JP2005516886A - 神経変性の抑制 - Google Patents

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Abstract

本発明は、アルツハイマー病の非トランスジェニクモデル、哺乳類において長期に渡るインビボ遺伝子発現を誘導する方法、およびアルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制する方法を特徴としている。

Description

発明の背景
本発明は、神経変性状態に関する。
アルツハイマー病は、記憶喪失および他の認知欠損を特徴とする、神経変性疾患である。アルツハイマー病の有病率は、年齢と共に上昇し、かつ本疾患の存在は、脳生検を行わないと決定することが困難である。アルツハイマー病は、神経炎性斑(neuritic plaque)、神経原線維のからみ、および神経細胞死の存在を特徴としている。アルツハイマー病患者の脳組織の剖検切片には、神経炎性斑のタンパク質性細胞外コアの形でアミロイドの存在が示される。これらの神経炎性斑のアミロイドコアは、アミロイドβまたはアミロイドbと称されるタンパク質で構成されている。アミロイドを含有する神経炎性斑は、アルツハイマー病患者に加え、ダウン症に罹患した患者の脳の選択的領域における顕著な特徴である。しかし、アルツハイマー病の発症またはその疾患に寄与する機構に関しては、ほとんどわかっていない。
発明の概要
本発明は、アルツハイマー病の非トランスジェニッック動物モデル、およびその脳における長期に渡るインビボ遺伝子発現の誘導法を特徴としている。哺乳類における外因性核酸の長期に渡る発現は、細胞または組織を、核酸、ヒストン、および両親媒性化合物を含有する組成物に接触させることにより実現される。好ましくは、この組成物は更にリポソームも含有する。組織は、骨格筋組織ではない。好ましくは、組織は、中枢神経系(CNS)組織のような神経組織である。例えば、組織は、有糸***後の神経細胞、皮質神経細胞、小脳神経細胞、神経膠細胞、血管内皮細胞、または海馬神経細胞を含む。
組織における遺伝子発現は、インビボにおいて、組織と核酸組成物を接触させた後に少なくとも48時間検出される。好ましくは、遺伝子発現は、組織と該組成物を接触させた後、少なくとも72時間、より好ましくは少なくとも96時間、更に好ましくは少なくとも1週間、および更により好ましくは少なくとも2〜4週間持続する。発現は、核酸分子の転写を意味する。遺伝子発現は、核酸転写産物の検出により、または翻訳産物の検出により測定される。本明細書に記載の遺伝子送達システムは、組織と該組成物の接触後、標的組織において少なくとも2ヶ月間の(およびそれよりも長く)遺伝子発現を達成するために、うまく使用されている。
この核酸組成物は、例えば中性、アニオン性またはカチオン性リポソームのような、リポソーム形状内にある。この組成物は、ヒストンタンパク質、例えばH1、H2A、H2B、H3、またはH4を含有する。両親媒性化合物は、カチオン性である。例えば、この化合物はポリアミンであり、例えばC6〜C24アルカン、C6〜C24アルケン、ステロール、ステロイド、脂質、脂肪酸、または疎水性ホルモンのような疎水性部分を有する非天然のポリアミンである。選択的に、この組成物は、核局在化シグナルを含む。
この組成物の核酸部分は、いずれかのポリペプチドをコードするDNAまたはアンチセンス鋳型である。この核酸は、アルツハイマー病に関連した神経糸タンパク質(AD-NTP)、例えばアルツハイマー病に関連した神経糸タンパク質7c(AD7c-NTP)をコードし、アルツハイマー病の生理的状態をインビボにおいて誘導する。
アンチセンス鋳型は、特異的mRNAと相補的な配列を有する核酸分子へと転写されるものである。転写された核酸分子は、特異的mRNAにおいて相補的配列に結合し、かつそのmRNAの翻訳を抑制する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、特異的mRNAに相補的な配列を有し、かつ特異的mRNA中のこの相補的配列に結合し、mRNAの翻訳を抑制する。例えば本組成物の核酸部分は、AD7c-NTPアンチセンス分子または一酸化窒素合成酵素III(NOS-3)アンチセンス分子である。AD7c-NTPアンチセンス鋳型は、RNA分子に転写され、これは標的細胞または組織内の内因性AD7c-NTP mRNAの一部に結合し、かつAD7c-NTP mRNAがAD7c-NTPポリペプチドまたは遺伝子産物へ翻訳されるのを抑制する。同様に、NOS-3アンチセンス鋳型は、RNA分子へ転写され、これは標的細胞または組織の内因性NOS-3 mRNAの一部へ結合し、かつNOS-3 mRNAがNOS-3ポリペプチドまたは遺伝子産物へ翻訳されるのを抑制する。好ましくは、このアンチセンスDNAは、AD7c-NTPのDNA配列またはNOS-3 cDNA配列に相補的な配列を含む。例えばこのDNAは、遺伝子の5'非翻訳領域に相補的である。
前述の組成物および方法は、遺伝子治療の適用またはヒト病態の非ヒト動物モデルの作出に有用である。例えばこの組成物の核酸部分は、アルツハイマー病の動物モデルを開発するために、AD7c-NTPポリペプチドのようなポリペプチドをコードする配列を含む。
これらの方法は、アルツハイマー病の非トランスジェニックモデルの作出に有用である。このモデルは、その脳組織、例えば動物の神経細胞内に、外因性AD7c-NTP核酸を含むような、非ヒト動物である。その動物の脳組織において、AD7c-NTP遺伝子産物が過剰発現する。ヒトアルツハイマー病の動物モデルは、アルツハイマー病に罹患したヒト患者脳において生じる、神経変性過程および神経病理学的変化を再現している。先に説明した長期に渡る遺伝子発現システムを使用すると、この動物は、外因性AD7c-NTPポリペプチドを動物の神経細胞において、少なくとも48時間ならびに最大4週間および4週間を超えて発現する。脳組織を外因性核酸と接触させた後最大2ヶ月間、インビボにおいて発現が検出される。この動物は、齧歯類またはヒト以外の霊長類である。皮質および/または海馬の神経細胞は、AD7c-NTPポリペプチドを長期間発現し、かつ例えば、弧発性アルツハイマー病のようなヒトアルツハイマー病を模倣した生理的状態および症状を示す。このような状態は、神経炎性斑の形成、アポトーシス(更には、プロアポトーシス遺伝子の活性化)による神経細胞死、ならびにリン酸化τ、APPおよびアミロイドbレベルの増大を含む。
あるいは、このモデルは、外因性一酸化窒素合成酵素核酸、例えばNOS-3を含み、かつ動物の神経細胞において少なくとも48時間およびそれよりも長く外因性一酸化窒素合成酵素ポリペプチドを発現する非ヒト動物である。この動物の生理的状態および症状は、ヒトアルツハイマー病の症状を模倣している。
同じくAD7c-NTPアンチセンス核酸(例えば、アンチセンス鋳型またはアンチセンスオリゴヌクレオチド)を含む、AD7c-NTP過剰発現細胞を組成物に接触させることにより、アルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制する方法も、本発明の範囲内である。この組成物は更に、ヒストンポリペプチドを含む。選択的に、この組成物は上記の両親媒性化合物を含む。AD7c-NTPアンチセンス鋳型(例えば、DNA)は、RNA分子に転写され、これは過剰発現細胞の内因性AD7c-NTP mRNAの一部に結合し、かつAD7c-NTP遺伝子産物の翻訳を抑制する。この方式において、AD7c-NTPタンパク質産生は調節され、かつ過剰産生による有害作用が減少される。この方法は、例えば弧発性アルツハイマー病のような、アルツハイマー病の病態症状を軽減するための、遺伝子治療の道具として有用である。例えば、この方式による内因性AD7c-NTPの病因性過剰産生の下方制御は、NOS-3生成の減少、神経細胞死の減少、アミロイド前駆体タンパク質(APP)およびアミロイドbの生成の減少に加え、神経炎性斑形成の減少をもたらす。NOS-3発現は、NOS-3アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはNOS-3アンチセンス鋳型の投与により直接減少する。
更にアルツハイマー病に関連した神経細胞死は、AD7c-NTP過剰発現神経細胞を、AD7c-NTPまたはNOS-3特異的リボザイムに接触させることによっても抑制される。リボザイムは、触媒中心を含むRNA分子である。例えば、リボザイムは、酵素、自己スプライシングRNA、または自己切断RNAである。リボザイムは、標的タンパク質、例えばAD7c-NTPをコードするmRNAの翻訳を抑制することにより、標的タンパク質の生成を減少する。
アルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制する別の方法は、AD7c-NTP過剰発現細胞を、インスリン受容体基質(IRS)経路を介してシグナル伝達を抑制する化合物、例えば、低有機分子、ペプチド、抗体(またはそれらの断片)などに接触させることに関する。
アルツハイマー病に関連した神経細胞死は、AD7c-NTP過剰発現細胞を、IRS依存性増殖因子の阻害物質に接触させることにより抑制される。例えば、この阻害物質は、IGF-1遺伝子の転写、IGF-1 mRNAの翻訳、またはその遺伝子産物の機能を低下させる。ひとつの例において、この阻害物質は、AD7c-NTPのN末端インスリン/IGF-1受容体ドメインに結合し、これにより内因性インスリンおよび/またはIGF-1の神経細胞表面AD7c-NTPへの結合を抑制する。AD7c-NTPの可溶性断片を使用し、細胞AD7c-NTPへのIGF-1結合を抑制する。例えばこの断片は、配列番号:2の残基2〜14のアミノ酸配列を含む。好ましくは、このポリペプチド断片は、250残基未満、200残基未満、150残基未満、100残基未満である。例えばこの断片は、13残基よりも多いかまたはこれを超えるが、50残基未満であり、配列番号:2の残基2〜14のアミノ酸配列を含み、かつIRSシグナル伝達経路を介しシグナル伝達を抑制する。あるいはこの化合物は、薬物(例えば、低有機分子)、ペプチド、抗体または抗体断片であり、これはAD7c-NTPのインスリン/IGF-1ハイブリッドドメインに結合する。
参照タンパク質の断片は、参照タンパク質の長さよりも短いポリペプチドである。この断片は、参照タンパク質と同一の、例えば少なくとも10個のアミノ酸配列を含む。この断片は、参照タンパク質の長さの50%、60%、75%、80%、90%、95%、および最大99%であってもよい。同様に、遺伝子断片は、それが参照する遺伝子配列の長さより短いが、参照配列と同じDNA配列、例えば少なくとも18個のヌクレオチドを含む。
アルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制する別の方法は、AD7c-NTP過剰発現細胞を、一酸化窒素合成酵素IIIの阻害物質に接触させる段階を含む方法、ならびにAD7c-NTP過剰発現細胞を、インスリンの阻害物質に接触させる段階を含む方法がある。
本発明は更に、アルツハイマー病の発症もしくは進行を抑制する化合物か、またはこの疾患の症状もしくは生理的状態を抑制する方法をスクリーニングする方法も特徴としている。スクリーニングアッセイ法は、AD7c-NTPまたはNOS-3を過剰発現する細胞を用い、インビトロにおいて実行される。インビボアッセイ法は、AD7c-NTPまたはNOS-3を過剰発現する非トランスジェニックモデルを用いて実行される。例えば、アルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制する化合物を同定する方法は、AD7c-NTP過剰発現細胞を、候補化合物に接触させ、細胞生存度を測定することにより実行される。化合物の存在下における細胞生存度が非存在下と比較して増大することで、この化合物がアルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制することを示す。この細胞は、初代または不死化された細胞株である。好ましくは、この細胞は、外因性AD7c-NTPをコードするDNAを含み、かつ外因性AD7c-NTPポリペプチドを誘導的または構成的方法で発現するような、初代の小脳神経細胞、海馬細胞、神経膠細胞、または血管内皮細胞である。別のスクリーニング法は、インビボにおいて神経組織内にAD7c-NTP過剰発現細胞を含む非ヒト動物を候補化合物に接触させ、神経細胞生存度を測定することにより実行される。この化合物の存在下における細胞生存度が非存在下と比べて増大することで、この化合物がアルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制することを示す。
化合物は、アルツハイマー病の1種または複数の症状または生理的特徴を抑制する能力についてスクリーニングされる。例えば、神経組織、例えば脳においてAD7c-NTP過剰発現細胞を含む非ヒト動物を、候補化合物に接触させる。この非ヒト動物は、トランスジェニックまたは非トランスジェニック動物であり、これはAD7c-NTPまたはNOS-3を過剰発現(その野生型相対物において発現されたレベルと比較して)するように操作されている。この化合物は、全身または局所に投与される。例えばこの化合物は、例えば、脳室内注入により、脳組織へ直接送達される。その組織においてアミロイド前駆体タンパク質(APP)発現が検出され、かつその化合物の存在下におけるAPP発現が非存在下と比べて減少することで、この化合物がアルツハイマー病の症状を抑制することを示する。同様に、アルツハイマー病の症状を抑制する化合物を同定するアッセイ法は、AD7c-NTPを過剰発現している神経細胞を含む非ヒト動物を候補化合物に接触させ、その組織内の神経炎性アミロイド斑を検出することにより実行される。化合物の存在下における斑の量が非存在下と比べて減少することで、この化合物がアルツハイマー病の症状を抑制するか、もしくはアルツハイマー病の重症度を低下させることを示す。これらの方法により、候補化合物をハイスループットスクリーニングしてアルツハイマー病に関連した病態を軽減する治療的物質を同定することができる。
本発明のその他の特徴、目的および利点は、本説明および特許請求の範囲から明かであろう。
詳細な説明
本発明以前に、神経脳組織における一貫した長期間の異種遺伝子発現が実現されている。異種核酸またはポリペプチドとは、それが当初単離された生物または場所とは異なる生物または場所中に存在するものである。例えば、異種ポリペプチドとは、本明細書に記載の遺伝子送達法を用い、細胞へ導入された核酸によりコードされたものである。先行する遺伝子送達法とは異なり、本明細書に記載の遺伝子療法は、成人脳組織における治療的核酸の長期発現をもたらす。本発明以前の遺伝子療法では、多くの方法が、その核酸処方において、遺伝子を標的組織に送達することに失敗したか、発現に十分な高レベルを実現することに失敗したか、もしくは十分に長期間の発現を実現することに失敗したために、うまくいっていない。核酸、ヒストンおよび両親媒性化合物を含有する核酸組成物は、核酸を神経組織へ効果的に送達し、かつその遺伝子産物の長期間の発現をもたらす。
成人神経組織における治療的核酸の長期に渡る発現
