JP2006045343A - 注形用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた電動機用モールドコイル - Google Patents
注形用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた電動機用モールドコイル Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 硬化時に充填材の沈降が少なく、熱伝導性、耐クラック性、注形性に優れた注形用エポキシ樹脂組成物と、これを用いた高性能、高信頼性を有する電動機を得る。
【解決手段】 充填材の配合量を樹脂組成物全体に対して60〜75重量%とし、形状及び平均粒径を(A)平均粒径5〜12μmの球状または丸み状充填材、及び(B)平均粒径0.5〜2μmの破砕状充填材とし、A/(A+B)の比率を50〜95wt%とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 充填材の配合量を樹脂組成物全体に対して60〜75重量%とし、形状及び平均粒径を(A)平均粒径5〜12μmの球状または丸み状充填材、及び(B)平均粒径0.5〜2μmの破砕状充填材とし、A/(A+B)の比率を50〜95wt%とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は電動機のコイルモールドに好適な熱放散性、低粘性、耐クラック性を有する注形用エポキシ樹脂組成物とこれを適用した電動機に関する。
近年、電動機の小型化、高密度化、高出力化等に伴い、電動機に使用されるコイルモールド樹脂には、熱伝導率の向上、耐クラック性の向上、低粘度化が求められている。
熱伝導率の向上、耐クラック性の向上には、樹脂に充填材を高密度に添加する方法が有効である事が一般的によく知られているが、反面、充填材を添加することで樹脂の粘度が上昇し、作業性の悪化や微細な線間への樹脂の充填が困難になるデメリットや、比重の重い充填材が樹脂の硬化時に沈降し、組成の不均一化に起因するクラックの発生などのデメリットも生じる。そのため、充填材として2種類の粒径の異なる充填材を組合せることで充填材の粒度分布を広くし、樹脂の低粘度化と充填材の沈降防止を達成させようとする方法が示されている(例えば、特許文献1参照)。これには、充填材として水和アルミナやシリカが用いた事例が具体的に示されている。水和アルミナは樹脂の難燃性添加剤として知られており、これにより難燃性の高い樹脂組成物を得ることができる。またシリカは線膨張係数が小さい事から、これを樹脂に添加する事で耐クラック性の向上が期待できる。
特許2623823号公報
熱伝導率の向上、耐クラック性の向上には、樹脂に充填材を高密度に添加する方法が有効である事が一般的によく知られているが、反面、充填材を添加することで樹脂の粘度が上昇し、作業性の悪化や微細な線間への樹脂の充填が困難になるデメリットや、比重の重い充填材が樹脂の硬化時に沈降し、組成の不均一化に起因するクラックの発生などのデメリットも生じる。そのため、充填材として2種類の粒径の異なる充填材を組合せることで充填材の粒度分布を広くし、樹脂の低粘度化と充填材の沈降防止を達成させようとする方法が示されている(例えば、特許文献1参照)。これには、充填材として水和アルミナやシリカが用いた事例が具体的に示されている。水和アルミナは樹脂の難燃性添加剤として知られており、これにより難燃性の高い樹脂組成物を得ることができる。またシリカは線膨張係数が小さい事から、これを樹脂に添加する事で耐クラック性の向上が期待できる。
しかしながら、放熱性の高い樹脂組成物を得る場合、充填材として熱伝導率の高いアルミナや窒化アルミなどを充填材として用いる必要がある。これらの高熱伝導材料はその比重が水和アルミナやシリカと比較して大きいものが多く、硬化時の沈降も大きいため、組成の不均一化によりクラックが発生し易いという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、比重の大きな充填材を適用した際も硬化時の充填材の沈降が少なく、熱伝導率が高く放熱性に優れ、低粘度で微細な部品間においても隙間無く充填可能な注形用エポキシ樹脂組成物を提供する。また、これにより得られた耐クラック性に優れ、高性能、高信頼性を有する電動機用モールドコイルを提供する事を目的とする。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、比重の大きな充填材を適用した際も硬化時の充填材の沈降が少なく、熱伝導率が高く放熱性に優れ、低粘度で微細な部品間においても隙間無く充填可能な注形用エポキシ樹脂組成物を提供する。また、これにより得られた耐クラック性に優れ、高性能、高信頼性を有する電動機用モールドコイルを提供する事を目的とする。
