本発明は、新規アルギニンN−メチルトランスフェラーゼファミリーメンバー(本明細書中で、「7118」という)の発見に一部基づく。7118をコードするcDNAのヌクレオチド配列は、配列番号1で示され、そして7118ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2で示される。さらに、コード領域のヌクレオチド配列は、配列番号3で示される。
さらに、1つの局面において、本発明は、7118タンパク質または7188ポリペプチドをコードする核酸分子(例えば、7118タンパク質の生物学的に活性な部分)を特徴とする。好ましい実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号2のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。他の実施形態において、本発明は、配列番号1、配列番号3で示されるヌクレオチド配列を有する、単離された7118核酸分子を提供する。なお別の実施形態において、本発明は、配列番号1、配列番号3に示されるヌクレオチド配列に実質的に同一な(例えば、天然に存在する対立遺伝子改変体)核酸分子を提供する。別の実施形態において、本発明は、本明細書中に記載されるようなストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1、配列番号3のヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイブリダイズする核酸分子を提供し、ここで、この核酸は、全長7118タンパク質またはその活性フラグメントをコードする。
関連する局面において、本発明はさらに、本明細書中で記載される7118核酸分子を含む核酸構築物を提供する。特定の実施形態において、本発明の核酸分子は、ネイティブの調節配列または異種調節配列に作動可能に連結される。本発明の7118核酸分子を含むベクターおよび宿主細胞(例えば、ポリペプチドを産生するのに適切な、ベクターおよび宿主細胞)もまた、含まれる。
別の関連する局面において、本発明は、7118コード核酸の検出のためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして適切な核酸フラグメントを提供する。
なお別の関連する局面において、7118コード核酸分子に対してアンチセンスである単離された核酸分子が、提供される。
別の局面において、本発明は、7118ポリペプチド、およびその生物学的に活性なフラグメントまたは抗原性フラグメントを特徴とする。これらは、例えば、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連障害または他の7118関連障害の処置および診断のために適用可能なアッセイにおける試薬または標的として有用である。別の実施形態において、本発明は、7118活性を有する7118ポリペプチドを提供する。好ましいポリペプチドは、少なくとも1つのアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインを含む7118タンパク質、好ましくは、7118活性(例えば、本明細書中に記載されるような7118活性)を有する7118タンパク質である。
他の実施形態において、本発明は、7118ポリペプチド(例えば、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する7118ポリペプチド);配列番号2に示されるアミノ酸配列と実質的に同一である、アミノ酸配列;または、本明細書中に記載されるようなストリンジェンなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1もしくは配列番号3のヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する核酸分子によってコードされる、アミノ酸配列を提供し、ここで、この核酸は、全長7118タンパク質またはその活性フラグメントをコードする。
関連する局面において、本発明はさらに、本明細書中に記載される7118核酸分子を含む核酸構築物を提供する。
関連する局面において、本発明は、非7118ポリペプチドに作動可能に連結して融合タンパク質を形成する、7118ポリペプチドまたはフラグメントを提供する。
別の局面において、本発明は、7118ポリペプチドと反応するか、または好ましくは、7118ポリペプチドに特異的もくしは選択的に結合する、抗体およびその抗原結合フラグメントを特徴とする。
別の局面において、本発明は、7118ポリペプチドまたは7118核酸の発現または活性を調節する化合物についてスクリーニングするための方法を提供する。
なお別の局面において、本発明は、7118ポリペプチドまたは7118核酸の発現または活性を、例えば、本明細書中に記載されるスクリーニングにおいて同定される化合物を使用して調節するためのプロセスを提供する。特定の実施形態において、この方法は、7118ポリペプチドまたは7118核酸の異常な活性または発現に関連する状態(例えば、異常なまたは欠損したアルギニンN−メチルトランスフェラーゼの機能または発現に関する状態または障害)の処置を含む。このような障害の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:免疫(例えば、炎症性)障害、細胞増殖障害および/または細胞分化障害、ならびに血液学的障害。
本発明はまた、生物学的サンプル中で、7118ポリペプチドまたは7118核酸分子の活性、あるいは7118ポリペプチドまたは7118核酸分子の存在または非存在を決定するためのアッセイ(疾患診断用のアッセイを含む)を提供する。
さらなる局面において、本発明は、7118ポリペプチドまたは7118核酸分子における遺伝子変更の存在または非存在を決定するためのアッセイ(疾患診断用のアッセイを含む)を提供する。
別の局面において、本発明は、複数のアドレスを有する2次元アレイを特徴とし、この複数のアレイの各々は、互いの複数のアドレスとは位置的に区別され、そして複数のアドレスの各々は、特有の捕捉プローブ(例えば、核酸またはペプチド配列)を有する。複数のアドレスのうちの少なくとも1つのアドレスは、7118分子を認識する捕捉プローブを有する。1つの実施形態において、この捕捉プローブ(例えば、7118核酸配列に相補的なプローブ)は、核酸である。別の実施形態において、この捕捉プローブは、ポリペプチド(例えば、7118ポリペプチドに対して特異的な抗体)である。サンプルを所定のアレイと接触させて、このアレイに対するサンプルの結合を検出することによって、このサンプルを分析する方法もまた、特徴とする。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなる。
非翻訳領域を含む約1316ヌクレオチド長である、ヒト7118配列(図1;配列番号1)は、約1086ヌクレオチドの推定メチオニン開始コード配列(終止コドン(図1の配列番号1のコードとして示されるヌクレオチド;配列番号3)を含む)を含む。このコード配列は、361アミノ酸のタンパク質配列番号2)をコードする。
ヒト7118は、以下の領域または他の構造的特徴を含む(PFAMドメイン識別子数、PD接頭ドメイン識別子数、PS接頭ドメイン識別子数およびPF接頭ドメイン識別子数に関する一般的な情報については、Sonnhammerら、(1997)Protein 28:405〜420およびhttp://www.psc.edu/general/software/packages/pfam/pfam.htmlを参照のこと):
配列番号2のアミノ酸約1〜32に位置するアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの第1領域(ProDom番号PD074472);
配列番号2のアミノ酸約29〜78に位置するアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの第2領域(ProDom番号PD009274);
配列番号2のアミノ酸約170〜348に位置するアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの第3領域(ProDom番号PD011237);
配列番号2のアミノ酸約87〜90に位置する、1つのグリコサミノグリカン結合部位(Prosite PS00002);
配列番号2のアミノ酸約29〜31、約38〜40、約65〜67、約249〜251、および約314〜316に位置する、5つのプロテインキナーゼCリン酸化部位(Prosite PS00005);
配列番号2のアミノ酸約38〜41、約111〜114、約191〜194、約293〜296、および約317〜320に位置する、5つのカゼインキナーゼIIリン酸化部位(Prosite PS00006);ならびに
配列番号2のアミノ酸約24〜29、約86〜91、約106〜111、および約326〜331に位置する、4つのミリストイル化部位(Prosite PS00008)。
7118タンパク質は、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼファミリーのメンバーと共通の有意な数の構造的特徴を含む。用語「ファミリー」は、本発明のタンパク質分子および核酸分子に言及する場合、共通の構造ドメインまたは共通の構造モチーフを有し、そして本明細書中に定義される通りの充分なアミノ酸配列相同性または充分なヌクレオチド配列相同性を有する、2以上のタンパク質または核酸分子を意味する。このようなファミリーのメンバーは、天然に存在しても天然に存在しなくてもよく、そして同じ種に由来しても異なる種に由来してもよい。例えば、ファミリーは、ヒト起源の第1タンパク質ならびにヒト起源の他の別個のタンパク質を含んでもよく、あるいは、非ヒト起源のホモログ(例えば、ラットタンパク質またはマウスタンパク質)を含んでもよい。ファミリーのメンバーはまた、共通の機能的特徴を有し得る。
本明細書中で用いられる場合、用語「アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ」は、アルギニン残基のグアニジノ窒素族をメチル化し得るタンパク質またはポリペプチドを含む。
アルギニンN−メチルトランスフェラーゼファミリーのメンバーのタンパク質は、一般に、細胞核に位置し、アルギニン残基(特にRNA結合タンパク質中に見られる残基)のモノメチル化および非対称的ジメチル化または対称的ジメチル化を触媒する。7118タンパク質とアルギニンN−メチルトランスフェラーゼ1(SwissProtにおける登録番号Q99873)との整列を図6に示し、そして2つの配列の間の約100%の配列同一性(blosum62.iij行列からのmatblasにおいて算出した場合)を実証する。
7118ポリペプチドは、用語「アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメイン」または「アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメイン」と相同な領域を含み得る。
本明細書中で使用される場合、「アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメイン」は、約300〜400アミノ酸残基長のアミノ酸配列を含む。好ましくは、アルギニンメチルトランスフェラーゼドメインは、アルギニン残基のメチル化を媒介する。アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインは、以下を含み得る:グリコサミノグリカン結合部位(コンセンサス配列:S−G−x−Gを有するProsite PS00002);プロテインキナーゼCリン酸化部位(コンセンサス配列:[ST]−x−[RK]を有するProsite PS00005);カゼインキナーゼIIリン酸化部位(コンセンサス配列:[ST]−x(2)−[DE]を有するProsite PS00006);ミリストイル化部位(コンセンサス配列:G−{EDRKHPFYW}−x(2)−[STAGCN]−{P}を有するProsite PS00008);またはこれらに相同な配列。上記の保存されたシグネチャー配列、ならびに本明細書中に記載される他のモチーフもしくはシグネチャー配列では、標準的なIUPACのアミノ酸1文字暗号が用いられる。このパターンにおける各構成要素は、ダッシュ(−)によって隔てられ;角括弧([ ])は、その位置で受け入れられる特定の残基を示し;中括弧({ })は、その位置で受け入れられない特定の残基を示し;xは、任意の残基がその位置で受け入れられることを示し;そして丸括弧(( ))内の数字は、付随するアミノ酸によって示される残基の数を示す。ヒト7118のアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの第1領域、第2領域および第3領域(配列番号2のアミノ酸1〜32、29〜78、および170〜348)のBLAST検索モデルからのPD074472(配列番号4);PD009274(配列番号5);およびPD011237(配列番号6)との整列は、それぞれ100%、84%、および64%の同一性を示す(blosum62.iij行列からのProDomainにおいて算出した場合、図3、図4、および図5)。
アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインは、好ましくは、以下の高度に保存された残基および領域を含む:結合したアルギニン基質の末端アミノ基と相互作用し得る2つのグルタミン酸残基(配列番号2におけるE152およびE161);(T−H−W)モチーフ(配列番号2におけるアミノ酸300〜302);SAM補酵素と相互作用し得る残基F44、M56、D59、R62、D84、G86、およびE110;ならびにアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの2つのサブドメインを連結し得るプロリン残基(配列番号2におけるP183)。特定の実施形態において、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインは、図8の整列において同一性を共有する、配列番号2のアミノ酸の60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%を含み得る(「*」で示す)。特定の他の実施形態において、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインは、さらに、図8の整列において高い類似性を共有する、配列番号2のアミノ酸の60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%を含み得る(「:」で示す)。他の実施形態において、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインは、なおさらに、図8の整列において若干の類似性を共有する、配列番号2のアミノ酸の60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%を含み得る(「・」で示す)。
好ましい実施形態において、7118ポリペプチドまたはタンパク質は、「アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメイン」を有するか、あるいは少なくとも約300〜400のアミノ酸残基、より好ましくは約320〜380アミノ酸残基または340〜360アミノ酸残基を含み、「アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメイン」と少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%の相同性を有する領域(例えば、ヒト7118のアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメイン(例えば、配列番号2の残基1〜348))を有する。
7118タンパク質配列中の「アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ」ドメインの存在を同定するために、そして目的のポリペプチドまたはタンパク質が特定のプロフィールを有することを決定するために、タンパク質のアミノ酸配列が、ドメインのデータベース(例えば、ProDomデータベース(Corpetら、(1999)、Nucl.Acids.Res.27:263−267))に対して検索され得る。ProDomタンパク質ドメインデータベースは、相同性ドメインの自動編集からなる。ProDomの現行版は、SWISS−PROT 38およびTREMBLタンパク質データベースの再帰的PSI−BLAST検索(Altschulら、(1997)Nucleic Acids Res.25:3389−3402;Gouzyら、(1999)Computers and Chemistry 23:333−340)を使用して構築される。データベースは、各ドメインに対するコンセンサス配列を自動的に生成する。BLAST検索は、HMMデータベースに対して実施され、それによって、ヒト7118のアミノ酸配列中の、配列番号2の残基約1〜32、29〜78、および170〜348に、「アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ」ドメインの第1領域、第2領域、および第3領域を同定した(図3、図4、および図5)。
7118ファミリーメンバーは、少なくとも1つのアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインを含み得る。7118ファミリーメンバーは、少なくとも1つのグリコサミノグリカン結合部位(Prosite PS00002)をさらに含み得る。さらに、7118ファミリーメンバーは;少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、好ましくは5つのプロテインキナーゼCリン酸化部位(Prosite PS00005);少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、好ましくは5つのカゼインキナーゼIIリン酸化部位(Prosite PS00006);ならびに少なくとも1つ、2つ、3つ、好ましくは4つのN−ミリストイル化部位(Prosite PS00008)を含み得る。
本発明の7118ポリペプチドが、7118媒介性活性を調節し得るので、これらは、以下に議論されるように、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連障害または他の7118関連障害に対する新規の診断剤および治療剤を開発するために有用であり得る。
本明細書中で使用される場合、「7118活性」「7118の生物学的活性」または「7118の機能的活性」とは、インビボまたはインビトロで決定される場合、7118タンパク質、7118ポリペプチドまたは7118核酸分子により、例えば、7118応答性細胞上または7118基質(例えば、タンパク質基質)に対して示される活性をいう。1つの実施形態において、7118活性は、直接的な活性(例えば、7118標的分子との結合)である。「標的分子」または「結合パートナー」は、7118タンパク質が天然に結合または相互作用する分子である。例示的な実施形態において、7118は、メチルトランスフェラーゼ(例えば、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ)であり、従って、天然に分子(例えば、アルギニン残基)に結合または分子と相互作用する。
7118活性はまた、間接的な活性(例えば、7118タンパク質と7118レセプターの相互作用により媒介される細胞性シグナル伝達活性)であり得る。上記された配列構造および公知の機能の分子に対する類似性に基づいて、本発明の7118分子は、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼファミリーメンバーと類似の生物学的活性を有し得る。例えば、本発明の7118タンパク質は、以下の活性:(1)基質(例えば、アルギニン残基);(2)補酵素(例えば、S−アデノシル−L−メチオニン)を結合する能力;(3)基質内の窒素原子(結合したアルギニン残基のグアニジノ窒素族)をメチル化する能力;および(4)核シグナル伝達を調節する能力、の1つ以上を有し得る。
本発明の7118分子は、これらが発現される組織の細胞の活性を調節し得る。例えば、7118 mRNAは、造血組織および赤血球性組織(例えば、骨髄、赤血球、赤芽球、巨核球、末梢血、および臍帯血)において発現される。7118はまた、細胞性増殖障害を有する細胞(例えば、骨髄性白血病および前骨髄球性白血病を有する血球)および免疫細胞(例えば、好中球および肥満細胞)において高度に発現される。従って、本発明の7118分子は、血液学的障害、細胞増殖性障害および/または細胞分化性障害、あるいは免疫障害(炎症性障害)に対する治療剤または診断剤として作用し得る。
7118分子は、血液学的障害を部分的に処置するために使用され得る。なぜなら、7118 mRNAは、造血組織および赤血球性組織(例えば、骨髄、赤血球、赤芽球、巨核球、末梢血、および臍帯血)において発現されるからである。7118 mRNAは、赤血球性培養物において誘導されることが見出され、第6日でのピーク発現は、赤血球増殖のために重要なサイトカインの生体分布を調節することによって、これらの細胞の増殖および分化における役割を果たしそうであることを示唆する。従って、7118酵素をアゴナイズすることは、造血細胞の増殖の低下と関連する貧血および他の疾患の処置において有用である。貧血としては、再生不良性貧血、赤芽球ろう、ダイアモンド−ブラックファン症候群、慢性腎不全の貧血、溶血から生じる貧血、出血から生じる貧血、下垂体疾患の貧血、甲状腺疾患の貧血、副腎疾患の貧血、生殖腺疾患の貧血、癌の貧血、脊髄形成以上症候群、脊髄ろう、巨赤芽球性貧血、鉄不足から生じる貧血、低色素性貧血、正球性貧血、ビタミンまたはミネラル(葉酸、ビタミンB12、鉄など)不足から生じる貧血、鎌状赤血球貧血、サラセミア、溶血性貧血、および黄疸溶血性貧血が挙げられるがこれらに限定されない。
7118分子は、細胞増殖性障害および/または細胞分化性障害を部分的に処置するために使用され得る。なぜなら、7118 mRNAは、骨髄性白血病および前骨髄球白血病において発現される。細胞増殖性障害および/または細胞分化性障害の例としては、癌(例えば、癌種、肉腫、転移性障害または造血新生物障害(例えば、白血病))が挙げられる。転移性腫瘍は、多数の原発性腫瘍型から生じ得、これとしては、前立腺起源、結腸起源、肺起源、胸部起源および肝臓起源が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書中で使用する場合、用語「癌」(用語「過剰増殖」および「腫瘍性(neoplastic)」とも交換可能に使用される)は、自律的に増殖(すなわち、迅速な細胞増殖により特徴付けられる異常な状態(state or condition))する能力を有する細胞をいう。癌性疾患状態は、病理的と分類され得る(すなわち、疾患状態(例えば、悪性腫瘍増殖)を特徴付けるかまたは疾患状態を構成する)か、または非病理的と分類され得る(すなわち、正常からの逸脱であるが、疾患状態に関連しない(例えば、創傷修復に関連する細胞増殖))。この用語は、組織病理学の型にも浸潤の段階にも関らず、全ての型の癌の増殖もしくは腫瘍形成の進行、転移性組織または悪性に形質転換した細胞、組織もしくは器官を含むことを意味する。用語「癌(cancer)」は、種々の器官系の悪性組織(例えば、肺、胸部、胸腺、リンパ系、胃腸、および尿生殖路に発症した悪性組織、ならびにほとんどの結腸癌、腎臓細胞癌、前立腺癌、および/または精巣腫瘍、肺の非小細胞癌、小腸の癌、および食道癌のような悪性疾患を含む腺癌)を含む。用語「癌(癌腫)(carcinoma)」は、当該分野で認識されており、呼吸器系癌、胃腸系癌、尿生殖器系癌、精巣癌、乳癌、前立腺癌、内分泌系癌、および骨髄腫を含む、上皮組織または内分泌組織の悪性疾患をいう。例示的な癌としては、頸部、肺、前立腺、胸部、頭頸部、結腸、および卵巣の組織から形成した癌が挙げられる。用語「癌」はまた、例えば、癌組織および肉腫組織で構成される悪性腫瘍を含む癌を含む。「腺癌」は、腺性組織由来の癌または腫瘍細胞が認識可能な腺性構造を形成する癌をいう。用語「肉腫」は、当該分野で認識されており、そして間葉の派性した悪性腫瘍をいう。
本発明の7118分子は、種々の増殖障害をモニター、処置および/または診断するために使用され得る。このような障害としては、造血性腫瘍性障害が挙げられる。本明細書中で使用される場合、用語「造血性腫瘍性障害」は、造血起源の過形成/腫瘍性細胞を含む疾患を含み、造血性腫瘍性障害は、例えば、骨髄系統、リンパ系統もしくは赤血球系統、またはこれらの前駆細胞から生じ得る。好ましくは、この疾患は、ほとんど分化していない急性白血病(例えば、赤芽球白血病および急性巨核芽球白血病)から生じる。さらなる代表的な骨髄障害としては、急性前骨髄性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性骨髄性白血病(CML)(Vaickus(1991)Crit Rev.Oncol./Hemotol.11:267−97において概説されている)が挙げられるがこれらに限定されない;リンパ性悪性疾患としては、急性リンパ芽球性白血病(ALL)(B系統ALLおよびT系統ALLを含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、毛細胞白血病(HLL)、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症が挙げられるがこれらに限定されない。悪性リンパ腫のさらなる形態としては、非ホジキンリンパ腫およびその改変体、末梢性T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫瘍(ATL)、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)、大顆粒性リンパ性白血病(LGF)、ホジキン病、およびリード−スターンバーグ病が挙げられるがこれらに限定されない。
7118分子は、免疫障害を部分的に処置するために使用され得る。なぜなら、7118 mRNAは、初期先祖白血球細胞(好中球)において発現されるからである。。本発明の7118核酸および7118タンパク質は、種々の免疫(例えば、炎症(例えば、呼吸器炎症))障害を処置および/または診断するために使用され得る。免疫障害または免疫疾患の例としては、自己免疫疾患(例えば、真性糖尿病、関節炎(慢性関節リウマチ、若年性関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎を含む)、多発性硬化症、脳脊髄炎、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、自己免疫甲状腺炎、皮膚炎(アトピー性皮膚炎および湿疹性皮膚炎を含む)、乾癬、シェーグレン症候群、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)、アフタ性潰瘍、虹彩炎、結膜炎、角結膜炎、喘息、アレルギー性喘息、慢性閉塞性肺疾患、皮膚エリテマトーデス、強皮症、膣炎、直腸炎、薬疹、らい逆転反応、らい性結節性紅斑、自己免疫ブドウ膜炎、アレルギー性脳脊髄炎、急性壊死性出血性脳障害、特発性両側性進行性感音聴覚障害、再生不良性貧血、赤芽球ろう、特発性血小板減少、多発性軟骨炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、慢性活動性肝炎、スティーヴンズ−ジョンソン症候群、特発性スプルー、扁平苔癬、グレーブス病、サルコイドーシス、原発性胆汁性肝硬変、後部ブドウ膜炎、および間質性肺線維症が挙げられる)、宿主対移植片病、移植症例、およびアレルギー(例えば、アトピー性アレルギー)が挙げられるが、これらに限定されない。7118分子は、喘息およびアレルギーにおいて生じる免疫応答における役割を果たしそうである。なぜなら、肥満細胞が、これらの疾患の両方において役割を果たすことが示されているからである。肥満細胞は、炎症および免疫のエフェクター細胞である。肥満細胞顆粒内に保存される酵素は、活性化の際に放出され、疾患状態を増進するように機能する。従って、7118酵素をアンタゴナイズすることは、アレルギー(例えば、植物の花粉、動物のふけなどに対する軽いアレルギーおよび食物アレルゲン、毒物、ラテックスなどに対する過敏症アレルギー)の処置において有用である。
7118タンパク質、そのフラグメント、および誘導体、ならびに配列番号2の配列の他の改変体は、集合的に、「本発明のポリペプチドまたはタンパク質」あるいは「7118ポリペプチドまたはタンパク質」という。このようなポリペプチドまたはタンパク質をコードする核酸分子は、集合的に、「本発明の核酸」または「7118核酸」という。
本明細書中で使用する場合、用語「核酸分子」は、例えば、ヌクレオチドアナログの使用によって生成された、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、およびDNAまたはRNAのアナログを含む。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得るが、好ましくは、二本鎖DNAである。
用語「単離された核酸分子」または「精製された核酸分子」は、核酸の天然の供給源に存在する他の核酸分子から分離された核酸分子を含む。例えば、ゲノムDNAに関して、用語「単離された」は、そのゲノムDNAが天然で結合している染色体から分離された核酸分子を含む。好ましくは、「単離された」核酸は、その核酸の由来となった生物のゲノムDNAにおいて、その核酸に天然で隣接する配列(すなわち、この核酸の5’末端および/または3’末端に位置する配列)を含まない。例えば、種々の実施形態において、単離された核酸分子は、その核酸の由来となった細胞のゲノムDNAにおいて、天然でその核酸分子に隣接する、約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、または0.1kb未満の5’側および/または3’側のヌクレオチド配列を含み得る。さらに、「単離された」核酸分子(例えば、cDNA分子)は、実質的に、他の細胞物質、または、組換え技術により生成される場合、培養培地を含まないか、あるいは、化学合成される場合、化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まなくあり得る。
本明細書中で使用される場合、用語「低ストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシー、高ストリンジェンシー、または非常に高いストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする」とは、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のための条件を説明する。ハイブリダイゼーション反応を実施するための手引きは、Current Protocols in Molecular Biology(1989),John Wiley & Sons,N.Y.,6.3.1−6.3.6(参考として援用される)において見出され得る。水性および非水性の方法は、その参考文献に記載され、そしてそのいずれかが使用され得る。本明細書中で言及される特定のハイブリダイゼーション条件は、以下の通りである:1)約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中での低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件、その後の少なくとも50℃で0.2×SSC、0.1%SDS中での2回の洗浄(洗浄温度は、低ストリンジェンシーの条件について55℃まで上昇され得る);2)約45℃で6×SSC中での中程度にストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件、その後の60℃で0.2×SSC、0.1%SDS中での1回以上の洗浄;3)約45℃で6×SSC中での高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件、その後の65℃で0.2×SSC、0.1%SDS中での1回以上の洗浄;そして好ましくは、4)非常に高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、65℃で0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDS、その後の65℃で0.2×SSC、1%SDS中での1回以上の洗浄である。非常に高ストリンジェンシー条件(4)が、好ましい条件であり、そして他にそうでないことが示されない限り、使用されるべき条件である。
