JP2005509402A - Dkk−1又はそのアンタゴニストに関連する治療 - Google Patents
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Abstract
インスリン抵抗性に関与する疾患、例えばインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)、低インスリン血症、及び筋萎縮症、外傷、又は変性に関する疾患の治療のために、Dickkopf-1(Dkk−1)タンパク質に対するアンタゴニストを有効量投与する。好ましくは、アンタゴニストは、製薬的に許容される担体中にDkk−1に対する抗体を含むDkk−1の影響を阻害する用途のための組成物からなる。さらに、哺乳動物に有効量のDkk−1を投与することによって、哺乳動物の肥満又は高インスリン血症を治療する方法を提供する。また、標的としてDkk−1を用いるインスリン抵抗性、高及び低インスリン血症、肥満、及び関連疾患の診断方法、及びdkk−1核酸を過剰発現する非ヒトトランスジェニック動物も提供される。
Description
本発明は、肥満、インスリン抵抗性、低インスリン血症及び高インスリン血症を伴う疾患の診断及び治療、及び哺乳動物の筋肉の修復及び再生のためのものである。特に、本発明は、肥満及び高インスリン血症の治療におけるDickkopf-1(Dkk−1)タンパク質の使用と、インスリン抵抗性及び低インスリン血症の治療及び筋肉修復におけるDkk−1と結合する及び/又はその活性を中和するアンタゴニストの使用とに関する。
Dickkopf(dkk)タンパク質は、Wnt活性を調節する分泌タンパク質群である(Krupnik等, Gene, 238: 301-313 (1999); Monaghan等, Mech. Dev., 87:45-56 (1999); Roessler等, Cell Genet., 89: 220-224 (2000))。このファミリーは4つのメンバーからなり、これらのメンバーは関連性が高く、2つの保存されたシステインリッチドメインを含む(2000年9月8日公開のWO00/52047)。
Dkk−1(1999年9月16日公開のWO99/46281(ここでDkk−1はPRO1008と称され、DNA57530によってコードされている); 2000年4月6日公開のWO00/18914; 2000年9月8日公開のWO00/52047; 1998年10月22日公開のWO98/46755)は最初、Wntシグナル伝達の抑制によるゼノパス(Xenopus)の頭部形成の誘導因子として確認され(Glinka等, Nature, 391: 357-362 (1998))、その後、肢の成長に関与し(Grotewold等, Mech. Dev., 89: 151-153 (1999))、Wnt誘導性形態的形質転換を抑制する(Fedi等, J. Biol. Chem., 274: 19465-19472 (1999))ことが示された。
最近の研究により、Dkkは、Wntシグナル伝達のための共受容体として作用する低密度リポタンパク質関連タンパク質LRP6に結合することによって作用することがわかった(Mao等, Mol. Cell., 7: 801-809 (2001); Pinson等, Nature. 407: 535-538 (2000); Tamai等, Nature, 407: 530-535 (2000); Wehrli等, Nature, 407: 527-530 (2000))。Dkk−1は、Wnt及びFrizzledとの相互作用に関連するドメインとは別のドメインでLRP6と結合することでLRP6を介したWnt/βカテニンシグナル伝達を抑制することによって、Wntシグナル伝達をアンタゴナイズする(Bafico等, Nat. Cell. Biol., 3: 683-686 (2001); Mao等, Nature, 411: 321-325 (2001); Semenov等, Current Biology, 11: 951-961 (2001))。
Dkk−1(1999年9月16日公開のWO99/46281(ここでDkk−1はPRO1008と称され、DNA57530によってコードされている); 2000年4月6日公開のWO00/18914; 2000年9月8日公開のWO00/52047; 1998年10月22日公開のWO98/46755)は最初、Wntシグナル伝達の抑制によるゼノパス(Xenopus)の頭部形成の誘導因子として確認され(Glinka等, Nature, 391: 357-362 (1998))、その後、肢の成長に関与し(Grotewold等, Mech. Dev., 89: 151-153 (1999))、Wnt誘導性形態的形質転換を抑制する(Fedi等, J. Biol. Chem., 274: 19465-19472 (1999))ことが示された。
最近の研究により、Dkkは、Wntシグナル伝達のための共受容体として作用する低密度リポタンパク質関連タンパク質LRP6に結合することによって作用することがわかった(Mao等, Mol. Cell., 7: 801-809 (2001); Pinson等, Nature. 407: 535-538 (2000); Tamai等, Nature, 407: 530-535 (2000); Wehrli等, Nature, 407: 527-530 (2000))。Dkk−1は、Wnt及びFrizzledとの相互作用に関連するドメインとは別のドメインでLRP6と結合することでLRP6を介したWnt/βカテニンシグナル伝達を抑制することによって、Wntシグナル伝達をアンタゴナイズする(Bafico等, Nat. Cell. Biol., 3: 683-686 (2001); Mao等, Nature, 411: 321-325 (2001); Semenov等, Current Biology, 11: 951-961 (2001))。
Wntファミリーのタンパク質は、胚発達及び様々な細胞型の分化に重要な役割を果たす(Peifer及びPolakis, Science, 287: 1606-1609 (2000))。Wntシグナル伝達経路は、分泌Wntと、その受容体frizzledタンパク質との相互作用によって活性化され(Hlsken及びBehrens, J. Cell. Sci., 113: 3545-3546 (2000))、LDL受容体関連タンパク質LRP5及びLRP6は共受容体として作用する(Mao等, Mol. Cell., 上掲; Pinson等, 上掲; Tamai等, 上掲; Wehrli等, 上掲)。Wntシグナル伝達の下流での効果はDisheveled(Dvl1)タンパク質の活性化を含み、該活性化は、Aktの活性化とそれに続く該AktのAxin−βカテニン−GSK3β−APC複合体への補充をもたらす(Fukumoto等, J. Biol. Chem., 276: 17479-17483 (2001))。これに次いでGSK3βのリン酸化反応と不活性化が起こり、その結果、βカテニンのリン酸化反応と分解が抑制される。蓄積されたβカテニンは細胞核に移動し、そこで、リンパ系増強因子−T細胞因子(LEF/TCF)ファミリーの転写因子と相互作用し、標的遺伝子の転写を誘導する。
Wntシグナル伝達の2つの下流エフェクター、Akt及びGSK3βは、インスリンシグナル伝達経路/グルコース代謝での重要な中間体である。Wntシグナル伝達は、筋肉分化(Borello等, Development, 126: 4247-4255 (1999); Cook等, Embo. J., 15: 4526-4536 (1996); Cossu及びBorello, Embo. J., 18: 6867-6872 (1999); Ridgeway等, J. Biol. Chem., 275: 32398-32405 (2000); Tian等, Development, 126: 3371-3380 (1999); Toyofuku等, J. Cell. Biol., 150: 225-241 (2000))と脂肪生成(Ross等, Science, 289: 950-953 (2000))の調節に関与し、Wntシグナル伝達の抑制は、筋細胞の脂肪細胞への分化転換を促進することができる(Ross等, 上掲)。
Wntシグナル伝達の2つの下流エフェクター、Akt及びGSK3βは、インスリンシグナル伝達経路/グルコース代謝での重要な中間体である。Wntシグナル伝達は、筋肉分化(Borello等, Development, 126: 4247-4255 (1999); Cook等, Embo. J., 15: 4526-4536 (1996); Cossu及びBorello, Embo. J., 18: 6867-6872 (1999); Ridgeway等, J. Biol. Chem., 275: 32398-32405 (2000); Tian等, Development, 126: 3371-3380 (1999); Toyofuku等, J. Cell. Biol., 150: 225-241 (2000))と脂肪生成(Ross等, Science, 289: 950-953 (2000))の調節に関与し、Wntシグナル伝達の抑制は、筋細胞の脂肪細胞への分化転換を促進することができる(Ross等, 上掲)。
短期的なWnt/Wg条件培地での処理により、遊離βカテニンがサイトゾルに蓄積されたが、Ser9でのGSK3βリン酸化及びAkt活性化は生じなかった(Ding等, J. Biol. Chem., 275: 32475-32481 (2000))。対照的に、長期的又は構成的なWnt刺激は、Akt活性化とWntシグナル伝達における関与を生じた(Fukumono等, 上掲)。HepG2細胞においてインスリンシグナル伝達は、2つのシグナル伝達経路:GSK3bの抑制をもたらすAktとPI3キナーゼの活性化及びRas活性化を介して、βカテニン、Wntシグナル伝達の媒介物質を刺激する(Desbois-Mouthon等, Oncogene, 20: 252-259 (2001))。しかし、293、C57、及びCHOIR細胞において、インスリンはβカテニンのサイトゾルレベルに影響せず、さらに意義深いことには、GSK3βのSer9のリン酸化状態も、タンパク質キナーゼBの活性もWntによって調節されなかった(Ding等, 上掲)。
インスリン抵抗性は、インスリンの存在が正常以下の生体反応を引き起こす状態である。臨床用語には、インスリン抵抗性は、インスリン値が正常である又は高いにもかかわらず正常又は高血糖レベルが持続する場合とある。これは、本質的に、グリコーゲン合成の阻害を示し、該阻害により、基礎的な又はインスリン刺激によるグリコーゲン合成のいずれか又は双方が正常値を下回る。2型糖尿病に現れる高血糖症は、十分な体重減又は食事制限によって逆転し、明らかに末梢組織のインスリン感受性を取り戻すことがありうるという事実によって立証されているように、インスリン抵抗性は2型糖尿病で重要な役割を果たす。
インスリン抵抗性は、インスリンの存在が正常以下の生体反応を引き起こす状態である。臨床用語には、インスリン抵抗性は、インスリン値が正常である又は高いにもかかわらず正常又は高血糖レベルが持続する場合とある。これは、本質的に、グリコーゲン合成の阻害を示し、該阻害により、基礎的な又はインスリン刺激によるグリコーゲン合成のいずれか又は双方が正常値を下回る。2型糖尿病に現れる高血糖症は、十分な体重減又は食事制限によって逆転し、明らかに末梢組織のインスリン感受性を取り戻すことがありうるという事実によって立証されているように、インスリン抵抗性は2型糖尿病で重要な役割を果たす。
インスリン抵抗性は、通常、インスリンの受容体への結合部位の後ろでインスリン受容体シグナル伝達系の異常を生じる。インスリンに反応する主要な組織(筋肉、肝臓、脂肪)におけるインスリン抵抗性を実証する蓄積された科学的証拠は、インスリンシグナル伝達の異常が、このカスケードの初期段階、特に減少しているように見えるインスリン受容体キナーゼ活性に帰することを強く示唆している(Haring, Diabetalogia, 34: 848 (1991))。
このような後受容体異常に潜在的な部位のグルコース輸送系についての数々の研究により、インスリン感受性グルコース輸送体(GLUT4)の量及び機能の両方が、齧歯動物及びヒトのインスリン抵抗状態では不足していることが立証されている(Garvey等, Science, 245: 60 (1989); Sivitz等, Nature, 340: 72 (1989); Berger等, Nature, 340: 70 (1989); Kahn等, J. Clin. Invest., 84: 404 (1989); Charron等, J. Biol. Chem., 265: 7994 (1990); Dohm等, Am. J. Physiol., 260: E459 (1991); Sinha等, Diabetes, 40: 472 (1991); Friedman等, J. Clin. Invest., 89: 701(1992))。インスリン感受性グルコース輸送体の正常なプールが不足していると、理論上では、個体にインスリン抵抗性を来たし得る(Olefsky等, Diabetes Mellitus, Rifkin及びPorte, Jr.,編 (Elsevier Science Publishing Co., Inc., New York, ed. 4, 1990), pp. 121-153)。しかし、中には、ヒトのNIDDMにおける、特にグルコース処理の主要な部位である筋肉でのGLUT4の下方制御を示せていない研究もある(Bell, Diabetes, 40: 413 (1990); Pederson等, Diabetes, 39: 865 (1990); Handberg等, Diabetologia, 33: 625 (1990); Garvey等, Diabetes, 41: 465 (1992))。
このような後受容体異常に潜在的な部位のグルコース輸送系についての数々の研究により、インスリン感受性グルコース輸送体(GLUT4)の量及び機能の両方が、齧歯動物及びヒトのインスリン抵抗状態では不足していることが立証されている(Garvey等, Science, 245: 60 (1989); Sivitz等, Nature, 340: 72 (1989); Berger等, Nature, 340: 70 (1989); Kahn等, J. Clin. Invest., 84: 404 (1989); Charron等, J. Biol. Chem., 265: 7994 (1990); Dohm等, Am. J. Physiol., 260: E459 (1991); Sinha等, Diabetes, 40: 472 (1991); Friedman等, J. Clin. Invest., 89: 701(1992))。インスリン感受性グルコース輸送体の正常なプールが不足していると、理論上では、個体にインスリン抵抗性を来たし得る(Olefsky等, Diabetes Mellitus, Rifkin及びPorte, Jr.,編 (Elsevier Science Publishing Co., Inc., New York, ed. 4, 1990), pp. 121-153)。しかし、中には、ヒトのNIDDMにおける、特にグルコース処理の主要な部位である筋肉でのGLUT4の下方制御を示せていない研究もある(Bell, Diabetes, 40: 413 (1990); Pederson等, Diabetes, 39: 865 (1990); Handberg等, Diabetologia, 33: 625 (1990); Garvey等, Diabetes, 41: 465 (1992))。
動物モデルのインビボ研究及び臨床研究による証拠は、2型糖尿病におけるインスリン抵抗性が、インスリンシグナル伝達経路における中間物質の発現及び活性の変化、インスリン刺激によるグルコース輸送率の変化、又はGLUT4の形質細胞膜への移行の変化によって起こり得ることを示している(Zierath等, Diabetologia, 43: 821-835 (2000))。動物研究による証拠は、筋肉でのインスリンシグナル伝達の異常が身体全体のグルコース恒常性を変化させること(Saad等, J. Clin. Invest., 90: 1839-1849 (1992); Folli等, J. Clin. Invest., 92: 1787-1794 (1993); Heydrick等, J. Clin. Invest., 91: 1358-1366 (1993); Saad等, J. Clin. Invest., 92: 2065-2072 (1993); Heydrick等, Am. J. Physiol., 268: E604-612(1995))と、IR、IRS−1及びPI3キナーゼを含むインスリンシグナル伝達カスケードでの中間体の異常が、インスリン抵抗性及び2型糖尿病の対象由来の骨格筋におけるグルコース輸送を減少させ、インスリン刺激によるGLUT4の移行の減少を可能にすることを示唆する。
いくつかの例では、IRS−1(Saad等, 1992, 上掲; Saad等, 1993, 上掲; Goodyear等, J. Clin. Invest., 95: 2195-2204 (1995))、PI3キナーゼ(Anai等, Diabetes, 47: 13-23 (1998))、及びGSK−3(Nikoulina等, Diabetes, 49: 263-271 (2000))の発現の変化、及びPKCθ(Chalfant等, Endocrinology, 141: 2773-2778 (2000))及びPTP1B(Dadke等, Biochem. Biophys. Res. Commun., 274: 583-589 (2000))のレベルの低下が見られた。IR(Arner等, Diabetologia, 30: 437-440 (1987); Maegawa等, Diabetes, 44: 815-819 (1991); Saad等, 1992, 上掲; Saad等, 1993, 上掲; Goodyear等, 上掲)、IRS−1(Saad等, 1992, 上掲; Saad等, 1993, 上掲; Goodyear等, 上掲)及びAkt(Krook等, Diabetes, 47: 1281-1286 (1998))のリン酸化反応の減少も、複数の2型糖尿病対象の骨格筋に見られた。
いくつかの例では、IRS−1(Saad等, 1992, 上掲; Saad等, 1993, 上掲; Goodyear等, J. Clin. Invest., 95: 2195-2204 (1995))、PI3キナーゼ(Anai等, Diabetes, 47: 13-23 (1998))、及びGSK−3(Nikoulina等, Diabetes, 49: 263-271 (2000))の発現の変化、及びPKCθ(Chalfant等, Endocrinology, 141: 2773-2778 (2000))及びPTP1B(Dadke等, Biochem. Biophys. Res. Commun., 274: 583-589 (2000))のレベルの低下が見られた。IR(Arner等, Diabetologia, 30: 437-440 (1987); Maegawa等, Diabetes, 44: 815-819 (1991); Saad等, 1992, 上掲; Saad等, 1993, 上掲; Goodyear等, 上掲)、IRS−1(Saad等, 1992, 上掲; Saad等, 1993, 上掲; Goodyear等, 上掲)及びAkt(Krook等, Diabetes, 47: 1281-1286 (1998))のリン酸化反応の減少も、複数の2型糖尿病対象の骨格筋に見られた。
さらに、PI3キナーゼ活性の減少(Saad等, 1992, 上掲; Heydrick等, 1995, 上掲; Saad等, 1993, 上掲; Goodyear等, 上掲; Heydrick等, 1993, 上掲; Folli等, Acta Diabetol., 33: 185-192 (1996); Bjornholm等, Diabetes, 46: 524-527 (1997); Andreelli等, Diabetologia, 42: 358-364 (1999); Kim等, J. Clin. Invest., 104: 733-741 (1999); Andreelli F, 等, Diabetologia, 43: 356-363 (2000); Krook等, Diabetes, 49: 284-292 (2000))、及びGSK−3(Eldar-Finkelman等, Diabetes, 48: 1662-1666 (1999))、PKC(Avignon等, Diabetes, 45: 1396-1404 (1996))及びPTP1B(Dadke等, 上掲)の活性の増加も、2型糖尿病に関連して示された。PI3キナーゼのp85サブユニットの破壊は、マウスのインスリン感受性の上昇につながる(Terauchi等, Nature Genetics, 21: 230-235 (1999))。
さらに、PKCアイソフォームの分布は糖尿病動物の骨格筋において変化し(Schmitz-Peiffer等, Diabetes, 46: 169-178 (1997))、PKCα、PKCβ、PKCε、及びPKCδの含有量は、非肥満Goto−Kakizaki(GK)糖尿病ラットのヒラメ筋の細胞膜画分では増加、及びサイトゾル画分では減少する(Avignon等, 上掲)。
GLUT4の異常な細胞内局在化が、2型糖尿病を患っている又は患っていないインスリン抵抗性対象由来の骨格筋に見られ(Vogt等, Diabetologia, 35: 456-463 (1992); Garvey等, J. Clin, Invest., 101: 2377-2386 (1998))、これは、GLUT4の輸送と移行の異常が骨格筋のインスリン抵抗性を生じさせ得ることを示唆している。インビボ又はインビトロ研究により、複数の2型糖尿病対象の骨格筋における、インスリン刺激によるグルコース輸送率の低下が立証された(Andreasson等, Acta Physiol. Scand., 142: 255-260 (1991); Zierath等, Diabetologia, 37: 270-277 (1994); Bonadonna等, Diabetes, 45: 915-925 (1996))。
さらに、PKCアイソフォームの分布は糖尿病動物の骨格筋において変化し(Schmitz-Peiffer等, Diabetes, 46: 169-178 (1997))、PKCα、PKCβ、PKCε、及びPKCδの含有量は、非肥満Goto−Kakizaki(GK)糖尿病ラットのヒラメ筋の細胞膜画分では増加、及びサイトゾル画分では減少する(Avignon等, 上掲)。
GLUT4の異常な細胞内局在化が、2型糖尿病を患っている又は患っていないインスリン抵抗性対象由来の骨格筋に見られ(Vogt等, Diabetologia, 35: 456-463 (1992); Garvey等, J. Clin, Invest., 101: 2377-2386 (1998))、これは、GLUT4の輸送と移行の異常が骨格筋のインスリン抵抗性を生じさせ得ることを示唆している。インビボ又はインビトロ研究により、複数の2型糖尿病対象の骨格筋における、インスリン刺激によるグルコース輸送率の低下が立証された(Andreasson等, Acta Physiol. Scand., 142: 255-260 (1991); Zierath等, Diabetologia, 37: 270-277 (1994); Bonadonna等, Diabetes, 45: 915-925 (1996))。
他の治療手段があるにもかかわらず、インスリン療法が、2型糖尿病患者、特に最初の食事療法に失敗した肥満ではない患者、又は最初の食事療法と第二の経口血糖降下の両方に失敗した患者の治療選択肢に残っていることは注目すべきことである。しかし、インスリン療法は、それに加えて食事制限及び生活習慣改善の努力を続けなければならず、決してこれらの替わりに行われるものではないことも同様に明らかである。最適な結果をもたらすためには、インスリン療法に加えて、自己血糖測定とグリコシル化血漿タンパク質の適切な評価を行うべきである:インスリンは、1、2又は複数の、短時間作用型、中間型又は長時間作用型のインスリン、又は複数のタイプの混合といった様々な処方計画で投与されてよい。任意の患者に最適な処方計画は、個々の患者の反応を観察し、それに合わせてインスリン療法を調整しながら決定しなければならない。
2型糖尿病の治療に関する知識と実践の現状は決して満足の行くものではない。大半の患者は、時間の経過とともに最初の食事療法に失敗する。経口血糖降下薬は最初の食事療法が失敗した際の血糖値の低下に成功することがしばしばであるが、達成された血糖値の制御が、長期型2型糖尿病に関与するアテローム性疾患、神経障害、腎症、網膜症及び末梢血管の障害といった長期的合併症の発症を防ぐのに十分であるかということに関して疑問を抱く専門家は多い。この理由は、5.5ないし6.0mmol/Lの空腹時のプラズマグルコースにほぼ相当するわずかな耐糖能異常にさえも、心臓血管病によって死亡する高いリスクが伴う(Fuller等, Lancet, 1: 1373-1378 (1980))ことを認識すると理解できるだろう。インスリン療法が、経口血糖降下薬を用いる治療に長期的な成果の改善をもたらすかどうかも明らかではない。
2型糖尿病の治療に関する知識と実践の現状は決して満足の行くものではない。大半の患者は、時間の経過とともに最初の食事療法に失敗する。経口血糖降下薬は最初の食事療法が失敗した際の血糖値の低下に成功することがしばしばであるが、達成された血糖値の制御が、長期型2型糖尿病に関与するアテローム性疾患、神経障害、腎症、網膜症及び末梢血管の障害といった長期的合併症の発症を防ぐのに十分であるかということに関して疑問を抱く専門家は多い。この理由は、5.5ないし6.0mmol/Lの空腹時のプラズマグルコースにほぼ相当するわずかな耐糖能異常にさえも、心臓血管病によって死亡する高いリスクが伴う(Fuller等, Lancet, 1: 1373-1378 (1980))ことを認識すると理解できるだろう。インスリン療法が、経口血糖降下薬を用いる治療に長期的な成果の改善をもたらすかどうかも明らかではない。
高インスリン血症とは、通常よりも高いレベルのインスリンが体内を循環している状態であり、逆に低インスリン血症とは、通常よりも低いレベルのインスリンが体内を循環している状態である。高インスリン血症は冠状動脈バルーン血管形成後の再狭窄の危険因子である(Imazu等, Jpn Circ J., 65: 947-952 (2001))。さらに、高インスリン血症は高血圧と関連する(Imazu等, Hypertens Res., 24: 531-536 (2001))。例えば、高インスリン血症と止血異常は、高齢の高血圧対象体において脳の無症候性ラクナ梗塞と関連し、高インスリン血症は、本能性高血圧症における赤血球の膜流動性の決定因子である(Kario等, J. Am. Coll. Cardiol., 37: 871-877 (2001); Tsuda等, Am. J. Hypertens., 14: 419-423 (2001))。
肥満は、現代社会に広く蔓延する慢性疾患であり、社会的不名誉に関連するだけでなく、寿命の短縮、及び、有害な生理的発達、生殖疾患、例えば多嚢胞卵巣、皮膚疾患、例えば感染症、静脈瘤、黒色表皮腫、及び湿疹、運動不耐性症、インスリン抵抗症、高血圧、高脂血症、胆石症、変形性関節症、整形外科的障害、血栓疾患、癌、及び心臓冠状動脈疾患を含む多くの医学的課題と関連がある。Rissanen等, British Medical Journal, 301: 835-837 (1990)。肥満の治療は、食欲抑制剤及び減量誘導物質の使用と、食習慣の改善等を伴うが、インスリン抵抗性を患う患者と同様に、大半の肥満患者が時間の経過とともに最初の食事療法に失敗し、理想的な体重に到達できずにいる。
よって、インスリン抵抗性及び肥満の治療のためのより優れた方法が非常に有用とされることが理解されるであろう。特に、NIDDMを含むインスリン抵抗性を患う個体の診断及び治療で使用できる効果的な薬剤が必要とされる。また、上述したような社会における肥満の蔓延とそれに関連する深刻な結果を考慮すると、肥満のヒトの減量に潜在的に有用な治療薬は、ヒトの健康に非常に有効な作用をもたらすだろう。最後に、高インスリン血症、低インスリン血症の治療、及び筋肉の修復及び再生のための薬剤も必要とされる。
肥満は、現代社会に広く蔓延する慢性疾患であり、社会的不名誉に関連するだけでなく、寿命の短縮、及び、有害な生理的発達、生殖疾患、例えば多嚢胞卵巣、皮膚疾患、例えば感染症、静脈瘤、黒色表皮腫、及び湿疹、運動不耐性症、インスリン抵抗症、高血圧、高脂血症、胆石症、変形性関節症、整形外科的障害、血栓疾患、癌、及び心臓冠状動脈疾患を含む多くの医学的課題と関連がある。Rissanen等, British Medical Journal, 301: 835-837 (1990)。肥満の治療は、食欲抑制剤及び減量誘導物質の使用と、食習慣の改善等を伴うが、インスリン抵抗性を患う患者と同様に、大半の肥満患者が時間の経過とともに最初の食事療法に失敗し、理想的な体重に到達できずにいる。
よって、インスリン抵抗性及び肥満の治療のためのより優れた方法が非常に有用とされることが理解されるであろう。特に、NIDDMを含むインスリン抵抗性を患う個体の診断及び治療で使用できる効果的な薬剤が必要とされる。また、上述したような社会における肥満の蔓延とそれに関連する深刻な結果を考慮すると、肥満のヒトの減量に潜在的に有用な治療薬は、ヒトの健康に非常に有効な作用をもたらすだろう。最後に、高インスリン血症、低インスリン血症の治療、及び筋肉の修復及び再生のための薬剤も必要とされる。
したがって、ここでDkk−1に対するアンタゴニスト、例えば抗体は、例えば耐糖能異常、糖尿病、高血圧、及び大血管と小血管の虚血性疾患に関与するインスリン抵抗性の治療、及び低インスリン血症の治療に有用なものとして開示されている。さらに、ここでDkk−1そのものは、脂肪レベルの低下及び高インスリン血症の治療に有用なものとして開示されている。
特に、本発明の対象は請求項の通りである。哺乳動物におけるインスリン抵抗性又は低インスリン血症の治療方法であって、その必要のある哺乳動物にDkk−1に対するアンタゴニストの有効量を投与することを含む方法を提供する。好ましくは、哺乳動物はヒトであり、Dkk−1はヒトDkk−1であり、及び/又はヒトはNIDDMを有する。また全身投与が好ましい。アンタゴニストは、好適にはDkk−1に結合する抗体、より好ましくはDkk−1に結合するモノクローナル抗体、さらに好ましくはインスリン抵抗性又は低インスリン血症を来たすDkk−1活性を中和するものである。最も好ましいのは、ATCC寄託番号PTA−3086のハイブリドーマから調製されたモノクローナル抗体であり、これは中和抗体である。さらに好適な実施態様では、アンタゴニストに加えて別のインスリン抵抗性治療薬を投与してインスリン抵抗性疾患を治療し、あるいはアンタゴニストに加えてインスリンを投与して低インスリン血症を治療する。
本発明の別の実施態様では、哺乳動物におけるインスリン抵抗性又は低インスリン血症の存在又は発症を検出するための方法が提供される。当該方法は、次の:
(a)該哺乳動物由来の試料におけるDkk−1の量を測定する工程;及び
(b)工程(a)で測定された量と、標準試料中のDkk−1の量とを比較する工程
を含み、工程(a)でのDkk−1量が増大したレベルにあることによりインスリン抵抗性又は低インスリン血症が示される。
特に、本発明の対象は請求項の通りである。哺乳動物におけるインスリン抵抗性又は低インスリン血症の治療方法であって、その必要のある哺乳動物にDkk−1に対するアンタゴニストの有効量を投与することを含む方法を提供する。好ましくは、哺乳動物はヒトであり、Dkk−1はヒトDkk−1であり、及び/又はヒトはNIDDMを有する。また全身投与が好ましい。アンタゴニストは、好適にはDkk−1に結合する抗体、より好ましくはDkk−1に結合するモノクローナル抗体、さらに好ましくはインスリン抵抗性又は低インスリン血症を来たすDkk−1活性を中和するものである。最も好ましいのは、ATCC寄託番号PTA−3086のハイブリドーマから調製されたモノクローナル抗体であり、これは中和抗体である。さらに好適な実施態様では、アンタゴニストに加えて別のインスリン抵抗性治療薬を投与してインスリン抵抗性疾患を治療し、あるいはアンタゴニストに加えてインスリンを投与して低インスリン血症を治療する。
本発明の別の実施態様では、哺乳動物におけるインスリン抵抗性又は低インスリン血症の存在又は発症を検出するための方法が提供される。当該方法は、次の:
(a)該哺乳動物由来の試料におけるDkk−1の量を測定する工程;及び
(b)工程(a)で測定された量と、標準試料中のDkk−1の量とを比較する工程
を含み、工程(a)でのDkk−1量が増大したレベルにあることによりインスリン抵抗性又は低インスリン血症が示される。
好ましくは、測定は、免疫測定法で抗Dkk−1抗体、例えばモノクローナル抗体を使用して行われる。また、好適には、このような抗Dkk−1抗体は標識、より好ましくは蛍光標識、放射性標識、又は酵素標識、例えば生物発光標識又は化学発光標識を有する。また、好適には、免疫測定法は、放射免疫測定法、酵素結合免疫測定法、酵素免疫吸着測定法、サンドイッチ免疫測定法、沈降アッセイ、免疫放射性アッセイ、蛍光免疫測定法、プロテインA免疫測定法、又は免疫電気泳動アッセイである。また哺乳動物がヒトであり、ヒトDkk−1が測定される方法が好ましい。さらに好ましくは、インスリン抵抗性はNIDDMである。
さらなる実施態様において、本発明はインスリン抵抗性又は低インスリン血症を治療するためのキットであって、
(a)Dkk−1アンタゴニスト、好ましくはDkk−1と結合する抗体を含む容器;及び
(b)インスリン抵抗性又は低インスリン血症の治療にアンタゴニストを使用するための説明書
を含むキットを提供する。好ましい実施態様において、抗体はモノクローナル抗体であり、より好ましくはインスリン抵抗性又は低インスリン血症を来たすDkk−1活性を中和する抗体である。また別の好ましい実施態様では、キットは、徴候に応じてインスリン抵抗性治療薬又はインスリンを含む容器をさらに含む。
さらなる実施態様において、本発明はインスリン抵抗性又は低インスリン血症を治療するためのキットであって、
(a)Dkk−1アンタゴニスト、好ましくはDkk−1と結合する抗体を含む容器;及び
(b)インスリン抵抗性又は低インスリン血症の治療にアンタゴニストを使用するための説明書
を含むキットを提供する。好ましい実施態様において、抗体はモノクローナル抗体であり、より好ましくはインスリン抵抗性又は低インスリン血症を来たすDkk−1活性を中和する抗体である。また別の好ましい実施態様では、キットは、徴候に応じてインスリン抵抗性治療薬又はインスリンを含む容器をさらに含む。
さらに、アジュバントで希釈したタグ付Dkk−1(好ましくは精製組換えポリヒスチジンタグ付ヒトDkk−1)でマウスを過免疫化し、抗Dkk−1抗体力価(好ましくは高力価)を有するマウス由来B細胞とマウスミエローマ細胞とを融合させて上清を得、該上清を回収し、回収した上清を好ましくは直接酵素免疫吸着測定法により抗体産生についてスクリーニングし、好ましくは限界希釈法による2回目のサブクローニング後に最も高い免疫結合を示すポジティブクローンをモノクローナル抗体のインビボ産生のために初回刺激を受けたマウスに注入し、マウスから腹水をプールし、好ましくはプロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより腹水のプールを精製して抗体製剤を生成することによって調製された、モノクローナル抗体製剤が提供される。
本発明はさらに、ATCC寄託番号PTA−3084、PTA−3085、PTA−3086、PTA−3087、PTA−3088、PTA−3089及びPTA−3097からなる群から選択されるハイブリドーマを提供する。好ましいハイブリドーマはATCC寄託番号PTA−3086である。また、上記のハイブリドーマ、好ましくはPTA−3086から調製された抗体も提供される。
本発明はさらに、候補医薬剤がインスリン抵抗性、低インスリン血症又は筋肉修復に与える影響を評価する方法であって、dkk−1核酸を過剰発現するヒト以外のトランスジェニック動物への薬剤の投与、及び該動物の血液からのグルコースクリアランス、該動物の循環インスリンレベル、筋肉分化のそれぞれにおける薬剤の影響の測定を含む方法を提供する。好ましくは、動物は齧歯類、より好ましくはマウス又はラット、最も好ましくはマウスである。また他の好適な実施態様では、動物によって過剰発現されるdkk−1核酸が筋肉特異的プロモーターの制御下にあり、cDNAが筋肉組織で過剰発現する。
本発明はさらに、ATCC寄託番号PTA−3084、PTA−3085、PTA−3086、PTA−3087、PTA−3088、PTA−3089及びPTA−3097からなる群から選択されるハイブリドーマを提供する。好ましいハイブリドーマはATCC寄託番号PTA−3086である。また、上記のハイブリドーマ、好ましくはPTA−3086から調製された抗体も提供される。
本発明はさらに、候補医薬剤がインスリン抵抗性、低インスリン血症又は筋肉修復に与える影響を評価する方法であって、dkk−1核酸を過剰発現するヒト以外のトランスジェニック動物への薬剤の投与、及び該動物の血液からのグルコースクリアランス、該動物の循環インスリンレベル、筋肉分化のそれぞれにおける薬剤の影響の測定を含む方法を提供する。好ましくは、動物は齧歯類、より好ましくはマウス又はラット、最も好ましくはマウスである。また他の好適な実施態様では、動物によって過剰発現されるdkk−1核酸が筋肉特異的プロモーターの制御下にあり、cDNAが筋肉組織で過剰発現する。
さらなる実施態様において、本発明はインスリン抵抗性、低インスリン血症、高インスリン血症又は肥満の存在又は発症を検出するための診断キットであって、
(a)Dkk−1に結合する抗体を含む容器と;
(b)Dkk−1を含有する標準試料を含む容器と;
(c)インスリン抵抗性、低インスリン血症、高インスリン血症又は肥満の検出に抗体と標準試料を使用するための説明書
を含み、Dkk−1に結合する抗体が検出可能に標識されているか、あるいはキットがDkk−1又はDkk−1結合抗体に結合する検出可能に標識された第2抗体を含む別の容器をさらに含むキットを提供する。好ましくは、キットの抗Dkk−1抗体はモノクローナル抗体、より好ましくはインスリン抵抗性、高インスリン血症、低インスリン血症又は肥満を来たすDkk−1活性を中和する抗体である。
他の実施態様において、本発明は、哺乳動物の肥満又は高インスリン血症を治療する方法であって、その必要がある哺乳動物に有効量のDkk−1を投与することを含む方法を提供する。好ましくは、哺乳動物はヒトであり、Dkk−1はヒトDkk−1である。また好ましくは、投与は全身性である。また別の実施態様では、該方法は有効量の減量薬の投与をさらに含む。
さらなる側面では、本発明は、哺乳動物の肥満又は高インスリン血症の存在又は発症を検出する方法を提供し、該方法は:
(a)哺乳動物由来の試料におけるDkk−1の量を測定する工程;及び
(b)工程(a)で測定された量と、標準試料中のDkk−1量とを比較する工程
を含み、工程(a)でのDkk−1量が減少したレベルであることにより肥満又は高インスリン血症を示す。
好ましくは、測定は、免疫測定法で抗Dkk−1抗体を使用して行われる。また、好適には、このような抗Dkk−1抗体は標識を有する。好ましい標識及び免疫測定法は、インスリン抵抗性又は低インスリン血症の存在又は発症の検出に関して上述したものである。さらに、肥満又は高インスリン血症を検出する該方法では、哺乳動物はヒトであり、ヒトDkk−1が測定されることが好ましい。
(a)Dkk−1に結合する抗体を含む容器と;
(b)Dkk−1を含有する標準試料を含む容器と;
(c)インスリン抵抗性、低インスリン血症、高インスリン血症又は肥満の検出に抗体と標準試料を使用するための説明書
を含み、Dkk−1に結合する抗体が検出可能に標識されているか、あるいはキットがDkk−1又はDkk−1結合抗体に結合する検出可能に標識された第2抗体を含む別の容器をさらに含むキットを提供する。好ましくは、キットの抗Dkk−1抗体はモノクローナル抗体、より好ましくはインスリン抵抗性、高インスリン血症、低インスリン血症又は肥満を来たすDkk−1活性を中和する抗体である。
