JP2006063406A - 高耐摩耗性干渉色皮膜を有するチタン材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐耐摩耗を有する多彩な発色を呈する、装飾的にも有用なチタン又はチタン合金材料を提供する。
【解決手段】 本発明の高耐摩耗性干渉色皮膜を有するチタン材料の製造方法は、チタン又はチタン合金にガス窒化処理を施した後、アノード酸化処理により干渉色を発色させることを特徴とする。また、ガス窒化処理後電解脱膜処理を施してから、アノード酸化処理により干渉色を発色させることを特徴とする。
前記高耐摩耗性干渉色皮膜の表面に、コーティングを施すこと、あるいは、前記チタン又はチタン合金が、結晶粒を粗大化したものであることが好ましい。
【選択図】 図7
【解決手段】 本発明の高耐摩耗性干渉色皮膜を有するチタン材料の製造方法は、チタン又はチタン合金にガス窒化処理を施した後、アノード酸化処理により干渉色を発色させることを特徴とする。また、ガス窒化処理後電解脱膜処理を施してから、アノード酸化処理により干渉色を発色させることを特徴とする。
前記高耐摩耗性干渉色皮膜の表面に、コーティングを施すこと、あるいは、前記チタン又はチタン合金が、結晶粒を粗大化したものであることが好ましい。
【選択図】 図7
Description
この発明は、チタン又はチタン合金の表面に高耐摩耗性干渉色皮膜を形成させ、機能的および装飾的用途に適するチタン材料の製造技術分野に関する。
チタンおよびチタン合金の干渉色発色法としては電解液中でのアノード酸化による方法や加熱による方法がある(非特許文献1、特許文献1参照)。
アノード酸化法では、チタンおよびチタン合金を陽極として電解を行うと、チタン材料表面に酸化膜が生成し、負荷した電圧が上がると膜厚は厚くなり、膜厚に応じて色々な干渉色が発色する。10Vで濃褐色、20Vで青色、30Vで空色、40Vで草色、50Vで黄色、60Vでピンク、70Vで紫色、80Vで淡青色、90Vで緑色、100Vで灰緑色が発色できる。ただし、干渉色なので見る角度によりこれらの色は多彩な色に変わる。
アノード酸化法では、チタンおよびチタン合金を陽極として電解を行うと、チタン材料表面に酸化膜が生成し、負荷した電圧が上がると膜厚は厚くなり、膜厚に応じて色々な干渉色が発色する。10Vで濃褐色、20Vで青色、30Vで空色、40Vで草色、50Vで黄色、60Vでピンク、70Vで紫色、80Vで淡青色、90Vで緑色、100Vで灰緑色が発色できる。ただし、干渉色なので見る角度によりこれらの色は多彩な色に変わる。
しかし、この陽極電解のみによるアノード酸化膜は、耐摩耗性に欠け、強く擦る摩耗試験などによって磨耗して色は無くなってしまう。従って、実用的に使用する場合は、その表面にコーティング等の補強をしなければならない(特許文献2参照)。
しかし、チタンおよびチタン合金の干渉色発色皮膜の日光堅牢度は干渉色なので染料や顔料による着色品と異なり、丈夫である。
しかし、チタンおよびチタン合金の干渉色発色皮膜の日光堅牢度は干渉色なので染料や顔料による着色品と異なり、丈夫である。
また、チタンおよびチタン合金の表面硬化法として物理的方法と化学的方法がある。物理的方法は焼入れによるもので、表面の化学組成に変化のないものであり、高周波焼入れ、炎焼入れ、レーザー焼入れがある。近年はドライコーティングとしての物理蒸着法(PVD)や化学蒸着法(CVD)、イオン注入法、ガス窒化法等がある。これらは耐耐摩耗、潤滑性の付与のために使われるものであるが、付随的に着色することがある。
着色例としてはTiNが黄色、TiCが灰色などであり、多くの色は着かない。黄色皮膜の色はあまり綺麗ではなく、色の種類も少ない。
