JP2006010061A - 転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高荷重下で使用されても摩耗や変形が生じにくい樹脂製の転がり軸受を提供する。
【解決手段】 深溝玉軸受の内輪1及び外輪2をポリオレフィン樹脂組成物で構成し、転動体3をガラスで構成した。このポリオレフィン樹脂組成物は、樹脂成分であるポリオレフィンと、強化材であるチタン酸カリウムウィスカーと、チタネート系カップリング剤又はシランカップリング剤とからなる。そして、ポリオレフィンは、超高分子量ポリオレフィンと低分子量乃至高分子量ポリオレフィンとからなり、超高分子量ポリオレフィンの存在下で低分子量乃至高分子量ポリオレフィンを生成させることにより得られるものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂製の転がり軸受に関する。
従来、水,酸,アルカリ等の腐食性を有する液体と接触する環境下で使用される転がり軸受(例えば、前記液体の蒸気や飛沫と接触する環境下で使用される転がり軸受や、前記液体中で使用される転がり軸受)やドライ環境下で使用される転がり軸受としては、内輪,外輪,及び保持器等がポリエチレンからなり、転動体がガラスからなるものが最も一般的であった。
また、樹脂組成物で構成された転がり軸受としては、軌道輪がポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)で構成されたもの(特許文献5を参照)や、軌道輪がポリアセタール等の合成樹脂で構成されたもの(特許文献6を参照)が知られている。
特公平8−26181号公報 特公平8−26182号公報 特公平8−26183号公報 特開2000−240666号公報 特開平5−202943号公報 特開平9−303403号公報
しかしながら、前述のような従来のポリエチレン製の転がり軸受は、耐摩耗性や機械的強度が十分とは言えなかった。そのため、高荷重下で使用されると、内輪又は外輪の軌道部分に摩耗や変形が生じるおそれがあり、最悪の場合には転がり軸受の回転が不安定となるおそれがあった。
また、特許文献5,6に示された転がり軸受は、軌道輪が鋼等の金属で構成されたものと比較して軌道輪の弾性率が極めて小さいため、アキシアル荷重が転動体を介して軌道輪に作用すると、転動体軌道溝が容易に変形し、転動体と転動体軌道溝との接触点が転動体軌道溝の肩部に乗り上げる場合があった。その結果、転動体軌道溝の肩部に発生する応力集中によって摩耗粉が大量に発生して周辺環境を汚染したり、摩耗粉の噛み込みによって転がり軸受が短寿命となるおそれがあった。
特許文献6に記載の軸受のように、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤で転動体を表面処理した場合には、極初期においては固体潤滑膜によって樹脂製軌道輪の摩耗が抑制されるが、固体潤滑膜が転がり軸受の作動とともに摩耗して消失するため、樹脂製軌道輪の摩耗を長期間にわたって抑制することは困難であった。
そこで、本発明は、上記のような従来の転がり軸受が有する問題点を解決し、高荷重下で使用されても摩耗や変形が生じにくい樹脂製の転がり軸受を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配置された複数の転動体と、を備えるとともに、前記内輪及び前記外輪のうち少なくとも一方がポリオレフィン樹脂組成物で構成された転がり軸受において、前記ポリオレフィン樹脂組成物は、樹脂成分であるポリオレフィンと、前記ポリオレフィン樹脂組成物の10質量%以上40質量%以下のチタン酸カリウムウィスカーと、前記ポリオレフィン樹脂組成物の0.2質量%以上2質量%以下のチタネート系カップリング剤又はシランカップリング剤と、を含有し、前記ポリオレフィンは、超高分子量ポリオレフィンと低分子量乃至高分子量ポリオレフィンとからなり、前記超高分子量ポリオレフィンの存在下で前記低分子量乃至高分子量ポリオレフィンを生成させることにより得られるものであることを特徴とする。
