JP2006020930A - リン酸カルシウム系骨補填材 - Google Patents

リン酸カルシウム系骨補填材 Download PDF

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Abstract

【課題】 インプラント初期においては、十分な機械的強度を有しており、しかも、生体吸収速度と骨伝導能とのバランスが良好であり、インプラント初期における骨形成、骨誘導促進作用に優れた骨補填材を提供する。
【解決手段】 リン酸カルシウム系セラミックス多孔体と、該多孔体を覆うβ‐TCP緻密体とからなり、前記リン酸カルシウム系セラミックス多孔体は、球状の気孔が全体にわたって連通した多孔質構造を有し、気孔率が60%以上80%以下、平均気孔径が100μm以上300μm以下、各気孔間の連通部の径が20μm以上100μm以下であり、前記β‐TCP緻密体は、気孔率が5%以上10%以下、平均気孔径が50μm以上500μm以下であり、内部の多孔体と連通した複数の孔を有し、該孔内に骨形成因子および/または成長因子を担持させたハイドロゲルが導入されているリン酸カルシウム系骨補填材を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、生体親和性に優れたリン酸カルシウム系化合物を主成分とし、内部に骨形成因子、成長因子等を担持した骨補填材に関する。
従来、脛骨や大腿骨等の大きな荷重がかかる部位の代替材料としては、ステンレス鋼、コバルト‐クロム系合金、チタン合金等の金属系材料、超高分子量ポリエチレン、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスが用いられていた。
生体硬組織代替材料として利用されている上記のようなセラミックスは、バイオセラミックスと呼ばれている。このバイオセラミックスは、高強度であり、生体内で安定に存在する生体不活性セラミックスと、生体内において生体骨と直接結合する生体活性セラミックスとに大別することができる。
前記生体不活性セラミックスは、生体との親和性には優れているが、直接結合することはほとんどない。
このため、生体不活性セラミックスをインプラント材として用いた場合には、該インプラント材が骨等の生体組織と接する界面に薄い結合組織が形成され、周囲の骨とは機械的な嵌合によって固定されているにすぎない。
したがって、長時間の使用により、緩み(ルーズニング)や脱落が生じるおそれがある。
一方、ハイドロキシアパタイト(HAp)、β‐リン酸三カルシウム(β‐TCP)を始めとする生体活性セラミックスは、優れた生体親和性および骨伝導能を有していることから、人工骨、人工関節、人工歯根等として臨床応用がなされている。
例えば、HApは、骨補填材として生体内に埋入した場合、これを足場として速やかに骨修復が行われ、新生骨と直接結合するという優れた骨伝導能を発揮する。また、β‐TCPも、生体内で分解され、徐々に新生骨に置換するという特徴を有している。
しかしながら、HApやβ‐TCPは、単体では、脆弱な材料であるため、その焼結体を人工骨や人工歯根に利用する場合には、機械的強度が問題となっていた。
HApやβ‐TCPの緻密体は、骨や歯と比較して、圧縮強度は十分であるが、破壊靱性値、引張強度、曲げ強度等が不十分であるという課題を有していた。
また、これらの緻密体は、実際の骨と比較して、弾性率が高く、周囲の骨がやせ細る等の悪影響を及ぼすことも懸念され、荷重のかかる部位に使用することは困難であった。
このため、従来は、例えば、特許文献1、2等に開示されているように、HApやβ‐TCPを多孔体または多孔質顆粒として、その表面を生体吸収性有機材料または生体適合性の高い材料で覆ったり、濃縮体液を付与することにより、前記多孔体の気孔内部や顆粒間に新生骨を形成させる方法、すなわち、骨充填材としての利用が多くなされていた。
特開2003−10310号公報 特開2003−32009号公報
ところで、リン酸カルシウム系セラミックスは、上述のように、骨伝導能に優れているが、そのうち、骨補填材として代表的なHApは、生体内ではほとんど吸収されないという課題を有していた。