着色例としてはTiNが黄色、TiCが灰色などであり、多くの色は着かない。黄色皮膜の色はあまり綺麗ではなく、色の種類も少ない。
(社)日本防錆技術協会編 「防錆技術学校めっき科教科書」「(9)金属着色」p.19〜21 2002年
特開平6−306685号公報
特開昭59−13076号公報
以上のように、従来の方法では多彩な色を有し、且つ、耐耐摩耗の良いチタンおよびチタン合金は得られていなかった。
この発明は、上記の事情に鑑み、耐耐摩耗を有する多彩な発色を呈する、装飾的にも有用なチタン又はチタン合金材料を提供することを課題とする。
この発明は、上記の事情に鑑み、耐耐摩耗を有する多彩な発色を呈する、装飾的にも有用なチタン又はチタン合金材料を提供することを課題とする。
本発明の高耐摩耗性干渉色皮膜を有するチタン材料の製造方法は、チタン又はチタン合金にガス窒化処理を施した後、アノード酸化処理により干渉色を発色させることを特徴とする。また、ガス窒化処理後電解脱膜処理を施してから、アノード酸化処理により干渉色を発色させることを特徴とする。
前記高耐摩耗性干渉色皮膜の表面に、コーティングを施すこと、あるいは、前記チタン又はチタン合金が、結晶粒を粗大化したものであることが好ましい。
前記高耐摩耗性干渉色皮膜の表面に、コーティングを施すこと、あるいは、前記チタン又はチタン合金が、結晶粒を粗大化したものであることが好ましい。
本発明によれば、耐摩耗性に優れ、多彩な発色を呈する装飾的にも有用なチタン又はチタン合金材料を容易に得ることができる。
本発明は、ガス窒化処理が施された濃黄色に着色されたチタン又はチタン合金の表面にアノード酸化処理を施しても、表面の窒化チタンはもともと濃黄色に着色しているので、その後のアノード酸化ではそれと異なる干渉色が発色しない、と考えられていた従来の“常識”に反して、綺麗で多彩な色を発色する上に、耐摩耗性が更に向上する、との新たな知見を得たことを基本として発明されたものである。
本発明では、始めにチタン材料の表面を窒化する。窒化する深さを大きくするために、窒化はガス窒化処理が適当である。ガス窒化処理は、脱脂したチタン材を入れたガス窒化炉を、真空に排気した後、窒素ガスを炉内に導入して、炉内雰囲気を窒素ガスで置換する。窒素ガスで置換後、窒素ガス気流中で、チタン材を加熱保持して、窒素を吸収させる。
後に陽極酸化するが、窒化工程では酸化することは望ましいことではないので、真空排気は、13.3〜1.33Pa(0.1〜0.01Torr)が適当である。
炉内の置換後の窒素ガス雰囲気は、0.1〜0.5MPa(1〜5atm)、窒化処理中の窒素ガス流量は、1〜5リットル/分、加熱温度は、700〜900℃、窒化処理時間は、10〜30時間が適当である。窒素ガス雰囲気の圧力を挙げ、加熱温度を高温にし、窒化処理時間を長くするほど、窒化の深さは大きくなる。
後に陽極酸化するが、窒化工程では酸化することは望ましいことではないので、真空排気は、13.3〜1.33Pa(0.1〜0.01Torr)が適当である。
炉内の置換後の窒素ガス雰囲気は、0.1〜0.5MPa(1〜5atm)、窒化処理中の窒素ガス流量は、1〜5リットル/分、加熱温度は、700〜900℃、窒化処理時間は、10〜30時間が適当である。窒素ガス雰囲気の圧力を挙げ、加熱温度を高温にし、窒化処理時間を長くするほど、窒化の深さは大きくなる。
チタン材に窒化処理すると、表面が濃黄色の皮膜で覆われる。窒化処理を施さない部分を作るために、マスキングを施すことができる。