このようなポリオレフィン樹脂組成物は、低分子量乃至高分子量ポリオレフィン中に超高分子量ポリオレフィンがミクロ分散しているため、優れた耐摩耗性を有する。また、強化材としてチタン酸カリウムウィスカーを含有しているので、ポリオレフィン樹脂組成物は耐摩耗性や機械的強度が優れている。さらに、チタネート系カップリング剤又はシランカップリング剤を含有しているので、ポリオレフィン樹脂組成物中のチタン酸カリウムウィスカーの分散性が高い。
これらのことから、本発明の転がり軸受は、高荷重下で使用されても摩耗や変形が生じにくい。また、前記ポリオレフィン樹脂組成物は酸,アルカリ等に対する耐薬品性を有しているので、本発明の転がり軸受は、水,酸,アルカリ等の腐食性を有する液体と接触するような環境下でも使用可能である。
チタン酸カリウムウィスカーの含有量が10質量%未満であると、耐摩耗性や機械的強度が不十分となる場合がある。一方、40質量%を超えて含有させても耐摩耗性はそれ以上向上しないばかりか、成形性が低下する。このような不都合が生じにくくするためには、チタン酸カリウムウィスカーの含有量は、20質量%以上30質量%以下とすることがより好ましい。
また、前述のようなカップリング剤は、加水分解性のアルコキシ基と、アルキル基を少なくとも一部に有する疎水基と、を備えている。アルコキシ基は、チタン酸カリウムウィスカーの表面に微量に存在する水分によって加水分解し、シラノール基(Si−OH)等に変化する。この変化したシラノール基のOH基と、チタン酸カリウムウィスカーの表面の水酸基との間でカップリング反応(脱水縮合反応)が起こり、共有結合が形成されるので、カップリング剤がチタン酸カリウムウィスカーの表面に結合することとなる。
また、カップリング剤は他端にアルキル基を有するため、チタン酸カリウムウィスカーの表面がカップリング剤で覆われると、ポリオレフィン樹脂組成物の樹脂成分であるポリオレフィンに対する親和性が向上し、ポリオレフィン中でのチタン酸カリウムウィスカーの分散性が非常に向上する。このことによりチタン酸カリウムウィスカーの補強効果が向上し、ポリオレフィン樹脂組成物の引張強度等の機械的強度が大幅に向上することとなる。
カップリング剤の含有量が0.2質量%未満であると、量が少なすぎるため、チタン酸カリウムウィスカーが十分に被覆されず、分散性の向上が不十分となる。また、カップリング剤を2質量%を超えて含有させても分散性はそれ以上向上しないばかりか、チタン酸カリウムウィスカーの被覆に関与しない過剰なカップリング剤がポリオレフィン樹脂組成物中に残存するため好ましくない。
なお、本発明における超高分子量ポリオレフィンとは、135℃のデカリン中で測定した極限粘度が10dl/g以上40dl/g以下であるポリオレフィンを意味し、低分子量乃至高分子量ポリオレフィンとは、135℃のデカリン中で測定した極限粘度が0.1dl/g以上5dl/g以下であるポリオレフィンを意味する。
また、本発明に係る請求項2の転がり軸受は、請求項1に記載の転がり軸受において、前記ポリオレフィン中の前記超高分子量ポリオレフィンの含有量は、15質量%以上40質量%以下であることを特徴とする。
超高分子量ポリオレフィンの含有量が15質量%未満であると、耐摩耗性等の性質が不十分となるおそれがある。一方、40質量%超過であると、溶融時の粘度が高く、射出成形法で成形しにくくなるとともに、超高分子量ポリオレフィンの絶対量が多くなって、超高分子量ポリオレフィンを低分子量乃至高分子量ポリオレフィン中にミクロ分散させることが難しくなり、かえって物性低下を引き起こすおそれがある。このような不都合が生じにくくするためには、ポリオレフィン中の超高分子量ポリオレフィンの含有量は、20質量%以上35質量%以下とすることがより好ましい。
さらに、本発明に係る請求項3の転がり軸受は、請求項1又は請求項2に記載の転がり軸受において、前記内輪の外周面及び前記外輪の内周面に形成された転動体軌道溝の中央部分の深さは、前記転動体の直径の18%以上45%以下であることを特徴とする。
