JP2006008832A - 粘着剤用樹脂組成物水性分散体及び粘着剤組成物 - Google Patents

粘着剤用樹脂組成物水性分散体及び粘着剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、良好な接着力及び保持力を有し、かつ耐熱黄変性に優れる粘着剤組成物を形成し得る粘着剤用樹脂組成物水性分散体を提供する事である。
【解決手段】 ラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体(A)を界面活性剤の存在下に水性媒体中で重合してなる樹脂組成物において、重合時に過酸化水素水(B)を必須成分として含有してなる粘着剤用樹脂組成物水性分散体。
【選択図】 なし

Description

本発明は粘着剤用樹脂組成物水性分散体に関するものである。詳しくは良好な接着力及び保持力を有し、かつ耐熱黄変性にすぐれており特に意匠性が高度に要求されるラベル用途やオーバーラミネート用途など透明なフィルム基材に対しても好んで用いる事ができる粘着剤組成物を形成し得る粘着剤用樹脂組成物水性分散体に関する。さらに詳しくは粘着剤組成物を形成する主原料であるエチレン性不飽和単量体の重合時に過酸化水素水を含有させる事により上記のような効果を奏する粘着剤組成物を形成し得る粘着剤用樹脂組成物水性分散体に関するものである。
さらに、本発明は、上記粘着剤用樹脂組成物水性分散体を含有する水性粘着剤組成物に関する。
また、本発明は、上記粘着剤用樹脂組成物水性分散体の製造方法に関する。
近年安全衛生および環境問題に対する配慮から脱溶剤化が進行し、粘着剤においても溶剤型から水性型への移行が進行しつつある。その用途は多岐にわたり、ラベル用途などの表示機能材料として使用されたり、オーバーラミネート用途などの保護機能材料として使用される場合においては透明なフィルム基材を粘着剤の支持体として粘着剤塗工物とする場合が多く、被着体に貼り付けられた後に外側から粘着剤層が透視される形態にてそれぞれ目的とする用途に供される事が多い。この場合特に粘着剤層自身の意匠性が非常に重要となる。
一方これらの用途に使用される場合、被着体に貼り付けた後はそれらの機能を維持するため、被着体からは剥離しにくい方が好ましく、そのため粘着剤の被着体に対する接着力、特にポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン被着体に対する接着力を高める目的でロジン系やテルペン系等の粘着付与樹脂を粘着剤に配合使用する事が一般的であるが、この粘着付与樹脂が原因となり、粘着剤層が経時的に黄変し、塗工物の外観が損なわれるという欠点を有している。また粘着剤の凝集力を高める目的で使用されるイソシアネート化合物やヒドラジン化合物等の架橋剤も、粘着剤の黄変を促進してしまう事が多い。この黄変現象は特に高温下に暴露された場合に著しく促進され、意匠性を損なう原因となる。
この欠点を改善するため、使用する粘着付与樹脂に水素添加して不飽和結合をなくす事により耐黄変性を高める検討や、架橋剤として、例えばイソシアネート化合物であれば芳香族型ではなく脂肪族型の化合物を使用するなどして黄変を低減しようとする試みや、あるいは粘着剤に還元剤を添加するなどして粘着剤層の黄変を抑制しようといった各種の試みがなされて来ているが、未だ実用に供せるまでに至っていないのが現状である。
本発明の課題は、良好な接着力及び保持力を有し、かつ耐熱黄変性に優れる粘着剤組成物を形成し得る粘着剤用樹脂組成物水性分散体を提供する事である。
第1の発明は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体(A)を界面活性剤の存在下に水性媒体中で重合してなる樹脂組成物において、重合時に過酸化水素水(B)を必須成分として含有してなる粘着剤用樹脂組成物水性分散体に関し、
第2の発明は、重合時にさらに還元剤(C)を含有してなる上記発明に記載の粘着剤用樹脂組成物水性分散体に関する。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明に記載の粘着剤用樹脂組成物水性分散体を含有する事を特徴とする水性粘着剤組成物に関する。
第4の発明は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体(A)を界面活性剤の存在下に水性媒体中で重合してなる樹脂組成物において、重合時に過酸化水素水(B)を必須成分として含有する事を特徴とする粘着剤用樹脂組成物水性分散体の製造方法に関し、
第5の発明は、重合時にさらに還元剤(C)を含有する事を特徴とする上記第4の発明に記載の粘着剤用樹脂組成物水性分散体の製造方法に関する。