窒化処理皮膜を施したままで、電解液中でのアノード酸化処理を施すこともできるが、電解脱膜して表面の濃黄色を除去した後にアノード酸化処理を施すと、アノード酸化による発色がより鮮やかになる。後述するように、電解脱膜の有無によっては、耐摩耗性に大きな相違は生じない。
電解脱膜は、HFを含む電解液中で、窒化処理皮膜を有するチタン材を陽極電解する。電解液は、例えば、HF:5g/リットル、H3PO4:30g/リットルのものが挙げられる。その他の電解液としては、HFと燐酸、硼酸、硫酸などからなる混酸等が挙げられる。
電解脱膜に要する時間は、1〜5分程度である。
窒化処理皮膜を施したままで、電解液中でのアノード酸化処理を施すこともできるが、電解脱膜して表面の濃黄色を除去した後にアノード酸化処理を施すと、アノード酸化による発色がより鮮やかになる。後述するように、電解脱膜の有無によっては、耐摩耗性に大きな相違は生じない。
電解脱膜は、HFを含む電解液中で、窒化処理皮膜を有するチタン材を陽極電解する。電解液は、例えば、HF:5g/リットル、H3PO4:30g/リットルのものが挙げられる。その他の電解液としては、HFと燐酸、硼酸、硫酸などからなる混酸等が挙げられる。
電解脱膜に要する時間は、1〜5分程度である。
アノード酸化の電解液の種類と濃度としては、通常のチタン材の陽極酸化の電解液が用いられる。具体的には、燐酸、硼酸、硫酸等の5%程度の水溶液が挙げられる。陰極としても、通常のチタン材の陽極酸化に際して用いられる、ステンレス、アルミニウム等の金属などで差し支えない。
アノード酸化の電圧によって、発色する色が異なる。傾向としては、通常のチタン材の陽極酸化に類似し、負荷した電圧が上がると膜厚は厚くなり、膜厚に応じて色々な干渉色が発色する。アノード酸化電圧と干渉色発色の関係に関しては後述する。
それらの着色皮膜は耐摩耗性に富み、電解脱膜した材料にアノード酸化した場合は、色がより鮮やかになっていることについては、確認実験で後述する。
アノード酸化の電圧によって、発色する色が異なる。傾向としては、通常のチタン材の陽極酸化に類似し、負荷した電圧が上がると膜厚は厚くなり、膜厚に応じて色々な干渉色が発色する。アノード酸化電圧と干渉色発色の関係に関しては後述する。
それらの着色皮膜は耐摩耗性に富み、電解脱膜した材料にアノード酸化した場合は、色がより鮮やかになっていることについては、確認実験で後述する。
ガス窒化処理後にアノード酸化処理を施したチタン材またはガス窒化−電解脱膜処理後にアノード酸化処理を施したチタン材の表面に、特許文献2に記載されるコーティング等の補強をすることは、干渉色の美麗さを損なうことなく、耐摩耗性を更に向上させ得ることから、好ましいことである。
また、チタン材に適宜の熱処理を施して、結晶粒を粗大化した材料を素材として用いると、結晶粒の方位が異なることに依ると思われる結晶粒毎の干渉色のバラエティが得られるので、このような素材を用いることも好ましいことである。
また、チタン材に適宜の熱処理を施して、結晶粒を粗大化した材料を素材として用いると、結晶粒の方位が異なることに依ると思われる結晶粒毎の干渉色のバラエティが得られるので、このような素材を用いることも好ましいことである。
本発明で形成したチタン表面の酸化膜に関して、以下のような確認実験を行った。
[確認実験]
ガス窒化処理を施したチタン材料について、以下のような確認実験を行った。
〔確認実験の諸条件〕
○チタン試料
厚さ2mm、直径3cmのJIS第2種のチタン円板で、表面粗さはRa:1μm。
○ガス窒化処理
チタン試料を脱脂後、ガス窒化炉に入れ、炉内を0.05 Torr まで減圧した後、窒素ガスを導入。窒素ガスを流しながら1時間で700℃、更に30分で800℃まで昇温し、20時間保持。
