JP2005500803A - 破骨細胞関連レセプター - Google Patents
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Abstract
本発明は、骨組織の成長、発達、修復、分解、および恒常性に関与する細胞(例えば、破骨細胞)の活性を調節する、方法および組成物に関する。従って、この組成物は、このようなプロセスを調節するため、および骨成長関連障害(例えば、骨粗鬆症および大理石骨病)を処置するために、使用され得る。特に、本発明は、破骨細胞関連レセプター(すなわち、OSCAR)と呼ばれる新規なポリペプチドを提供し、このポリペプチドは、破骨細胞により特異的に発現され、かつ破骨細胞活性を調節する。OSCAR核酸(ベクターを含む)、融合ポリペプチド、およびOSCAR特異的抗体もまた提供され、同様に、このような核酸、ポリペプチド、および抗体を使用する、診断アッセイおよびスクリーニングアッセイもまた提供される。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は、「破骨細胞関連レセプター」遺伝子または「OSCAR」として本明細書中で称される新規遺伝子、およびその遺伝子産物に関する。OSCAR遺伝子は、破骨細胞によって特異的に発現される。従って、本発明はまた、OSCAR遺伝子またはOSCAR遺伝子産物を特異的に発現する細胞を同定することによって破骨細胞を同定および単離する方法に関する。
【0002】
OSCAR遺伝子およびOSCAR遺伝子産物はまた、破骨細胞の成熟の制御または調節に関与する。従って、本発明はさらに、破骨細胞の成熟および/もしくは活性を調節または抑制するための、方法および組成物に関する。このような方法は、例えば、骨粗鬆症および大理石骨病のような破骨細胞関連疾患を処置するのに有用である。従って、本発明はまた、このような疾患を処置するための方法および組成物に関する。
【0003】
本発明はまた、OSCAR遺伝子またはOSCAR遺伝子産物に結合し、そして/もしくはそれらの活性を調節し、ゆえに破骨細胞の成熟および/もしくは活性を調節するために使用され得る化合物を同定するためのスクリーニング方法に関する。このようなスクリーニング方法によって同定され得、ゆえに本発明の分野内でもある化合物としては、OSCARリガンドおよび膜貫通シグナルアダプターが挙げられる。
【0004】
(発明の背景)
骨の発達およびホメオスタシスは、主として2つの異なる細胞型(骨芽細胞および破骨細胞)によって制御される。骨のマトリックスは、骨芽細胞によって分泌され、この細胞は、既存する骨のマトリックスの表面に存在し、そして新しい骨の層をその上に沈着させる。成熟破骨細胞は、石灰化した骨のマトリックスを再吸収する、単球/マクロファージ起源の多核細胞である。通常、これら2つの細胞型の活性は、しっかりと調整され、生物の骨の構造および完全度を維持している。しかし、これら2つの細胞型の活性を調節する機構は、ほとんど理解されていないままであり、そして広範囲にわたって未知である。
【0005】
多数の疾患および障害が、異常な骨の成長または骨の質量における異常な増大もしくは減少と関連する。例えば、大理石骨病は、骨のマトリックスの肥厚化であり、破骨細胞が骨を吸収できなくさせる破骨細胞成熟における欠損と関連する(例えば、Kongら、Nature、1999、397:315−323;Sorianoら、Cell 1991、64:693−702;Iotsovaら、Nat.Med.1997、3:1285−1289を参照のこと)。対照的に、骨粗鬆症は、破骨細胞活性の増大によって特徴付けられる疾患であり、非常に多孔性の容易に破砕し、そして治癒が遅い骨を生じる。異常な骨の成長および再吸収を含むかまたはこれらに関連する多くの他の疾患および障害もまた公知であり、いくつか名前を挙げると、パジェット病、骨形成不全症、線維性形成異常症、低ホスファターゼ血症、原発性上皮小体機能亢進症、関節炎および歯周病が挙げられる。さらに、骨溶解が、骨に内在する多くの悪性腫瘍または骨から離れた悪性腫瘍(例えば、乳癌、肺癌、前立腺癌、甲状腺癌、および腎臓癌における骨格転移、悪性腫瘍の間の体液性カルシウム過剰血症、ならびに多発性骨髄腫)によって誘導され得る。
【0006】
このような疾患および障害は、米国および他の国々で主要な公衆衛生上の関心事を表す。例えば、1000万人のアメリカ人(このうち、80%が女性である)が既に骨粗鬆症に罹患し、一方、別の1000万人の個人が、低い骨質量を有し、従って疾患に対して増大した危険性にあると概算されている。
【0007】
従って、骨芽細胞および/または破骨細胞のような細胞を(例えば、細胞サンプルまたは組織サンプル中で)同定するために使用され得、そしてこのような細胞の活性を制御または調節する方法および組成物に対する必要性が存在する。異常な骨の成長および再吸収に関連する疾患および障害(上記の疾患を含む)を、例えば、骨芽細胞および破骨細胞の活性を調節することによって処置するための、方法ならびに組成物に対する必要性もまた存在する。当該分野におけるこれらの要求および他の要求が、本発明によって取り組まれる。
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、骨組織の成長、発達、修復、再吸収、分解またはホメオスタシスに関連するプロセスに関与し、ゆえにこのようなプロセスの調節に有用である、組成物および方法を提供することによって、当該分野における上記の問題および他の問題を克服する。例えば、本発明の方法は、骨組織の異常な成長、発達、修復、再吸収、分解、再吸収またはホメオスタシスを含む障害(すなわち、「骨の成長に関連する障害」)の処置に有用であり得る。このような障害の例としては、骨粗鬆症および大理石骨病が挙げられるが、これらに限定されない。このような障害の非限定的な例としては、パジェット病、骨形成不全症、線維性形成異常症、低ホスファターゼ血症、原発性上皮小体機能亢進症、関節炎、歯周病および骨溶解(例えば、悪性腫瘍に由来する)が挙げられる。
【0009】
詳細には、本発明は、破骨細胞によって発現される、本明細書中ではOSCARポリペプチドと称される新規ポリペプチドを提供する。本発明のOSCARポリペプチドはまた、破骨細胞の成長および成熟、ならびに破骨細胞と関連する活性(例えば、骨組織の再吸収)を調節する。
【0010】
特定の実施形態において、本発明は、ネズミ(murine)(すなわち、マウス(mouse))ポリペプチドであり、マウスの破骨細胞によって発現される、OSCARポリペプチドを提供する。例えば、1つの実施形態において、本発明は、図2B(配列番号3)に記載のアミノ酸配列を含むOSCARポリペプチドを提供する。別の実施形態において、本発明は、図1C(配列番号3)に記載アミノ酸配列を含むOSCARポリペプチドを提供する。なお別の好ましい実施形態において、本発明は、図26Bおよび図27B(それぞれ、配列番号29および配列番号31)に記載のアミノ酸配列を含むOSCARポリペプチドを提供する。別の好ましい実施形態において、本発明は、ヒトポリペプチドであるOSCARポリペプチドを提供する。例えば、好ましい実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図7A〜D(配列番号12)に記載のゲノム配列によってコードされるポリペプチドである。特定の特に好ましい実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図3B(配列番号7)、図4B(配列番号9)、図5B(配列番号11)、図24B(配列番号25)、図25B(配列番号27)に記載のアミノ酸配列を含み得る。なお他の実施形態において、本発明は、全長OSCARポリペプチドの1つ以上のドメインに対応するアミノ酸配列(例えば、全長OSCARポリペプチドの、シグナルペプチド配列、Ig様ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、細胞質テイルドメイン配列またはこれらの任意の組み合わせ(例えば、図1C、図3B、図4B、図5B,図24B、図25B、図26B、および図27B(それぞれ配列番号3、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29および配列番号31)に記載のポリペプチドのうちのいずれか由来のもの))を含むポリペプチド(融合ポリペプチドを含む)を提供する。なお他の実施形態において、本発明は、OSCARポリペプチドの改変体を提供する。特に、本発明は、規定されたハイブリダイゼーション条件下で、図1C、図2B、図3B、図4B、図5B,図24B、図25B、図26B、および図27B(それぞれ配列番号3、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29および配列番号31)に提供されるようなOSCARポリペプチドの相補体にハイブリダイズする核酸によってコードされる、ポリペプチドを提供する。
【0011】
本発明はさらに、例えば、図1A〜B、図2A、図3A、図4A、図5A、図24A、図25A、図26Aおよび図27A(それぞれ、配列番号1〜2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号26、配列番号28、配列番号30および配列番号32)に提供されるヌクレオチド配列を含む核酸、ならびに図7A〜D(配列番号12)に記載のゲノムOSCAR核酸配列を含む、本発明のOSCARポリペプチドをコードする核酸を提供する。本発明はさらに、これらの核酸を含むベクターおよび宿主細胞、ならびにこれらのOSCARポリペプチドおよびOSCAR核酸に特異的に結合する抗体を提供する。本発明はまた、このようなOSCARポリペプチド、OSCAR核酸およびOSCAR抗体のフラグメントに関する。
【0012】
さらに、本発明はまた、細胞中、細胞の表面上(例えば、細胞表面上に発現されるOSCAR)、細胞培養物中(例えば、細胞培養培地中)、細胞培養抽出物または細胞溶解物中の、OSCAR核酸およびOSCARポリペプチドの存在または発現を検出するためのスクリーニング方法を含む、本発明のOSCAR核酸およびOSCARポリペプチドを検出および同定するためのスクリーニングアッセイに関し、そしてこのスクリーニングアッセイを提供する。これらの方法は、改変体OSCARポリペプチドおよび改変体OSCAR核酸(例えば、1つ以上のアミノ酸置換、欠失または挿入を含むOSCARポリペプチド;または1つ以上のアミノ酸置換、挿入または欠失を有するOSCARポリペプチドをコードする核酸)を検出および同定するための方法を含む。これらの方法によって同定され得る他の改変体OSCARポリペプチドおよび改変体OSCAR核酸は、相同性OSCARポリペプチドおよび相同性OSCAR核酸(例えば、他の生物種由来であり、そして好ましくは他の哺乳動物生物(例えば、ヒト)由来)を含む。従って、このような改変体OSCARポリペプチドおよび改変体OSCAR核酸、ならびにこれらに特異的に結合する抗体ならびにそのフラグメントは、本発明によって提供され、そして本発明の一部とみなされる。
【0013】
本発明はさらに、本発明のOSCAR核酸または本発明OSCARポリペプチドに特異的に結合する化合物を同定するための方法(例えば、スクリーニングアッセイ)を提供する。このようなスクリーニングアッセイによって同定され得る化合物としては、低分子(例えば、分子量が約2kD未満の分子、より好ましくは分子量が約1kD未満の分子)および高分子(タンパク質、ペプチドおよびポリペプチドを含む)が挙げられる。このようなスクリーニング方法によって同定され得る化合物としてはさらに、OSCAR遺伝子またはOSCAR遺伝子産物(例えば、OSCAR核酸またはOSCARポリペプチド)に特異的に結合する細胞内化合物(例えば、天然のリガンド)が挙げられる。さらに、OSCARポリペプチドと特定の結合パートナー(例えば、OSCAR特異的リガンド)との間、またはOSCAR核酸および特定の結合パートナーとの間の結合相互作用を妨害する化合物(例えば、低分子、高分子、タンパク質、ペプチドおよびポリペプチドを含む)を同定するための、他のスクリーニングアッセイが提供される。従って、このようなスクリーニング方法は、本発明の一部とみなされる。さらに、このようなアッセイによって同定された化合物(結合化合物(例えば、OSCAR特異的リガンド)およびOSCAR特異的結合相互作用を妨害する化合物を含む)もまた、本発明の一部である。
【0014】
別の局面において、本発明は、破骨細胞の活性を調節するための方法を提供する。このような方法は、一般的に、破骨細胞を、OSCAR遺伝子の活性(例えば、OSCAR遺伝子の発現)を調節するかまたはOSCAR遺伝子産物の活性を調節する化合物と接触させる工程を包含する。これらの方法に使用される化合物としては、OSCARシグナル伝達を阻害し、ゆえに破骨細胞活性化(例えば、成熟)を阻害するOSCARアンタゴニスト、ならびに、OSCARシグナル伝達および/または破骨細胞の成熟ならびに破骨細胞活性を促進するOSCARアゴニスト(OSCAR特異的リガンドを含む)が挙げられる。これらの方法は、破骨細胞を、この細胞によるOSCAR遺伝子またはOSCAR遺伝子産物の発現が増強または阻害されるような化合物(例えば、アンチセンス、リボザイム、三重らせん形成核酸、または他の低分子化合物)と接触させる工程を包含し得る。このような方法は、例えば、破骨細胞を、OSCAR遺伝子産物に結合し、そして/またはOSCAR遺伝子産物の活性を増大させる化合物と接触させることによって、破骨細胞活性を増大させるための方法を含み得る。この方法の1つの好ましい実施形態において、破骨細胞を、OSCAR特異的リガンドと接触させる。
【0015】
本発明の方法はさらに、破骨細胞の活性を減少させることを含む。これらの方法は、破骨細胞を、OSCAR遺伝子産物の活性を阻害または減少させる化合物と接触させる工程を包含し得る。特定の好ましい実施形態において、この化合物は、OSCAR特異的リガンドのOSCAR遺伝子産物への結合を阻害または妨害する化合物であり得る。例えば、1つの好ましい実施形態において、この化合物は、OSCAR遺伝子産物またはOSCAR特異的リガンドのいずれかに特異的に結合する抗体を含み、その結果、OSCAR特異的リガンドとOSCAR遺伝子産物との間の結合が、阻害される。別の好ましい実施形態において、この化合物は、1つ以上の可溶性OSCARポリペプチドアミノ酸配列(最も好ましくは、OSCARポリペプチドのリガンド結合ドメイン(例えば、細胞外配列ドメインおよび/またはシグナル配列ドメイン)を含むアミノ酸配列を含む)を含む。特に好ましい実施形態において、投与される化合物は、免疫グロブリンFc領域または他の低分子と結合体化した、これらのアミノ酸配列を有する可溶性融合ポリペプチドを含む。
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明は、新規な遺伝子(本明細書中で「破骨細胞関連レセプター」またはOSCAR遺伝子と称される)およびその遺伝子産物に関する。OSCAR遺伝子およびその遺伝子産物(これらは、初めて本明細書中に記載される)は、破骨細胞中で特異的に発現される。さらに、出願人らはまた、骨芽細胞によって生成されるOSCAR特異的リガンド(本明細書中で「OSCARリガンド」または「OSCAR−L」と称される)の存在を発見した。本発明のOSCAR特異的リガンドはまた、例えば、マウス胚性線維芽細胞、マウスNIH 3T3線維芽細胞、マウスST2骨芽細胞様細胞、ミンク肺上皮細胞、ラットUMR106骨芽細胞様細胞、ヒトHEK293細胞およびHEK293T細胞、hFOB1.19、ならびにサルCOS−1細胞を含む、他の細胞によって発現され得る。OSCARリガンドは、OSCAR遺伝子産物に結合する。以下に示される実施例において記載される実験において、OSCARリガンドを発現する骨芽細胞と、未成熟な破骨細胞を接触させることは、破骨細胞の成熟を効果的に刺激し、成熟した多核性破骨細胞の数を増加させる。しかし、OSCAR遺伝子産物の可溶性融合タンパク質の投与は、これらの破骨細胞によって発現されるOSCARペプチドに対するOSCARリガンドの結合を阻害し、それによって破骨細胞の成熟を阻害する。従って、OSCAR遺伝子およびその遺伝子産物は、破骨細胞活性を調節する(すなわち、増加または減少させる)ために使用され得、従って、例えば、異常な骨成長に関連する疾患および障害(骨粗鬆症および大理石骨病を含む)を処置する方法に有用である。
【0017】
OSCARポリペプチドは、一般的に、以下に記載されるようなOSCAR核酸配列の相補体にハイブリダイズする遺伝子によってコードされるポリペプチドである。代表的に、本発明の全長OSCARポリペプチドは、約35kDa、あるいは約40kDaの見かけの分子量を有する。本発明のOSCARポリペプチドはまた、以下の実施例において記載されるような破骨細胞の成熟を調節し得る。
【0018】
OSCARポリペプチドはさらに、以下に詳細に記載されるように、2つの免疫グロブリンドメインおよび膜貫通ドメインを含む免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーとして特徴付けられる。従って、好ましい実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、他の免疫グロブリンタンパク質およびポリペプチド(例えば、マウスPirAおよびウシFcαR)とアミノ酸配列相同性および/またはアミノ酸配列同一性を共有する。例えば、限定するためでないが、図1Cに示される特定のOSCARポリペプチドに類似するポリペプチドを同定するために、BLASPアルゴリズム(標準的なパラメーター)を使用するNCBIタンパク質データベースの検索により、このポリペプチドは、マウスPirA6(GenBank登録番号AAC53217.1)と26.4%の配列同一性およびウシFcαRのポリペプチド(GenBank登録番号P24071)と24.2%の配列同一性を共有することが明らかとなる。
【0019】
OSCARポリペプチドはまた、細胞におけるその発現パターンによって特徴付けられ得る。詳細には、OSCARポリペプチドは、OSCARポリペプチドを発現するように形質転換されている宿主細胞以外は、好ましくは、破骨細胞によって特異的に発現され、そして好ましくは、任意の他の細胞型によって発現されない。詳細には、本発明のOSCARポリペプチドは、好ましくは、マクロファージおよび樹状細胞を含む他の骨髄由来の細胞によって発現されない。
【0020】
1つの特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、マウス(murine)(すなわち、マウス(mouse))細胞から誘導されるか、またはマウス細胞から誘導されたペプチドのアミノ酸配列を有する。例えば、本発明のマウスOSCARポリペプチドは、図1C(配列番号3)に示されるアミノ酸配列を含み得る。この配列は、以下の少なくとも5つの異なるドメインに対応する配列を含む:シグナルペプチド配列(配列番号3のアミノ酸残基1〜16を含む)、2つのIg様ドメイン配列(それぞれ、配列番号3のアミノ酸残基17〜122および123〜228を含む)、膜貫通ドメイン配列(配列番号3のアミノ酸残基229〜247を含む)および細胞質テールドメイン配列(配列番号3のアミノ酸残基248〜264を含む)。
【0021】
特定の実施形態の種々の局面において、成熟OSCARポリペプチドは、シグナルペプチド配列を欠く。従って、別の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図1C(配列番号3)に示される配列のアミノ酸残基17〜264に対応するアミノ酸配列を含む。なお他の実施形態において、本発明の可溶性OSCARポリペプチドは、膜貫通ドメインおよび(ほとんどの実施形態において)細胞質テールドメインを欠く。従って、なお他の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図1C(配列番号3)に示される配列のアミノ酸残基17〜228、および必要に応じて、アミノ酸残基248〜264に対応するアミノ酸配列を含む。
【0022】
他の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、ヒト細胞から誘導されるか、またはヒト細胞から誘導されたポリペプチドに実質的に対応する。例えば、本発明のOSCARポリペプチドは、本明細書中で「C18ヒトOSCARアイソフォーム」と称され、かつ図3B(配列番号7)に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含み得る。好ましくは、C18ヒトOSCARアミノ酸配列のアミノ酸残基97は、図3B(配列番号7)において示されるように、セリン(SerまたはS)である。しかし、別の例示的な実施形態において、その配列のアミノ酸残基97は、イソロイシン(IleまたはI)であり得る。C18ヒトOSCARアミノ酸配列はまた、少なくとも4つのドメインに対応するアミノ酸配列を含み、これは、図1C(配列番号3)に示されるマウスOSCARポリペプチドについて上記の4つのドメインに対応する。詳細には、C18ヒトOSCARアイソフォームは、シグナルペプチド配列(配列番号7のアミノ酸残基1〜18を含む)、2つのIg様ドメイン配列(それぞれ、配列番号7のアミノ酸残基19〜123および124〜229を含む)、膜貫通ドメイン配列(配列番号7のアミノ酸残基230〜248を含む)および細胞質テールドメイン配列(配列番号7のアミノ酸残基249〜263を含む)を含む。
【0023】
あるいは、本発明のヒトOSCARポリペプチドは、本明細書中で「C16ヒトOSCARアイソフォーム」と称され、かつ図4B(配列番号9)に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含み得る。なお別の特定の実施形態において、本発明のヒトOSCARポリペプチドは、本明細書中で「C10ヒトOSCARアイソフォーム」と称され、かつ図5B(配列番号11)に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含み得る。好ましくは、C10ヒトOSCARアミノ酸配列のアミノ酸残基86は、図5B(配列番号11)において示されるように、セリン(SerまたはS)である。しかし、別の例示的な実施形態において、その配列のアミノ酸残基86は、イソロイシン(IleまたはI)であり得る。これらのヒトOSCARポリペプチドの各々は、少なくとも4つのドメインに対応するアミノ酸配列を含み、これらは、図1C(配列番号3)に示されるマウスOSCARポリペプチドについて、および図3B(配列番号7)に示されるC18ヒトOSCARアイソフォームについての上記のドメインに対応する。
【0024】
詳細には、C16ヒトOSCARアイソフォームは、シグナルペプチド配列(配列番号9のアミノ酸残基1〜18を含む)、2つのIg様ドメイン配列(それぞれ、配列番号9のアミノ酸残基19〜127および128〜233を含む)、膜貫通ドメイン配列(配列番号9のアミノ酸残基234〜252を含む)および細胞質テールドメイン配列(配列番号9のアミノ酸残基253〜267を含む)を含む。
【0025】
C10ヒトOSCARアイソフォームもまた、シグナルペプチド配列(配列番号11のアミノ酸残基1〜13を含む)、2つのIg様ドメイン配列(それぞれ、配列番号11のアミノ酸残基14〜112および113〜218を含む)、膜貫通ドメイン配列(配列番号11のアミノ酸残基219〜237を含む)および細胞質テールドメイン配列(配列番号11のアミノ酸残基238〜252を含む)を含む。
【0026】
本発明のマウスOSCARポリペプチドについて上記のように、成熟ヒトOSCARポリペプチドは、これらの実施形態の種々の局面において、シグナルペプチドを欠き得る。従って、他の特定の実施形態において、本発明のヒトOSCARポリペプチドは、図3B(配列番号7)に示される配列のアミノ酸残基19〜248、図4B(配列番号9)に示される配列のアミノ酸残基19〜252、または図5B(配列番号11)に示される配列のアミノ酸残基14〜252に対応するアミノ酸配列を含み得る。なお他の特定の実施形態において、本発明の可溶性ヒトOSCARポリペプチドは、膜貫通ドメインおよび(ほとんどの実施形態において)細胞質テールドメインを欠く。従って、なお他の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、以下に対応するアミノ酸配列を含み得る:(1)図3B(配列番号7)に示される配列のアミノ酸残基19〜229および必要に応じて、アミノ酸残基249〜263;(2)図4B(配列番号9)に示される配列のアミノ酸残基19〜233および必要に応じて、アミノ酸残基234〜252;または(3)図5B(配列番号11)に示される配列のアミノ酸残基14〜218および必要に応じて、アミノ酸残基219〜237。
【0027】
他の代替的な実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図1C(配列番号3)、図3B(配列番号7)、図4B(配列番号9)、図5B(配列番号11)、図24B(配列番号25)、図25B(配列番号27)、図26B(配列番号29)および図27B(配列番号31)に示されるOSCARポリペプチドに対して、少なくとも25%、または少なくとも30%、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、なおより好ましくは少なくとも75%、そしてなおより好ましくは少なくとも90%同一であるポリペプチドである。
【0028】
なお他の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、本明細書中に記載の全長OSCARポリペプチドのフラグメント(例えば、配列番号3、7、9または11のフラグメント)を含む。例えば、以下の実施例は、図2B(配列番号5)に示されるアミノ酸配列を含む全長OSCAR遺伝子産物のフラグメントをコードするOSCAR遺伝子フラグメント(OCL178と称される)を記載する。全長OSCAR遺伝子産物の他の例示的なフラグメントは、全長OSCARポリペプチドについて上記のドメインの1つを含むポリペプチド(例えば、シグナル配列ドメイン、Ig様ドメイン、膜貫通ドメイン、または細胞質テールドメインのアミノ酸配列を含むフラグメント)またはこれらのドメインの1つの一部分を含むフラグメントである。全長OSCARポリペプチドの他のフラグメントは、全長OSCARポリペプチドについて上記の2つ以上のドメインの任意の組み合わせを含むポリペプチドを含む;例えば、シグナル配列ドメイン、Ig様ドメイン(例えば、配列番号3、7、9もしくは11の第1または第2のIg様ドメイン)、膜貫通ドメイン、または細胞質テールドメインからなる群より選択される2つ以上のドメインに対応するアミノ酸配列を含むフラグメント。
【0029】
OSCARポリペプチドのこのようなフラグメントは、例えば、以下に定義されるような種々の融合ポリペプチドを構築するために有用である。例えば、シグナル配列ドメインを含む融合ポリペプチドは、抽出および精製のために、宿主細胞による培養培地への分泌について融合ポリペプチドを標的化するために使用され得る。膜貫通ドメインを含む融合ポリペプチドは、細胞表面上での発現のための融合ポリペプチドを標的化するために使用され得る。好ましい実施形態において、全長OSCARポリペプチドの1つ以上のIg様ドメインを含む融合ポリペプチドは、Ig様ドメインに特異的に結合する抗体を合成するために使用され得、そして破骨細胞の表面上でのOSCAR発現を検出するために使用され得る。あるいは、OSCARリガンドに結合するOSCAR Ig様ドメインを含む可溶性融合ポリペプチドが、合成され得る。このような融合ポリペプチドは、例えば、以下の実施例において記載され、例えば、OSCARリガンドの競合物として有用であり、そして破骨細胞の数および活性を減少させる。従って、本発明のOSCARポリペプチドは、OSCAR遺伝子産物またはそのフラグメントの配列を含む融合ポリペプチドを含む。
【0030】
OSCAR核酸は、DNA分子またはRNA分子ならびに以下の記載の改変(例えば、改変された塩基および/または骨格)のいずれかを含む核酸分子であり得る。1つの好ましい実施形態において、核酸は、本発明のOSCARポリペプチドをコードするコード配列に対して、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、およびなおより好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有する;例えば、図1A〜B(配列番号1〜2)、または図3A、4A、5A、24A、25A、26Aもしくは27A(それぞれ、配列番号6、8、10、26、28、30および32)のいずれか1つに示されるコード配列。あるいは、本発明のOSCAR核酸は、例えば、図1C(配列番号3)、または図3B、4B、5B、24B、25B、26Bもしくは27B(それぞれ、配列番号7、9、11、25、27、29および31)のいずれか1つに示されるOSCARポリペプチドに対して、少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、なおより好ましくは少なくとも70%、なおより好ましくは少なくとも75%そしてなおより好ましくは少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードする核酸であり得る。
【0031】
あるいは、OSCARポリペプチドをコードする核酸は、このようなコード配列の相補体、またはこのようなコード配列のフラグメントに、以下に詳細に示される条件下でハイブリダイズし得る。例えば、以下の実施例は、クローンOCL178に含まれそして図2(配列番号4)に示されるOSCARフラグメントとハイブリダイズする、アガロースゲル中の電気泳動によって決定されるような、それぞれ4.0kb、1.8kbおよび1.0kbの見かけの長さのOSCAR mRNA分子の同定を記載する。
【0032】
本発明のOSCAR核酸は、OSCARゲノム配列からイントロン配列を取り除くためにプロセシングされたかまたは「スプライシングされた」核酸(例えば、これらから誘導されるmRNAおよびcDNA)を含む。あるいは、本発明のOSCAR核酸は、エキソン配列およびイントロン配列の両方を含むプロセシングされていない核酸(例えば、ゲノムOSCAR配列、スプライシングされていないOSCAR mRNA配列およびこれらから誘導されるcDNA配列)であり得る。
【0033】
例えば、図7A〜Dは、ヒトOSCAR遺伝子の配列を含む、ヒト19番染色体クローンCTD−3093(GenBank登録番号AC012314.5;GI:771547)由来の領域のヌクレオチド配列(配列番号12)を示す。ヒト染色体配列のこの領域を有するこのようなOSCARゲノム配列の存在は、以前には知られておらず、そして初めて本明細書中で記載される。従って、このようなOSCARゲノム配列は、本発明のOSCAR核酸の中の1つである。詳細には、図7A〜D(配列番号12)に示されるゲノム配列は、本発明のOSCAR遺伝子産物をコードするRNAに転写されるかまたは転写され得るエキソン配列を含む。これらのエキソン配列は、大文字によって図7A〜Dに示される。図7A〜D(配列番号12)に示されるゲノム配列はまた、イントロン配列ならびに5’および3’のプロセシングされていない領域(UPR)の配列を含み、これらの全ては、小文字によって図7A〜Dで示される。具体的には、図7A〜Dおよび配列番号12に示されるOSCARゲノム配列は、特に、表1に示されるイントロンドメインおよびエキソンドメインを含む。
【0034】
【表1】
従って、本発明のOSCAR核酸分子は、ゲノムOSCAR核酸分子を含む。このようなゲノムOSCAR核酸分子は、図7A〜D(配列番号12)に示されるOSCARゲノム配列を有する核酸を含む。本発明のゲノムOSCAR核酸はまた、全長OSCARゲノム配列の1つ以上のエキソンまたはイントロンに対応する配列を有する核酸分子(例えば、図7A〜Dに示されそして上の表1に特定される1つ以上のエキソン配列およびイントロン配列に対応する核酸配列を含む)を含む。
【0035】
本発明のOSCAR核酸はまた、全長OSCAR配列のフラグメントを含み得る。例えば、好ましい実施形態において、このようなOSCAR核酸フラグメントは、全長コードOSCAR核酸配列の少なくとも10ヌクレオチド、好ましくは少なくとも15ヌクレオチド、そしてより好ましくは少なくとも20ヌクレオチドの配列に対応するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態において、フラグメントは、図1A〜B、2A、3A、4A、5A、24A、25A、26A、および27A(それぞれ、配列番号1〜2、4、6、8、10、26、28、30および32)のいずれかに示されるOSCARコード配列の一部分(例えば、少なくとも10、15または20ヌクレオチド)に対応する。他の好ましい実施形態において、OSCAR核酸フラグメントは、全長OSCAR核酸配列に対して、例えば、図1A〜B、2A、3A、4A、5A、24A、25A、26A、および27A(それぞれ、配列番号1〜2、4、6、8、10、26、28、30および32)に示されるOSCAR核酸配列のいずれかに対して、またはこのような全長OSCAR配列の相補体に対して、以下に詳細に記載される条件下でハイブリダイズする、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、そしてより好ましくは少なくとも20ヌクレオチドの配列を含む。本発明のOSCAR核酸フラグメントはまた、OSCARゲノム配列(例えば、図7A〜Dに示されそして配列番号12に示される配列)の少なくとも10、15または20ヌクレオチドの配列に対応するヌクレオチド配列を含み得る。あるいは、OSCAR核酸フラグメントは、OSCARゲノム配列(例えば、図7A〜Dに示されそして配列番号12に示されるゲノム配列)に対して、またはOSCARゲノム配列の1つ以上のエキソンもしくはイントロン(例えば、図7A〜Dに示されそして上の表1に記載されるエキソンおよびイントロン)に対して、またはこのようなOSCARゲノム配列の相補体に対して、以下に詳細に記載される条件下でハイブリダイズする、少なくとも10、15、または20ヌクレオチドの配列を含み得る。
【0036】
このようなフラグメントを含む核酸分子は、例えば、OSCAR遺伝子を検出または増幅するためのオリゴヌクレオチドプローブおよびオリゴヌクレオチドプライマーとして有用である。しかし、オリゴヌクレオチドフラグメントはまた、アンチセンス核酸として、3重らせん形成オリゴヌクレオチドとして、またはリボザイムとして、使用され得る。しかし、OSCAR配列の1つ以上のフラグメントを含む本発明の核酸分子はまた、OSCAR遺伝子産物についての全長コード配列であり得る。
【0037】
(定義)
一般的な定義。本明細書中で使用される用語は、一般的に、本発明の文脈中および各用語が使用される特定の文脈中で、当該分野で通常の意味を有する。特定の用語は、本発明のデバイスおよび方法ならびにこれらを作製および使用する方法を記載する際に、当業者にさらなる手引きを提供するために、以下または明細書中の他のいずれかで述べられる。
【0038】
用語「骨成長関連障害(bone growth related disorder)」、「骨成長関連障害(bone growth associated disorder)」、「骨成長障害」、「骨成長疾患」およびその他のこのようなバリエーションは、本明細書中で一般に使用される場合、骨組織の異常な成長、修復の発達、再吸収、分解またはホメオスタシスに関連する任意の疾患または障害を意味する。従って、骨成長関連障害は、個体における骨質量の異常な増加ならびに異常な減少に関連する疾患および障害を含み得る。また、本発明の対象である骨成長関連障害としては、破骨細胞の異常な(例えば、増加または減少した)活性に関連する障害が挙げられ得るが、これらに限定されない。本発明の対象である骨成長関連障害はさらに、破骨細胞の異常な(例えば、増加または減少した)活性に関連する障害を含む。本発明の方法および組成物に従って診断または処置され得る例示的な骨成長関連障害としては、いくつか例を挙げると、大理石骨病、骨粗鬆症、パジェット病、骨形成不全、線維性形成異常、低ホスファターゼ血、原発性上皮小体亢進関節炎、歯周病および骨髄腫血液疾患が挙げられる。さらに、骨溶解は、骨に存在するかまたは骨から離れて存在する多数の悪性腫瘍(例えば、***、肺、前立腺、甲状腺および腎臓の癌における骨格転移、悪性腫瘍の間の体液の高カルシウム血症、ならびに多発性骨髄腫)によって誘導され得る。
【0039】
骨成長関連障害は、OSCARの核酸、遺伝子産物またはポリペプチドと直接的または間接的のいずれかで関連し得る。このような障害としては、OSCAR遺伝子またはその遺伝子産物の異常な合成または発現に関連する障害、そしてまたOSCAR遺伝子およびその遺伝子産物の異常な(例えば、増加または減少した)活性によって引き起こされる疾患および障害(例えば、OSCAR遺伝子またはその遺伝子産物の異常な生理活性に関連する障害)を含む。本発明の他のOSCAR関連障害は、OSCAR遺伝子、OSCAR遺伝子産物またはOSCARポリペプチドと相互作用する別の化合物(例えば、天然リガンドまたは他の細胞性化合物)の異常な合成、発現または活性に関連する障害を含む。さらに、本発明のOSCAR関連障害は、OSCAR遺伝子またはその遺伝子産物の異常な合成、発現または活性によってそれ自体引き起こされないかまたは関連していないが、OSCAR遺伝子、OSCAR遺伝子産物またはOSCARポリペプチドの合成、発現または活性を調節する(例えば、増加または減少させる)方法によって、あるいはOSCAR遺伝子、遺伝子産物またはポリペプチドと相互作用する化合物(例えば、天然リガンドまたは他の細胞性化合物)の合成、発現または活性を調節する方法によって処置され得る障害を含む。
【0040】
本明細書中で使用される場合、用語「単離された」は、参照された物質が、それが天然に見出される環境から取り出されていることを意味する。従って、単離された生物学的物質は、細胞性成分(すなわち、その物質が見出されるかまたは生成される細胞の成分)を含み得ない。核酸分子の場合において、単離された核酸は、PCR産物、単離されたmRNA、cDNA、または制限フラグメントを含む。別の実施形態において、単離された核酸は、好ましくは、それが見出され得る染色体から切り取られ、そしてより好ましくは、染色体中に見出される場合、単離された核酸分子によって含まれる遺伝子の上流または下流に位置する、非調節領域、非コード領域、または他の遺伝子にもはや結合していない。なお別の実施形態において、単離された核酸は、1つ以上のイントロンを欠く。単離された核酸分子は、プラスミド、コスミド、人工染色体などに挿入された配列を含む。従って、特定の実施形態において、組換え核酸は、単離された核酸である。単離されたタンパク質は、他のタンパク質もしくは核酸、または両方と会合し得、単離されたタンパク質は、細胞中で他のタンパク質または核酸と会合し、またはこれが膜結合タンパク質である場合、細胞膜と会合する。単離された細胞小器官、細胞、または組織は、これが生物体において見出される解剖学的部位から取り出されている。単離された物質は、精製され得るが、必ずしも精製される必要はない。
【0041】
本明細書中で使用される場合、用語「精製された」は、無関係の物質(すなわち、混入物)(物質が獲得されるネイティブな物質を含む)の存在を減少または除去する条件下で単離された物質をいう。例えば、精製されたタンパク質は、好ましくは、それが細胞中で会合する他のタンパク質または核酸を実質的に含まない;精製された核酸分子は、好ましくは、それが細胞中で見出され得るタンパク質または他の無関係の核酸分子を実質的に含まない。本明細書中で使用される場合、用語「実質的に含まない」は、物質の分析試験の文脈において、操作的に使用される。好ましくは、混入物を実質的に含まない精製された物質は、少なくとも50%純粋;より好ましくは少なくとも90%純粋;そしてより好ましくはなお少なくとも99%純粋である。純度は、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、免疫アッセイ、組成物分析、生物学的アッセイ、および当該分野で公知の他の方法によって評価され得る。
【0042】
精製の方法は当該分野で周知である。例えば、核酸は、沈殿、クロマトグラフィー(分取固相クロマトグラフィー、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、および三重らせんクロマトグラフィーを含む)、超遠心分離、および他の手段によって精製され得る。ポリペプチドおよびタンパク質は、種々の方法によって精製され得る。この方法としては、限定はしないが、以下が挙げられる:分取ディスクゲル電気泳動、等電集束、HPLC、逆相HPLC、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィーおよび分配クロマトグラフィー、沈殿および塩析クロマトグラフィー、抽出、および向流分配。いくつかの目的について、組み換えシステムにおいてポリペプチドを生成することが好ましい。ここでは、このタンパク質は、精製を容易にするさらなる配列(例えば、限定しないが、ポリヒスチジン配列、または抗体に特異的に結合する配列(例えば、FLAGおよびGST))を含む。次いで、このポリペプチドを、適切な固相マトリックス上のクロマトグラフィーによって宿主細胞の粗溶解物から精製し得る。あるいは、タンパク質に対して、またはそれから誘導されたペプチドに対して生成された抗体は、精製試薬として用いられ得る。細胞は、種々の技術によって精製され得る。この技術としては、遠心分離、マトリックス分離(例えば、ナイロンウール分離)、パニングおよび他の免疫選択技術、枯渇(例えば、混入している細胞の補体枯渇)、およびセルソーティング(例えば、蛍光標示式細胞分取器(蛍光発色セルソーティング)[FACS])が挙げられる。他の精製方法が可能である。精製された物質は、約50%未満、好ましくは約75%未満、そして最も好ましくは約90%未満の細胞成分(もともとその物質が結合していた)を含み得る。「実質的に純粋」とは、当該分野で公知の従来の精製技術を用いて達成され得る最高程度の純度を示す。
【0043】
本明細書において用いる場合、「サンプル」とは、例えば、トランスジェニック動物中の遺伝子治療または遺伝子発現を評価するため、またはOSCAR遺伝子またはその遺伝子産物を特異的に発現する細胞(例えば、破骨細胞)を同定するために、OSCARポリペプチドまたはOSCAR核酸の存在について試験され得る生物学的物質をいう。このようなサンプルは、組織、血液、および血球(循環する造血幹細胞を含む(タンパク質または核酸の可能性のある検出のため))、胸水、脳脊髄液(CSF)、腹水、および細胞培養物を含む、任意の供給源から入手され得る。好ましい実施形態において、サンプルは骨髄から入手される。
【0044】
非ヒト動物としては、限定はしないが、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモットなど);ペット(例えば、イヌおよびネコ);および家畜(例えば、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、およびウシ)、そして特にヒトまたはマウスのOSCARでトランスジェニックにされたこのような動物が挙げられる。
【0045】
好ましい実施形態において、用語「約」および「ほぼ(およそ)」は、一般に、自然なまたは正確な測定値を与える測定された量について受容可能な程度の誤差を意味する。代表的に、例示的な程度の誤差は、所定の値または値の範囲の20パーセント(%)内、好ましくは10%内であり、そしてより好ましくは5%内である。あるいは、そして特に生物学的システムにおいては、用語「約」および「およそ」は、所定の値のある程度の大きさ内である値、好ましくは5倍以内、そしてより好ましくは2倍以内である値を意味し得る。本明細書において与えられる数値は、他に言及しない限り、この用語「約」または「ほぼ(およそ)」が、表示して言及されない場合、推測され得ることを意味する。
【0046】
用語「分子」は、1つ以上の原子を含む、任意の異なるかまたは識別可能な構造単位の物質、例えば、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドが挙げられる。
【0047】
(分子生物学の定義)本発明に従って、当該分野内の従来の分子生物学、微生物学、および組み換えDNA技術が使用され得る。このような技術は文献中で詳細に説明される。例えば、以下を参照のこと:Sambrook、Fitsch & Maniatis、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第二版(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York(「Sambrookら、1989」として本明細書においては言及している);DNA Cloning:A Practical Approach,第I巻およびII巻(D.N.Glover編.1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hamens & S.J.Higgins編、1984);Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1986);Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press,1986);B.E.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning(1984);F.M.Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.(1994)。
【0048】
用語「ポリマー」とは、繰り返し一緒に連結されている2つ以上の構築ブロック(「マー」)からなる任意の物質または化合物を意味する。例えば、「ダイマー(二量体)」は、2つの構築ブロックが一緒に連結された化合物であり;「トリマー(三量体)」は、3つの構築ブロックが一緒に連結された化合物である;等々。
【0049】
用語「ポリヌクレオチド」または「核酸分子」とは、本明細書において用いる場合、代表的なポリヌクレオチドに水素結合し得る塩基を支持する骨格を有するポリマー分子をいう。ここでこのポリマー骨格は、ポリマー分子と代表的なポリヌクレオチド(例えば、一本鎖DNA)との間の特定の様式においてこのような水素結合を可能にする様式でこの塩基を示す。このような塩基は代表的にイノシン、アデノシン、グアノシン、シトシン、ウラシルおよびチミジンである。ポリマー分子は「二本鎖」および「一本鎖」のDNAおよびRNA、ならびにその骨格改変(例えば、メチルホスフェート連結)を含む。
【0050】
従って、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、概してDNAおよびRNA中の、一連のヌクレオチド塩基(「ヌクレオチド」とも呼ばれる)であり、そして2つ以上のヌクレオチドの任意の鎖を意味する。ヌクレオチド配列は頻繁に遺伝子情報を保有しており、この情報は、タンパク質および酵素を作製するために細胞機構によって用いられる情報を含む。この用語は、ゲノムDNA、cDNA、RNA、任意の合成ポリヌクレオチドおよび遺伝子操作ポリヌクレオチド、ならびにセンスポリヌクレオチドおよびアンチセンスポリヌクレオチドの両方を含む。これは、一本鎖分子および二本鎖分子;すなわち、DNA−DNA、DNA−RNA、およびRNA−RNAのハイブリッド、ならびにアミノ酸骨格に対して塩基を結合することによって形成された「タンパク質核酸(PNA)」を含む。これはまた、改変塩基(例えば、チオ−ウラシル、チオ−グアニン、およびウルオロ−ウラシル)を含む核酸を含む。
【0051】
本明細書におけるポリヌクレオチドは、天然調節配列に隣接していてもよいし、または異種配列(プロモーター、エンハンサー、応答エレメント、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5’非コード領域および3’非コード領域などを含む)に結合していてもよい。この核酸はまた、当該分野で公知の多くの手段によって改変され得る。このような改変の非限定的な例としては、メチル化、「キャップ」、1つ以上の天然に存在するヌクレオチドのアナログでの置換、およびヌクレオチド間改変(例えば、無電荷連結を有する改変(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート、カルバメートなど)、および荷電連結を有する改変(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)など)が挙げられる。ポリヌクレオチドは、いくつかの例を挙げると、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、鉄、酸化金属など)、およびアルキレーターのような、1つ以上のさらなる共有結合した部分を含み得る。このポリヌクレオチドは、メチルホスホトリエステルもしくはエチルホスホトリエステル、またはアルキルホスホラミダイト結合の形成によって誘導され得る。さらに、本明細書におけるポリヌクレオチドはまた、直接または間接的のいずれかで、検出可能シグナルを提供し得る標識で改変され得る。例示的な標識としては、放射性同位体、蛍光分子、ビオチンなどが挙げられる。作製され得る改変の非限定的な例は、発明の詳細な説明において以下に提供される。
【0052】
「ポリペプチド」は、ペプチド結合と呼ばれる化学的な結合によって一緒に連結されるアミノ酸と呼ばれる化学的な構築ブロックの鎖である。用語「タンパク質」とは、遺伝子または核酸分子(例えば、mRNAまたはcDNA)によってコードされ、直接または間接的にその遺伝子から転写されたアミノ酸残基を含むポリペプチドをいう。必要に応じて、タンパク質は、遺伝子によってまたはmRNAによってコードされる特定のアミノ酸残基を欠失し得る。例えば、遺伝子またはmRNA分子は、最終タンパク質から切断されており、従って最終タンパク質の一部ではないかもしれない、タンパク質のN末端上のアミノ酸残基の配列(すなわち、シグナル配列)をコードし得る。タンパク質またはポリペプチド(酵素を含む)は、「ネイティブ」もしくは「野生型」であり得、このことは、これが天然に存在することを意味する;あるいはタンパク質またはポリペプチド(酵素を含む)は、「変異体」、「改変体」であり得るか、もしくは「改変され」得、このことは、これが作製、変更、誘導されているか、またはこれがネイティブなタンパク質から、もしくは別の変異体から何らかの方法で異なっているかまたは変化していることを意味する。
【0053】
「リガンド」は、広義では、別の分子に結合する任意の分子である。好ましい実施形態において、リガンドは、可溶性分子もしくは2つの分子の小さい方のいずれか、またはその両方である。他の分子は、「レセプター」と呼ばれる。好ましい実施形態において、リガンドおよびそのレセプターの両方は、細胞によって生成される分子(好ましくはタンパク質またはポリペプチド)である。特に好ましい実施形態において、リガンドは、可溶性分子であり、そしてレセプターは内在性膜タンパク質(すなわち、細胞の表面上で発現されるタンパク質)である。しかし、どの分子がリガンドであるかと、どれがレセプターであるかの間の区別は、例えば、本発明のOSCARポリペプチドおよびOSCAR特異的リガンドの両方が内在性膜タンパク質であるかまたはそうであるらしい実施形態において、不定であり得る。
【0054】
リガンドのそのレセプターに対する結合は、頻繁に、細胞内のシグナル伝達における工程である。例示的なリガンド−レセプター相互作用としては、ホルモンレセプターに対するホルモンの結合(例えば、エストロゲンレセプターに対するエストロゲンの結合)、およびニューロンの表面上のレセプターに対する神経伝達物質の結合が挙げられるがこれらに限定されない。
【0055】
本明細書において用いる場合、ポリヌクレオチドの「増幅」とは、DNA配列の混合物内の特定のDNA配列の濃度を増大するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を意味する。PCRの詳細については、Saikiら、Science 1988、239:487を参照のこと。
【0056】
DNAの「化学的配列決定」とは、MaxamおよびGilbert(Maxam−Gilbert配列決定;Maxam & Gilbert,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1977,74:560)の配列決定のような方法を意味する。ここでDNAは、個々の塩基特異的反応を用いて切断される。
【0057】
DNAの「酵素的配列決定」とは、当該分野で周知のSanger(Sangerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1977,74:5463)の配列決定およびそのバリエーションのような方法を意味する。ここでは、DNAポリメラーゼを用いて一本鎖DNAがコピーされ、そしてランダムに終止される。
【0058】
「遺伝子」は、ヌクレオチドの配列であり、機能的な「遺伝子産物」をコードする。一般に、遺伝子産物は機能的タンパク質である。しかし、遺伝子産物はまた、細胞中の別のタイプの分子(例えば、RNA(例えば、tRNAまたはrRNA))であり得る。本発明の目的のために、遺伝子産物とは、細胞中で見出され得るmRNA配列のこともいう。例えば、本発明に従う遺伝子発現レベルの測定は、mRNAレベルの測定に相当し得る。遺伝子は、調節配列(すなわち、非コード配列)、およびコード配列を含み得る。例示的な調節配列としては、プロモーター配列(例えば、遺伝子が発現される条件を決定する)が挙げられる。この遺伝子の転写領域はまた、イントロン、5’非翻訳領域(5’−UTR)、および3’−非翻訳領域(3’−UTR)を含む非翻訳領域を含み得る。
【0059】
「コード配列」または「コードする」配列、および発現産物(例えば、RNA、ポリペプチド、タンパク質、または酵素)とは、発現された場合、そのRNA、ポリペプチド、タンパク質、または酵素の産生を生じるヌクレオチド配列である;すなわち、このヌクレオチド配列は、そのRNAを「コードする」か、またはこのヌクレオチド配列は、そのポリペプチド、タンパク質、または酵素のアミノ酸配列をコードする。
【0060】
「プロモーター配列」は、細胞中のRNAポリメラーゼに結合し得るDNA調節領域であり、そして下流(3’方向)のコード配列の転写を開始する。本発明を規定する目的で、このプロモーター配列は、その転写開始部位によってその3’末端に結合され、そして上流(5’方向)に伸長して、バックグラウンド以上の検出可能レベルで転写を開始するのに必要な最小数の塩基またはエレメントを含む。プロモーター配列内で、転写開始部位(例えば、ヌクレアーゼS1でのマッピングによって、簡便に見出された)、およびRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見出される。
【0061】
コード配列は、RNAポリメラーゼがコード配列をRNAに転写するとき、細胞中の転写制御配列および翻訳制御配列の「制御下」であるか、またはそれらの配列と「作動可能に連結され」ている。次いでこのRNAは、トランスRNAスプライスされ(これがイントロンを含む場合)、そしてこの配列がタンパク質をコードする場合、そのタンパク質に翻訳される。
【0062】
用語「発現する」および「発現」とは、遺伝子またはDNA配列における情報が明らかになることを可能にするか、または明らかにさせること(例えば、対応する遺伝子またはDNA配列の転写および翻訳に関与する細胞機能を活性化することによってRNA(例えば、rRNAまたはmRNA)、またはタンパク質を生成すること)を意味する。DNA配列は、細胞によって発現されて、RNA(例えば、mRNA、またはrRNA)、またはタンパク質のような「発現産物」を形成する。発現産物自体(例えば、得られたRNAまたはタンパク質)はまた、細胞によって「発現された」ともいわれる。
【0063】
用語「トランスフェクション」とは、外来核酸の細胞への導入を意味する。用語「形質転換」とは、宿主細胞が導入された遺伝子または配列を発現して、所望の物質を生成するように、「外来」(すなわち、外因性のまたは細胞外の)遺伝子、DNA、またはRNAの配列をこの宿主細胞へ導入することを意味する。本発明においては、代表的にRNAが導入された遺伝子または配列によってコードされるが、タンパク質または酵素も導入された遺伝子または配列によってコードされる。この導入された遺伝子または配列はまた、「クローニングされた(cloned)」、または「外来の(foreign)」遺伝子または配列と呼ばれ得、調節配列または制御配列(例えば、細胞の遺伝子機構によって用いられる開始配列、終止配列、プロモーター配列、シグナル配列、分泌配列、または他の配列)を含み得る。この遺伝子または配列は、非機能的配列または既知の機能のない配列を含み得る。導入されたDNAまたはRNAを受け取りそして発現する宿主細胞は、「形質転換され」ており、そして「形質転換体」または「クローン」である。宿主細胞に導入されたDNAまたはRNAは、任意の供給源(異なる属または種の宿主細胞として、同じ属または種の細胞を含む)由来であり得る。
【0064】
用語「ベクター」、「クローニングベクター」、および「発現ベクター」とは、宿主を形質転換し、そして導入された配列の発現(転写および翻訳)を促進するように、DNA配列またはRNA配列(例えば、外来遺伝子)をその宿主細胞に導入し得る媒体(ビークル)を意味する。ベクターとは、プラスミド、ファージ、ウイルスなどを含み得、そしてこれらは以下に詳細に考察されている。
【0065】
「カセット(cassette)」とは、所定の制限部位でベクターに挿入され得る発現産物をコードする、配列をコードするDNA、またはDNAのセグメントをいう。このカセット制限部位は、適切なリーディングフレームでカセットの挿入を確実にするように設計される。概して、外来DNAは、ベクターDNAの1つ以上の制限部位に挿入され、次いで、ベクターによって伝播性のベクターDNAとともに宿主細胞に搬入される。挿入されたDNAまたは付加されたDNA(例えば、発現ベクター)を有するDNAのセグメントまたは配列はまた、「DNA構築物」とも呼ばれ得る。共通のタイプのベクターは、「プラスミド」であり、これは一般に二本鎖DNA(通常、細菌起源)の自己含有分子であり、プラスミドは、さらなる(外来の)DNAを容易に受容し得、そして適切な宿主細胞に容易に導入し得る。多数のベクター(プラスミドおよび真菌のベクターを含む)が、種々の真核生物宿主および原核生物宿主における複製、および/または発現について記載されている。用語「宿主細胞」とは、細胞による物質の産生のために任意の方法において、選択、改変、形質転換、増殖もしくは使用、または操作される、任意の生物体の任意の細胞を意味する。例えば、宿主細胞は、特定の遺伝子(DNA配列またはRNA配列)、タンパク質、または酵素を発現するために操作されるものであり得る。宿主細胞はさらに、以下に記載するスクリーニングまたは他のアッセイのために用いられ得る。宿主細胞は、インビトロで、または非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物、または一過性にトランスフェクトされた動物)における1つ以上の細胞において培養され得る。
【0066】
用語「発現系」とは、例えば、ベクターに担持され、そして宿主細胞に導入された外来DNAによってコードされたタンパク質の発現に適切な条件下の宿主細胞および適合性ベクターを意味する。通常の発現系としては、E.coli宿主細胞とプラスミドベクター、昆虫宿主細胞(例えば、Sf9、Hi5、またはS2細胞)とBaculovirusベクター、Drosophila細胞(Schneider細胞)と発現系、および哺乳動物宿主細胞とベクターが挙げられる。例えば、OSCARは、PC12、COS−1、またはC2C12細胞で発現され得る。他の適切な細胞としては、CHO細胞、HeLa細胞、293T(ヒト腎臓細胞)、マウス初代筋芽細胞、およびNIH 3T3細胞が挙げられる。
【0067】
用語「異種の(heterologous)」とは、天然には存在しないエレメントの組み合わせをいう。例えば、本発明は、rRNA配列、およびrRNA配列の一部ではない異種RNA配列を含むキメラRNA分子を含む。この文脈においては、異種RNA配列とは、リボソームRNA配列内に天然には位置していないRNA配列をいう。あるいは、異種RNA配列は、リボソームRNA配列内に天然に位置していてもよいが、天然に存在しないrRNA配列中の位置に見出される。別の例として、異種DNAとは、細胞または細胞の染色体部位に天然には位置していないDNAをいう。好ましくは、異種DNAは、細胞に対して外来の遺伝子を含む。異種発現調節エレメントは、それが天然に作動可能に連結されている遺伝子とは異なる遺伝子と作動可能に連結されている調節エレメントである。
【0068】
用語「変異体」および「変異」とは、遺伝物質(例えば、DNA)における任意の検出可能な変化、またはこのような変化の任意のプロセス、機構もしくは結果を意味する。これは、遺伝子変異を含み、ここで遺伝子の構造(例えば、DNA配列)は変更され、任意の遺伝子またはDNAが任意の変異プロセスから生じ、そして任意の発現産物(例えば、RNA、タンパク質、または酵素)が、改変された遺伝子またはDNAの配列によって発現される。用語「改変体」とは、改変した、または変更した遺伝子、DNA配列、RNA、酵素、細胞など(すなわち、任意の変異体の種類)を示すために用いられ得る。例えば、本発明は、rRNA配列を含む、変更した、または「キメラ」のRNA分子に関する。この分子は、天然にはその配列の一部でないか、または天然にはそのrRNA配列の位置に配置されていない異種RNA配列を挿入することによって変更されている。このようなキメラRNAの配列、ならびにそれをコードするDNAおよび遺伝子はまた、本明細書において「変異体」配列とも呼ばれる。
