JP2006056974A - 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、及び樹脂組成物用充填材 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、及び樹脂組成物用充填材 Download PDF

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Manabu Kawa
学 加和
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Abstract

【課題】機械的強度、寸法安定性、耐熱性などの物性に優れ、かつ優れた透明性、色調を有する、ポリカーボネート樹脂を主材とした樹脂組成物を提供する。
【解決手段】目的とする樹脂組成物を、ポリカーボネート樹脂と、前記ポリカーボネート樹脂中に分散した、少なくとも一種以上の脂肪族炭化水素基及び少なくとも一種以上の芳香族炭化水素基を表面に結合させて有する金属酸化物粒子とから構成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、耐衝撃性などの物性に優れ、かつ透明性を有する樹脂組成物およびその製造方法、並びに樹脂組成物用充填材に関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、耐衝撃性、透明性などに優れたエンジニアリングプラスチックとして知られており、自動車、機械、電気、電子、光記録媒体、建材、雑貨など多くの分野において幅広く用いられている。
一方、樹脂組成物の機械的強度、耐熱性、寸法安定性などの物性改良手法として、従来のガラス繊維やタルクなどによる強化樹脂に代わり、ナノメートルオーダレベルの充填材を用いた複合材料、いわゆるポリマーナノコンポジットが注目されてきている。このような複合材料の例としては、豊田中研の「複合材料及びその製造方法」(特許第2519045号)や宇部興産他の「ポリアミド複合材料及びその製造方法(特公平7−47644号)」、昭和電工の「ポリオレフィン系複合材料およびその製造方法(特開平10−30039号)」などを例示することができる。
上記のようなナノメートルオーダレベルの充填材を用いたポリマーナノコンポジットでは、微細な充填材の分散性向上と、充填材とポリマーの相互作用向上の両立が物性向上の大きなポイントのひとつであるが、未だ十分な物性が得られているとは言い難い。
また、ポリカーボネート樹脂に上記の例と同様の層状化合物を分散させた場合、ポリカーボネート樹脂の特徴のひとつである透明性が損なわれる。層状化合物は、厚み方向は剥離の度合いにもよるがほぼナノメートルオーダレベルであり可視光との干渉はないが、面方向はμmオーダの大きさであるため可視光の散乱を生じるためである。
そこで、特開平11−343349号や特願2002−207816号ではアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透明樹脂材にナノメートルオーダの金属酸化物微粒子を配合し、透明性を保持しつつ機械的物性や熱的物性を向上させる提案をしている。しかしながら、これらの発明によれば一定の物性向上は認められるものの、ポリカーボネート樹脂では透明性や物性を十分に満たすことができない。これは相互作用と分散性、特に分散性が未だ不足しているためと考えられる。また、これらの発明ではアクリル樹脂での充填材の分散技術について提示されており、この方法によれば優れた分散性が期待できるが、ポリカーボネート樹脂については具体的かつ十分な解決策が提示されていない。
また、特開2003−201114号ではナノ粒子表面にアルキル基を一定量導入し、分散性の改善を試みている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂に本方法を適用する場合、分散性は未だ不十分であり、一層の性能向上が望まれる。これはアルキル基とポリカーボネート樹脂の親和性が未だ不足しているためと考えられる。
さらに、特願2002−207816号ではナノ粒子表面にフェニル基を導入し、ポリカーボネート樹脂中の分散性の改善を試みている。ポリカーボネート樹脂は分子内にフェニル基を有するため、ナノ粒子表面へのフェニル基の導入により親和性が向上し、分散性の向上が期待できる。しかしながら、このような発明においても、前記ナノ粒子の分散性は未だ不十分である。
上述した従来技術においては、ポリカーボネート樹脂とナノ粒子を混合する方法として、樹脂を溶剤に溶解しこれに粒子を分散させ、最後に溶剤を揮発させる方法をとっている。しかしながらこの方法は、混練機などを用いた混練分散法に比べると分散性は向上するが、揮発時の粒子の再凝集などの課題もあり、十分な分散性が得られているとは言い難い。また、多量の溶剤への樹脂の溶解が必要であることから、工業的には不利な方法である。従って上述の従来技術はポリカーボネート樹脂とナノ粒子の混合に最適とは言い難い。
分散性をより一層向上する方法として、前述の特開平11−343349号のアクリル樹脂での分散法と同様に、ポリカーボネート樹脂の重合段階で粒子を分散させるのが望ましい。しかし我々の検討では、特開2003−201114号で示されたナノ粒子では分散性不足であり、また、特願2002−207816号で示されたナノ粒子を重合段階で添加し重合を進めると、副次的反応としてゲル化が生じ樹脂組成物の成形性が大きく低下することが判明している。
本発明は、上述した従来の問題に鑑みてなされたものであり、機械的強度、寸法安定性、耐熱性などの物性に優れ、かつ優れた透明性、色調を有する、ポリカーボネート樹脂を主材とした樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、
ポリカーボネート樹脂と、
前記ポリカーボネート樹脂中に分散した、少なくとも一種以上の脂肪族炭化水素基及び少なくとも一種以上の芳香族炭化水素基を表面に結合させて有する金属酸化物粒子と、
を具えることを特徴とする、樹脂組成物に関する。
