JP2006057530A - エンジン始動装置及び蓄圧装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジン始動装置及び蓄圧装置において、大幅なコスト増をすることなくスタータモータを用いずに始動可能とする。
【解決手段】燃焼室18に燃料を直接噴射するインジェクタ29及び燃焼室18の混合気に点火する点火プラグ30を設けると共に、エンジン10のクランク角度を検出するクランク角センサ46を設け、クランクケース15とサージタンク24とを連結する第1PCV通路31及びこれを開閉自在な第1遮断弁33と、クランクケース15とエアクリーナ26とを連結する第2PCV通路34及びこれを開閉自在な第2遮断弁37を設け、ECU44は、エンジン10の停止前に各遮断弁33,37により各PCV通路31,34を閉止し、エンジン10の停止後に再始動指令が入力されたときに、クランク角センサ46が検出した膨張行程にある気筒に対して燃料噴射を実行すると共に点火を実行する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スタータモータを用いることなくエンジンを始動させるエンジン始動装置及び蓄圧装置に関するものである。
近年、排気ガス対策や燃費向上などの手法として、車両がアイドル状態で停止しているときにエンジンを自動的に停止させ、発進時に自動的に再始動して円滑に発進させるようにした技術が各種提案されている。この場合、エンジンの再始動に時間が掛かるとドライバの発進意思に対してレスポンスが遅れてドライバビリティが悪化するため、素早く再始動させることが重要である。ところが、エンジンを始動する場合、一般にスタータモータを用いており、頻繁にエンジンの停止と始動を繰り返すことで、このスタータモータや周辺部品の寿命低下、また、バッテリーの使用過多による充電量の低下などを招いてしまう。
そこで、例えば、下記特許文献1では、燃料を吸気ポートではなく燃焼室に直接噴射する筒内噴射式のエンジンにて、スタータを用いることなくエンジンを始動可能としている。この特許文献1に記載された「エンジン始動装置」は、膨張行程にある気筒を検出し、補助吸気弁を開いてエアタンク内の圧縮空気を膨張行程にある気筒に導入すると共に、気筒内の空気量に応じて所定量の燃料を噴射し、気筒内の混合気に点火することで燃焼させ、発生した膨張力によりピストンを押し下げて自己始動させるものである。
特開平8−061189号公報
上述した従来の「エンジン始動装置」にあっては、膨張行程にある気筒に空気を導入するために、補助吸気弁、アクチュエータ、エアタンク、エアポンプ、エア配管、圧力センサなどが別途必要となり、エンジン自体を大幅に改良しなければならず、製造コストが上昇してしまうという問題がある。
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、大幅なコスト増をすることなくスタータモータを用いずに始動可能としたエンジン始動装置並びに蓄圧装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のエンジン始動装置は、燃焼室と、該燃焼室に連通する吸気ポート及び排気ポートと、前記吸気ポート及び前記排気ポートを開閉する吸気弁及び排気弁と、前記燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射手段と、前記燃焼室内の混合気に点火する点火手段と、エンジンのクランク角度を検出するクランク角度検出手段と、クランク室と吸気通路とを連結する第1PCV通路と、該第1PCV通路を開閉自在な第1遮断弁と、前記クランク室と大気通路とを連結する第2PCV通路と、該第2PCV通路を開閉自在な第2遮断弁と、前記エンジンの停止前に前記第1遮断弁により前記第1PCV通路を閉止すると共に前記第2遮断弁により前記第2PCV通路を閉止し、前記エンジンの始動時に前記クランク角度検出手段の検出結果に基いて膨張行程にある気筒を検出して該気筒に対して前記燃料噴射手段により燃料噴射を実行すると共に前記点火手段により点火を実行する制御手段とを具えたことを特徴とするものである。
また、本発明のエンジン始動装置では、前記クランク室に連通する蓄圧室を設けたことを特徴としている。
本発明のエンジン始動装置では、前記クランク室の容積または前記クランク室と前記蓄圧室とを合わせた容積は、エンジン停止時からエンジン再始動時までに要すると想定される放置時間と、エンジン停止時からエンジン再始動時までにクランク室から漏洩する残圧漏れ量と、エンジン停止時のクランク室圧とから設定することを特徴としている。
本発明のエンジン始動装置では、前記制御手段は、前記エンジンの自動停止が予測されるときに、前記第1遮断弁により前記第1PCV通路を閉止すると共に、前記第2遮断弁により前記第2PCV通路を閉止することを特徴としている。
本発明のエンジン始動装置では、エンジン冷却水温を検出する冷却水温検出手段を設け、前記制御手段は、該冷却水温検出手段が検出したエンジン冷却水温に基いて、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁が前記第1PCV通路及び前記第2PCV通路を閉止することで密閉された前記エンジン本体内の圧力を設定することを特徴としている。
本発明のエンジン始動装置では、前記制御手段は、前記クランク角度検出手段が検出したエンジン停止時のクランク角度に基いて、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁が前記第1PCV通路及び前記第2PCV通路を閉止することで密閉された前記エンジン本体内の圧力を設定することを特徴としている。
本発明のエンジン始動装置では、前記制御手段は、前記クランク室内に発生したブローバイガスが予め設定された所定量を超えると予測したときは、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁による前記第1PCV通路及び前記第2PCV通路の閉止を禁止することを特徴としている。
本発明のエンジン始動装置では、前記制御手段は、前記クランク室の開放が予測されるときは、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁による前記第1PCV通路及び前記第2PCV通路の閉止を禁止することを特徴としている。
本発明のエンジン始動装置では、前記クランク室と前記蓄圧室との連通路を開閉自在な第3遮断弁を設け、前記制御手段は、前記クランク室の加圧条件が成立したときに該第3遮断弁を開放することを特徴としている。
本発明のエンジン始動装置では、前記制御手段は、前記クランク室の加圧条件が成立して前記第3遮断弁が開放されているとき、前記クランク室の加圧条件が不成立となったときには前記第3遮断弁を閉止して前記蓄圧室の加圧状態を維持することを特徴としている。
また、本発明の蓄圧装置は、クランク室と吸気通路とを連結する第1PCV通路と、該第1PCV通路を開閉自在な第1遮断弁と、前記クランク室と大気通路とを連結する第2PCV通路と、該第2PCV通路を開閉自在な第2遮断弁と、空気圧力により作動可能な外部装置と、前記クランク室と該外部装置とを連結する連結通路と、該連結通路を開閉自在な第3遮断弁と、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁により前記第1PCV通路及び前記第2PCV通路を開閉制御することで前記クランク室を正圧または負圧とすると共に前記第3遮断弁により前記連結通路を開放して前記クランク室の空気圧力を前記外部装置に供給する制御手段とを具えたことを特徴とするものである。