他の実施態様において、本発明は、哺乳動物の肥満又は高インスリン血症を治療する方法であって、その必要がある哺乳動物に有効量のDkk−1を投与することを含む方法を提供する。好ましくは、哺乳動物はヒトであり、Dkk−1はヒトDkk−1である。また好ましくは、投与は全身性である。また別の実施態様では、該方法は有効量の減量薬の投与をさらに含む。
さらなる側面では、本発明は、哺乳動物の肥満又は高インスリン血症の存在又は発症を検出する方法を提供し、該方法は:
(a)哺乳動物由来の試料におけるDkk−1の量を測定する工程;及び
(b)工程(a)で測定された量と、標準試料中のDkk−1量とを比較する工程
を含み、工程(a)でのDkk−1量が減少したレベルであることにより肥満又は高インスリン血症を示す。
好ましくは、測定は、免疫測定法で抗Dkk−1抗体を使用して行われる。また、好適には、このような抗Dkk−1抗体は標識を有する。好ましい標識及び免疫測定法は、インスリン抵抗性又は低インスリン血症の存在又は発症の検出に関して上述したものである。さらに、肥満又は高インスリン血症を検出する該方法では、哺乳動物はヒトであり、ヒトDkk−1が測定されることが好ましい。
さらに別の実施態様において、本発明は、肥満又は高インスリン血症の治療用キットであって、
(a)Dkk−1を含む容器と;
(b)肥満又は高インスリン血症の治療にDkk−1を使用するための説明書
を含むキットを提供する。好適な実施態様では、キットのDkk−1はヒトDkk−1であり、該キットは減量薬を含む容器をさらに含む。
本発明はさらに、候補医薬剤が肥満又は高インスリン血症に与える影響を評価する方法であって、dkk−1核酸を発現するヒト以外のバイナリートランスジェニック動物への薬剤の投与、及び薬剤が前記動物の肥満決定因子又はインスリンレベルに与える影響の測定を含む方法を提供する。好ましくは、動物は齧歯類、より好ましくはマウス又はラット、最も好ましくはマウスである。
本発明はまた、dkk−1核酸を過剰発現するヒト以外のトランスジェニック動物を提供する。好ましくは、該動物は齧歯類、最も好ましくはマウスである。
本発明はまた、有効量のDkk−1アンタゴニスト、好ましくはDkk−1に結合する抗体を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の筋肉を修復又は再生する方法を提供する。好ましくは、該哺乳動物はヒトであり、及び/又は該抗体はモノクローナル抗体である。
本発明はさらに、筋肉の修復又は再生用のキットに関し、該キットは:
(a)Dkk−1アンタゴニスト、好ましくはDkk−1と結合する抗体を含む容器と;
(b)哺乳動物の筋肉の修復又は再生にアンタゴニストを使用するための説明書
を備える。
このように、本発明はインスリン抵抗性、高インスリン血症、低インスリン血症及び肥満の治療及び診断と、筋肉の修復又は再生のために提供される。Dkk−1を用いる肥満治療法は、長期間にわたって減少した体重を維持することが期待される肥満療法として、及び/又は肥満の予防として、肥満した対象の体重を標準の理想的な体重に戻すのに有用であると期待される。
(a)Dkk−1を含む容器と;
(b)肥満又は高インスリン血症の治療にDkk−1を使用するための説明書
を含むキットを提供する。好適な実施態様では、キットのDkk−1はヒトDkk−1であり、該キットは減量薬を含む容器をさらに含む。
本発明はさらに、候補医薬剤が肥満又は高インスリン血症に与える影響を評価する方法であって、dkk−1核酸を発現するヒト以外のバイナリートランスジェニック動物への薬剤の投与、及び薬剤が前記動物の肥満決定因子又はインスリンレベルに与える影響の測定を含む方法を提供する。好ましくは、動物は齧歯類、より好ましくはマウス又はラット、最も好ましくはマウスである。
本発明はまた、dkk−1核酸を過剰発現するヒト以外のトランスジェニック動物を提供する。好ましくは、該動物は齧歯類、最も好ましくはマウスである。
本発明はまた、有効量のDkk−1アンタゴニスト、好ましくはDkk−1に結合する抗体を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の筋肉を修復又は再生する方法を提供する。好ましくは、該哺乳動物はヒトであり、及び/又は該抗体はモノクローナル抗体である。
本発明はさらに、筋肉の修復又は再生用のキットに関し、該キットは:
(a)Dkk−1アンタゴニスト、好ましくはDkk−1と結合する抗体を含む容器と;
(b)哺乳動物の筋肉の修復又は再生にアンタゴニストを使用するための説明書
を備える。
このように、本発明はインスリン抵抗性、高インスリン血症、低インスリン血症及び肥満の治療及び診断と、筋肉の修復又は再生のために提供される。Dkk−1を用いる肥満治療法は、長期間にわたって減少した体重を維持することが期待される肥満療法として、及び/又は肥満の予防として、肥満した対象の体重を標準の理想的な体重に戻すのに有用であると期待される。
定義
「インスリン抵抗性」又は「インスリン抵抗性疾患」又は「インスリン抵抗性活性」とは、外因性インスリンの作用に対する末梢組織の正常代謝反応の欠陥(非感受性)から生じる疾患、症状、又は障害であり、つまり、インスリンの存在が正常以下の生体反応を引き起こす状態である。臨床用語で、インスリン抵抗性は、インスリン値が正常である又は高いにもかかわらず正常又は高血糖レベルが持続する場合に使われる。これは、本質的に、グリコーゲン合成の阻害を示し、それによって基礎又はインスリン刺激性のグリコーゲン合成のいずれか、あるいは双方が正常レベル以下に減少する。ここで使用するインスリン抵抗性は、異常グルコース耐性、A型糖尿病及び2型糖尿病を含むが、インスリン抵抗性との関連性がない肥満は含まない。
「低インスリン血症」とは、体内を循環するインスリンの正常量よりも低い状態であり、一般的には肥満に関係していない。この状態は1型糖尿病を含む。
「糖尿病」はインスリン抵抗性及び低インスリン血症に包含され、慢性高血糖症状態、つまりインスリン活性の相対的又は絶対的欠乏により血中糖が過剰な状態を指す。糖尿病には基本的に、1型又はインスリン依存性糖尿病(IDDM)と、2型又はインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)と、A型インスリン抵抗性の、3つのタイプがあるが、A型は比較的珍しい。1型又は2型糖尿病を患う患者は、様々な機序を経て外因性インスリンのの影響に対し非感受性となりうる。A型のインスリン抵抗性は、インスリン受容体遺伝子の突然変異、又はグルコース代謝に重要な活性の後受容体部位における異常によるものである。医師は糖尿病の対象を容易に認知することができ、空腹時高血糖症、グルコース耐性の低下、グリコシル化ヘモグロビン、及び場合によっては外傷又は病気に関連するケトアシドーシスを特徴とする。
「インスリン抵抗性」又は「インスリン抵抗性疾患」又は「インスリン抵抗性活性」とは、外因性インスリンの作用に対する末梢組織の正常代謝反応の欠陥(非感受性)から生じる疾患、症状、又は障害であり、つまり、インスリンの存在が正常以下の生体反応を引き起こす状態である。臨床用語で、インスリン抵抗性は、インスリン値が正常である又は高いにもかかわらず正常又は高血糖レベルが持続する場合に使われる。これは、本質的に、グリコーゲン合成の阻害を示し、それによって基礎又はインスリン刺激性のグリコーゲン合成のいずれか、あるいは双方が正常レベル以下に減少する。ここで使用するインスリン抵抗性は、異常グルコース耐性、A型糖尿病及び2型糖尿病を含むが、インスリン抵抗性との関連性がない肥満は含まない。
「低インスリン血症」とは、体内を循環するインスリンの正常量よりも低い状態であり、一般的には肥満に関係していない。この状態は1型糖尿病を含む。
「糖尿病」はインスリン抵抗性及び低インスリン血症に包含され、慢性高血糖症状態、つまりインスリン活性の相対的又は絶対的欠乏により血中糖が過剰な状態を指す。糖尿病には基本的に、1型又はインスリン依存性糖尿病(IDDM)と、2型又はインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)と、A型インスリン抵抗性の、3つのタイプがあるが、A型は比較的珍しい。1型又は2型糖尿病を患う患者は、様々な機序を経て外因性インスリンのの影響に対し非感受性となりうる。A型のインスリン抵抗性は、インスリン受容体遺伝子の突然変異、又はグルコース代謝に重要な活性の後受容体部位における異常によるものである。医師は糖尿病の対象を容易に認知することができ、空腹時高血糖症、グルコース耐性の低下、グリコシル化ヘモグロビン、及び場合によっては外傷又は病気に関連するケトアシドーシスを特徴とする。
「インスリン非依存性糖尿病」又は「NIDDM」とは2型糖尿病を指す。NIDDM患者は、空腹時の異常な高血糖濃度と、食事後又はグルコース耐性検査として知られる診断検査後の細胞へのグルコース摂取の遅れが見られる。NIDDMは、認められている基準(アメリカ糖尿病協会、Physician's Guide to Insulin-Dependent (Type I) Diabetes, 1988;アメリカ糖尿病協会、Physician's Guide to Non-Insulin-Dependent (Type II) Diabetes, 1988)に基づいて診断される。
ここで使用される「高インスリン血症」とは、体内を循環するインスリンの正常量よりも高い状態を意図し、インスリン抵抗性に関与せず、インスリン抵抗性によって生じるものではない。
ここで使用される「肥満」は、体重(kg)をメートルで表した身長の2乗で割ることで計算する、哺乳動物の体重指数(BMI)の少なくとも25.9の状態に相当する。通常は、平均的な体重のヒトは、19.9から25.9未満のBMIである。ここでの肥満とは、遺伝的又は環境的な原因であろうと、すべての原因に起因しうる。結果として肥満となりうる、又は肥満の原因となりうる疾患の例としては、食べ過ぎ及び過食症、多嚢胞性卵巣症候群、頭蓋咽頭腫、プラダー・ウィリー症候群、フレーリッヒ症候群、GH欠乏患者、正常範囲内の低身長変異、ターナー症候群、並びに、例えば急性リンパ性白血病の子供など、代謝活性の低下や全無脂肪量のパーセントとしての安静時エネルギー消費量の低下を示す他の生理学的症状を含む。「肥満決定因子」とは、脂肪細胞及び組織、例えば脂肪体(fat-pads)、全体重、筋肉、肝臓及び脂肪のトリグリセリドレベル、レプチンの空腹時及び非空腹時レベル、並びに血液中の遊離脂肪酸及びトリグリセリドのレベルを含む。
ここで使用される「高インスリン血症」とは、体内を循環するインスリンの正常量よりも高い状態を意図し、インスリン抵抗性に関与せず、インスリン抵抗性によって生じるものではない。
ここで使用される「肥満」は、体重(kg)をメートルで表した身長の2乗で割ることで計算する、哺乳動物の体重指数(BMI)の少なくとも25.9の状態に相当する。通常は、平均的な体重のヒトは、19.9から25.9未満のBMIである。ここでの肥満とは、遺伝的又は環境的な原因であろうと、すべての原因に起因しうる。結果として肥満となりうる、又は肥満の原因となりうる疾患の例としては、食べ過ぎ及び過食症、多嚢胞性卵巣症候群、頭蓋咽頭腫、プラダー・ウィリー症候群、フレーリッヒ症候群、GH欠乏患者、正常範囲内の低身長変異、ターナー症候群、並びに、例えば急性リンパ性白血病の子供など、代謝活性の低下や全無脂肪量のパーセントとしての安静時エネルギー消費量の低下を示す他の生理学的症状を含む。「肥満決定因子」とは、脂肪細胞及び組織、例えば脂肪体(fat-pads)、全体重、筋肉、肝臓及び脂肪のトリグリセリドレベル、レプチンの空腹時及び非空腹時レベル、並びに血液中の遊離脂肪酸及びトリグリセリドのレベルを含む。
「修復」又は「再生」した筋肉とは、如何にして生じようともそのあらゆる外傷、変性、及び/又は消耗の後に、少なくとも部分的に元のより健康な状態及び/又は機能にまで治癒又は回復させた筋組織を意図する。
治療の目的のための「哺乳動物」は、限定するものではないが、ヒト、家庭及び農業用動物、及び動物園、スポーツ用、又はペット用動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、及びサルなどの非ヒト霊長類などを含む哺乳動物に分類される任意の動物を称する。好ましくは、哺乳動物はヒトであり、ここでは患者とも呼ばれる。
ここで使用される「治療」とは、インスリン抵抗性、高インスリン血症、低インスリン血症、又は肥満に対処するための哺乳動物の管理及び手当を述べたものであり、インスリン抵抗性、高インスリン血症、低インスリン血症、又は肥満を排除する、その症状又は合併症を緩和する、あるいはその症状又は合併症の発生を予防するための、あるいは筋肉の修復及び/又は再生のための投薬を含む。
本発明の目的において、有利な又は望ましい臨床的な「治療」は、これらに限定するものではないが、インスリン抵抗性に関する症状の緩和、インスリン抵抗性の症状の範囲の減少、インスリン抵抗性の症状の安定化(つまり、悪化させない)(例えば、インスリン要求の低下)、インスリン感受性の増大及び/又は島細胞の不全予防のためのインスリン分泌、並びにインスリン抵抗性の進行、例えば糖尿病の進行の遅延又は緩徐化を含む、インスリン抵抗性の低減をもたらす。
治療の目的のための「哺乳動物」は、限定するものではないが、ヒト、家庭及び農業用動物、及び動物園、スポーツ用、又はペット用動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、及びサルなどの非ヒト霊長類などを含む哺乳動物に分類される任意の動物を称する。好ましくは、哺乳動物はヒトであり、ここでは患者とも呼ばれる。
ここで使用される「治療」とは、インスリン抵抗性、高インスリン血症、低インスリン血症、又は肥満に対処するための哺乳動物の管理及び手当を述べたものであり、インスリン抵抗性、高インスリン血症、低インスリン血症、又は肥満を排除する、その症状又は合併症を緩和する、あるいはその症状又は合併症の発生を予防するための、あるいは筋肉の修復及び/又は再生のための投薬を含む。
本発明の目的において、有利な又は望ましい臨床的な「治療」は、これらに限定するものではないが、インスリン抵抗性に関する症状の緩和、インスリン抵抗性の症状の範囲の減少、インスリン抵抗性の症状の安定化(つまり、悪化させない)(例えば、インスリン要求の低下)、インスリン感受性の増大及び/又は島細胞の不全予防のためのインスリン分泌、並びにインスリン抵抗性の進行、例えば糖尿病の進行の遅延又は緩徐化を含む、インスリン抵抗性の低減をもたらす。
「治療」されるべき糖尿病の症状及び合併症は、高血糖、不満足な血糖症の制御、ケトアシドーシス、インスリン抵抗性、成長ホルモンレベルの上昇、グリコシル化ヘモグロビンレベルの上昇及び糖化最終産物(AGE)、暁現象、不満足な脂質プロフィール、血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症)、毛細血管疾患、網膜障害(例えば、増殖性糖尿病性網膜症)、腎障害、神経障害、妊娠合併症(例えば、未熟及び奇形児)などを含む。治療の定義に含まれるものは、例えば、インスリン感受性の増大、糖血症制御を維持している間のインスリン投与の減少、HbA1cの低減、糖血症制御の改善、血管、腎臓、神経、網膜及び他の糖尿病性合併症の低減、「暁現象」の予防又は低減、脂質プロフィールの改善、妊娠合併症の低減、ケトアシドーシスの低減に至るようなものである。当該分野の技術者に理解されるように、本発明に従って治療される特定の症状は、治療されるインスリン抵抗性のタイプによって異なりうる。
筋肉の修復及び再生の関しては、「治療」は、筋肉の萎縮又は外傷又は変性の軽減、並びに筋組織の修復及び/又は機能における改善に関する。
高インスリン血症又は低インスリン血症についてそれぞれ、「治療」とは、哺乳動物がその状態になる前の体における通常のレベルとされる、適切な又は正常なレベルにまで循環インスリンのレベルを低く又は高くすることをいう。
筋肉の修復及び再生の関しては、「治療」は、筋肉の萎縮又は外傷又は変性の軽減、並びに筋組織の修復及び/又は機能における改善に関する。
高インスリン血症又は低インスリン血症についてそれぞれ、「治療」とは、哺乳動物がその状態になる前の体における通常のレベルとされる、適切な又は正常なレベルにまで循環インスリンのレベルを低く又は高くすることをいう。
肥満について、「治療」とは、一般的に哺乳動物のBMIを約25.9未満に下げ、少なくとも6ヶ月間体重を維持することをいう。治療は、哺乳動物による食物又はカロリー摂取の低減を適切に生じる。さらに、この関係における治療とは、肥満状態になる前に治療が導入された場合、肥満の発生を予防することを意図する。治療は、肥満哺乳動物における脂肪生成、つまりヒト及び動物の肥満の主な特徴の1つである脂肪細胞の脂質の過度な蓄積を抑制する及び/又はそれらを完全に抑制すること、並びに全体重の低下を含む。
「治療の必要がある」ものとは、疾患を既に有する哺乳動物、並びに疾患になりやすいものを含み、疾患が抑制されるべきものも含む。
「インスリン抵抗性治療薬」とは、例えば低血糖の薬剤のようなインスリン抵抗性の治療に用いられるDkk−1アンタゴニスト以外の薬剤である。このような治療薬の例には、インスリン(一以上の種々のインスリン);小分子インスリン等のインスリン模倣薬、例えば、L-783,281;インスリン類似薬(例えば、HUMALOG(登録商標)インスリン(Eli Lilly Co.)、LysB28インスリン、ProB29インスリン、又はArpB28インスリンあるいは例えば米国特許第5,149,777号及び5,514,646号に記載されているようなもの)、又はその生理学的に活性な断片;インスリン関連ペプチド(Cペプチド、GLP−1、インスリン様成長因子−I(IGF−1)、又はIGF−1/IGFBP−3複合体)又はその類似物又は断片;エルゴセット(ergoset);プラムリンチド(pramlintide);レプチン;BAY-27-9955;T−1095;インスリン受容体チロシンキナーゼ阻害物質に対するアンタゴニスト;TNF−α機能に対するアンタゴニスト;成長ホルモン放出剤;アミリン又はアミリンに対する抗体;グリタゾンファミリーの化合物等のインスリン増感剤、例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、及び関連化合物等の米国特許第5,753,681号に記載されるもの;単独で又はビタミンEと共に用いるリナロール(Linalol)(米国特許第6,187,333号);インスリン分泌促進剤、例えばナテグリニド(AY−4166)、カルシウム(2S)-2-ベンジル-3-(cis-ヘキサヒドロ-2-イソインドリニルカルボキシル)プロピオン酸二水和物(ミチグリニド、KAD−1229)、及びレパグリニド;スルホニル尿素剤、例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トラザミド、トルブタミド、グリクロピラミド及びそのアンモニウム塩、グリベンクラミド、グリボンウライド(glibornuride)、グリクラジド、1-ブチル-3-メタニリルウレア、カルブタミド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド(glisoxepid)、グリブチアゾル(glybutiazole)、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、フェンブタミド(phenbutamode)、トルシクラミド(tolcyclamide)、グリメピリドなど;ビグアナイド類(例えば、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミンなど);α-グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース、ボグリボース、ミグリトール、エミグリテートなど)、及び膵臓移植や自己免疫試薬のような非典型的治療を含む。
「治療の必要がある」ものとは、疾患を既に有する哺乳動物、並びに疾患になりやすいものを含み、疾患が抑制されるべきものも含む。
「インスリン抵抗性治療薬」とは、例えば低血糖の薬剤のようなインスリン抵抗性の治療に用いられるDkk−1アンタゴニスト以外の薬剤である。このような治療薬の例には、インスリン(一以上の種々のインスリン);小分子インスリン等のインスリン模倣薬、例えば、L-783,281;インスリン類似薬(例えば、HUMALOG(登録商標)インスリン(Eli Lilly Co.)、LysB28インスリン、ProB29インスリン、又はArpB28インスリンあるいは例えば米国特許第5,149,777号及び5,514,646号に記載されているようなもの)、又はその生理学的に活性な断片;インスリン関連ペプチド(Cペプチド、GLP−1、インスリン様成長因子−I(IGF−1)、又はIGF−1/IGFBP−3複合体)又はその類似物又は断片;エルゴセット(ergoset);プラムリンチド(pramlintide);レプチン;BAY-27-9955;T−1095;インスリン受容体チロシンキナーゼ阻害物質に対するアンタゴニスト;TNF−α機能に対するアンタゴニスト;成長ホルモン放出剤;アミリン又はアミリンに対する抗体;グリタゾンファミリーの化合物等のインスリン増感剤、例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、及び関連化合物等の米国特許第5,753,681号に記載されるもの;単独で又はビタミンEと共に用いるリナロール(Linalol)(米国特許第6,187,333号);インスリン分泌促進剤、例えばナテグリニド(AY−4166)、カルシウム(2S)-2-ベンジル-3-(cis-ヘキサヒドロ-2-イソインドリニルカルボキシル)プロピオン酸二水和物(ミチグリニド、KAD−1229)、及びレパグリニド;スルホニル尿素剤、例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トラザミド、トルブタミド、グリクロピラミド及びそのアンモニウム塩、グリベンクラミド、グリボンウライド(glibornuride)、グリクラジド、1-ブチル-3-メタニリルウレア、カルブタミド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド(glisoxepid)、グリブチアゾル(glybutiazole)、グリブゾール、グリヘキサミド、グリミジン、グリピナミド、フェンブタミド(phenbutamode)、トルシクラミド(tolcyclamide)、グリメピリドなど;ビグアナイド類(例えば、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミンなど);α-グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース、ボグリボース、ミグリトール、エミグリテートなど)、及び膵臓移植や自己免疫試薬のような非典型的治療を含む。
「減量薬」とは、肥満の治療又は予防に有用な分子を意図する。このような分子には、例えば、ホルモン(カテコールアミン、グルカゴン、ACTH、及びIG−1と併用の成長ホルモン);Obタンパク質;クロフィブラート;ハロゲナート(halogenate);シンコカイン;クロルプロマジン;マジンドール及びフェネチルアミンの誘導体のようなノルアドレナリン作動性神経伝達物質に作用する食欲抑制薬、例えばフェニルプロパノールアミン、ジエチルプロピオン、フェンテルミン、フェンジメトラジン、ベンズフェタミン、アンフェタミン、メタンフェタミン、及びフェンメトラジン;フェンフルタミン、トリプトファン、5-ヒドロキシトリプトファン、フルオキセチン、及びセルトラリン等のセロトニン神経伝達物質に作用する薬剤;ナロキソン、ニューロペプチド-Y、ガラニン、コルチコトロピン関連ホルモン、及びコレシストキニン等の中枢作用薬;ピリドスチグミン等のコリン作動性アゴニスト;リゾスフィンゴ脂質又はその誘導体等のスフィンゴ脂質;甲状腺ホルモン等の発熱性薬剤;エフェドリン;β-アドレナリン作動薬;酵素阻害剤等の消化管に影響する薬剤、例えばテトラヒドロリポスタチン、スクロースポリエステルのような消化の悪い食物、及びスレオ-塩化クエン酸又はその誘導体等の胃排出阻害剤;イソプロテレノール及びヨヒンビン等のβ-アドレナリン作動薬;クロニチジン単独又は成長ホルモン放出ペプチドと組み合わせたα2-アドレナリン阻害剤、ヨヒンビンのβ-アドレナリン様効果を増大させるアミノフィリン;メトホルミン及びフェンホルミン等のビグアナイド類のような腸管吸収を妨げる薬剤;メチルセルロース等の増量剤;ヒドロキシクエン酸などの代謝阻害剤;プロゲステロン;コレシストキニンアゴニスト;ケト酸を模倣する小分子;コルチコトロピン放出ホルモンへの作用薬;体脂肪蓄積を減少させる麦角関連プロラクチン阻害性化合物(1988年11月8日公開の米国特許第4,783,469号);β-3-アゴニスト;ブロモクリプチン;オピオイドペプチドに対するアンタゴニスト;ニューロペプチドYに対するアンタゴニスト;糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト;成長ホルモンアゴニスト;それらの組合せ等を含む。
ここでの使用として、「インスリン」とは、インスリン活性を有するあらゆる全ての物質を意図し、例えば、ウシ又はブタの膵臓から抽出される動物インスリン、ブタ膵臓から抽出されるインスリンから酵素的に合成される半合成ヒトインスリン、及び通常はヒト大腸菌又は酵母を用いて遺伝子工学の技術によって合成されるヒトインスリンなどが例示される。さらに、インスリンは、約0.45〜0.9(w/w)%の亜鉛を含有するインスリン−亜鉛複合体、塩化亜鉛、硫酸プロタミン及びインスリンなどから生成されるプロタミン−インスリン−亜鉛を包含しうる。インスリンはその断片又は誘導体、例えばINS−1の形態であってもよい。また、インスリンはL83281及びインスリンアゴニスト等のインスリン様物質を含む。インスリンは超即時作用型、即時作用型、二峰性作用型、中間作用型、長時間作用型などの様々な型で利用可能であるが、これらの型は患者の状態に応じて適切に選択されうる。
ここでの使用として、「Dkk−1」又は「Dickkopf-1」は、1999年9月16日に公開のWO99/46281及びGlinka等, Nature, 391:357-62 (1998)に記載される性質及び特徴を有するWnt阻害物質を指す。WO99/46281において、ヒトDkk−1はPRO1008と称され、それをコードするDNAはDNA57530と称される。本発明では、あらゆる哺乳動物種の天然配列Dkk−1、例えば齧歯類、ヒツジ、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、非ヒト霊長類、及びヒトDkk−1、特にヒトDkk−1が考慮される。また、あらゆる哺乳動物種の天然配列Dkk−1に対するアンタゴニストも考慮されるが、好ましくは齧歯類、ヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ウマ、非ヒト霊長類、又はヒトDkk−1に対するアンタゴニスト、より好ましくはヒトDkk−1に対するアンタゴニストが考慮される。
ここで使用される「治療用組成物」とは、Dkk−1又はDkk−1アンタゴニスト及び製薬的に許容される担体、例えば、水、ミネラル、タンパク質、及び当業者に既知の他の賦形剤を含むものとして定義される。
ここでの使用として、「Dkk−1」又は「Dickkopf-1」は、1999年9月16日に公開のWO99/46281及びGlinka等, Nature, 391:357-62 (1998)に記載される性質及び特徴を有するWnt阻害物質を指す。WO99/46281において、ヒトDkk−1はPRO1008と称され、それをコードするDNAはDNA57530と称される。本発明では、あらゆる哺乳動物種の天然配列Dkk−1、例えば齧歯類、ヒツジ、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、非ヒト霊長類、及びヒトDkk−1、特にヒトDkk−1が考慮される。また、あらゆる哺乳動物種の天然配列Dkk−1に対するアンタゴニストも考慮されるが、好ましくは齧歯類、ヒツジ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ウマ、非ヒト霊長類、又はヒトDkk−1に対するアンタゴニスト、より好ましくはヒトDkk−1に対するアンタゴニストが考慮される。
ここで使用される「治療用組成物」とは、Dkk−1又はDkk−1アンタゴニスト及び製薬的に許容される担体、例えば、水、ミネラル、タンパク質、及び当業者に既知の他の賦形剤を含むものとして定義される。
本発明の範囲内にある「アンタゴニスト」、「Dkk−1に対するアンタゴニスト」などの表現は、Dkk−1と相互作用して、処理される徴候によるがいかなる手段によってもその機能を妨害あるいはDkk−1の関連性の活性を阻害又は中和するあらゆる分子を含むものとして意図される。Dkk−1とその一以上の受容体との間の相互作用を抑制しうる。このような物質は様々な経路でこの作用を達成する。例えば、Dkk−1活性を「中和する」アンタゴニストの種類は、以下に記載するようにDkk−1に十分な親和性で特異的に結合してDkk−1を妨げうる。Dkk−1に「結合する」抗体は、Dkk−1を発現する細胞の標的化において治療剤として抗体を利用することができる程度に十分な親和性をもって抗原結合能力を有するものである。
この群のアンタゴニストに含まれるものは、例えば、Dkk−1又はDkk−1反応性のその部分に対する抗体、Dkk−1受容体又はDkk−1反応性のその部分、あるいはDkk−1に結合するあらゆる他のリガンドである。また、その用語は、dkk−1mRNA又はDkk−1タンパク質の過剰生産を妨げうる、あるいは少なくともDkk−1受容体においてアンタゴナイズするあらゆる物質を含む。このようなアンタゴニストは、治療剤の血清半減期を増加させるための、又は異種間許容性を与えるための担体タンパク質と薬剤の機能の組み合わせに利用される、キメラ雑種の形態であってもよい。従って、このようなアンタゴニストの例には、生物有機分子(例えば、ペプチド模倣体)、抗体、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、糖ペプチド、糖脂質、多糖類、小糖類、核酸、薬品及びその代謝生成物、転写翻訳調節配列などを含む。好ましい実施態様では、アンタゴニストは、Dkk−1に結合するという所望の性質を有し、受容体との相互作用を抑制する抗体である。
この群のアンタゴニストに含まれるものは、例えば、Dkk−1又はDkk−1反応性のその部分に対する抗体、Dkk−1受容体又はDkk−1反応性のその部分、あるいはDkk−1に結合するあらゆる他のリガンドである。また、その用語は、dkk−1mRNA又はDkk−1タンパク質の過剰生産を妨げうる、あるいは少なくともDkk−1受容体においてアンタゴナイズするあらゆる物質を含む。このようなアンタゴニストは、治療剤の血清半減期を増加させるための、又は異種間許容性を与えるための担体タンパク質と薬剤の機能の組み合わせに利用される、キメラ雑種の形態であってもよい。従って、このようなアンタゴニストの例には、生物有機分子(例えば、ペプチド模倣体)、抗体、タンパク質、ペプチド、糖タンパク質、糖ペプチド、糖脂質、多糖類、小糖類、核酸、薬品及びその代謝生成物、転写翻訳調節配列などを含む。好ましい実施態様では、アンタゴニストは、Dkk−1に結合するという所望の性質を有し、受容体との相互作用を抑制する抗体である。
用語「中和」及び「活性の中和」は、ここであらゆる機構によって、例えば阻害する、抑制する、減少する、その活性に対抗する、あるいはDkk−1を無効にすることを意図して使用される。従って、アンタゴニストはDkk−1の活性化に必要な結合現象を抑制しうる。「中和抗体」とは、Dkk−1のエフェクター機能を阻害又は有意に減少させる能力があるとここで定義されているような抗体分子を意図する。例えば、抗体の中和はDkk−1受容体と相互作用するDkk−1の能力を阻害又は減少しうる。あるいは抗体の中和は、Dkk−1受容体シグナル伝達経路を阻害するDkk−1の能力を阻害又は減少しうる。また、抗体の中和は、ここで記載されているものようなDkk−1活性の免疫測定法においてDkk−1に免疫特異的に結合しうる。本発明の「中和抗体」の特徴は、インビトロ又はインビボの両方の状況においてその機能的な活性を残していることである。
ここでの「抗体」なる用語は、所望の生物学的活性を示す限りにおいて、最も広い意味で用いられ、特に無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの無傷抗体から形成される多特異的抗体(例えば、二価抗体)、及び抗体断片を包含する。
ここでの「抗体」なる用語は、所望の生物学的活性を示す限りにおいて、最も広い意味で用いられ、特に無傷のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの無傷抗体から形成される多特異的抗体(例えば、二価抗体)、及び抗体断片を包含する。
ここで用いられる「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、即ち、その集団を構成する個々の抗体は、少量存在し自然発生的に生じ得る変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は非常に特異性が高く、単一の抗原性部位に対して作成される。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは異なり、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に対するものである。
それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は他の抗体によって汚染されずに合成される点において有利である。「モノクローナル」という形容詞は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の性質を示し、任意の特定の方法による抗体の生産を必要とすると解釈されるべきものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler等, Nature, 256:495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって調製することができ、又は組換えDNA法によって調製することができる(例えば、米国特許第4,816,567号)。また、「モノクローナル抗体」は、例えば、Clackson等, Nature, 352:624-628 (1991)及びMarks等, J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)中に記載の技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
ここでのモノクローナル抗体は、重及び/又は軽鎖の一部が特定の種に由来するか又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応配列と同一であるか又は相同であって、鎖の残部が他の種に由来するか又は他の抗体クラス又はサブクラス、並びに所望の生物学的活性示す範囲内においてそのような抗体の断片に属する対応配列と同一であるか又は相同である「キメラ」抗体を特に含む(米国特許第4,816,567号;及びMorrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984))。ここにおける対象のキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿など)由来の可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む。
それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は他の抗体によって汚染されずに合成される点において有利である。「モノクローナル」という形容詞は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体の性質を示し、任意の特定の方法による抗体の生産を必要とすると解釈されるべきものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler等, Nature, 256:495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって調製することができ、又は組換えDNA法によって調製することができる(例えば、米国特許第4,816,567号)。また、「モノクローナル抗体」は、例えば、Clackson等, Nature, 352:624-628 (1991)及びMarks等, J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)中に記載の技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
ここでのモノクローナル抗体は、重及び/又は軽鎖の一部が特定の種に由来するか又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体中の対応配列と同一であるか又は相同であって、鎖の残部が他の種に由来するか又は他の抗体クラス又はサブクラス、並びに所望の生物学的活性示す範囲内においてそのような抗体の断片に属する対応配列と同一であるか又は相同である「キメラ」抗体を特に含む(米国特許第4,816,567号;及びMorrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851-6855 (1984))。ここにおける対象のキメラ抗体には、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿など)由来の可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む。
「抗体断片」は無傷の抗体の一部を含み、好ましくは抗原結合又はその可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2、及びFv断片;ダイアボディー;直鎖抗体;単一鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多重特異的抗体が含まれる。
「無傷」の抗体は、抗原結合可変領域並びに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体であり得る。好ましくは、無傷の抗体は一又は複数のエフェクター機能を持つ。
抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異Fc領域)に起因するこれらの生物学的活性のことを意味する。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合、補体依存性細胞障害、Fc受容体結合、抗体依存性細胞障害(ADCC)、食作用、細胞表面受容体の下方制御(例えば、B細胞受容体;BCR)などが含まれる。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、無傷の抗体は異なる「クラス」に分類することができる。無傷な抗体について5つの主要なクラスが存在する:IgA, IgD, IgE, IgG,及びIgM,及びこれらの幾つかはさらに「サブクラス」(アイソタイプ)に分類され、例えば、IgG1, IgG2, IgG3, IgG4, IgA,及びIgA2である。抗体の異なるクラスに相当する重鎖定常ドメインは、各々、α、δ、ε、γ及びμである。イムノグロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元構造は周知である。
「無傷」の抗体は、抗原結合可変領域並びに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体であり得る。好ましくは、無傷の抗体は一又は複数のエフェクター機能を持つ。
抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列変異Fc領域)に起因するこれらの生物学的活性のことを意味する。抗体のエフェクター機能の例には、C1q結合、補体依存性細胞障害、Fc受容体結合、抗体依存性細胞障害(ADCC)、食作用、細胞表面受容体の下方制御(例えば、B細胞受容体;BCR)などが含まれる。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、無傷の抗体は異なる「クラス」に分類することができる。無傷な抗体について5つの主要なクラスが存在する:IgA, IgD, IgE, IgG,及びIgM,及びこれらの幾つかはさらに「サブクラス」(アイソタイプ)に分類され、例えば、IgG1, IgG2, IgG3, IgG4, IgA,及びIgA2である。抗体の異なるクラスに相当する重鎖定常ドメインは、各々、α、δ、ε、γ及びμである。イムノグロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元構造は周知である。
「天然抗体」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖とからなる、約150,000ダルトンの異種四量体糖タンパク質である。各軽鎖は1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に結合されているが、ジスルフィド結合の数は異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変動する。また各重及び軽鎖も規則的に離間した鎖内ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は一端に可変ドメイン(VH)を有し、それに多数の定常ドメインが続く。各軽鎖は一端に可変ドメイン(VL)を、他端に定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと並び、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと並んでいる。特定のアミノ酸残基が軽鎖と重鎖の可変ドメイン間の界面を形成すると考えられている。
「可変」なる用語は、可変ドメインのある部分が配列において抗体間で広範囲に相違し、各特定の抗体のその特定抗原への結合及び特異性に使用されているという事実を意味する。しかし、可変性は抗体の可変ドメイン全体に均一に分布しているのではない。それは、軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方における高度可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、βシート構造を連結し、その一部を形成することもあるループを形成する、3つの高度可変領域により連結された、主としてβシート構造を採る4つのFR領域を含む。各鎖の高度可変領域はFR領域により近接して保持され、他の鎖からの高度可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)を参照のこと)。定常ドメインは抗体の抗原への結合に直接は関係しないが、種々のエフェクター機能を示す。
「可変」なる用語は、可変ドメインのある部分が配列において抗体間で広範囲に相違し、各特定の抗体のその特定抗原への結合及び特異性に使用されているという事実を意味する。しかし、可変性は抗体の可変ドメイン全体に均一に分布しているのではない。それは、軽鎖及び重鎖の可変ドメインの両方における高度可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、βシート構造を連結し、その一部を形成することもあるループを形成する、3つの高度可変領域により連結された、主としてβシート構造を採る4つのFR領域を含む。各鎖の高度可変領域はFR領域により近接して保持され、他の鎖からの高度可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)を参照のこと)。定常ドメインは抗体の抗原への結合に直接は関係しないが、種々のエフェクター機能を示す。
ここで使用される「超可変領域」なる用語は、抗原との結合性の原因となる抗体のアミノ酸残基を意味する。超可変領域は「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメインの残基24-34(L1)、50-56(L2)及び89-97(L3)及び重鎖可変ドメインの31-35(H1)、50-65(H2)及び95-102(H3);Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.(1991))及び/又は「超可変ループ」からの残基(例えば、軽鎖可変ドメインの残基26-32(L1)、50-52(L2)及び91-96(L3)及び重鎖可変ドメインの残基26-32(H1)、53-55(H2)及び96-101(H3);Chothia及びLesk J.Mol.Biol. 196:901-917 (1987))を含んでなる。「フレームワーク領域」又は「FR」残基はここに定義した超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
抗体のパパイン消化により、各々が単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、その名称が容易に結晶化する能力を表す、残りの「Fc」断片が作成される。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、更に抗原を架橋させ得るF(ab')2断片が生じる。
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、堅固な非共有結合をなした一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。この構造では、各可変ドメインの3つの超可変領域が相互に作用してVH-VL二量体表面に抗原結合部位を形成する。集合的に、6つの超可変領域が抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
抗体のパパイン消化により、各々が単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、その名称が容易に結晶化する能力を表す、残りの「Fc」断片が作成される。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、更に抗原を架橋させ得るF(ab')2断片が生じる。
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、堅固な非共有結合をなした一つの重鎖及び一つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。この構造では、各可変ドメインの3つの超可変領域が相互に作用してVH-VL二量体表面に抗原結合部位を形成する。集合的に、6つの超可変領域が抗体に抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)でさえ、全結合部位よりも親和性が低くなるが、抗原を認識して結合する能力を有している。
またFab断片は、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第一定常領域(CH1)を有する。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に数個の残基が付加している点でFab断片とは異なる。ここでは、Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が少なくとも1つのフリーのチオール基を担持しているFab'に対する命名である。F(ab')2抗体断片は、間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として作成された。抗体断片の他の化学カップリング法も知られている。
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に区別される型の一つを割り当てることができる。
「単鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、ここで、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在する。好ましくは、FvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはscFvが抗原結合に望ましい構造を形成することを可能にする。scFvの総説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, (Springer-Verlag, New York, 1994) pp. 269-315のPluckthunを参照のこと。
「ダイアボディ(diabodies)」なる用語は、二つの抗原結合部位を持つ小型の抗体断片を指し、その断片は同じポリペプチド鎖(VH−VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に結合した重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同鎖上の二つのドメイン間に対形成するには短すぎるリンカーを用いることにより、ドメインは強制的に他の鎖の相補的ドメインと対形成して二つの抗原結合部位を生成する。ダイアボディは、例えば、EP 404,097; WO 93/11161; 及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)においてより詳細に記載されている。
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」には、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に区別される型の一つを割り当てることができる。
「単鎖Fv」又は「scFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、ここで、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在する。好ましくは、FvポリペプチドはVH及びVLドメイン間にポリペプチドリンカーを更に含み、それはscFvが抗原結合に望ましい構造を形成することを可能にする。scFvの総説については、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, Rosenburg及びMoore編, (Springer-Verlag, New York, 1994) pp. 269-315のPluckthunを参照のこと。
「ダイアボディ(diabodies)」なる用語は、二つの抗原結合部位を持つ小型の抗体断片を指し、その断片は同じポリペプチド鎖(VH−VL)内で軽鎖可変ドメイン(VL)に結合した重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同鎖上の二つのドメイン間に対形成するには短すぎるリンカーを用いることにより、ドメインは強制的に他の鎖の相補的ドメインと対形成して二つの抗原結合部位を生成する。ダイアボディは、例えば、EP 404,097; WO 93/11161; 及びHollinger等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)においてより詳細に記載されている。
非ヒト(例えば、齧歯類)抗体の「ヒト化」形とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。大部分においてヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域の残基が、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類のような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域の残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見出されない残基を含んでもよい。これらの修飾は抗体の特性を更に洗練するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、全てあるいは実質的に全ての超可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいは実質的に全てのFR領域がヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含んでなる。更なる詳細は、Jones等, Nature 321, 522-525(1986);Riechmann等, Nature 332, 323-329(1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2, 593-596(1992)を参照のこと。
ここで使用される用語「試料」とは、Dkk−1を含有する、あるいは含有しているのではないかと疑われる生物学的試料を意図する。この試料はあらゆる供給源、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト由来であり得る。このような試料は、水性液体、例えば血清、血漿、リンパ液、滑液、卵胞液、***、乳、全血、尿、脳脊髄液、唾液、痰、涙、汗、粘液、組織培地、組織抽出物、及び細胞抽出物などを含む。
ここで使用される用語「試料」とは、Dkk−1を含有する、あるいは含有しているのではないかと疑われる生物学的試料を意図する。この試料はあらゆる供給源、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト由来であり得る。このような試料は、水性液体、例えば血清、血漿、リンパ液、滑液、卵胞液、***、乳、全血、尿、脳脊髄液、唾液、痰、涙、汗、粘液、組織培地、組織抽出物、及び細胞抽出物などを含む。
ここで使用されるように用語「導入遺伝子」は、導入される遺伝子組み換え動物とは部分的に又は全体的に異種性の、つまり無関係の、あるいは導入される遺伝子組み換え動物の内因性遺伝子と相同であるが、挿入される細胞のゲノムを変化させるように動物のゲノムに挿入された、あるいは挿入されるように設計された(例えば、それは通常の遺伝子のものとは異なる位置に挿入されている)核酸配列を意図する。導入遺伝子は、一以上の転写制御配列及び選択された核酸の適切な発現に必要でありうるあらゆる他の核酸、例えばイントロンと作用可能に結合されうる。ここでの導入遺伝子はDkk−1をコード化する。
ここでの用語「dkk−1核酸を過剰発現する非ヒト遺伝子組み換え動物」とは、血液のグルコースクリアランス、血液の循環インスリン、筋再生、又はインスリン抵抗性に関する他の特徴、低インスリン血症、及び/又は筋修復に関して宿主細胞の表現型を変える、Dkk−1コード化導入遺伝子をその複数の細胞内に含みんでいる非ヒト動物、例えば齧歯類を意図する。
ここでの用語「dkk−1核酸を発現する非ヒトバイナリー遺伝子組み換え動物」とは、遺伝子発現が標的導入遺伝子でのDkk−1の相互作用によって制御される非ヒト動物、例えば齧歯類を意図する。これらの相互作用は、動物の系統(例えば齧歯類、例えばマウスの系統)を交雑させることによって、あるいは外因性の誘導原を加える又は取り除くことによって制御される。このような制御された遺伝子発現は、体重及び体脂肪の指標、並びに血液内の循環インスリン、又は肥満及び高インスリン血症に関する特性に関して宿主細胞の表現型を変化させる。
ここでの用語「dkk−1核酸を過剰発現する非ヒト遺伝子組み換え動物」とは、血液のグルコースクリアランス、血液の循環インスリン、筋再生、又はインスリン抵抗性に関する他の特徴、低インスリン血症、及び/又は筋修復に関して宿主細胞の表現型を変える、Dkk−1コード化導入遺伝子をその複数の細胞内に含みんでいる非ヒト動物、例えば齧歯類を意図する。
ここでの用語「dkk−1核酸を発現する非ヒトバイナリー遺伝子組み換え動物」とは、遺伝子発現が標的導入遺伝子でのDkk−1の相互作用によって制御される非ヒト動物、例えば齧歯類を意図する。これらの相互作用は、動物の系統(例えば齧歯類、例えばマウスの系統)を交雑させることによって、あるいは外因性の誘導原を加える又は取り除くことによって制御される。このような制御された遺伝子発現は、体重及び体脂肪の指標、並びに血液内の循環インスリン、又は肥満及び高インスリン血症に関する特性に関して宿主細胞の表現型を変化させる。
Dkk−1活性に対して結合し、好ましくは中和するアンタゴニストに基づく、インスリン抵抗性及び低インスリン血症を診断及び治療するための新規な方法を開示する。
さらに、Dkk−1はそれ自体、肥満及び高インスリン血症の治療に有用である。
加えて、Dkk−1に対するアンタゴニストはさらに、ここでの方法において筋肉の修復及び再生のために提示される。
従って、本発明はインビトロ及びインビボの診断及び治療の多くの状況において有用な方法を提供する。
Dkk−1は、肥満又は高インスリン血症の治療に効果があり得る配列を有するとすれば、あらゆる供給源から得ることができ、上に挙げられる文献に記載される方法を含むあらゆる技術、例えば組換え生産又はアミノ酸合成によって調製することができる。
アンタゴニストを示すと、抗体、好ましくはモノクローナル抗体、並びにDkk−1又はdkk−1mRNAの生成を抑制する分子などである。候補アンタゴニストは、例えばDkk−1の循環レベルを減少させる候補アンタゴニストの効果がELISAアッセイで測定されうる試験を含む、ここに記載されるようなアッセイ技術によって有効性をアッセイすることができる。本発明に従って使用される抗体の典型的な生産技術について後に説明する。
さらに、Dkk−1はそれ自体、肥満及び高インスリン血症の治療に有用である。
加えて、Dkk−1に対するアンタゴニストはさらに、ここでの方法において筋肉の修復及び再生のために提示される。
従って、本発明はインビトロ及びインビボの診断及び治療の多くの状況において有用な方法を提供する。
Dkk−1は、肥満又は高インスリン血症の治療に効果があり得る配列を有するとすれば、あらゆる供給源から得ることができ、上に挙げられる文献に記載される方法を含むあらゆる技術、例えば組換え生産又はアミノ酸合成によって調製することができる。
アンタゴニストを示すと、抗体、好ましくはモノクローナル抗体、並びにDkk−1又はdkk−1mRNAの生成を抑制する分子などである。候補アンタゴニストは、例えばDkk−1の循環レベルを減少させる候補アンタゴニストの効果がELISAアッセイで測定されうる試験を含む、ここに記載されるようなアッセイ技術によって有効性をアッセイすることができる。本発明に従って使用される抗体の典型的な生産技術について後に説明する。
好ましくは関連抗原及びアジュバンドの複数回の皮下(sc)又は腹腔内(ip)注射によって、ポリクローナル抗体を動物に産生させる。二機能性剤又は誘導体化剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介して抱合)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介して)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2又はR1N=C=NR(ここでR及びR1は異なるアルキル基である)を用いて、免疫化される種において免疫原性であるタンパク質、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、又はダイズトリプシン阻害剤、あるいはポリヒスチジンタグに対する関連抗原を複合させることは有用である。
例えば、100μg又は5μgのタンパク質又は複合体(それぞれウサギ又はマウス)と3倍の体積のフロイント完全アジュバントを混ぜ合わせ、複数部位に溶液を皮内注射して、動物を抗原、免疫原性の複合体、又は誘導体に対して免疫化することができる。1ヶ月後、複数部位の皮下注射によって、最初の量の1/5〜1/10のペプチド又は複合体を含有するフロイント完全アジュバントで動物をブーストしてもよい。7〜14日後、動物を出血させ、抗体価について血清をアッセイした。動物を力価がプラトーになるまでブーストした。一実施態様では、動物を、同じ抗原の複合体であるが異なるタンパク質と複合した及び/又は異なる架橋試薬を用いたものでブーストする。また、複合体は、タンパク質の融合対として組換え細胞培地で作成することができる。さらに、免疫応答を増強させるために、ミョウバンのような集合性の物質がうまく用いられる。
例えば、100μg又は5μgのタンパク質又は複合体(それぞれウサギ又はマウス)と3倍の体積のフロイント完全アジュバントを混ぜ合わせ、複数部位に溶液を皮内注射して、動物を抗原、免疫原性の複合体、又は誘導体に対して免疫化することができる。1ヶ月後、複数部位の皮下注射によって、最初の量の1/5〜1/10のペプチド又は複合体を含有するフロイント完全アジュバントで動物をブーストしてもよい。7〜14日後、動物を出血させ、抗体価について血清をアッセイした。動物を力価がプラトーになるまでブーストした。一実施態様では、動物を、同じ抗原の複合体であるが異なるタンパク質と複合した及び/又は異なる架橋試薬を用いたものでブーストする。また、複合体は、タンパク質の融合対として組換え細胞培地で作成することができる。さらに、免疫応答を増強させるために、ミョウバンのような集合性の物質がうまく用いられる。
モノクローナル抗体は実質的に均一な抗体の集団から得られ、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量存在しうる自然に生じる可能な突然変異を除いて同一である。よって、「モノクローナル」という修飾語句は別々の抗体の混合物ではないという抗体の性質を示している。
例えば、モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein, Nature, 256:495-497 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製でき、又は組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製することができる。
ハイブリドーマ法においては、マウス又はその他の適当な宿主動物、例えばハムスターを上記のようにして免疫し、免疫化に用いられたタンパク質に特異的に結合する抗体を産生するか又は産生することのできるリンパ球を導き出す。別法として、リンパ球をインビトロで免疫することもできる。次に、リンパ球を、ポリエチレングリコールのような適当な融合剤を用いてミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986))。
このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親のミエローマ細胞の増殖又は生存を阻害する一又は複数の物質を好ましくは含む適当な培地に蒔き、増殖させる。例えば、親のミエローマ細胞が酵素ヒポキサンチングアニジンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠失するならば、ハイブリドーマのための培地は、典型的には、HGPRT−欠失細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含有するであろう(HAT培地)。
例えば、モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein, Nature, 256:495-497 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製でき、又は組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製することができる。
ハイブリドーマ法においては、マウス又はその他の適当な宿主動物、例えばハムスターを上記のようにして免疫し、免疫化に用いられたタンパク質に特異的に結合する抗体を産生するか又は産生することのできるリンパ球を導き出す。別法として、リンパ球をインビトロで免疫することもできる。次に、リンパ球を、ポリエチレングリコールのような適当な融合剤を用いてミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986))。
このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親のミエローマ細胞の増殖又は生存を阻害する一又は複数の物質を好ましくは含む適当な培地に蒔き、増殖させる。例えば、親のミエローマ細胞が酵素ヒポキサンチングアニジンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠失するならば、ハイブリドーマのための培地は、典型的には、HGPRT−欠失細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含有するであろう(HAT培地)。
好ましいミエローマ細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベルの産生を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性である細胞である。これらの中でも、好ましいミエローマ株化細胞は、マウスミエローマ株、例えば、米国カリフォルニア州サンディエゴのソーク・インスティテュート・セル・ディストリビューション・センターより入手し得るMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍から由来するもの、及び米国ヴァージニア州マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手し得るSP-2又はX63-Ag8-653細胞である。ヒトミエローマ及びマウス−ヒトヘテロミエローマ株化細胞もまたヒトモノクローナル抗体の産生のために開示されている(Kozbor, J.Immunol., 133:3001 (1984);Brodeur等, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,51-63頁、(Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。
ハイブリドーマ細胞が生育している培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の産生について検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降又はインビトロ結合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着検定(ELISA)によって測定する。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson等, Anal. Biochem., 107:220 (1980)のスキャッチャード分析法によって決定することができる。
所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が特定された後、クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986))。この目的に好適な培地には、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地が含まれる。また、該ハイブリドーマ細胞は、動物中で腹水症腫瘍としてインビボで増殖させることができる。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA-セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーのような常套的な抗体精製法により、培地、腹水、又は血清から好適に分離される。
ハイブリドーマ細胞が生育している培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の産生について検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降又はインビトロ結合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着検定(ELISA)によって測定する。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson等, Anal. Biochem., 107:220 (1980)のスキャッチャード分析法によって決定することができる。
所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が特定された後、クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986))。この目的に好適な培地には、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地が含まれる。また、該ハイブリドーマ細胞は、動物中で腹水症腫瘍としてインビボで増殖させることができる。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA-セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーのような常套的な抗体精製法により、培地、腹水、又は血清から好適に分離される。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、常法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)即座に分離され配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび単離されたならば、DNAを発現ベクター中に入れ、ついでこれを、この状況以外では抗体タンパク質を産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又はミエローマ細胞のような宿主細胞中に形質移入し、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体を合成することができる。抗体をコードするDNAの細菌中での組換え発現に関する概説文献には、Skerra等, Curr. Opinion in Immunol., 5:256-262 (1993)及びPlueckthun, Immunol. Revs., 130:151-188 (1992)が含まれる。
更なる実施態様では、モノクローナル抗体又は抗体断片は、McCafferty等, Nature, 348:552-554 (1990)に記載された技術を使用して産生される抗体ファージライブラリーから単離することができる。Clackson等, Nature, 352:624-628 (1991)及び Marks等, J.Mol.Biol., 222:581-597 (1991)は、ファージライブラリを使用したマウス及びヒト抗体の単離を記述している。次の刊行物は鎖シャッフィングによる高親和性(nM範囲)のヒト抗体の生産(Marks等, Bio/Technology, 10:779-783(1992))、並びに非常に大きなファージライブラリーを構築するための方策としてコンビナトリアル感染とインビボ組換え(Waterhouse等, Nuc.Acids.Res., 21:2265-2266 (1993))を記述している。従って、これらの技術はモノクローナル抗体の単離のための伝統的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ法に対する実行可能な別法である。
DNAはまた、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード化配列を、相同的マウス配列の代わりに置換することにより(米国特許第4,816,567号;Morrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851(1984))、又は免疫グロブリンコード化配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード化配列の全て又は一部を共有結合させることにより、修飾することができる。
更なる実施態様では、モノクローナル抗体又は抗体断片は、McCafferty等, Nature, 348:552-554 (1990)に記載された技術を使用して産生される抗体ファージライブラリーから単離することができる。Clackson等, Nature, 352:624-628 (1991)及び Marks等, J.Mol.Biol., 222:581-597 (1991)は、ファージライブラリを使用したマウス及びヒト抗体の単離を記述している。次の刊行物は鎖シャッフィングによる高親和性(nM範囲)のヒト抗体の生産(Marks等, Bio/Technology, 10:779-783(1992))、並びに非常に大きなファージライブラリーを構築するための方策としてコンビナトリアル感染とインビボ組換え(Waterhouse等, Nuc.Acids.Res., 21:2265-2266 (1993))を記述している。従って、これらの技術はモノクローナル抗体の単離のための伝統的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ法に対する実行可能な別法である。
DNAはまた、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード化配列を、相同的マウス配列の代わりに置換することにより(米国特許第4,816,567号;Morrison等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851(1984))、又は免疫グロブリンコード化配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード化配列の全て又は一部を共有結合させることにより、修飾することができる。
典型的には、このような非免疫グロブリンポリペプチドは、抗体の定常部を置換し、又は抗体の1個の抗原結合部位の定常部を置換して、抗原に対する特異性を有する1個の抗原結合部位、及び異なる抗原に対する特異性を有するもう一つの抗原結合部位を含むキメラ二価抗体を作り出す。
非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野でよく知られている。好ましくは、ヒト化抗体には非ヒト由来の1つ又は複数のアミノ酸残基が導入される。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は、超可変領域配列をヒト化抗体の対応配列と置換することによりWinter及び共同研究者(Jones等, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536 (1988))の方法に従って実施される。よって、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際には、ヒト化抗体は典型的には超可変領域残基及びおそらく幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野でよく知られている。好ましくは、ヒト化抗体には非ヒト由来の1つ又は複数のアミノ酸残基が導入される。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は、超可変領域配列をヒト化抗体の対応配列と置換することによりWinter及び共同研究者(Jones等, Nature, 321:522-525 (1986);Riechmann等, Nature, 332:323-327 (1988);Verhoeyen等, Science, 239:1534-1536 (1988))の方法に従って実施される。よって、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際には、ヒト化抗体は典型的には超可変領域残基及びおそらく幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似する部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
抗原性の軽減のためには、ヒト化抗体を作成するために使用するヒトの可変ドメイン、軽鎖及び重鎖両方の選択が非常に重要である。いわゆる「ベストフィット法」に従うと、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。齧歯動物のものと最も近いヒトの配列を次にヒト化抗体のヒトフレームワーク領域(FR)として受け入れる(Sims等, J. Immunol., 151:2296 (1993);Chothia等, J. Mol. Biol., 196:901(1987))。他の方法では、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列から誘導される特定のフレームワーク領域を使用する。同じフレームワークを幾つかの異なるヒト化抗体に使用できる(Carter等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285(1992);Presta等, J. Immunol., 151:2623 (1993))。
さらに、抗体を、抗原に対する高親和性や他の好ましい生物学的性質を保持してヒト化することが重要である。この目標を達成するべく、好ましい方法では、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析工程を経てヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測三次元立体配座構造を図解し、表示するコンピュータプログラムは購入可能である。これら表示を見ることで、候補免疫グロブリン配列の機能における残基のありそうな役割の分析、すなわち候補免疫グロブリンの抗原との結合能力に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このようにして、例えば標的抗原に対する親和性が高まるといった、望ましい抗体特性が達成されるように、FR残基をレシピエント及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に、超可変領域残基は、直接かつ最も実質的に抗原結合性に影響を及ぼしている。
さらに、抗体を、抗原に対する高親和性や他の好ましい生物学的性質を保持してヒト化することが重要である。この目標を達成するべく、好ましい方法では、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析工程を経てヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測三次元立体配座構造を図解し、表示するコンピュータプログラムは購入可能である。これら表示を見ることで、候補免疫グロブリン配列の機能における残基のありそうな役割の分析、すなわち候補免疫グロブリンの抗原との結合能力に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このようにして、例えば標的抗原に対する親和性が高まるといった、望ましい抗体特性が達成されるように、FR残基をレシピエント及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に、超可変領域残基は、直接かつ最も実質的に抗原結合性に影響を及ぼしている。
ヒト化抗体又は親和性成熟抗体の種々の形態が考えられる。例えばヒト化抗体又は親和性成熟抗体は、免疫結合体を調製するために一又は複数の標的薬剤(類)と随意に結合している抗体断片、例えばFabであってもよい。あるいは、ヒト化抗体又は親和性成熟抗体は無傷抗体、例えば無傷IgG1抗体であってもよい。