【0069】
本明細書において用いる場合、用語「オリゴヌクレオチド」とは、一般には少なくとも10、好ましくは少なくとも15、そしてより好ましくは少なくとも20ヌクレオチド、好ましくは100ヌクレオチド以上の核酸であって、目的の遺伝子、mRNA、cDNA、または他の核酸をコードするゲノムDNA分子、cDNA分子、またはmRNA分子にハイブリダイズし得る核酸をいう。オリゴヌクレオチドは、例えば、32Pヌクレオチド、または標識(例えば、ビオチンまたは蛍光色素(例えば、Cy3またはCy5))が共有結合したヌクレオチドで標識され得る。1実施形態において、標識されたオリゴヌクレオチドは、核酸の存在を検出するためのプローブとして用いられ得る。別の実施形態において、オリゴヌクレオチド(その1つまたは両方が標識され得る)は、OSCARの全長またはフラグメントをクローニングするためか、またはOSCARをコードする核酸の存在を検出するためのいずれかのために、PCRプライマーとして用いられ得る。さらなる実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、OSCAR DNA分子と三重螺旋を形成し得る。概して、オリゴヌクレオチドは合成的に、好ましくは核酸シンセサイザー(合成器)で調製される。従って、オリゴヌクレオチドは、天然には存在しないリン酸エステルアナログ結合(例えば、チオエステル結合など)を用いて調製され得る。
【0070】
本発明は、OSCAR遺伝子またはその遺伝子産物の発現を阻害するために用いられ得る、アンチセンス核酸(リボザイムを含む)を提供する。「アンチセンス核酸」は、一本鎖核酸分子であり、RNAまたはDNA分子における相補的な塩基と細胞質条件下でのハイブリダイゼーションの際に、後の役割を阻害する。RNAがメッセンジャーRNA転写物である場合、アンチセンス核酸分子は、逆転写物(countertranscript)、またはmRNAを妨害する相補的核酸である。現在用いられているとおり、「アンチセンス」は、広義には、RNA−RNA相互作用、RNA−DNA相互作用、三重螺旋相互作用、リボザイムおよびRNase−H媒介停止を含む。アンチセンス核酸分子は、細胞中での発現のために組み換え遺伝子によってコードされ得る(例えば、米国特許第5,814,500号;米国特許第5,811,234号)か、あるいは合成的に調製され得る(例えば、米国特許第5,780,607号)。本発明のアンチセンス核酸分子の他の特異的な例は、以下に提供される。
【0071】
本発明のために想定される合成オリゴヌクレオチドの特定の非限定的な例としては、上記の核酸部分に加えて、ホスホロチオエート、ホスホロトリエステル、メチルホスホネート、短鎖アルキルまたはシクロアルキル糖間連結、または短鎖ヘテロ原子または複素環式糖間連結を含むオリゴヌクレオチドが挙げられる。最も好ましいのは、CH2−NH−O−CH2、CH2−N(CH3)−O−CH2、CH2−O−N(CH3)−CH2、CH2−N(CH3)−N(CH3)−CH2、およびO−N(CH3)−CH2−CH2の骨格(ここでホスホジエステルは、OPO2−O−CH2である)を有するものである。米国特許第5,677,437号は、芳香族複素環オリゴヌクレオチド連結を記載している。窒素リンカーまたは窒素を含む基がまた、オリゴヌクレオチド模倣物を調製するために用いられ得る(米国特許第5,792,844号、および同第5,783,682号)。米国特許第5,637,684号は、ホスホラミダイトおよびホスホロチオアミダイトのオリゴマー化合物を記載している。モルホリノ骨格構造を有するオリゴヌクレオチドもまた、想定される(米国特許第5,034,506号)。他の実施形態において、ペプチド核酸(PNA)骨格のような、オリゴヌクレオチドのホスホジエステル骨格が、ポリアミド骨格と置換され得、この塩基は、ポリアミド骨格のアザ窒素原子に対して直接または間接的に結合される(Nielsenら、Science 254:1497,1991)。他の合成オリゴヌクレオチドは、2’位置で以下のうちの1つを含む置換糖部分を含み得る:OH、SH、SCH3、F、OCN、O(CH2)nNH2、またはO(CH2)nCH3(ここで、nは、1〜約10である);C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリルまたはアラルキル;Cl;Br;CN;CF3;OCF3;O−;S−、またはN−アルキル;O−、S−、またはN−アルケニル;SOCH3;SO2CH3;ONO2;NO2;N3;NH2;ヘテロシクロアルキル;ヘテロシクロアルカリル;アミノアルキルアミノ;ポリアルキルアミノ;置換シリル;フルオレセイン部分;RNA切断基;レポーター基;インターカレーター;オリゴヌクレオチドの薬物動態的特性を改善する基;またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善する基、および類似の特性を有する他の置換基。オリゴヌクレオチドはまた、ペントフラノシル基に代わってシクロブチルまたは他の炭素環のような糖模倣物を有し得る。アデノシン、シチジン、グアノシン、チミジン、およびウリジン以外のヌクレオチド(例えば、イノシン)を有するヌクレオチド単位が、オリゴヌクレオチド分子において用いられ得る。
【0072】
核酸分子は、この核酸分子の一本鎖形態が、適切な条件の温度および溶液イオン強度の下で他の核酸分子にアニーリングし得る場合、別の核酸分子(例えば、cDNA、ゲノムDNA、またはRNA)に「ハイブリダイズ可能」である(Sambrookら、前出を参照のこと)。温度およびイオン強度の条件は、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。相同な核酸についての予備的なスクリーニングについて、低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件(55℃のTm(融点)に相当する)を用い得る(例えば、5×SSC、0.1%SDS、0.25%ミルク、およびホルムアルデヒドなし;または30%ホルムアミド、5×SSC、0.5%SDS)。中度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、さらに高いTmに相当する(例えば、40%ホルムアミドとともに5×SCCまたは6×SCC)。高ストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件は、最高のTmに相当する(例えば、50%ホルムアミド、5×SSCまたは6×SCC)。SCCは、0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウムである。ハイブリダイゼーションには、2つの核酸が、相補的な配列を含むことが必要であるが、これは、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに依存し、塩基間のミスマッチは可能である。核酸をハイブリダイズするために適切なストリンジェンシーは、当該分野で周知の変数である、核酸の長さおよび相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列の間の類似性または相同性の程度が大きくなるほど、これらの配列を有する核酸のハイブリダイズのためのTmの値は大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対的な安定性(より高いTmに相当する)は、以下の順番で低下する:RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。100ヌクレオチド長より大きいハイブリッドについて、Tmを計算するための式が導びかれている(Sambrookら、前出、9.50−9.51を参照のこと)。さらに短い核酸(すなわち、オリゴヌクレオチド)でのハイブリダイゼーションのためには、ミスマッチの位置がさらに重要になり、そしてオリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(Sambrookら、前出、11.7−11.8を参照のこと)。ハイブリダイズ可能な核酸の最小の長さは、少なくとも約10ヌクレオチド;好ましくは少なくとも約15ヌクレオチドであり;そしてより好ましくは、この長さは少なくとも約20ヌクレオチドである。
【0073】
特定の実施形態において、用語「標準的ハイブリダイゼーション条件」とは、55℃のTmをいい、そして上記のような条件を利用する。好ましい実施形態において、Tmは60℃である;さらに好ましい実施形態において、Tmは65℃である。特定の実施形態において、「高ストリンジェンシー」とは、0.2×SSC中の68℃で、50%ホルムアミド、4×SSC中42℃での、またはこれらの2つのいずれかの条件下で観察されるハイブリダイゼーションに等価なハイブリダイゼーションのレベルを提供する条件下のハイブリダイゼーション条件および/または洗浄条件をいう。
【0074】
オリゴヌクレオチドに適切なハイブリダイゼーション条件(例えば、オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマー)は、オリゴヌクレオチドのより低い融点によって、代表的に全長核酸(例えば、全長cDNA)とはいくぶん異なる。オリゴヌクレオチドの融点は、含まれたオリゴヌクレオチド配列の長さに依存するので、適切なハイブリダイゼーション温度は、用いられるオリゴヌクレオチド分子に依存して変化する。例示的な温度は37℃(14塩基オリゴヌクレオチドについて)、48℃(17塩基オリゴヌクレオチドについて)、55℃(20塩基オリゴヌクレオチドについて)、および60℃(23塩基オリゴヌクレオチドについて)であり得る。オリゴヌクレオチドの例示的な適切なハイブリダイゼーション条件としては、6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中での洗浄、または等価なレベルのハイブリダイゼーションを提供する他の条件が挙げられる。
【0075】
(OSCARポリペプチド)
本発明のOSCARポリペプチドは、上記で規定されている。1つの好ましいOSCARポリペプチドは、約264アミノ酸残基長の配列を含み、そして好ましくは約16アミノ酸残基長のシグナルペプチド配列を含む。別の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、約248アミノ酸残基長の配列を含み得、そしてシグナルペプチド配列は含まない。2つの実施形態のポリペプチドは、それぞれ、約28.7kDaおよび約27.0kDAの推定分子量(アミノ酸配列から算出した)を有し得る。なお他の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、例えば、グリコシル化によって改変され得る。このような実施形態において、OSCARポリペプチドのみかけの分子量は、そのアミノ酸配列のみによって算出した分子量とは異なり得る。例えば、好ましい実施形態において、OSCARポリペプチドは、35kDaまたは40kDaのみかけの分子量(例えば、SDS−PAGEによって決定された)を有し得る。
【0076】
上記のように、本発明のOSCARポリペプチドはまた、破骨細胞におけるその発現パターンによって特徴付けられ得る。詳細には、OSCAR遺伝子および本発明の遺伝子産物は好ましくは、破骨細胞においてのみ発現される(OSCARポリペプチドを発現するように(例えば、下記の方法に従って)操作された宿主細胞を除いて)。詳細には、本発明のOSCARポリペプチドは好ましくは、マクロファージおよび樹状細胞を含む、他の骨髄由来細胞においては発現されない。さらに、本発明のOSCARポリペプチドは好ましくは、器官(筋、腎臓、脳、心臓、肝臓、小腸、胸腺、脾臓、およびリンパ球を含むがこれに限定されない)の他の細胞または組織においては発現されない。しかし、本発明のOSCARポリペプチドがこれらの細胞型および他の細胞型(このような細胞は、例えば、OSCARポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクターを用いて形質転換されている)によって発現され得ることが理解される。
【0077】
本発明のOSCARポリペプチドはまた、それらの特異的な生体活性によって特徴付けられ得る。詳細には、これらのポリペプチドは、以下の実施例において実証されるように、破骨細胞の成熟および活性を調節し得る。例えば、本発明のOSCARポリペプチドの投与により、骨芽細胞の存在下での、破骨細胞の成熟および活性を減少し得る(例えば、多核性の破骨細胞の減少した数によって決定される)。任意の特定の理論または活性の機構に束縛されることを望まないが、このようなポリペプチドは骨芽細胞によって産生されたOSCARリガンドに競合的に結合すると考えられる。このようなOSCARリガンドは、通常、破骨細胞によって発現されたOSCARポリペプチドに結合し、その結果、これらの破骨細胞の成熟が誘導される。従って、OSCARリガンドに競合的に結合することによって、さらなるOSCARポリペプチドの投与が、破骨細胞のリガンド刺激を実際に防止する。
【0078】
あるいは、本発明のOSCARポリペプチドはまた、破骨細胞によって発現される場合、OSCARリガンドとの結合により、破骨細胞の成熟および/または破骨細胞の活性を増加する能力によって特徴付けされ得る。
【0079】
一つの特異的な実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図1Cに記載されるアミノ酸配列(配列番号3)を含む。このマウスのOSCARポリペプチドは、少なくとも5つの異なるドメインに対応する配列を含む:シグナルペプチド配列(配列番号3のアミン酸残基1〜16を含む);2つのIg様ドメイン配列(それぞれ配列番号3のアミノ酸残基17〜122および123〜228を含む);膜貫通ドメイン配列(配列番号3のアミノ酸残基229〜247を含む);および細胞質テールドメイン(sytoplasmic tail domain)配列(配列番号3のアミノ酸残基248から264を含む)。これらのドメインのうちのいずれかを明確にするために特定されたアミノ酸残基の数は、おおよその数であることが理解される。
【0080】
別の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、ヒトOSCARポリペプチドのアミノ酸配列を含む。詳細には、本発明は、ヒトOSCARポリペプチドの少なくとも5つのアイソフォーム(すなわち、改変体)を提供する。本明細書において、これらの改変体は、それぞれ、C18ヒトOSCARアイソフォーム(図3Bおよび配列番号7に記載される)、C16ヒトOSCARアイソフォーム(図4Bおよび配列番号9に記載される);C10ヒトOSCARアイソフォーム(図5Bおよび配列番号11に記載される)、ヒトOSCARアイソフォームS1(図24Bおよび配列番号25に記載される)ならびにヒトOSCARアイソフォームS2(図25Bおよび配列番号27に記載される)をいう。
【0081】
従って、一つの特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図3B(配列番号7)に記載されるアミノ酸配列を含む。このC18ヒトOSCARアイソフォームは、少なくとも5つの異なるドメインに対応する配列を含む:シグナルペプチド配列(配列番号7のアミノ酸残基1〜18を含む)、2つのIg−様ドメイン配列(それぞれ配列番号7のアミノ酸残基19〜123および124〜229を含む)、膜貫通ドメイン配列(配列番号7のアミノ酸残基230〜248を含む);および細胞質テールドメイン配列(配列番号7のアミノ酸残基249〜263を含む)。
【0082】
別の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図4B(配列番号9)に記載されるアミノ酸配列を含む。このC16ヒトOSCARアイソフォームはまた、少なくとも5つの異なるドメインに対応する配列を含む:シグナルペプチド配列(配列番号9のアミノ酸残基1〜18を含む)、2つのIg−様ドメイン配列(配列番号9のアミノ酸残基19〜127および128〜233を含む)、膜貫通ドメイン配列(配列番号9のアミノ酸残基234〜252を含む);および細胞質テールドメイン配列(配列番号9のアミノ酸残基253〜267を含む)。
【0083】
なお別の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図5B(配列番号11)に記載されるアミノ酸配列を含む。このC10ヒトOSCARアイソフォームはまた、少なくとも5つの異なるドメインに対応する配列を含む:シグナルペプチド配列(配列番号11のアミノ酸残基1〜13を含む)、2つのIg−様ドメイン配列(それぞれ配列番号11のアミノ酸残基14〜112および113〜218を含む)、膜貫通ドメイン配列(配列番号11のアミノ酸残基219〜237を含む);および細胞質テールドメイン配列(配列番号11のアミノ酸残基238〜252を含む)。
【0084】
なお別の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図24B(配列番号25)に記載されるアミノ酸配列を含む。この実施形態は、上記の実施形態において見出される膜貫通ドメインを欠失する。
【0085】
なお別の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図25B(配列番号27)に記載されるアミノ酸配列を含む。この実施形態はまた、上記の実施形態において見出される膜貫通ドメインを欠失する。
【0086】
別の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図1C、3B、4B、5B、24B、25B、26Bおよび27B(それぞれ、配列番号3、7、9、11、25、27、29および31)に記載される全長OSCARポリペプチドのような、全長OSCARポリペプチドの1以上の個々のドメインのアミノ酸配列を含む。従って、例えば、本発明のOSCARポリペプチドは、配列番号3、7、9および11に記載されるOSCARポリペプチドのいずれかについて上に記載される、シグナル配列ドメイン、いずれかのIg様ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。本発明のOSCARポリペプチドは、これらの個々のドメインの任意の組み合わせに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをさらに含む。これらのドメインのうちのいずれかを明確にするために特定されたアミノ酸残基の数は、おおよその数であることが理解される。
【0087】
本発明のOSCARポリペプチドはまた、図1C、3B、4B、5B、24B、25B、26Bおよび27B(それぞれ、配列番号3、7、9、11、25、27、29および31)に記載される全長OSCARポリペプチドのいずれかのエピトープのような、全長OSCARポリペプチドのエピトープのアミノ酸配列を含有するポリペプチドを含む。OSCARポリペプチドのエピトープは、ポリペプチド上の部位を表し、このポリペプチドに対して抗体が産生され得、そしてこのポリペプチドに抗体が結合する。従って、OSCARエピトープのアミノ酸配列を含むポリペプチドは、OSCARタンパク質に対する抗体を作製するために有用である。好ましくは、エピトープは、少なくとも5個、より好ましくは、少なくとも10個、15個、20個、25個、または50個のアミノ酸残基長の配列を含む。従って、OSCARタンパク質のエピトープを含む、本発明のOSCARポリペプチドは、好ましくは、OSCARタンパク質配列の少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、または少なくとも50個のアミノ酸残基の配列に対応するアミノ酸配列を含む。例えば、特定の好ましい実施形態において、このエピトープが、図1C、3B、4B、5B、24B、25B、26Bおよび27B(それぞれ、配列番号3、7、9、11、25、27、29および31)に記載されるOSCARポリペプチドのうちの一つのエピトープである場合、OSCARポリペプチドは、図1C、3B、4B、5B、24B、25B、26Bおよび27B(それぞれ、配列番号3、7、9、11、25、27、29および31)に記載される配列の少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、または少なくとも50個のアミノ酸残基の配列に対応するアミノ酸配列を含む。
【0088】
本発明のOSCARポリペプチド中のさらに他のフラグメントが、本明細書中で提供される。例えば、実施例(後述)は、図2Bに記載されるポリペプチド配列(配列番号5)をコードする、OCL178と呼ばれるクローンを提供する。このポリペプチドは、図1Cに記載される全長ポリペプチド(配列番号3)のアミノ酸残基161〜265の配列に対応する。このようなフラグメントはまた、本発明のOSCARポリペプチド中にある。
【0089】
本発明のOSCARポリペプチドはまた、全長OSCARポリペプチド(例えば、配列番号3、7、9、11、25および27)のアナログおよび誘導体を含む。本発明のOSCARポリペプチドのアナログおよび誘導体は、上記のOSCARポリペプチドと同一の特徴または相同的な特徴を有する。
【0090】
例えば、OSCARポリペプチドの短縮型が提供され得る。このような短縮型は、特定の欠失を有するOSCARポリペプチドを含み得る。例えば、特定の実施形態において、全長OSCARポリペプチドの1個以上のドメイン(例えば、シグナル配列ドメイン、1個以上のIg様ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質テールドメイン)に対応するアミノ酸残基は、OSCARポリペプチドのアミノ酸配列から欠失され得る。好ましい実施形態において、本発明の短縮OSCARポリペプチドは、シグナル配列ドメインが欠失されたか、そうでなければ除去されたポリペプチドであり、すなわち、シグナル配列ドメインを含まないポリペプチドである。
【0091】
特定の実施形態において、誘導体は、機能的に活性であり、すなわち、この誘導体は、本発明の全長の野生型OSCARポリペプチドに関連する、1個以上の機能的活性を示し得る。
【0092】
OSCARキメラ融合ポリペプチドが調製され得、ここで、この融合タンパク質のOSCAR部分は、OSCARポリペプチドの1つ以上の特徴を有する。従って、このような融合ポリペプチドは、本発明のOSCARポリペプチドの実施形態を示す。例示的なOSCAR融合ポリペプチドは、全長OSCARアミノ酸配列、誘導体OSCARアミノ酸配列または短縮OSCARアミノ酸配列、およびOSCARポリペプチド配列のフラグメント(例えば、エピトープまたは1つ以上のドメインに対応するフラグメント)を含む融合物を含有する、ポリペプチドを含む。このような融合ポリペプチドはまた、マーカーポリペプチドのアミノ酸配列(例えば、FLAG、ヒスチジンタグ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、赤血球凝集素、またはヒトIgGのFc部分)を含み得る。他の実施形態において、OSCARポリペプチドは、βガラクトシダーゼのような細菌性タンパク質で発現され得る。さらに、OSCAR融合ポリペプチドは、このポリペプチドの安定性を増加させるアミノ酸配列を含み得る(例えば、チオレダクターゼアミノ酸配列または1つ以上の免疫グロブリンタンパク質(例えば、IgG1またはIgG2)の配列)。
【0093】
OSCARアナログまたは改変体はまた、例えば、置換、添加または欠失によりコードする核酸分子を改変することによって作製され得る。好ましくは、このような改変された核酸分子は、機能的に類似の分子(すなわち、1つ以上のOSCAR機能を実施するか、または1つ以上のOSCAR生体適合性を有する分子)をコードする。従って、特定の実施形態において、OSCARポリペプチドのアナログは、機能保存的な改変体である。
【0094】
ポリペプチドの「機能保存的な改変体」は、ポリペプチド中の所定のアミノ酸残基が、ポリペプチドの全体のコンホメーションおよび/または機能(例えば、生体適合性)を改変することなく変えられた、ポリペプチドの改変体である。このような変化としては、同様の特性(例えば、極性、水素結合能、酸性度、アルカリ度、疎水性、芳香族性などの類似の特性)を有するアミノ酸でのアミノ酸の置換が上げられるが、これらに限定されない。例えば、アルギニン、ヒスチジンおよびリジン(これに限定されない)は、親水性塩基性アミノ酸であり、そして交換可能であり得る。同様に、イソロイシン(疎水性アミノ酸)は、ロイシン、メチオニンまたはバリンで置換され得る。このような変化は、タンパク質またはポリペプチドのみかけの分子量または等電点にほとんど影響を有さないか、または全く影響を有さない。
【0095】
本明細書中において、保存されているとして特異的に同定されるアミノ酸残基以外のアミノ酸残基は、タンパク質またはポリペプチドの改変体とは異なり得る。従って、類似機能の任意の2種のOSCARポリペプチド間で、タンパク質またはアミノ酸配列の類似性の割合は変化し得る。代表的に、異なるOSCARポリペプチド改変体間での、タンパク質またはアミノ酸配列の類似性の割合は、アライメントスキーム(例えば、Cluster Methodおよび/またはMEGALIGNアルゴリズム)に従って決定される場合、70%から99%であり得る。「機能保存的な改変体」はまた、例えば、BLASTアルゴリズムまたはFASTAアルゴリズムによって決定される場合、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、そしてさらにより好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む。好ましくは、このような機能保存的な改変体はまた、これらが比較されるネイティブなポリペプチドと、同一または類似の特性、機能または生体活性を有する。さらに、本発明の機能保存的な改変体は、本発明の全長OSCARタンパク質の改変体(例えば、図1C、3B、4B、5B、24B、25B、26Bおよび27Bに記載の配列を含むOSCARポリペプチドの改変体(それぞれ、配列番号3、7、9、11、25、27、29および31)を含むだけでなく、改変された(例えば、短縮および欠失)OSCARポリペプチドの機能保存的な改変体、および全長OSCARタンパク質のフラグメント(例えば、ドメインまたはエピトープに対応する)を含む。
【0096】
なお他の実施形態において、OSCARポリペプチドのアナログは、OSCARポリペプチドの対立遺伝子改変体または対立遺伝子変異体である。対立遺伝子改変体および対立遺伝子変異体という用語は、ポリペプチドを記載するために使用される場合、対立遺伝子改変体または対立遺伝子変異体の遺伝子によってコードされたポリペプチドをいう。従って、本発明の対立遺伝子改変体および対立遺伝子変異体のOSCARポリペプチドは、本発明のOSCAR核酸分子の、対立遺伝子改変体または対立遺伝子変異体によってコードされたポリペプチドである。
【0097】
なお他の実施形態において、OSCARポリペプチドのアナログは、同一の種(例えば、対立遺伝子改変体)または別の種(例えば、オルソログポリペプチド);好ましくは、別の哺乳動物の種(例えば、マウス、ヒト、ラット、ウサギ、ハムスターまたはモルモット)由来の、実質的に相同性のポリペプチドである。しかし、本発明のOSCARホモログは、いくつかを挙げると、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ウシ、トリおよびゼノプスを含む任意の種由来であり得る。例えば、図3B(配列番号7)に記載されるOSCARポリペプチド配列は、ヒトOSCARオルソログであり、そして図1C(配列番号3)に記載されるマウスOSCARポリペプチドに対して相同性である。図6に示される、これらの2つのアミノ酸配列のアライメントは、この2つの配列がかなりの配列同一性を共有することを実証する。詳細には、C18ヒトOSCARアイソフォーム(図6のhOSCAR(配列番号7))のポリペプチド配列は、マウスOSCARポリペプチド配列(図6のmOSCAR(配列番号3))に対して74.6%(すなわち、約75%)の同一性である。
【0098】
本明細書中で使用される場合、その全ての文法的な形態およびスペル変化において、用語「相同性」は、「共通の進化的起源」を有すると理解されるタンパク質間の関係をいい、これには、スーパーファミリー(例えば、免疫グロブリンスーパーファミリー)由来のタンパク質および異なる種由来の相同性タンパク質が挙げられる。例えば、Reeckら、Cell 1987,50:667を参照のこと。異なる種由来の対応するタンパク質は、「オルソログ」といわれる。相同性タンパク質およびオルソログタンパク質、ならびにそれらのコード遺伝子は、配列類似性によって示されるような、配列相同性を有する。このような配列類似性は、例えば、配列類似性の割合(例えば、アミノ酸配列の同一性または相同性の割合)、または保存された部分における、特異的アミン酸残基もしくはモチーフの割合によって示され得る。
【0099】
用語「配列類似性」は、その全ての文法的な形態において、核酸配列間またはアミノ酸配列間の、同一性または対応の程度をいう。本明細書中で他の述べられる場合を除いて、用語「相同性」は、単に、配列の類似性をいい、必ずしも共通の進化の起源に関するわけではない。
【0100】
特定の実施形態において、このポリペプチドが本明細書中に開示されるアルゴリズムの一つによって決定される際に、少なくとも35〜40%、1以上の高度に保存されたドメインにおいてまたは対立遺伝子に対して、全アミノ酸配列にわたって、好ましくは少なくとも60%、そして最も好ましくは少なくとも90または95%類似である場合、2つのポリペプチド配列は、「実質的に相同性」であるか、または「実質的に類似性」である。アミノ酸配列または核酸配列を比較するために使用され得る配列比較アルゴリズムは、BLASTアルゴリズム(例えば、BLAST P、BLAST N、BLAST X)、FASTA、DNA Strinder、GCG(Genetics Computer Group、GCG PakcageのためのProgram Manual、Version 7、Madison、Wisconsin)パイルアッププログラムなどを含む。他に記載されなければ、本明細書中で言及される全ての配列の比較は、これらのアルゴリズムを用いて提供されるデフォルトパラメーターを使用してなされる。これらの配列の例は、本発明の特定のOSCAR遺伝子および遺伝子産物の、対立遺伝子改変体または種改変体であり、これは、例えば、図1C、3B、4B、5B、24B、25B、26Bおよび27Bに示されるOSCARポリペプチド配列(それぞれ、配列番号3、7、9、11、25、27、29および31)の、対立遺伝子改変体または種改変体を含む。実質的に相同性である配列は、配列データバンクにおいて利用可能な標準的なソフトウェアを使用して、配列を比較することによって同定され得る。
【0101】
他の実施形態において、OSCARポリペプチドの改変体(アナログまたはホモログを含む)は、例えば、規定条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験において、OSCARポリペプチドをコードする核酸分子の相補体にハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドである。例えば、特定の実施形態において、OSCARポリペプチドのアナログおよび/またはホモログは、50%のホルムアミドおよび5×SSCまたは6×SSCを含む高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、OSCAR核酸配列(例えば、図1A、1B、2A、26Aおよび27A(それぞれ、配列番号1、2、4、30、および31)、ならびに3A、4A、5A、24A、および25A(それぞれ、配列番号6、8、10、26および28))に記載されるコード配列のいずれか)の相補体にハイブリダイズする核酸分子によってコードされたアミノ酸配列を含む。他の実施形態において、OSCARポリペプチドのアナログおよび/またはホモログは、中程度にストリンジェントな条件下(すなわち、5×SSCまたは6×SSCを含む40%ホルムアミド)、または低ストリンジェンシー条件下(例えば、5×SSC、0.1%のSDS、0.25%の乳剤、ホルムアミドなし、30%のホルムアミド、5×SSC、または0.5%のSDS)で、OSCAR核酸配列(例えば、それぞれ、図1A、1B、2A、3A、4A、5A、24A、25A、26Aおよび27A、ならびに、配列番号1、2、4、6、8、10、26、28、30、および31に記載のコード配列)の相補体にハイブリダイズする核酸分子によってコードされたアミノ酸配列を含み得る。
【0102】
さらに他の実施形態において、OSCARポリペプチドのアナログ、ホモログおよびオルソログを含む改変体は、改変体OSCAR遺伝子を単離することによって(例えば、OSCARポリペプチドのアミノ酸配列を基礎に設計された短縮オリゴヌクレオチドプライマーを使用するPCRによって、そして、以下に記載されるようにして)同定され得る。
【0103】
本発明のOSCARポリペプチドの誘導体としては、さらに、化学的に改変される、リン酸化OSCAR、ミリスチル化OSCAR、メチル化OSCAR、および他のOSCARポリペプチドが挙げられるが、これらに限定する意味ではない。本発明のOSCARポリペプチドはまた、例えば、ヨウ素もしくはリン(例えば、EP372707Bを参照のこと)または他の検出可能な分子(例えば、ビオチン、蛍光色素(例えば、Cy5またはCy3)、金属イオンと複合体化するキレート剤、クロモホア(chromophore)またはフルオロホア(fluorophore)、金コロイド、ラテックスビーズのような粒子)で放射標識されるか、あるいは水性ポリマーに結合された、標識化した改変体を含む。
【0104】
OSCAR核酸またはポリペプチドの、生物学的に活性な成分の化学的な改変体は、特定の状況下で、さらなる利点を提供し得る。例えば、Davisらに1970年12月18日に交付された米国特許第4,179,337号を参照のこと。また総説に関して、Abuchowskiら、Enzymes as Drugs(J.S.HolcerbergおよびRoberts編、1981)367〜383頁を参照こと。タンパク質の改変および融合タンパク質を記載する総説論文は、Francis,Focus on Growth Factors 1992,3:4〜10,Mediscript:Mountview Court,Friern Barnet Lane,London N20,OLD,UKに見出される。
【0105】
(OSCAR核酸)
本発明のOSCAR核酸分子はまた、上に規定される通りであり、そしてDNA分子およびRNA分子、ならびに上記の改変体(例えば、改変された塩基および/または骨格)のうちのいずれかを含有する核酸分子を含む。一般に、OSCAR核酸分子は、OSCARポリペプチドをコードする核酸配列、OSCARポリペプチドをコードする核酸配列の相補体、およびそれらのフラグメントを含む。従って、一つの好ましい実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、図1C(配列番号3)に記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(例えば、図1Aおよび1B(それぞれ、配列番号1および2)に記載される特定のOSCAR核酸配列)を含む。別の好ましい実施形態において、本発明の核酸分子は、図26B(配列番号29)に記載されるアミノ酸配列をコードする核酸配列(例えば、図26A(配列番号30)に記載される特定のOSCAR核酸配列)を含む。なお別の好ましい実施形態において、本発明の核酸分子は、図27B(配列番号31)に記載されるアミノ酸配列をコードする核酸配列(例えば、図27A(配列番号32)に記載される特定のOSCAR核酸配列)を含む。
【0106】
別の好ましい実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、上記のC18ヒトOSCARアイソフォームについて、図3B(配列番号7)に記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、この配列は、図3A(配列番号6)に記載される特定のOSCAR核酸配列を含む。好ましくは、この例示的なOSCAR配列(すなわち、図3Aおよび配列番号6に示される例示的な配列)の核酸328は、グアニンである。しかし、例示的な代替実施形態において、核酸328は、チミンであり得る。
【0107】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、上記のC16ヒトOSCARアイソフォームについて、図4B(配列番号9)に記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、この配列は、図4A(配列番号8)に記載される特定のOSCAR核酸配列を含む。なお別の好ましい実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、上記のC10ヒトOSCARアイソフォームについて、図5B(配列番号11)に記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、この配列は、図5A(配列番号10)に記載される特定のOSCAR核酸配列を含む。
【0108】
別の好ましい実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、S1ヒトOSCARアイソフォームについて、図24B(配列番号25)に記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、この配列は、図24Aに記載される特定のOSCAR核酸配列を含む。なお別の好ましい実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、S2ヒトOSCARアイソフォームについて、図25B(配列番号27)に記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、この配列は、図25A(配列番号28)に記載される特定のOSCAR核酸配列を含む。
【0109】
なお他の実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、OSCARポリペプチドの1つ以上のドメイン(例えば、シグナル配列ドメイン、1つ以上のIg様ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質テールドメイン)をコードする核酸配列、またはOSCARポリペプチドのドメインの任意の組み合わせをコードする核酸配列を含む。
【0110】
本発明のOSCAR核酸分子はまた、OSCAR遺伝子に対するゲノムOSCARヌクレオチド配列を含む。例えば、図7A〜D(配列番号12)は、ヒトOSCAR遺伝子のヌクレオチド配列を含むヒト第19染色体の領域由来の配列を記載する。従って、これらのヌクレオチド配列を含む核酸分子は、本発明のOSCAR核酸中にある。例えば、一つの実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、表1(上述)に記載され、そして図7A〜Dに例示される、1つ以上のイントロン配列またはエキソン配列由来のヌクレオチド配列を含む。他の実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、OSCAR遺伝子のエキソンおよび/またはイントロンの組み合わせについてのヌクレオチド配列を含む。
【0111】
本発明のOSCAR核酸分子はまた、OSCARポリペプチドのフラグメント(例えば、エピトープ)をコードする核酸配列も含み得る。このようなフラグメントは、例えば、図2A(配列番号4)に記載される核酸配列をコードするポリヌクレオチド、および図2B(配列番号5)に記載されるポリペプチド配列をコードする他の核酸配列を含む。
【0112】
本発明のOSCAR核酸分子はまた、改変されたOSCARポリペプチド(例えば、アミノ酸の置換、欠失または短縮を有するポリペプチド)のため、およびOSCARポリペプチドの改変体(同一の種および異なる種由来のアナログおよびホモログを含む改変体)のためのコード配列を含有する核酸分子を含む。好ましい実施形態において、このような核酸分子は、OSCARコードヌクレオチド配列(例えば、図1A−B、3A、4A、5A、7A−D、24A、25A、26Aおよび27Aに記載されるコード配列)(それぞれ、配列番号1−2、6、8、10、12、26、28、30および32)に対して、少なくとも50%、好ましくは、少なくとも75%、そしてより好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有する。あるいは、本発明の核酸分子はまた、例えば、規定条件下でサザンブロットアッセイにおいて、OSCAR核酸分子にハイブリダイズする核酸分子であり得る。例えば、特定の実施形態において、標識化したOSCAR cDNAは、1.65kbのEcoRIフラグメントおよび5.5kbのBgl IIフラグメントを含む、1つ以上のヒトゲノムフラグメントにハイブリダイズする。
【0113】
特定の実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、50%のホルムアミドおよび5×SSCまたは6×SSCを含む高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、図1A−B、3A、4A、5A、7A−D、24A、25A、26Aおよび27Aに記載されるコード配列(それぞれ、配列番号1−2、6、8、10、12、26、28、30および32)のうちのいずれかのような、OSCAR核酸配列の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。他の実施形態において、核酸分子は、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下(すなわち、5×SSCまたは6×SSCを含む40%ホルムアミド)、または低いストリンジェンシー条件下(例えば、5×SSC、0.1%のSDS、0.25%の乳剤、ホルムアミドなし、30%のホルムアミド、5×SSC、または0.5%のSDS)で、OSCAR核酸配列(例えば、図1A−B、3A、4A、5A、7A−D、24A、25A、26Aおよび27Aに記載されるコード配列)の相補体にハイブリダイズする。特定の好ましいハイブリダイゼーション条件は、低いストリンジェンシーハイブリダイゼーション緩衝液(例えば、30%ホルムアミド、10mM Tris pH7,6、2.5×Denhard溶液、5×SSC、0.5% SDSおよび1.5mg/mlの超音波処理したサケ***DNA)中、42℃でのハイブリダイゼーション、続く低いストリンジェンシー洗浄緩衝液(例えば、0.5×SSCおよび1% SDS)を使用する、50℃での洗浄(好ましくは、2回)を含む。例えば、下記の実施例は、マウスのフラグメントおよびヒトゲノムDNAをOSCARクローンOSL178(配列番号4)由来のOSCAR核酸配列にハイブリダイズさせる実験を記載する。従って、このようなゲノム配列は、本発明のOSCAR核酸配列の一部である。
【0114】
あるいは、本発明の核酸分子は、同じように規定されたハイブリダイゼーション条件下で、全長OSCARポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のフラグメント(例えば、図2Aにおいて示されるフラグメント(配列番号4))の相補体に対してか、または図2Bに示されるOSCARポリペプチドフラグメント(配列番号5)をコードする別の核酸分子に対してハイブリダイズし得る。例えば、下記の実施例は、クローンOCL178中に含まれ、そして図2A(配列番号4)に示されるOSCAR核酸フラグメントにハイブリダイズする、見かけ上4.0kb、1.8kbおよび1.1kbの長さのOSCAR mRNA分子の同定を記載する。実施例はまた、OCL178核酸にハイブリダイズするマウスゲノムDNAフラグメントおよびヒトゲノムDNAフラグメントの両方の同定を記載する。従って、このような核酸は、本発明のOSCAR核酸分子の例示的な実施形態である。
【0115】
他の実施形態では、本発明の核酸分子は、全長OSCAR配列のフラグメントを含む。例えば、好ましい実施形態において、このようなOSCAR核酸フラグメントは、全長をコードするOSCARヌクレオチド配列のなかの少なくとも10ヌクレオチド、好ましくは、少なくとも15ヌクレオチド、およびより好ましくは、少なくとも20ヌクレオチドの配列に対応するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、このフラグメントは、図1A〜B、3A、4A、5A、7A〜D、24A、25A、26Aおよび27A(それぞれ、配列番号1〜2、6、8、10、12、26、28、30および32)に示されるOSCARコード配列、または図1C、2B、3B、4B、5B、24B、25B、26Bおよび27B(それぞれ、配列番号3、5、7、9、11、25、27、29および31)に示されるポリペプチド配列をコードする他のヌクレオチド配列の部分(例えば、少なくとも10、15または20ヌクレオチドの部分)に対応する。
【0116】
他の好ましい実施形態では、OSCAR核酸フラグメントは、全長をコードするOSCAR核酸配列(例えば、図1A〜B、3A、4A、5A、7A〜D、24A、25A、26Aおよび27Aに示される配列(それぞれ、配列番号1〜2、6、8、10、12、26、28、30および32))、またはそのフラグメント(例えば、図2Aおよび配列番号4に示される配列)に対して相補的であり、および/またはハイブリダイズする、少なくとも10ヌクレオチド、好ましくは、少なくとも15ヌクレオチド、そしてより好ましくは、少なくとも20ヌクレオチドの配列を含む。このようなオリゴヌクレオチドについて適切なハイブリダイゼーション条件は上記の通りであり、そして6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中での洗浄を含む。オリゴヌクレオチドの融解温度は、そのオリゴヌクレオチド配列の長さに依存するので、適切なハイブリダイゼーション温度は、使用されるオリゴヌクレオチド分子に応じて変動する。例示的な温度は、37℃(14塩基のオリゴヌクレオチドについて)、48℃(17塩基のオリゴヌクレオチドについて)、55℃(20塩基のオリゴヌクレオチドについて)、および60℃(23塩基のオリゴヌクレオチドについて)である。
【0117】
本発明の核酸分子はまた、「キメラ」OSCAR核酸分子を含む。このようなキメラ核酸分子は、少なくとも1つのOSCAR核酸配列(これは、上記の任意の全長OSCAR核酸配列または部分的OSCAR核酸配列であり得る)と、少なくとも1つの非OSCAR核酸配列とを含むポリヌクレオチドである。例えば、非OSCAR核酸配列は、別の非OSCAR遺伝子に由来し、かつ天然に存在するOSCAR遺伝子と通常関連していない調節配列(例えば、プロモーター配列)であり得る。非OSCAR核酸配列はまた、別の非OSCARポリペプチド(例えば、FLAG、ヒスチジンタグ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、ヘマグルチニン、β−ガラクトシダーゼ、チオレダクターゼ、または免疫グロブリンのドメイン(1つまたは複数)(例えば、Fc領域))についてのコード配列であり得る。好ましい実施形態では、本発明のキメラ核酸分子は、本発明のOSCAR融合ポリペプチドをコードする。
【0118】
このようなフラグメントを含む核酸分子は、例えば、OSCARポリペプチドをコードする他の核酸分子(OSCARアナログおよびOSCARホモログのような改変体OSCARポリペプチドをコードする遺伝子を含む)を検出および増幅するためのオリゴヌクレオチドプローブおよびプライマー(例えば、PCRプライマー)として有用である。本発明のオリゴヌクレオチドフラグメントはまた、例えば、細胞におけるOSCAR遺伝子の発現または転写のレベルを調節するために、例えば、アンチセンス核酸、三重鎖形成オリゴヌクレオチドとして、またはリボザイムとして、使用され得る。
【0119】
本発明のOSCAR核酸分子は、ゲノムDNAであろうと、cDNAであろうと、または他のものであろうと、任意の供給源(例えば、マウスおよびヒトのcDNAライブラリーまたはゲノムライブラリーを含む)から単離され得る。OSCAR遺伝子を得るための方法は、上記のように、当該分野において周知である(例えば、Sambrookら,1989、前出、を参照のこと)。
【0120】
DNAは、クローン化されたDNAから(例えば、DNA「ライブラリー」から)、当該分野において公知の標準的な手順により獲得され得、そして好ましくは、そのタンパク質の高レベル発現を有する組織から調製されたcDNAライブラリーから(例えば、破骨細胞ライブラリー(なぜなら、これらの細胞は、最高レベルのOSCAR発現を示すため))から得られる。1つの好ましい実施形態では、下記の実施例において記載されるように、DNAを「サブトラクション」ライブラリーから得て、特定の細胞型により特異的に発現される遺伝子のcDNAについてライブラリーを富化する。例えば、下記の実施例において記載されるように、破骨細胞−マクロファージサブトラクションライブラリーが構築され得、ここでは、マクロファージによっても発現される、破骨細胞由来のcDNAのかなりの画分が取り除かれる。このようなサブトラクションライブラリーを使用することによって、破骨細胞により特異的に発現されかつマクロファージによっては発現されない遺伝子(例えば、OSCAR)についてのcDNAを単離する可能性が高まり得る。他の実施形態では、ライブラリーを、化学合成によってか、cDNAクローニングによってか、または所望の細胞から精製されたゲノムDNAもしくはそのフラグメントのクローニングによって、調製し得る(例えば、Sambrookら,1989,前出;Glover,D.M.編,1985,DNA Cloning:A Practical Approach,MRL Press,Ltd.,Oxford,U.K.第I巻および第II巻を参照のこと)。
【0121】
ゲノムDNA由来のクローンは、コード領域に加えて、調節DNA領域およびイントロンDNA領域を含み得る。cDNA由来のクローンは、一般的に、イントロン配列を含まない。どのような供給源であろうと、遺伝子は、その遺伝子の増幅のために適切なベクターに分子クローニングされるべきである。所望のOSCAR遺伝子を含む特定のDNAフラグメントの同定は、多数の方法で達成され得る。例えば、下記に例示されるOSCAR遺伝子の部分が精製され得、そして標識化プローブを調製するために標識され得る(Benton&Davis,Science 1977,196:180;Grunstein&Hogness,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1975,72:3961)。このプローブに対して実質的な相同性を有するDNAフラグメント(例えば、別の個体由来の対立遺伝子改変体)が、ハイブリダイズする。特定の実施形態では、最も高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を使用して、相同性OSCAR遺伝子を同定する。
【0122】
さらなる選択を、その遺伝子の特性に基づいて実施し得る(例えば、その遺伝子が、本明細書に開示されるOSCARタンパク質の等電点、電気泳動性、アミノ酸組成、部分的もしくは完全アミノ酸配列、抗体結合活性、またはリガンド結合プロフィールを有するタンパク質産物をコードするか否か)。このように、遺伝子の存在は、その発現産物の物理的特性、化学的特性、免疫学的特性、または機能的特性に基づくアッセイにより検出され得る。
【0123】
OSCAR遺伝子と実質的に同じアミノ酸配列をコードする他のDNA配列が、本発明の実施において使用され得る。これらには、対立遺伝子改変体、種改変体、配列保存的改変体、および機能的改変体が挙げられるが、これらに限定されない。特に、本発明の核酸配列は、「機能保存的改変体」および「配列保存的改変体」の両方を含む。核酸の機能保存的改変体とは、上記で規定されたような、ポリペプチドの機能保存的改変体をコードする核酸である。核酸の「配列保存的改変体」とは、異なるポリヌクレオチド配列を有するが同じアミノ酸配列をコードする核酸である。
【0124】
アミノ酸置換もまた導入されて、特に好ましい特性を有するアミノ酸を置換し得る。例えば、Cysが、別のCysとジスルフィド架橋の可能性のある部位に導入され得る。
【0125】
本発明のOSCARの誘導体およびアナログをコードする遺伝子は、当該分野で公知の種々の方法によって生成され得る。その産生を生じさせる操作は、遺伝子レベルまたはタンパク質レベルで起こり得る。例えば、クローン化されたOSCAR遺伝子配列は、当該分野で公知の任意の多数のストラテジーによって改変され得る(Sambrookら,1989,前出)。配列は、制限エンドヌクレアーゼで適切な部位で切断され得、次いで、所望される場合にはさらに酵素的に改変され、単離され得、そしてインビトロで連結され得る。OSCARの誘導体またはアナログをコードする遺伝子の生成においては、OSCAR遺伝子と同じ翻訳読み取り枠内に改変された遺伝子が残り、所望される活性がコードされる遺伝子領域内において翻訳停止シグナルにより割り込まれないことを確実にするように注意がなされるべきである。
【0126】
さらに、OSCARコード核酸配列は、インビトロまたはインビボで変異されて、翻訳開始配列および/または翻訳終結配列を作製および/または破壊するか、あるいはコード領域において改変を作製するか、および/または新たな制限エンドヌクレアーゼ部位を形成するか、あるいは既存の配列を破壊して、インビトロでのさらなる改変を容易にし得る。改変はまた、制限部位を導入するため、および発現ベクターへのOSCAR遺伝子のクローニングを容易にするためになされ得る。当該分野において公知の任意の変異誘発技術が使用され得、これらには、インビトロ部位特異的変異誘発(Hutchinson,C.ら,J.Biol.Chem.253:6551,1978;ZollerおよびSmith,DNA 3:479−488,1984;Oliphantら,Gene 44:177,1986;Hutchinsonら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83:710,1986)TABリンカー(Pharmacia)の使用などが挙げられるが、これらに限定されない。PCR技術は、部位特異的変異誘発のために好ましい(Higuchi,1989,「Using PCR to Engineer DNA」,PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification,H.Erlich編,Stockton Press,第6章,61〜70頁を参照のこと)。
【0127】
次いで、同定されおよび単離された遺伝子は、適切なクローニングベクター中に挿入され得る。当該分野で公知の多数のベクター−宿主系が使用され得る。可能なベクターとしては、プラスミドまたは改変されたウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。しかしこのベクター系は、使用される宿主細胞と適合性でなければならない。ベクターの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:E.coli、バクテリオファージ、例えば、λ誘導体、またはプラスミド、例えば、pBR322誘導体またはpUCプラスミド誘導体、例えば、pGEXベクター、pmal−c、pFLAG、pKKプラスミド(Clonetech)、pETプラスミド(Novagen,Inc.,Madison,WI)、pRSETまたはpREPプラスミド(Invitrogen,San Diego,CA)あるいはpMALプラスミド(New England Biolabs,Beverly,MA)など。クローニングベクター中への挿入は、例えば、相補的な付着末端を有するクローニングベクター中にDNAフラグメントを連結することによって達成され得る。しかし、DNAを断片化するために使用される相補的な制限部位がクローニングベクター中に存在しない場合には、このDNAの末端が酵素的に改変され得る。あるいは、所望される任意の部位を、DNA末端にヌクレオチド配列(リンカー)を連結することによって生成し得;連結されたこれらのリンカーは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする特定の化学合成オリゴヌクレオチドを含み得る。
【0128】
組換え分子は、形質転換、トランスフェクション、感染、エレクトロポレーションなどを通して宿主細胞中に導入され得、その結果、この遺伝子配列の多数のコピーが生成される。好ましくは、クローン化された遺伝子は、シャトルベクタープラスミドに含まれる。シャトルベクタープラスミドは、クローニング細胞(例えば、E.coli)における増幅、および適切な発現細胞株への引き続く挿入のための容易な精製(そのようなことが所望される場合)を提供する。例えば、1つより多くの型の生物において複製し得るベクターであるシャトルベクターが、E.coliプラスミド由来の配列と、酵母2mプラスミド由来の配列とを連結することによって、E.coliおよびSaccharomyces cerevisiaeの両方における複製のために調製され得る。
【0129】
(OSCARポリペプチドの発現)
OSCAR、あるいはその抗原性フラグメント、誘導体もしくはアナログ、または機能的に活性な誘導体(そのキメラタンパク質を含む)をコードするヌクレオチド配列が、適切な発現ベクター(すなわち、挿入されたタンパク質コード配列の転写および翻訳のために必要なエレメントを含むベクター)に挿入され得る。従って、本発明のOSCARをコードする核酸は、本発明の発現ベクター中においてプロモーターに作動可能に連結され得る。cDNA配列およびゲノム配列の両方が、このような調節配列の制御下でクローン化され得、そして発現され得る。このようなベクターを使用して、機能的または機能上、不活性にされたOSCARポリペプチドを発現し得る。
【0130】
必須の転写シグナルおよび翻訳シグナルが、組換え発現ベクターに提供され得る。
【0131】
あり得る宿主−ベクター系としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:発現プラスミドでトランスフェクトされるか、またはウイルス(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスなど)に感染される、哺乳動物細胞系;ウイルス(例えば、バキュロウイルス)で感染される、昆虫細胞系;酵母のような微生物(酵母ベクターを含む);または、バクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNAで形質転換される、細菌。ベクターの発現エレメントは、その強度および特異性において変動する。利用される宿主−ベクター系に依存して、多数の適切な転写エレメントおよび翻訳エレメントのうちのいずれか1つが使用され得る。
【0132】
OSCARタンパク質の発現は、当該分野で公知の任意のプロモーター/エンハンサーエレメントにより制御され得る。しかし、これらの調節エレメントは、発現のために選択された宿主において機能的でなければならない。OSCAR遺伝子発現を制御するために使用され得るプロモーターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(米国特許第5,385,839号および同第5,168,062号)、SV40初期プロモーター領域(BenoistおよびChambon,1981,Nature 290:304−310)、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含まれるプロモーター(Yamamotoら,Cell 22:787−797,1980)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1441−1445,1981)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら,Nature 296:39−42,1982);β−ラクタマーゼプロモーターのような、原核生物発現ベクター(Villa−Komaroffら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727−3731,1978)、またはtacプロモーター(DeBoerら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21−25,1983);また、「Useful proteins from recombinant bacteria」、Scientific American,242:74−94,1980を参照のこと;酵母または他の真菌由来のプロモーターエレメント、例えば、Gal 4プロモーター、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター;および、造血組織特異性を示す転写制御領域、特に:骨髄性細胞において活性であるβ−グロビン遺伝子制御領域(Mogramら,Nature 315:338−340,1985;Kolliasら,Cell 46:89−94,1986)、造血幹細胞分化因子プロモーター、エリスロポエチンレセプタープロモーター(Maoucheら,Blood,15:2557,1991)など。