本発明のエンジン始動装置によれば、燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射手段及び燃焼室内の混合気に点火する点火手段を設けると共に、エンジンのクランク角度を検出するクランク角度検出手段を設け、また、クランク室と吸気通路とを連結する第1PCV通路及びこれを開閉自在な第1遮断弁と、クランク室と大気通路とを連結する第2PCV通路及びこれを開閉自在な第2遮断弁を設け、制御手段は、エンジンの停止前に各遮断弁により各PCV通路を閉止し、エンジンの始動時にクランク角度検出手段が膨張行程にある気筒を検出し、その気筒に対して燃料噴射を実行すると共に点火を実行するようにしたので、第1、第2PCV通路を閉止することでクランク室からのブローバイガスの掃気を抑制し、クランク室を加圧することができ、クランク内の圧縮空気がシリンダボアとピストンとのピストンリングの合口隙間を通って膨張行程にある気筒内に導入されて所定の酸素量が確保されることとなり、この膨張行程にある気筒の爆発力を高めることができ、大幅な改良によるコスト増を行うことなく、スタータモータを用いずにエンジンを確実に始動することができる。
また、本発明の蓄圧装置によれば、クランク室と吸気通路とを連結する第1PCV通路及びこの第1PCV通路を開閉自在な第1遮断弁と、クランク室と大気通路とを連結する第2PCV通路及びこの第2PCV通路を開閉自在な第2遮断弁を設けると共に、クランク室と空気圧力により作動可能な外部装置とを連結する連結通路及びこの連結通路を開閉自在な第3遮断弁を設け、制御装置は、第1遮断弁及び第2遮断弁により第1PCV通路及び第2PCV通路を開閉制御することでクランク室を正圧または負圧とすると共に、第3遮断弁により連結通路を開放してクランク室の空気圧力を外部装置に供給するようにしたので、第1、第2PCV通路を開閉制御することでクランク室からのブローバイガスの掃気を抑制または促進し、クランク室を加圧または減圧することができ、第3遮断弁を開放することでこのクランク室の正圧または負圧を外部装置に供給し、この外部装置を作動させることができ、別途、コンプレッサなどを用いることなくクランク室の圧力を利用して外部装置を容易に作動させることができ、装置の小型化及び低コスト化を可能とすることができる。
以下に、本発明に係るエンジン始動装置並びに蓄圧装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例1に係るエンジン始動装置を表す概略構成図、図2は、実施例1のエンジン始動装置におけるエンジン制御を表すフローチャート、図3−1から図3−4は、エンジン停止時における気筒内挙動を表す概略図、図4は、エンジン停止時における筒内圧を表すグラフ、図5は、エンジン始動後におけるクランクケース内圧を表すグラフである。
実施例1のエンジン始動装置が適用されたエンジンにおいて、図1に示すように、このエンジン10は、筒内噴射式の6気筒火花点火エンジンである。このエンジン10にて、シリンダブロック11上にシリンダヘッド12が締結されており、このシリンダブロック11に形成された複数のシリンダボア13にピストン14がそれぞれ上下移動自在に嵌合している。そして、シリンダブロック11の下部にクランクケース15が締結され、このクランクケース15内にクランクシャフト16が回転自在に支持されており、各ピストン14はコネクティングロッド17を介してこのクランクシャフト16にそれぞれ連結されている。
燃焼室18は、シリンダブロック11とシリンダヘッド12とピストン14により構成されており、この燃焼室18は、上部(シリンダヘッド12の下面)の中央部が高くなるように傾斜したペントルーフ形状をなしている。そして、この燃焼室18の上部、つまり、シリンダヘッド12の下面に吸気ポート19及び排気ポート20が対向して形成されており、この吸気ポート19及び排気ポート20に対して吸気弁21及び排気弁22の下端部がそれぞれ位置している。従って、この吸気弁21及び排気弁22が所定のタイミングで上下移動することで、吸気ポート19及び排気ポート20を開閉し、吸気ポート19と燃焼室18、燃焼室18と排気ポート20とをそれぞれ連通することができる。
吸気ポート19には、インテークマニホールド23を介してサージタンク24が連結され、このサージタンク24に吸気管25が連結されており、この吸気管25の空気取入口にはエアクリーナ26が取付けられている。そして、このエアクリーナ26の下流側にスロットル弁27を有する電子スロットル装置28が設けられている。また、シリンダヘッド12には、燃焼室18に直接燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射手段)29が装着されており、このインジェクタ29は、吸気ポート19側に位置し、上下方向に所定角度傾斜している。更に、シリンダヘッド12には、燃焼室18の上方に位置して混合気に着火する点火プラグ(点火手段)30が装着されている。
また、エンジン10内とスロットル弁27よりも下流側の吸気管25、つまり、サージタンク24との間には、第1PCV(Positive Crankcase Ventilation)通路31が設けられており、この第1PCV通路31にはPCV弁32と第1遮断弁33が設けられている。このPCV弁32は一方向一定流量弁であり、第1遮断弁33は、電磁開閉弁である。また、エンジン10内とエアクリーナ(大気通路)26との間には第2PCV通路34が設けられており、この第2PCV通路34には負圧側調圧弁35が設けられると共に、この負圧側調圧弁35をバイパスするバイパス通路36には第2遮断弁37が設けられ、また、第2PCV通路34から分岐して吸気管25に連結する分岐通路38には正圧側調圧弁39が設けられている。この負圧側調圧弁35及び正圧側調圧弁39は一方向一定流量弁であり、第2遮断弁37は、電磁開閉弁である。この各PCV通路31,34及びバイパス通路36、分岐通路38はエンジン10内に発生したブローバイガスを吸気系に排出するものである。
従って、燃焼室18などで発生したブローバイガスは、シリンダボア13とピストン14とのピストンリングの合口隙間を通ってクランクケース15内に入り、図示しないオイル通し孔を通って上昇し、シリンダヘッド12の上部に締結されたヘッドカバー内に至る。そして、第1遮断弁33と第2遮断弁37の開放状態では、エンジン10内に溜まったブローバイガスは、吸気負圧により第1PCV通路31及びPCV弁32を通して吸気管25に吸入される一方、エアクリーナ26の空気が第2PCV通路34及びバイパス通路36を通ってエンジン10内に導入される。
一方、排気ポート20には、エギゾーストマニホールド40を介して排気管41が連結されており、この排気管41には排気ガス中に含まれるHC、CO、NOxなどの有害物質を浄化処理する触媒装置42,43が装着されている。
また、車両には電子制御ユニット(ECU)44が搭載されており、このECU44は、インジェクタ29や点火プラグ30などを制御可能となっている。即ち、吸気管25の上流側にはエアフローセンサ45が装着されており、計測した吸入空気量をECU44に出力している。また、電子スロットル装置28は、現在のスロットル開度をECU44に出力している。更に、クランク角センサ(クランク角度検出手段)46は、検出した各気筒のクランク角度をECU44に出力し、このECU44は検出したクランク角度に基いて各気筒における吸気、圧縮、膨張(爆発)、排気の各行程を判別すると共に、エンジン回転数を算出している。また、シリンダヘッド12にはエンジン冷却水温を検出する水温センサ47が設けられており、検出したエンジン冷却水温をECU44に出力している。従って、ECU44は、検出した吸入空気量、スロットル開度(またはアクセル開度)、エンジン回転数、エンジン冷却水温などのエンジン運転状態に基づいて、燃料噴射量、噴射時期、点火時期などを決定している。
このように構成されたエンジン10は、車両がアイドル状態で停止しているとき(または、減速運転中)にエンジンを自動的に停止させるエンジン自動停止機能と、エンジンが自動停止しているときに発信指令により自動的に再始動させるエンジン再始動機能を有している。そして、本実施例では、エンジン10の再始動時に、スタータモータを使用せずに、筒内噴射機構を用いてエンジン10を着火始動するようにしている。
即ち、制御手段としてのECU44は、エンジン10の停止後に、クランク角センサ46の検出結果に基いて、膨張行程で停止している気筒を判別し、エンジンの再始動時に、この膨張行程で停止している気筒に対して空気(酸素)を供給すると共に燃料を噴射し、混合気に点火することで爆発力を得てピストン14を介してクランクシャフト16を駆動し、エンジン10を再始動する。この場合、エンジン10が停止してから再始動するまでに所定時間が経過するため、燃焼室18内にある空気が漏れてしまい、所定の爆発力を得るための空気量が不足してしまう。