これに対して、β‐TCPは、生体内での吸収性に優れており、骨伝導能の性質と併せることにより、骨補填材として好ましい材料となり得る。
しかしながら、β‐TCPは、1120〜1180℃でα‐TCPへの転移が生じる。α‐TCPは、β‐TCPに比べて、さらに溶解性が高く、生体吸収速度が大きく、しかも、機械的強度が低いことから、骨補填材として好ましい材料とは言えない。
このため、HApよりも焼成温度を低くしなければならないが、α相に転移しない低い温度でβ‐TCPを焼成した場合、一般に、緻密な焼結体を得ることは困難であった。
したがって、β‐TCPは、HApよりも機械的強度が低くなり、上述したように、荷重がかかる部位への適用は困難であった。
また、β‐TCPの多孔体は、HApよりも生体内での吸収速度が大きく、骨生成の遅い部位や大きな骨欠損部においては、骨形成速度とβ‐TCPの生体吸収速度とのバランスを保持するのが難しいという課題を有していた。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、インプラント初期においては、十分な機械的強度を有しており、しかも、生体吸収速度と骨伝導能とのバランスが良好であり、インプラント初期における骨形成、骨誘導促進作用に優れたリン酸カルシウム系骨補填材を提供することを目的とするものである。
本発明に係るリン酸カルシウム系骨補填材は、リン酸カルシウム系セラミックス多孔体と、該多孔体を覆うβ‐リン酸三カルシウム(β‐TCP)緻密体とからなり、前記リン酸カルシウム系セラミックス多孔体は、球状の気孔が全体にわたって連通した多孔質構造を有し、気孔率が60%以上80%以下、平均気孔径が100μm以上300μm以下、各気孔間の連通部の径が20μm以上100μm以下であり、前記β‐TCP緻密体は、気孔率が5%以上10%以下、平均気孔径が50μm以上500μm以下であり、内部の多孔体と連通した複数の孔を有し、該孔内に骨形成因子および/または成長因子を担持させたハイドロゲルが導入されていることを特徴とする。
このように、β‐TCP緻密体とリン酸カルシウム系セラミックス多孔体とを複合化させ、かつ、骨形成因子等が担持されたハイドロゲルが導入されることにより、インプラント初期において、β‐TCP緻密体と同程度の強度を保持し、骨形成の足場を確保することができ、かつ、骨形成、骨誘導促進作用を奏する骨補填材を提供することができる。
前記リン酸カルシウム系セラミックスは、HApまたはβ‐TCPであることが好ましい。
HApおよびβ‐TCPはいずれも、生体親和性、生体適合性に優れており、細胞の足場としても好適であり、骨補填材として好適な材料である。
また、前記多孔体および/または緻密体を構成するβ‐TCPのCaの一部がMgに置換されていることが好ましい。
これにより、焼成温度をHApと同程度まで高くすることができるため、β‐TCP焼結体の機械的強度の向上および焼結性の改善を図ることができる。
前記ハイドロゲルには、粒径が5μm以上20μm以下であり、表層が多孔質構造を有している中空球状のβ‐TCP粒子が混合され、該粒子内に骨形成因子および/または成長因子が担持されていることが好ましい。
このように、ハイドロゲル内に、中空球状のβ‐TCP粒子を介して、骨形成因子および/または成長因子を担持させることにより、骨形成因子および/または成長因子を徐放させることができ、長期にわたって効率的に、細胞の成長および骨形成の促進効果を持続させることができる。
上述したとおり、本発明に係るリン酸カルシウム系骨補填材は、インプラント初期においては、十分な機械的強度を有しており、しかも、生体吸収速度と骨伝導能とのバランスが良好であり、インプラント初期における骨形成、骨誘導促進作用に優れている。
さらに、本発明によれば、ハイドロゲル内に骨形成因子、成長因子の他、抗生物質等を担持させた中空球状のβ‐TCP粒子を担持させることにより、1つの部材で、ドラッグデリバリーシステム(DDS)効果も有した骨補填材を提供することができる。
以下、本発明について、より詳細に説明する。