【0133】
実際、任意の型のプラスミド、コスミド、YAC、またはウイルスベクターを使用して、OSCAR遺伝子産物の発現が所望される細胞または組織に導入され得る組換え核酸構築物を調製し得る。あるいは、特定の型の細胞または組織における組換えOSCAR遺伝子産物の発現が所望される場合、その所望される細胞型または組織型に選択的に感染するウイルスベクターが使用され得る。
【0134】
別の実施形態において、本発明は、細胞中における内因性OSCAR遺伝子の発現を制御するために非内因性プロモーターを使用することによって、OSCARポリペプチドを発現させる方法を提供する。細胞中における内因性OSCAR遺伝子は、細胞のゲノム中に通常(すなわち、天然に)見出される、本発明のOSCAR遺伝子である。しかし、非内因性プロモーターは、遺伝子の発現を制御するために使用され得るが内因性OSCAR遺伝子とは通常にも天然にも関連付けられない、プロモーターまたは他のヌクレオチド配列である。例示として、相同組換え方法が使用されて(好ましくは、タンパク質をコードしない本発明のOSCAR核酸配列を使用する)、内因性OSCAR遺伝子の近位に増幅可能な遺伝子または他の調節配列を挿入し得る。次いで、挿入された配列は、例えば、その細胞において通常生じるレベルよりも高いレベルのOSCAR遺伝子発現を提供するためか、または(例えば、破骨細胞において)OSCAR遺伝子発現の正常レベルを妨げる内因性OSCAR調節配列における1以上の変異を克服するために使用され得る。このような相同組換え方法は、当該分野で周知である。例えば、国際特許公開WO 91/06666(Skoultchiによる;1991年5月16日公開);国際特許公開WO 91/099555(Chappelによる;1991年7月11日公開);および国際特許公開WO 90/14092(KucherlapatiおよびCampbellによる;1990年11月29日公開)を参照のこと。
【0135】
タンパク質の可溶性形態は、培養液を収集することか、または界面活性剤での処理(および所望される場合には、上記のような超音波処理または他の機械的プロセス)によって封入体を可溶化することによって獲得され得る。可溶化または可溶性のタンパク質は、種々の技術(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、等電点電気泳動、2次元ゲル電気泳動、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、イムノアフィニティクロマトグラフィー、およびサイジング(sizing)カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差的可溶性、免疫沈降、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技術による)を使用して、単離され得る。
【0136】
(発現ベクター)
広範な種々の宿主/発現ベクターの組合わせが、本発明のDNA配列を発現させるにおいて使用され得る。有用な発現ベクターは、例えば、染色体配列、非染色体配列、および合成DNA配列のセグメントからなり得る。適切なベクターとしては、以下が挙げられる:SV40の誘導体および公知の細菌性プラスミド、例えば、E.coliプラスミドcol E1、pCR1、pBR322、pMal−C2、pET、pGEX(Smithら,Gene 67:31−40,1988)、pMB9およびその誘導体、RP4のようなプラスミド;ファージDNA、例えば、ファージ1(例えば、NM989)および他のファージDNA(例えば、M13および糸状一本鎖ファージDNA)の多数の誘導体;酵母プラスミド(例えば、2mプラスミド)またはその誘導体;真核生物細胞において有用なベクター(例えば、昆虫細胞または哺乳動物細胞において有用なベクター);プラスミドおよびファージDNAの組合わせに由来するベクター(例えば、ファージDNAまたは他の発現制御配列を使用するために改変されたプラスミド);など。
【0137】
好ましいベクターは、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、および所望される細胞親和性(tropism)を有する他の組換えウイルス)である。従って、機能的または変異体OSCARタンパク質またはそのポリペプチドドメインフラグメントをコードする遺伝子は、ウイルスベクターを使用してかDNAの直接的な導入を通して、インビボ、エキソビボ、またはインビトロで導入され得る。標的化された組織における発現は、特定の細胞にトランスジェニックベクターを標的化することによって(例えば、ウイルスベクターまたはレセプターリガンドを用いて)か、もしくは組織特異的プロモーターを使用することによってか、または両方によって、もたらされ得る。標的化遺伝子送達は、国際特許公開WO95/28494(1995年10月公開)に記載されている。
【0138】
本発明に従って、ベクターは、例えば、OSCAR特異的抗体(すなわち、OSCAR遺伝子産物に特異的に結合する抗体)を使用してか、またはOSCAR結合パートナー(例えば、OSCAR特異的リガンド)を使用して、破骨細胞に特異的に標的化され得る。ベクターはまた、OSCAR結合パートナーのフラグメント(例えば、ペプチドまたはポリペプチドのフラグメント)、特に、OSCAR結合配列を含むフラグメントを使用して、破骨細胞に特異的に標的化され得る。このような方法を使用して、破骨細胞に、任意の遺伝子を発現するベクター(OSCAR特異的アンチセンス核酸またはOSCAR特異的リボザイムを発現するベクターが挙げられるが、これらに限定されない)を標的化し得る。
【0139】
同様に、本発明はまた、標的化実体(entity)としてOSCARポリペプチドを使用することによる、破骨細胞および胚性線維芽細胞ならびに細胞表面上にOSCAR特異的リガンドまたはOSCAR結合パートナーを発現する他の細胞(例えば、NIH 3T3、ST2、Mlg、UMR106、HEK293、HEK293T、hFOBl.19、およびCOS−1細胞)の特異的標的化を可能にする。
【0140】
インビボまたはエキソビボでの標的化および治療手順のために通常使用されるウイルスベクターは、DNAに基づくベクターおよびレトロウイルスベクターである。ウイルスベクターを構築する方法および使用する方法は、当該分野で公知である(例えば、MillerおよびRosman,BioTechniques 7:980−990,1992を参照のこと)。好ましくは、ウイルスベクターは、複製欠損性(すなわち、それらは、標的細胞において自律的に複製し得ない)である。一般的に、本発明の範囲内において使用される複製欠損性ウイルスベクターのゲノムは、感染細胞におけるウイルスの複製に必須である少なくとも1つの領域を欠く。これらの領域は、当業者に公知の任意の手順によって、排除(完全または部分的に)されるか、非機能的にされるかのいずれかであり得る。これらの技術としては、完全な除去、置換(他の配列による(特に、挿入された核酸による))、(複製のために)必須の領域に対する1以上の塩基の部分的な欠失または付加が挙げられる。このような技術は、遺伝子操作の技術を使用してか、または変異原性薬剤での処理によって、インビトロ(単離されたDNAにおいて)かインサイチュで実施され得る。好ましくは、複製欠損性ウイルスは、ウイルス粒子のキャプシド形成に必須であるそのゲノムの配列を保持する。
【0141】
DNAウイルスベクターとしては、弱毒化DNAウイルスまたは欠損性DNAウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス、エプスタインバーウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)など(しかしこれらに限定されない))が挙げられる。完全またはほぼ完全にウイルス遺伝子を欠く欠損性ウイルスが好ましい。欠損性ウイルスは、細胞への導入後に感染性ではない。欠損性ウイルスベクターの使用は、そのベクターが他の細胞に感染し得るという懸念を伴わずに、特定の局在化された領域における細胞への投与を可能にする。従って、特定の組織が特異的に標的化され得る。特定のベクターの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:欠損性ヘルペスウイルス1(HSV1)ベクター(Kaplittら,Molec.Cell.Neurosci.2:320−330,1991)、グリコタンパク質L遺伝子を欠く欠損性ヘルペスウイルスベクター(特許公開RD 371005 A)、または他の欠損性ヘルペスウイルスベクター(国際特許公開WO 94/21807(1994年9月29日公開);国際特許公開WO 92/05263(1994年4月2日公開));弱毒化アデノウイルスベクター、例えば、Stratford−Perricaudetらにより記載されたベクター(J.Clin.Invest.90:626−630,1992;La Salleら,Science 259:988−990,1993もまた参照のこと);およびアデノ随伴ウイルスベクター(Samulskiら,J.Virol.61:3096−3101,1987;Samulskiら,J.Virol.63:3822−3828,1989;Lebkowskiら,Mol.Cell.Biol.8:3988−3996,1988)。
【0142】
種々の企業が、市販でウイルスベクターを製造する。この企業には、以下が挙げられるが、決してこれらに限定されないAvigen,Inc.(Alameda,CA;AAVベクター)、Cell Genesys(Foster City,CA;レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、AAVベクターおよびレンチウイルスベクター)、Clontech(レトロウイルスベクター、およびバキュロウイルスベクター)、Genovo,Inc.(Sharon Hill,PA;アデノウイルスベクターおよびAAVベクター)、Genvec(アデノウイルスベクター)、IntroGene(Leiden,Netherlands;アデノウイルスベクター)、Molecular Medicine(レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、AAVベクターおよびヘルペスウイルスベクター)、Norgen(アデノウイルスベクター)、Oxford BioMedica(Oxford,United Kingdom;レンチウイルスベクター),およびTransgene(Strasbourg,France;アデノウイルスベクター、ワクシニアベクター、レトロウイルスベクター、およびレンチウイルスベクター)。
【0143】
別の実施形態では、ベクターは、リポフェクションによってか、裸のDNAとしてか、または他のトランスフェクション促進因子(ペプチド、ポリマーなど)を用いて、インビボで導入され得る。合成カチオン性脂質を使用して、マーカーをコードする遺伝子のインビボトランスフェクションのためのリポソームを調製し得る(Felgnerら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84:7413−7417,1987;FelgnerおよびRingold,Science 337:387−388,1989;Mackeyら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:8027−8031,1988;Ulmerら,Science 259:1745−1748,1993を参照のこと)。核酸の移入のために有用な脂質化合物および組成物は、WO95/18863およびWO96/17823、ならびに米国特許第5,459,127号に記載されている。脂質は、標的化の目的のために、他の分子に化学的に結合され得る(Mackeyら,前出を参照のこと)。標的化されたペプチド(例えば、ホルモンまたは神経伝達物質)およびタンパク質(例えば、抗体)または非ペプチド分子が、化学的にリポソームに結合され得る。他の分子もまた、インビボでの核酸のトランスフェクションを容易にするために有用である(例えば、カチオン性オリゴヌクレオチド(例えば、国際特許公開WO95/21931)、DNA結合タンパク質由来のペプチド(例えば、国際特許公開WO96/25508)、またはカチオン性ポリマー(例えば、国際特許公開WO95/21931)を参照のこと)。
【0144】
裸のDNAプラスミドとしてインビボでベクターを導入することもまた可能である。遺伝子治療のための裸のDNAベクターは、当該分野で公知の方法(例えば、エレクトロポレーション、微量注入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈降、遺伝子銃の使用、またはDNAベクター輸送体の使用(例えば、Wuら,J.Biol.Chem.267:963−967,1992;WuおよびWu,J.Biol.Chem.263:14621−14624,1988;Hartmutら,カナダ国特許出願番号2,012,311(1990年3月15日出願);Williamsら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2726−2730,1991を参照のこと))によって、所望される宿主細胞に導入され得る。レセプター媒介性のDNA送達アプローチもまた使用され得る(Curielら,Hum.Gene Ther.3:147−154,1992;WuおよびWu,J.Biol.Chem.262:4429−4432,1987)。米国特許第5,580,859号および同第5,589,466号は、哺乳動物における、トランスフェクション促進因子を使用しない外因性DNA配列の送達を開示する。近年、電気的転写(electrotransfer)と称される、比較的低電圧で高効率のインビボDNA転写技術が記載された(Mirら,C.P.Acad.Sci.,321:893,1998;WO 99/01157;WO 99/01158;WO 99/01175)。
【0145】
好ましくは、インビボ投与について、ウイルスベクターおよびトランスフェクト細胞の免疫学的不活性化を回避するために、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルスベクター)と組合わせて、適切な免疫抑制処置を使用する。例えば、免疫抑制性サイトカイン(例えば、インターロイキン−12(IL−12)、インターフェロン−g(IFN−γ)、または抗CD4抗体)を投与して、ウイルスベクターに対する体液性免疫応答または細胞性免疫応答をブロックし得る(例えば、Wilson,Nature Medicine,1995を参照のこと)。これに関して、最少数の抗原を発現するように操作されたウイルスベクターを使用することが有利である。
【0146】
(OSCARに対する抗体)
OSCARに対する抗体は、特に、以下に示されるようなOSCAR活性の診断および細胞内調節のために有用である。本発明に従って、組換え的または化学合成によって生成されたOSCARポリペプチド、およびそのフラグメントまたは他の誘導体もしくはアナログ(融合タンパク質を含む)が、OSCARポリペプチドを認識する抗体を生成するための免疫原として使用され得る。このような抗体としては、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖、FabフラグメントおよびFab発現ライブラリーが挙げられるが、これらに限定されない。このような抗体は、好ましくは、ヒトOSCARまたはマウスOSCARに特異的である(すなわち、これらに特異的に結合する)。しかし、あるいは、抗体は、いくつかの他の生物種(好ましくは、哺乳動物種)由来のOSCARオルトログ(ortholog)に特異的であり得る。抗体は、OSCARの変異体形態もしくは野生型OSCAR、または両方を認識し得る。
【0147】
当該分野で公知の種々の手順が、OSCARポリペプチドまたはその誘導体もしくはアナログに対するポリクローナル抗体を生成するために使用され得る。抗体の生成のために、種々の宿主動物(ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギなどを含むが、これらに限定されない)に、OSCARポリペプチドまたはその誘導体(例えば、フラグメントまたは融合タンパク質)での注射により免疫し得る。1つの実施形態では、OSCARポリペプチドまたはそのフラグメントを、免疫原性キャリア(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)またはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH))に結合体化し得る。種々のアジュバントを使用して、宿主種に依存して、免疫学的応答を増加させ得、これらには、フロイント(完全および不完全)、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、界面活性剤(例えば、リゾレシチン)、プルロニックポリオール(pluronic polyol)、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、および潜在的に有用なヒトアジュバント(例えば、BCG(bacille Calmette−Guerin)およびCorynebacterium parvum)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
OSCARポリペプチド、またはそのフラグメント、アナログもしくは誘導体に対するモノクローナル抗体の調製について、培養物中で無限継代培養細胞株による抗体分子の調製を提供する任意の技術が、使用され得る。これらとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:KohlerおよびMilsteinによって元々開発されたハイブリドーマ技術(Nature 1975,256:495−497)、ならびにトリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、Immunology Today 1983,4:72;Coteら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1983,80:2026−2030)およびヒトモノクローナル抗体を生成するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,1985,pp77−96)。本発明のさらなる実施形態において、モノクローナル抗体は、無菌動物において生成され得る(国際特許公開番号WO89/12690)。実際、本発明に従って、OSCARポリペプチドに特異的なマウス抗体分子由来の遺伝子を、適切な生物学的活性のヒト抗体分子由来の遺伝子とともにスプライシングすることによる、「キメラ抗体」を生成するために開発された技術(Morrisonら、J.Bacteriol.1984,159:870;Neubergerら、Nature 1984,312:604−608;Takedaら、Nature 1985,314:452−454)が、使用され得る;このような抗体は、本発明の範囲内である。このようなヒト抗体またはヒト化キメラ抗体は、ヒト疾患または障害(下記)の治療における使用のために好ましい。なぜなら、ヒト抗体またはヒト化抗体は、それら自体で免疫応答、特にアレルギー応答を異種(xenogenic)抗体よりも誘導する可能性がはるかに低いからである。
【0149】
抗体分子のイディオタイプを含む抗体フラグメントは、公知の技術によって生成され得る。例えば、このようなフラグメントとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:抗体分子のペプシン消化によって生成され得るF(ab’)2フラグメント;F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成され得るFab’フラグメント、およびパパインおよび還元剤を用いて抗体分子を処理することによって生成され得るFabフラグメント。
【0150】
本発明に従って、単鎖抗体の生成について記載される技術(米国特許第5,476,786号、同第5,132,405号、および同第4,946,778号)は、OSCARポリペプチド特異的単鎖抗体を生成するために適応され得る。本発明のさらなる実施形態は、Fab発現ライブラリーの構築について記載される技術(Huseら、Science 1989,246:1275−1281)を利用して、OSCARポリペプチドまたはその誘導体もしくはアナログに対する所望の特異性を有するモノクローナル抗体のFabフラグメントを迅速かつ容易に同定し得る。
【0151】
抗体の生成および使用において、所望の抗体についてスクリーニングするかまたは所望の抗体を用いて試験することは、当該分野において公知の技術によって達成され得る(例えば、放射性免疫アッセイ、ELISA(酵素免疫測定法)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫放射性アッセイ、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、インサイチュ免疫アッセイ(例えば、金コロイド標識、酵素標識または放射性同位元素標識を使用する)、ウエスタンブロット、沈降反応、凝集アッセイ(例えば、ゲル凝集アッセイ、赤血球凝集アッセイ)、補体結合アッセイ、免疫蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、および免疫電気泳動アッセイなど)。1つの実施形態において、抗体結合は、一次抗体上の標識を検出することによって検出される。別の実施形態において、一次抗体は、二次抗体、または一次抗体に対する試薬の結合を検出することによって検出される。さらなる実施形態において、二次抗体は標識される。免疫アッセイにおける結合を検出するための多くの手段が、当該分野において公知であり、これらは、本発明の範囲内である。例えば、OSCARポリペプチドの特定のエピトープを認識する抗体を選択するために、このようなエピトープを含むOSCARポリペプチドフラグメントに結合する産物について、生成されたハイブリドーマをアッセイし得る。特定種の動物由来のOSCARポリペプチドに対して特異的な抗体の選択について、その種の動物の細胞によって発現されたかまたはその種の動物から単離されたOSCARポリペプチドとの陽性結合に基づいて、選択され得る。
【0152】
前述の抗体は、OSCARポリペプチドの局在および活性に関する分野において公知の方法(例えば、上記または当該分野において公知の検出技術のいずれかを使用するウエスタンブロッティング、インサイチュでのOSCARポリペプチドの画像化、適切な生理学的サンプルにおけるそのレベルの測定など)において使用され得る。このような抗体はまた、(例えば、米国特許第5,679,582号に記載されるような)リガンド結合についてのアッセイにおいて使用され得る。抗体結合は、一般に、生理学的条件下(例えば、約7と8との間のpH、および生理学的イオン強度)で最も容易に生じる。緩衝化溶液中にキャリアタンパク質が存在すると、アッセイが安定化する。最適な条件の乱れ(例えば、イオン強度、温度もしくはpHの増加もしくは減少、または界面活性剤もしくはカオトロピック塩の添加)をいくらか寛容するとはいえ、このような乱れは、結合安定性を減少する。
【0153】
さらに他の実施形態において、抗OSCAR抗体をまた使用して、パニングまたは関連した免疫吸着技術によってOSCARポリペプチドを発現する細胞(例えば、破骨細胞)を単離し得る。
【0154】
特定の実施形態において、OSCARポリペプチドの活性に対してアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する抗体が生成され得る。特に、細胞内単鎖Fv抗体を使用して、OSCAR活性を調節(阻害)し得る(Marascoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1993,90:7889−7893;Chen.,Mol.Med.Today 1997,3:160−167;Spitzら、Anticancer Res.1996,16:3415−22;Indolfiら、Nat.Med.1996,2:634−635;Kijmaら、Pharmacol.Ther.1995,68:247−267)。このような抗体は、リガンドを同定するために下記のアッセイを使用して試験され得る。
【0155】
抗体をまた使用して、下記のスクリーニングアッセイの項に考慮されるような免疫毒素を作製し得る。
【0156】
(トランスジェニック動物を使用するインビボ試験)
トランスジェニック哺乳動物は、OSCARの分子機構、特に、OSCAR誘導性シグナル伝達を評価するために調製され得る。このような哺乳動物は、薬物候補をスクリーニングまたは試験するための優れたモデルを提供する。従って、ヒトOSCAR「ノックイン」哺乳動物は、ヒト被験体で起こり得るこの系の分子生物学をより詳細に評価するために調製され得る。また、「ノックアウト」動物において化合物または疾患を、例えば、OSCAR活性における欠損を補填しえる化合物を同定するために評価し得る。両方の技術は、細胞ゲノム中の天然の位置における一単位の遺伝情報の操作を可能にし、そして終末分化した生物のバックグラウンドにおける操作の結果を試験することを可能にする。トランスジェニック哺乳動物は、以下が挙げられるがこれらに限定されない任意の方法によって調製され得る:胚性幹(ES)細胞の改変および芽細胞へのヘテロ核の注入。
【0157】
「ノックイン」哺乳動物は、内因性遺伝子が異種遺伝子と置換されている哺乳動物である(Roamerら、New Biol.1991,3:331)。好ましくは、異種遺伝子は、同種遺伝子の発現または機能のいずれかの評価の目的で、目的の遺伝子座に「ノックイン」される(この場合、この遺伝子はレポーター遺伝子であり得る;Elegantら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1998,95:11897を参照のこと)。これにより、異種遺伝子発現を、適切なプロモーターからの転写に関連付ける。これは、変異組換え部位(Arakiら、Nucleic Acids Res 1997,25:868)またはPCR(ZhangおよびHenderson,Biotechniques 1998,25:784)を使用する、相同組換え、トランスポゾン(WestphalおよびLeder,Curr Biol 1997,7:530)により達成され得る。
【0158】
「ノックアウト哺乳動物」は、遺伝子ターゲティングの方法(例えば、米国特許第5,777,195号および同第5,616,491号を参照のこと)によって不活化された特定の遺伝子をそのゲノム内に含む哺乳動物(例えば、マウス)である。ノックアウト哺乳動物は、ヘテロ接合性ノックアウト(すなわち、一方が不完全な対立遺伝子であり、一方が野生型対立遺伝子である)およびホモ接合性変異体の両方を含む。ノックアウト哺乳動物の調製は、まず、特定の遺伝子の発現を抑制するために使用される核酸構築物を、胚性幹細胞と称される未分化細胞型に導入することを必要とする。次いで、この細胞は、哺乳動物胚内に注入される。次いで、組み込まれた細胞を有する哺乳動物胚は、妊娠の持続期間にわたって乳母(foster mother)内に移植される。Zhouら(Genes and Development,1995,9:2623−34)は、PPCAノックアウトマウスを記載する。
【0159】
用語「ノックアウト」は、細胞内の内因性DNA配列によってコードされるタンパク質の少なくとも一部の発現を部分的にかまたは完全に抑制することをいう。用語「ノックアウト構築物」は、細胞内の内因性DNA配列によってコードされるタンパク質の発現を減少または抑制するように設計されている核酸配列をいう。ノックアウト構築物として使用される核酸配列は、代表的には、以下からなる:(1)抑制されるべき遺伝子のいくつかの部分由来のDNA(エキソン配列、イントロン配列および/またはプロモーター配列)、ならびに(2)細胞におけるノックアウト構築物の存在を検出するために使用されるマーカー配列。ノックアウト構築物は、細胞内に挿入され、そしてネイティブなDNA配列の転写を阻止または妨害するような位置において、細胞のゲノムDNAに組み込まれる。このような挿入は、通常相同組み換えによって生じる(すなわち、ノックアウト構築物が細胞内に挿入される場合、内因性DNA配列に相同なノックアウト構築物の領域が互いにハイブリダイズして、このノックアウト構築物がこの内因性DNAの対応する位置に組み込まれるように組み換える)。ノックアウト構築物核酸配列は、以下を含み得る:1)抑制されるべき遺伝子の1以上のエキソンおよび/またはイントロンの全長配列または部分配列、2)抑制されるべき遺伝子の全長プロモーター配列または部分プロモーター配列、あるいは3)これらの組合わせ。代表的には、ノックアウト構築物は、胚性幹細胞(ES細胞)に挿入され、そして、通常相同組換えのプロセスによってES細胞ゲノムDNAに組み込まれる。次いで、このES細胞は、発達中の胚に注入され、そして発達中の胚に組み込まれる。
【0160】
句「遺伝子の破壊」および「遺伝子破壊」は、その遺伝子の野生型または天然に存在する配列と比較して、細胞中のその遺伝子の発現を減少または阻止するように、ネイティブDNA配列の1つの領域(通常、1以上のエキソン)および/または遺伝子のプロモーター領域に核酸配列を挿入することをいう。例示の目的で、核酸構築物は、破壊されるべきDNA配列(プロモーター領域および/またはコード領域)に相補的なDNA配列に挿入される抗生物質耐性遺伝子をコードするDNA配列を含んで調製され得る。次いで、この核酸構築物が細胞内にトランスフェクトされる場合、この構築物は、ゲノムDNA内に組み込まれる。従って、この細胞の多くの子孫は、そのDNAが今や抗生物質耐性遺伝子によって破壊されているので、少なくともいくつかの細胞においてその遺伝子をもはや発現しないか、または減少したレベルでその遺伝子を発現する。
【0161】
一般に、相同組み換えについて、DNAは、少なくとも約1キロベース(kb)長であり、好ましくは3〜4kb長であり、これによりノックアウト構築物がES細胞のゲノムDNA内に導入される場合、組み換えのための相補的な配列が十分提供される(下記に考慮される)。
【0162】
2以上の遺伝子がノックアウトまたはノックインされているか、あるいはその両方である哺乳動物は、本発明の範囲内である。このような哺乳動物は、各ノックアウト構築物を生成するために本明細書中で記載される手順を反復することによってか、または単一遺伝子ノックアウトを有する各哺乳動物を互いに交配しそして二重ノックアウト遺伝子型を有する哺乳動物をスクリーニングすることによって生成され得る。
【0163】
調節されたノックアウト動物は、種々の系を使用して調製され得る。例えば、tet−リプレッサー系(米国特許第5,654,168号を参照のこと)またはCre−Lox系(米国特許第4,959,317号および同第5,801,030号を参照のこと)。
【0164】
別の系列の実施形態において、トランスジェニック動物が作製される。ここでは、(i)ヒトOSCARがトランスジェニック動物のゲノム内に安定に挿入されており;および/または(ii)内因性OSCAR遺伝子が不活化され、そしてこれらのヒト対応物と置換されている(例えば、Coffman,Semin.Nephrol.1997,17:404;Estherら、Lab.Invest.1996,74:953;Murakamiら、Blood Press.Suppl.1996,2:36を参照のこと)。このような動物は、候補化合物を用いて処理され得、そして神経発生、神経変性、または候補治療化合物の効果についてモニターされ得る。
【0165】
(適用および使用)
OSCAR遺伝子配列(OSCAR遺伝子配列全長フラグメントを含む)、OSCARポリペプチド(OSCARタンパク質全長フラグメントおよびOSCAR融合ポリペプチドを含む)についての種々の適用および使用、ならびにOSCAR核酸およびOSCARポリペプレオチド(OSCAR遺伝子およびタンパク質の全長フラグメントを含む)に対する抗体の種々の適用および使用が、本明細書中に記載される。このような適用は、例えば、OSCAR遺伝子、およびOSCAR遺伝子産物またはOSCARポリペプチドに関連する骨増殖関連障害を評価するための予後的適用および診断的適用の両方を含み得、このような障害を有するかまたはこのような障害に対する素因を有する被験体の同定を含む。さらに、このような適用は、OSCAR遺伝子、OSCAR遺伝子産物またはOSCARポリペプチドに関連する障害を処置するための方法、ならびにOSCAR遺伝子、OSCAR遺伝子産物、OSCARポリペプチドまたはこれらの組み合わせのいずれかの合成、発現または活性を調節する化合物(天然のリガンドおよび他の細胞性化合物を含む)を同定するスクリーニング方法を含み得る。
【0166】
下記の実施例に実証されるように、本発明のOSCAR遺伝子、遺伝子産物およびポリペプチドは、破骨細胞の成熟を調節するその能力、および結果として、骨組織の増殖、修復、発達、吸収、分解およびホメオスタシスを調節する能力によって特徴付けられ得る。従って、好ましい実施形態において、本発明のOSCAR核酸およびポリペプチド、ならびにこのようなOSCAR核酸およびポリペプチドに対する抗体は、以下で使用され得る:骨増殖障害または骨増殖障害に対する素因を有する個体を同定するための予後的適用および診断的適用において;骨増殖関連障害を処置するための方法において;そして、破骨細胞の成熟および/または活性を調節する化合物(天然のリガンドおよび他の細胞性化合物および合成化合物を含む)を同定するためのスクリーニング方法、ならびに骨の増殖、修復、発達、吸収、分解またはホメオスタシスを調節する化合物(天然のリガンドおよび他の細胞性化合物および合成化合物を含む)を同定するためのスクリーニング方法において。
【0167】
(診断的適用)
種々の方法が、骨増殖関連障害(例えば、大理石骨病および骨粗鬆症)の診断的評価および予後的評価のために、ならびにこのような障害に対する素因を有する被験体の同定のために使用され得る。これらの方法は、上記のOSCAR核酸およびポリペプチド(これらのフラグメント、キメラおよび融合物を含む)のような試薬、ならびにこれらのポリペプチドに対する抗体を利用する。例えば、このような試薬は、特に以下に対して使用され得る:(1)細胞内のOSCAR遺伝子の重複または欠失の検出、OSCAR遺伝子変異の存在、または影響されていない状態(すなわち、骨増殖関連障害を有していないか、または骨増殖関連障害を有する訴因がない被験体)における発現と比較して、OSCAR遺伝子産物(例えば、OSCAR mRNA)の過剰発現または過少発現のいずれかの検出;(2)罹患していない状態における量に対してOSCAR遺伝子産物の過剰量または過少量のいずれかの検出;そして(3)罹患していない状態に対して異常なOSCAR遺伝子産物活性の検出。
【0168】
好ましい実施形態において、このような試薬を使用して、骨増殖関連障害(例えば、大理石骨病または骨粗鬆症)を診断し得るか、または骨増殖関連障害を発症する被験体の素因を評価し得る。
【0169】
好ましい実施形態において、本明細書中に記載される方法は、予めパックされた診断キットを使用して実施される。このようなキットは、少なくとも1つの本発明の特定のOSCAR核酸またはOSCAR特異的抗体試薬を備え得る。キットおよびそこに含まれる任意の試薬を、例えば、臨床設定に使用して、異常(例えば、骨増殖関連障害(例えば、大理石骨病または骨粗鬆症))を示す患者を診断し得る。
【0170】
個体由来の(任意の細胞型の)有核細胞を含むサンプルは、ゲノム核酸についての開始供給源として、そしてOSCAR遺伝子の変異を検出するために、このような診断方法に使用され得る。OSCAR遺伝子が発現される任意の細胞型の細胞または任意の組織型の組織を含むサンプルはまた、例えば、OSCAR遺伝子発現もしくはOSCAR遺伝子産物(例えば、OSCARタンパク質)の検出のため、ならびにOSCAR遺伝子もしくはOSCAR遺伝子産物を発現する細胞(特に、破骨細胞)を同定するためのこのような診断的方法において使用され得る。例えば、好ましい実施形態において、細胞によるOSCAR遺伝子またはOSCAR遺伝子産物の発現は、その細胞が破骨細胞であることを示す。
【0171】
(OSCAR核酸の検出)
サンプル中のOSCAR変異を検出するため、またはOSCAR核酸配列のレベルをアッセイするために、種々の方法が使用され得る。例えば、OSCAR遺伝子内の変異は、当該分野において公知の多くの技術を利用することによって、および任意の有核細胞由来の核酸を用いて検出され得る。この核酸は、当業者にすでに周知の標準的核酸調製手順に従って単離され得る。
【0172】
OSCAR核酸配列は、OSCAR遺伝子構造を含む異常を検出するために、このような生物学的サンプルのハイブリダイゼーションアッセイまたは増幅アッセイにおいて使用され得る。このような方法において検出され得る例示的な異常としては、点変異、単一ヌクレオチド多型(SNP)、挿入、欠失、逆位、転座および染色体再構築が挙げられる。これらの異常を検出するために使用され得る例示的アッセイとしては、サザン分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、一本鎖構造(conformational)多型分析(SSCP)およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析が挙げられる。
【0173】
例として、そして、限定の目的ではなく、OSCAR遺伝子特異的変異の検出のための診断方法は、1以上の標識された核酸試薬(例えば、組換えOSCAR DNA分子、クローニングされた遺伝子またはその縮重改変体)と、これらの試薬がサンプル核酸中のその相補配列に特異的にアニーリングまたはハイブリダイゼーションするために好ましい条件下で、サンプルより得られた核酸(組換えDNA分子、クローン遺伝子またはこの縮重改変体を含む)とを接触させる工程およびインキュベートする工程を包含し得る。好ましくは、これらの核酸試薬の長さは、少なくとも15〜30ヌクレオチドである。インキュベーション後、アニーリングしていないかまたはハイブリダイズしていない全ての核酸を除く。次いで、ハイブリダイズした核酸の存在(このような分子が存在する場合)は検出され、そしてこの核酸試薬がアニーリングしたOSCAR遺伝子配列は、OSCAR遺伝子変異が存在するか否かを決定するために、正常(すなわち、野生型)OSCAR遺伝子配列から予想されるアニーリングパターンと比較され得る。
【0174】
このような検出スキームの好ましい実施形態において、目的の細胞型または組織由来の核酸は、例えば、膜またはプラスチック表面(例えば、マイクロタイタープレートまたはポリスチレンビーズ)のような固体支持体に固定化され得る。インキュベーション後、アニーリングしていない標識化OSCAR核酸試薬の検出は、容易に除去され得、そして残った、アニーリングした標識化OSCAR核酸試薬は、当該分野において周知の標準的技術を使用して達成され得る。
【0175】
患者サンプル中または他の細胞供給源中のOSCAR遺伝子特異的核酸を検出するための代替的診断方法は、これらの増幅(例えば、PCR(例えば、米国特許第4,683,202号に教示される実験的実施例を参照のこと)、次いで、当業者に周知の技術を使用する増幅分子の検出による)を含み得る。生じた増幅配列は、OSCAR変異がそのサンプル中に存在するか否かを決定するために、その核酸が正常コピーのOSCAR遺伝子のみを含んで増幅された場合に予想されるものと比較され得る。
【0176】
他の周知の遺伝子型決定技術をまた使用して、OSCAR変異を保有する個体を同定し得る。このような技術としては、例えば、制限フラグメント長多型(RFLP)の使用が挙げられる。DNA多型を分析するための他の方法を使用して、制限酵素部位の間に直列状に反復する、可変数の短いDNA配列の存在を利用し、OSCAR変異を同定し得る。例えば、米国特許第5,075,217号は、短い直列状反復のブロックにおける長多型に基づくDNAマーカーを記載する。このようなブロックの平均間隔は、30〜70kbであると見積もられる。非常に近接して配置されるマーカーは、高頻度の同時遺伝形質を示し、そして遺伝的変異(例えば、OSCAR遺伝子内の変異を含む)の同定において非常に有用であり、そして、遺伝的変異(例えば、OSCAR遺伝子内)に関連する疾患および障害の診断のために非常に有用である。
【0177】
本発明の診断的方法および予後的方法はまた、OSCAR遺伝子発現のレベルをアッセイするための方法を含む。例えば、OSCAR遺伝子を発現することが既知であるかまたは予想される細胞型または組織(例えば、破骨細胞)由来のRNAは、上記のようなハイブリダイゼーション技術またはPCR技術を利用して単離および試験され得る。単離された細胞は、例えば、細胞培養物由来または患者由来の細胞であり得る。細胞培養物から得られた細胞の分析は、例えば、OSCAR遺伝子の発現に対する化合物の効果を試験するためにか、あるいは、その細胞がOSCAR遺伝子を発現する特定の細胞型のものであることを確認するために有用であり得る。例えば、下記の実施例は、OSCAR遺伝子が葉骨細胞中に特異的に発現されることを実証する。よって、OSCAR遺伝子発現のレベルをアッセイするための方法は、細胞(細胞培養物由来であるか患者のような個体由来)が破骨細胞であるか否かを決定するために特に有用である。
【0178】
このような検出スキームの1つの好ましい実施形態において、cDNA分子は、目的のRNA分子から合成される(例えば、逆転写によって)。次いで、cDNA内の配列は、PCRのような核酸増幅反応についてのテンプレートとして使用され得る。このようなアッセイの逆転写工程および増幅工程において合成開始試薬として使用される核酸試薬(例えば、プライマー)は、好ましくは、本明細書中に記載されるOSCAR核酸配列から選択されるか、またはそのフラグメントである。好ましくは、この核酸試薬は、少なくとも9〜30ヌクレオチド長である。増幅は、検出のために、例えば、放射活性標識されたかまたは蛍光標識されたヌクレオチドを使用して実施され得る。あるいは、十分増幅した産物は、標準的エチジウムブロマイドまたは他の染色方法によってその産物が可視化され得るようになされ得る。
【0179】
本発明のOSCAR遺伝子発現アッセイはまた、インサイチュで(すなわち、固定および/または凍結され得る、患者組織の組織切片上に直接的に)実施され得、これにより核酸精製の必要性を排除する。OSCAR核酸試薬は、このようなインサイチュ手順のためのプローブまたはプライマーとして使用され得る(例えば、Nuovo,PCR In Situ Hybridization:Protocols And Application,1992,Raven Press,New Yorkを参照のこと)。あるいは、十分量の適切な細胞が得られ得る場合、標準的ノーザン分析を実施して、OSCAR mRNAのレベルを検出することによってOSCAR遺伝子発現のレベルを決定し得る。
【0180】
(OSCAR遺伝子産物の検出)
本発明の診断的方法および予後的方法はまた、OSCARタンパク質または他のOSCARポリペプチド(機能的に保存された改変体およびそのフラグメントを含む)のレベルを検出する工程を包含する方法を含む。例えば、損なわれていない、野生型OSCAR遺伝子産物もしくは変異体OSCAR遺伝子産物、または、OSCAR遺伝子産物の機能的に保存された改変体もしくはペプチドフラグメントに対する抗体は、骨増殖関連障害(例えば、大理石骨病および骨粗鬆症)のための診断的試薬および予後的試薬として使用され得る。このような試薬を使用して、例えば、OSCAR遺伝子産物合成または発現のレベルにおける異常を検出し得るか、あるいは、OSCAR遺伝子産物の構造、時期的発現または物理的位置における異常を検出し得る。本明細書中以下に記載されるような抗体および免疫アッセイ法はまた、大理石骨病および骨粗鬆症のような骨増殖関連障害についての処置の効率を評価するための重要なインビトロ適用を有する。例えば、抗体、または抗体のフラグメントを、インビトロで潜在的治療化合物をスクリーニングする際に使用して、OSCAR遺伝子発現およびOSCARポリペプチド産生に対する化合物の効果を確認し得る。OSCAR関連障害に対して有利な効果を有し得る化合物は、同定され得、そしてこのような化合物についての治療的有効用量が、このようなアッセイを使用して決定され得る。
【0181】
インビトロイムノアッセイはまた、OSCAR関連障害のための細胞ベースの遺伝子治療の効力を評価するために用いられ得る。例えば、OSCARポリペプチドに対する抗体は、OSCARポリペプチドを生成するために遺伝子操作された細胞において達成されたOSCAR遺伝子発現またはOACARポリペプチド発現のレベルを決定するためにインビトロで用いられ得る。このような方法は、細胞内OSCAR遺伝子産物を検出するために(好ましくは、細胞溶解物または細胞抽出物を用いて)、細胞表面のOSCAR遺伝子産物の発現を検出するために、または細胞培養培地に分泌されたOSCAR遺伝子産物を検出するために用いられ得る。このような評価方法は、インビボで治療効力を達成するために必要な形質転換細胞の数、および遺伝子置換プロトコルの最適化を決定するために用いられ得る。
【0182】
一般に、このような方法を用いて分析される組織型または細胞型としては、OSCAR遺伝子産物を発現することが公知の破骨細胞のような細胞型が挙げられる。Harlow & Lane(Antibodies:A Laboratory Manual,1998,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York)に記載されるようなタンパク質単離方法が用いられ得る。単離された細胞は、細胞培養物に由来するか、または個体(例えば、OSCAR関連障害を有すると疑われる患者またはOSCAR関連障害の傾向を有すると疑われる患者)に由来する細胞であり得る。
【0183】
1つの例として、抗体または抗体のフラグメントが、例えば、光学顕微鏡と合わせて、蛍光標識した抗体を用いた免疫蛍光技術、フローサイトメトリー法または蛍光検出法により、OSCAR遺伝子産物、OSCAR遺伝子産物の改変体またはそれらのフラグメントの存在を検出するために用いられ得る。このような技術は、細胞表面上のOSCAR遺伝子産物を検出するために特に好ましい。
【0184】
抗体またはそのフラグメントはまた、例えば、OSCAR遺伝子産物のインサイチュ検出のための免疫蛍光技術または免疫電子顕微鏡技術において組織学的に用いられ得る。インサイチュ検出は、患者から組織学的標本(例えば、組織サンプル)を取り出すこと、および本発明の標識抗体またはこのような抗体のフラグメントをこの標本に適用することにより達成され得る。この抗体または抗体フラグメントは、好ましくは、標識抗体または標識抗体フラグメントを生物学的サンプルに重層することにより適用される。このような手順の使用により、OSCAR遺伝子産物の存在のみならず、試験組織における遺伝子産物の分布もまた検出することが可能である。当該分野で周知の広範に種々の組織学的方法(例えば、染色手順)が、このようなインサイチュ検出を達成するために過度な実験なくして当業者により容易に改変され得る。
【0185】
OSCAR遺伝子産物のイムノアッセイは、代表的には、OSCAR遺伝子産物(例えば、機能的に保存された改変体またはそのペプチドフラグメントを含む)を特異的に結合し得る検出可能に標識された抗体の存在下で、生物学的サンプル(例えば、生物学的流体、組織抽出物、新鮮に採取された細胞または細胞溶解物)をインキュベートすることを含む。次いで、結合した抗体は、当該分野で周知の任意の多くの技術により検出され得る。
【0186】
(スクリーニングアッセイ)
本明細書中以下に記載のスクリーニングアッセイを用いて、OSCAR遺伝子産物に結合するか、さもなければ相互作用する化合物(OSCAR遺伝子産物、OSCAR遺伝子産物の天然のリガンドおよび合成のリガンドと相互作用する細胞内化合物(例えば、タンパク質またはタンパク質の一部)、OSCAR遺伝子産物と他の化合物との(例えば、天然のリガンドまたは細胞内化合物との)相互作用を妨害する化合物、ならびにOSCAR遺伝子の活性を(例えば、OSCAR遺伝子発現のレベルを調節することにより)調節する化合物、またはOSCARポリペプチドもしくは他のOSCAR遺伝子産物の活性(例えば、生体活性)を調節する化合物を含む)を同定することもまた可能である。例えば、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイは、OSCAR遺伝子のプロモーターまたは他の調節配列に結合する化合物を同定するために用いられ得、それゆえ、OSCAR遺伝子発現のレベルを調節し得る(例えば、Platt,J.Biol.Chem.1994,269:28558−28562を参照のこと)。
【0187】
このようなスクリーニングアッセイにより同定され得る化合物のクラスとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:低分子(例えば、分子量が約2kd未満、より好ましくは、分子量が約1kd未満であるか、そして/または血液脳関門を通過し得るかもしくは適切な細胞に進入し得、かつOSCAR遺伝子の発現、OSCAR調節経路に関与するある遺伝子の発現に影響を及ぼし得る有機分子または無機分子)、ならびに巨大分子(例えば、分子量が約2kdを超える分子)。これらのスクリーニングアッセイにより同定される化合物としては、ペプチドおよびポリペプチドが挙げられ得る。例えば、コンビナトリアルライブラリー(例えば、Lam et al.,Nature 1991,354:82−84により記載されるコンビナトリアルライブラリー;およびHoughten et al.,Nature 1991,354:84−86により記載されるコンビナトリアルライブラリー)の可溶性ペプチド、融合ペプチドのメンバー;コンビナトリアルケミストリー(例えば、D配置アミノ酸および/またはL配置アミノ酸の分子ライブラリー)により得られるライブラリーのメンバー;ランダムなまたは部分的に縮重した方向付けられたホスホペプチド(phosphopeptide)ライブラリーのメンバーのようなホスホペプチド(例えば、Songyang et al.,Cell 1993,72:767−778を参照のこと);抗体(ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗イディオタイプ抗体、キメラ抗体、または単鎖が挙げられるが、これらに限定されない);抗体フラグメント(FAb、F(ab’)2、FAb発現ライブラリーフラグメントおよびそのエピトープ結合フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない)。
【0188】
以下に示す実施例中で実証されるように、OSCAR遺伝子産物は、破骨細胞の成熟および活性を調節し、さらにOSCAR遺伝子産物に対するリガンドのような化合物は、OSCAR遺伝子産物の活性を調節し、それにより、破骨細胞の成熟および/または活性を調節する能力を有する。従って、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイにおいて同定される化合物は、破骨細胞の活性を調節するため、特に、骨組織の成長、修復、発生、分解、再吸収、修復またはホメオスタシスを調節するために有用であり得る。従って、本明細書中に記載のスクリーニング方法により同定される化合物はまた、例えば、破骨細胞の活性を調節することによって、および/または骨組織の増殖、修復、発生、再吸収、分解、修復もしくはホメオスタシスを調節することによって、骨増殖関連障害(例えば、骨大理石病、骨粗鬆症を含む)を処置するために有用であり得る。
【0189】
結合化合物のアッセイ。インビトロ系は、本発明のOSCAR遺伝子産物を結合し得る化合物を同定するために容易に設計され得る。このような化合物は、例えば、野生型OSCAR遺伝子産物の活性を調節するか、あるいは変異体または他の改変体OSCAR遺伝子産物の活性を調節するために有用であり得る。
【0190】
一般に、このようなスクリーニングアッセイは、OSCAR遺伝子産物および試験化合物を相互作用(例えば、結合する)させ、それにより、検出され得る複合体を形成するに十分な条件下および時間にわたり、この2つの化合物を含む反応混合物の調節を含む。このアッセイは、任意の種々の異なる方法で行われ得る。例えば、1つの実施形態は、OSCARポリペプチドまたは試験化合物を固相にアンカーし、反応の最後に、結合していない化合物を(例えば、洗浄することにより)除去した後に固相上に存在するOSCARポリペプチドと試験化合物との複合体を検出することを含む。例えば、このような方法の1つの好ましい実施形態において、OSCAR遺伝子産物は、固相にアンカーされ得、標識化合物(例えば、上記の任意の方法に従って標識された)は、固相の表面に接触される。試験化合物を十分な時間にわたり、OSCAR遺伝子産物と試験化合物との間で複合体形成され得る条件下でインキュベートした後、試験化合物の結合していない分子は、この表面から(例えば、洗浄により)除去され、残っている標識分子が検出される。
【0191】
別の代替的な実施形態において、1以上の異なる試験化合物の分子は、固相に結合され、標識されたOSCARポリペプチドの分子が固相に接触される。このような実施形態において、異なる試験化合物の分子は、好ましくは、固相上の特定の位置で固相に結合され、その結果、OSCARポリペプチドに結合する試験化合物は、固相または表面上に結合したOSCARポリペプチドの位置を決定することにより同定され得る。
【0192】
OSCARと相互作用する化合物についてのアッセイ。タンパク質−タンパク質相互作用を検出するための任意の種々の公知の方法はまた、OSCAR遺伝子産物と相互作用するタンパク質を検出および/または同定するために用いられ得る。例えば、同時免疫沈降、架橋および勾配またはクロマトグラフィーカラムによる同時精製、ならびに当該分野で公知の他の技術が用いられ得る。このようなアッセイを用いて同定され得るタンパク質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:細胞外タンパク質(例えば、OSCAR特異的リガンド)および細胞内タンパク質(例えば、シグナル伝達タンパク質)。
【0193】
限定ではなく、例として、発現クローニングアッセイは、OSCAR特異的リガンドおよびOSCAR遺伝子産物と特異的に相互作用する他のタンパク質を同定するために用いられ得る。このようなアッセイにおいて、cDNA発現ライブラリーは、OSCAR特異的リガンドを発現する任意の細胞株(例えば、破骨細胞、胚性繊維芽細胞、NIH細胞、3T3細胞、ST2細胞、Mlg細胞、UMR106細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、hFOB1.19細胞およびサルCOS−1細胞)から生成され得る。次いで、このような発現ライブラリーに由来するクローンは、OSCAR特異的リガンドを正常には発現しないB細胞リンパ腫株(例えば、CH12細胞、A20.25細胞またはLBB1細胞)のような細胞にトランスフェクトされ得るか、または感染され得る。次いで、OSCAR特異的リガンドをコードするクローンでトランスフェクトされた細胞は、この遺伝子産物を発現し得、標準的な技術(例えば、FACS)を用いて、またはOSCARポリペプチド(例えば、OSCAR−Fc融合ポリペプチド)が結合した磁性ビーズを用いて同定および単離され得る。
【0194】
あるいは、OSCAR特異的リガンドが、当該分野で周知の免疫沈降技術を用いて、細胞株(上記の任意のOSCAR−L発現細胞株を含む)から単離され得る。
【0195】
OSCAR特異的リガンドはまた、OSCAR結合化合物を同定するために、上記で議論されたスクリーニングアッセイのいずれかを用いて単離され得る。例えば、OSCAR−Fc融合ポリペプチドは、固相に結合され得るか、さもなければ付着され得、標識化合物(例えば、候補OSCARリガンド)は、OSCAR−Fc融合ポリペプチドと試験化合物との間で複合体を形成させるに十分な時間および条件下で表面に接触され得る。次いで、試験化合物の結合していない分子は、表面から(例えば、洗浄により)除去され得、結合し続けている標識化合物が検出され得る。
【0196】
一旦このように単離されると、標準的な技術を用いて、このようなアッセイにおいて検出される任意のタンパク質が同定され得る。例えば、OSCAR遺伝子産物と相互作用するタンパク質のアミノ酸配列の少なくとも一部は、当該分野で周知の技術(例えば、Edman分解技術(例えば、Creighton,1983,Proteins:Structures and Molecular Principles,W.H.Freeman & Co.,New York,pages 34−49)を参照のこと)を用いて確認され得る。
【0197】
一旦このようなタンパク質が同定されると、それらのアミノ酸配列は、このようなタンパク質をコードする遺伝子配列をスクリーニングするために、例えば、上記の標準的なハイブリダイゼーション技術またはPCR技術を用いて、オリゴヌクレオチド混合物を生成するためのガイドとして用いられ得る。例えば、このようなオリゴヌクレオチド混合物を生成するための技術およびスクリーニングアッセイにおけるこれらの使用の説明については、Ausubel(前出);およびPCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Innis et al.,eds.,Academic Press,Inc.,New York(1990)を参照のこと。
【0198】
OSCARポリペプチドと相互作用するタンパク質をコードする遺伝子の同時同定を生じる他の方法は、当該分野で公知である。例えば、発現ライブラリーが、標識OSCARポリペプチドを用いてプローブされ得る。
【0199】
限定ではない別の例として、ツーハイブリッド系を用いて、インビボでOSCAR遺伝子産物とのタンパク質相互作用が検出され得る。簡潔には、このような系を利用して、ツーハイブリッドタンパク質をコードするプラスミドが構築され得る。このツーハイブリッドタンパク質のうちの一方は、好ましくは、OSCAR遺伝子産物に融合した転写アクチベータータンパク質のDNA結合ドメインを構成する。他方のハイブリッドタンパク質は、好ましくは、第1のハイブリッドにおいて用いられた転写アクチベータータンパク質の活性化ドメインを含み、このドメインは、cDNAライブラリーの一部としてプラスミドライブラリーに組み換えられたcDNAによりコードされる未知のタンパク質に融合されている。DNA結合ドメイン融合プラスミドおよびcDNAライブラリーの両方は、レポーター遺伝子(例えば、HBS、lacZ、HIS3またはGFP)を含むSaccharomyces cerevisiaeまたは他の適切な生物の系統に同時形質転換され得る。好ましくは、このレポーター遺伝子の調節領域は、このツーハイブリッドタンパク質の転写アクチベーター部分の結合部位を含む。このようなツーハイブリッド系において、2つのハイブリッドタンパク質のいずれか単独の存在のみでは、レポーター遺伝子の転写を活性化することはできない。具体的には、このDNA結合ドメインハイブリッドタンパク質は、必要な活性化機能に集中することができないので転写を活性化できない。同様に、活性化ドメインハイブリッドタンパク質は、レポーター遺伝子のDNA結合部位に集中することができないので、転写を活性化できない。しかし、2つのハイブリッドタンパク質間の相互作用は、その機能的転写アクチベータータンパク質を再構成し、レポーター遺伝子の発現を生じる。従って、本明細書中に詳細に記載されるもののようなツーハイブリッド系において、OSCARポリペプチド(すなわち、転写アクチベーターのDNA結合ドメインに融合されたOSCARポリペプチド)と試験ポリペプチド(すなわち、転写アクチベーターのDNA結合ドメインに融合されたタンパク質)との間の相互作用は、単にレポーター遺伝子の遺伝子産物の発現を検出することにより検出され得る。
【0200】
このようなツーハイブリッドアッセイおよび他のアッセイにおいてスクリーニングするためのcDNAライブラリーは、当該分野で公知の任意の適切な技術に従って作製され得る。特定ではあるが限定ではない例として、cDNAフラグメントがベクターに挿入され得、その結果、これらのフラグメントは、GAL4の転写活性化ドメインに翻訳的に融合されて(translationally fused)、GAL4活性化配列を含むプロモーターにより駆動されるHIS3遺伝子を含むSaccharomyces cerevisiaeまたは他の適切な生物の系統に、「ベイト」OSCAR−GAL4融合プラスミドとともに同時形質転換される。GAL4転写活性化ドメインに融合された、このcDNAライブラリー由来のタンパク質(このタンパク質は、OSCAR−GAL4融合物のOSCARポリペプチド部分と相互作用する)は、GAL4タンパク質を再構成および活性化し、それにより、HIS3遺伝子の発現を駆動し得る。HIS3遺伝子を発現するコロニーは、ヒスチジンを欠いた半固体の寒天ベースの培地を含むペトリ皿上でのそれらの増殖により検出され得る。次いで、cDNAは、これらの系統から精製され得、配列決定され得、OSCARポリペプチドと相互作用するコードされたタンパク質を同定するために用いられ得る。