本発明の粘着剤用樹脂組成物水性分散体は、良好な接着力及び保持力を有し、かつ耐熱黄変性に優れた粘着剤組成物を提供できる。そのため、特に意匠性が高度に要求されるラベル用途やオーバーラミネート用途など透明なフィルム基材に対して適用される場合でも好んで用いる事ができる。
本発明に用いられるエチレン性不飽和単量体(A)として、(a−1)アルキル基の炭素数が1〜14であるアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。(a−1)アルキル基の炭素数が1〜14であるアクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、[メチルアクリレートとメチルメタクリレートを併せてメチル(メタ)アクリレートと表記する。以下同様。]、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどの直鎖または分岐脂肪族アルコールのアクリル酸エステル及び対応するメタクリル酸エステルなどが例示できる。なかでも、アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく用いられる。これらは、エチレン性不飽和単量体(A)100重量%中、70〜99.5重量%含有され、単独であるいは2種類以上併用して用いる事ができる。
上記単量体(a−1)は、(a−2)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合する事が好ましい。
(a−2)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが例示できる。これらは、エチレン性不飽和単量体(A)100重量%中、0.5〜5重量%含有され、単独であるいは2種類以上併用して用いる事ができる。
(a−1)、(a−2)以外の単量体としては、必要に応じて配合する架橋剤の種類に応じて、(a−3)アルコール性水酸基を有する共重合可能な(メタ)アクリル単量体や(a−4)カルボニル基を有する共重合可能な(メタ)アクリル単量体が用いられる。
(a−3)アルコール性水酸基を有する共重合可能なアクリル単量体としては、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレートなどが例示できる。これらは、エチレン性不飽和単量体(A)100重量%中、0.5〜5重量%含有され、単独であるいは2種類以上併用して用いる事ができる。
(a−3)アルコール性水酸基を有する共重合可能なアクリル単量体を使用する場合に、粘着剤組成物を得る際に配合し得る架橋剤としては、イソシアネート化合物、チタンやジルコニウムなどの金属のアルコキシド化合物等が挙げられる。
(a−4)カルボニル基を有する共重合可能なアクリル単量体としては、アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ホルミルスチロール、好ましくは4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトンなど)、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート−アセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−(メタ)アクリレート−アセチルアセテート等が例示できる。
これらは、エチレン性不飽和単量体(A)100重量%中、0.5〜5重量%含有され、単独であるいは2種類以上併用して用いる事ができる。
(a−4)カルボニル基を有する共重合可能なアクリル単量体を使用する場合に、粘着剤組成物を得る際に配合し得る架橋剤としては、アミン類、ヒドラジド化合物等が挙げられる。
その他の単量体としては、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、モノ−(2−ヒドロキシルエチル−α−クロロ(メタ)アクリレート)アシッドホスフェート、ビニルブロックトイソシアネート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−トリブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルエステル、ビニルピリジン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、ブタジエン、クロロプレンなどが例示できる。これらは必要に応じて、30重量%以下で含有することができ、単独であるいは2種類以上併用して用いる事ができる。
さらに、本発明の粘着剤用樹脂組成物水性分散体中の分散粒子は、粒子内架橋構造を有していてもよい。
粒子内架橋剤としては、フタル酸のジアリルエステルや多官能アクリル系単量体等の各種多官能単量体を用いる事ができる。
