JP2006016369A - シラン化合物の製造方法及びシラン化合物 - Google Patents

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和也 佐藤
Masami Yusa
正己 湯佐
Takanobu Kobayashi
隆伸 小林
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貢 藤縄
Isao Tsukagoshi
功 塚越
Hideyuki Matsumoto
英之 松本
Masafumi Unno
雅史 海野
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Abstract

【課題】接着剤組成物に添加することで、その接着剤組成物に対して、長期間保存後も十分強固な界面接着強度を付与できるシラン化合物を製造するための製造方法を提供。
【解決手段】下記一般式(1)のアルキル(フェニル)シリルハライドと、下記一般式(2)等で表される特定のシリルエーテル化合物と、を反応させるシラン化合物の製造方法。
Figure 2006016369

Figure 2006016369

【選択図】なし

Description

本発明は、シラン化合物の製造方法に関する。
シラン化合物は電子材料のポッティング剤、コーティング剤、接着剤の界面接着力向上剤等に用いられている。中でも分子中に窒素原子を含有するシラン化合物は、接着剤組成物に添加した場合、界面接着力向上には有効であるが、その一方で接着剤組成物の保存安定性を低下させる傾向にある。
このような状況のなか、分子中に窒素原子を含有するシラン化合物であるN−トリメチルシリル―γ―アミノプロピルトリエトキシシランを、弾性接着剤等に用いられるポリオルガノシロキサン組成物に含有させた場合、界面接着強度が向上するだけでなく、保存安定性も向上する旨が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。これは、N−トリメチルシリル―γ―アミノプロピルトリエトキシシランがポリオルガノシロキサン組成物を製造又は密閉保存する際に発生するアルコールを捕捉する特性を有することを利用したものである。
特開昭62-62863号公報 特開平08-41345号公報
しかしながら、本発明者らが特許文献1、2に記載のN−トリメチルシリル―γ―アミノプロピルトリエトキシシランを始めとする従来のシラン化合物を詳細に検討したところ、特に特許文献1又は2に記載のN−トリメチルシリル―γ―アミノプロピルトリエトキシシランは易分解性化合物であることを見出した。そのため、特許文献1又は2に記載のN−トリメチルシリル―γ―アミノプロピルトリエトキシシランを接着剤組成物に添加すると、該組成物の保存安定性は十分でないことが明らかになった。
特にこのシラン化合物を一液性のエポキシ系接着剤やアクリレート系接着剤に添加した場合、これらの接着剤を長期間保存した後に用いると、N−トリメチルシリル―γ―アミノプロピルトリエトキシシランの分解が進行し、捕捉されないアルコールが残存するため、十分な界面接着強度が得られない傾向にあることを見出した。
そこで本発明は、接着剤組成物に添加することにより、その接着剤組成物に対して、長期間保存後も十分強固な界面接着強度を付与できるシラン化合物を製造するための製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、従来のシラン化合物よりも置換基の分子サイズが大きなシラン化合物を接着剤組成物に含有させると、その接着剤組成物の界面接着強度及び保存安定性を改良できる傾向にあることを見出した。それと同時に、シラン化合物の置換基の分子サイズを大きくしすぎると、界面接着強度が低下する傾向にあることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づいて、更に詳細に検討したところ、窒素原子に結合した置換シリル基を有するシラン化合物において、置換シリル基の置換基が、接着剤組成物の長期間保存後の界面接着強度に大きな影響を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のシラン化合物の製造方法は、下記一般式(1)で示されるアルキル(フェニル)シリルハライドと、下記一般式(2)又は(3)で示されるアミノ基を有するシリルエーテル化合物と、を反応させることを特徴とする。
Figure 2006016369
式(1)中、Rは炭素数2〜12の直鎖アルキル基若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜12の直鎖アルキル基若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基を示し、Xはハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を示す。
Figure 2006016369
Figure 2006016369
式(2)及び(3)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜12の直鎖アルキル基若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基を示し、nは1〜6の整数を示す。