エンジン10の停止時における気筒内の挙動について説明する。エンジン10が6気筒であることから、図3−1に示すように、例えば、第1気筒#1が上死点(TDC)を越えて膨張行程で停止するとき、続く第2気筒#2は圧縮行程で停止し、続く第3気筒#3は吸気から圧縮に至る下死点(BTDC)近傍で停止する。このとき、図3−2に示すように、燃料噴射の停止及び点火の停止により爆発力がなくなり、第2気筒#2がTDC手前の圧縮行程にあるため、この気筒のピストン14が下降してクランクシャフト16が若干逆転するなどしてから停止する。本実施例では、膨張行程で停止した第1気筒#1に燃料を噴射して着火始動することから、図3−3に示すように、第1気筒#1がTDCを超えた60ATDC近傍で停止することが望ましい。
そして、エンジン10の停止直後は、第1気筒#1及び第2気筒#2に残圧があるものの、図3−4に示すように、所定時間経過後には、第1気筒#1及び第2気筒#2の燃焼室18から空気が漏れてします。即ち、図4に示すように、燃料噴射を停止すると、エンジン回転速度が徐々に低下し、クランクシャフト16の停止直前に逆転が発生し、停止後には、第1気筒#1及び第2気筒#2の筒内圧が低下しており、燃焼室18から空気が漏れていることがわかる。
この場合、膨張行程にある第1気筒#1と圧縮行程にある第2気筒#2は、吸気弁21及び排気弁22が閉じているために燃焼室18内の圧縮空気が吸気ボート19及び排気ポート20から漏れることはない。実際には、燃焼室18内の圧縮空気は、シリンダボア13とピストン14とのピストンリングの合口隙間を通ってクランクケース15に流動し、このクランクケース15から吸気行程及び排気行程にある気筒の燃焼室に流動し、吸気弁21及び排気弁22により開放状態にある吸気ボート19及び排気ポート20から外部に圧縮空気が漏れていることがわかった。
また、エンジン10は、第1PCV通路31や第2PCV通路34などを介して吸気系に連結されており、このエンジン10内に溜まったブローバイガスは、この第1PCV通路31や第2PCV通路34などなどを通して吸気系に排出されるようになっている。そのため、エンジン10の停止時に、燃焼室18内の圧縮空気は、この各PCV通路31,34から吸気系に排出されてしまう。
そこで、本実施例では、図1に示すように、第1PCV通路31と第2PCV通路34にそれぞれ第1遮断弁33と第2遮断弁37を設け、この各遮断弁33,37により各PCV通路31、34を閉止することで、この各PCV通路31,34からの圧縮空気の漏洩を抑制している。但し、前述したように、エンジン10内の圧縮空気は別の場所からも漏れるため、この対策も必要である。そこで、本実施例では、エンジン10内を加圧する方法として、ブローバイガスを用いている。図5に示すように、各遮断弁33,37により各PCV通路31、34を閉止した状態でエンジン10を始動すると、エンジン10内で発生したブローバイガスが排出されずに貯留されることとなり、クランクケース15内の圧力が上昇することがわかる。
即ち、クランクケース15の室内を加圧する手段としてブローバイガスを用いるため、第1PCV通路31と第2PCV通路34にそれぞれ第1遮断弁33と第2遮断弁37を設けている。そして、ECU44は、エンジン10の自動停止前に、第1、第2遮断弁33,37により第1、第2PCV通路31,34を閉止し、ブローバイガスの排出を抑制することで、クランクケース15内を加圧して空気、つまり酸素をシリンダボア13とピストン14とのピストンリングの合口隙間から膨張行程及び圧縮行程で停止している気筒(前述した第1気筒#1気筒及び第2気筒#2)に供給する。そして、膨張行程にある気筒(前述した第1気筒#1気筒)に対してインジェクタ29により燃料を噴射すると共に点火プラグ30により混合気に点火することで、エンジン10は爆発力を得てピストン14を介してクランクシャフト16を駆動するこことなり、再始動される。
なお、ブローバイガスとは、燃焼室18からエンジン10の内部に排出される未燃焼ガスであるが、大気酸素濃度に対して80%程度の酸素濃度を有しており、これを燃料と共に燃焼室18に供給することで、十分に燃焼可能である。
ここで、上述した実施例1のエンジン始動装置の作動制御について、図2のフローチャートに基いて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、ステップS1では、車両の運転中にエンジン10の自動停止条件が成立する可能性があるかどうかを判定する。ここで、エンジン10の自動停止とは、アイドル運転中にエンジンを停止する、所謂、アイドルストップであり、例えば、エンジン10の自動停止条件とは、車速が0km/h、ブレーキスイッチがON状態、シフトレバーの操作位置がニュートラル(N)位置であることが所定時間継続したことであり、このとき、車両は赤信号灯で停車していると判断して自動停止条件が成立したと判定する。そのため、例えば、車速が一定車速以下、エンジン回転数が一定回転以下、エンジン負荷が一定以下の状態が所定時間継続したときに、エンジン10の自動停止条件が成立する可能性があると判定する。なお、車両の減速中にもエンジン10を停止しても良く、この場合、エンジン10の自動停止条件(エコラン停止条件)が成立する可能性とは、車速が一定速度以下、エンジン回転数が一定回転以下、エンジン冷却水温が一定温度以下、冷暖房装置がOFF状態であり、このとき、車両は減速中であると判断して自動停止条件が成立したと判定する。
このステップS1にて、エンジン10の自動停止条件の成立の可能性があると判定されると、ステップS2に移行して、第1、第2遮断弁33,37を閉止して第1、第2PCV通路31,34を遮断し、ステップS3にて、エンジン10内からブローバイガスの排出を抑制することで、クランクケース15内を加圧する。
そして、ステップS4では、エンジン10の自動停止条件が成立したかどうかを判定する。ここで、エンジン10の自動停止条件の成立したと判定されると、ステップS5に移行して、インジェクタ29による燃料噴射を停止すると共に、点火プラグ30による点火を停止する。この場合、インジェクタ29による燃料噴射の停止及び点火プラグ30による点火の停止をエンジン10の停止と判断するが、例えば、エンジン回転数が所定回転数以下まで低下したときにエンジン10の停止と判断してもよい。なお、第1、第2PCV通路31,34を遮断した状態が所定時間継続すると、エンジン10内にブローバイガスが貯留されてクランクケース15の内加圧が上昇するが、第2PCV通路34に負圧側調圧弁35が設けられると共に、この第2PCV通路34から分岐した分岐通路38に正圧側調圧弁39が設けられおり、クランクケース15内は所定の圧力範囲内に維持されることとなり、異常圧力となることはない。
ステップS6では、エンジン10が自動停止している状態で、エンジン再始動条件が成立したかどうかを判定する。ここで、エンジン10の再始動条件とは、例えば、車速が0km/h、ブレーキスイッチがON状態、シフトレバーの操作位置が走行(1、2、D、R)位置であるときに、ドライバに発進する意思があると判断して再始動条件が成立したと判定する。このステップS6にて、エンジン10の再始動条件が成立したと判定されると、ステップS7に移行して、エンジン10を着火始動する。
即ち、エンジン10の自動停止前に、第1、第2遮断弁33,37により第1、第2PCV通路31,34を遮断し、エンジン10内からブローバイガスの排出を抑制することで、クランクケース15内が加圧されており、圧縮空気がこのクランクケース15からシリンダボア13とピストン14とのピストンリングの合口隙間を通って膨張行程で停止している気筒の燃焼室18に供給され、燃焼室18内には所定量の酸素が充填されている。そのため、クランク角センサ46の検出結果に基いて膨張行程で停止している気筒を判別し、この膨張行程で停止している気筒の燃焼室18に対してインジェクタ29により所定量の燃料を噴射し、点火プラグ30により混合気に点火することで、この気筒は爆発力を得てピストン14を下降させる。