また、本発明は、
少なくとも一種以上の脂肪族炭化水素基及び少なくとも一種以上の芳香族炭化水素基を表面に結合させて有する金属酸化物粒子を具えることを特徴とする、樹脂組成物用充填材に関する。
前述したように、ポリマー中にナノメートルオーダの粒子を分散させて得られるナノコンポジットでは、ナノ粒子の分散性の向上が物性向上の鍵である。一般的に、分散性を向上させる方策としては、ポリマーとナノ粒子との親和性を上げるため粒子表面を疎水化する方法や、ポリマーの重合段階でナノ粒子を添加・分散させる方法が有効である。
しかしながら、従来例のような表面に芳香族炭化水素基を単独導入した金属酸化物ナノ粒子を、ポリカーボネートの重合段階、特に後述する溶融重合法(エステル交換法)の重合段階で添加すると、重合反応の途中でゲル化が生ずる。その結果、溶融流動のチキソトロピー性が増大し、重合工程での攪拌(表面更新)効率が得られないため十分な重合度が得られない、または熱可塑性が大きく損なわれるという問題が生ずる。また脂肪族炭化水素基を単独導入した金属酸化物ナノ粒子では、十分な分散性が得難い。
また、脂肪族炭化水素基単独での表面改質で十分な分散性を得るのが難しいのは、その立体障害が比較的小さい故に表面改質率の向上が期待できる半面、ポリカーボネート樹脂との親和性はそれほど高くないためと考えられる。
一方、フェニル基などの芳香族炭化水素基での表面改質は、芳香族炭化水素基を有するポリカーボネート樹脂との高い親和性が期待できるが、半面、その大きな立体障害故に表面改質率の向上に限界がある。前述のゲル化の原因は未だ明確ではないが、高温の反応条件下、これら金属酸化物表面の残存水酸基にポリカーボネートモノマが反応して、共有結合や水素結合を介して結合し、これを起点として粒子表面にポリカーボネートオリゴマが成長し、粒子間をこのポリカーボネートオリゴマが架橋するためと予想される。
このような事実に対し、本発明では、所定の金属酸化物粒子の表面に少なくとも一種以上の脂肪族炭化水素基及び少なくとも一種以上の芳香族炭化水素基を表面に結合させるようにしている。このため、ポリカーボネート樹脂との高い親和性を持つ芳香族炭化水素基の導入によって、前記金属酸化物粒子の、前記ポリカーボネート樹脂中での分散性の向上を図ると同時に、立体障害が小さく表面への導入の際の反応性に優れる脂肪族炭化水素基の導入によって、芳香族炭化水素基で改質しきれない金属酸化物表面の残存水酸基を封鎖し、減少させることができるようになる。
したがって、本発明によれば、前記芳香族炭化水素基による前記金属酸化物粒子の、前記ポリカーボネート樹脂中での均一分散の効果と、前記脂肪族炭化水素基による残存水酸基の封鎖及び減少の効果とによって、前記ポリカーボネート樹脂中に前記金属酸化物粒子が分散してなる目的とする樹脂組成物の着色を防止し、透明性を保持するとともに、機械的強度、寸法安定性、耐熱性などの諸物性を向上させることができるようになる。
以上説明したように、本発明によれば、機械的強度、寸法安定性、耐熱性などの物性に優れ、かつ優れた透明性、色調を有する、ポリカーボネート樹脂を主材とした樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について詳述する。
(充填材)
本発明においては、ポリカーボネート樹脂中に、少なくとも一種以上の脂肪族炭化水素基及び少なくとも一種以上の芳香族炭化水素基を表面に結合させて有する金属酸化物粒子を充填材として含有させることが必要である。
前記脂肪族炭化水素基としては、脂肪族飽和炭化水素基が好ましく、さらには非置換又は非反応性の置換基を有するアルキル基が好ましく、特には炭素原子数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル等のアルキル基;ビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等のアルケニル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル等のシクロアルキル基を例示することができる。
前記芳香族炭化水素基としては、非置換又は非反応性の置換基を有するアリール基が好ましく、さらには非置換又は非反応性の置換基を有するフェニル基が好ましい。具体的には、フェニル、トルイル、キシリル、クメニル、メシチル、ベンジル、フェネチル、スチリル、シンナミル、ベンズヒドリル、トリチル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、β-ナフチル等のアリール基を例示することができる。
なお、前記金属酸化物粒子において、前記脂肪族炭化水素基及び前記芳香族炭化水素基を除く、前記金属酸化物粒子本体の分子量に対する、前記脂肪族炭化水素基及び前記芳香族炭化水素基の分子量の割合が15%〜85%であることが好ましく、さらには20%〜60%であることが好ましい。前記分子量の割合が15%未満であると、重合途中のゲル化抑制が不十分となることがあり、前記分子量の割合が85%を超える場合には、シラン化合物の加水分解・縮合反応が不十分となり、未反応のシラン化合物が生じて、樹脂組成物の機械的強度や溶融流動性を損なう可能性があるためである。
前記脂肪族炭化水素基及び前記芳香族炭化水素基は、前記金属酸化物粒子の表面において、金属アルコキシ化合物と、一般式
SiX4−n (1)
(式中、Rは少なくとも一ケ以上の脂肪族炭化水素基及び少なくとも一ケ以上の芳香族炭化水素基を表わし、Xは炭素数1〜4のアルコキシル基または塩素原子を表わし、nは1〜3の数を表わす。)との加水分解反応及び縮合反応を通じて、前記金属酸化物粒子の前記表面に形成することが好ましい。
Si(OR’)に代表される金属アルコキシ化合物M(OR’)(式中、Mはm価の金属原子を表わす。)は、加水分解縮合による無機化により、組成式MOm/2を与える。一方、シラン化合物RSiX4−nは加水分解縮合されて、RSiO(4−n)/2を与える。したがって、金属酸化物粒子本体(前記脂肪族炭化水素基及び前記芳香族炭化水素基を除く)の分子量に対する、前記脂肪族炭化水素基及び前記芳香族炭化水素基の分子量の割合は、以下の式のように計算することができる。ただし、式中、モル数は、加水分解縮合前の各化合物の仕込みモル数を表わす。
