JP2006001226A - インクジェット記録材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多孔質インクジェット記録材料の製造時に高温高速乾燥によるひび割れ等の故障を生じないインクジェット記録材料の製造方法を提供することである。
【解決手段】少なくとも無機微粒子とアセトアセチル基を有するポリマーを含有している水溶液であるインク受容層用塗液を支持体に塗布し、乾燥前に該水溶液を電子線照射することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明はインクジェット記録材料の製造方法に関しており、詳しくは多孔質インクジェット記録材料の製造時に高温高速乾燥によるひび割れ等の故障を生じないインクジェット記録材料の製造方法にも関している。
インクジェット記録は、騒音がなく、高速印字が可能であり、端末プリンターなどに採用され近年急速に普及している。また、複数個のインクノズルを使用することにより、多色記録を行うことも容易であり、各種のインクジェット記録方式による多色インクジェット記録が行われている。特にコンピューターにより作成した文字や各種図形及び写真等の画像情報のハードコピー作成装置として、複雑な画像を迅速で正確に形成する事ができるインクジェットプリンターの利用が注目されている。更に、これらコンピューターで作成した画像情報をインクジェットプリンターにより透明な記録材料に記録し、これをOHP(オーバーヘッドプロジェクター)等の原稿としても利用されている。また、続いて発展したインクジェットプリンターの利用分野としては、写真に近い画質が要求される印刷分野におけるカラー版下の用途やデザイン部門でのデザインイメージのアウトプットと大型のインクジェットプロッターを用いて簡便に作成することができる大判のポスター、ディスプレー、旗等である。さらに、近年デジタルカメラの急速な普及により、デジタル写真画像が身近になりこれらの画像を安価なインクジェットプリンターで出力する写真専用のモードやインクを具備したインクジェットプリンターも同様に急速に普及している。
インクジェット記録方式に使用される記録材料として当初は、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の顔料とポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が使用されてきた。
しかし、これら従来の記録材料を高い解像性と光沢が求められる写真、版下原稿やデザイン原稿に用いた場合にはいくつかの大きな問題点があった。すなわち、これら記録材料を用いて印字すると、インクのにじみが大きく、かつ光沢も低く、とても使用に耐えるものではなかった。また、これら従来の記録材料を大型のインクジェットプロッターに用いた場合には高い着色濃度が求められるポスターの場合、多量に打ち込まれたインクにより紙に波打ちが発生して見た目に醜いものになってしまうばかりでなく、発色濃度も低いものとなってしまう。
このような問題点を解決するために、インク吸収性、吸水性の高い透明なインク受容層を設けたポリマータイプの記録材料が多数提案されている。例えば、ポリビニルアルコールとポリアクリル酸系水溶性高分子、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースとポリエチレンオキサイドの混合物、水溶性セルロースとポリビニルピロリドンの混合物、特定pHのゼラチン水溶液から形成された受容層、ゼラチンと界面活性剤の混合物の使用がそれぞれ提案されている。
しかしながらこれら記録材料は、インクの受容性の改善はされているが、その高吸水性ポリマーを多用するという設計に由来して高湿時に表面がベタつき、取り扱い性が悪いという被膜の耐水性の問題が有った。耐水性向上のため高密度にポリマーを架橋させると、逆にインク吸収性が悪化するという問題が有ること、また、インク吸収がポリマー間の立体配置の偏光を伴いながら、且つ表面から底へ順次浸透するという本質的に速乾性を実現するには不向きな点が有り、取り扱いの悪さがどうしても残った。
このようなポリマータイプのインクジェット記録材料の耐水性向上のために、塗液を塗布した後、電子線照射により架橋することが特開平1−229685号公報(特許文献1)に記載されている。水分を含んだまま電子線照射する場合は、架橋のため乾燥時にポリマー間の立体構造の再構成に制約を与え、インク吸収性に有利な要因も有るが、本質的問題を取り除くには至らず、依然として速乾性は実現出来なかった。
一方、多孔質層タイプの記録材料は、その後改良が加えられ、顔料として極微細な無機粒子を使用し、フォトライクな光沢を有する記録材料が提案されている。例えば、500nm以下まで粉砕・分散した気相法シリカや湿式法シリカ等の無機超微粒子をインク受容層の顔料成分として用いることが提案されている。例えば、特公平3−56552号、特開平10−119423号、同2000−211235号、同2000−309157号公報に気相法シリカの使用例が、特開平9−286165号、同平10−181190号公報に粉砕沈降法シリカの使用例が、特開2001−277712号公報に粉砕ゲル法シリカの使用例が開示されている。また、特開昭62−174183号、同平2−276670号、同平5−32037号、同平6−199034号公報等にアルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料が開示されている。