また、膨張行程で停止している気筒に続く気筒、つまり、圧縮行程で停止している気筒に対しても、圧縮空気がクランクケース15からシリンダボア13とピストン14とのピストンリングの合口隙間を通って燃焼室18に供給され、所定量の酸素が充填してしる。そのため、この膨張行程で停止している気筒に続いて、圧縮行程で停止している気筒の燃焼室18に対して、同様に、インジェクタ29により所定量の燃料を噴射し、点火プラグ30により混合気に点火することで、この気筒は爆発力を得てピストン14を下降させる。そして、この圧縮行程で停止している気筒に続く気筒に対しては、通常通りに吸気ポート19から空気を吸入し、インジェクタ29から所定量の燃料を噴射すると共に、点火プラグ30により混合気に点火することで、爆発力を得てピストン14を下降させることとなり、こられの爆発力が所定時間継続させることでクランクシャフト16を駆動し、エンジン10を再始動させる。
ステップS8では、エンジン10の着火始動が完了したかどうかを判定し、着火始動ができなかった場合には、ステップS9でスタータモータによりエンジン10を始動する。そして、着火始動またはスタータモータ始動によりエンジン10が再始動されると、ステップS10にて、第1、第2遮断弁33,37により第1、第2PCV通路31,34を開放すると、ステップS11にて、エンジン10内からブローバイガスが第1、第2PCV通路31,34により吸気系に排出されるためにクランクケース15内の加圧が停止される。
このように実施例1のエンジン始動装置にあっては、燃焼室18に燃料を直接噴射するインジェクタ29及び燃焼室18の混合気に点火する点火プラグ30を設けると共に、エンジン10のクランク角度を検出するクランク角センサ46を設け、また、クランクケース15とサージタンク24とを連結する第1PCV通路31及びこれを開閉自在な第1遮断弁33と、クランクケース15とエアクリーナ26とを連結する第2PCV通路34及びこれを開閉自在な第2遮断弁37を設け、ECU44は、エンジン10の停止前に各遮断弁33,37により各PCV通路31,34を閉止し、エンジン10の停止後に再始動指令が入力されたときに、クランク角センサ46が検出した膨張行程にある気筒に対して燃料噴射を実行すると共に点火を実行するようにしている。
従って、エンジン10の自動停止が予想されるときは、その前に第1、第2PCV通路31,34を閉止することで、クランクケース15内からのブローバイガスの掃気を抑制して長時間のエンジン停止に比べてクランク室圧の低下を抑制し、クランクケース15内を確実に加圧することができ、クランクケース15内の圧縮空気がシリンダボア13とピストン14とのピストンリングの合口隙間を通って膨張行程にある気筒の燃焼室18に作用するため、燃焼室18に残存する空気が漏れることなく所定の酸素量が確保されることとなり、エンジン10が停止した後の再始動時に、この膨張行程で停止している気筒の燃焼室18に燃料を噴射して点火することで爆発力を高めることができ、スタータモータを用いずに早期に、且つ、確実にエンジン10を始動することができる。
また、エンジン10の自動停止前に、第1、第2PCV通路31,34を閉止してクランクケース15内にブローバイガスを含んだ圧縮空気を貯留するようにしている。従って、エンジン10の停止後の再始動時に、クランクケース15内を所定圧力に維持することができ、このエンジン10の再始動時には、燃焼室18内に所定量の空気を確保することができ、どのような条件下でもエンジン10を確実に再始動することができる。
更に、第2PCV通路34に負圧側調圧弁35を設けると共に、この第2PCV通路34から分岐した分岐通路38に正圧側調圧弁39を設けている。従って、第1、第2遮断弁33,37により第1、第2PCV通路31,34を遮断した状態が所定時間継続しても、所定量以上のブローバイガスはこの負圧側調圧弁35または正圧側調圧弁39から排出されてクランクケース15内は所定の圧力範囲内に維持されることとなり、異常圧力となることはなく、十分な安全性を確保することができる。
そして、クランクケース15内を加圧するためのブローバイガスを用いることで、エンジン10の大幅な改良を行う必要はなく、製造コストの上昇を抑制することができる。
図6は、本発明の実施例2に係るエンジン始動装置において加圧ポンプを制御するための制御マップである。なお、この実施例2のエンジン始動装置の概略構成は、前述した実施例1とほぼ同様であるため、図1を用いて説明する。
実施例2のエンジン始動装置では、図1に示すように、エンジン10内とサージタンク24とのを第1PCV通路31により連結し、この第1PCV通路31にPCV弁32と第1遮断弁33を設け、エンジン10内とエアクリーナ26とを第2PCV通路34により連結し、この第2PCV通路34に負圧側調圧弁35を設けると共に、この負圧側調圧弁35をバイパスするバイパス通路36に第2遮断弁37を設け、また、第2PCV通路34から分岐した分岐通路38に正圧側調圧弁39を設け、ECU44は、エンジン10の自動停止前に、第1、第2PCV通路31,34を閉止することで、クランクケース15内からのブローバイガスの掃気を抑制してクランクケース15内を加圧する。そして、ECU44は、水温センサ47が検出したエンジン冷却水温に基いてクランクケース15内の圧力を調整するようにしている。
エンジン10を始動して所定時間が経過すると、エンジン10自体が高温となって燃焼室18内の空気密度が上昇して酸素濃度が低下する。また、ピストン14が膨張し、シリンダボア13とピストン14とのピストンリングの合口隙間が減少し、クランクケース15内の圧縮空気が燃焼室18に導入されにくくなる。従って、エンジン10の温度上昇に比例するエンジン冷却水温に応じてクランクケース15内の圧力を調整する。具体的には、ECU44が、図6に示すようなエンジン冷却水温に対するクランクケースの圧力のマップを用いてクランクケース15内の圧力を調整する。この場合、クランクケース15内に圧力センサを設け、この圧力センサの検出値に応じて第1、第2遮断弁33、37を開閉制御したり、拡張圧弁35,39に温度調節機能を持たせたり、クランクケース15に別途圧力制御弁またはリリーフ弁を設けてクランクケース15内の圧力を所定値に維持するようにしてもよい。
従って、ECU44は、エンジン10の自動停止前に、第1、第2遮断弁33,37により第1、第2PCV通路31,34を閉止することで、クランクケース15内からのブローバイガスの掃気を抑制してクランクケース15内を加圧するが、水温センサ47が検出したエンジン冷却水温に応じてクランクケース15内の圧力を調整する。即ち、エンジン冷却水温が高くなる程、クランクケース15内の圧力を上昇させる。そのため、クランクケース15内の圧力をエンジン冷却水温に応じて設定することで、高圧空気、つまり、酸素をシリンダボア13とピストン14とのピストンリングの合口隙間から膨張行程及び圧縮行程で停止している気筒に確実に供給することができる。そして、膨張行程にある気筒に対して、インジェクタ29により燃料を噴射すると共に点火プラグ30により混合気に点火することで、エンジン10は爆発力を得てピストン14を介してクランクシャフト16を駆動し、再始動することができる。
このように実施例2のエンジン始動装置にあっては、エンジン10の自動停止前に第1、第2PCV通路31,34を閉止してクランクケース15内からのブローバイガスの掃気を抑制することでクランクケース15内を加圧し、エンジン停止後に再始動指令が入力されたときに、膨張行程にある気筒に対して燃料噴射及び点火を実行するが、水温センサ47が検出したエンジン冷却水温に基いてクランクケース15内の圧力を調整するようにしている。
従って、エンジン10の自動停止前に、エンジン冷却水温に応じてクランクケース15内を適正な圧力で加圧することで、クランクケース15内の圧縮空気をシリンダボア13とピストン14とのピストンリングの合口隙間を通して膨張行程で停止した気筒の燃焼室18に確実に供給して所定の酸素量を確保することができ、エンジン10の再始動時には、エンジン10の温度変化にかかわらず、膨張行程で停止している気筒の燃焼室18に燃料を噴射して点火することで爆発力を確実に高めることができ、この温度変化が原因で生じる爆発力の低下を防止してスタータモータを用いずにエンジン10を始動することができる。
図7は、本発明の実施例3に係るエンジン始動装置において加圧ポンプを制御するための制御マップである。なお、この実施例3のエンジン始動装置の概略構成は、前述した実施例1とほぼ同様であるため、図1を用いて説明する。