Rの分子量×モル数×n/(MOm/2の式量×使用したM(OR’)mのモル数+RSiO(4−n)/2の式量×使用したRSiXのモル数) (2)
前記金属アルコキシ化合物としては、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシアルミニウム、及びテトラアルコキシチタニウムが挙げられ、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合には、混合して添加してもよいし、それぞれを別々に添加してもよい。特に好ましいのは、テトラアルコキシシランを先に添加し、ある程度反応させてから、トリアルコキシアルミニウムおよび/又はテトラアルコキシチタニウムを添加し、更に反応を行なうことである。
テトラアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラキス(2-メチルプロポキシ)シラン、テトラキスペンチルオキシシラン、テトラキス(2-エチルブトキシ)シラン、テトラキス(オクチルオキシ)シラン、テトラキス(2-エチルヘキシルオキシ)シラン等が挙げられる。
テトラアルコキシシランに含まれるアルコキシル基の炭素数が大き過ぎると、加水分解が不十分となることがあるため、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシランおよびテトライソブトキシシランが好ましく、テトラメトキシシランおよびテトラエトキシシランが更に好ましく、テトラエトキシシランが最も好ましい。
トリアルコキシアルミニウムの具体例としては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム、トリイソブトキシアルミニウム、トリキス(2-メチルプロポキシ)アルミニウム、トリキスペントキシアルミニウム、トリキス(2-エチルブトキシ)アルミニウム、トリキス(オクトキシ)アルミニウム、トリキス(2-エチルヘキソキシ)アルミニウム等が挙げられる。
トリアルコキシアルミニウムに含まれるアルコキシル基の炭素数が大き過ぎると、加水分解が不十分となることがあり、アルコキシル基の炭素数が小さ過ぎると、反応性が高くなって反応制御が難しくなることがあるため、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウムおよびトリブトキシアルミニウムが好ましく、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウムおよびトリイソプロポキシアルミニウムが更に好ましく、トリプロポキシアルミニウムおよびトリイソプロポキシアルミニウムが最も好ましい。
テトラアルコキシチタニウムの具体例としては、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトラプロポキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、テトラブトキシチタニウム、テトライソブトキシチタニウム、テトラキス(2-メチルプロポキシ)チタニウム、テトラキスペンチルオキシチタニウム、テトラキス(2-エチルブトキシ)チタニウム、テトラキス(オクチルオトキシ)チタニウム、テトラキス(2-エチルヘキシルオキシ)チタニウム等が挙げられる。
テトラアルコキシチタニウムに含まれるアルコキシル基の炭素数が大き過ぎると、加水分解が不十分となることがあり、アルコキシル基の炭素数が小さ過ぎると、反応性が高くなって反応制御が難しくなることがあるため、テトラエトキシチタニウム、テトラプロポキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、テトラブトキシチタニウムおよびテトライソブトキシチタニウムが好ましく、テトラエトキシチタニウム、テトラプロポキシチタニウムおよびテトライソプロポキシチタニウムが更に好ましく、テトラプロポキシチタニウムおよびテトライソプロポキシチタニウムが最も好ましい。
また、一般式(1)で表わされるシラン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン等のモノアルキルトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェネチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン類;トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリプロピルエトキシシラン、トリイソブチルメトキシシラン、トリイソブチルエトキシシラン、トリフェネチルメトキシシラン、トリフェネチルエトキシシラン等のトリアルキルモノアルコキシシラン類;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のモノアリールトリアルコキシシラン類;ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアリールジアルコキシシアン類;トリフェニルメトキシシラン等のトリアリールモノアルコキシシラン類;エチルトリクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、トリエチルクロロシラン等の(モノ〜トリアルキル)アルキル(モノ〜トリ)クロロシラン類;フェニルトリクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、ビニルトリクロシラン等の(モノ〜トリ)アリール(トリ〜モノ)クロロシラン類等が挙げられる。