下記実施例に説明されるデータは、アルツハイマー病モデルシステムにおいて作成された。このデータは、いずれか望ましい遺伝子配列(例えば、ポリペプチドがコードする配列またはアンチセンス配列)が、脳組織において長期間、例えば送達後最大数ヶ月も発現することを示している。この組成物は、脳組織へ直接、または例えば経静脈により間接的に送達される。この組成物は、両親媒性の性質により、血液脳関門を横断しかつ神経組織に接近できる。従って治療的ポリペプチド、例えば、形態形成因子、神経増殖因子(NGF)または血小板由来の増殖因子(PDGF)のような増殖因子、ならびに血管新生阻害物質は、成人神経組織へ投与され、長期間の臨床的利益をもたらす。本明細書に記載の長期に渡る遺伝子発現により、アルツハイマー病に加え、年齢に関連した神経変性、パーキンソン病、虚血性卒中、ハンチントン病、および脳腫瘍といった成人の神経学的疾患が治療される。
成人脳組織におけるAD7c-NTP発現
AD7c-NTPは、アルツハイマー病の脳において、異常に高レベルで発現し(正常脳組織と比べ)、これは神経変性過程の初期に始まる。このタンパク質は、皮質ニューロンに蓄積し、かつ痴呆に関連したリン酸化τ免疫反応性の細胞骨格病変と同時局在する。
AD7c-NTP cDNAは、疎水性リーダー配列、ミリストイル化部位、および可能性のある切断部位を有する、〜41kDの膜貫通タンパク質をコードする。このタンパク質は、細胞表面に発現するか、もしくは分泌され得る。AD7c-NTPタンパク質レベルの増大が、ADの初期または中期の患者の脳脊髄液および尿の両方において検出可能である。インビトロ神経細胞におけるAD7c-NTP遺伝子の過剰発現は、細胞死の増大または残存する生存細胞における神経突起伸長のいずれかを特徴とする、二相性の表現型を生じる。AD7c-NTPが誘導する神経細胞死は、アポトーシスおよびミトコンドリア機能の損傷により媒介され、かつADにおけるp53およびリン酸化τの細胞レベルでの増大に関連している。
アルツハイマー病の非トランスジェニックモデル
例えば齧歯類のような動物の脳組織におけるAD7c-NTPまたはNOS-3ポリペプチドの長期に渡る発現は、ヒトアルツハイマー病に類似した生理的状態をもたらす。長期に渡る発現は、ヒストンタンパク質および/または両親媒性化合物とリポソームとの混合物中に入れたAD7c-NTPまたはNOS-3をコードする核酸を投与することにより実現される。同様の混合物は、骨格筋組織における核酸発現の誘導のために使用されているが、本明細書に記載の長期に渡る発現は、神経組織においては実現されていない。神経組織における外因性核酸の長期発現は驚くべきことであった。このモデルは、本疾患のトランスジェニックモデルに勝るいくつかの利点を有する。例えばこれらの核酸は、脳においては発現されるが、他の組織においては発現されず、かつその発現は調節することができる。標的核酸、例えばAD7c-NTPまたはNOS-3は、脳組織における遺伝子産物の発現を優先的に指示する誘導性プロモーターまたは構成性プロモーターの調節下でクローニングされる。
このモデルは、AD7c-NTPまたはNOS-3を発現または過剰発現するように操作された動物において、アルツハイマー病の多くの臨床徴候が反映されることにおいて臨床的に関連性がある。例えばアルツハイマー病の脳のように、リン酸化τ、APP、およびアミロイドbの発現が増大することに加え、斑が形成されることは、モデル動物の脳において明白であった。
AD7c-NTPのインスリン/IGF-1ハイブリッドドメインへの結合の抑制
AD7c-NTPのインスリン/IGF-1ドメインに結合する低分子、ポリペプチド、抗体、または抗体断片を用い、IRS経路を介したシグナル伝達を遮断または抑制し、これは次に神経細胞死を抑制する。この抑制性分子は、AD7c-NTPのインスリン/IGF-1ドメインへの内因性リガンドの結合を抑制することにより、シグナル伝達を遮断または低下させる。
AD7c-NTPに結合する抗体は、標準的方法を用いて作成される。AD7c-NTP特異抗体を産生する少なくとも13種の異なるハイブリドーマが同定された。このような抗体がAD7c-NTPのインスリン/IGF-1ドメインに結合するかどうかを決定するために、配列番号:2の残基2〜14を含むAD7c-NTPペプチドを用い、標準結合アッセイ法を実行する。例えば、AD7c-NTPのインスリン/IGF-1ドメインを含む少なくとも15残基のペプチドを、固形マトリックス上に固定する。検出可能であるように標識された抗体(または断片)を、結合する。これらの抗体または抗体断片を、例えば、放射性、蛍光または比色標識を用い、直接的または間接的に標識する。未結合の抗体を洗浄除去する。固形マトリックス上に標識した抗体が保持されることで、この抗体が標的ドメインに結合することを示す。
抗体が、インスリンまたはIGF-1のAD7c-NTPのインスリン/IGF-1ドメインへの結合を抑制するかどうかを決定するために、標準の競合的結合アッセイ法が行われる。例えば、このドメインを含むペプチドを固定する。固定したペプチドは、標識したインスリンまたはIGF-1と共に、抗体の存在または非存在下でインキュベートする。抗体の存在下での(抗体が存在しないときの結合レベルと比較して)インスリンまたはIGF-1の、固定したペプチドへの結合の減少は、この抗体がインスリンまたはIGF-1のAD7c-NTPのインスリン/IGF-1ドメインへの結合を抑制することを示する。ブロッキング抗体は、シグナル伝達を抑制し、その結果AD7c-NTPが誘導する神経細胞死を抑制する。
AD7c-NTPのインスリン/IGF-1ドメインへ結合する抗体は、当技術分野における周知の技術を用いて得られる。例えば抗体は、配列番号:2の残基2〜14のアミノ酸配列を含むポリペプチドで免疫処置した動物において作成される。このドメインに結合する抗体は、例えば米国特許第5,863,898号に開示されたような、当技術分野における公知の方法を用いて作成される。このような抗体は、ドメインに結合し、かつインスリンまたはIGF-1結合を抑制し、その結果IRS経路を介したシグナル伝達を抑制する。
適当なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの同定後、この抗体をコードするDNAがクローニングされる。クローニングしたDNAは、抗体断片を発現するために使用することができる。この抗体は、好ましくは、AD7c-NTPのインスリン/IGF-1ドメイン内の部位へ結合する。この抗体は、細胞表面に露出しているエピトープへ結合する。この抗体は、ポリクローナル性抗血清またはモノクローナル抗体である。本発明は、無傷のモノクローナル抗体のみではなく、免疫学的に活性のある抗体断片、例えばFabまたは(Fab)2断片;操作された一本鎖Fv分子;または、キメラ分子、例えば、マウス起源のひとつの抗体の結合特異性と、例えばヒト起源の別の抗体の残余部分とを含む抗体も包含している。
ヒト患者への投与に関して、抗体、例えばAD7c-NTPモノクローナル抗体は、当技術分野における公知の方法によりヒト化される。望ましい結合特異性を伴う抗体は、商業的にヒト化され得る(Scotgene社、スコットランド;Oxford Molecular社、パロアルト、CA)。
治療的投与
本明細書に記載の組成物は、アルツハイマー病と診断された患者に加え、アルツハイマー病発症のリスクのある者、例えば本疾患の家族歴のある者または本疾患のリスク因子を有すると確定された者へ投与される。例えばこの組成物は、臨床的アルツハイマー病の根拠は伴わない高齢者集団(例えば年齢が65、70または75歳を超える者)に予防的に投与される。この組成物は、痴呆よりも重症度が低い、アミロイド形成に関連した脳機能減退の改善または予防のために使用される。予防的療法は、正常な脳機能を発揮しているがアルツハイマー病発症のリスクがあると確定されたあらゆる年齢のヒトに適用される。
血液脳関門は、例えばアルツハイマー病のような神経学的疾患の患者においては損なわれていることがあり、全身投与された薬物を、この関門を通りCNSへと通過させることができる。治療的化合物のリポソーム処方も、血液脳関門を越えた通過を促進する。従って本明細書に記載の処方は、全身投与することができる。例えば、静脈内、動脈内、または髄腔内(脊髄液を介して)投与される。
あるいは、これらの組成物は、例えば脳室内へと、局所投与することができる。脳内部への組成物の投与装置は、当技術分野において公知であり、例えば米国特許第5,800,390号に開示されている。例えば、持続放出型、固形調製物および半固形調製物は、直接脳組織へ投与される。投与は、ガイドの遠位末端が投与部位に位置するように、頭部に選択的に移植される脳内装置の針様部材の挿入により実行される。
化合物の有効量は、好ましくは、約0.1mg/kg〜約150mg/kgである。この組成物は、当技術分野における公知の方法を用い投与される。遺伝子療法またはアンチセンス適用に関して、治療的ポリペプチド(例えば、NGFまたはPDGF)をコードする核酸またはアンチセンス化合物(例えば、AD7c-NTPまたはNOS-3アンチセンス鋳型)コードする核酸は、脳組織に連結されるような配列の発現を優先的に指示するプロモーターへ、インフレームで連結される。例えば、関心のある核酸は、脳組織における標的核酸配列の発現増強のために、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)プロモーター、APPプロモーター、グルタミンシンターゼプロモーター、またはチロシンヒドロキシラーゼプロモーターに連結される。
アンチセンス療法は、動物、例えばヒト患者に対し、アンチセンスRNAへと転写されるアンチセンス鋳型を投与することにより実行される。例えばアンチセンス鋳型は、AD7c-NTPまたはNOS-3アンチセンスRNAへと転写される。アンチセンスRNAは、内因性AD7c-NTPまたはNOS-3転写産物へと結合し、かつこのRNAのAD7c-NTP遺伝子産物への翻訳を抑制する。このアンチセンスRNAは、特異的mRNA配列の全部または一部と相補的であるように形成された、短い(一般に、少なくとも10個、好ましくは少なくとも14個のヌクレオチドであり、最大100個またはそれよりも多いヌクレオチドの)ヌクレオチド配列でありうる。アンチセンス鋳型は、好ましくはこの遺伝子のプロモーター配列の下流に位置される。典型的には、polyA尾部が、アンチセンス配列の末端に位置し、この配列末端をシグナル伝達する。アンチセンス技法に関連した標準方法が説明されている(Melaniら、Cancer Res.、51:2897-2901(1991))。DNA配列のアンチセンスRNAへの転写後、アンチセンスRNAは、細胞内のその標的mRNA分子へ結合し、これによりmRNAの翻訳を抑制し、かつこのmRNAによりコードされるタンパク質の発現を下方制御する。
遺伝子療法またはアンチセンス療法に関して、特許請求されるDNAは、動物、例えば患者の標的細胞へ、標準のベクターを用い導入される。この遺伝子送達システムは、ヒストンおよび両親媒性化合物を含む。適当な遺伝子送達システムは、リポソーム、受容体媒介型送達システム、裸のDNA、ならびにヘルペスウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスのようなウイルスベクターを含み得る。単離されたDNAを細胞にトランスフェクトする方法は、分子生物学の当業者には周知である。
DNAは、薬学的に許容される担体で投与される。薬学的に許容される担体は、動物への投与に適した、生物学的に適合性のある媒質、例えば生理的食塩水である。治療有効量は、処置した動物に医学的に望ましい結果を生じることが可能なDNA量である。医学技術分野において周知であるように、ひとりの患者に関する用量は、患者の体格、体表面積、年齢、投与される具体的化合物、性別、投与時間および経路、全身の健康状態、ならびに同時投与される他の薬物を含む、多くの因子によって左右される。用量は変動するが、DNAの静脈内投与に好ましい用量は、DNA分子のおよそ106〜1022コピーである。本発明の組成物は、局所または全身に投与される。投与は一般に、脳室内または静脈内に投与される。投与される組成物の好ましい形は、投与および治療適用の意図された様式によって決まる。例えばDNAは、脳組織へ直接カテーテル輸送により溶液形で投与することができる。
リボザイム療法も、癌患者におけるAD7c-NTPまたはNOS-3遺伝子発現を抑制するために使用される。リボザイムは、特異的mRNAに結合し、かつその後これを予め決定された切断点で切断し、これにより転写産物を破壊する。これらのRNA分子を用い、当技術分野における公知の方法に従い、標的遺伝子の発現を抑制する(Sullivanら、J. Invest. Derm.、103:85S-89S(1994);Czubaykoら、J. Biol. Chem.、269:21358-21363(1994);Mahieuら、Blood、84:3758-65(1994);Kobayashiら、Cancer Res.、54:1271-1275(1994))。
可能性のあるRNA標的内の特異的リボザイム切断部位は、GUA、GUUおよびGUC配列を含むリボザイム切断部位に関して標的分子を走査し、最初に同定される。一旦同定された切断部位を含む標的遺伝子の領域に相当する15〜20個のリボヌクレオチドの短いRNA配列は、そのオリゴヌクレオチド配列を不適切とさせる二次構造などの予想される構造的特徴について評価される。候補標的の適合性は、リボヌクレアーゼ保護アッセイ法を用い、それらの、相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションへの利用可能性を試験することにより評価される。アンチセンスRNAおよびDNA分子ならびにリボザイムは、固相ホスホロアミダイト技法を用いるオリゴデオキシリボヌクレオチドの化学合成のような、当技術分野における公知の方法により調製される。
アルツハイマー病に関連した状態を抑制する化合物の同定
アルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制する化合物を同定するアッセイ法は、AD7c-NTP過剰発現細胞を候補化合物と共に培養し、および細胞生存度を測定することにより実行される。細胞生存度は、例えば生体色素排除またはトリチウム標識チミジンの組込みのような、当技術分野における公知の方法を用いて測定される。化合物存在下における細胞生存度が非存在下と比べて増加することで、この化合物がアルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制することを示す。この細胞は、初代または不死化した細胞株である。誘導的または構成的方式で、AD7c-NTPをコードするDNAまたはNOS-3をコードするDNAを過剰発現する初代の小脳神経細胞、海馬細胞、神経膠細胞、または血管内皮細胞が本アッセイ法において使用される。例えばこれらの細胞は、アルツハイマー病患者またはアルツハイマー病モデル動物からの神経組織外植片の形状である。AD7c-NTPが過剰発現する本明細書に記載のモデルのような、本疾患に関する非ヒト動物モデルは、候補化合物と接触し、かつ神経細胞生存度が測定される。化合物存在下における細胞生存度が非存在下と比べて増加することで、この化合物がアルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制することを示す。