実施例3のエンジン始動装置では、図1に示すように、エンジン10内とサージタンク24とのを第1PCV通路31により連結し、この第1PCV通路31にPCV弁32と第1遮断弁33を設け、エンジン10内とエアクリーナ26とを第2PCV通路34により連結し、この第2PCV通路34に負圧側調圧弁35を設けると共に、この負圧側調圧弁35をバイパスするバイパス通路36に第2遮断弁37を設け、また、第2PCV通路34から分岐した分岐通路38に正圧側調圧弁39を設け、ECU44は、エンジン10の自動停止前に、第1、第2PCV通路31,34を閉止することで、クランクケース15内からのブローバイガスの掃気を抑制してクランクケース15内を加圧する。そして、ECU44は、クランク角センサ46が検出した膨張行程で停止した気筒のクランク角度に基いてクランクケース15内の圧力を調整するようにしている。
エンジン10を着火始動する場合、膨張行程で停止した気筒に燃料噴射及び点火を実行して始動するため、この膨張行程で停止した気筒のクランク角度が始動するための爆発力に大きな影響を与える。TDC側の膨張行程で停止した場合、燃焼室18の容積が小さく酸素量も少なくなる。一方、BTDC側の膨張行程で停止した場合、膨張行程で停止した気筒に後続する圧縮行程で停止した気筒の燃焼室18の容積が小さく酸素量も少なくなる。そのため、膨張行程で停止した気筒、または、圧縮行程で停止した気筒の爆発力が不十分となり、連続した爆発によるクランクシャフト16の連続回転が困難となる。従って、膨張行程で停止した気筒のクランク角度に応じてクランクケース15内の圧力を調整する。具体的には、ECU44が、図7に示すようなクランク角度に対するクランクケースの圧力のマップを用いてクランクケース15内の圧力を調整する。なお、所定のクランク角度の範囲θが適正停止範囲である。
従って、ECU44は、エンジン10の自動停止前に、第1、第2遮断弁33,37により第1、第2PCV通路31,34を閉止することで、クランクケース15内からのブローバイガスの掃気を抑制してクランクケース15内を加圧するが、クランク角センサ46が検出したクランク角度に応じてクランクケース15内の圧力を調整する。即ち、最適クランク角度60ATDC近傍からその前後にずれる程、クランクケース15内の圧力を上昇させる。そのため、クランクケース15内の圧力をクランク角度に応じて設定することで、高圧空気、つまり、酸素をシリンダボア13とピストン14とのピストンリングの合口隙間から膨張行程及び圧縮行程で停止している気筒に確実に供給することができる。そして、膨張行程にある気筒に対して、インジェクタ29により燃料を噴射すると共に点火プラグ30により混合気に点火することで、エンジン10は爆発力を得てピストン14を介してクランクシャフト16を駆動し、再始動することができる。
このように実施例3のエンジン始動装置にあっては、エンジン10の自動停止前に第1、第2PCV通路31,34を閉止してクランクケース15内からのブローバイガスの掃気を抑制することでクランクケース15内を加圧し、エンジン停止後に再始動指令が入力されたときに、膨張行程にある気筒に対して燃料噴射及び点火を実行するが、クランク角センサ46が検出した膨張行程で停止した気筒のクランク角度に基いてクランクケース15内の圧力を調整するようにしている。
従って、エンジン10の自動停止前に、クランク角度に応じてクランクケース15内を適正な圧力で加圧することで、クランクケース15内の圧縮空気をシリンダボア13とピストン14とのピストンリングの合口隙間を通して膨張行程で停止した気筒の燃焼室18に確実に供給して所定の酸素量を確保することができ、エンジン10の再始動時には、クランク角度、つまり、エンジンの停止位置変化にかかわらず、膨張行程で停止している気筒の燃焼室18に燃料を噴射して点火することで爆発力を確実に高めることができ、停止クランク位置が原因で生じる後続気筒のコンプレッショントルクの不足を防止してスタータモータを用いずにエンジン10を始動することができる。
図8は、本発明の実施例4に係るエンジン始動装置におけるエンジン制御を表すフローチャートである。なお、この実施例4のエンジン始動装置の概略構成は、前述した実施例1とほぼ同様であるため、図1を用いて説明する。
実施例4のエンジン始動装置では、ECU44は、エンジン10の自動停止前に、第1、第2PCV通路31,34を閉止することで、クランクケース15内からのブローバイガスの掃気を抑制してクランクケース15内を加圧するが、このときのエンジン10や車両の運転状態に応じてクランクケース15内の加圧を禁止するようにしている。
図1及び図8に示すように、ステップS21にて、エンジン10のエコラン運転の停止が予測されるかどうかを判定する。この場合、エコラン運転とは、車両の減速運転やアイドル運転であり、これを予測する条件とは、車速が一定速度以下、エンジン回転数が一定回転以下、エンジン冷却水温が一定温度以下、冷暖房装置がOFF状態であり、このとき、エコラン運転の停止を予測する。ここで、エンジン10のエコラン運転の停止が予測されれば、ステップS22に移行するが、エンジン10のエコラン運転の停止が予測されなければ、ステップS25に移行し、クランクケースの加圧を中止して減圧する。即ち、第1、第2遮断弁33,37により第1、第2PCV通路31,34を開放することで、クランクケース15内からブローバイガスを掃気する。
ステップS22では、クランクケース15の加圧が制限されるかどうかを判定する。例えば、エンジン10の高速運転(車速が所定車速以上)が所定時間以上継続した場合、高回転数運転(エンジン回転数が所定回転数以上)が所定時間内に所定回数以上あった場合、高負荷運転(エンジン負荷が所定付加以上)が所定時間以上継続した場合、また、エンジン冷却水温が所定温度以上であった場合には、ブローバイガスの発生量が多い。そのため、このようなエンジン10の運転状態では、クランクケース15内が過加圧になる可能性があり、クランクケース15の加圧を制限する。つまり、クランクケース15の加圧が制限されなければ、ステップS23に移行するが、クランクケース15の加圧が制限されれば、ステップS25に移行し、クランクケースの加圧を中止して減圧する。
ステップS23では、クランクケース15の開放が予想されるかどうかを判定する。例えば、エンジン10のアイドル運転中に、車両ドアが開放された場合、トランクが開放された場合、エンジンフードが開放された場合、燃料注入口の蓋が開放された場合などでは、乗員によりクランクケース15が開放される可能性がある。そのため、このような車両の運転状態では、乗員に危険を及ぼす可能性があり、クランクケース15の加圧を制限する。つまり、クランクケース15の開放が予想されなければ、ステップS24に移行するが、クランクケース15の開放が予想されれば、ステップS25に移行し、クランクケースの加圧を中止して減圧する。
そして、ステップS24では、ブローバイガスによるクランクケース15内の加圧を実行する。即ち、第1、第2PCV通路31,34を遮断し、エンジン10内からブローバイガスの排出を抑制することでクランクケース15内を加圧する。なお、その後、エンジン10が自動停止し、発信指令があると、膨張行程で停止している気筒を判別し、この膨張行程で停止している気筒の燃焼室18に対してインジェクタ29により所定量の燃料を噴射し、点火プラグ30により混合気に点火することで、エンジン10を再始動させるが、この着火始動は、前述した各実施例と同様であるため、説明は省略する。
このように実施例4のエンジン始動装置にあっては、大量のブローバイガスの発生によりクランクケース15内の加圧が制限されるときには、第1、第2遮断弁33,37による第1、第2PCV通路31,34の閉塞を禁止している。従って、クランク室の過加圧を防止することができ、事前にクランクケース15内を加圧することに起因する不具合の発生を防止し、安全性の向上を図ることができる。
また、実施例4のエンジン始動装置にあっては、クランクケース15の開放が予想されるときには、第1、第2遮断弁33,37による第1、第2PCV通路31,34の閉塞を禁止している。クランク室の加圧によるオイルの噴出しを防止することができ、事前にクランクケース15内を加圧することに起因する不具合の発生を防止し、安全性の向上を図ることができる。