これらの中でも、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、ジフェネチルジメトキシシラン、フェネチルトリエトキシシランおよびジフェネチルジエトキシシランが好ましく、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシランおよびジフェネチルジメトキシシランが更に好ましく、中でも、モノアルキルトリアルコキシシラン類と、モノアリールトリアルコキシシラン類が好ましく、特にメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランおよびフェネチルトリメトキシシランが最も好ましい。
なお、上述した加水分解反応及び縮合反応は、水溶性有機溶媒及び非極性有機溶媒を含む混合溶媒中で行うことが好ましい。この場合、前記金属酸化物粒子を、前記混合溶媒中に分散させた状態で、前記加水分解反応及び前記縮合反応を行うことになるが、前記金属酸化物粒子は、前記混合溶媒中における固形分含量が1−40重量%となるようにして前記混合溶媒中に配合することが好ましく、さらには10−30重量%、特には15−25重量%となるようにして、前記混合溶媒中に配合することが好ましい。
前記固形分含量が1重量%未満では、目的とする樹脂組成物中における前記金属酸化物粒子の含有量が少なく、溶媒除去に長時間を要するため副反応が進行するなど、前記金属酸化物粒子分散の効果を十分に得ることができない場合がある。一方、前記固形分含量が40重量%を超える場合には、目的とする前記樹脂組成物中において前記金属酸化物粒子の二次凝集が起こる可能性があるためである。
反応終了後、過剰の水、塩酸(Xが塩素原子である場合に生成)等を除去することにより前記金属酸化物粒子のコロイド溶液が得られる。また、この後、必要に応じて、濃縮や溶媒置換を行ってもよいし、乾固させれば粉末状の金属酸化物粒子が得られる。例えば、非極性有機溶媒としてトルエン、水溶性有機溶媒としてエタノールを使用した場合には、反応終了後、水とエタノールとを共沸させながら除去することにより、過剰の水を除去することができ、更にエタノールを除去し、濃縮することによりトルエンに分散した金属酸化物粒子が得られる。この様な蒸留を伴う溶媒置換により、所望の溶媒に金属酸化物微粒子が分散したコロイド溶液を得ることができる。
前記混合溶媒に使用する水溶性有機溶媒としては、25℃で液体であり、25℃で水に溶解する有機溶媒であればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の水溶性1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリン等の水溶性多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3-メトキシブタノール、3-エチル3-メトキシブタノール等の水溶性エーテルアルコール;アセトン、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、メチルイソブチルケトン等の水溶性ケトン;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等の水溶性エーテル;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらを単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、微細な金属酸化物粒子が得られることから、水溶性1価アルコール、水溶性ケトンおよび水溶性多価アルコールが好ましく、水溶性1価アルコールがより好ましく、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールが更に好ましい。
また、前記混合溶媒において使用する非極性有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン(2,2,4-トリエチルペンタン)、ノナン、デカン等の飽和脂肪族炭化水素溶媒;ヘキセン、ヘプテン、オクテン、イソオクテン、ノネン、デセン、ドデセン等の不飽和脂肪族炭化水素溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘプタン、エチルシクロヘキサン、シクロオクタン、ジエチルシクロヘキサン、デカリン(デカヒドロナフタレン)等の脂環式炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン(イソプロピルベンゼン)、プソイドクメン(トリエチルベンゼン)、テトラリン(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)等、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの中でも、微細な金属酸化物粒子が得られ、その分散安定性が良好であることから、芳香族炭化水素溶媒が好ましく、トルエン、キシレンおよびプソイドクメンが更に好ましく、トルエンが最も好ましい。
前記金属酸化物粒子の形状は特に限定されず、一般的な略球状だけでなく、直方体や板状、繊維のような直線形状、枝分かれした分岐形状なども用いることができる。
また、前記金属酸化物粒子の大きさは、その長径を380nm以下とするのが好ましく、さらには100nm以下とすることが好ましい。粒子の長径を可視光波長の下限値である380nm以下とすることで、粒子による可視光の散乱はほとんどなくなり、ポリカーボネート樹脂の優れた特徴のひとつである透明性を犠牲にすることなく、優れた物性を有する樹脂組成物を得ることができる。
ここで「長径」とは、充填材の形状が、略球状ならその直径、直方体や板状ならいずれか一辺の内最も長い辺の長さ、繊維のような直線形状や枝分かれした分岐形状ならその最も長い線分の長さ、を指す。
また、本発明の樹脂組成物がポリマーナノコンポジットとして目的とする性能を発現するには、金属酸化物粒子は少なくともその一辺が1−100nmであることが好ましい。ここで「少なくともその一辺」とは、粒子の形状が、例えば、略球状ならその直径、直方体や板状ならいずれかの少なくとも一辺、繊維のような直線形状や枝分かれした分岐形状ならその太さ断面の少なくとも短径を指す。