本疾患の他の症状または状態は、動物モデルを用いてモニタリングされ、かつ化合物は、アルツハイマー病の1種または複数の症状または生理的状態を抑制する能力についてスクリーニングされる。有機化合物、ポリペプチド、または抗体およびそれらの断片のような候補化合物は、動物へ全身的または直接脳組織へ投与される。APP発現は、免疫組織化学的分析のような公知の方法を用い、組織において検出する。化合物存在下におけるAPP発現が非存在下と比べて減少することで、この化合物がアルツハイマー病の症状または状態を抑制することを示す。
本明細書に説明したアルツハイマー病の動物モデルは、アルツハイマー病患者のヒト脳の剖検標本において検出される斑に類似してた老人性神経炎性斑を発症している。斑の形成または進行を抑制する化合物は、非ヒト動物モデルを候補化合物に接触させ、および組織中のアミロイド斑を検出することにより同定される。斑は、脳組織および脳の血管組織の組織学的および免疫組織学的評価のような公知の方法を用いて検出される。化合物存在下における斑の量が非存在下と比べて減少することで、この化合物が老人性斑形成を抑制することを示す。
AD7c-NTPのインスリン/IGF-1ドメイン(配列番号:2の残基2〜14)に結合する化合物は、インスリンまたはIGF-1のAD7c-NTPへの結合をブロックし、かつシグナル伝達を抑制する。このような化合物は、標準方法を用いて同定される。例えば、候補ポリペプチド、抗体または他の化合物は、例えばクロマトグラフィーカラム上またはマイクロアレイもしくはマイクロタイタープレートのような別の固形マトリックス上に固定する。固定した化合物は、検出可能に標識したポリペプチド(例えば、配列番号:2の残基2〜14を含むポリペプチド)と接触させる。未結合のペプチドを洗浄除去し、かつその標識を検出する。AD7c-NTPのインスリン/IGF-1ドメインに結合する組成物は、検出可能に標識したAD7c-NTPポリペプチドが保持されることにより同定する。
あるいは、競合的結合アッセイ法が実行される。配列番号:2の残基2〜14を含むポリペプチドは、固定し、かつ候補化合物の存在および非存在下で、インスリンまたはIGF-1と接触される。例えば候補化合物は、AD7c-NTP抗体またはAD7c-NTP特異抗体の抗体断片である。インスリンまたはIGF-1は、検出可能なように標識することができる。候補化合物の存在下におけるインスリンまたはIG1-1の、固定したAD7c-NTPペプチドへの結合(標識の存在について検出される)が、化合物非存在下における結合レベルと比べて減少することで、候補化合物が、インスリンまたはIGF-1のAD7c-NTPの、インスリン/IGF-1ハイブリッドドメインへの結合を抑制することを示す。このような抑制性化合物は、インスリン/IGF-1シグナル伝達経路を介したシグナル伝達を抑制し、かつその結果アルツハイマー病の症状または状態を抑制する。
アルツハイマー病に関連した、AD7c-NTPが誘導する神経細胞死は、アポトーシスにより媒介される。アポトーシスによる死は、ADで生じるような、p53およびリン酸化τの細胞レベルの増大に関連している。従って、治療的物質の別のスクリーニング法は、AD7c-NTP過剰発現細胞(またはNOS-3過剰発現細胞)の候補化合物とのインビトロまたはインビボにおける接触、ならびに細胞内のp53およびリン酸化τのレベルの測定により実行される。候補化合物存在下でのp53またはリン酸化τのレベルが候補化合物の非存在下のレベルと比べて減少することで、候補化合物がアルツハイマー病に関連した神経細胞死を減少させることを示す。
実施例1:AD7c-NTP誘導性アポトーシスおよび突起伸長
AD7c-NTP神経糸タンパク質遺伝子は、アルツハイマー病において過剰発現し、これは疾患過程の初期に始まる。AD7c-NTPタンパク質は、皮質ニューロンに蓄積し、かつリン酸化τ免疫反応性の細胞骨格病変と同時局在する。AD7c-NTP遺伝子の過剰発現は、アポトーシスおよび増強された神経突起伸長の両方に関連する二相性の表現型を生じる。誘導可能な哺乳類発現ベクターを用い、PNET2神経細胞におけるAD7c-NTP発現を調節し、かつAD型神経変性に関連する細胞形態、遺伝子発現、および細胞内シグナル伝達に対するインスリン(50nM)、IGF-1(5ng/ml)、NGF(2.5ng/ml)またはPDGF(5ng/ml)刺激の作用を、試験した。CAT遺伝子をトランスフェクトした細胞は陰性対照として使用した。AD7c-NTPを発現するように誘導した細胞のインスリンまたはIGF-1刺激は、細胞死の増大、p53、p21/Waf1、リン酸化JNK、一酸化窒素合成酵素-3、リン酸化τ、およびCdk5のp25調節パートナーのレベルの増大、ならびにBcl-2発現の抑制をもたらした。対照的に、NGFまたはPDGFにより刺激した細胞は、高レベルのAD7c-NTP発現にも関わらず、突出した神経突起伸長、ならびに高レベルのBcl-2およびリン酸化Erk MAPKを示した。これらの結果は、AD7c-NTP過剰発現に関連するアポトーシスおよび突起伸長の表現型が、利用可能性および様々な増殖因子に対する細胞反応により調節されることを示している。これらのデータは、AD7c-NTP過剰発現神経細胞が、NGFまたはPDGF刺激によりレスキューされたことを示している。
インビトロにおけるAD7c-NTP過剰発現を試験するための誘導性発現システムの確立
本発明以前は、AD7c-NTPを安定的にトランスフェクトした細胞は、進行性の細胞死のために、維持することができなかった。従ってAD7c-NTP発現の誘導可能なシステムは、LacSwitch II哺乳類発現ベクター(Stratagene社、ラホヤ、CA)を用いて確立した。PNET2ヒトCNS神経細胞は、Lacリプレッサータンパク質がCMVプロモーターにより駆動されるようなpCMVLacIIベクターによって安定的にトランスフェクトした。このLacリプレッサータンパク質は、核局在化配列により、核へと標的化される。安定したクローンは、ハイグロマイシンBにより選択した。クローンは、AD7c-NTP cDNAまたはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子を保持する第二のベクター(pOPRSV1)でトランスフェクトし、かつ安定したクローンを、ハイグロマイシンおよびG418により選択した。この第二のベクターは、関心のある遺伝子発現を駆動するRSVプロモーター、およびLacリプレッサー結合のための理想的オペレーター配列を含む。イソプロピル-1-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)刺激(1〜5mM)は、Lacリプレッサータンパク質を消滅し(turn off)、かつ4〜8時間以内にCATまたはAD7c-NTPの発現を誘導する。誘導後、遺伝子発現は、48〜96時間持続し、かつIPTGの回収により迅速に抑制される。探求的試験は、3mM IPTGが、これらのクローンの遺伝子発現の誘導にとって最適であることを明らかにした。
増殖因子刺激
様々な増殖因子の、AD7c-NTP発現(および過剰発現)に対する作用を試験するために、これらの細胞を、16時間血清飢餓状態とし、その後IPTG(1〜5mM)を培地へ添加した。4時間後、これらの細胞を、インスリン(50nM)、IGF-1(5ng/ml)、NGF(5ng/ml)または血小板由来増殖因子(PDGF;5ng/ml)で、24〜72時間刺激した。これらの細胞を、形態学的変化、生存度、AD7c-NTP免疫反応性、ならびにプロアポトーシス遺伝子、生存遺伝子およびリン酸化τの発現について分析した。
生存度アッセイ法
生存度は、標準のクリスタルバイオレットアッセイ法により測定した。クリスタルバイオレット色素は、生存細胞のみを標識する。これらのアッセイ法は、96穴プレートに密度2x104個細胞/ウェルになるよう播種した細胞で行った。吸光度は、スペクトラカウント(Spectracount)プレートリーダー(Packard社、メリデン、CT)を用いて測定した。クリスタルバイオレット吸光度は、細胞密度が104〜5x105個細胞/ウェルの間は、直線状に増加した。
タンパク質発現
標準ウェスタンブロットアッセイ法を使用し、p53、Bcl-2、p21/Waf1、リン酸化τ、τ、c-fos、NTP、およびErkマイトゲン活性化タンパク質(MAP)キナーゼの活性化(リン酸化)型、アミノ末端c-jun活性化キナーゼ(pJNK)、ならびにp38/HOG1の細胞レベルを測定した。免疫沈降に続きウェスタンブロット分析を用い、IRS1に会合したp85サブユニットを測定した。p53、Bcl-2、リン酸化τ、τ、c-fosおよびNTPのウェスタンブロットに関して、細胞は、氷冷中、プロテアーゼ阻害物質およびホスファターゼ阻害物質を補充した放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)緩衝液に溶解した。免疫沈降試験、リン酸化Erk、pJNKおよびp38のウェスタンブロット分析、ならびにPI3キナーゼアッセイ法に関して、細胞は、プロテアーゼ阻害物質およびホスファターゼ阻害物質を補充したトリトン(Triton)溶解緩衝液に収集した。タンパク質濃度を、BCAアッセイ法(Pierce社、ロックフォード、IL)を用い測定した。タンパク質60μgを含有する試料を、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分画し、その後PVDF膜に移し、かつウェスタンイムノブロットにより分析した。免疫反応性を、ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合二次IgGおよびPicoWest増強化学ルミネセンス試薬(Pierce Chemical社、ロックフォード、IL)により検出した。CAT活性は、公知の方法を用いて測定した。
マイクロタイター免疫組織化学的ELISA(MICE)アッセイ法
MICEアッセイ法は、当技術分野において公知である(例えば、la Monteら、Biotechniques、26:107301076(1999)に記載されている)。このアッセイ法は、96穴微量培養において免疫反応性を定量する、迅速かつ鋭敏な方法であり、ならびに固相酵素免疫測定法と免疫細胞化学的染色の利点を組合わせ、細胞密度に対して標準化した値によりタンパク質発現を鋭敏にインサイチュ定量することを可能にしている。これらの細胞は、Histochoice(Amresco社、ソロン、Ohio)に固定し、トリス緩衝生理食塩水(50mM Tris、pH7.5、0.9%NaCl;TBS)中の0.05%サポニンで透過性とし、かつSuperblock-TBS(Pierce社、ロックフォード、IL)でブロックした。その後これらの細胞を、TBST-BSAで希釈した一次抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。免疫反応性は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合二次抗体(Pierce社、ロックフォード、IL)およびTMB可溶性ペルオキシダーゼ基質(Pierce社、ロックフォード、IL)を用い検出した。吸光度は、スペクトラカウントプレートリーダーを用い、450nmで測定した。
タンパク質発現レベルを比較するためには、細胞密度の差異を補正することが必要であった。免疫反応性を測定後、これらのプレートをTBSで洗浄し、かつ細胞を、40%メタノール/10%酢酸中の0.1%クーマーシーブルー色素で染色した。これらのプレートを水で十分洗浄した後、色素を、PBS中の1%SDSで溶出した(200μl/ウェル)。吸光度(560nm)を、スペクトラカウントプレートリーダー(Packard Instrument社、メリデン、CT)を用いて測定した。MICE指標は、免疫反応性および細胞密度について測定した吸光度の比から算出した。クーマーシーブルー吸光度は、細胞密度が1x104〜5x105個細胞/ウェルの間は直線状に増加する。8または16個の複数培養ウェルを、各1回の実験について分析した。全ての実験は、少なくとも3回繰り返した。
ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)活性の測定
これらの細胞は、プロテアーゼ阻害物質およびホスファターゼ阻害物質を補充したトリトン溶解緩衝液中に収集した。総PI3Kは、ウサギポリクローナル抗体を使用し、細胞溶解液中のタンパク質500μgから、PI3Kのp85サブユニットおよびプロテインAセファロースへ免疫沈降した。免疫沈降物を、HEPES緩衝液(200mM HEPES、4mM EGTA、4mMリン酸ナトリウム、pH7.0)中、音波処理したホスファチジルイノシトール10μgと共に、室温で5分間インキュベートした。反応を、5μCi[α32P]ATP、15mM MgCl2、150mM ATP、1.5mM Tris-HCl、pH7.4、および15mM NaClの添加により開始した。30℃で10分間インキュベートした後、HClを最終濃度1.2Nとなるように添加して反応を停止し、その後クロロホルム/メタノールで抽出した。リン酸化された脂質は、1%オキサル酸でプレコートされたゲルプレート(Merck社、ホワイトハウスステーション、NJ)を用いて薄層クロマトグラフィーにより分析した。PI3K活性は、リン光画像形成装置により測定した。
抗体および化学物質
p53およびp21/Waf1に対するモノクローナル抗体、およびc-fosに対するポリクローナル抗体は、オンコジェンリサーチプロダクツ(Oncogene Research Products)社(ケンブリッジ、MA)から入手した。インスリン受容体基質1およびPI3Kのp85サブユニットに対するウサギポリクローナル抗体は、アップステートバイオテクノロジー(Upstate Biotechnology)社(レークプラシッド、NY)から購入した。Bcl-2に対するポリクローナル抗体は、サンタクルズバイオテクノロジー(Santa Cruz Biotechnology)社(サンタクルズ、CA)から、ならびに総および活性化JNK、Erk MAPK、およびp38/HOG1に対する抗体は、プロメガ(Promega)社(マジソン、WI)から得た。抗τは、ダコ(Dako)社(カーペンテリア、CA)から購入した。プロテインAセファロースは、アマシャムファルマシアバイオテクノロジー(Amersham-Pharmacia Biotechnology)社(アーリントンハイツ、IL)から購入した。組換えヒトNGF、PDGF、およびIGF-1は、シグマ(Sigma)社(セントルイス、MO)から購入した。ヒトインスリンは、ノバジェン(Novagen)社から購入した。
統計解析
本実施例において説明されるデータは、3〜6回の実験で得られた結果から導かれた平均±S.D.で表わしている。群間比較は、Fisher最小有意差(LSD)事後検定と、スチューデントt検定または分散分析(ANOVA)を用い作成した。
トランスフェクトしたPNET2神経細胞におけるAD7c-NTP過剰発現