図9は、本発明の実施例5に係るエンジン始動装置を表す概略構成図、図10−1及び図10−2は、放置時間に対するクランク室圧の変化を表すグラフ、図10−3は、初期クランク室圧に対する保持時間を表すグラフ、図10−4は、クランク室容積に対する保持時間を表すグラフである。
実施例4のエンジン始動装置では、図9に示すように、クランクケース15に連結通路51を介して蓄圧室としての蓄圧タンク52を連結しており、このクランクケース15と蓄圧タンク52とを合わせた容積を、エンジン停止時からエンジン再始動時までに要すると想定される放置時間と、エンジン停止時からエンジン再始動時までにクランクケースから漏洩する残圧漏れ量と、エンジン停止時のクランクケースの室圧とから設定するようにしている。以下、この点について詳細に説明する。
前述したように、エンジン10の停止時に、第1遮断弁33及び第2遮断弁37により第1PCV通路31及び第2PCV通路34を閉塞しても、クランクケース15内のブローバイガスは、シリンダボア13とピストン14のピストンリングの合口隙間を通って開放状態にある吸気ポート19及び排気ポート20から外部に漏れてしまう。図10−1及び図10−2は、第1PCV通路31及び第2PCV通路34を閉塞した状態でエンジン10を駆動し、クランクケース15内の圧力(クランク室圧)がAkPa,BkPa,CkPa(AkPa>BkPa>CkPa)まで上昇した後、エンジン10を停止して放置した場合のクランク室の圧力変化を表したグラフであり、図10−1は、クランク室をクランクケース15だけのDリットルとした場合、図10−2は、クランク室をクランクケース15及び蓄圧タンクのEリットルとした場合である(Dリットル<Eリットル)。
図10−1及び図10−2のグラフに示すように、着火始動に必要な最小クランク室圧をPkPaとすると、初期クランク室圧(エンジン停止時のクランクケースの室圧)が高いほど、また、クランク室の容積が大きいほど、最小クランク室圧PkPaまで低下する放置時間が長くなっていることがわかる。また、エンジン停止時からエンジン再始動時までにクランク室から漏洩する残圧漏れ量は一定であり、この残圧漏れ量はクランク室圧の平方根に比例するため、クランク室圧が最小クランク室圧PkPaまで低下するまでの時間は、初期クランク室圧とクランク室の容積に比例して増加する。
図10−3は、図10−1及び図10−2に基いて、クランク室圧が最小クランク室圧PkPaまで低下するまでの時間(保持時間)を初期クランク室圧で整理したものである。また、図10−4は、この図10−3に基いて、クランク室圧が最小クランク室圧PkPaまで低下するまでの時間(保持時間)をクランク室の容積で整理したものである。この図10−4に示すように、エンジン停止時からエンジン再始動時までに要すると想定される放置時間をt秒とすると、初期クランク室圧がAkPaのときは、クランク室の容積はaリットル必要であり、クランク容積BkPaのときは、クランク室の容積はbリットル必要であり、CkPaのときは、クランク室の容積はcリットル必要であることがわかる。
以上のことから、エンジン停止後のクランク室圧は、
1.初期クランク室圧に比例
2.クランク室の容積に比例
3.クランク室から漏洩する残圧漏れ量に反比例
4.エンジン停止時からの放置時間に反比例
することはわかる。従って、この関係から事前にクランク室の容積を設定することで、エンジン再始動時に必要な最小クランク室圧を確保することができ、確実に着火始動を実施することができる。
即ち、図9に示すように、エンジン10の設計過程でクランクケース15の容積が決定されるものであり、このクランクケース15に連結通路51を介して連結された蓄圧タンク52の容積に応じて全体のクランク室の容積が設定される。即ち、エンジン停止時からエンジン再始動時までに要すると想定される放置時間と、エンジン停止時からエンジン再始動時までにクランクケースから漏洩する残圧漏れ量と、エンジン停止時のクランクケースの室圧とから蓄圧タンク52の容積を設定すればよい。なお、クランクケース15の容積だけで十分なクランク室の容積を確保できれば、蓄圧タンク52の連結は不要である。
このように実施例5のエンジン始動装置にあっては、クランクケース15に連結通路51を介して蓄圧タンク52を連結し、このクランクケース15と蓄圧タンク52とを合わせた容積を、エンジン停止時からエンジン再始動時までに要すると想定される放置時間と、エンジン停止時からエンジン再始動時までにクランクケースから漏洩する残圧漏れ量と、エンジン停止時のクランクケースの室圧とから設定している。
従って、クランク室容積を事前に着火始動に必要なクランク室の容積として設定することで、エンジン停止後からエンジン再始動時に必要と想定される最小クランク室容積を確保することができ、確実にエンジン10を着火始動により再始動することができる。また、クランク室の容積をクランクケース15の容積と蓄圧タンク52の容積により確保することで、エンジン10や車両の基本設計を変更することなく、フレームの一部を蓄圧タンク52として利用することで、搭載性の自由度を向上することができる。
図11は、本発明の実施例6に係るエンジン始動装置を表す概略構成図、図12は、実施例6のエンジン始動装置におけるエンジン制御を表すフローチャートである。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例6のエンジン始動装置において、図11に示すように、エンジン10内とサージタンク24とが第1PCV通路31により連結され、この第1PCV通路31にPCV弁32と第1遮断弁33が設けられている。エンジン10内とエアクリーナ26とが第2PCV通路34により連結され、この第2PCV通路34に負圧側調圧弁35が設けられると共に、この負圧側調圧弁35をバイパスするバイパス通路36に第2遮断弁37が設けられ、第2PCV通路34から分岐した分岐通路38に正圧側調圧弁39が設けられている。また、第2PCV通路34におけるエンジン10側には連結通路51を介して蓄圧タンク52が連結されると共に、この連結通路51に第3遮断弁53を装着している。そして、この蓄圧タンク52は、負圧安全弁54と正圧安全弁55が並列に装着された安全通路56を介して第2PCV通路34におけるエアクリーナ26側に連結されている。
本実施例では、この蓄圧タンク52をクランクケース15とを第3遮断弁53により連通または遮断することで、圧縮空気(ブローバイガス)をより多く貯留すると共に、必要なときに直ちにクランクケース15内に供給できるようにしている。
即ち、図11及び図12に示すように、ステップS31にて、クランクケース15(クランク室)の加圧条件が成立したかどうかを判定する。このクランク室の加圧条件とは、エンジン停止前にエンジンの再始動が予測される条件であり、前述の実施例と同様に、車速やエンジン回転数などに基いて判定する。このステップS31にて、クランク室の加圧条件が成立しなければ、ステップS32にて、第1遮断弁33及び第2遮断弁37により第1PCV通路31及び第2PCV通路34を開放し、クランクケース15内の加圧を中止してクランクケース15及び蓄圧タンク52内に貯留されたブローバイガスを吸気系に排出して減圧する。続いて、ステップS33にて、第3遮断弁53により連結通路51を閉塞し、クランクケース15と蓄圧タンク52とを遮断する。
一方、ステップS31にて、クランク室の加圧条件が成立したら、ステップS34にて、第3遮断弁により連結通路53を開放し、クランクケース15と蓄圧タンク52とを接続する。そして、ステップS35にて、第1遮断弁33及び第2遮断弁37により第1PCV通路31及び第2PCV通路34を閉塞し、クランクケース15及び蓄圧タンク52内をブローバイガスにより加圧する。なお、その後、エンジン10が自動停止し、発信指令があると、膨張行程で停止している気筒を判別し、この膨張行程で停止している気筒の燃焼室18に対してインジェクタ29により所定量の燃料を噴射し、点火プラグ30により混合気に点火することで、エンジン10を再始動させるが、この着火始動は、前述した各実施例と同様であるため、説明は省略する。