前記金属酸化物粒子本体は如何なる種類の金属酸化物からも構成することができるが、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、さらにはこれらの複合物、例えば、チタニアの表面をアルミナで処理したものなどを例示することができる。入手のし易さ、コスト、後述する表面処理のし易さなどを考慮すると、特にシリカを用いることが好ましい。しかしながら、本発明の金属酸化物粒子はこれらの金属酸化物に限定されるものではない。
本発明の目的とする樹脂組成物中の金属酸化物粒子の濃度は、1−60重量%の範囲であることが好ましい。中でも、3〜50重量%が好ましく、特に5〜40重量%が好ましい。1重量%未満では物性の向上が認められ難くなる場合がある。一方、60重量%を超えると比重の増加が無視できなくなるばかりでなく、コスト面でも不利となり、また衝撃強度の低下が無視できないものとなる場合がある。一般に、樹脂に充填材を大量に配合すると衝撃強度が減少するが、本発明の樹脂組成物では、上述したように前記金属酸化物粒子の大きさを1−100nmまで低減させて、ナノメートルオーダの大きさの充填材を均一分散できるようにしているので、前記衝撃強度の低下は実用上小さいが、その含有量が60重量%を超えるとこれを無視できなくなる場合がある。尚、金属酸化物粒子の濃度は、熱重量分析(TG−TDA)で空気中600℃、2時間保持した場合の熱減量、または白金ウツボ中で、空気中灰色化した場合の熱減量で求める。
(ポリカーボネート樹脂)
本発明の樹脂組成物の主材であるポリカーボネート樹脂は、ビスフェノール化合物、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」という)とホスゲンとを反応させる界面重合法(ホスゲン法)、及びビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを反応させる溶融重合法(エステル交換法)などの公知の方法によって製造することができる。
界面重合法の代表的なプロセスとしては、通常、まずビスフェノール化合物の水酸化ナトリウムアルカリ水溶液と有機溶剤との混合液にホスゲンを導入して、ポリカーボネートのオリゴマーを生成させた後、塩基性触媒を添加し高分子量のポリカーボネート樹脂を生成させ、次いで重合が終了した溶液を洗浄処理し、水溶液相を分離し、得られた有機溶剤相からポリカーボネート樹脂を回収するといった方法が用いられる。
これに対し、溶融重合法の代表的なプロセスとしては、通常、ビスフェノール化合物とジアリールカーボネート、好ましくはジェフェニルカーボネートとを加熱しながら混合して、ポリカーボネートのオリゴマーを生成させた後、減圧処理により副生成物であるアリールアルコールを除去してやることにより平衡をポリマー側へ傾け、高分子量のポリカーボネート樹脂を生成させるといった方法が用いられる。
より高い物性が要求される分野におけるポリカーボネート樹脂の製造方法としては、一般的に溶融重合法より界面重合法が適していると言われている。界面重合法では、高分子量のポリマーをより得易いためである。しかしながら、本発明の金属酸化物粒子は本来的に極性を有しており、水溶液との相溶性を有する。疎水化処理により水溶液との相溶性は低減できるが、完全な疎水化は困難であり、またコストアップにつながる。そのため、界面重合過程で金属酸化物粒子を添加すると、その一部が水溶液相に移動してしまい、投入した量に比べ生成する樹脂組成物中の配合量が減少してしまう場合がある。このような充填効率の低下はやはりコストアップにつながる。
以上のような理由から、本発明においては、前記ポリカーボネート樹脂を溶融重合法で製造することが好ましい。
(樹脂組成物の製造方法)
上述したように、本発明の樹脂組成物において、主材となるポリカーボネート樹脂は溶融重合法で製造することが好ましいので、以下においては前記溶融重合法を用いた製造方法について説明する。
最初に、ポリカーボネート樹脂のモノマーを準備する。次いで、好ましくは前記モノマー中に上述した金属酸化物粒子を配合する。前記金属酸化物粒子は前記モノマー中に直接配合することもできるが、予め前記金属酸化物粒子のコロイド溶液を作製しておき、このコロイド溶液と前記モノマーとを混合させることによって、前記モノマー中に前記金属酸化物粒子を配合させることが好ましい。この場合、前記金属酸化物粒子を、前記モノマー内に簡易かつ均一に分散することができるようになる。
前記コロイド溶液を構成する溶媒は、ポリカーボネート樹脂またはそのモノマーとの相溶性が極端に低いもの以外を選択して使用すれば良く、このような条件を満足する限り特に限定されるものではない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアルコール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、塩化メチレンなどのハロゲン炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを例示することができる。
この中でも、重合反応に悪影響を与えず、重合初期に揮発し難くかつ重合完了時に脱離し易く、また金属酸化物粒子の分散安定性に優れ、ハンドリング、溶媒置換が容易なことから、イソプロパノールとメチルエチルケトンが特に好ましい。
なお、前記金属酸化物粒子のポリカーボネート樹脂への他の分散方法として、混練機を用いた溶融混練や、樹脂を溶剤に溶解し溶液としこれに添加する方法などがあるが、何れも十分な分散性を得ることは難しい。
次いで、前記金属酸化物粒子を前記モノマー中に分散させた状態で、所定の圧力まで減圧するとともに、加熱昇温することにより重合反応を実施し、前記金属酸化物粒子が均一分散した、ポリカーボネート樹脂を主材とする樹脂組成物を得ることができる。