本発明に係るリン酸カルシウム系骨補填材は、内側がリン酸カルシウム系セラミックス多孔体、外側がβ‐TCP緻密体という2層構造を有している。そして、前記β‐TCP緻密体の一部に、骨形成因子および/または成長因子を担持させたハイドロゲルが導入されている。
このように、β‐TCP緻密体とリン酸カルシウム系セラミックス多孔体とを複合化させ、かつ、ハイドロゲルが導入されることにより、インプラント初期には、β‐TCP緻密体と同程度の強度を保持することができる。
また、前記β‐TCP緻密体に、骨形成因子および/または成長因子を担持させたハイドロゲルを導入することにより、インプラント初期において、骨形成、骨誘導促進作用を奏する骨補填材を提供することができる。
前記リン酸カルシウム系セラミックス多孔体の内部は、多数の球状の気孔が三次元的に分布し、隣接する気孔同士が相互に連通した気孔を有する構造となっている。
気孔同士が連通していることにより、該多孔体の内部への細胞の侵入が促進されるため、骨の形成促進を図ることができる。
なお、球状の気孔とは、厳密な真球状に限定されるものではなく、真球がやや扁平したり、歪んだりした形状等の気孔も含む。
また、前記リン酸カルシウム系セラミックス多孔体としては、多孔体中の表面積、血液や体液等の浸透性、細胞の侵入および付着容易性等の観点から、気孔率が60%以上80%以下、平均気孔径が100μm以上300μm以下のものを用いる。
前記平均気孔径が100μm未満である場合は、該多孔体の内部に、骨細胞または骨細胞となり得る細胞が侵入しにくくなり、気孔内部での骨の形成促進を十分に図ることができない。
一方、前記平均気孔径が300μmを超える場合は、空間が大きすぎるため、気孔内に侵入した細胞が係留されにくく、十分に定着することが困難となり、この場合も、気孔内部での骨の形成促進効果は不十分となる。
また、前記多孔体の隣接する気孔間の連通部の径は、20μm以上100μm以下であることが好ましい。
上記範囲内の大きさを有する連通部であれば、細胞や生体組織が侵入可能であり、多孔体内部での骨の形成促進を図ることができる。
なお、この気孔間の連通部の径は、水銀ポロシメータを用いた細孔径分布測定から求めることができる。
前記多孔体を構成するリン酸カルシウム系セラミックスとしては、HAp、β‐TCP等が好適に用いられる。
HApは、骨の主組成成分であり、人体への適用も既に認められており、骨との同化性、癒着性、早期回復および比較的高強度である等の観点から好ましい。また、細胞の足場としても好適である。
同様に、β‐TCPも、生体親和性、生体適合性に優れた好適な材料である。
上記のような多孔質構造を有するリン酸カルシウム系セラミックス多孔体は、リン酸カルシウム系セラミックス原料を含むスラリーを撹拌起泡させる方法によって、容易に作製することができる。
なお、このようにして製造されたHAp焼結体からなる多孔体は、NEOBONE(登録商標)という製品名で市販されている。
撹拌起泡により気孔が形成された多孔体は、気孔を区画する骨格自体は緻密であり、気孔がほぼ球状となり、高強度を得ることができ、また、毛管現象により、細胞や血液等が浸透しやすい性状が得られる。さらに、単位体積当たりの表面積が大きく、侵入した細胞の足場としても好適な性状となりやすい等の優れた特性を有している。
また、前記リン酸カルシウム系セラミックス多孔体を覆うβ‐TCP緻密体は、気孔率が5%以上10%以下、平均気孔径が50μm以上500μm以下であり、内部の多孔体と連通した複数の孔を有している。
骨補填材としての十分な機械的強度を保持し、かつ、ハイドロゲルを孔内に導入する観点から、上記のような気孔率および内部構造であることが好ましい。
前記緻密体の平均気孔径は、上記のように、50μm以上500μm以下であることが好ましい。
孔にハイドロゲルを導入するためには、50μm以上の孔径であることが好ましく、また、一般に、骨補填材内部への生体組織、血管、細胞等の侵入のためには、10μm以上の孔径の連通孔が必要である。さらに、気孔内での骨形成には、孔径100μm以上500μm以下の気孔が適していることによるものである。
前記緻密体の孔内には、骨形成因子および/または成長因子を担持させたハイドロゲルが導入されている。