このような構成であれば、転がり軸受にアキシアル荷重が負荷されても、転動体軌道溝が変形して転動体と転動体軌道溝との接触点が転動体軌道溝の肩部に乗り上げるということが起こりにくく、その結果、前記接触点における摩耗が低減される。よって、高荷重下においても作動可能である。転動体軌道溝の中央部分の深さが転動体の直径の18%未満であると、軌道輪を構成する樹脂組成物の弾性率が金属と比較して非常に小さいため、軌道輪に作用するアキシアル荷重によって転動体軌道溝が容易に変形し、転動体と転動体軌道溝との接触点が転動体軌道溝の肩部に乗り上げる場合がある。その結果、転動体軌道溝の肩部に発生する応力集中によって摩耗粉が大量に発生して周辺環境を汚染したり、摩耗粉の噛み込みによって転がり軸受が短寿命となるおそれがある。
一方、転動体軌道溝の中央部分の深さが転動体の直径の45%超過であると、転がり軸受が傾斜した際に内輪と外輪とが接触して異常な摩耗が生じ、短寿命となるおそれがある。特に、保持器を備えていない総転動体構造の転がり軸受においては、内輪の外周面及び外輪の内周面に形成された転動体軌道溝の中央部分の深さは、転動体の直径の20%以上40%以下であることがより好ましい。
さらに、本発明に係る請求項4の転がり軸受は、請求項1又は請求項2に記載の転がり軸受において、前記内輪及び前記外輪の間に前記転動体を転動自在に保持する保持器を備えるとともに、前記内輪の外周面及び前記外輪の内周面に形成された転動体軌道溝の中央部分の深さは、前記転動体の直径の18%以上28%以下であることを特徴とする。
このような構成であれば、転がり軸受にアキシアル荷重が負荷されても、転動体軌道溝が変形して転動体と転動体軌道溝との接触点が転動体軌道溝の肩部に乗り上げるということが起こりにくく、その結果、前記接触点における摩耗が低減される。よって、高荷重下においても作動可能である。転動体軌道溝の中央部分の深さが転動体の直径の18%未満であると、軌道輪を構成する樹脂組成物の弾性率が金属と比較して非常に小さいため、軌道輪に作用するアキシアル荷重によって転動体軌道溝が容易に変形し、転動体と転動体軌道溝との接触点が転動体軌道溝の肩部に乗り上げる場合がある。その結果、転動体軌道溝の肩部に発生する応力集中によって摩耗粉が大量に発生して周辺環境を汚染したり、摩耗粉の噛み込みによって転がり軸受が短寿命となるおそれがある。
一方、転動体軌道溝の中央部分の深さが転動体の直径の28%超過であると、内輪,外輪の転動体軌道溝の肩部と保持器とが接触しやすくなるため、転動体に滑りが生じやすくなる。その結果、転動体軌道溝の肩部と保持器との接触部や、転動体と内輪,外輪との接触部において異常な摩耗が生じ、大量に発生した摩耗粉が周辺環境を汚染したり、摩耗粉の噛み込みによって転がり軸受が短寿命となるおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、転動体軌道溝の中央部分の深さは、転動体の直径の20%以上25%以下であることがより好ましい。
本発明の転がり軸受は、高荷重下で使用されても優れた耐久性を有する。
本発明に係る転がり軸受の実施の形態を、図1の部分縦断面図を参照しながら詳細に説明する。
図1の転がり軸受は、呼び番号6001の深溝玉軸受(内径12mm,外径28mm,幅8mm)であり、樹脂製の内輪1と、樹脂製の外輪2と、内輪1及び外輪2の間に転動自在に配置されたガラス製の転動体3と、内輪1及び外輪2の間に複数の転動体3を保持する保持器4と、を備えている。
内輪1及び外輪2は、樹脂成分であるポリオレフィン69.1質量%と、強化材であるチタン酸カリウムウィスカー30質量%と、チタネート系カップリング剤又はシランカップリング剤0.9質量%と、からなる高摺動性のポリオレフィン樹脂組成物で構成されている。このポリオレフィンは、超高分子量ポリオレフィンと低分子量乃至高分子量ポリオレフィンとからなり、チーグラー型触媒の存在下でオレフィンを重合させて超高分子量ポリオレフィンを生成させた後に、水素存在下でさらにオレフィンを重合させて低分子量乃至高分子量ポリオレフィンを生成させることによって得られるものである。