なお、前記重合反応は1段で行うこともできるが、多段で行うこともできる。後者の場合、重合度をより高めることができ、得られた樹脂組成物の機械的強度などをより高めることができる。
(成形体及び部品)
上述した過程を経て得た樹脂組成物は樹脂単体並みの熱時成形性を維持しており、溶融押出成形、射出成形、ブロー成形などの成形工程を経ることにより、曲面形状などを有し、大小様々な大きさの成形品に加工することができる。
前記樹脂組成物は、透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく剛性の向上を実現し、また熱膨張率が低く、高温時にソリなどを抑制し得るという特性を兼ね備えているため、これらの機能が要求される部材に好適であり、例えば、自動車内装材として計器盤の透明カバーなどに、自動車外装材では窓ガラス(ウィンドウ)やヘッドランプ、サンルーフ及びコンビネーションランプカバー類などに、更には家電や住宅に用いられる透明部材・備品・家具にも適した材料と言える。
次に、本発明に係る樹脂組成物の製造方法の実施例について詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(実施例1)
(金属酸化物粒子の合成)
攪拌機、窒素導入管および温度計を備えた反応容器に、エタノール650g、トルエン650g、水36gおよび触媒として85%リン酸水溶液3gを仕込み、室温で10分間激しく撹拌することにより、均一に溶解した混合溶媒を得た。この混合溶媒に、テトラエトキシシラン208g(1.0モル)を添加し、30℃で1時間撹拌した後、フェニルトリメトキシシランを79.2g(0.4モル)を添加し、70℃で1時間攪拌した。次いで、ジメチルジメトキシシラン54g(0.45モル)を添加し、70℃で2時間攪拌し反応させた。その後、更に温度を上げて、常圧にて、エタノールおよびメタノールをトルエンと共に除去し、トルエン中に分散されたシリカ粒子のコロイド溶液を得た。この時の金属酸化物粒子本体の分子量に対する脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基の分子量の割合は、{(77×0.4×1)+(15×0.45×2)}/{(60×1.0)+(129×0.4)+(74×0.45)}×100=30.5%であった。
(樹脂組成物の合成)
上述のようにして得たコロイダルシリカを、ビスフェノールA 、ジフェニルカーボネートとともに反応後の樹脂組成物中のシリカ濃度が30重量%になるよう、撹拌翼、温度計をセットしたガラス製反応容器に入れ、コロイダルシリカとモノマーが十分混合されるよう撹拌しながら、ゆっくりと80℃まで加熱した。この温度で減圧ラインを開き、系内を徐々に減圧にすることにより、溶媒であるイソプロピルアルコールを徐々に留去した。この後さらに温度を上げ、160℃前後で20分程度予備加熱を行ない、縮合反応を開始させた。
次いで、反応系を230℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約150分間、15mmHg以下の減圧度で攪拌して縮合を進行させた。更に反応系を250℃まで30分かけて昇温し、この温度にて、約30分間、10mmHg以下の減圧度にて攪拌することにより、未反応のオリゴマ成分を低減させ、最後に、減圧度を保持したまま290℃で約15分間熟成を行なって所望の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を加熱プレスし、透明な樹脂組成物の試験片を得た。これを実施例1とする。
(実施例2)
金属酸化物粒子の合成の際、ジメチルジメトキシシラン54gの代わりに、トリメチルモノメトキシシラン62.4g(0.6モル)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ない、透明な樹脂組成物の試験片を得た。これを実施例2とする。尚、この時の金属酸化物粒子本体の分子量に対する脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基の分子量の割合は、35.6%であった。
(実施例3)
金属酸化物粒子の合成の際、ジメチルジメトキシシラン54gの代わりに、メチルトリメトキシシラン61.2g(0.45モル)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ない、透明な樹脂組成物の試験片を得た。これを実施例3とする。尚、この時の金属酸化物粒子本体の分子量に対する疎水基合計の分子量の割合は、25.8%である。
(実施例4)
金属酸化物粒子の合成の際、ジメチルジメトキシシラン54gの代わりに、エチルトリメトキシシラン30g(0.2モル)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ない、透明な樹脂組成物の試験片を得た。これを実施例4とする。尚、この時の金属酸化物粒子本体の分子量に対する疎水基合計の分子量の割合は、20.0%である。
(実施例5)
金属酸化物粒子の合成の際、ジメチルジメトキシシラン54gの代わりに、ヘキシルトリメトキシシラン92.7g(0.45モル)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ない、透明な樹脂組成物の試験片を得た。これを実施例5とする。尚、この時の金属酸化物粒子本体の分子量に対する疎水基合計の分子量の割合は、39.0%である。
(実施例6)
金属酸化物粒子の合成の際、ジメチルジメトキシシラン54gの代わりに、デシルトリメトキシシラン52.4g(0.2モル)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行ない、透明な樹脂組成物の試験片を得た。これを実施例6とする。尚、この時の金属酸化物粒子本体の分子量に対する疎水基合計の分子量の割合は、38.8%である。
(実施例7)