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したものである。
請求項1に記載の発明は、主剤と、充填材と、反応性希釈剤と、硬化剤とを必須成分とする注形用エポキシ樹脂組成物において、前記充填材の配合量が、樹脂組成物全体に対して60〜75重量%であり、且つ前記充填材が(A)平均粒径5〜12μmの球状または丸み状充填材、および(B)平均粒径0.5〜2μmの破砕状充填材からなり、A/(A+B)の比率が50〜95wt%としたものである。
また、請求項2に記載の発明は、前記充填材の熱伝導率を10W/mK以上としたものである。
また、請求項3に記載の発明は、前記充填材をアルミナとしたものである。
また、請求項4に記載の発明は、前記主剤が、一般式(I)で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂であり、且つn=0である単両体の割合が95〜100%としたものである。
請求項1に記載の発明は、主剤と、充填材と、反応性希釈剤と、硬化剤とを必須成分とする注形用エポキシ樹脂組成物において、前記充填材の配合量が、樹脂組成物全体に対して60〜75重量%であり、且つ前記充填材が(A)平均粒径5〜12μmの球状または丸み状充填材、および(B)平均粒径0.5〜2μmの破砕状充填材からなり、A/(A+B)の比率が50〜95wt%としたものである。
また、請求項2に記載の発明は、前記充填材の熱伝導率を10W/mK以上としたものである。
また、請求項3に記載の発明は、前記充填材をアルミナとしたものである。
また、請求項4に記載の発明は、前記主剤が、一般式(I)で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂であり、且つn=0である単両体の割合が95〜100%としたものである。
また、請求項5に記載の発明は、前記反応性希釈剤が、分子中に2個以上のエポキシ基を有し、且つエポキシ当量が200以上であり、且つ粘度が1000mPa・s(25℃)以下であるエポキシ樹脂としたものである。
また、請求項6に記載の発明は、前記硬化剤が、芳香族ポリアミン化合物、または酸無水物化合物としたものである。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から6に記載の注形用エポキシ樹脂組成物を用いて電動機用モールドコイルとしたものである。
また、請求項6に記載の発明は、前記硬化剤が、芳香族ポリアミン化合物、または酸無水物化合物としたものである。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1から6に記載の注形用エポキシ樹脂組成物を用いて電動機用モールドコイルとしたものである。
請求項1に記載の発明によると、充填材の配合量とその粒径と形状を特定したので、電動機のコイルモールド樹脂として十分な放熱性が得られる。また、充填材の沈降が少なく耐クラック性に優れる。また、微細な部品間にも充填可能となるので電動機の信頼性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によると、充填材の熱伝導率を10W/mK以上としているので、熱放散性に優れ、作動時コイルで発生した熱を速やかに除去する事ができ、電動機の性能を向上させる事ができる。
請求項3に記載の発明によると、充填材としてアルミナを使用するので熱放散性に優れ、電動機の性能を向上させることができる。また熱伝導率の高い充填材の中でアルミナは比較的安価であることから、電動機の製造コストを低減化する事ができる。
請求項4に記載の発明によると、主剤を、一般式(I)で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂とし、且つn=0である単両体の割合を95〜100%としたので、エポキシ樹脂組成物の粘度を下げる事ができ、これにより微細な部品間にも隙間無く樹脂を充填することができ、電動機の信頼性を向上させることができる。
請求項5に記載の発明によると、反応性希釈剤を、分子中に2個以上のエポキシ基を有し、且つエポキシ当量が200以上であり、且つ粘度が1000mPa・s(25℃)以下であるエポキシ樹脂としたので、エポキシ樹脂組成物の粘度を下げる事ができる。また、靭性を向上させ、耐クラック性に優れた電動機とする事ができる。