本明細書中で使用される場合、「天然に存在する」核酸分子は、天然で生じる(例えば、天然のタンパク質をコードする)ヌクレオチド配列を有するRNA分子またはDNA分子をいう。
本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」は、7118タンパク質(好ましくは、哺乳動物7118タンパク質)をコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子をいい、これらは、非コード調節配列およびイントロンをさらに含み得る。
「単離された」または「精製された」ポリペプチドまたはタンパク質は、そのタンパク質が由来する細胞または組織供給源由来の細胞物質または他の夾雑タンパク質を実質的に含まないか、あるいは化学合成された場合に化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。1つの実施形態において、語「実質的に含まない」は、7118タンパク質の調製物が、約30%未満、20%未満、10%未満、およびより好ましくは、5%未満(乾燥重量)の、非7118タンパク質(本明細書中で「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)または化学前駆体もしくは非7118化学物質を有することを意味する。7118タンパク質またはその生物学的に活性な部分が組換え生成される場合、それはまた、好ましくは、培養培地を実質的に含まない(すなわち、培養培地は、タンパク質調節物の容量の約20%未満、より好ましくは約10%未満、そして最も好ましくは約5%未満を占める)。本発明は、乾燥重量で、少なくとも0.01mg、0.1mg、1.0mg、および10mgの単離または精製された調製物を含む。
「非必須」アミノ酸残基は、生物学的活性を喪失することなく、より好ましくは実質的に変更することなく、7118の野生型配列(例えば、配列番号1または3の配列)から変更され得る残基であるが、「必須」アミノ酸残基は、このような変化を生じる。例えば、本発明のポリペプチド中に保存されるアミノ酸残基(アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメイン中に存在するアミノ酸残基)が、変更に特に影響を受けにくいことが予想される。
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるアミノ酸置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で規定されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。従って、7118タンパク質中の予測される非必須アミノ酸残基は、好ましくは、同一側鎖ファミリー由来の別のアミノ酸残基で置換される。あるいは、別の実施形態において、変異は、7118コード配列の全てまたは一部に沿って無作為に導入され得(例えば、飽和変異誘発によって)、そして得られる変異体は、活性を保持する変異体を同定するために、7118生物学的活性についてスクリーニングされ得る。配列番号1または配列番号3の変異誘発の後、コードされるタンパク質は、組換え発現され得、そしてタンパク質の活性が、決定され得る。
本明細書中で使用される場合、7118タンパク質の「生物学的に活性な部分」は、7118分子と非7118分子との間の相互作用に関与する、7118タンパク質フラグメントを包含する。7118タンパク質の生物学的に活性な部分としては、全長7118タンパク質より少ないアミノ酸を含みかつ7118タンパク質の少なくとも1つの活性を示す、7118タンパク質のアミノ酸配列に十分に相同であるかまたはそれに由来するアミノ酸配列(例えば、配列番号2に示されるアミノ酸配列)を含むペプチドが挙げられる。代表的には、生物学的に活性な部分は、7118タンパク質の少なくとも1つの活性(例えば、基質に結合する能力、補酵素に結合する能力、基質中の窒素原子をメチル化する能力、または核シグナル伝達を調節する能力)を有するドメインまたはモチーフを含む。7118タンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、10アミノ酸長、25アミノ酸長、50アミノ酸長、100アミノ酸長、200アミノ酸長以上であるポリペプチドであり得る。7118タンパク質の生物学的に活性な部分は、7118媒介活性(例えば、基質に結合する能力、補酵素に結合する能力、基質中の窒素原子をメチル化する能力、または核シグナル伝達を調節する能力)を調節する薬剤を開発するための標的として使用され得る。
配列間の相同性または配列同一性(用語「相同性」および「同一性」は、本明細書中で交換可能に使用される)の計算は、以下のように実施される。
2つのアミノ酸配列、または2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するために、これらの配列は、最適な比較目的のために整列される(例えば、ギャップが、最適な整列のために、第1および第2のアミノ酸配列または核酸配列の一方または両方に導入され得、そして非相同配列は、比較目的のために無視され得る)。好ましい実施形態において、比較目的のために整列される参照配列の長さは、参照配列の少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは60%、およびさらにより好ましくは少なくとも70%、80%、90%、100%の長さである(例えば、361個のアミノ酸残基を有する配列番号2の7118アミノ酸配列に第2の配列を整列する場合、少なくとも30%のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも40%のアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも50%のアミノ酸残基、なおより好ましくは少なくとも60%のアミノ酸残基、そしてなおより好ましくは少なくとも70%、80%、または90%のアミノ酸残基が、整列される)。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドが、比較される。第1の配列における位置が、第2の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められる場合、これらの分子は、その位置で同一である(本明細書中で使用される場合、アミノ酸または核酸の「同一性」は、アミノ酸または核酸の「相同性」と等しい)。2つの配列間の同一性パーセントは、それらの配列により共有される同一の位置の数の関数である(2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要のある、ギャップの数および各ギャップの長さが考慮される)。
配列の比較および2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成され得る。好ましい実施形態において、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)においてGPAプログラムに組み込まれたNeedlemanおよびWunsch((1970)J.Mol.Biol.48:444−453)のアルゴリズムを用い、Blossum 62マトリクスまたはPAM250マトリクスのいずれか、ならびにギャップウェイト16、14、12、10、8、6、または4およびレンクスウェイト(length weight)1、2、3、4、5、または6を用いて決定される。さらに別の好ましい実施形態において、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで入手可能)のGAPプログラムを用い、NWSgapdna.CMPマトリクスならびにギャップウェイト40、50、60、70、または80およびレンクスウェイト1、2、3、4、5、または6を用いて決定される。特に好ましいパラメータセット(および分子が本発明の配列同一性または配列相同性の限界内にあるか否かを決定するためにどのパラメータが適用されるべきかについて実施者が確信がない場合に使用されるべきパラメータセット)は、Blossum 62スコアリングマトリクス(ギャップペナルティー12、ギャップエクステンドペナルティー4、およびフレームシフトギャップペナルティー5)である。
2つのアミノ酸配列およびヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたMeyersおよびMiller((1989)CABIOS、4:11−17)のアルゴリズムを用い、PAM120ウェイトレジデューテーブル(weight redidue table)、ギャップレングスペナルティー12、およびギャップペナルティー4を用いて決定され得る。
本明細書中に記載される核酸配列およびタンパク質配列は、「問い合わせ配列」として使用され、公のデーターベースに対してサーチが実施される(例えば、他のファミリーメンバーまたは関連肺列を同定するために)。このようなサーチは、Altschulら(1990)J.Mol.Biol.215:403−10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて実施され得る。BLASTヌクレオチドサーチは、NBLASTプログラム、スコア=100、ワードレングス=12を用いて実施され得、本発明の7118核酸分子に対するヌクレオチド配列ホモログが獲得される。BLASTタンパク質サーチは、XBLASTプログラム、スコア=50、ワードレングス=3を用いて実施され得、本発明の7118タンパク質分子のアミノ酸配列ホモログが獲得される。比較目的でギャップアラインメント(gapped alignment)を獲得するために、Gapped BLASTが、Altschulら(1997)Nucleic Acids Res.25:3389−3402に記載のように使用され得る。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを使用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータが使用され得る。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。
本発明の特定の7118ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸と実質的に同一のアミノ酸配列を有する。アミノ酸配列の文脈で、用語「実質的に同一」は、i)第2のアミノ酸配列における整列されたアミノ酸残基と同一であるか、またはii)その保存的置換である十分な数または最小限の数のアミノ酸残基を含む第1のアミノ酸をいうよう本明細書中で使用され、その結果、第1および第2のアミノ酸配列は、共通の構造的ドメインおよび/または共通の機能的活性を有し得る。例えば、配列番号2に対して少なくとも約60%、または65%の同一性、おそらく、75%の同一性、よりおそらくは85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する共通の構造的ドメインを含むアミノ酸配列は、実質的に同一であると言及される。
ヌクレオチド配列の文脈において、用語「実質的に同一」は、第2の核酸配列における整列されたヌクレオチドと同一のヌクレオチドの十分な数または最小限の数を含む第1の核酸配列をいうよう本明細書中で使用され、その結果、第1および第2のヌクレオチド配列は、共通の機能的活性を有するポリペプチドをコードするか、または共通の構造的ポリペプチドドメインもしくは共通の機能的ポリペプチド活性をコードする。例えば、配列番号1または3に対して少なくとも約60%、または65%の同一性、おそらく、75%の同一性、よりおそらくは85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するヌクレオチド配列は、実質的に同一であると言及される。
「誤発現または異常な発現」は、本明細書中で使用される場合、RNAまたはタンパク質のレベルでの遺伝子発現の非野生型パターンをいう。これらとしては、以下:非野生型レベルでの発現(すなわち、過剰発現または過少発現抑制);遺伝子が発現される時点または段階の点で野生型と異なる発現パターン(例えば、予め決定された発達期または段階での増加または減少した発現(野生型と比較した場合));予め決定された細胞型または組織型において変更された(例えば、増加または減少した)発現(野生型と比較した場合)の点で野生型と異なる発現パターン;スプライシングサイズ、翻訳されるアミノ酸配列、翻訳後修飾、または発現されたポリペプチドの生物学的活性の点で野生型と異なる発現パターン;遺伝子の発現に対する環境的刺激または細胞外刺激の効果の点で野生型と異なる発現パターン(例えば、刺激の強度における増加または減少の存在下で増加または減少した発現パターン(野生型と比較した場合))、が挙げられる。
「被験体」は、本明細書中で使用される場合、哺乳動物(例えば、ヒト、または実験モデルもしく動物モデルもしくは疾患モデルをいう。これらの被験体はまた、非ヒト動物(例えば、ウマ、ウシ、ヤギ、または他の家畜)であり得る。
「細胞の精製調製物」は、本明細書中で使用される場合、細胞のインビトロ調製物をいい、完全にインタクトな植物または動物ではない(植物細胞または動物細胞)。培養細胞または微生物細胞の場合、それは、被験体細胞の少なくとも10%およびより好ましくは少なくとも50%の調製物からなる。
本発明の種々の局面は、以下でさらに詳細に記載される。
(単離された核酸分子)
1つの局面において、本発明は、本明細書中に記載される7118ポリペプチド(例えば、全長7118タンパク質またはそのフラグメント(例えば、7118タンパク質の生物学的に活性な部分))をコードする単離または精製された核酸分子を提供する。ハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに適した核酸フラグメント(これらは、例えば、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を同定するために使用され得る)、7118 mRNA、およびプライマー(例えば、核酸分子の増幅または変異のためのPCRプライマー)として使用するのに適したフラグメントもまた含まれる。
1つの実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列、またはこれらのヌクレオチド配列の任意の一部を含む。1つの実施形態において、この核酸分子は、ヒト7118タンパク質をコードする配列(すなわち、配列番号3に示されるような、配列番号1の「コード領域」)、ならびに5’非翻訳配列(配列番号1のヌクレオチド1〜28)および3’非翻訳配列(配列番号1のヌクレオチド1115〜1316)を含む。あるいは、この核酸分子は、配列番号1のコード領域(例えば、配列番号3)をのみを含み得、そして例えば、通常対象配列に付随する隣接配列を含まない。別の実施形態において、核酸分子は、配列番号2のアミノ酸約1〜348のタンパク質フラグメントに対応する配列をコードする。
別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列番号1もしくは配列番号3に示されるヌクレオチド配列、またはこれらのヌクレオチド配列の任意の一部分の相補鎖である核酸分子を含む。他の実施形態において、本発明の核酸分子は、配列番号1または配列番号3に示されるヌクレオチド配列に十分相補的であり、その結果、配列番号1または3に示されるヌクレオチド配列に(例えば、本明細書中に記載されるストリンジェンシー条件下で)ハイブリダイズし得、それによって、安定な二重鎖を形成する。
1つの実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列番号1または3に示されるヌクレオチド配列の全長に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上相同なヌクレオチド配列、またはその一部(好ましくは、これらのヌクレオチド配列のいずれかの同一の長さのもの)を含む。
(7118核酸フラグメント)
本発明の核酸分子は、配列番号1または3の核酸配列の一部のみを含み得る。例えば、このような核酸分子は、プローブもしくはプライマーとして使用され得るフラグメントまたは7118タンパク質の一部をコードするフラグメント(例えば、7118タンパク質の免疫原性部分または生物学的に活性な部分)を含み得る。フラグメントは、ヒト7118のアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインをコードする配列番号1のヌクレオチドを含み得る。7118遺伝子のクローニングから決定されるヌクレオチド配列により、他の7118ファミリーメンバーまたはそのフラグメント、ならびに他の種由来の7118ホモログまたはそのフラグメントを同定および/またはクローニングするのに使用するために設計されたプローブおよびプライマーの生成が可能になる。
別の実施形態において、核酸は、コード領域の一部または全てを含み、そして5’または3’のいずれか(または両方)の非コード領域に延びるヌクレオチド配列を含む。他の実施形態は、本明細書中に記載されるアミノ酸フラグメントをコードするヌクレオチド配列を含むフラグメントを含む。核酸フラグメントは、本明細書中に記載される特定のドメインもしくは部位またはそのフラグメント(特に、少なくとも100アミノ酸長、好ましくは200アミノ酸長、より好ましくは300アミノ酸長のそのフラグメント)をコードし得る。フラグメントはまた、上記の特定のアミノ酸配列に対応する核酸配列またはそのフラグメントを含む。核酸フラグメントは、本発明以前に開示された可能性のあるフラグメントを包含するとみなされるべきでない。
核酸フラグメントは、本明細書中に記載されるドメイン、領域、または機能的部位に対応する配列を含み得る。核酸フラグメントはまた、本明細書中に記載される1つ以上のドメイン、領域、または機能的部位を含み得る。従って、例えば、7118核酸フラグメントは、本明細書中に記載されるようなアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインに対応する配列を含み得る。
7118プローブおよびプライマーが提供される。代表的に、プローブ/プライマーは、単離または精製されたオリゴヌクレオチドである。このオリゴヌクレオチドは、代表的に、ストリンジェンシー条件下で、配列番号1もしくは配列番号3のセンス配列もしくはアンチセンス配列、または配列番号1もしくは配列番号3の天然に存在する対立遺伝子改変体もしくは変異体と、少なくとも約7、12、または15、好ましくは約20または25、より好ましくは約30、35、40、45、50、55、60、65、または75連続するヌクレオチドとハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。
好ましい実施形態において、この核酸は、少なくとも5または10および200未満、より好ましくは、100未満、または50未満の塩基対長である、プローブである。本明細書中に開示された配列と、同一であるか、あるいは5もしくは10塩基対未満で異なるべきである。アライメントが、この比較のために必要とされる場合、この配列は、最大の相同性でアライメントされるべきである。欠失もしくは挿入、またはミスマッチ由来の「ループ(looped)」アウト配列は、異なるとみなされる。
プローブまたはプライマーは、コードする核酸のセンス鎖またはアンチセンス鎖から誘導され得る:配列番号2のアミノ酸約1〜348のアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメイン;配列番号2のアミノ酸約1〜32のアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの第一領域;配列番号2のアミノ酸約29〜78のアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの第二領域;配列番号2のアミノ酸約170〜348のアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの第三領域;および配列番号2のアミノ酸約87〜90のグルコサミノグリカン結合部位。
別の実施形態において、プライマーのセット(7118配列の選択された領域(例えば、本明細書中に記載される、ドメイン、領域、部位または他の配列)を増幅するために使用され得る、PCRにおいて使用するために適切なプライマー)が、提供される。このプライマーは、少なくとも、5、10、または50の塩基対長、100未満、または200未満の塩基対長であるべきである。このプライマーは、同一であるか、または本明細書中に開示される配列もしくは天然に存在する改変体と一つの塩基異なるべきである。例えば、以下の領域:配列番号2のアミノ酸約1〜348のアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメイン;配列番号2のアミノ酸約1〜32のアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの第一領域;配列番号2のアミノ酸約29〜78のアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの第二領域;配列番号2のアミノ酸約170〜348のアルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの第三領域;および配列番号2のアミノ酸約87〜90のグルコサミノグリカン結合部位。
核酸フラグメントは、本明細書中に記載されるポリペプチドのエピトープ保持領域をコードし得る。
「7118ポリペプチドの生物学的に活性な部分」をコードする核酸フラグメントは、配列番号1または配列番号3のヌクレオチド配列の一部を単離すること(このヌクレオチド配列は、7118生物学的活性を有するポリペプチドをコードする(例えば、7118タンパク質の生物学的活性が、本明細書中に記載されている))、7118タンパク質のコード部分を(例えば、インビトロにおける組換え発現によって)発現すること、および7118タンパク質のコード部分の活性を評価することによって調製され得る。例えば、7118の生物学的に活性な部分をコードする核酸フラグメントは、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメイン(例えば、配列番号2のアミノ酸残基の約1〜348)を含む。7118ポリペプチドの生物学的に活性な活性部分をコードする核酸フラグメントは、300ヌクレオチド長、好ましくは600ヌクレオチド長、より好ましくは900以上のヌクレオチド長を超えるヌクレオチド配列を含み得る。
好ましい実施形態において、核酸は、約300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300以上のヌクレオチド長である、ヌクレオチド配列を含み、そして配列番号1または配列番号3の核酸分子に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。
(7118核酸改変体)
本発明は、さらに、配列番号1または配列番号3に示されるヌクレオチド配列と異なる核酸分子を含む。このような差異は、遺伝的コードの縮重に起因し得、そして本明細書中に記載されるヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質と同一の7118タンパク質をコードする核酸を生じる。別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、少なくとも1個だが、配列番号2に示される5、10、20、50、または100個のアミノ酸残基未満で異なるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。アライメントが、この比較に必要とされる場合、この配列は、最大の相同性でアライメントされるべきである。欠失もしくは挿入、またはミスマッチ由来の「ループ」アウト配列は、異なるとみなされる。
本発明者らの核酸は、特定の発現系に対して、好ましい、または好ましくない、コドンを有するように選択され得る。例えば、核酸は、少なくとも一つのコドン、好ましくは、コドンの少なくとも10%、または20%が、E.coli、酵母、ヒト、昆虫、またはCHO細胞中での発現に対して最適化される配列のように変更された、核酸であり得る。
核酸改変体は、天然に存在し得、例えば、対立遺伝子改変体(同一の遺伝子座)、ホモログ(異なる遺伝子座)、およびオルソログ(異なる生物)であり得るか、または天然に存在し得ない。天然に存在し得ない改変体は、ポリヌクレオチド、細胞、または生物に適用される技術を含む、変異誘発技術により作製され得る。この改変体は、ヌクレオチドの置換、欠失、転化および挿入を含み得る。改変体は、コード領域および非コード領域のいずれかまたは両方を生成し得る。この改変体は、保存的アミノ酸置換基および非保存的アミノ酸置換基(コードされた産物と比較した場合)の両方を生成し得る。
好ましい実施形態において、核酸は、例えば、以下のような配列番号1または配列番号3の核酸と異なる:少なくとも1個のヌクレオチドだが、10、20、30、または40個のヌクレオチド;少なくとも1個のヌクレオチドだが、目的の核酸の1%、5%、10%または20%未満のヌクレオチド。分析の必要性がある場合、この配列は、最大相同性でアライメントされるべきである。欠失、もしくは挿入、またはミスマッチ由来の「ループ」アウト配列は、異なるとみなされる。
オルソログ、ホモログ、および対立遺伝子改変体は、当該分野で公知の方法を使用して同定され得る。これらの改変体は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列またはその配列のフラグメントに対して、50%、少なくとも55%、代表的に、少なくとも70〜75%、より代表的に、少なくとも約80〜85%、そして最も代表的に、少なくとも約90〜95%以上、同一である、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。このような核酸分子は、配列番号2に示されるヌクレオチド配列またはその配列のフラグメントに対して、本明細書中に記載されるストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るとして、容易に同定され得る。本発明の7118 cDNAのオルソログ、ホモログ、および対立遺伝子改変体に対応する核酸分子は、7118遺伝子と同一の染色体または遺伝子座にマッピングすることによって、さらに単離され得る。
好ましい改変体としては、基質を結合する能力、補酵素を結合する能力、基質内の窒素原子をメチル化する能力、および核シグナル伝達を調節する能力と相互に関係する改変体が挙げられる。
7118の対立遺伝子改変体(例えば、ヒト7118)は、機能的タンパク質または非機能的タンパク質の両方を含む。機能的対立遺伝子改変体は、基質を結合する能力、補酵素を結合する能力、基質内の窒素原子をメチル化する能力、および核シグナル伝達を調節する能力を維持する、集団内の7118タンパク質の天然に存在するアミノ酸配列改変体である。機能的対立遺伝子改変体は、代表的に、配列番号2の1個以上のアミノ酸の保存的置換基のみ、またはタンパク質の非必須領域にある、非必須残基の置換、欠失もしくは挿入を含む。非機能的な対立遺伝子改変体は、基質を結合する能力、補酵素を結合する能力、基質内の窒素原子をメチル化する能力、および核シグナル伝達を調節する能力を有さない、集団内の7118(例えば、ヒト7118)タンパク質の天然に存在するアミノ酸配列改変体である。非機能的な対立遺伝子改変体は、代表的に、配列番号2のアミノ酸配列の非保存的置換、非保存的欠失、もしくは非保存的挿入、または非保存的早熟短縮、あるいはタンパク質の必須残基または必須領域の置換、挿入、または欠失を含む。
さらに、他の7118ファミリーメンバーをコードする核酸分子(従って、配列番号1または配列番号3の7118配列と異なるヌクレオチド配列を有する核酸分子)は、本発明の範囲内であることが意図される。
(アンチセンス核酸分子、リボザイムおよび改変された7118核酸分子)
別の局面において、本発明は、7118に対してアンチセンスである単離された核酸分子を特徴とする。「アンチセンス」核酸は、例えば、二重鎖cDNA分子のコード鎖に対して相補的であるか、またはmRNA配列に対して相補的である、タンパク質をコードする「センス」核酸に対して相補的である、ヌクレオチド配列を含み得る。このアンチセンス核酸は、全7118コード鎖、またはその一部のみ(例えば、配列番号3に対して相補的である、ヒト7118のコード領域)に対して相補的であり得る。別の実施形態において、アンチセンス核酸分子は、7118をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「非コード領域」(例えば、5’非翻訳領域および3’非翻訳領域)に対してアンチセンスである。
7118mRNAの全コード領域に対して相補的であるように、アンチセンス核酸が、設計され得るが、より好ましくは、7118 mRNAのコード領域または非コード領域の一部のみに対してアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、7118 mRNAの翻訳開始部位を取り囲む領域(例えば、目的の標的遺伝子ヌクレオチド配列の−10領域と+10領域との間)に対して相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約7、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80以上のヌクレオチド長であり得る。
本発明のアンチセンス核酸は、当該分野で公知の手順を使用する化学合成および酵素学的ライゲーション反応を使用して、構築され得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を増加もしくはアンチセンス核酸とセンス核酸との間に形成された二重鎖の物理学的安定性を増加させるように設計された多様に改変されたヌクレオチドを使用して、化学的に合成され得る(例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが、使用され得る)。アンチセンス核酸がまた、核酸がアンチセンス配向でサブクローニングされた発現ベクターを生物学的に使用して産生され得る(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは、以下の節でさらに記載されている、目的の標的核酸に対するアンチセンス配向である)。
本発明のアンチセンス核酸分子は、代表的に、(例えば、組織部位の直接的な注入によって)被験体に投与されるか、またはこれらのアンチセンス核酸分子が、7118タンパク質をコードする細胞性mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズするか、または結合することによって、例えば、転写および/または翻訳を阻害することによって、タンパク質の発現を阻害するように、インサイチュで産生される。あるいは、アンチセンス核酸分子を改変して、選択された細胞を標的し、次いで、全身に投与され得る。全身投与に関して、例えば、細胞表面レセプターまたは抗原に結合するペプチドまたは抗体に、アンチセンス核酸分子を連結することによって、このアンチセンス分子が、選択された細胞表面上で発現されたレセプターまたは抗原に特異的に結合するように改変され得る。このアンチセンス核酸分子はまた、本明細書中で記載されるベクターを使用して、細胞に送達され得る。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、アンチセンス核酸分子が、強力なpol IIプロモーターまたはpol IIIプロモーターの制御下で置換されるベクター構築物が、好ましい。