これにより、インプラント初期において、β‐TCP緻密体によって細胞の足場が提供され、ハイドロゲル内に担持させた骨形成因子、成長因子によって、インプラント初期の骨形成、骨誘導が促進される。
β‐TCP緻密体は、多孔体に比べて、生体骨との置換に時間を要するが、ハイドロゲルは、インプラント初期の段階で分解・吸収されるため、β‐TCP緻密体の孔内へのハイドロゲルの導入によって、内側の多孔体への新生骨および生体組織等の侵入が可能となる。
ここで、骨形成因子、成長因子とは、骨の形成、成長を促進するための細胞や活性化物質である。例えば、軟骨細胞、骨芽細胞、繊維芽細胞、内皮細胞、上皮細胞、筋芽細胞、脂肪細胞、肝細胞、神経細胞、または、これらの前駆細胞、間葉系幹細胞または胚性幹細胞(ES細胞)等が挙げられる。
これらは、1種類でもよく、また、複数種類を用いてもよい。
また、ハイドロゲルとは、多量に水を含む親水性ポリマーを意味するものである。
該親水性ポリマーとしては、水溶性、生分解性のものが好ましく、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。これらの中でも、特に、生体内で分解・吸収される物質であり、かつ、生体に対する安全性が高いことから、ゼラチンが好適に用いられる。
前記ハイドロゲルには、骨形成因子および/または成長因子を直接担持させるだけでもよいが、さらに、前記骨形成因子および/または成長因子を中空球状のβ‐TCP粒子に担持させたものを担持させてもよい。
このように、ハイドロゲル内に、中空球状のβ‐TCP粒子を介して、骨形成因子および/または成長因子を担持させることにより、ハイドロゲルに混合した中空球状のβ‐TCP粒子から骨形成因子および/または成長因子を徐放させることができ、薬理機能および組織再生を促進する機能を持続させることができる骨補填材を提供することができる。
前記中空球状のβ‐TCP粒子を用いずに、ハイドロゲルのみに骨形成因子および/または成長因子を担持させた場合であっても、従来のように、骨形成因子および/または成長因子を含む液を多孔体に直接浸漬させた場合よりも、担持量を10倍以上増量することができるが、上述のように、ハイドロゲルは、インプラント初期の段階で、分解・吸収されてしまう。
したがって、ハイドロゲルに直接担持された骨形成因子および/または成長因子は、インプラント初期の骨形成促進に寄与するものとし、一方、中空球状のβ‐TCP粒子に担持された骨形成因子および/または成長因子は、長期間にわたって徐放されるため、骨形成作用を数ヶ月程度持続させるようにすることができる。
また、ハイドロゲルおよび中空球状のβ‐TCP粒子に担持させる骨形成因子等の種類を変えることにより、1つの部材上に複数の骨形成因子等を担持させることができる。
さらに、ハイドロゲルおよび中空球状のβ‐TCP粒子には、感染症対策のための抗生物質等の薬剤を担持させることも可能である。
このように、担体として中空球状のβ‐TCP粒子を利用することにより、ドラッグデリバリーシステム(DDS)効果を有する骨補填材を提供することができる。
前記中空球状のβ‐TCP粒子は、粒径が5μm以上20μm以下であり、表層が多孔質構造を有しているものが好適に用いられる。
このβ‐TCP粒子は、ハイドロゲルに混合して、前記β‐TCP緻密体の孔内に導入するため、上記範囲内の粒径であることが好ましく、また、骨形成因子および/または成長因子を担持し、徐放させるため、上記のように、表層が多孔質であり、かつ、中空球状の形態であることが好ましい。
なお、ここでいう球状とは、厳密な真球状に限定されるものではなく、真球がやや扁平したり、歪んだりした形状のもの等も含む。
上記のような形態のβ‐TCP粒子は、例えば、以下のような製法により得ることができる。
まず、Ca(NO32および(NH42HPO4を出発物質として、Ca/P比が1.50となるように調製した溶液を用いて、二流体ノズルにより噴霧し、600℃で熱分解させて、β‐TCPの粉体を得る。
この得られた粉体をさらに900℃で焼成することにより、外壁には直径0.1〜1μm程度の微細な孔が開いており、これらが中空部とつながっている中空球状の形態を有するβ‐TCP粒子が得られる。