このように、超高分子量ポリオレフィンの存在下で低分子量乃至高分子量ポリオレフィンを生成させるという多段階的な重合方法によりポリオレフィンを生成させると、超高分子量ポリオレフィンと低分子量乃至高分子量ポリオレフィンとを混合した場合のように層状構造とはならず、超高分子量ポリオレフィンが低分子量乃至高分子量ポリオレフィンの間に均一にミクロ分散され、場合によっては、一部お互いに結合状態を作って分散状態が安定に保たれている。このように超高分子量ポリオレフィンをミクロ分散させることにより、射出成形性を維持しつつ、超高分子量ポリオレフィンの持つ卓越した耐摩耗性を発現させている。
ポリオレフィンの種類は特に限定されるものではないが、例えば、エチレン,プロピレン,1−ブテン,1−ペンテン,1−ヘキセン,1−オクテン,1−デセン,1−ドデセン,4−メチルー1−ペンテン,3−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体があげられる。この中では、エチレンの単独重合体や、エチレンと他のα−オレフィンとからなりエチレンを主成分とする共重合体が好ましい。なお、本発明の目的を損なわない程度の量であれば、ポリオレフィン以外の種類の樹脂をポリオレフィンに混合してもよい。
また、強化材であるチタン酸カリウムウィスカーは、モース硬度が4と硬度が低いので、樹脂組成物の摩耗により軌道輪の表面に露出したとしても、摺動の相手材である転動体を傷つけにくい。例えば、ガラスのモース硬度は5であるので、転動体がガラスで構成されている場合には、チタン酸カリウムウィスカーが転動体を傷つける可能性は低く、耐久性に優れた転がり軸受とすることができる。また、軌道輪から脱落したとしても、軌道面,転動体,保持器に傷や摩耗を生じさせにくい。よって、この深溝玉軸受は耐久性が優れており、異音が生じにくい。
さらに、チタネート系カップリング剤やシランカップリング剤は、炭素数6以上のアルキル基を有するものが好ましい。例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(アルキル基はイソステアリル基)等のチタネート系カップリング剤や、ヘキシルトリメトキシシラン,ヘキシルトリエトキシシラン,デシルトリメトキシシラン,ステアリルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤があげられる。
さらに、ポリオレフィン樹脂組成物には、熱安定性を向上させるために、フェノール系熱安定剤,有機フォスファイト系熱安定剤,有機チオエーテル系熱安定剤等の熱安定剤を、単独又は2種以上混合して添加してもよい。熱安定剤の含有量は、ポリオレフィン樹脂組成物全体の0.01質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。熱安定剤の含有量が0.01質量%未満であると、熱安定性の向上効果が低い。一方、5質量%を超えて含有させても熱安定性の向上効果はほとんど変わらないばかりか、樹脂成分や強化材の含有量がその分だけ減少して、耐摩耗性等に悪影響を与えるおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、熱安定剤の含有量は、ポリオレフィン樹脂組成物全体の0.1質量%以上2質量%以下とすることがより好ましい。
さらに、ポリオレフィン樹脂組成物には、摺動性を向上させるために、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩からなる滑剤を添加してもよい。滑剤の含有量は、ポリオレフィン樹脂組成物全体の0.01質量%以上3質量%以下とすることが好ましい。滑剤の含有量が0.01質量%未満であると、滑性の改善効果が低い。一方、3質量%を超えて含有させても滑性の改善効果はほとんど変わらないばかりか、樹脂成分や強化材の含有量がその分だけ減少して、耐摩耗性等に悪影響を与えるおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、滑剤の含有量は、ポリオレフィン樹脂組成物全体の0.1質量%以上2質量%以下とすることがより好ましい。
転動体3の材質はガラスに限定されるものではなく、内輪1及び外輪2と同じポリオレフィン樹脂組成物を用いてもよいが、耐久性を考慮すると、窒化珪素,炭化珪素,サイアロン,ジルコニア,アルミナ等のセラミックや、ガラスを用いることが好ましい。ただし、耐久性とともにコストを考慮すると、ガラスが最も好ましい。