なお別の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、相補的RNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成する。ここでは、通常のβ−ユニットとは対照的に、鎖は互いに対して平行に走る(Gaultierら(1987)Nucleic Acids Res.15:6625−6641)。アンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoueら(1987)Nucleic Acids Res.15:6131−6148)またはキメラRNA−DNAアナログ(Inoueら(1987)FEBS Lett.215:327−330)を含み得る。
なお別の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸は、リボザイムである。7118コード核酸に対して特異性を有するリボザイムは、本明細書中に開示される7118 cDNAのヌクレオチド配列(すなわち、配列番号1または配列番号3)に対して相補的な1以上の配列、ならびにmRNAの切断を担う公知の触媒配列を有する配列(米国特許第5,093,246号またはHaselhoffおよびGerlach(1988)Nature 334:585−591を参照のこと)を含み得る。例えば、Tetrahymena L−19 IVS RNAの誘導体は、活性部位のヌクレオチド配列が7118コードmRNAにおいて切断されるべきヌクレオチド配列に対して相補的であるように構築され得る。例えば、Cechら、米国特許第4,987,071号;およびCechら、米国特許第5,116,742号を参照のこと。あるいは、7118 mRNAを使用して、RNA分子のプールから特異的なリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNAを選択し得る。例えば、BartelおよびSzostak(1993)Science 261:1411−1418を参照のこと。
7118遺伝子の発現は、標的細胞中で7118遺伝子の転写を阻害する三重ヘリックス構造を形成するために、7118の調節領域に相補的なヌクレオチド配列(例えば、7118プロモーターおよび/またはエンハンサー)を標的することによって阻害され得る。一般に、Helene(1991)Anticancer Drug Des.6:569−84;Helene(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27;およびMaher(1992)Bioassays 14:807−15を参照のこと。三重ヘリックスの形成のために標的され得る潜在的な配列は、いわゆる「スイッチバック」核酸分子を作製することによって増加され得る。スイッチバック分子は、5’−3’変更方法、3’−5’変更方法で合成され、これらは、二重鎖の一方の鎖と、次いで他方の鎖との対に基づき、プリンまたはピリミジンのいずれかのかなり大きな伸張が、二重鎖の一方の鎖上に存在することの必要性を排除する。
本発明はまた、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブ分子を提供する。代表的に、このような標識は、化学発光、蛍光、放射活性、または比色分析である。
7118核酸分子を、塩基部分、糖部分またはホスフェート骨格において改変し、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション、または溶解度を改善し得る。例えば、核酸分子のデオキシリボースホルフェート骨格は、ペプチド核酸を生成するために改変され得る(Hyrupら(1996)Bioorganic & Medicinal Chemistry 4:5−23を参照のこと)。本明細書中で使用される場合、用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、デオキシリボースホスフェート骨格が偽ペプチド骨格により置換され、そして4つの天然の核酸塩基(nucleobase)のみが保持されている核酸模倣物(例えば、DNA模倣物)をいう。PNAの中性の骨格は、低イオン強度の条件下で、DNAおよびRNAに対する特異的ハイブリダイゼーションを可能にし得る。PNAオリゴマーの合成は、Hyrupら(1996)前出、およびPerry−O’Keefeら、Proc.Natl.Acad.Sci.93:14670−675に記載のような、標準的固相ペプチド合成プロトコルを使用して実施され得る。
7118核酸分子のPNAは、治療的適用および診断的適用において使用され得る。例えば、PNAは、遺伝子発現の配列特異的調節(例えば、転写または翻訳の停止を誘導すること、または複製を阻害することによる)のためのアンチセンス剤またはアンチジーン(antigene)剤として使用され得る。7118核酸分子のPNAはまた、例えば、PNA指向PCRクランピング(PNA−directed PCR clamping)による遺伝子内の一塩基対変異の分析において、他の酵素(例えば、S1ヌクレアーゼ)と組み合わせて使用される場合の人工制限酵素として(Hyrup(1996)、前出);またはDNA配列決定またはハイブリダイゼーションのプローブまたはプライマーとして(Hyrup(1996)、前出;Perry−O’Keefeら(1996)、前出)使用され得る。
他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ペプチドのような他の付加基(例えば、インビボにおける宿主細胞レセプターを標的するため)、または細胞膜(例えば、Letsingerら、(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6553−6556;Lemaitreら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:648−652;PCT公開番号WO88/09810を参照のこと)もしくは血液脳関門(例えば、PCT公開番号WO89/10134を参照のこと)を通過す輸送を容易にする試薬を含み得る。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションにより誘発される切断試薬(例えば、Krolら(1988)Bio−Techniques 6:958−976を参照のこと)、挿入剤(例えば、Zon(1988)Pharm.Res.5:539−549を参照のこと)を用いて改変され得る。この目的のために、このオリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発架橋剤、輸送剤、またはハイブリダイゼーション誘発切断剤)に結合体化され得る。
本発明はまた、本発明の7118核酸に対して相補的である少なくとも一つの領域を有する、分子ビーコンオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブ分子を含み、2つの相補的な領域は、一つの蛍光団および一つのクエンチャーを有し、この分子ビーコンは、サンプル中で本発明の7118核酸の存在をクエンチするために有用である。分子ビーコン核酸は、例えば、Lizardiら、米国特許第5,854,033号;Nazarenkoら、米国特許第5,866,336号、およびLivakら,米国特許第5,876,930号に記載されている。
(単離された7118ポリペプチド)
別の局面において、本発明は、抗7118抗体を惹起するか、または試験する(またはより一般的には、この抗体に結合する)免疫原または抗原として使用するための、単離された7118タンパク質、またはフラグメント(例えば、生物学的に活性な部分)を特徴とする。7118タンパク質はまた、標準的なタンパク質精製技術を使用して、細胞供給源または組織供給源から単離され得る。7118タンパク質またはそのフラグメントを、組換えDNA技術によって産生または化学的に合成し得る。
本発明のポリペプチドは、複数の遺伝子の存在の結果、選択的翻訳事象、選択的RNAスプライシング事象、ならびに選択的翻訳事象および翻訳後事象を惹起するポリペプチドを含む。ポリペプチドは、系(例えば、培養細胞)中で発現され得、これにより、ポリペプチドがネイティブ細胞中で発現される場合に提示されるのと実質的に同一の翻訳後改変を生じるか、または系においてネイティブ細胞中で発現される場合に提示されるのと代替または欠損の翻訳後改変(例えば、グリコシル化または切断)を生じる。
好ましい実施形態において、7118ポリペプチドは、以下の特徴の一つ以上を有する:
基質(例えば、アルギニル残基)を結合する能力を有する;
補酵素(例えば、S−アデノシル−L−メチオニン)を結合する能力を有する;
基質内の窒素原子(例えば、結合したアルギニル残基のグアニジノ窒素基)をメチル化する能力を有する;
核シグナル伝達を調節する能力を有する;
好ましくは、7118ポリペプチド(例えば、配列番号2のポリペプチド)の、翻訳後修飾、アミノ酸組成または他の物理学的特性のいかなる寄与も無視した分子量(例えば、推定分子量)を有する;
配列番号2のポリペプチドと、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、90%、または95%の全体的配列類似性を有する;
少なくとも以下のヒト組織および細胞株において高レベルで発現される:筋肉、骨髄、赤血球、赤芽球、巨核球、末梢血球および臍帯血球;
配列番号2のアミノ酸残基の約1〜348と、好ましくは、約70%、80%、90%または95%同一である、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインを有する;
配列番号2のアミノ酸残基の約1〜32と、好ましくは、約70%、80%、90%または95%同一である、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの第一領域を有する;
配列番号2のアミノ酸残基の約29〜78と、好ましくは、約70%、80%、90%または95%同一である、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの第二領域を有する;
配列番号2のアミノ酸残基の約170〜348と、好ましくは、約70%、80%、90%または95%同一である、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの第三
領域を有する;
ネイティブタンパク質のアミノ酸配列において見出されるシステインの少なくとも4個、好ましくは6個、そして最も好ましくは全てを有する;そして
メチルトランスフェラーゼのアミノ酸配列(すなわち、配列番号2のアミノ酸残基約43〜47、53〜66、79〜91、104〜110、135〜163、205〜211、240〜249および300〜307)に代表的に見出される、高度に保存された領域の少なくとも4個、好ましくは6個、そして最も好ましくは全てを有する;
以下の配列番号2の高度に保存された残基(F44、M56、D59、R62、D84、G86、E110、E152、E161、P183、T300、H301およびW302)の少なくとも1個、好ましくは少なくとも3個、そして最も好ましくは全てを有する;
図8のアラインメントにおいて同一性を共有する(「*」で示される)配列番号2の残基の、少なくとも10個、好ましくは少なくとも20個、より好ましくは少なくとも30個、最も好ましくは全てを有する。
好ましい実施形態において、7118タンパク質、またはそのフラグメントは、配列番号2の対応する配列と異なる。一つの実施形態において、少なくとも1個のアミノ酸残基だけ、15個、10個または5個未満であるアミノ酸残基だけ異なる。別の実施形態において、少なくとも1個の残基だけ、20%、15%、10%、または5%未満である残基だけ、配列番号2の対応する配列と異なり、これは、配列番号2の対応する配列と異なる。(この比較が、アライメントを必要とする場合、この配列は、最大相同性についてアライメントされるべきである。欠失もしくは挿入、またはミスマッチ由来の「ループ」アウト配列が、差異とみなされる)。この差異は、好ましくは、非必須残基または保存的置換基における差異または変化である。この差異は、例えば、選択的RNAスプライシング事象を反映し得る。特定の実施形態において、この差異は、7118タンパク質のN末端、より好ましくは配列番号2の残基1と残基19との間に存在する。好ましい実施形態において、この差異は、配列番号2の約43〜47、53〜66、79〜91、104〜110、135〜163、205〜211、240〜249および300〜307における、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼの高度に保存された領域中に存在しない(図8を参照のこと)。別の実施形態において、1つ以上の差異は、配列番号2の約43〜47、53〜66、79〜91、104〜110、135〜163、205〜211、240〜249および300〜307における、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼドメインの高度に保存された領域中に存在する(図8を参照のこと)。
他の実施形態は、アミノ酸配列の一つ以上の変化(例えば、活性に関して本質的ではないアミノ酸残基の変化)を含有するタンパク質を含む。このような7118タンパク質は、配列番号2由来のアミノ酸配列において異なるが、なお生物学的活性を保持する。
一つの実施形態において、このタンパク質は、配列番号2に対して、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%以上の相同性のアミノ酸配列を含む。
タンパク質またはフラグメントにおいて、少なくとも1個であるアミノ酸残基、15個、10個または5個未満であるアミノ酸残基だけ配列番号2のアミノ酸の約349〜361によって規定される領域において、配列番号2の配列と異なるが、配列番号2のアミノ酸残基の約1〜348によって規定される領域において、配列番号2と異ならない、7118タンパク質またはフラグメントが、提供される。(この比較が、アライメントを必要とする場合、この配列は、最大相同性についてアライメントされるべきである。欠失もしくは挿入、またはミスマッチ由来の「ループ」アウト配列が、差異とみなされる)。いくつかの実施形態において、この差異は、非必須残基にあるか、または保存的置換基にある一方で、この差異は、必須残基にあるか、または非保存的置換基にある。
一つの実施形態において、7118タンパク質の生物学的に活性な部分は、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼを含む。さらに、他の生物学的に活性な部分(ここで、タンパク質の他の領域は、欠失される)は、組換え技術によって調製され得、そしてネイティブ7118タンパク質の機能的な活性の1以上について評価され得る。
好ましい実施形態において、7118タンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態において、7118タンパク質は、配列番号2と十分または実質的に同一である。なお別の実施形態において、7118タンパク質は、上記の節で詳細に記載したように、配列番号2と十分または実質的に同一であり、そして配列番号2のタンパク質の機能的な活性を保持する。
(7118キメラタンパク質または融合タンパク質)
別の局面において、本発明は、7118キメラタンパク質または融合タンパク質を提供する。本明細書中で使用される場合、7118「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、非7118ポリペプチドに連結した7118ポリペプチドを含む。「非7118ポリペプチド」は、7118タンパク質と実質的に相同性でないタンパク質(例えば、7118タンパク質と異なるタンパク質)および同一の生物または異なる生物由来のタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいう。融合タンパク質の7118ポリペプチドは、全てまたは一部(例えば、本明細書中に記載の7118アミノ酸配列のフラグメント)に対応し得る。好ましい実施形態において、7118融合タンパク質は、7118タンパク質の少なくとも1個(または2個)の生物学的に活性な部分を含む。非7118ポリペプチドは、7118ポリペプチドのN末端またはC末端に融合され得る。
この融合タンパク質は、リガンドに対して高度の親和性を有する部分を含み得る。例えば、この融合タンパク質は、7118配列がGST配列のC末端に対して融合される、GST−7118融合タンパク質であり得る。このような融合タンパク質は、組換え7118の精製を容易にし得る。あるいは、この融合タンパク質は、そのN末端において、異種シグナル配列を含む7118タンパク質であり得る。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物の宿主細胞)において、7118の発現および/または分泌は、異種シグナル配列の使用を介して増強され得る。
融合タンパク質は、血清タンパク質の全てまたは一部(例えば、免疫グロブリン(例えば、IgG、IgAまたはIgE)の一部(例えば、免疫グロブリンのFc領域および/またはヒンジC1およびC2配列)またはヒト血清アルブミン)を含み得る。
本発明の7118融合タンパク質は、薬学的組成物に取り込まれ得、そしてインビボで被験体に投与され得る。7118融合タンパク質は、7118基質のバイオアベイラビリティーに影響を与えるために使用され得る。7118融合タンパク質は、例えば、以下の(i)、(ii)および(iii)によって生じる障害の処置のために治療学的に有用であり得る:(i)7118タンパク質をコードする遺伝子の異常な改変または変異;(ii)7118遺伝子の誤調節;および(iii)7118タンパク質の異常な翻訳後改変。
さらに、本発明の7118融合タンパク質は、被験体において抗7118抗体を産生して、7118リガンドを精製するための免疫原として使用され得、および7118と7118基質との相互作用を阻害する分子を同定するためのスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。
融合部分(例えば、GSTポリペプチド)をすでにコードする発現ベクターが、市販されている。A7118をコードする核酸は、このような発現ベクター中にクローニングされ得、その結果、融合部分が7118タンパク質にインフレームで連結される。
(7118タンパク質の改変体)
別の局面において、本発明はまた、7118ポリペプチドの改変体(例えば、アゴニスト(模倣物)またはアンタゴニストとして機能する)を特徴とする。7118タンパク質の改変体は、変異誘発(例えば、不連続な点変異)、配列の挿入もしくは欠失、または7118タンパク質の短縮(truncation)によって作製され得る。7118タンパク質のアゴニストは、7118タンパク質の天然に存在する形態の生物学的活性と実質的に同一の活性またはサブセットを残存し得る。7118タンパク質のアンタゴニストは、例えば、7118タンパク質の7118媒介活性を競合的に調節することによって、7118タンパク質の天然に存在する形態の活性の1つ以上を阻害し得る。よって、特定の生物学的効果は、種々の限定された機能を用いる処置によって誘導され得る。好ましくは、このタンパク質の天然に存在する形態の生物学的活性のサブセットを有する改変体を用いる被験体の処置は、7118タンパク質の天然に存在する形態での処置と比較して被験体におけるわずかな副作用を有する。
7118タンパク質の改変体は、7118タンパク質の変異体(例えば、短縮型変異体)のコンビナトリアルライブラリーをアゴニスト活性またはアンタゴニスト活性についてスクリーニングすることによって同定され得る。
7118タンパク質をコードする配列のフラグメント(例えば、N末端フラグメント、C末端フラグメントまたは内部フラグメント)のライブラリーを使用して、7118タンパク質の改変体のスクリーニング、続く選択のための多彩なフラグメント集団を作製し得る。
システイン残基が付加または欠失されている改変体、あるいはグリコシル化されている残基が付加または欠失されている改変体が、特に好ましい。
点変異または短縮によって作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングする方法、および選択された特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするための方法が、当該分野において公知である。このような方法は、7118タンパク質のコンビナトリアル変異誘発によって作製された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適合可能である。ライブラリー中の機能的変異体の頻度を高める新たな技術である機能的集合変異誘発(recursive ensemble mutagenesis)(REM)をスクリーニングアッセイと組合わせて使用して、7118改変体を同定し得る(ArkinおよびYourvan(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815;Delgraveら(1993)Protein Engineering 6:327−331)。
多彩な7118ライブラリーを分析するために、細胞ベースのアッセイが利用され得る。例えば、発現ベクターのライブラリーが、細胞株(例えば、通常、基質依存的様式で7118に応答する細胞株)にトランスフェクトされ得る。次いで、トランスフェクトされた細胞は、7118と接触させられ、そして7118基質によるシグナル伝達に対する変異体発現の効果が、(例えば、アルギニン残基のメチル化の測定によって)検出され得る。次いで、プラスミドDNAは、7118基質によるシグナル伝達の阻害または増強を記録する細胞から回収され得、そして個々のクローンがさらに特徴付けられ得る。
別の局面において、本発明は、7118ポリペプチド(例えば、非野生型活性を有するペプチド、例えば、天然に存在する7118ポリペプチドのアンタゴニスト、アゴニストもしくはスーパーアゴニスト、例えば、天然に存在する7118ポリペプチド)を作製する方法を特徴とする。本方法は、以下の工程を包含する:7118ポリペプチドの配列を変更する工程(例えば、本明細書中に開示される非保存領域、ドメインまたは残基の1つ以上の残基の置換または欠失によって配列を変更する工程);および所望の活性について変更されたポリペプチドを試験する工程。
別の局面において、本発明は、天然に存在する7118ポリペプチドの生物学的活性を有する7118ポリペプチドのフラグメントまたはアナログを作製する方法を特徴とする。本方法は、以下の工程を包含する:例えば、1つ以上の残基の置換または欠失によって7118ポリペプチドの配列を変更する工程(例えば、本明細書中に記載される非保存領域またはドメインもしくは残基を変更する工程);および、所望の活性について変更されたポリペプチドを試験する工程。
(抗7118抗体)
別の局面において、本発明は、抗7118抗体を提供する。用語「抗体」とは、本明細書中で使用される場合、免疫グロブリン分子またはその免疫学的に活性な部分(すなわち、抗原結合部分)をいう。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例としては、scFVフラグメントおよびdcFVフラグメント、FabフラグメントおよびF(ab’)2フラグメントが挙げられ、これらは、それぞれ、パパインまたはペプシンのような酵素で抗体を処理することにより作製され得る。
抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え(例えば、キメラもしくはヒト化)抗体、完全ヒト抗体、非ヒト抗体(例えば、マウス)、または単鎖抗体であり得る。好ましい実施形態において、抗体は、エフェクター機能を有し、かつ相補体を固定し得る。この抗体は、毒素または画像化剤に結合され得る。
全長7118タンパク質、または7118の抗原性ペプチドフラグメントは、免疫原として使用され得るか、または他の免疫原(例えば、細胞、膜調製物など)を用いて作製された抗7118抗体を同定するために使用され得る。7118の抗原性ペプチドは、配列番号2で示されるアミノ酸配列の少なくとも8アミノ酸残基を含むべきであり、そして7118のエピトープを包含する。好ましくは、この抗原性ペプチドは、少なくとも10アミノ酸残基、より好ましくは、少なくとも15アミノ酸残基、さらにより好ましくは少なくとも20アミノ酸残基、そして最も好ましくは少なくとも30アミノ酸残基を含む。
例えば、免疫原として使用されるか、または抗体の特異性を特徴付けるために使用される、配列番号2の親水性領域を含む7118のフラグメントは、7118タンパク質の親水性領域に対する抗体を作製するために使用され得る(図2を参照のこと)。同様に、配列番号2の疎水性領域を含む7118のフラグメントは、7118タンパク質の疎水性領域に対する抗体を作製するために使用され得;そして配列番号2の約1〜32、約29〜78、170〜348、または1〜348の残基を含む7118のフラグメントは、7118タンパク質のアルギニンN−メチルトランスフェラーゼ領域に対する抗体を作製するために使用され得る。
これらの領域、または本明細書中に記載される他の領域もしくはドメインに対して反応性であるか、または特異的であるか、または選択的である抗体が、提供される。
この抗原性ペプチドに含まれる好ましいエピトープは、タンパク質の表面上に位置する7118の領域(例えば、親水性領域)、および高い抗原性を有する領域である。例えば、ヒト7118タンパク質配列のEmini表面確率分析は、7118タンパク質の表面に存在する特に高い確率を有し、従って、抗体産生を標的化するために有用な表面残基を構築する可能性が高い領域を示すために使用され得る。
好ましい実施形態において、抗体は、7118タンパク質の細胞外部分に結合し得る。例えば、この抗体は、7118タンパク質を発現する細胞全体に結合し得る。別の実施形態において、この抗体は、7118タンパク質の細胞内部分に結合する。
好ましい実施形態において、この抗体は、本明細書中で記載される7118タンパク質上の任意のドメインまたは領域上のエピトープに結合する。
さらに、キメラ抗体、ヒト化抗体または完全ヒト抗体もまた、本発明の範囲内である。キメラ抗体、ヒト化抗体、しかし最も好ましくは、完全ヒト抗体は、繰返し投与(例えば、ヒト患者の治療的処置)およびいくつかの診断的適用を含む適用のために望ましい。
ヒト部分および非ヒト部分の両方を含むキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、標準的な組換えDNA技術を使用して作製され得る。このようなキメラモノクローナル抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、例えば、以下に記載される方法を使用して、当該分野において公知の組換えDNA技術によって産生され得る:Robinsonら、国際特許出願PCT/US86/02269;Akiraら、欧州特許出願184,187;Taniguchi,欧州特許出願171,496;Morrisonら、欧州特許出願173,494;Neubergerら、PCT公開WO86/01533;Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Cabillyら、欧州特許出願125,023;Betterら(1988)Science 240:1041−1043);Liuら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−3443;Liuら、(1987)J.Immunol.139:3521−3526;Sunら (1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214−218;Nishimuraら(1987)Canc.Res.47:999−1005;Woodら(1985)Nature 314:446−449;ならびにShawら(1988)J.Natl Cancer Inst.80:1553−1559。
ヒト化抗体または相補性決定領域(CDR)移植された抗体は、ドナーCDRで置換され少なくとも1つまたは2つ(しかし、一般に3つ全て)のレシピエント(重鎖免疫グロブリン鎖および/または軽鎖免疫グロブリン鎖の)CDRを有する。抗体は、非ヒトCDRの少なくとも一部で置換され得るか、またはCDRのいくつかのみは、非ヒトCDRで置換され得る。7118またはそのフラグメントに対するヒト化抗体の結合に必要とされるCDRの数を置換することだけが必要である。好ましくは、ドナーは、げっ歯類抗体(例えば、ラット抗体またはマウス抗体)であり、そしてレシピエントは、ヒトフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークである。代表的に、CDRを提供する免疫グロブリンは、「ドナー」と呼ばれ、そしてフレームワークを提供する免疫グロブリンは、「アクセプター」と呼ばれる。1つの実施形態において、ドナー免疫グロブリンは、非ヒト(例えば、げっ歯類)である。アクセプターフレームワークは、天然に存在する(例えば、ヒト)フレームワークまたはコンセンサスフレームワーク、あるいはこれらに約85%以上、好ましくは、90%、95%、99%以上同一である配列である。
本明細書中で使用される場合、用語「コンセンサス配列」は、あるファミリーの関連する配列において最も頻繁に生じるアミノ酸(またはヌクレオチド)から形成される配列をいう(例えば、Winnaker(1987)From Genes to Clones(Verlagsgesellschaft,Weinheim,Germany)を参照のこと)。あるファミリーのタンパク質において、コンセンサス配列中の各位置が、そのファミリー中のその位置で最も頻繁に存在するアミノ酸によって占められる。2つのアミノ酸が同等に頻繁に生じる場合、いずれもコンセンサス配列中に含まれ得る。「コンセンサスフレームワーク」は、コンセンサス免疫グロブリン配列中のフレームワーク領域をいう。
抗体は、当該分野において公知の方法によってヒト化され得る。ヒト化抗体は、抗原結合に直接関与しないFv可変領域の配列をヒトFv可変領域からの等価な配列で置換することによって生成され得る。ヒト化抗体を生成するための一般的な方法は、Morrison,S.L.,1985,Science 229:1202−1207、Oiら、1986,BioTechniques 4:214、ならびにQueenら米国特許第5,585,089号,同第5,693,761号および同第5,693,762号(これらの全ての内容が、本明細書中に参考として援用される)によって提供される。これらの方法は、重鎖および軽鎖のうちの少なくとも1つからの免疫グロブリンFv可変領域の全てまたは一部をコードする核酸配列を単離する工程、操作する工程、および発現する工程を包含する。このような核酸の供給源は、当業者に周知であり、例えば、7118ポリペプチドまたはそのフラグメントに対する抗体を産生するハイブリドーマより取得され得る。次いで、ヒト化抗体をコードする組換えDNAまたはそのフラグメントは、適切な発現ベクター中にクローニングされ得る。
ヒト化抗体またはCDR移植された抗体は、CDR移植またはCDR置換によって産生され得、ここで、免疫グロブリン鎖のCDRのうち1つ、2つまたは全てが置換され得る。例えば、米国特許第5,225,539号;Jonesら(1986)Nature 321:552−525;Verhoeyanら(1988)Science 239:1534;Beidlerら(1988)J.Immunol.141:4053−4060;Winter 米国特許第5,225,539号(これら全ての内容が本明細書中に参考として明らかに援用される)を参照のこと。Winterは、本発明のヒト化抗体を調製するために使用され得るCDR移植方法を記載する(1987年3月26日に出願されたUK特許出願GB2188638A;Winter 米国特許第5,225,539号(この内容は参考として明らかに援用される)。
特定のアミノ酸が置換、欠失または付加されているヒト化抗体はまた、本発明の範囲内である。好ましいヒト化抗体は、例えば、抗原に対する結合を改善するようにフレームワーク領域にアミノ酸置換を有する。例えば、ヒト化抗体は、ドナーフレームワーク残基に同一のフレームワーク残基を有するか、またはレシピエントフレームワーク残基以外の別のアミノ酸に同一のフレームワーク残基を有する。このような抗体を生成するために、ヒト化免疫グロブリン鎖の選択された少数のアクセプターフレームワーク残基は、対応するドナーアミノ酸で置換され得る。好ましい置換の位置は、CDRに隣接するアミノ酸残基またはCDRと相互作用し得るアミノ酸残基を含む(例えば、米国特許第5,585,089号を参照のこと)。ドナーからアミノ酸を選択するための基準は、米国特許第5,585,089号(例えば、米国特許第5,585,089号の12〜16欄、例えば、米国特許第5,585,089号の12〜16欄(この内容は、本明細書中に参考として援用される))に記載される。ヒト化抗体のための他の技術は、Padlanら、EP519596 A1(1992年12月23日公開)に記載される。