[確認実験]
ガス窒化処理を施したチタン材料について、以下のような確認実験を行った。
〔確認実験の諸条件〕
○チタン試料
厚さ2mm、直径3cmのJIS第2種のチタン円板で、表面粗さはRa:1μm。
○ガス窒化処理
チタン試料を脱脂後、ガス窒化炉に入れ、炉内を0.05 Torr まで減圧した後、窒素ガスを導入。窒素ガスを流しながら1時間で700℃、更に30分で800℃まで昇温し、20時間保持。
○アノード酸化
リン酸5%水溶液中にて定電圧(10,20,30,40,50,60,70,80,90,100V)にて5分間アノード電解。陰極はカーボン電極。なお、アノード酸化は、燐酸10%水溶液でも可能である。
○電解脱膜
HF:5g/リットル、H3PO4:30g/リットルの溶液中で5分間陽極電解。
○EDAXによる断面の線分析
○X線回折
○摩擦係数
ピンオンディスク式摩耗試験機にて、荷重1N、回転速度190.98rpm、摺動相対速度20mm/秒、摺動距離500m、雰囲気:湿度60%、温度24℃、相手材料:SiC。
リン酸5%水溶液中にて定電圧(10,20,30,40,50,60,70,80,90,100V)にて5分間アノード電解。陰極はカーボン電極。なお、アノード酸化は、燐酸10%水溶液でも可能である。
○電解脱膜
HF:5g/リットル、H3PO4:30g/リットルの溶液中で5分間陽極電解。
○EDAXによる断面の線分析
○X線回折
○摩擦係数
ピンオンディスク式摩耗試験機にて、荷重1N、回転速度190.98rpm、摺動相対速度20mm/秒、摺動距離500m、雰囲気:湿度60%、温度24℃、相手材料:SiC。
[確認実験結果]
前述のチタン試料を用いて、
イ.チタン試料のまま
ロ.ガス窒化処理
ハ.ガス窒化処理+アノード酸化
ニ.ガス窒化処理+電解脱膜+アノード酸化
の各処理を施した試料を用意した。
そして、チタン試料を含めて4種類の試料について、EDAX断面線分析、X線回折、ピンオンディスク式摩耗・摩擦試験を行った。結果を以下に順次示す。
[干渉色皮膜]
干渉色皮膜のサンプルを図1に示す。
図1を総括すると、表1のようになる。
前述のチタン試料を用いて、
イ.チタン試料のまま
ロ.ガス窒化処理
ハ.ガス窒化処理+アノード酸化
ニ.ガス窒化処理+電解脱膜+アノード酸化
の各処理を施した試料を用意した。
そして、チタン試料を含めて4種類の試料について、EDAX断面線分析、X線回折、ピンオンディスク式摩耗・摩擦試験を行った。結果を以下に順次示す。
[干渉色皮膜]
干渉色皮膜のサンプルを図1に示す。
図1を総括すると、表1のようになる。
[EDAX断面線分析]および[X線回折]
試料「ロ」(TiN)、試料「ハ」(TiN−100V)および試料「ニ」(TiN−E;アノード酸化なし)の各試料について、EDAX断面線分析を行った。結果を図2に示す。
図2より、3者間で、基本的な差異は見られなかった。
試料「ロ」(TiN)、試料「ハ」(TiN−100V)、試料「ニ」(TiN−E;アノード酸化なし)および試料「ニ」(TiN−E100v;100Vアノード酸化)の各試料について、X線回折を行った。結果を図3に示す。
図3によれば、4者ともTi2N,TiO4が検出されていることから、窒化物と酸化物との複合皮膜であることが判る。
試料「ロ」(TiN)、試料「ハ」(TiN−100V)および試料「ニ」(TiN−E;アノード酸化なし)の各試料について、EDAX断面線分析を行った。結果を図2に示す。
図2より、3者間で、基本的な差異は見られなかった。