これらを反応させることによって、比較的容易にシラン化合物を製造することができる。また、上記一般式(1)で示されるアルキル(フェニル)シリルハライド、及び上記一般式(2)又は(3)で示されるアミノ基を有するシリルエーテル化合物の置換基を変換することによって、本発明の製造方法で製造されるシラン化合物の特性を調整することが可能となる。すなわち、Rが炭素数2〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基であり、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基とすることにより、本発明の製造方法で製造されるシラン化合物は、接着剤組成物に添加しても、その接着剤組成物に対して長期間保存後も十分強固な界面接着強度を得ることができる。
この理由は定かではないが、窒素原子に結合するシリコン原子の置換基の構造や極性が、窒素原子を含有するシラン化合物の特性に影響しているものと考えられる。ただし、要因はこれに限定されない。
上記のシラン化合物の製造方法において、R、R、R、R、R及びRが、シクロアルキル基の炭素数が4〜8であり、置換フェニル基の置換基が1価の有機基又はハロゲン原子であることが好ましい。
また上記シラン化合物の製造方法において、Rが炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、又はフェニル基であり、R及びRがそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基であり、R、R及びRがそれぞれ独立に、メチル基又はエチル基であることがより好ましく、R、R及びRがそれぞれ独立に、イソプロピル基又はフェニル基であり、R、R及びRがエチル基であることが更に好ましい。
上記R、R、R、R、R及びRをこれらの置換基とすることにより、本発明の製造方法で製造されるシラン化合物は、接着剤組成物に添加しても、その接着剤組成物に対して長期間保存後も一層強固な界面接着強度を得ることができる。
上記シラン化合物の製造方法において、上記一般式(1)のXが塩素であることが好ましい。Xが塩素であるアルキル(フェニル)シリルクロライドは、安価で入手が容易である。
上記シラン化合物の製造方法において、更に塩基性化合物を用いることが好ましい。これにより本反応の際に発生する酸を捕捉することができるため、比較的温和な条件で反応を促進することができる。
本発明によれば、接着剤組成物に添加することにより、その接着剤組成物に対して、長期間保存後も十分強固な界面接着強度を付与できるシラン化合物を製造することができる。
以下、本発明に係る新規シラン化合物の製造方法に係る好適な実施形態について説明する。
本実施形態に係るシラン化合物の製造方法の具体例としては、第一級アミノ基を有するシリルエーテル化合物とアルキル(フェニル)シリルハライドとのカップリング反応(以下、単に「反応」という。)である。この製造方法により、脱ハロゲン化水素が起こり、アミノ基を有するシリルエーテル化合物におけるアミノ基の水素原子をアルキル(フェニル)シリル基で置換したシラン化合物を得ることができる。
アルキル(フェニル)シリルハライドとしては、下記一般式(1)に示す構造を有するものが挙げられる。
Figure 2006016369
式(5)中、Rは炭素数2〜12の直鎖アルキル基若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜12の直鎖アルキル基若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基を示し、Xはハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を示す。
上記一般式(1)において、窒素原子に結合するシリコン原子の置換基であるR、R及びRの嵩高さが大きくなるほど、製造されるシラン化合物を接着剤組成物に含有させた場合に、その接着剤組成物の保存安定性が向上する。一方、上記R、R及びRがすべて嵩高さの小さいメチル基である場合は、製造されるシラン化合物を接着剤組成物に含有させた場合に、その接着剤組成物の保存安定性が低下する傾向にある。
従って、本実施形態のシラン化合物の製造方法において、保存安定性向上の観点からは、上記R、R及びRのうち、Rが炭素数2以上のアルキル基、炭素数4以上のシクロアルキル基又はフェニル基であるアルキル(フェニル)シリルハライドを採用する。
また、窒素原子に結合するシリコン原子の置換基であるR、R及びRは嵩高さが小さくなるほど製造されるシラン化合物を接着剤組成物に含有させた場合に、その接着剤組成物の界面接着強度が向上する傾向にある。一方、上記R、R及びRの嵩高さが大きくなるほど、製造されるシラン化合物を接着剤組成物に含有させた場合に、その接着剤組成物の界面接着強度が低下する傾向にある。
従って、本実施形態のシラン化合物の製造方法において、界面接着強度向上の観点からは、上記R、R及びRのうち、Rは炭素数12以下のアルキル基、炭素数8以下のシクロアルキル基又はフェニル基であり、R及びRはそれぞれ独立に炭素数12以下のアルキル基、炭素数8以下のシクロアルキル基又はフェニル基であるアルキル(フェニル)シリルハライドを採用する。
これらを総合的に勘案すると、接着剤組成物に添加した際の高い界面接着強度と、保存安定性とを両立できるアルキル(フェニル)シリルハライドとして、上記一般式(1)の構造を有する化合物となる。
この中でも、上記R、R及びRにおいて、上記シクロアルキル基は、炭素数が4〜8のものであることが好ましく、上記置換フェニル基の置換基は、1価の有機基又はハロゲン原子であることが好ましい。