PNET2細胞は、遺伝子発現が、LacZプロモーターにより調節され、かつIPTG刺激(1〜5mM)により誘導されるようなLacSwitch IIベクターシステム(Stratagene社、ラホヤ、CA)を用い、AD7c-NTP cDNAを安定的にトランスフェクトした。対照細胞は、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子をコードするcDNAを、同様にトランスフェクトした。IPTGが存在しない場合、AD7c-NTP発現またはCat活性は非常に低レベルであるかまたは検出不能のいずれかであるため、試験用に選択したクローンは、遺伝子発現の厳密な調節を示した。IPTG刺激は、AD7c-NTP遺伝子発現またはCAT活性を誘導し、これは最大96時間継続した。遺伝子発現の最適な誘導は、3mM IPTGで認められた。ウェスタンブロット分析は、AD7c-NTP cDNAをトランスフェクトした細胞における〜41kD N3I4免疫反応性AD7c-NTPタンパク質レベルが、CAT発現対照細胞と比べた場合の、実質的増大を明らかにした(図1A)。免疫反応性を測定するために同じくMICEアッセイ法を用いると、IPTG刺激(3mM)により、N3I4免疫反応性NTPにおいてほぼ5倍の増加を生じたが、GAPDHレベルは変化がなかった(図1B)。ウェスタンブロット分析の結果に相当するように、対照細胞(CAT遺伝子をトランスフェクト)は、IPTGにより誘導可能なNTP発現を示さず、かつGAPDH発現はIPTG刺激により同じく変化しなかった。しかし、CAT活性は、これらの細胞におけるCATレポーター遺伝子のIPTG誘導により実質的に増大した。
AD7c-NTP遺伝子を過剰発現するように誘導した神経細胞の、生存度および形態に対する異なる増殖因子の作用
AD7c-NTP遺伝子の過剰発現は、同じ培養物において神経細胞生存度および神経突起伸長の低下をもたらした。翻訳されたAD7c-NTP cDNAのアミノ酸サブシークエンスの分析は、インスリン/IGF-1ハイブリッドドメイン(配列番号:2のアミノ酸2〜14)の存在を示し、これはAD7c-NTP過剰発現の作用が、増殖因子刺激に関連していることを示唆した。従って、AD7c-NTP cDNAを過剰発現する神経細胞の形態学的特徴が、増殖因子への示差的反応により調節されうるかどうかを決定する試験を行った。
細胞は、24時間、血清飢餓状態とした。しかし数時間のIPTG刺激がAD7c-NTP遺伝子発現またはCAT活性を誘導するために必要であるので、IPTG(3mM)を、培養物へ血清飢餓の16時間後、すなわち増殖因子刺激の8時間前に添加した。これらの細胞は、インスリン(50nM)、IGF-1(5ng/ml)、NGF(2.5ng/ml)、またはPDGF(5ng/ml)で刺激し、かつ24〜48時間後に位相差顕微鏡で試験した。PNET2細胞は、血清非含有培地において、唯一の増殖刺激としてインスリン、IGF-1、NGFまたはPDGFにより、5〜7日間維持することができる。加えてこれらの増殖因子の各々は、DNA合成を支持し、かつPNET2細胞において多極性神経突起の中程度の生長(outgrowth)を促進する。
CATを発現する対照細胞は、トランスフェクトしていないPNET2細胞において、インスリン、IGF-1、PDGF、またはNGF刺激による中程度の神経突起伸長を示した。対照的に、AD7c-NTPを発現するように誘導したPNET2細胞は、使用した増殖因子に応じて異なる形態学的反応を顕在化した。インスリン刺激は、神経突起の退縮、細胞の円形化および細胞死(浮遊および歪曲(refractile))の増大を生じたのに対し、PDGFまたはNGF刺激は、多極性の細い相互連絡する突起を伴う過度の神経突起増殖、ならびに進行中の細胞死の最小の証拠を生じた。NGF刺激は、細胞形態にPDGFと同じ作用を有した。IGF-1刺激した培養物は、ふたつの細胞集団を含み:一部は円形で、歪曲しかつ浮遊しているのに対し、他のものは、細胞学的に無傷であり、かつAD7c-NTPトランスフェクト細胞のFCS刺激後に突出した神経突起を示した。IGF-1は、FCSに存在する主要な増殖因子であることは注目に値する。
インスリン刺激およびAD7c-NTP過剰発現に関連する細胞喪失の増大
細胞生存度は、96穴プレートに播種した細胞に微培養クリスタルバイオレットアッセイ法を用い、定量した。AD7c-NTPを発現するように誘導した培養物の、インスリンまたはIGF-1刺激は、非誘導のFCSで刺激した培養物、およびNGFまたはPDGFで刺激したIPTG誘導培養物に比べ、有意に減少した細胞密度を生じた(図2)。このインスリン刺激培養物は、最低の平均細胞密度を有し、かつIGF-1刺激培養物は、インスリン刺激培養物とNGFまたはPDGF刺激培養物の中間の平均細胞密度を有し、位相差顕微鏡による観察と一致していた。増殖する細胞核抗原(PCNA)発現のレベルが、これらの培養物間で類似しているため、これらの結果は、DNA合成の差異によるものではない。CAT活性を発現するように誘導し、かつインスリン、IGF-1、NGFまたはPDGFにより刺激した対照培養物は、同様の平均細胞密度を有した。
プロアポトーシスおよび生存遺伝子発現の分析
PNET2細胞のアポトーシスは、p53およびp21レベルの増大、Bcl-2レベルの低下により媒介されることがわかった。インスリンおよびIGF-1関連PNET2細胞死がこれらの機構により媒介されるかどうかを決定するために、p53、Bcl-2、およびp21/Waf-1発現のレベルを、ウェスタンブロット分析またはMICEアッセイ法により測定した。PDGFおよびNGFの作用は類似している。インスリン、IGF-1またはPDGFによる刺激は、ウェスタンブロット分析により明らかにされたものと同様の〜41kD AD7c-NTPタンパク質レベルを生じた。同じ細胞溶解液の分析は、インスリン刺激培養物において、高レベルのp53および事実上検出不能なBcl-2発現を、IGF-1刺激培養物において中レベルのp53およびBcl-2を、ならびにPDGF刺激培養物において検出不能なp53および高レベルのBcl-2を示した。対照的に、増殖因子で刺激した対照細胞は、先に報告したような、高レベルのBcl-2および低レベルのp53発現を顕在化した。インスリン刺激培養物は同じく、ウェスタンブロット分析により、p21/Waf1レベルの増大を有した。
アルツハイマー病における細胞喪失に関連する他の遺伝子の分析
プロアポトーシス遺伝子の活性化に加え、アルツハイマー病における細胞喪失は、リン酸化τ、一酸化窒素合成酵素-3(NOS-3)、およびサイクリン依存性プロテインキナーゼ5(Cdk5)のp25構成的アクチベーターのレベルの増大に関連している。次の実験は、これらの分子のいずれかの発現が、AD7c-NTP過剰発現および特異的増殖因子刺激により変調されるかどうかを決定するために行った。AD7c-NTPまたはCAT遺伝子を発現するように誘導しかつインスリン、IGF-1またはPDGFで刺激した細胞を、τ、リン酸化τ、NOS-3、Cdk5、およびp25発現について、ウェスタンブロット分析およびMICEアッセイ法により試験した。CAT遺伝子のIPTG誘導は、どの増殖因子が細胞を刺激するために使用されたかには関わりなく、これらの分子のいかなる発現も増大しなかった。対照的に、ウェスタンブロット分析では、AD7c-NTPを発現するように誘導しかつインスリンまたはIGF-1により刺激した細胞は、PDGFで刺激した対応する培養物と比較して、リン酸化τ(図3A〜C)、NOS-3およびp25レベルの増大を示すのに対し、τおよびCdk5タンパク質のレベルは、増殖因子刺激に関連して変調されないことを明らかにした。
免疫反応性を測定するために同じくMICEアッセイ法を使用すると、同様のN3I4免疫反応性NTPレベルの増大が、インスリン、IGF-1またはPDGFで刺激した培養物において明らかにされ(図4A)、これは前述のウェスタンブロット分析の結果に対応していた。加えてMICEアッセイ試験は、AD7c-NTPを発現するように誘導しかつインスリンまたはIGF-1により刺激した細胞における、p53、p21/Waf1、およびp25発現レベルの有意な増加、ならびにBcl-2レベルの低下を確認した(図4A〜F)。p25を検出するために使用した抗体は同じくp35を検出することができるが、p35は、おそらくその短い半減期のために、ウェスタンブロット分析によっては検出されなかった。Cdk5タンパク質のレベルは、培養物間で類似しており、かつ増殖因子刺激によって有意には変動しなかった(図4F)。
増殖因子で刺激した活性化Erk MAPKおよび活性化JNK発現の分析
インスリン、IGF-1およびPDGFの示差的作用が生じる可能性のある機構は、PNET2神経細胞アポトーシスおよび神経突起伸長を媒介する経路を試験することにより調べた。PNET2細胞のエタノールおよび酸化的ストレスの両方が誘導するアポトーシスは、リン酸化JNKレベルの増大およびPI3キナーゼ活性レベルの低下に関連しているのに対し、DNA神経突起伸長は、リン酸化Erk MAPKレベルの増加に関係している。ウェスタンブロット分析は、等量のタンパク質負荷(60μg/試料)で、インスリン、IGF-1、またはPDGFを0〜30分間または24時間刺激した培養物から得た細胞溶解液で行った。膜を、Erk、リン酸化Erk、Jun、およびリン酸化JNKに対する抗体を用いてプロービングした。総ErkおよびJunのレベルは、全ての試料について類似していることがわかったが、増殖因子が刺激するリン酸化Erkとリン酸化JNKとのレベルに著しい差異が検出された。インスリンおよびIGF-1刺激は、リン酸化Erk p42/p44レベルの増加を生じ、ピークレベルは、培地への増殖因子添加後10〜15分以内に検出されたのに対し、PDGFは、短期間の刺激実験では、リン酸化Erk MAPKのレベルに対する作用が最小であった。対照的に、AD7c-NTP遺伝子導入および増殖因子刺激の24時間後に、IGF-1およびPDGF刺激培養物において高レベルのリン酸化Erk MAPKが検出されたが、血清飢餓またはインスリン刺激培養物においては検出されなかった。インスリンによる短期間の刺激(5〜30分間)も、リン酸化JNKレベルの急激な増加および上昇したレベルの維持を生じたのに対し、IGF-1およびPDGF刺激は、短期間の試験でははるかに低いレベルのリン酸化JNKに関係しており、かつ24時間の時点ではリン酸化JNK発現は検出不可能であった。更なる試験は、様々な増殖因子に関して、活性化p38/HOG1のレベルに有意差がないことを明らかにしており、これはp38ストレスキナーゼは、PNET2細胞のアポトーシスの重要なメディエータではないという知見に一致している。対照的に、c-fos転写因子のレベルは、AD7c-NTP発現のIPTG誘導の24時間後、ならびに血清飢餓またはインスリン、IGF-1もしくはPDGF刺激のいずれかで同等に発現された。
増殖因子で刺激したPI3キナーゼ活性の分析
PI3キナーゼは、神経生存の重要なメディエータである。PI3Kの生存促進性(pro-survival)作用は、Akt(プロテインキナーゼB)の活性化およびBadのリン酸化を通じて媒介され、不活性化される。PI3キナーゼ活性の抑制は、PNET2細胞アポトーシスに関連している。従って、増殖因子で刺激したPI3キナーゼ活性が、インスリンまたはIGF-1刺激培養物において抑制されたかどうかを決定するために実験を行った。このような抑制は、慢性的エタノール曝露後に観察された。インスリンおよびIGF-1はPI3キナーゼをインスリン受容体基質1(IRS-1)を介してまたはIRS-1独立経路を介して活性化することができるので、IRS1関連PI3キナーゼおよび総PI3キナーゼ活性の両方を測定した。これらの試験は、AD7c-NTP遺伝子発現を3mM IPTG刺激により誘導し、インスリンまたはPDGFで刺激した培養物を用いて行った。IRS-1関連PI3キナーゼ活性は、インスリンにより急激に増加したが、PDGF刺激によっては増加しなかった。高レベルのIRS-1関連PI3キナーゼ活性は、30分間のインスリン刺激を通じて検出されたのに対し、PDGF刺激培養物においては、IRS-1関連PI3キナーゼ活性は、事実上検出不可能であった。総PI3キナーゼ活性を調べるために、リン酸化チロシンに結合したp85サブユニットのレベルを、免疫沈降/ウェスタンブロット分析により試験した。PI3キナーゼ活性レベルは、抗リン酸化チロシン(PT)免疫沈降において測定した。免疫沈降/ウェスタンブロット試験は、増殖因子刺激の5〜30分後および24または48時間後の両方において、同様の高レベルのPY関連p85(PI3Kのサブユニット)を示した。同様にPI3キナーゼ活性は、インスリンまたはPDGFで刺激した細胞で調製したPY免疫沈降物中において容易に検出された。短期間試験については、PY-PI3キナーゼ活性レベルは、PDGF刺激培養物において、インスリン刺激培養物よりも一貫して低いのに対し、インスリンまたはPDGF刺激の24または48時間後にPY-PI3キナーゼ活性レベルは同様であったことは、興味深い。
アルツハイマー病に関連した神経糸タンパク質遺伝子の過剰発現による、増殖因子誘導性アポトーシスおよび神経突起伸長
AD7c-NTP遺伝子は、アルツハイマー病の脳において、神経変性の初期および中期に過剰発現する。AD7c-NTP免疫反応性は、ADの脳において、初期リン酸化τ免疫反応性の細胞骨格病変と同時局在し、かつ脳脊髄液中のリン酸化τおよびAD7c-NTPのレベルの上昇は、アルツハイマー病痴呆の重症度と相関している。本発明以前は、培養物中の細胞が次第に枯渇するために、標準の、安定的にトランスフェクトしたクローンを用いて、AD7c-NTPの役割を調べることは困難であった。従って本発明者らは、遺伝子発現が、IPTGの培地への添加により誘導され、かつIPTGの回収により抑制されるような、ヒトCNS由来のPNET2神経細胞においてAD7c-NTP発現を調節するための、誘導可能な哺乳類発現ベクターシステムを開発した。IPTG誘導性遺伝子発現(AD7c-NTPまたはCAT活性)は、8時間以内に検出可能であり、かつ最大96時間維持された。AD7c-NTP過剰発現の作用は、厳密に調節された誘導性遺伝子発現を有する6種のクローンを用いて試験し、これによりIPTGの非存在下における、〜41kD N3I4免疫反応性AD7c-NTPタンパク質の発現は、事実上検出不能であった。
AD7c-NTP cDNAを安定的にトランスフェクトした6種全てのクローンにおいて、IPTG刺激は、ウェスタンブロット分析およびMICEアッセイ法により明らかにされたように、実質的にAD7c-NTP発現を増大した。対照的に、無関係の遺伝子であるGAPDHの発現は、IPTG刺激により変化しなかった。IPTG刺激の24時間以内に、予想された〜41kD AD7c-NTPタンパク質は、ウェスタンブロット分析により容易に検出されたのに対し、対照細胞においては、CAT遺伝子の発現が誘導され、AD7c-NTP免疫反応性は非常に低レベルであるか検出不能であるかのいずれかであった。MICEアッセイ法を用い、IPTG刺激の存在または非存在下において、AD7c-NTP発現を定量した。MICEアッセイ法は、免疫反応性のより感度の良い測定を提供し、かつタンパク質抽出またはゲル電気泳動を必要とせずに、複数の培養物の同一条件下での同時分析を可能にする。重要なことに、免疫反応性のレベルは、MICE指標の計算における、細胞密度について補正されている。MICEアッセイ法を用い、本発明者らは、誘導されないPNET2細胞において非常に低レベルのN3I4免疫反応性AD7c-NTPが存在し、かつ遺伝子発現のIPTG誘導の24時間後、N3I4免疫反応性AD7c-NTP発現に平均レベルの5倍より大きい増加があることを確認した。