しかし、無機超微粒子を使用すると高い光沢が得られる反面、塗布液の粘度が高くなりやすく、低い固形分濃度で塗布することから乾燥時の風紋、ひび割れ等の表面欠陥が発生しやすくなる。特に、高い光沢や良好な質感を得るためにポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の耐水性支持体を使用した場合、支持体がインクを吸収できないため、支持体上に設けられたインク受容層のインク吸収性が重要であり、従って多量の顔料を無機微粒子に対するバインダーの比率を低減して塗布する必要があり、その結果、乾燥時に欠陥が益々発生しやすくなったばかりでなく、記録材料を取り扱う時に起こる折り割れ(折れ曲がった所に亀裂が発生する現象)も問題となった。
このような表面欠陥を防止するため、架橋剤を含む塗布液を支持体に塗布した後、乾燥を比較的穏やかな条件で行う方法が知られている。例えば、特開平10−119423号、同2000−27093号、同2001−96900号公報等では、ポリビニルアルコールの架橋剤としてほう酸、ほう酸塩、ほう砂等のほう素化合物を用い、塗布液を塗布し一度冷却して塗工液の粘度を上昇させた後、比較的低温で乾燥する方法が開示されている。また、架橋剤としてアルデヒド系化合物やエポキシ化合物、イソシアナート類等も知られている。しかし、このような従来技術は、塗布・乾燥条件が制約を受け、その結果生産性の低下を招いていた。また、少しの乾燥温度変化で表面欠陥が顕著になる場合が有った。
一方、アセトアセチル基を有する樹脂をインクジェット用記録材料に使用することが知られており、例えば特開昭63−176173号(特許文献2)、特開平10−157283号(特許文献3)、特開2000−52646号、特開2000−280600号、特開2003−335043号(特許文献4)等に記載されている。
また、アセトアセチル基を有するポリマーの活性エネルギー線照射による硬化技術として、特開平6−155895号(特許文献5)に電子線硬化について記載されている。この中でアセトアセチル基は電子線反応性であること、しかし電子線硬化型モノマー不在の実施例では乾燥後に電子線照射しても十分な耐水性が得られないことが記載されている。
しかしながら、上述したような従来から知られている記録材料は、高い光沢、高いインク吸収性、ひび割れや折り割れが生じないという品質面に加えて、生産性の向上という面で満足するまでには至っていなかった。
特開平1−229685号公報 特開昭63−176173号公報 特開平10−157283号公報 特開2003−335043号公報 特開平6−155895号公報
したがって本発明の目的は、多孔質インクジェット記録材料の製造時に高温高速乾燥によるひび割れ等の故障を生じないインクジェット記録材料の製造方法を提供することである。
1.少なくとも無機微粒子とアセトアセチル基を有するポリマーを含有している水溶液であるインク受容層用塗液を支持体に塗布し、乾燥前に該水溶液を電子線照射することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
2.該無機微粒子の一次粒子径が3〜30nmであり、二次粒子径が500nm以下のシリカもしくはアルミナ水和物である上記1記載のインクジェット記録材料の製造方法。
3.該電子線照射の電子線加速電圧が100KV以下である上記1または2記載のインクジェット記録材料の製造方法。
4.該支持体と該インク受容層との間に、該アセトアセチル基を有するポリマーの架橋剤を含有する層を有することを特徴とする上記1、2または3記載のインクジェット記録材料の製造方法。
本発明の実施により、多孔質タイプのインク受容層に於いて、高温高速で乾燥してもひび割れを生ずることは無く、従って、高光沢でインク吸収性に優れたインクジェット記録材料を生産効率よく製造することが可能となる。
本発明者等は、アセトアセチル基を有するポリマーと無機微粒子を含有するインク受容層を設け、インク受容層を塗布後乾燥する前に該インク受容層に電子線照射することにより、上記本発明の目的が達成されることを見いだした。
本発明で用いるアセトアセチル基を有するポリマーはアセトアセチル基を有するモノマーと他のモノマーを共重合する方法等によって合成することができる。アセトアセチル基を有するモノマーの具体例としては、アセトアセトキシエチルメタクレート、4−ビニルアセトアセトアニリド、アセトアセチルアリルアミド等が挙げらる。また、ポリマー反応でアセトアセチル基を導入しても良く、例えばヒドロキシ基とジケテンとの反応等によってアセトアセチル基を導入することができる。アセトアセチル基を有する樹脂ポリマーの具体例としては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性セルロース誘導体、アセトアセチル変性澱粉等が挙げられる。本発明では、特にアセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコールが好ましい。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールとジケテンの反応等の公知の方法によって製造することができる。アセトアセチル化度は0.1〜20モル%が好ましく、更に1〜15モル%が好ましい。鹸化度は80モル%以上が好ましく、更に85モル%以上が好ましい。重合度としては、500〜5000のものが好ましく、特に1000〜4500のものが好ましい。
本発明ではアセトアセチル基を有するポリマーに加えて、更に他の公知のポリマーを併用してもよい。例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉や各種変性澱粉、ゼラチンや各種変性ゼラチン、キトサン、カラギーナン、カゼイン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールや各種変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を必要に応じて併用することができる。更に各種ラテックスを併用しても良い。