請求項6に記載の発明によると、硬化剤を、芳香族ポリアミン化合物、または酸無水物化合物としたので、電気的特性、機械的特性、耐熱特性に優れた電動機用モールドコイルが得られる。
請求項7に記載の発明によると、この様な注形用エポキシ樹脂組成物を用いた電動機用モールドコイルとしたので、耐クラック性に優れ、高い性能と信頼性を有するという効果が得られる。
請求項2に記載の発明によると、充填材の熱伝導率を10W/mK以上としているので、熱放散性に優れ、作動時コイルで発生した熱を速やかに除去する事ができ、電動機の性能を向上させる事ができる。
請求項3に記載の発明によると、充填材としてアルミナを使用するので熱放散性に優れ、電動機の性能を向上させることができる。また熱伝導率の高い充填材の中でアルミナは比較的安価であることから、電動機の製造コストを低減化する事ができる。
請求項4に記載の発明によると、主剤を、一般式(I)で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂とし、且つn=0である単両体の割合を95〜100%としたので、エポキシ樹脂組成物の粘度を下げる事ができ、これにより微細な部品間にも隙間無く樹脂を充填することができ、電動機の信頼性を向上させることができる。
請求項5に記載の発明によると、反応性希釈剤を、分子中に2個以上のエポキシ基を有し、且つエポキシ当量が200以上であり、且つ粘度が1000mPa・s(25℃)以下であるエポキシ樹脂としたので、エポキシ樹脂組成物の粘度を下げる事ができる。また、靭性を向上させ、耐クラック性に優れた電動機とする事ができる。
請求項6に記載の発明によると、硬化剤を、芳香族ポリアミン化合物、または酸無水物化合物としたので、電気的特性、機械的特性、耐熱特性に優れた電動機用モールドコイルが得られる。
請求項7に記載の発明によると、この様な注形用エポキシ樹脂組成物を用いた電動機用モールドコイルとしたので、耐クラック性に優れ、高い性能と信頼性を有するという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
表1に示す6種類の成分を通常の混合装置を用いて混合した後、真空脱泡して注形用エポキシ樹脂組成物を得た。なお、表中の部は重量部である。
なお、表1に示した各成分の略号は以下の通りである。
(1)主剤
主剤として2種類のエポキシ樹脂を用いた。以下に構造式を示す。
(1)主剤
主剤として2種類のエポキシ樹脂を用いた。以下に構造式を示す。
略号850は、ビスフェノールA骨格の繰返し単位がn=0〜3の混合体である大日本インキ化学工業(株)エピクロン850である。また、略号850CRPは、繰返し単位がn=0(純度98%以上)の単両体である大日本インキ化学工業(株)EXA−850CRPである。
(1)充填材
充填材として次のものを用いた。
・略号AS−50:昭和電工(株)、丸み状アルミナ、商品名AS−50、平均粒径9μm
・略号AA−10:住友化学工業(株)、丸み状アルミナ、商品名AA−10、平均粒径10μm
・略号AA−5:住友化学工業(株)、丸み状アルミナ、商品名AA−5、平均粒径5μm
・略号AL−45−1:昭和電工(株)、破砕状アルミナ、商品名AL−45−1、平均粒径1.4μm
・略号AL−M42:住友化学工業(株)、破砕状アルミナ、商品名AL−M42、平均粒径2μm
・略号UA−5055:昭和電工(株)、破砕状アルミナ、商品名UA−5055、平均粒径0.5μm
充填材として次のものを用いた。
・略号AS−50:昭和電工(株)、丸み状アルミナ、商品名AS−50、平均粒径9μm
・略号AA−10:住友化学工業(株)、丸み状アルミナ、商品名AA−10、平均粒径10μm
・略号AA−5:住友化学工業(株)、丸み状アルミナ、商品名AA−5、平均粒径5μm
・略号AL−45−1:昭和電工(株)、破砕状アルミナ、商品名AL−45−1、平均粒径1.4μm
・略号AL−M42:住友化学工業(株)、破砕状アルミナ、商品名AL−M42、平均粒径2μm
・略号UA−5055:昭和電工(株)、破砕状アルミナ、商品名UA−5055、平均粒径0.5μm
(3)反応性希釈剤
反応性希釈剤として次のものを用いた。
・略号707:大日本インキ化学工業(株)、2官能性希釈剤、商品名エピクロン707、エポキシ当量300
・略号EX−411:ナガセケムテックス(株)、4官能性希釈剤、商品名デナコールEX−411、エポキシ当量229