完全ヒト抗体は、ヒト患者の治療的処置のために特に所望される。このような抗体は、内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子および内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子を発現することが不可能であるが、ヒト重鎖遺伝子およびヒト軽鎖遺伝子を発現し得る、トランスジェニックマウスを使用して生成され得る。例えば、LonbergおよびHuszar(1995)Int.Rev.Immunol.13:65−93;ならびに米国特許第5,625,126号;米国特許第5,633,425号;米国特許第5,569,825号;米国特許第5,661,016号;および米国特許第5,545,806号を参照のこと。さらに、Abgenix,Inc.(Fremont.CA)およびMedarex,Inc.(Princeton,NJ)のような会社は、上記と類似の技術を使用して、選択された抗原に対するヒト抗体を提供することに取り組み得る。
選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「誘導選択(guided selection)」と呼ばれる技術を使用して、作製され得る。このアプローチにおいて、選択された非ヒトモノクローナル抗体(例えば、マウス抗体)は、同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を誘導するために使用され得る。この技術は、Jespersら(1994)Bio/Technology 12:899−903に記載される。
抗7118抗体は、単鎖抗体であり得る。単鎖抗体(scFv)は、例えば、Colcherら(1999)Ann,N Y Acad.Sci.880:263−80;およびReiter(1996)Clin.Cancer Res.2:245−52に記載されるようにして、操作され得る。単鎖抗体は、同一の標的7118タンパク質の異なるエピトープに対する特異性を有する多価抗体を精製するために二量体化されても多量体化されてもよい。
好ましい実施形態において、抗体は、Fcレセプターに結合する能力が減少しているか、またはこのような能力を有さない。例えば、この抗体は、アイソタイプまたはサブタイプのフラグメントまたは他の変異体であり、これらは、Fcレセプターへの結合を支持しない。例えば、この抗体は、変異誘発されたFcレセプター結合領域または欠失されたFcレセプター結合領域を有する。
抗体(またはそのフラグメント)は、治療部分(例えば、細胞毒、治療剤または放射性イオン)に結合体化され得る。細胞毒または細胞毒性剤は、細胞にとって有害な任意の薬剤を含む。例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、メイタンシノイド(例えば、メイタンシノール(米国特許第5,208,020号を参照のこと)、CC−1065(米国特許第5,475,092号、同第5,585,499号、同第5,846,545号を参照のこと)およびこれらのアナログまたはホモログが挙げられる。治療剤としては、代謝拮抗物質(例えば、メトキサレート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパ(thioepa)クロラムブシル、CC−1065、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾシン(streptozotocin)、マイトマイシンC、およびシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前は、ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前は、アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、および抗***薬剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、タキソールおよびメイタンシノイド)が挙げられるがこれらに限定されない。放射性イオンとしては、ヨウ素、イットリウム、およびプラセオジムが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の結合体は、所定の生物学的応答を調節するために使用され得、治療部分は、古典的な化学的治療剤に限定するように解釈されるべきではない。例えば、治療部分は、所定の生物学的活性を予風保有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。このようなタンパク質としては、例えば、毒素(例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素);タンパク質(例えば、腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来増殖因子、組織プラスミノゲン活性化因子;または生物学的応答変更因子(例えば、リンホカイン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、あるいは他の増殖因子)が挙げられ得る。
あるいは、抗体は、二次抗体と結合体化され、Segal(米国特許第4,676,980号)によって記載されるような抗体へテロ結合体を形成し得る。
抗7118抗体(例えば、モノクローナル抗体)を使用して、標準的技術(例えば、アフィニティクロマトグラフィーまたは免疫沈降)によって7118を単離し得る。さらに、抗7118抗体を使用して、このタンパク質発現の多さおよびパターンを評価するために、(例えば、細胞溶解物または細胞上清において)7118タンパク質を検出し得る。抗7118抗体を診断的に使用して、臨床試験手順の一部として(例えば、所定の処置レジメンの効率を決定するために)組織中のタンパク質レベルをモニタリングし得る。検出は、抗体を検出可能な物質に結合(すなわち、物理的連結)すること(すなわち、抗体標識)によって容易にされ得る。検出可能な物質の例としては、種々の酵素、補欠分子団、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、および放射活性物質が挙げられる。適切な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子団複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ;適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオロセイン、フルオロセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオロセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられ;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられ;生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられ;そして適切な放射活性物質の例としては、125I、131I、35Sまたは3Hが挙げられる。
好ましい実施形態において、抗体は、精製7118抗原またはそのフラグメント(例えば、本明細書中で記載されるフラグメント)、膜結合抗原、組織(例えば、粗製組織調製物)、細胞全体、好ましくは、生きた細胞、溶解細胞または細胞画分(例えば、膜画分)を用いて免疫することによって作製され得る。
ネイティブの7118タンパク質のみ、変性されたかまたは他の非ネイティブの7118タンパク質のみと結合するか、あるいはこれらの両方と結合する抗体は、本発明の範囲内である。線状エピトープまたは構造的エピトープを有する抗体が、本発明の範囲内である。構造的エピトープは、時折、ネイティブであるが変性されていない7118タンパク質に結合する抗体を同定することによって、同定され得る。
(組換え発現ベクター、宿主細胞および遺伝子操作された細胞)
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載されるポリペプチドをコードする核酸を含むベクター、好ましくは、発現ベクターを含む。本明細書中で使用される場合、用語「ベクター」は、連結されている別の核酸を輸送し得る核酸分子をいい、プラスミド、コスミドまたはウイルスベクターを含み得る。ベクターは、自律的な複製を行い得るか、または宿主DNA内に組み込み得る。ウイルスベクターとしては、例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスが挙げられる。
ベクターは、宿主細胞内での核酸の発現に適切な形態で7118核酸を含み得る。好ましくは、組換え発現ベクターは、発現されるべき核酸配列に作動可能に連結された1つ以上の調節配列を含む。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含む。調節配列は、ヌクレオチド配列の構成的発現を指向する配列、ならびに組織特異的調節配列および/または誘導性配列を指向する配列を含む。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望されるタンパク質発現レベルなどのような因子に依存し得る。本発明の発現ベクターは、宿主細胞内に導入され得、これにより本明細書中に記載されるような核酸によってコードされるタンパク質またはポリペプチド(融合タンパク質またはポリペプチドを含む)(例えば、7118タンパク質、7118タンパク質の変異形態、融合タンパク質など)を産生し得る。
本発明の組換え発現ベクターは、原核生物細胞または真核生物細胞における7118タンパク質の発現のために設計され得る。例えば、本発明のポリペプチドは、E.coli、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現ベクターを使用して)、酵母細胞または哺乳動物細胞において発現され得る。適切な宿主細胞は、さらに、Goeddel,(1990)Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CAに議論される。あるいは、組換え発現ベクターは、(例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを使用して)インビトロで転写および翻訳され得る。
原核生物におけるタンパク質発現は、融合タンパク質または非融合タンパク質のいずれかの発現を指向する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含むベクターを用いて、ほとんどE.coliにて行われる。融合ベクターは、多くのアミノ酸をこのベクター中にコードされるタンパク質に、通常、組換えタンパク質のアミノ末端に付加する。このような融合ベクターは、典型的に以下の3つの目的で働く:1)組換えタンパク質の発現を増加させるため;2)組換えタンパク質の安定性を増加させるため;および3)アフィニティ精製におけるリガンドとして作用することによる、組換えタンパク質の精製における補助のため。しばしば、タンパク質分解性切断部位が、融合部分と組換えタンパク質との連結部に導入され、融合部分からの組換えタンパク質の分離、続く融合タンパク質の精製を可能にする。このような酵素およびこれらの同族認識配列は、第Xa因子、トロンビン、およびエンテロキナーゼを含む。代表的な融合発現ベクターとしては、pGEX(Pharmacia Biotech Inc;SmithおよびJohnson(1988)Gene 67:31−40),pMAL(New England Biolabs,Beverly,MA)およびpRIT5(Pharmacia,Piscataway,NJ)(これらはそれぞれ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを標的組換えタンパク質に融合する)が挙げられる。
精製された融合タンパク質は、7118活性アッセイ(例えば、以下に詳細に記載される直接アッセイまたは競合アッセイ)において、または7118タンパク質に特異的もしくは選択的な抗体を生成するために使用され得る。好ましい実施形態において、本発明のレトロウイルス発現ベクターにおいて発現される融合タンパク質を使用して、骨髄細胞を感染し、続いてこの細胞を、照射したレシピエントに移植し得る。次いで、被験体レシピエントの病理学は、十分な時間(例えば、6週間)が経過した後に試験される。
E.coliにおける組換えタンパク質発現を最大化することは、その組換えタンパク質をタンパク質分解性切断する減弱した能力を有する宿主細菌中でタンパク質を発現することである(Gottesman、(1990)Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,California 119−128)。別のストラテジーは、各アミノ酸に対する個々のコドンがE.coli中で優先的に利用されるものであるように、発現ベクター中に挿入されるべき核酸の核酸配列を変更することである(Wadaら(1992)Nucleic Acids Res.20:2111−2118)。本発明の核酸配列のこのような変更は、標準的DNA合成技術によって行われ得る。
7118発現ベクターは、酵母発現ベクター、昆虫細胞内での発現のためのベクター(例えば、バキュロウイルス発現ベクター)または哺乳動物細胞内での発現に適切なベクターであり得る。
哺乳動物細胞において使用される場合、発現ベクターの制御機能は、しばしば、ウイルス調節エレメントによって提供される。例えば、一般に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40由来である。
別の実施形態において、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型において優先的に核酸の発現を指向し得る(例えば、組織特異的調節エレメントが核酸の発現に使用される)。適切な組織特異的プロモーターの非限定的な例としては、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkertら(1987)Genes Dev.1:268−277)、リンパ特異的プロモーター(CalameおよびEaton(1988)Adv.Immunol.43:235−275)、T細胞レセプターの特定のプロモーター(WinotoおよびBaltimore(1989)EMBO J.8:729−733)、および免疫グロブリン(Banerjiら(1983)Cell 33:729−740;QueenおよびBaltimore(1983)Cell 33:741−748)、ニューロン特異的プロモーター(例えば、ニューロフィラメントプロモーター;ByrneおよびRuddle(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5473−5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlundら(1985)Science 230:912−916)、および乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター;米国特許第4,873,316号および欧州特許出願公開番号264,166号)が挙げられる。発生的に調節されるプロモーター(例えば、マウスhoxプロモーター(KesselおよびGruss(1990)Science 249:374−379)およびα−フェトプロテインプロモーター(CampesおよびTilghman(1989)Genes Dev.3:537−546))もまた、含まれる。
本発明はさらに、アンチセンス方向で発現ベクターにクローニングされた本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。種々の細胞型におけるアンチセンスRNAの、構成的発現、組織特異的発現、または細胞型特異的発現を指示する、アンチセンスの向きでクローニングされた核酸に対して作動可能に連結された調節配列(例えば、ウイルスプロモーターおよび/またはエンハンサー)が選択され得る。アンチセンス発現ベクターは、組換えプラスミド、ファージミド、または弱毒化されたウイルスの形態であり得る。アンチセンス遺伝子を用いる遺伝子発現の調節の議論については、Weintraubら、(1986)Reviews−Trends in Genetics 1:1を参照のこと。
本発明の別の局面は、本明細書中に記載された核酸分子(例えば、組換え発現ベクター内の7118核酸分子、または7118核酸分子が宿主細胞ゲノムの特定の部位中に相同的に組換えることを可能とする配列を含む7118核酸分子)を含有する宿主細胞を提供する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書中で、交換可能に使用される。このような用語は、特定の対象細胞をいうのみでなく、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫をいう。変異または環境的影響のいずれかに起因して、特定の改変が次の世代において発生し得るので、このような子孫は、実際、親の細胞と同一でなくてもよいが、なお、本明細書中で使用されるようなこの用語の範囲内に含まれる。
宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得る。例えば、7118タンパク質は、細菌細胞(例えば、E.coli)、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはCV−1起源、SV−40 (COS)細胞)で発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
ベクターDNAは、従来的な形質転換またはトランスフェクション技術を介して宿主細胞に導入され得る。本明細書中で使用される場合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」とは、外来性の核酸(例えば、DNA)を宿主細胞中に導入するための当該分野で認識される種々の技術をいうことを意図し、これらには、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈殿、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションが挙げられる。
本発明の宿主細胞を使用して、7118タンパク質を生成(すなわち、発現)し得る。従って、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を使用して7118タンパク質を生成するための方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は、7118タンパク質が生成されるような適切な培地中で、本発明の宿主細胞(この中に、7118タンパク質をコードする組換え発現ベクターが導入されている)を培養する工程を、包含する。別の実施形態において、この方法はさらに、培地または宿主細胞から7118タンパク質を単離する工程を包含する。
別の局面において、本発明は、細胞、または7118導入遺伝子を含有する細胞もしくはそれ以外に7118を誤って発現する(misexpress)細胞からの精製調製物を特徴とする。この細胞調製物は、ヒト細胞または非ヒト細胞(例えば、げっ歯類細胞(例えば、マウス細胞もしくはラット細胞)、ウサギ細胞、またはブタ細胞)からなり得る。好ましい実施形態において、細胞は、7118導入遺伝子(例えば、7118の異種形態、例えば、(非ヒト細胞の場合には)ヒト由来の遺伝子)を、含有する。この7118導入遺伝子は、誤って発現(例えば、過剰発現または寡少発現(underexpress))され得る。他の好ましい実施形態において、細胞は、内在性7118を誤って発現する遺伝子(例えば、遺伝子発現が損なわれる遺伝子(例えば、ノックアウト))を含有する。このような細胞は、変異した7118対立遺伝子、または誤って発現された7118対立遺伝子に関係する障害を研究するためのモデル、または薬物スクリーニングにおける使用のためのモデルとして作用し得る。
別の局面において、本発明は、本発明の7118ポリペプチドをコードする核酸で形質転換されたヒト細胞(例えば、造血幹細胞)を、特徴とする。
また、細胞、好ましくはヒト細胞(例えば、ヒト造血細胞または線維芽細胞)が提供され、この細胞中では、内因性7118が、正常では内因性7118遺伝子の発現を制御しない調節配列の制御下にある。細胞(例えば、細胞株または微生物)中の内因性遺伝子の発現特徴は、挿入された調節エレメントが内因性7118遺伝子に作動可能に連結されるように、細胞のゲノム中に異種性のDNA調節エレメントを挿入することによって改変され得る。例えば、「転写的にサイレント」(例えば、正常では発現されないか、または極低レベルでのみ発現される)内因性7118遺伝子を、その細胞中で正常に発現される遺伝子産物の発現を促進し得る調節性エレメントを挿入することによって、活性化し得る。標的化相同組換えのような技術を使用して、例えば、Chappel、米国特許第5,272,071号;1991年5月16日に公開されたWO 91/06667に記載されるように、異種性DNAを挿入し得る。
(トランスジェニック動物)
本発明は、非ヒトトランスジェニック動物を提供する。このような動物は、7118タンパク質の機能および/または活性を研究するため、ならびに7118の活性の調節因子を同定および/または評価するために、有用である。本明細書中で使用される場合、「トランスジェニック動物」は、その動物の細胞の1つ以上がトランスジーンを含有する、非ヒト動物であり、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくは、ラットもしくはマウスのようなげっ歯類である。トランスジェニック動物の他の例としては、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類などが挙げられる。トランスジーンとは、好ましくは、トランスジェニック動物の細胞のゲノム中に組み込まれるか、またはゲノム中に生じる、外因性DNAまたは内因性染色体DNAの再配置(例えば、欠失)である。トランスジーンは、トランスジェニック動物の1つ以上の細胞型もしくは組織においてコードされる遺伝子産物の発現を指令し得、他のトランスジーン(例えば、ノックアウト)は、発現を減少させる。従って、トランスジェニック動物は、内因性7118遺伝子が、例えば、内因性遺伝子と、その動物の発生前にその動物の細胞(例えば、その動物の胚細胞)中に導入された外因性DNA分子との間の相同組換えによって、変更された動物であり得る。
イントロン配列およびポリアデニル化シグナルはまた、トランスジーンの発現の効率を増加させるためにトランスジーン中に含まれ得る。組織特異的調節配列は、特定の細胞に7118タンパク質の発現を指向するために、本発明のトランスジーンに作動可能に連結され得る。トランスジェニック創始動物は、そのゲノムにおける7118トランスジーンの存在および/またはこの動物の組織もしくは細胞における7118 mRNAの発現に基づいて、同定され得る。次いで、トランスジェニック創始動物を使用して、トランスジーンを保有するさらなる動物を育種し得る。さらに7118タンパク質をコードするトランスジーンを保有するトランスジェニック動物は、さらに、他のトランスジーンを有する他のトランスジェニック動物と交配され得る。
7118タンパク質または7118ポリペプチドは、トランスジェニック動物またはトランスジェニック植物において発現され得る(例えば、このタンパク質またはポリペプチドをコードする核酸が、動物のゲノム中に導入され得る)。好ましい実施形態において、この核酸を、組織特異的なプロモーター(例えば、乳汁特異的プロモーターまたは卵特異的プロモーター)の制御下に配置し、そして動物により産生される乳汁または卵から回収され得る。適切な動物は、マウス、ブタ、ウシ、ヤギおよびヒツジである。
本発明はまた、例えば、以下に考察されるような、トランスジェニック動物由来の細胞集団を包含する。
(使用)
本明細書中に記載される核酸分子、タンパク質、タンパク質ホモログ、および抗体は、以下の方法の1以上に使用され得る:a)スクリーニングアッセイ;b)予測医学(例えば、診断アッセイ、予後アッセイ、臨床試験のモニタリング、および薬理遺伝学);ならびにc)処置方法(例えば、治療および予防)。
本発明の単離された核酸分子を使用して、例えば、7118タンパク質を(例えば、遺伝子治療の適用における、宿主細胞中の組換え発現ベクターを介して)発現し得、(例えば、生物学的サンプル中の)7118 mRNAを検出し得、または7118遺伝子中の遺伝子の変更を検出し得、そして以下にさらに記載されるように、7118の活性を調節し得る。7118タンパク質を使用して、7118基質または7118インヒビターの不十分な生成または過剰な生成によって特徴付けられる障害を処置し得る。さらに、7118タンパク質を使用して、天然に存在する7118の基質についてスクリーニングし得、7118活性を調節する薬物または化合物をスクリーニングし得、ならびに7118タンパク質の不十分な生成または過剰な生成、または7118野生型タンパク質と比較して、減少した活性、異常な活性もしくは所望されない活性を有する7118タンパク質形態の生成によって特徴付けられる障害(例えば、アルギニン残基の異常なメチル化または欠損性のメチル化)を、処置し得る。さらに、本発明の抗7118抗体を使用して、7118タンパク質を検出および単離し得、7118タンパク質の生物利用能を調節し得、そして7118活性を調節し得る。
本発明の7118ポリペプチドと相互作用する(例えば、結合する)能力について化合物を評価する方法を提供する。この方法は、以下を包含する:本発明の7118ポリペプチドと化合物とを接触させる工程;および化合物が本発明の7118ポリペプチドと相互作用する(例えば、結合する)か、または複合体を形成する能力を評価する工程。この方法は、インビトロ(例えば、無細胞系)でか、またはインビボ(例えば、ツーハイブリッド相互作用トラップアッセイ)で実施され得る。この方法を使用して、本発明の7118ポリペプチドと相互作用する、天然に存在する分子を同定し得る。またこの方法を使用して、本発明の7118ポリペプチドの天然インヒビターまたは合成インヒビターを見出し得る。スクリーニング方法を、以下により詳細に考察する。
(スクリーニングアッセイ)
本発明は、7118タンパク質に結合するか、例えば7118発現もしくは7118活性に対する刺激作用もしくは阻害作用を有するか、または例えば7118基質の発現または活性に対する刺激作用または阻害作用を有する、調節因子、すなわち候補または試験の化合物または因子(例えば、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物、ペプトイド、低分子または他の薬物)を同定するための方法(本明細書中で「スクリーニングアッセイ」ともいわれる)を提供する。このように同定された化合物を使用して、治療プロトコル中で標的遺伝子産物(例えば、7118遺伝子)の活性を調節し得るか、標的遺伝子産物の生物学的機能を調節し得るか、または正常な標的遺伝子の相互作用を無効化(destrupt)する化合物を、同定し得る。
1つの実施形態において、本発明は、7118タンパク質もしくは7118ポリペプチド、またはその生物学的に活性な部分の基質である、候補化合物または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。別の実施形態において、本発明は、7118タンパク質もしくは7118ポリペプチド、またはその生物学的に活性な部分の活性に結合するかまたはその活性を調節する、候補化合物または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。
本発明の試験化合物は、当該分野において公知のコンビナトリアルライブラリー方法(生物学的ライブラリー;ペプトイドライブラリー(ペプチドの機能を有するが、酵素的分解に対して耐性であるがそれでもなお生物学的に活性なままである、新規の非ペプチド骨格を有する分子のライブラリー;例えば、Zuckermannら(1994)J.Med.Chem.37:2678−85を参照のこと);空間的にアドレス可能な並行の固相または溶液相ライブラリー;デコンボルーション(deconvolution)を必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー方法を含む)における任意の多くのアプローチを使用して獲得され得る。生物学的ライブラリーアプローチおよび、ペプチドライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに限定され、一方、他の4つのアプローチは、化合物のペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは低分子ライブラリーに適用可能である(Lam(1997)Anticancer Drug Des.12:145)。
分子ライブラリーの合成のための方法の例は、例えば、以下において、当該分野で見出され得る:DeWittら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6909−13;Erbら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422−426;Zuckermannら(1994)、J.Med.Chem.37:2678−85;Choら(1993)Science 261:1303;Carrellら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carellら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;およびGallopら(1994)J.Med.Chem.37:1233−51。
化合物のライブラリーは、溶液中に存在し得るか(例えば、Houghten(1992)Biotechniques 13:412〜421)、またはビーズ上(Lam(1991)Nature 354:82〜84)、チップ上(Fodor(1993)Nature 364:555〜556)、細菌上(Ladner、米国特許第5,223,409号)、芽胞上(Ladner、特許第’409号)、プラスミド上(Cullら(1992)Proc Natl Acad Sci USA 89:1865〜1869)またはファージ上(ScottおよびSmith(1990)Science 249:386〜390;Devlin(1990)Science 249:404〜406;Cwirlaら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.87:6378〜6382;Felici(1991)J.Mol.Biol.222:301〜310;Ladner 前出)であり得る。
1つの実施形態では、アッセイは、細胞ベースのアッセイであり、ここで7118タンパク質またはその生物学的に活性な部分を発現する細胞を、試験化合物と接触させ、そして試験化合物が7118活性を調節する能力を決定する。試験化合物が7118活性を調節する能力の決定を、例えば、アルギニン残基のメチル化をモニターすることによって成し得る。例えばこの細胞は、哺乳動物起源(例えば、ヒト)であり得る。