このように実施例6のエンジン始動装置にあっては、エンジン10内に連結される第2PCV通路34に連結通路51を介して蓄圧タンク52を連結すると共に、この連結通路51に第3遮断弁53を装着し、この蓄圧タンク52を負圧安全弁54と正圧安全弁55が並列に装着された安全通路56を介して吸気系に連結している。
従って、クランクケース15に連結通路51を介して蓄圧タンク52を連結し、第3遮断弁53により連通または遮断することで、圧縮空気(ブローバイガス)をより多く貯留することができると共に、クランク室の加圧状態を制御することで、加圧要求に対して直ちにクランクケース15内に供給して早期加圧を行うことができ、エンジン再始動時には、確実に膨張行程にある気筒の燃焼室18に空気を供給することができ、エンジン10の再始動性を向上することができる。また、蓄圧タンク52は負圧安全弁54と正圧安全弁55を有する安全通路56により吸気系に連結されているため、過昇圧や過負圧防止して安全性を向上することができる。
なお、この実施例では、エンジン10内とエアクリーナ26を連結する第2PCV通路34の中途部に蓄圧タンク52を連結したが、蓄圧タンク52をエンジン10とエアクリーナ26とに直接連結しても良い。
図13は、本発明の実施例7に係るエンジン始動装置におけるエンジン制御を表すフローチャートである。この実施例7のエンジン始動装置の概略構成は、前述した実施例6とほぼ同様であるため、図6を用いて説明する。
実施例7のエンジン始動装置では、蓄圧タンク52をクランクケース15とを第3遮断弁53を有する連結通路51により連結し、エンジン10の運転状態に応じて第3遮断弁53を開閉することで両者を連通・遮断し、圧縮空気(ブローバイガス)の貯留と供給を効率的に行うようにしている。
即ち、図11及び図13に示すように、ステップS41にて、イグニッションキースイッチがON操作されているかどうかを判定し、このイグニッションキースイッチがON操作されていれば、ステップS42に移行し、クランクケース15(クランク室)の加圧条件が成立したかどうかを判定する。このステップS42にて、クランク室の加圧条件が成立したら、ステップS43にて、第3遮断弁53により連結通路51を開放し、クランクケース15と蓄圧タンク52とを接続する。そして、ステップS44にて、第1遮断弁33及び第2遮断弁37により第1PCV通路31及び第2PCV通路34を閉塞し、クランクケース15及び蓄圧タンク52内をブローバイガスにより加圧する。
このクランクケース15及び蓄圧タンク52の加圧状態で、ステップS42にて、クランク室の加圧条件が不成立となると、ステップS45にて、第3遮断弁53により連結通路51を閉塞し、クランクケース15と蓄圧タンク52とを遮断する。続いて、ステップS46にて、第1遮断弁33及び第2遮断弁37により第1PCV通路31及び第2PCV通路34を開放し、クランクケース15内の加圧を中止してクランクケース15に貯留されたブローバイガスを吸気系に排出して減圧する。すると、ステップS47にて、蓄圧タンク52内には所定圧のブローバイガスが貯留される。
従って、ステップS42にて、再びクランク室の加圧条件が成立すると、ステップS43でクランクケース15と蓄圧タンク52とを接続したときに、蓄圧タンク52内のブローバイガスが直ちにクランクケース15内に供給されることとなり、ステップS44で各PCV通路31,34を閉塞すると、クランクケース15内は短時間で所定圧力まで加圧される。なお、その後、エンジン10が自動停止し、発信指令があると、膨張行程で停止している気筒を判別し、この膨張行程で停止している気筒の燃焼室18に対してインジェクタ29により所定量の燃料を噴射し、点火プラグ30により混合気に点火することで、エンジン10を再始動させるが、この着火始動は、前述した各実施例と同様であるため、説明は省略する。
また、クランクケース15及び蓄圧タンク52の加圧状態で、ステップS41にて、イグニッションスイッチがOFF操作されると、ステップS48に移行し、第1遮断弁33及び第2遮断弁37により第1PCV通路31及び第2PCV通路34を開放することで、クランクケース15内の加圧を中止すると共に、第3遮断弁53により連結通路51を開放し、クランクケース15と蓄圧タンク52とを連通することで、クランクケース15及び蓄圧タンク52内に貯留されたブローバイガスを吸気系に全て排出する。
このように実施例7のエンジン始動装置にあっては、エンジン10内に連結される第2PCV通路34に連結通路51を介して蓄圧タンク52を連結すると共に、この連結通路51に第3遮断弁53を装着し、この蓄圧タンク52を負圧安全弁54と正圧安全弁55が並列に装着された安全通路56を介して吸気系に連結し、エンジン10の運転状態に応じて各遮断弁33,37,53を開閉することで、圧縮空気(ブローバイガス)の貯留と供給を効率的に行うようにしている。
従って、クランクケース15に連結通路51を介して蓄圧タンク52を連結し、エンジン10の運転状態に応じて第3遮断弁53により連通または遮断することで、圧縮空気(ブローバイガス)をより多く貯留することができると共に、蓄圧タンク52だけ独立して貯留することができ、加圧要求に対してクランクケース15内に供給して早期に加圧するするができ、エンジン再始動時には、確実に膨張行程にある気筒の燃焼室18に空気を供給することができ、エンジン10の再始動性を向上することができる。
なお、上述した各実施例にて、エンジン10を再始動するときに、クランクケース15内を加圧して所定の空気量を確保した状態で、膨張行程で停止している気筒の燃焼室18に対して燃料を噴射する共に、点火することで燃焼させるようにしている。この場合、停止クランク角度とエンジン冷却水温とクランクケース内圧とにより燃料噴射量を設定するとよい。即ち、停止クランク角度により燃焼室の容積がわかり、エンジン冷却水温により空気密度がわかり、クランクケース内圧により筒内圧がわかるため、これらのデータにより最適な燃料噴射量を設定することができる。
図14は、本発明の実施例8に係る蓄圧装置を表す概略構成図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例8の蓄圧装置は、前述した各実施例1から7で説明したように、クランクケース15にブローバイガスを貯留することで、エンジン10を蓄圧装置として使用し、必要時名貯留したブローバイガスを外部装置に供給して利用するものである。
実施例8の蓄圧装置において、図14に示すように、エンジン10のクランクケース15には、連結通路61を介して外部装置62が連結されており、この連結通路61には第4遮断弁63が装着されている。そして、ECU44はエンジン運転状態に応じてこの第4遮断弁を開閉することで、クランクケース15内に貯留されたブローバイガスを連結通路61を介して外部装置62に供給することができる。この場合、第1、第2遮断弁33,37を閉止することで、クランクケース15内に正圧を確保することができ、第2遮断弁37だけを閉止することで、クランクケース15内に負圧を確保することができ、外部装置62の種類に応じて正圧または負圧を作用させることができる。
この外部装置62とは、上述したエンジン始動装置だけでなく、正圧を利用するものとして、エアアシスト装置があり、負圧を利用するものとして、ブレーキ装置のマスタシリンダ、ダイアフラム弁、スワールまたはタンブルコントロールバルブなどがある。
従って、クランクケース15内の加圧条件が成立したら、第1遮断弁33及び第2遮断弁37により第1PCV通路31及び第2PCV通路34を閉塞し、クランクケース15内をブローバイガスにより加圧する。そして、外部装置62からの要求指令があったときに、第4遮断弁63により連結通路61を開放し、クランクケース15内のブローバイガスを外部装置62に供給する。なお、クランクケース15に前述の実施例6、7で説明した蓄圧タンクを接続し、ブローバイガスを一時的にこの蓄圧タンクに貯留することで、常時、ブローバイガスを外部装置62に供給することが可能となる。
このように実施例8の蓄圧装置にあっては、クランクケース15を蓄圧室として利用することで、別途、コンプレッサや蓄圧タンクを設ける必要はなく、大幅なコストダウンを可能とすることができる。