【0201】
一旦、本発明のOSCAR遺伝子産物に結合する化合物を同定すると、これらの方法において記載されるスクリーニング方法はまた、これらの結合化合物に結合する他の化合物(例えば、低分子、ペプチドおよびタンパク質)を同定するために用いられ得る。このような化合物はまた、OSCAR関連生物活性を、例えば、天然のOSCARリガンドまたは結合パートナーに結合し、OSCAR遺伝子産物とのその相互作用を妨害することにより調節するために有用であり得る。例えば、これらの化合物は、OSCAR−Lを発現する細胞株(前述を参照のこと)へのOSCAR−Fcの結合を阻害するそれらの能力について試験され得る。
【0202】
OSCAR−リガンド相互作用を妨害する化合物についてのアッセイ。下記に示す実施例は、本発明のOSCAR遺伝子産物がインビボで1以上の分子(すなわち、リガンド)と相互作用し得ることを実証する。結合相互作用を撹乱するか、さもなければ妨害する化合物は、下記の実施例で実証されているように、OSCAR遺伝子産物の活性を調節することにおいて有用である。特に、このような化合物は、破骨細胞の成熟または活性を調節し、続いて、これは、骨組織の成長、修復、発生、再吸収、分解もしくはホメオスタシスの調節または骨増殖関連障害の処置に影響を及ぼす。
【0203】
このような化合物としては、OSCAR遺伝子産物に結合する化合物を同定するために、前出で記載のスクリーニングアッセイに従って同定された化合物(そこで記載された化合物の任意の多くの例示的クラスを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0204】
一般に、OSCAR遺伝子産物と結合パートナー(例えば、リガンド)との間の相互作用を妨害する化合物を同定するためにアッセイは、OSCAR遺伝子産物およびその結合パートナーを含む試験反応混合物を、OSCAR遺伝子産物およびその結合パートナーが結合して、複合体を形成するに十分な条件下および時間にわたり調製することを含む。阻害活性について(すなわち、結合複合体の形成を阻害するか、または一旦結合した結合複合体を破壊する能力について)化合物を試験するために、この試験化合物はまた、好ましくは、試験反応混合物中に存在する。1つの例示的実施形態において、この試験化合物は、最初に、OSCAR遺伝子産物とその結合パートナーを有する試験反応混合物中に含まれ得る。しかし、あるいは、この試験化合物は、OSCAR遺伝子産物およびその結合パートナーの添加に続いて、後に試験反応混合物に添加され得る。好ましい実施形態において、1以上のコントロール反応混合物(これは、試験化合物を含まない)がまた調製され得る。代表的には、コントロール反応混合物は、試験反応混合物中に同じOSCAR遺伝子産物および結合パートナーを含むが、試験化合物は含まない。コントロール反応混合物はまた、試験化合物の代わりに、試験反応混合物中には存在しないプラシーボを含み得る。次いで、OSCAR遺伝子産物と結合パートナーとの間での複合体の形成は、反応混合物中で検出され得る。試験化合物の存在下ではなく、試験化合物の非存在下での(例えば、コントロール反応混合物中での)このような複合体の形成は、試験化合物が、OSCARポリペプチドと結合パートナーとの相互作用を妨害するか、またはこの相互作用を調節する化合物であることを示す。
【0205】
OSCAR遺伝子産物と結合パートナーとの相互作用を調節する化合物についてのこのようなアッセイは、不均質な形式で行われてもよいし、あるいは均質な形式で行われてもよい。不均質なアッセイは、代表的には、OSCAR遺伝子産物または結合パートナーのいずれかを固相にアンカーし、反応の最後に固相にアンカーした化合物を検出することを含む。従って、このようなアッセイは、OSCAR核酸およびOSCAR遺伝子産物を検出および/または同定するために、ならびにOSCAR結合パートナーを検出または同定するために前出で記載した固相アッセイに類似している。実際、当業者は、それらのアッセイについての上記の原理および技術の多くが、OSCAR遺伝子産物と結合パートナーとの間の相互作用を調節する化合物を同定するための本明細書中に記載の固相アッセイにおいて過度の実験なくして改変および適用され得ることを認識する。
【0206】
使用される特定のアッセイに拘わらず、反応物が反応混合物に添加される順序は、例えば、競合によって、OSCAR遺伝子産物と結合パートナーとの相互作用を妨害する化合物を同定するために、または行われた結合複合体を破壊する化合物を同定するために変化され得る。競合によってOSCAR遺伝子産物と結合パートナーとの相互作用を妨害する化合物は、試験化合物の存在下で反応を行うことにより同定され得る。具体的には、このようなアッセイにおいて、試験化合物は、OSCAR遺伝子産物および結合パートナーの前に、またはこれらと同時に反応混合物に添加され得る。OSCAR遺伝子産物と結合パートナーとの行われた複合体を破壊する試験化合物は、複合体が形成された後に、試験化合物を反応混合物に添加することにより試験され得る。
【0207】
本明細書中に記載のスクリーニングアッセイはまた、全長OSCARポリペプチドもしくはタンパク質の一部に対応するペプチドまたはポリペプチド、あるいはこのようなペプチドまたはポリペプチドの配列を含む融合タンパク質を用いて実施され得る。例えば、OSCARポリペプチドと結合パートナーとの相互作用を調節する化合物を同定するためのスクリーニングアッセイは、結合パートナー(例えば、リガンド「結合部位」)に結合する全長OSCARポリペプチドの特定の領域またはドメインに対応するペプチドまたはポリペプチドを用いて実施され得る。例えば、1つの実施形態において、スクリーニングアッセイは、全長OSCARポリペプチドの細胞外ドメイン(例えば、配列番号3に示されるOSCARポリペプチドのアミノ酸残基1〜228の配列を含む)に対応するアミノ酸配列を含むポリペプチド(またはそれらの融合物)を用いて行われ得る。
【0208】
OSCARポリペプチドの特異的結合部位を同定するために用いられ得る種々の方法が、当該分野で公知である。例えば、結合部位は、OSCAR遺伝子を変異させ、上記のような結合の破壊をスクリーニングすることにより同定され得る。結合パートナーをコードする遺伝子はまた、このようなアッセイにおいて変異され、OSCAR遺伝子に対する変異から破壊を保障する変異が同定され得る。次いで、これらの変異の配列分析により、2つのタンパク質の結合領域に対応する変異が明らかになり得る。
【0209】
代替的な実施形態において、タンパク質(例えば、OSCARタンパク質またはOSCARタンパク質に対するタンパク質結合パートナー)は、本明細書中上記に記載の方法を用いて固相または支持体にアンカーされ得る。固相表面にアンカーされたタンパク質に結合する別の標識タンパク質は、タンパク質分解酵素で処理され得、そのフラグメントは、上記の結合アッセイの方法に従って、固相表面に結合されたタンパク質との相互作用が可能にされ得る。短時間洗浄した後、処理されたタンパク質の標識ペプチドフラグメントは、アンカーしたタンパク質と会合したままであり得る。これらのペプチドは単離され得、これらのペプチドが由来した全長タンパク質の領域は、アミノ酸配列によって同定され得る。
【0210】
さらなる他の実施形態において、OSCARリガンド相互作用を妨害する化合物はまた、OSCARポリペプチド(例えば、OSCAR−Fc融合ポリペプチド)の、OSCAR特異的リガンドを発現する細胞(例えば、破骨細胞、胚性繊維芽細胞、NIH細胞、3T3細胞、ST2細胞、Mlg細胞、UMR106細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、hFOBl.19細胞、およびCOS−1細胞)への結合を調節する化合物をスクリーニングすることにより同定され得る。
【0211】
(治療方法および薬学的調製物)
本発明のOSCAR核酸分子、ポリペプチドおよび抗体は、例えば、破骨細胞の成熟および活性を調節するために用いられ得る。さらに、本発明のOSCAR核酸またはOSCARポリペプチドに結合する化合物は、OSCAR遺伝子発現を調節する化合物、および結合化合物で(例えば、天然のリガンドで)OSCAR核酸またはOSCARポリペプチドの結合を妨害するか、あるいはこの結合を調節する化合物は、例えば、破骨細胞の成熟または活性を調節するための方法において有用であり得る。従って、このような化合物はまた、破骨細胞活性(例えば、骨組織の成長、修復、発生、再吸収、分解およびホメオスタシス)と関連するプロセスを調節するために用いられ得る。このような方法は、骨増殖関連障害(例えば、骨粗鬆症、大理石骨病など)を処置するために特に有用であり得る。例えば、本発明のOSCAR遺伝子産物(例えば、OSCARリガンド)に結合する化合物は、OSCAR活性を増大させ得、破骨細胞の成熟を刺激し得、それにより破骨細胞関連活性を増大させ得る。従って、このような化合物は、破骨活性の活性化が所望され得る条件で処理するために用いられ得る。例えば、破骨細胞は、石灰化された骨マトリクスを再吸収する細胞であるので、OSCAR活性を増大させ、破骨細胞の成熟を誘導する化合物は、骨増殖関連障害(例えば、異常に高いかまたは上昇した骨質量と関連する大理石骨病)を処置するために有用であり得る。あるいは、例えば、OSCAR遺伝子産物とリガンドとの間での結合相互作用を妨害することによりOSCAR活性を減少させる化合物は、破骨細胞成熟および破骨細胞関連活性を減少させ得る。従って、これらの化合物は、減少した破骨細胞活性が所望され得る条件で処置するために使用され得る。例えば、OSCAR活性を減少させる化合物は、異常に低いかまたは減少した骨質量と関連する骨増殖関連障害(例えば、骨粗鬆症)を処置するために使用され得る。
【0212】
このような方法は、化合物が実際に、例えば、組織サンプルにおいて破骨細胞の数を増大または減少させるか否かを決定するために用いられ得る。従って、これらの方法は、特定の処置が破骨細胞活性に所望の影響を生じるか否かをモニターするために用いられ得る。
【0213】
あるいは、処置の有効性は、(例えば、動物モデルまたは患者において)個体の骨質量をモニターし、治療の結果として骨質量が増大したか、または減少したか否かを決定することにより確認され得る。
【0214】
阻害アプローチ。破骨細胞成熟または活性を調節するための方法は、OSCAR遺伝子の発現、OSCAR遺伝子産物の合成またはOSCAR遺伝子産物活性を調節する1以上の化合物を投与することを含むだけであり得る。その結果、破骨細胞成熟または活性が、調節される(例えば、増大または減少される)。同様に、骨の増殖、修復、発生、再吸収、分解またはホメオスタシスを調節する(例えば、増大または減少させる)ための方法は、OSCAR遺伝子の発現、OSCAR遺伝子産物の合成またはOSCAR遺伝子産物活性を調節する1以上の化合物を投与することを含むだけであり得る。好ましくは、これらの1以上の化合物は、骨の増殖、修復、発生、再吸収、分解またはホメオスタシスが所望されるように調節されるまで投与される。
【0215】
OSCAR核酸の活性、発現または合成を調節する能力を示し得る化合物の中には、アンチセンス分子、リボザイム分子および三重らせん分子がある。このような分子は、野生型OSCAR核酸および野生型OSCARポリペプチドを減少または阻害するように設計され得るか、あるいは変異OSCAR核酸またはOSCARポリペプチドを標的化し得る。
【0216】
アンチセンスRNA分子およびアンチセンスDNA分子は、mRNA分子を標的化するためにハイブリダイズし、タンパク質翻訳を阻止することによりmRNAの翻訳を直接ブロックするために作用する。アンチセンスアプローチは、標的遺伝子mRNAに相補的なオリゴヌクレオチドの設計を含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、相補的標的遺伝子mRNA転写物に結合し、翻訳を阻止する。絶対的な相補性は、好ましくはあるが、必須ではない。
【0217】
核酸の一部に「相補的な」配列とは、核酸とハイブリダイズし、安定な二重鎖を形成し得るに十分な相補性を有する配列をいう。核酸がハイブリダイズする能力は、配列相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両方に依存する。しかし、一般に、ハイブリダイズする核酸が長くなるほど、塩基ミスマッチが多くなり、これは、安定な二重鎖(または三重らせんにおいては三重鎖)を含み得、なおこれを形成し得る。ミスマッチの許容され得る程度は、例えば、ハイブリダイズした複合体の融解温度を決定するための標準的な手順を用いることにより、容易に確認され得る。
【0218】
1つの好ましい実施形態において、OSCAR遺伝子の非コード領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、内因的なOSCAR mRNA分子の翻訳を阻害するためのアンチセンスアプローチにおいて使用され得る。アンチセンス核酸は、好ましくは、長さが少なくとも6ヌクレオチド、より好ましくは、長さ約6〜約50ヌクレオチドの範囲である。特定の実施形態において、このオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも15ヌクレオチド、少なくとも20ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチドまたは少なくとも50ヌクレオチドであり得る。
【0219】
インビトロでの研究は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが遺伝子発現を阻害する能力を定量するために最初に用いられることが一般に好ましい。これらの研究は、アンチセンス遺伝子阻害とオリゴヌクレオチドの非特異的生物学的効果との間を区別するコントロールを利用することが好ましい。これらの研究は、標的RNAまたは標的タンパク質のレベルと、内部コントロールRNAまたはコントロールタンパク質のレベルとを比較することもまた好ましい。さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて得られる結果は、コントロールオリゴヌクレオチドを用いて得られるものであることが想定される。コントロールオリゴヌクレオチドは、試験オリゴヌクレオチドとほぼ同じ長さであり、このオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列が、標的配列に対する特異的ハイブリダイゼーションを阻止することが必要であるにすぎないアンチセンス配列とは異なることが好ましい。
【0220】
標的遺伝子コード領域配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドが使用され得るが、転写され、翻訳されない領域に相補的なアンチセンスヌクレオチドが最も好ましい。
【0221】
アンチセンス分子は、好ましくは、インビボで標的遺伝子を発現する破骨細胞のような細胞に送達される。多くの方法は、細胞にアンチセンスDNAまたはアンチセンスRNAを送達されるために開発されている。例えば、アンチセンス分子は組織部位に直接注射され得るか、あるいは所望の細胞を標的にするように設計した改変されたアンチセンス分子(例えば、標的細胞表面上に発現するレセプターまたは抗原に特異的に結合する、ペプチドまたは抗体に連結するアンチセンスである)が全身投与され得る。
【0222】
好ましい実施形態は、内因性mRNAの翻訳を抑制するのに十分なアンチセンス核酸分子の細胞内濃度を達成する。例えば、一つの好ましいアプローチは、組換えDNA構築物を使用する。ここで、このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、強力なpol IIIプロモーターまたはpol IIプロモーターの制御下に位置される。患者の標的細胞にトランスフェクトするための、このような構築物の使用は、一本鎖RNAの十分な量の転写をもたらす。この一本鎖RNAは、内因性の標的遺伝子転写物と相補的な塩基対を形成し、それゆえ、標的遺伝子mRNAの翻訳を防ぐ。例えば、上に記載のベクターは、細胞によって取り込まれ、そしてアンチセンスRNAの転写に向わせるように導入される。所望のアンチセンスRNAを産生するために転写され得る限り、このようなベクターはエピソームに保持され得るか、または染色体に組み込まれ得る。このようなベクターは、当該分野で標準的な組換えDNA技術的方法により構築され得る。ベクターは、プラスミド、ウイルス、または当該分野で公知の他のものであり得、これらは哺乳動物において複製および発現のために使用され得る。アンチセンスRNAをコードする配列の発現は、特定の細胞型(例えば、哺乳動物の破骨細胞(例えば、ヒトは破骨細胞)において)において作用することが当該分野で公知である任意のプロモーターによりなされ得る。例えば、組換えOSCAR核酸の発現に関連して議論された任意のプロモーター(前出)はまた、OSCARアンチセンス核酸を発現させるために使用され得る。
【0223】
標的遺伝子のmRNA転写物を触媒的に切断するために設計されたリボザイム分子または、標的遺伝子のmRNAの翻訳を防ぎ、それゆえ、標的遺伝子産物の発現を防ぐために使用され得る(例えば、国際公開番号第WO90/11364号;Sarver,et al.,Science 1990,247:1222−1225を参照のこと)。
【0224】
リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒する能力のある酵素的RNA分子である(総論について、Rossi,Current Biology 1994,4:469−471を参照のこと)。リボザイムの作用のメカニズムは、相補的な標的RNAにリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーション、引き続くにエンドヌクレオチド鎖分解性の切断事象に関連する。リボザイム分子の組成物は、標的遺伝子mRNAに相補的な1つ以上の配列を含み、そしてmRNA切断に応答可能な周知の触媒配列を含まなければならない。この配列については、例えば、米国特許第5,093,246号を参照のこと。
【0225】
部位特異的認識配列でmRNAを切断するリボザイムを、標的遺伝子mRNAを破壊するために使用し得るが、ハンマーヘッド型リボザイムの使用が好ましい。ハンマーヘッド型リボザイムは、標的mRNAと相補的な塩基対を形成する隣接領域により規定される位置で、mRNAを切断する。唯一必要なことは、標的mRNAが以下の2つの塩基対の配列:5’−UG−3’を有することである。ハンマーヘッド型リボザイムの構築および産生は、当該分野で周知であり、そしてMyers,1995,Molecular Biology and Biotechnology:A Comprehensive Desk Reference,VCH Publishers,New York,(特に図4,833ページを参照のこと)およびHaseloff and Gerlach,Nature 1988,334:585−591により詳細に記載されている。
【0226】
好ましくは、このリボザイムは、切断認識部位が標的mRNAの5’末端近くの位置するように(すなわち、効率を上げ、そして機能的でないmRNA転写物の細胞内蓄積を最小化するように)操作されている。
【0227】
本発明のリボザイムはまた、Tetrahymena thermophilaに天然に存在する(IVS RNA、またはL−19 IVS RNAとして公知)のようなRNAエンドリボヌクレアーゼ(これ以降、「Cech型リボザイム」)を含む。これは、Thomas Cechおよび共同研究者(Zaug,et al.,Science 1984,224:574−578; ZaugおよびCech,Science 1986,231:470−475;Zaug et al.,Nature 1986,324:429−433;国際出願番号WO 88/04300;BeenおよびCech,Cell 1986,47:207−216)によって広く記載されている。Cech型リボザイムは、標的RNAの切断が生じた後に標的RNA配列にハイブリダイズする8塩基対の活性部位を有する。本発明は、標的遺伝子内に存在する8塩基対活性部位配列を標的にするこれらのCech型リボザイムを含む。
【0228】
アンチセンスアプローチの場合のように、このリボザイムは改変されたオリゴヌクレオチド(例えば、安定性、標的化を改善するために)を含み得、そしてインビボで標的遺伝子を発現する細胞に送達されるはずである。送達の一つの好ましい方法は、強力な構成的pol IIIプロモーターまたはpol IIプロモーターの制御下でリボザイムを「コードする」DNA構築物を使用することに関連する。その結果、トランスフェクトされた細胞は、内因性の標的遺伝子のメッセージを破壊し、そして翻訳を阻害するために十分な量のリボザイムを産生する。リボザイムはアンチセンス分子とは異なり触媒性なので、より低い細胞内濃度が効力のために必要とされる。このような構築物は、任意の上記のベクターを用いて細胞に導入され得る。
【0229】
内因性標的遺伝子発現はまた、標的遺伝子またはそのプロモーターを、標的化相同組換えを用いて不活性化または「ノックアウト」することにより減少させ得る(例えば、Smithies,et al.,Nature 1985,317:230−234;ThomasおよびCapecchi,Cell 1987,51:503−512;ならびにThompson et al.,Cell 1989,5:313−321を参照のこと)。例えば、内因性標的遺伝子に相同なDNA(標的遺伝子のコード領域または調節領域のいずれか)に隣接した変異体、機能的でない標的遺伝子(または完全に関連のないDNA配列)が、インビボで標的遺伝子を発現する細胞にトランスフェクトするために(選択マーカーおよび/またはネガティブ選択マーカーを伴うかまたは伴わずに)使用され得る。標的化相同組換えによるこのDNA構築物の挿入は、標的遺伝子の不活性化をもたらす。このようなアプローチは、農学分野で得に適合されており、ES(胚性幹)細胞への改変が、不活性な標的遺伝子を有する動物の子孫を生み出すために使用され得る(例えば、ThomasおよびCapecchi,1987ならびにThompson,1989,前出を参照のこと)。しかしながら、このアプローチは、ヒトにおける使用に適合され得る。但し、組換えDNA構築物は、適切なウイルスベクターを用いてインビボで必要とされる部位に直接的に投与されるか、または標的化される。
【0230】
あるいは、内因性標的遺伝子発現は、体内の標的細胞において標的遺伝子の転写を防ぐ三重らせん構造を形成するために、標的遺伝子の調節領域(すなわち、標的遺伝子プロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なデオキシリボヌクレオチド配列を標的化することにより減少され得る(一般的に、Helene,Anticancer Drug Des.1991,6:569−584;Helene,et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.1992,660:27−36;およびMaher,Bioassays 1992,14:807−815を参照のこと)。
【0231】
転写の阻害を阻害するための三重らせん形成において用いられる核酸分子は、一本鎖であり、そしてデオキシヌクレオチドを含むべきである。これらのオリゴヌクレオチドの塩基組成物は、Hoogsteen塩基対規則を介して三重らせん形成を促進するように設計されなければならず、これは、一般に二本鎖のうちの一方の鎖に存在するプリンまたはピリミジンいずれかのかなりの大きいストレッチを必要とする。ヌクレオチド配列はピリミジンベースであり得、これは生じる三重らせんの三つの結合した鎖にわたるTATおよびCGC+トリプレットをもたらす。ピリミジンの豊富な分子は、その鎖に平行方向の2本の鎖のうちの一本鎖のプリンの豊富な領域に塩基相補性を提供する。さらに、核酸分子は、プリンの豊富な(例えば、G残基の伸長を含む)分子が選択され得る。これらの分子は、GC対が豊富なDNA二重鎖と三重らせんを形成する。ここで、プリン残基の大部分は、標的化された二重鎖のうちの一本の鎖に位置し、三重鎖の3つの鎖にわたってCGCトリプレットを生じる。
【0232】
あるいは、三重らせん形成に標的化され得る潜在的な配列は、「スイッチバック」と呼ばれる核酸分子を創造することにより増加され得る。スイッチバック分子は、5’−3’、3’−5’様式を交互にすることにおいて合成され、この結果,これらは二重鎖の第一の一方の鎖と塩基対形成し、次いで、他方の鎖と塩基対形成し、二重鎖のうちの一方の鎖に存在するプリンまたはピリミジンのいずれかのかなり大きいストレッチの必要性を除去する。
【0233】
本明細書中に記載されるアンチセンス、リボザイム、および/または三重らせん分子が、変異体遺伝子発現を阻害するために使用される場合、この技術は、転写(三重らせん)および/または正常な標的遺伝子の対立遺伝子により産生されるmRNAの翻訳(アンチセンス、リボザイム)を、そのように効率的に減少させるかまたは効率的に阻害することが可能であり、存在する正常遺伝子産物の濃度が正常な表現型のとって必要とされる濃度未満であり得る可能性を上昇する。このような場合に、標的遺伝子活性の実質的に正常なレベルが維持され、それゆえ、正常な標的遺伝子活性を示す標的遺伝子ポリペプチドをコードしそしてこれらを発現する核酸分子が、遺伝子治療法(例えば、以下で記載されるような遺伝子治療法)を介して細胞に導入され得る。この遺伝子治療法は、どのアンチセンス、リボザイム、または三重らせんでも利用される処置に感受性の配列を含まない。あるいは、それらによってこの標的遺伝子が外因性タンパク質をコードする場合、標的遺伝子活性の不可欠なレベルを維持するために正常標的遺伝子タンパク質を同時投与することが望ましくあり得る。
【0234】
(遺伝子治療)
障害がOSCAR遺伝子変異に由来する場合、処置方法は、この障害の症状が改善するように、野生型OSCAR核酸分子または正常な生物学的活性を有するOSCARポリペプチドをコードする核酸分子を個体に供与することを包含し得る。
【0235】
あるいは、障害がOSCAR遺伝子変異に由来する場合、処置は、障害の症状が改善するように、野生型のOSCAR遺伝子産物または正常な生物学的活性を有するOSCAR遺伝子産物を発現するように改変された細胞(例えば、破骨細胞または線維芽細胞)を個体に移植または供与することを包含する。
【0236】
当該分野で利用可能である遺伝子治療のための方法の任意のものが、本発明に従って使用され得る。遺伝子治療法の一般的な概説については、Goldspiel et al.,Clinical Pharmacy 1993,12: 488−505;WuおよびWu,Biotherapy 1991,3:87−95;Tolstoshev,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.1993,32:573−596;Mulligan,Science 1993,260:296−932;MorganおよびAnderson,Ann.Rev.Biochem.1993,62:191−217;ならびにMay,TIBTECH 1993,11:155−215)を参照のこと。特に、細胞中の発現OSCAR核酸について前出したものに記載される任意のウイルスベクターおよび非ウイルスベクターは、こらの遺伝子治療法において使用され得る。
【0237】
組換えDNA技術の分野において通常知られる方法はまた、このような遺伝子治療においても使用され得る。例えば、以下に記載される方法を参照のこと:Ausubel et al.(eds.),1993,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York;Kriegler,1990,Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual,Stockton Press,New York;およびDracopoli et al.(eds.),1994,Current Protocols in Human Genetics,John Wiley & Sons,New York。
【0238】
本発明の遺伝子治療法の一つの局面において、本明細書中に記載の発現ベクターのいずれかを含む治療ベクターが使用され、これは、適切な宿主細胞内で機能的なOSCAR遺伝子産物を発現する核酸配列を含む。特に、このベクターは、好ましくは、機能的な本発明のOSCARポリペプチドに対するコード配列に作動可能に連結されるプロモーターを含む核酸配列を含有する。このプロモーターは、誘導性プロモーター、構成的プロモーターであり得、そして必要に応じて組織特異的であり得る。別の実施形態において、このベクターは核酸分子を含み、ここでOSCAR核酸配列は、ゲノムの所望の部位で相同組換えを促進する領域により隣接される。従って、OSCAR遺伝子産物の染色体内発現を提供する(例えば、KollerおよびSmithies,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1989,86:8932−8935;Zijlstra et al.,Nature 1989,342:435−438を参照のこと)。
【0239】
例えば、骨の成長、修復、発生、再吸収、分解または恒常性のような、破骨細胞の活性を調節するための方法において、ベクターが個体に投与される実施形態では、個体へのベクターの送達は、直接的か、または間接的のいずれかであり得る。ベクター送達の直接的方法は、個体をベクターまたは送達複合体に直接曝露する工程を包含する。送達の間接的な方法において、細胞はまず、インビトロ(例えば、細胞培養物において)でベクターで形質転換し、次いで患者に移植する。このような送達の直接的方法および間接的方法はまた、インビボおよびエキソビボでの遺伝子治療法にそれぞれ関連する。
【0240】
このような遺伝子治療法において使用される核酸の正確な形態および量は、特別な用途(例えば、疾患の特定の型および所望される効果の重大性、患者の状態など)に依存する。特別な用途または治療のための適切な形態および核酸の量は、当業者によって決定され得る。
【0241】
(抗OSCAR抗体治療)
以下の特定の実施例において実証されるように、本発明のOSCAR遺伝子産物は、破骨細胞において優先的にまたは排他的に発現される。従って、本発明の治療方法はまた、標的に対するOSCAR遺伝子産物に特異的に結合し、そして破骨細胞を一過性に除去する抗体の使用を含む。このような治療法は、破骨細胞媒介性骨吸収の抑制が所望される場合、大理石骨病のような疾患および障害を処置するために特に所望される。
【0242】
本発明のOSCARポリペプチドに特異的に結合する、上記の任意の抗体はまた、このような治療において使用され得る。例えば、このような方法において使用される治療的抗体は、全長の抗体またはそれらのフラグメントであり得、これらは、細胞毒性分子(例えば、ラジオアイソトープまたはリシンのような毒素)に連結される。ついで、これらの抗体は標的細胞に対して(すなわち、破骨細胞に対して)特異的な標的細胞毒性のために使用され得る。
【0243】
これらの方法の他の実施形態において、抗体の内因性機能(すなわち、この機能は抗体のFc部分により媒介される)は、例えば、抗体媒介性細胞毒性などによって破骨細胞を明らかに標的にする。このような抗体ベースの治療はすでに当該分野で周知である。
【0244】
なお別の実施形態において、細胞内抗体(「細胞内発現抗体(intrabody)」とも呼ばれる)はまた、OSCAR遺伝子産物の活性を調節するために使用され得る。細胞内タンパク質の活性を調節するための細胞内発現抗体の用途は、当該分野に周知であり、そして多くの種々の系について記載されている(例えば、Marasco,Gen Ther.1997,4:11;Chen et al.,Hum.Gene Ther.1994,5:595を参照のこと)。これらとしては、(これらに限定されないが)以下が挙げられる:ウイルス感染(例えば、Marasco et al.,Hum.Gene Ther.1998,9:1627を参照のこと)および他の感染疾患(例えば、Rondon et al.,Annu.Rev.Microbiol.1997,51:257),ならびにp21のような癌遺伝子(例えば、Cardinale et al.,FEBS Lett.1998,439:197−202;およびCochet et al.,Cancer Res.1998,58:1170−6を参照のこと),myb(Kasono et al.,Biochem Biophys Res Commun.1998,251:124−30),erbB−2(Graus−Porta et al.,Mol Cell Biol.1995,15:1182−91)など。
【0245】
(薬学的調製物)
OSCAR遺伝子発現またはOSCAR遺伝子産物活性に影響を与えることが決定される化合物は、破骨細胞の成熟または破骨細胞に関連する活性を調節するための治療有効用量で(例えば、個体に)投与され得;あるいは、このような化合物は、個体の骨組織の成長、修復、発生、吸収、分解または恒常性を調節するための治療有効用量で投与され得る。それゆえ、用語治療有効用量は、このように調節された活性ならびに/または大理石骨病および骨粗鬆症のような障害に関連する骨成長の症状における改善を生じるのに十分な化合物の量をいう。
【0246】
化合物の毒性および治療効果は、標準的薬学的手順(例えば、細胞培養物アッセイ、またはLD50およびED50を決定するために実験動物を使用する)によって決定され得る。パラメーターLD50およびED50は当該分野で周知であり、それぞれ、集団の50%に致死的および集団の50%に治療有効な化合物の用量をいう。毒性と治療有効性との間の用量比率は、治療的インデックスと呼ばれ、比率:LD50/ED50として示され得る。大きな治療インデックスを示す化合物が好ましい。一方、毒性の副作用を示す化合物が使用され得る。しかし、このような場合において、他の細胞、組織または器官への損傷の可能性を最小にし、そして副作用を減少させる限り、このような化合物が、影響を受ける部位を特異的に標的にする送達経路のために使用されることが特に好ましい。
【0247】
細胞培養物アッセイまたは動物研究から得られたデータを、ヒトにおける使用のための投薬量の範囲を処方するのに使用し得る。本発明の治療方法において使用される化合物の投薬用は、好ましくは、ED50の濃度を含むが、毒性がほとんどないか、全くない(例えば、LD50の濃度未満である)循環濃度の範囲内である。任意の用途で使用される特定の投薬量は、使用される特定の投薬形態、利用される投薬経路、個体(例えば、患者)の状態などの因子に依存して、この範囲内で変化し得る。
【0248】
治療有効用量は、細胞培養アッセイから最初に見積もられ得、そしてIC50を含む循環濃度範囲を達成するために動物モデルにおいて処方される。化合物のIC50濃度は、症状の最大阻害の半分を達成する濃度である(例えば、細胞培養アッセイから決定されるように)。次いで、特定の個体(例えば、ヒト患者)における使用のための適切な投薬量は、このような情報を用いてさらに正確に決定され得る。
【0249】
血漿中の化合物の測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはガスクロマトグラフィーのような技術により、患者のような個体において慣用的に測定され得る。
【0250】
本発明に従う使用のための薬学的組成物は、1つ以上の生理学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を用いる従来の様式において処方され得る。
【0251】
従って、化合物およびそれらの生理学的に受容可能な塩および溶媒は、吸入または吹送(口または鼻を通すことのいずれか)、あるいは経口的、経頬的、非経口的または直腸投与のために処方され得る。
【0252】
経口的投与のために、この薬学的組成物は、例えば、錠剤またはカプセルの形態で使用されうる。これらは、以下のような薬学的に受容可能な賦形剤を用いる慣用的な手段により調製される:結合薬剤(例えば、予めゲル化されたトウモロコシの澱粉、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはシリカ);崩壊剤(例えば、イモ澱粉またはグリコール酸ナトリウム澱粉);あるいは湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)。錠剤は、当該分野で周知の方法によりコートされ得る。経口投与のための液体調製物は、例えば溶液、シロップまたは懸濁の形態で使用され得るか、または使用前に水または他の適切なビヒクルで構成するための乾燥産物として示され得る。このような液体調製物は、以下のような薬学的に受容可能な添加物を用いて従来の手段により調製され得る:懸濁剤(例えば、ソルビトルシロップ、セルロース誘導体または水素化された食用油);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分画された植物油);および保存剤(例えば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)。この保存剤はまた、必要に応じて、緩衝塩、矯味・矯臭剤、着色料および甘味剤を含み得る。
【0253】
経口的投与のための調製は、活性化合物の制御された放出を得るように適切に処方され得る。経頬投与についての処方物は、従来の様式において処方される錠剤またはトローチ剤の形態で使用され得る。吸入による投与のために、本発明に従って使用される化合物は、適切な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、炭酸ガスまたは他の適切なガス)の使用を伴う、加圧されたパックまたはネブライザーからのエアゾールスプレー調製物の形態で従来の通りに送達される。加圧されたエアゾールの場合、投薬量単位は、定量される量を送達するためのバルブを提供することにより決定され得る。吸入器または噴霧器における使用のための例えば、ゼラチンのためのカプセルおよびカートリッジは、化合物および適切な粉末基材(例えば、ラクトースまたは澱粉)の粉末混合物を含んで処方され得る。
【0254】
化合物は、注射(例えば、ボーラス注射または持続的な注入)による非経口的投与のために処方され得る。注射のための処方物は、単位投薬形態(例えば、保存剤を添加されたアンプルまたは複数用量の容器)で存在し得る。この化合物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中の懸濁液、溶液または乳濁液のような形態をとり得、そして懸濁剤、安定剤および/または分散剤のような処方的薬剤を含み得る。あるいは、活性成分は、使用前に、適切なビヒクル(例えば、滅菌の発熱源を含まない水)で構成される粉末形態であり得る。
【0255】
この化合物はまた、坐剤または持続性浣腸のような直腸用の組成物(例えば、ココアバターもしくは他のグリセリドのような従来の坐剤基材を含む)において処方され得る。
【0256】
先に記載された処方物に加えて、この化合物はまた、デポー(depot)調製物として処方され得る。このような長い間作用する処方物は、移植(例えば、皮下または筋内)によってか、または筋内注射によって投与され得る。従って、例えば、この化合物は、適切なポリマー物質または疎水性物質(例えば、受容可能な油における乳濁液)またはイオン交換樹脂、あるいは溶解性の低い誘導体(例えば、溶解性の低い塩)を伴って投与され得る。
【0257】
所望される場合、この組成物は、パックまたはディスペンサーデバイス内に存在し得、これらは、活性成分を含む1回以上の単位投薬形態を含み得る。このパックは、ブリスターパックのような金属またはプラスチックの箔を含み得る。このパックまたはディスペンサーデバイスはまた、投与についての指示が付随し得る。
【0258】
(実施例)
本発明はまた、特定の実施例を用いることによって記載される。しかし、本明細書中のいかなる実施例の使用も、実例となるのみであり、本発明の範囲および意味または例示されたいかなる用語も制限しない。同様に、本発明はまた、本明細書中に記載される、いかなる特に好ましい実施形態に制限されない。実際に、本発明の多くの改変およびバリエーションは、本明細書を読んだ当業者に明らかであり、そしてこの精神および範囲から逸脱することなしになされ得る。それゆえ、本発明は、添付の特許請求に記載されるの等価物の全ての範囲を伴って、特許請求の範囲の用語によってのみ制限される。
【0259】
(実施例1:マウスOSCAR遺伝子の単離および特徴付け)
この実施例は、破骨細胞において特異的に発現する免疫グロブリン(Ig)様レセプターをコードする新規のcDNAの単離を記載する。この実施例は、本明細書中でOSCARと呼ばれる新規の遺伝子および遺伝子産物を提供する。
【0260】
(材料および方法)
(破骨細胞およびマクロファージの調整)
骨髄細胞を、(Wani et al.,Endocrinology 1999,140:1927−1935)に記載されるように4〜8週齢のC57BL/6の雄性マウスから単離した。大腿骨および脛骨を、無菌的に取り出す。この骨端を切断し、そして骨髄細胞を滅菌した31ゲージの針を用いてBSS溶液を注射することによって洗浄した。単一の細胞懸濁液を得るために、骨髄細胞をプラスチックのパスツールピペットを用いて懸濁した。メッシュを用いて濾過した後、骨髄細胞をGey’s溶液で処理した。この骨髄細胞を2回洗浄し、10%FBSを含有するα−MEM中に懸濁し、750mlフラスコに1×106細胞/mlの密度でM−CSF(5ng/ml)中で24時間インキュベートする。24時間後、この非接着細胞を収集し、そして同じ培地に再懸濁した。破骨細胞およびマクロファージ細胞の調整のために、10mlの懸濁液(3×107細胞)を10mmペトリ皿に添加した。ヒトM−CSF(30ng/ml)をマクロファージ細胞に添加し、一方、hM−CSF(30ng/ml)、mTRANCE(lμg/ml)およびPGE2(1μM)を破骨細胞のために使用した。培養物に3日目で養分を与え、そして4日目でPBSで2回洗浄した後、接触細胞を収集した。成熟樹状細胞を(Inaba et al.,J.Exp.Med.1992,176:1693−1702)に記載されるように骨髄前駆細胞から得た。
【0261】
(骨髄細胞からのRNAの単離)
破骨細胞およびマクロファージ細胞からの全RNAを、TRIZOL(GIBCO)を用いて培養皿から直接単離した。ポリA mRNAをオリゴテックスmRNAキット(QIAGEN)を用いて全RNAから単離した。ポリA mRNAの溶出物を、エタノールで沈殿させ、DEPCで処理した蒸留水中に再懸濁した。ポリA mRNAの濃度を、UV分光光度計により決定した。
【0262】
(頭蓋骨および長骨からのRNAの単離)
3日齢マウスから頭蓋骨を収集し、PBSで洗浄し、そしてTRIZOLで処理した。4週齢雌性マウスから長骨を収集し、凍結し、Bessman tissue pulverizer(Fisher)を用いて破砕し、そしてTRIZOLで処理した。組織由来の全RNAを製造業者のプロトコル(GIBCO)に従ってTRIZOLを用いて収集した。
【0263】
(差し引きのcDNAライブラリーの作製)
骨髄由来の破骨細胞およびマクロファージ細胞からのポリA mRNAを、製造業者のプロトコル(CLONTECH)に従ってPCR選択差し引きキットを使用して、差し引きのcDNAライブラリーを作製するために使用した。差し引きからのcDNAを、pCR2.1 TAクローニングベクター(INVITROGEN)に直接挿入した。14℃で一晩結合させた後、この結合混合物を、E.coli XLIIBのコンピテント細胞に形質転換させた。これらの細胞を、X−galおよびIPTGを含有するアンピシリンを含むLB皿上にプレートした。250の白色コロニーをミニプレップ培養のために無作為に選別した。
【0264】
(破骨細胞特異的遺伝子の同定) その差引き済みフラグメントを含むプラスミドDNAサンプルを、QIAprepスピンミニプレップキットを使用して単離した(QIAGEN)。EcoRIで消化した後、このDNAをアガロースゲル上で分離し、Nylon膜(NEN)に移し、そして破骨細胞およびマクロファージ由来の32P標識cDNAでプロービングした。全32P標識cDNAプローブは、以前に記載された(Sambrookら、1989、上記)ようにランダムヘキサマーをプライマーとして使用して、各全RNAを用いて合成した。
【0265】
このナイロン膜を、ハイブリダイゼーション緩衝液(50%ホルムアミド、150mMリン酸ナトリウム、pH6.8、2×デンハート溶液、250mM NaCl、1% SDS、1mM EDTA、および10% PEG 8,000)中で4時間プレハイブリダイズした。変性DNAプローブを添加し、そして16時間ハイブリダイズした。フィルターを洗浄し、そして以前に記載された(Sambrookら、1989、上記)ように、オートラジオグラフした。破骨細胞プローブに選択的にハイブリダイズしたサンプルを、さらなる分析のために選択した。
【0266】
(ノーザン分析) ノーザンブロット分析を、記載された(Sambrookら、1989、上記)ように、ノーザンハイブリダイゼーション緩衝液(50%ホルムアミド、50mMリン酸ナトリウム、pH6.8、5×デンハート溶液、5×SSC、および3mg/mlの超音波処理済みサケ***(DNA))を使用して実施した。異なる細胞型および組織サンプルから、製造業者のプロトコル(GIBCO)に従ってTRIZOLを使用して、全RNAを収集した。OCL178、および全長TRAPおよびカテプシンK cDNAを標識し、そしてプローブとして使用した。
【0267】
(結果および考察)
(OSCARのためのcDNAフラグメントの単離) 破骨細胞(OC)およびマクロファージ(MΦ)は、骨髄前駆細胞に由来する。OCおよびMΦが潜在的に共通の前駆細胞に由来するので、本発明者らは、製造業者のプロトコル(CLONTECH)に従ってPCR選択差引きキットを使用して、差引きcDNA(マウスOC−MΦ)ライブラリーを構築した。OC特異的遺伝子を同定するために、この差引き済みフラグメントを含むプラスミドDNAを250クローンから精製し、消化し、アガロースゲル上で分離し、Nylon膜(NEN)に移し、そしてOCまたはMΦ由来の32P標識cDNAでプロービングした(図8)。1つのクローン(OCL178と呼ぶ)を同定した。このクローンは、マクロファージ中よりも破骨細胞中の方が高発現される。このクローンを、さらなる分析のために選択した。このクローンが、新規な遺伝子(本明細書中でOSCARと呼ぶ)のフラグメントであることを決定した。
【0268】
(OSCARは、OCにおいて特異的に発現されるが、MΦまたは樹状細胞(DC)において特異的には発現されない) OCL178が破骨細胞中で特異的に発現される遺伝子に由来するか否かを決定するために、OCおよびMΦ由来のmRNAを、32P標識OCL178でハイブリダイズした。図9に示されるように、このOCL178フラグメントは、見かけのサイズが4.0kb、1.8kb、および1.0kbである3つの異なるmRNA種を検出した。OSCARの発現が、骨髄由来OC(BMOC)において特異的に検出されたが、骨髄由来MΦ(BMM)において特異的には検出されなかった。さらに、OSCAR発現は、骨髄由来DC(BMDC)において検出されなかった。この骨髄由来DCは、OCおよびMΦと同じ前駆体に由来する。TRAPおよびカテプシンKは、破骨細胞特異的マーカーであると当該分野において考えられている遺伝子である。なぜなら、これらの発現が、OCにおいて検出されたがMΦにおいては検出されなかったからである(例えば、Minkin,C.、Calcif.Tissue Int.、1982、34:285;Ek−Rylanderら、Biochem J.1997、321:305〜11;Chambersら、Cell Tissue Res.、1985、241:671〜675;Laceyら、Cell,1998、93:165〜176を参照のこと)。しかし、OSCARと異なり、TRAPおよび/またはカテプシンKの発現はまた、BMDCにおいても検出され得る(図9を参照のこと)。従って、破骨細胞におけるOSCARの発現は、TRAPまたはカプテシンKのいずれかよりもかなり特異的であり、このことは、このOSCARの遺伝子およびその遺伝子産物が、当該分野で公知の他のマーカー(例えば、TRAPおよびカプテシンK)よりも改善された、破骨細胞特異的マーカーであることを示す。
【0269】
(OSCARは、OCにおいて特異的に発現されるが、他の細胞において特異的には発現されない) OSCAR mRNA発現の特異性を決定するために、種々の組織由来のmRNAを、ノーザン分析によって分析した(図10)。図10に示されるように、OSCAR mRNA発現が、OC(OCL)において特異的に検出されるが、試験した他の組織(筋肉、腎臓、脳、心臓、肝臓、肺、腸、胸腺、脾臓およびリンパ節を含む)において特異的には検出されない。比較において、TRAP mRNAまたはカテプシンK mRNA(これらは、OCについての特異的マーカーであると当該分野で考えられている)は、他の細胞型(すなわち、破骨細胞以外の組織由来の細胞)由来のmRNAにおいて検出され得る。従って、この結果は、OSCAR発現が破骨細胞に特異的であること、ならびにOSCAR遺伝子およびその遺伝子産物が改善された破骨細胞特異的マーカーであることを、確認する。
【0270】
(OSCARは、インビトロおよびインビボにおいて分化した細胞において発現される) RAW264.7細胞は、TRANCEにより処理した場合、インビボで破骨細胞様細胞へと分化することが示されている(Hsuら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、1999、96:3540〜3545)。本明細書の図11A〜Cにおいて示されるノーザンブロット分析は、これらの細胞がまた、48時間の処理の間もOSCARを発現することを示す。OSCAR発現は、4日後が最も高い。この4日後は、これらの細胞が完全に分化している。
【0271】
さらに、OSCAR発現は、上記の種々の組織(例えば、筋肉、腎臓、脳、心臓、肝臓、肺、腸、胸腺、脾臓およびリンパ節)において検出されないが、OSCAR mRNAは、破骨細胞が豊富な組織(例えば、頭蓋および長骨)のノーザンブロット分析において検出される(図11C)。
【0272】
従って、OSCARは、分化した破骨細胞において発現され、そしてさらに、分化がインビボで生じるかまたはインビトロで生じるかに関わらず、そのような発現が生じる。
【0273】
(実施例2:OSCARは、新規な免疫グロブリン(Ig)様レセプターをコードする)
本実施例は、全長マウスOSCARポリペプチドをコードする配列を含むcDNA分子の、単離および特徴付けを記載する。
【0274】
(材料および方法)
(マウスcDNAライブラリーの作製) マウスcDNAライブラリーを、製造業者のプロトコル(STRATAGENE)に従って、骨髄由来成熟破骨細胞由来のポリA mRNAを使用して、作製した。全長OSCAR cDNAを、記載された(Sambrookら、1989、上記)ように、OCL178インサートを使用してスクリーニングすることによって、このライブラリーから単離した。
【0275】
(アミノ酸配列分析) 全長マウスOSCARアミノ酸配列を、NCBIタンパク質データベースにおいて相同タンパク質配列について検索するために使用した。検索は、BLASTファミリーのアルゴリズム(Altschulら、Nucleic Acids Res.1997、25:3389〜3402;Altschulら、1990、J.Mol.Biol.1990、215:403〜410)をデフォルトパラメータ値とともに使用して、実行した。
【0276】
(結果および考察)
OCL178を、マウス骨髄破骨細胞由来のcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用した。実施例1(上記)に記載される1.8kb OSCAR cDNAに対応するクローンおよび1.0kb OSCAR cDNAに対応するクローンを、標準的配列決定技術に従って配列決定した。これらのクローンの各々からのcDNA配列が、図1A(1.8kb OSCAR cDNA)および図1B(1.0kb OSCAR cDNA)、ならびに配列番号1および配列番号2に、それぞれ示される。これらの2つの核酸配列の比較により、この2つのクローンは3’非翻訳領域でのみ異なることが示される。各クローンは、同じ推定アミノ酸配列をコードし、この推定アミノ酸配列は、図1C(配列番号3)に示される。上記4.0kb OSCAR cDNAを含むクローンの配列分析によって、このクローンが同じポリペプチドをコードするが、OSCARゲノム配列由来のイントロン配列を含むプロセシングされていない(すなわち、スプライシングされていない)OSCAR mRNAに由来することが、明らかになった。
【0277】
クローンOCL178の配列分析により、このクローン中に含まれるcDNAが、全長OSCAR cDNA配列のフラグメントに対応することが確認された。詳細には、OCL178中に含まれるOSCAR核酸配列(図2A;配列番号4)は、図1C(配列番号3)に示されるOSCARポリペプチド配列のアミノ酸残基161〜165をコードする、全長マウスOSCAR cDNA配列のフラグメントに対応する。この特定のフラグメントのアミノ酸配列は、図2Bおよび配列番号5にもまた、別に示される。
【0278】
推定マウスOSCARポリペプチドのアミノ酸配列分析は、OSCARが264アミノ酸残基の新規なIg様レセプターであることを示す。この全長マウスOSCARポリペプチドは、シグナルペプチド配列(アミノ酸残基1〜16に対応する)、2つのIg様ドメイン配列(それぞれ、アミノ酸残基17〜122および123〜228に対応する)、単一の膜貫通ドメイン配列(アミノ酸残基229〜247に対応する)、および短い細胞質テール配列(アミノ酸残基248〜264に対応する)を含む。これらの個々のドメインを描写するために使用されたアミノ酸残基数は概数であることが、理解される。
【0279】
BLASTファミリーのアルゴリズムを使用してNCBI核酸およびタンパク質データベースにおいて相同配列について検索することにより、図1A〜C(配列番号1〜3)に示されるOSCAR核酸配列およびOSCARポリペプチド配列が新規であることが、確認された。本明細書に記載されるマウスOSCAR配列に対応する核酸配列もタンパク質配列も、これらのデータベースにおいて同定されなかった。しかし、このOSCARポリペプチド配列は、他の2つのIg様レセプターに対して有意な配列相同性を示した。詳細には、BLASTPアルゴリズムを使用するNCBIタンパク質データベースの検索により、このマウスOSCARポリペプチド(図1C;配列番号3)が、マウスPirA(登録番号AAC53217.1)に対して26.4%同一性を有し、そしてタンパク質ウシFcαR(登録番号P24071)に対して24.2%同一性を有することが、明らかになった。
【0280】
このOSCARポリペプチド配列の膜貫通ドメインは、他のIg様レセプター(前記のようなマウスPirAおよびウシFcαRを含む)に対するアミノ酸配列類似性を示す。さらに、このOSCARポリペプチドの膜貫通配列中に保存されたアルギニン(図1Cおよび配列番号3におけるアミノ酸残基231)が存在することは、膜貫通シグナル伝達アダプターモチーフとの会合活性を示す。このようなシグナル伝達アダプターは、例えば、OSCARポリペプチドと免疫共沈するタンパク質を同定することによってか、またはこの膜貫通配列のすべてもしくは一部を好ましくは含むOSCARポリペプチドのフラグメントと免疫共沈するタンパク質を同定することによって、容易に同定し得る(上記、スクリーニングアッセイを参照のこと)。
【0281】
Ig様レセプターは、これらのレセプターを発現する細胞の発生および/または機能の調節に関与することが公知である。さらに、Ig様レセプターの活性は、通常はIg様ドメインにて、特定のリガンドとの結合を介して媒介される。従って、図1Cおよび配列番号3に示されるマウスOSCARポリペプチドの配列分析は、OSCARがOSCAR特異的リガンド(本明細書中でOSCAR−Lと呼ばれる)と相互作用し、そしてこのような相互作用は破骨細胞の発生および機能を調節するという、知見を支持する。
【0282】
(実施例3:マウスおよびヒトのゲノムDNAは、マウスOSCAR cDNAにハイブリダイズする)
本実施例は、マウスOSCAR cDNAにハイブリダイズするヒトゲノムDNAの同定を開示する。このヒトOSCARゲノムDNAを、BLAST検索(これもまた本明細書中に記載される)を介してさらに特徴付けた。
【0283】
(材料および方法)
(サザンブロット分析) サザンブロット分析を、低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション緩衝液(30%ホルムアミド、10mM Tris(pH7.6)、2.5×デンハート溶液、5×SSC、0.5% SDS、1.5mg/ml超音波処理済サケ***DNA)を使用して、42℃にて16時間実施した。その膜を、低ストリンジェンシー洗浄緩衝液(0.5×SSC、1% SDS)を使用して、50℃にて2回洗浄した(洗浄1回につき20分間)。
【0284】
(結果および考察)
(マウスOSCARは、単一遺伝子に由来する) マウスゲノムDNAを、EcoRI制限酵素およびBglII制限酵素で消化し、そして、図1C(配列番号3)に示される全長マウスOSCARポリペプチド配列をコードする32P標識cDNAを用いるサザンブロット分析によって、分析した。7.0kb EcoRIフラグメントおよび5.0kb BglIIフラグメントが、OSCARプローブにハイブリダイズした(図12A)。これらの結果は、上記の選択的スプライシングされた4.0kb cDNA、1.8kb cDNA、および1.0kb cDNAにおいて同定されたマウスOSCAR配列が、単一マウス遺伝子の選択的スプライシングされた転写物であることを、示す。
【0285】
(ヒトゲノムDNAは、マウスOSCAR核酸にハイブリダイズする) ヒトゲノムDNAもまたEcoRI制限酵素およびBglII制限酵素で消化し、そして、マウスゲノムDNAを分析するために使用した(上記)のと同じ全長OSCAR cDNAプローブおよびハイブリダイゼーション条件を使用するサザンブロット分析によって、分析した。マウスOSCAR cDNAプローブは、ヒトゲノムDNAの約1.65kb EcoRIフラグメントとハイブリダイズし、かつヒトゲノムDNAの約5.5kb BglIIフラグメントとハイブリダイズする(図12B)。従って、本発明のマウスOSCAR核酸分子に対するハイブリダイゼーションにより検出および同定され得る、ヒトOSCARホモログもまた存在する。
【0286】
(ヒトOSCAR遺伝子の同定および特徴付け) このBLASTNアルゴリズムは、NCBI核酸データベースを検索して図1A〜B(配列番号1〜2)に示されるマウスOSCAR cDNA配列に相同な配列を同定するために、そのアルゴリズムのデフォルトパラメータを用いて使用した。これらのデータベースは、公知の多数の遺伝子の核酸配列を含むだけではなく、部分的なヒトゲノム配列も含む。
【0287】
このBLAST検索により、ヒト第19染色体のクローンCTD−3093中に含まれるヌクレオチド配列(GenBank登録番号AC012314.5;GI:771547)の一部は、マウスOSCAR cDNA配列に対して相同性を共有することが、明らかになった。従って、ヒトOSCAR遺伝子は、この染色体上に位置する。このヒト第19染色体配列をマウスOSCAR cDNA配列と比較することによって、このゲノムヒトOSCAR核酸配列のエキソンを同定した。
【0288】
図7A〜Dおよび配列番号12は、ヒト第19染色体上のこの新規なヒトOSCAR遺伝子を含む領域のヌクレオチド配列を示す。特に、配列番号12および図7A〜Dに示されるヌクレオチド配列は、GenBankデータベースに供託されたヒト第19染色体クローンCTD−3093の配列(登録番号AC012314.5;GI:7711547)からのヌクレオチド117001〜124920の配列に対応する。この染色体領域内に含まれる新規なOSCARゲノム配列のエキソンは、図7A〜Dにおいて大文字により示され、一方、このOSCAR遺伝子内のイントロン配列は、小文字で示される。この新規なOSCARゲノム配列のイントロン/エキソン境界のヌクレオチド残基数はまた、上記表1に示され、これは、配列番号12におけるヌクレオチド残基数に対する。
【0289】