試料「ロ」(TiN)、試料「ハ」(TiN−100V)、試料「ニ」(TiN−E;アノード酸化なし)および試料「ニ」(TiN−E100v;100Vアノード酸化)の各試料について、X線回折を行った。結果を図3に示す。
図3によれば、4者ともTi2N,TiO4が検出されていることから、窒化物と酸化物との複合皮膜であることが判る。
[ピンオンディスク式摩擦・摩耗試験=摩擦係数]
各試料につき、摩擦係数を測定した。結果を以下に順次示す。
図4に、チタン試料に、アノード酸化電圧0〜100V処理(Ti、Ti−20V、Ti−60V、Ti−100V)をしたもののピンオンディスク式摩擦・摩耗試験の結果を示す。
図4によれば、チタン試料は、摺動初期から摩擦係数が大きく、摺動距離が増すにつれて摩擦係数が増加するが、摺動距離100m程度で摩擦係数の増加の傾向は止まることが判る。そして、チタン試料にアノード酸化処理を施しても、チタン試料皮膜に比して、摩擦・摩耗試験の結果に格別の差異が見られないことが判る。
各試料につき、摩擦係数を測定した。結果を以下に順次示す。
図4に、チタン試料に、アノード酸化電圧0〜100V処理(Ti、Ti−20V、Ti−60V、Ti−100V)をしたもののピンオンディスク式摩擦・摩耗試験の結果を示す。
図4によれば、チタン試料は、摺動初期から摩擦係数が大きく、摺動距離が増すにつれて摩擦係数が増加するが、摺動距離100m程度で摩擦係数の増加の傾向は止まることが判る。そして、チタン試料にアノード酸化処理を施しても、チタン試料皮膜に比して、摩擦・摩耗試験の結果に格別の差異が見られないことが判る。
図5に、チタン試料(Ti)と、ガス窒化チタン試料(TiN)のピンオンディスク式摩擦・磨耗試験の対比結果を示す。
図5によれば、ガス窒化チタン試料は、チタン試料に比して、摺動初期の摩擦係数が低く、摺動距離の増加につれて摩擦係数が増加するものの、摺動距離450m程度で摩擦係数の増加の傾向は止まり、その絶対値も低めであることが判る。つまり、ガス窒化処理を施すことによって、耐摩耗性が向上していることが判る。
図5によれば、ガス窒化チタン試料は、チタン試料に比して、摺動初期の摩擦係数が低く、摺動距離の増加につれて摩擦係数が増加するものの、摺動距離450m程度で摩擦係数の増加の傾向は止まり、その絶対値も低めであることが判る。つまり、ガス窒化処理を施すことによって、耐摩耗性が向上していることが判る。
図6に、ガス窒化チタン試料(TiN)と、それにアノード酸化処理(TiN−20V、TiN−60V、TiN−100V)を施した試料のピンオンディスク式摩擦・摩耗試験の対比結果を示す。
図6によれば、ガス窒化チタン試料では、前述のように、摺動初期の摩擦係数が低く、摺動距離450m程度まで摩擦係数は増加するが、ガス窒化−アノード酸化チタン試料では、摺動初期の摩擦係数がガス窒化チタン試料と同程度に低く、かつ、アノード酸化電圧の大小に拘わらず、摺動距離の増加につれての摩擦係数の増加は極めて少なく、ほぼ一定の値を維持することが判る。
図6によれば、ガス窒化チタン試料では、前述のように、摺動初期の摩擦係数が低く、摺動距離450m程度まで摩擦係数は増加するが、ガス窒化−アノード酸化チタン試料では、摺動初期の摩擦係数がガス窒化チタン試料と同程度に低く、かつ、アノード酸化電圧の大小に拘わらず、摺動距離の増加につれての摩擦係数の増加は極めて少なく、ほぼ一定の値を維持することが判る。
図7に、チタン試料(Ti)、ガス窒化チタン試料(TiN)、ガス窒化−アノード酸化チタン試料(TiN−100V)チタン試料およびガス窒化−電解脱膜チタン試料(TiN−E)のピンオンディスク式摩擦・摩耗試験の対比結果を示す。