実施例1のコロイダルシリカを、ビスフェノールA、水酸化ナトリウム水溶液、塩化メチレンとともに反応後の樹脂組成物中のシリカ濃度が30重量%になるよう、撹拌翼、還流冷却器、温度計、ガス導入管、pH電極、滴下ロートを備えたガラス製反応容器に入れ、温度を25℃に保ち、激しく撹拌しながらホスゲンを反応溶液のpHが約7に下がるまでゆっくりと吹き込んだ。次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加え、更に、塩化ベンジルトリエチルアンモニウムを添加し、反応温度を30℃に上げて約1時間激しく撹拌した。
水溶液相から有機溶剤相を分離し、有機溶剤相を水で洗浄し、更に塩酸水溶液とともによく撹拌した。混合溶液のpHが中性から弱酸性になっていることを確認した後、再度水で洗浄し、有機溶剤相を分離した。このようにして得た有機溶剤相を、激しく撹拌しているイソプロパノール中に投入し、粉末状物を析出した。これを濾過し、イソプロパノールで十分洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥して、所望の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を加熱プレスし、透明な樹脂組成物の試験片を得た。これを実施例7とする。
(比較例1)
実施例1と同様の反応容器に、実施例1と同様の混合溶媒を調製し、テトラエトキシシラン208gを添加し、30℃で1時間撹拌し、次いで70℃で3時間攪拌した。その後、更に温度を上げて、常圧にて、エタノールおよびメタノールをトルエンと共に除去し、トルエン中にシリカ粒子が凝集・一部沈降した溶液を得た。この時の金属酸化物粒子本体の分子量に対する疎水基合計の分子量の割合は0%である。
次いで、得られたシリカ溶液を用いて、実施例1と同様に樹脂組成物の合成を試みたが、減圧を開始してしばらく後、ゲル化が生じ反応液の粘度が大きく上昇したため、重合反応をそれ以上進めることが出来なかった。また、得られたゲル化物の加熱プレスを試みたが、熱可塑性が乏しく、試験片を得られなかった。
(比較例2)
実施例1と同様の反応容器に、実施例1と同様の混合溶媒を調製し、テトラエトキシシラン208gを添加し、30℃で1時間撹拌した後、フェニルトリメトキシシランを93.1g(0.47モル)を添加し、70℃で3時間攪拌した。その後、更に温度を上げて、常圧にて、エタノールおよびメタノールをトルエンと共に除去し、トルエン中に分散されたシリカ粒子のコロイド溶液を得た。この時の金属酸化物粒子本体の分子量に対する疎水基合計の分子量の割合は30.0%である。
次いで、得られたシリカ溶液を用いて、実施例1と同様に樹脂組成物の合成を行なった。減圧を開始してしばらく後、緩やかなゲル化が生じ反応液の粘度が上昇したため、減圧度10mmHg以下まで重合反応を進めることが出来なかった。得られたゲル化物を加熱プレスし、透明な樹脂組成物の試験片を得た。これを比較例2とする。
(比較例3)
金属酸化物粒子の合成の際、フェニルトリメトキシシラン93.1gの代わりに、エチルトリメトキシシラン141g(0.94モル)を用いた以外は、比較例2と同様の操作を行ない、樹脂組成物の試験片を得た。試験片は白濁が著しかった。これを比較例3とする。尚、この時の金属酸化物粒子本体の分子量に対する疎水基合計の分子量の割合は、20.0%であった。
(評価)
続いて、上記の各樹脂組成物の試験片について以下の物性評価を行なった。評価結果を表1にまとめる。尚、表1には参考値として一般的な充填材未充填のポリカーボネート樹脂の値も示した。
・ 樹脂組成物中の充填材濃度:樹脂組成物を白金ルツボ中で焼成し灰分重量=シリカ配合量を求め、初期樹脂組成物重量との比を取った。
・ 曲げ弾性率:試験方法はASTM D790-1991に準拠する。
・ 曇価(厚さ1mm):試験方法はJIS K7105-1981に準拠する。
・ ゲル化度合い:重合中のゲル化状態およびプレス時の成形性から下記のように4段階評価とした。
尚、レベル0とレベル1の中間程度の状態の場合は「ゲルレベル0.5」と表記した。
ゲルレベル0 : ゲル化なし・通常成形可能
ゲルレベル1 : 緩やかなゲル化・成形容易なレベル
ゲルレベル2 : 中程度ゲル化・成形難しいレベル
ゲルレベル3 : ほぼ完全なゲル化・成形不可能
Figure 2006056974
何れの実施例も、透明性は充填材未充填のポリカーボネート樹脂に比べやや劣るものの、なお良好な値を保っており、実用上問題のないレベルである。また、成形性は全く問題のないレベルであり、曲げ弾性率も向上しており本発明の目的を達成している。
実施例7はその他の実施例や比較例に比べ、充填材濃度がかなり低く、添加した充填材の一部が水溶液相に移行してしまったものと考えられる。また、弾性率は充填材濃度が低いことを反映して向上代も小さいが、充填材濃度が低いにもかかわらず透明性が低下している。これは重合時の水溶液相の存在により粒子の安定性が低下したためと予想される。
一方、比較例1は前述の通りゲル化が著しく、成形性の面ではもはや熱可塑性樹脂とはいえない状態であり、重合を十分進められなかったため低分子量成分の残留も多く、ベトツキなども生じた。また透明性の面でも完全な白濁状態であった。
比較例2は比較例1に比べゲル化の度合いは小さいものの、成形性はやはり低下しており、また重合を十分進められなかったため弾性率の向上も僅かである。また、ゲル化に起因すると思われる粒子の凝集により、透明性も十分なレベルを確保できていない。
比較例3は比較例1、2に比べゲル化の度合いは小さく、成形性はある程度確保できているものの、低重合度かつ分散性不足のため弾性率の向上代が実施例に比べ小さい。また、分散性不足に起因する粒子の凝集により、透明性の低下が著しい。
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