ヒト化の別法として、ヒト抗体を生成することができる。例えば、内因性の免疫グロブリン産生がなくともヒト抗体の全レパートリーを免疫化することで産生することのできるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作ることが現在は可能である。例えば、キメラ及び生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子の同型接合除去が内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。このような生殖系列突然変異体マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子列の転移は、抗原投与時にヒト抗体の産生をもたらす(Jakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993);Jakobovits等, Nature 362:255-258 (1993); Bruggermann等, Year in Immuno., 7:33 (1993);米国特許第5,591,669号、5,589,369号及び5,545,807号)。
ヒト化の別法として、ヒト抗体を生成することができる。例えば、内因性の免疫グロブリン産生がなくともヒト抗体の全レパートリーを免疫化することで産生することのできるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作ることが現在は可能である。例えば、キメラ及び生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子の同型接合除去が内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。このような生殖系列突然変異体マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子列の転移は、抗原投与時にヒト抗体の産生をもたらす(Jakobovits等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993);Jakobovits等, Nature 362:255-258 (1993); Bruggermann等, Year in Immuno., 7:33 (1993);米国特許第5,591,669号、5,589,369号及び5,545,807号)。
別法として、ファージディスプレイ技術(McCafferty等, Nature 348:552-553 (1990))を、非免疫化ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、インビトロでヒト抗体及び抗体断片を産出させるために使用することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子は、繊維状バクテリオファージ、例えばM13又はfdの大きい又は小さいコートタンパク質遺伝子のいずれかにイン-フレームでクローン化され、ファージ粒子の表面において機能的抗体断片として表示される。繊維状粒子がファージゲノムの単一ストランドのDNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づいた選択により、これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択がなされる。よって、ファージはB細胞の特性のいくつかを模倣している。ファージディスプレイは多様な形式で行うことができる;例えばJohnson, 及びChiswell, Current Opinion in Structural Biology 3:564-571(1993)を参照のこと。V-遺伝子セグメントのいくつかの供給源がファージディスプレイのために使用可能である。Clackson等, Nature, 352:624-628(1991)は、免疫化されたマウス脾臓から得られたV遺伝子の小ランダム組合せライブラリからの抗-オキサゾロン抗体の異なった配列を単離した。非免疫化ヒトドナーからのV遺伝子のレパートリーを構成可能で、抗原(自己抗原を含む)の多様な配列に対する抗体を、Marks等, J. Mol. Biol. 222:581-597(1991)、又はGriffith等, EMBO J. 12:725-734(1993)又は米国特許第5,565,332号又は同5,573,905号に記載の技術に本質的に従って単離することができる。
また、ヒト抗体はインビトロ活性化B細胞により生産することもできる(米国特許第5,567,610号及び同5,229,275号)。
また、ヒト抗体はインビトロ活性化B細胞により生産することもできる(米国特許第5,567,610号及び同5,229,275号)。
抗体断片を生産するために様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は、無傷の抗体のタンパク分解性消化を介して誘導された(Morimoto等, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992)及びBrennan等, Science, 229:81(1985)を参照されたい)。しかし、これらの断片は,現在は組換え宿主細胞により直接生産することができる。例えば、抗体断片は上において検討した抗体ファージライブラリから分離することができる。別法として、Fab'-SH断片は大腸菌から直接回収することができ、化学的に結合してF(ab')2断片を形成することができる(Carter等, Bio/Technology 10:163-167(1992))。他のアプローチ法では、F(ab')2断片を組換え宿主細胞培養から直接分離することができる。抗体断片を生産するための他の技術は、当業者には明らかである。他の実施態様において、選択された抗体は単鎖Fv断片(scFv)である(国際公開第93/16185;米国特許第5,571,894号;及び米国特許第5,587,458号)。また、抗体断片は、例えば米国特許第5,641,870号に記載されているような「直鎖状抗体」であってもよい。このような直鎖状抗体断片は単一特異性又は二重特異性であってよい。
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、ここで記載したDkk−1タンパク質の2つの異なるエピトープに結合し得る。二重特異性抗体は全長抗体又は抗体断片(例えばF(ab')2二重特異性抗体)として調製することができる。
二重特異性抗体を作成する方法は当該分野において既知である。全長二重特異性抗体の伝統的な生産は二つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づき、ここで二つの鎖は異なる特異性を持っている(Milstein等, Nature, 305:537-539(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖が無作為に取り揃えられているため、これらのハイブリドーマ(四部雑種)は10個の異なる抗体分子の可能性ある混合物を産生し、そのうちただ1つが正しい二重特異性構造を有する。通常、アフィニティークロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は、かなり煩わしく、生成物収率は低い。同様の方法が国際公開第93/08829号及びTrauneckerら、EMBO J. 10:3655-3659(1991)に開示されている。
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、ここで記載したDkk−1タンパク質の2つの異なるエピトープに結合し得る。二重特異性抗体は全長抗体又は抗体断片(例えばF(ab')2二重特異性抗体)として調製することができる。
二重特異性抗体を作成する方法は当該分野において既知である。全長二重特異性抗体の伝統的な生産は二つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づき、ここで二つの鎖は異なる特異性を持っている(Milstein等, Nature, 305:537-539(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖が無作為に取り揃えられているため、これらのハイブリドーマ(四部雑種)は10個の異なる抗体分子の可能性ある混合物を産生し、そのうちただ1つが正しい二重特異性構造を有する。通常、アフィニティークロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製は、かなり煩わしく、生成物収率は低い。同様の方法が国際公開第93/08829号及びTrauneckerら、EMBO J. 10:3655-3659(1991)に開示されている。
異なったアプローチ法では、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗原-抗体結合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合させる。該融合は好ましくは、少なくともヒンジの一部、CH2及びCH3領域を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインである。軽鎖の結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)を、融合の少なくとも1つに存在させることが望ましい。免疫グロブリン重鎖の融合、望まれるならば免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAを、別個の発現ベクター中に挿入し、適当な宿主生物に同時トランスフェクトする。これにより、組立に使用される三つのポリペプチド鎖の等しくない比率が最適な収率をもたらす態様において、三つのポリペプチド断片の相互の割合の調節に大きな融通性が与えられる。しかし、少なくとも二つのポリペプチド鎖の等しい比率での発現が高収率をもたらすとき、又はその比率が所望の鎖の結合にあまり影響がないときは、2または3個全てのポリペプチド鎖のためのコード化配列を1つの発現ベクターに挿入することが可能である。
この手法の好ましい実施態様では、二重特異性抗体は、第一の結合特異性を有する一方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖と他方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第二の結合特異性を提供する)とからなる。二重特異性分子の半分にしか免疫グロブリン軽鎖がないと容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望の二重特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にすることが分かった。このアプローチ法は、国際公開第94/04690号に開示されている。二重特異性抗体を産生する更なる詳細については、例えばSuresh等, Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
この手法の好ましい実施態様では、二重特異性抗体は、第一の結合特異性を有する一方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖と他方のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第二の結合特異性を提供する)とからなる。二重特異性分子の半分にしか免疫グロブリン軽鎖がないと容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望の二重特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にすることが分かった。このアプローチ法は、国際公開第94/04690号に開示されている。二重特異性抗体を産生する更なる詳細については、例えばSuresh等, Methods in Enzymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
米国特許第5,731,168号に記載された他の手法によれば、一対の抗体分子間の界面を操作して組換え細胞培養から回収されるヘテロダイマーのパーセントを最大にすることができる。好適な界面はCH3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの1つ又は複数の小さいアミノ酸側鎖がより大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置き換えられる。大きな側鎖と同じ又は類似のサイズの相補的「キャビティ」を、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)と置き換えることにより第2の抗体分子の界面に作り出す。これにより、ホモダイマーのような不要の他の最終産物に対してヘテロダイマーの収量を増大させるメカニズムが提供される。
二重特異性抗体は、架橋した又は「ヘテロコンジュゲート」抗体もまた含む。例えば、ヘテロコンジュゲートの抗体の一方はアビジンに結合され、他方はビオチンに結合され得る。そのような抗体は、例えば、不要の細胞に対する免疫系細胞をターゲティングするため(米国特許第4,676,980号)、及びHIV感染の治療のために提案された(国際公開第91/00360号、同92/200373号、及び欧州特許第03089号)。ヘテロコンジュゲート抗体は、あらゆる簡便な架橋法を用いて作製することができる。好適な架橋剤は当該分野において良く知られており、幾つかの架橋技術と共に米国特許第4,676,980号に開示されている。
抗体断片から二重特異性抗体を作成する技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennan等, Science, 229:81 (1985) は無傷の抗体をタンパク分解性に切断してF(ab')2断片を作成する手順を記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤、亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を防止する。作成されたFab'断片はついでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に変換される。Fab'-TNB誘導体の1つをついでメルカプトエチルアミンでの還元によりFab'-チオールに再変換し、他のFab'-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。作られた二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
二重特異性抗体は、架橋した又は「ヘテロコンジュゲート」抗体もまた含む。例えば、ヘテロコンジュゲートの抗体の一方はアビジンに結合され、他方はビオチンに結合され得る。そのような抗体は、例えば、不要の細胞に対する免疫系細胞をターゲティングするため(米国特許第4,676,980号)、及びHIV感染の治療のために提案された(国際公開第91/00360号、同92/200373号、及び欧州特許第03089号)。ヘテロコンジュゲート抗体は、あらゆる簡便な架橋法を用いて作製することができる。好適な架橋剤は当該分野において良く知られており、幾つかの架橋技術と共に米国特許第4,676,980号に開示されている。
抗体断片から二重特異性抗体を作成する技術もまた文献に記載されている。例えば、化学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennan等, Science, 229:81 (1985) は無傷の抗体をタンパク分解性に切断してF(ab')2断片を作成する手順を記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤、亜砒酸ナトリウムの存在下で還元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を防止する。作成されたFab'断片はついでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に変換される。Fab'-TNB誘導体の1つをついでメルカプトエチルアミンでの還元によりFab'-チオールに再変換し、他のFab'-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。作られた二重特異性抗体は酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
さらに、Fab'-SH断片は大腸菌から直接回収でき、化学的に結合して二重特異性抗体を形成することができる(Shalaby等, J.Exp.Med., 175:217-225 (1992))。
組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作成し分離する様々な技術もまた記述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して産生されている。Kostelny等, J.Immunol., 148:1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により二つの異なった抗体のFab'部分に結合させる。抗体ホモダイマーをヒンジ領域で還元してモノマーを形成し、ついで再酸化して抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法はまた抗体ホモダイマーの産生に対して使用することができる。Hollinger等, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)により記述された「ダイアボディ」技術は二重特異性抗体断片を作成する別のメカニズムを提供した。断片は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには十分に短いリンカーにより軽鎖可変領域(VL)に重鎖可変領域(VH)を結合してなる。従って、1つの断片のVH及びVLドメインは他の断片の相補的VL及びVHドメインと強制的に対形成させられ、よって2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーの使用により二重特異性抗体断片を製造する他の方策もまた報告されている。Gruber等, J.Immunol., 152:5368 (1994)を参照されたい。
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる(Tutt等, J.Immunol., 147:60(1991))。
組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作成し分離する様々な技術もまた記述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを使用して産生されている。Kostelny等, J.Immunol., 148:1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを遺伝子融合により二つの異なった抗体のFab'部分に結合させる。抗体ホモダイマーをヒンジ領域で還元してモノマーを形成し、ついで再酸化して抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法はまた抗体ホモダイマーの産生に対して使用することができる。Hollinger等, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)により記述された「ダイアボディ」技術は二重特異性抗体断片を作成する別のメカニズムを提供した。断片は、同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには十分に短いリンカーにより軽鎖可変領域(VL)に重鎖可変領域(VH)を結合してなる。従って、1つの断片のVH及びVLドメインは他の断片の相補的VL及びVHドメインと強制的に対形成させられ、よって2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーの使用により二重特異性抗体断片を製造する他の方策もまた報告されている。Gruber等, J.Immunol., 152:5368 (1994)を参照されたい。
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる(Tutt等, J.Immunol., 147:60(1991))。
ここで記載の抗Dkk−1抗体のアミノ酸配列の修飾を考察する。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性が改善されることが望ましい。抗Dkk−1抗体のアミノ酸配列変異体は、適当なヌクレオチド変化を抗Dkk−1抗体核酸に導入することにより、又はペプチド合成により調製される。そのような修飾は、例えば、抗Dkk−1抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失、及び/又は挿入及び/又は置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせは、最終構造物に達するまでなされるが、その最終構造物は所望の特徴を有する。また、アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数又は位置の変化などの抗Dkk−1抗体の翻訳後過程を変更しうる。
突然変異のための好ましい位置にある抗Dkk−1抗体の残基又は領域の同定のために有用な方法は、「アラニンスキャンニング突然変異誘発」である(Cunningham及びWells , Science 244: 1081-1085 (1989))。ここで、標的残基の残基又は基が同定され(例えば、arg, asp, his, lys,及びglu等の荷電残基)、中性又は負荷電アミノ酸(最も好ましくはアラニン又はポリペプチドアニリン)に置換され、アミノ酸とDkk−1抗原との相互作用に影響を及ぼす。次いで置換に対する機能的感受性を示すこれらのアミノ酸の位置は、置換部位において又はそれに対して更に又は他の置換を導入することにより精密にされる。即ち、アミノ酸配列変異を導入する部位は予め決定されるが、変異自体の性質は予め決める必要はない。例えば、与えられた部位における変異の性能を分析するために、アラニンスキャンニング又はランダム突然変異誘発を標的コドン又は領域で実施し、発現された抗Dkk−1抗体変異体を所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列挿入は、1残基から100以上の残基を含むポリペプチドの長さの範囲のアミノ-及び/又はカルボキシル末端融合物、並びに一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入物を含む。末端挿入物の例は、N-末端メチオニル残基を持つ抗Dkk−1抗体又は低血糖性ポリペプチドに融合した抗体を含む。抗Dkk−1抗体分子の他の挿入変異体は、抗体の血清半減期を向上させる酵素又はポリペプチドの抗Dkk−1抗体のN-又はC-末端への融合物を含む。
突然変異のための好ましい位置にある抗Dkk−1抗体の残基又は領域の同定のために有用な方法は、「アラニンスキャンニング突然変異誘発」である(Cunningham及びWells , Science 244: 1081-1085 (1989))。ここで、標的残基の残基又は基が同定され(例えば、arg, asp, his, lys,及びglu等の荷電残基)、中性又は負荷電アミノ酸(最も好ましくはアラニン又はポリペプチドアニリン)に置換され、アミノ酸とDkk−1抗原との相互作用に影響を及ぼす。次いで置換に対する機能的感受性を示すこれらのアミノ酸の位置は、置換部位において又はそれに対して更に又は他の置換を導入することにより精密にされる。即ち、アミノ酸配列変異を導入する部位は予め決定されるが、変異自体の性質は予め決める必要はない。例えば、与えられた部位における変異の性能を分析するために、アラニンスキャンニング又はランダム突然変異誘発を標的コドン又は領域で実施し、発現された抗Dkk−1抗体変異体を所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列挿入は、1残基から100以上の残基を含むポリペプチドの長さの範囲のアミノ-及び/又はカルボキシル末端融合物、並びに一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入物を含む。末端挿入物の例は、N-末端メチオニル残基を持つ抗Dkk−1抗体又は低血糖性ポリペプチドに融合した抗体を含む。抗Dkk−1抗体分子の他の挿入変異体は、抗体の血清半減期を向上させる酵素又はポリペプチドの抗Dkk−1抗体のN-又はC-末端への融合物を含む。
他の型の変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、抗Dkk−1抗体分子において少なくとも一つのアミノ酸残基が異なる残基が挿入されている。置換突然変異について最も関心ある部位は高度可変領域を含むが、FR交互変化も考慮される。保存的置換は、「好ましい置換」と題して表1に示す。これらの置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表1に「例示的な置換」と名前を付けた又はアミノ酸の分類を参照して以下に更に記載するような、より実質的な変化を導入し、生成物をスクリーニングしてよい。
抗体の生物学的特性における実質的な修飾は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又はへリックス構造、(b)分子の標的部位における電化又は疎水性、もしくは(c)側鎖の体積の維持における、それらの効果において有意に相違する置換基を選択することにより達成される。天然に生じる残基は共通の側鎖特性に基づいてグループ分けできる:
(1)疎水性:ノルロイシン, met, ala, val, leu, ile;
(2)中性の親水性:cys, ser, thr;
(3)酸性:asp, glu;
(4)塩基性:asn, gln, his, lys, arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly, pro; 及び
(6)芳香族:trp, tyr, phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類のものに交換することが必要であろう。
抗Dkk−1抗体の適切な配置の維持に含まれない任意のシステイン残基は、一般的にセリンで置換し、分子の酸化的安定性を向上させて異常な架橋を防止する。逆に、抗体にシステイン結合を付加して、その安定性を向上させてもよい(特に、抗体がFv断片などの抗体断片である場合)。
(1)疎水性:ノルロイシン, met, ala, val, leu, ile;
(2)中性の親水性:cys, ser, thr;
(3)酸性:asp, glu;
(4)塩基性:asn, gln, his, lys, arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly, pro; 及び
(6)芳香族:trp, tyr, phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類のものに交換することが必要であろう。
抗Dkk−1抗体の適切な配置の維持に含まれない任意のシステイン残基は、一般的にセリンで置換し、分子の酸化的安定性を向上させて異常な架橋を防止する。逆に、抗体にシステイン結合を付加して、その安定性を向上させてもよい(特に、抗体がFv断片などの抗体断片である場合)。
特に好ましい型の置換変異体は、親抗体の一又は複数の高度可変領域残基の置換を含む(例えばヒト化又はヒト抗体)。一般的に、さらなる発展のために選択されて得られた変異体は、それらが生成された親抗体に比較して向上した生物学的特性を有している。そのような置換変異体を生成する簡便な方法はファージディスプレイを使用する親和性突然変異である。簡単に述べれば、いくつかの高度可変領域部位(例えば、6-7部位)を突然変異させて各部位における全ての可能なアミノ酸置換を生成させる。このように生成された抗体変異体は、繊維状ファージ粒子から、各粒子内に充填されたM13の遺伝子III産物への融合物として一価形式で表示される。ファージディスプレイ変異体は、次いで、ここに開示されるようなそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾の候補となる高度可変領域部位を同定するために、アラニンスキャンニング突然変異誘発を実施し、抗原結合に有意に寄与する高度可変領域残基を同定することができる。あるいは、又はそれに加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して抗体とDkk−1との接点を同定するのが有利である。このような接触残基及び隣接残基は、ここに述べた技術に従う置換の候補である。そのような変異体が生成されたら、変異体のパネルにここに記載するようなスクリーニングを施し、一又は複数の関連アッセイにおいて優れた特性を持つ抗体を更なる開発のために選択する。
抗体のアミノ酸変異の他の型は、抗体の元のグリコシル化パターンを変更する。変更とは、抗体に見られる一又は複数の炭水化物部分の欠失、及び/又は抗体に存在しない一又は複数のグリコシル化部位の付加を意味する。
抗体のグリコシル化とは、典型的にはN-結合又はO-結合のいずれかである。N-結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付与を指す。トリペプチドは、Xがプロリンを除く任意のアミノ酸である、アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニンの配列であり、アスパラギン側鎖へ炭水化物部分が酵素的に付与される認識部位である。従って、ポリペプチドのこれらトリペプチド配列のいずれかの存在によって、潜在的なグリコシル化部位が作り出される。O-結合グリコシル化とは、5-ヒドロキシルプロリン又は5-ヒドロキシルリジンも用いられるが、殆どの場合にはセリン又はスレオニンであるヒドロキシアミノ酸へN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの一つの糖を付与することを指す。
抗体のアミノ酸変異の他の型は、抗体の元のグリコシル化パターンを変更する。変更とは、抗体に見られる一又は複数の炭水化物部分の欠失、及び/又は抗体に存在しない一又は複数のグリコシル化部位の付加を意味する。
抗体のグリコシル化とは、典型的にはN-結合又はO-結合のいずれかである。N-結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付与を指す。トリペプチドは、Xがプロリンを除く任意のアミノ酸である、アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニンの配列であり、アスパラギン側鎖へ炭水化物部分が酵素的に付与される認識部位である。従って、ポリペプチドのこれらトリペプチド配列のいずれかの存在によって、潜在的なグリコシル化部位が作り出される。O-結合グリコシル化とは、5-ヒドロキシルプロリン又は5-ヒドロキシルリジンも用いられるが、殆どの場合にはセリン又はスレオニンであるヒドロキシアミノ酸へN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの一つの糖を付与することを指す。
抗体へのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を改変して、それが上記に記載のトリペプチド配列(N-結合グリコシル化部位について)の一つ又は複数を含むようにすることによって簡便に完遂できる。この改変は、また、最初の抗体の配列へ一つ又は複数のセリン又はスレオニン残基を付加、又は置換することによって生成される(O-結合グリコシル化部位について)。
抗Dkk−1抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当該分野で知られている種々の方法によって調製される。これらの方法には、限定されないが、オリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、及び抗Dkk−1抗体の早期に調製した変異体又は非変異体形のカセット突然変異誘発による、天然源からの単離(天然発生アミノ酸配列変異体の場合)又は調製を含む。
本発明の抗体をエフェクター機能について改変し、例えばFc受容体結合を増強することが望ましい。このことは、抗体のFc領域に一又は複数のアミノ酸置換基を導入することにより達成される。別に、又は付加的にシステイン残基(類)をFc領域に導入して、この領域における鎖間ジスルイド結合を形成させる。
抗体の血清半減期を増加させるために、例えば米国特許第5,739,277号に記載されているようにして、抗体(特に抗体断片)にサルベージ受容体結合エピトープを導入してもよい。ここで用いられる場合、用語「サルベージ受容体結合エピトープ」は、IgG分子のインビボ血清半減期を向上させる原因となるIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)のFc領域のエピトープを意味する。
ここでは、抗体の他の修飾が考慮される。例えば、抗体は種々の非タンパク質様ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、又はポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマーに結合してもよい。
抗Dkk−1抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は、当該分野で知られている種々の方法によって調製される。これらの方法には、限定されないが、オリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、及び抗Dkk−1抗体の早期に調製した変異体又は非変異体形のカセット突然変異誘発による、天然源からの単離(天然発生アミノ酸配列変異体の場合)又は調製を含む。
本発明の抗体をエフェクター機能について改変し、例えばFc受容体結合を増強することが望ましい。このことは、抗体のFc領域に一又は複数のアミノ酸置換基を導入することにより達成される。別に、又は付加的にシステイン残基(類)をFc領域に導入して、この領域における鎖間ジスルイド結合を形成させる。
抗体の血清半減期を増加させるために、例えば米国特許第5,739,277号に記載されているようにして、抗体(特に抗体断片)にサルベージ受容体結合エピトープを導入してもよい。ここで用いられる場合、用語「サルベージ受容体結合エピトープ」は、IgG分子のインビボ血清半減期を向上させる原因となるIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)のFc領域のエピトープを意味する。
ここでは、抗体の他の修飾が考慮される。例えば、抗体は種々の非タンパク質様ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、又はポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマーに結合してもよい。
筋肉、インスリン抵抗性、及び低インスリン血症適応のための治療的使用
筋肉、インスリン抵抗性、及び低インスリン血症適応のために、Dkk−1アンタゴニストを、非経口の投与経路、例えば、限定するものではないが静脈内(IV)、筋肉内(IM)、皮下(SC)、及び腹腔内(IP)、並びに経皮、頬側、舌下、直腸内、鼻腔内、及び吸入の経路を含むあらゆる適した経路によって投与する。IV、IM、SC、及びIP投与はボーラス又はインフュージョンによって、また、SCの場合には徐放性の移植可能な手段、例えば、限定するものではないがポンプ、徐放製剤、及び機械装置によってなされうる。好ましくは、投与は全身的である。
Dkk−1アンタゴニストの投与のための、ある特定の好ましい方法は、特に定量注入装置、例えばポンプを用いた皮下注入によるものである。このようなポンプは、再利用可能でも使い捨てであってもよく、移植可能でも外部装置であってもよい。この目的に有効に利用される薬剤注入ポンプは、例えば米国特許第5,637,095号;5,569,186号;及び5,527,307号に開示されるポンプを含む。組成物はこのような装置から連続して、又は間欠的に投与されうる。
保存に適したDkk−1アンタゴニストの治療用製剤は、水溶液又は凍結乾燥製剤の形態で、所望の純度を持つアンタゴニストと生理学的に許容される担体、賦形剤又は安定化剤の混合物を含む(Remington's Pharmaceutical Sciences 16版, Osol, A. 編, (1980))。許容される担体、賦形剤又は安定化剤は、用いられる用量と濃度でレシピエントに非毒性であり、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンズエトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又はTWEEN(商品名)、PLURONICS(商品名)又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。好ましい凍結乾燥した抗Dkk−1抗体の製剤はWO97/04801に記載される。これらの組成物は、約0.1〜90重量%、より一般的には約10〜30%の活性なアンタゴニストを、好ましくは可溶性の形態で含むDkk−1に対するアンタゴニストを含有する。
筋肉、インスリン抵抗性、及び低インスリン血症適応のために、Dkk−1アンタゴニストを、非経口の投与経路、例えば、限定するものではないが静脈内(IV)、筋肉内(IM)、皮下(SC)、及び腹腔内(IP)、並びに経皮、頬側、舌下、直腸内、鼻腔内、及び吸入の経路を含むあらゆる適した経路によって投与する。IV、IM、SC、及びIP投与はボーラス又はインフュージョンによって、また、SCの場合には徐放性の移植可能な手段、例えば、限定するものではないがポンプ、徐放製剤、及び機械装置によってなされうる。好ましくは、投与は全身的である。
Dkk−1アンタゴニストの投与のための、ある特定の好ましい方法は、特に定量注入装置、例えばポンプを用いた皮下注入によるものである。このようなポンプは、再利用可能でも使い捨てであってもよく、移植可能でも外部装置であってもよい。この目的に有効に利用される薬剤注入ポンプは、例えば米国特許第5,637,095号;5,569,186号;及び5,527,307号に開示されるポンプを含む。組成物はこのような装置から連続して、又は間欠的に投与されうる。
保存に適したDkk−1アンタゴニストの治療用製剤は、水溶液又は凍結乾燥製剤の形態で、所望の純度を持つアンタゴニストと生理学的に許容される担体、賦形剤又は安定化剤の混合物を含む(Remington's Pharmaceutical Sciences 16版, Osol, A. 編, (1980))。許容される担体、賦形剤又は安定化剤は、用いられる用量と濃度でレシピエントに非毒性であり、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンズエトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又はTWEEN(商品名)、PLURONICS(商品名)又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。好ましい凍結乾燥した抗Dkk−1抗体の製剤はWO97/04801に記載される。これらの組成物は、約0.1〜90重量%、より一般的には約10〜30%の活性なアンタゴニストを、好ましくは可溶性の形態で含むDkk−1に対するアンタゴニストを含有する。