試験化合物が化合物(例えば、7118基質)への7118結合を調節する能力、または7118に結合する能力をまた、評価し得る。このことは、例えば、化合物(例えば、基質)を放射性同位体または酵素標識とカップリングさせることによって達成され得、その結果、複合体中の標識された化合物(例えば、基質)を検出することによって、化合物(例えば、基質)の7118への結合を決定し得る。あるいは、7118を放射性同位体または酵素標識とカップリングさせて、複合体中の試験化合物が7118基質への7118結合を調節する能力をモニタリングし得る。例えば、化合物(例えば、7118基質)を、125I、35S、14C、または3Hで、直接的または間接的のいずれかで標識し得、そしてこの放射性同位体が、放射線放射の直接的な計数によってか、またはシンチレーション計数によってかで検出され得る。あるいは、化合物は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素的に標識され得、そして適切な基質の産物への変換を定量することによって、この酵素標識を検出し得る。
化合物(例えば、7118基質)が、任意の相互作用体(interactant)の標識化を有する7118またはこれを有さない7118と相互作用する能力を、評価し得る。例えば、微小生理機能測定器(microphysiometer)を使用して、化合物または7118のいずれかの標識化を有さない、7118との化合物の相互作用を検出し得る。McConnellら(1992)Science 257:1906−1912。本明細書中で使用される場合、「微小生理機能測定器」(例えば、Cytosensor)は、光でアドレス可能な電位差測定センサー(LAPS)を使用して、細胞がその環境を酸性化する速度を測定する、分析装置である。この酸性化速度の変化は、化合物と7118との間の相互作用の指標として使用され得る。
なお別の実施形態において、7118タンパク質またはその生物学的に活性な部分を試験化合物と接触させ、そしてその試験化合物が7118タンパク質またはその生物学的に活性な部分に結合する能力を評価する、無細胞アッセイを提供する。本発明のアッセイに使用するための7118タンパク質の好ましい生物学的に活性な部分としては、非7118分子との相互作用に関与するフラグメント(例えば、高い表面存在可能性スコアを有するフラグメント)が挙げられる。
本発明の無細胞アッセイにおいて、単離したタンパク質(例えば、7118タンパク質またはその生物学的に活性な部分)の可溶性形態および/または膜結合形態を、使用し得る。膜結合形態のタンパク質を使用する場合、可溶化剤を利用することが望ましい。このような可溶化剤の例としては、以下のような非イオン性界面活性剤が挙げられる:n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−114、Thesit(登録商標)、イソトリデシルポリ(エチレングリコールエーテル)n(Isotridecypoly(ethylene glycol ether)n)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(3−[(3−cholamidopropyl)dimethylamminio]−1−propane sulfonate)(CHAPS)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(3−[(3−cholamidopropyl)dimethylamminio]−2−hydroxy−1−propane sulfonate)(CHAPSO)、またはN−ドデシル=N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート。
無細胞アッセイは、2つの成分が相互作用しそして結合し、従って除去および/または検出され得る複合体を形成し得る条件下かつそのために十分な時間をかけて、標的遺伝子タンパク質および試験化合物の反応混合物を調製する工程を、包含する。
2つの分子間の相互作用をまた、例えば、蛍光エネルギー転移(FET)を使用して検出し得る(例えば、Lakowiczら、米国特許第5,631,169号;Stavrianopoulosら、米国特許第4,868,103号を参照のこと)。第1「ドナー」分子上のフルオロフォア標識は、その放射した蛍光エネルギーが、第2「アクセプター」分子上の蛍光標識によって吸収され、次いで吸収エネルギーに起因して蛍光発光し得るように、選択される。あるいは、この「ドナー」タンパク質分子は、単に、トリプトファン残基の天然の蛍光エネルギーを利用してもよい。異なる波長の光を放射する標識を選択して、その結果、「アクセプター」分子標識は、「ドナー」分子標識から識別され得る。これら標識間のエネルギー転移の効率は、分子を隔てる距離に関係するので、これら分子間の空間関係を評価し得る。2つの分子間で結合が生じる状態では、このアッセイにおいて「アクセプター」分子標識の蛍光放射は最大となるはずである。FET結合事象を、当該分野で周知の標準的な蛍光検出手段を介して(例えば、蛍光測定器を用いて)、簡便に測定し得る。
別の実施形態において、7118タンパク質が標的分子に結合する能力の決定を、リアルタイムの生体分子相互作用分析(Biomolecular Interaction Analysis)(BIA)を使用して達成し得る(例えば、SjolanderおよびUrbaniczky(1991)Anal.Chem.63:2338〜2345、ならびにSzaboら(1995)Curr.Opin.Struct.Biol.5:699〜705を参照のこと)。「表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance)」または「BIA」は、いずれの相互作用物も標識することなく、リアルタイムで生体特異的相互作用を検出する(例えば、BIAcore)。結合表面の質量の変化(結合事象を表す)は、表面付近の光の屈折率の変化(表面プラズモン共鳴(SPR)の光学的現象(optical phenomenon))を生じ、生物学的分子間のリアルタイム反応の指標として使用され得る、検出可能なシグナルを生じる。
1つの実施形態において、標的遺伝子産物または試験基質を、固相上に係留する(anchor)。固相上に係留した標的遺伝子産物/試験化合物の複合体を、反応終了時に検出し得る。好ましくは、標的遺伝子産物を固相表面上に係留し得、そして(係留されていない)試験化合物を、本明細書中で考察される検出可能な標識で、直接的または間接的のいずれかで標識し得る。
7118、抗7118抗体またはその標的分子のいずれかを固定して、そのタンパク質の一方または両方の非複合体化形態からの複合体化形態の分離を容易にし、そしてこのアッセイの自動化に適用させることが、望ましくあり得る。試験化合物の7118タンパク質への結合、または候補化合物の存在下および非存在下での7118タンパク質の標的分子との相互作用は、これらの反応物を収容するのに適切な任意の容器内で成され得る。このような容器の例には、マイクロタイタープレート、試験管、および微小遠心管が挙げられる。1つの実施形態において、そのタンパク質の一方または両方をマトリックスに結合することを可能にするドメインを付加する融合タンパク質が、提供され得る。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/7118融合タンパク質またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/標的融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical、St.Louis、MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着され得、次いで、これらを、試験化合物と混ぜ合わせるか、あるいは試験化合物および非吸着の標的タンパク質または7118タンパク質のいずれかと混ぜ合わせ、そしてこの混合物を、複合体形成に貢献する条件下(例えば、塩およびpHに関して生理学的条件)でインキュベートする。インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイタープレートウェルを洗浄して、結合していないあらゆる成分を除去し、ビーズの場合にはマトリックスに固定し、例えば、上記のように、複合体を直接的または間接的のいずれかで決定する。あるいは、複合体をマトリックスから解離させ得、そして7118結合レベルまたは7118活性レベルを標準的な技術を使用して決定し得る。
7118タンパク質または標的分子のいずれかをマトリックス上に固定するための他の技術としては、ビオチンとストレプトアビジンとの結合体化を使用することが挙げられる。ビオチン化された7118タンパク質または標的分子を、当該分野において公知の技術(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals、Rockford、IL)を使用して、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシ−スクシンイミド)から調製し得、そしてストレプトアビジンでコーティングした96ウェルのプレート(Pierce Chemical)のウェル中に固定し得る。
このアッセイを行うために、非固定化成分を、係留された成分を含むコーティングされた表面に添加する。反応の完了後、形成された任意の複合体が固相表面上で依然として固定化されているような条件下で、未反応成分を取り除く(例えば、洗浄によって)。固相表面上に係留された複合体の検出を、多くの方法で達成し得る。それまで固定化されない成分を予め標識する場合、表面上に固定化された標識の検出は、複合体が形成されたことを示す。それまで固定化されない成分が予め標識されない場合、間接標識を使用して、表面上に係留された複合体を検出し得る:例えば、固定化成分に特異的または選択的な標識抗体の使用(次いで、この抗体は、直接的にか、または例えば標識された抗Ig抗体で間接的に標識され得る)。
1つの実施形態において、7118タンパク質または標的分子と反応性であるが、7118タンパク質のその標的分子への結合を妨害しない抗体を利用して、アッセイを実施する。このような抗体は、プレートのウェルに誘導体化され得、そして結合していない標的または7118タンパク質が、抗体の結合体化によってウェル内にトラップされ得る。このような複合体を検出するための方法には、GST固定化複合体に関しての上記のものに加えて、7118タンパク質または標的分子と反応性の抗体を使用する複合体の免疫検出、ならびに7118タンパク質または標的分子に関する酵素活性の検出に依存する酵素結合アッセイが挙げられる。
あるいは、無細胞アッセイを液相中で行い得る。このようなアッセイにおいて、以下に挙げられる任意の多くの標準的な技術によって、反応生成物を未反応成分から分離するが、これらに限定されない:差次的遠心分離(例えば、RivasおよびMinton(1993)Trends Biochem Sci 18:284−7を参照のこと);クロマトグラフィー(ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー);電気泳動(例えば、Ausubelら、編、(1999)Current Protocols in Molecular Biology,J.Wiely、New Yorkを参照のこと);および免疫沈降(例えば、Ausubelら、編(1999)Current Protocols in Molecular Biology,J.Wiely、New Yorkを参照のこと)。このような樹脂およびクロマトグラフィー技術は当業者に公知である(例えば、Heegaard(1998)J Mol Recognit 11:141−8;HageおよびTweed(1997)J Chromatogr B Biomed Sci Appl.699:499−525を参照のこと)。さらに、蛍光エネルギー転移をまた、本明細書中に記載されるように、うまく使用して、溶液からの複合体のさらなる精製なしに結合を検出し得る。
好ましい実施形態において、このアッセイは、7118タンパク質またはその生物学的に活性な部分を、7118を結合する公知化合物と接触させてアッセイ混合物を形成する工程、アッセイ混合物を試験化合物と接触させる工程、および試験化合物が7118タンパク質と相互作用する能力を決定する工程を包含し、ここで、試験化合物が7118タンパク質と相互作用する能力を決定する工程は、公知化合物と比較した場合、試験化合物が、7118タンパク質またはその生物学的に活性な部分に優先的に結合する能力、または標的分子の活性を調節する能力を決定する工程を包含する。
本発明の標的遺伝子産物は、インビボで、1つ以上の細胞性高分子または細胞外高分子(例えば、タンパク質)と相互作用し得る。この考察の目的のために、このような細胞性高分子および細胞外高分子は、本明細書中で、「結合パートナー」といわれる。このような相互作用を無効化する化合物は、標的遺伝子産物の活性を調節するのに有用であり得る。このような化合物としては、抗体、ペプチドおよび低分子のような分子が挙げられ得るが、これらに限定されない。この実施形態における使用のための好ましい標的遺伝子/生成物は、本明細書中で同定された7118遺伝子である。代替の実施形態において、本発明は、試験化合物が、7118標的分子の下流のエフェクターの活性の調節を介して、7118タンパク質の活性を調節する能力を決定するための方法を、提供する。例えば、これまでに記載されたように、適切な標的に対するエフェクター分子の活性を決定し得るか、またはエフェクターの適切な標的に対する結合を決定し得る。
標的遺伝子産物と、その細胞性結合パートナーまたは細胞外結合パートナーとの間の相互作用を妨害する化合物を同定するために、標的遺伝子産物および結合パートナーを含有する反応混合物を、2つの産物が複合体を形成し得るような条件下かつそのために十分な時間をかけて、調製する。阻害性因子を試験するために、反応混合物を試験化合物の存在下および非存在下で提供する。試験化合物は、最初に、反応混合物中に含まれ得るか、または標的遺伝子およびその細胞性結合パートナーまたは細胞外結合パートナーの添加の後のある時点で添加され得る。コントロールの反応混合物を、試験化合物なしでかまたはプラセボと一緒にインキュベートする。次いで、標的遺伝子産物と、細胞性結合パートナーまたは細胞外結合パートナーとの間の任意の複合体の形成を検出する。コントロール反応中で複合体を形成するが、試験化合物を含有する反応混合物中では複合体を形成しないことは、この化合物が標的遺伝子産物と相互作用性結合パートナーとの相互作用を妨害することを示す。さらに、試験化合物および正常な標的遺伝子産物を含有する反応混合物中の複合体形成をまた、試験化合物および変異体標的遺伝子産物を含有する反応混合物中の複合体形成と比較し得る。この比較は、変異体標的遺伝子産物の相互作用を無効化するが、正常な標的遺伝子産物の相互作用は無効化しない化合物を同定することが望ましい場合に、重要であり得る。
これらのアッセイは、不均一形式または均一形式で行われ得る。不均一系アッセイは、標的遺伝子産物またはその結合パートナーのいずれかを固相上に係留する工程、および反応終了時に固相上に係留された複合体を検出する工程を、包含する。均一系アッセイにおいて、全反応を液相中で実行する。両方のアプローチにおいて、試験される化合物についての差次的な情報を獲得するために、反応物の添加の順序を変化し得る。例えば、標的遺伝子産物とその結合パートナーとの間の相互作用を、例えば、競合によって妨害する試験化合物を、試験基質の存在下で反応を行うことによって同定し得る。あるいは、形成された複合体を無効化する試験化合物(例えば、複合体から成分のうちの1つを置き換える、より高い結合定数を有する化合物)を、複合体が形成した後に反応混合物中に試験化合物を添加することによって試験し得る。種々の形式を、以下に簡潔に記載する。
不均質のアッセイ系において、標的遺伝子産物または反応性(interactive)細胞結合パートナーもしくは細胞外結合パートナーのいずれかは、固体表面(例えば、マイクロタイタープレート)上に固着され、一方で非固着種が直接または間接的に標識される。固着種は、非共有結合または共有結合によって固定され得る。あるいは、固着される種に特異的または選択的な固定化抗体は、固体表面への種の固着のために使用され得る。
アッセイを行うために、固定化種のパートナーは、試験化合物でコーティングされた表面か、試験化合物でコーティングされていない表面に曝露される。反応が完結した後、未反応の成分が除去され(例えば、洗浄によって)、そして任意の形成された複合体は、固体表面上に固定化されたままである。非固定化種が前標識される場合、表面上に固定化された標識の検出は、複合体が形成されたことを示す。非固定化種が前標識されていない場合、間接標識は、表面に固着された複合体を検出するために使用され得る;例えば、始めに非固定化種に特異的なまたは選択的標識抗体を用いて(次いで、抗体は、例えば、標識化抗Ig抗体で直接標識され得るかまたは間接的に標識され得る)。反応成分の添加の順番に依存して、複合体形成を阻害するか、または予め形成された複合体を破壊する試験化合物が、検出され得る。
あるいは、この反応は、試験化合物の存在下または非存在下で液体層で実行され得、反応産物は、未反応成分から分離され、そして複合体が検出される;例えば、溶液中で形成される任意の複合体を固着させる結合成分の1つに特異的なまたは選択的固定化抗体、および固着された複合体を検出する他のパートナーに特異的なまたは選択的標識化抗体を用いて。再度、液相への反応物の添加の順番に依存して、複合体を阻害するか、または予め形成された複合体を破壊する試験化合物が、同定され得る。
本発明の代替の実施形態において、均質のアッセイが使用され得る。例えば、標的遺伝子産物のおよび反応性細胞結合パートナー産物または細胞外結合パートナー産物の予め形成された複合体は、標的遺伝子産物が標識されるか、またはその結合パートナーが標識されるかのいずれかで調製されるが、標識によって生成されるシグナルは、複合体形成に起因してクエンチされる(このアプローチを免疫アッセイのために利用する米国特許第4,109,496号を参照のこと)。予め形成された複合体由来の種の1つと競合し、そして置換する試験物質の添加は、バックグラウンドを上回るシグナルの生成を生じる。この方法において、標的遺伝子産物結合パートナー相互作用を破壊する試験物質が、同定され得る。
なお別の局面において、7118タンパク質は、ツーハイブリッドアッセイまたはスリーハイブリッドアッセイ(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら、(1993)Cell 72:223〜232;Maduraら(1993)J.Biol.Chem.268:12046〜12054;Bartelら(1993)Biotechniques 14:920〜924;Iwabuchiら(1993)Oncogene 8:1693−1696;およびBrent WO94/10300を参照のこと)において「ベイト(bait)タンパク質」として使用されて、7118(「7118−結合タンパク質」または「7118−bp」)と結合または相互作用し、そして7118活性に関する他のタンパク質を同定し得る。このような7118−bpは、例えば、7118媒介性シグナル伝達経路の下流エレメントのような、7118タンパク質または7118標的によるシグナルのアクティベーターまたはインヒビターであり得る。
ツーハイブリッドシステムは、大半の転写因子のモジュラー性質に基づき、これは別個のDNA結合ドメインおよび活性化ドメインからなる。手短には、このアッセイは、2つの異なるDNA構築物を利用する。1つの構築において、7118タンパク質をコードする遺伝子は、公知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合される。他の構築において、同定されていないタンパク質(「プレイ(prey)」または「サンプル」)をコードするDNA配列のライブラリー由来のDNA配列は、公知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合される。(あるいは:7118タンパク質は、活性化ドメインに融合され得る)。「ベイト」タンパク質および「プレイ」タンパク質がインビボで相互作用して7118依存性複合体を形成し得る場合、転写因子のDNA結合ドメインおよび活性化ドメインは、密接に近くにされる。このように近くにすることにより、転写因子に応答性の転写調節部位に作動可能に連結したレポーター遺伝子(例えば、lacZ)の転写が可能になる。レポーター遺伝子の発現は検出され得、そして機能的転写因子を含む細胞コロニーは、単離され得、そして7118タンパク質と相互作用するタンパク質をコードするクローン化遺伝子を得るために使用され得る。
別の実施形態において、7118発現のモジュレーターが、同定される。例えば、細胞または細胞を含有しない混合物は、候補化合物と接触させられ、そして7118mRNAまたはタンパク質の発現は、候補化合物の非存在下で7118mRNAまたはタンパク質の発現のレベルに相関して上昇した。7118mRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりもその存在下で大きい場合、候補化合物は、7118mRNAまたはタンパク質発現の刺激因子として同定される。あるいは、7118mRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりもその存在下でより少ない(統計学的に有意に少ない)場合、候補化合物は、7118mRNAまたはタンパク質発現のインヒビターとして同定される。7118mRNAまたはタンパク質発現のレベルが、7118mRNAまたはタンパク質の検出について本明細書中に記載される方法によって決定され得る。
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載されるアッセイの2つ以上の組み合わせに関する。例えば、調節剤は、細胞ベースのアッセイまたは無細胞アッセイを用いて同定され得、そして7118タンパク質の活性を調節する因子の能力は、例えば、動物(例えば、アルギニン残基の異常なメチル化または欠損性のメチル化についての動物モデル)においてインビボで確認され得る。
本発明は、さらに上記のスクリーニングアッセイによって同定される新規薬剤に関する。従って、このような薬剤での処置の効果、毒性、副作用、または作用機構を決定するための適切な動物モデルにおいて、本明細書中で記載されるように同定された薬剤(例えば、7118調節剤、アンチセンス7118核酸分子、7118特異的抗体、または7118結合パートナー)をさらに使用することは本発明の範囲内である。さらに、上記のスクリーニングアッセイによって同定される新規薬剤は、本明細書中で使用される処置のために使用され得る。
(検出アッセイ)
本明細書中で同定された核酸配列の一部またはフラグメントは、ポリヌクレオチド試薬として使用され得る。例えば、これらの配列は、以下のために使用され得る:(i)染色体上のその各々の遺伝子をマップするため(例えば、遺伝性疾患に関連する遺伝子領域を位置決めするため、または7118と疾患を関係付けるため);(ii)わずかな生物学的サンプルからの個体を同定するため(組織タイピング);および(iii)生物学的サンプルの法医学的同定における補助。これらの適用は、以下の小節に記載される。
(染色体マッピング)
7118ヌクレオチド配列またはその一部は、7118遺伝子の位置を染色体上にマッピングするために使用され得る。このプロセスは、染色体マッピングといわれる。染色体マッピングは、疾患と関連する遺伝子と7118配列との相関において有用である。
手短には、7118遺伝子は、7118ヌクレオチド配列からPCRプライマー(好ましくは15−25 bp長)を調製することによって染色体にマッピングされ得る。次いで、これらのプライマーは、個々のヒト染色体を含む体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングのために使用され得る。7118配列に対応するヒト遺伝子を含むこれらのハイブリッドのみが、増幅したフラグメントを産生する。
各細胞株が、単一のヒト染色体、または少数のヒト染色体、および完全なセットのマウス染色体のいずれかを含む、体細胞ハイブリッドのパネルは、特定のヒト染色体に対する個々の遺伝子の容易なマッピングを可能にし得る(D’Eustachioら(1983)Science 220:919−924)。
他のマッピングストラテジー(例えば、インサイチュハイブリダイゼーション(Fan,ら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:6223−27に記載される)、標識化フローソート染色体でのプレスクリーニング、および染色体特異的cDNAライブラリーに対するハイブリダイゼーションによる事前選択は、染色体の位置に対する7118のマッピングのために使用され得る。
中期染色体拡散(spread)に対するDNA配列の蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)は、1工程にて正確な染色***置を提供するためにさらに使用され得る。このFISH技術は、500塩基または600塩基程度の短さのDNA配列を用いて使用され得る。しかし、1,000塩基よりも大きいクローンは、特有の染色***置に結合する傾向が高く、簡単な検出のために十分なシグナル強度を有する。好ましくは、1,000塩基、より好ましくは2,000塩基が、適切な時間で良好な結果をえるために十分である。この技術の概説について、Vermaら、Human Chromosomes:A Manual of Basic Techniques((1988)Pergamon Press,New York)を参照のこと。
染色体マッピングのための試薬は、単一の染色体またはその染色体の単一部位をマークするために個々に使用され得るか、または試薬のパネルが複数の部位および/または複数の染色体をマークするために使用され得る。遺伝子の非コード領域に対応する試薬は、実際にマッピングの目的のために好ましい。コード配列は、遺伝子ファミリー内でより保存されがちであり、従って、染色体マッピング中のクロスハイブリダイゼーションの機会を増加させる。
一旦、配列が正確な染色***置にマッピングされると、染色体上の配列の物理学的位置は、遺伝子マップデータと相関し得る(このようなデータは、例えば、McKusick,Mendelian Inheritance in Man,Johns Hopkins University Welch Medical Libraryを介してオンラインで利用可能)。次いで、同じ染色体領域にマッピングされた遺伝子と疾患との間の関係は、例えば、Egelandら(1987)Nature,325:783−787に記載される、連鎖分析(物理学的に隣接した遺伝子の共同遺伝(co−inheritance))によって同定され得る。
さらに、7118遺伝子に関する疾患に罹患した個体と罹患していない個体との間のDNA配列における相違が、決定され得る。変異が、いくつかまたは全ての罹患した個体において見出されるが、罹患していない個体では見出されない場合、変異は、特定の疾患の原因因子であるようである。罹患した個体および罹患していない個体の比較は、最初に一般に、染色体における構造的改変(例えば、そのDNA配列に基づくPCRを用いて染色体拡散から観察可能であるか、または検出可能である欠失または転座)を探すことを含む。最終的に、いくらかの個体由来の遺伝子の完全な配列決定は、変異の存在を確認するため、および多型から変異を区別するために実行され得る。
(組織タイピング)
7118配列は、例えば、制限フラグメント長多型(RFLP)を用いて生物学的サンプルから個体を同定するために使用され得る。この技術において、個体のゲノムDNAは、1つ以上の制限酵素で消化され、フラグメントは分離され(例えば、サザンブロットにて)、そしてプローブされて同定のためのバンドを産生する。本発明の配列は、RFLPのためのさらなるDNAマーカーとして有用である(米国特許第5,272,057号に記載される)。
さらに、本発明の配列はまた、個体のゲノムの選択された部分の実際の1塩基ずつのDNA配列を決定するために使用され得る。従って、本明細書中に記載される7118ヌクレオチド配列は、その配列の5’末端および3’末端から2つのPCRプライマーを調製するために使用され得る。次いで、これらのプライマーは、個体のDNAを増幅し、次いでその配列を決定するために使用され得る。この様式で調製された個体由来の対応するDNA配列のパネルは、特有の個体識別子を提供し得る。なぜならば、それぞれの個体は、対立遺伝子の差異に起因してこのようなDNA配列の特有のセットを有するからである。
対立遺伝子改変体は、これらの配列のコード領域においてある程度まで生じ、そして非コード領域でかなりの程度生じる。いくつかの程度に対して、本明細書中に記載される配列の各々は、ある程度まで標準として使用され得、この基準に対して個体由来のDNAが同定の目的のために比較され得る。より多くの数の多型が、非コード領域で生じるために、より少ない配列しか、個体を区別するために必要でない。配列番号1の非コード配列は、それぞれ100塩基の非コード増幅配列を産生する約10〜1,000個のプライマーのパネルを用いて、ポジティブな個体の同定を提供し得る。予測されるコード配列(例えば、配列番号3の配列)が使用される場合、ポジティブな個体の同定のためにより適した数のプライマーは、500〜2,000である。
本明細書中に記載される7118ヌクレオチド配列由来の試薬のパネルが、個体について特有の識別データベースを作成するために使用される場合、これらの同様の試薬が、個体から組織を同定するために後に使用され得る。特有の同定データベースを用いると、生きていても、死んでいても、個体のポジティブな同定は、非常に小さい組織サンプルからなされ得る。
(法医学的生物学における部分的7118配列の使用)
DNAベースの同定技術はまた、法医学的生物学において使用され得る。このような同定をするために、PCR技術は、組織(例えば、毛髪および皮膚)、または体液(例えば、犯罪現場で見出された血液、唾液、もしくは***)のような非常に小さい生物学的サンプルから得られたDNA配列を増幅するために使用され得る。次いで、増幅された配列は、標準と比較され得、これによって生物学的サンプルの起源の同定を可能にする。
本発明の配列は、ポリヌクレオチド試薬(例えば、ヒトゲノム中の特定の遺伝子座に標的化されるPCRプライマー)を提供するために使用され得、これは、例えば、別の「同定マーカー」(すなわち、特定の個体に特有の別のDNA配列)を提供することによってDNAベースの法医学的識別子の信頼性を増強し得る。上述のように、実際の塩基配列情報は、制限酵素生成フラグメントによって形成されたパターンに対する正確な代替として、同定のために使用され得る。配列番号1の非コード領域に標的化された配列(例えば、少なくとも20塩基、好ましくは少なくとも30塩基の長さを有する配列番号1の非コード領域由来のフラグメント)は、特にこの使用に適切である。
本明細書中に記載される7118ヌクレオチド配列は、ポリヌクレオチド試薬(例えば、特定の組織を同定するために例えば、インサイチュハイブリダイゼーション技術で使用され得る標識化プローブまたは標識可能プローブ)を提供するためにさらに使用され得る。これは、法医学者が、未知の起源の組織が示される場合において非常に有用であり得る。このような7118プローブのパネルは、種および/または器官型によって組織を同定するために使用され得る。
類似の様式において、これらの試薬(例えば、7118プライマーまたはプローブは、汚染について組織培養をスクリーニングするために使用され得る(すなわち、培養物中の異なる型の細胞の混合物の存在についてのスクリーニング)。
(予測医学)
本発明はまた、診断アッセイ、予後アッセイおよび治験のモニタリングが、それによって個体を処置するために予後(予測)目的で使用される、予測医学の分野に関する。
一般に、本発明は、被験体が、病巣に関連する障害についての危険性があるか、または7118をコードする遺伝子のミス発現についての危険性があるかか否かを決定する方法を提供する。
このような障害としては、例えば、7118遺伝子のミス発現に関する障害;血液学的、細胞増殖および/または分化障害、または免疫障害が挙げられる。
この方法は、以下の1つ以上を包含する:
被験体の組織において、7118遺伝子の発現に影響する変異の存在または非存在を検出する工程、または遺伝子の発現を制御する領域における変異(例えば、5’制御領域における変異)の存在または非存在を検出する工程;
被験体の組織において、7118遺伝子の構造を改変する変異の存在または非存在を検出する工程;
被験体の組織において、mRNAレベルで7118遺伝子のミス発現を検出する工程(例えば、非野生型のmRNAレベルを検出する工程);
被験体の組織において、タンパク質レベルで遺伝子のミス発現を検出する工程(例えば、非野生型の7118ポリペプチドレベルを検出する工程)。