図7によれば、ガス窒化−電解脱膜チタン試料は、ほぼガス窒化−アノード酸化(100V)チタン試料と同様の挙動を示すことが判る。
図8に、ガス窒化−電解脱膜チタン試料にアノード酸化処理を施した試料(TiNE、TiNE−20V、TiNE−60V、TiNE−100V)のピンオンディスク式摩擦・摩耗試験の対比結果を示す。
図8によれば、ガス窒化−電解脱膜−アノード酸化チタン試料は、アノード酸化処理のアノード電圧の値の如何に関わらず、図7で確認したガス窒化−アノード酸化(100V)チタン試料とほぼ同等であったガス窒化−電解脱膜チタン試料の皮膜とほぼ同等の摩擦係数の傾向を示すことが判る。
図7によれば、ガス窒化−電解脱膜チタン試料は、ほぼガス窒化−アノード酸化(100V)チタン試料と同様の挙動を示すことが判る。
図8に、ガス窒化−電解脱膜チタン試料にアノード酸化処理を施した試料(TiNE、TiNE−20V、TiNE−60V、TiNE−100V)のピンオンディスク式摩擦・摩耗試験の対比結果を示す。
図8によれば、ガス窒化−電解脱膜−アノード酸化チタン試料は、アノード酸化処理のアノード電圧の値の如何に関わらず、図7で確認したガス窒化−アノード酸化(100V)チタン試料とほぼ同等であったガス窒化−電解脱膜チタン試料の皮膜とほぼ同等の摩擦係数の傾向を示すことが判る。
以上の確認実験によって、チタン材料は、ガス窒化処理によって黄色に着色したものであっても、アノード酸化処理を施すことによって、多彩な干渉色発色が得られること、ガス窒化後電解脱膜処理を施したチタン材料にアノード酸化処理を施した場合には、電解脱膜処理を付加的に施さない場合のものよりも、より鮮やかな干渉色発色が得られること、チタン材料に直接アノード処理を施した場合の皮膜は、耐摩耗性の面で必ずしも十分な性能を得ることはできないが、ガス窒化処理またはガス窒化−電解脱膜処理を施したチタン材料にアノード酸化処理を施した場合の皮膜は、摩擦係数が低く、その低い摩擦係数を摺動距離が長くなっても維持することができ、潤滑性を有しているといい得ること、潤滑性は、下地が軟らかいアノード酸化のみを施したチタン材料では示されず、硬い下地としたもので潤滑性を発揮するように考えられること、が明らかになった。
本発明によれば、耐摩耗性に優れ、多彩な干渉色発色を有するチタン材料が得られるので、カーテンウォールや、耐摩耗性の望まれる装飾素材として、あるいは、色彩感覚に優れた摺動部材用の素材として、多方面に利用され得ると考えられる。
Claims (4)
- チタン又はチタン合金にガス窒化処理を施した後、アノード酸化処理により干渉色を発色させることを特徴とする高耐摩耗性干渉色皮膜を有するチタン材料の製造方法。
- チタン又はチタン合金にガス窒化処理を施し、電解脱膜処理を施した後、アノード酸化処理により干渉色を発色させることを特徴とする高耐摩耗性干渉色皮膜を有するチタン材料の製造方法。
- 前記高耐摩耗性干渉色皮膜の表面に、コーティングを施す請求項1又は請求項2に記載の高耐摩耗性干渉色皮膜を有するチタン材料の製造方法。
- 前記チタン又はチタン合金が、結晶粒を粗大化したものである請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の高耐摩耗性干渉色皮膜を有するチタン材料の製造方法。
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- 2004-08-27 JP JP2004248446A patent/JP2006063406A/ja active Pending
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