また、上記式(1)において、上記Rが炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又はフェニル基であり、上記R及びRがそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又はフェニル基であることが好ましく、上記Rがイソプロピル基、t−ブチル基又はフェニル基であることがより好ましい。
また、原料のコストや入手の容易性を勘案すると、上記式(5)において、Xが塩素であるアルキル(フェニル)シリルクロライドを用いることが好ましい。
一方、第一級アミノ基を有するシリルエーテル化合物としては、下記一般式(2)及び(3)に示す構造を有するものが挙げられる。
Figure 2006016369
Figure 2006016369
式(2)及び(3)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜12の直鎖アルキル基若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基を示し、nは1〜6の整数を示す。
この中でも、上述のR、R及びRにおいて、上記シクロアルキル基は、炭素数が4〜8のものであることが好ましく、上記置換フェニル基の置換基は、1価の有機基又はハロゲン原子であることが好ましい。
また、上記式(3)及び(4)において、上述のR、R及びRがそれぞれ独立にメチル基又はエチル基であることがより好ましく、すべてがエチル基であることが特に好ましい。
なお、本実施形態のシラン化合物の製造方法において、上述したアルキル(フェニル)シリルハライド及びシリルエーテル化合物は、それぞれ一種類を単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記アルキル(フェニル)シリルハライド及びシリルエーテル化合物の置換基R、R、R、R、R及びRを上述した好ましい形態の置換基とすることによって、本実施形態で製造されるシラン化合物は、接着剤組成物に添加しても、その接着剤組成物に対して長期間保存後も十分強固な界面接着強度を得ることができる。
本実施形態のシラン化合物の製造方法によれば、上記アルキル(フェニル)シリルハライド及びシリルエーテル化合物を反応させることによって、比較的容易に所望のシラン化合物を製造することができる。また、上記一般式(1)で示されるアルキル(フェニル)シリルハライド、及び上記一般式(2)又は(3)で示されるアミノ基を有するシリルエーテル化合物の置換基を変換することによって、製造されるシラン化合物の特性を調整することが可能となる。
この反応で使用する第一級アミノ基を有するシリルエーテル化合物とアルキル(フェニル)シリルハライドの反応比率は、第一級アミノ基を有するシリルエーテル化合物のアミノ基1モル当量に対して、アルキル(フェニル)シリルハライドのハロゲン原子が0.1〜10モル当量の範囲が好ましく、0.7〜1.5モル当量の範囲がより好ましく、0.8〜1.3モル当量の範囲が更に好ましい。アルキル(フェニル)シリルハライドのハロゲン元素が0.1モル当量未満、または10モル当量を超える場合、シラン化合物の合成自体は可能であるが、未反応のまま回収される原料の量が多くなり、反応効率が十分ではない。
また、この反応には塩基性化合物を添加することが好ましい。これにより反応の際に発生する酸を捕捉することができるため、比較的温和な条件で反応を促進することができる。この塩基性化合物としては特に限定されず、通常公知のものを用いることができるが、具体的にはピリジン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムアミド等のアミン系塩基、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物、苛性カリウム、苛性ソーダ等の金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等の金属アルコキシド、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム等の有機金属化合物、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム等のグリニアル反応剤等が挙げられる。
この反応で塩基性化合物を使用する場合、その量は第一級アミノ基を有するシリルエーテル化合物のアミノ基1モル当量に対して、塩基性化合物が0.1〜1000モル当量の範囲が好ましく、0.5〜5モル当量の範囲がより好ましく、0.7〜2モル当量の範囲が更に好ましい。塩基性化合物が0.1モル当量未満の場合、実質的な添加効果が発現されない傾向にあり、1000モル当量を超えてもシラン化合物の製造自体は可能であるが、回収される塩基性化合物の量が多くなり、反応効率が十分ではない。ただし、塩基性化合物が反応温度で液体であり、溶媒として使用する場合には1000モル当量を超えて使用してもなんら問題はない。
本実施形態のシラン化合物の製造方法では、溶媒を用いないで行うことも可能であるが、反応液の流動性を保つために、溶媒を用いて行うこともできる。溶媒を用いる場合、反応を阻害したり、副反応を進行させたりする溶媒以外であれば、特に限定されず用いることができる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等が好ましく用いられる。これらの溶媒は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