また、本発明に係る骨補填材において、前記多孔体をβ‐TCPにより構成する場合、および、前記β‐TCP緻密体は、これらを構成するβ‐TCPのCaは、その一部がMgに置換されていることが好ましい。
このような置換は、β‐TCP粉体合成時にMgを添加することによって容易に行うことができる。これにより、焼成温度をHApと同程度まで高くすることが可能となるため、β‐TCP焼結体の機械的強度の向上および焼結性の改善を図ることができる。
上記のような本発明に係る骨補填材は、例えば、以下に示す方法により製造することができる。
まず、上述したように撹拌起泡により作製した所定形状のリン酸カルシウム系多孔質ゲル化体の周囲に、β‐TCPスラリーを鋳込み、多孔質/緻密質複合ゲル化体を作製する。このとき、β‐TCPの緻密質ゲル化体には、型等を用いて、直径50〜500μmの多数の孔が一定間隔で開くようにする。孔径および孔数は、材料の形状や用途に応じて、適宜変更すればよい。
得られた複合ゲル化体を乾燥後、1000〜1200℃程度で焼成し、焼結体を得る。
一方、上述した噴霧熱分解法等により作製した中空球状のβ‐TCP粒子に骨形成因子および/または成長因子の溶液を含浸させて、該粒子の中空内部に骨形成因子および/または成長因子を担持させる。
そして、この中空球状のβ‐TCP粒子をハイドロゲルに機械的に混合したものを、前記焼結体の緻密体部の孔内に導入し、凍結乾燥後、該ハイドロゲルに、さらに、骨形成因子および/または成長因子を担持させることにより、骨補填材が得られる。
なお、本発明に係る骨補填材の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、ブロック状、円柱状等とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例]
平均粒子径1μmのHAp原料粉末400.00gに、分散媒として15重量%ポリエチレンイミン水溶液327.27gを加え、ボールミルで48時間混合してスラリーを調製した。
得られたスラリー100.00gに気泡剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル0.24gを添加し、機械的撹拌により泡沫状のスラリーを得た。
この泡沫状スラリーに、架橋剤としてソルビトールポリグリシジルエーテル1.96gを添加し、混合した後、型に鋳込み、脱型して多孔質ゲル化体を得た。
一方、平均粒子径1μmのβ‐TCP原料粉末400.00gに、分散媒として15重量%ポリエチレンイミン水溶液327.27gを加え、ボールミルで48時間混合してスラリーを調製した。
このβ‐TCPスラリー100.00gに架橋剤としてソルビトールポリグリシジルエーテル1.96gを添加し、混合した後、前記多孔質ゲル化体の周囲に鋳込み、多孔質/緻密質複合ゲル化体を作製した。このとき、β‐TCPの緻密質ゲル化体に直径50〜500μmの多数の孔を一定間隔で開けるための型を用いた。
脱型した複合ゲル化体を30℃、湿度90%の加湿乾燥機内で一昼夜乾燥させ、成形体(乾燥体)を得た。
この成形体を1200℃で1時間焼成し、焼結体を得た。
得られた焼結体は、内側が多孔体、外側は気孔径が50〜500μmの孔が一定間隔で開いた緻密体からなるものであった。
また、Ca/P比が1.50となるように調製したCa(NO32および(NH42HPO4溶液を用いて、二流体ノズルにより噴霧し、600℃で熱分解して得られた粉末を900℃で焼成することにより、外壁に微細な孔を有する粒径5〜20μmの中空球状のβ‐TCP粒子を作製した。
この中空球状のβ‐TCP粒子に骨形成因子および成長因子の溶液を含浸させて、該粒子の中空内部に骨形成因子および成長因子を担持させた。
この骨形成因子および成長因子を担持させた中空球状のβ‐TCP粒子をゼラチンハイドロゲルに機械的に混合したものを、前記緻密体の孔内に導入した。
そして、ハイドロゲルゲルが導入された焼結体を凍結乾燥後、該ハイドロゲルに、さらに、骨形成因子および成長因子を担持させ、骨補填材を作製した。