保持器4の材質は特に限定されるものではないが、内輪1及び外輪2と同じポリオレフィン樹脂組成物を用いることが好ましい。ただし、保持器4の場合は、チタン酸カリウムウィスカー以外の強化材を含有するポリオレフィン樹脂組成物を用いても全く問題ない。これは、保持器が摩耗して強化材が露出又は脱落する可能性は低く、前述のように軌道面や転動体に傷や摩耗が生じる可能性は低いからである。
なお、保持器4の材質には、溶融成形が可能なフッ素樹脂等を用いてもよい。溶融成形可能なフッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE),ポリビニリデンフルオライド(PVdF),テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等があげられる。このフッ素樹脂には、ホウ酸アルミニウムウィスカー,チタン酸カリウムウィスカー,カーボンウィスカー,炭化珪素ウィスカー,ウォラストナイト等の強化材や、固体潤滑剤等をさらに添加してもよい。
また、転がり軸受を構成する部材のうち樹脂組成物で構成された部材以外のものの材質は、特に限定されるものではない。例えば、SUS440C,SUS304,SUS630に代表されるステンレス鋼系金属材料や、窒化珪素(Si3 4 ), 炭化珪素(SiC)、サイアロン(Sialon),部分安定化ジルコニア(ZrO2 ),アルミナ(Al2 3 )に代表されるセラミック材料があげられる。また、ソーダライムガラス,硼珪酸ガラス,パイレックス(登録商標)ガラス(商品名)等のガラスも例示することができる。なお、これらは単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
〔実施例〕
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。内輪,外輪,転動体,及び保持器の材質が表1に示す通りであること以外は、前述した図1の深溝玉軸受と同様の構成である試験軸受(実施例1,2及び比較例1,2)を用意した。
Figure 2006010061
表1に記載の材料は、以下の通りである。
・高摺動性特殊ポリエチレン:三井化学株式会社製のリュブマーL4000
・高密度ポリエチレン :日本ポリオレフィン株式会社製のジェイレクスHD KM490K
・ETFE:ダイキン工業株式会社製のネオフロンETFE EP−520
・チタン酸カリウムウィスカー:大塚化学株式会社製のティスモD
・チタネート系カップリング剤:味の素ファインテクノ株式会社製のプレンアクトK R TTS(イソプロピルトリイソステアロイルチ タネート)
・シランカップリング剤 :信越化学株式会社製のKBM3103(デシルトリ メトキシシラン)
表1中では、高摺動性特殊ポリエチレンを特殊PE、高密度ポリエチレンを高密度PE、チタン酸カリウムウィスカーをPTWと記してある。なお、この高摺動性特殊ポリエチレンは、超高分子量ポリオレフィンと低分子量乃至高分子量ポリオレフィンとからなり、チーグラー型触媒の存在下でオレフィンを重合させて超高分子量ポリオレフィンを生成させた後に、水素存在下でさらにオレフィンを重合させて低分子量乃至高分子量ポリオレフィンを生成させることによって得られるものである。
そして、これらの試験軸受を図2に示すような軸受回転試験機に装着して、濃度0.5mol/Lの硫酸水溶液中で回転試験(内輪回転)を行い、腐食環境下における軸受の耐久性(寿命)を評価した。回転試験の条件は以下の通りである。
・ラジアル荷重 :49N
・アキシアル荷重:9.8N
・回転速度 :100min-1
試験結果を表1に併せて示す。なお、軸受の振動値が初期値の3倍を超えるまでの時間を、その軸受の寿命とした。そして、各軸受の寿命は、比較例1の寿命を1とした場合の相対値で示してある。