フタル酸のジアリルエステルとしては、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸のジアリルエステルが、
また、多官能アクリル系単量体としては、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが例示できる。これらはエチレン性不飽和単量体(A)100重量%中、0.1〜3重量%含有され、単独であるいは2種類以上併用して用いる事もできる。
本発明の粘着剤用樹脂組成物水性分散体を得る際に用いる界面活性剤としては、反応性界面活性剤、非反応性界面活性剤などが、単独であるいは2種類以上併用して用いることができるが、耐水性などを考慮すれば、反応性界面活性剤を用いる方が好ましいのであるが、これに限定されるものではない。
反応性界面活性剤としては以下の化合物を例示することができる。アニオン系界面活性剤としてはノニルフェニル骨格の旭電化工業株式会社製「アデカリアソープSE−10N」、第一工業製薬株式会社製「アクアロンHS−10、HS−20」等、長鎖アルキル骨格の第一工業製薬株式会社製「アクアロンKH−05、KH−10」、旭電化工業株式会社製「アデカリアソープSR−10N」等、燐酸エステル骨格の日本化薬株式会社製「KAYARAD」等が例示できる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類等の分子末端あるいは中間部に不飽和二重結合を有し、単量体と共重合するものであり、旭電化工業株式会社製「アデカリアソープNE−10」、第一工業製薬株式会社製「アクアロンRN−10、RN−20、RN−50」、日本乳化剤株式会社製「アントックスNA−16」等が例示できる。
また非反応性界面活性剤としては、以下の化合物を例示する事ができる。アニオン系界面活性剤としてはステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類等が例示できる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類、オレイン酸モノグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル類等が例示できる。
本発明に用いられる過酸化水素水(B)は、通常含有量50%以下の水溶液の形態にて流通しているものであるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられる過酸化水素水(B)は、自身の分解によりラジカルを発生する事ができるためそれ単独でも重合開始剤として作用するのであるが、効率良くラジカルを発生させる目的で還元剤(C)と組み合わせる事によりレドックス反応による開始剤として使用する事が好ましい。
還元剤(C)としては、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム等の亜硫酸塩や亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム等の亜硫酸水素塩や二亜硫酸ナトリウム等の二亜硫酸塩のほか次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸アンモニウム等の次亜リン酸塩、または銅、鉄、コバルト、ニッケル等の遷移金属の化合物、具体的には硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、塩化銅(I)等、さらにはチオグリコール酸、チオシュウ酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等のチオ化合物、およびその他の例としてロンガリット、ブドウ糖、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸ナトリウムなどが例示できる。
これら還元剤(C)は必要に応じて1種類または2種類以上を用いる事ができる。
また本発明の重合反応の際には他の重合開始剤を併用しても良く、それらの重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩またはアゾビス系カチオン塩または水酸基付加物質などの水溶性の熱分解型重合触媒、またはレドックス系重合触媒を用いることができる。レドックス系重合触媒としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物とロンガリット、二亜硫酸ナトリウムなどの還元剤との組み合わせ、または過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムとロンガリット、チオ硫酸ナトリウムなどの組み合わせなどが挙げられる。
これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
過酸化水素水(B)も包含するところの重合開始剤及び必要に応じて使用する還元剤(C)の添加方法としては、あらかじめ全量を反応容器に仕込んでおいても良く、昇温後に全量を添加しても良く、一部を反応容器に仕込んでおき重合を開始した後にさらに数回に分けて分割添加しても良く、一部を反応容器に仕込んでおき重合を開始した後に残りを滴下しても良く、あるいは全量を滴下しても良い。添加する際の形態としては、エチレン性不飽和単量体(A)と混合された形態にて添加しても良く、エチレン性不飽和単量体(A)とは別々に水溶液等の形態として添加しても良い。なおこれらの手法により重合開始剤や還元剤(C)を添加した後、反応率を高める目的で1回又は2回以上追加添加しても良い。なお還元剤(C)を併用する場合には、重合開始剤と当量以下の添加量にて使用されるのが一般的である。
本発明の粘着剤用樹脂組成物水性分散体は、エチレン性不飽和単量体(A)を重合する際に、分子量や分子量分布を制御するための連鎖移動剤として、メルカプタン系、チオグリコール系、βメルカプトプロピオン酸などのチオール系化合物や、アリル水素を有するロジン系化合物やテルペン系化合物などを用いることができる。添加量は、エチレン性不飽和単量体(A)の総量100重量部に対して0.01〜10.0重量部であることが好ましく、0.1〜5重量部であることがより好ましい。
次に、本発明の粘着剤組成物について説明する。
本発明の粘着剤組成物は、上記粘着剤用樹脂組成物水性分散体を主たる成分とするものであり、この粘着剤用樹脂組成物水性分散体に必要に応じて粘着力調整のために、適当な粘着付与剤、例えば、ロジン樹脂、フェノール樹脂、ポリテルペン、アセチレン樹脂、石油系炭化水素樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、合成ゴム、天然ゴム等を適当量添加することができる。さらに架橋剤、粘度調整剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、中和剤、着色剤、シランカップリング剤、防腐剤なども添加しても良い。
本発明の粘着剤組成物を、コンマコーター、リバースコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアチャンバーコーター、カーテンコーター等の各種コーティング装置により、紙またはフィルム基材、もしくは剥離性シート上に塗布し、乾燥することによって、粘着シート、粘着ラベル等の各種粘着塗工物を得ることができる。紙等に粘着剤組成物を塗布した後、80℃〜120℃で乾燥することが好ましい。乾燥温度が80℃以下では乾燥しにくく、乾燥に長時間を要する。他方、120℃よりも高温で乾燥すると、基材または剥離性シートの熱劣化を生じ、好ましくない。
紙またはフィルム基材上に粘着剤組成物を塗布した場合は、乾燥後に剥離性シートと貼り合わせることにより、また剥離性シート上に粘着剤組成物を塗布した場合は、乾燥後に紙またはフィルム基材と貼りあわせることにより、どちらの手法によっても各種粘着塗工物を得ることができる。
剥離性シートは、セパレーターとも称されるものであり、紙やプラスチックフィルムの少なくとも一方の面が剥離処理されてなるものである。剥離処理剤としては従来公知のものを用いることができる。
以下に実施例によって本発明を説明するが、これに限定されるものではない。実施例中にある部とは重量部を、%とは重量%をそれぞれ示す。
(実施例−1)
2−エチルヘキシルアクリレート91.7部、メチルメタクリレート6部、アクリル酸2部、ジアセトンアクリルアミド0.3部、これら全エチレン性不飽和単量体100部に対して反応性アンモニア中和型アニオン性界面活性剤として第一工業製薬(株)製「アクアロンKH−10」2部を脱イオン水30.2部に溶解したものを加えて攪拌して乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。
撹拌機、冷却管、温度計および上記滴下ロートを取り付けた5つ口フラスコに、脱イオン水を43.9部、アクアロンKH−10を0.1部仕込み、フラスコ内部を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を80℃まで昇温し、5%過酸化水素水を有効成分として0.15部、および0.001%硫酸鉄(II)水溶液を固形分として7.5×10-5部それぞれ添加した。5分後、上記滴下ロートから上記乳化物の滴下を開始し、これと並行して5%過酸化水素水を有効成分として0.45部、および0.001%硫酸鉄(II)水溶液を固形分として2.25×10-4部をそれぞれ別の滴下口から3時間かけて滴下した。
