの順でレンズが配置されたものと同じ役割を担い、望遠撮影を行うためのテレコンバータとして機能する。
通常、広角/望遠撮影を行うためには、デジタルカメラ100とは別に設けられたテレコンバータやワイドコンバータを、アダプタを介してデジタルカメラに装着する必要がある。しかし、本実施形態のデジタルカメラによると、テレコンバータやワイドコンバータを装着する手間やコストを省き、手軽に望遠/広角撮影を行うことができる。
ここで、上記では、液体収容器中に、水性液体と油性液体の2種類の液体が収容された例について説明したが、本発明にいう液体収容器には、3種類以上の液体が収容されていてもよい。
また、上記では、本発明の光学素子がフォーカスレンズ、テレコンバータ、およびワイドコンバータに適用される例について説明したが、本発明の光学素子は、ズームレンズなどに適用されてもよい。
続いて、本発明を構成する各構成部分において採用可能な種々の形態について付記する。
本発明にいう水性液体、および油性液体は、親疎水性および屈折率が互いに異なり、互いに混合しない2種類以上の液体であればよい。
これらの液体の組み合わせとしては、いかなるものであってもよいが、好ましくは、水と有機溶媒、あるいは有機溶媒同士の組み合わせである。
疎水性有機溶媒としては、好ましくは、炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、オクタン、アイソパー(エクソン社製)など)、炭化水素系芳香族化合物(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなど)、ハロゲン系炭化水素(ジフルオロプロパン、ジクロロエタン、クロロエタン、ブロモエタンなど)、ハロゲン系炭化水素系芳香族化合物(クロロベンゼンなど)、エーテル系化合物(ジブチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテルなど)、シリコーンオイルが好ましい。また、フッ素置換された溶媒も好ましい。
また、親水性有機溶媒としては、アルコール(メタノール、エタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、エーテル(ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブなど)、ケトン(アセトンなど)、ニトリル(アセトニトリル)、アミド(ホルムアミド)などが挙げられる。好ましくは、アルコールである。
また、本発明にいう被覆膜は、単分子膜、ポリマーいずれでもよい。この被覆膜は、刺激によってその構造が変化し、結果的に、被覆膜の表面に位置する部位の親疎水性が変化する。
また、本発明にいう被覆膜は、電極表面への単分子膜形成、表面グラフト重合などによって形成される。刺激に応答した構造変化を起こさせるためには、表面へ吸着している分子同士の間隔を、通常の単分子膜よりも長くすることが好ましい。そのためには、予め、立体的に大きな保護基をもつ分子を用いて単分子膜を形成し、その後、保護基を除去することで、イオン性基を有する単分子膜に変換する方法が好ましい。イオン性基としては、カルボキシ基、スルホ基、りん酸基が好ましい。また、保護基としては、トリフェニルメチル誘導体(例えば、トリフェニルメタン、クロロフェニルジフェニルメタン)、カルバゾール誘導体、ジフェニルメタン誘導体が好ましい。
尚、親疎水性が電気的に変化する被覆膜に覆われた電極については、Science,第299巻,2003年,371〜374ページに記載された方法に準じて作製することができる。
ここで、上記では、本発明の概念を実現するための基本的な実施形態について説明したが、本発明に採用する光学素子を実用化するにあたっては、光路上にゴミや水滴などが付着してレンズ性能が劣化してしまう不具合を防止するための工夫を施すことが好ましい。
例えば、液体が収容された容器の光路と交わる外面(以下では、この面を光透過面と称する)に撥水性膜を付設することが好ましい。光透過面に撥水性を付与することによって、ゴミや水滴の付着などが防止され、光学素子の高い光透過性を維持することができる。この撥水性膜を構成する材料としては、シリコーン樹脂、オルガノポリシロキサンのブロック共重合体、フッ素系ポリマー、およびポリテトラフルオロエタンなどが好ましい。
また、光学素子を構成する容器の光透過面に、親水性膜を付設することも好ましい。光透過面に親水撥油性を付与することによっても、ゴミの付着を防止することができる。この親水性膜としては、アクリレート系ポリマーで構成されたものや、非イオン性オルガノシリコーン系界面活性剤などといった界面活性剤を塗布したものなどが好ましく、親水性膜の作製方法としては、シラン系モノマーのプラズマ重合や、イオンビーム処理などを適用することができる。
また、光学素子を構成する容器の光透過面に、酸化チタンなどといった光触媒を付設することも好ましい。光と反応した光触媒によって汚れなどが分解され、光透過面をきれいに保つことができる。
また、光学素子を構成する容器の光透過面に、帯電防止膜を付設することも好ましい。容器の光透過面に静電気が溜まったり、電極によって帯電してしまうと、光透過面にゴミや埃がくっついてしまう恐れがある。光透過面に帯電防止膜を付設することによって、このような不要物の付着を防止し、光学素子の光透過性を維持することができる。この帯電防止膜は、ポリマーアロイ系の材料で構成されていることが好ましく、このポリマーアロイ系が、ポリエーテル系や、ポリエーテルエステルアミド系や、カチオン性基を有するものや、レオミックス(商品名、第一工業製薬株式会社)であることが特に好ましい。また、この帯電防止膜が、ミスト法によって作製されたものであることが好ましい。
また、光学素子を構成する容器に、防汚性素材を適用しても良い。防汚性素材としてはフッ素樹脂が好ましいが、具体的には、含フッ素アルキルアルコキシシラン化合物や、含フッ素アルキル基含有ポリマー、オリゴマー等が好ましく、上記硬化性樹脂と架橋可能な官能基を有するものが特に好ましい。また、防汚性素材の添加量は、防汚性を発現する必要最低量であることが好ましい。