増殖因子刺激の役割を、翻訳されたcDNAのサブシークエンス分析により予想されるインスリン/IGF-1キメラ受容体ドメインの存在を基に、AD7c-NTP過剰発現に付随する形態学的特徴に関連して調べた。実証的試験は、AD7c-NTPを発現するように誘導したPNET2細胞において、インスリン刺激は、神経突起退縮、細胞の円形化、および進行性の細胞死を生じるのに対し、IGF-1刺激は、当初ウシ胎仔血清で刺激した安定的にトランスフェクトした培養物において説明される、アポトーシス性および伸長するニューロンの二相性の細胞集団を再現したことを明らかにした。対照的に、NGFまたはPDGF刺激は、広範に伸長する表現型に相当する神経突起において突出した多極性の生長がもたらされた。ウェスタンブロット分析およびMICEアッセイ法により検出されたAD7c-NTPタンパク質のレベルは、全ての増殖因子刺激条件下では同様であったので、これらの作用は、AD7c-NTP発現レベルの差異に起因しなかった。
インスリンまたはIGF-1刺激により認められるPNET2細胞死の増加は、p53プロアポトーシス遺伝子産物の発現の増加およびBcl-2生存遺伝子の発現の低下に関連していた。加えて比較的高レベルのp21/Waf1を通じて、p53はアポトーシスを媒介するようシグナル伝達することが多いが、これは、インスリンおよびIGF-1で刺激した培養物において生じた。インスリン刺激細胞は更に、短期間(5〜60分間)および長期間(24時間)の両刺激試験において、IGF-1およびPDGF刺激培養物に対し、リン酸化JNKレベルも増大した。p53誘導性アポトーシスは、jun B/JNK経路を介したシグナル伝達によって媒介され得る。エタノールまたは酸化的ストレスが誘導する神経細胞アポトーシスは、増殖因子が刺激したPI3キナーゼ活性の抑制によって部分的であることが明らかになった先行の試験とは対照的に、トランスフェクトしていないPNET2細胞において、IRS-1関連およびPY関連(総)PI3キナーゼ活性は両方とも、インスリンにより豊富に(正常に)刺激されたことが報告された。従って、インスリンで刺激した培養物において認められる細胞死の増加は、PI3キナーゼ活性の抑制には寄与していない。インスリン刺激Erk MAPK経路も短期間の刺激後無傷であったが、インスリン刺激の24時間後に検出されたリン酸化Erk MAPKレベルの低下は、これらの培養物において認められた神経突起歪曲と相関していた。Erk MAPK活性化は、IGF-1、NGF、またはPDGF刺激後に生じる神経突起伸長を媒介することができる。
AD7c-NTP過剰発現およびインスリンまたはIGF-1刺激により影響された遺伝子発現および細胞内シグナル伝達におけるこれらの変化は、酸化的ストレスに関連した反応を模倣している。インスリンおよびIGF-1刺激培養物において、PNET2神経細胞死は、一酸化窒素合成酸素-3(NOS3)、リン酸化τ、およびサイクリン依存性キナーゼ5(Cdk-5)の調節パートナーであるp25のレベルにも関連していた。これらの分子は各々、アルツハイマー病の脳において発現レベルが増大している。AD7c-NTP同様NOS3発現は、アルツハイマー病の皮質ニューロンおよびジストロフィー性神経突起において異常に増大し、これは、神経変性過程の初期に始まる。ニューロン内リン酸化τ免疫反応性の細胞骨格病変は、それらの密度が痴呆の重症度に相関しているため、アルツハイマー病に関連した神経変性の大きな特徴である。
アルツハイマー病においては、p25神経レベルの増加により、Cdk5活性が増大する。脳において、Cdk5キナーゼ活性は、p35、またはその切断された触媒分解的に活性のあるC末端断片であるp25との相互作用により調節される。p35の半減期は短く、これは、Cdk5キナーゼ活性のオン-オフ調節にとって重要であり得る。対照的に、p25は、高度に安定しており、かつp25の過剰発現は、Cdk5キナーゼの構成的活性化につながり、かつアポトーシスも促進する。τおよび神経線維タンパク質は、Cdk5キナーゼによりリン酸化することができ、かつアルツハイマー病の脳において、p25免疫反応性およびcdk5キナーゼ活性は、リン酸化τ免疫反応性の細胞骨格病変を含むニューロンおよび細胞突起の変性と同時局在化されている。従って、インスリンまたはIGF-1で刺激した神経細胞におけるAD7c-NTPの過剰発現は、リン酸化τおよびp25の両方のレベルを増大させ、これは既にAD型神経変性に機構的に関連づけられる。
NOS-3発現レベルも、AD7c-NTPを発現するように誘導したインスリンまたはIGF-1刺激細胞において増大した。NOS-3の過剰発現は、他の神経変性疾患同様、アルツハイマー病の特徴である。高レベルのNOS-3は、NOレベルの増大および酸化的損傷につながり、かつ一部のデータは、神経細胞への酸化的損傷が、τリン酸化およびp35のp25への転換を促進し得ることを示している。PNET2神経細胞におけるNOS-3 cDNAの構成的過剰発現は、p53レベルの増加、Bcl-2レベルの低下、p35からp25への転換の増加、およびτリン酸化に関連したアポトーシスを引き起こすのに十分である。これらの結果は、AD7c-NTP誘導性神経アポトーシスが、NOS-3発現レベルの二次的増加に起因した酸化的損傷により媒介されることを示している。アルツハイマー病の脳において、NOS-3およびAD7c-NTPの両方の異常な発現は、初期に始まり、同じ構造に関連し、かつアポトーシス性細胞損傷および神経変性に密に関連している。
AD7c-NTPタンパク質は、疎水性リーダー配列(配列番号:2の残基1〜15)および少なくとも1個の膜貫通ドメインを有する。例えば、推定7回膜貫通ドメインは、AD7c-NTPタンパク質(配列番号:2の残基70〜92、111〜18、126〜134、141〜177、182〜191、241〜249、および339〜351)内に位置している。インスリン/IGF-1キメラ受容体モチーフは、アミノ末端(配列番号:2の残基2〜14)に位置し、かつ細胞表面に曝し、これを細胞外増殖因子と相互作用するように接近させることができる。あるいは、両方とも神経細胞において発現されるIRS-1またはIRS-2のようなインスリン受容体基質(IRS)のひとつを介したインスリンおよびIGF-1シグナル伝達は、AD7c-NTP過剰発現の状況で観察される作用を媒介することができる。例えば、エタノールに曝露された神経細胞のインスリン刺激は、アポトーシスを生じるのに対し、NGF刺激は、これらの細胞をエタノール誘導性アポトーシスからレスキューし、更に神経突起伸長を促進する。
インスリンが刺激するプロアポトーシスシグナル伝達とNGFが媒介するレスキューとに関連する機構は、AD7c-NTP過剰発現に関連して同定されたものとは異なる。インスリン、IGF-1、NGF、およびPDGFは、PNET2細胞において増殖を支持しかつ神経突起伸長を促進することができるため、本明細書において説明されるデータは、AD7c-NTP過剰発現により、神経細胞におけるインスリンおよびIGF-1刺激シグナル伝達機構が変更または損なわれることを示している。AD7c-NTP発現の細胞内シグナル伝達に対する有害作用は、増殖因子で刺激した神経生存機構および抗アポトーシス機構に関して選択的であるように見える。AD7c-NTPを過剰発現するように誘導した細胞のインスリンおよびIGF-1の両刺激は、プロアポトーシス機構の突出した活性化および生存経路の抑制を示した。NGFおよびPDGFで刺激した生存機構が保存されるという知見は、AD7c-NTP過剰発現の状況において、IRS活性化経路が、特に脆弱であり得ることを示している。IGF-1およびインスリンは、IRS依存性経路およびIRS非依存性経路の両方の受容体チロシンキナーゼ活性化によりシグナルを伝達するが、NGFおよびPDGFは、IRS非依存性機構により細胞内シグナルを伝達する。これらの結果は、神経突起伸長を示しかつNGFまたはPDGFによる外因性刺激による連結を再確立するために、AD7c-NTP遺伝子を過剰発現するCNS神経細胞がレスキューされかつ奨励されることを示している。アルツハイマー病におけるNGFまたはPDGFを産生する細胞の喪失は、AD7c-NTP関連神経変性カスケードを早める。
実施例2:AD7c-NTP誘導性神経変性
有糸***後の初代神経細胞培養物を効率的にトランスフェクトする方法が開発・使用され、AD7c-NTP遺伝子の過剰発現により、アルツハイマー病に関連したふたつの突出した異常である細胞死の増大および神経突起伸長の両方が引き起こされることを明らかにしている。これらの結果は、AD7c-NTP発現の異常な増大が、アルツハイマー病型神経変性において役割を果たすことを示している。初代有糸***後のニューロンに、通常の組換えプラスミドDNAを効率的にトランスフェクトし、当技術分野において認められたインビトロモデルを使用して、神経変性の状況における遺伝子の過剰発現の作用を評価した。
インビトロモデル
有糸***後の初代ラット小脳性ニューロン(rCBN)培養物を、生後6日目の仔由来の脳組織から作成した。5日齢の培養物に、遺伝子発現がCMVプロモーターにより調節されるpcDNA3.1ベクター(Invitrogen社)に連結した、完全長AD7c-NTP cDNA(pcDNA3-AD7c)またはルシフェラーゼ(pcDNA3-Luc)またはLacZ(pcDNA3-β-Gal)レポーター遺伝子をトランスフェクトした。6穴または96穴プレート上に播種した細胞は、IT-100またはLT-1 Mirusトランスフェクト試薬(Panvera社)を製造業者の指示に従い用い、トランスフェクトした。グリーン蛍光タンパク質を発現する組換えプラスミドDNA(pcDNA3-GFP)を同時トランスフェクトし、蛍光顕微鏡により標識細胞の割合を可視化して示すように、トランスフェクション効率は10%〜25%の範囲であった。これらの細胞は、トランスフェクション後24、48、または72時間に、遺伝子発現、生存度、および形態について評価した。
生存度アッセイ法
生存度は、標準のクリスタルバイオレットアッセイ法により測定した。これらのアッセイ法は、密度2x104個細胞/ウェルで96穴プレートへ播種した細胞により行った。吸光度は、スペクトラカウントプレートリーダー(Packard社、メリデン、CT)を用いて測定した。クリスタルバイオレットの吸光度は、細胞密度104〜5x105個細胞/ウェルの範囲で直線状に増大した。
タンパク質発現
ウェスタンブロット分析、マイクロタイター免疫細胞化学的ELISA(MICE)アッセイ法、および免疫細胞化学的染色を用い、タンパク質発現を測定した。ウェスタンブロット分析について、これらの細胞を、プロテアーゼ阻害物質およびホスファターゼ阻害物質を補充した放射性免疫沈降アッセイ用緩衝液中で溶解した。タンパク質濃度は、BCAアッセイ法(Pierce Chemical社、ロックフォード、IL)を用いて測定した。タンパク質60μgを含有する試料は、先に説明したようなウェスタンイムノブロットにより分析した。
MICEアッセイ法は、96穴微培養物中の免疫反応性を定量する迅速かつ鋭敏な方法であり、固相酵素免疫測定法と免疫細胞化学的染色との利点を組合わせて、細胞密度に対して標準化した値でのタンパク質発現の感度の良いインサイチュ定量を可能にしている。簡単に述べると、細胞を、Histochoice(Amresco社、ソロン、Ohio)中に固定し、トリス緩衝生理食塩水(50mM Tris、pH7.5、0.9%NaCl;TBS)中の0.05%サポニンで透過性とし、かつSuperblock-TBS(Pierce社、ロックフォード、IL)でブロックした。その後これらの細胞を、TBST-BSAで希釈した一次抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。免疫反応性は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合二次抗体(Pierce社、ロックフォード、IL)およびTMB可溶性ペルオキシダーゼ基質(Pierce社、ロックフォード、IL)を用いて検出した。吸光度を、スペクトラカウントプレートリーダー(Packard Instrument社、メリデン、CT)を用い、450nmで測定した。相対的培養細胞密度は、引き続き0.1%クーマーシーブルーで細胞を実質的に染色し、標識細胞を1%SDSで溶解し、かつ540nmでの吸光度を測定することにより決定した。MICE指標は、免疫反応性について測定した吸光度および細胞密度の比から計算した。各1回の実験について、8または16個の複数培養ウェルを分析した。 全ての実験は、少なくとも3回繰り返した。
免疫細胞化学染色については、隣接する培養ウェルを、MICEアッセイ法で説明したような一次抗体により予備処理し、インキュベートした。免疫反応性は、ビオチン化した二次抗体およびアビジン-ビオチンホースラディッシュ複合体(ABC)試薬(Vector Laboratories社、バーリンガム、CA)を用い明らかにした。免疫反応性は、色素原としてジアミノベンジジンを用いて明らかにした。
rCBN培養物への効果的遺伝子導入
図5は、pcDNA3-LucをトランスフェクトしたrCBN培養物の中のルシフェラーゼ活性を示している。ルシフェラーゼ活性の増大は、トランスフェクション後48時間で検出され、このレベルは72時間の時点で更に増大した。組換えAD7c-NTPタンパク質に対して作成したAD7c-NTP特異的モノクローナル抗体を用いるウェスタンブロット分析では、pcDNA3-AD7cをトランスフェクトした細胞における〜41kD AD7c-NTPタンパク質レベルが、pcDNA3-Lucをトランスフェクトした細胞と比べて増加することを明らかにした(図6A)。オートラジオグラフィーのデンシトメーター分析は、72時間時点で、pcDNA3-AD7cによるトランスフェクションが、pcDNA3-Luc対照トランスフェクト細胞に対して、3〜5倍より高いレベルのAD7c-NTPタンパク質を生じたことを示した(図6B)。AD7c-NTP免疫反応性を定量するためにMICEアッセイ法およびモノクローナル抗体を用いると、rCBN培養物において、pcDNA3-AD7cによるトランスフェクションの48および72時間後の両方で、対照のトランスフェクト培養物と比べ、AD7c-NTP発現レベルの実質的な増大が測定された。更なる試験は、トランスフェクション後4〜7日目の間に、酵素活性または遺伝子発現のレベルが漸減することを明らかにした。同様の結果が、少なくとも4回の個別の実験で得られた。
神経生存度および形態に対するAD7c-NTP過剰発現の作用
生存度は、クリスタルバイオレットアッセイ法を用いて測定した。AD7c-NTP cDNAの過剰発現は、対照培養物に比べ、有意な神経細胞喪失を生じた。トランスフェクションの72時間以内に、pcDNA3-AD7cをトランスフェクトした培養物は、対照培養物に対しおよそ36%低い平均細胞密度を示した。位相差顕微鏡により、pcDNA3-AD7cをトランスフェクトした培養物中の顆粒細胞ニューロンの進行性の枯渇を明らかにした(図7A、B)。加えて、pcDNA3-AD7cをトランスフェクトした培養物中の残留顆粒細胞ニューロンは、ほぼ全ての細胞から伸びる細長い相互連結突起により存在が明らかとされる、突出した神経突起伸長を示した(図7A)のに比べ、対照培養物においては短い主にみかけの(apparent)細胞突起が示された(図7B)。免疫細胞化学的染色試験は、pcDNA3-AD7cによるトランスフェクション後48および72時間で、豊富なAD7c-NTP免疫反応性を示し、対応する対照(pcDNA3-LacZまたはpcDNA3-Luc)をトランスフェクトした細胞では、比較的低レベルのAD7c-NTP免疫反応性が示された(図7C〜F)。