反応性希釈剤として次のものを用いた。
・略号707:大日本インキ化学工業(株)、2官能性希釈剤、商品名エピクロン707、エポキシ当量300
・略号EX−411:ナガセケムテックス(株)、4官能性希釈剤、商品名デナコールEX−411、エポキシ当量229
(4)硬化剤
硬化剤として次のものを用いた。
・略号B−570:大日本インキ化学工業(株)、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、商品名B−570
・略号CAT11:日本エイブルスティック(株)、芳香族ポリアミン系硬化剤、商品名CATALYST11
硬化剤として次のものを用いた。
・略号B−570:大日本インキ化学工業(株)、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、商品名B−570
・略号CAT11:日本エイブルスティック(株)、芳香族ポリアミン系硬化剤、商品名CATALYST11
表1に示した各組成の注形用エポキシ樹脂組成物について、熱伝導率、沈降性、注形性、耐クラック性の4つの特性について評価を行った。その結果を表2に示す。なお、各注形用樹脂を硬化させる際には110℃で2時間、150℃で12時間の硬化条件で行った。
表2に示した各特性の評価方法を以下に示す。
(a)熱伝導率評価
先に示した硬化条件により、各注形用エポキシ樹脂組成物を硬化させ、厚さ1mmの板を作製し、これより直径10mmφのディスクを切出し、評価試料とした。熱伝導率(W/mK)は、この評価試料を用いてJIS C2141に記載の方法に準拠して行った。
(b)沈降性評価
各注形用エポキシ樹脂を用いて、図1に示した縦13mm×横9.6mm×高さ12.5mmの形状の硬化物を作製した。なお、硬化条件は先に示した条件にて行った。また樹脂の注形、硬化は図1に示した状態(立てた状態)で行った。作製した各硬化物について、図1中点線で示した上部5mm、下部5mmをそれぞれ切り出し、縦13mm×横9.6mm×高さ5mmの評価試料を得た。次にこれらを500℃、6時間加熱。得られた灼熱残渣を秤量し、これから硬化物の上部、下部における充填材の充填率を求め、その差を調べることで沈降性を評価した。
(c)注形性
図2に示した形状のPPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)製ボビン(外形60mm×150mm、内側中空部10mm×100mm、厚さ12mm)に、1mmφのエナメル線を200ターン巻線し、電機子巻線を得た。これを電機子巻線の外形に沿った形に、表1に示した各注形用エポキシ樹脂組成物を用いて注形、硬化させ、電動機コイルを得た。なお、硬化条件は先に示した条件にて行った。これらの電動機コイルについて、その外観やカットした断面の構造を観察し、電動機コイルの表面や内部における樹脂の未充填部の有無を確認することで注形性の良否を調べた。
(d)耐クラック性
耐クラック性の評価は、注形性の評価で製作した電動機について、−50℃で4時間、130℃で4時間の冷熱サイクルを200サイクル施し、クラックの発生の有無を調べる方法で行った。
その結果、200サイクル後においてもクラック発生が無く、ヒートサイクル性は良好であった。(また、試験の結果はクラックが全く発生しない場合を○、わずかに発生する場合を△、著しく発生する場合を×として表1に記した。)
(a)熱伝導率評価
先に示した硬化条件により、各注形用エポキシ樹脂組成物を硬化させ、厚さ1mmの板を作製し、これより直径10mmφのディスクを切出し、評価試料とした。熱伝導率(W/mK)は、この評価試料を用いてJIS C2141に記載の方法に準拠して行った。
(b)沈降性評価
各注形用エポキシ樹脂を用いて、図1に示した縦13mm×横9.6mm×高さ12.5mmの形状の硬化物を作製した。なお、硬化条件は先に示した条件にて行った。また樹脂の注形、硬化は図1に示した状態(立てた状態)で行った。作製した各硬化物について、図1中点線で示した上部5mm、下部5mmをそれぞれ切り出し、縦13mm×横9.6mm×高さ5mmの評価試料を得た。次にこれらを500℃、6時間加熱。得られた灼熱残渣を秤量し、これから硬化物の上部、下部における充填材の充填率を求め、その差を調べることで沈降性を評価した。
(c)注形性