作製した骨補填材(直径6mm、高さ10mmの円柱状、内側はHAp多孔体、外側の緻密体の厚さ約1.5mm)を、体重3kg前後の日本白色成熟家兎の大腿骨に埋め込んだ。
術後1,3,6,12週経過後、再び切開して大腿骨を摘出し、骨補填材周辺の組織から非脱灰研磨標本を作製して、HE染色による組織学的な評価を行った。
術後1週目には、ハイドロゲルの溶出とともに、その気孔内への新生骨の侵入および内側のHAp多孔体部への新生骨の侵入が一部で観察された。
3週目には、多孔体深部でも活発な新生骨の形成が観察され、一部気孔内に新生骨髄も観察された。また、ハイドロゲル内に担持させた中空球状のβ‐TCP粒子が一部溶解している様子が観察され、その周囲での骨形成も観察された。
6週目には、外側のβ‐TCP緻密体の分解とともに、多孔体深部での新生骨髄を伴う活発な新生骨の形成が観察された。
12週目には、β‐TCP緻密体の分解および中空球状のβ‐TCP粒子の分解が進むとともに、その周囲での新生骨の形成が観察された。また、内部のHAp多孔体周囲では、経時的に新生骨の量が増加していき、幼若な新生骨が徐々に成熟していく様子が観察された。
[比較例]
上記実施例と同様にして、内側が多孔体、外側は気孔径が50〜500μmの孔が一定間隔で開いた緻密体からなる焼結体を作製し、これにハイドロゲルを導入せずに、上記実施例と同じ骨形成因子および成長因子を直接含浸させたものを骨補填材とした。
この骨補填材について、上記実施例と同様にして、家兎の大腿骨に埋め込み、術後1,3,6,12週経過後、骨補填材周辺の組織の評価を行った。
術後1週目には、緻密体の気孔内への新生骨の侵入が観察され、一部では、内側のHAp多孔体部への新生骨の侵入も観察された。
3週目には、多孔体の深部での骨形成が観察されたが、骨髄は確認できなかった。
6週目には、外側のβ‐TCP緻密体の分解とともに、多孔体深部での新生骨髄を伴う新生骨の形成を確認することができた。
12週目には、β‐TCP緻密体の分解がさらに進むとともに、内部のHAp多孔体周囲では、経時的に新生骨の量が増加していく様子が観察された。
以上の結果から、骨形成因子や成長因子を担持させたハイドロゲルを導入した骨補填材(実施例)は、ハイドロゲルを導入しないもの(比較例)よりも優れた骨伝導能を有しており、インプラント初期において骨形成を促進することが認められた。
また、ハイドロゲル内に担持させた中空球状のβ‐TCP粒子からも骨形成因子等が徐放されるため、長期間にわたって効率的に、細胞の成長および骨形成を促進することができることが認められた。

Claims (4)

  1. リン酸カルシウム系セラミックス多孔体と、該多孔体を覆うβ‐リン酸三カルシウム緻密体とからなり、
    前記リン酸カルシウム系セラミックス多孔体は、球状の気孔が全体にわたって連通した多孔質構造を有し、気孔率が60%以上80%以下、平均気孔径が100μm以上300μm以下、各気孔間の連通部の径が20μm以上100μm以下であり、
    前記β‐リン酸三カルシウム緻密体は、気孔率が5%以上10%以下、平均気孔径が50μm以上500μm以下であり、内部の多孔体と連通した複数の孔を有し、該孔内に骨形成因子および/または成長因子を担持させたハイドロゲルが導入されていることを特徴とするリン酸カルシウム系骨補填材。
  2. 前記リン酸カルシウム系セラミックスが、ハイドロキシアパタイトまたはβ‐リン酸三カルシウムであることを特徴とする請求項1記載のリン酸カルシウム系骨補填材。
  3. 前記多孔体および/または緻密体を構成するβ‐リン酸三カルシウムのCaの一部がMgに置換されていることを特徴とする請求項2記載のリン酸カルシウム系骨補填材。
  4. 前記ハイドロゲルには、粒径が5μm以上20μm以下であり、表層が多孔質構造を有している中空球状のβ‐リン酸三カルシウム粒子が混合され、該粒子内に骨形成因子および/または成長因子が担持されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のリン酸カルシウム系骨補填材。
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