なお、上述した各実施例にて、各PCV通路31,34を閉塞してクランクケース15内を加圧するとき、電子スロットル装置28を作動してスロットル弁27により吸気通路を閉塞することで、吸気弁が開放されていたとしても、吸気管25からの空気の漏洩を防止することができる。更に、排気系に排気制御弁が設けられている場合には、加圧ポンプを駆動してクランクケース15内を加圧するとき、この排気制御弁により排気通路を閉塞することで、排気弁が開放されていたとしても、排気管41からの空気の漏洩を防止することができる。
また、上述した各実施例では、本発明を筒内噴射式の6気筒エンジンに適用して説明したが、この形式のエンジンに限らず、4気筒エンジンや直列型またはV型エンジンに適用することもできる。
以上のように、本発明に係るエンジン始動装置及び蓄圧装置は、エンジンからのブローバイガスの掃気を抑制してクランク室を加圧することで、これを蓄圧装置として外部装置やエンジンの始動装置に利用したものであり、いずれの種類のエンジンに用いても好適である。
本発明の実施例1に係るエンジン始動装置を表す概略構成図である。 実施例1のエンジン始動装置におけるエンジン制御を表すフローチャートである。 エンジン停止時における気筒内挙動を表す概略図である。 エンジン停止時における気筒内挙動を表す概略図である。 エンジン停止時における気筒内挙動を表す概略図である。 エンジン停止時における気筒内挙動を表す概略図である。 エンジン停止時における筒内圧を表すグラフである。 エンジン始動後におけるクランクケース内圧を表すグラフである。 本発明の実施例2に係るエンジン始動装置において加圧ポンプを制御するための制御マップである。 本発明の実施例3に係るエンジン始動装置において加圧ポンプを制御するための制御マップである。 本発明の実施例4に係るエンジン始動装置におけるエンジン制御を表すフローチャートである。 本発明の実施例5に係るエンジン始動装置を表す概略構成図である。 放置時間に対するクランク室圧の変化を表すグラフである。 放置時間に対するクランク室圧の変化を表すグラフである。 初期クランク室圧に対する保持時間を表すグラフである。 クランク室容積に対する保持時間を表すグラフである。 本発明の実施例6に係るエンジン始動装置を表す概略構成図である。 実施例6のエンジン始動装置におけるエンジン制御を表すフローチャートである。 本発明の実施例7に係るエンジン始動装置におけるエンジン制御を表すフローチャートである。 本発明の実施例8に係る蓄圧装置を表す概略構成図である。
符号の説明
10 エンジン
14 ピストン
15 クランクケース
16 クランクシャフト
18 燃焼室
25 吸気管
29 インジェクタ(燃料噴射手段)
30 点火プラグ(点火手段)
31 第1PCV通路
32 PCV弁
33 第1遮断弁
34 第2PCV通路
35 負圧側調圧弁
37 第2遮断弁
39 正圧側調圧弁
44 電子制御ユニット、ECU(制御手段)
46 クランク角センサ(クランク角度検出手段)
47 水温センサ
51 連結通路
52 蓄圧タンク(蓄圧室)
61 連結通路
62 外部装置
63 第4遮断弁

Claims (11)

  1. 燃焼室と、該燃焼室に連通する吸気ポート及び排気ポートと、前記吸気ポート及び前記排気ポートを開閉する吸気弁及び排気弁と、前記燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射手段と、前記燃焼室内の混合気に点火する点火手段と、エンジンのクランク角度を検出するクランク角度検出手段と、クランク室と吸気通路とを連結する第1PCV通路と、該第1PCV通路を開閉自在な第1遮断弁と、前記クランク室と大気通路とを連結する第2PCV通路と、該第2PCV通路を開閉自在な第2遮断弁と、前記エンジンの停止前に前記第1遮断弁により前記第1PCV通路を閉止すると共に前記第2遮断弁により前記第2PCV通路を閉止し、前記エンジンの始動時に前記クランク角度検出手段の検出結果に基いて膨張行程にある気筒を検出して該気筒に対して前記燃料噴射手段により燃料噴射を実行すると共に前記点火手段により点火を実行する制御手段とを具えたことを特徴とするエンジン始動装置。
  2. 請求項1記載のエンジン始動装置において、前記クランク室に連通する蓄圧室を設けたことを特徴とするエンジン始動装置。
  3. 請求項1または2記載のエンジン始動装置において、前記クランク室の容積または前記クランク室と前記蓄圧室とを合わせた容積は、エンジン停止時からエンジン再始動時までに要すると想定される放置時間と、エンジン停止時からエンジン再始動時までにクランク室から漏洩する残圧漏れ量と、エンジン停止時のクランク室圧とから設定することを特徴とするエンジン始動装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一つに記載のエンジン始動装置において、前記制御手段は、前記エンジンの自動停止が予測されるときに、前記第1遮断弁により前記第1PCV通路を閉止すると共に、前記第2遮断弁により前記第2PCV通路を閉止することを特徴とするエンジン始動装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一つに記載のエンジン始動装置において、エンジン冷却水温を検出する冷却水温検出手段を設け、前記制御手段は、該冷却水温検出手段が検出したエンジン冷却水温に基いて、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁が前記第1PCV通路及び前記第2PCV通路を閉止することで密閉された前記エンジン本体内の圧力を設定することを特徴とするエンジン始動装置。
  6. 請求項1から4のいずれか一つに記載のエンジン始動装置において、前記制御手段は、前記クランク角度検出手段が検出したエンジン停止時のクランク角度に基いて、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁が前記第1PCV通路及び前記第2PCV通路を閉止することで密閉された前記エンジン本体内の圧力を設定することを特徴とするエンジン始動装置。
  7. 請求項1から4のいずれか一つに記載のエンジン始動装置において、前記制御手段は、前記クランク室内に発生したブローバイガスが予め設定された所定量を超えると予測したときは、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁による前記第1PCV通路及び前記第2PCV通路の閉止を禁止することを特徴とするエンジン始動装置。
  8. 請求項1から4のいずれか一つに記載のエンジン始動装置において、前記制御手段は、前記クランク室の開放が予測されるときは、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁による前記第1PCV通路及び前記第2PCV通路の閉止を禁止することを特徴とするエンジン始動装置。
  9. 請求項2記載のエンジン始動装置において、前記クランク室と前記蓄圧室との連通路を開閉自在な第3遮断弁を設け、前記制御手段は、前記クランク室の加圧条件が成立したときに該第3遮断弁を開放することを特徴とするエンジン始動装置。
  10. 請求項9記載のエンジン始動装置において、前記制御手段は、前記クランク室の加圧条件が成立して前記第3遮断弁が開放されているとき、前記クランク室の加圧条件が不成立となったときには前記第3遮断弁を閉止して前記蓄圧室の加圧状態を維持することを特徴とするエンジン始動装置。
  11. クランク室と吸気通路とを連結する第1PCV通路と、該第1PCV通路を開閉自在な第1遮断弁と、前記クランク室と大気通路とを連結する第2PCV通路と、該第2PCV通路を開閉自在な第2遮断弁と、空気圧力により作動可能な外部装置と、前記クランク室と該外部装置とを連結する連結通路と、該連結通路を開閉自在な第3遮断弁と、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁により前記第1PCV通路及び前記第2PCV通路を開閉制御することで前記クランク室を正圧または負圧とすると共に前記第3遮断弁により前記連結通路を開放して前記クランク室の空気圧力を前記外部装置に供給する制御手段とを具えたことを特徴とする蓄圧装置。
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