アルツハイマー病に関連した神経糸タンパク質遺伝子をトランスフェクトした初代CNSニューロンの神経変性
本明細書において説明されるデータより、有糸***後ニューロンにおける効率的遺伝子導入が、核酸、ヒストンタンパク質、リポソーム、および両親媒性化合物を含有する処方を用いて実現されることが明らかとされる。例えばこのDNAは、MIRUSポリアミントランスフェクション試薬を用いて送達される。AD7c-NTP遺伝子の過剰発現は、有糸***後ニューロンにおいて神経細胞死および神経突起伸長を引き起こす。一般にトランスフェクトした細胞株において生じるように、rCBN培養物におけるトランスフェクション後の最適な遺伝子発現は、24または48時間よりもむしろ72時間後に検出された。ポリアミントランスフェクション組成物を使用することの利点は、形質転換した細胞株よりもむしろ初代神経細胞培養物において、試験を行うことができる点にある。更に、十分に高い割合(10〜25%)の細胞において、関心のある遺伝子の発現が認められたため、遺伝子発現の作用は、単細胞分析よりもむしろ通常のアッセイ法を用いて決定される。最後に、初代神経細胞培養物の使用により、神経変性に関連した異常な遺伝子発現の作用を試験するためのより関連性のあるモデルが提供される。
これらの試験は、有糸***後ニューロンのpcDNA3-AD7cによるトランスフェクションが、細胞死の増大および神経突起伸長を引き起こしていることを明らかにした。AD7c-NTP遺伝子の過剰発現は、ヒト組換えタンパク質に対して作成したモノクローナル抗体を使用するウェスタンブロット分析、MICEアッセイ法、および免疫細胞化学的染色により証明された。対照的に、関係のない遺伝子によるトランスフェクションは、非常に低レベルまたは検出不能なAD7c-NTP発現に関連づけられた。
AD7c-NTPの過剰発現は、神経細胞死および突出した神経突起伸長を生じた。これらのふたつの表現型は、同じcDNAを一過的にトランスフェクトしたPNET2神経細胞株において当初認められた。しかし、PNET2細胞は、未熟で、増殖性でありかつ形質転換される。専ら有糸***後ニューロンに影響を及ぼすAD型神経変性に関連するAD7c-NTP遺伝子の潜在的役割を決定するために、AD7c-NTP遺伝子の過剰発現は、先にPNET2細胞において観察されたものと同じ有糸***後ニューロンの作用を有することを明らかにすることが必要であった。位相差顕微鏡試験は、顆粒細胞ニューロンの進行性枯渇と、AD7c-NTPをトランスフェクトした培養物中の残留生存ニューロンからの細長い相互連結突起の突出した増殖とを明らかにした。酸化体で処理したrCBN培養物は、同程度の細胞喪失に加え、神経突起の伸長よりもむしろ退縮を示すので、神経突起生長は、恐らく細胞喪失に反応するのみではないであろう。AD7c-NTP遺伝子の過剰発現は神経細胞死を引き起こすことがあるが、一方で、細胞外(分泌された)AD7c-NTPタンパク質に対するニューロンの曝露は、神経突起伸長を促進することがある。
実施例3:アルツハイマー病の非トランスジェニック動物モデル
遺伝子導入のインビボモデルを用い、脳におけるAD7c-NTP過剰発現の作用を評価する試験を行った。
ADにおいて、痴呆は細胞喪失に起因し、アポトーシス、ミトコンドリア機能の損傷、およびおそらくは壊死により媒介される。痴呆の第二の主な相関関係は、神経突起変性に起因したシナプス切断である。いくつかの遺伝子異常が家族性ADを引き起こすことは知られているが、症例の大半を占める弧発性ADの基礎となるものは、解明が困難である。AD7c-NTPは、弧発性ADの脳において過剰発現する。対応する〜41kDタンパク質レベルの増大は、ADの初期および中間期において検出可能であり、かつ脳において、AD7c-NTP免疫反応性は、リン酸化τに同時局在化する。AD7c-NTP遺伝子の過剰発現は、培養神経細胞におけるアポトーシス、ミトコンドリア機能の損傷、および異常な神経突起伸長を引き起こす。
インビボ遺伝子導入法を用いて、脳におけるAD7c-NTPの過剰発現が、プロアポトーシス遺伝子の活性化に関連した神経細胞喪失を引き起こし、並びにリン酸化τ、アミロイド前駆体タンパク質、アミロイドb、および一酸化窒素合成酵素-3の発現レベルの増大が、ニューロンまたは老人斑様構造に局在化することを明らかにした。AD7c-NTPの過剰発現は、NOS-3レベルの増大につながり、これは慢性の酸化体ストレスおよびADにおいて認められる異常に類似した二次的神経変性性変化を促進する。
遺伝子導入
8〜10日齢のLong-Evansラットを、ペントバルビタール60mg/kgで麻酔し、AD7c-NTP(pAD7c-NTP)、LacZ(pLacZ)、またはルシフェラーゼ(pLuc)cDNAの完全なコード配列を含む組換えプラスミドDNAを、右側大脳半球に接種した。AD7c-NTPをコードするヌクレオチド配列およびこの遺伝子産物のアミノ酸配列は、当技術分野において公知である(de la Monteら、J. Clin. Invest.、100:1-12(1997);GENBANK(商標)アクセッション番号AF010144またはNM014486)。
(表1) ヒトAD7c-NTPをコードするDNA
Figure 2005516886
(配列番号:1;GENBANK(商標)アクセッション番号NM014486)
(表2) ヒトAD7c-NTPのアミノ酸配列
Figure 2005516886
(配列番号:2;GENBANK(商標)アクセッション番号NM014486;インスリン/IGF-1受容体ドメインには下線を付けた)
DNAは、エンドトキシン非含有カラム(Qiagen社、バレンシア、CA)を用いて精製した。DNA(3μg/接種)は、ヒストンおよび両親媒性化合物(例えば、Transitインビボポリアミン試薬(Panvera社、マジソン、WI))と配合した。このDNA混合物を、定位フレームおよび図譜を用い、容量25μlでラット脳の右側脳室に注射した。これらのラットを屠殺し、接種後1、2、3、4、7、14、21、または28日目に、遺伝子発現および組織病理について試験した。
組織試料の評価
ウェスタンブロット分析を用い、プロテアーゼ阻害物質およびホスファターゼ阻害物質を補充した放射性免疫沈降アッセイ法(RIPA)用緩衝液中に調製した、細胞溶解液におけるAD7C-NTPタンパク質発現を測定した7。タンパク質濃度は、BCAアッセイ法(Pierce Chemical社、ロックフォード、IL)を用い測定した。タンパク質60μgを含有する試料は、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分画し、その後PVDF膜に移し、かつウェスタンイムノブロットにより分析した。免疫反応性は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合二次IgGおよびPicoWest増強化学ルミネセンス試薬(Pierce Chemical社、ロックフォード、IL)により検出し、かつコダックデジタル画像(Kodak Digital Imager)システムを用い定量した。
組織学的試験および遺伝子発現のインサイチュ分析を行うために、これらの脳を、前頭面で切断し、およびクリオスタット切片作成のために、パラフィン包埋または瞬時凍結(snap frozen)のいずれかを行った。組織病理学的試験は、ヘマトキシリン-エオシンで染色したパラフィン切片について行った。AD7c-NTP、プロアポトーシス遺伝子(p53、Bax)、リン酸化τ、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、アミロイドβ(Aβ)、シナプトフィシン、または一酸化窒素合成酵素-3(NOS3)についての免疫反応性を、公知の方法を用い隣接するパラフィン切片において検出した。βガラクトシダーゼ活性は、標準の方法を用い、クリオスタット切片において検出した。
インビボ遺伝子導入後のAD7c-NTPの大脳内発現
遺伝子導入は、ヒストンタンパク質と両親媒性化合物とを複合した組換えプラスミドDNAを、右側脳室へ接種して行った。大脳半球を、二等分し、かつ個別にAD7c-NTP発現について、組換えタンパク質に結合するAD7c-NTP特異的モノクローナル抗体(例えばN3I4)を用いたウェスタンブロット分析により分析した。
ウェスタンブロット分析を用い、インビボ遺伝子導入後のAD7c-NTPの発現の増加を明らかにした。対照脳は、ルシフェラーゼ遺伝子(pLuciferase)を発現する組換えプラスミドDNAで接種した。脳は、遺伝子導入後、1、2、7または14日目に収集した。大脳半球は、二等分し、ホモジナイズし、かつタンパク質100μgを含有するアリコートを、ウェスタンブロットに使用した。図8Aに示したオートラジオグラフィーは、対照脳(注射と同側)、ならびに遺伝子導入に対し脳組織対側(左側)および同側(右側)における、〜41kD AD7c-NTPタンパク質の発現を示している。図8Bに示したグラフは、コダックデジタルサイエンス画像ステーション(Kodak Digital Science Image Station)を用いて得られたデンシトメトリー分析結果を図示している。免疫反応性のレベルは、異常なルミネセンス単位で発現された。
ウェスタンブロット分析は、pLuciferaseまたはpLacZをトランスフェクトした脳において、一貫して予想された〜41kD NTPタンパク質を低レベルで検出した。対照的に、pAD7c-NTPをトランスフェクトした脳は、接種の24時間以内のAD7c-NTP発現レベルの増大を示した(図8A〜B)。遺伝子導入後1〜14日間に、AD7c-NTPタンパク質のレベルが増大した。最高レベルのAD7c-NTP発現は、右側大脳半球、接種の同側において認められた。左側半球において、AD7c-NTP発現レベルは、最初に右側よりもはるかに低かったが、対照よりも依然高かった。経時的に、AD7c-NTP発現レベルは、左側大脳半球、接種部位の対側においても増大したが、14日目に認められたピークレベルは、右側で測定した値を下回っていた(図8A)。これらの結果は、1群当り少なくとも6匹の動物を使用する個別の3回の実験において再現された。
大脳皮質中の神経生存度に対するpAD7c-NTP遺伝子導入の作用
脳は、遺伝子導入後1週間で収集した。pLacZまたはpAD7c-NTPを接種した脳の組織学的切片を染色した。全脳のヘマトキシリン-エオシン染色したパラフィン切片はコード化して(under code)試験し、インビボにおけるAD7c-NTP過剰発現の作用を決定した。接種部位は解析から除外した。pAD7c-NTP、pLacZまたはpLuc遺伝子導入後24〜96時間で収集した脳は、同様の外観を有し、識別できなかった。しかし1週間後、pAD7c-NTPを接種した脳は、細胞体の消失およびゴースト細胞の出現が明らかとなり、神経細胞死の増大を示した(図9A〜D)。神経細胞喪失は、pAD7c-NTP遺伝子導入後最大4週間に収集した脳において検出可能であった。同じ間隔で経時的に収集した対照脳は、非接種標本に類似した、正常な神経形態を示した。神経細胞喪失では、核を失い(ゴースト細胞)散乱する青白い不規則なニューロンを伴うことが、pAD7c-NTPを接種した齧歯類の脳から示されたことに加え、これらのデータは、死滅しつつあるニューロンクラスターの証拠を示している。これらの特徴は、ヒトアルツハイマー病の特徴を模倣している。
神経アポトーシスおよびプロアポトーシス性遺伝子発現に対するpAD7c-NTP遺伝子導入の作用
AD7c-NTPの過剰発現は、TUNEL+核の比較的高い密度により顕在化された、神経アポトーシスの増大およびアポトーシスの傾向、ならびにp53およびBaxプロアポトーシス遺伝子産物に相当する免疫反応性の増大を生じた(図10A〜D、図11A〜C、および図12A〜C)。
ニューロン核のTUNEL陽性標識の増大が、AD7c-NTP遺伝子導入後の大脳皮質において、対照(ルシフェラーゼ対照遺伝子を接種したラット脳)と比べて認められた。組織切片は、右側脳室および大脳半球に遺伝子導入1週間後に試験した。核のTUNEL標識は、アポトーシス前に生じるようなゲノムDNAニッキングおよび断片化の増大を反映している。
ルシフェラーゼ遺伝子を接種した陰性対照ラット脳と比べ、p53プロアポトーシス遺伝子発現レベルの増大は、AD7c-NTP遺伝子導入後のラット脳において認められた。組織切片は、右側脳室および大脳半球への遺伝子導入1週間後に試験した。AD7c-NTP誘導性p53発現の増大も、皮質ニューロンにおいて、対照大脳皮質ニューロンに比べ、認められた。
ルシフェラーゼ遺伝子を接種した陰性対照ラット脳と比べ、AD7c-NTP遺伝子導入後に、ラット脳におけるBaxプロアポトーシス遺伝子発現レベルの増大が検出された。組織切片は、右側脳室および大脳半球への遺伝子導入1週間後に試験した。対照大脳皮質ニューロンと比べ、AD7c-NTP誘導性Bax発現の増加は、皮質ニューロンにおいて認められた。
損傷した細胞は、それらの錐体形、巨大な大きさ(直径>8μm)、大脳皮質内分布、および隣接切片内の抗Huによる陽性標識を基に、神経細胞として同定された。アポトーシス(TUNEL+)およびプロアポトーシス遺伝子(p53、Bax)発現の増加は、pAD7c-NTP接種1週間後に検出した。ウェスタンブロット分析により示されるように、細胞標識のレベルおよび分布は、最初は接種に対し同側がより高かったが、2週間後、ふたつの半球はこれらの点で若干類似し、AD7c-NTP発現のより対称形の分布に相当した。
大脳皮質におけるAD7C-NTP、リン酸化τおよびシナプトフィシン免疫反応性に対するpAD7c-NTP遺伝子導入の作用
AD7c-NTP(例えば、N2U6)に結合するモノクローナル抗体で行った免疫組織化学的染色は、pLacZまたはpLuciferaseを接種した対照脳における低レベルの拡散神経網標識、ならびに皮質ニューロンにおけるAD7c-NTP免疫反応性の増大およびpAD7c-NTPを接種した脳における神経炎性斑様構造を明らかにした。
AD7c-NTP遺伝子導入後のラット脳における神経糸タンパク質(NTP)発現の増大を、ルシフェラーゼ遺伝子を接種した陰性対照ラット脳において検出されたレベルと比較した。組織切片は、右側脳室および大脳半球への遺伝子導入2週間後に試験した。NTP免疫反応性の増大が、陰性対照皮質ニューロンと比べ、AD7c-NTPを過剰発現している脳の皮質および海馬ニューロンおよび神経炎性斑において認められた(図13A〜F)。
散乱したニューロンにおいて、AD7c-NTP免疫反応性は、非対称に局在化し、封入体(inclusion)様外観をもたらした(図13D)。
アルツハイマー病関連神経変性の他のマーカーとの相関関係
先に神経変性に結びつけられたAD7c-NTP過剰発現の、他の遺伝子およびタンパク質への作用を決定するために、隣接切片を、リン酸化τ、アミロイド前駆体タンパク質、アミロイドbペプチド、およびシナプトフィシンに対する抗体で免疫染色した。
AD7c-NTP遺伝子導入後ラット脳において、ルシフェラーゼ対照遺伝子を接種したラット脳の同様の領域と比べ、異常なシナプトフィシン発現が検出された。組織切片は、右側脳室および大脳半球への遺伝子導入1週間後に試験した。