この際光沢性の点で、アセトアセチル基を有するポリマーと相溶性の高いポリマーを併用することが好ましい。アセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコールを使用する場合、完全または部分ケン化ポリビニルアルコール、またはカチオン変性ポリビニルアルコールが好ましく併用できる。特に、ケン化度が80%以上で、平均重合度200〜5000のものが好ましく使用できる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
上記した他のポリマーを併用する場合であっても、アセトアセチル基を有するポリマーの使用量は、ポリマー総量に対して、60質量%以上が好ましく、更に70質量%が好ましい。
また、インク受容層に於いて、ポリマーの総量は、無機微粒子に対して5〜40質量%の範囲が好ましく、特に10〜30質量%の範囲が好ましい。
電子線照射装置は通常、高圧電源、電子線加速器、真空ポンプ、制御用電源及び照射室によって構成されており、電子線加速器はさらに電子線透過用の窓(陽極)を備えた真空チャンバー、その中央部に配置されたフィラメントカソード及びグリッドから成っている。電流を流すとフィラメントカソードが加熱され、熱電子が放出される。放出された熱電子はグリッド等の電界レンズでビーム状に絞られた後、フィラメントカソードと窓(陽極)との間に印加された高加速電圧により、窓に向かって加速される。光速近くまで加速された電子は窓を透過して大気中に飛び出す。
従来の電子線加速器の窓は十数μmのチタン箔等で出来ていたので、その窓を透過するために電子は十分に高速に加速する必要が有り、そのため電子線は必然的に高エネルギーとなり、電子線処理に際して処理対象物の基材を劣化させる等の望ましくない副反応を招来することもあった。
近年、例えば3μm程度のシリコン箔を窓に用いて、比較的低エネルギー例えば加速電圧100KV以下の電子線を低損失で取り出せるようになってきている。本発明の実施に於いて、かかる低エネルギーの電子線の利用は望ましくない副反応を避ける意味で有利である。
電子線照射のタイミングとしては、乾燥に伴うひび割れ防止のために当然乾燥終了に先立って行わなければならない。具体的には塗布したインク受容層の流動性が失われる前であり、それは概ね減率乾燥が始まる前に一致する。また、乾燥開始前であってもよい。電子線照射電流〜照射電力や照射時間は電子線の加速電圧、ポリマーのアセトアセチル化率等により異なるので適宜調整すればよい。
本発明の実施に於いて、インク受容層と支持体との間にインク受容層に含有するアセトアセチル基を有するポリマーの架橋剤を含有する層(以降、下塗り層と称す)を有しても良い。下塗り層はインク受容層と隣接することが好ましい。下塗り層の支持体への塗布は、インク受容層と同時(重層塗布)でも良いし、インク受容層塗布に先立って予め塗布されても良いが、生産安定性(塗布筋等の塗布故障の発生)を考慮すると後者の予め塗布される方が好ましい。
下塗り層に含有するアセトアセチル基を有するポリマーの架橋剤としては、分子内に2ヶ以上の1級アミノ基を有する化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド類、メチロール化合物、活性化ビニル化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、フェノール系化合物及びジルコニウム塩、チタン塩、アルミニウム塩等の多価金属塩等が有る。中でも分子内に2ヶ以上の1級アミノ基を有する化合物が特に好ましい。
本発明の実施に於いて好ましく用いることの出来る分子内に2ヶ以上の1級アミノ基を有する化合物について説明する。本発明のアミノ基とは、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基の炭素原子に結合した一級アミノ基、及び窒素原子に結合した一級アミノ基(すなわちヒドラジンの末端アミノ基)である。混合後の増粘効果の点で、ヒドラジン型のアミノ基が好ましく、特にヒドラジド、セミカルバジド、又はカルボヒドラジド構造であるものが好ましい。炭素原子に結合した一級アミノ基を2個以上有する化合物の具体例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、メタキシレンジアミン、ノルボルナンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等が挙げられ、ヒドラジン型のアミノ基を2個以上有する化合物の具体例としては、ヒドラジン及びその塩、カルボヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のポリカルボン酸ヒドラジド類、4,4’−エチレンジセミカルバジド、4,4’−ヘキサメチレンジセミカルバジド等のポリイソシアネートとヒドラジンの反応物、ポリアクリル酸ヒドラジド等のポリマー型ヒドラジド等が挙げられる。特に、水溶性及び反応性の点で、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドが好ましい。
下塗り層に於ける架橋剤の含有量は、0.02〜2g/m2の範囲が好ましく、0.05〜1.5g/m2の範囲がより好ましく、0.1〜1g/m2の範囲が特に好ましい。