図2に示した形状のPPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)製ボビン(外形60mm×150mm、内側中空部10mm×100mm、厚さ12mm)に、1mmφのエナメル線を200ターン巻線し、電機子巻線を得た。これを電機子巻線の外形に沿った形に、表1に示した各注形用エポキシ樹脂組成物を用いて注形、硬化させ、電動機コイルを得た。なお、硬化条件は先に示した条件にて行った。これらの電動機コイルについて、その外観やカットした断面の構造を観察し、電動機コイルの表面や内部における樹脂の未充填部の有無を確認することで注形性の良否を調べた。
(d)耐クラック性
耐クラック性の評価は、注形性の評価で製作した電動機について、−50℃で4時間、130℃で4時間の冷熱サイクルを200サイクル施し、クラックの発生の有無を調べる方法で行った。
その結果、200サイクル後においてもクラック発生が無く、ヒートサイクル性は良好であった。(また、試験の結果はクラックが全く発生しない場合を○、わずかに発生する場合を△、著しく発生する場合を×として表1に記した。)
表2に示した特性評価結果より、熱伝導率については、各実施例ともアルミナが60〜75wt%充填されている事から、0.6W/mK以上が得られており、電動機のモールド樹脂として十分な放熱性を有している事が分かる。また、沈降性については、平均粒径の比較的小さな球状または丸み状充填材と、さらに微細な破砕状充填材とを併用し、またその量比を最適化している事から各実施例とも沈降性が小さかった。また、注形性については、丸み状充填材を使用している事、粘度が1000mPa・s(25℃)以下である低粘度の反応性希釈剤を使用している事、また実施例の試料番号4〜6においては、主剤として繰返し単位がn=0の単両体の割合を95〜100%とした低粘度ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用している事から、何れの実施例もエナメル線の線間においても十分に樹脂が充填されており良好であった。また耐クラック性については、先に述べた充填材の形状とその量比を最適化し、充填材の沈降を低減させた事、また使用する反応性希釈剤のエポキシ当量を200以上とする事で架橋密度を下げ、可撓性を付与した事で、何れの実施例も電動機コイルにクラックの発生が認められず良好な結果となった。
表3に示す8種類の成分を通常の混合装置を用いて混合した後、真空脱泡して注形用エポキシ樹脂組成物を得た。なお、表中の部は実施例と同じく重量部である。
表3に示した比較例の各成分の略号は、以下の通りである。なお、実施例と共通する材料の説明は省略する。
(1)充填材
比較例でのみ使用した充填材は次のものである。
・略号AS−30:昭和電工(株)、丸み状アルミナ、商品名AS−30、平均粒径18μm
・略号AL−M44:住友化学工業(株)、破砕状アルミナ、商品名AL−M44、平均粒径3.5μm
・略号AA−2:住友化学工業(株)、丸み状アルミナ、商品名AA−2、平均粒径2μm
・略号AM−29B:住友化学工業(株)、破砕状アルミナ、商品名AM−29B、平均粒径6μm
・略号AKP−50:住友化学工業(株)、破砕状アルミナ、商品名AKP−50、平均粒径0.2μm
比較例でのみ使用した充填材は次のものである。
・略号AS−30:昭和電工(株)、丸み状アルミナ、商品名AS−30、平均粒径18μm
・略号AL−M44:住友化学工業(株)、破砕状アルミナ、商品名AL−M44、平均粒径3.5μm
・略号AA−2:住友化学工業(株)、丸み状アルミナ、商品名AA−2、平均粒径2μm
・略号AM−29B:住友化学工業(株)、破砕状アルミナ、商品名AM−29B、平均粒径6μm
・略号AKP−50:住友化学工業(株)、破砕状アルミナ、商品名AKP−50、平均粒径0.2μm
(2)反応性希釈剤
比較例でのみ使用した反応性希釈剤は次のものである。
・略号EX−141:ナガセケムテックス(株)、1官能性希釈剤、商品名デナコールEX−141、エポキシ当量151、
比較例でのみ使用した反応性希釈剤は次のものである。
・略号EX−141:ナガセケムテックス(株)、1官能性希釈剤、商品名デナコールEX−141、エポキシ当量151、
表3に示した各組成の注形用エポキシ樹脂組成物について、熱伝導率、沈降性、注形性、耐クラック性の4つの特性について評価を行った。その結果を表4に示す。なお、各注形用樹脂を硬化させる際には110℃で2時間、150℃で12時間の硬化条件で行った。
表4に示した比較例の各特性の評価方法は実施例と同様である。