比較例である液体レンズの概略構成図である。 本発明の一実施形態が適用されたデジタルカメラを前面斜め上から見た外観斜視図である。 図1に示すデジタルカメラの概略構成図である。 フォーカスレンズの概略構成図である。 第1電極201として金電極を用いる場合の、被覆膜206の生成方法を示す図である。 電圧が印加されたときの単分子膜206aを示す図である。 ITO電極上に形成された被覆膜206を示す図である。 撮像光学系110に備えられる複数のレンズを示す図である。 テレ/ワイドコンバータ550の簡略構成図である。
符号の説明
1 液体レンズ
11 容器
11a チューブ
11b,11c キャップ
12 第1電極
13 第2電極
14 絶縁膜
15 撥水性膜
16 親水性膜
21 水
22 油
100 デジタルカメラ
101 撮影レンズ
102 光学式ファインダ対物窓
103 補助光発光部
104 電源スイッチ
110 撮影光学系
111 固体撮像素子
112 シャッタ
112a シャッタモータ
113 アイリス
113a アイリスモータ
114 フォーカスレンズ
114a フォーカスコントローラ
115 ズームレンズ
115a ズームモータ
120 信号処理部
120a アナログ処理(A/D)部
120b デジタル信号処理部
120c モ−タドライバ
121 システムコントローラ
122 画像信号処理部
123 画像表示制御部
124 画像圧縮部
125 メディアコントローラ
126 AF/AE演算部
127 キーコントローラ
128 バッファメモリ
129 内部メモリ
1200 バス
130 画像表示部
140 外部記録媒体
150 レリーズスイッチ
160 撮影モードスイッチ
170 ズームスイッチ
200 液体収容器
201 第1電極
201´ ITO電極
202 第2電極
203,204 キャップ
203a 疎水性絶縁膜
204a 親水性絶縁膜
205a スイッチ
206 被覆膜
206a,206b 単分子膜
301 水性液体
302 油性液体
411 クロロフェニルジフェニルメタンエステル基
412 アルキル鎖
410 アルカンチオール
400 単分子膜
414 カルボキシ基
413,413´ 分子
500 レンズ群
510 主レンズ
520 バリエーダー
530 コンペンセータ
540 フォーカス用レンズ
550a 前レンズ
550b 後レンズ
550 テレ/ワイドコンバータ

Claims (10)

  1. 相互に屈折率が異なる、相互に不混和な、それぞれが光透過性を有する、水性液体および油性液体が内部に収容された、少なくとも所定の光軸方向については光を透過させる液体収容器と、
    前記液体収容器の内面の少なくとも一部を覆う、電圧の印加を受けて、前記水性液体あるいは油性液体と接触する面の分子の形状が変化して、該面の親疎水性が変化する被覆膜と、
    前記被覆膜に対して電圧を印加するための電極とを備えたことを特徴とする光学素子。
  2. 前記液体収容器の内面の、前記被覆膜に覆われた部分を除く部分の少なくとも一部を覆う、前記水性液体に対する濡れ性が前記油性液体に対する濡れ性よりも低い疎水膜を備えたことを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  3. 前記被覆膜は、ひも状の疎水部分の一端に親水部分が結合した構造を有する分子が該一端に対する他端で前記液体収容器の内面に接触して並んだ単分子膜であることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  4. 前記被覆膜は、前記親水部分としてイオン性基を有する分子が並んだ単分子膜であることを特徴とする請求項3記載の光学素子。
  5. 前記被覆膜は、前記疎水部分としてフッ素系アルキル鎖を有する分子が並んだ単分子膜であることを特徴とする請求項3記載の光学素子。
  6. 前記電極は、前記液体収容器の壁の少なくとも一部を構成するものであり、
    前記被覆膜は、前記電極の内面を覆うものであることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  7. 前記電極は、金で構成されたものであり、
    前記被覆膜は、前記電極の表面とアルカンチオールとが反応して生じた単分子膜であることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  8. 前記電極は、インジウム−スズ−オキサイド電極であり、
    前記被覆膜は、前記電極の表面とシランカップリング剤とが反応して生じた単分子膜であることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  9. 相互に屈折率が異なる、相互に不混和な、それぞれが光透過性を有する、水性液体および油性液体が内部に収容された、少なくとも所定の光軸方向については光を透過させる液体収容器と、
    前記液体収容器の内面の少なくとも一部を覆う、電圧の印加を受けて、前記水性液体あるいは油性液体と接触する面の分子の形状が変化して、該面の親疎水性が変化する被覆膜と、
    前記被覆膜に対して電圧を印加するための電極とを備え、
    前記電極に印加される電圧に応じて、前記水性液体と前記油性液体との境界面の形状が変化することを特徴とするレンズユニット。
  10. 相互に屈折率が異なる、相互に不混和な、それぞれが光透過性を有する、水性液体および油性液体が内部に収容された、少なくとも所定の光軸方向については光を透過させる液体収容器と、
    前記液体収容器の内面の少なくとも一部を覆う、電圧の印加を受けて、前記水性液体あるいは油性液体と接触する面の分子の形状が変化して、該面の親疎水性が変化する被覆膜と、
    前記被覆膜に対して電圧を印加するための電極と、
    前記電極に電圧を印加することによって、前記水性液体と前記油性液体との境界面の形状を変化させる制御部と、
    前記水性液体、および前記油性液体を通ってきた被写体光が表面に結像されて、該被写体光を表わす画像信号を生成する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
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