下塗り層には、親水性ポリマーを含有することが好ましい。かかる親水性ポリマーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン無水マレイン酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、多糖類等が挙げられる。下塗り層中に於ける親水性ポリマーの含有量は、0.01〜2g/m2の範囲が好ましく、0.02〜1g/m2の範囲がより好ましく、0.02〜0.5g/m2の範囲は特に好ましい。
下塗り層には、界面活性剤、親水性ポリマーの架橋剤、ph調整剤、防腐剤等を含有することが出来る。下塗り層には無機微粒子は含有させない方が好ましく、含有させる場合も0.1g/m2以下が好ましい。
本発明の下塗り層は、支持体としてプラスチック樹脂フィルムやポリオレフィン樹脂被覆紙のような耐水性支持体を用いる場合には、その上に塗布される塗布層と耐水性支持体との接着性を強化するための下引き層(サブコート)の働きをするものであってもよい。
本発明では、公知の硬膜剤をインク受容層に添加してもよい。樹脂バインダーとして変性ポリビニルアルコールを使用した場合には、ポリビニルアルコールの架橋剤(硬膜剤)として、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸、ほう酸塩、ほう砂の如き無機架橋剤等を併用できる。
本発明のインク受容層に用いられる無機微粒子としては、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等公知の各種微粒子が挙げられるが、インク吸収性と生産性の点で非晶質合成シリカ、アルミナ又はアルミナ水和物が好ましい。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソーシリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、東ソーシリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販さている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明には、特に気相法シリカが好ましく使用できる。本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は30nm以下が好ましく、より高い光沢を得るためには、15nm以下が好ましい。更に好ましくは平均一次粒子径が3〜15nm(特に3〜10nm)でかつBET法による比表面積が200m2/g以上(好ましくは250〜500m2/g)のものを用いることである。尚、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒子径として平均粒子径を求めたものであり、本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
本発明のインク受容層には、気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で、該気相法シリカの平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmに分散したものが使用できる。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。尚、本発明でいう平均二次粒子径とは、得られた記録材料のインク受容層を電子顕微鏡で観察することにより、観察される分散された凝集粒子の粒子径の平均値を求めたものである。
本発明では、平均二次粒子径500nm以下に粉砕した湿式法シリカも好ましく使用できる。本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、且つ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径500nm以下、好ましくは20〜200nm程度まで微粉砕した湿式法シリカ微粒子を使用することが好ましい。
通常の方法で製造された湿式法シリカは、1μm以上の平均凝集粒子径を有するため、これを微粉砕して使用する。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。この際、分散液の初期粘度上昇が抑制され、高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより微粒子に粉砕することができることから、吸油量が210ml/100g以下、平均凝集粒子径5μm以上の沈降法シリカを使用することが好ましい。高濃度分散液を使用することによって、記録用紙の生産性も向上する。吸油量は、JIS K−5101の記載に基づき測定される。
本発明の平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子を得る具体的な方法としては、まず水中でシリカ粒子とカチオン性化合物を混合(添加はどちらが先であっても、また同時でも良い)しても良く、又それぞれの分散液あるいは水溶液を混合しても良く、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いて予備分散液を得る。必要であれば更に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散物の固形分濃度は高いほうが好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、より強い機械的手段を与えることによって、平均二次粒子径が500nm以下の湿式法シリカ微粒子分散液が得られる。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えばボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