このヒトOSCAR遺伝子をさらに特徴付けるために、ヒト破骨細胞に由来するcDNAライブラリーを、マウスcDNAライブラリーをスクリーニングするための上記の技術と同様の技術を使用して、スクリーニングした。ヒトOSCARの3つのスプライス改変体またはアイソフォームを、同定した。これらの3つのアイソフォームは、本明細書中でそれぞれ、C18ヒトOSCARアイソフォーム、C16ヒトOSCARアイソフォーム、およびC10ヒトOSCARアイソフォームと呼ばれる。これらの3つのアイソフォームの各々についてのcDNA配列は、図3Aおよび配列番号6(C18ヒトOSCARアイソフォームについて)、図4Aおよび配列番号8(C16ヒトOSCARアイソフォームについて)、ならびに図5Aおよび配列番号8(C10ヒトOSCARアイソフォームについて)に示される。これら3つのアイソフォームの各々によりコードされるOSCARポリペプチドについての推定アミノ酸配列もまた、本明細書において、図3Bおよび配列番号7(C18ヒトOSCARアイソフォームについて)、図4Bおよび配列番号9(C16ヒトOSCARアイソフォームについて)、ならびに図5Bおよび配列番号11(C10ヒトOSCARアイソフォームについて)に提供される。これらの配列を、後に再配列決定し、そして些細な配列決定訂正して確認した。特に、ヒトOSCAR C18アイソフォームのcDNAの核酸残基328(図3Aおよび配列番号6に示される)が、もともと配列決定したときのチミジンでなくグアニン(G)であることを決定した。この訂正は、C18スプライス改変体についての推定アミノ酸配列(図3Bおよび配列番号7に示される)における些細な変化をもたらし、そのアミノ酸残基97は、もともと推定したときのイソロイシン(IまたはIle)でなく、セリン(SまたはSer)である。C18アイソフォームについて訂正した核酸配列およびアミノ酸配列は、本明細書中で図3Aおよび3B、ならびに配列番号6および7に、それぞれ提示される。
【0290】
同様に、ヒトOSCAR C10アイソフォームcDNAの核酸残基295(図5Aおよび配列番号10に示される)が、もともと配列決定したときのチミジンでなくグアニン(G)であることを決定した。この訂正は、C10スプライス改変体についての推定アミノ酸配列(図5Bおよび配列番号11に示される)における些細な変化をもたらし、そのアミノ酸残基86は、もともと推定したときのイソロイシン(IまたはIle)でなく、セリン(SまたはSer)である。C10アイソフォームについて訂正した核酸配列およびアミノ酸配列は、本明細書中で図5Aおよび5B、ならびに配列番号10および11に、それぞれ提示される。
【0291】
ヒトOSCARポリペプチド配列とマウスOSCARポリペプチド配列との整列(図6)により、これらの配列が、非常に高いレベルの相同性を共有することが確認される。特に、この2つの配列は、74.6%(すなわち、約75%)同一であることが見出された。
【0292】
(実施例4:OSCARの細胞外ドメインを含む融合タンパク質は、破骨細胞の変異および活性を調節する)
本実施例は、本発明のOSCARアミノ酸配列を含む、特定の融合ポリペプチドを記載する。本実施例はまた、予備実験を記載し、この予備実験は、このような融合ポリペプチドが、OSCAR特異的リガンドに結合可能であること、そして破骨細胞活性を調節するために使用され得ることを、示す。
【0293】
(材料および方法)
(FACS分析) FACS分析を、例えば、Sharrow、Current Protocols in Immunology、Vol.I(Coliganら編)第5.1〜5.2章、John Wiley & Sons,Incにより記載される慣用的方法;およびKevinら、Current Protocols in Immunology、Vol.I(Coliganら編)第5.3章、John Wiley & Sons,Incに記載される慣用的方法に従って、実施した。
【0294】
(融合タンパク質の生成) OSCARの細胞外ドメインを含む融合タンパク質を、下記のように生成した。Herculase(STRATAGENE)を使用するPCRを使用して、関連するOSCARドメインおよびヒトIgG1 Fc部分を増幅した。
【0295】
(pcDNAにおけるOSCAR−Fcの生成) 図1Cに示されるマウスOSCARポリペプチドの細胞外ドメイン(配列番号3;アミノ酸残基1〜228)をコードする核酸を、5’OSCAR−Met−RIおよび3’−OSCAR−Ec−Bgl ii(それぞれ、配列番号13〜14)と呼ばれるプライマーを使用して、OSCAR cDNAプラスミドからPCR増幅した。このPCR生成物を、EcoRIおよびBglIIで消化した。
【0296】
ヒトIgG1のFc領域を、5’−Human IgG1(配列番号15)および3’−Human IgG1(配列番号16)と呼ばれるプライマーを使用して、ヒトcDNAプラスミドからPCR増幅した。この第2のPCR反応からの生成物を、BglIIおよびXbaIで消化した。その後、両方のPCR反応からの消化産物を、EcoRIおよびXbaIを使用してpcDNA1発現ベクター中に連結した。
【0297】
使用したプライマーの核酸配列は、以下の通りである:
5’−OSCAR−Met−RI: 5’−GGAATTCACCATGGTCCTGTCGCTGATACTC−3’(配列番号13)
3’−OSCAR−Ec−Bgl ii: 5’−GAAGATCTGTTTCCCTGGGTATAGTCCAA−3’(配列番号14)
5’−Human IgG1: 5’−GAGCCGCTCGAGGAATTCGTCGACAGATCTTGTGACAAAACTCAC−3’(配列番号15)
3’−Human IgG1: 5’−GGCCGCTCTAGAACTAGTTCATTT−3’(配列番号16)。
【0298】
(pMT/V5−HisにおけるOSCAR−Fcの作製) OSCAR−Fc cDNAを、EcoRIおよびXbaIを使用して、Drosophila発現ベクターpMT/V5−His(Invitrogen)中に連結した。
【0299】
(pGEX6p−1におけるGST−OSCARの作製) 図1Cに示されるOSCARポリペプチドの細胞外ドメイン(配列番号3;アミノ酸残基1〜228)をコードする核酸配列を、5’−OSCAR−Ec−HR(配列番号17)および3’−OSCAR−Ec−STOP−XhoI(配列番号18)と呼ばれるプライマーを使用して、OSCAR cDNAプラスミドからPCR増幅した。このPCR生成物をEcoRIおよびXhoIで消化し、そしてEcoRIおよびXhoIを使用して、pGEX6p−1ベクター中に連結した。このベクターをE.coli BL21株細胞中にトランスフェクトし、そしてIPTGおよびX−gal誘導法を使用してそのE.coli BL21株細胞中で発現させた(例えば、Sambrookら、1989、上記を参照のこと)。
【0300】
使用したプライマーの核酸配列は、以下の通りである:
5’−OSCAR−Ec−HR: 5’−CCCAAGCTTGAATTCGACTTCACACCAACAGCG−3’(配列番号17)
3’−OSCAR−Ec−STOP−XhoI: 5’−CCGCTCGAGTCAGTTTCCCTGGGTATAGTCCAA−3’(配列番号18)。
【0301】
(pGEX6p−1におけるGST−F−OSCARの作製) 図1C(配列番号3)に示されるOSCARポリペプチドの第1のIg様ドメイン(すなわち、アミノ酸残基17〜122)をコードする核酸配列を、5’−OSCAR−Ec−HR(配列番号17、上記)および3’−OSCAR−EcI−STOP−XhoI(配列番号19)と呼ばれるプライマーを使用して、OSCAR cDNAプラスミドからPCR増幅した。このPCR生成物をEcoRIおよびXhoIで消化し、そしてpGEX6p−1ベクター中に連結した。このベクターをE.coli BL21株細胞中にトランスフェクトし、そしてIPTGおよびX−gal誘導法を使用してそのE.coli BL21株細胞中で発現させた(例えば、Sambrookら、1989、上記を参照のこと)。
【0302】
使用したプライマーの核酸配列は、以下の通りである:
5’−OSCAR−Ec−HR: 5’−CCCAAGCTTGAATTCGACTTCACACCAACAGCG−3’(配列番号17)
3’−OSCAR−EcI−STOP−XhoI: 5’−CCGCTCGAGTCAATCCGTTACCAGCAGTTC−3’(配列番号19)。
【0303】
(pGEX6p−1におけるGST−S−OSCARの作製) 図1C(配列番号3)に示されるOSCARポリペプチドの第2のIg様ドメイン(すなわち、アミノ酸残基123〜228)をコードする核酸配列を、5’−OSCAR−EcII−HR(配列番号20)および3’−OSCAR−Ec−STOP−XhoI(配列番号18、上記)と呼ばれるプライマーを使用して、OSCAR cDNAプラスミドからPCR増幅した。このPCR生成物をEcoRIおよびXhoIで消化し、そしてpGEX6p−1ベクター中に連結した。このベクターをE.coli BL21株細胞中にトランスフェクトし、そしてIPTGおよびXgal誘導法を使用してそのE.coli BL21株細胞中で発現させた(例えば、Sambrookら、1989、上記を参照のこと)。
【0304】
使用したプライマーの核酸配列は、以下の通りである:
5’−OSCAR−EcIII−RI: 5’−GGAATTCGATCAGCTCCCCAGACCAT−3’(配列番号20)
3’−OSCAR−Ec−STOP−Xho I: 5’−CCGCTCGAGTCAGTTTCCCTGGGTATAGTCCAA−3’(配列番号18)。
【0305】
(OSCAR−Fcの精製) OSCAR−IgGを、記載された(Sambrookら、1989、上記)ようにプロテインAクロマトグラフィーを使用して、培養上清から精製した。
【0306】
(破骨細胞成熟アッセイ) 破骨細胞を、Sudaら(Methods in Enzymolozy 1977、282、223〜35)により記載されるように、野生型マウスおよびTRANCEノックアウトマウスの頭蓋冠から単離した。破骨細胞と造血前駆体との同時培養実験において、骨髄細胞(1×105細胞)および破骨細胞(1×104細胞)を、1×10−7Mまたは1×10−8Mの1α,25(OH)2D3の存在下で、10%FBSを含むα−MEM中で、96ウェルプレート(0.2ml/ウェル)にて同時培養した。20μg/mlのOSCAR−IgGまたはヒトIgG1を培養物に添加して、破骨細胞の分化の間のOSCARの役割を観察した。160μlの古い培地を新鮮な培地で置換することによって、3日ごとに培養液を供給した。6日または7日の間培養した後、細胞を固定し、記載された(Waniら、Endocrinology 1999、140:1927〜1935)ように、TRAP(SIGMA)について染色した。3つを超える核を有するTRAP(+)多核性破骨細胞の数を、ウェル各々から計数した。
【0307】
(結果および考察)
(OSCAR−Lは、破骨細胞の表面上に発現される) マウス頭蓋冠由来の初代破骨細胞を、アイソタイプコントロールヒトIgG1タンパク質(図13A)、または上記の材料および方法の節に記載されるOSCAR−Ig融合ポリペプチドのいずれかで染色(すなわち、インキュベート)し(図13B)、その後、PE結合体化抗ヒトIgG1抗体とともにインキュベートした。その後、その細胞をFACSによって分析し、これらの細胞に関連するPE蛍光のレベルを検出した。その結果を、図13A〜Bに示すヒストグラムにおいて示す。詳細には、これらのヒストグラムは、各実験について、特定レベルのPE蛍光(水平軸)を有する、観察された細胞の数(垂直軸)を示す。より高い観察された蛍光レベルを有する細胞は、より多量のPE結合体化抗体がそれらの細胞に結合していることを示す。次いで、このPE結合体化抗ヒトIgG抗体は、細胞表面に結合したhIgG(図13A)またはOSCAR−Ig(図13B)のいずれかに、例えば、OSCAR特異的リガンドへの結合によって結合することによって、その細胞に間接的に結合する。
【0308】
PE蛍光レベルは、その細胞をOSCAR−Ig融合ポリペプチドとともにインキュベートした場合に、IgG1コントロールとともにインキュベートした細胞におけるPE蛍光と比較して、有意に増加した。従って、このデータは、破骨細胞が、本発明のOSCARポリペプチドに特異的に結合する化合物(すなわち、OSCARリガンド)を発現することを示す。特に、IgG1ポリペプチドが破骨細胞に結合しなかったので、それらの細胞により発現されたOSCARリガンドは、これらの実験において使用したOSCAR−Ig融合ポリペプチドのOSCARポリペプチド配列に特異的に結合し、かつその融合ポリペプチドのIgG1配列には結合しない。
【0309】
PE蛍光レベルは、破骨細胞をビタミンD3または副甲状腺ホルモンのいずれかで処理した同じ実験においても、有意には変化しなかった。ビタミンD3または副甲状腺ホルモンは、それぞれ、破骨細胞および破骨細胞活性を増加させることが公知である。従って、そのOSCARリガンドの発現は、このような化合物により影響されない。
【0310】
(OSCAR−Igの添加は、破骨細胞活性を調節する) OSCARポリペプチドが破骨細胞および/または骨芽細胞の活性を調節する能力を試験するために、パイロット実験を行った。マウスの骨髄細胞および骨芽細胞を、破骨細胞成熟アッセイにおいて、上記のように共培養した。指定された単一の時点での共培養物の観察は、アイソタイプ−コントロールヒトIgG1タンパク質で処理したTRAP染色共培養物において、成熟(すなわち、多核性)破骨細胞の存在を明らかにしなかった。ビタミンD3(100nM)およびコントロールIgG1タンパク質での共培養した骨髄細胞および骨芽細胞のさらなる処理は、TRAP染色によって検出されたように、多核性の破骨細胞の形成を誘導した。より低いレベルのビタミンD3(10nM)での共培養した骨髄細胞および骨芽細胞の処理は、いくらかの破骨細胞前駆細胞の形成を生じたが、成熟した多核性の破骨細胞は、TRAP染色によって検出されなかった。これらの結果は、骨芽細胞中のTRANCEを活性化し、それによって破骨細胞成熟を誘導する、ビタミンD3の既知の能力に起因して、予測どおりである。実際、TRANCEノックアウト破骨細胞を骨髄細胞とこの共培養したコントロール実験において、同様のレベルのビタミンD3での処理は、破骨細胞の成熟に対して効果を有さなかった。
【0311】
対照的に、ビタミンD3(10nMまたは100nM)および上記のOSCAR−Ig融合ポリペプチドでの共培養細胞の処理は、上記のコントロール実験と比較して、形成された成熟多核性破骨細胞の数の明らかな増加を生じた。これらの結果を、図14に定量的に示す。
【0312】
TRAP(+)多核性細胞の観察は、破骨細胞成熟を示す。従って、OSCAR融合ポリペプチドの存在下でのこれらの細胞数の増加は、破骨細胞活性が、この特定のパイロット実験の特定の条件下で、いくつかの様式で調節されたことを示唆する。いかなる特定の理論にも作用機構にも限定されないが、これらの実験において使用された可溶性OSCARポリペプチドは、骨芽細胞によって発現されるOSCAR特異的リガンドに競合的に結合し、それによって、そのOSCAR特異的リガンドと、骨髄細胞によって(例えば、骨髄細胞中の破骨細胞前駆細胞および未成熟破骨細胞によって)発現されるOSCARポリペプチドとの間の相互作用を妨げると考えられる。
【0313】
従って、これらの実験において示されたデータは、本発明のOSCARポリペプチドおよびOSCAR特異的リガンドを使用して、破骨細胞の成熟および/または活性を調節し、それによって、骨組織の成長、発達、修復、分解、吸収または恒常性に関連するプロセスの調節を可能にし得ることを示す。
【0314】
(実施例5:OSCARの細胞外ドメインを含む融合タンパク質は、破骨細胞の成熟および活性を阻害する)
この実験は、予備データ(上記実施例4に示される)によってOSCARが破骨細胞活性を調節し得ることを示された後に行った、さらなるより確定的な実験を記載する。詳細には、破骨細胞成熟の速度論的測定からのデータを提示する。これらのデータは、破骨細胞の活性を調節するOSCAR融合ポリペプチドの能力をさらに特徴付ける。
【0315】
(材料および方法)
(OSCAR−Fc融合タンパク質の生成および精製) OSCAR−Ig融合タンパク質の調製を、実施例4に先に記載のように行った。
【0316】
(破骨細胞成熟の速度論的測定) 骨髄細胞および破骨細胞を、先の実施例4に記載のように、野生型マウスおよびTRANCEノックアウトマウスから単離し、そして96ウェルプレート中で共培養した。元の共培養物よりも高い破骨細胞特異的前駆細胞の集団を含む、浮遊細胞培養物もまた調製した。手短に言うと、全骨髄培養物(3×105細胞)を5ng/mlのマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)で処理し、その後、得られたマクロファージ細胞を除去することよって、この浮遊培養物を調製した。
【0317】
10nMのビタミンD3をこれらの培養物に添加し、破骨細胞成熟を刺激した。20μg/mlのOSCAR−IgまたはヒトIgG1のいずれかもまた、培養物に添加して、破骨細胞分化中のOSCARの役割を観察した。コントロール培養物もまた、10nMのビタミンD3のみ(すなわち、OSCARもIgG1もなし)を添加して調製したか、またはビタミンD3もタンパク質も添加しない培地中で培養したかのいずれかであった。少なくとも6日間培養した後、ウェル中のTRAP(+)多核性細胞の数を、先に実施例4に記載したように、毎日カウントした。
【0318】
(象牙質吸収アッセイ) 骨吸収活性を示す、象牙質吸収アッセイを、以前に記載されたように行った。例えば、Tamuraら、J.Bone Miner.Res.1993,8(8):953−60;およびSudaら、Methods in Enzymology 1997、282:223−25を参照のこと。
【0319】
手短に言うと、マウスの骨芽細胞および骨髄細胞の共培養物を、象牙質スライス上で、かつ10nMのビタミンD3の存在下で、上記のように調製した。20μg/mlのOSCAR−IgGまたはヒトIgG1をこの培養物に添加し、破骨細胞活性(すなわち、骨吸収または象牙質吸収)に対するOSCARの役割を観察した。コントロール培養物もまた、10nMのビタミンD3のみ(すなわち、OSCAR−IgもIgG1もなし)の存在下でか、あるいはビタミンD3または融合タンパク質のいずれにも曝露しないでのいずれかで、象牙質スライス上で増殖させた。
【0320】
6日間の象牙質スライス上での培養後、細胞をTRAPで染色し、多核性の破骨細胞を検出した。象牙質スライス中の吸収窩を、光学顕微鏡で可視化した。
【0321】
(結果および考察)
(OSCAR−Igの添加は、TRAP(+)の数を減少させる)
(多核性細胞) OSCARが破骨細胞の成熟および/または活性をどのように調節し得るかをより良好に特徴付けるために、OSCARポリペプチドの存在下および非存在下の両方で数日間の期間にわたって破骨細胞成熟をモニターする、速度論的実験を行った。この速度論的実験は、OSCARが有し得る破骨細胞に対する効果を完全に特徴付けるために必要である。なぜなら、成熟破骨細胞は、通常は、培養物中で生存可能に存続しないからである。従って、破骨細胞を刺激する因子は、培養物中で観察される成熟(すなわち、多核性)破骨細胞の数の最初の増加、およびその後の成熟後細胞死に起因する数の減少によって、特徴付けられ得る。図15A〜15Cは、共培養マウス骨髄細胞および骨芽細胞(図15A〜15B)、および破骨細胞特異的前駆細胞のより高い集団を含む浮遊細胞培養物(図15C)を使用した、速度論的実験について得られたデータを示す。
【0322】
図15Aにおいて定量的に示されるように、多核性TRAP(+)細胞の数によって示される、全骨髄培養物中のビタミンD3刺激骨芽細胞成熟は、処理後約7日で劇的にピークに達する。しかし、この最初の増加の後、それぞれ8日目および9日目までに、活性は、迅速に進行的に減少する。対照的に、ビタミンD3およびOSCAR−Ig融合ポリペプチドでの共培養物の処理は、コントロール実験と比較して、6日目〜9日目に形成されるTRAP(+)細胞数において有意な減少を生じた。
【0323】
処理7日後(この時点で、刺激された破骨細胞成熟がピークに達した)で共培養物中に存在する成熟(すなわち、TRAP(+)、多核性)細胞の数を示す棒グラフを、図15Bに示す。ビタミンD3のみの存在下またはコントロールIgGと共にビタミンD3の存在下のいずれかで培養した細胞は、成熟破骨細胞の数の顕著な増加(1ウェル当たり約150〜200個の細胞)を示す。成熟破骨細胞の数は、ビタミンD3およびOSCAR−Ig融合タンパク質を含む共培養物においては大いに減少される(すなわち、1ウェル当たり50個未満の細胞)。
【0324】
浮遊細胞培養物についての速度曲線(図15C)は、TRAP(+)細胞の数において類似するが、より段階的な増加が、ビタミンD3によって処理の約7日後で誘導され、少なくとも9日目まで継続する。ビタミンD3およびコントロールヒトIgG1タンパク質での浮遊細胞培養物の処理は、予測されたように、類似の増殖曲線を生じる。しかし、ビタミンD3およびOSCAR−Ig融合タンパク質での浮遊細胞培養物の処理は、図15Aに示される共培養された骨髄細胞および骨芽細胞培養物について観察された阻害と類似の様式で、破骨細胞の成熟を有意に阻害する。
【0325】
(OSCAR−Igは、破骨細胞による象牙質吸収を阻害する) 象牙質吸収アッセイ実験もまた、以前に記載されたように行い(例えば、Yasudaら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1998、95:3597−3602;およびTamuraら、J.Bone Miner.Res.1993、8:953−960)、破骨細胞および/または骨芽細胞の活性に対するOSCARの効果をより徹底的に特徴付けた。より詳細には、このアッセイは、骨または象牙質の吸収に対するOSCARの効果を検出する。図16のパネルA〜Eは、象牙質スライド上で共培養した、TRAP(+)染色マウス骨芽細胞および骨髄細胞の顕微鏡写真を示す。図16のパネルF〜Jは、対応する象牙質スライドの顕微鏡写真を示す。顕微鏡写真の暗い染色は、象牙質が吸収された、スライド中の窩を示す。
【0326】
予測されるように、ビタミンD3を含まない象牙質スライド上で共培養した細胞(パネル16A)は、TRAP(+)細胞の欠失によって示されるように、ほとんどまたは全く破骨細胞成熟を示さない。同様に、その対応する象牙質スライド上には、吸収が示されない(図16F)。対照的に、10−8MのビタミンD3のみ(図16B)またはコントロールIgGタンパク質(20μg/ml)と共に10−8MのビタミンD3(図16E)のいずれかに曝露した場合、象牙質スライド上の共培養物は、顕著に増加したTRAP(+)染色を示す。象牙質吸収を示す暗い染色もまた、それらの対応する象牙質スライド(それぞれ、図16Gおよび16J)上に観察される。これらの吸収窩は、対応する細胞培養物中のTRAP(+)染色領域と相関し、これは、予測されたように、破骨細胞成熟の増加が吸収の増加と相関することを確証する。
【0327】
これらの陽性コントロールで観察されたものとは対照的に、10−8MのビタミンD3と一緒にOSCAR−Ig(20μg/mL)と共にインキュベートした象牙質上の共培養物は、ごくわずかにしかTRAP(+)染色を示さないかまたは全くTRAP(+)染色を示さず(図16C)、そして象牙質吸収は、ほとんどまたは全く存在しない(図16H)。従って、OSCAR−Igでの処理は、実際には、破骨細胞の活性を阻害し、そしてより詳細には、骨または象牙質の吸収を阻害する。
【0328】
OSCAR−Igで観察されたこれらの結果を確認するために、陰性コントロール実験もまた実施した。詳細には、骨芽細胞および骨髄細胞の共培養物を、10−8MのビタミンD3およびマウスTRANCEインヒビター(mTR−Fc)(破骨細胞活性の公知のインヒビター(Fullerら、J.Exp.Med.1998、188:997−1000))と共にインキュベートした。予測されたように、これらの共培養物において、TRAP(+)染色は、ほとんどまたは全く観察されず(図16D)、存在した場合でも、ごくわずかな象牙質吸収しか生じなかった(図16I)。
【0329】
これらの象牙質吸収実験からの結果を、図17に定量的に示す。詳細には、これらの図の棒グラフは、共培養した破骨細胞および骨髄細胞の各スライス上でカウントされた、象牙質吸収窩の平均の数を示す。平均して100個を超える窩が、ビタミンD3のみ(102.7±16.8個)またはコントロールIgG1タンパク質(114.7±22.2個)と共にインキュベートしたスライス上で観察された。対照的に、OSCAR−Igと共にインキュベートすると、10分の1未満に吸収が阻害され、各スライス上には10個未満(7±2)の窩が観察される。
【0330】
従って、これらの実験からのデータは、本発明のOSCARポリペプチドおよびOSCAR特異的リガンドが、破骨細胞の成熟および/または活性(例えば、本明細書中に記載される象牙質吸収アッセイによって測定または推測され得る、骨または象牙質の吸収のような活性を含む)を調節するために使用され得ることを確証する。詳細には、いかなる特定の理論にも作用機構にも限定されないが、これらの実験において使用された可溶性OSCARポリペプチドは、骨芽細胞によって発現されるOSCAR特異的リガンドに競合的に結合し、それによって、骨髄細胞によって(例えば、破骨細胞前駆細胞によって、および骨髄細胞中の未成熟破骨細胞によって)発現されるOSCARポリペプチドが活性化されるのを妨げると考えられる。結果として、OSCARがその特定のリガンドに結合することによって通常活性化または刺激される、破骨細胞の成熟および活性は、阻害される。従って、本発明の方法および組成物を使用して、破骨細胞活性に関連するプロセス(骨組織の成長、発達、修復、分解、吸収または恒常性に関連するプロセスが挙げられるが、これらに限定されない)が容易に調節され得る。
【0331】
(実施例6:OSCAR−Ig融合タンパク質が破骨細胞成熟を阻害する能力は、種間で交差反応性である)
上記の実施例4および5は、マウス由来のOSCAR核酸配列およびOSCARアミノ酸配列を使用する、可溶性OSCARポリペプチド(OSCAR−IgまたはmOSCAR−Igと称する)の調製および単離を記載する。これらの実施例はまた、マウス細胞の成熟および活性を調節するための可溶性OSCARポリペプチドの使用を実証する。
【0332】
本実施例は、ヒト由来のOSCAR核酸配列およびOSCARアミノ酸配列を使用する可溶性OSCARポリペプチド(hOSCAR−Igと称する)の調製および単離を記載し、ヒト細胞の成熟および活性を調節するためのこの可溶性ヒトOSCARポリペプチドの使用をさらに実証する。OSCARが異なる種間で交差反応性であることを示すデータもまた示される。詳細には、本実施例は、ヒト細胞の成熟および活性を調節するための可溶性マウスOSCARポリペプチドの使用を実証する。同様に、マウス細胞の成熟および活性を調節するためのヒトOSCARポリペプチドの使用もまた記載する。
【0333】
(材料および方法)
(pcDNAにおけるhOSCAR−Fcの生成) 図3Aに示されるヒトOSCARポリペプチドの細胞外ドメイン(配列番号6:アミノ酸残基1〜219)をコードする核酸配列を、5’hOSCAR−Met−XhoIおよび3’−hOSCAR−Ec−HindIIIと称するプライマー(それぞれ、配列番号21および配列番号22)を使用して、hOSCAR cDNAプラスミドからPCR増幅した。そのPCR産物を、XhoIおよびHindIIIで消化した。
【0334】
Thrombin−SおよびThrombin−ASと称するプライマー(それぞれ、配列番号23および配列番号24)を使用して、上記の生成された産物をさらに増幅することによって、トロンビン部位を、ヒトOSCARの末端に挿入した。
【0335】
ヒトIgG1のFc領域を、5’−Human IgG1(配列番号15)および3’−Human IgG1(配列番号16)と称するプライマーを使用して、ヒトcDNAプラスミドからPCR増幅した。この第3のPCR反応由来の産物を、Bgl IIおよびXbaIで消化した。次いで、両方のPCR反応由来の消化産物を、Ex6およびXbaIを使用して、pcDNA1発現ベクターに連結した。
【0336】
使用したプライマーの核酸配列は、以下のとおりである:
5’hOSCAR−Met−XhoI:5’−CCGCTCGAGACCATGGCCCTGGTGCTGAT−3’(配列番号21)
3’−hOSCAR−Ec−HindIII:5’−CCCAAGCTTTGATCCTCCTCCGTCTTCCCAGCTGATGACCA−3’(配列番号22)
Thrombin−S:5’−CCCAAGCTTCTGGTTCCGCGTGGATCCGCG−3’(配列番号23)
Thrombin−AS:5’−CGCGGATCCACGCGGAACCAGAAGCTTGGG−3’(配列番号24)
5’−Human IgG1:5’−GAGCCGCTCGAGGAATTCGTCGACAGATCTTGTGACAAAACTCAC−3’(配列番号15)
3’−Human IgG1:5’−GGCCGCTCTAGAACTAGTTCATTT−3’(配列番号16)。
【0337】
(pMT/V5−HisにおけるhOSCAR−Fcの生成) hOSCAR−Fc cDNAを、XhoIおよびXbaIを使用して、Drosophila発現ベクターpMT/V5−His(Invitrogen)に連結した。
【0338】
(hOSCAR−Fcの精製) hOSCAR−IgGを、記載されるように(Sambrookら、1989、前出)プロテインAクロマトグラフィーを使用して培養上清から精製した。
【0339】
(ヒト単球培養物の生成) 血液白血球を、Leukopakフィルターを使用する連続濾過白血球搬出法(CFL)によって収集し、次いで、向流遠心溶離に供して、質量によって分けられた別々の画分を得た。CD14+細胞について約90%の純度を含む画分は、単球である。Matsuzakiら、Biochem.Biophys.Res.Comm.1998、246(1):199−204に記載されるように、この単球を維持し、そしてヒト破骨細胞へ分化するように誘導した。
【0340】
(マウス骨髄細胞培養物) マウス骨芽細胞および骨髄細胞の共培養物を、実施例4に記載されるように調製した。
【0341】
(象牙質吸収アッセイ) 象牙質吸収アッセイを、上記のように調製したヒト単球細胞培養物を使用して、慣用的なプロトコル(実施例5(前出)およびTamuraら、J.Bone Miner.Res.1993、8(8):953−960)に従って行った。
【0342】
(結果および考察)
(OSCAR−Igは、ヒト破骨細胞の成熟および活性を阻害する) 実施例4および5(前出)に記載の実験と同様の実験を、可溶性マウスOSCARポリペプチドおよびヒトOSCARポリペプチド(それぞれ、mOSCAR−IgおよびhOSCAR−Ig)を使用して行い、OSCARポリペプチドがヒト細胞の成熟および/または活性を調節する能力を特徴付けた。詳細には、ヒト単球細胞を、M−CSF(30ng/ml)、TRANCE(200ng/ml)、および20ng/mlの可溶性hOSCAR−IgまたはmOSCAR−Igのいずれかの存在下で培養し、そしてTRAP(+)多核性細胞を、曝露後5日および10日にのいずれかでカウントした。これらのデータを、それぞれ、図18A(曝露後5日)および図18B(曝露後10日)にグラフで示す。コントロール実験もまた行い、ここでは、ヒト単球を、M−CSFおよびTRANCEのみ(すなわち、OSCAR−Igなし)と共にか、またはM−CSF、TRANCEおよびヒトIgG1ポリペプチドと共にのいずれかで培養した。ネガティブコントロールのために、ヒト単球細胞を、M−CSFのみ(すなわち、TRANCEもOSCAR−Igもなし)と共に、およびM−CSF、TRANCEおよび公知の破骨細胞インヒビターTR−Fc(実施例5(前出)を参照のこと)と共に、培養した。
【0343】
予測されたように、M−CSFのみ(M)またはM−CSF、TRANCEおよびTR−Fc(MT+TR−Fc)と共にインキュベートした細胞培養物には、TRAP(+)多核性細胞が、ごくわずかにしか観察されなかったかまたは全く観察されなかった。図18Aおよび図18Bの、それぞれ、レーン1、5および6を参照のこと。しかし、対照的に、M−CSFおよびTRANCEのみ(MT;図18Aおよび18Bのレーン2)またはM−CSF、TRANCEおよびIgG(MT+IgG;図18Aおよび18Bのレーン5)のいずれかとのヒト単球細胞のインキュベーション、hOSCAR−IgG(図18Aおよび18Bのレーン3)との単球のインキュベーションは、それらが破骨細胞の成熟レベルの上昇を阻害したことを示した。mOSCAR−IgG(図18Aおよび18Bのレーン4)とのインキュベーションは、同様の効果を有した。hOSCAR−Igと比較して、mOSCAR−Igとの10日間のインキュベーションの後に、いくらか多くのTRAP(+)多核性細胞が観察された(図18B、それぞれ、レーン4および3)。にもかかわらず、mOSCAR−Igとの10日間のインキュベーションの後に観察されたTRAP(+)多核性細胞の数は、ヒト細胞をM−CSFおよびTRANCEのみとインキュベートした場合またはIgG1とインキュベートした場合に観察された数よりも、1桁を超えて低い。従って、ヒトおよびマウスの両方のOSCARポリペプチドは、ヒト破骨細胞の成熟および活性を効果的に調節し得る。
【0344】
これらの細胞の培養物由来の顕微鏡写真を、図19(曝露後5日)および図20(曝露後10日)に示す。M−CSFおよびTRANCE(図19Bおよび20B)またはM−CSF、TRANCEおよびIgG1(図19Fおよび20F)と共にインキュベートした培養物は、より多くの多核性細胞(矢印によって示される)を有するが、hOSCAR−Ig(図19Cおよび20C)またはmOSCAR−Ig(図19Dおよび20D)のいずれかと共に培養した培養物由来の顕微鏡写真には、多核性細胞は、ごくわずかにしか観察され得ないかまたは全く観察され得ない。
【0345】
象牙質吸収アッセイ(実施例5(前出)に記載されるような)もまた、ヒト単球細胞培養物を使用して行い、ヒト破骨細胞活性を調節するマウスOSCARポリペプチドの能力を確認した。これらの実験の結果を、図21A〜Jに示す。詳細には、図21のパネルA〜Eは、30ng/mlのM−CSF(図21A)、30ng/mlのM−CSFおよび200ng/mlのTRANCE(図21B)、M−CSF(30ng/ml)、TRANCE(200ng/ml)および20μg/mlのmOSCAR−Ig(図21C)、M−CSF(30ng/ml)、TRANCE(200ng/ml)および5μgのTR−Fc(図21D)、ならびにM−CSF(30ng/ml)、TRANCE(200ng/ml)および20μg/mlのhIgG1(図21E)の存在下で象牙質スライド上で培養した、ヒト単球細胞の顕微鏡写真を示す。図21F〜Jは、それぞれ、図21A〜Eの細胞培養物を洗い流した後の象牙質スライドの顕微鏡写真を示す。これらの顕微鏡写真の暗い染色は、象牙質が吸収された窩を示す。
【0346】
マウス細胞を使用した象牙質吸収実験で観察されたもの(実施例5(前出)および図17A〜17Cを参照のこと)と類似して、ヒト単球をM−CSFのみ(図21F)またはTR−Fc(図21I)のいずれかと共に培養した場合、象牙質吸収は、ほとんど観察されなかったかまたは全く観察されなかった。しかし、ヒト単球細胞をTRANCEのみ(図21G)またはTRANCEおよびコントロールIgG1ポリペプチド(図21J)のいずれかと培養した場合、有意な吸収が観察された。しかし、TRANCEの存在下で観察された増加した吸収レベルは、ヒト単球細胞をmOSCAR−Igとインキュベートした場合、阻害された(図21H)。
【0347】
従って、これらの実験からの結果は、ヒト細胞(すなわち、ヒト破骨細胞)の成熟および活性の両方が、本発明のOSCARポリペプチド(ヒトOSCARポリペプチドのみならず、マウスのような他の生物種由来のOSCARポリペプチドも含む)によって調節され得ることを示す。
【0348】
(ヒトOSCARは、マウス細胞と交差反応性である) ヒト単球細胞を使用する上記の実験と同様の逆の実験もまた行い、ヒトOSCARポリペプチドが他の生物種由来の細胞の成熟および活性を調節する能力を調査した。詳細には、これらの実験は、hOSCAR−Igポリペプチドがマウス骨芽細胞の成熟および活性を調節する能力を調査した。これらの実験は、マウス破骨細胞および骨髄細胞の共培養物を使用する、第4節および5節に記載の実験(前出)と本質的に同じであった。しかし、これらの実験において、細胞培養物を、先の実施例で使用した可溶性マウスOSCARポリペプチドに代えて、可溶性ヒトOSCARポリペプチド(hOSCAR−Ig)と共にインキュベートした。これらの特定の実験からの結果を、図22および23に示す。詳細には、図22A〜22Fは、増殖培地のみ(図22A)、ビタミンD3(図22B)、ビタミンD3およびhOSCAR−Ig(図22C)、またはビタミンD3およびmOSCAR−Ig(図22D)のいずれかと共に6日間インキュベートした後の、TRAP染色マウス細胞培養物の顕微鏡写真を示す。陽性コントロール実験および陰性コントロール実験もまた行い、ここでは、マウス細胞の共培養物を、ビタミンD3およびIgG1ポリペプチド(図22F)またはビタミンD3およびTR−Fc(図22E)のいずれかと共にインキュベートした。各培養物中でカウントされたTRAP(+)多核性細胞の数を、図23にグラフで示す。マウス細胞を使用する他の実験で観察されたものと一致して、ビタミンD3およびマウスOSCARポリペプチドと共にインキュベートした共培養物は、ビタミンD3のみまたはビタミンD3およびコントロールIgG1ポリペプチドとインキュベートした共培養物で観察された数と比較して、有意に少ない成熟破骨細胞を有した。しかし、興味深いことに、ビタミンD3およびヒトOSCARポリペプチドと共にインキュベートした共培養物は、同様のレベルの破骨細胞阻害を有した。
【0349】
従って、本実施例で記載される実験は、本発明のOSCAR核酸およびOSCARポリペプチドが交差反応性であり、そしてそのOSCAR核酸またはOSCARポリペプチドが由来する生物種と同じかまたは異なるかのいずれかであり得る生物種において、破骨細胞の成熟および/または活性を調節するために使用され得ることを実証する。従って、本発明のOSCARポリペプチドおよびOSCAR核酸は、本発明のOSCARポリペプチドおよびOSCAR核酸が由来する種と同じ生物種または本発明のOSCARポリペプチドおよびOSCAR核酸が由来する種とは異なる生物種のいずれかにおいて、骨組織の成長、発達、修復、分解、吸収または恒常性に関連するプロセスを調節するために使用され得る。
【0350】
本発明は、本明細書中に記載される特定の実施形態によって範囲が制限されるべきでない。実際、本明細書中に記載される改変に加え本発明の種々の改変が、前述の説明および添付の図面から当業者に明らかとなる。このような改変は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0351】
多くの参考文献(特許、特許出願および他の刊行物を含む)が、本発明の説明において引用および考察されている。このような参考文献の引用および/または考察は、単に、本発明の説明を明確にするために提供され、いかなるこのような参考文献も本明細書中に記載の本発明の「先行技術」であることを認めるものではない。本明細書中に引用および考察された全ての参考文献は、その全体が参考として、各参考文献が参考として個々に援用されるのと同程度で、本明細書中に援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1A〜1Cは、マウスOSCAR遺伝子の1.8kb(図1A;配列番号1)および1.1kb(図1B;配列番号2)のスプライス改変体のcDNA配列を示す。各配列の開始コドン(ATG)および終止コドン(TGA)を、太字で示す。両方のcDNA転写物によってコードされるOSCARポリペプチド配列を、図1C(配列番号3)に示す。
【図2】
図2A〜2Bは、クローンOCL178中に含まれるマウスOSCARフラグメントのcDNA配列(図2A;配列番号4)を示す。このクローンによってコードされるOSCARポリペプチドフラグメントのアミノ酸配列(これは、配列番号3のアミノ酸残基161〜265の配列に対応する)を、図2B(配列番号5)で示す。
【図3】
図3A〜3Bは、ヒトOSCAR遺伝子およびその遺伝子産物のC18アイソフォームの、cDNA配列(図3A;配列番号6)および推定アミノ酸配列(図3B;配列番号7)を示す。
【図4】
図4A〜4Bは、ヒトOSCAR遺伝子およびその遺伝子産物のC16アイソフォームの、cDNA配列(図4A;配列番号8)および推定アミノ酸配列(図4B;配列番号9)を示す。
【図5】
図5A〜5Bは、ヒトOSCAR遺伝子およびその遺伝子産物のC10アイソフォームの、cDNA配列(図5A;配列番号10)および推定アミノ酸配列(図5B;配列番号11)を示す。
【図6】
図6は、図1C(配列番号3)に示されるマウスOSCARポリペプチド配列と図3B(配列番号7)に示されるヒトOSCARポリペプチドのC18アイソフォームのアミノ酸配列の整列を示す。マウスOSCARポリペプチド配列およびヒトOSCARポリペプチド配列を、それぞれ、mOSCAR(上の列)およびhOSCAR(下の列)で示す。
【図7】
図7A〜7Dは、ヒト第19染色体クローンCTD−3093(GenBank登録番号AC012314.5;GI:7711547)からのヌクレオチド残基117001−124920(配列番号12)の配列を示す。このヒト第19染色体クローンCTD−3093から、ヒトOSCAR遺伝子が、BLASTNアルゴリズムを用いて単離された。ヒトOSCAR遺伝子のエキソン配列を大文字で示す。ヒトOSCAR遺伝子の翻訳領域(すなわち、タンパク質コード領域)に、下線を引く。
【図8】
図8A〜8Bは、骨髄由来マクロファージ(図8A)および骨髄由来破骨細胞(図8B)由来の総cDNAプローブを用いた、差し引きcDNAライブラリー(マウスOC−MΦ)における、250個の無作為に選択したクローンからのプラスミドDNAのサザンブロットを示す。
【図9】
図9は、それぞれ、マウスOSCARフラグメントOCL178(上段)、破骨細胞特異的遺伝子TRAP(中段)、および破骨細胞特異的遺伝子カテプシンK(下段)由来の標識cDNAを、骨髄由来マクロファージ(BMM)、骨髄由来破骨細胞(BMOC)および骨髄由来樹状細胞(BMDC)由来のmRNAに対してハイブリダイズさせた、ノーザンブロットアッセイの結果を示す。
【図10】
図10は、マウスOSCARフラグメントOCL178(上段)、ならびに破骨細胞特異的遺伝子TRAP(中段)およびカテプシンK(下段)由来の標識cDNAを、種々の異なる組織(筋肉、腎臓、脳、心臓、肝臓、肺、腸、胸腺、脾臓、リンパ節、および破骨細胞(OCL)を含む)由来のmRNAに対してハイブリダイズさせた、ノーザンブロットアッセイの結果を示す。
【図11】
図11A〜11Cは、TRANCEを用いたインビトロ処理によって破骨細胞様の細胞に分化するRAW264.7細胞(RAW)由来のmRNAに対して比較した、マウスOSCARフラグメントOCL178由来の標識cDNAを、骨髄由来マクロファージ(BMM)および破骨細胞(OCL)由来のmRNAに対してハイブリダイズさせたノーザンブロットアッセイを示す。図11Aは、マクロファージおよび破骨細胞由来のmRNAを用いたノーザンブロットを、TRANCE投与の0、3および24時間後に抽出したRAW264.7細胞のmRNAを用いたノーザンブロットと比較する。図11Bは、TRANCE投与の1、2、3および4日後のRAW264.7細胞 mRNAからのノーザンブロットを示す。図11Cは、頭蓋組織および長骨組織から抽出したmRNAのノーザンブロットを、破骨細胞(BMOC)由来の骨髄から抽出したmRNAのノーザンブロットと比較する。
【図12】
図12A〜12Bは、マウスOSCARヌクレオチドプローブを用いた、EcoRIおよびBglIIで消化したマウスゲノムDNA(図12A)およびヒトゲノムDNA(図12B)のサザンブロット分析を示す。
【図13】
図13A〜13Bは、アイソタイプコントロールヒトIgG1(図13A)または可溶性OSCAR−Ig融合ポリペプチド(図13B)、続いて、PE結合体化抗ヒトIgG1抗体を用いて染色した、初代骨芽細胞のFACS分析からの結果を示す。
【図14】
図14は、可溶性OSCAR−Ig融合ポリペプチドの存在下(黒四角)またはヒトIgG1の存在下(白四角)のいずれかにて、骨髄細胞を骨芽細胞と共に共培養し、そして示された量のビタミンD3を用いて処理した場合に観察された、TRAP(+)多核破骨細胞の数を示すチャートを示す。
【図15】
図15A〜15Cは、破骨細胞先駆体と骨芽細胞との共培養において(図15A〜C)、ビタミンD3(白四角)、ビタミンD3および可溶性OSCAR−Ig融合ポリペプチド(白菱形)、またはビタミンD3およびコントロールIgG1ペプチド(白丸)の存在下で6、7、8、および9日間インキュベートした後にTRAP(+)多核破骨細胞の数を計数した、動力学的実験からのデータをグラフで示す。図15A〜Bにおいて、総骨髄細胞を、破骨細胞前駆体に対して使用したが、図15Cにおいて、M−CSF依存性骨髄浮遊細胞を、共培養実験に使用した。図15Bは、共培養実験において、7日間のインキュベーション後に観察された、TRAP(+)多核破骨細胞の数を示す棒グラフである。
【図16】
図16A〜16Jは、マウス骨髄細胞および骨芽細胞の共培養を用いた象牙質再吸収アッセイからの顕微鏡写真である(Tamuraら、J.Bone Miner.Res.1993,8:953−960)。図16A〜16Eは、象牙質スライス上のTRAP(+)破骨細胞の顕微鏡写真である。図16F〜16Jは、細胞を除去した後の対応する象牙質スライスの顕微鏡写真である。これらの顕微鏡写真中の暗い染色部は、象牙質が再吸収した領域を示す。より詳細には、図16Aおよび16Fは、それぞれ、増殖培地単独でインキュベートした、TRAP(+)細胞および象牙質スライスを示す。図16Bおよび16Gは、ビタミンD3と共にインキュベートした、TRAP(+)細胞(図16B)および象牙質スライス(図16G)の顕微鏡写真である。ビタミンD3および可溶性マウスOSCAR−Ig融合ポリペプチドと共にインキュベートした、TRAP(+)破骨細胞および象牙質スライスの顕微鏡写真を、それぞれ、図16Cおよび16Hに示す。図16Dおよび16Iは、ビタミンD3およびTR−Fc融合ポリペプチドと共にインキュベートした、TRAP(+)破骨細胞(図16D)および象牙質スライス(図16I)の顕微鏡写真である。図16Eおよび16Jは、それぞれ、ビタミンD3およびコントロールIgG1融合ポリペプチドと共にインキュベートした、TRAP(+)細胞および象牙質スライスの顕微鏡写真である。
【図17】
図17は、図16A〜16Jに示される象牙質再吸収データからの定量的結果を示す棒グラフである。再吸収のピットは、象牙質スライスについて計数し、この象牙質スライスの上で、マウス破骨細胞前駆体および骨芽細胞の共培養を、増殖培地単独(「培地」)、ビタミンD3を有する増殖培地(「Vit.D3」)、ビタミンD3およびOSCAR−Igを有する増殖培地(「Vit.D3+OSCAR−IgG」)、またはビタミンD3およびコントロールIgG1ポリペプチド有する増殖培地(Vit.D3+IgG)中でインキュベートした。
【図18】
図18Aおよび18Bは、以下:(a)M−CSF単独(「M」);(b)M−CSFおよびTRANCE(「MT」);(c)M−CSF、TRANCEおよび可溶性ヒトOSCAR−Ig融合ポリペプチド(「MT+hOSCAR−IgG」);M−CSF、TRANCEおよび可溶性マウスOSCAR−Ig融合ポリペプチド(「MT+mOSCAR−IgG」);(c)M−CSF、TRANCEおよびコントロールIgG1ポリペプチド(「MT+IgG」);ならびに(d)M−CSF、TRANCEおよびTR−Fc融合ポリペプチド(「MT+TR−Fc」)をインキュベートした、ヒト単球細胞培養物を用いた実験からのデータを示す。TRAP(+)多核破骨細胞の数を、5日(図18A)および10日(図18B)のインキュベーション後に、各培養において計数した。
【図19】
図19A〜19Fは、M−CSF(図19A)の存在下;M−CSFおよびTRANCE(図19B)を用いて;M−CSF、TRANCEおよび可溶性ヒトOSCAR−Ig融合ポリペプチド(図19C)を用いて;M−CSF、TRANCEおよび可溶性マウスOSCAR−Ig融合ポリペプチドの存在下(図19D);(c)M−CSF、TRANCEおよびTR−Fc融合ポリペプチド(図19E)を用い;ならびに、M−CSF、TRANCEおよびヒトIgG1ポリペプチドを用いて(図19F)、5日間インキュベートしたヒト単球細胞の顕微鏡写真を示す。多核TRAP(+)破骨細胞を、図19Bおよび19Fにおいて矢印で示す。
【図20】
図20A〜20Fは、M−CSF(図20A)の存在下;M−CSFおよびTRANCE(図20B)を用いて;M−CSF、TRANCEおよび可溶性ヒトOSCAR−Ig融合ポリペプチド(図20C)を用いて;M−CSF、TRANCEおよび可溶性マウスOSCAR−Ig融合ポリペプチドの存在下(図20D);(c)M−CSF、TRANCEおよびTR−Fc融合ポリペプチド(図20E);ならびに、M−CSF、TRANCEおよびヒトIgG1ポリペプチドを用いて(図20F)、10日間インキュベートしたヒト単球細胞培養物の顕微鏡写真を示す。多核TRAP(+)破骨細胞を、図20Bおよび20Fにおいて矢印で示す。
【図21】
図21A〜21Jは、ヒト単球細胞を用いた象牙質再吸収アッセイ(Tamuraら、J.Bone.Miner.Res.1993,8:953−960)からの顕微鏡写真である。図21A〜21Eは、象牙質スライス上で培養したTRAP(+)ヒト破骨細胞の顕微鏡写真である。図21F〜21Jは、細胞を除去した後の対応する象牙質スライスの顕微鏡写真である。これらの顕微鏡写真中の暗い染色部は、象牙質が再吸収した領域を示す。より詳細には、図21Aおよび21Fは、それぞれ、M−CSF単独の存在下でインキュベートした、TRAP(+)ヒト細胞および象牙質スライスを示す。図21Bおよび21Gは、M−CSFおよびTRANCEと共にインキュベートした、TRAP(+)ヒト細胞(図21B)および対応する象牙質スライス(図21G)の顕微鏡写真である。可溶性マウスOSCAR−Ig融合ポリペプチドの存在下でインキュベートした、TRAP(+)ヒト細胞の顕微鏡写真を、それぞれ、図21Cおよび21Hに示す。図21Dおよび21Iは、TR−Fc融合ポリペプチドと共にインキュベートした、TRAP(+)ヒト細胞(図21D)および対応する象牙質スライス(図21I)の顕微鏡写真である。図21Eおよび21Jは、IgG1ポリペプチドと共にインキュベートした、TRAP(+)ヒト細胞(図21E)および対応する象牙質スライス(図21J)の顕微鏡写真である。
【図22】
図22A〜22Fは、増殖培地単独(図22A);ビタミンD3と共に(図22B);ビタミンD3およびヒトOSCAR−Ig融合ポリペプチドと共に(図22C);ビタミンD3およびマウスOSCAR−Ig融合ポリペプチド(図22D)と共に;ビタミンD3およびTR−Fc融合ポリペプチドと共に(図22E);ならびにビタミンD3およびヒトIgG1ポリペプチドと共に(図22F)、6日間インキュベートした、マウス骨芽細胞と骨髄細胞との共培養からの顕微鏡写真を示す。
【図23】
図23は、図22A〜22Fに示したマウス共培養からの定量的データをグラフで示す。詳細には、成熟TRAP(+)多核破骨細胞の数を、図22A〜22Fに関して、上記の共培養した各々について示す。
【図24】
図24A〜Bは、ヒトOSCAR遺伝子およびその遺伝子産物のS1スプライス改変体の、cDNA配列(図24A;配列番号26)および推定アミノ酸配列(図24B;配列番号25)を示す。各配列の開始コドン(ATG)および終止コドン(TGA)を、太字で示す。
【図25】
図25A〜Bは、ヒトOSCAR遺伝子およびその遺伝子産物のS2スプライス改変体の、cDNA配列(図25A;配列番号28)および推定アミノ酸配列(図25B;配列番号27)を示す。各配列の開始コドン(ATG)および終止コドン(TGA)を、太字で示す。
【図26】
図26Aは、マウスOSCAR遺伝子のM3スプライス改変体のcDNA配列を示す(図26A;配列番号30)。各配列の開始コドン(ATG)および終止コドン(TGA)を、太字で示す。両方のcDNA転写物によってコードされるOSCARポリペプチド配列を、図26B(配列番号29)に示す。
【図27】
図27Aは、マウスOSCAR遺伝子のM4スプライス改変体のcDNA配列を示す(図27A;配列番号32)。各配列の開始コドン(ATG)および終止コドン(TGA)を、太字で示す。両方のcDNA転写物によってコードされるOSCARポリペプチド配列を、図27B(配列番号31)に示す。
(発明の分野)
本発明は、「破骨細胞関連レセプター」遺伝子または「OSCAR」として本明細書中で称される新規遺伝子、およびその遺伝子産物に関する。OSCAR遺伝子は、破骨細胞によって特異的に発現される。従って、本発明はまた、OSCAR遺伝子またはOSCAR遺伝子産物を特異的に発現する細胞を同定することによって破骨細胞を同定および単離する方法に関する。
【0002】
OSCAR遺伝子およびOSCAR遺伝子産物はまた、破骨細胞の成熟の制御または調節に関与する。従って、本発明はさらに、破骨細胞の成熟および/もしくは活性を調節または抑制するための、方法および組成物に関する。このような方法は、例えば、骨粗鬆症および大理石骨病のような破骨細胞関連疾患を処置するのに有用である。従って、本発明はまた、このような疾患を処置するための方法および組成物に関する。
【0003】
本発明はまた、OSCAR遺伝子またはOSCAR遺伝子産物に結合し、そして/もしくはそれらの活性を調節し、ゆえに破骨細胞の成熟および/もしくは活性を調節するために使用され得る化合物を同定するためのスクリーニング方法に関する。このようなスクリーニング方法によって同定され得、ゆえに本発明の分野内でもある化合物としては、OSCARリガンドおよび膜貫通シグナルアダプターが挙げられる。
【0004】
(発明の背景)
骨の発達およびホメオスタシスは、主として2つの異なる細胞型(骨芽細胞および破骨細胞)によって制御される。骨のマトリックスは、骨芽細胞によって分泌され、この細胞は、既存する骨のマトリックスの表面に存在し、そして新しい骨の層をその上に沈着させる。成熟破骨細胞は、石灰化した骨のマトリックスを再吸収する、単球/マクロファージ起源の多核細胞である。通常、これら2つの細胞型の活性は、しっかりと調整され、生物の骨の構造および完全度を維持している。しかし、これら2つの細胞型の活性を調節する機構は、ほとんど理解されていないままであり、そして広範囲にわたって未知である。
【0005】
多数の疾患および障害が、異常な骨の成長または骨の質量における異常な増大もしくは減少と関連する。例えば、大理石骨病は、骨のマトリックスの肥厚化であり、破骨細胞が骨を吸収できなくさせる破骨細胞成熟における欠損と関連する(例えば、Kongら、Nature、1999、397:315−323;Sorianoら、Cell 1991、64:693−702;Iotsovaら、Nat.Med.1997、3:1285−1289を参照のこと)。対照的に、骨粗鬆症は、破骨細胞活性の増大によって特徴付けられる疾患であり、非常に多孔性の容易に破砕し、そして治癒が遅い骨を生じる。異常な骨の成長および再吸収を含むかまたはこれらに関連する多くの他の疾患および障害もまた公知であり、いくつか名前を挙げると、パジェット病、骨形成不全症、線維性形成異常症、低ホスファターゼ血症、原発性上皮小体機能亢進症、関節炎および歯周病が挙げられる。さらに、骨溶解が、骨に内在する多くの悪性腫瘍または骨から離れた悪性腫瘍(例えば、乳癌、肺癌、前立腺癌、甲状腺癌、および腎臓癌における骨格転移、悪性腫瘍の間の体液性カルシウム過剰血症、ならびに多発性骨髄腫)によって誘導され得る。
【0006】
このような疾患および障害は、米国および他の国々で主要な公衆衛生上の関心事を表す。例えば、1000万人のアメリカ人(このうち、80%が女性である)が既に骨粗鬆症に罹患し、一方、別の1000万人の個人が、低い骨質量を有し、従って疾患に対して増大した危険性にあると概算されている。
【0007】
従って、骨芽細胞および/または破骨細胞のような細胞を(例えば、細胞サンプルまたは組織サンプル中で)同定するために使用され得、そしてこのような細胞の活性を制御または調節する方法および組成物に対する必要性が存在する。異常な骨の成長および再吸収に関連する疾患および障害(上記の疾患を含む)を、例えば、骨芽細胞および破骨細胞の活性を調節することによって処置するための、方法ならびに組成物に対する必要性もまた存在する。当該分野におけるこれらの要求および他の要求が、本発明によって取り組まれる。
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、骨組織の成長、発達、修復、再吸収、分解またはホメオスタシスに関連するプロセスに関与し、ゆえにこのようなプロセスの調節に有用である、組成物および方法を提供することによって、当該分野における上記の問題および他の問題を克服する。例えば、本発明の方法は、骨組織の異常な成長、発達、修復、再吸収、分解、再吸収またはホメオスタシスを含む障害(すなわち、「骨の成長に関連する障害」)の処置に有用であり得る。このような障害の例としては、骨粗鬆症および大理石骨病が挙げられるが、これらに限定されない。このような障害の非限定的な例としては、パジェット病、骨形成不全症、線維性形成異常症、低ホスファターゼ血症、原発性上皮小体機能亢進症、関節炎、歯周病および骨溶解(例えば、悪性腫瘍に由来する)が挙げられる。
【0009】
詳細には、本発明は、破骨細胞によって発現される、本明細書中ではOSCARポリペプチドと称される新規ポリペプチドを提供する。本発明のOSCARポリペプチドはまた、破骨細胞の成長および成熟、ならびに破骨細胞と関連する活性(例えば、骨組織の再吸収)を調節する。
【0010】
特定の実施形態において、本発明は、ネズミ(murine)(すなわち、マウス(mouse))ポリペプチドであり、マウスの破骨細胞によって発現される、OSCARポリペプチドを提供する。例えば、1つの実施形態において、本発明は、図2B(配列番号3)に記載のアミノ酸配列を含むOSCARポリペプチドを提供する。別の実施形態において、本発明は、図1C(配列番号3)に記載アミノ酸配列を含むOSCARポリペプチドを提供する。なお別の好ましい実施形態において、本発明は、図26Bおよび図27B(それぞれ、配列番号29および配列番号31)に記載のアミノ酸配列を含むOSCARポリペプチドを提供する。別の好ましい実施形態において、本発明は、ヒトポリペプチドであるOSCARポリペプチドを提供する。例えば、好ましい実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図7A〜D(配列番号12)に記載のゲノム配列によってコードされるポリペプチドである。特定の特に好ましい実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図3B(配列番号7)、図4B(配列番号9)、図5B(配列番号11)、図24B(配列番号25)、図25B(配列番号27)に記載のアミノ酸配列を含み得る。なお他の実施形態において、本発明は、全長OSCARポリペプチドの1つ以上のドメインに対応するアミノ酸配列(例えば、全長OSCARポリペプチドの、シグナルペプチド配列、Ig様ドメイン配列、膜貫通ドメイン配列、細胞質テイルドメイン配列またはこれらの任意の組み合わせ(例えば、図1C、図3B、図4B、図5B,図24B、図25B、図26B、および図27B(それぞれ配列番号3、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29および配列番号31)に記載のポリペプチドのうちのいずれか由来のもの))を含むポリペプチド(融合ポリペプチドを含む)を提供する。なお他の実施形態において、本発明は、OSCARポリペプチドの改変体を提供する。特に、本発明は、規定されたハイブリダイゼーション条件下で、図1C、図2B、図3B、図4B、図5B,図24B、図25B、図26B、および図27B(それぞれ配列番号3、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号25、配列番号27、配列番号29および配列番号31)に提供されるようなOSCARポリペプチドの相補体にハイブリダイズする核酸によってコードされる、ポリペプチドを提供する。
【0011】
本発明はさらに、例えば、図1A〜B、図2A、図3A、図4A、図5A、図24A、図25A、図26Aおよび図27A(それぞれ、配列番号1〜2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号26、配列番号28、配列番号30および配列番号32)に提供されるヌクレオチド配列を含む核酸、ならびに図7A〜D(配列番号12)に記載のゲノムOSCAR核酸配列を含む、本発明のOSCARポリペプチドをコードする核酸を提供する。本発明はさらに、これらの核酸を含むベクターおよび宿主細胞、ならびにこれらのOSCARポリペプチドおよびOSCAR核酸に特異的に結合する抗体を提供する。本発明はまた、このようなOSCARポリペプチド、OSCAR核酸およびOSCAR抗体のフラグメントに関する。
【0012】
さらに、本発明はまた、細胞中、細胞の表面上(例えば、細胞表面上に発現されるOSCAR)、細胞培養物中(例えば、細胞培養培地中)、細胞培養抽出物または細胞溶解物中の、OSCAR核酸およびOSCARポリペプチドの存在または発現を検出するためのスクリーニング方法を含む、本発明のOSCAR核酸およびOSCARポリペプチドを検出および同定するためのスクリーニングアッセイに関し、そしてこのスクリーニングアッセイを提供する。これらの方法は、改変体OSCARポリペプチドおよび改変体OSCAR核酸(例えば、1つ以上のアミノ酸置換、欠失または挿入を含むOSCARポリペプチド;または1つ以上のアミノ酸置換、挿入または欠失を有するOSCARポリペプチドをコードする核酸)を検出および同定するための方法を含む。これらの方法によって同定され得る他の改変体OSCARポリペプチドおよび改変体OSCAR核酸は、相同性OSCARポリペプチドおよび相同性OSCAR核酸(例えば、他の生物種由来であり、そして好ましくは他の哺乳動物生物(例えば、ヒト)由来)を含む。従って、このような改変体OSCARポリペプチドおよび改変体OSCAR核酸、ならびにこれらに特異的に結合する抗体ならびにそのフラグメントは、本発明によって提供され、そして本発明の一部とみなされる。