表4に示した特性評価結果より、試料番号1〜3においては、実施例と比較して平均粒径の大きな充填剤を使用しているため、沈降性が大きく、その結果、電動機コイルにもクラックの発生がみられた。また、試料番号4〜7においては、増粘が大きく、電動機の線間での樹脂の未充填部分が多く発生し注形性が悪かった。試料番号8では、沈降性が極めて悪くなり、その結果、耐クラック性評価後の電動機コイルには多数のクラックが観察された。
以上、本発明について実施例をあげて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば、充填材として窒化ケイ素、シリコンカーバイト、酸化マグネシウムなど熱伝導率が10W/mK以上のものを使用しても同様の効果が得られる。また、硬化剤としてジアミノジフェニルメタンやジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ポリアミン化合物やテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸などの酸無水化合物を使用しても良い。また必要に応じてイミダゾール化合物や3級アミン化合物などを酸無水物化合物の硬化促進剤として添加しても良い。また難燃性が求められる場合には、ハロゲン系やリン系など各種難燃剤を添加しても良いし、三酸化アンチモンなどの難燃助剤を添加しても良い。また樹脂と充填材との密着性を改善するために、シランカップリング剤などの充填材の表面処理剤を使用しても良い。
本発明の注形用エポキシ樹脂組成物は、耐クラック性、熱伝導性が良好であり、また低粘度で注形、成形性に優れる事から、リレー、スイッチ、コンデンサ、パワーモジュールなどの絶縁封止用途にも適用できる。
1 沈降性評価用硬化物
2 電動機コイル
2 電動機コイル
Claims (7)
- 主剤と、充填材と、反応性希釈剤と、硬化剤とを必須成分とする注形用エポキシ樹脂組成物において、
前記充填材の配合量が、樹脂組成物全体に対して60〜75重量%であり、且つ前記充填材が、(A)平均粒径5〜12μmの球状または丸み状充填材、および (B)平均粒径0.5〜2μmの破砕状充填材からなり、A/(A+B)の比率が50〜95wt%であることを特徴とする注形用エポキシ樹脂組成物。 - 前記充填材の熱伝導率が10W/mK以上であることを特徴とする請求項1に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
- 前記充填材がアルミナであることを特徴とする請求項1または2記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
- 前記反応性希釈剤が、分子中に2個以上のエポキシ基を有し、且つエポキシ当量が200以上であり、且つ粘度が1000mPa・s(25℃)以下であるエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
- 前記硬化剤が、芳香族ポリアミン化合物、または酸無水物化合物であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1から6に記載の注形用エポキシ樹脂組成物を用いた電動機用モールドコイル。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2004227981A Pending JP2006045343A (ja) | 2004-08-04 | 2004-08-04 | 注形用エポキシ樹脂組成物およびそれを用いた電動機用モールドコイル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006045343A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007097329A1 (ja) | 2006-02-22 | 2007-08-30 | Tokyo Electron Limited | 成膜装置および発光素子の製造方法 |
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2004
- 2004-08-04 JP JP2004227981A patent/JP2006045343A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2007097329A1 (ja) | 2006-02-22 | 2007-08-30 | Tokyo Electron Limited | 成膜装置および発光素子の製造方法 |
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