表1から分かるように、実施例1,2の軸受は、内輪及び外輪が高摺動性特殊ポリエチレンを含有する樹脂組成物で構成されているので、高密度ポリエチレンで構成されている比較例1の軸受と比べて、耐久性が優れていた。また、補強性,耐薬品性を有し且つ相手材への傷付け性の低いチタン酸カリウムウィスカーを強化材として含有し、さらにチタン酸カリウムウィスカーの分散性を向上させるカップリング剤を含有する樹脂組成物で構成されているので、カップリング剤を含有していない比較例2の軸受と比べて、耐久性が優れていた。
ここで、実施例1の軸受において、チタネート系カップリング剤の含有量を0.9質量%に固定し、チタン酸カリウムウィスカーの含有量を種々変更して、チタン酸カリウムウィスカーの含有量と軸受の寿命との関係を調査した。なお、転動体は硼珪酸ガラス球(8個)であり、保持器は前述のETFE樹脂組成物製の冠形保持器である。
結果を図3のグラフに示す。なお、図3のグラフに示した寿命は、前述の比較例1の寿命を1とした場合の相対値で示してある。このグラフから分かるように、チタン酸カリウムウィスカーの含有量が10質量%以上40質量%以下であると、転がり軸受の寿命が非常に優れていた。
また、実施例1の軸受において、チタン酸カリウムウィスカーの含有量を30質量%に固定し、チタネート系カップリング剤の含有量を種々変更して、チタネート系カップリング剤の含有量と軸受の寿命との関係を調査した。なお、転動体は硼珪酸ガラス球(8個)であり、保持器は前述のETFE樹脂組成物製の冠形保持器である。
結果を図4のグラフに示す。なお、図4のグラフに示した寿命は、前述の比較例1の寿命を1とした場合の相対値で示してある。このグラフから分かるように、チタネート系カップリング剤の含有量が0.2質量%以上2質量%以下であると、転がり軸受の寿命が非常に優れていた。
次に、転動体軌道溝の中央部分の深さと転動体の直径との比率が、転がり軸受の耐久性に及ぼす影響について調査した。
内輪,外輪,及び転動体の材質、保持器の有無、並びに、転動体軌道溝の中央部分の深さと転動体の直径との比率(深さ/直径×100%)が表2,3に示す通りであること以外は、前述した図1の深溝玉軸受と同様の構成である試験軸受(実施例3〜8及び比較例3〜6)を用意した。なお、保持器は冠形保持器であり、その材質は前述の実施例1の場合と同様である。また、転動体の個数は、保持器有りの場合は8個であり、保持器無しの場合は12個である。さらに、表2,3に記載の材料は、表1の場合と同様である。
Figure 2006010061
Figure 2006010061
そして、これらの試験軸受を図2に示すような軸受回転試験機に装着して、回転試験(内輪回転)を行い、ドライ環境下における軸受の耐久性(寿命)を評価した。回転試験の条件は以下の通りである。
・温度 :常温
・アキシアル荷重:98N
・回転速度 :300min-1
試験結果を表2,3に併せて示す。なお、軸受の振動値が初期値の5倍を超えるまでの時間を、その軸受の寿命とした。そして、各軸受の寿命は、比較例3の寿命を1とした場合の相対値で示してある。
表2,3から分かるように、実施例3〜8の軸受は、比較例3〜6の軸受と比べて、高いアキシアル荷重が負荷された条件下でも長寿命であった。
ここで、実施例3(保持器無し)及び実施例6(保持器有り)の軸受において、内輪の外周面に形成された転動体軌道溝の中央部分の深さ及び外輪の内周面に形成された転動体軌道溝の中央部分の深さを変更することにより、転動体軌道溝の中央部分の深さと転動体の直径との比率(深さ/直径×100%)を種々変更して、該比率と軸受の寿命との関係を調査した。
保持器無しの場合の結果を図5のグラフに示し、保持器有りの場合の結果を図6のグラフに示す。なお、図5,6のグラフに示した寿命は、前述の比較例3の寿命を1とした場合の相対値で示してある。これらのグラフから分かるように、保持器無しの場合は、転動体軌道溝の中央部分の深さと転動体の直径との比率が18%以上45%以下であると、転がり軸受の寿命が非常に優れていた。また、保持器有りの場合は、転動体軌道溝の中央部分の深さと転動体の直径との比率が18%以上28%以下であると、転がり軸受の寿命が非常に優れていた。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、転がり軸受の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、転がり軸受の種類は深溝玉軸受に限定されるものではなく、本発明は様々な種類の転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