上記気相法シリカ及び湿式法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーまたは水溶性金属化合物を使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同昭59−33176号、同昭59−33177号、同昭59−155088号、同昭60−11389号、同昭60−49990号、同昭60−83882号、同昭60−109894号、同昭62−198493号、同昭63−49478号、同昭63−115780号、同昭63−280681号、同平1−40371号、同平6−234268号、同平7−125411号、同平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。
水溶性金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられ、中でもアルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましい。特に好ましくは水溶性アルミニウム化合物である。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られており、好ましく用いられる。
前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2、または3で示され、例えば[Al6(OH)153+、[Al8(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al2(OH)nCl6-nm 一般式1
[Al(OH)3nAlCl3 一般式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n 一般式3
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。
本発明に用いられる周期表4A族元素を含む水溶性化合物としては、チタンまたはジルコニウムを含む水溶性化合物がより好ましい。チタンを含む水溶性化合物としては、塩化チタン、硫酸チタンが挙げられる。ジルコニウムを含む水溶性化合物としては、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が挙げられる。本発明に於いて、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを目安とする。
本発明に使用するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で平均二次粒子径を500nm以下、好ましくは20〜300nm程度まで粉砕したものが使用できる。
本発明のアルミナ水和物はAl23・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロボキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は500nm以下、好ましくは20〜300nmである。
本発明に用いられる上記のアルミナ、及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ギ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散された分散液の形態から使用される。
本発明のインク受容層の乾燥塗布量としては、インク吸収性、インク受容層の強度、及び生産性の面で、無機微粒子の固形分として8〜40g/m2の範囲、特に10〜30g/m2の範囲が好ましい。
本発明では、インク染料の耐水性改良目的等でインク受容層に更にカチオン性化合物を含有することが好ましい。カチオン性化合物の例としては、シリカの分散の説明で挙げたカチオン性ポリマー、及び水溶性金属化合物が挙げられる。また、水溶性金属化合物の例としてカルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、鉄、亜鉛、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、p−フェノールスルホン酸亜鉛、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。中でも分子量5,000〜10万程度のカチオン性ポリマー、及びアルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましく、特にアルミニウム化合物を含有することが好ましい。カチオン性化合物は一種類を使用しても、複数の化合物を併用しても良い。
本発明において、インクジェット用記録材料には、少なくとも1つの上記インク受容層に加え、さらに他の構成のインク吸収層、あるいは保護層等の他の機能を有する層を設けてもよい。
本発明において、インク受容層及びその他の機能層には、更に界面活性剤、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