また活性成分は、例えばコアセルベーション技術又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル、コロイド状ドラッグデリバリー系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ-粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションに捕捉させてもよい。このような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 上掲に開示されている。
また、ここに開示する抗Dkk−1抗体は、免疫リポソームとして調製してもよい。抗体を含むリポソームは、Epstein等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985);Hwang等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); 及び米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号;及び1997年10月23日公開のWO 97/38731に記載されているような、この分野で知られた方法で調製される。向上した循環時間を持つリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG-誘導ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物での逆相蒸発法によって生成される。リポソームは、所定サイズのフィルターを通して押し出され、所望の径を有するリポソームが生成される。本発明の抗体のFab'断片は、Martin等, J. Biol. Chem. 257: 286-288 (1982)に記載されているように、ジスルフィド交換反応を介してリポソームに抱合され得る。
また、ここに開示する抗Dkk−1抗体は、免疫リポソームとして調製してもよい。抗体を含むリポソームは、Epstein等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985);Hwang等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); 及び米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号;及び1997年10月23日公開のWO 97/38731に記載されているような、この分野で知られた方法で調製される。向上した循環時間を持つリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG-誘導ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物での逆相蒸発法によって生成される。リポソームは、所定サイズのフィルターを通して押し出され、所望の径を有するリポソームが生成される。本発明の抗体のFab'断片は、Martin等, J. Biol. Chem. 257: 286-288 (1982)に記載されているように、ジスルフィド交換反応を介してリポソームに抱合され得る。
徐放性調合物を調製してもよい。徐放性調合物の好ましい例は、抗体を含む疎水性固体ポリマーの半透性マトリクスを含み、そのマトリクスは成形物、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリクスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号))、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(商品名)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシブチル酸が含まれる。
特定のアンタゴニストの何れも、担体タンパク質に結合して治療用アンタゴニストの血清半減期を増大させうる。例えば、ここに記載されるような可溶性の免疫グロブリンキメラは、米国特許第5,116,964号に記載されるようにそれぞれ特定のDkk−1アンタゴニスト又はそのアンタゴニスト部分について得ることができる。免疫グロブリンキメラは、IgG結合プロテインAセファロースクロマトグラフィーによって簡単に精製される。キメラは、高い結合活性と血清半減期を同時に有する免疫グロブリン様二量体を形成する能力を有する。
特定のアンタゴニストの何れも、担体タンパク質に結合して治療用アンタゴニストの血清半減期を増大させうる。例えば、ここに記載されるような可溶性の免疫グロブリンキメラは、米国特許第5,116,964号に記載されるようにそれぞれ特定のDkk−1アンタゴニスト又はそのアンタゴニスト部分について得ることができる。免疫グロブリンキメラは、IgG結合プロテインAセファロースクロマトグラフィーによって簡単に精製される。キメラは、高い結合活性と血清半減期を同時に有する免疫グロブリン様二量体を形成する能力を有する。
インビボ投与に使用されるべき製剤は無菌である。これは無菌の濾過膜を通して濾過することによって容易になされる。
ここでの製剤はまた、治療される特定の適応症に必要とされる複数の活性化合物、好ましくは互いに不利な影響を与えない相補的な活性を有するものを含みうる。また、このような活性化合物は、治療される哺乳動物に別々に投与することもできる。
例えば、それらの適応症のためのインスリン抵抗性治療薬を与えることが望まれうる。さらに、食事制限及び体重減少で効き目のない2型糖尿病には、Dkk−1アンタゴニストとスルホニル尿素を併せた治療が有効であり得る。スルホニル薬剤の種類は、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トラザミド、トルブタミド、グリベンクラミド、グリボンウライド(glibornuride)、グリクラジド、グリピジド、グリキドン及びグリミジンを含む。この目的のための他の薬剤は、自己免疫薬、インスリン増感剤、例えば米国特許第5,753,681号に記載されているものを含むグリタゾンファミリーの化合物、例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、及び関連する化合物、インスリン受容体チロシンキナーゼ阻害剤に対するアンタゴニスト(米国特許第5,939,269号及び5,939,269号)、IGF-1/IGFBP-3複合体(米国特許第6,040,292号)、TNF-α機能に対するアンタゴニスト(米国特許第6,015,558号)、成長ホルモン放出因子(米国特許第5,939,387号)、及びアミリンに対する抗体(米国特許第5,942,227号)を含む。使用することのできる他の化合物には、インスリン(一以上の異なるインスリン)、インスリン模倣体、例えば小分子インスリン、上記の様なインスリン類似体又は生理学的に活性なその断片、上記の様なインスリン関連ペプチド、又は類似体又はその断片を含む。さらに薬剤は上記の定義に詳細に述べられる。
低インスリン血症を治療するために、例えば、インスリンをDkk−1に対するアンタゴニストとともに、あるいは別々に投与してもよい。
ここでの製剤はまた、治療される特定の適応症に必要とされる複数の活性化合物、好ましくは互いに不利な影響を与えない相補的な活性を有するものを含みうる。また、このような活性化合物は、治療される哺乳動物に別々に投与することもできる。
例えば、それらの適応症のためのインスリン抵抗性治療薬を与えることが望まれうる。さらに、食事制限及び体重減少で効き目のない2型糖尿病には、Dkk−1アンタゴニストとスルホニル尿素を併せた治療が有効であり得る。スルホニル薬剤の種類は、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トラザミド、トルブタミド、グリベンクラミド、グリボンウライド(glibornuride)、グリクラジド、グリピジド、グリキドン及びグリミジンを含む。この目的のための他の薬剤は、自己免疫薬、インスリン増感剤、例えば米国特許第5,753,681号に記載されているものを含むグリタゾンファミリーの化合物、例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、及び関連する化合物、インスリン受容体チロシンキナーゼ阻害剤に対するアンタゴニスト(米国特許第5,939,269号及び5,939,269号)、IGF-1/IGFBP-3複合体(米国特許第6,040,292号)、TNF-α機能に対するアンタゴニスト(米国特許第6,015,558号)、成長ホルモン放出因子(米国特許第5,939,387号)、及びアミリンに対する抗体(米国特許第5,942,227号)を含む。使用することのできる他の化合物には、インスリン(一以上の異なるインスリン)、インスリン模倣体、例えば小分子インスリン、上記の様なインスリン類似体又は生理学的に活性なその断片、上記の様なインスリン関連ペプチド、又は類似体又はその断片を含む。さらに薬剤は上記の定義に詳細に述べられる。
低インスリン血症を治療するために、例えば、インスリンをDkk−1に対するアンタゴニストとともに、あるいは別々に投与してもよい。
このような更なる分子は、意図した目的に有効な量で、典型的にはDkk−1に対するアンタゴニスト無しに単独で投与される場合に使用されるよりも少ない量で組み合わせられて適切に存在し、あるいは投与される。それらが一緒に処方される場合、それらは例えば、適応症の型、対象、対象の年齢及び体重、現在の臨床状態、投与時間、投薬形態、投与方法等によって決定される量で処方されうる。例えば、併用剤は、好ましくはここでのDkk−1に対するアンタゴニストの一重量部に対して約0.0001〜10,000重量部の割合で使用される。
インスリンと組み合わせてDkk−1に対するアンタゴニストを使用することは、インスリンのみの投与の際の用量と比較してインスリンの投与量を減少させることを可能にする。従って、大量のインスリン投与による問題でありうる、血管合併症及び低血糖症の徴候の危険は低い。成人糖尿病患者(体重約50kg)に対するインスリン投与について、例えば、一日の用量は通常10〜100 U(単位)、好ましくは10〜80 Uであるが、これは医師の決定によって少なくすることもできる。同じタイプの患者に対するインスリン分泌促進剤の投与について、例えば、一日の用量は好ましくは約0.1〜1000mg、より好ましくは約1〜100mgである。同じタイプの患者へのビグアナイドの投与について、例えば、一日の用量は好ましくは約10〜2500mg、より好ましくは100〜1000mgである。同じタイプの患者へのα-グルコシダーゼ阻害剤の投与について、例えば、一日の用量は好ましくは約0.1〜400mg、より好ましくは約0.6〜300mgである。このような患者へのエルゴセット(ergoset)、プラムリンチド(pramlintide)、レプチン、BAY-27-9955、又はT-1095の投与は、好ましくは約0.1〜2500mg、より好ましくは約0.5〜1000mgの用量において有効であり得る。上記の用量は全て、一日に1〜数回投与されうる。
インスリンと組み合わせてDkk−1に対するアンタゴニストを使用することは、インスリンのみの投与の際の用量と比較してインスリンの投与量を減少させることを可能にする。従って、大量のインスリン投与による問題でありうる、血管合併症及び低血糖症の徴候の危険は低い。成人糖尿病患者(体重約50kg)に対するインスリン投与について、例えば、一日の用量は通常10〜100 U(単位)、好ましくは10〜80 Uであるが、これは医師の決定によって少なくすることもできる。同じタイプの患者に対するインスリン分泌促進剤の投与について、例えば、一日の用量は好ましくは約0.1〜1000mg、より好ましくは約1〜100mgである。同じタイプの患者へのビグアナイドの投与について、例えば、一日の用量は好ましくは約10〜2500mg、より好ましくは100〜1000mgである。同じタイプの患者へのα-グルコシダーゼ阻害剤の投与について、例えば、一日の用量は好ましくは約0.1〜400mg、より好ましくは約0.6〜300mgである。このような患者へのエルゴセット(ergoset)、プラムリンチド(pramlintide)、レプチン、BAY-27-9955、又はT-1095の投与は、好ましくは約0.1〜2500mg、より好ましくは約0.5〜1000mgの用量において有効であり得る。上記の用量は全て、一日に1〜数回投与されうる。
また、インスリン抵抗性のための適切な非薬剤治療、例えば膵臓移植などと共に、Dkk−1アンタゴニストが投与される。
インスリン抵抗性又は低インスリン血症哺乳動物に投与されるアンタゴニストの投与量は、医者により哺乳動物の状態、アンタゴニストの型、適応症の型、及び投与経路の選択を含む関連する事情を考慮して決定されうる。投与量は、好ましくは重大な程度にまで体重増加を引き起こさないように有意に低いレベルであり、そのレベルは医者によって判断される。ヒト2型糖尿病の治療用に認可されているグリタゾン(ロシグリタゾン/アバンディア及びピオグリタゾン/アクトス)は体重増加を引き起こすが、それらの治療計数によって有効であることが証明されているので、その副作用にもかかわらず使用される。ここで示される投与量の範囲は決して本発明の範囲を限定することを意図していない。低インスリン血症及びインスリン抵抗性のためのここでの目的のために「治療的に有効な」量は上記要因によって決定されるが、一般的には約0.01〜100mg/kg体重/日である。好ましい用量は約0.1〜50mg/kg/日、より好ましくは約0.1〜25mg/kg/日である。また、さらに好ましくは、Dkk−1アンタゴニストが毎日投与される場合に、ヒトへの静脈内又は筋肉内投与の量は、一日につき約0.3〜10mg/kg体重、より好ましくは約0.5〜5mg/kg体重である。皮下投与について、投与量は、好ましくは静脈内又は筋肉内に供給される治療的に等価な投与量よりも多い。どちらの適応についても好ましくはヒトへの一日の投与量は約0.3〜20mg/kg、より好ましくは0.5〜5mg/kgである。
インスリン抵抗性又は低インスリン血症哺乳動物に投与されるアンタゴニストの投与量は、医者により哺乳動物の状態、アンタゴニストの型、適応症の型、及び投与経路の選択を含む関連する事情を考慮して決定されうる。投与量は、好ましくは重大な程度にまで体重増加を引き起こさないように有意に低いレベルであり、そのレベルは医者によって判断される。ヒト2型糖尿病の治療用に認可されているグリタゾン(ロシグリタゾン/アバンディア及びピオグリタゾン/アクトス)は体重増加を引き起こすが、それらの治療計数によって有効であることが証明されているので、その副作用にもかかわらず使用される。ここで示される投与量の範囲は決して本発明の範囲を限定することを意図していない。低インスリン血症及びインスリン抵抗性のためのここでの目的のために「治療的に有効な」量は上記要因によって決定されるが、一般的には約0.01〜100mg/kg体重/日である。好ましい用量は約0.1〜50mg/kg/日、より好ましくは約0.1〜25mg/kg/日である。また、さらに好ましくは、Dkk−1アンタゴニストが毎日投与される場合に、ヒトへの静脈内又は筋肉内投与の量は、一日につき約0.3〜10mg/kg体重、より好ましくは約0.5〜5mg/kg体重である。皮下投与について、投与量は、好ましくは静脈内又は筋肉内に供給される治療的に等価な投与量よりも多い。どちらの適応についても好ましくはヒトへの一日の投与量は約0.3〜20mg/kg、より好ましくは0.5〜5mg/kgである。
本発明は、様々な投薬計画が考えられる。本発明は、Dkk−1アンタゴニストが実質的な中断なしに定期的(用量及び投与形態に依存して毎日、毎週、又は毎月)に投与される連続した投与計画を包含する。好ましい連続投与計画は、Dkk−1アンタゴニストが毎日注入される日々連続注入、Dkk−1アンタゴニストが一日一回ボーラス注射又は吸入又は鼻腔内経路によって投与されるボーラス投与計画を含む。また、本発明は、不連続投与計画も包含する。不連続投与計画の的確なパラメーターは、製剤、供給方法、及び治療される哺乳動物の臨床的な要求によって変化しうる。例えばDkk−1アンタゴニストが注入によって投与される場合には、投与計画は、第1期の投与に続いてDkk−1アンタゴニストが投与されず第1期よりも多い、同じ又は少ない第2期の投与を含む。
投与がボーラス注射、特に徐放性製剤のボーラス注射による場合、投与計画はまた、Dkk−1アンタゴニストが毎日投与される連続的なもの、あるいは上記のような第1及び第2の期間の不連続的なものであり得る。
また、任意の方法による連続又は不連続投与計画には、用量が第1期の間調節された投与計画、例えば用量を第1期の最初に少なくして第1期の終わりまで増加させるようなもの、用量を初めは高くして第1期の間に減少させるもの、用量を最初に低くして最高のレベルまで増加させ、次いで第1期の終わりに向けて減少させるもの、及びそのあらゆる組合せを含む。
投与がボーラス注射、特に徐放性製剤のボーラス注射による場合、投与計画はまた、Dkk−1アンタゴニストが毎日投与される連続的なもの、あるいは上記のような第1及び第2の期間の不連続的なものであり得る。
また、任意の方法による連続又は不連続投与計画には、用量が第1期の間調節された投与計画、例えば用量を第1期の最初に少なくして第1期の終わりまで増加させるようなもの、用量を初めは高くして第1期の間に減少させるもの、用量を最初に低くして最高のレベルまで増加させ、次いで第1期の終わりに向けて減少させるもの、及びそのあらゆる組合せを含む。
インスリン抵抗性におけるDkk−1アンタゴニストの投与の影響は、当該分野で既知の様々なアッセイによって測定することができる。最も一般的には、糖尿病の影響の軽減は、(血糖の連続検査によって測定されるような)改善された糖血症の制御、良好な糖血症制御を維持するためのインスリン要求の低減、グリコシル化ヘモグロビンの減少、糖化最終産物(AGE)の血液レベルの減少、低減された「暁減少」、減少したケトアシドーシス、及び改善された脂質プロフィールを生じうる。あるいは、Dkk−1アンタゴニストの投与は、血糖レベルの低減、減少したインスリン要求、減少したグリコシル化ヘモグロビン及び血液AGE、低減した血管、腎臓、神経及び網膜合併症、低減した妊娠合併症、及び改善した脂質プロフィールに依って示される様な糖尿病の症状の安定を生じうる。
Dkk−1アンタゴニストの影響を低下させる血糖は、対象の静脈血漿のグルコース又はHb(ヘモグロビン)A1cの濃度を投与の前と後に測定し、次いで得られた投与前と投与後の濃度を比較することによって評価することができる。HbA1cは、グリコシル化ヘモグロビンを意味し、血糖濃度に応じて徐々に生成される。従って、HbA1cは、糖尿病患者において素早い血糖変化の影響をあまり受けない血糖制御の指標として重要であると考えられる。
低インスリン血症治療の証拠は、例えば、患者のインスリン循環レベルの増加によって示される。
Dkk−1アンタゴニストの影響を低下させる血糖は、対象の静脈血漿のグルコース又はHb(ヘモグロビン)A1cの濃度を投与の前と後に測定し、次いで得られた投与前と投与後の濃度を比較することによって評価することができる。HbA1cは、グリコシル化ヘモグロビンを意味し、血糖濃度に応じて徐々に生成される。従って、HbA1cは、糖尿病患者において素早い血糖変化の影響をあまり受けない血糖制御の指標として重要であると考えられる。
低インスリン血症治療の証拠は、例えば、患者のインスリン循環レベルの増加によって示される。
筋修復及び再生のための投与は、患者の状態、所望される筋肉修復の特定の型に依存して、典型的には約0.01〜100mg/kg体重、より好ましくは1〜10mg/kgである。投与計画は、この分野の臨床医によって用いられる標準的な計画に従う。筋肉修復又は再生の証拠は、筋細胞の増殖及び分化のアッセイ、並びにポリメラーゼ鎖反応試験(例えば、定量逆相転写ポリメラーゼ鎖反応を用いてウサギの骨格筋の治癒における筋芽細胞及び線維芽細胞誘導遺伝子産物のmRNAレベルにおける変化の分析を提供する、Best等, J. Orthop. Res., 19:565-572 (2001)参照)を含む、当該分野でよく知られた様々な測定試験によって示される。
また、本発明は、インスリン抵抗性及び低インスリン血症の治療、並びに筋肉の修復及び再生のためのキットを提供する。本発明のキットは、Dkk−1アンタゴニスト、好ましくは抗体の一以上の容器を、説明書、一般的にはインスリン抵抗性又は低インスリン血症、又は筋肉の修復又は再生のためのDkk−1アンタゴニストの使用及び投与量に関する指示が記載されたものと組み合わせて含む。キットに含まれる説明書は、一般的にインスリン抵抗性又は低インスリン血症の疾患、あるいは筋肉の状態を治療するための投与量、投与計画、投与経路のような情報を含む。Dkk−1アンタゴニストの容器は、個別用量、バルクパッケージ(例えば、複数回用量のパッケージ)、又はサブユニット用量であり得る。
Dkk−1アンタゴニストは、便利で適したあらゆるパッケージに梱包されうる。例えば、Dkk−1アンタゴニストが凍結乾燥された製剤である場合、通常は弾力性の栓を有するアンプルで使用され、従って薬剤は弾力性の栓を通して液体を注入することにより、簡単に元に戻すことができる。非弾性の取り外し可能な閉鎖手段(例えば、密閉硝子)又は弾力性の栓を有するアンプルは、Dkk−1アンタゴニストの注射用の形態で最もよく使用される。また、例えば吸入器、経鼻投与装置(例えば、噴霧器)、又はミニポンプ等の輸液装置のような特定の装置と組み合わせた使用のための容器も考慮される。
また、本発明は、インスリン抵抗性及び低インスリン血症の治療、並びに筋肉の修復及び再生のためのキットを提供する。本発明のキットは、Dkk−1アンタゴニスト、好ましくは抗体の一以上の容器を、説明書、一般的にはインスリン抵抗性又は低インスリン血症、又は筋肉の修復又は再生のためのDkk−1アンタゴニストの使用及び投与量に関する指示が記載されたものと組み合わせて含む。キットに含まれる説明書は、一般的にインスリン抵抗性又は低インスリン血症の疾患、あるいは筋肉の状態を治療するための投与量、投与計画、投与経路のような情報を含む。Dkk−1アンタゴニストの容器は、個別用量、バルクパッケージ(例えば、複数回用量のパッケージ)、又はサブユニット用量であり得る。
Dkk−1アンタゴニストは、便利で適したあらゆるパッケージに梱包されうる。例えば、Dkk−1アンタゴニストが凍結乾燥された製剤である場合、通常は弾力性の栓を有するアンプルで使用され、従って薬剤は弾力性の栓を通して液体を注入することにより、簡単に元に戻すことができる。非弾性の取り外し可能な閉鎖手段(例えば、密閉硝子)又は弾力性の栓を有するアンプルは、Dkk−1アンタゴニストの注射用の形態で最もよく使用される。また、例えば吸入器、経鼻投与装置(例えば、噴霧器)、又はミニポンプ等の輸液装置のような特定の装置と組み合わせた使用のための容器も考慮される。
肥満及び高インスリン血症適応のための治療的な使用
肥満及び高インスリン血症適応のために、Dkk−1を、非経口の投与経路、例えば、限定するものではないが静脈内(IV)、筋肉内(IM)、皮下(SC)、及び腹腔内(IP)、並びに経皮、頬側、舌下、直腸内、鼻腔内、及び吸入の経路を含むあらゆる適した経路によって投与する。IV、IM、SC、及びIP投与はボーラス又はインフュージョンによって、また、SCの場合には徐放性の移植可能な手段、例えば、限定するものではないがポンプ、徐放製剤、及び機械装置によってなされうる。好ましくは、投与は全身的である。
Dkk−1の投与のための、ある特定の好ましい方法は、特に定量注入装置、例えばポンプを用いた皮下注入によるものである。このようなポンプは、再利用可能でも使い捨てであってもよく、移植可能でも外部装置であってもよい。この目的に有効に利用される薬剤注入ポンプは、例えば米国特許第5,637,095号;5,569,186号;及び5,527,307号に開示されるポンプを含む。組成物はこのような装置から連続して、又は間欠的に投与されうる。
保存に適したDkk−1の治療用製剤は、水溶液、又は凍結乾燥の形態で、所望の純度を持つDkk−1と生理学的に許容される担体、賦形剤又は安定化剤の混合物を含む(Remington's Pharmaceutical Sciences 16版, Osol, A. 編, (1980))。許容される担体、賦形剤又は安定化剤は、用いられる用量と濃度でレシピエントに非毒性であり、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンズエトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又はTWEEN(商品名)、PLURONICS(商品名)又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。好ましい凍結乾燥Dkk−1製剤は、WO97/04801に記載されている。これらの組成物は、好ましくは可溶形態で、約0.1〜90重量%、より一般的には約10〜30%の活性Dkk−1を含むDkk−1を含んでなる。
肥満及び高インスリン血症適応のために、Dkk−1を、非経口の投与経路、例えば、限定するものではないが静脈内(IV)、筋肉内(IM)、皮下(SC)、及び腹腔内(IP)、並びに経皮、頬側、舌下、直腸内、鼻腔内、及び吸入の経路を含むあらゆる適した経路によって投与する。IV、IM、SC、及びIP投与はボーラス又はインフュージョンによって、また、SCの場合には徐放性の移植可能な手段、例えば、限定するものではないがポンプ、徐放製剤、及び機械装置によってなされうる。好ましくは、投与は全身的である。
Dkk−1の投与のための、ある特定の好ましい方法は、特に定量注入装置、例えばポンプを用いた皮下注入によるものである。このようなポンプは、再利用可能でも使い捨てであってもよく、移植可能でも外部装置であってもよい。この目的に有効に利用される薬剤注入ポンプは、例えば米国特許第5,637,095号;5,569,186号;及び5,527,307号に開示されるポンプを含む。組成物はこのような装置から連続して、又は間欠的に投与されうる。
保存に適したDkk−1の治療用製剤は、水溶液、又は凍結乾燥の形態で、所望の純度を持つDkk−1と生理学的に許容される担体、賦形剤又は安定化剤の混合物を含む(Remington's Pharmaceutical Sciences 16版, Osol, A. 編, (1980))。許容される担体、賦形剤又は安定化剤は、用いられる用量と濃度でレシピエントに非毒性であり、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存料(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンズエトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTA等のキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール等の糖;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又はTWEEN(商品名)、PLURONICS(商品名)又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。好ましい凍結乾燥Dkk−1製剤は、WO97/04801に記載されている。これらの組成物は、好ましくは可溶形態で、約0.1〜90重量%、より一般的には約10〜30%の活性Dkk−1を含むDkk−1を含んでなる。
また活性成分は、例えばコアセルベーション技術又は界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えばヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル、コロイド状ドラッグデリバリー系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ-粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションに捕捉させてもよい。このような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences, 上掲に開示されている。
Dkk−1のリポソーム形態もまた、従来からの方法によって容易に作成することができる。さらに、徐放性調合物を調製してもよい。徐放性調合物の好ましい例は、Dkk−1を含む疎水性固体ポリマーの半透性マトリクスを含み、そのマトリクスは成形物、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリクスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(商品名)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシブチル酸が含まれる。
当該分野の技術者によく知られるようなその血清半減期を増加させるために、Dkk−1をこの性質の担体タンパク質又はPEG又はPOG又は他の分子に付加することができる。
Dkk−1のリポソーム形態もまた、従来からの方法によって容易に作成することができる。さらに、徐放性調合物を調製してもよい。徐放性調合物の好ましい例は、Dkk−1を含む疎水性固体ポリマーの半透性マトリクスを含み、そのマトリクスは成形物、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリクスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(商品名)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシブチル酸が含まれる。
当該分野の技術者によく知られるようなその血清半減期を増加させるために、Dkk−1をこの性質の担体タンパク質又はPEG又はPOG又は他の分子に付加することができる。
インビボ投与に用いる製剤は無菌であるべきである。これは、滅菌濾過膜を通した濾過により容易に達成される。
高インスリン血症の治療において、Dkk−1の投与は、例えばジアゾキシド(例えば、Shaer, Nephron, 89: 337-339 (2001))と組み合わせてなされうる。
肥満の治療において、Dkk−1の投与は、個々の患者の要求に応じて、日常の食物又はカロリー摂取の制限のような食事制限なしになされうるか、あるいはそれを強いられうる。さらに、Dkk−1は、肥満に対処又は防止するための減量薬のようなここで知られる他の治療と組み合わせて適切に投与される。この目的に有用な物質は、例えば、ホルモン(カテコールアミン、グルカゴン、ACTH、及び成長ホルモンとインスリン様成長因子との組合せ);Obタンパク質;クロフィブラート;ハロゲナート(halogenate);シンコカイン;クロルプロマジン;マジンドール及びフェネチルアミンの誘導体のようなノルアドレナリン作動性神経伝達物質に作用する食欲抑制薬、例えばフェニルプロパノールアミン、ジエチルプロピオン、フェンテルミン、フェンジメトラジン、ベンズフェタミン、アンフェタミン、メタンフェタミン、及びフェンメトラジン;フェンフルラミン、トリプトファン、5-ヒドロキシトリプトファン、フルオキセチン、及びセルトラリン等のセロトニン神経伝達物質に作用する薬剤;ナロキソン、ニューロペプチド-Y、ガラニン、コルチコトロピン関連ホルモン、及びコレシストキニン等の中枢作用薬;ピリドスチグミン等のコリン作動性アゴニスト;リゾスフィンゴ脂質又はその誘導体等のスフィンゴ脂質(1989年6月21日公開のEP321,287);甲状腺ホルモン等の発熱性薬剤;エフェドリン;β-アドレナリン作動薬;酵素阻害剤等の消化管に影響する薬剤、例えばテトラヒドロリポスタチン、スクロースポリエステルのような消化の悪い食物、及びスレオ-塩化クエン酸又はその誘導体等の胃排出阻害剤;イソプロテレノール及びヨヒンビン等のβ-アドレナリン作動薬;クロニジン単独又は成長ホルモン放出ペプチドと組み合わせたα2-アドレナリン阻害剤、ヨヒンビンのβ-アドレナリン様効果を増大させるアミノフィリン(1992年6月9日公開の米国特許第5,120,713号);メトホルミン及びフェンホルミン等のビグアナイド類のような腸管吸収を妨げる薬剤;メチルセルロース等の増量剤;ヒドロキシクエン酸などの代謝阻害剤;コレシストキニンアゴニスト;ケト酸を模倣する小分子;コルチコトロピン関連ホルモンへの作用薬;体脂肪蓄積を減少させる麦角関連プロラクチン阻害性化合物(1988年11月8日公開の米国特許第4,783,469号);β-3-アゴニスト;ブロモクリプチン;オピオイドペプチドに対するアンタゴニスト;ニューロペプチドYに対するアンタゴニスト;糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト;成長ホルモンアゴニスト;それらの組合せ等を含む。これは、Bray及びGreenway, Clinics in Endocrinol. and Metabol., 5: 455 (1976)に記載される全ての薬剤を含む。
高インスリン血症の治療において、Dkk−1の投与は、例えばジアゾキシド(例えば、Shaer, Nephron, 89: 337-339 (2001))と組み合わせてなされうる。
肥満の治療において、Dkk−1の投与は、個々の患者の要求に応じて、日常の食物又はカロリー摂取の制限のような食事制限なしになされうるか、あるいはそれを強いられうる。さらに、Dkk−1は、肥満に対処又は防止するための減量薬のようなここで知られる他の治療と組み合わせて適切に投与される。この目的に有用な物質は、例えば、ホルモン(カテコールアミン、グルカゴン、ACTH、及び成長ホルモンとインスリン様成長因子との組合せ);Obタンパク質;クロフィブラート;ハロゲナート(halogenate);シンコカイン;クロルプロマジン;マジンドール及びフェネチルアミンの誘導体のようなノルアドレナリン作動性神経伝達物質に作用する食欲抑制薬、例えばフェニルプロパノールアミン、ジエチルプロピオン、フェンテルミン、フェンジメトラジン、ベンズフェタミン、アンフェタミン、メタンフェタミン、及びフェンメトラジン;フェンフルラミン、トリプトファン、5-ヒドロキシトリプトファン、フルオキセチン、及びセルトラリン等のセロトニン神経伝達物質に作用する薬剤;ナロキソン、ニューロペプチド-Y、ガラニン、コルチコトロピン関連ホルモン、及びコレシストキニン等の中枢作用薬;ピリドスチグミン等のコリン作動性アゴニスト;リゾスフィンゴ脂質又はその誘導体等のスフィンゴ脂質(1989年6月21日公開のEP321,287);甲状腺ホルモン等の発熱性薬剤;エフェドリン;β-アドレナリン作動薬;酵素阻害剤等の消化管に影響する薬剤、例えばテトラヒドロリポスタチン、スクロースポリエステルのような消化の悪い食物、及びスレオ-塩化クエン酸又はその誘導体等の胃排出阻害剤;イソプロテレノール及びヨヒンビン等のβ-アドレナリン作動薬;クロニジン単独又は成長ホルモン放出ペプチドと組み合わせたα2-アドレナリン阻害剤、ヨヒンビンのβ-アドレナリン様効果を増大させるアミノフィリン(1992年6月9日公開の米国特許第5,120,713号);メトホルミン及びフェンホルミン等のビグアナイド類のような腸管吸収を妨げる薬剤;メチルセルロース等の増量剤;ヒドロキシクエン酸などの代謝阻害剤;コレシストキニンアゴニスト;ケト酸を模倣する小分子;コルチコトロピン関連ホルモンへの作用薬;体脂肪蓄積を減少させる麦角関連プロラクチン阻害性化合物(1988年11月8日公開の米国特許第4,783,469号);β-3-アゴニスト;ブロモクリプチン;オピオイドペプチドに対するアンタゴニスト;ニューロペプチドYに対するアンタゴニスト;糖質コルチコイド受容体アンタゴニスト;成長ホルモンアゴニスト;それらの組合せ等を含む。これは、Bray及びGreenway, Clinics in Endocrinol. and Metabol., 5: 455 (1976)に記載される全ての薬剤を含む。
これらの減量補助剤及びジアゾキシドは、Dkk−1の投与と同時に、その前に又はその後に投与することができ、Dkk−1が投与されるのと同じ又は異なる投与経路で投与することができる。
肥満又は高インスリン血症哺乳動物に投与されるDkk−1の投与量は、医者により哺乳動物の状態、Dkk−1の型、及び投与経路の選択を含む関連する事情を考慮して決定されうる。投与量は、好ましくはインスリン抵抗性を引き起こさないように有意に低いレベルであり、そのレベルは医者によって判断される。ヒト2型糖尿病の治療用に認可されているグリタゾン(ロシグリタゾン/アバンディア及びピオグリタゾン/アクトス)は体重増加を引き起こすが、それらの治療計数は全体的に見れば有効であることが示されているので、その副作用にもかかわらず使用される。ここで示される投与量の範囲は決して本発明の範囲を限定することを意図していない。ここでの目的のためのDkk−1の「治療的に有効な」量は上記要因によって決定されるが、一般的にはどちらの症状についても約0.01〜100mg/kg体重/日である。好ましい用量は約0.1〜50mg/kg/日、より好ましくは約0.1〜25mg/kg/日である。また、さらに好ましくは、Dkk−1が毎日投与される場合に、ヒトへの静脈内又は筋肉内投与の量は、一日につき約0.3〜10mg/kg体重、より好ましくは約0.5〜5mg/kg体重である。皮下投与について、投与量は、好ましくは静脈内又は筋肉内に供給される治療的に等価な投与量よりも多い。どちらの適応についても好ましくはヒトへの一日の投与量は約0.3〜20mg/kg、より好ましくは0.5〜5mg/kgである。
肥満又は高インスリン血症哺乳動物に投与されるDkk−1の投与量は、医者により哺乳動物の状態、Dkk−1の型、及び投与経路の選択を含む関連する事情を考慮して決定されうる。投与量は、好ましくはインスリン抵抗性を引き起こさないように有意に低いレベルであり、そのレベルは医者によって判断される。ヒト2型糖尿病の治療用に認可されているグリタゾン(ロシグリタゾン/アバンディア及びピオグリタゾン/アクトス)は体重増加を引き起こすが、それらの治療計数は全体的に見れば有効であることが示されているので、その副作用にもかかわらず使用される。ここで示される投与量の範囲は決して本発明の範囲を限定することを意図していない。ここでの目的のためのDkk−1の「治療的に有効な」量は上記要因によって決定されるが、一般的にはどちらの症状についても約0.01〜100mg/kg体重/日である。好ましい用量は約0.1〜50mg/kg/日、より好ましくは約0.1〜25mg/kg/日である。また、さらに好ましくは、Dkk−1が毎日投与される場合に、ヒトへの静脈内又は筋肉内投与の量は、一日につき約0.3〜10mg/kg体重、より好ましくは約0.5〜5mg/kg体重である。皮下投与について、投与量は、好ましくは静脈内又は筋肉内に供給される治療的に等価な投与量よりも多い。どちらの適応についても好ましくはヒトへの一日の投与量は約0.3〜20mg/kg、より好ましくは0.5〜5mg/kgである。
本発明は、様々な投薬計画が考えられる。本発明は、Dkk−1が実質的な中断なしに定期的(用量及び投与形態に依存して毎日、毎週、又は毎月)に投与される連続した投与計画を包含する。好ましい連続投与計画は、Dkk−1が毎日注入される日々連続注入、Dkk−1が一日一回ボーラス注射又は吸入又は鼻腔内経路によって投与されるボーラス投与計画を含む。また、本発明は、不連続投与計画も包含する。不連続投与計画の的確なパラメーターは、製剤、供給方法、及び治療される哺乳動物の臨床的な要求によって変化しうる。例えばDkk−1が注入によって投与される場合には、投与計画は、第1期の投与に続いてDkk−1が投与されず第1期よりも多い、同じ又は少ない第2期の投与を含む。
投与がボーラス注射、特に徐放性製剤のボーラス注射による場合、投与計画はまた、Dkk−1が毎日投与される連続的なもの、あるいは上記のような第1及び第2の期間の不連続的なものであり得る。
また、任意の方法による連続又は不連続投与計画には、用量が第1期の間調節された投与計画、例えば用量を第1期の最初に少なくして第1期の終わりまで増加させるようなもの、用量を初めは高くして第1期の間に減少させるもの、用量を最初に低くして最高のレベルまで増加させ、次いで第1期の終わりに向けて減少させるもの、及びそのあらゆる組合せを含む。
肥満におけるDkk−1の投与の影響は、脂肪細胞及び組織のアッセイ、例えば脂肪体(fat-pads)、全体重、筋肉、肝臓及び脂肪のトリグリセリドレベル、レプチンの空腹時及び非空腹時レベル、並びに血液中の遊離脂肪酸及びトリグリセリドのレベルの分析を含む当該分野で既知の様々なアッセイによって測定することができる。また、高インスリン血症におけるDkk−1の投与の影響は、様々なアッセイによって測定できるが、最も一般的には体の循環インスリンレベルを測定することである。