【0013】
本発明はさらに、本発明のOSCAR核酸または本発明OSCARポリペプチドに特異的に結合する化合物を同定するための方法(例えば、スクリーニングアッセイ)を提供する。このようなスクリーニングアッセイによって同定され得る化合物としては、低分子(例えば、分子量が約2kD未満の分子、より好ましくは分子量が約1kD未満の分子)および高分子(タンパク質、ペプチドおよびポリペプチドを含む)が挙げられる。このようなスクリーニング方法によって同定され得る化合物としてはさらに、OSCAR遺伝子またはOSCAR遺伝子産物(例えば、OSCAR核酸またはOSCARポリペプチド)に特異的に結合する細胞内化合物(例えば、天然のリガンド)が挙げられる。さらに、OSCARポリペプチドと特定の結合パートナー(例えば、OSCAR特異的リガンド)との間、またはOSCAR核酸および特定の結合パートナーとの間の結合相互作用を妨害する化合物(例えば、低分子、高分子、タンパク質、ペプチドおよびポリペプチドを含む)を同定するための、他のスクリーニングアッセイが提供される。従って、このようなスクリーニング方法は、本発明の一部とみなされる。さらに、このようなアッセイによって同定された化合物(結合化合物(例えば、OSCAR特異的リガンド)およびOSCAR特異的結合相互作用を妨害する化合物を含む)もまた、本発明の一部である。
【0014】
別の局面において、本発明は、破骨細胞の活性を調節するための方法を提供する。このような方法は、一般的に、破骨細胞を、OSCAR遺伝子の活性(例えば、OSCAR遺伝子の発現)を調節するかまたはOSCAR遺伝子産物の活性を調節する化合物と接触させる工程を包含する。これらの方法に使用される化合物としては、OSCARシグナル伝達を阻害し、ゆえに破骨細胞活性化(例えば、成熟)を阻害するOSCARアンタゴニスト、ならびに、OSCARシグナル伝達および/または破骨細胞の成熟ならびに破骨細胞活性を促進するOSCARアゴニスト(OSCAR特異的リガンドを含む)が挙げられる。これらの方法は、破骨細胞を、この細胞によるOSCAR遺伝子またはOSCAR遺伝子産物の発現が増強または阻害されるような化合物(例えば、アンチセンス、リボザイム、三重らせん形成核酸、または他の低分子化合物)と接触させる工程を包含し得る。このような方法は、例えば、破骨細胞を、OSCAR遺伝子産物に結合し、そして/またはOSCAR遺伝子産物の活性を増大させる化合物と接触させることによって、破骨細胞活性を増大させるための方法を含み得る。この方法の1つの好ましい実施形態において、破骨細胞を、OSCAR特異的リガンドと接触させる。
【0015】
本発明の方法はさらに、破骨細胞の活性を減少させることを含む。これらの方法は、破骨細胞を、OSCAR遺伝子産物の活性を阻害または減少させる化合物と接触させる工程を包含し得る。特定の好ましい実施形態において、この化合物は、OSCAR特異的リガンドのOSCAR遺伝子産物への結合を阻害または妨害する化合物であり得る。例えば、1つの好ましい実施形態において、この化合物は、OSCAR遺伝子産物またはOSCAR特異的リガンドのいずれかに特異的に結合する抗体を含み、その結果、OSCAR特異的リガンドとOSCAR遺伝子産物との間の結合が、阻害される。別の好ましい実施形態において、この化合物は、1つ以上の可溶性OSCARポリペプチドアミノ酸配列(最も好ましくは、OSCARポリペプチドのリガンド結合ドメイン(例えば、細胞外配列ドメインおよび/またはシグナル配列ドメイン)を含むアミノ酸配列を含む)を含む。特に好ましい実施形態において、投与される化合物は、免疫グロブリンFc領域または他の低分子と結合体化した、これらのアミノ酸配列を有する可溶性融合ポリペプチドを含む。
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明は、新規な遺伝子(本明細書中で「破骨細胞関連レセプター」またはOSCAR遺伝子と称される)およびその遺伝子産物に関する。OSCAR遺伝子およびその遺伝子産物(これらは、初めて本明細書中に記載される)は、破骨細胞中で特異的に発現される。さらに、出願人らはまた、骨芽細胞によって生成されるOSCAR特異的リガンド(本明細書中で「OSCARリガンド」または「OSCAR−L」と称される)の存在を発見した。本発明のOSCAR特異的リガンドはまた、例えば、マウス胚性線維芽細胞、マウスNIH 3T3線維芽細胞、マウスST2骨芽細胞様細胞、ミンク肺上皮細胞、ラットUMR106骨芽細胞様細胞、ヒトHEK293細胞およびHEK293T細胞、hFOB1.19、ならびにサルCOS−1細胞を含む、他の細胞によって発現され得る。OSCARリガンドは、OSCAR遺伝子産物に結合する。以下に示される実施例において記載される実験において、OSCARリガンドを発現する骨芽細胞と、未成熟な破骨細胞を接触させることは、破骨細胞の成熟を効果的に刺激し、成熟した多核性破骨細胞の数を増加させる。しかし、OSCAR遺伝子産物の可溶性融合タンパク質の投与は、これらの破骨細胞によって発現されるOSCARペプチドに対するOSCARリガンドの結合を阻害し、それによって破骨細胞の成熟を阻害する。従って、OSCAR遺伝子およびその遺伝子産物は、破骨細胞活性を調節する(すなわち、増加または減少させる)ために使用され得、従って、例えば、異常な骨成長に関連する疾患および障害(骨粗鬆症および大理石骨病を含む)を処置する方法に有用である。
【0017】
OSCARポリペプチドは、一般的に、以下に記載されるようなOSCAR核酸配列の相補体にハイブリダイズする遺伝子によってコードされるポリペプチドである。代表的に、本発明の全長OSCARポリペプチドは、約35kDa、あるいは約40kDaの見かけの分子量を有する。本発明のOSCARポリペプチドはまた、以下の実施例において記載されるような破骨細胞の成熟を調節し得る。
【0018】
OSCARポリペプチドはさらに、以下に詳細に記載されるように、2つの免疫グロブリンドメインおよび膜貫通ドメインを含む免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーとして特徴付けられる。従って、好ましい実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、他の免疫グロブリンタンパク質およびポリペプチド(例えば、マウスPirAおよびウシFcαR)とアミノ酸配列相同性および/またはアミノ酸配列同一性を共有する。例えば、限定するためでないが、図1Cに示される特定のOSCARポリペプチドに類似するポリペプチドを同定するために、BLASPアルゴリズム(標準的なパラメーター)を使用するNCBIタンパク質データベースの検索により、このポリペプチドは、マウスPirA6(GenBank登録番号AAC53217.1)と26.4%の配列同一性およびウシFcαRのポリペプチド(GenBank登録番号P24071)と24.2%の配列同一性を共有することが明らかとなる。
【0019】
OSCARポリペプチドはまた、細胞におけるその発現パターンによって特徴付けられ得る。詳細には、OSCARポリペプチドは、OSCARポリペプチドを発現するように形質転換されている宿主細胞以外は、好ましくは、破骨細胞によって特異的に発現され、そして好ましくは、任意の他の細胞型によって発現されない。詳細には、本発明のOSCARポリペプチドは、好ましくは、マクロファージおよび樹状細胞を含む他の骨髄由来の細胞によって発現されない。
【0020】
1つの特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、マウス(murine)(すなわち、マウス(mouse))細胞から誘導されるか、またはマウス細胞から誘導されたペプチドのアミノ酸配列を有する。例えば、本発明のマウスOSCARポリペプチドは、図1C(配列番号3)に示されるアミノ酸配列を含み得る。この配列は、以下の少なくとも5つの異なるドメインに対応する配列を含む:シグナルペプチド配列(配列番号3のアミノ酸残基1〜16を含む)、2つのIg様ドメイン配列(それぞれ、配列番号3のアミノ酸残基17〜122および123〜228を含む)、膜貫通ドメイン配列(配列番号3のアミノ酸残基229〜247を含む)および細胞質テールドメイン配列(配列番号3のアミノ酸残基248〜264を含む)。
【0021】
特定の実施形態の種々の局面において、成熟OSCARポリペプチドは、シグナルペプチド配列を欠く。従って、別の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図1C(配列番号3)に示される配列のアミノ酸残基17〜264に対応するアミノ酸配列を含む。なお他の実施形態において、本発明の可溶性OSCARポリペプチドは、膜貫通ドメインおよび(ほとんどの実施形態において)細胞質テールドメインを欠く。従って、なお他の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図1C(配列番号3)に示される配列のアミノ酸残基17〜228、および必要に応じて、アミノ酸残基248〜264に対応するアミノ酸配列を含む。
【0022】
他の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、ヒト細胞から誘導されるか、またはヒト細胞から誘導されたポリペプチドに実質的に対応する。例えば、本発明のOSCARポリペプチドは、本明細書中で「C18ヒトOSCARアイソフォーム」と称され、かつ図3B(配列番号7)に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含み得る。好ましくは、C18ヒトOSCARアミノ酸配列のアミノ酸残基97は、図3B(配列番号7)において示されるように、セリン(SerまたはS)である。しかし、別の例示的な実施形態において、その配列のアミノ酸残基97は、イソロイシン(IleまたはI)であり得る。C18ヒトOSCARアミノ酸配列はまた、少なくとも4つのドメインに対応するアミノ酸配列を含み、これは、図1C(配列番号3)に示されるマウスOSCARポリペプチドについて上記の4つのドメインに対応する。詳細には、C18ヒトOSCARアイソフォームは、シグナルペプチド配列(配列番号7のアミノ酸残基1〜18を含む)、2つのIg様ドメイン配列(それぞれ、配列番号7のアミノ酸残基19〜123および124〜229を含む)、膜貫通ドメイン配列(配列番号7のアミノ酸残基230〜248を含む)および細胞質テールドメイン配列(配列番号7のアミノ酸残基249〜263を含む)を含む。
【0023】
あるいは、本発明のヒトOSCARポリペプチドは、本明細書中で「C16ヒトOSCARアイソフォーム」と称され、かつ図4B(配列番号9)に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含み得る。なお別の特定の実施形態において、本発明のヒトOSCARポリペプチドは、本明細書中で「C10ヒトOSCARアイソフォーム」と称され、かつ図5B(配列番号11)に示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドのアミノ酸配列を含み得る。好ましくは、C10ヒトOSCARアミノ酸配列のアミノ酸残基86は、図5B(配列番号11)において示されるように、セリン(SerまたはS)である。しかし、別の例示的な実施形態において、その配列のアミノ酸残基86は、イソロイシン(IleまたはI)であり得る。これらのヒトOSCARポリペプチドの各々は、少なくとも4つのドメインに対応するアミノ酸配列を含み、これらは、図1C(配列番号3)に示されるマウスOSCARポリペプチドについて、および図3B(配列番号7)に示されるC18ヒトOSCARアイソフォームについての上記のドメインに対応する。
【0024】
詳細には、C16ヒトOSCARアイソフォームは、シグナルペプチド配列(配列番号9のアミノ酸残基1〜18を含む)、2つのIg様ドメイン配列(それぞれ、配列番号9のアミノ酸残基19〜127および128〜233を含む)、膜貫通ドメイン配列(配列番号9のアミノ酸残基234〜252を含む)および細胞質テールドメイン配列(配列番号9のアミノ酸残基253〜267を含む)を含む。
【0025】
C10ヒトOSCARアイソフォームもまた、シグナルペプチド配列(配列番号11のアミノ酸残基1〜13を含む)、2つのIg様ドメイン配列(それぞれ、配列番号11のアミノ酸残基14〜112および113〜218を含む)、膜貫通ドメイン配列(配列番号11のアミノ酸残基219〜237を含む)および細胞質テールドメイン配列(配列番号11のアミノ酸残基238〜252を含む)を含む。
【0026】
本発明のマウスOSCARポリペプチドについて上記のように、成熟ヒトOSCARポリペプチドは、これらの実施形態の種々の局面において、シグナルペプチドを欠き得る。従って、他の特定の実施形態において、本発明のヒトOSCARポリペプチドは、図3B(配列番号7)に示される配列のアミノ酸残基19〜248、図4B(配列番号9)に示される配列のアミノ酸残基19〜252、または図5B(配列番号11)に示される配列のアミノ酸残基14〜252に対応するアミノ酸配列を含み得る。なお他の特定の実施形態において、本発明の可溶性ヒトOSCARポリペプチドは、膜貫通ドメインおよび(ほとんどの実施形態において)細胞質テールドメインを欠く。従って、なお他の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、以下に対応するアミノ酸配列を含み得る:(1)図3B(配列番号7)に示される配列のアミノ酸残基19〜229および必要に応じて、アミノ酸残基249〜263;(2)図4B(配列番号9)に示される配列のアミノ酸残基19〜233および必要に応じて、アミノ酸残基234〜252;または(3)図5B(配列番号11)に示される配列のアミノ酸残基14〜218および必要に応じて、アミノ酸残基219〜237。
【0027】
他の代替的な実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図1C(配列番号3)、図3B(配列番号7)、図4B(配列番号9)、図5B(配列番号11)、図24B(配列番号25)、図25B(配列番号27)、図26B(配列番号29)および図27B(配列番号31)に示されるOSCARポリペプチドに対して、少なくとも25%、または少なくとも30%、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、なおより好ましくは少なくとも75%、そしてなおより好ましくは少なくとも90%同一であるポリペプチドである。
【0028】
なお他の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、本明細書中に記載の全長OSCARポリペプチドのフラグメント(例えば、配列番号3、7、9または11のフラグメント)を含む。例えば、以下の実施例は、図2B(配列番号5)に示されるアミノ酸配列を含む全長OSCAR遺伝子産物のフラグメントをコードするOSCAR遺伝子フラグメント(OCL178と称される)を記載する。全長OSCAR遺伝子産物の他の例示的なフラグメントは、全長OSCARポリペプチドについて上記のドメインの1つを含むポリペプチド(例えば、シグナル配列ドメイン、Ig様ドメイン、膜貫通ドメイン、または細胞質テールドメインのアミノ酸配列を含むフラグメント)またはこれらのドメインの1つの一部分を含むフラグメントである。全長OSCARポリペプチドの他のフラグメントは、全長OSCARポリペプチドについて上記の2つ以上のドメインの任意の組み合わせを含むポリペプチドを含む;例えば、シグナル配列ドメイン、Ig様ドメイン(例えば、配列番号3、7、9もしくは11の第1または第2のIg様ドメイン)、膜貫通ドメイン、または細胞質テールドメインからなる群より選択される2つ以上のドメインに対応するアミノ酸配列を含むフラグメント。
【0029】
OSCARポリペプチドのこのようなフラグメントは、例えば、以下に定義されるような種々の融合ポリペプチドを構築するために有用である。例えば、シグナル配列ドメインを含む融合ポリペプチドは、抽出および精製のために、宿主細胞による培養培地への分泌について融合ポリペプチドを標的化するために使用され得る。膜貫通ドメインを含む融合ポリペプチドは、細胞表面上での発現のための融合ポリペプチドを標的化するために使用され得る。好ましい実施形態において、全長OSCARポリペプチドの1つ以上のIg様ドメインを含む融合ポリペプチドは、Ig様ドメインに特異的に結合する抗体を合成するために使用され得、そして破骨細胞の表面上でのOSCAR発現を検出するために使用され得る。あるいは、OSCARリガンドに結合するOSCAR Ig様ドメインを含む可溶性融合ポリペプチドが、合成され得る。このような融合ポリペプチドは、例えば、以下の実施例において記載され、例えば、OSCARリガンドの競合物として有用であり、そして破骨細胞の数および活性を減少させる。従って、本発明のOSCARポリペプチドは、OSCAR遺伝子産物またはそのフラグメントの配列を含む融合ポリペプチドを含む。
【0030】
OSCAR核酸は、DNA分子またはRNA分子ならびに以下の記載の改変(例えば、改変された塩基および/または骨格)のいずれかを含む核酸分子であり得る。1つの好ましい実施形態において、核酸は、本発明のOSCARポリペプチドをコードするコード配列に対して、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、およびなおより好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有する;例えば、図1A〜B(配列番号1〜2)、または図3A、4A、5A、24A、25A、26Aもしくは27A(それぞれ、配列番号6、8、10、26、28、30および32)のいずれか1つに示されるコード配列。あるいは、本発明のOSCAR核酸は、例えば、図1C(配列番号3)、または図3B、4B、5B、24B、25B、26Bもしくは27B(それぞれ、配列番号7、9、11、25、27、29および31)のいずれか1つに示されるOSCARポリペプチドに対して、少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、なおより好ましくは少なくとも70%、なおより好ましくは少なくとも75%そしてなおより好ましくは少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードする核酸であり得る。
【0031】
あるいは、OSCARポリペプチドをコードする核酸は、このようなコード配列の相補体、またはこのようなコード配列のフラグメントに、以下に詳細に示される条件下でハイブリダイズし得る。例えば、以下の実施例は、クローンOCL178に含まれそして図2(配列番号4)に示されるOSCARフラグメントとハイブリダイズする、アガロースゲル中の電気泳動によって決定されるような、それぞれ4.0kb、1.8kbおよび1.0kbの見かけの長さのOSCAR mRNA分子の同定を記載する。
【0032】
本発明のOSCAR核酸は、OSCARゲノム配列からイントロン配列を取り除くためにプロセシングされたかまたは「スプライシングされた」核酸(例えば、これらから誘導されるmRNAおよびcDNA)を含む。あるいは、本発明のOSCAR核酸は、エキソン配列およびイントロン配列の両方を含むプロセシングされていない核酸(例えば、ゲノムOSCAR配列、スプライシングされていないOSCAR mRNA配列およびこれらから誘導されるcDNA配列)であり得る。
【0033】
例えば、図7A〜Dは、ヒトOSCAR遺伝子の配列を含む、ヒト19番染色体クローンCTD−3093(GenBank登録番号AC012314.5;GI:771547)由来の領域のヌクレオチド配列(配列番号12)を示す。ヒト染色体配列のこの領域を有するこのようなOSCARゲノム配列の存在は、以前には知られておらず、そして初めて本明細書中で記載される。従って、このようなOSCARゲノム配列は、本発明のOSCAR核酸の中の1つである。詳細には、図7A〜D(配列番号12)に示されるゲノム配列は、本発明のOSCAR遺伝子産物をコードするRNAに転写されるかまたは転写され得るエキソン配列を含む。これらのエキソン配列は、大文字によって図7A〜Dに示される。図7A〜D(配列番号12)に示されるゲノム配列はまた、イントロン配列ならびに5’および3’のプロセシングされていない領域(UPR)の配列を含み、これらの全ては、小文字によって図7A〜Dで示される。具体的には、図7A〜Dおよび配列番号12に示されるOSCARゲノム配列は、特に、表1に示されるイントロンドメインおよびエキソンドメインを含む。
【0034】
【表1】
従って、本発明のOSCAR核酸分子は、ゲノムOSCAR核酸分子を含む。このようなゲノムOSCAR核酸分子は、図7A〜D(配列番号12)に示されるOSCARゲノム配列を有する核酸を含む。本発明のゲノムOSCAR核酸はまた、全長OSCARゲノム配列の1つ以上のエキソンまたはイントロンに対応する配列を有する核酸分子(例えば、図7A〜Dに示されそして上の表1に特定される1つ以上のエキソン配列およびイントロン配列に対応する核酸配列を含む)を含む。
【0035】
本発明のOSCAR核酸はまた、全長OSCAR配列のフラグメントを含み得る。例えば、好ましい実施形態において、このようなOSCAR核酸フラグメントは、全長コードOSCAR核酸配列の少なくとも10ヌクレオチド、好ましくは少なくとも15ヌクレオチド、そしてより好ましくは少なくとも20ヌクレオチドの配列に対応するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態において、フラグメントは、図1A〜B、2A、3A、4A、5A、24A、25A、26A、および27A(それぞれ、配列番号1〜2、4、6、8、10、26、28、30および32)のいずれかに示されるOSCARコード配列の一部分(例えば、少なくとも10、15または20ヌクレオチド)に対応する。他の好ましい実施形態において、OSCAR核酸フラグメントは、全長OSCAR核酸配列に対して、例えば、図1A〜B、2A、3A、4A、5A、24A、25A、26A、および27A(それぞれ、配列番号1〜2、4、6、8、10、26、28、30および32)に示されるOSCAR核酸配列のいずれかに対して、またはこのような全長OSCAR配列の相補体に対して、以下に詳細に記載される条件下でハイブリダイズする、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、そしてより好ましくは少なくとも20ヌクレオチドの配列を含む。本発明のOSCAR核酸フラグメントはまた、OSCARゲノム配列(例えば、図7A〜Dに示されそして配列番号12に示される配列)の少なくとも10、15または20ヌクレオチドの配列に対応するヌクレオチド配列を含み得る。あるいは、OSCAR核酸フラグメントは、OSCARゲノム配列(例えば、図7A〜Dに示されそして配列番号12に示されるゲノム配列)に対して、またはOSCARゲノム配列の1つ以上のエキソンもしくはイントロン(例えば、図7A〜Dに示されそして上の表1に記載されるエキソンおよびイントロン)に対して、またはこのようなOSCARゲノム配列の相補体に対して、以下に詳細に記載される条件下でハイブリダイズする、少なくとも10、15、または20ヌクレオチドの配列を含み得る。
【0036】
このようなフラグメントを含む核酸分子は、例えば、OSCAR遺伝子を検出または増幅するためのオリゴヌクレオチドプローブおよびオリゴヌクレオチドプライマーとして有用である。しかし、オリゴヌクレオチドフラグメントはまた、アンチセンス核酸として、3重らせん形成オリゴヌクレオチドとして、またはリボザイムとして、使用され得る。しかし、OSCAR配列の1つ以上のフラグメントを含む本発明の核酸分子はまた、OSCAR遺伝子産物についての全長コード配列であり得る。
【0037】
(定義)
一般的な定義。本明細書中で使用される用語は、一般的に、本発明の文脈中および各用語が使用される特定の文脈中で、当該分野で通常の意味を有する。特定の用語は、本発明のデバイスおよび方法ならびにこれらを作製および使用する方法を記載する際に、当業者にさらなる手引きを提供するために、以下または明細書中の他のいずれかで述べられる。
【0038】
用語「骨成長関連障害(bone growth related disorder)」、「骨成長関連障害(bone growth associated disorder)」、「骨成長障害」、「骨成長疾患」およびその他のこのようなバリエーションは、本明細書中で一般に使用される場合、骨組織の異常な成長、修復の発達、再吸収、分解またはホメオスタシスに関連する任意の疾患または障害を意味する。従って、骨成長関連障害は、個体における骨質量の異常な増加ならびに異常な減少に関連する疾患および障害を含み得る。また、本発明の対象である骨成長関連障害としては、破骨細胞の異常な(例えば、増加または減少した)活性に関連する障害が挙げられ得るが、これらに限定されない。本発明の対象である骨成長関連障害はさらに、破骨細胞の異常な(例えば、増加または減少した)活性に関連する障害を含む。本発明の方法および組成物に従って診断または処置され得る例示的な骨成長関連障害としては、いくつか例を挙げると、大理石骨病、骨粗鬆症、パジェット病、骨形成不全、線維性形成異常、低ホスファターゼ血、原発性上皮小体亢進関節炎、歯周病および骨髄腫血液疾患が挙げられる。さらに、骨溶解は、骨に存在するかまたは骨から離れて存在する多数の悪性腫瘍(例えば、***、肺、前立腺、甲状腺および腎臓の癌における骨格転移、悪性腫瘍の間の体液の高カルシウム血症、ならびに多発性骨髄腫)によって誘導され得る。
【0039】
骨成長関連障害は、OSCARの核酸、遺伝子産物またはポリペプチドと直接的または間接的のいずれかで関連し得る。このような障害としては、OSCAR遺伝子またはその遺伝子産物の異常な合成または発現に関連する障害、そしてまたOSCAR遺伝子およびその遺伝子産物の異常な(例えば、増加または減少した)活性によって引き起こされる疾患および障害(例えば、OSCAR遺伝子またはその遺伝子産物の異常な生理活性に関連する障害)を含む。本発明の他のOSCAR関連障害は、OSCAR遺伝子、OSCAR遺伝子産物またはOSCARポリペプチドと相互作用する別の化合物(例えば、天然リガンドまたは他の細胞性化合物)の異常な合成、発現または活性に関連する障害を含む。さらに、本発明のOSCAR関連障害は、OSCAR遺伝子またはその遺伝子産物の異常な合成、発現または活性によってそれ自体引き起こされないかまたは関連していないが、OSCAR遺伝子、OSCAR遺伝子産物またはOSCARポリペプチドの合成、発現または活性を調節する(例えば、増加または減少させる)方法によって、あるいはOSCAR遺伝子、遺伝子産物またはポリペプチドと相互作用する化合物(例えば、天然リガンドまたは他の細胞性化合物)の合成、発現または活性を調節する方法によって処置され得る障害を含む。
【0040】
本明細書中で使用される場合、用語「単離された」は、参照された物質が、それが天然に見出される環境から取り出されていることを意味する。従って、単離された生物学的物質は、細胞性成分(すなわち、その物質が見出されるかまたは生成される細胞の成分)を含み得ない。核酸分子の場合において、単離された核酸は、PCR産物、単離されたmRNA、cDNA、または制限フラグメントを含む。別の実施形態において、単離された核酸は、好ましくは、それが見出され得る染色体から切り取られ、そしてより好ましくは、染色体中に見出される場合、単離された核酸分子によって含まれる遺伝子の上流または下流に位置する、非調節領域、非コード領域、または他の遺伝子にもはや結合していない。なお別の実施形態において、単離された核酸は、1つ以上のイントロンを欠く。単離された核酸分子は、プラスミド、コスミド、人工染色体などに挿入された配列を含む。従って、特定の実施形態において、組換え核酸は、単離された核酸である。単離されたタンパク質は、他のタンパク質もしくは核酸、または両方と会合し得、単離されたタンパク質は、細胞中で他のタンパク質または核酸と会合し、またはこれが膜結合タンパク質である場合、細胞膜と会合する。単離された細胞小器官、細胞、または組織は、これが生物体において見出される解剖学的部位から取り出されている。単離された物質は、精製され得るが、必ずしも精製される必要はない。
【0041】
本明細書中で使用される場合、用語「精製された」は、無関係の物質(すなわち、混入物)(物質が獲得されるネイティブな物質を含む)の存在を減少または除去する条件下で単離された物質をいう。例えば、精製されたタンパク質は、好ましくは、それが細胞中で会合する他のタンパク質または核酸を実質的に含まない;精製された核酸分子は、好ましくは、それが細胞中で見出され得るタンパク質または他の無関係の核酸分子を実質的に含まない。本明細書中で使用される場合、用語「実質的に含まない」は、物質の分析試験の文脈において、操作的に使用される。好ましくは、混入物を実質的に含まない精製された物質は、少なくとも50%純粋;より好ましくは少なくとも90%純粋;そしてより好ましくはなお少なくとも99%純粋である。純度は、クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、免疫アッセイ、組成物分析、生物学的アッセイ、および当該分野で公知の他の方法によって評価され得る。
【0042】
精製の方法は当該分野で周知である。例えば、核酸は、沈殿、クロマトグラフィー(分取固相クロマトグラフィー、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、および三重らせんクロマトグラフィーを含む)、超遠心分離、および他の手段によって精製され得る。ポリペプチドおよびタンパク質は、種々の方法によって精製され得る。この方法としては、限定はしないが、以下が挙げられる:分取ディスクゲル電気泳動、等電集束、HPLC、逆相HPLC、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィーおよび分配クロマトグラフィー、沈殿および塩析クロマトグラフィー、抽出、および向流分配。いくつかの目的について、組み換えシステムにおいてポリペプチドを生成することが好ましい。ここでは、このタンパク質は、精製を容易にするさらなる配列(例えば、限定しないが、ポリヒスチジン配列、または抗体に特異的に結合する配列(例えば、FLAGおよびGST))を含む。次いで、このポリペプチドを、適切な固相マトリックス上のクロマトグラフィーによって宿主細胞の粗溶解物から精製し得る。あるいは、タンパク質に対して、またはそれから誘導されたペプチドに対して生成された抗体は、精製試薬として用いられ得る。細胞は、種々の技術によって精製され得る。この技術としては、遠心分離、マトリックス分離(例えば、ナイロンウール分離)、パニングおよび他の免疫選択技術、枯渇(例えば、混入している細胞の補体枯渇)、およびセルソーティング(例えば、蛍光標示式細胞分取器(蛍光発色セルソーティング)[FACS])が挙げられる。他の精製方法が可能である。精製された物質は、約50%未満、好ましくは約75%未満、そして最も好ましくは約90%未満の細胞成分(もともとその物質が結合していた)を含み得る。「実質的に純粋」とは、当該分野で公知の従来の精製技術を用いて達成され得る最高程度の純度を示す。
【0043】
本明細書において用いる場合、「サンプル」とは、例えば、トランスジェニック動物中の遺伝子治療または遺伝子発現を評価するため、またはOSCAR遺伝子またはその遺伝子産物を特異的に発現する細胞(例えば、破骨細胞)を同定するために、OSCARポリペプチドまたはOSCAR核酸の存在について試験され得る生物学的物質をいう。このようなサンプルは、組織、血液、および血球(循環する造血幹細胞を含む(タンパク質または核酸の可能性のある検出のため))、胸水、脳脊髄液(CSF)、腹水、および細胞培養物を含む、任意の供給源から入手され得る。好ましい実施形態において、サンプルは骨髄から入手される。
【0044】
非ヒト動物としては、限定はしないが、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモットなど);ペット(例えば、イヌおよびネコ);および家畜(例えば、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、およびウシ)、そして特にヒトまたはマウスのOSCARでトランスジェニックにされたこのような動物が挙げられる。
【0045】
好ましい実施形態において、用語「約」および「ほぼ(およそ)」は、一般に、自然なまたは正確な測定値を与える測定された量について受容可能な程度の誤差を意味する。代表的に、例示的な程度の誤差は、所定の値または値の範囲の20パーセント(%)内、好ましくは10%内であり、そしてより好ましくは5%内である。あるいは、そして特に生物学的システムにおいては、用語「約」および「およそ」は、所定の値のある程度の大きさ内である値、好ましくは5倍以内、そしてより好ましくは2倍以内である値を意味し得る。本明細書において与えられる数値は、他に言及しない限り、この用語「約」または「ほぼ(およそ)」が、表示して言及されない場合、推測され得ることを意味する。
【0046】
用語「分子」は、1つ以上の原子を含む、任意の異なるかまたは識別可能な構造単位の物質、例えば、ポリペプチドおよびポリヌクレオチドが挙げられる。
【0047】
(分子生物学の定義)本発明に従って、当該分野内の従来の分子生物学、微生物学、および組み換えDNA技術が使用され得る。このような技術は文献中で詳細に説明される。例えば、以下を参照のこと:Sambrook、Fitsch & Maniatis、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第二版(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York(「Sambrookら、1989」として本明細書においては言及している);DNA Cloning:A Practical Approach,第I巻およびII巻(D.N.Glover編.1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984);Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hamens & S.J.Higgins編、1984);Animal Cell Culture(R.I.Freshney編、1986);Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press,1986);B.E.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning(1984);F.M.Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.(1994)。
【0048】
用語「ポリマー」とは、繰り返し一緒に連結されている2つ以上の構築ブロック(「マー」)からなる任意の物質または化合物を意味する。例えば、「ダイマー(二量体)」は、2つの構築ブロックが一緒に連結された化合物であり;「トリマー(三量体)」は、3つの構築ブロックが一緒に連結された化合物である;等々。
【0049】
用語「ポリヌクレオチド」または「核酸分子」とは、本明細書において用いる場合、代表的なポリヌクレオチドに水素結合し得る塩基を支持する骨格を有するポリマー分子をいう。ここでこのポリマー骨格は、ポリマー分子と代表的なポリヌクレオチド(例えば、一本鎖DNA)との間の特定の様式においてこのような水素結合を可能にする様式でこの塩基を示す。このような塩基は代表的にイノシン、アデノシン、グアノシン、シトシン、ウラシルおよびチミジンである。ポリマー分子は「二本鎖」および「一本鎖」のDNAおよびRNA、ならびにその骨格改変(例えば、メチルホスフェート連結)を含む。
【0050】
従って、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、概してDNAおよびRNA中の、一連のヌクレオチド塩基(「ヌクレオチド」とも呼ばれる)であり、そして2つ以上のヌクレオチドの任意の鎖を意味する。ヌクレオチド配列は頻繁に遺伝子情報を保有しており、この情報は、タンパク質および酵素を作製するために細胞機構によって用いられる情報を含む。この用語は、ゲノムDNA、cDNA、RNA、任意の合成ポリヌクレオチドおよび遺伝子操作ポリヌクレオチド、ならびにセンスポリヌクレオチドおよびアンチセンスポリヌクレオチドの両方を含む。これは、一本鎖分子および二本鎖分子;すなわち、DNA−DNA、DNA−RNA、およびRNA−RNAのハイブリッド、ならびにアミノ酸骨格に対して塩基を結合することによって形成された「タンパク質核酸(PNA)」を含む。これはまた、改変塩基(例えば、チオ−ウラシル、チオ−グアニン、およびウルオロ−ウラシル)を含む核酸を含む。
【0051】
本明細書におけるポリヌクレオチドは、天然調節配列に隣接していてもよいし、または異種配列(プロモーター、エンハンサー、応答エレメント、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5’非コード領域および3’非コード領域などを含む)に結合していてもよい。この核酸はまた、当該分野で公知の多くの手段によって改変され得る。このような改変の非限定的な例としては、メチル化、「キャップ」、1つ以上の天然に存在するヌクレオチドのアナログでの置換、およびヌクレオチド間改変(例えば、無電荷連結を有する改変(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート、カルバメートなど)、および荷電連結を有する改変(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)など)が挙げられる。ポリヌクレオチドは、いくつかの例を挙げると、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、鉄、酸化金属など)、およびアルキレーターのような、1つ以上のさらなる共有結合した部分を含み得る。このポリヌクレオチドは、メチルホスホトリエステルもしくはエチルホスホトリエステル、またはアルキルホスホラミダイト結合の形成によって誘導され得る。さらに、本明細書におけるポリヌクレオチドはまた、直接または間接的のいずれかで、検出可能シグナルを提供し得る標識で改変され得る。例示的な標識としては、放射性同位体、蛍光分子、ビオチンなどが挙げられる。作製され得る改変の非限定的な例は、発明の詳細な説明において以下に提供される。
【0052】
「ポリペプチド」は、ペプチド結合と呼ばれる化学的な結合によって一緒に連結されるアミノ酸と呼ばれる化学的な構築ブロックの鎖である。用語「タンパク質」とは、遺伝子または核酸分子(例えば、mRNAまたはcDNA)によってコードされ、直接または間接的にその遺伝子から転写されたアミノ酸残基を含むポリペプチドをいう。必要に応じて、タンパク質は、遺伝子によってまたはmRNAによってコードされる特定のアミノ酸残基を欠失し得る。例えば、遺伝子またはmRNA分子は、最終タンパク質から切断されており、従って最終タンパク質の一部ではないかもしれない、タンパク質のN末端上のアミノ酸残基の配列(すなわち、シグナル配列)をコードし得る。タンパク質またはポリペプチド(酵素を含む)は、「ネイティブ」もしくは「野生型」であり得、このことは、これが天然に存在することを意味する;あるいはタンパク質またはポリペプチド(酵素を含む)は、「変異体」、「改変体」であり得るか、もしくは「改変され」得、このことは、これが作製、変更、誘導されているか、またはこれがネイティブなタンパク質から、もしくは別の変異体から何らかの方法で異なっているかまたは変化していることを意味する。
【0053】
「リガンド」は、広義では、別の分子に結合する任意の分子である。好ましい実施形態において、リガンドは、可溶性分子もしくは2つの分子の小さい方のいずれか、またはその両方である。他の分子は、「レセプター」と呼ばれる。好ましい実施形態において、リガンドおよびそのレセプターの両方は、細胞によって生成される分子(好ましくはタンパク質またはポリペプチド)である。特に好ましい実施形態において、リガンドは、可溶性分子であり、そしてレセプターは内在性膜タンパク質(すなわち、細胞の表面上で発現されるタンパク質)である。しかし、どの分子がリガンドであるかと、どれがレセプターであるかの間の区別は、例えば、本発明のOSCARポリペプチドおよびOSCAR特異的リガンドの両方が内在性膜タンパク質であるかまたはそうであるらしい実施形態において、不定であり得る。
【0054】
リガンドのそのレセプターに対する結合は、頻繁に、細胞内のシグナル伝達における工程である。例示的なリガンド−レセプター相互作用としては、ホルモンレセプターに対するホルモンの結合(例えば、エストロゲンレセプターに対するエストロゲンの結合)、およびニューロンの表面上のレセプターに対する神経伝達物質の結合が挙げられるがこれらに限定されない。
【0055】
本明細書において用いる場合、ポリヌクレオチドの「増幅」とは、DNA配列の混合物内の特定のDNA配列の濃度を増大するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用を意味する。PCRの詳細については、Saikiら、Science 1988、239:487を参照のこと。
【0056】
DNAの「化学的配列決定」とは、MaxamおよびGilbert(Maxam−Gilbert配列決定;Maxam & Gilbert,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1977,74:560)の配列決定のような方法を意味する。ここでDNAは、個々の塩基特異的反応を用いて切断される。
【0057】
DNAの「酵素的配列決定」とは、当該分野で周知のSanger(Sangerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1977,74:5463)の配列決定およびそのバリエーションのような方法を意味する。ここでは、DNAポリメラーゼを用いて一本鎖DNAがコピーされ、そしてランダムに終止される。
【0058】
「遺伝子」は、ヌクレオチドの配列であり、機能的な「遺伝子産物」をコードする。一般に、遺伝子産物は機能的タンパク質である。しかし、遺伝子産物はまた、細胞中の別のタイプの分子(例えば、RNA(例えば、tRNAまたはrRNA))であり得る。本発明の目的のために、遺伝子産物とは、細胞中で見出され得るmRNA配列のこともいう。例えば、本発明に従う遺伝子発現レベルの測定は、mRNAレベルの測定に相当し得る。遺伝子は、調節配列(すなわち、非コード配列)、およびコード配列を含み得る。例示的な調節配列としては、プロモーター配列(例えば、遺伝子が発現される条件を決定する)が挙げられる。この遺伝子の転写領域はまた、イントロン、5’非翻訳領域(5’−UTR)、および3’−非翻訳領域(3’−UTR)を含む非翻訳領域を含み得る。
【0059】
「コード配列」または「コードする」配列、および発現産物(例えば、RNA、ポリペプチド、タンパク質、または酵素)とは、発現された場合、そのRNA、ポリペプチド、タンパク質、または酵素の産生を生じるヌクレオチド配列である;すなわち、このヌクレオチド配列は、そのRNAを「コードする」か、またはこのヌクレオチド配列は、そのポリペプチド、タンパク質、または酵素のアミノ酸配列をコードする。
【0060】
「プロモーター配列」は、細胞中のRNAポリメラーゼに結合し得るDNA調節領域であり、そして下流(3’方向)のコード配列の転写を開始する。本発明を規定する目的で、このプロモーター配列は、その転写開始部位によってその3’末端に結合され、そして上流(5’方向)に伸長して、バックグラウンド以上の検出可能レベルで転写を開始するのに必要な最小数の塩基またはエレメントを含む。プロモーター配列内で、転写開始部位(例えば、ヌクレアーゼS1でのマッピングによって、簡便に見出された)、およびRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見出される。
【0061】
コード配列は、RNAポリメラーゼがコード配列をRNAに転写するとき、細胞中の転写制御配列および翻訳制御配列の「制御下」であるか、またはそれらの配列と「作動可能に連結され」ている。次いでこのRNAは、トランスRNAスプライスされ(これがイントロンを含む場合)、そしてこの配列がタンパク質をコードする場合、そのタンパク質に翻訳される。
【0062】
用語「発現する」および「発現」とは、遺伝子またはDNA配列における情報が明らかになることを可能にするか、または明らかにさせること(例えば、対応する遺伝子またはDNA配列の転写および翻訳に関与する細胞機能を活性化することによってRNA(例えば、rRNAまたはmRNA)、またはタンパク質を生成すること)を意味する。DNA配列は、細胞によって発現されて、RNA(例えば、mRNA、またはrRNA)、またはタンパク質のような「発現産物」を形成する。発現産物自体(例えば、得られたRNAまたはタンパク質)はまた、細胞によって「発現された」ともいわれる。
【0063】
用語「トランスフェクション」とは、外来核酸の細胞への導入を意味する。用語「形質転換」とは、宿主細胞が導入された遺伝子または配列を発現して、所望の物質を生成するように、「外来」(すなわち、外因性のまたは細胞外の)遺伝子、DNA、またはRNAの配列をこの宿主細胞へ導入することを意味する。本発明においては、代表的にRNAが導入された遺伝子または配列によってコードされるが、タンパク質または酵素も導入された遺伝子または配列によってコードされる。この導入された遺伝子または配列はまた、「クローニングされた(cloned)」、または「外来の(foreign)」遺伝子または配列と呼ばれ得、調節配列または制御配列(例えば、細胞の遺伝子機構によって用いられる開始配列、終止配列、プロモーター配列、シグナル配列、分泌配列、または他の配列)を含み得る。この遺伝子または配列は、非機能的配列または既知の機能のない配列を含み得る。導入されたDNAまたはRNAを受け取りそして発現する宿主細胞は、「形質転換され」ており、そして「形質転換体」または「クローン」である。宿主細胞に導入されたDNAまたはRNAは、任意の供給源(異なる属または種の宿主細胞として、同じ属または種の細胞を含む)由来であり得る。
【0064】
用語「ベクター」、「クローニングベクター」、および「発現ベクター」とは、宿主を形質転換し、そして導入された配列の発現(転写および翻訳)を促進するように、DNA配列またはRNA配列(例えば、外来遺伝子)をその宿主細胞に導入し得る媒体(ビークル)を意味する。ベクターとは、プラスミド、ファージ、ウイルスなどを含み得、そしてこれらは以下に詳細に考察されている。
【0065】
「カセット(cassette)」とは、所定の制限部位でベクターに挿入され得る発現産物をコードする、配列をコードするDNA、またはDNAのセグメントをいう。このカセット制限部位は、適切なリーディングフレームでカセットの挿入を確実にするように設計される。概して、外来DNAは、ベクターDNAの1つ以上の制限部位に挿入され、次いで、ベクターによって伝播性のベクターDNAとともに宿主細胞に搬入される。挿入されたDNAまたは付加されたDNA(例えば、発現ベクター)を有するDNAのセグメントまたは配列はまた、「DNA構築物」とも呼ばれ得る。共通のタイプのベクターは、「プラスミド」であり、これは一般に二本鎖DNA(通常、細菌起源)の自己含有分子であり、プラスミドは、さらなる(外来の)DNAを容易に受容し得、そして適切な宿主細胞に容易に導入し得る。多数のベクター(プラスミドおよび真菌のベクターを含む)が、種々の真核生物宿主および原核生物宿主における複製、および/または発現について記載されている。用語「宿主細胞」とは、細胞による物質の産生のために任意の方法において、選択、改変、形質転換、増殖もしくは使用、または操作される、任意の生物体の任意の細胞を意味する。例えば、宿主細胞は、特定の遺伝子(DNA配列またはRNA配列)、タンパク質、または酵素を発現するために操作されるものであり得る。宿主細胞はさらに、以下に記載するスクリーニングまたは他のアッセイのために用いられ得る。宿主細胞は、インビトロで、または非ヒト動物(例えば、トランスジェニック動物、または一過性にトランスフェクトされた動物)における1つ以上の細胞において培養され得る。
【0066】
用語「発現系」とは、例えば、ベクターに担持され、そして宿主細胞に導入された外来DNAによってコードされたタンパク質の発現に適切な条件下の宿主細胞および適合性ベクターを意味する。通常の発現系としては、E.coli宿主細胞とプラスミドベクター、昆虫宿主細胞(例えば、Sf9、Hi5、またはS2細胞)とBaculovirusベクター、Drosophila細胞(Schneider細胞)と発現系、および哺乳動物宿主細胞とベクターが挙げられる。例えば、OSCARは、PC12、COS−1、またはC2C12細胞で発現され得る。他の適切な細胞としては、CHO細胞、HeLa細胞、293T(ヒト腎臓細胞)、マウス初代筋芽細胞、およびNIH 3T3細胞が挙げられる。
【0067】
用語「異種の(heterologous)」とは、天然には存在しないエレメントの組み合わせをいう。例えば、本発明は、rRNA配列、およびrRNA配列の一部ではない異種RNA配列を含むキメラRNA分子を含む。この文脈においては、異種RNA配列とは、リボソームRNA配列内に天然には位置していないRNA配列をいう。あるいは、異種RNA配列は、リボソームRNA配列内に天然に位置していてもよいが、天然に存在しないrRNA配列中の位置に見出される。別の例として、異種DNAとは、細胞または細胞の染色体部位に天然には位置していないDNAをいう。好ましくは、異種DNAは、細胞に対して外来の遺伝子を含む。異種発現調節エレメントは、それが天然に作動可能に連結されている遺伝子とは異なる遺伝子と作動可能に連結されている調節エレメントである。
【0068】
用語「変異体」および「変異」とは、遺伝物質(例えば、DNA)における任意の検出可能な変化、またはこのような変化の任意のプロセス、機構もしくは結果を意味する。これは、遺伝子変異を含み、ここで遺伝子の構造(例えば、DNA配列)は変更され、任意の遺伝子またはDNAが任意の変異プロセスから生じ、そして任意の発現産物(例えば、RNA、タンパク質、または酵素)が、改変された遺伝子またはDNAの配列によって発現される。用語「改変体」とは、改変した、または変更した遺伝子、DNA配列、RNA、酵素、細胞など(すなわち、任意の変異体の種類)を示すために用いられ得る。例えば、本発明は、rRNA配列を含む、変更した、または「キメラ」のRNA分子に関する。この分子は、天然にはその配列の一部でないか、または天然にはそのrRNA配列の位置に配置されていない異種RNA配列を挿入することによって変更されている。このようなキメラRNAの配列、ならびにそれをコードするDNAおよび遺伝子はまた、本明細書において「変異体」配列とも呼ばれる。
【0069】
本明細書において用いる場合、用語「オリゴヌクレオチド」とは、一般には少なくとも10、好ましくは少なくとも15、そしてより好ましくは少なくとも20ヌクレオチド、好ましくは100ヌクレオチド以上の核酸であって、目的の遺伝子、mRNA、cDNA、または他の核酸をコードするゲノムDNA分子、cDNA分子、またはmRNA分子にハイブリダイズし得る核酸をいう。オリゴヌクレオチドは、例えば、32Pヌクレオチド、または標識(例えば、ビオチンまたは蛍光色素(例えば、Cy3またはCy5))が共有結合したヌクレオチドで標識され得る。1実施形態において、標識されたオリゴヌクレオチドは、核酸の存在を検出するためのプローブとして用いられ得る。別の実施形態において、オリゴヌクレオチド(その1つまたは両方が標識され得る)は、OSCARの全長またはフラグメントをクローニングするためか、またはOSCARをコードする核酸の存在を検出するためのいずれかのために、PCRプライマーとして用いられ得る。さらなる実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、OSCAR DNA分子と三重螺旋を形成し得る。概して、オリゴヌクレオチドは合成的に、好ましくは核酸シンセサイザー(合成器)で調製される。従って、オリゴヌクレオチドは、天然には存在しないリン酸エステルアナログ結合(例えば、チオエステル結合など)を用いて調製され得る。
【0070】
本発明は、OSCAR遺伝子またはその遺伝子産物の発現を阻害するために用いられ得る、アンチセンス核酸(リボザイムを含む)を提供する。「アンチセンス核酸」は、一本鎖核酸分子であり、RNAまたはDNA分子における相補的な塩基と細胞質条件下でのハイブリダイゼーションの際に、後の役割を阻害する。RNAがメッセンジャーRNA転写物である場合、アンチセンス核酸分子は、逆転写物(countertranscript)、またはmRNAを妨害する相補的核酸である。現在用いられているとおり、「アンチセンス」は、広義には、RNA−RNA相互作用、RNA−DNA相互作用、三重螺旋相互作用、リボザイムおよびRNase−H媒介停止を含む。アンチセンス核酸分子は、細胞中での発現のために組み換え遺伝子によってコードされ得る(例えば、米国特許第5,814,500号;米国特許第5,811,234号)か、あるいは合成的に調製され得る(例えば、米国特許第5,780,607号)。本発明のアンチセンス核酸分子の他の特異的な例は、以下に提供される。
【0071】
本発明のために想定される合成オリゴヌクレオチドの特定の非限定的な例としては、上記の核酸部分に加えて、ホスホロチオエート、ホスホロトリエステル、メチルホスホネート、短鎖アルキルまたはシクロアルキル糖間連結、または短鎖ヘテロ原子または複素環式糖間連結を含むオリゴヌクレオチドが挙げられる。最も好ましいのは、CH2−NH−O−CH2、CH2−N(CH3)−O−CH2、CH2−O−N(CH3)−CH2、CH2−N(CH3)−N(CH3)−CH2、およびO−N(CH3)−CH2−CH2の骨格(ここでホスホジエステルは、OPO2−O−CH2である)を有するものである。米国特許第5,677,437号は、芳香族複素環オリゴヌクレオチド連結を記載している。窒素リンカーまたは窒素を含む基がまた、オリゴヌクレオチド模倣物を調製するために用いられ得る(米国特許第5,792,844号、および同第5,783,682号)。米国特許第5,637,684号は、ホスホラミダイトおよびホスホロチオアミダイトのオリゴマー化合物を記載している。モルホリノ骨格構造を有するオリゴヌクレオチドもまた、想定される(米国特許第5,034,506号)。他の実施形態において、ペプチド核酸(PNA)骨格のような、オリゴヌクレオチドのホスホジエステル骨格が、ポリアミド骨格と置換され得、この塩基は、ポリアミド骨格のアザ窒素原子に対して直接または間接的に結合される(Nielsenら、Science 254:1497,1991)。他の合成オリゴヌクレオチドは、2’位置で以下のうちの1つを含む置換糖部分を含み得る:OH、SH、SCH3、F、OCN、O(CH2)nNH2、またはO(CH2)nCH3(ここで、nは、1〜約10である);C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリルまたはアラルキル;Cl;Br;CN;CF3;OCF3;O−;S−、またはN−アルキル;O−、S−、またはN−アルケニル;SOCH3;SO2CH3;ONO2;NO2;N3;NH2;ヘテロシクロアルキル;ヘテロシクロアルカリル;アミノアルキルアミノ;ポリアルキルアミノ;置換シリル;フルオレセイン部分;RNA切断基;レポーター基;インターカレーター;オリゴヌクレオチドの薬物動態的特性を改善する基;またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善する基、および類似の特性を有する他の置換基。オリゴヌクレオチドはまた、ペントフラノシル基に代わってシクロブチルまたは他の炭素環のような糖模倣物を有し得る。アデノシン、シチジン、グアノシン、チミジン、およびウリジン以外のヌクレオチド(例えば、イノシン)を有するヌクレオチド単位が、オリゴヌクレオチド分子において用いられ得る。
【0072】
核酸分子は、この核酸分子の一本鎖形態が、適切な条件の温度および溶液イオン強度の下で他の核酸分子にアニーリングし得る場合、別の核酸分子(例えば、cDNA、ゲノムDNA、またはRNA)に「ハイブリダイズ可能」である(Sambrookら、前出を参照のこと)。温度およびイオン強度の条件は、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。相同な核酸についての予備的なスクリーニングについて、低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件(55℃のTm(融点)に相当する)を用い得る(例えば、5×SSC、0.1%SDS、0.25%ミルク、およびホルムアルデヒドなし;または30%ホルムアミド、5×SSC、0.5%SDS)。中度のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件は、さらに高いTmに相当する(例えば、40%ホルムアミドとともに5×SCCまたは6×SCC)。高ストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件は、最高のTmに相当する(例えば、50%ホルムアミド、5×SSCまたは6×SCC)。SCCは、0.15M NaCl、0.015M クエン酸ナトリウムである。ハイブリダイゼーションには、2つの核酸が、相補的な配列を含むことが必要であるが、これは、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに依存し、塩基間のミスマッチは可能である。核酸をハイブリダイズするために適切なストリンジェンシーは、当該分野で周知の変数である、核酸の長さおよび相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列の間の類似性または相同性の程度が大きくなるほど、これらの配列を有する核酸のハイブリダイズのためのTmの値は大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対的な安定性(より高いTmに相当する)は、以下の順番で低下する:RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。100ヌクレオチド長より大きいハイブリッドについて、Tmを計算するための式が導びかれている(Sambrookら、前出、9.50−9.51を参照のこと)。さらに短い核酸(すなわち、オリゴヌクレオチド)でのハイブリダイゼーションのためには、ミスマッチの位置がさらに重要になり、そしてオリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(Sambrookら、前出、11.7−11.8を参照のこと)。ハイブリダイズ可能な核酸の最小の長さは、少なくとも約10ヌクレオチド;好ましくは少なくとも約15ヌクレオチドであり;そしてより好ましくは、この長さは少なくとも約20ヌクレオチドである。
【0073】
特定の実施形態において、用語「標準的ハイブリダイゼーション条件」とは、55℃のTmをいい、そして上記のような条件を利用する。好ましい実施形態において、Tmは60℃である;さらに好ましい実施形態において、Tmは65℃である。特定の実施形態において、「高ストリンジェンシー」とは、0.2×SSC中の68℃で、50%ホルムアミド、4×SSC中42℃での、またはこれらの2つのいずれかの条件下で観察されるハイブリダイゼーションに等価なハイブリダイゼーションのレベルを提供する条件下のハイブリダイゼーション条件および/または洗浄条件をいう。
【0074】
オリゴヌクレオチドに適切なハイブリダイゼーション条件(例えば、オリゴヌクレオチドプローブまたはプライマー)は、オリゴヌクレオチドのより低い融点によって、代表的に全長核酸(例えば、全長cDNA)とはいくぶん異なる。オリゴヌクレオチドの融点は、含まれたオリゴヌクレオチド配列の長さに依存するので、適切なハイブリダイゼーション温度は、用いられるオリゴヌクレオチド分子に依存して変化する。例示的な温度は37℃(14塩基オリゴヌクレオチドについて)、48℃(17塩基オリゴヌクレオチドについて)、55℃(20塩基オリゴヌクレオチドについて)、および60℃(23塩基オリゴヌクレオチドについて)であり得る。オリゴヌクレオチドの例示的な適切なハイブリダイゼーション条件としては、6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中での洗浄、または等価なレベルのハイブリダイゼーションを提供する他の条件が挙げられる。
【0075】
(OSCARポリペプチド)