例えば、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤及び熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、チオエーテル、ホスファイト類及びこれらの置換体及びその組み合わせを含む)、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等)、滑剤、離型剤(例えばシリコン樹脂、モンタン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリルアミド等)、染料(例えばニトロシン等)、顔科(例えば硫化カドミウム、フタロシアニン等)を含む着色剤、添加剤添着液(例えばシリコンオイル等)、及び結晶核剤(例えばタルク、カオリン等)などを単独又は適宜組み合わせて添加することができる。
本発明の樹脂組成物は所望の形状に成形し、任意の用途に適用することができる。特に、従来の無機ガラスに代わって種々の製品に適用できる有機ガラスとして、自動車用部品、電気機器部品、及び住宅用建材などに好適に用いることができる。

Claims (19)

  1. ポリカーボネート樹脂と、
    前記ポリカーボネート樹脂中に分散した、少なくとも一種以上の脂肪族炭化水素基及び少なくとも一種以上の芳香族炭化水素基を表面に結合させて有する金属酸化物粒子と、
    を具えることを特徴とする、樹脂組成物。
  2. 前記脂肪族炭化水素基が、脂肪族飽和炭化水素基であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記脂肪族飽和炭化水素基が、非置換又は非反応性の置換基を有するアルキル基であることを特徴とする、請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記脂肪族飽和炭化水素基が、炭素原子数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることを特徴とする、請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 前記芳香族炭化水素基が、非置換又は非反応性の置換基を有するアリール基であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  6. 前記アリール基が、フェニル基であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  7. 前記金属酸化物粒子は、シリカ、アルミナ、チタニア、又はこれらの複合物を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  8. 前記金属酸化物粒子において、前記脂肪族炭化水素基及び前記芳香族炭化水素基を除く、前記金属酸化物粒子本体の分子量に対する、前記脂肪族炭化水素基及び前記芳香族炭化水素基の分子量の割合が、15%〜85%であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  9. 前記脂肪族炭化水素基及び前記芳香族炭化水素基は、前記金属酸化物粒子の表面において、金属アルコキシ化合物と、一般式
    SiX4−n (1)
    (式中、Rは少なくとも一種以上の脂肪族炭化水素基及び少なくとも一種以上の芳香族炭化水素基を表わし、Xは炭素数1〜4のアルコキシル基または塩素原子を表わし、nは1〜3の数を表わす。)との加水分解反応及び縮合反応を通じて、前記金属酸化物粒子の前記表面に形成することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  10. 前記金属アルコキシ化合物は、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、及びテトラアルコキシチタニウムから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項9に記載の樹脂組成物。
  11. 前記テトラアルコキシシラン、並びに前記トリアルコキシシラン及び/又は前記テトラアルコキシチタニウムを順次に添加し、多段階の反応を通じて前記脂肪族炭化水素基及び前記芳香族炭化水素基を前記金属酸化物粒子の前記表面に形成することを特徴とする、請求項10に記載の樹脂組成物。
  12. 前記加水分解反応及び縮合反応は、水溶性有機溶媒及び非極性有機溶媒を含む混合溶媒中で行うことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  13. 前記金属酸化物粒子は、前記混合溶媒中における固形分含量が1−40重量%となるようにして添加することを特徴とする、請求項12に記載の樹脂組成物。
  14. 前記金属酸化物粒子の長径が可視光波長域の下限値である380nm以下であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  15. 前記金属酸化物粒子の少なくとも一辺の長さが1−100nmであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  16. 前記金属酸化物粒子の含有量が1−60重量%であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一に記載の樹脂組成物。
  17. 請求項1〜16のいずれか一に記載の樹脂組成物の製造方法であって、
    前記ポリカーボネート樹脂のモノマーを準備する工程と、
    前記モノマー中に前記金属酸化物粒子を添加した後、重合処理を施す工程と、
    を具えることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。
  18. 前記金属酸化物粒子が所定の溶媒中に分散してなるコロイド溶液を形成し、前記モノマーと前記コロイド溶液とを混合させることによって、前記モノマー中に前記金属酸化物粒子を均一分散させることを特徴とする、請求項17に記載の樹脂組成物の製造方法。
  19. 前記重合処理は、溶融重合法であることを特徴とする、請求項18に記載の樹脂組成物の製造方法。

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