投与がボーラス注射、特に徐放性製剤のボーラス注射による場合、投与計画はまた、Dkk−1が毎日投与される連続的なもの、あるいは上記のような第1及び第2の期間の不連続的なものであり得る。
また、任意の方法による連続又は不連続投与計画には、用量が第1期の間調節された投与計画、例えば用量を第1期の最初に少なくして第1期の終わりまで増加させるようなもの、用量を初めは高くして第1期の間に減少させるもの、用量を最初に低くして最高のレベルまで増加させ、次いで第1期の終わりに向けて減少させるもの、及びそのあらゆる組合せを含む。
肥満におけるDkk−1の投与の影響は、脂肪細胞及び組織のアッセイ、例えば脂肪体(fat-pads)、全体重、筋肉、肝臓及び脂肪のトリグリセリドレベル、レプチンの空腹時及び非空腹時レベル、並びに血液中の遊離脂肪酸及びトリグリセリドのレベルの分析を含む当該分野で既知の様々なアッセイによって測定することができる。また、高インスリン血症におけるDkk−1の投与の影響は、様々なアッセイによって測定できるが、最も一般的には体の循環インスリンレベルを測定することである。
また、本発明は、肥満又は高インスリン血症の治療のためのキットを提供する。本発明のキットは、Dkk−1、好ましくはヒトDkk−1の一以上の容器を、説明書、一般的には肥満又は高インスリン血症のためのDkk−1の使用及び投与量に関する指示が記載されたものと組み合わせて含む。キットに含まれる説明書は、一般的に高インスリン状態を治療するための投与量、投与計画、投与経路のような情報を含む。Dkk−1の容器は、個別用量、バルクパッケージ(例えば、複数回用量のパッケージ)、又はサブユニット用量であり得る。
Dkk−1は、便利で適したあらゆるパッケージに梱包されうる。例えば、Dkk−1が凍結乾燥された製剤である場合、通常は弾力性の栓を有するアンプルで使用され、従って薬剤は弾力性の栓を通して液体を注入することにより、簡単に元に戻すことができる。非弾性の取り外し可能な閉鎖手段(例えば、密閉硝子)又は弾力性の栓を有するアンプルは、Dkk−1の注射用の形態で最もよく使用される。また、例えば吸入器、経鼻投与装置(例えば、噴霧器)、又はミニポンプ等の輸液装置のような特定の装置と組み合わせた使用のための容器も考慮される。
Dkk−1は、便利で適したあらゆるパッケージに梱包されうる。例えば、Dkk−1が凍結乾燥された製剤である場合、通常は弾力性の栓を有するアンプルで使用され、従って薬剤は弾力性の栓を通して液体を注入することにより、簡単に元に戻すことができる。非弾性の取り外し可能な閉鎖手段(例えば、密閉硝子)又は弾力性の栓を有するアンプルは、Dkk−1の注射用の形態で最もよく使用される。また、例えば吸入器、経鼻投与装置(例えば、噴霧器)、又はミニポンプ等の輸液装置のような特定の装置と組み合わせた使用のための容器も考慮される。
診断用途
試料においてコントロール試料と比較したDkk−1の量を検出するために、多くの様々なアッセイ及びアッセイ形式を利用することができる。これらの形式は、同様に本発明の診断アッセイに利用され、哺乳動物におけるインスリン抵抗性、高又は低インスリン血症、あるいは肥満の存在又は発症を検出するために使用される。
本発明の実施においては溶解分析物の測定に対して当該分野で知られている任意の方法を使用できる。そのような方法には、限定されるものではなく、競合及び非競合アッセイシステムで、ラジオイムノアッセイのような技術を使用するもの、酵素免疫測定法(EIA)、好ましくはELISA、「サンドイッチ」イムノアッセイ、沈降反応、ゲル拡散反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射線測定法、蛍光免疫測定法、プロテインA免疫測定法、及び免疫電気泳動アッセイが含まれる。好適なイムノアッセイ法の例については、米国特許第4,845,026号及び同第5,006,459号を参照されたい。
一実施態様においては、アッセイに使用される一以上の抗Dkk−1抗体は標識され;他の実施態様では、第1は標識されず、第2抗体は標識されたものが、第1抗体に結合したDkk−1を検出するために使用され、あるいは第1抗体を検出するために使用される。
試料においてコントロール試料と比較したDkk−1の量を検出するために、多くの様々なアッセイ及びアッセイ形式を利用することができる。これらの形式は、同様に本発明の診断アッセイに利用され、哺乳動物におけるインスリン抵抗性、高又は低インスリン血症、あるいは肥満の存在又は発症を検出するために使用される。
本発明の実施においては溶解分析物の測定に対して当該分野で知られている任意の方法を使用できる。そのような方法には、限定されるものではなく、競合及び非競合アッセイシステムで、ラジオイムノアッセイのような技術を使用するもの、酵素免疫測定法(EIA)、好ましくはELISA、「サンドイッチ」イムノアッセイ、沈降反応、ゲル拡散反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射線測定法、蛍光免疫測定法、プロテインA免疫測定法、及び免疫電気泳動アッセイが含まれる。好適なイムノアッセイ法の例については、米国特許第4,845,026号及び同第5,006,459号を参照されたい。
一実施態様においては、アッセイに使用される一以上の抗Dkk−1抗体は標識され;他の実施態様では、第1は標識されず、第2抗体は標識されたものが、第1抗体に結合したDkk−1を検出するために使用され、あるいは第1抗体を検出するために使用される。
診断的応用においては、抗体は典型的には検出可能な部分で標識される。一般的に以下の範疇にグループ分けされる多数の標識が利用可能である:
(a)放射性同位体、例えば、35S、14C、125I、3H及び131I等。抗体は、例えばCurrent Protocols in Immunology, Volumes 1 and 2, Coligen等編, (Wiley-Interscience, New York, 1991)に記載された技術を用いて放射性同位体又は放射性核種で標識され、放射能はシンチレーションカウンティングにより測定できる。
(b)蛍光標識、例えば希土類キレート(ユーロピウムキレート)又はフルオレセインとその誘導体(例えばフルオレセインイソチオシアネート)、ローダミンとその誘導体、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド(o-phthaldehyde)、フルオレサミン、ダンシル、リサミン(Lissamine)、及びテキサスレッド等が使用できる。蛍光標識は、例えば上掲のCurrent Protocols in Immunologyに開示された技術を用いて抗体に結合させることができる。蛍光は蛍光定量計によって定量できる。また、検出抗体は、蛍光発光金属、例えばランタノイドの152Eu又は他のものを用いて検出可能に標識することができる。これらの金属は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような金属キレート類を用いて抗体に付着されうる。
(c)種々の酵素−基質標識がEIAに利用でき、米国特許第4,275,149号は、それらの幾つかの概説を提供している。酵素は一般に種々の技術を用いて測定可能な色素原基質の化学変換を触媒する。例えば、酵素は基質における色変化を触媒し、それは分光学的に測定可能である。あるいは、酵素は基質の蛍光、化学発光、又は生物発光を変化させうる。蛍光変化を定量化する技術は上述している。化学発光基質は化学反応によって電子的に励起され、ついで(例えば化学発光計を用いて)測定可能な光を放出するか、又は蛍光受容体にエネルギーを供与する。酵素標識の例には、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、エクオリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸塩デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRPO)等のペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リソザイム、糖類オキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、及びグルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ)、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、Δ-V-ステロイドイソメラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アスパラギナーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ヘテロ環オキシダーゼ(ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ等)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼ等が含まれる。酵素を抗体に結合させる技術は、O'Sullivan等, Methods in Enzym., Langone and Van Vunakis編 (Academic press: New York)73: 147-166 (1981)に記載されている。
(a)放射性同位体、例えば、35S、14C、125I、3H及び131I等。抗体は、例えばCurrent Protocols in Immunology, Volumes 1 and 2, Coligen等編, (Wiley-Interscience, New York, 1991)に記載された技術を用いて放射性同位体又は放射性核種で標識され、放射能はシンチレーションカウンティングにより測定できる。
(b)蛍光標識、例えば希土類キレート(ユーロピウムキレート)又はフルオレセインとその誘導体(例えばフルオレセインイソチオシアネート)、ローダミンとその誘導体、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド(o-phthaldehyde)、フルオレサミン、ダンシル、リサミン(Lissamine)、及びテキサスレッド等が使用できる。蛍光標識は、例えば上掲のCurrent Protocols in Immunologyに開示された技術を用いて抗体に結合させることができる。蛍光は蛍光定量計によって定量できる。また、検出抗体は、蛍光発光金属、例えばランタノイドの152Eu又は他のものを用いて検出可能に標識することができる。これらの金属は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような金属キレート類を用いて抗体に付着されうる。
(c)種々の酵素−基質標識がEIAに利用でき、米国特許第4,275,149号は、それらの幾つかの概説を提供している。酵素は一般に種々の技術を用いて測定可能な色素原基質の化学変換を触媒する。例えば、酵素は基質における色変化を触媒し、それは分光学的に測定可能である。あるいは、酵素は基質の蛍光、化学発光、又は生物発光を変化させうる。蛍光変化を定量化する技術は上述している。化学発光基質は化学反応によって電子的に励起され、ついで(例えば化学発光計を用いて)測定可能な光を放出するか、又は蛍光受容体にエネルギーを供与する。酵素標識の例には、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、エクオリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸塩デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRPO)等のペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リソザイム、糖類オキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、及びグルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ)、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、Δ-V-ステロイドイソメラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アスパラギナーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ヘテロ環オキシダーゼ(ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ等)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼ等が含まれる。酵素を抗体に結合させる技術は、O'Sullivan等, Methods in Enzym., Langone and Van Vunakis編 (Academic press: New York)73: 147-166 (1981)に記載されている。
酵素−基質の組み合わせの例は、例えば以下を含む:
(i)セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRPO)と基質としての過酸化水素で、過酸化水素が染料前駆物質(例えば、オルトフェニレンジアミン(OPD)又は3,3',5,5'-テトラメチルベンジジンヒドロクロリド(TMB))を酸化する;
(ii)アルカリホスファターゼ(AP)と色素原基質としてのパラ-ニトロフェニルホスフェート;及び
(iii)β-D-ガラクトシダーゼ(β-D-Gal)と色素原基質(例えば、p-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシダーゼ)又は蛍光原基質4-メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトシダーゼ。
当業者には、数多くの他の酵素−基質の組み合わせが利用可能である。これらの一般的な概説は、米国特許第4,275,149号及び第4,318,980号を参照のこと。
標識は抗体に間接的に結合される場合もある。当業者であれば、これを達成するための種々の技術を知っているであろう。例えば、抗体にビオチンを結合させ、上述した3つの広い範疇の標識の任意のものにアビジンを結合するか、又はその逆が可能である。ビオチンはアビジンに選択的に結合し、よってこの間接的な方式で抗体に標識を結合させることができる。あるいは、抗体との標識の間接的な結合を達成するために、抗体に小さなハプテン(例えばジゴキシン)を結合させ、上述の異なるタイプの標識を抗ハプテン抗体(例えば抗ジゴキシン抗体)に結合させる。よって、抗体との標識の間接的な結合を達成できる。
(i)セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRPO)と基質としての過酸化水素で、過酸化水素が染料前駆物質(例えば、オルトフェニレンジアミン(OPD)又は3,3',5,5'-テトラメチルベンジジンヒドロクロリド(TMB))を酸化する;
(ii)アルカリホスファターゼ(AP)と色素原基質としてのパラ-ニトロフェニルホスフェート;及び
(iii)β-D-ガラクトシダーゼ(β-D-Gal)と色素原基質(例えば、p-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシダーゼ)又は蛍光原基質4-メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトシダーゼ。
当業者には、数多くの他の酵素−基質の組み合わせが利用可能である。これらの一般的な概説は、米国特許第4,275,149号及び第4,318,980号を参照のこと。
標識は抗体に間接的に結合される場合もある。当業者であれば、これを達成するための種々の技術を知っているであろう。例えば、抗体にビオチンを結合させ、上述した3つの広い範疇の標識の任意のものにアビジンを結合するか、又はその逆が可能である。ビオチンはアビジンに選択的に結合し、よってこの間接的な方式で抗体に標識を結合させることができる。あるいは、抗体との標識の間接的な結合を達成するために、抗体に小さなハプテン(例えばジゴキシン)を結合させ、上述の異なるタイプの標識を抗ハプテン抗体(例えば抗ジゴキシン抗体)に結合させる。よって、抗体との標識の間接的な結合を達成できる。
本発明の他の実施態様では、抗Dkk−1抗体を標識する必要はなく、その存在がDkk−1抗体に結合する標識抗体を用いて検出できる。
本発明の抗体は任意の公知のアッセイ法、例えば競合結合アッセイ、直接及び間接サンドイッチアッセイ、及び免疫沈降アッセイ等で用いられうる。Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp. 147-158 (CRC Press, Inc. 1987)。
本発明のアッセイでは、Dkk−1等の抗原又は抗体は、好ましくは固相支持体又は担体に結合している。「固相支持体又は担体」とは、抗原又は抗体を結合することのできる任意の支持体を意図する。周知の支持体、又は担体は、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然及び変性セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、及び磁鉄鉱を含む。担体の性質は、本発明の目的のために、或る程度の可溶性又は不溶性のいずれかとできる。支持体材料は、結合した分子が抗原又は抗体に結合できる限り、実際に任意の構造的配置を有することができる。即ち、支持体配置は、ビーズのような球状、あるいは試験管内面又はロッドの外表面のような円筒状であってよい。また、表面はシート、試験剥離片などのように平坦でよい。好ましい支持体はポリスチレンビーズを含む。当業者は、抗体又は抗原結合のための他の多くの好ましい担体を知っており、日常的実験を用いてそれを確認できるであろう。
本発明の抗体は任意の公知のアッセイ法、例えば競合結合アッセイ、直接及び間接サンドイッチアッセイ、及び免疫沈降アッセイ等で用いられうる。Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp. 147-158 (CRC Press, Inc. 1987)。
本発明のアッセイでは、Dkk−1等の抗原又は抗体は、好ましくは固相支持体又は担体に結合している。「固相支持体又は担体」とは、抗原又は抗体を結合することのできる任意の支持体を意図する。周知の支持体、又は担体は、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然及び変性セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、及び磁鉄鉱を含む。担体の性質は、本発明の目的のために、或る程度の可溶性又は不溶性のいずれかとできる。支持体材料は、結合した分子が抗原又は抗体に結合できる限り、実際に任意の構造的配置を有することができる。即ち、支持体配置は、ビーズのような球状、あるいは試験管内面又はロッドの外表面のような円筒状であってよい。また、表面はシート、試験剥離片などのように平坦でよい。好ましい支持体はポリスチレンビーズを含む。当業者は、抗体又は抗原結合のための他の多くの好ましい担体を知っており、日常的実験を用いてそれを確認できるであろう。
好ましい実施態様では、抗体−抗原−抗体サンドイッチ免疫測定がなされる、即ち、抗原は、第1の抗体を抗原に結合させ、そして第2の抗体を抗原に結合させ、そして第1及び第2の抗体により免疫特異的に結合した抗原を検出又は測定することを含む方法により検出又は測定される。特別な実施態様では、第1及び第2の抗体はモノクローナル抗体である。この実施態様において、抗原がモノクローナル抗体によって認識される反復エピトープを有していない場合、第2のモノクローナル抗体は、第1の抗体とは異なる部位に結合する(例えば、抗原への結合について2つの抗体間の競合的阻害が無いことによって反映される)。他の特別な実施態様では、第1又は第2の抗体はポリクローナル抗体である。さらに他の特別な実施態様では、第1及び第2の抗体の両方がポリクローナル抗体である。
好ましい実施態様では、以下に概略を説明する「順方向」サンドイッチ酵素免疫測定法が用いられる。Dkk−1に対する抗体(捕捉抗体、Ab1)が固相マトリクス、好ましくはマイクロプレートに結合される。試料をAb1-被覆マトリクスに接触させて、Ab1に特異的な試料中の任意のDkk−1を固相Ab1に結合させる。未結合試料成分は洗浄により除去する。抗原の第2のエピトープに対する酵素-抱合した第2の抗体(検出抗体、Ab2)をAb1によって捕捉された抗原に結合させ、サンドイッチを完了する。洗浄により未結合のAb2を除去した後、酵素に対する色素原基質を添加し、着色生成物をサンドイッチ中に存在する酵素量に比例して形成させ、それが試料中の抗原量を反映する。反応は停止液の添加で終結させる。分光器を用いて適当な波長における吸収として色を測定する。既知の濃度の抗原から標準曲線を作成し、それから未知試料の値を決定することができる。
好ましい実施態様では、以下に概略を説明する「順方向」サンドイッチ酵素免疫測定法が用いられる。Dkk−1に対する抗体(捕捉抗体、Ab1)が固相マトリクス、好ましくはマイクロプレートに結合される。試料をAb1-被覆マトリクスに接触させて、Ab1に特異的な試料中の任意のDkk−1を固相Ab1に結合させる。未結合試料成分は洗浄により除去する。抗原の第2のエピトープに対する酵素-抱合した第2の抗体(検出抗体、Ab2)をAb1によって捕捉された抗原に結合させ、サンドイッチを完了する。洗浄により未結合のAb2を除去した後、酵素に対する色素原基質を添加し、着色生成物をサンドイッチ中に存在する酵素量に比例して形成させ、それが試料中の抗原量を反映する。反応は停止液の添加で終結させる。分光器を用いて適当な波長における吸収として色を測定する。既知の濃度の抗原から標準曲線を作成し、それから未知試料の値を決定することができる。
「サンドイッチ」測定の他の型は、いわゆる「同時」及び「逆方向」測定である。同時測定は、固体支持体に結合した抗体及び標識抗体の両方が試験される試料に同時に添加される1回のインキュベーション工程を含む。インキュベーションが完了した後、固体支持体を洗浄して液体試料の残り及び複合していない標識抗体を除去する。次いで固体支持体に結合した標識抗体の存在を、従来の「順方向」サンドイッチ測定でなされるようにして決定する。
「逆方向」測定においては、第1に標識抗体溶液の液体試料への添加、それに続いて、適当なインキュベーション時間後の固体支持体に結合した非標識抗体の添加という段階が用いられる。第2のインキュベーションの後、固相を従来の方法で洗浄して試験される試料の残りと未反応の標識抗体を除く。次いで固体支持体に結合した標識抗体の決定を、「同時」及び「順方向」測定でなされるようにして決定する。
「逆方向」測定においては、第1に標識抗体溶液の液体試料への添加、それに続いて、適当なインキュベーション時間後の固体支持体に結合した非標識抗体の添加という段階が用いられる。第2のインキュベーションの後、固相を従来の方法で洗浄して試験される試料の残りと未反応の標識抗体を除く。次いで固体支持体に結合した標識抗体の決定を、「同時」及び「順方向」測定でなされるようにして決定する。
本発明のアッセイを実施するための成分を含む一以上の容器又はバイアルを備えるキットもまた本発明の範囲内にある。このようなキットは、所定量の試薬と診断アッセイを実施するための説明書を組み合わせて包装したものである。例えば、このようなキットは1又は複数の抗体、好ましくはDkk−1抗原に対する一組の抗体を含んでよく、それらは抗原の同一の結合部位において競合しないことが好ましい。特定の実施態様では、Dkk−1は固相基質に予め吸着されていてもよい。好ましくはキットは当技術分野で周知の他の必要な洗浄試薬を含む。EIAの場合、キットは発色基質とともに発色が生じた時に酵素反応を停止させるための試薬を含む。キットに含まれる基質は、抗体調製酵素と共役する酵素に適した基質である。これらは当技術分野で周知であり、いくつかを以下に例示する。また、キットは任意でDkk−1スタンダード、つまり標準試料中に標準量のDkk−1に相当する量の精製Dkk−1を含む。
抗体が酵素で標識される場合、キットは該酵素が必要とする補因子及び基質を含む(例えば検出可能な発色団又はフルオロフォアを提供する基質前駆体)。また、安定剤やバッファー(ブロックバッファー又は溶解バッファー)などの他の添加物を含んでよい。様々な試薬の相対量は、試薬溶液の濃度を、アッセイの感受性を実質的に最適化する濃度にするために様々であってよい。特に試薬は、溶解時に適切な濃度の試薬溶液を提供する賦形剤を含む、通常凍結乾燥された乾燥粉末として提供され得る。
1つの側面において、キットは、複数の容器に:固相担体、例えばマイクロタイタープレート上にコーティングされていてもよいDkk−1結合抗体、Dkk−1を含有する標準試料、及び検出における使用のための説明書を含み、ここでDkk−1結合抗体は検出可能に標識されているか、又はキットはさらに、Dkk−1と結合し且つ検出可能に標識された抗体、又は第1の抗体と結合する抗体を含む。
抗体が酵素で標識される場合、キットは該酵素が必要とする補因子及び基質を含む(例えば検出可能な発色団又はフルオロフォアを提供する基質前駆体)。また、安定剤やバッファー(ブロックバッファー又は溶解バッファー)などの他の添加物を含んでよい。様々な試薬の相対量は、試薬溶液の濃度を、アッセイの感受性を実質的に最適化する濃度にするために様々であってよい。特に試薬は、溶解時に適切な濃度の試薬溶液を提供する賦形剤を含む、通常凍結乾燥された乾燥粉末として提供され得る。
1つの側面において、キットは、複数の容器に:固相担体、例えばマイクロタイタープレート上にコーティングされていてもよいDkk−1結合抗体、Dkk−1を含有する標準試料、及び検出における使用のための説明書を含み、ここでDkk−1結合抗体は検出可能に標識されているか、又はキットはさらに、Dkk−1と結合し且つ検出可能に標識された抗体、又は第1の抗体と結合する抗体を含む。
トランスジェニック及びノックアウト動物と、それらを使用したスクリーニング
ヒト以外の動物種、例えば齧歯類及びさらに好ましくはマウスからDkk−1をコード化する核酸を使用してヒト以外のトランスジェニック又はバイナリートランスジェニック動物を作成することができ、すなわち、治療学的に有効な試薬の開発及びスクリーニングに有用である。Dkk−1ノックアウトマウスは胚性致死である(Mukhopadhyay等, Dev. Cell., 1: 423-434 (2001))。
トランスジェニック動物は、該動物、あるいは出生前の、例えば胚形成期の動物の祖先に導入された導入遺伝子を含む細胞を持つものである。導入遺伝子は、トランスジェニック動物の発達のもととなる細胞のゲノムに組み込まれたDNAである。
1つの実施態様では、トランスジェニック動物は、Dkk−1導入遺伝子をヒト以外の動物の生殖系列に導入して作成する。特にマウスなどのトランスジェニック動物の作成方法は当分野で常套的となっており、例えば米国特許第4,736,866号及び4,870,009号に記載されている。Dkk−1をコード化するマウスcDNAなどの動物cDNA又はその適切な配列を用いて、確立した技術にしたがってDkk−1をコード化するゲノムDNAをクローニングすることができ、該ゲノム配列を用いて、Dkk−1をコード化するDNAを発現する細胞を含むトランスジェニック動物を作成することができる。一般的には、特定の細胞が組織特異的エンハンサーでの導入遺伝子組込みの標的にされ、よって目標とするDkk−1の過剰発現がもたらされうる。胚形成期に該動物の生殖細胞に導入された、Dkk−1をコード化する導入遺伝子のコピーを含むトランスジェニック動物を用いて、Dkk−1をコード化するDNAの発現増加の影響を調べることができる。
様々な発達段階にある標的胚細胞を用いて導入遺伝子を導入することができる。標的とする胚細胞の発達段階によって異なる方法が用いられる。本発明の実施に使用する任意の動物の具体的な系列は、一般的に良好な健康状態、良好な胚生産、胚における前核の良好な視認性、及び良好な生殖適応度によって選択される。また、ハプロタイプは重要な因子である。例えばトランスジェニックマウスを作成する場合には、C57BL/6又はFVB系のような系統を使用することが多い。本発明の実施に使用される系統は、それ自体トランスジェニック動物であってもよく、及び/又はノックアウト動物でもよい(つまり部分的又は完全に抑制された1以上の遺伝子を有する動物から得られる)。
ヒト以外の動物種、例えば齧歯類及びさらに好ましくはマウスからDkk−1をコード化する核酸を使用してヒト以外のトランスジェニック又はバイナリートランスジェニック動物を作成することができ、すなわち、治療学的に有効な試薬の開発及びスクリーニングに有用である。Dkk−1ノックアウトマウスは胚性致死である(Mukhopadhyay等, Dev. Cell., 1: 423-434 (2001))。
トランスジェニック動物は、該動物、あるいは出生前の、例えば胚形成期の動物の祖先に導入された導入遺伝子を含む細胞を持つものである。導入遺伝子は、トランスジェニック動物の発達のもととなる細胞のゲノムに組み込まれたDNAである。
1つの実施態様では、トランスジェニック動物は、Dkk−1導入遺伝子をヒト以外の動物の生殖系列に導入して作成する。特にマウスなどのトランスジェニック動物の作成方法は当分野で常套的となっており、例えば米国特許第4,736,866号及び4,870,009号に記載されている。Dkk−1をコード化するマウスcDNAなどの動物cDNA又はその適切な配列を用いて、確立した技術にしたがってDkk−1をコード化するゲノムDNAをクローニングすることができ、該ゲノム配列を用いて、Dkk−1をコード化するDNAを発現する細胞を含むトランスジェニック動物を作成することができる。一般的には、特定の細胞が組織特異的エンハンサーでの導入遺伝子組込みの標的にされ、よって目標とするDkk−1の過剰発現がもたらされうる。胚形成期に該動物の生殖細胞に導入された、Dkk−1をコード化する導入遺伝子のコピーを含むトランスジェニック動物を用いて、Dkk−1をコード化するDNAの発現増加の影響を調べることができる。
様々な発達段階にある標的胚細胞を用いて導入遺伝子を導入することができる。標的とする胚細胞の発達段階によって異なる方法が用いられる。本発明の実施に使用する任意の動物の具体的な系列は、一般的に良好な健康状態、良好な胚生産、胚における前核の良好な視認性、及び良好な生殖適応度によって選択される。また、ハプロタイプは重要な因子である。例えばトランスジェニックマウスを作成する場合には、C57BL/6又はFVB系のような系統を使用することが多い。本発明の実施に使用される系統は、それ自体トランスジェニック動物であってもよく、及び/又はノックアウト動物でもよい(つまり部分的又は完全に抑制された1以上の遺伝子を有する動物から得られる)。
導入遺伝子構築物は単細胞期の胚に導入され得る。接合体はマイクロインジェクションに最適な標的である。接合体を遺伝子導入の標的として使用することの主な利点は、ほとんどの場合において注入DNAが第一***前に宿主遺伝子に組込まれる点である(Brinster等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 4438-4442 (1985))。その結果、トランスジェニック動物の全ての細胞が組込まれた導入遺伝子を持つことになる。生殖細胞の50%が導入遺伝子を有するので、これは一般的に、初代から子孫への導入遺伝子の効率的な伝達にも反映される。
通常、受精胚は、前核が現れるまで適切な培地でインキュベートされる。だいたいこのときに、導入遺伝子を含むヌクレオチド配列が雌性又は雄性前核に組込まれる。マウスなど一部の種では、雄性前核が好ましい。外因性遺伝物質は、卵核又は接合体雌性前核によって処理される前に接合体の雄DNA相補鎖に加えることができる。
このように、外因性遺伝物質は、雌性前核による影響を受ける前、つまり雄と雌の前核が十分分離し、双方が細胞膜付近にある時に、DNAの雄性相補鎖又は他の任意のDNA相補鎖に加えることができる。あるいは、脱凝縮を誘発させた後に、外因性遺伝物質を***核に加えてもよい。続いて、外因性遺伝物質を含む***を卵子に加えることができ、あるいは脱凝縮化された***を卵子に加え、その後できるだけ早く導入遺伝子構築物を加えることもできる。
通常、受精胚は、前核が現れるまで適切な培地でインキュベートされる。だいたいこのときに、導入遺伝子を含むヌクレオチド配列が雌性又は雄性前核に組込まれる。マウスなど一部の種では、雄性前核が好ましい。外因性遺伝物質は、卵核又は接合体雌性前核によって処理される前に接合体の雄DNA相補鎖に加えることができる。
このように、外因性遺伝物質は、雌性前核による影響を受ける前、つまり雄と雌の前核が十分分離し、双方が細胞膜付近にある時に、DNAの雄性相補鎖又は他の任意のDNA相補鎖に加えることができる。あるいは、脱凝縮を誘発させた後に、外因性遺伝物質を***核に加えてもよい。続いて、外因性遺伝物質を含む***を卵子に加えることができ、あるいは脱凝縮化された***を卵子に加え、その後できるだけ早く導入遺伝子構築物を加えることもできる。
核の遺伝物質への外因性遺伝物質の付加を可能にする技術は、細胞、核膜、又は他に存在する細胞の又は遺伝子の構造を破壊しない限りにおいて利用することができる。導入遺伝子ヌクレオチド配列の胚への導入は、当技術分野で周知のあらゆる手段、例えばマイクロインジェクション、電気穿孔法又はリポフェクションによってなされうる。外因性遺伝物質は、好ましくは核に遺伝物質中にマイクロインジェクションによって挿入される。細胞及び細胞組織のマイクロインジェクションは当該分野で既知であり、利用されている。マウスにおいて、雄性前核は直径約20マイクロメートルの大きさに達し、これにより1−2pLのDNA溶液の再現可能な注入が可能となる。導入遺伝子ヌクレオチド配列を胚に導入した後、胚を様々な時間インビトロでインキュベートし、あるいは代理宿主に再移植してもよく、あるいは両方行ってもよい。インビトロで成熟までインキュベートすることは本発明の範囲内である。1つの一般的な方法は、種に応じて約1−7日間、胚をインビトロでインキュベートし、次いでそれらを代理宿主に再移植することである。
接合体に加えられる導入遺伝子構築物のコピー数は、加えられる外因性遺伝物質の総量によって決まり、遺伝的形質転換の発生を可能にする量となりうる。理論的には1つのコピーだけが必要となる;しかし通常は、確実に1つのコピーを機能的にするため、多数のコピー、例えば導入遺伝子構造の1,000−20,000コピーが利用される。本発明に関しては、挿入された外因性DNA配列の機能的なコピーを1よりも多く有することで、その表現型の発現を増大させる利点があり得る。
代理宿主のトランスジェニック子孫を、任意の適当な方法で導入遺伝子の存在及び/又は発現についてスクリーニングしてもよい。スクリーニングは、導入遺伝子の少なくとも一部と相補的なプローブを用いたサザンブロット又はノーザンブロット分析により行われることが多い。代わりとして、又は導入遺伝子産物の存在をスクリーニングする追加的な方法として、導入遺伝子によりコードされるDkk−1に対する抗体を用いたウェスタンブロット分析を用いてもよい。一般的に、DNAは尾部組織から調製され、導入遺伝子のためのサザン分析又はPCR法で分析される。あるいは、最も高いレベルで導入遺伝子を発現すると思われる組織又は細胞を、サザン分析又はPCR法を用いて、導入遺伝子の存在及び発現について検査するが、いかなる組織又は細胞タイプをこの分析に用いてもよい。
接合体に加えられる導入遺伝子構築物のコピー数は、加えられる外因性遺伝物質の総量によって決まり、遺伝的形質転換の発生を可能にする量となりうる。理論的には1つのコピーだけが必要となる;しかし通常は、確実に1つのコピーを機能的にするため、多数のコピー、例えば導入遺伝子構造の1,000−20,000コピーが利用される。本発明に関しては、挿入された外因性DNA配列の機能的なコピーを1よりも多く有することで、その表現型の発現を増大させる利点があり得る。
代理宿主のトランスジェニック子孫を、任意の適当な方法で導入遺伝子の存在及び/又は発現についてスクリーニングしてもよい。スクリーニングは、導入遺伝子の少なくとも一部と相補的なプローブを用いたサザンブロット又はノーザンブロット分析により行われることが多い。代わりとして、又は導入遺伝子産物の存在をスクリーニングする追加的な方法として、導入遺伝子によりコードされるDkk−1に対する抗体を用いたウェスタンブロット分析を用いてもよい。一般的に、DNAは尾部組織から調製され、導入遺伝子のためのサザン分析又はPCR法で分析される。あるいは、最も高いレベルで導入遺伝子を発現すると思われる組織又は細胞を、サザン分析又はPCR法を用いて、導入遺伝子の存在及び発現について検査するが、いかなる組織又は細胞タイプをこの分析に用いてもよい。
導入遺伝子の存在を評価するための別の又はさらなる方法は、限定するものではないが、適した生化学アッセイ、例えば酵素及び/又は免疫学的アッセイ、特定のマーカー又は酵素活性の組織染料、フローサイトメトリー分析等を含む。血液分析もまた、血中導入遺伝子産物の存在の検出、並びにグルコース等の血液成分のレベルに対する導入遺伝子の影響の評価に有用である。
トランスジェニック動物と適したパートナーとの交配、又はトランスジェニック動物から得た卵及び/又は***のインビトロ受精によって、トランスジェニック動物の子孫を得てもよい。パートナーとの交配を行う場合、そのパートナーはトランスジェニック及び/又はノックアウトであってもなくてもよく;トランスジェニックの場合は同一又は異なる導入遺伝子、又はその両方を含んでいてもよい。あるいは、そのパートナーは親の系統であってもよい。インビトロでの受精を用いる場合、受精胚は代理宿主に移植されても、インビトロでインキュベートしても、又はその両方であってもよい。上述の方法又は他の適切な方法のいずれかを用いて、導入遺伝子の存在について子孫を評価することができる。
本発明にしたがって作成されるトランスジェニック動物は、外因性遺伝物質、つまりDkk−1の産生を生じるDNA配列を含むこととなる。該配列は、転写調節領域、例えばプロモーター、好ましくは特定の型の細胞において導入遺伝子産物の発現を可能にするものに作用可能に連結されうる。ここで最も好ましいこのような調節領域は、筋肉組織でのdkk−1核酸(例えばcDNA)の過剰発現を可能にする筋肉特異的プロモーターである。このようなプロモーターの例は、実施例1で後述するものや、例えばスムーズリン(smoothelin)A又はBの発現あるいは同じようなプロモーターを制御する2001年3月15日公開のWO 01/18048に記載されるようなものである。
トランスジェニック動物と適したパートナーとの交配、又はトランスジェニック動物から得た卵及び/又は***のインビトロ受精によって、トランスジェニック動物の子孫を得てもよい。パートナーとの交配を行う場合、そのパートナーはトランスジェニック及び/又はノックアウトであってもなくてもよく;トランスジェニックの場合は同一又は異なる導入遺伝子、又はその両方を含んでいてもよい。あるいは、そのパートナーは親の系統であってもよい。インビトロでの受精を用いる場合、受精胚は代理宿主に移植されても、インビトロでインキュベートしても、又はその両方であってもよい。上述の方法又は他の適切な方法のいずれかを用いて、導入遺伝子の存在について子孫を評価することができる。
本発明にしたがって作成されるトランスジェニック動物は、外因性遺伝物質、つまりDkk−1の産生を生じるDNA配列を含むこととなる。該配列は、転写調節領域、例えばプロモーター、好ましくは特定の型の細胞において導入遺伝子産物の発現を可能にするものに作用可能に連結されうる。ここで最も好ましいこのような調節領域は、筋肉組織でのdkk−1核酸(例えばcDNA)の過剰発現を可能にする筋肉特異的プロモーターである。このようなプロモーターの例は、実施例1で後述するものや、例えばスムーズリン(smoothelin)A又はBの発現あるいは同じようなプロモーターを制御する2001年3月15日公開のWO 01/18048に記載されるようなものである。