この反応は加圧、減圧または大気圧のいずれの圧力下でも行うことができるが、操作の簡便性から、大気圧雰囲気下で行うことが好ましい。また、アルキル(フェニル)シリルハライドは反応性に優れることから、シリルエーテル化合物を撹拌しながら、シリルエーテル化合物中に少しずつ滴下することが好ましい。
更にアルキル(フェニル)シリルハライドを滴下する際には、乾燥気体の充填下や、乾燥気流下で行うと水分由来の副反応が抑えられるため好ましく、乾燥させた窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の不活性ガス雰囲気下で行うことがより好ましく、乾燥窒素、乾燥アルゴン雰囲気下で行うことが更に好ましい。本反応を行う際に水分や酸素が混入すると、反応性の高いシリルエーテル化合物、アルキル(フェニル)シリルクロライド等は、副反応を引き起こす傾向にあり、所望のシラン化合物の収率が低下する傾向にある。
また、反応系内には、第四アンモニウム塩、第四ホスホニウム塩等の触媒を添加しても良い。触媒を添加することによって、反応速度を高めたり、所望のシラン化合物の収率を高めることができる。
本実施形態のシラン化合物の製造方法における反応の進行具合および反応の終点は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄相クロマトグラフィー、核磁気共鳴スペクトル、及び赤外吸収スペクトル等によって確認することができる。
反応終了後は、反応液をろ過、精製して、目的のシラン化合物が得られる。
本実施形態のカップリング反応によって得られるシラン化合物を精製する方法は特に限定されないが例えば、蒸留、再結晶、再沈殿、減圧蒸留、液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフ等の物性に合わせた方法で適宜行うことができる。
また、この反応によって得られるシラン化合物を特定するための分析手段は特に限定されないが例えば、赤外吸収スペクトル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、質量スペクトル(MS)、元素分析、X線結晶解析等の手段により、官能基や水素原子の結合位置、分子量、化学組成等を確認することができる。
こうして得られるシラン化合物は、例えば、以下のような特性を有する。例えば、安定性については、密栓をして冷暗所で保存することが望ましい。また、用途については、他のシリコン系化合物との相溶性に優れるため、シランカップリング剤として用いることができ、また、アルコールとの相溶性にも優れるため、アルコール捕捉剤としての用途にも用いることができる。
また、本実施形態の製造方法によって得られるシラン化合物は、一液性の接着剤組成物の構成材料として好適に用いることができる。また、熱硬化性組成物あるいは光硬化性組成物を構成する反応性化合物として応用することができる。さらには、塗料、電気・電子材料、半導体材料、光学材料、光ファイバー、光導波路、単層および多層配線板材料、レジスト、ドライフィルムレジスト等、多種多様な用途に応用することができる。
本実施形態の製造方法によって得られるシラン化合物としては、下記一般式(4)及び(5)で表される構造が挙げられる。
Figure 2006016369
Figure 2006016369
式(4)及び(5)中、Rは炭素数2〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を示し、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を示し、nは1〜6の整数を示す。
その中でも窒素原子に結合した置換シリル基の置換基が、接着剤組成物の長期間保存後の界面接着強度及び保存安定性に大きな影響を与える。
上記式(4)又は(5)で表されるシラン化合物の具体的な構造としては、下記表1〜8に示す、下記一般式(1−1)〜(1−50)及び(2−1)〜(2−50)で表される化合物が好ましい例として挙げられる。なお、式(1−1)〜(1−50)及び(2−1)〜(2−50)中、Meはメチル基、Etはエチル基、Proはn−プロピル基、Buはn−ブチル基、Phはフェニル基をそれぞれ意味する。
Figure 2006016369
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Figure 2006016369
Figure 2006016369
Figure 2006016369
Figure 2006016369
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以下、本発明を実施例に従い更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1:N−トリ(イソプロピル)シリル―γ―アミノプロピルトリエトキシシランの合成例]
30mLのガラス製反応容器に乾燥窒素を充填し、ここにアミノ基を有するシリルエーテル化合物であるγ−アミノプロピルトリエトキシシラン1.00g(チッソ社製、商品名:サイラエースS330)と、塩基性化合物であるトリエチルアミン0.492g(和光純薬工業社製)と、溶媒である脱水ヘキサン10mL(和光純薬工業社製)とを加えて、均一になるまで撹拌して混合液を得た。次に、得られた混合液に、アルキル(フェニル)シリルハライドであるトリイソプロピルシリルクロライド0.824g(チッソ社製)を10分間かけて滴下し、25℃で48時間撹拌して反応を終了した。その後、析出したトリエチルアミン塩酸塩をガラスフィルターでろ別し、ヘキサンを留去した。次に、減圧蒸留を行い、下記式(6)で表されるN−トリ(イソプロピル)シリル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(沸点:180℃/67Pa)0.99gを得た。(収率55%)