内温を80℃に保ったまま、上記乳化物、過酸化水素水、および硫酸鉄(II)水溶液滴下終了30分後に5%過酸化水素水を有効成分として0.06部および0.001%硫酸鉄(II)水溶液を固形分として3.0×10-5部をそれぞれ2回に分けて30分おきに添加した。
さらに撹拌しながら80℃にて2時間熟成した後冷却し、アンモニア水にて中和し、固形分50%の粘着剤用樹脂組成物水性分散体を得た。
得られた粘着剤用樹脂組成物水性分散体に、消泡剤、レベリング剤、防腐剤を加え、さらにアンモニア水でpH=7.5〜8に調整し、ロジン系粘着付与樹脂として荒川化学(株)製「スーパーエステルE−720」(固形分50%)を固形分として25部、および架橋剤として6%アジピン酸ジヒドラジド水溶液を固形分として0.2部加え、さらに粘度調整剤で3000mPa・s(BL型粘度計、#4ローター使用、60rpmにて測定)に調整し、水性粘着剤組成物を得た。これをコンマコーターで剥離紙上に乾燥塗膜量が20g/m2になるように塗工し、100℃の乾燥オーブンで40秒間乾燥させ、厚さ50μmのPETフィルムとラミネートして巻き取り、粘着剤塗工物を得た。
(実施例−2)
ブチルアクリレート92.7部、メチルメタクリレート5部、アクリル酸2部、ジアセトンアクリルアミド0.3部、これら全エチレン性不飽和単量体100部に対して反応性アンモニア中和型アニオン性界面活性剤として「アクアロンKH−10」2部を脱イオン水30.2部に溶解したものを加えて攪拌して乳化物を得た。以下、実施例−1と同様にして固形分50%の粘着剤用樹脂組成物水性分散体を得、実施例−1と同様にして粘着剤塗工物を得た。
(実施例−3)
2−エチルヘキシルアクリレート91.7部、メチルメタクリレート6部、アクリル酸2部、ジアセトンアクリルアミド0.3部、これら全エチレン性不飽和単量体100部に対して反応性アンモニア中和型アニオン性界面活性剤として「アクアロンKH−10」2部を脱イオン水30.2部に溶解したものを加えて攪拌して乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。
撹拌機、冷却管、温度計および上記滴下ロートを取り付けた5つ口フラスコに、脱イオン水を43.9部、アクアロンKH−10を0.1部仕込み、フラスコ内部を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を80℃まで昇温し、3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.15部添加した。
5分後、上記滴下ロートから上記乳化物の滴下を開始し、これと並行して5%過酸化水素水を有効成分として0.45部、および0.001%硫酸鉄(II)水溶液を固形分として2.25×10-4部をそれぞれ別の滴下口から3時間かけて滴下した。
内温を80℃に保ったまま、上記乳化物、過酸化水素水、および硫酸鉄(II)水溶液滴下終了30分後に5%過酸化水素水を有効成分として0.06部および0.001%硫酸鉄(II)水溶液を固形分として3.0×10-5部をそれぞれ2回に分けて30分おきに添加した。
さらに撹拌しながら80℃にて2時間熟成した後冷却し、アンモニア水にて中和し、固形分50%の粘着剤用樹脂組成物水性分散体を得た。以下、実施例−1と同様にして粘着剤塗工物を得た。
(比較例−1)
2−エチルヘキシルアクリレート91.7部、メチルメタクリレート6部、アクリル酸2部、ジアセトンアクリルアミド0.3部、これら全エチレン性不飽和単量体100部に対して反応性アンモニア中和型アニオン性界面活性剤として「アクアロンKH−10」2部を脱イオン水30.2部に溶解したものを加えて攪拌して乳化物を得、これを滴下ロートに入れた。
撹拌機、冷却管、温度計および上記滴下ロートを取り付けた5つ口フラスコに、脱イオン水を43.9部、アクアロンKH−10を0.1部仕込み、フラスコ内部を窒素ガスで置換し、撹拌しながら内温を80℃まで昇温し、3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.15部添加した。
5分後、上記滴下ロートから上記乳化物の滴下を開始し、これと並行して3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.45部を別の滴下口から3時間かけて滴下した。
内温を80℃に保ったまま、上記乳化物および過硫酸カリウム水溶液滴下終了30分後に3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.06部を2回に分けて30分おきに添加した。
さらに撹拌しながら80℃にて2時間熟成した後冷却し、アンモニア水にて中和し、固形分51%の粘着剤用樹脂組成物水性分散体を得た。以下、実施例−1と同様にして粘着剤塗工物を得た。
(比較例−2)