レトロウィルス感染もまた、ヒト以外の動物への導入遺伝子の導入に利用することができる。発生段階のヒト以外の胚は、胚盤胞段階までインビトロで培養することができる。この間、割球をレトロウィルス感染の標的にできる(Jaenich, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 73: 1260-1264 (1976))。透明帯を除去する酵素処理によって割球の効率的な感染が得られる(Manipulating the Mouse Embryo, Hogan編(Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1986))。導入遺伝子の導入に使用されるウィルスベクター系は通常、導入遺伝子を持つ非増殖型レトロウィルスである(Jahner等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 6972-6931 (1985); Van der Putten等, Proc Natl. Acad. Sci. USA, 82: 6148-6152 (1985))。トランスフェクションは、ウィルス産生細胞の単層上で割球を培養することにより容易且つ効率的に得られる(Van der Putten等, 上掲; Stewart等, EMBO J., 6: 383-388 (1987))。あるいは、後の段階で感染を行うこともできる。ウィルス又はウィルス産生細胞を割腔に注入することもできる(Jahner等, Nature, 298: 623-628 (1982))。取り込みがヒト以外のトランスジェニック動物を形成する細胞の一部でのみ起こるので、初代のほとんどは導入遺伝子についてモザイクとなる。さらに初代は、通常子孫では分離することとなるゲノムの様々な位置に、導入遺伝子の様々なレトロウィルス挿入を含み得る。また、妊娠中期の胚の子宮内レトロウィルス感染により導入遺伝子を生殖細胞系列に導入することも可能である(Jahner等, (1982) 上掲)。
遺伝子導入の標的細胞の第三のタイプは、胚幹(ES)細胞である。ES細胞は、インビトロで培養された着床前の胚から得られ、胚と融合される(Evans等, Nature, 292: 154-156 (1981); Bradley等, Nature, 309: 255-258 (1984); Gossler等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83: 9065-9069 (1986); Robertson等, Nature, 322: 445-448 (1986))。導入遺伝子は、DNAトランスフェクション又はレトロウィルス媒介性形質導入によりES細胞に効率的に導入できる。このような形質転換されたES細胞は、その後ヒト以外の動物の胚盤胞と組み合わせることができる。ES細胞はその後、胚をコロニー形成し、生じたキメラ動物の生殖系列に寄与する。Jaenisch, Science, 240: 1468-1474 (1988)参照。
遺伝子導入の標的細胞の第三のタイプは、胚幹(ES)細胞である。ES細胞は、インビトロで培養された着床前の胚から得られ、胚と融合される(Evans等, Nature, 292: 154-156 (1981); Bradley等, Nature, 309: 255-258 (1984); Gossler等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83: 9065-9069 (1986); Robertson等, Nature, 322: 445-448 (1986))。導入遺伝子は、DNAトランスフェクション又はレトロウィルス媒介性形質導入によりES細胞に効率的に導入できる。このような形質転換されたES細胞は、その後ヒト以外の動物の胚盤胞と組み合わせることができる。ES細胞はその後、胚をコロニー形成し、生じたキメラ動物の生殖系列に寄与する。Jaenisch, Science, 240: 1468-1474 (1988)参照。
動物の遺伝子発現の条件的、つまり時間的及び空間的な制御は、遺伝子発現がエフェクタータンパク質産物の標的導入遺伝子への相互作用により制御されているバイナリートランスジェニック系を用いて行うことができる。これらの相互作用は、動物の系統(齧歯類例えばマウス系統)の交配、又はLewandoski, Nature Reviews Genetics, 2: 743-755 (2001)に記載のような外因性誘導因子の付加又は除去により制御される。
バイナリートランスジェニック系は2つのカテゴリに分類される。一方は転写のトランス活性化に基づき、機能獲得型の実験における導入遺伝子の活性化に非常に適している。他方は部位特異的DNA組換えに基づき、導入遺伝子の活性化又は組織特異的遺伝子ノックアウト及び細胞系譜マーカーの作成に使用できる。
最も一般的に使用される転写系は、大腸菌のテトラサイクリン耐性オペロンに基づく。これらの系のエフェクターは2つのカテゴリに分類され、該カテゴリは転写活性化がテトラサイクリン系化合物(通常ドキシサイクリン)の投与により起こるか、枯渇により起こるかで定義されている。Gal4ベース系は誘導物質を必要としないトランス活性化系であるが、Gal4転写活性化は、変異リガンド結合ドメインがGal4キメラトランス活性化因子に取り込まれるときに合成ステロイドによって制御できる。
バイナリートランスジェニック系は2つのカテゴリに分類される。一方は転写のトランス活性化に基づき、機能獲得型の実験における導入遺伝子の活性化に非常に適している。他方は部位特異的DNA組換えに基づき、導入遺伝子の活性化又は組織特異的遺伝子ノックアウト及び細胞系譜マーカーの作成に使用できる。
最も一般的に使用される転写系は、大腸菌のテトラサイクリン耐性オペロンに基づく。これらの系のエフェクターは2つのカテゴリに分類され、該カテゴリは転写活性化がテトラサイクリン系化合物(通常ドキシサイクリン)の投与により起こるか、枯渇により起こるかで定義されている。Gal4ベース系は誘導物質を必要としないトランス活性化系であるが、Gal4転写活性化は、変異リガンド結合ドメインがGal4キメラトランス活性化因子に取り込まれるときに合成ステロイドによって制御できる。
最も広く使用される部位特異的DNA組換え系は、バクテリオファージP1のCreリコンビナーゼを使用するが、酵母(S. cerevisiae)のFlpリコンビナーゼもマウス等の動物に適応している。
組織特異的プロモーターの制御下で発現するCre又はFlpリコンビナーゼにより影響され得る改変内因性遺伝子を持つバイナリートランスジェニック動物を作成する、標的遺伝子組換え技術を利用することにより、部位特異的組換えを用いて空間的に制御された形で内因性遺伝子を不活性化できる。
Cre/Flp活性はまた、cre/FLPコード化導入遺伝子をウィルスベクターで運ぶこと、変異リガンド結合ドメインに融合されたcre遺伝子からなるキメラ導入遺伝子を持つ動物に外因性ステロイドを投与すること、又は転写トランス活性化を用いてcre/FLP発現を制御することによって時間的にも制御され得る。部位特異的組換えの不可逆性によって、この技術は、細胞系統研究のためにレポーター標的遺伝子を永久的に活性化するためのcre/FLPの一過性組織特異的発現を使用する新しいタイプの分析に唯一適している。
ヒト以外のバイナリートランスジェニック及びトランスジェニック動物は、インスリン抵抗性、高又は低インスリン血症、肥満、又は筋肉の変性からの保護を与えると考えられる試薬の試験動物として使用できる。この態様の一面によると、例えば、細胞(例えば筋細胞)でdkk−1核酸(例えばcDNA)を過剰発現するヒト以外のトランスジェニック動物を用いて、例えばインスリン抵抗性治療の指標である血液からのグルコースクリアランスの増加、又は低インスリン血症治療の指標であるインスリンレベルの増加、又は筋肉再生治療の指標である筋細胞の分化における効果について、候補薬剤(タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、小分子等)をスクリーニングすることができる。
組織特異的プロモーターの制御下で発現するCre又はFlpリコンビナーゼにより影響され得る改変内因性遺伝子を持つバイナリートランスジェニック動物を作成する、標的遺伝子組換え技術を利用することにより、部位特異的組換えを用いて空間的に制御された形で内因性遺伝子を不活性化できる。
Cre/Flp活性はまた、cre/FLPコード化導入遺伝子をウィルスベクターで運ぶこと、変異リガンド結合ドメインに融合されたcre遺伝子からなるキメラ導入遺伝子を持つ動物に外因性ステロイドを投与すること、又は転写トランス活性化を用いてcre/FLP発現を制御することによって時間的にも制御され得る。部位特異的組換えの不可逆性によって、この技術は、細胞系統研究のためにレポーター標的遺伝子を永久的に活性化するためのcre/FLPの一過性組織特異的発現を使用する新しいタイプの分析に唯一適している。
ヒト以外のバイナリートランスジェニック及びトランスジェニック動物は、インスリン抵抗性、高又は低インスリン血症、肥満、又は筋肉の変性からの保護を与えると考えられる試薬の試験動物として使用できる。この態様の一面によると、例えば、細胞(例えば筋細胞)でdkk−1核酸(例えばcDNA)を過剰発現するヒト以外のトランスジェニック動物を用いて、例えばインスリン抵抗性治療の指標である血液からのグルコースクリアランスの増加、又は低インスリン血症治療の指標であるインスリンレベルの増加、又は筋肉再生治療の指標である筋細胞の分化における効果について、候補薬剤(タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、小分子等)をスクリーニングすることができる。
他の面では、改変dkk−1核酸発現のあるヒト以外のバイナリートランスジェニック動物を用いて、例えば高脂肪食が与えられたときのそれらの体重又は肥満治療の指標である脂肪細胞を減少させる能力、又は高インスリン血症治療の指標であるインスリンレベルを低減させる能力について、上述の候補薬剤をスクリーニングすることができる。
試薬/薬剤で処理し、バイナリー又は通常の導入遺伝子を持つ無処理動物と比べて発病率が低減している動物は、疾病に対して潜在的な治療的介入を示しうる。これらの発生率低減性に関するアッセイは上述したとおりであり、実施例は以下に示す。
以下の実施例は例示するためにのみ提供されるものであって、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。現在周知の又は後に発展する全ての等価物の代替を含む、当該技術分野の範囲内である本発明のこのような変形例は、本発明の請求項の範囲内にあると考えられるべきである。本明細書で引用した全ての開示を、出典明示によりここに取り込む。
試薬/薬剤で処理し、バイナリー又は通常の導入遺伝子を持つ無処理動物と比べて発病率が低減している動物は、疾病に対して潜在的な治療的介入を示しうる。これらの発生率低減性に関するアッセイは上述したとおりであり、実施例は以下に示す。
以下の実施例は例示するためにのみ提供されるものであって、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。現在周知の又は後に発展する全ての等価物の代替を含む、当該技術分野の範囲内である本発明のこのような変形例は、本発明の請求項の範囲内にあると考えられるべきである。本明細書で引用した全ての開示を、出典明示によりここに取り込む。
インビボ及びインビトロでのDkk−1の効果
物質及び方法
L6細胞培養
L6筋芽細胞を、10%のウシ胎仔血清を含有するMEMα(Gibco−BRL)からなる成長培地で増殖した。コンフルエンスに達する前に、細胞にトリプシンを散布し、未使用の成長培地に再び蒔いた。コンフルエンスの時点で培地を分化培地(2%ウシ胎仔血清を含有するMEMα)に変えることにより筋芽細胞の融合が誘発された。細胞を3−9日間該培地で培養し、28時間を超えるDkk−1処理についてはdkk−1(Krupnik等, 上掲; WO99/46281; PRO1008をコードするDNA)を該培地に加えた。28時間未満の処理は0.5%FBSを含有するMEMαで行った。
物質及び方法
L6細胞培養
L6筋芽細胞を、10%のウシ胎仔血清を含有するMEMα(Gibco−BRL)からなる成長培地で増殖した。コンフルエンスに達する前に、細胞にトリプシンを散布し、未使用の成長培地に再び蒔いた。コンフルエンスの時点で培地を分化培地(2%ウシ胎仔血清を含有するMEMα)に変えることにより筋芽細胞の融合が誘発された。細胞を3−9日間該培地で培養し、28時間を超えるDkk−1処理についてはdkk−1(Krupnik等, 上掲; WO99/46281; PRO1008をコードするDNA)を該培地に加えた。28時間未満の処理は0.5%FBSを含有するMEMαで行った。
組換えDkk−1の発現
Dkk−1のヒトホモログ(hDkk−1)がバキュロウィルスでC−ターミナル8X Hisタグ融合体(Krupnik等, 上掲; WO99/46281, ここでPRO1008はDkk−1である)として発現され、ニッケル親和性カラムクロマトグラフィーにより精製された。精製されたタンパク質の同定をN−ターミナル配列分析により確認した。精製されたタンパク質は0.3EU/ml未満の内毒素レベルであった。
Dkk−1のヒトホモログ(hDkk−1)がバキュロウィルスでC−ターミナル8X Hisタグ融合体(Krupnik等, 上掲; WO99/46281, ここでPRO1008はDkk−1である)として発現され、ニッケル親和性カラムクロマトグラフィーにより精製された。精製されたタンパク質の同定をN−ターミナル配列分析により確認した。精製されたタンパク質は0.3EU/ml未満の内毒素レベルであった。
2−DOG摂取
コントロール細胞とdkk−1処理細胞を、0.5μMのインスリン存在下又は非存在下において、0.5μCiの2-デオキシ[14C]グルコースを含有するクレブスリンガーリン酸HEPESバッファー(KRHB)(130mM NaCl、5mM KCI、1.3mM CaCl2、1.3mM MgSO4、10mM Na2HPO4、及び25mM HEPES、pH7.4)で37℃で20分間インキュベートした。細胞をKRHBで2回洗浄し、100mMのNaOHに溶解し、細胞ライセートの細胞内2-デオキシ[14C]グルコースを液体シンチレーション(LSC)で測定した。
コントロール細胞とdkk−1処理細胞を、0.5μMのインスリン存在下又は非存在下において、0.5μCiの2-デオキシ[14C]グルコースを含有するクレブスリンガーリン酸HEPESバッファー(KRHB)(130mM NaCl、5mM KCI、1.3mM CaCl2、1.3mM MgSO4、10mM Na2HPO4、及び25mM HEPES、pH7.4)で37℃で20分間インキュベートした。細胞をKRHBで2回洗浄し、100mMのNaOHに溶解し、細胞ライセートの細胞内2-デオキシ[14C]グルコースを液体シンチレーション(LSC)で測定した。
遺伝子発現の定量化
RNeasy Mini Kit(Qiagen)(培養細胞用)又はTrizol試薬(Gibco)(筋肉用)を用いて全RNAを分離し、次いでDNase I(増幅用グレード, GibcoBRL)で処理した。Gibson等, Genome Res., 6: 995-1001 (1996)及びHeid等, Genome Res., 6: 986-994 (1996)に記載されるようなABI PRISM(登録商標)7700配列決定システム(Applied Biosystems社、Foster City, CAによって供給される機器及びソフトウェア)を用いるリアルタイム定量PCR(RTQ−PCR)により遺伝子発現分析を実施した。
RNeasy Mini Kit(Qiagen)(培養細胞用)又はTrizol試薬(Gibco)(筋肉用)を用いて全RNAを分離し、次いでDNase I(増幅用グレード, GibcoBRL)で処理した。Gibson等, Genome Res., 6: 995-1001 (1996)及びHeid等, Genome Res., 6: 986-994 (1996)に記載されるようなABI PRISM(登録商標)7700配列決定システム(Applied Biosystems社、Foster City, CAによって供給される機器及びソフトウェア)を用いるリアルタイム定量PCR(RTQ−PCR)により遺伝子発現分析を実施した。
グリコーゲン合成
グリコーゲン合成を、グリコーゲンへの[14C]グルコースの取り込みとして測定した。コントロールL6細胞とdkk−1処理細胞を、0.5μMのインスリン存在下又は非存在下で、[U−14C]グルコースを含有する無血清MEMα(5mMグルコース;1.25μCi/ml)で2時間インキュベートした。培地を除去し、細胞を冷却PBSで3回迅速に洗浄し、それらを20%(w/v)KOHで溶解し、1時間後に1MのHClを加えて中和することにより実験を終えた。ライセートを5分間煮沸し、遠心分離で浄化し、1mg/mlの冷却グリコーゲンを担体として使用して上清中の細胞のグリコーゲンを0℃で2時間イソプロパノールで沈殿させた。沈殿したグリコーゲンを遠心分離で分離し、70%エタノールで洗浄し、水に再溶解させ、グリコーゲンへの[14C]グルコースの取り込みをLSCで測定した。
グリコーゲン合成を、グリコーゲンへの[14C]グルコースの取り込みとして測定した。コントロールL6細胞とdkk−1処理細胞を、0.5μMのインスリン存在下又は非存在下で、[U−14C]グルコースを含有する無血清MEMα(5mMグルコース;1.25μCi/ml)で2時間インキュベートした。培地を除去し、細胞を冷却PBSで3回迅速に洗浄し、それらを20%(w/v)KOHで溶解し、1時間後に1MのHClを加えて中和することにより実験を終えた。ライセートを5分間煮沸し、遠心分離で浄化し、1mg/mlの冷却グリコーゲンを担体として使用して上清中の細胞のグリコーゲンを0℃で2時間イソプロパノールで沈殿させた。沈殿したグリコーゲンを遠心分離で分離し、70%エタノールで洗浄し、水に再溶解させ、グリコーゲンへの[14C]グルコースの取り込みをLSCで測定した。
キナーゼ活性のアッセイ
キナーゼを免疫沈殿し、アップステートバイオテクノロジー社(Lake Placid, NY)の試薬を用いてアッセイし、特異的ペプチド基質への32P取り込みの絶対レベルを測定した。具体的には、細胞を無血清培地で洗浄し、アッセイの前に3−5時間インキュベートした。細胞を30nMのインスリンで30分間刺激し、冷却PBSで洗浄し、次いで冷却可溶化バッファー(50mMのトリス塩酸、pH7.7/0.5%のNONIDET P−40(商品名)4-ノニルフェノールポリエチレングリコール低泡性界面活性剤(Roche Diagnostics GmbH)/2.5mMのEDTA/10mMのNaF/0.2mMのNa3VO4/1mMのNa3MoO4/1μg/mlのミクロシスチン−LR/0.25mMのフッ化フェニルメチルスルホニル/1μMのペプスタチン/0.5μg/mlのロイペプチン/10μg/mlのダイズトリプシン阻害因子)に溶解した。各ペプチドに対する抗体(2μg)を、40μlのプロテインGセファロースビーズで4℃で一晩捕獲し、次いで該ビーズを未使用の可溶化バッファーで3回洗浄した。ライセートを遠心分離(20,000xg、1分)で浄化し、連続混合により上清をGタンパク質結合抗体と共に4℃で2時間インキュベートした。ビーズを未使用の可溶化バッファーで3回、そしてキナーゼバッファー(20mMのHEPES、pH7.2/1mMのMgCl2/1mMのEGTA/1mMのDTT/0.25mMのPMSF/1mMのNa3VO4/0.5μg/mlのロイペプチン)で1回洗浄した。ビーズを特異化ペプチド基質を含む30μlのキナーゼバッファーに再懸濁させた。ATP溶液(5μl)(200μMのATP/10μCi32P−ATPを含有するキナーゼバッファー)を加え、30℃で15分間インキュベートした。20μlの反応量をP81フィルター紙に染み込ませて反応を停止させ、その後の1%(vol/vol)リン酸で広範に洗浄し、結合した放射能をLSCで測定した。
筋肉断片のAkt活性を測定するために、新たに分離した筋肉断片を、8mMのグルコース、32mMのマンニトール、及び0.1%BSAを含み、O2/CO2(95%/5%)で飽和して回復させたKRHBで35℃で30分間インキュベートした。該断片を10分間インスリン(33nM及び100nM)で刺激し、その後該筋肉を瞬間冷凍し、可溶化バッファー中でホモジナイズされ、遠心分離で浄化した。上述のAktの免疫沈殿及びAkt活性の測定には同量の溶解タンパク質を使用した。
キナーゼを免疫沈殿し、アップステートバイオテクノロジー社(Lake Placid, NY)の試薬を用いてアッセイし、特異的ペプチド基質への32P取り込みの絶対レベルを測定した。具体的には、細胞を無血清培地で洗浄し、アッセイの前に3−5時間インキュベートした。細胞を30nMのインスリンで30分間刺激し、冷却PBSで洗浄し、次いで冷却可溶化バッファー(50mMのトリス塩酸、pH7.7/0.5%のNONIDET P−40(商品名)4-ノニルフェノールポリエチレングリコール低泡性界面活性剤(Roche Diagnostics GmbH)/2.5mMのEDTA/10mMのNaF/0.2mMのNa3VO4/1mMのNa3MoO4/1μg/mlのミクロシスチン−LR/0.25mMのフッ化フェニルメチルスルホニル/1μMのペプスタチン/0.5μg/mlのロイペプチン/10μg/mlのダイズトリプシン阻害因子)に溶解した。各ペプチドに対する抗体(2μg)を、40μlのプロテインGセファロースビーズで4℃で一晩捕獲し、次いで該ビーズを未使用の可溶化バッファーで3回洗浄した。ライセートを遠心分離(20,000xg、1分)で浄化し、連続混合により上清をGタンパク質結合抗体と共に4℃で2時間インキュベートした。ビーズを未使用の可溶化バッファーで3回、そしてキナーゼバッファー(20mMのHEPES、pH7.2/1mMのMgCl2/1mMのEGTA/1mMのDTT/0.25mMのPMSF/1mMのNa3VO4/0.5μg/mlのロイペプチン)で1回洗浄した。ビーズを特異化ペプチド基質を含む30μlのキナーゼバッファーに再懸濁させた。ATP溶液(5μl)(200μMのATP/10μCi32P−ATPを含有するキナーゼバッファー)を加え、30℃で15分間インキュベートした。20μlの反応量をP81フィルター紙に染み込ませて反応を停止させ、その後の1%(vol/vol)リン酸で広範に洗浄し、結合した放射能をLSCで測定した。
筋肉断片のAkt活性を測定するために、新たに分離した筋肉断片を、8mMのグルコース、32mMのマンニトール、及び0.1%BSAを含み、O2/CO2(95%/5%)で飽和して回復させたKRHBで35℃で30分間インキュベートした。該断片を10分間インスリン(33nM及び100nM)で刺激し、その後該筋肉を瞬間冷凍し、可溶化バッファー中でホモジナイズされ、遠心分離で浄化した。上述のAktの免疫沈殿及びAkt活性の測定には同量の溶解タンパク質を使用した。
3T3/L1脂肪細胞の培養
3T3/L1線維芽細胞をコンフルエンスまで増殖させ、脂肪細胞に分化させた(Rubin等, J. Biol. Chem., 253: 7570-7578 (1978))。分化誘発後72時間で分化細胞をDkk−1で処理した。3T3L1細胞分化に対するDkk−1の作用について、分化開始中にDkk−1を40nMの濃度で培地に付加し、実験の間中維持した。
3T3/L1線維芽細胞をコンフルエンスまで増殖させ、脂肪細胞に分化させた(Rubin等, J. Biol. Chem., 253: 7570-7578 (1978))。分化誘発後72時間で分化細胞をDkk−1で処理した。3T3L1細胞分化に対するDkk−1の作用について、分化開始中にDkk−1を40nMの濃度で培地に付加し、実験の間中維持した。
脂質へのグルコースの取り込み
コントロール及び処理3T3 L1脂肪細胞を、0.5μMインスリン存在下又は非存在下において、無血清MEMαで37℃で2時間、D-[U-14C]グルコース(0.2μCi/ml)と共にインキュベートした。細胞を冷却PBSで2回洗浄し、100mMのNaOHに溶解した。ライセートを100mMの塩酸で中和し、ライセート中の細胞脂質をn−ヘプタン中に抽出し、抽出された脂質への[14C]グルコースの取り込みをLSCで測定した。
コントロール及び処理3T3 L1脂肪細胞を、0.5μMインスリン存在下又は非存在下において、無血清MEMαで37℃で2時間、D-[U-14C]グルコース(0.2μCi/ml)と共にインキュベートした。細胞を冷却PBSで2回洗浄し、100mMのNaOHに溶解した。ライセートを100mMの塩酸で中和し、ライセート中の細胞脂質をn−ヘプタン中に抽出し、抽出された脂質への[14C]グルコースの取り込みをLSCで測定した。
動物と食餌
全てのプロトコルはInstitutional Use and Care Committeeにより承認されたものである。特記がない限り、マウスは温度及び湿度が制御された環境において標準的な実験用の餌で維持した。12時間(午後6時/午前6時)の明暗サイクルを採用した。
標準的なマウスの餌は、PURINA5010(商品名)ブランドの餌(Harlen Teklab, Madison WI)である。高脂肪(58%kJ脂肪)及び低脂肪(10.5%kJ脂肪)の等カロリーの食餌は、Surwit等, Metabolism 44: 645-651 (1995)に記載された食餌に基づくものであり、Research Diets(New Brunswick, NJ)から購入した。
ヒトdkk−1cDNA(Krupnik等, 上掲)の3’を、ミオシン軽鎖プロモーターに続くpRK供与体/受容体スプライス部位に連結させた(Shani, Nature, 314: 283-286 (1985))。該dkk−1cDNAは、ヒト成長ホルモン遺伝子の4番目と5番目のエクソンの間にある供与体/受容体スプライス部位を伴う(Stewart等, Endocrinology, 130: 405-414 (1992))。全発現断片を精製して混入したベクター配列をなくし、FVB×FVB交配により生じた単細胞のマウス卵子に注入した。尾部バイオプシーから抽出したDNAのPCR分析によりトランスジェニックマウスを確認した。
全てのプロトコルはInstitutional Use and Care Committeeにより承認されたものである。特記がない限り、マウスは温度及び湿度が制御された環境において標準的な実験用の餌で維持した。12時間(午後6時/午前6時)の明暗サイクルを採用した。
標準的なマウスの餌は、PURINA5010(商品名)ブランドの餌(Harlen Teklab, Madison WI)である。高脂肪(58%kJ脂肪)及び低脂肪(10.5%kJ脂肪)の等カロリーの食餌は、Surwit等, Metabolism 44: 645-651 (1995)に記載された食餌に基づくものであり、Research Diets(New Brunswick, NJ)から購入した。
ヒトdkk−1cDNA(Krupnik等, 上掲)の3’を、ミオシン軽鎖プロモーターに続くpRK供与体/受容体スプライス部位に連結させた(Shani, Nature, 314: 283-286 (1985))。該dkk−1cDNAは、ヒト成長ホルモン遺伝子の4番目と5番目のエクソンの間にある供与体/受容体スプライス部位を伴う(Stewart等, Endocrinology, 130: 405-414 (1992))。全発現断片を精製して混入したベクター配列をなくし、FVB×FVB交配により生じた単細胞のマウス卵子に注入した。尾部バイオプシーから抽出したDNAのPCR分析によりトランスジェニックマウスを確認した。
インビボ代謝測定及び血清分析
各マウスに体重1g当たり1.5mgのグルコースを腹腔内注入してグルコース耐性試験(GTT)を行った。各マウスに体重1kg当たり0.6Uのインスリンを静脈注射してインスリン耐性試験(ITT)を行った。両試験において、LIFESCAN Fast Take(商品名)グルコース測定器を用いて表示する時間に血糖を測定した。インスリンとレプチンの血中濃度を、ELISAキット(Crystal Chem, シカゴ、IL)でアッセイした。遊離脂肪酸とトリグリセリドの血清レベルを、それぞれNEFA C(商品名)非エステル化脂肪酸(Wako Chemicals USB社)とSigma Triglyceride, INT(商品名)(Sigma社)アッセイキットによってアッセイした。
各マウスに体重1g当たり1.5mgのグルコースを腹腔内注入してグルコース耐性試験(GTT)を行った。各マウスに体重1kg当たり0.6Uのインスリンを静脈注射してインスリン耐性試験(ITT)を行った。両試験において、LIFESCAN Fast Take(商品名)グルコース測定器を用いて表示する時間に血糖を測定した。インスリンとレプチンの血中濃度を、ELISAキット(Crystal Chem, シカゴ、IL)でアッセイした。遊離脂肪酸とトリグリセリドの血清レベルを、それぞれNEFA C(商品名)非エステル化脂肪酸(Wako Chemicals USB社)とSigma Triglyceride, INT(商品名)(Sigma社)アッセイキットによってアッセイした。
データ分析
特記されない限り、全てデータは標準偏差を基準にプラス及びマイナスとして表示されている。コントロールと処理細胞の比較、及びトランスジェニックマウスと野生型マウスの比較は独立スチューデントのt検定を用いて行った。
特記されない限り、全てデータは標準偏差を基準にプラス及びマイナスとして表示されている。コントロールと処理細胞の比較、及びトランスジェニックマウスと野生型マウスの比較は独立スチューデントのt検定を用いて行った。
結果
様々な成人ヒト組織におけるdkk−1の相対的な発現レベルを、リアルタイム定量PCR(Gibson等, 上掲; Heid等, 上掲)によって測定した。図1に示される結果は、dkk−1が広く成人ヒト組織で、特に脾臓、精巣及び子宮で、最も著しくは子宮で発現することを示す。
バキュロウィルスで発現される場合、ヒトDkk−1タンパク質は内部切断されて16-kDaの分解産物が提供された。図2に示したゲルにおいて、バンド(a)はN末端配列TLNSVLNSNAI(配列番号:1)と、シグナルペプチド切断部位に相当するSVLNSNAIKNL(配列番号:2)とを有する全長タンパク質に相当し、バンド(b)はN末端配列SKMYHTKGQE(配列番号:3)を有する切断タンパク質に相当する。
L6筋細胞をDkk−1で処理した結果、細胞への基礎及びインスリン刺激性のグルコース摂取が減少した。Dkk−1の影響がわずか2時間で見られる(図3A)。短期的処理の影響は、2ないし6時間の処理で最も顕著である。長期的処理(図3B及び3C)では、インスリン依存性グルコース摂取の低下が96時間(p=0.001)でより顕著であるが、影響は48時間(p=0.05)でも見られる。
グルコース摂取に対するDkk−1の影響は細胞の分化状態とは無関係であり、ミオサイトへの分化が始まっている細胞でも見られる(図4A)。グルコース摂取に対するDkk−1の影響は投与量に依存している。図4Bでは、基礎及びインスリン依存性のグルコース摂取における減少が10nMという低い濃度のDkk−1による48時間処理において見られることが示されている。
L6筋細胞をDkk−1で処理した結果、グリコーゲンへのグルコースの取り込みが増加した。図5に示したように、Dkk−1の刺激性の影響が48時間(p=0.003)で見られる。
様々な成人ヒト組織におけるdkk−1の相対的な発現レベルを、リアルタイム定量PCR(Gibson等, 上掲; Heid等, 上掲)によって測定した。図1に示される結果は、dkk−1が広く成人ヒト組織で、特に脾臓、精巣及び子宮で、最も著しくは子宮で発現することを示す。
バキュロウィルスで発現される場合、ヒトDkk−1タンパク質は内部切断されて16-kDaの分解産物が提供された。図2に示したゲルにおいて、バンド(a)はN末端配列TLNSVLNSNAI(配列番号:1)と、シグナルペプチド切断部位に相当するSVLNSNAIKNL(配列番号:2)とを有する全長タンパク質に相当し、バンド(b)はN末端配列SKMYHTKGQE(配列番号:3)を有する切断タンパク質に相当する。
L6筋細胞をDkk−1で処理した結果、細胞への基礎及びインスリン刺激性のグルコース摂取が減少した。Dkk−1の影響がわずか2時間で見られる(図3A)。短期的処理の影響は、2ないし6時間の処理で最も顕著である。長期的処理(図3B及び3C)では、インスリン依存性グルコース摂取の低下が96時間(p=0.001)でより顕著であるが、影響は48時間(p=0.05)でも見られる。
グルコース摂取に対するDkk−1の影響は細胞の分化状態とは無関係であり、ミオサイトへの分化が始まっている細胞でも見られる(図4A)。グルコース摂取に対するDkk−1の影響は投与量に依存している。図4Bでは、基礎及びインスリン依存性のグルコース摂取における減少が10nMという低い濃度のDkk−1による48時間処理において見られることが示されている。
L6筋細胞をDkk−1で処理した結果、グリコーゲンへのグルコースの取り込みが増加した。図5に示したように、Dkk−1の刺激性の影響が48時間(p=0.003)で見られる。
Dkk−1の影響が、どれか1つの理論に限定されることなく長期的処理後に観察されたため、タンパク質はL6細胞の分化に影響することによって作用することが可能である。TAQMAN(登録商標)プライマー及びプローブ設計(Applied Biosystems)を用いるRT−PCR分析を行って、Dkk−1で処理したL6細胞での、ミオシン重鎖(MHC)、ミオシン軽鎖(MLC)、ミオゲニン、Pax3、Myf5、及びMyoD等の筋形成に関与する遺伝子の発現レベルを測定した。図6Aは、Dkk−1処理の結果、分化の4−6日の間にMyoDレベルが上昇したことを示し、図6B、6C及び6Dは、分化の4−6日目でそれぞれMLC2、MHC及びミオゲニンの発現が減少したことを示し、図6Eは、Pax3の発現に顕著な影響が見られなかったことを示す。よって、Dkk−1はL6細胞の筋形成を調節する。
Dkk−1はL6細胞の分化に有意には影響しなかったため、RT−PCR分析(TAQMAN(登録商標)プライマー及びプローブ設計)を行い、Dkk−1がグルコース代謝に関与する遺伝子の発現レベルに影響するか否かを決定した。Dkk−1はL6筋細胞のインスリンシグナル伝達経路の遺伝子発現を調節することがわかった。特に、図7に示されるように、Dkk−1処理によって48時間処理の後にホスホイノシチド3-キナーゼのp85サブユニットの発現が顕著に(8.3倍)増加したが、検査した他の遺伝子発現には有意な影響はなかった。
L6筋細胞のDkk−1処理は、PDK−1(図8A)、GSK3β(図8B)又はS6キナーゼ(図8C)の活性に影響しなかったが、48時間処理後にAkt活性化レベルを顕著に低下させた。特に、Dkk−1処理L6細胞は、インスリン刺激性Akt活性化の49%の減少を示し(図8D)、これはグルコース摂取の減少と一致した。
Dkk−1は脂肪細胞のグルコース代謝に影響した。特にDkk−1処理3T3 L1細胞は、基礎及びインスリン刺激性のグルコース摂取レベルの上昇(図9A及び9B)とともに、インスリン刺激後の脂質へのグルコース取り込みの増加(図9C及び9D)を示した。48時間処理で見られたインスリン依存性グルコース摂取の増加は、96時間処理(p=0.04)後により顕著になり、脂質へのインスリン依存性グルコース取り込みにも同様のことが観察された(96時間処理後、p=0.003)。
Dkk−1はL6細胞の分化に有意には影響しなかったため、RT−PCR分析(TAQMAN(登録商標)プライマー及びプローブ設計)を行い、Dkk−1がグルコース代謝に関与する遺伝子の発現レベルに影響するか否かを決定した。Dkk−1はL6筋細胞のインスリンシグナル伝達経路の遺伝子発現を調節することがわかった。特に、図7に示されるように、Dkk−1処理によって48時間処理の後にホスホイノシチド3-キナーゼのp85サブユニットの発現が顕著に(8.3倍)増加したが、検査した他の遺伝子発現には有意な影響はなかった。
L6筋細胞のDkk−1処理は、PDK−1(図8A)、GSK3β(図8B)又はS6キナーゼ(図8C)の活性に影響しなかったが、48時間処理後にAkt活性化レベルを顕著に低下させた。特に、Dkk−1処理L6細胞は、インスリン刺激性Akt活性化の49%の減少を示し(図8D)、これはグルコース摂取の減少と一致した。
Dkk−1は脂肪細胞のグルコース代謝に影響した。特にDkk−1処理3T3 L1細胞は、基礎及びインスリン刺激性のグルコース摂取レベルの上昇(図9A及び9B)とともに、インスリン刺激後の脂質へのグルコース取り込みの増加(図9C及び9D)を示した。48時間処理で見られたインスリン依存性グルコース摂取の増加は、96時間処理(p=0.04)後により顕著になり、脂質へのインスリン依存性グルコース取り込みにも同様のことが観察された(96時間処理後、p=0.003)。
Dkk−1は脂肪細胞の分化に影響した。特にDkk−1処理3T3 L1細胞は、分化中のPPARγ及びC/EBPα転写レベルの低下を示したが(図10A及び10B)、AP2及び脂肪酸シンターゼ(FAS)等の脂肪細胞分化の他のマーカーの発現は影響を受けなかった(図10C及び10D)。
マウスへの組換えDkk−1静脈注射により、障害性のグルコース耐性となり、インスリン産生が減少した。特に、トランスジェニックマウスで見られたインビボでのDkk−1作用を確認するために、8日間にわたって雌FVBマウスにDkk−1を静脈注射した(0.05及び0.2mg/kg/日の一日一回の注射)。グルコース耐性に対するDkk−1の影響を注射開始48時間後と8日後に測定した。静脈注射48時間後ではグルコース耐性に影響がなかったが;0.05又は0.2mg/kg/日のDkk−1を注射した動物は注射8日後、食塩水注射した動物と比較して、血流からのグルコースクリアランス率が低下していることがわかった(図11A)。GTT中のグルコース腹腔内注射30分後に採取した血清中のグルコース誘導性血清インスリンレベルを測定した。Dkk−1注射動物は、コントロール動物に比べて血清インスリンレベルが顕著に低下し、この低下はDkk−1投与量に依存していた(図11B)。Dkk−1注射動物においてトリグリセリド、FFA及びレプチンの血清レベル及びインスリン耐性は影響されなかった。
マウスへの組換えDkk−1静脈注射により、障害性のグルコース耐性となり、インスリン産生が減少した。特に、トランスジェニックマウスで見られたインビボでのDkk−1作用を確認するために、8日間にわたって雌FVBマウスにDkk−1を静脈注射した(0.05及び0.2mg/kg/日の一日一回の注射)。グルコース耐性に対するDkk−1の影響を注射開始48時間後と8日後に測定した。静脈注射48時間後ではグルコース耐性に影響がなかったが;0.05又は0.2mg/kg/日のDkk−1を注射した動物は注射8日後、食塩水注射した動物と比較して、血流からのグルコースクリアランス率が低下していることがわかった(図11A)。GTT中のグルコース腹腔内注射30分後に採取した血清中のグルコース誘導性血清インスリンレベルを測定した。Dkk−1注射動物は、コントロール動物に比べて血清インスリンレベルが顕著に低下し、この低下はDkk−1投与量に依存していた(図11B)。Dkk−1注射動物においてトリグリセリド、FFA及びレプチンの血清レベル及びインスリン耐性は影響されなかった。
マウスへの組換えDkk−1静脈注射により、筋肉特異的遺伝子の発現が変化し、インビボで筋肉のインスリン刺激Akt活性化が減少した。特に、コントロール及びDkk−1注射動物を12−16時間絶食させ、静脈注射8日後に屠殺した。大腿四頭筋を使用してトータルRNAを抽出し、RTQ−PCRを用いてMyoD、ミオゲニン、MLC2、MLC1/3、myf5、pax3、デスミン及びミオシン重鎖等の筋肉分化の様々なマーカーの発現に対するDkk−1の影響を測定した。L6細胞における影響と一致して、Dkk−1注射動物は、MLC2、MLC1/3、ミオゲニン、myf5、Pax3及び筋肉クレアチンキナーゼ(MuCK)の発現が減少し、MyoDの発現が増加することが観察され(図12A)、これはどれか1つの理論に限定されることなくDkk−1がインビボでも筋肉分化に影響することを示唆している。インスリンシグナル伝達に関与する遺伝子の発現レベルはDkk−1注射動物においてわずかに影響し、これは、どれか1つの理論に限定されることなくこれらの影響が筋肉分化への影響の二次的なものであることを示唆する。