本発明のOSCARポリペプチドは、上記で規定されている。1つの好ましいOSCARポリペプチドは、約264アミノ酸残基長の配列を含み、そして好ましくは約16アミノ酸残基長のシグナルペプチド配列を含む。別の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、約248アミノ酸残基長の配列を含み得、そしてシグナルペプチド配列は含まない。2つの実施形態のポリペプチドは、それぞれ、約28.7kDaおよび約27.0kDAの推定分子量(アミノ酸配列から算出した)を有し得る。なお他の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、例えば、グリコシル化によって改変され得る。このような実施形態において、OSCARポリペプチドのみかけの分子量は、そのアミノ酸配列のみによって算出した分子量とは異なり得る。例えば、好ましい実施形態において、OSCARポリペプチドは、35kDaまたは40kDaのみかけの分子量(例えば、SDS−PAGEによって決定された)を有し得る。
【0076】
上記のように、本発明のOSCARポリペプチドはまた、破骨細胞におけるその発現パターンによって特徴付けられ得る。詳細には、OSCAR遺伝子および本発明の遺伝子産物は好ましくは、破骨細胞においてのみ発現される(OSCARポリペプチドを発現するように(例えば、下記の方法に従って)操作された宿主細胞を除いて)。詳細には、本発明のOSCARポリペプチドは好ましくは、マクロファージおよび樹状細胞を含む、他の骨髄由来細胞においては発現されない。さらに、本発明のOSCARポリペプチドは好ましくは、器官(筋、腎臓、脳、心臓、肝臓、小腸、胸腺、脾臓、およびリンパ球を含むがこれに限定されない)の他の細胞または組織においては発現されない。しかし、本発明のOSCARポリペプチドがこれらの細胞型および他の細胞型(このような細胞は、例えば、OSCARポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクターを用いて形質転換されている)によって発現され得ることが理解される。
【0077】
本発明のOSCARポリペプチドはまた、それらの特異的な生体活性によって特徴付けられ得る。詳細には、これらのポリペプチドは、以下の実施例において実証されるように、破骨細胞の成熟および活性を調節し得る。例えば、本発明のOSCARポリペプチドの投与により、骨芽細胞の存在下での、破骨細胞の成熟および活性を減少し得る(例えば、多核性の破骨細胞の減少した数によって決定される)。任意の特定の理論または活性の機構に束縛されることを望まないが、このようなポリペプチドは骨芽細胞によって産生されたOSCARリガンドに競合的に結合すると考えられる。このようなOSCARリガンドは、通常、破骨細胞によって発現されたOSCARポリペプチドに結合し、その結果、これらの破骨細胞の成熟が誘導される。従って、OSCARリガンドに競合的に結合することによって、さらなるOSCARポリペプチドの投与が、破骨細胞のリガンド刺激を実際に防止する。
【0078】
あるいは、本発明のOSCARポリペプチドはまた、破骨細胞によって発現される場合、OSCARリガンドとの結合により、破骨細胞の成熟および/または破骨細胞の活性を増加する能力によって特徴付けされ得る。
【0079】
一つの特異的な実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図1Cに記載されるアミノ酸配列(配列番号3)を含む。このマウスのOSCARポリペプチドは、少なくとも5つの異なるドメインに対応する配列を含む:シグナルペプチド配列(配列番号3のアミン酸残基1〜16を含む);2つのIg様ドメイン配列(それぞれ配列番号3のアミノ酸残基17〜122および123〜228を含む);膜貫通ドメイン配列(配列番号3のアミノ酸残基229〜247を含む);および細胞質テールドメイン(sytoplasmic tail domain)配列(配列番号3のアミノ酸残基248から264を含む)。これらのドメインのうちのいずれかを明確にするために特定されたアミノ酸残基の数は、おおよその数であることが理解される。
【0080】
別の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、ヒトOSCARポリペプチドのアミノ酸配列を含む。詳細には、本発明は、ヒトOSCARポリペプチドの少なくとも5つのアイソフォーム(すなわち、改変体)を提供する。本明細書において、これらの改変体は、それぞれ、C18ヒトOSCARアイソフォーム(図3Bおよび配列番号7に記載される)、C16ヒトOSCARアイソフォーム(図4Bおよび配列番号9に記載される);C10ヒトOSCARアイソフォーム(図5Bおよび配列番号11に記載される)、ヒトOSCARアイソフォームS1(図24Bおよび配列番号25に記載される)ならびにヒトOSCARアイソフォームS2(図25Bおよび配列番号27に記載される)をいう。
【0081】
従って、一つの特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図3B(配列番号7)に記載されるアミノ酸配列を含む。このC18ヒトOSCARアイソフォームは、少なくとも5つの異なるドメインに対応する配列を含む:シグナルペプチド配列(配列番号7のアミノ酸残基1〜18を含む)、2つのIg−様ドメイン配列(それぞれ配列番号7のアミノ酸残基19〜123および124〜229を含む)、膜貫通ドメイン配列(配列番号7のアミノ酸残基230〜248を含む);および細胞質テールドメイン配列(配列番号7のアミノ酸残基249〜263を含む)。
【0082】
別の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図4B(配列番号9)に記載されるアミノ酸配列を含む。このC16ヒトOSCARアイソフォームはまた、少なくとも5つの異なるドメインに対応する配列を含む:シグナルペプチド配列(配列番号9のアミノ酸残基1〜18を含む)、2つのIg−様ドメイン配列(配列番号9のアミノ酸残基19〜127および128〜233を含む)、膜貫通ドメイン配列(配列番号9のアミノ酸残基234〜252を含む);および細胞質テールドメイン配列(配列番号9のアミノ酸残基253〜267を含む)。
【0083】
なお別の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図5B(配列番号11)に記載されるアミノ酸配列を含む。このC10ヒトOSCARアイソフォームはまた、少なくとも5つの異なるドメインに対応する配列を含む:シグナルペプチド配列(配列番号11のアミノ酸残基1〜13を含む)、2つのIg−様ドメイン配列(それぞれ配列番号11のアミノ酸残基14〜112および113〜218を含む)、膜貫通ドメイン配列(配列番号11のアミノ酸残基219〜237を含む);および細胞質テールドメイン配列(配列番号11のアミノ酸残基238〜252を含む)。
【0084】
なお別の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図24B(配列番号25)に記載されるアミノ酸配列を含む。この実施形態は、上記の実施形態において見出される膜貫通ドメインを欠失する。
【0085】
なお別の特定の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図25B(配列番号27)に記載されるアミノ酸配列を含む。この実施形態はまた、上記の実施形態において見出される膜貫通ドメインを欠失する。
【0086】
別の実施形態において、本発明のOSCARポリペプチドは、図1C、3B、4B、5B、24B、25B、26Bおよび27B(それぞれ、配列番号3、7、9、11、25、27、29および31)に記載される全長OSCARポリペプチドのような、全長OSCARポリペプチドの1以上の個々のドメインのアミノ酸配列を含む。従って、例えば、本発明のOSCARポリペプチドは、配列番号3、7、9および11に記載されるOSCARポリペプチドのいずれかについて上に記載される、シグナル配列ドメイン、いずれかのIg様ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。本発明のOSCARポリペプチドは、これらの個々のドメインの任意の組み合わせに対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをさらに含む。これらのドメインのうちのいずれかを明確にするために特定されたアミノ酸残基の数は、おおよその数であることが理解される。
【0087】
本発明のOSCARポリペプチドはまた、図1C、3B、4B、5B、24B、25B、26Bおよび27B(それぞれ、配列番号3、7、9、11、25、27、29および31)に記載される全長OSCARポリペプチドのいずれかのエピトープのような、全長OSCARポリペプチドのエピトープのアミノ酸配列を含有するポリペプチドを含む。OSCARポリペプチドのエピトープは、ポリペプチド上の部位を表し、このポリペプチドに対して抗体が産生され得、そしてこのポリペプチドに抗体が結合する。従って、OSCARエピトープのアミノ酸配列を含むポリペプチドは、OSCARタンパク質に対する抗体を作製するために有用である。好ましくは、エピトープは、少なくとも5個、より好ましくは、少なくとも10個、15個、20個、25個、または50個のアミノ酸残基長の配列を含む。従って、OSCARタンパク質のエピトープを含む、本発明のOSCARポリペプチドは、好ましくは、OSCARタンパク質配列の少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、または少なくとも50個のアミノ酸残基の配列に対応するアミノ酸配列を含む。例えば、特定の好ましい実施形態において、このエピトープが、図1C、3B、4B、5B、24B、25B、26Bおよび27B(それぞれ、配列番号3、7、9、11、25、27、29および31)に記載されるOSCARポリペプチドのうちの一つのエピトープである場合、OSCARポリペプチドは、図1C、3B、4B、5B、24B、25B、26Bおよび27B(それぞれ、配列番号3、7、9、11、25、27、29および31)に記載される配列の少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、または少なくとも50個のアミノ酸残基の配列に対応するアミノ酸配列を含む。
【0088】
本発明のOSCARポリペプチド中のさらに他のフラグメントが、本明細書中で提供される。例えば、実施例(後述)は、図2Bに記載されるポリペプチド配列(配列番号5)をコードする、OCL178と呼ばれるクローンを提供する。このポリペプチドは、図1Cに記載される全長ポリペプチド(配列番号3)のアミノ酸残基161〜265の配列に対応する。このようなフラグメントはまた、本発明のOSCARポリペプチド中にある。
【0089】
本発明のOSCARポリペプチドはまた、全長OSCARポリペプチド(例えば、配列番号3、7、9、11、25および27)のアナログおよび誘導体を含む。本発明のOSCARポリペプチドのアナログおよび誘導体は、上記のOSCARポリペプチドと同一の特徴または相同的な特徴を有する。
【0090】
例えば、OSCARポリペプチドの短縮型が提供され得る。このような短縮型は、特定の欠失を有するOSCARポリペプチドを含み得る。例えば、特定の実施形態において、全長OSCARポリペプチドの1個以上のドメイン(例えば、シグナル配列ドメイン、1個以上のIg様ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質テールドメイン)に対応するアミノ酸残基は、OSCARポリペプチドのアミノ酸配列から欠失され得る。好ましい実施形態において、本発明の短縮OSCARポリペプチドは、シグナル配列ドメインが欠失されたか、そうでなければ除去されたポリペプチドであり、すなわち、シグナル配列ドメインを含まないポリペプチドである。
【0091】
特定の実施形態において、誘導体は、機能的に活性であり、すなわち、この誘導体は、本発明の全長の野生型OSCARポリペプチドに関連する、1個以上の機能的活性を示し得る。
【0092】
OSCARキメラ融合ポリペプチドが調製され得、ここで、この融合タンパク質のOSCAR部分は、OSCARポリペプチドの1つ以上の特徴を有する。従って、このような融合ポリペプチドは、本発明のOSCARポリペプチドの実施形態を示す。例示的なOSCAR融合ポリペプチドは、全長OSCARアミノ酸配列、誘導体OSCARアミノ酸配列または短縮OSCARアミノ酸配列、およびOSCARポリペプチド配列のフラグメント(例えば、エピトープまたは1つ以上のドメインに対応するフラグメント)を含む融合物を含有する、ポリペプチドを含む。このような融合ポリペプチドはまた、マーカーポリペプチドのアミノ酸配列(例えば、FLAG、ヒスチジンタグ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、赤血球凝集素、またはヒトIgGのFc部分)を含み得る。他の実施形態において、OSCARポリペプチドは、βガラクトシダーゼのような細菌性タンパク質で発現され得る。さらに、OSCAR融合ポリペプチドは、このポリペプチドの安定性を増加させるアミノ酸配列を含み得る(例えば、チオレダクターゼアミノ酸配列または1つ以上の免疫グロブリンタンパク質(例えば、IgG1またはIgG2)の配列)。
【0093】
OSCARアナログまたは改変体はまた、例えば、置換、添加または欠失によりコードする核酸分子を改変することによって作製され得る。好ましくは、このような改変された核酸分子は、機能的に類似の分子(すなわち、1つ以上のOSCAR機能を実施するか、または1つ以上のOSCAR生体適合性を有する分子)をコードする。従って、特定の実施形態において、OSCARポリペプチドのアナログは、機能保存的な改変体である。
【0094】
ポリペプチドの「機能保存的な改変体」は、ポリペプチド中の所定のアミノ酸残基が、ポリペプチドの全体のコンホメーションおよび/または機能(例えば、生体適合性)を改変することなく変えられた、ポリペプチドの改変体である。このような変化としては、同様の特性(例えば、極性、水素結合能、酸性度、アルカリ度、疎水性、芳香族性などの類似の特性)を有するアミノ酸でのアミノ酸の置換が上げられるが、これらに限定されない。例えば、アルギニン、ヒスチジンおよびリジン(これに限定されない)は、親水性塩基性アミノ酸であり、そして交換可能であり得る。同様に、イソロイシン(疎水性アミノ酸)は、ロイシン、メチオニンまたはバリンで置換され得る。このような変化は、タンパク質またはポリペプチドのみかけの分子量または等電点にほとんど影響を有さないか、または全く影響を有さない。
【0095】
本明細書中において、保存されているとして特異的に同定されるアミノ酸残基以外のアミノ酸残基は、タンパク質またはポリペプチドの改変体とは異なり得る。従って、類似機能の任意の2種のOSCARポリペプチド間で、タンパク質またはアミノ酸配列の類似性の割合は変化し得る。代表的に、異なるOSCARポリペプチド改変体間での、タンパク質またはアミノ酸配列の類似性の割合は、アライメントスキーム(例えば、Cluster Methodおよび/またはMEGALIGNアルゴリズム)に従って決定される場合、70%から99%であり得る。「機能保存的な改変体」はまた、例えば、BLASTアルゴリズムまたはFASTAアルゴリズムによって決定される場合、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、そしてさらにより好ましくは少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む。好ましくは、このような機能保存的な改変体はまた、これらが比較されるネイティブなポリペプチドと、同一または類似の特性、機能または生体活性を有する。さらに、本発明の機能保存的な改変体は、本発明の全長OSCARタンパク質の改変体(例えば、図1C、3B、4B、5B、24B、25B、26Bおよび27Bに記載の配列を含むOSCARポリペプチドの改変体(それぞれ、配列番号3、7、9、11、25、27、29および31)を含むだけでなく、改変された(例えば、短縮および欠失)OSCARポリペプチドの機能保存的な改変体、および全長OSCARタンパク質のフラグメント(例えば、ドメインまたはエピトープに対応する)を含む。
【0096】
なお他の実施形態において、OSCARポリペプチドのアナログは、OSCARポリペプチドの対立遺伝子改変体または対立遺伝子変異体である。対立遺伝子改変体および対立遺伝子変異体という用語は、ポリペプチドを記載するために使用される場合、対立遺伝子改変体または対立遺伝子変異体の遺伝子によってコードされたポリペプチドをいう。従って、本発明の対立遺伝子改変体および対立遺伝子変異体のOSCARポリペプチドは、本発明のOSCAR核酸分子の、対立遺伝子改変体または対立遺伝子変異体によってコードされたポリペプチドである。
【0097】
なお他の実施形態において、OSCARポリペプチドのアナログは、同一の種(例えば、対立遺伝子改変体)または別の種(例えば、オルソログポリペプチド);好ましくは、別の哺乳動物の種(例えば、マウス、ヒト、ラット、ウサギ、ハムスターまたはモルモット)由来の、実質的に相同性のポリペプチドである。しかし、本発明のOSCARホモログは、いくつかを挙げると、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ウシ、トリおよびゼノプスを含む任意の種由来であり得る。例えば、図3B(配列番号7)に記載されるOSCARポリペプチド配列は、ヒトOSCARオルソログであり、そして図1C(配列番号3)に記載されるマウスOSCARポリペプチドに対して相同性である。図6に示される、これらの2つのアミノ酸配列のアライメントは、この2つの配列がかなりの配列同一性を共有することを実証する。詳細には、C18ヒトOSCARアイソフォーム(図6のhOSCAR(配列番号7))のポリペプチド配列は、マウスOSCARポリペプチド配列(図6のmOSCAR(配列番号3))に対して74.6%(すなわち、約75%)の同一性である。
【0098】
本明細書中で使用される場合、その全ての文法的な形態およびスペル変化において、用語「相同性」は、「共通の進化的起源」を有すると理解されるタンパク質間の関係をいい、これには、スーパーファミリー(例えば、免疫グロブリンスーパーファミリー)由来のタンパク質および異なる種由来の相同性タンパク質が挙げられる。例えば、Reeckら、Cell 1987,50:667を参照のこと。異なる種由来の対応するタンパク質は、「オルソログ」といわれる。相同性タンパク質およびオルソログタンパク質、ならびにそれらのコード遺伝子は、配列類似性によって示されるような、配列相同性を有する。このような配列類似性は、例えば、配列類似性の割合(例えば、アミノ酸配列の同一性または相同性の割合)、または保存された部分における、特異的アミン酸残基もしくはモチーフの割合によって示され得る。
【0099】
用語「配列類似性」は、その全ての文法的な形態において、核酸配列間またはアミノ酸配列間の、同一性または対応の程度をいう。本明細書中で他の述べられる場合を除いて、用語「相同性」は、単に、配列の類似性をいい、必ずしも共通の進化の起源に関するわけではない。
【0100】
特定の実施形態において、このポリペプチドが本明細書中に開示されるアルゴリズムの一つによって決定される際に、少なくとも35〜40%、1以上の高度に保存されたドメインにおいてまたは対立遺伝子に対して、全アミノ酸配列にわたって、好ましくは少なくとも60%、そして最も好ましくは少なくとも90または95%類似である場合、2つのポリペプチド配列は、「実質的に相同性」であるか、または「実質的に類似性」である。アミノ酸配列または核酸配列を比較するために使用され得る配列比較アルゴリズムは、BLASTアルゴリズム(例えば、BLAST P、BLAST N、BLAST X)、FASTA、DNA Strinder、GCG(Genetics Computer Group、GCG PakcageのためのProgram Manual、Version 7、Madison、Wisconsin)パイルアッププログラムなどを含む。他に記載されなければ、本明細書中で言及される全ての配列の比較は、これらのアルゴリズムを用いて提供されるデフォルトパラメーターを使用してなされる。これらの配列の例は、本発明の特定のOSCAR遺伝子および遺伝子産物の、対立遺伝子改変体または種改変体であり、これは、例えば、図1C、3B、4B、5B、24B、25B、26Bおよび27Bに示されるOSCARポリペプチド配列(それぞれ、配列番号3、7、9、11、25、27、29および31)の、対立遺伝子改変体または種改変体を含む。実質的に相同性である配列は、配列データバンクにおいて利用可能な標準的なソフトウェアを使用して、配列を比較することによって同定され得る。
【0101】
他の実施形態において、OSCARポリペプチドの改変体(アナログまたはホモログを含む)は、例えば、規定条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験において、OSCARポリペプチドをコードする核酸分子の相補体にハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドである。例えば、特定の実施形態において、OSCARポリペプチドのアナログおよび/またはホモログは、50%のホルムアミドおよび5×SSCまたは6×SSCを含む高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、OSCAR核酸配列(例えば、図1A、1B、2A、26Aおよび27A(それぞれ、配列番号1、2、4、30、および31)、ならびに3A、4A、5A、24A、および25A(それぞれ、配列番号6、8、10、26および28))に記載されるコード配列のいずれか)の相補体にハイブリダイズする核酸分子によってコードされたアミノ酸配列を含む。他の実施形態において、OSCARポリペプチドのアナログおよび/またはホモログは、中程度にストリンジェントな条件下(すなわち、5×SSCまたは6×SSCを含む40%ホルムアミド)、または低ストリンジェンシー条件下(例えば、5×SSC、0.1%のSDS、0.25%の乳剤、ホルムアミドなし、30%のホルムアミド、5×SSC、または0.5%のSDS)で、OSCAR核酸配列(例えば、それぞれ、図1A、1B、2A、3A、4A、5A、24A、25A、26Aおよび27A、ならびに、配列番号1、2、4、6、8、10、26、28、30、および31に記載のコード配列)の相補体にハイブリダイズする核酸分子によってコードされたアミノ酸配列を含み得る。
【0102】
さらに他の実施形態において、OSCARポリペプチドのアナログ、ホモログおよびオルソログを含む改変体は、改変体OSCAR遺伝子を単離することによって(例えば、OSCARポリペプチドのアミノ酸配列を基礎に設計された短縮オリゴヌクレオチドプライマーを使用するPCRによって、そして、以下に記載されるようにして)同定され得る。
【0103】
本発明のOSCARポリペプチドの誘導体としては、さらに、化学的に改変される、リン酸化OSCAR、ミリスチル化OSCAR、メチル化OSCAR、および他のOSCARポリペプチドが挙げられるが、これらに限定する意味ではない。本発明のOSCARポリペプチドはまた、例えば、ヨウ素もしくはリン(例えば、EP372707Bを参照のこと)または他の検出可能な分子(例えば、ビオチン、蛍光色素(例えば、Cy5またはCy3)、金属イオンと複合体化するキレート剤、クロモホア(chromophore)またはフルオロホア(fluorophore)、金コロイド、ラテックスビーズのような粒子)で放射標識されるか、あるいは水性ポリマーに結合された、標識化した改変体を含む。
【0104】
OSCAR核酸またはポリペプチドの、生物学的に活性な成分の化学的な改変体は、特定の状況下で、さらなる利点を提供し得る。例えば、Davisらに1970年12月18日に交付された米国特許第4,179,337号を参照のこと。また総説に関して、Abuchowskiら、Enzymes as Drugs(J.S.HolcerbergおよびRoberts編、1981)367〜383頁を参照こと。タンパク質の改変および融合タンパク質を記載する総説論文は、Francis,Focus on Growth Factors 1992,3:4〜10,Mediscript:Mountview Court,Friern Barnet Lane,London N20,OLD,UKに見出される。
【0105】
(OSCAR核酸)
本発明のOSCAR核酸分子はまた、上に規定される通りであり、そしてDNA分子およびRNA分子、ならびに上記の改変体(例えば、改変された塩基および/または骨格)のうちのいずれかを含有する核酸分子を含む。一般に、OSCAR核酸分子は、OSCARポリペプチドをコードする核酸配列、OSCARポリペプチドをコードする核酸配列の相補体、およびそれらのフラグメントを含む。従って、一つの好ましい実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、図1C(配列番号3)に記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(例えば、図1Aおよび1B(それぞれ、配列番号1および2)に記載される特定のOSCAR核酸配列)を含む。別の好ましい実施形態において、本発明の核酸分子は、図26B(配列番号29)に記載されるアミノ酸配列をコードする核酸配列(例えば、図26A(配列番号30)に記載される特定のOSCAR核酸配列)を含む。なお別の好ましい実施形態において、本発明の核酸分子は、図27B(配列番号31)に記載されるアミノ酸配列をコードする核酸配列(例えば、図27A(配列番号32)に記載される特定のOSCAR核酸配列)を含む。
【0106】
別の好ましい実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、上記のC18ヒトOSCARアイソフォームについて、図3B(配列番号7)に記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、この配列は、図3A(配列番号6)に記載される特定のOSCAR核酸配列を含む。好ましくは、この例示的なOSCAR配列(すなわち、図3Aおよび配列番号6に示される例示的な配列)の核酸328は、グアニンである。しかし、例示的な代替実施形態において、核酸328は、チミンであり得る。
【0107】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、上記のC16ヒトOSCARアイソフォームについて、図4B(配列番号9)に記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、この配列は、図4A(配列番号8)に記載される特定のOSCAR核酸配列を含む。なお別の好ましい実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、上記のC10ヒトOSCARアイソフォームについて、図5B(配列番号11)に記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、この配列は、図5A(配列番号10)に記載される特定のOSCAR核酸配列を含む。
【0108】
別の好ましい実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、S1ヒトOSCARアイソフォームについて、図24B(配列番号25)に記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、この配列は、図24Aに記載される特定のOSCAR核酸配列を含む。なお別の好ましい実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、S2ヒトOSCARアイソフォームについて、図25B(配列番号27)に記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含み、この配列は、図25A(配列番号28)に記載される特定のOSCAR核酸配列を含む。
【0109】
なお他の実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、OSCARポリペプチドの1つ以上のドメイン(例えば、シグナル配列ドメイン、1つ以上のIg様ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質テールドメイン)をコードする核酸配列、またはOSCARポリペプチドのドメインの任意の組み合わせをコードする核酸配列を含む。
【0110】
本発明のOSCAR核酸分子はまた、OSCAR遺伝子に対するゲノムOSCARヌクレオチド配列を含む。例えば、図7A〜D(配列番号12)は、ヒトOSCAR遺伝子のヌクレオチド配列を含むヒト第19染色体の領域由来の配列を記載する。従って、これらのヌクレオチド配列を含む核酸分子は、本発明のOSCAR核酸中にある。例えば、一つの実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、表1(上述)に記載され、そして図7A〜Dに例示される、1つ以上のイントロン配列またはエキソン配列由来のヌクレオチド配列を含む。他の実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、OSCAR遺伝子のエキソンおよび/またはイントロンの組み合わせについてのヌクレオチド配列を含む。
【0111】
本発明のOSCAR核酸分子はまた、OSCARポリペプチドのフラグメント(例えば、エピトープ)をコードする核酸配列も含み得る。このようなフラグメントは、例えば、図2A(配列番号4)に記載される核酸配列をコードするポリヌクレオチド、および図2B(配列番号5)に記載されるポリペプチド配列をコードする他の核酸配列を含む。
【0112】
本発明のOSCAR核酸分子はまた、改変されたOSCARポリペプチド(例えば、アミノ酸の置換、欠失または短縮を有するポリペプチド)のため、およびOSCARポリペプチドの改変体(同一の種および異なる種由来のアナログおよびホモログを含む改変体)のためのコード配列を含有する核酸分子を含む。好ましい実施形態において、このような核酸分子は、OSCARコードヌクレオチド配列(例えば、図1A−B、3A、4A、5A、7A−D、24A、25A、26Aおよび27Aに記載されるコード配列)(それぞれ、配列番号1−2、6、8、10、12、26、28、30および32)に対して、少なくとも50%、好ましくは、少なくとも75%、そしてより好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有する。あるいは、本発明の核酸分子はまた、例えば、規定条件下でサザンブロットアッセイにおいて、OSCAR核酸分子にハイブリダイズする核酸分子であり得る。例えば、特定の実施形態において、標識化したOSCAR cDNAは、1.65kbのEcoRIフラグメントおよび5.5kbのBgl IIフラグメントを含む、1つ以上のヒトゲノムフラグメントにハイブリダイズする。
【0113】
特定の実施形態において、本発明のOSCAR核酸分子は、50%のホルムアミドおよび5×SSCまたは6×SSCを含む高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、図1A−B、3A、4A、5A、7A−D、24A、25A、26Aおよび27Aに記載されるコード配列(それぞれ、配列番号1−2、6、8、10、12、26、28、30および32)のうちのいずれかのような、OSCAR核酸配列の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含む。他の実施形態において、核酸分子は、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下(すなわち、5×SSCまたは6×SSCを含む40%ホルムアミド)、または低いストリンジェンシー条件下(例えば、5×SSC、0.1%のSDS、0.25%の乳剤、ホルムアミドなし、30%のホルムアミド、5×SSC、または0.5%のSDS)で、OSCAR核酸配列(例えば、図1A−B、3A、4A、5A、7A−D、24A、25A、26Aおよび27Aに記載されるコード配列)の相補体にハイブリダイズする。特定の好ましいハイブリダイゼーション条件は、低いストリンジェンシーハイブリダイゼーション緩衝液(例えば、30%ホルムアミド、10mM Tris pH7,6、2.5×Denhard溶液、5×SSC、0.5% SDSおよび1.5mg/mlの超音波処理したサケ***DNA)中、42℃でのハイブリダイゼーション、続く低いストリンジェンシー洗浄緩衝液(例えば、0.5×SSCおよび1% SDS)を使用する、50℃での洗浄(好ましくは、2回)を含む。例えば、下記の実施例は、マウスのフラグメントおよびヒトゲノムDNAをOSCARクローンOSL178(配列番号4)由来のOSCAR核酸配列にハイブリダイズさせる実験を記載する。従って、このようなゲノム配列は、本発明のOSCAR核酸配列の一部である。
【0114】
あるいは、本発明の核酸分子は、同じように規定されたハイブリダイゼーション条件下で、全長OSCARポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のフラグメント(例えば、図2Aにおいて示されるフラグメント(配列番号4))の相補体に対してか、または図2Bに示されるOSCARポリペプチドフラグメント(配列番号5)をコードする別の核酸分子に対してハイブリダイズし得る。例えば、下記の実施例は、クローンOCL178中に含まれ、そして図2A(配列番号4)に示されるOSCAR核酸フラグメントにハイブリダイズする、見かけ上4.0kb、1.8kbおよび1.1kbの長さのOSCAR mRNA分子の同定を記載する。実施例はまた、OCL178核酸にハイブリダイズするマウスゲノムDNAフラグメントおよびヒトゲノムDNAフラグメントの両方の同定を記載する。従って、このような核酸は、本発明のOSCAR核酸分子の例示的な実施形態である。
【0115】
他の実施形態では、本発明の核酸分子は、全長OSCAR配列のフラグメントを含む。例えば、好ましい実施形態において、このようなOSCAR核酸フラグメントは、全長をコードするOSCARヌクレオチド配列のなかの少なくとも10ヌクレオチド、好ましくは、少なくとも15ヌクレオチド、およびより好ましくは、少なくとも20ヌクレオチドの配列に対応するヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、このフラグメントは、図1A〜B、3A、4A、5A、7A〜D、24A、25A、26Aおよび27A(それぞれ、配列番号1〜2、6、8、10、12、26、28、30および32)に示されるOSCARコード配列、または図1C、2B、3B、4B、5B、24B、25B、26Bおよび27B(それぞれ、配列番号3、5、7、9、11、25、27、29および31)に示されるポリペプチド配列をコードする他のヌクレオチド配列の部分(例えば、少なくとも10、15または20ヌクレオチドの部分)に対応する。
【0116】
他の好ましい実施形態では、OSCAR核酸フラグメントは、全長をコードするOSCAR核酸配列(例えば、図1A〜B、3A、4A、5A、7A〜D、24A、25A、26Aおよび27Aに示される配列(それぞれ、配列番号1〜2、6、8、10、12、26、28、30および32))、またはそのフラグメント(例えば、図2Aおよび配列番号4に示される配列)に対して相補的であり、および/またはハイブリダイズする、少なくとも10ヌクレオチド、好ましくは、少なくとも15ヌクレオチド、そしてより好ましくは、少なくとも20ヌクレオチドの配列を含む。このようなオリゴヌクレオチドについて適切なハイブリダイゼーション条件は上記の通りであり、そして6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中での洗浄を含む。オリゴヌクレオチドの融解温度は、そのオリゴヌクレオチド配列の長さに依存するので、適切なハイブリダイゼーション温度は、使用されるオリゴヌクレオチド分子に応じて変動する。例示的な温度は、37℃(14塩基のオリゴヌクレオチドについて)、48℃(17塩基のオリゴヌクレオチドについて)、55℃(20塩基のオリゴヌクレオチドについて)、および60℃(23塩基のオリゴヌクレオチドについて)である。
【0117】
本発明の核酸分子はまた、「キメラ」OSCAR核酸分子を含む。このようなキメラ核酸分子は、少なくとも1つのOSCAR核酸配列(これは、上記の任意の全長OSCAR核酸配列または部分的OSCAR核酸配列であり得る)と、少なくとも1つの非OSCAR核酸配列とを含むポリヌクレオチドである。例えば、非OSCAR核酸配列は、別の非OSCAR遺伝子に由来し、かつ天然に存在するOSCAR遺伝子と通常関連していない調節配列(例えば、プロモーター配列)であり得る。非OSCAR核酸配列はまた、別の非OSCARポリペプチド(例えば、FLAG、ヒスチジンタグ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、ヘマグルチニン、β−ガラクトシダーゼ、チオレダクターゼ、または免疫グロブリンのドメイン(1つまたは複数)(例えば、Fc領域))についてのコード配列であり得る。好ましい実施形態では、本発明のキメラ核酸分子は、本発明のOSCAR融合ポリペプチドをコードする。
【0118】
このようなフラグメントを含む核酸分子は、例えば、OSCARポリペプチドをコードする他の核酸分子(OSCARアナログおよびOSCARホモログのような改変体OSCARポリペプチドをコードする遺伝子を含む)を検出および増幅するためのオリゴヌクレオチドプローブおよびプライマー(例えば、PCRプライマー)として有用である。本発明のオリゴヌクレオチドフラグメントはまた、例えば、細胞におけるOSCAR遺伝子の発現または転写のレベルを調節するために、例えば、アンチセンス核酸、三重鎖形成オリゴヌクレオチドとして、またはリボザイムとして、使用され得る。
【0119】
本発明のOSCAR核酸分子は、ゲノムDNAであろうと、cDNAであろうと、または他のものであろうと、任意の供給源(例えば、マウスおよびヒトのcDNAライブラリーまたはゲノムライブラリーを含む)から単離され得る。OSCAR遺伝子を得るための方法は、上記のように、当該分野において周知である(例えば、Sambrookら,1989、前出、を参照のこと)。
【0120】
DNAは、クローン化されたDNAから(例えば、DNA「ライブラリー」から)、当該分野において公知の標準的な手順により獲得され得、そして好ましくは、そのタンパク質の高レベル発現を有する組織から調製されたcDNAライブラリーから(例えば、破骨細胞ライブラリー(なぜなら、これらの細胞は、最高レベルのOSCAR発現を示すため))から得られる。1つの好ましい実施形態では、下記の実施例において記載されるように、DNAを「サブトラクション」ライブラリーから得て、特定の細胞型により特異的に発現される遺伝子のcDNAについてライブラリーを富化する。例えば、下記の実施例において記載されるように、破骨細胞−マクロファージサブトラクションライブラリーが構築され得、ここでは、マクロファージによっても発現される、破骨細胞由来のcDNAのかなりの画分が取り除かれる。このようなサブトラクションライブラリーを使用することによって、破骨細胞により特異的に発現されかつマクロファージによっては発現されない遺伝子(例えば、OSCAR)についてのcDNAを単離する可能性が高まり得る。他の実施形態では、ライブラリーを、化学合成によってか、cDNAクローニングによってか、または所望の細胞から精製されたゲノムDNAもしくはそのフラグメントのクローニングによって、調製し得る(例えば、Sambrookら,1989,前出;Glover,D.M.編,1985,DNA Cloning:A Practical Approach,MRL Press,Ltd.,Oxford,U.K.第I巻および第II巻を参照のこと)。
【0121】
ゲノムDNA由来のクローンは、コード領域に加えて、調節DNA領域およびイントロンDNA領域を含み得る。cDNA由来のクローンは、一般的に、イントロン配列を含まない。どのような供給源であろうと、遺伝子は、その遺伝子の増幅のために適切なベクターに分子クローニングされるべきである。所望のOSCAR遺伝子を含む特定のDNAフラグメントの同定は、多数の方法で達成され得る。例えば、下記に例示されるOSCAR遺伝子の部分が精製され得、そして標識化プローブを調製するために標識され得る(Benton&Davis,Science 1977,196:180;Grunstein&Hogness,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1975,72:3961)。このプローブに対して実質的な相同性を有するDNAフラグメント(例えば、別の個体由来の対立遺伝子改変体)が、ハイブリダイズする。特定の実施形態では、最も高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を使用して、相同性OSCAR遺伝子を同定する。
【0122】
さらなる選択を、その遺伝子の特性に基づいて実施し得る(例えば、その遺伝子が、本明細書に開示されるOSCARタンパク質の等電点、電気泳動性、アミノ酸組成、部分的もしくは完全アミノ酸配列、抗体結合活性、またはリガンド結合プロフィールを有するタンパク質産物をコードするか否か)。このように、遺伝子の存在は、その発現産物の物理的特性、化学的特性、免疫学的特性、または機能的特性に基づくアッセイにより検出され得る。
【0123】
OSCAR遺伝子と実質的に同じアミノ酸配列をコードする他のDNA配列が、本発明の実施において使用され得る。これらには、対立遺伝子改変体、種改変体、配列保存的改変体、および機能的改変体が挙げられるが、これらに限定されない。特に、本発明の核酸配列は、「機能保存的改変体」および「配列保存的改変体」の両方を含む。核酸の機能保存的改変体とは、上記で規定されたような、ポリペプチドの機能保存的改変体をコードする核酸である。核酸の「配列保存的改変体」とは、異なるポリヌクレオチド配列を有するが同じアミノ酸配列をコードする核酸である。
【0124】
アミノ酸置換もまた導入されて、特に好ましい特性を有するアミノ酸を置換し得る。例えば、Cysが、別のCysとジスルフィド架橋の可能性のある部位に導入され得る。
【0125】
本発明のOSCARの誘導体およびアナログをコードする遺伝子は、当該分野で公知の種々の方法によって生成され得る。その産生を生じさせる操作は、遺伝子レベルまたはタンパク質レベルで起こり得る。例えば、クローン化されたOSCAR遺伝子配列は、当該分野で公知の任意の多数のストラテジーによって改変され得る(Sambrookら,1989,前出)。配列は、制限エンドヌクレアーゼで適切な部位で切断され得、次いで、所望される場合にはさらに酵素的に改変され、単離され得、そしてインビトロで連結され得る。OSCARの誘導体またはアナログをコードする遺伝子の生成においては、OSCAR遺伝子と同じ翻訳読み取り枠内に改変された遺伝子が残り、所望される活性がコードされる遺伝子領域内において翻訳停止シグナルにより割り込まれないことを確実にするように注意がなされるべきである。
【0126】
さらに、OSCARコード核酸配列は、インビトロまたはインビボで変異されて、翻訳開始配列および/または翻訳終結配列を作製および/または破壊するか、あるいはコード領域において改変を作製するか、および/または新たな制限エンドヌクレアーゼ部位を形成するか、あるいは既存の配列を破壊して、インビトロでのさらなる改変を容易にし得る。改変はまた、制限部位を導入するため、および発現ベクターへのOSCAR遺伝子のクローニングを容易にするためになされ得る。当該分野において公知の任意の変異誘発技術が使用され得、これらには、インビトロ部位特異的変異誘発(Hutchinson,C.ら,J.Biol.Chem.253:6551,1978;ZollerおよびSmith,DNA 3:479−488,1984;Oliphantら,Gene 44:177,1986;Hutchinsonら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83:710,1986)TABリンカー(Pharmacia)の使用などが挙げられるが、これらに限定されない。PCR技術は、部位特異的変異誘発のために好ましい(Higuchi,1989,「Using PCR to Engineer DNA」,PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification,H.Erlich編,Stockton Press,第6章,61〜70頁を参照のこと)。
【0127】
次いで、同定されおよび単離された遺伝子は、適切なクローニングベクター中に挿入され得る。当該分野で公知の多数のベクター−宿主系が使用され得る。可能なベクターとしては、プラスミドまたは改変されたウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。しかしこのベクター系は、使用される宿主細胞と適合性でなければならない。ベクターの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:E.coli、バクテリオファージ、例えば、λ誘導体、またはプラスミド、例えば、pBR322誘導体またはpUCプラスミド誘導体、例えば、pGEXベクター、pmal−c、pFLAG、pKKプラスミド(Clonetech)、pETプラスミド(Novagen,Inc.,Madison,WI)、pRSETまたはpREPプラスミド(Invitrogen,San Diego,CA)あるいはpMALプラスミド(New England Biolabs,Beverly,MA)など。クローニングベクター中への挿入は、例えば、相補的な付着末端を有するクローニングベクター中にDNAフラグメントを連結することによって達成され得る。しかし、DNAを断片化するために使用される相補的な制限部位がクローニングベクター中に存在しない場合には、このDNAの末端が酵素的に改変され得る。あるいは、所望される任意の部位を、DNA末端にヌクレオチド配列(リンカー)を連結することによって生成し得;連結されたこれらのリンカーは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする特定の化学合成オリゴヌクレオチドを含み得る。
【0128】
組換え分子は、形質転換、トランスフェクション、感染、エレクトロポレーションなどを通して宿主細胞中に導入され得、その結果、この遺伝子配列の多数のコピーが生成される。好ましくは、クローン化された遺伝子は、シャトルベクタープラスミドに含まれる。シャトルベクタープラスミドは、クローニング細胞(例えば、E.coli)における増幅、および適切な発現細胞株への引き続く挿入のための容易な精製(そのようなことが所望される場合)を提供する。例えば、1つより多くの型の生物において複製し得るベクターであるシャトルベクターが、E.coliプラスミド由来の配列と、酵母2mプラスミド由来の配列とを連結することによって、E.coliおよびSaccharomyces cerevisiaeの両方における複製のために調製され得る。
【0129】
(OSCARポリペプチドの発現)
OSCAR、あるいはその抗原性フラグメント、誘導体もしくはアナログ、または機能的に活性な誘導体(そのキメラタンパク質を含む)をコードするヌクレオチド配列が、適切な発現ベクター(すなわち、挿入されたタンパク質コード配列の転写および翻訳のために必要なエレメントを含むベクター)に挿入され得る。従って、本発明のOSCARをコードする核酸は、本発明の発現ベクター中においてプロモーターに作動可能に連結され得る。cDNA配列およびゲノム配列の両方が、このような調節配列の制御下でクローン化され得、そして発現され得る。このようなベクターを使用して、機能的または機能上、不活性にされたOSCARポリペプチドを発現し得る。
【0130】
必須の転写シグナルおよび翻訳シグナルが、組換え発現ベクターに提供され得る。
【0131】
あり得る宿主−ベクター系としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:発現プラスミドでトランスフェクトされるか、またはウイルス(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスなど)に感染される、哺乳動物細胞系;ウイルス(例えば、バキュロウイルス)で感染される、昆虫細胞系;酵母のような微生物(酵母ベクターを含む);または、バクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNAで形質転換される、細菌。ベクターの発現エレメントは、その強度および特異性において変動する。利用される宿主−ベクター系に依存して、多数の適切な転写エレメントおよび翻訳エレメントのうちのいずれか1つが使用され得る。
【0132】
OSCARタンパク質の発現は、当該分野で公知の任意のプロモーター/エンハンサーエレメントにより制御され得る。しかし、これらの調節エレメントは、発現のために選択された宿主において機能的でなければならない。OSCAR遺伝子発現を制御するために使用され得るプロモーターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(米国特許第5,385,839号および同第5,168,062号)、SV40初期プロモーター領域(BenoistおよびChambon,1981,Nature 290:304−310)、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含まれるプロモーター(Yamamotoら,Cell 22:787−797,1980)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1441−1445,1981)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら,Nature 296:39−42,1982);β−ラクタマーゼプロモーターのような、原核生物発現ベクター(Villa−Komaroffら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727−3731,1978)、またはtacプロモーター(DeBoerら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21−25,1983);また、「Useful proteins from recombinant bacteria」、Scientific American,242:74−94,1980を参照のこと;酵母または他の真菌由来のプロモーターエレメント、例えば、Gal 4プロモーター、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター;および、造血組織特異性を示す転写制御領域、特に:骨髄性細胞において活性であるβ−グロビン遺伝子制御領域(Mogramら,Nature 315:338−340,1985;Kolliasら,Cell 46:89−94,1986)、造血幹細胞分化因子プロモーター、エリスロポエチンレセプタープロモーター(Maoucheら,Blood,15:2557,1991)など。
【0133】
実際、任意の型のプラスミド、コスミド、YAC、またはウイルスベクターを使用して、OSCAR遺伝子産物の発現が所望される細胞または組織に導入され得る組換え核酸構築物を調製し得る。あるいは、特定の型の細胞または組織における組換えOSCAR遺伝子産物の発現が所望される場合、その所望される細胞型または組織型に選択的に感染するウイルスベクターが使用され得る。
【0134】
別の実施形態において、本発明は、細胞中における内因性OSCAR遺伝子の発現を制御するために非内因性プロモーターを使用することによって、OSCARポリペプチドを発現させる方法を提供する。細胞中における内因性OSCAR遺伝子は、細胞のゲノム中に通常(すなわち、天然に)見出される、本発明のOSCAR遺伝子である。しかし、非内因性プロモーターは、遺伝子の発現を制御するために使用され得るが内因性OSCAR遺伝子とは通常にも天然にも関連付けられない、プロモーターまたは他のヌクレオチド配列である。例示として、相同組換え方法が使用されて(好ましくは、タンパク質をコードしない本発明のOSCAR核酸配列を使用する)、内因性OSCAR遺伝子の近位に増幅可能な遺伝子または他の調節配列を挿入し得る。次いで、挿入された配列は、例えば、その細胞において通常生じるレベルよりも高いレベルのOSCAR遺伝子発現を提供するためか、または(例えば、破骨細胞において)OSCAR遺伝子発現の正常レベルを妨げる内因性OSCAR調節配列における1以上の変異を克服するために使用され得る。このような相同組換え方法は、当該分野で周知である。例えば、国際特許公開WO 91/06666(Skoultchiによる;1991年5月16日公開);国際特許公開WO 91/099555(Chappelによる;1991年7月11日公開);および国際特許公開WO 90/14092(KucherlapatiおよびCampbellによる;1990年11月29日公開)を参照のこと。
【0135】
タンパク質の可溶性形態は、培養液を収集することか、または界面活性剤での処理(および所望される場合には、上記のような超音波処理または他の機械的プロセス)によって封入体を可溶化することによって獲得され得る。可溶化または可溶性のタンパク質は、種々の技術(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、等電点電気泳動、2次元ゲル電気泳動、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、イムノアフィニティクロマトグラフィー、およびサイジング(sizing)カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差的可溶性、免疫沈降、またはタンパク質の精製のための任意の他の標準的な技術による)を使用して、単離され得る。
【0136】
(発現ベクター)
広範な種々の宿主/発現ベクターの組合わせが、本発明のDNA配列を発現させるにおいて使用され得る。有用な発現ベクターは、例えば、染色体配列、非染色体配列、および合成DNA配列のセグメントからなり得る。適切なベクターとしては、以下が挙げられる:SV40の誘導体および公知の細菌性プラスミド、例えば、E.coliプラスミドcol E1、pCR1、pBR322、pMal−C2、pET、pGEX(Smithら,Gene 67:31−40,1988)、pMB9およびその誘導体、RP4のようなプラスミド;ファージDNA、例えば、ファージ1(例えば、NM989)および他のファージDNA(例えば、M13および糸状一本鎖ファージDNA)の多数の誘導体;酵母プラスミド(例えば、2mプラスミド)またはその誘導体;真核生物細胞において有用なベクター(例えば、昆虫細胞または哺乳動物細胞において有用なベクター);プラスミドおよびファージDNAの組合わせに由来するベクター(例えば、ファージDNAまたは他の発現制御配列を使用するために改変されたプラスミド);など。
【0137】
好ましいベクターは、ウイルスベクター(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、および所望される細胞親和性(tropism)を有する他の組換えウイルス)である。従って、機能的または変異体OSCARタンパク質またはそのポリペプチドドメインフラグメントをコードする遺伝子は、ウイルスベクターを使用してかDNAの直接的な導入を通して、インビボ、エキソビボ、またはインビトロで導入され得る。標的化された組織における発現は、特定の細胞にトランスジェニックベクターを標的化することによって(例えば、ウイルスベクターまたはレセプターリガンドを用いて)か、もしくは組織特異的プロモーターを使用することによってか、または両方によって、もたらされ得る。標的化遺伝子送達は、国際特許公開WO95/28494(1995年10月公開)に記載されている。
【0138】
本発明に従って、ベクターは、例えば、OSCAR特異的抗体(すなわち、OSCAR遺伝子産物に特異的に結合する抗体)を使用してか、またはOSCAR結合パートナー(例えば、OSCAR特異的リガンド)を使用して、破骨細胞に特異的に標的化され得る。ベクターはまた、OSCAR結合パートナーのフラグメント(例えば、ペプチドまたはポリペプチドのフラグメント)、特に、OSCAR結合配列を含むフラグメントを使用して、破骨細胞に特異的に標的化され得る。このような方法を使用して、破骨細胞に、任意の遺伝子を発現するベクター(OSCAR特異的アンチセンス核酸またはOSCAR特異的リボザイムを発現するベクターが挙げられるが、これらに限定されない)を標的化し得る。
【0139】
同様に、本発明はまた、標的化実体(entity)としてOSCARポリペプチドを使用することによる、破骨細胞および胚性線維芽細胞ならびに細胞表面上にOSCAR特異的リガンドまたはOSCAR結合パートナーを発現する他の細胞(例えば、NIH 3T3、ST2、Mlg、UMR106、HEK293、HEK293T、hFOBl.19、およびCOS−1細胞)の特異的標的化を可能にする。
【0140】
インビボまたはエキソビボでの標的化および治療手順のために通常使用されるウイルスベクターは、DNAに基づくベクターおよびレトロウイルスベクターである。ウイルスベクターを構築する方法および使用する方法は、当該分野で公知である(例えば、MillerおよびRosman,BioTechniques 7:980−990,1992を参照のこと)。好ましくは、ウイルスベクターは、複製欠損性(すなわち、それらは、標的細胞において自律的に複製し得ない)である。一般的に、本発明の範囲内において使用される複製欠損性ウイルスベクターのゲノムは、感染細胞におけるウイルスの複製に必須である少なくとも1つの領域を欠く。これらの領域は、当業者に公知の任意の手順によって、排除(完全または部分的に)されるか、非機能的にされるかのいずれかであり得る。これらの技術としては、完全な除去、置換(他の配列による(特に、挿入された核酸による))、(複製のために)必須の領域に対する1以上の塩基の部分的な欠失または付加が挙げられる。このような技術は、遺伝子操作の技術を使用してか、または変異原性薬剤での処理によって、インビトロ(単離されたDNAにおいて)かインサイチュで実施され得る。好ましくは、複製欠損性ウイルスは、ウイルス粒子のキャプシド形成に必須であるそのゲノムの配列を保持する。
【0141】
DNAウイルスベクターとしては、弱毒化DNAウイルスまたは欠損性DNAウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス、エプスタインバーウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)など(しかしこれらに限定されない))が挙げられる。完全またはほぼ完全にウイルス遺伝子を欠く欠損性ウイルスが好ましい。欠損性ウイルスは、細胞への導入後に感染性ではない。欠損性ウイルスベクターの使用は、そのベクターが他の細胞に感染し得るという懸念を伴わずに、特定の局在化された領域における細胞への投与を可能にする。従って、特定の組織が特異的に標的化され得る。特定のベクターの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:欠損性ヘルペスウイルス1(HSV1)ベクター(Kaplittら,Molec.Cell.Neurosci.2:320−330,1991)、グリコタンパク質L遺伝子を欠く欠損性ヘルペスウイルスベクター(特許公開RD 371005 A)、または他の欠損性ヘルペスウイルスベクター(国際特許公開WO 94/21807(1994年9月29日公開);国際特許公開WO 92/05263(1994年4月2日公開));弱毒化アデノウイルスベクター、例えば、Stratford−Perricaudetらにより記載されたベクター(J.Clin.Invest.90:626−630,1992;La Salleら,Science 259:988−990,1993もまた参照のこと);およびアデノ随伴ウイルスベクター(Samulskiら,J.Virol.61:3096−3101,1987;Samulskiら,J.Virol.63:3822−3828,1989;Lebkowskiら,Mol.Cell.Biol.8:3988−3996,1988)。
【0142】
種々の企業が、市販でウイルスベクターを製造する。この企業には、以下が挙げられるが、決してこれらに限定されないAvigen,Inc.(Alameda,CA;AAVベクター)、Cell Genesys(Foster City,CA;レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、AAVベクターおよびレンチウイルスベクター)、Clontech(レトロウイルスベクター、およびバキュロウイルスベクター)、Genovo,Inc.(Sharon Hill,PA;アデノウイルスベクターおよびAAVベクター)、Genvec(アデノウイルスベクター)、IntroGene(Leiden,Netherlands;アデノウイルスベクター)、Molecular Medicine(レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、AAVベクターおよびヘルペスウイルスベクター)、Norgen(アデノウイルスベクター)、Oxford BioMedica(Oxford,United Kingdom;レンチウイルスベクター),およびTransgene(Strasbourg,France;アデノウイルスベクター、ワクシニアベクター、レトロウイルスベクター、およびレンチウイルスベクター)。