好ましい実施形態において、この方法は、以下の少なくとも1つの存在を確証する工程を包含する:7118遺伝子由来の1つ以上のヌクレオチドの欠失;遺伝子への1つ以上のヌクレオチドの挿入、点変異(例えば、遺伝子の1つ以上のヌクレオチドの置換、遺伝子の全体の染色体再配列(例えば、転座、逆位、または欠失)。
例えば、遺伝的病巣を検出するための工程としては、以下が挙げられる:(i)配列番号1由来のセンス配列もしくはアンチセンス配列または天然に存在するその変異体、または7118遺伝子と天然に会合する5’もしくは3’の隣接配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含むオリゴヌクレオチドを含むプローブ/プライマー、を提供する工程;(ii)プローブ/プライマーを、組織の核酸に曝露する工程;ならびに核酸に対するプローブ/プライマーのハイブリダイゼーション(例えば、インサイチュハイブリダイゼーション)によって、遺伝的病巣の存在または非存在を検出する工程。
好ましい実施形態において、ミス発現を検出する工程は、以下の少なくとも1つの存在を確認する工程を包含する:7118遺伝子のメッセンジャーRNA転写のレベルにおける改変;遺伝子のメッセンジャーRNA転写の非野生型スプライシングパターンの存在;または非野生型の7118レベル。
本発明の方法は、出生前か、または被験体の子孫が障害の危険性を有するか否かを決定するために使用され得る。
好ましい実施形態において、本方法は、7118遺伝子の構造、障害の危険性について指標である異常な構造を決定する工程を包含する。
好ましい実施形態において、本方法は、被験体由来のサンプルを、7118タンパク質に対する抗体またはその遺伝子と特異的にハイブリダイズする核酸と接触させる工程を包含する。これらおよび多の実施形態は以下に考察される。
(診断および予後アッセイ)
生物学的サンプル中の7118タンパク質または核酸の存在、レベル、または非存在は、試験被験体から生物学的サンプルを得ることおよび生物学的サンプル中で7118タンパク質または核酸の存在が検出されるように、その生物学的サンプルを7118タンパク質または7118タンパク質をコードする核酸(例えば、mRNA、ゲノムRNA)を検出し得る化合物または薬剤と接触させることによって評価され得る。用語「生物学的サンプル」は、被験体から単離された組織、細胞および生物学的流体、ならびに被験体中に存在する組織、細胞、および流体を含む。好ましい生物学的サンプルは、血清である。7118遺伝子の発現のレベルは、多くの方法で測定され得、この方法として以下が挙げられるがこれらに限定されない:7118遺伝子にコードされるmRNAを測定する方法;7118遺伝子にコードされるタンパク質の量を測定する方法;または7118遺伝子にコードされるタンパク質の活性を測定する方法。
7118遺伝子に対応する細胞内のmRNAのレベルは、インサイチュ形式およびインビトロ形式の両方によって決定され得る。
単離されたmRNAは、ハイブリダイゼーションアッセイあるいは増幅アッセイ(サザン解析またはノザン解析、ポリメラーゼ連鎖反応解析およびプローブアレイを含むがこれらに限定されない)において使用され得る。mRNAレベルの検出のための一つの好ましい診断方法は、単離されたmRNAを、検出される遺伝子によってコードされるmRNAにハイブリダイズし得る核酸分子(プローブ)と接触させる工程を包含する。核酸プローブは、例えば、全長の7118核酸(例えば、配列番号1の核酸)、またはその部分(例えば、少なくとも7、15、30、50、100、250、または500ヌクレオチドの長さであり、そしてストリンジェント条件下で7118mRNAまたは7118ゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするために十分なオリゴヌクレオチド)であり得る。診断アッセイにおける用途のための他の適切なプローブが、本明細書中に記載される。
一つの形式において、mRNA(またはcDNA)は、例えば、単離されたmRNAをアガロースゲルで電気泳動し、ゲルからニトロセルロースのような膜にmRNAを移すことによって表面に固定され、そしてプローブに接触させられる。代替の形式において、例えば、下に記載の2次元遺伝子チップアレイにおいて、このプローブは、表面に固定され、そしてmRNA(またはcDNA)が、プローブに接触させられる。当業者は、7118遺伝子にコードされるmRNAのレベルを検出する用途のために、公知のmRNA検出方法を採用し得る。
7118の1つにコードされるmRNAのサンプル中のレベルは、例えば、rtPCR(Mullis(1987)米国特許第4,683,202号)、リガーゼ連鎖反応(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189〜193)、自己持続性(self sustained)配列複製(Guatelliら、(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874〜1878)、転写性増幅システム(Kwohら、(1989)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173〜1177)、Q−Beta Replicase(Lizardiら、(1988)Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardiら、米国特許第5,854,033号)または任意の他の核酸増幅方法による核酸増幅(当該分野で公知の技術を使用する増幅化分子の検出が続く)で評価され得る。本明細書中で使用される場合、増幅プライマーは、遺伝子の5’または3’領域(それぞれプラス鎖およびマイナス鎖、またはその逆も同様)にアニールし得、そして間に短い領域を有する核酸分子の対として規定される。一般に、増幅プライマーは、約10〜30ヌクレオチド長であり、約50〜200ヌクレオチド長の領域に隣接する。このようなプライマーは、適切な条件下そして適切な試薬を用いて、プライマーに隣接されるヌクレオチド配列を含む核酸分子の増幅を可能にする。
インサイチュ方法に関して、細胞サンプルまたは組織サンプルは、調製/処理され、そして支持体(代表的にはガラススライド)に固定され、そして次いで、解析される7118遺伝子をコードするmRNAにハイブリダイズし得るプローブと接触させられ得る。
別の実施形態において、この方法は、コントロールサンプルを、7118mRNAまたはゲノムDNAを検出し得る化合物または薬剤と接触させ、そしてコントロールサンプル中の7118mRNAまたはゲノムDNAの存在を試験サンプル中の7118mRNAまたはゲノムDNAの存在と比較する工程をさらに含む。
7118にコードされるタンパク質のレベルを決定するために、種々の方法が使用される。一般に、これらの方法として、サンプル中のタンパク質レベルを評価するために、このタンパク質に選択的に結合する薬剤(例えば、抗体)をサンプルと接触させる工程を含む。好ましい実施形態において、この抗体は、検出可能な標識を有する。抗体は、ポリクローナル、またはより好ましくは、モノクローナルであり得る。インタクトな抗体、またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab’)2)が使用され得る。プローブまたは抗体に関して、用語「標識された」は、検出可能な物質をプローブまたは抗体にカップリングする(すなわち、物理的に連結する)ことによるプローブあるいは抗体の直接標識、および検出可能な物質との反応性によるプローブあるいは抗体の関節標識を含むことが意図される。検出可能な物質の例は、本明細書中に提供される。
この検出方法は、インビトロおよびインビボで生物学的サンプル中の7118タンパク質を検出するために使用され得る。7118タンパク質の検出のためのインビトロ技術としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降、免疫蛍光、酵素免疫アッセイ(EIA)、放射性免疫アッセイ(RIA)、およびウエスタンブロット解析が挙げられる。7118タンパク質の検出のためのインビボ技術としては、被験体中に標識化抗7118抗体を導入する技術が挙げられる。例えば、この抗体は、被験体中の存在および位置が標準的な画像化技術によって検出され得る放射活性マーカーで標識され得る。
別の実施形態において、この方法は、コントロールサンプルを7118タンパク質を検出し得る化合物あるいは薬剤と接触させ、そしてコントロールサンプル中の7118タンパク質の存在を、試験サンプル中の7118タンパク質の存在と比較する工程をさらに含む。
本発明はまた、生物学的サンプルにおける7118の存在を検出するためのキットを含む。例えば、このキットは、生物学的サンプル中の7118タンパク質または7118mRNAを検出し得る化合物または薬剤;および標準物質を備え得る。この化合物または薬剤は、適切な容器に充填され得る。このキットは7118タンパク質または核酸を検出するためにキットを使用するための指示書をさらに備え得る。
抗体ベースのキットに関して、このキットは、以下を備え得る:(1)本発明のマーカーに相当するポリペプチドに結合する(例えば、固体支持体に接着された)1次抗体、および、必要に応じて(2)ポリペプチドまたは1次抗体のいずれかに結合し、検出可能な薬剤に結合体化される異なる2次抗体。
オリゴヌクレオチドベースのキットに関して、このキットは、以下を備え得る:(1)本発明のマーカーに相当するポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド(例えば、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチド)、または(2)本発明のマーカーに相当する核酸分子を増幅するために有用なプライマーの対。このキットはまた、緩衝剤、防腐剤、またはタンパク質安定化剤を備え得る。このキットはまた、検出可能な薬剤(例えば、酵素または基質)を検出するために必要な構成要素を備え得る。このキットはまた、アッセイされ得、そして備えられた試験サンプルと比較され得る、コントロールサンプルまたは一連のコントロールサンプルを備え得る。このキットの各構成要素は、個々の容器内に封入され得、そして種々の容器は全て、このキットを使用して実施されるアッセイの結果を説明するための指示書とともに、単一の包装内であり得る。
本明細書中に記載される診断方法は、誤って発現された(misexpressed)か、または異常であるか、もしくは望まれない7118発現もしくは7118活性に関連する、疾患または障害を有するか、あるいはこれらの疾患または障害を発症する危険性のある被験体を同定し得る。本明細書中で使用される場合、用語「望まれない」は、生物学的応答(例えば、疼痛)または制御されていない(deregulated)細胞増殖に関与する望まれない現象を含む。
一つの実施形態において、異常であるか、または望まれない7118発現または7118活性に関連する疾患あるいは障害が同定される。試験サンプルが、被験体から得られ、そして7118タンパク質または核酸(例えば、mRNAまたはゲノムDNA)が評価される。ここで、7118タンパク質または7118核酸のレベル(例えば、存在または非存在)は、異常であるか、または望まれない7118発現もしくは7118活性に関連する疾患あるいは障害を有するか、あるいはこれらの疾患または障害を発生する危険性が高い被験体について診断的である。本明細書中で使用される場合、用語「試験サンプル」は、目的の被験体から得られる生物学的サンプル(生物学的流体(例えば、血清)、細胞サンプル、または組織を含む)をいう。
本明細書中に記載される予後アッセイは、被験体が、異常であるか、または望まれない7118発現もしくは7118活性に関連する疾患あるいは障害を処置するための薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子、または他の薬剤候補)を投与し得るかどうか決定するために使用され得る。例えば、このような方法は、被験体がアルギニン残基の異常なメチル化に対する薬剤で効果的に処置され得るかどうか決定するために使用され得る。
本発明の方法はまた、7118遺伝子における遺伝性変化を検出するために使用され得、それによって、変更された遺伝子を有する被験体が、7118タンパク質活性または核酸発現における誤調節(例えば、アルギニン残基の異常なメチル化)によって特徴付けられる障害の危険性があるか否かを決定する。好ましい実施形態において、この方法は、被験体由来のサンプルにおいて、7118タンパク質をコードする遺伝子の完全性に影響を及ぼす少なくとも1つの変化、または7118遺伝子の誤発現によって特徴付けられる、遺伝的変化の存在または非存在を検出する工程を包含する。例えば、このような遺伝的変化は、以下のうちの少なくとも1つの存在を確認することによって検出され得る:1)7118遺伝子からの1つ以上のヌクレオチドの欠失;2)7118遺伝子への1つ以上のヌクレオチドの付加;3)7118遺伝子の1つ以上のヌクレオチドの置換;4)7118遺伝子の染色体再配置;5)7118遺伝子のメッセンジャーRNA転写物のレベルにおける変化;6)ゲノムDNAのメチル化パターンのような、7118遺伝子の異常な改変;7)7118遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在;8)7118タンパク質の非野生型レベル;9)7118遺伝子の対立遺伝子欠失;および10)7118タンパク質の不適切な翻訳後修飾。
変化(alteration)は、ポリメラーゼ連鎖反応(例えば、アンカーPCRまたはRACE PCR)、または連結連鎖反応(LCR)において、プローブ/プライマーなしに検出され得、これらの後者は、7118遺伝子における点変異を検出するのに特に有用であり得る。この方法は、以下の工程を包含し得る:被験体から細胞のサンプルを収集する工程;サンプルから核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたはその両方)を単離する工程;ハイブリダイゼーションおよび7118遺伝子の増幅(存在する場合)が生じるような条件下で、核酸サンプルを、7118遺伝子に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーと接触させる工程;および増幅産物の存在または非存在を検出する工程;または増幅産物のサイズを検出する工程およびコントロールサンプルと長さを比較する工程。PCRおよび/またはLCRを本明細書中に記載される変異を検出するために使用される任意の技術と組み合わせて、予備増幅工程として使用することが所望され得ることが予測される。あるいは、本明細書中に記載されるかまたは当該分野で公知の他の増幅法が、使用され得る。
別の実施形態において、サンプル細胞由来の7118遺伝子中の変異が、制限酵素の切断パターンにおける変化を検出することによって同定され得る。例えば、サンプルDNAおよびコントロールDNAが単離され、(必要に応じて)増幅され、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼで消化され、フラグメント長サイズが、例えば、ゲル電気泳動によって決定され、そして比較される。サンプルDNAとコントロールDNAとの間のフラグメント長サイズの差異が、サンプルDNA中の変異を示す。さらに、配列特異的リボザイムの使用(例えば、米国特許第5,498,531号を参照のこと)は、リボザイム切断部位の発生または欠失による、特異的変異の存在についてのスコア付けのために使用され得る。
他の実施形態において、7118中の遺伝的変異が、サンプルおよびコントロール核酸(例えば、DNAまたはRNA)のハイブリダイゼーション、二次元アレイ(例えば、チップベースアレイ(chip based array)))によって同定され得る。このようなアレイは、複数のアドレスを含み、これらの各々は、互いに位置的に区別可能である。異なるプローブは、複数のアドレスの各々に配置される。このアレイは、高密度のアドレスを有し得る(例えば、数百または数千のオリゴヌクレオチドプローブを含み得る)(Croninら(1996)Human Mutation 7:244−255;Kozalら(1996)Nature Medicine 2:753−759)。例えば、7118における遺伝的変異は、Cronin,M.T.ら(前出)に記載されるような光生成DNAプローブを含む2次元アレイ中で同定され得る。簡単にいうと、プローブの第1ハイブリダイゼーションアレイは、連続的な重複プローブの線形アレイを作成することによって配列間の塩基変化を同定するために、サンプルおよびコントロール中のDNAの長いストレッチを走査するために使用され得る。この工程は、点変異の同定を可能にする。この工程の後、検出される全ての改変体または変異体に相補的な、より小さく、特定化されたプローブアレイを使用することによって、特定の変異の特徴付けを可能にする第2ハイブリダイゼーションアレイが続く。各変異アレイは、平行プローブセットから構成され、一方は、野生型遺伝子に相補的であり、そして他方は、変異遺伝子に相補的である。
なお別の実施形態において、当該分野で公知である任意の種々の配列決定反応は、7118遺伝子の直接的な配列決定および、サンプル7118の配列と、対応する野生型(コントロール)配列との比較による変異の検出に使用され得る。自動化配列決定手段は、診断アッセイ(Naeveら、(1995)Biotechniques 19:448−53)を実施する場合に利用され得、質量分析による配列決定を含む。
7118遺伝子における変異を検出するための他の方法としては、RNA/RNAまたはRNA/DNAヘテロ二重鎖中のミスマッチ塩基を検出するために切断剤からの保護が使用される方法が挙げられる(Myersら(1985)Science 230:1242;Cottonら(1988)Proc.Natl Acad Sci USA 85:4397;Saleebaら(1992)Methods Enzymol.217:286−295)。
なお別の実施形態において、このミスマッチ切断反応は、細胞のサンプルから得た7118cDNA中の点変異を検出およびマッピングするために規定された系において二重鎖DNA中のミスマッチ塩基対を認識する1つ以上のタンパク質(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)を使用する。例えば、E.coliのmutY酵素は、G/AミスマッチにおいてAを切断し、そしてHeLa細胞由来のチミジンDNAグリコシラーゼは、G/TミスマッチにおいてTを切断する(Hsuら(1994)Carcinogenesis 15:1657−1662;米国特許第5,459,039号)。
他の実施形態において、電気泳動度における変化は、7118遺伝子中の変異を同定するために使用される。例えば、単鎖コンフォメーション多型(SSCP)は、変異体核酸と野生型核酸との間の電気泳動移動度の差異を検出するために使用され得る(Oritaら(1989)Proc Natl.Acad.Sci USA:86:2766,Cotton(1993)Mutat.Res.285:125−144もまた参照のこと;およびHayashi(1992)Genet.Anal.Tech.Appl.9:73−79)。サンプルおよびコントロールの7118核酸の一本鎖DNAフラグメントは、変性されそして再編成される。一本鎖核酸の2次構造は、配列に従って変化し、電気泳動移動度において生じる変化は、単一の塩基変化の検出さえも可能にする。DNAフラグメントは、標識化プローブを用いて標識または検出され得る。このアッセイの感度は、(DNAよりもむしろ)RNAを使用することによって増強され得、ここで、2次構造は、配列における変化に対してより高感度である。好ましい実施形態において、本発明の方法は、電気泳動移動度における変化に基づいて二本鎖のヘテロ二重鎖分子を分離するためにヘテロ二重鎖分析を利用する(Keenら(1991)Trends Genet 7:5)。
なお別の実施形態において、変性剤の勾配を含むポリアクリルアミドゲルにおける変異体フラグメントまたは野生型フラグメントの移動は、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)を使用してアッセイされる(Myersら(1985)Nature 313:495)。分析法としてDGGEが使用される場合、DNAは、例えば、PCRによって約40bpの高融解性のGCリッチDNAのGCクランプを加えることによって完全に変性しないことを保証するために改変される。さらなる実施形態において、温度勾配は、コントロールおよびサンプルのDNAの移動度における差異を同定するために変性勾配の代わりに使用される(RosenbaumおよびReissner(1987)Biophys Chem 265:12753)。
点変異を検出するための他の技術の例としては、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長が挙げられるが、これらに限定されない(Saikiら(1986)Nature 324:163);Saikiら(1989)Proc.Natl Acad.Sci USA 86:6230)。
あるいは、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術は、本発明と組み合わせて使用され得る。特異的増幅のためのプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドは、分子の中心(そのために、増幅は差次的ハイブリダイゼーションに依存する)(Gibbsら(1989)Nucleic Acids Res.17:2437−2448)またはプライマーの最後の3’末端において目的の変異を保有し得、ここで、適切な条件下において、ミスマッチは、ポリメラーゼ伸長を防止し得るかまたは減少させ得る(Prossner(1993)Tibtech 11:238)。さらに、切断ベースの検出を作成するために変異の領域に新規の制限部位を導入することが所望され得る(Gaspariniら(1992)Mol.Cell Probes 6:1)。特定の実施形態において、増幅がまた、増幅のためのTaqリガーゼを使用して実施され得ることが予測される(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci USA 88:189−93)。このような場合において、連結は、5’配列の3’末端において完璧なマッチが存在する場合にのみ、生じ、この結合は、増幅の存在または非存在を探索することによって特定の部位における既知の変異の存在を検出することを可能にさせる。
本明細書中で記載される方法は、例えば、本明細書中に記載される少なくとも1つのプローブ核酸または抗体試薬を含む、予めパッケージングされた診断キットを利用することによって実行され得、これは、例えば、7118遺伝子を含む疾患または疾病の症状または家族の病歴を示す患者を診断するための臨床設定において、便利に使用され得る。
(代理マーカーとしての7118分子の使用)
本発明の7118分子はまた、障害もしくは疾患状態のマーカーとして、疾患状態の前駆体についてのマーカーとして、疾患状態の素因のためのマーカーとして、薬物活性のマーカーとして、または被験体の薬理ゲノム学的プロフィールのマーカーとして有用である。本明細書中に記載される方法を使用して、本発明の7118分子の存在、非存在および/または量が検出され得、そしてインビボでの1つ以上の生物学的状態と相関され得る。例えば、本発明の7118分子は、1つ以上の障害または疾患状態についての代理マーカーまたは疾患状態に至る状態についての代理マーカーとして作用し得る。本明細書中で使用される場合、「代理マーカー」は、疾患もしくは障害の非存在もしくは存在、または疾患もしくは障害の進行(例えば、腫瘍の存在または非存在)と相関する目的の生物学的マーカーである。このようなマーカーの存在または量は、疾患に依存しない。従って、これらのマーカーは、特定の処置経過が、疾患状態または障害の減少において有効であるか否かを示すために作用し得る。代理マーカーは、疾患状態もしくは障害の存在もしくは程度が、標準的な方法論により評価することが困難な場合(例えば、初期段階腫瘍)、または疾患進行の評価が、潜在的に危険な臨床的終点が達成される前に所望される場合に特に有用である(例えば、心臓血管疾患の評価が、代理マーカーとしてコレステロールレベルを使用してなされ得、そしてHIV感染の分析が、代理マーカーとしてHIV RNAレベルを使用してなされ得、心筋梗塞または十分に進行したAIDSの望ましくない臨床的結果の進行においても同様に)。当該分野における代理マーカーの使用の例としては、以下が挙げられる:Koomenら(2000)J.Mass.Spectrom.35:258−264;およびJames(1994)AIDS Treatment News Archive 209。
本発明の7118分子はまた、薬力学的マーカーとして有用である。本明細書中で使用される場合、「薬力学的マーカー」は、薬物の効果に特異的に関連する客観的な生化学的マーカーである。薬力学的マーカーの存在または量は、薬物が投与される疾患の状態または障害には関連せず、それ故、このマーカーの存在または量は、被験体における薬物の存在または活性を示す。例えば、薬力学的マーカーは、生物学的組織における薬物の濃度を示し得、この組織の中で、マーカーは、薬物のレベルに関連して、この組織の中で、発現するかもしくは転写されるか、または発現も転写もされないかのいずれかである。この様態において、薬物の分布または摂取は、薬力学的マーカーによってモニターされ得る。同様に、薬力学的マーカーの存在または量は、薬物の代謝生成物の存在または量に関連し得、その結果、マーカーの存在または量は、インビボでの薬物の相対的分解速度を示す。薬力学的マーカーは、薬物効果の検出の感度の増加において、特に薬物が低用量で投与される場合に、特に有益である。少量の薬物でさえ、マーカー(例えば7118マーカー)転写または発現を、複数回活性化するために十分であり得るので、増幅されたマーカーは、薬物そのものよりも容易に検出される量で存在し得る。また、マーカーは、マーカーそのものの性質に起因してより容易に検出され得;例えば、本明細書中に記載される方法を使用して、抗7118抗体は、7118タンパク質マーカーのための免疫ベースの検出系に使用され得るか、または7118特異的放射標識プローブは、7118 mRNAマーカーを検出するために使用され得る。さらに、薬力学的マーカーの使用は、直接観測が可能な範囲を超える薬物処置に起因する危険性の機構ベースの予測を提供し得る。当該分野における薬力学的マーカーの使用の例としては、Matsudaら、米国特許第6,033,862号;Hattisら、(1991)Env.Health Perspect.90:229−238;Schentag(1999)Am.J.Health−Syst.Pharm.56 補遺3:S21−S24;およびNicolau(1999)Am,J.Health−Syst.Pharm.56 補遺3:S16−S20が挙げられる。
本発明の7118分子はまた、薬理ゲノム学的マーカー(pharmacogenomic marker)として有用である。本明細書中で使用される場合、「薬理ゲノム学的マーカー」は、被験体における特定の臨床的薬物応答または薬物感受性と関連する客観的な生物学的マーカーである(例えば、McLeodら、(1999)Eur.J.Cancer 35:1650−1652を参照のこと)。薬理ゲノム学的マーカーの存在または量は、薬物の投与前に、特定の薬物または薬物のクラスに対して予測される被験体の応答に関連する。被験体における1つ以上の薬理ゲノム学的マーカーの存在または量を評価することによって、被験体に対して最も適切であり、またはより大きな成功の程度を有すると予測される薬物療法が、選択され得る。例えば、被験体における特定の腫瘍マーカーに対する、RNAまたはタンパク質(例えば、7118タンパク質またはRNA)の存在または量に基づいて、被験体中に存在する可能性のある特定の腫瘍の処置に対して最適化された、薬物または処置の過程が選択され得る。同様に、7118 DNAにおける特定の配列の変異の存在または非存在は、7118薬物応答に関連し得る。従って、薬理ゲノム学的マーカーの使用によって、治療を施与する必要なしに、各被験体に対して最も適切な治療の適用が可能になる。
(薬学的組成物)
本発明の核酸およびポリペプチド、これらのフラグメント、ならびに抗7118抗体(本明細書中では、「活性化合物」ともいわれる)は、薬学的組成物に組込まれ得る。このような組成物は、代表的には、核酸分子、タンパク質、または抗体および薬学的に受容可能なキャリアを包含する。本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学的投与と適合する、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。補充活性化合物はまた、組成物に組込まれ得る。
薬学的組成物は、その意図される投与の経路に適合するように処方される。投与経路の例としては、非経口投与(例えば、静脈投与)、皮内投与、皮下投与、経口(例えば、吸入)投与、経皮(局所的)投与、経粘膜投与、および直腸投与が挙げられる。非経口適用、皮内適用、または皮下適用に使用される溶液または懸濁物は、以下の成分を含み得る:滅菌希釈液(例えば、注射用の水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒);抗菌剤(例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム);キレート剤(例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸);緩衝液(例えば、酢酸、クエン酸またはリン酸)および張度の調整のための薬剤(例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース)。pHは、酸または塩基(例えば、塩酸または水酸化ナトリウム)で調整され得る。非経口調製物は、アンプル、使い捨てシリンジまたはガラスもしくはプラスチック製の複数用量バイアル中に封入され得る。
注射用途に適する薬学的組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または滅菌分散物および滅菌注射可能な溶液または分散物の即席調製のための滅菌粉末を含む。静脈内投与について、適切なキャリアは、生理学的食塩水、静菌性水、Cremophor ELTM(BASF,Parsippany,NJ)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を含む。全ての場合において、組成物は、滅菌状態でなければならず、容易に注射可能である程度の流体であるべきである。この組成物は、製造および貯蔵の状態下で安定であるべきであり、細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して保存されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびこれらの適切な混合物を含む溶媒または分散剤であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用、分散物の場合、必要な粒子径の維持および界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロザールなど)によって達成され得る。多くの場合、等張剤(例えば、糖、ポリアルコール(例えば、マンニトール(manitol)、ソルビトール)、塩化ナトリウム)を組成物中に含むことが好ましい。注射可能な組成物の長期の吸収は、吸収を遅らせる薬剤(例えば、ステアリン酸モノアルミニウムおよびゼラチン)を組成物中に含有することによって、引き起こされる。
滅菌注射可能な溶液は、上に列挙される成分の1つまたは組み合わせを含む適切な溶媒中に、必要な量で活性な化合物を組込むことによって(必要な場合、その後、濾過滅菌することによって)調製され得る。一般的に、分散物は、基本分散剤および上に列挙される成分からの他に必要とされる成分を含有する安定なビヒクルに、活性な化合物を組込むことによって調製される。滅菌注入可能な溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これらは、前に濾過滅菌されたその溶液から、活性な成分および任意のさらに所望される成分の粉末を得る。