コントロール及びDkk−1注射動物のヒラメ筋を上述したように分離し、Oku等, Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 280: E816-24 (2001)に記載のように無処理及びインスリン処理ヒラメ筋のAkt活性化を測定した。図12Bに示したように、Dkk−1処理の結果、培養L6細胞で見られた影響と一致してインスリンによるAkt活性化が減少した。
マウスのDkk−1過剰発現は成長、身体組成及び代謝に影響した。特に、MLCプロモーターの制御下でdkk−1導入遺伝子を過剰発現しているトランスジェニックFVBマウスが作成された(Shani, 上掲)。コントロール及びトランスジェニック動物の体重を数週間にわたって観察した。表2に示したように、標準食のトランスジェニック動物は、それらのコントロール同腹仔と比べて体重が減少した。これらの作用は早くも生後10日で明らかであり(図13A)、生後22週まで観察された(図13B)。
コントロール及びDkk−1注射動物のヒラメ筋を上述したように分離し、Oku等, Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 280: E816-24 (2001)に記載のように無処理及びインスリン処理ヒラメ筋のAkt活性化を測定した。図12Bに示したように、Dkk−1処理の結果、培養L6細胞で見られた影響と一致してインスリンによるAkt活性化が減少した。
マウスのDkk−1過剰発現は成長、身体組成及び代謝に影響した。特に、MLCプロモーターの制御下でdkk−1導入遺伝子を過剰発現しているトランスジェニックFVBマウスが作成された(Shani, 上掲)。コントロール及びトランスジェニック動物の体重を数週間にわたって観察した。表2に示したように、標準食のトランスジェニック動物は、それらのコントロール同腹仔と比べて体重が減少した。これらの作用は早くも生後10日で明らかであり(図13A)、生後22週まで観察された(図13B)。
様々な器官(肝臓、腎臓、脾臓)及び脂肪体(褐色脂肪組織、後腹膜脂肪及び脂肪被膜)の重量測定により、トランスジェニック動物は重要器官の大きさが比例的に減少することが明らかとなった。しかし、標準食又は高脂肪食のトランスジェニック動物の脂肪体重量は、コントロール同腹仔よりも有意に(40−50%)少なかった(図14A及び14B)。空腹時及び食後のトリグリセリド、遊離脂肪酸(FFA)及びレプチンの血清レベルを測定した。トリグリセリド及び遊離脂肪酸レベルはトランスジェニック動物とコントロール動物で類似したが、循環レプチンのレベルはトランスジェニック動物がほぼ50%低かった(図14C、14D、表2)。
Wntシグナル伝達は脂質生成を阻害する。Dkk−1が身体構成成分に影響するか否かを決定するために、複数の動物に24週間高脂肪食を与えた。高脂肪食のDkk−1トランスジェニック動物はまた、重要器官の重量の減少と一致して、それらの野生型同腹仔よりも体重が減少した(図15A)。標準食の動物の観察記録と同様に、トランスジェニック動物の脂肪体は循環レプチンレベルの低下と一致して(図15C)40−50%少なかった(図15B)。トリグリセリド及び遊離脂肪酸のレベルはトランスジェニック動物とコントロール動物で類似した(表3)。
Wntシグナル伝達は脂質生成を阻害する。Dkk−1が身体構成成分に影響するか否かを決定するために、複数の動物に24週間高脂肪食を与えた。高脂肪食のDkk−1トランスジェニック動物はまた、重要器官の重量の減少と一致して、それらの野生型同腹仔よりも体重が減少した(図15A)。標準食の動物の観察記録と同様に、トランスジェニック動物の脂肪体は循環レプチンレベルの低下と一致して(図15C)40−50%少なかった(図15B)。トリグリセリド及び遊離脂肪酸のレベルはトランスジェニック動物とコントロール動物で類似した(表3)。
検討
Dkk−1はインビトロで筋細胞のグルコース摂取に対する明白な作用を有する。Dkk−1処理筋細胞はインスリン処理に抵抗力があり、これらの作用はわずか18時間で見られた。2型糖尿病の特徴であるインスリン抵抗性は、インスリンシグナル伝達経路におけるタンパク質の活性、リン酸化及び発現レベルにより影響され得る。よって、インビボ及びインビトロでの筋肉でのDkk−1作用を調べた。
L6筋細胞での最も劇的なDkk−1作用は、インスリンシグナル伝達経路の重要なキナーゼであるAktのインスリン刺激活性化が50%減少したことであった。筋肉にDkk−1を過剰発現しているトランスジェニック動物は、血清からのグルコースクリアランスが減少したが、それらのインスリン耐性は変化しなかった。これらの動物はまた成長遅延を示し、それらの野生型同腹仔と比べて除脂肪量、脂肪量及び重要器官が比例的に少なかった。グルコースクリアランスと筋肉のAktインスリン刺激活性化に対するDkk−1作用は、8日間Dkk−1を静脈注射した後の動物で観察できた。これらの動物はまた、血清インスリンレベルが低下し、トランスジェニックマウスでは血清インスリンレベルに作用が見られなかった。Dkk−1は、インスリンシグナル伝達経路の重要な媒介物質であるAktの阻害によりL6細胞の基礎的及びインスリン刺激グルコース摂取を減少させた。Dkk−1のこれらの作用はDkk−1投与18時間後にのみ見られた。
Dkk−1はインビトロ及びインビボでの筋細胞分化に顕著に影響したが、これは、そのアンタゴニストが筋肉の再生及び修復に有用であることを示す。
Dkk−1はインビトロで筋細胞のグルコース摂取に対する明白な作用を有する。Dkk−1処理筋細胞はインスリン処理に抵抗力があり、これらの作用はわずか18時間で見られた。2型糖尿病の特徴であるインスリン抵抗性は、インスリンシグナル伝達経路におけるタンパク質の活性、リン酸化及び発現レベルにより影響され得る。よって、インビボ及びインビトロでの筋肉でのDkk−1作用を調べた。
L6筋細胞での最も劇的なDkk−1作用は、インスリンシグナル伝達経路の重要なキナーゼであるAktのインスリン刺激活性化が50%減少したことであった。筋肉にDkk−1を過剰発現しているトランスジェニック動物は、血清からのグルコースクリアランスが減少したが、それらのインスリン耐性は変化しなかった。これらの動物はまた成長遅延を示し、それらの野生型同腹仔と比べて除脂肪量、脂肪量及び重要器官が比例的に少なかった。グルコースクリアランスと筋肉のAktインスリン刺激活性化に対するDkk−1作用は、8日間Dkk−1を静脈注射した後の動物で観察できた。これらの動物はまた、血清インスリンレベルが低下し、トランスジェニックマウスでは血清インスリンレベルに作用が見られなかった。Dkk−1は、インスリンシグナル伝達経路の重要な媒介物質であるAktの阻害によりL6細胞の基礎的及びインスリン刺激グルコース摂取を減少させた。Dkk−1のこれらの作用はDkk−1投与18時間後にのみ見られた。
Dkk−1はインビトロ及びインビボでの筋細胞分化に顕著に影響したが、これは、そのアンタゴニストが筋肉の再生及び修復に有用であることを示す。
dkk−1導入遺伝子を発現している動物は身体が小さく、種々の期間の重量が比例的に減少した。どれか1つの理論に限定されることなく、これらのDkk−1作用はインスリン(及びおそらくIGF−1)刺激Akt活性化の減少により媒介されているようである。このことの直接的な証拠は、Akt1遺伝子が***したマウスに関する研究(Chen等, Genes and Development, 15: 2203-2208 (2001))にある。これらの動物はサイズが小さく、出生時の体重が少なく、成長率が低いが、それらのグルコース代謝には影響がない。また、Aktは成長ホルモン受容体と核とのシグナル伝達を仲介する(Piwien-Pilipuk等, J. Biol. Chem., 276: 19664-19671 (2001))。あるいは、どれか1つの理論に限定されることなく、dkk−1トランスジェニック動物の成長率の低下は、これらの動物におけるグルコース摂取の減少とその結果生じる栄養素有効性及び代謝率の変化の二次的作用であり得る。Aktは筋肉の肥大化を調節し、萎縮を阻止し(Bodine等, Nature Cell Biology, 3; 1014-1019 (2001); Rommel等, Nature Cell Biology, 3: 1009-1013 (2001))、どれか1つの理論に限定されることなく、身体サイズに対するDkk−1作用はAktに調節される筋肉分化及び/又は再生により仲介されることが可能である。
Dkk−1トランスジェニックマウスは減少した脂肪体を有し、これはDkk−1が脂肪細胞の分化に影響することを示唆する。どれか1つの理論に限定されることなく、これは周知の脂質生成調節因子であるAktの阻害により部分的に仲介され得る(Magun等, Endocrinology, 137: 3590-3593 (1996))。
一次3T3 L1前脂肪細胞を刺激してDkk−1の存在下又は非存在下で分化させ、分化開始後異なる日数で細胞を回収し、AP2、PPARγ、CEBPα及びFASといった脂肪細胞分化のマーカーの発現レベルについて転写物を分析した。Dkk−1処理はFAS及びAP2レベルを変化させなかったが、分化の5ないし8日目で、Dkk−1処理細胞においてPPARγレベルは2倍低下し、C/EBPαレベルは1倍低下した。
Dkk−1トランスジェニックマウスは減少した脂肪体を有し、これはDkk−1が脂肪細胞の分化に影響することを示唆する。どれか1つの理論に限定されることなく、これは周知の脂質生成調節因子であるAktの阻害により部分的に仲介され得る(Magun等, Endocrinology, 137: 3590-3593 (1996))。
一次3T3 L1前脂肪細胞を刺激してDkk−1の存在下又は非存在下で分化させ、分化開始後異なる日数で細胞を回収し、AP2、PPARγ、CEBPα及びFASといった脂肪細胞分化のマーカーの発現レベルについて転写物を分析した。Dkk−1処理はFAS及びAP2レベルを変化させなかったが、分化の5ないし8日目で、Dkk−1処理細胞においてPPARγレベルは2倍低下し、C/EBPαレベルは1倍低下した。
PPARγは脂肪細胞形成の重要な調節因子であり(Hu等, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92: 9856-9860 (1995); Hallakou等, Diabetes, 46: 1393-99 (1997))、受容体の転写活性の増加をもたらす変異が重度の肥満患者で確認されている(Ristow等, N. Engl. J. Med., 339: 953-959 (1998))。加えて、PPARγはまた筋肉のインスリン感受性の調節に重要な役割を果たし得る。PPARγの発現は2型糖尿病の骨格筋で変化し(Lovisacach等, Diabetologia, 43: 304-311 (2000))、その転写活性を低下させる変異が重度のインスリン抵抗性及び2型糖尿病を患う個体で確認されている(Barroso等, Nature, 402: 880-883 (1999))。しかし、2型糖尿病におけるPPARγの役割についての最も有力な証拠は、ヒトの2型糖尿病治療に許可されているチアゾリジンジオン(TZD)系薬(グリタゾン)(ロシグリタゾン/Avandia及びピオグリタゾン/Actos)の使用にある。これらの薬剤は、骨格筋でのグルコース利用を増加することによりインスリン分泌を刺激することなく、インスリン抵抗性を改善し且つグルコースレベルを低下する選択的PPARγ作動薬(Forman等, Cell, 83:803-812 (1995))である(Olefsky及びSaltiel, Trends Endo. and Metabolism, 11: 362-367 (2000); Willson等, Annu. Rev. Biochem. 70: 341-67 (2001)参照)。
脂肪細胞分化は構成的活性Aktにより刺激される(Magun等, Endocrinology, 137: 3590-3593 (1996))。血清レプチンレベルは脂肪組織量に依存し、Aktにより上昇調節される(Barthel等, Endocrinology, 138: 3559-3562 (1997))。dkk−1トランスジェニック動物の循環レプチンレベルの低下は、どれか1つの理論に限定されることなく、脂肪量の減少及び/又は脂肪組織のAkt活性化の減少の直接的作用であり得る。
脂肪細胞分化は構成的活性Aktにより刺激される(Magun等, Endocrinology, 137: 3590-3593 (1996))。血清レプチンレベルは脂肪組織量に依存し、Aktにより上昇調節される(Barthel等, Endocrinology, 138: 3559-3562 (1997))。dkk−1トランスジェニック動物の循環レプチンレベルの低下は、どれか1つの理論に限定されることなく、脂肪量の減少及び/又は脂肪組織のAkt活性化の減少の直接的作用であり得る。
最もよく研究されているAktの機能は、そのグルコース代謝における役割である。インスリンに反応してAktはIRS−1機能(Paz等, J. Biol. Chem., 274: 28816-28822 (1999))とGSK3βのリン酸化及び活性(Ross等, Mol. Cell. Biol., 19: 8433-8441 (1999); Summers等, J. Biol. Chem., 274: 17934-17940 (1999))を調節し、GLUT−4構成成分をリン酸化し、GLUT4の細胞表面への移行を調節する(Kupriyanova及びKandror, J. Biol. Chem., 274: 1458-1464 (1999); Wang等, Mol. Cell. Biol., 19: 4008-4018 (1999))。Aktリン酸化の減少(Krook等, 1998, 上掲)が一部の2型糖尿病対象体の骨格筋と肥満動物(Carvalho等, Diabetologia, 43: 1107-1115 (2000); Kim等, 上掲; Shao等, J. Endocrinol., 167: 107-115 (2000))で観察された。また、Akt2遺伝子が***しているマウスは2型糖尿病表現型を有する(Cho等, Science, 292: 1728-1731 (2000))。さらにインビボでのAkt活性化は、グルコース代謝の変化をもたらす様々な状態、例えば高血糖症(Kurowski等, Diabetes, 48: 658-663 (1999); Nawano等, Biochem. Biophys. Res. Commun., 266: 252-256 (1999); Oku等, 上掲)、筋肉損傷(Del Aguila等, Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 279: E206-212 (2000))、グリコーゲン含有量(Derave等, Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab., 279: E947-955 (2000))及び高脂肪食(Tremblay等, Diabetes, 50: 1901-1910 (2001))により影響される。
分化及びグルコース代謝における役割に加えて、Aktは、インスリン分泌膵臓β細胞の増殖(Holst等, Biochem. Biophys. Res. Commun., 250: 181-186 (1998); Trumper等, Ann. N. Y. Acad. Sci., 921: 242-250 (2000); Tuttle等, Nat. Med., 7: 1133-1137 (2001); Bernal-Mizrachi等, J. Clin. Invest., 108: 1631-1638 (2001))及び活着(Aikin等, Biochem. Biophys. Res. Commun., 277: 455-461 (2000))に重要な役割を果たすと考えられている。さらにインスリンシグナル伝達の初期段階の障害は、PI3−キナーゼ/Akt活着経路に影響することによりβ細胞の活着を減少させ且つインスリンの抗アポトーシス作用に対する抵抗性をもたらし得る(Federici等, Faseb J., 15: 22-24 (2001))。β細胞におけるAkt1の過剰発現の結果、β細胞と全膵島量の両方が顕著に増加し、これには血清インスリンレベルの上昇、グルコース耐性の改善、及びストレプトゾトシン誘発糖尿病への抵抗性が伴う(Tuttle等, 上掲; Bernal-Mizrachi等, 上掲)。
分泌インスリンレベルの顕著な低下が、ここでではDkk−1注入の8日後に観察され、筋肉でdkk−1を過剰発現しているトランスジェニック動物における影響ではより少なかった。どれか1つの理論に限定されることなく、Aktの阻害による膵臓β細胞生存に対する直接的な影響の結果、注射された動物での影響がより強くなったが、トランスジェニック動物では、代償性の機構によって又は筋肉でのDkk−1のより局所的な作用によってインスリンレベルの差違はがより小さいことがあり得る。Aktが島細胞の増殖とインスリン産生を刺激することで知られていることと、本明細書のデータがDkk−1投与及びトランスジェニックマウスはインスリンレベルがより低いことを初めて示したことによって、Dkk−1アンタゴニストは低インスリン血症の治療に有用であり、逆にDkk−1自体は高インスリン血症の治療に有用であることがわかった。
分泌インスリンレベルの顕著な低下が、ここでではDkk−1注入の8日後に観察され、筋肉でdkk−1を過剰発現しているトランスジェニック動物における影響ではより少なかった。どれか1つの理論に限定されることなく、Aktの阻害による膵臓β細胞生存に対する直接的な影響の結果、注射された動物での影響がより強くなったが、トランスジェニック動物では、代償性の機構によって又は筋肉でのDkk−1のより局所的な作用によってインスリンレベルの差違はがより小さいことがあり得る。Aktが島細胞の増殖とインスリン産生を刺激することで知られていることと、本明細書のデータがDkk−1投与及びトランスジェニックマウスはインスリンレベルがより低いことを初めて示したことによって、Dkk−1アンタゴニストは低インスリン血症の治療に有用であり、逆にDkk−1自体は高インスリン血症の治療に有用であることがわかった。
結論
Dkk−1は、筋肉でタンパク質を過剰発現しているトランスジェニックマウスでそうであったようにL6筋細胞のグルコース代謝に影響した。筋細胞をDkk−1で処理した結果、基礎的及びインスリン刺激グルコース摂取が減少した。この作用は短期的及び長期的処理後に観察され、このことは、どれか1つの理論に限定されることなく、Dkk−1がインスリンシグナル伝達経路のタンパク質発現レベル及び活性化の両方に影響し得ることを示す。該観察と一致して、タンパク質を過剰発現しているトランスジェニックマウスはグルコース耐性が低下したが、血清インスリンレベルには影響がなかった。さらに、Dkk−1投与及びトランスジェニック動物はインスリンレベルがより低かった。Dkk−1はまた筋細胞の分化を促進した。結果として、Dkk−1は体重と脂肪を減少させると考えられる。上述の観察は、Dkk−1が筋肉の変性、ほとんどの種類のNIDDMの重要な特徴であるインスリン抵抗性、及び低インスリン血症を誘発し、体重減量又は脂肪組織及び細胞の減少を促進することを示す。よって、Dkk−1アンタゴニストはインスリン抵抗性、低インスリン血症及び筋肉の変性の治療に有用であり、Dkk−1は肥満及び高インスリン血症の治療に有用であるとともに、このような状態を測定する際の診断上のマーカーとして有用である。また、Dkk−1アンタゴニストは、米国特許第6,187,991号に開示のトランスジェニック動物モデルにおける糖尿病表現型の進行を阻害することが期待される。
Dkk−1は、筋肉でタンパク質を過剰発現しているトランスジェニックマウスでそうであったようにL6筋細胞のグルコース代謝に影響した。筋細胞をDkk−1で処理した結果、基礎的及びインスリン刺激グルコース摂取が減少した。この作用は短期的及び長期的処理後に観察され、このことは、どれか1つの理論に限定されることなく、Dkk−1がインスリンシグナル伝達経路のタンパク質発現レベル及び活性化の両方に影響し得ることを示す。該観察と一致して、タンパク質を過剰発現しているトランスジェニックマウスはグルコース耐性が低下したが、血清インスリンレベルには影響がなかった。さらに、Dkk−1投与及びトランスジェニック動物はインスリンレベルがより低かった。Dkk−1はまた筋細胞の分化を促進した。結果として、Dkk−1は体重と脂肪を減少させると考えられる。上述の観察は、Dkk−1が筋肉の変性、ほとんどの種類のNIDDMの重要な特徴であるインスリン抵抗性、及び低インスリン血症を誘発し、体重減量又は脂肪組織及び細胞の減少を促進することを示す。よって、Dkk−1アンタゴニストはインスリン抵抗性、低インスリン血症及び筋肉の変性の治療に有用であり、Dkk−1は肥満及び高インスリン血症の治療に有用であるとともに、このような状態を測定する際の診断上のマーカーとして有用である。また、Dkk−1アンタゴニストは、米国特許第6,187,991号に開示のトランスジェニック動物モデルにおける糖尿病表現型の進行を阻害することが期待される。
抗Dkk−1モノクローナル抗体の開発
5匹の雌Balb/cマウス(Charles River Laboratories, Wilmington, DE)を、バキュロウィルスで発現され(WO99/46281)Ribiアジュバント(Ribi Immunochem Research, Inc., Hamilton, MO)で希釈された精製組換えポリヒスチジンタグ付(HIS8)ヒトDkk−1を用いて過免疫化した。一匹の動物につき50μlを足蹠から投与し、動物を週に2回免疫化した。5回注射後、高い抗Dkk−1抗体力価を示す5匹のマウスのリンパ節からのB細胞と、マウス骨髄腫細胞(X63.Ag8.653; American Type Culture Collection, Manassas, VA)とを、Kohler及びMilstein, 上掲、及びHongo等, Hybridoma, 14: 253-260 (1995)に記載の手順で融合した。10−14日後、上清を回収し、直接ELISAにより抗体産生についてスクリーニングした。限界希釈法による2回目のサブクローニング後に最も高い免疫結合を示し、下記のATCCで寄託された7個のポジティブクローンを、MAbのインビボ生産のためにPRISTANE(商品名)2,6,10,14−テトラメチルペンタカン(tetramethylpentacane)(アルドリッチケミカル社)−初回刺激を受けたマウス(Freund及びBlair, J. Immunol., 129: 2826-2830 (1982))に注入した。腹水をプールし、Hongo等, 上掲に記載されるようにプロテインAアフィニティークロマトグラフィー(PHARMACIA(商品名)高速タンパク質液体クロマトグラフィー[FPLC];ファルマシア&アップジョン社)により該腹水プールを精製した。精製抗体調製物を無菌濾過し(0.2−μmポアサイズ; Nalgene, Rochester NY)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で4℃で保存した。
7つの抗体調製物全てがウェスタン免疫ブロット法でDkk−1に結合した。
L6細胞を分化させ、Dkk−1非存在下(コントロール)又は40nMのDkk−1存在下(0.5μg/mLの量で抗Dkk−1抗体1G1.2D12.2D11(ATCC寄託番号PTA−3086)をプラス又はマイナス)で48時間処理した。L6細胞の基礎的な及びインスリン刺激でのグルコースの取り込みを実施例1に記載のように測定した。図17は、インスリンの非存在下及び存在下でモノクローナル抗体がL6細胞のグルコース取り込みのDkk−1媒介性減少を中和したことを示す。
5匹の雌Balb/cマウス(Charles River Laboratories, Wilmington, DE)を、バキュロウィルスで発現され(WO99/46281)Ribiアジュバント(Ribi Immunochem Research, Inc., Hamilton, MO)で希釈された精製組換えポリヒスチジンタグ付(HIS8)ヒトDkk−1を用いて過免疫化した。一匹の動物につき50μlを足蹠から投与し、動物を週に2回免疫化した。5回注射後、高い抗Dkk−1抗体力価を示す5匹のマウスのリンパ節からのB細胞と、マウス骨髄腫細胞(X63.Ag8.653; American Type Culture Collection, Manassas, VA)とを、Kohler及びMilstein, 上掲、及びHongo等, Hybridoma, 14: 253-260 (1995)に記載の手順で融合した。10−14日後、上清を回収し、直接ELISAにより抗体産生についてスクリーニングした。限界希釈法による2回目のサブクローニング後に最も高い免疫結合を示し、下記のATCCで寄託された7個のポジティブクローンを、MAbのインビボ生産のためにPRISTANE(商品名)2,6,10,14−テトラメチルペンタカン(tetramethylpentacane)(アルドリッチケミカル社)−初回刺激を受けたマウス(Freund及びBlair, J. Immunol., 129: 2826-2830 (1982))に注入した。腹水をプールし、Hongo等, 上掲に記載されるようにプロテインAアフィニティークロマトグラフィー(PHARMACIA(商品名)高速タンパク質液体クロマトグラフィー[FPLC];ファルマシア&アップジョン社)により該腹水プールを精製した。精製抗体調製物を無菌濾過し(0.2−μmポアサイズ; Nalgene, Rochester NY)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で4℃で保存した。
7つの抗体調製物全てがウェスタン免疫ブロット法でDkk−1に結合した。
L6細胞を分化させ、Dkk−1非存在下(コントロール)又は40nMのDkk−1存在下(0.5μg/mLの量で抗Dkk−1抗体1G1.2D12.2D11(ATCC寄託番号PTA−3086)をプラス又はマイナス)で48時間処理した。L6細胞の基礎的な及びインスリン刺激でのグルコースの取り込みを実施例1に記載のように測定した。図17は、インスリンの非存在下及び存在下でモノクローナル抗体がL6細胞のグルコース取り込みのDkk−1媒介性減少を中和したことを示す。
材料の寄託
次の材料をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション,10801 ユニバーシティー ブルバード, マナサッス, バージニア, 20110−2209 アメリカ合衆国(ATCC)に寄託した:
材料 ATCC寄託番号 寄託日
DKK1.MAB3139.8C11.2G11.1D1 PTA-3084 2001年2月21日
DKK1.MAB3143.4C7.2H10.2G1 PTA-3085 2001年2月21日
DKK1.MAB3142.1G1.2D12.2D11 PTA-3086 2001年2月21日
DKK1.MAB3141.5B12.2C5.2A5 PTA-3087 2001年2月21日
DKK1.MAB3138.7C11.2H6.2A8 PTA-3088 2001年2月21日
DKK1.MAB3140.7B2.2A6.2H4 PTA-3089 2001年2月21日
DKK1.MAB3144.5A2.2A8.1C3 PTA-3097 2001年2月21日
次の材料をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション,10801 ユニバーシティー ブルバード, マナサッス, バージニア, 20110−2209 アメリカ合衆国(ATCC)に寄託した:
材料 ATCC寄託番号 寄託日
DKK1.MAB3139.8C11.2G11.1D1 PTA-3084 2001年2月21日
DKK1.MAB3143.4C7.2H10.2G1 PTA-3085 2001年2月21日
DKK1.MAB3142.1G1.2D12.2D11 PTA-3086 2001年2月21日
DKK1.MAB3141.5B12.2C5.2A5 PTA-3087 2001年2月21日
DKK1.MAB3138.7C11.2H6.2A8 PTA-3088 2001年2月21日
DKK1.MAB3140.7B2.2A6.2H4 PTA-3089 2001年2月21日
DKK1.MAB3144.5A2.2A8.1C3 PTA-3097 2001年2月21日
この寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約及びその規則(ブダペスト条約)の規定に従って行われた。これは、寄託の日付から30年間、寄託の生存可能な培養が維持されることを保証するものである。寄託物はブダペスト条約の条項に従い、またジェネンテク社とATCCとの間の合意に従い、ATCCから入手することができ、これは、どれが最初であろうとも、関連した米国特許の発行時又は任意の米国又は外国特許出願の公開時に、寄託培養物の後代を永久かつ非制限的に入手可能とすることを保証し、米国特許法第122条及びそれに従う特許庁長官規則(特に参照番号886 OG 638の37CFR第1.14条を含む)に従って権利を有すると米国特許庁長官が決定した者に子孫を入手可能とすることを保証するものである。
本出願の譲受人は、寄託した材料が、適切な条件下で培養されていた場合に死亡もしくは損失又は破壊されたならば、材料は通知時に同一の他のものと即座に取り替えることに同意する。寄託材料の入手可能性は、特許法に従いあらゆる政府の権限下で認められた権利に違反して、本発明を実施するライセンスであるとみなされるものではない。
上記の文書による明細書は、当業者に本発明を実施できるようにするために十分であると考えられる。寄託した態様は、本発明のある側面の一つの説明として意図されており、機能的に等価なあらゆる作成物がこの発明の範囲内にあるため、寄託された作成物により、本発明の範囲が限定されるものではない。ここでの物質の寄託は、ここに含まれる文書による説明が、そのベストモードを含む、本発明の任意の側面の実施を可能にするために不十分であることを認めるものではないし、それが表す特定の例証に対して請求の範囲を制限するものと解釈されるものでもない。実際、ここに示し記載したものに加えて、本発明を様々に改変することは、前記の記載から当業者にとっては明らかなものであり、添付の請求の範囲内に入るものである。
本発明の原理、実施態様及び実施例は前記の説明に記載されている。しかしながら、それらは制限的なものではなく、むしろ例示的なものとみなされるべきであるので、ここで保護されることを目的とする発明は、記載された特定の形態に限定されて解釈されるべきではない。当業者によれば、本発明の精神から逸脱しないで変形及び変更を行うことができる。
本出願の譲受人は、寄託した材料が、適切な条件下で培養されていた場合に死亡もしくは損失又は破壊されたならば、材料は通知時に同一の他のものと即座に取り替えることに同意する。寄託材料の入手可能性は、特許法に従いあらゆる政府の権限下で認められた権利に違反して、本発明を実施するライセンスであるとみなされるものではない。
上記の文書による明細書は、当業者に本発明を実施できるようにするために十分であると考えられる。寄託した態様は、本発明のある側面の一つの説明として意図されており、機能的に等価なあらゆる作成物がこの発明の範囲内にあるため、寄託された作成物により、本発明の範囲が限定されるものではない。ここでの物質の寄託は、ここに含まれる文書による説明が、そのベストモードを含む、本発明の任意の側面の実施を可能にするために不十分であることを認めるものではないし、それが表す特定の例証に対して請求の範囲を制限するものと解釈されるものでもない。実際、ここに示し記載したものに加えて、本発明を様々に改変することは、前記の記載から当業者にとっては明らかなものであり、添付の請求の範囲内に入るものである。
本発明の原理、実施態様及び実施例は前記の説明に記載されている。しかしながら、それらは制限的なものではなく、むしろ例示的なものとみなされるべきであるので、ここで保護されることを目的とする発明は、記載された特定の形態に限定されて解釈されるべきではない。当業者によれば、本発明の精神から逸脱しないで変形及び変更を行うことができる。
Claims (52)
- 哺乳動物のインスリン抵抗性又は低インスリン血症を治療する方法であって、その必要のある哺乳動物に有効量のDickkopf-1(Dkk−1)に対するアンタゴニストを投与することを含む方法。
- 哺乳動物がインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)をもつ、請求項1に記載の方法。
- 哺乳動物がヒトであり、アンタゴニストがヒトDkk−1に対するものである、請求項1に記載の方法。
- アンタゴニストがDkk−1に結合する抗体である、請求項1に記載の方法。
- 抗体がモノクローナル抗体である、請求項4に記載の方法。
- 抗体がATCC寄託番号PTA−3086を有するハイブリドーマから作成される、請求項5に記載の方法。
- 投与が全身性である、請求項1に記載の方法。
- インスリン抵抗性が治療され、有効量のインスリン抵抗性治療薬を哺乳動物に投与することをさらに含む請求項1に記載の方法。
- 低インスリン血症が治療され、有効量のインスリンを哺乳動物に投与することをさらに含む方法。
- 哺乳動物においてインスリン抵抗性又は低インスリン血症の存在又は発症を検出する方法であって、次の:
(a)前記哺乳動物由来の試料におけるDickkopf-1(Dkk−1)の量を測定する工程;及び
(b)工程(a)において測定された量と標準試料に存在するDkk−1の量とを比較する工程
を含み、工程(a)でのDkk−1量が増大したレベルにあることによって、インスリン抵抗性又は低インスリン血症が示される方法。 - 測定が免疫測定法で抗Dkk−1抗体を用いて実施される、請求項10に記載の方法。
- 抗Dkk−1抗体が標識を有する、請求項11に記載の方法。
- 標識が蛍光標識、放射性標識、及び酵素標識からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
- 免疫測定法が、放射免疫測定法、酵素免疫測定法、酵素結合免疫吸着測定法、サンドイッチ免疫測定法、沈降アッセイ、免疫放射性アッセイ、蛍光免疫測定法、プロテインA免疫測定法、免疫電気泳動アッセイからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
- インスリン抵抗性がインスリン非依存性糖尿病である、請求項10に記載の方法。
- 哺乳動物がヒトであり、ヒトDkk−1が測定される請求項10に記載の方法。
- インスリン抵抗性又は低インスリン血症を治療するためのキットであって、
(a)Dkk−1に対するアンタゴニストを含む容器;及び
(b)インスリン抵抗性又は低インスリン血症の治療にアンタゴニストを使用するための説明書
を含むキット。 - アンタゴニストがDkk−1に結合する抗体である、請求項17に記載のキット。
- 抗体がモノクローナル抗体である、請求項18に記載のキット。
- 抗体がヒトDkk−1に結合する、請求項18に記載のキット。
- インスリン非依存性糖尿病を治療するための請求項17に記載のキット。
- インスリン抵抗性が治療される場合にはインスリン抵抗性治療薬を、低インスリン血症が治療される場合にはインスリンを含む容器をさらに含む、請求項17に記載のキット。
- ATCC寄託番号PTA−3084、PTA−3085、PTA−3086、PTA−3087、PTA−3088、PTA−3089及びPTA−3097からなる群から選択されるハイブリドーマ。
- ATCC寄託番号PTA−3086である請求項23のハイブリドーマ。
- 請求項23のハイブリドーマから調製される抗体。
- 哺乳動物の肥満又は高インスリン血症を治療する方法であって、その必要のある哺乳動物に有効量のDickkopf-1(Dkk−1)を投与することを含む方法。
- 哺乳動物がヒトであり、Dkk−1がヒトDkk−1である、請求項26に記載の方法。
- 投与が全身性である、請求項26に記載の方法。
- 有効量の減量薬を投与することをさらに含む請求項26に記載の方法。
- 哺乳動物において肥満又は高インスリン血症の存在又は発症を検出する方法であって、次の:
(a)前記哺乳動物由来の試料におけるDickkopf-1(Dkk−1)の量を測定する工程;及び
(b)工程(a)において測定された量と標準試料に存在するDkk−1の量とを比較する工程
を含み、工程(a)のDkk−1量が減少したレベルにあることによって、肥満又は高インスリン血症が示される方法。 - 測定が免疫測定法で抗Dkk−1抗体を用いて実施される、請求項30に記載の方法。
- 抗Dkk−1抗体が標識を有する、請求項31に記載の方法。
- 標識が蛍光標識、放射性標識、及び酵素標識からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
- 免疫測定法が、放射免疫測定法、酵素免疫測定法、酵素結合免疫吸着測定法、サンドイッチ免疫測定法、沈降アッセイ、免疫放射性アッセイ、蛍光免疫測定法、プロテインA免疫測定法、免疫電気泳動アッセイからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
- 哺乳動物がヒトであり、ヒトDkk−1が測定される請求項30に記載の方法。
- 肥満又は高インスリン血症を治療するためのキットであって、
(a)Dkk−1を含む容器;及び
(b)肥満又は高インスリン血症の治療にDkk−1を使用するための説明書
を含むキット。 - Dkk−1がヒトDkk−1である、請求項36に記載のキット。
- 肥満が治療される場合には減量薬を含み、高インスリン血症が治療される場合にはジアゾキシドを含む、請求項36に記載の方法。
- インスリン抵抗性、高インスリン血症、低インスリン血症、又は肥満の存在又は発症を検出するための診断キットであって、
(a)Dickkopf-1(Dkk−1)に結合する抗体を含む容器;
(b)Dkk−1を含有する標準試料を含む容器;及び
(c)インスリン抵抗性、高インスリン血症、低インスリン血症、又は肥満の検出に抗体と標準試料を使用するための説明書
を含み、Dkk−1に結合する抗体が検出可能に標識されているか、あるいはキットが、検出可能に標識され且つDkk−1に又はDkk−1に結合する抗体に結合する第2抗体を含む別の容器をさらに含む、診断キット。 - Dkk−1に結合する抗体がモノクローナル抗体である、請求項39に記載のキット。
- Dkk−1がヒトDkk−1であり、キットがインスリン非依存性糖尿病又は肥満を検出するためのものである、請求項39に記載のキット。
- 哺乳動物の筋肉を修復又は再生する方法であって、有効量のDkk−1に対するアンタゴニストを哺乳動物に投与することを含む方法。
- アンタゴニストがDkk−1に結合する抗体である、請求項42に記載の方法。
- 哺乳動物がヒトであり、抗体がヒトDkk−1に結合する、請求項43に記載の方法。
- 抗体がモノクローナル抗体である、請求項42に記載の方法。
- 筋肉を修復又は再生するためのキットであって、
(a)Dkk−1に対するアンタゴニストを含む容器;及び
(b)哺乳動物の筋肉の修復又は再生にアンタゴニストを使用するための説明書を含むキット。 - アジュバンドで希釈されたタグ付Dkk−1でマウスを過免疫化し、抗Dkk−1抗体力価を有するマウス由来のB細胞とマウスミエローマ細胞とを融合させて上清を得、上清を回収し、回収した上清を抗体産生についてスクリーニングし、モノクローナル抗体のインビボ生産のために2回のサブクローニング後に最も高い免疫結合を示すポジティブクローンを初回刺激を受けたマウスに注入し、マウスから得た腹水をプールし、腹水のプールを精製して抗体調製物を作成することによって作成されたモノクローナル抗体調製物。
- インスリン抵抗性、低インスリン血症、又は筋肉修復における候補医薬の効果を評価する方法であって、dkk−1核酸を過剰発現する非ヒトトランスジェニック動物への前記医薬の投与、及びそれぞれ、前記動物の血液からのグルコースクリアランス、前記動物の循環インスリンレベル、又は筋肉分化における医薬の影響の測定を含む方法。
- 肥満又は高インスリン血症における候補医薬の効果を評価する方法であって、dkk−1核酸を発現する非ヒトバイナリートランスジェニック動物への前記医薬の投与、及び前記動物の肥満決定因子又はインスリンレベルにおける医薬の影響の測定を含む方法。
- dkk−1核酸を過剰発現する非ヒトトランスジェニック動物。
- 齧歯類である請求項50に記載の動物。
- マウスである請求項50に記載の動物。
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