本発明の転がり軸受は、食品用機械,農業機械,半導体関連機器(半導体,液晶パネル,ハードディスク等の製造工程において用いられる洗浄装置等)などに好適に使用可能であり、水,酸,アルカリ等の腐食性を有する液体と接触するような環境下やドライ環境下でも使用可能である。
本発明に係る転がり軸受の一実施形態を示す部分縦断面図である。 軸受の耐久性を評価する軸受回転試験機の構造を示す概略図である。 チタン酸カリウムウィスカーの含有量と軸受の寿命との関係を説明するグラフである。 チタネート系カップリング剤の含有量と軸受の寿命との関係を説明するグラフである。 保持器無しの場合における、転動体軌道溝の中央部分の深さと転動体の直径との比率と、軸受の寿命との関係を説明するグラフである。 保持器有りの場合における、転動体軌道溝の中央部分の深さと転動体の直径との比率と、軸受の寿命との関係を説明するグラフである。
符号の説明
1 内輪
2 外輪
3 玉
4 保持器

Claims (4)

  1. 内輪と、外輪と、前記内輪及び前記外輪の間に転動自在に配置された複数の転動体と、を備えるとともに、前記内輪及び前記外輪のうち少なくとも一方がポリオレフィン樹脂組成物で構成された転がり軸受において、
    前記ポリオレフィン樹脂組成物は、樹脂成分であるポリオレフィンと、前記ポリオレフィン樹脂組成物の10質量%以上40質量%以下のチタン酸カリウムウィスカーと、前記ポリオレフィン樹脂組成物の0.2質量%以上2質量%以下のチタネート系カップリング剤又はシランカップリング剤と、を含有し、
    前記ポリオレフィンは、超高分子量ポリオレフィンと低分子量乃至高分子量ポリオレフィンとからなり、前記超高分子量ポリオレフィンの存在下で前記低分子量乃至高分子量ポリオレフィンを生成させることにより得られるものであることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記ポリオレフィン中の前記超高分子量ポリオレフィンの含有量は、15質量%以上40質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
  3. 前記内輪の外周面及び前記外輪の内周面に形成された転動体軌道溝の中央部分の深さは、前記転動体の直径の18%以上45%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転がり軸受。
  4. 前記内輪及び前記外輪の間に前記転動体を転動自在に保持する保持器を備えるとともに、前記内輪の外周面及び前記外輪の内周面に形成された転動体軌道溝の中央部分の深さは、前記転動体の直径の18%以上28%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転がり軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE102008052866A1 (de) 2007-11-29 2009-06-10 Yazaki Corp. Elektrische Anschlussdose mit einem elektronischen Bauelement und elektrische Verbindungseinheit, die eine derartige elektrische Anschlussdose enthält
JP2017002936A (ja) * 2015-06-05 2017-01-05 Ntn株式会社 スラスト軸受用保持器およびスラスト軸受
JP2017002933A (ja) * 2015-06-05 2017-01-05 Ntn株式会社 スラスト軸受用保持器およびスラスト軸受

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