経口組成物は、一般的に、不活性希釈物または食用キャリアを含む。経口治療投与の目的について、活性な化合物は、賦形剤に組込まれ、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤(例えば、ゼラチンカプセル剤)の形態で使用され得る。経口組成物はまた、うがい薬としての用途のための流体キャリアを使用して、調製され得る。薬学的に適合可能な結合剤および/またはアジュバント物質は、組成物の一部として含有され得る。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分または類似した性質の化合物のいずれかを含み得る:結合剤(例えば、微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン);賦形剤(例えば、スターチまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸)、Primogel、またはコーンスターチ;潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはSterote);流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味料(例えば、スクロースまたはサッカリン);あるいは香料(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、または、オレンジ香料。
吸入による投与について、化合物は、加圧された容器またはディスペンサーからエアロゾルスプレーの形態で送達され、これは適切な噴射体(例えば、二酸化炭素のような気体)、または噴霧器を備える。
全身投与はまた、経粘膜的手段または経皮的手段によってであり得る。経粘膜的投与または経皮的投与について、浸透されるべき障害に適切な浸透剤は、処方物において使用される。このような浸透剤は、一般的に当該分野で公知であり、例えば、経皮的投与のための界面活性剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜的投与は、鼻スプレーまたは坐剤の使用を介して達成され得る。経皮的投与について、活性な化合物は、当該分野で一般的に公知のものとして、軟膏(ointment)、軟膏剤(salve)、ゲル、またはクリーム中に処方される。
化合物はまた、直腸送達のための坐剤(例えば、従来の坐剤基剤(例えば、ココアバターおよび他のグリセリド)を有する)または停留浣腸の形態で投与され得る。
1つの実施形態において、活性な化合物は、キャリアと共に調製され、このキャリアは、身体からの迅速な除去に対して化合物を保護し、例えば、徐放性処方物(移植片および微小カプセル化送達系を含む)である。生体分解性、生体適合性ポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸)が、使用され得る。このような処方物の調製方法は、当業者に明らかである。これらの材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から市販入手され得る。リポソーム懸濁物(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を有する感染細胞に対して標的化されたリポソームを含む)はまた、薬学的受容可能なキャリアとして使用され得る。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるような、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
投与の容易さおよび投与用量の一様性のために、投与単位形態での経口的組成物または非経口的組成物を処方することは有利である。本明細書中で使用される場合、投与単位形態は、処置される被験体に対する単一投与量として適切な、物理的に別個の単位をいい;各単位は、必要な薬学的なキャリアに関連する所望の治療効果を生成するように計算された所定の量の活性な化合物を含む。
このような化合物の毒性および治療効率は、例えば、LD50(集団の50%において致死である用量)およびED50(集団の50%における治療有効用量)を決定することについて、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、そしてこの比は、比LD50/ED50として示され得る。高い治療指数を示す化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合物が使用され得る一方で、非感染細胞に対する潜在的な傷害を最小化するための罹患組織の部位にこのような化合物を標的化する送達システムを設計するために配慮し、それによって副作用を減少するべきである。
細胞培養物アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける用途のための投与量範囲を処方することにおいて使用され得る。このような化合物の投与量は、好ましくは、毒性がほとんどかまたは全く有さずに、ED50を含む循環濃度の範囲内に入る。用量は、使用される用量形態および使用される投与経路に依存して、この範囲内で変化し得る。本発明の方法において使用される任意の化合物について、治療有効用量は、最初に細胞培養アッセイから見積もられ得る。用量は、動物モデルにおいて処方され得、細胞培養物において決定されるIC50(すなわち、症状の最高阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成する。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用され得る。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
本明細書中に定義される場合、治療有効量のタンパク質またはポリペプチド(すなわち、有効投与量)は、約0.001〜30mg/体重1kg、好ましくは約0.01〜25mg/体重1kg、より好ましくは約0.1〜20mg/体重1kg、およびさらにより好ましくは約1〜10mg/体重1kg、2〜9mg/体重1kg、3〜8mg/体重1kg、4〜7mg/体重1kg、または5〜6mg/体重1kgの範囲にある。このタンパク質またはポリペプチドは、1週間に1回、約1〜10週間の間、好ましくは2〜8週間の間、より好ましくは約3〜7週間、およびさらにより好ましくは約4、5または6週間投与され得る。当業者は、特定の因子が、効率的に被験体を処置するために必要な投与量およびタイミングに影響し得、これらの因子としては、疾患または障害の重篤度、以前の処置、一般的な健康状態および/または被験体の年齢、および他に存在する疾患が挙げられるがこれらに限定されないことが理解される。さらに、治療有効量のタンパク質、ポリペプチド、または抗体(本明細書中に記載されるような非結合体化抗体または結合体化抗体)での被験体の処置は、単一処置を含み得るか、または好ましくは、一連の処置を含み得る。
抗体について、好ましい投与量は、0.1mg/体重1kg(一般的に、10mg/kg〜20mg/kg)である。抗体が脳において作用する場合、50mg/kg〜100mg/kgの投与量が、通常好ましい。一般的に、部分的なヒト抗体および完全なヒト抗体は、人体内で他の抗体より長い半減期を有する。従って、より低い投与量およびより少ない投与頻度は、しばしば可能である。改変(例えば、脂質化)は、抗体を安定化させ、そして取り込みおよび組織貫通(例えば、脳への)を強化するために使用され得る。抗体の脂質化のための方法は、Cruikshankら、((1997)J.Acquired Immune Deficiency Syndromes and Human Retrovirology 14:193)によって記載される。
本発明は、発現または活性を調節する薬剤を包含する。薬剤は、例えば低分子であり得る。例えば、このような低分子としては、ペプチド、ペプチド模倣物(例えば、ペプトイド)、アミノ酸、アミノ酸類似物、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類似物、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似物、1モル当たり約10,000gより低い分子量を有する有機化合物または無機化合物(すなわち、ヘテロ有機化合物および有機金属化合物を含む)、1モル当たり約5,000gより低い分子量を有する有機化合物または無機化合物、1モル当たり約5,000gより低い分子量を有する有機化合物または無機化合物、1モル当たり約1,000gより低い分子量を有する有機化合物または無機化合物、1モル当たり約500gより低い分子量を有する有機化合物または無機化合物、ならびにこのような化合物の塩、エステル、および他の薬学的に受容可能な形態が挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な用量は、被験体1kgまたはサンプル1kg当たりの低分子のミリグラムまたはマイクログラム量を含む(例えば、約1μg/kg〜約500mg/kg、約100μg/kg〜約5mg/kg、または約1μg〜約50μg/kg)。さらに、低分子の適切な用量は、調節されるべき発現または活性という点で低分子の有効性に依存する。1つ以上のこれらの低分子が本発明のポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調節するために動物(例えば、ヒト)に投与される場合、医師、獣医師、または研究者は、例えば、まず相対的に低い用量を、続いて適切な応答が得られるまで漸増量の用量を処方し得る。さらに、任意の特定の動物被験体に対する特定の用量レベルが、使用される特定の化合物の活性、被験体の年齢、体重、一般的健康状態、性別、および食事、投与時間、投与経路、***速度、任意の薬物の組み合わせ、ならびに調節されるべき発現または活性の程度を含む種々の因子に依存することが理解される。
本発明の核酸分子は、ベクターに挿入され、遺伝子治療ベクターとして使用され得る。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈注射、局所投与(米国特許第5,328,470号を参照のこと)または定位注射(例えば、Chenら、(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057を参照のこと)によって、被験体に送達され得る。遺伝子治療ベクターの薬学的調製物は、受容可能な希釈剤中に遺伝子治療ベクターを含み得るか、または遺伝子送達ビヒクルが埋め込まれる徐放マトリクスを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが組換え細胞(例えば、レトロウイルスベクター)からインタクトで産生され得る場合、薬学的調製物は、遺伝子送達系を産生する1つ以上の細胞を含み得る。
薬学的組成物は、投与のための指示書と共に容器、パック、またはディスペンサー中に含まれ得る。
(治療方法)
本発明は、障害の危険性(またはそれに対して感受性である)被験体あるいは異常型または望まれない7118の発現または活性に関連する障害を有する被験体を処置する予防法および治療法の両方を提供する。本明細書中に使用される場合、用語「処置」は、患者に対する治療剤の適用または投与、患者から単離された組織または細胞株に対する治療剤の適用または投与として定義され、この患者は、疾患、疾患の症状または疾患に対する素因を有し、この目的は、疾患、疾患の症状または疾患に対する素因を、治療、回復、緩和、軽減、改変、矯正、改善、好転または作用することである。治療剤としては、低分子、ペプチド、抗体、リボザイムおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。
処置の予防法および治療法の両方に関して、このような処置は、薬理ゲノム学の分野から得られる知識に基づいて、具体的に合わせられるかまたは改変され得る。本明細書中で使用される場合、「薬理ゲノム学」は、ゲノム技術(例えば、遺伝子配列決定)、統計遺伝学、および臨床的開発および市場においての薬物に対する遺伝子発現分析の適用をいう。より具体的には、この用語は、患者の遺伝子が薬物に対する彼または彼女の応答(例えば、患者の「薬物応答表現型」または「薬物応答遺伝子型」)をどのように決定するかの研究をいう。従って、本発明の別の局面は、個体の薬物応答遺伝子型に従う、本発明の7118分子または7118調節因子のいずれかでの個々の予防処置または治療処置を調整するための方法を提供する。薬理ゲノム学は、臨床医または医師が、最も治療の恩恵を受ける患者に対する予防処置または治療処置を導き得、そして毒性薬物関連副作用を受ける患者の処置を避け得るようにする。
1つの局面において、本発明は、7118または7118発現もしくは少なくとも1つの7118活性を調節する薬剤を被験体に投与することによって、被験体における異常なまたは望まれない7118の発現または活性に関連する疾患または状態を予防する方法を提供する。異常なまたは望まれない7118の発現または活性によって引き起こされるまたはそれに起因する疾患に対する危険性にある被験体は、例えば、本明細書中に記載されるような診断アッセイまたは予後アッセイのいずれかまたは組み合わせによって同定され得る。予防剤の投与は、7118異常型の症状特性の発症の前に生じ、その結果、疾患または障害は、予防されるか、あるいは、その進行が遅延される。7118の異常型(例えば、7118、7118アゴニストまたは7118アンタゴニスト薬剤)の型に依存することは、被験体を処置するために使用され得る。適切な薬剤は、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイに基づいて決定され得る。
いくつかの7118障害は、異常なレベルの遺伝子産物または異常な活性を示す遺伝子産物の存在によって、少なくとも部分的に引き起こされ得ることが可能である。そういうものとして、このような遺伝子産物のレベルおよび/または活性の減少は、障害の症状の改善を引き起こす。
7118分子は、1つ以上の免疫障害(例えば、炎症障害)、細胞増殖障害および/または細胞分化障害および血液学的障害(これらは全て、上で記載される)を制御するための、新規な診断標的および治療剤として作用し得る。本発明の分子はまた、骨代謝に関連する障害、内皮細胞障害、肝臓障害、ウイルス性疾患、疼痛障害、および代謝障害の1つ以上を制御するための新規な診断標的および治療剤として作用し得る。
7118分子の異常な発現および/または活性は、骨代謝に関連する障害を媒介し得る。「骨代謝」は、骨の構造の形成または変性(例えば、骨形成、骨吸収など)における直接または間接の効果をいい、これは、カルシウムおよびリン酸の血清中の濃度に対して最終的に影響し得る。この用語はまた、骨細胞(例えば、破骨細胞および骨芽細胞)中の7118分子によって媒介される活性を含み、この活性は、次いで、骨形成および骨変性を生じ得る。例えば、7118分子は、骨吸収性破骨細胞の異なる活性(単球および単核食細胞の破骨細胞への分化の刺激)を支持し得る。従って、骨細胞の産生を調節する7118分子は、骨形成および骨変性に影響し得、従って、骨障害を処置するために使用され得る。このような障害の例としては、骨粗鬆症、骨形成異常症、骨軟化症、くる病、嚢胞性線維性骨炎、腎性骨形成異常症、骨硬化症、抗痙攣処置、骨減少症、線維形成不全骨(fibrogenesis imperfecta ossium)、続発性上皮小体機能亢進症(secondary hyperparathyrodism)、上皮小体機能低下症、上皮小体機能亢進症、肝硬変症、閉塞性黄疸、薬物誘導代謝、髄様癌、慢性腎性疾患、くる病、サルコイドーシス、グルココルチコイド拮抗作用、吸収不良症候群、脂肪便、熱帯性スプルー、特発性高カルシウム血症および授乳熱が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書中で用いられる場合、心臓に関与する障害、すなわち、「心血管疾患」または「心血管障害」は、心血管系(例えば、心臓、血管、および/または血液)に影響を与える、疾患または障害を包含する。心血管障害は、動脈圧力における不均等、心臓の機能不全、または(例えば、血栓による)血管の閉塞によって引き起こされ得る。心血管障害としては、例えば、以下のような障害が挙げられるがこれらに限定されない:動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、心肥大、虚血再灌流障害、再狭窄、動脈炎症、血管壁再形成、心室再形成、迅速心室ペーシング、冠状微小塞栓症、頻脈、徐脈、圧力過剰負荷、大動脈屈曲、冠状動脈結紮、脈管心臓病、弁の疾患(カルシウム沈着によって引き起こされる弁の変性、リウマチ性心疾患、心内膜炎、または人工弁の合併症が挙げられるがこれらに限定されない);心房性細動、長QT症候群(long−QT syndrome)、うっ血性心不全、洞房結節機能不全(sinus node dysfunction)、アンギナ、心不全、高血圧、心房性細動、心房粗動、心膜疾患(心内膜液浸出および心膜炎が挙げられるがこれらに限定されない);心筋症(例えば、拡張型心筋症または特発性心筋症)、心筋梗塞、冠状動脈疾患、冠状動脈痙攣、虚血性疾患、不整脈、突然の心臓死、および心血管発達障害(例えば、動静脈先天異常、動静脈瘻、レーノー症候群、神経性胸郭出口症候群、カウザルギー/反射***感神経性ジストロフィー、血管腫、動脈瘤、海綿状様血管腫、大動脈弁狭窄、心房中隔欠損症、房室管、大動脈の縮窄、エブスタイン奇形、左心室発育不全症候群、大動脈弓の中断、僧帽弁逸脱、動脈管、開存性卵円孔、部分肺静脈還流異常(partial anomalous pulmonary venous return)、心室中隔欠損を伴う肺動脈弁閉鎖、心室中隔欠損を伴わない肺動脈弁閉鎖、胎児循環の存続、肺動脈弁狭窄、単心室、総肺静脈還流異常、大血管転位、三尖弁閉鎖、総動脈幹、心室中隔欠損)。心血管疾患または心血管障害はまた、内皮細胞障害を包含し得る。
本明細書中で使用される場合、「内皮細胞障害」としては、異常であるか、制御されないか、または所望されない内皮細胞活性(例えば、増殖、遊走、新脈管形成、または血管新生);あるいは細胞表面接着分子または新脈管形成と関連した遺伝子(例えば、TIE−2、FLTおよびFLK)の異常な発現によって特徴付けられる障害が挙げられる。内皮細胞障害としては、腫瘍形成、腫瘍転移、乾癬、糖尿病性網膜症、子宮内膜症、グレーヴズ疾患、虚血性疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症)、および慢性炎症疾患(例えば、慢性関節リウマチ)が挙げられる。
本明細書中に記載される方法によって処置または診断され得る障害としては、肝臓線維組織における蓄積に関連する障害(例えば、先在する線維の崩壊および凝縮に伴う細胞外マトリクスの産生と分解との間の不均衡から生じる障害)が挙げられるがこれに限定されない。本明細書中に記載される方法は、広範な種々の薬剤によって誘導される肝細胞壊死または損傷(恒常性を乱すプロセス(例えば、炎症プロセス、毒性傷害または変更された肝血流から生じる組織損傷)、および感染(例えば、細菌感染、ウイルス感染および寄生生物感染)を含む)を診断または処置するために使用され得る。例えば、本方法は、肝損傷(例えば、門脈圧亢進症または肝性線維症)の早期の検出のために使用され得る。さらに、本方法は、先天性代謝異常に起因する肝性線維症(例えば、ゴシェ病(脂質異常性)または糖原病、A1アンチトリプシン欠損症のような貯蔵障害から生じる線維症;外因性物質の蓄積(例えば、貯蔵)を媒介する障害(例えば、ヘモクロマトーシス(鉄過剰症候群)および銅貯蔵疾患(ウィルソン病)、毒性代謝産物の蓄積を生じる障害(例えば、チロシン血症、果糖血症およびガラクトース血症)およびペルオキシソームの障害(例えば、ツェルベーガー症候群)))を検出するために使用され得る。さらに、本明細書中に記載される方法は、種々の化学物質または薬物(例えば、メトトレキサート、イソニアジド(isonizaid)、オキシフェニサチン、メチルドパ、クロルプロマジン、トルブタミドまたはアルコール)の投与に関連するか、または、これは、脈管障害の肝性発現(例えば、肝臓内胆汁流または肝臓外胆汁流のいずれかの閉塞、あるいは例えば、慢性心不全、肝静脈閉塞病、門脈血栓症またはバッド−キアーリ症候群から生じる肝性循環の変化)を示す肝臓傷害の早期検出および処置のために有用であり得る。
さらに、7118分子は、特定のウイルス疾患の病因において重要な役割を果たし得、この病因としては、B型肝炎、C型肝炎および単純疱疹ウイルス(HSV)が挙げられるがこれらに限定されない。7118活性の調節因子は、ウイルス疾患を制御するために使用され得る。調節因子は、ウイルス感染組織またはウイルス関連組織線維症(特に、肝臓および肝臓線維症)の処置および/または診断において使用され得る。また、7118調節因子は、ウイルス関連癌(特に、肝細胞癌)の処置および/診断において使用され得る。
さらに、7118は、代謝または疼痛障害の調節において重要な役割を果たし得る。代謝不均衡の疾患としては、肥満、神経性食欲不振、悪液質、脂質障害、および糖尿病が挙げられるがこれらに限定されない。疼痛障害の例としては、通常、痛覚過敏として言及される、種々の形態の組織傷害(例えば、炎症、感染、および虚血)の間に誘発される疼痛応答(例えば、Fields,H.L.(1987)Pain,New York:McGraw−Hillに記載される);筋骨格障害に関連する疼痛(例えば、関節痛;歯の疼痛;頭痛);手術に関連する疼痛;過敏な腸症候群に関連する疼痛;または胸部疼痛が挙げられるが、これらに限定されない。
議論されるように、7118障害の首尾よい処置は、標的遺伝子産物の発現または活性を阻害する役目を果たす技術によって、もたらされ得る。例えば、ネガティブな調節性活性を示すことが証明されている化合物(例えば、上記のアッセイを使用して同定される因子)が、本発明に従って使用され、7118障害の症状を予防および/または回復し得る。このような分子としては、以下が挙げられ得るがこれらに限定されない:ペプチド、ホスホペプチド、有機低分子または無機低分子、あるいは抗体(例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗イディオタイプ抗体、キメラ抗体、または単鎖抗体、ならびにFab、F(ab’)2およびFab発現ライブラリーフラグメント、scFV分子、ならびにそれらのエピトープ結合フラグメントを含む)。
さらに、標的遺伝子の発現を阻害するアンチセンス分子およびリボザイム分子もまた、本発明に従って使用され、標的遺伝子発現レベルを低下させ得、それによって、標的遺伝子活性レベルは、効果的に減少される。なおさらに、三重らせん分子が、標的遺伝子活性レベルを低下させる際に利用され得る。アンチセンス分子、リボザイム分子および三重らせん分子は、上で議論されている。
変異体遺伝子発現を低下または阻害するための、アンチセンス分子、リボザイム分子および/または三重らせん分子の使用もまた、正常な標的遺伝子の対立遺伝子によって産生されるmRNAの転写(三重らせん)および/または翻訳(アンチセンス、リボザイム)を低下または阻害し得、その結果、存在する正常な標的遺伝子産物の濃度が、正常な表現型で必要とされる濃度よりも低くあり得る可能性がある。このような場合、正常な標的遺伝子活性を示す標的遺伝子ポリペプチドをコードおよび発現する核酸分子は、遺伝子治療法によって、細胞に導入され得る。あるいは、この標的遺伝子が細胞外タンパク質をコードする例において、正常な標的遺伝子タンパク質を、細胞または組織に同時に投与して、必要な細胞活性レベルまたは組織標的遺伝子活性レベルを維持することが、好ましくあり得る。
核酸分子が、7118発現によって特徴付けられる疾患を処置または予防する際に利用され得る別の方法は、7118タンパク質に特異的なアプトマー分子の使用を介する。アプトマーは、三次構造を有する核酸分子であり、これは、タンパク質リガンドに特異的または選択的に結合し得る(例えば、Osborneら、(1997)Curr.Opin.Chem Biol.1:5−9;およびPatel(1997)Curr Opin Chem Biol 1:32−46を参照のこと)。核酸分子は、多くの場合において、治療タンパク質分子が標的細胞に導入されるよりも、より簡便に標的細胞に導入されるので、アプトマーは、多能性効果を有し得る薬物または他の分子を導入することなく、7118タンパク質活性が特異的に低下し得る方法を提供する。
標的遺伝子産物に特異的であり、かつ標的遺伝子産物活性を低下させる抗体が、作製され得る。従って、このような抗体は、ネガティブな調節技術が、7118障害の処置に適している場合に投与され得る。抗体の記載については、上記の抗体の節を参照のこと。
抗体産生を刺激するために、7118タンパク質または7118エピトープで、動物またはヒト被験体を注射することが、被験体に対して有害である環境下において、抗イディオタイプ抗体の使用によって、7118に対する免疫応答を生じさせることが可能である(例えば、Herlyn(1999)Ann Med 31:66−78;ならびにBhattacharya−ChatterjeeおよびFoon(1998)Cancer Treat Res.94:51−68を参照のこと)。抗イディオタイプ抗体が哺乳動物またはヒト被験体に導入される場合、7118タンパク質に特異的であるべき、抗−抗イディオタイプ抗体の産生が刺激されるはずである。7118発現によって特徴付けられる疾患に対するワクチンもまた、この様式で作製され得る。
標的抗原が細胞内であり、かつ全抗体が使用される例において、内部移行抗体が好ましくあり得る。リポフェクチンまたはリポソームを使用して、標的抗原を細胞内に結合するFab領域の抗体またはフラグメントを送達し得る。抗体のフラグメントが使用される場合、標的抗原に結合する最小の阻害性フラグメントが、好ましい。例えば、抗体のFv領域に対応するアミノ酸配列を有するペプチドが、使用され得る。あるいは、細胞内標的抗原に結合する一本鎖中和抗体もまた、投与され得る。このような一本鎖抗体は、例えば、標的細胞集団内の一本鎖抗体をコードするヌクレオチド配列を発現させることによって、投与され得る(例えば、Marascoら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:7889−7893を参照のこと)。
標的遺伝子発現、合成および/または活性を阻害する、同定された化合物は、7118障害を予防、処置または回復するのに治療学的に有効な用量で、患者に投与され得る。治療学的に有効な用量とは、その障害の症状を回復させるのに十分な、化合物の量をいう。このような化合物の毒性および治療効果は、上記のような標準的な薬理学的手順によって、決定され得る。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のための投薬量範囲を処方する際に、使用され得る。このような化合物の投薬量は、好ましくは、毒性をほとんど有さないかまたは全く有さないED50を含む循環濃度範囲内にある。投薬量は、用いられる投薬形態および用いられる投与経路に依存して、この範囲内で変化し得る。本発明の方法において使用される任意の化合物について、治療学的に有効な用量は、細胞培養アッセイから、最初に確立され得る。用量は、動物モデルにおいて処方され得、細胞培養物中で決定されるようなIC50(すなわち、症状の最大半減阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環プラスマ濃度範囲に達する。このような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定し得る。プラズマレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって、測定され得る。
個体に対する有効な用量を決定する別の例は、試験被験体の血清中の「遊離」化合物および「結合」化合物のレベルを直接的にアッセイする能力である。このようなアッセイは、分子のインプリンティング技術によって作製される抗体模倣物および/または「バイオセンサ」を使用し得る。7118活性を調節し得る化合物は、テンプレート、または「インプリンティング分子」として使用され、この化合物の触媒試薬との重合化の前に、重合可能なモノマーを空間的に組織化する。インプリントされた分子のその後の除去は、化合物の繰り返し「ネガ(negative image)」を含むポリマーマトリクスを残し、そして生物学的アッセイ条件下で、分子に選択的に再結合することができる。この技術の詳細な総説は、Ansellら(1996)Current Opinion in Biotechnology 7:89−94およびShea(1994)Trends in Polymer Science 2:166−173において参照され得る。このような「インプリントされた」アフィニティーマトリクスは、リガンド結合アッセイに適合し、これによって、固定化モノクローナル抗体の構成要素は、適切にインプリントされたマトリクスによって置き換えられる。この方法における、このようなマトリクスの使用の例は、Vlatakisら(1993)Nature 361:645−647において参照され得る。同位体標識の使用によって、7118の発現または活性を調節する化合物の「遊離」濃度は、容易にモニタリングされ得、そしてIC50の算出に使用され得る。
このような「インプリントされた」アフィニティーマトリクスはまた、光子放射特性が標的化合物の局在性および選択的結合によって測定可能に変化する蛍光群を含むように設計され得る。これらの変化は、適切な光ファイバーデバイスを使用し、次いで、試験被験体における用量を、その個々のIC50に基づいて迅速に最適化することによって、実時間で容易にアッセイされ得る。このような「バイオセンサ」の基本的な例は、Krizら(1995)Analytical Chemistry 67:2142−2144において議論されている。
本発明の別の局面は、治療目的のための、7118発現または活性を調節する方法に関する。従って、例示的な実施形態において、本発明の調節方法は、細胞を、7118またはこの細胞に関連する7118タンパク質活性の1つ以上の活性を調節する因子と接触させる工程を包含する。7118タンパク質活性を調節する因子は、本明細書中に記載されるような因子(例えば、核酸またはタンパク質、7118タンパク質の天然に存在する標的分子(例えば、7118基質またはレセプター)、7118抗体、7118アゴニスまたはアンタゴニスト、7118アゴニストもしくはアンタゴニストのペプチド模倣物、もしくは他の低分子)であり得る。
1つの実施形態において、この因子は、1つ以上の7118活性を刺激する。このような刺激性因子の例としては、活性な7118タンパク質および7118をコードする核酸分子が挙げられる。別の実施形態において、この因子は、1つ以上の7118活性を阻害する。このような阻害因子の例としては、アンチセンス7118核酸分子、抗7118抗体、および7118インヒビターが挙げられる。これらの調節方法は、インビトロにおいてか(例えば、この因子とともに細胞を培養することによって)、またはインビボにおいて(例えば、この因子を被験体に投与することによって)行われ得る。このように、本発明は、7118タンパク質または核酸分子の、異常なまたは望ましくない発現または活性によって特徴付けられる疾患または障害に罹患している個体を処置する方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は、因子(例えば、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイによって同定される因子)、または7118発現もしくは活性を調節する(例えば、アップレギュレートするかまたはダウンレギュレートする)因子の組み合わせを投与する工程を包含する。別の実施形態において、この方法は、7118タンパク質または核酸分子を、低下した、異常なまたは望ましくない7118発現または活性を補償する治療として、投与する工程を包含する。
7118活性の刺激は、7118が異常にダウンレギュレートする状況、および/または7118活性の増加が有利な効果を有するようである状況において、望ましい。例えば、7118活性の刺激は、7118がダウンレギュレートする状況、および/または7118活性の増加が有利な効果を有するようである状況において、望ましい。同様に、7118活性の阻害は、7118が異常にアップレギュレートする状況、および/または7118活性の低下が有利な効果を有するようである状況において、望ましい。
(薬理ゲノム学(pharmacogenomics))