pAD7c-NTPを接種した全ての脳は、ニューロンおよび神経炎性斑様構造に局在化するリン酸化τレベルの増大を示した(図14A〜D)。リン酸化τ免疫反応性の増大は、外因性AD7c-NTPを発現する脳の大脳皮質のニューロン核内に異常に局在化することが多い。リン酸化τの免疫反応性の斑は、大脳皮質および深部灰白質構造に分布していた。対照脳は、拡散した低レベルのリン酸化τ免疫反応性のみを示し、神経炎性斑形成の証拠を示さなかった。
最も特筆すべき知見のひとつは、AD7c-NTP遺伝子導入後、1〜2週間生じたAPPおよびアミロイドβ免疫反応性の増大であった(図15A〜Eおよび図16A〜F)。
AD7c-NTP遺伝子導入後、ラット脳におけるリン酸化τ(pTau)発現の増大を、ルシフェラーゼ対照遺伝子を接種したラット大脳組織と比べた。組織切片は、右側脳室および大脳半球に遺伝子導入の2週間後に試験した。AD7c-NTP脳からのニューロン核において、標識が存在しない対照脳の同様の領域と比べ、pTau免疫反応性の異常な増大があった。AD7c-NTP cDNAを接種した脳も同じく、pTau免疫反応性神経炎性斑を示した。
ルシフェラーゼ遺伝子を接種した陰性対照ラット脳と比べ、アミロイド前駆体タンパク質(APP)発現の増大が、AD7c-NTP遺伝子導入後のラット脳において認められた。組織切片は、右側脳室および大脳半球への遺伝子導入の2週間後に試験した。対照の大脳皮質と比べ、APP免疫反応性の増加が、皮質ニューロンにおいて検出された。強いAPP免疫反応性が、海馬ニューロンおよび濃密コアまたは神経炎性斑様構造において認められた。
強固なAPP免疫反応性が、皮質ニューロンにおいて(図15A、B)、その一部は変性してるが海馬ニューロンにおいて(図15C)、および濃密コアが出現した斑様構造(図15C)もしくは神経突起構造(図15D、E)において認められた。斑様病変は、APP陽性皮質ニューロン間に散乱していたが、一部は小さい血管に会合して出現した。対照脳は、APP免疫反応性を、脈絡叢および最初には(接種後24〜72時間)注射部位に隣接して示したが、 遺伝子導入後1または2週間では示さなかった(図15E)。
pAD7c-NTPを接種した脳も、微小血管および中等度のサイズの実質内薄壁血管に会合したアミロイドb免疫反応性の増大を示した(図16A)。加えて、散乱した濃密コアのアミロイドβ型斑が、大脳皮質および深灰白質構造に認められた(図16C)。AD7c-NTP、リン酸化τ、またはAPPに対する抗体で検出される斑に類似した神経炎性斑は、アミロイドβに対する抗体で免疫染色した切片では認められなかった。pLacZまたはpLucを接種した対照脳は、アミロイドb免疫反応性の増大を示さなかった(図16B、D)。
アルツハイマー病関連神経変性に関連する異常のひとつは、皮質樹状突起の切り取り(pruning)を伴うシナプス切断である。これらの異常は、シナプトフィシンに対する抗体で明らかになっている。pAD7c-NTPを接種した脳において、シナプトフィシン免疫反応性のパターンおよび分布は、著しく変更された。pLacZまたはpLuc接種対照脳において認められた神経網繊維の拡散標識の代わりに、AD7c-NTPの過剰発現は、突出した神経細胞形質の標識および神経網全体に拡散して分布する単に低レベルのシナプトフィシン免疫反応性を示した(図17A〜D)。アルツハイマー病のヒト脳において生じる老人斑に似たアミロイドβの濃密コアは、AD7c-NTP脳において認められた。
一酸化窒素合成酵素-3発現との相関関係
アルツハイマー病の脳内の皮質ニューロンにおけるNOS-3発現の増大は、神経変性過程の初期に始まる。アルツハイマー病の脳におけるNOS-3免疫反応性レベルが異常に増加することに加え、他の神経変性の形は、一部過酸化窒素生成の増加により媒介されるアポトーシスおよびアポトーシスの傾向に関連している。AD7c-NTPおよびNOS-3発現の異常は、アルツハイマー病に関連した神経変性の自然のヒトモデルを表わすダウン症候群とほぼ同時に始まるので、NOS-3発現が、AD7c-NTPの下流に連結されているかどうかを決定する試験を行った。免疫組織化学的染色試験は、対照脳の最小NOS-3発現と比べ、pAD7c-NTPを接種した脳の皮質ニューロンおよび海馬ニューロンにおけるNOS-3免疫反応性のレベルが急激に増加することを示した(図18A〜F)。対照的に、pNOS-3で行ったインビボ遺伝子導入試験では、AD7c-NTP発現の増大を示さなかった。AD7c-NTP過剰発現の作用の一部が、NOS-3発現の二次的誘導により媒介されることを示しているように、pNOS-3の接種は、APPおよびアミロイドb蓄積の発現増大をもたらす。
インビボ遺伝子導入後のAD7c-NTP誘導性神経変性
インビトロにおけるトランスフェクション試験では、AD7c-NTPの過剰発現において、アポトーシスおよびミトコンドリア機能の損傷により媒介される神経細胞死の増大により特徴付けられる神経変性、ならびにリン酸化τおよびp53プロアポトーシス遺伝子の発現増加が関連する神経変性が生じることを示した。しかし、この遺伝子または他の遺伝子の長期発現は、本明細書において説明するまでは可能なことではなかった。
本明細書において説明される遺伝子導入システムは、核酸、ヒストンタンパク質、リポソームおよび両親媒性化合物を含有する処方を使用し、非骨格筋組織における、長期に渡るインビボ遺伝子発現を誘導する方法を提供する。このシステムを用い、インビボにおけるAD7c-NTP過剰発現の作用を試験した。ウェスタンブロット分析は、pLucまたはpLacZ対照を接種した脳と比べ、pAD7c-NTPを接種した脳においては、予想された〜41kD AD7c-NTPタンパク質のレベルが実質的により高いことを明らかにした。遺伝子発現の時間経過の分析は、AD7c-NTPタンパク質発現またはbガラクトシダーゼ活性の増大が、遺伝子接種後24時間で検出可能であったが、遺伝子発現の大きな増加は、1または2週間後のみに検出されたことを明らかにした。更なる試験は、2ヶ月以上持続した高レベルのインビボ遺伝子発現とは対照的に、典型的には短期間の遺伝子発現(日)が、一過的にトランスフェクトした細胞株において認められたことを明らかにした。他の遺伝子送達システムは、非筋肉組織における長期の発現プロファイルを実現しなかった。このデータは、説明した成分の混合物を用いトランスフェクトした後、長い間隔で、有糸***後神経細胞が、組換えプラスミドDNAを保持しかつ発現することをことを示している。これらの結果は、本明細書に説明する処方が、CNS遺伝子療法に有用であることを示している。
組織学的試験は、AD7c-NTP遺伝子を過剰発現する脳における神経喪失およびゴーストニューロン(核の細部の喪失と共に消える)の密度増大を明らかにした。アポトーシスの増大は、ゲノムDNAの断片化およびニッキングを検出するインサイチュTUNELアッセイ法を用い明らかにした。皮質ニューロンにおけるBaxおよびp53発現の関連した増加は、ADの脳において認められるように、AD7c-NTPが、プロアポトーシス機構を活性化することにより、アポトーシスを引き起こすことを示唆している。
pAD7c-NTPを接種した脳は、突出した神経細胞形質への拡散神経網標識からのシフトおよび事実上存在しない神経網標識により特徴付けられるシナプトフィシン免疫反応性の変化を示した。このシナプトフィシン免疫反応性の分布変化は、神経突起退縮またはシナプスタンパク質輸送の不全のいずれかに一致しており、かつアルツハイマー病関連神経変性に関連するシナプス喪失/切断に類似している。
pAD7c-NTPを接種した脳は、アポトーシスおよびプロアポトーシス遺伝子活性化により媒介される神経細胞死の増大に加え、リン酸化τ、APP、およびアミロイドbの発現増大を示した。リン酸化τおよびAPPの免疫反応性レベルの増大は、ニューロンおよび神経突起様斑に局在化された。リン酸化τに関するこれらの知見は、AD7c-NTPの過剰発現がアルツハイマー病脳およびCSFにおけるリン酸化τ蓄積に関連づけられる、先の試験に一致している。これらの知見は、AD7c-NTP発現の増大が、アルツハイマー病関連神経変性の経過におけるリン酸化τ蓄積に先行することを示しており、アルツハイマー病患者から得た脳組織における先の所見と一致している。
pAD7c-NTPを接種した脳におけるAPPおよびアミロイドbの両免疫反応性レベルの増大に関する知見は、予想外であった。増大したAPPおよびアミロイドb免疫反応性の分布は、APPは、神経細胞形質および神経炎性斑中に局在化したのに対し、アミロイドbの付着は、主に小血管および濃密コア型斑に分布し、ADの脳の知見に類似している点で異なっていた。APPの異常なプロセシングが、アミロイドbを生成し、これは、選択された脳領域で生じ、ならびにAPP発現増大を示すあらゆる部位もしくは細胞種に関連するというよりもむしろ主に微小血管に関連して生じるということを意味する。
AD7c-NTPの過剰発現は、多くの皮質ニューロンに加え、微小血管おいて、NOS-3発現レベルの増大を示した。異常に増加したNOS-3発現の分布は、APPのそれに平行していた。脳をpNOS-3で接種した追加の試験を、NOS-3の発現増大が、AD7c-NTP過剰発現への二次的反応を説明するかどうかを決定するために行った。NOS-3過剰発現は、NOS-3、APP、およびアミロイドb免疫反応性レベルの増大に加え、p53およびBaxプロアポトーシス遺伝子発現の増大を生じるが、AD7c-NTPのレベルには作用しないことがわかった。これらのデータは、脳におけるAD7c-NTPの過剰発現が、NOS-3レベルの増大につながり、これは次にプロアポトーシス機構を活性化しかつ高レベルのAPP発現およびアミロイドb蓄積を促進することを示す。このシナリオは、異常なNOS-3およびAD7c-NTP発現の、ダウン症の脳におけるアルツハイマー病関連神経変性の進行との同時発生を説明している。NOSおよびAPPは、一部Gタンパク質を介したシグナル伝達によりそれらの作用を媒介し、アミロイドおよびNOS媒介した神経変性の間の連結を確立する。
加齢と共に、脳では、ホスホジエステラーゼによる変性増大のために、cGMP発現レベルが低下する。cGMP依存性経路を介するNOシグナル伝達の低下は、酸化的ストレスの増大およびアミロイドb毒性に対する感度の強調をもたらした。AD7c-NTP過剰発現に関して、高レベルのNOS-3およびAPPは、恐らくGタンパク質シグナル伝達機構を圧倒し、酸化的ストレスの増大およびプロアポトーシスシグナル伝達経路の活性化につながるであろう。ヒト脳においては、酸化的ストレスが媒介する加齢および神経変性に伴うAD7c-NTP-NOS-3-APPアポトーシスカスケードの活性化に別の重要な要因が寄与する。別の重要な要因は、累積したミトコンドリアDNAの損傷に起因するミトコンドリア機能の進行性の障害である。更に、酸化的ストレス、フリーラジカルによる損傷、および脳の興奮毒性は、アミロイドb付着、リン酸化τ発現の増大、およびNOS活性化を含む、多くのAD関連分子異常に関連している。本明細書に記載の神経変性のインビボ動物モデルを使用し、データは、下記のアルツハイマー病(例えば、弧発性アルツハイマー病)進行のスキームを示している:
高レベルのAD7c-NTP → NOS-3発現の増大 → APP増大 → cGMP経路の圧倒 → NO媒介性酸化的ストレス → リン酸化τの蓄積およびプロアポトーシス機構の活性化。
このスキームは、AD7c-NTP過剰発現の有害作用により複数の時点で妨害が存在し、アルツハイマー病関連神経変性を少なくとも部分的にレスキューすることを示す。
他の態様は、特許請求の範囲内である。
図1Aは、IPTG誘導のAD7c-NTP発現を測定した、ウェスタンブロットアッセイ結果の写真である。 図1Bは、3mM IPTGの非存在(黒棒)下または存在下でのAD7c-NTPトランスフェクト細胞におけるAD7c-NTPおよびグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GADPH)の免疫反応性の結果を示す棒グラフである。MICE指標は、細胞密度について補正した免疫反応性のレベルを反映している。(P<0.001、スチューデントT検定解析) AD7c-NTPを発現するように誘導した、インスリン(IN)およびIGF-1(IGF)刺激培養物における低下した生存度を示す棒グラフである。アスタリスクは、ANOVA(P<0.05)で示された、対照(誘導されない、FCS刺激した)、またはIPTG誘導培養物、PDGFもしくはNGF刺激培養物(cuture)との有意差を示している。 図3Aは、AD7c-NTPを発現するように誘導したPNET2細胞におけるリン酸化τ発現の変調を示す、ウェスタンブロットアッセイ結果の写真である。 図3Bは、AD7c-NTPを発現するように誘導したPNET2細胞におけるリン酸化τ発現の変調を示す棒グラフである。データは、リン酸化τに結合するモノクローナル抗体による、MICEアッセイ法を用いて得た。このグラフは、細胞密度について補正した免疫反応性レベルの平均±S.D.を反映している(MICE指標)。アスタリスクは、ANOVAによる、対照に対する免疫反応性の平均レベルの有意差を示している(**P<0.001;*P<0.01)。 図3Cは、AD7c-NTPを発現するように誘導したPNET2細胞における総τ発現の変調を示す棒グラフである。このデータは、MICEアッセイ法および総τへの結合を伴うポリクローナル抗体を用いて得た。陰性対照細胞(Neg)は、AD7c-NTP cDNAをトランスフェクトしたが、IPTG処理は行わなかった。このグラフは、細胞密度について補正した免疫反応性レベルの平均±S.D.を反映している(MICE指標)。アスタリスクは、ANOVAによる、対照に対する免疫反応性の平均レベルの有意差を示している(**P<0.001;*P<0.01)。 ウェスタンブロットアッセイ法の結果を示す棒グラフである。AD7c-NTP(図4A)、p53(図4B)、p21/Waf1(図4C)、Bcl-2(図4D)、p25(図4E)、およびCdk5(図4F)の発現レベルは、3mM IPTGへの曝露により、AD7c-NTPを発現するように誘導した、インスリン(IN)、IGF-1(IG)、PDGF(PD)刺激培養物における細胞について示している。陰性対照培養物は、5%FCSで刺激し、およびIPTGに曝露しなかった。免疫反応性は、マイクロタイター免疫細胞化学ELISA(MICE)アッセイ法を用いて定量した。MICE指標は、細胞密度について補正した免疫反応性レベルに相当している。グラフは、16個の複数培養ウェルにおいて測定した免疫反応性の平均±S.D.を示している。全ての実験は、少なくとも3回繰り返した。アスタリスクは、ANOVAおよびFisherのLSD事後検定を用いた、陰性対照値に対する有意差を示している(**P<0.001;*P<0.01)。 ポリアミン組成物を使用し、pcDNA3-Luc(+)またはpcDNA3-AD7c(-)をトランスフェクトしたラット小脳ニューロン培養物中のルシフェラーゼ活性の検出を示す棒グラフである。グラフの値は、1つの時点あたり4個の複数培養ウェルから得た結果の平均±S.D.を示している。 図6Aは、ポリアミン組成物を使用し、pcDNA3-Luc(-)またはpcDNA3-AD7c(+)をトランスフェクトしたラット小脳ニューロン培養物中のAD7c-NTP発現の検出を示すウェスタンブロットアッセイ結果の写真である。矢印は、〜41kD N3I4免疫反応性AD7c-NTPタンパク質の位置を示している。 図6Bは、図6Aに示したデータのデンシトメーター定量による棒グラフである。 