本発明に用いられる支持体としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、セロファン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のフィルム、ポリオレフィン樹脂被覆紙等の耐水性支持体、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙等の吸水性支持体等が用いられる。好ましくは耐水性支持体が用いられる。耐水性支持体の中でも特にポリオレフィン樹脂被覆紙が好ましい。これらの支持体の厚みは、約50〜250μm程度のものが好ましく使用される。
支持体、特に耐水性支持体であるフィルムや樹脂被覆紙を使用する場合には、インク受容層を設ける面上に天然高分子化合物や合成樹脂を主体とする下塗り層を設けるのが好ましい。支持体上に設けられるプライマー層はゼラチン、カゼイン等の天然高分子化合物や合成樹脂を主体とする。係る合成樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。下塗り層は、支持体上に0.01〜5μmの膜厚(乾燥膜厚)で設けられる。好ましくは0.01〜2μmの範囲である。
本発明における支持体には筆記性、帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗布して設けることができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、顔料、硬化剤、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
フィルム支持体や樹脂被覆紙にインク受容層の塗布液を塗布する場合、塗布に先立って、好ましくはコロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、プラズマ処理等が行われる。
本発明において、インク受容層及びその他の機能層の塗布方法は、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。尚、部及び%は質量部、質量%を示す。
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100部の樹脂に対して、10部のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下塗り層をゼラチンが50mg/m2(約0.05μm)となるように塗布乾燥して支持体を作成した。
<下塗り層1>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
<インクジェット用記録材料の作製>
水にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)4部と気相法シリカ(平均一次粒子径7nm、比表面積300m2/g)100部を添加し予備分散液を作成した後、高圧ホモジナイザーで処理して、固形分濃度20%のシリカ分散液1を製造した。このシリカ分散液1と水に溶解した他の薬品を30℃で混合して下記組成のインク受容層用塗布液1を調整した。シリカ粒子の塗布量が16g/m2になるようにワイヤーバーで塗布し、先ず加速電圧65KV、吸収線量50KGyの条件で電子線照射し、次いで80℃、55℃の空気を順次吹き付けて乾燥し実施例1のインクジェット記録材料を得た。なお、電子顕微鏡観察よりシリカ微粒子の平均二次粒子径は80nmであった。
<インク受容層塗布液1>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 20部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2350)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 3部
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が10質量%になるよう水で調整した。
得られたインクジェット記録シートについて下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
<ひび割れ>
塗布・乾燥したインク受容層の塗布面を観察し、以下の基準で評価した。
○:ひび割れが全くなく、均一な塗布面である。
△:目視では判別し難いくらいの小さいひび割れが発生している。
×:目視で明らかに判別できる大きなひび割れが発生している。
<光沢>
記録シートの印字前の白紙部光沢感を斜光で観察し、下記の基準で評価した。
○:カラー写真並の高い光沢感が有る。
△:少し光沢感が有る。
×:光沢感が無い。
<インク吸収>
市販のインクジェットプリンター(キャノン社製、PIXUS860i)にてシアン、マジェンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーのベタ印字(100%濃度及び80%濃度)を行い、印字直後にPPC用紙を印字部に重ねて軽く圧着し、PPC用紙に転写したインク量の程度を目視で観察した。下記の基準で評価した。
A:全ての色の100%印字でも転写しない。
B:レッド、グリーン、ブルーの100%印字では薄い転写が観察されるが他は転写していない。
C:レッド、グリーン、ブルーの80%印字以上で薄い転写が観察されるが他は転写していない。
D:レッド、グリーン、ブルーの80%印字以上及びシアン、マジェンタ、イエローの100%印字で薄い転写が観察されるが他は転写していない。
E:全ての条件で転写する。
実施例1に於いて、下塗り層1を下塗り層2替える以外は同様にして実施例1のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
<下塗り層2>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