比較例−1において得られた粘着剤用樹脂組成物水性分散体に6%アジピン酸ジヒドラジド水溶液を加えなかった以外は比較例−1と同様にして水性粘着剤組成物を得、比較例−1と同様にして粘着剤塗工物を得た。
(比較例−3)
比較例−1において得られた粘着剤用樹脂組成物水性分散体に「スーパーエステルE−720」を加えなかった以外は比較例−1と同様にして水性粘着剤組成物を得、比較例−1と同様にして粘着剤塗工物を得た。
(比較例−4)
比較例−1において得られた粘着剤用樹脂組成物水性分散体に、さらに5%過酸化水素水を有効成分として0.1部加えた以外は比較例−1と同様にして水性粘着剤組成物を得、比較例−1と同様にして粘着剤塗工物を得た。
[試験方法]
1)対ポリエチレン接着力
粘着剤塗工物を幅25mmの短冊状にカットして剥離紙を剥がし、厚さ2mmのポリエチレン板に貼り付け、2kgロールで1往復した後、23℃雰囲気下にて24時間放置した。所定時間経過後、23℃雰囲気下で300mm/分の速さで塗工物を180゜方向に剥離した際の接着強度を測定した。
2)保持力
粘着剤塗工物を幅25mmの短冊状にカットして剥離紙を剥がし、表面を研磨した3cm×11cmのステンレス鋼板の長手方向の端部に貼り付け部分が25mm×25mmとなるように貼り付け、2kgロールで1往復した後、40℃雰囲気で塗工物に1kgの荷重をかけてずり応力を発生させ、最大7万秒放置し、落下するまでの時間または7万秒経過後の貼り付け位置のずれの距離を計測した。
3)耐熱黄変性
粘着剤塗工物を76mm×26mmの大きさにカットして剥離紙を剥がし、スライドガラス上に貼り付けて測定試料とした。分光測色計(スガ試験機(株)製)を使用して透過法により試料のYI値を測定した後、120℃雰囲気下で7日間放置した。所定期間経過後、試料を室温まで冷却した後再びYI値の測定をおこなった。
YI値は試料の黄色味を表す指標であり、加温保存後のYI値が大きいほど粘着剤層の黄変が進行しており、粘着剤の耐熱黄変性が劣っている事を意味する。
表1に対ポリエチレン接着力、保持力、耐熱黄変性の評価結果を示した。
Figure 2006008832
比較例−1に示されるように、エチレン性不飽和単量体(A)を重合する際に過酸化水素水(B)を含有させなかった場合、粘着剤塗工物を加温保存した後のYI値が高い値を示し、本発明の実施例に比べて粘着剤層の黄変が著しく進行する事が分かる。比較例−2に示されるように、架橋剤であるアジピン酸ジヒドラジドを用いない場合、黄変の程度はやや軽減されるものの本発明の実施例には及ばないばかりか、粘着剤の凝集力の低下を引き起こし保持力が不十分となってしまう。また比較例−3に示されるように、粘着付与樹脂を用いない場合も黄変の程度は軽減するのであるが、同様に本発明の実施例には及ばないばかりかポリオレフィン被着体に対する接着力が低下してしまう。さらに比較例−4に示されるように、重合時には過酸化水素水を使用せず、得られた粘着剤用樹脂組成物水性分散体に後から添加しても、黄変の程度は軽減しない。
これに対し実施例−1及び2に示されるように、エチレン性不飽和単量体(A)を重合する際に過酸化水素水(B)を含有させて重合開始剤として機能させた場合、それらの重合物を用いて得られる粘着剤は極めて黄変しにくいものとなり、かつ良好な接着力及び保持力を有している。また実施例−3に示されるように、過酸化水素水(B)と併せて他の重合開始剤を使用した場合においても良好な接着力、保持力に加えて優れた耐熱黄変性を有している事が分かる。これらの黄変が軽減される理由としてはその機構は明らかではないが、後から過酸化水素水を添加しても全く効果が見られない事から、いわゆる過酸化水素漂白によるものではなく、重合開始剤として用いた場合に生成する重合物の構造上の特徴に起因するものであると推察される。

Claims (5)

  1. ラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体(A)を界面活性剤の存在下に水性媒体中で重合してなる樹脂組成物において、重合時に過酸化水素水(B)を必須成分として含有してなる粘着剤用樹脂組成物水性分散体。
  2. 重合時にさらに還元剤(C)を含有してなる請求項1記載の粘着剤用樹脂組成物水性分散体。
  3. 請求項1又は2記載の粘着剤用樹脂組成物水性分散体を含有する事を特徴とする水性粘着剤組成物。
  4. ラジカル重合可能なエチレン性不飽和単量体(A)を界面活性剤の存在下に水性媒体中で重合してなる樹脂組成物において、重合時に過酸化水素水(B)を必須成分として含有する事を特徴とする粘着剤用樹脂組成物水性分散体の製造方法。
  5. 重合時にさらに還元剤(C)を含有する事を特徴とする請求項4記載の粘着剤用樹脂組成物水性分散体の製造方法。

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