AD7c-NTP cDNAをトランスフェクトした有糸***後ラット小脳ニューロン培養物(図7A、C、E)と、LacZ対照をトランスフェクトした培養物(図7B、D、F)とを比べた場合の、生存度低下およびAD7c-NTP発現増大を示す神経細胞の写真である。図7A、Bは、トランスフェクション後72時間の培養物の位相差画像を示している。ほとんどの残留する顆粒ニューロンの上の顕著な細胞喪失および突出した長く薄い細胞突起を有することに注意(矢印)。バックグラウンドの大きい平坦な細胞は、当初の神経膠細胞である。平行培養は、N3I4モノクローナル抗体を用い免疫染色した。免疫反応性は、色素原としてジアミノベンジジンを使用し、アビジン-ビオチンホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体(図7A、B、C)法により検出した(褐色沈殿)。豊富なAD7c-NTP免疫反応性は、LacZ対照遺伝子をトランスフェクトした細胞(図7D、F)と比べ、AD7c-NTP cDNAのトランスフェクション後48および72時間(図7C、E)に存在することに注意。 図8Aは、AD7c-NTP遺伝子産物が、AD7c-NTP特異抗体を用いて検出されたウェスタンブロットアッセイ結果の写真である。 図8Bは、ウェスタンブロットアッセイ法(図8A)により検出したバンド強度のデンシトメーター定量による棒グラフである。 pLacZ(図9A、B)またはpAD7c-NTP(図9A、C、D)を接種した脳をヘマトキシリン-エオシン染色した組織切片の写真である。脳は、遺伝子導入の1週間後に摘出した。pAD7c-NTPを接種した脳は、散乱した青白い、核を喪失した不規則なニューロン(ゴースト細胞)を伴う神経喪失を示した。図9Cに示したより高倍率の画像は、楕円内に、死滅しつつあるニューロンのクラスターを例示している。 AD7c-NTP遺伝子導入後の大脳皮質中のニューロン核におけるTUNEL陽性標識の増大を示した神経組織の写真である(図10A、C;褐色沈殿)。図10BおよびDは、ルシフェラーゼ対照遺伝子を接種したラット脳の同様の領域を示している。組織切片は、右側脳室および大脳半球への遺伝子導入の1週間後に試験した。核のTUNEL標識は、アポトーシス前に生じるゲノムDNAのニッキングおよび断片化の増加を反映している。 AD7c-NTP遺伝子導入後のラット脳におけるp53プロアポトーシス遺伝子発現レベルの増大を示した神経組織の写真である(図11A、B)。図11Cは、ルシフェラーゼ遺伝子で接種された陰性対照ラット脳を示している。組織切片は、右側脳室および大脳半球への遺伝子導入の1週間後に試験した。対照大脳皮質ニューロン(図11C)と比べ、皮質ニューロン(図11A、B)において、AD7c-NTP誘導性p53発現の増大が認められた。 AD7c-NTP遺伝子導入後のラット脳におけるBaxプロアポトーシス遺伝子発現レベルの増大を示す神経組織の写真である(図12A、B)。図12Cは、ルシフェラーゼ遺伝子を接種した陰性対照ラット脳を示している。組織切片は、右側脳室および大脳半球への遺伝子導入の1週間後に試験した。対照大脳皮質ニューロン(図12C)と比べ、皮質ニューロン(図12A、B)において、AD7c-NTP誘導性Bax発現の増大が認められた。 AD7c-NTP遺伝子導入後のラット脳における神経糸タンパク質(NTP)発現増大を示す神経組織の写真である。図13Fは、ルシフェラーゼ遺伝子を接種した陰性対照ラット脳を示している。組織切片は、右側脳室および大脳半球への遺伝子導入の2週間後に試験した。陰性対照皮質(図13F)ニューロンと比べ、AD7c-NTPを過剰発現している脳内の皮質ニューロン(図13A〜C;矢印)および海馬ニューロン(図13D;矢印)ならびに神経炎性斑(図13E;矢印)において、NTP免疫反応性の増大が認められた。 AD7c-NTP遺伝子導入後のラット脳における異常なシナプトフィシン発現(図14A、C)を示す神経組織の写真である。図14BおよびDは、ルシフェラーゼ対照遺伝子を接種したラット脳の同様の領域を示している。組織切片は、右側脳室および大脳半球への遺伝子導入の1週間後に試験した。図14AおよびBは、神経網線維のシナプトフィシン標識の減少を示す。神経細胞形質近傍に主に分布し、恐らくこれは神経突起退縮を反映している。図14CおよびDは、皮質神経網線維中、特に皮質の層I(Layer I)(図14B、褐色標識の外側バンド)における異常なシナプトフィシン免疫反応性を示している。 AD7c-NTP遺伝子導入後のラット脳におけるリン酸化τ(pTau)発現増大(図15A、C〜E)を示す神経組織の写真である。図15Bは、ルシフェラーゼ対照遺伝子を接種したラット大脳組織を示している。組織切片は、右側脳室および大脳半球への遺伝子導入の2週間後に試験した。図15Aは、ニューロン核におけるpTau免疫反応性の異常な増大を示している。細胞の標識は、対照脳の同様の領域には存在しなかった(図15B)。図15C〜Eに示したように、AD7c-NTP cDNAを接種した脳は、pTau免疫反応性神経炎性斑も示した。 AD7c-NTP遺伝子導入後のラット脳におけるアミロイド前駆体タンパク質(APP)発現増大(図16A〜E)を示す神経組織の写真である。図16Dは、ルシフェラーゼ遺伝子を接種した陰性対照ラット脳を示している。組織切片は、右側脳室および大脳半球への遺伝子導入の2週間後に試験した。対照大脳皮質(図16F)と比べ、皮質ニューロン(図16A〜C)において、APP免疫反応性の増大が認められた。強いAPP免疫反応性が、海馬ニューロン(図16C、二頭矢印)および濃密コア(図16C、矢印)または神経炎性斑(図16D、E;矢印)様構造において認められた。 AD7c-NTP遺伝子導入後のラット脳におけるアミロイドβ発現増大(図17A、C)を示す神経組織の写真である。図17BおよびDは、ルシフェラーゼ対照遺伝子を接種したラット脳の同様の領域を示している。組織切片は、右側脳室および大脳半球への遺伝子導入の2週間後に試験した。図17Aは、大脳内小血管壁および細胞における、アミロイドβを示している。図17Cは、アルツハイマー病のヒト脳に生じる老人斑に似たアミロイドβの濃密コアを示している。 AD7c-NTP遺伝子導入後のラット脳における一酸化窒素合成酵素-3(NOS-3)発現増大(図18A〜D)を示す神経組織の写真である。図18EおよびFは、ルシフェラーゼ遺伝子を接種した陰性対照ラット脳の同様の領域を示している。組織切片は、右側脳室および大脳半球への遺伝子導入の2週間後に試験した。対照皮質ニューロン(図18E)および海馬ニューロン(図18F)におけるNOS-3レベルと比べ、NOS-3免疫反応性を増大させることが、AD7c-NTPを過剰発現する脳の皮質ニューロン(図18A、B、D)および海馬ニューロン(図18C)において認められた。

Claims (52)

  1. 哺乳類において長期に渡るインビボ遺伝子発現を誘導するための方法であって、
    非筋肉組織に、核酸、ヒストン、および両親媒性化合物を含有する組成物を接触させる段階を含む方法。
  2. 組織が神経組織である、請求項1記載の方法。
  3. 組織が中枢神経系(CNS)組織である、請求項1記載の方法。
  4. 組織が有糸***後の神経細胞を含む、請求項1記載の方法。
  5. 組織が皮質神経細胞を含む、請求項1記載の方法。
  6. 組織が、海馬神経細胞、神経膠細胞、または血管内皮細胞を含む、請求項1記載の方法。
  7. 組織における遺伝子発現が、組織と組成物との接触後、少なくとも48時間インビボにおいて検出される、請求項1記載の方法。
  8. 組織における遺伝子発現が、組織と組成物との接触後、少なくとも72時間インビボにおいて検出される、請求項1記載の方法。
  9. 組織における遺伝子発現が、組織と組成物との接触後、少なくとも96時間インビボにおいて検出される、請求項1記載の方法。
  10. 組織における遺伝子発現が、組織と組成物との接触後、少なくとも1週間インビボにおいて検出される、請求項1記載の方法。
  11. 組織における遺伝子発現が、組織と組成物との接触後、少なくとも2週間インビボにおいて検出される、請求項1記載の方法。
  12. 組織における遺伝子発現が、組織と組成物との接触後、少なくとも4週間インビボにおいて検出される、請求項1記載の方法。
  13. 組成物がリポソーム形状内にある、請求項1記載の方法。
  14. リポソームが、中性またはカチオン性である、請求項13記載の方法。
  15. リポソームが、アニオン性である、請求項13記載の方法。
  16. ヒストンが、H1、H2A、H2B、H3およびH4からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  17. 組成物が核局在化シグナルを更に含む、請求項1記載の方法。
  18. 両親媒性化合物が、疎水性部分を有する非天然のポリアミンであって、該ポリアミンが、C6〜C24アルカン、C6〜C24アルケン、ステロール、ステロイド、脂質、脂肪酸、および疎水性ホルモンからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  19. 核酸が、AD7c-NTPアンチセンス分子または一酸化窒素合成酵素IIIアンチセンス分子である、請求項1記載の方法。
  20. 核酸が、配列番号:1のヌクレオチド配列に相補的な配列を含む、請求項19記載の方法。
  21. 非ヒト動物を含むアルツハイマー病の非トランスジェニックモデルであって、該動物が外因性AD7c-NTP核酸を含む、モデル。
  22. 非ヒト動物が、該動物の神経細胞において外因性AD7c-NTPポリペプチドを少なくとも48時間発現する、請求項21記載のモデル。
  23. 動物が齧歯類である、請求項21記載のモデル。
  24. 動物が非ヒト霊長類である、請求項21記載のモデル。
  25. 神経細胞が、皮質神経細胞、海馬神経細胞、小脳神経細胞、および神経膠細胞からなる群より選択される、請求項22記載のモデル。
  26. 非ヒト動物が、該動物の血管内皮細胞において外因性AD7c-NTPポリペプチドを発現する、請求項21記載のモデル。
  27. 非ヒト動物を含むアルツハイマー病の非トランスジェニックモデルであって、該動物が外因性一酸化窒素合成酵素核酸を含む、モデル。
  28. 核酸が一酸化窒素合成酵素IIIポリペプチドをコードする、請求項27記載のモデル。
  29. 非ヒト動物が、該動物の神経細胞において外因性一酸化窒素合成酵素ポリペプチドを少なくとも48時間発現する、請求項27記載のモデル。
  30. 非ヒト動物が、該動物の神経細胞において外因性一酸化窒素合成酵素ポリペプチドを少なくとも72時間発現する、請求項27記載のモデル。
  31. 非ヒト動物が、該動物の神経細胞において外因性一酸化窒素合成酵素ポリペプチドを少なくとも2週間発現する、請求項27記載のモデル。
  32. 非ヒト動物が、該動物の神経細胞において外因性一酸化窒素合成酵素ポリペプチドを少なくとも4週間発現する、請求項27記載のモデル。
  33. アルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制する方法であって、AD7c-NTP過剰発現細胞に、AD7c-NTPアンチセンス核酸およびヒストンポリペプチドを含有する組成物を接触させる段階を含む方法。
  34. 該組成物が両親媒性化合物を更に含有する、請求項33記載の方法。
  35. アルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制する方法であって、AD7c-NTP過剰発現細胞を、インスリンまたはインスリン様増殖因子1依存性シグナル伝達の阻害物質に接触させる段階を含む方法。
  36. 阻害物質が、配列番号:2の残基2〜14に結合する組成物である、請求項35記載の方法。
  37. 組成物が、抗体、抗体断片、ポリペプチド、または有機分子を含む、請求項35記載の方法。
  38. 阻害物質が、アポトーシスを抑制する用量で投与される、請求項35記載の方法。
  39. アルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制する方法であって、AD7c-NTP過剰発現細胞を、IRS依存性増殖因子の阻害物質に接触させる段階を含む方法。
  40. 増殖因子がインスリン様増殖因子1(IGF-1)である、請求項39記載の方法。
  41. 増殖因子がインスリンである、請求項39記載の方法。
  42. 阻害物質が、AD7c-NTPのN末端インスリン/IGF-1受容体ドメインに結合する、請求項39記載の方法。
  43. 阻害物質が、抗体、抗体断片、ポリペプチド、または有機分子である、請求項39記載の方法。
  44. アルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制する方法であって、Adc7-NTP過剰発現細胞を、一酸化窒素合成酵素IIIの阻害物質に接触させる段階を含む方法。
  45. アルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制する方法であって、Adc7-NTP過剰発現細胞を、インスリンの阻害物質に接触させる段階を含む方法。
  46. アルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制する化合物を同定する方法であって、ADc7-NTP過剰発現細胞を候補化合物に接触させる段階、および細胞生存度を測定する段階を含み、化合物の存在下における細胞生存度が非存在下と比べて増大することで、該化合物がアルツハイマー病関連神経細胞死を抑制することを示す方法。
  47. 細胞が初代小脳神経細胞である、請求項46記載の方法。
  48. 細胞が、外因性AD7c-NTPをコードするDNAを含む、請求項46記載の方法。
  49. 細胞が、誘導可能な方式で外因性AD7c-NTPポリペプチドを発現する、請求項46記載の方法。
  50. アルツハイマー病に関連した神経細胞死を抑制する化合物を同定する方法であって、該動物の神経組織において異種AD7c-NTP核酸を発現する非ヒト動物を候補化合物に接触させる段階、および細胞生存度を測定する段階を含み、化合物の存在下における細胞生存度が非存在下と比べて増大することで、該化合物がアルツハイマー病関連神経細胞死を抑制することを示す方法。
  51. アルツハイマー病の症状を抑制する化合物を同定する方法であって、該動物の神経組織において異種AD7c-NTP核酸を発現する非ヒト動物を候補化合物に接触させる段階、および該組織中におけるアミロイド前駆体タンパク質(APP)の発現を検出する段階を含み、化合物の存在下におけるAPP発現が非存在下と比べて低下することで、該化合物がアルツハイマー病の症状を抑制することを示す方法。
  52. アルツハイマー病の症状を抑制する化合物を同定する方法であって、該動物の神経組織において異種AD7c-NTP核酸を発現する非ヒト動物を候補化合物に接触させる段階、および該組織中におけるアミロイド斑を検出する段階を含み、化合物の存在下における該斑の量が非存在下と比べて減少することで、該化合物がアルツハイマー病の症状を抑制することを示す方法。
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