アジピン酸ジヒドラジド 300部
実施例1に於いて、インク受容層塗布液1を塗布液2に替える以外は同様にして実施例1のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
<インク受容層塗布液2>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 20部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2350)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 3部
ほう酸 1部
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が10質量%になるよう水で調整した。
(比較例1)
実施例1に於いてインク受容層塗布液1を塗布液3に替える以外は同様にして比較例1のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
<インク受容層塗布液3>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
部分ケン化ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 3部
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が10質量%になるよう水で調整した。
(比較例2)
実施例1に於いて電子線照射を省略する以外は同様にして比較例2のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例3に於いてインク受容層塗布液2を塗布液4に替える以外は同様にして比較例3のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
<インク受容層塗布液4>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
部分ケン化ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 3部
ほう酸 1部
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が10質量%になるよう水で調整した。
(比較例4)
実施例3に於いて電子線照射を省略する以外は同様にして比較例4のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
(比較例5)
比較例2に於いて塗布液1を塗布液5に替える以外は同様にして比較例5のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
<インク受容層塗布液5>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール 20部
(アセトアセチル化度3%、ケン化度98%、平均重合度2350)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 3部
ほう酸 4部
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が10質量%になるよう水で調整した。
(比較例6)
比較例2に於いて塗布液1を塗布液6に替える以外は同様にして比較例4のインクジェット記録材料を得た。評価結果を表1に示す。
<インク受容層塗布液6>
シリカ分散液1 (シリカ固形分として)100部
部分ケン化ポリビニルアルコール 20部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
塩基性ポリ水酸化アルミニウム 3部
ほう酸 4部
ノニオン性界面活性剤 0.3部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
固形分濃度が10質量%になるよう水で調整した。
Figure 2006001226
ポリビニルアルコールがアセトアセチル化されていない比較例1及び電子線照射しない比較例2、アセトアセチル化ポリビニルアルコールとほう酸の組み合わせで電子線照射をしない比較例3及び5、部分ケン化ポリビニルアルコールとほう酸の組み合わせで電子線照射をしない比較例4及び6の何れもが、ひび割れ、光沢インク吸収に問題を生じるのに対し、実施例は優れたひび割れ、光沢性能を示している。実施例の中でもポリマーの架橋剤(硬膜剤)を用いた実施例2及び3は実施例1よりも光沢及びインク吸収の面で優れている。

Claims (4)

  1. 少なくとも無機微粒子とアセトアセチル基を有するポリマーを含有している水溶液であるインク受容層用塗液を支持体に塗布し、乾燥終了前に該水溶液を電子線照射することを特徴とするインクジェット記録材料の製造方法。
  2. 該無機微粒子の一次粒子径が3〜30nmであり、二次粒子径が500nm以下のシリカもしくはアルミナ水和物である請求項1記載のインクジェット記録材料の製造方法。
  3. 該電子線照射の電子線加速電圧が100KV以下である請求項1または2記載のインクジェット記録材料の製造方法。
  4. 該支持体と該インク受容層との間に、該アセトアセチル基を有するポリマーの架橋剤を含有する層を有することを特徴とする請求項1、2または3記載のインクジェット記録材料の製造方法。
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