本発明の7118分子、および因子、または本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイによって同定されるような、7118活性(例えば、7118遺伝子発現)に対する刺激効果もしくは阻害効果を有するモジュレーターは、異常な7118活性または望ましくない7118活性に関連する障害(例えば、アルギニン残基の異常なメチル化または不完全なメチル化)に関連する7118を(予防的にかまたは治療的に)処置するために、個体に投与され得る。このような処置とともに、薬理ゲノム学(すなわち、個体の遺伝子型と、外来性化合物もしくは薬物に対するその個体の応答との間の関係の研究)が、考慮され得る。治療の代謝における差異は、薬理学的に活性な薬物の用量と血液濃度との間の関係を変更することによって、毒性または治療不全を与えるように導き得る。従って、医師または臨床医は、7118分子または7118モジュレーターを投与するか否かを決定し、そして7118分子または7118モジュレーターでの処置における、投薬量および/または治療レジメンを変更する際に、等価な薬理ゲノム学研究において得られた知識を考慮し得る。
薬理ゲノム学は、変更された薬物配置および罹患した個人の異常な活性に起因する薬物に対する応答における、臨床学的に有意な遺伝的変異を処置する。例えば、Eichelbaumら、(1996)Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.23:983−985およびLinderら、(1997)Clin.Chem.43:254−266を参照のこと。一般に、2つの型の薬理ゲノム学条件は、異なり得る。遺伝的条件は、薬物が身体に作用する様式を変更する(変更された薬物作用)単一因子として普及したか、または遺伝的条件は、身体が薬物に作用する様式を変更する(変更された薬物代謝)単一因子として普及した。これらの薬理ゲノム学条件は、稀なゲノム欠損としてかまたは天然に存在する多型としてかの、いずれかとして生じ得る。例えば、グルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ欠損(G6PD)は、一般的な遺伝性酵素病であり、ここで、主な臨床学的合併症は、酸化薬剤(抗マラリア薬、スルホンアミド、鎮痛薬、ニトロフラン)の摂取およびソラマメの消費後の溶血である。
「ゲノムワイドアソシエーション(genome−wide association)」として知られている、薬物応答を予測する遺伝子を同定するための、1つの薬理ゲノム学アプローチは、すでに知られているゲノム関連マーカー(例えば、「二座対立遺伝子」ゲノムマーカーマップ(これは、60,000〜100,000の多型またはヒトゲノム上の可変性部位からなり、これらの各々が、2つの改変体を有する))からなるヒトゲノムの高解像度マップに、主に依存する。このような高解像度ゲノムマップは、特定の観察された薬物応答または副作用に関連したマーカーを同定するために、第II期/第III期の薬物試行に参加した統計学的に有意な数の患者の各々のゲノムのマップと比較され得る。あるいは、このような高解像度マップは、ヒトゲノムにおいて、数憶の公知の一塩基多型(SNP)の組み合わせから生じ得る。本明細書中で使用される場合、「SNP」は、DNAの伸張において、単一ヌクレオチド塩基において生じる一般的な変更である。例えば、SNPは、DNAの1000塩基毎に1回起こる。SNPは、疾患プロセスに関与し得るが、大部分は、疾患に関連し得ない。このようなSNPの発生に基づくゲノムマップが与えられると、個体は、個々のゲノムにおいて、SNPの特定のパターンに依存して、ゲノムのカテゴリーに分類され得る。このような様式において、処置レジメンは、ゲノム学的に類似の個体の間で共通であり得る特性を考慮して、このようなゲノム学的に類似の個体の群に対して変更され得る。
あるいは、「候補遺伝子アプローチ」と呼ばれる方法は、薬物応答を予測する遺伝子を同定するために用いられ得る。この方法に従って、薬物の標的をコードする遺伝子が既知である場合(例えば、本発明の7118タンパク質)、その遺伝子の全ての共通の改変体は、その集団においてかなり容易に同定され得、そして別の遺伝子バージョンに対する1つの遺伝子バージョンが特定の応答に関連するか否かが決定され得る。
あるいは、「遺伝子発現プロファイリング」と呼ばれる方法が、薬物応答を予測する遺伝子を同定するために用いられ得る。例えば、薬物(例えば、本発明の7118分子または7118モジュレーター)を投薬された動物の遺伝子発現は、毒性に関連する遺伝子経路が変化するか否かの指標を与え得る。
1より多い上記薬理ゲノム学アプローチから得られる情報を使用して、個体の予防的処置または治療的処置のための、適切な投薬量および処置レジメンを決定し得る。この知識は、投薬または薬物選択に適用される場合、有害反応または治療不全を回避し得、それによって、7118分子または7118モジュレーター(例えば、本明細書中に記載される例示的なスクリーニングアッセイのうちの1つによって同定されるモジュレーター)で被験体を処置する場合、治療効果または予防効果を増強させる。
本発明はさらに、本発明の7118遺伝子の1つ以上によってコードされる遺伝子産物の1つ以上の活性を調節する因子の同定に基づく、新たな因子、または組み合わせを同定するための方法を提供し、ここで、これらの産物は、治療因子に対する細胞の耐性に関連し得る。詳細には、本発明の7118遺伝子によってコードされるタンパク質の活性は、因子の耐性を克服するために、因子を同定するための基礎として使用され得る。耐性タンパク質の1つ以上の活性をブロックすることによって、標的細胞(例えば、ヒト細胞)は、未改変標的細胞に耐性である因子を用いた処置に対して感受性になる。
7118タンパク質の発現または活性に対する、因子(例えば、薬物)の影響のモニタリングが、臨床試験において適用され得る。例えば、7118遺伝子発現、タンパク質レベル、またはアップレギュレートした7118活性を増加させるために、本明細書中に記載されるようなスクリーニングアッセイによって決定される因子の効果は、7118遺伝子発現、タンパク質レベル、またはダウンレギュレートした7118活性の低下を示す被験体の臨床試験において、モニタリングされ得る。あるいは、7118遺伝子発現、タンパク質レベル、またはダウンレギュレートした7118活性を低下させるために、スクリーニングアッセイによって決定される因子の効果は、7118遺伝子発現、タンパク質レベル、またはアップレギュレートした7118活性の増加を示す被験体の臨床試験においてモニタリングされ得る。このような臨床試験において、7118遺伝子の発現または活性、好ましくは、例えば、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連障害または7118関連障害に関与している他の遺伝子の発現または活性は、「読み出し(read out)」または特定の細胞の表現型のマーカーとして、使用され得る。
(他の実施形態)
別の局面において、本発明は、複数の捕捉プローブの分析方法を特徴とする。この方法は、例えば、遺伝子発現を分析するのに有用である。この方法は、複数のアドレスを有する二次元アレイを提供する工程(複数のアドレスの各アドレスは、複数のアドレスの互いのアドレスと位置的に識別可能であり、複数のアドレスの各アドレスは、固有の捕捉プローブ(例えば、核酸配列またはペプチド配列)を有し、捕捉プローブは、7118を発現する細胞または被験体由来であるかあるいは7118の媒介応答が誘発される細胞または被験体由来である);このアレイを7118核酸(好ましくは精製されたもの)、7118ポリペプチド(好ましくは精製されたもの)、または抗7118抗体と接触させる工程、およびそれによって複数の捕捉プローブを評価する工程、を包含する。結合(例えば、核酸の場合、複数のアドレスのうちの1つのアドレスにおける捕捉プローブとのハイブリダイゼーション)は、例えば、7118核酸、7118ポリペプチド、または7118抗体に結合された標識から生成されるシグナルによって検出される。
捕捉プローブは、選択されたサンプル由来の核酸のセット(例えば、コントロールまたは未刺激組織もしくは細胞由来の核酸のサンプル)であり得る。
この方法は、複数の捕捉プローブを有する第1のアレイおよび異なる複数の捕捉プローブを有する第2のアレイと、7118核酸、7118ポリペプチド、または7118抗体とを接触させる工程を包含し得る。各々のハイブリダイゼーションの結果は、例えば、第1のサンプルと第2のサンプルとの間の発現における差を分析するために比較され得る。第1の複数の捕捉プローブは、コントロールサンプル(例えば、野生型サンプル、正常サンプル、または非疾患サンプル、非刺激サンプル(例えば、生物学的流体サンプル、組織サンプル、または細胞サンプル))由来であり得る。第2の複数の捕捉プローブは、実験サンプル(例えば、変異型サンプル、危険サンプル、疾患状態サンプルもしくは障害状態サンプル、または刺激サンプル(例えば、生物学的流体サンプル、組織サンプル、または細胞サンプル))由来であり得る。
複数の捕捉プローブは、複数の核酸プローブであり得、それらの各々は、7118の対立遺伝子と特異的にハイブリダイズする。このような方法は、例えば、疾患または障害に対する危険を評価するために、被験体に対する選択された処置の感度を評価するために、被験体が疾患または障害を有するか否かを評価するために、被験体を診断するのに使用され得る。
この方法は、上記のようにSNPを検出するのに使用され得る。
別の局面において、本発明は、7118を分析する(例えば、構造、機能または他の核酸配列もしくはアミノ酸配列との関連を分析する)方法を特徴とする。この方法は、7118核酸配列または7118アミノ酸配列を提供する工程;7118配列と、配列の集合(例えば、核酸またはタンパク質の配列データベース)からの1つ以上の(好ましくは複数の)配列とを比較する工程、を包含し、それによって7118を分析する。
この方法は、7118配列とデータベース配列との間の配列同一性を評価する方法を包含し得る。この方法は、第2のサイトの(例えば、インターネットを通じて)データベースにアクセスすることによって実施され得る。好ましいデータベースとしては、GenBankTMおよびSwissProtが挙げられる。
別の局面において、本発明は、例えば、SNPを同定するのにあるいは7118の特定の対立遺伝子を同定するのに有用なオリゴヌクレオチドのセットを特徴とする。このセットは、複数のオリゴヌクレオチドを含み、それらの各々は、質問位置(interrogation position)(例えば、SNPまたは変異部位)に異なるヌクレオチドを有する。好ましい実施形態において、複数のオリゴヌクレオチドは、互いに配列において同一である(長さの差を除く)。オリゴヌクレオチドには、異なる標識が提供され得、その結果、1つの対立遺伝子にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドは、第2の対立遺伝子にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと識別可能なシグナルを提供する。
7118分子の配列は、その使用を容易にするため、種々の媒体において提供される。配列は、単離された核酸分子またはアミノ酸分子ではなく、7118分子を含む製品として提供され得る。このような製品は、天然で存在するようにまたは精製された形態で、ヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列、またはそのサブセットの試験に対して直接的には適用可能でない手段を用いる製品の試験を可能にする形態で、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列(例えば、オープンリーディングフレーム)を提供し得る。
7118のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、コンピューター読取り可能媒体へ記録され得る。本明細書で使用される場合、「コンピューター読取り可能媒体」は、コンピューターによって直接読み取られ得、そしてアクセスされ得る任意の媒体をいう。このような媒体としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:磁気保存媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク保存媒体、および磁気テープ);光学保存媒体(例えば、コンパクトディスクおよびCD−ROM);電気保存媒体(例えば、RAM、ROM,EPROM、EEPROMなど);ならびに一般的なハードディスクおよびこれらのカテゴリーのハイブリッド体(例えば、磁気的/光学保存媒体)。媒体は、それらに対して本発明の7118配列情報を有するように適合または構成される。
本明細書で使用される場合、用語「電子装置」は、データまたは情報を保存するために構成または適合された他のデバイスの任意の適切なコンピューター装置または処理装置を包含することが意図される。本発明の使用に適切な電子装置の例としては、以下が挙げられる:独立型計算機;ネットワーク(ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)インターネット、イントラネット、およびエキストラネットを含む);電子製品(例えば、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、セルラー電話、ポケットベルなど);および局所処理システムおよび分布処理システム。
本明細書で使用される場合、「記録された」は、電子装置読取り媒体上の情報を保存するかまたは暗号化するための処理をいう。当業者は、公知の媒体上に情報を記録するための現在公知の任意の方法を容易に適合させて、7118配列情報を含む製品を生成し得る。
種々のデータ保存構造体が、それらの上に記録された本発明の7118のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を有するコンピューター読取り可能媒体を作製するために当業者に対して利用可能である。データ保存構造体の選択は、一般的に、保存情報にアクセスするために選択された手段に基づく。さらに、種々のデータ処理プログラムおよびフォーマットを使用して、コンピューター読取り可能媒体上に、本発明のヌクレオチド配列情報を保存し得る。配列情報は、文字処理テキストファイルにおいて表現され得、これらのファイルは、市販のソフトウェア(例えば、WordPerfectおよびMicrosoft Word)でフォーマットされているか、またはデータベースアプリケーション(例えば、DB2、Sybase、Oracle、など)に保存されるASCIIファイルの形態で表現されている。当業者は、記録された本発明のヌクレオチド配列情報をそれらの上に有するコンピューター読取り可能媒体を得るために、多数のデータ処理装置構築フォーマット(例えば、テキストファイルまたはデータベース)を容易に適合させ得る。
本発明の7118のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列をコンピューター読取り形態に提供することによって、当業者は、種々の目的のために配列情報に定型的にアクセスし得る。例えば、当業者は、コンピューター読取り形態中の本発明のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を使用し、標的配列または標的構造モチーフとデータ保存手段内に保存された配列情報とを比較し得る。検索を使用して、特定の標的配列または標的モチーフに適合する本発明の配列のフラグメントまたは領域を同定する。
それゆえに、本発明は、被験体が、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連疾患もしくは障害または別の7118関連疾患あるいは障害を有するか、または、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連疾患もしくは障害または別の7118関連疾患あるいは障害に対する素因を有するか否かを決定する方法を実施するための指示書を保有するための媒体を提供し、ここで、この方法は、被験体に関連する7118配列情報を決定する工程を包含し、そして7118配列情報に基づいて、被験体が、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連疾患もしくは障害または別の7118関連疾患あるいは障害を有するか否かを決定する工程および/またはこの疾患状態、障害状態、あるいは疾患前状態に対する特定の処置を勧める工程を包含する。
本発明はさらに、電子システムおよび/またはネットワークにおいて、被験体が、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連疾患もしくは障害または別の7118関連疾患あるいは障害を有するか、または、7118に関連する疾患に対する素因を有するか否かを決定する方法を提供し、ここで、この方法は、被験体に関連する7118配列情報を決定する工程を包含し、そして7118配列情報に基づいて、被験体が、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連疾患もしくは障害または別の7118関連疾患もしくは障害を有するか、または、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連疾患もしくは障害または別の7118関連疾患もしくは障害またはそれに対する素因を有するか否かを決定する工程および/またはこの疾患状態、障害状態、もしくは疾患前状態に対する特定の処置を勧める工程を包含する。この方法はさらに、被験体に関連する表現型情報を受け取る工程および/または被験体に関連するネットワーク表現型情報から取得する工程を包含する。
本発明はまた、ネットワークにおいて、被験体が、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連または別の7118関連の疾患または障害を有するかどうか、あるいはアルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連または別の7118関連の疾患または障害への素因を有するかどうかを決定するための方法を提供し、ここで、この方法は、被験体からの7118配列情報および/またはそれに関連する方法を受容する工程、この被験体に関連する表現型情報を受容する工程、ネットワークから、7118に対応する情報および/またはアルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連もしくは別の7118関連の疾患もしくは障害に対応する情報を獲得する工程、ならびに表現型情報、7118情報(例えば、配列情報および/またはそれに関連する情報)および獲得された情報のうち1つ以上に基づいて、被験体が、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連または別の7118関連の疾患または障害を有するかどうか、あるいはアルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連または別の7118関連の疾患または障害への素因を有するか否かを決定する工程、を包含する。この方法は、疾患、障害または前疾患状態についての特定の処置を推奨する工程をさらに包含し得る。
本発明はまた、被験体が、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連または別の7118関連の疾患または障害を有するかどうか、あるいはアルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連または別の7118関連の疾患または障害への素因を有するか否かを決定するためのビジネス方法を提供し、この方法は、7118に関連する情報(例えば、配列情報および/またはそれに関連する情報)を受容する工程、被験体に関連する表現型情報を受容する工程、ネットワークから、7118に関連する情報および/またはアルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連もしくは別の7118関連の疾患もしくは障害に関連する情報を獲得する工程、ならびに表現型情報、7118情報および獲得された情報のうち1つ以上に基づいて、被験体が、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連または別の7118関連の疾患または障害を有するかどうか、あるいはアルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連または別の7118関連の疾患または障害への素因を有するか否かを決定する工程、を包含する。この方法は、疾患、障害または前疾患状態についての特定の処置を推奨する工程をさらに包含し得る。
本発明はまた、本発明の7118配列を含むアレイを含む。このアレイは、アレイ中に1つ以上の遺伝子の発現をアッセイするために使用され得る。1実施形態において、このアレイは、組織中の遺伝子発現をアッセイして、アレイ中の遺伝子の組織特異性を確認するために使用され得る。この様式において、約7600個までの遺伝子を、発現について同時にアッセイし得、そのうちの1つが7118であり得る。このことは、1つ以上の組織において特異的に発現される遺伝子の組を示すプロファイルが作成されることを可能にする。
このような定性的情報に加えて、本発明は、遺伝子発現の定量を可能にする。従って、組織特異性だけではなく、組織中の遺伝子の組の発現レベルもまた、確認され得る。従って、遺伝子は、その組織発現自体およびその組織における発現レベルに基づいて、分類され得る。これは、例えば、その組織における遺伝子発現の関連性を確認する際に有用である。従って、1つの組織が混乱され得、第二の組織における遺伝子発現に対するその影響が、決定され得る。この文脈において、生物学的刺激に応答した、別の細胞型に対する1つの細胞型の影響が決定され得る。この文脈において、生物学的刺激に応答した、別の細胞型に対する1つの細胞型の影響が決定され得る。このような決定は、例えば、遺伝子発現のレベルで、細胞−細胞相互作用の効果を知るために有用である。ある薬剤が、1つの細胞型を処置するために治療的に投与されるが、別の細胞型に対して望まれない影響を有する場合、本発明は、所望でない影響の分子基礎を決定するためのアッセイを提供し、従って、相殺する薬剤を同時投与する機会またはそうでなければ所望でない効果を処理する機会を提供する。同様に、単一細胞型内でさえ、所望でない生物学的影響が、分子レベルで決定され得る。従って、標的遺伝子以外の遺伝子の発現に対する薬剤の影響が、確認および相殺され得る。
別の実施形態において、このアレイは、アレイ中の1つ以上の遺伝子の発現の時間過程をモニタリングするために使用され得る。これは、本明細書中に開示されるような種々の生物学的文脈(例えば、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連または別の7118関連の疾患または障害の発症、アルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連または別の7118関連の疾患または障害の進行、およびアルギニンN−メチルトランスフェラーゼ関連または別の7118関連の疾患または障害に関連する細胞形質転換のようなプロセス)において生じ得る。
このアレイはまた、同じ細胞または異なる細胞における他の遺伝子の発現に対する、ある遺伝子の発現の影響を確認するため(例えば、他の遺伝子の発現に対する、7118発現の影響を確認するため)に有用である。このことは、例えば、最終的な標的または下流の標的が調節され得ない場合に、治療的介入についての代替的分子標的の選択を提供する。
このアレイはまた、正常細胞および異常細胞における1つ以上の遺伝子の差示的発現パターンを確認するために有用である。このことは、診断または治療的介入のための分子標的として作用し得る遺伝子の組(例えば、7118を含む)を提供する。
本明細書中で使用する場合、「標的配列」は、6個以上のヌクレオチドの任意のDNA配列または2個以上のアミノ酸の任意のアミノ酸配列であり得る。当業者は、標的配列が長くなるほど、標的配列がデータベース中のランダムな存在として存在する可能性が低くなることを、容易に認識し得る。標的配列の代表的な配列の長さは、約10〜100アミノ酸、または約30〜300ヌクレオチド残基である。しかし、商業的に重要なフラグメント(例えば、遺伝子発現およびタンパク質プロセシングに関与する配列フラグメント)は、より短い長さのものであり得ることが、充分認識される。
分析および他の配列との比較のために、コンピュータ読出し可能な媒体中に提供される配列情報に、当業者がアクセスすることを可能にするコンピュータソフトウェアが、公に利用可能である。種々の公知のアルゴリズムが公に公開されており、そして検索手段を実行するための種々の市販のソフトウェアが、本発明のコンピュータベースのシステムにおいて使用され得る。このようなソフトウェアの例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:MacPattern(EMBL)、BLASTNおよびBLASTX(NCBI)。
従って、本発明は、コンピュータ読出し可能なマトリクスに配列を記録する工程を包含する、7118配列のコンピュータ読出し可能な配列の記録を作成する方法を特徴とする。好ましい実施形態において、この記録は、以下のうちの1つ以上を含む:ORFの同定;ドメイン、領域または部位の同定;転写開始の同定;転写ターミネーターの同定;タンパク質の全長アミノ酸配列またはその成熟形態;翻訳領域の5’末端。
別の局面において、本発明は、配列を分析する方法を特徴とする。この方法は、以下の:コンピュータ読出し可能な形態で、7118配列または記録を提供する工程;この7118配列に対して第二の配列を比較する工程を包含し、それによって、配列を分析する。比較は、配列の正体について配列と比較する工程、または1つの配列が他の配列内に含まれるか否かを決定する工程(例えば、7118配列が、比較される配列に含まれるか否かを決定する工程)を包含し得る。好ましい実施形態において、7118配列または第二の配列は、第一のコンピュータ(例えば、第一のサイト)に記憶され、そしてこの比較は、第二のコンピュータ(例えば、第二のサイト)で実施されるか、読み出されるか、または記録される。例えば、7118配列または第二の配列は、公に記憶され得るか、または1つのコンピュータ中の専有データベース中に記憶され得、そして比較の結果は、第二のコンピュータで実施されるか、読み出されるか、または記録される。好ましい実施形態において、記録は、以下のうちの1つ以上を含む:ORFの同定;ドメイン、領域または部位の同定;転写開始の同定;転写ターミネーターの同定;タンパク質の全長アミノ酸配列またはその成熟形態;翻訳領域の5’末端。
本発明は、以下の実験によってさらに例示され、これらは、限定として解釈されるべきではない。
(実験)
(遺伝子発現分析)
総RNAを、製造業者(TelTest,Inc.)の指示に従ってRNA STAT−60を使用して、単一工程の抽出によって、種々のヒト組織から調製した。各RNA調製物を、37℃で1時間にわたって、DNase I(Ambion)で処理した。内部アンプリコン参照としてβ−2ミクログロブリンを使用して、蛍光の閾値レベルに到達するために、サンプルが少なくとも38サイクルのPCR増幅を必要とした場合に、DNase I処理が完了したと決定した。DNase I処理後のRNAサンプルの完全性を、アガロースゲル電気泳動およびエチジウムブロマイド染色によって確認した。フェノール抽出後、cDNAを、製造業者(GibcoBRL)の指示に従ってSuperScriptTMChoice Systemを使用して、サンプルから調製した。逆転写酵素を有さないネガティブコントロールのRNAが、各RNAサンプルについての逆転写されたモックであった。
ヒト7118発現を、種々の正常および疾患(例えば、癌性の)ヒト組織または細胞株から調製されたcDNAにおいて、TaqMan(登録商標)定量的PCR(Perkin Elmer Applied Biosystems)によって測定した。
プローブを、ヒト7118遺伝子の配列に基づいて、PrimerExpressソフトウェア(PE Biosystems)によって設計した。各ヒト7118遺伝子プローブを、FAM(6−カルボキシフルオレセイン)を使用して標識し、そしてβ2−ミクログロブリン参照プローブを、異なる蛍光色素VICで標識した。従って、標的遺伝子および内部参照遺伝子の差示的標識化は、同じウェル中での測定を可能にした。β2−ミクログロブリンおよび標的遺伝子の両方についての順方向および逆方向のプライマーおよびプローブを、TaqMan(登録商標)Universal PCR Master Mix(PE Applied Biosystems)に添加した。プライマーおよびプローブの最終濃度は異なり得るが、各々が、所定の実験内では内的に一貫していた。代表的な実験は、200nMの順方向および逆方向のプライマー+β−2ミクログロブリンについてのプローブ100nM、ならびに600nMの順方向および逆方向のプライマー+標的遺伝子についてのプローブ200nMを含んだ。TaqManマトリックス実験を、ABI PRISM 7700 Sequence Detection System(PE Applied Biosystems)で実施した。サーマルサイクラーの条件は、以下の通りであった:50℃で2分間、そして95℃で10分間維持、次いで(95℃で15秒間次いで60℃で1分間)×40サイクルの、2工程PCR。
以下の方法を使用して、同じ組織中のβ−2ミクログロブリン発現と比較して、種々の組織においてヒト7118遺伝子の発現を定量的に計算した。閾値サイクル(Ct)値を、蛍光における統計的に有意な増加が検出されるサイクルとして定義する。より低いCt値は、より高いmRNA濃度を示す。ヒト7118遺伝子のCt値を、β−2ミクログロブリン遺伝子のCt値を差し引くことによって正規化し、以下の式を使用してΔCt値を得る:ΔCt=Ctヒト7118−Ctβ−2ミクログロブリン。次いで、発現を、比較的低いレベルのヒト7118遺伝子の発現を示すcDNAサンプルに対して較正する。次いで、標準サンプルについてのΔCt値を、以下の式に従って、各組織サンプルについてのΔCtから差し引く:ΔΔCt=ΔCt−サンプル−ΔCt−標準。次いで、相対的な発現を、2−ΔΔCtによって与えられる演算式を使用して較正する。次いで、試験した各組織中の標的ヒト7118遺伝子の発現を、以下により詳細に考察されるように、グラフにより示す。
器官の詳説分析を通じて、7118発現は、ヒト心臓および脳において中レベル;そしてヒト胎児肝臓および筋肉において高レベルで観察された(表1を参照のこと)。次の段階Iおよび段階IIの血液学的分析において、7118発現は、ヒトCD71/GpA高細胞およびCD34+細胞においてよりもヒトCD71/GpA低細胞においてより高いレベルで発現したことが見出された(表2および3を参照のこと)。赤血球培養物において、7118は、6日目を発現のピークとして誘導されることが見出された(表3を参照のこと)。
段階Iおよび段階IIのTaqMan(登録商標)の血液学的データを構成するサンプルは、赤血球系、骨髄系および巨核球系の造血性分化の点を示す。
赤血球系は、EPOを添加してかまたは添加せずに、インビトロで分化する細胞(0〜12日目)ならびにBFU−E細胞によって示される。正常な骨髄(インビボ)から単離されるGpA hi発現集団およびGpA lo発現集団は、赤血球産生の間インビボで発現される重要な遺伝子についての重大な情報を本発明者らに提供する。
巨核細胞系は、SFおよびTPOの存在下で、インビトロで分化した巨核球(0〜12日目)によって示される。インビボの成熟巨核球は、骨髄CD61+細胞集団によって示される。
骨髄系は、インビトロで分化する好中球(0〜12日目)およびインビボでの多様な集団によって示される。インビボの好中球は、骨髄から単離されたCD11b−(あまり成熟していない)またはCD11b+(より成熟している)のいずれかであるCD15+細胞によって示される。末梢血顆粒球および骨髄単球細胞もまた試験した。これらの細胞は、共に好中球が豊富であった。
T細胞、Tヘルパー細胞(Th)、および細胞傷害性T細胞(Tc)を、静止または活性化した。活性化された細胞を、インビトロで抗原性刺激/***促進刺激に曝露した。これらの細胞は免疫応答の間、エフェクター細胞集団を反映する。活性化された細胞は形態学的変化を起こし、リンパ芽球に拡大した。
(表)
本願を通じて引用される全ての参考文献、特許および公開された特許出願の内容は、本明細書中で参考として援用される。
(等価物)
当業者は、慣用的にすぎない実験を使用して、本明細書中に記載される発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するかまたは確認し得る。