Figure 2006016369
なお、得られたN−トリ(イソプロピル)シリル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランの赤外線吸収スペクトルを図1に、NMRスペクトルを図2にそれぞれ示す。
[実施例2:N−(ジフェニルイソプロピル)シリル―γ―アミノプロピルトリエトキシシランの合成例]
トリイソプロピルシリルクロライドに代えて、ジフェニルイソプロピルシリルクロライド1.23g(塩化イソプロピルマグネシウムとジクロロジフェニルシランからの合成品:第4版実験化学講座24 有機合成VI 145頁参照。)を用いた以外は合成例1と同様にして反応を行い、下記式(7)で表されるN−(ジフェニルイソプロピル)シリル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(沸点:250℃/80Pa)(シラン化合物B)1.12gを得た。(収率53%)
Figure 2006016369
なお、得られたN−(ジフェニルイソプロピル)シリル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランの赤外線吸収スペクトルを図3に、NMRスペクトルを図4にそれぞれ示す。
N−トリ(イソプロピル)シリル―γ―アミノプロピルトリエトキシシランの赤外吸収スペクトルを示す図である。 N−トリ(イソプロピル)シリル―γ―アミノプロピルトリエトキシシランのH−NMRスペクトルを示す図である。 N−(ジフェニルイソプロピル)シリル―γ―アミノプロピルトリエトキシシランの赤外吸収スペクトルを示す図である。 N−(ジフェニルイソプロピル)シリル―γ―アミノプロピルトリエトキシシランのH−NMRスペクトルを示す図である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されるアルキル(フェニル)シリルハライドと、下記一般式(2)又は(3)で表されるアミノ基を有するシリルエーテル化合物と、を反応させることを特徴とするシラン化合物の製造方法。
    Figure 2006016369
    [式(1)中、Rは炭素数2〜12の直鎖アルキル基若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜12の直鎖アルキル基若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基を示し、Xはハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を示す。]
    Figure 2006016369
    Figure 2006016369
    [式(2)及び(3)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜12の直鎖アルキル基若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、又は置換フェニル基を示し、nは1〜6の整数を示す。]
  2. 前記R、R、R、R、R及びRにおいて、前記シクロアルキル基の炭素数が4〜8であり、前記置換フェニル基の置換基が1価の有機基又はハロゲン原子であることを特徴とする請求項1記載のシラン化合物の製造方法。
  3. 前記Rが炭素数2〜5の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、又はフェニル基であり、前記R及びRがそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基であり、前記R、R及びRがそれぞれ独立に、メチル基又はエチル基であることを特徴とする請求項2記載のシラン化合物の製造方法。
  4. 前記R、R及びRがそれぞれ独立に、イソプロピル基又はフェニル基であり、前記R、R及びRがエチル基であることを特徴とする請求項3記載のシラン化合物の製造方法。
  5. 前記Xが塩素であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシラン化合物の製造方法。
  6. 更に塩基性化合物を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のシラン化合物の製造方法。
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JP2007197723A (ja) * 2005-12-28 2007-08-09 Hitachi Chem Co Ltd 封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置
JP2018070488A (ja) * 2016-10-27 2018-05-10 Jnc株式会社 N−シリルアミノアルキルシラン化合物の製造方法

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JPH08104816A (ja) * 1994-10-04 1996-04-23 Toshiba Silicone Co Ltd 室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の調製方法

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