【0143】
別の実施形態では、ベクターは、リポフェクションによってか、裸のDNAとしてか、または他のトランスフェクション促進因子(ペプチド、ポリマーなど)を用いて、インビボで導入され得る。合成カチオン性脂質を使用して、マーカーをコードする遺伝子のインビボトランスフェクションのためのリポソームを調製し得る(Felgnerら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84:7413−7417,1987;FelgnerおよびRingold,Science 337:387−388,1989;Mackeyら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:8027−8031,1988;Ulmerら,Science 259:1745−1748,1993を参照のこと)。核酸の移入のために有用な脂質化合物および組成物は、WO95/18863およびWO96/17823、ならびに米国特許第5,459,127号に記載されている。脂質は、標的化の目的のために、他の分子に化学的に結合され得る(Mackeyら,前出を参照のこと)。標的化されたペプチド(例えば、ホルモンまたは神経伝達物質)およびタンパク質(例えば、抗体)または非ペプチド分子が、化学的にリポソームに結合され得る。他の分子もまた、インビボでの核酸のトランスフェクションを容易にするために有用である(例えば、カチオン性オリゴヌクレオチド(例えば、国際特許公開WO95/21931)、DNA結合タンパク質由来のペプチド(例えば、国際特許公開WO96/25508)、またはカチオン性ポリマー(例えば、国際特許公開WO95/21931)を参照のこと)。
【0144】
裸のDNAプラスミドとしてインビボでベクターを導入することもまた可能である。遺伝子治療のための裸のDNAベクターは、当該分野で公知の方法(例えば、エレクトロポレーション、微量注入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈降、遺伝子銃の使用、またはDNAベクター輸送体の使用(例えば、Wuら,J.Biol.Chem.267:963−967,1992;WuおよびWu,J.Biol.Chem.263:14621−14624,1988;Hartmutら,カナダ国特許出願番号2,012,311(1990年3月15日出願);Williamsら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:2726−2730,1991を参照のこと))によって、所望される宿主細胞に導入され得る。レセプター媒介性のDNA送達アプローチもまた使用され得る(Curielら,Hum.Gene Ther.3:147−154,1992;WuおよびWu,J.Biol.Chem.262:4429−4432,1987)。米国特許第5,580,859号および同第5,589,466号は、哺乳動物における、トランスフェクション促進因子を使用しない外因性DNA配列の送達を開示する。近年、電気的転写(electrotransfer)と称される、比較的低電圧で高効率のインビボDNA転写技術が記載された(Mirら,C.P.Acad.Sci.,321:893,1998;WO 99/01157;WO 99/01158;WO 99/01175)。
【0145】
好ましくは、インビボ投与について、ウイルスベクターおよびトランスフェクト細胞の免疫学的不活性化を回避するために、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルスベクター)と組合わせて、適切な免疫抑制処置を使用する。例えば、免疫抑制性サイトカイン(例えば、インターロイキン−12(IL−12)、インターフェロン−g(IFN−γ)、または抗CD4抗体)を投与して、ウイルスベクターに対する体液性免疫応答または細胞性免疫応答をブロックし得る(例えば、Wilson,Nature Medicine,1995を参照のこと)。これに関して、最少数の抗原を発現するように操作されたウイルスベクターを使用することが有利である。
【0146】
(OSCARに対する抗体)
OSCARに対する抗体は、特に、以下に示されるようなOSCAR活性の診断および細胞内調節のために有用である。本発明に従って、組換え的または化学合成によって生成されたOSCARポリペプチド、およびそのフラグメントまたは他の誘導体もしくはアナログ(融合タンパク質を含む)が、OSCARポリペプチドを認識する抗体を生成するための免疫原として使用され得る。このような抗体としては、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、単鎖、FabフラグメントおよびFab発現ライブラリーが挙げられるが、これらに限定されない。このような抗体は、好ましくは、ヒトOSCARまたはマウスOSCARに特異的である(すなわち、これらに特異的に結合する)。しかし、あるいは、抗体は、いくつかの他の生物種(好ましくは、哺乳動物種)由来のOSCARオルトログ(ortholog)に特異的であり得る。抗体は、OSCARの変異体形態もしくは野生型OSCAR、または両方を認識し得る。
【0147】
当該分野で公知の種々の手順が、OSCARポリペプチドまたはその誘導体もしくはアナログに対するポリクローナル抗体を生成するために使用され得る。抗体の生成のために、種々の宿主動物(ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギなどを含むが、これらに限定されない)に、OSCARポリペプチドまたはその誘導体(例えば、フラグメントまたは融合タンパク質)での注射により免疫し得る。1つの実施形態では、OSCARポリペプチドまたはそのフラグメントを、免疫原性キャリア(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)またはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH))に結合体化し得る。種々のアジュバントを使用して、宿主種に依存して、免疫学的応答を増加させ得、これらには、フロイント(完全および不完全)、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、界面活性剤(例えば、リゾレシチン)、プルロニックポリオール(pluronic polyol)、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、および潜在的に有用なヒトアジュバント(例えば、BCG(bacille Calmette−Guerin)およびCorynebacterium parvum)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
OSCARポリペプチド、またはそのフラグメント、アナログもしくは誘導体に対するモノクローナル抗体の調製について、培養物中で無限継代培養細胞株による抗体分子の調製を提供する任意の技術が、使用され得る。これらとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:KohlerおよびMilsteinによって元々開発されたハイブリドーマ技術(Nature 1975,256:495−497)、ならびにトリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、Immunology Today 1983,4:72;Coteら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1983,80:2026−2030)およびヒトモノクローナル抗体を生成するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,1985,pp77−96)。本発明のさらなる実施形態において、モノクローナル抗体は、無菌動物において生成され得る(国際特許公開番号WO89/12690)。実際、本発明に従って、OSCARポリペプチドに特異的なマウス抗体分子由来の遺伝子を、適切な生物学的活性のヒト抗体分子由来の遺伝子とともにスプライシングすることによる、「キメラ抗体」を生成するために開発された技術(Morrisonら、J.Bacteriol.1984,159:870;Neubergerら、Nature 1984,312:604−608;Takedaら、Nature 1985,314:452−454)が、使用され得る;このような抗体は、本発明の範囲内である。このようなヒト抗体またはヒト化キメラ抗体は、ヒト疾患または障害(下記)の治療における使用のために好ましい。なぜなら、ヒト抗体またはヒト化抗体は、それら自体で免疫応答、特にアレルギー応答を異種(xenogenic)抗体よりも誘導する可能性がはるかに低いからである。
【0149】
抗体分子のイディオタイプを含む抗体フラグメントは、公知の技術によって生成され得る。例えば、このようなフラグメントとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:抗体分子のペプシン消化によって生成され得るF(ab’)2フラグメント;F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成され得るFab’フラグメント、およびパパインおよび還元剤を用いて抗体分子を処理することによって生成され得るFabフラグメント。
【0150】
本発明に従って、単鎖抗体の生成について記載される技術(米国特許第5,476,786号、同第5,132,405号、および同第4,946,778号)は、OSCARポリペプチド特異的単鎖抗体を生成するために適応され得る。本発明のさらなる実施形態は、Fab発現ライブラリーの構築について記載される技術(Huseら、Science 1989,246:1275−1281)を利用して、OSCARポリペプチドまたはその誘導体もしくはアナログに対する所望の特異性を有するモノクローナル抗体のFabフラグメントを迅速かつ容易に同定し得る。
【0151】
抗体の生成および使用において、所望の抗体についてスクリーニングするかまたは所望の抗体を用いて試験することは、当該分野において公知の技術によって達成され得る(例えば、放射性免疫アッセイ、ELISA(酵素免疫測定法)、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫放射性アッセイ、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、インサイチュ免疫アッセイ(例えば、金コロイド標識、酵素標識または放射性同位元素標識を使用する)、ウエスタンブロット、沈降反応、凝集アッセイ(例えば、ゲル凝集アッセイ、赤血球凝集アッセイ)、補体結合アッセイ、免疫蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、および免疫電気泳動アッセイなど)。1つの実施形態において、抗体結合は、一次抗体上の標識を検出することによって検出される。別の実施形態において、一次抗体は、二次抗体、または一次抗体に対する試薬の結合を検出することによって検出される。さらなる実施形態において、二次抗体は標識される。免疫アッセイにおける結合を検出するための多くの手段が、当該分野において公知であり、これらは、本発明の範囲内である。例えば、OSCARポリペプチドの特定のエピトープを認識する抗体を選択するために、このようなエピトープを含むOSCARポリペプチドフラグメントに結合する産物について、生成されたハイブリドーマをアッセイし得る。特定種の動物由来のOSCARポリペプチドに対して特異的な抗体の選択について、その種の動物の細胞によって発現されたかまたはその種の動物から単離されたOSCARポリペプチドとの陽性結合に基づいて、選択され得る。
【0152】
前述の抗体は、OSCARポリペプチドの局在および活性に関する分野において公知の方法(例えば、上記または当該分野において公知の検出技術のいずれかを使用するウエスタンブロッティング、インサイチュでのOSCARポリペプチドの画像化、適切な生理学的サンプルにおけるそのレベルの測定など)において使用され得る。このような抗体はまた、(例えば、米国特許第5,679,582号に記載されるような)リガンド結合についてのアッセイにおいて使用され得る。抗体結合は、一般に、生理学的条件下(例えば、約7と8との間のpH、および生理学的イオン強度)で最も容易に生じる。緩衝化溶液中にキャリアタンパク質が存在すると、アッセイが安定化する。最適な条件の乱れ(例えば、イオン強度、温度もしくはpHの増加もしくは減少、または界面活性剤もしくはカオトロピック塩の添加)をいくらか寛容するとはいえ、このような乱れは、結合安定性を減少する。
【0153】
さらに他の実施形態において、抗OSCAR抗体をまた使用して、パニングまたは関連した免疫吸着技術によってOSCARポリペプチドを発現する細胞(例えば、破骨細胞)を単離し得る。
【0154】
特定の実施形態において、OSCARポリペプチドの活性に対してアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する抗体が生成され得る。特に、細胞内単鎖Fv抗体を使用して、OSCAR活性を調節(阻害)し得る(Marascoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.1993,90:7889−7893;Chen.,Mol.Med.Today 1997,3:160−167;Spitzら、Anticancer Res.1996,16:3415−22;Indolfiら、Nat.Med.1996,2:634−635;Kijmaら、Pharmacol.Ther.1995,68:247−267)。このような抗体は、リガンドを同定するために下記のアッセイを使用して試験され得る。
【0155】
抗体をまた使用して、下記のスクリーニングアッセイの項に考慮されるような免疫毒素を作製し得る。
【0156】
(トランスジェニック動物を使用するインビボ試験)
トランスジェニック哺乳動物は、OSCARの分子機構、特に、OSCAR誘導性シグナル伝達を評価するために調製され得る。このような哺乳動物は、薬物候補をスクリーニングまたは試験するための優れたモデルを提供する。従って、ヒトOSCAR「ノックイン」哺乳動物は、ヒト被験体で起こり得るこの系の分子生物学をより詳細に評価するために調製され得る。また、「ノックアウト」動物において化合物または疾患を、例えば、OSCAR活性における欠損を補填しえる化合物を同定するために評価し得る。両方の技術は、細胞ゲノム中の天然の位置における一単位の遺伝情報の操作を可能にし、そして終末分化した生物のバックグラウンドにおける操作の結果を試験することを可能にする。トランスジェニック哺乳動物は、以下が挙げられるがこれらに限定されない任意の方法によって調製され得る:胚性幹(ES)細胞の改変および芽細胞へのヘテロ核の注入。
【0157】
「ノックイン」哺乳動物は、内因性遺伝子が異種遺伝子と置換されている哺乳動物である(Roamerら、New Biol.1991,3:331)。好ましくは、異種遺伝子は、同種遺伝子の発現または機能のいずれかの評価の目的で、目的の遺伝子座に「ノックイン」される(この場合、この遺伝子はレポーター遺伝子であり得る;Elegantら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1998,95:11897を参照のこと)。これにより、異種遺伝子発現を、適切なプロモーターからの転写に関連付ける。これは、変異組換え部位(Arakiら、Nucleic Acids Res 1997,25:868)またはPCR(ZhangおよびHenderson,Biotechniques 1998,25:784)を使用する、相同組換え、トランスポゾン(WestphalおよびLeder,Curr Biol 1997,7:530)により達成され得る。
【0158】
「ノックアウト哺乳動物」は、遺伝子ターゲティングの方法(例えば、米国特許第5,777,195号および同第5,616,491号を参照のこと)によって不活化された特定の遺伝子をそのゲノム内に含む哺乳動物(例えば、マウス)である。ノックアウト哺乳動物は、ヘテロ接合性ノックアウト(すなわち、一方が不完全な対立遺伝子であり、一方が野生型対立遺伝子である)およびホモ接合性変異体の両方を含む。ノックアウト哺乳動物の調製は、まず、特定の遺伝子の発現を抑制するために使用される核酸構築物を、胚性幹細胞と称される未分化細胞型に導入することを必要とする。次いで、この細胞は、哺乳動物胚内に注入される。次いで、組み込まれた細胞を有する哺乳動物胚は、妊娠の持続期間にわたって乳母(foster mother)内に移植される。Zhouら(Genes and Development,1995,9:2623−34)は、PPCAノックアウトマウスを記載する。
【0159】
用語「ノックアウト」は、細胞内の内因性DNA配列によってコードされるタンパク質の少なくとも一部の発現を部分的にかまたは完全に抑制することをいう。用語「ノックアウト構築物」は、細胞内の内因性DNA配列によってコードされるタンパク質の発現を減少または抑制するように設計されている核酸配列をいう。ノックアウト構築物として使用される核酸配列は、代表的には、以下からなる:(1)抑制されるべき遺伝子のいくつかの部分由来のDNA(エキソン配列、イントロン配列および/またはプロモーター配列)、ならびに(2)細胞におけるノックアウト構築物の存在を検出するために使用されるマーカー配列。ノックアウト構築物は、細胞内に挿入され、そしてネイティブなDNA配列の転写を阻止または妨害するような位置において、細胞のゲノムDNAに組み込まれる。このような挿入は、通常相同組み換えによって生じる(すなわち、ノックアウト構築物が細胞内に挿入される場合、内因性DNA配列に相同なノックアウト構築物の領域が互いにハイブリダイズして、このノックアウト構築物がこの内因性DNAの対応する位置に組み込まれるように組み換える)。ノックアウト構築物核酸配列は、以下を含み得る:1)抑制されるべき遺伝子の1以上のエキソンおよび/またはイントロンの全長配列または部分配列、2)抑制されるべき遺伝子の全長プロモーター配列または部分プロモーター配列、あるいは3)これらの組合わせ。代表的には、ノックアウト構築物は、胚性幹細胞(ES細胞)に挿入され、そして、通常相同組換えのプロセスによってES細胞ゲノムDNAに組み込まれる。次いで、このES細胞は、発達中の胚に注入され、そして発達中の胚に組み込まれる。
【0160】
句「遺伝子の破壊」および「遺伝子破壊」は、その遺伝子の野生型または天然に存在する配列と比較して、細胞中のその遺伝子の発現を減少または阻止するように、ネイティブDNA配列の1つの領域(通常、1以上のエキソン)および/または遺伝子のプロモーター領域に核酸配列を挿入することをいう。例示の目的で、核酸構築物は、破壊されるべきDNA配列(プロモーター領域および/またはコード領域)に相補的なDNA配列に挿入される抗生物質耐性遺伝子をコードするDNA配列を含んで調製され得る。次いで、この核酸構築物が細胞内にトランスフェクトされる場合、この構築物は、ゲノムDNA内に組み込まれる。従って、この細胞の多くの子孫は、そのDNAが今や抗生物質耐性遺伝子によって破壊されているので、少なくともいくつかの細胞においてその遺伝子をもはや発現しないか、または減少したレベルでその遺伝子を発現する。
【0161】
一般に、相同組み換えについて、DNAは、少なくとも約1キロベース(kb)長であり、好ましくは3〜4kb長であり、これによりノックアウト構築物がES細胞のゲノムDNA内に導入される場合、組み換えのための相補的な配列が十分提供される(下記に考慮される)。
【0162】
2以上の遺伝子がノックアウトまたはノックインされているか、あるいはその両方である哺乳動物は、本発明の範囲内である。このような哺乳動物は、各ノックアウト構築物を生成するために本明細書中で記載される手順を反復することによってか、または単一遺伝子ノックアウトを有する各哺乳動物を互いに交配しそして二重ノックアウト遺伝子型を有する哺乳動物をスクリーニングすることによって生成され得る。
【0163】
調節されたノックアウト動物は、種々の系を使用して調製され得る。例えば、tet−リプレッサー系(米国特許第5,654,168号を参照のこと)またはCre−Lox系(米国特許第4,959,317号および同第5,801,030号を参照のこと)。
【0164】
別の系列の実施形態において、トランスジェニック動物が作製される。ここでは、(i)ヒトOSCARがトランスジェニック動物のゲノム内に安定に挿入されており;および/または(ii)内因性OSCAR遺伝子が不活化され、そしてこれらのヒト対応物と置換されている(例えば、Coffman,Semin.Nephrol.1997,17:404;Estherら、Lab.Invest.1996,74:953;Murakamiら、Blood Press.Suppl.1996,2:36を参照のこと)。このような動物は、候補化合物を用いて処理され得、そして神経発生、神経変性、または候補治療化合物の効果についてモニターされ得る。
【0165】
(適用および使用)
OSCAR遺伝子配列(OSCAR遺伝子配列全長フラグメントを含む)、OSCARポリペプチド(OSCARタンパク質全長フラグメントおよびOSCAR融合ポリペプチドを含む)についての種々の適用および使用、ならびにOSCAR核酸およびOSCARポリペプレオチド(OSCAR遺伝子およびタンパク質の全長フラグメントを含む)に対する抗体の種々の適用および使用が、本明細書中に記載される。このような適用は、例えば、OSCAR遺伝子、およびOSCAR遺伝子産物またはOSCARポリペプチドに関連する骨増殖関連障害を評価するための予後的適用および診断的適用の両方を含み得、このような障害を有するかまたはこのような障害に対する素因を有する被験体の同定を含む。さらに、このような適用は、OSCAR遺伝子、OSCAR遺伝子産物またはOSCARポリペプチドに関連する障害を処置するための方法、ならびにOSCAR遺伝子、OSCAR遺伝子産物、OSCARポリペプチドまたはこれらの組み合わせのいずれかの合成、発現または活性を調節する化合物(天然のリガンドおよび他の細胞性化合物を含む)を同定するスクリーニング方法を含み得る。
【0166】
下記の実施例に実証されるように、本発明のOSCAR遺伝子、遺伝子産物およびポリペプチドは、破骨細胞の成熟を調節するその能力、および結果として、骨組織の増殖、修復、発達、吸収、分解およびホメオスタシスを調節する能力によって特徴付けられ得る。従って、好ましい実施形態において、本発明のOSCAR核酸およびポリペプチド、ならびにこのようなOSCAR核酸およびポリペプチドに対する抗体は、以下で使用され得る:骨増殖障害または骨増殖障害に対する素因を有する個体を同定するための予後的適用および診断的適用において;骨増殖関連障害を処置するための方法において;そして、破骨細胞の成熟および/または活性を調節する化合物(天然のリガンドおよび他の細胞性化合物および合成化合物を含む)を同定するためのスクリーニング方法、ならびに骨の増殖、修復、発達、吸収、分解またはホメオスタシスを調節する化合物(天然のリガンドおよび他の細胞性化合物および合成化合物を含む)を同定するためのスクリーニング方法において。
【0167】
(診断的適用)
種々の方法が、骨増殖関連障害(例えば、大理石骨病および骨粗鬆症)の診断的評価および予後的評価のために、ならびにこのような障害に対する素因を有する被験体の同定のために使用され得る。これらの方法は、上記のOSCAR核酸およびポリペプチド(これらのフラグメント、キメラおよび融合物を含む)のような試薬、ならびにこれらのポリペプチドに対する抗体を利用する。例えば、このような試薬は、特に以下に対して使用され得る:(1)細胞内のOSCAR遺伝子の重複または欠失の検出、OSCAR遺伝子変異の存在、または影響されていない状態(すなわち、骨増殖関連障害を有していないか、または骨増殖関連障害を有する訴因がない被験体)における発現と比較して、OSCAR遺伝子産物(例えば、OSCAR mRNA)の過剰発現または過少発現のいずれかの検出;(2)罹患していない状態における量に対してOSCAR遺伝子産物の過剰量または過少量のいずれかの検出;そして(3)罹患していない状態に対して異常なOSCAR遺伝子産物活性の検出。
【0168】
好ましい実施形態において、このような試薬を使用して、骨増殖関連障害(例えば、大理石骨病または骨粗鬆症)を診断し得るか、または骨増殖関連障害を発症する被験体の素因を評価し得る。
【0169】
好ましい実施形態において、本明細書中に記載される方法は、予めパックされた診断キットを使用して実施される。このようなキットは、少なくとも1つの本発明の特定のOSCAR核酸またはOSCAR特異的抗体試薬を備え得る。キットおよびそこに含まれる任意の試薬を、例えば、臨床設定に使用して、異常(例えば、骨増殖関連障害(例えば、大理石骨病または骨粗鬆症))を示す患者を診断し得る。
【0170】
個体由来の(任意の細胞型の)有核細胞を含むサンプルは、ゲノム核酸についての開始供給源として、そしてOSCAR遺伝子の変異を検出するために、このような診断方法に使用され得る。OSCAR遺伝子が発現される任意の細胞型の細胞または任意の組織型の組織を含むサンプルはまた、例えば、OSCAR遺伝子発現もしくはOSCAR遺伝子産物(例えば、OSCARタンパク質)の検出のため、ならびにOSCAR遺伝子もしくはOSCAR遺伝子産物を発現する細胞(特に、破骨細胞)を同定するためのこのような診断的方法において使用され得る。例えば、好ましい実施形態において、細胞によるOSCAR遺伝子またはOSCAR遺伝子産物の発現は、その細胞が破骨細胞であることを示す。
【0171】
(OSCAR核酸の検出)
サンプル中のOSCAR変異を検出するため、またはOSCAR核酸配列のレベルをアッセイするために、種々の方法が使用され得る。例えば、OSCAR遺伝子内の変異は、当該分野において公知の多くの技術を利用することによって、および任意の有核細胞由来の核酸を用いて検出され得る。この核酸は、当業者にすでに周知の標準的核酸調製手順に従って単離され得る。
【0172】
OSCAR核酸配列は、OSCAR遺伝子構造を含む異常を検出するために、このような生物学的サンプルのハイブリダイゼーションアッセイまたは増幅アッセイにおいて使用され得る。このような方法において検出され得る例示的な異常としては、点変異、単一ヌクレオチド多型(SNP)、挿入、欠失、逆位、転座および染色体再構築が挙げられる。これらの異常を検出するために使用され得る例示的アッセイとしては、サザン分析、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、一本鎖構造(conformational)多型分析(SSCP)およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析が挙げられる。
【0173】
例として、そして、限定の目的ではなく、OSCAR遺伝子特異的変異の検出のための診断方法は、1以上の標識された核酸試薬(例えば、組換えOSCAR DNA分子、クローニングされた遺伝子またはその縮重改変体)と、これらの試薬がサンプル核酸中のその相補配列に特異的にアニーリングまたはハイブリダイゼーションするために好ましい条件下で、サンプルより得られた核酸(組換えDNA分子、クローン遺伝子またはこの縮重改変体を含む)とを接触させる工程およびインキュベートする工程を包含し得る。好ましくは、これらの核酸試薬の長さは、少なくとも15〜30ヌクレオチドである。インキュベーション後、アニーリングしていないかまたはハイブリダイズしていない全ての核酸を除く。次いで、ハイブリダイズした核酸の存在(このような分子が存在する場合)は検出され、そしてこの核酸試薬がアニーリングしたOSCAR遺伝子配列は、OSCAR遺伝子変異が存在するか否かを決定するために、正常(すなわち、野生型)OSCAR遺伝子配列から予想されるアニーリングパターンと比較され得る。
【0174】
このような検出スキームの好ましい実施形態において、目的の細胞型または組織由来の核酸は、例えば、膜またはプラスチック表面(例えば、マイクロタイタープレートまたはポリスチレンビーズ)のような固体支持体に固定化され得る。インキュベーション後、アニーリングしていない標識化OSCAR核酸試薬の検出は、容易に除去され得、そして残った、アニーリングした標識化OSCAR核酸試薬は、当該分野において周知の標準的技術を使用して達成され得る。
【0175】
患者サンプル中または他の細胞供給源中のOSCAR遺伝子特異的核酸を検出するための代替的診断方法は、これらの増幅(例えば、PCR(例えば、米国特許第4,683,202号に教示される実験的実施例を参照のこと)、次いで、当業者に周知の技術を使用する増幅分子の検出による)を含み得る。生じた増幅配列は、OSCAR変異がそのサンプル中に存在するか否かを決定するために、その核酸が正常コピーのOSCAR遺伝子のみを含んで増幅された場合に予想されるものと比較され得る。
【0176】
他の周知の遺伝子型決定技術をまた使用して、OSCAR変異を保有する個体を同定し得る。このような技術としては、例えば、制限フラグメント長多型(RFLP)の使用が挙げられる。DNA多型を分析するための他の方法を使用して、制限酵素部位の間に直列状に反復する、可変数の短いDNA配列の存在を利用し、OSCAR変異を同定し得る。例えば、米国特許第5,075,217号は、短い直列状反復のブロックにおける長多型に基づくDNAマーカーを記載する。このようなブロックの平均間隔は、30〜70kbであると見積もられる。非常に近接して配置されるマーカーは、高頻度の同時遺伝形質を示し、そして遺伝的変異(例えば、OSCAR遺伝子内の変異を含む)の同定において非常に有用であり、そして、遺伝的変異(例えば、OSCAR遺伝子内)に関連する疾患および障害の診断のために非常に有用である。
【0177】
本発明の診断的方法および予後的方法はまた、OSCAR遺伝子発現のレベルをアッセイするための方法を含む。例えば、OSCAR遺伝子を発現することが既知であるかまたは予想される細胞型または組織(例えば、破骨細胞)由来のRNAは、上記のようなハイブリダイゼーション技術またはPCR技術を利用して単離および試験され得る。単離された細胞は、例えば、細胞培養物由来または患者由来の細胞であり得る。細胞培養物から得られた細胞の分析は、例えば、OSCAR遺伝子の発現に対する化合物の効果を試験するためにか、あるいは、その細胞がOSCAR遺伝子を発現する特定の細胞型のものであることを確認するために有用であり得る。例えば、下記の実施例は、OSCAR遺伝子が葉骨細胞中に特異的に発現されることを実証する。よって、OSCAR遺伝子発現のレベルをアッセイするための方法は、細胞(細胞培養物由来であるか患者のような個体由来)が破骨細胞であるか否かを決定するために特に有用である。
【0178】
このような検出スキームの1つの好ましい実施形態において、cDNA分子は、目的のRNA分子から合成される(例えば、逆転写によって)。次いで、cDNA内の配列は、PCRのような核酸増幅反応についてのテンプレートとして使用され得る。このようなアッセイの逆転写工程および増幅工程において合成開始試薬として使用される核酸試薬(例えば、プライマー)は、好ましくは、本明細書中に記載されるOSCAR核酸配列から選択されるか、またはそのフラグメントである。好ましくは、この核酸試薬は、少なくとも9〜30ヌクレオチド長である。増幅は、検出のために、例えば、放射活性標識されたかまたは蛍光標識されたヌクレオチドを使用して実施され得る。あるいは、十分増幅した産物は、標準的エチジウムブロマイドまたは他の染色方法によってその産物が可視化され得るようになされ得る。
【0179】
本発明のOSCAR遺伝子発現アッセイはまた、インサイチュで(すなわち、固定および/または凍結され得る、患者組織の組織切片上に直接的に)実施され得、これにより核酸精製の必要性を排除する。OSCAR核酸試薬は、このようなインサイチュ手順のためのプローブまたはプライマーとして使用され得る(例えば、Nuovo,PCR In Situ Hybridization:Protocols And Application,1992,Raven Press,New Yorkを参照のこと)。あるいは、十分量の適切な細胞が得られ得る場合、標準的ノーザン分析を実施して、OSCAR mRNAのレベルを検出することによってOSCAR遺伝子発現のレベルを決定し得る。
【0180】
(OSCAR遺伝子産物の検出)
本発明の診断的方法および予後的方法はまた、OSCARタンパク質または他のOSCARポリペプチド(機能的に保存された改変体およびそのフラグメントを含む)のレベルを検出する工程を包含する方法を含む。例えば、損なわれていない、野生型OSCAR遺伝子産物もしくは変異体OSCAR遺伝子産物、または、OSCAR遺伝子産物の機能的に保存された改変体もしくはペプチドフラグメントに対する抗体は、骨増殖関連障害(例えば、大理石骨病および骨粗鬆症)のための診断的試薬および予後的試薬として使用され得る。このような試薬を使用して、例えば、OSCAR遺伝子産物合成または発現のレベルにおける異常を検出し得るか、あるいは、OSCAR遺伝子産物の構造、時期的発現または物理的位置における異常を検出し得る。本明細書中以下に記載されるような抗体および免疫アッセイ法はまた、大理石骨病および骨粗鬆症のような骨増殖関連障害についての処置の効率を評価するための重要なインビトロ適用を有する。例えば、抗体、または抗体のフラグメントを、インビトロで潜在的治療化合物をスクリーニングする際に使用して、OSCAR遺伝子発現およびOSCARポリペプチド産生に対する化合物の効果を確認し得る。OSCAR関連障害に対して有利な効果を有し得る化合物は、同定され得、そしてこのような化合物についての治療的有効用量が、このようなアッセイを使用して決定され得る。
【0181】
インビトロイムノアッセイはまた、OSCAR関連障害のための細胞ベースの遺伝子治療の効力を評価するために用いられ得る。例えば、OSCARポリペプチドに対する抗体は、OSCARポリペプチドを生成するために遺伝子操作された細胞において達成されたOSCAR遺伝子発現またはOACARポリペプチド発現のレベルを決定するためにインビトロで用いられ得る。このような方法は、細胞内OSCAR遺伝子産物を検出するために(好ましくは、細胞溶解物または細胞抽出物を用いて)、細胞表面のOSCAR遺伝子産物の発現を検出するために、または細胞培養培地に分泌されたOSCAR遺伝子産物を検出するために用いられ得る。このような評価方法は、インビボで治療効力を達成するために必要な形質転換細胞の数、および遺伝子置換プロトコルの最適化を決定するために用いられ得る。
【0182】
一般に、このような方法を用いて分析される組織型または細胞型としては、OSCAR遺伝子産物を発現することが公知の破骨細胞のような細胞型が挙げられる。Harlow & Lane(Antibodies:A Laboratory Manual,1998,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York)に記載されるようなタンパク質単離方法が用いられ得る。単離された細胞は、細胞培養物に由来するか、または個体(例えば、OSCAR関連障害を有すると疑われる患者またはOSCAR関連障害の傾向を有すると疑われる患者)に由来する細胞であり得る。
【0183】
1つの例として、抗体または抗体のフラグメントが、例えば、光学顕微鏡と合わせて、蛍光標識した抗体を用いた免疫蛍光技術、フローサイトメトリー法または蛍光検出法により、OSCAR遺伝子産物、OSCAR遺伝子産物の改変体またはそれらのフラグメントの存在を検出するために用いられ得る。このような技術は、細胞表面上のOSCAR遺伝子産物を検出するために特に好ましい。
【0184】
抗体またはそのフラグメントはまた、例えば、OSCAR遺伝子産物のインサイチュ検出のための免疫蛍光技術または免疫電子顕微鏡技術において組織学的に用いられ得る。インサイチュ検出は、患者から組織学的標本(例えば、組織サンプル)を取り出すこと、および本発明の標識抗体またはこのような抗体のフラグメントをこの標本に適用することにより達成され得る。この抗体または抗体フラグメントは、好ましくは、標識抗体または標識抗体フラグメントを生物学的サンプルに重層することにより適用される。このような手順の使用により、OSCAR遺伝子産物の存在のみならず、試験組織における遺伝子産物の分布もまた検出することが可能である。当該分野で周知の広範に種々の組織学的方法(例えば、染色手順)が、このようなインサイチュ検出を達成するために過度な実験なくして当業者により容易に改変され得る。
【0185】
OSCAR遺伝子産物のイムノアッセイは、代表的には、OSCAR遺伝子産物(例えば、機能的に保存された改変体またはそのペプチドフラグメントを含む)を特異的に結合し得る検出可能に標識された抗体の存在下で、生物学的サンプル(例えば、生物学的流体、組織抽出物、新鮮に採取された細胞または細胞溶解物)をインキュベートすることを含む。次いで、結合した抗体は、当該分野で周知の任意の多くの技術により検出され得る。
【0186】
(スクリーニングアッセイ)
本明細書中以下に記載のスクリーニングアッセイを用いて、OSCAR遺伝子産物に結合するか、さもなければ相互作用する化合物(OSCAR遺伝子産物、OSCAR遺伝子産物の天然のリガンドおよび合成のリガンドと相互作用する細胞内化合物(例えば、タンパク質またはタンパク質の一部)、OSCAR遺伝子産物と他の化合物との(例えば、天然のリガンドまたは細胞内化合物との)相互作用を妨害する化合物、ならびにOSCAR遺伝子の活性を(例えば、OSCAR遺伝子発現のレベルを調節することにより)調節する化合物、またはOSCARポリペプチドもしくは他のOSCAR遺伝子産物の活性(例えば、生体活性)を調節する化合物を含む)を同定することもまた可能である。例えば、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイは、OSCAR遺伝子のプロモーターまたは他の調節配列に結合する化合物を同定するために用いられ得、それゆえ、OSCAR遺伝子発現のレベルを調節し得る(例えば、Platt,J.Biol.Chem.1994,269:28558−28562を参照のこと)。
【0187】
このようなスクリーニングアッセイにより同定され得る化合物のクラスとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:低分子(例えば、分子量が約2kd未満、より好ましくは、分子量が約1kd未満であるか、そして/または血液脳関門を通過し得るかもしくは適切な細胞に進入し得、かつOSCAR遺伝子の発現、OSCAR調節経路に関与するある遺伝子の発現に影響を及ぼし得る有機分子または無機分子)、ならびに巨大分子(例えば、分子量が約2kdを超える分子)。これらのスクリーニングアッセイにより同定される化合物としては、ペプチドおよびポリペプチドが挙げられ得る。例えば、コンビナトリアルライブラリー(例えば、Lam et al.,Nature 1991,354:82−84により記載されるコンビナトリアルライブラリー;およびHoughten et al.,Nature 1991,354:84−86により記載されるコンビナトリアルライブラリー)の可溶性ペプチド、融合ペプチドのメンバー;コンビナトリアルケミストリー(例えば、D配置アミノ酸および/またはL配置アミノ酸の分子ライブラリー)により得られるライブラリーのメンバー;ランダムなまたは部分的に縮重した方向付けられたホスホペプチド(phosphopeptide)ライブラリーのメンバーのようなホスホペプチド(例えば、Songyang et al.,Cell 1993,72:767−778を参照のこと);抗体(ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、抗イディオタイプ抗体、キメラ抗体、または単鎖が挙げられるが、これらに限定されない);抗体フラグメント(FAb、F(ab’)2、FAb発現ライブラリーフラグメントおよびそのエピトープ結合フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない)。
【0188】
以下に示す実施例中で実証されるように、OSCAR遺伝子産物は、破骨細胞の成熟および活性を調節し、さらにOSCAR遺伝子産物に対するリガンドのような化合物は、OSCAR遺伝子産物の活性を調節し、それにより、破骨細胞の成熟および/または活性を調節する能力を有する。従って、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイにおいて同定される化合物は、破骨細胞の活性を調節するため、特に、骨組織の成長、修復、発生、分解、再吸収、修復またはホメオスタシスを調節するために有用であり得る。従って、本明細書中に記載のスクリーニング方法により同定される化合物はまた、例えば、破骨細胞の活性を調節することによって、および/または骨組織の増殖、修復、発生、再吸収、分解、修復もしくはホメオスタシスを調節することによって、骨増殖関連障害(例えば、骨大理石病、骨粗鬆症を含む)を処置するために有用であり得る。
【0189】
結合化合物のアッセイ。インビトロ系は、本発明のOSCAR遺伝子産物を結合し得る化合物を同定するために容易に設計され得る。このような化合物は、例えば、野生型OSCAR遺伝子産物の活性を調節するか、あるいは変異体または他の改変体OSCAR遺伝子産物の活性を調節するために有用であり得る。
【0190】
一般に、このようなスクリーニングアッセイは、OSCAR遺伝子産物および試験化合物を相互作用(例えば、結合する)させ、それにより、検出され得る複合体を形成するに十分な条件下および時間にわたり、この2つの化合物を含む反応混合物の調節を含む。このアッセイは、任意の種々の異なる方法で行われ得る。例えば、1つの実施形態は、OSCARポリペプチドまたは試験化合物を固相にアンカーし、反応の最後に、結合していない化合物を(例えば、洗浄することにより)除去した後に固相上に存在するOSCARポリペプチドと試験化合物との複合体を検出することを含む。例えば、このような方法の1つの好ましい実施形態において、OSCAR遺伝子産物は、固相にアンカーされ得、標識化合物(例えば、上記の任意の方法に従って標識された)は、固相の表面に接触される。試験化合物を十分な時間にわたり、OSCAR遺伝子産物と試験化合物との間で複合体形成され得る条件下でインキュベートした後、試験化合物の結合していない分子は、この表面から(例えば、洗浄により)除去され、残っている標識分子が検出される。
【0191】
別の代替的な実施形態において、1以上の異なる試験化合物の分子は、固相に結合され、標識されたOSCARポリペプチドの分子が固相に接触される。このような実施形態において、異なる試験化合物の分子は、好ましくは、固相上の特定の位置で固相に結合され、その結果、OSCARポリペプチドに結合する試験化合物は、固相または表面上に結合したOSCARポリペプチドの位置を決定することにより同定され得る。
【0192】
OSCARと相互作用する化合物についてのアッセイ。タンパク質−タンパク質相互作用を検出するための任意の種々の公知の方法はまた、OSCAR遺伝子産物と相互作用するタンパク質を検出および/または同定するために用いられ得る。例えば、同時免疫沈降、架橋および勾配またはクロマトグラフィーカラムによる同時精製、ならびに当該分野で公知の他の技術が用いられ得る。このようなアッセイを用いて同定され得るタンパク質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:細胞外タンパク質(例えば、OSCAR特異的リガンド)および細胞内タンパク質(例えば、シグナル伝達タンパク質)。
【0193】
限定ではなく、例として、発現クローニングアッセイは、OSCAR特異的リガンドおよびOSCAR遺伝子産物と特異的に相互作用する他のタンパク質を同定するために用いられ得る。このようなアッセイにおいて、cDNA発現ライブラリーは、OSCAR特異的リガンドを発現する任意の細胞株(例えば、破骨細胞、胚性繊維芽細胞、NIH細胞、3T3細胞、ST2細胞、Mlg細胞、UMR106細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、hFOB1.19細胞およびサルCOS−1細胞)から生成され得る。次いで、このような発現ライブラリーに由来するクローンは、OSCAR特異的リガンドを正常には発現しないB細胞リンパ腫株(例えば、CH12細胞、A20.25細胞またはLBB1細胞)のような細胞にトランスフェクトされ得るか、または感染され得る。次いで、OSCAR特異的リガンドをコードするクローンでトランスフェクトされた細胞は、この遺伝子産物を発現し得、標準的な技術(例えば、FACS)を用いて、またはOSCARポリペプチド(例えば、OSCAR−Fc融合ポリペプチド)が結合した磁性ビーズを用いて同定および単離され得る。
【0194】
あるいは、OSCAR特異的リガンドが、当該分野で周知の免疫沈降技術を用いて、細胞株(上記の任意のOSCAR−L発現細胞株を含む)から単離され得る。
【0195】
OSCAR特異的リガンドはまた、OSCAR結合化合物を同定するために、上記で議論されたスクリーニングアッセイのいずれかを用いて単離され得る。例えば、OSCAR−Fc融合ポリペプチドは、固相に結合され得るか、さもなければ付着され得、標識化合物(例えば、候補OSCARリガンド)は、OSCAR−Fc融合ポリペプチドと試験化合物との間で複合体を形成させるに十分な時間および条件下で表面に接触され得る。次いで、試験化合物の結合していない分子は、表面から(例えば、洗浄により)除去され得、結合し続けている標識化合物が検出され得る。
【0196】
一旦このように単離されると、標準的な技術を用いて、このようなアッセイにおいて検出される任意のタンパク質が同定され得る。例えば、OSCAR遺伝子産物と相互作用するタンパク質のアミノ酸配列の少なくとも一部は、当該分野で周知の技術(例えば、Edman分解技術(例えば、Creighton,1983,Proteins:Structures and Molecular Principles,W.H.Freeman & Co.,New York,pages 34−49)を参照のこと)を用いて確認され得る。
【0197】
一旦このようなタンパク質が同定されると、それらのアミノ酸配列は、このようなタンパク質をコードする遺伝子配列をスクリーニングするために、例えば、上記の標準的なハイブリダイゼーション技術またはPCR技術を用いて、オリゴヌクレオチド混合物を生成するためのガイドとして用いられ得る。例えば、このようなオリゴヌクレオチド混合物を生成するための技術およびスクリーニングアッセイにおけるこれらの使用の説明については、Ausubel(前出);およびPCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Innis et al.,eds.,Academic Press,Inc.,New York(1990)を参照のこと。
【0198】
OSCARポリペプチドと相互作用するタンパク質をコードする遺伝子の同時同定を生じる他の方法は、当該分野で公知である。例えば、発現ライブラリーが、標識OSCARポリペプチドを用いてプローブされ得る。
【0199】
限定ではない別の例として、ツーハイブリッド系を用いて、インビボでOSCAR遺伝子産物とのタンパク質相互作用が検出され得る。簡潔には、このような系を利用して、ツーハイブリッドタンパク質をコードするプラスミドが構築され得る。このツーハイブリッドタンパク質のうちの一方は、好ましくは、OSCAR遺伝子産物に融合した転写アクチベータータンパク質のDNA結合ドメインを構成する。他方のハイブリッドタンパク質は、好ましくは、第1のハイブリッドにおいて用いられた転写アクチベータータンパク質の活性化ドメインを含み、このドメインは、cDNAライブラリーの一部としてプラスミドライブラリーに組み換えられたcDNAによりコードされる未知のタンパク質に融合されている。DNA結合ドメイン融合プラスミドおよびcDNAライブラリーの両方は、レポーター遺伝子(例えば、HBS、lacZ、HIS3またはGFP)を含むSaccharomyces cerevisiaeまたは他の適切な生物の系統に同時形質転換され得る。好ましくは、このレポーター遺伝子の調節領域は、このツーハイブリッドタンパク質の転写アクチベーター部分の結合部位を含む。このようなツーハイブリッド系において、2つのハイブリッドタンパク質のいずれか単独の存在のみでは、レポーター遺伝子の転写を活性化することはできない。具体的には、このDNA結合ドメインハイブリッドタンパク質は、必要な活性化機能に集中することができないので転写を活性化できない。同様に、活性化ドメインハイブリッドタンパク質は、レポーター遺伝子のDNA結合部位に集中することができないので、転写を活性化できない。しかし、2つのハイブリッドタンパク質間の相互作用は、その機能的転写アクチベータータンパク質を再構成し、レポーター遺伝子の発現を生じる。従って、本明細書中に詳細に記載されるもののようなツーハイブリッド系において、OSCARポリペプチド(すなわち、転写アクチベーターのDNA結合ドメインに融合されたOSCARポリペプチド)と試験ポリペプチド(すなわち、転写アクチベーターのDNA結合ドメインに融合されたタンパク質)との間の相互作用は、単にレポーター遺伝子の遺伝子産物の発現を検出することにより検出され得る。
【0200】
このようなツーハイブリッドアッセイおよび他のアッセイにおいてスクリーニングするためのcDNAライブラリーは、当該分野で公知の任意の適切な技術に従って作製され得る。特定ではあるが限定ではない例として、cDNAフラグメントがベクターに挿入され得、その結果、これらのフラグメントは、GAL4の転写活性化ドメインに翻訳的に融合されて(translationally fused)、GAL4活性化配列を含むプロモーターにより駆動されるHIS3遺伝子を含むSaccharomyces cerevisiaeまたは他の適切な生物の系統に、「ベイト」OSCAR−GAL4融合プラスミドとともに同時形質転換される。GAL4転写活性化ドメインに融合された、このcDNAライブラリー由来のタンパク質(このタンパク質は、OSCAR−GAL4融合物のOSCARポリペプチド部分と相互作用する)は、GAL4タンパク質を再構成および活性化し、それにより、HIS3遺伝子の発現を駆動し得る。HIS3遺伝子を発現するコロニーは、ヒスチジンを欠いた半固体の寒天ベースの培地を含むペトリ皿上でのそれらの増殖により検出され得る。次いで、cDNAは、これらの系統から精製され得、配列決定され得、OSCARポリペプチドと相互作用するコードされたタンパク質を同定するために用いられ得る。
【0201】
一旦、本発明のOSCAR遺伝子産物に結合する化合物を同定すると、これらの方法において記載されるスクリーニング方法はまた、これらの結合化合物に結合する他の化合物(例えば、低分子、ペプチドおよびタンパク質)を同定するために用いられ得る。このような化合物はまた、OSCAR関連生物活性を、例えば、天然のOSCARリガンドまたは結合パートナーに結合し、OSCAR遺伝子産物とのその相互作用を妨害することにより調節するために有用であり得る。例えば、これらの化合物は、OSCAR−Lを発現する細胞株(前述を参照のこと)へのOSCAR−Fcの結合を阻害するそれらの能力について試験され得る。
【0202】
OSCAR−リガンド相互作用を妨害する化合物についてのアッセイ。下記に示す実施例は、本発明のOSCAR遺伝子産物がインビボで1以上の分子(すなわち、リガンド)と相互作用し得ることを実証する。結合相互作用を撹乱するか、さもなければ妨害する化合物は、下記の実施例で実証されているように、OSCAR遺伝子産物の活性を調節することにおいて有用である。特に、このような化合物は、破骨細胞の成熟または活性を調節し、続いて、これは、骨組織の成長、修復、発生、再吸収、分解もしくはホメオスタシスの調節または骨増殖関連障害の処置に影響を及ぼす。
【0203】
このような化合物としては、OSCAR遺伝子産物に結合する化合物を同定するために、前出で記載のスクリーニングアッセイに従って同定された化合物(そこで記載された化合物の任意の多くの例示的クラスを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0204】
一般に、OSCAR遺伝子産物と結合パートナー(例えば、リガンド)との間の相互作用を妨害する化合物を同定するためにアッセイは、OSCAR遺伝子産物およびその結合パートナーを含む試験反応混合物を、OSCAR遺伝子産物およびその結合パートナーが結合して、複合体を形成するに十分な条件下および時間にわたり調製することを含む。阻害活性について(すなわち、結合複合体の形成を阻害するか、または一旦結合した結合複合体を破壊する能力について)化合物を試験するために、この試験化合物はまた、好ましくは、試験反応混合物中に存在する。1つの例示的実施形態において、この試験化合物は、最初に、OSCAR遺伝子産物とその結合パートナーを有する試験反応混合物中に含まれ得る。しかし、あるいは、この試験化合物は、OSCAR遺伝子産物およびその結合パートナーの添加に続いて、後に試験反応混合物に添加され得る。好ましい実施形態において、1以上のコントロール反応混合物(これは、試験化合物を含まない)がまた調製され得る。代表的には、コントロール反応混合物は、試験反応混合物中に同じOSCAR遺伝子産物および結合パートナーを含むが、試験化合物は含まない。コントロール反応混合物はまた、試験化合物の代わりに、試験反応混合物中には存在しないプラシーボを含み得る。次いで、OSCAR遺伝子産物と結合パートナーとの間での複合体の形成は、反応混合物中で検出され得る。試験化合物の存在下ではなく、試験化合物の非存在下での(例えば、コントロール反応混合物中での)このような複合体の形成は、試験化合物が、OSCARポリペプチドと結合パートナーとの相互作用を妨害するか、またはこの相互作用を調節する化合物であることを示す。
【0205】
OSCAR遺伝子産物と結合パートナーとの相互作用を調節する化合物についてのこのようなアッセイは、不均質な形式で行われてもよいし、あるいは均質な形式で行われてもよい。不均質なアッセイは、代表的には、OSCAR遺伝子産物または結合パートナーのいずれかを固相にアンカーし、反応の最後に固相にアンカーした化合物を検出することを含む。従って、このようなアッセイは、OSCAR核酸およびOSCAR遺伝子産物を検出および/または同定するために、ならびにOSCAR結合パートナーを検出または同定するために前出で記載した固相アッセイに類似している。実際、当業者は、それらのアッセイについての上記の原理および技術の多くが、OSCAR遺伝子産物と結合パートナーとの間の相互作用を調節する化合物を同定するための本明細書中に記載の固相アッセイにおいて過度の実験なくして改変および適用され得ることを認識する。
【0206】
使用される特定のアッセイに拘わらず、反応物が反応混合物に添加される順序は、例えば、競合によって、OSCAR遺伝子産物と結合パートナーとの相互作用を妨害する化合物を同定するために、または行われた結合複合体を破壊する化合物を同定するために変化され得る。競合によってOSCAR遺伝子産物と結合パートナーとの相互作用を妨害する化合物は、試験化合物の存在下で反応を行うことにより同定され得る。具体的には、このようなアッセイにおいて、試験化合物は、OSCAR遺伝子産物および結合パートナーの前に、またはこれらと同時に反応混合物に添加され得る。OSCAR遺伝子産物と結合パートナーとの行われた複合体を破壊する試験化合物は、複合体が形成された後に、試験化合物を反応混合物に添加することにより試験され得る。
【0207】
本明細書中に記載のスクリーニングアッセイはまた、全長OSCARポリペプチドもしくはタンパク質の一部に対応するペプチドまたはポリペプチド、あるいはこのようなペプチドまたはポリペプチドの配列を含む融合タンパク質を用いて実施され得る。例えば、OSCARポリペプチドと結合パートナーとの相互作用を調節する化合物を同定するためのスクリーニングアッセイは、結合パートナー(例えば、リガンド「結合部位」)に結合する全長OSCARポリペプチドの特定の領域またはドメインに対応するペプチドまたはポリペプチドを用いて実施され得る。例えば、1つの実施形態において、スクリーニングアッセイは、全長OSCARポリペプチドの細胞外ドメイン(例えば、配列番号3に示されるOSCARポリペプチドのアミノ酸残基1〜228の配列を含む)に対応するアミノ酸配列を含むポリペプチド(またはそれらの融合物)を用いて行われ得る。
【0208】
OSCARポリペプチドの特異的結合部位を同定するために用いられ得る種々の方法が、当該分野で公知である。例えば、結合部位は、OSCAR遺伝子を変異させ、上記のような結合の破壊をスクリーニングすることにより同定され得る。結合パートナーをコードする遺伝子はまた、このようなアッセイにおいて変異され、OSCAR遺伝子に対する変異から破壊を保障する変異が同定され得る。次いで、これらの変異の配列分析により、2つのタンパク質の結合領域に対応する変異が明らかになり得る。
【0209】
代替的な実施形態において、タンパク質(例えば、OSCARタンパク質またはOSCARタンパク質に対するタンパク質結合パートナー)は、本明細書中上記に記載の方法を用いて固相または支持体にアンカーされ得る。固相表面にアンカーされたタンパク質に結合する別の標識タンパク質は、タンパク質分解酵素で処理され得、そのフラグメントは、上記の結合アッセイの方法に従って、固相表面に結合されたタンパク質との相互作用が可能にされ得る。短時間洗浄した後、処理されたタンパク質の標識ペプチドフラグメントは、アンカーしたタンパク質と会合したままであり得る。これらのペプチドは単離され得、これらのペプチドが由来した全長タンパク質の領域は、アミノ酸配列によって同定され得る。
【0210】
さらなる他の実施形態において、OSCARリガンド相互作用を妨害する化合物はまた、OSCARポリペプチド(例えば、OSCAR−Fc融合ポリペプチド)の、OSCAR特異的リガンドを発現する細胞(例えば、破骨細胞、胚性繊維芽細胞、NIH細胞、3T3細胞、ST2細胞、Mlg細胞、UMR106細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、hFOBl.19細胞、およびCOS−1細胞)への結合を調節する化合物をスクリーニングすることにより同定され得る。
【0211】
(治療方法および薬学的調製物)
本発明のOSCAR核酸分子、ポリペプチドおよび抗体は、例えば、破骨細胞の成熟および活性を調節するために用いられ得る。さらに、本発明のOSCAR核酸またはOSCARポリペプチドに結合する化合物は、OSCAR遺伝子発現を調節する化合物、および結合化合物で(例えば、天然のリガンドで)OSCAR核酸またはOSCARポリペプチドの結合を妨害するか、あるいはこの結合を調節する化合物は、例えば、破骨細胞の成熟または活性を調節するための方法において有用であり得る。従って、このような化合物はまた、破骨細胞活性(例えば、骨組織の成長、修復、発生、再吸収、分解およびホメオスタシス)と関連するプロセスを調節するために用いられ得る。このような方法は、骨増殖関連障害(例えば、骨粗鬆症、大理石骨病など)を処置するために特に有用であり得る。例えば、本発明のOSCAR遺伝子産物(例えば、OSCARリガンド)に結合する化合物は、OSCAR活性を増大させ得、破骨細胞の成熟を刺激し得、それにより破骨細胞関連活性を増大させ得る。従って、このような化合物は、破骨活性の活性化が所望され得る条件で処理するために用いられ得る。例えば、破骨細胞は、石灰化された骨マトリクスを再吸収する細胞であるので、OSCAR活性を増大させ、破骨細胞の成熟を誘導する化合物は、骨増殖関連障害(例えば、異常に高いかまたは上昇した骨質量と関連する大理石骨病)を処置するために有用であり得る。あるいは、例えば、OSCAR遺伝子産物とリガンドとの間での結合相互作用を妨害することによりOSCAR活性を減少させる化合物は、破骨細胞成熟および破骨細胞関連活性を減少させ得る。従って、これらの化合物は、減少した破骨細胞活性が所望され得る条件で処置するために使用され得る。例えば、OSCAR活性を減少させる化合物は、異常に低いかまたは減少した骨質量と関連する骨増殖関連障害(例えば、骨粗鬆症)を処置するために使用され得る。
【0212】
このような方法は、化合物が実際に、例えば、組織サンプルにおいて破骨細胞の数を増大または減少させるか否かを決定するために用いられ得る。従って、これらの方法は、特定の処置が破骨細胞活性に所望の影響を生じるか否かをモニターするために用いられ得る。
【0213】
あるいは、処置の有効性は、(例えば、動物モデルまたは患者において)個体の骨質量をモニターし、治療の結果として骨質量が増大したか、または減少したか否かを決定することにより確認され得る。
【0214】
阻害アプローチ。破骨細胞成熟または活性を調節するための方法は、OSCAR遺伝子の発現、OSCAR遺伝子産物の合成またはOSCAR遺伝子産物活性を調節する1以上の化合物を投与することを含むだけであり得る。その結果、破骨細胞成熟または活性が、調節される(例えば、増大または減少される)。同様に、骨の増殖、修復、発生、再吸収、分解またはホメオスタシスを調節する(例えば、増大または減少させる)ための方法は、OSCAR遺伝子の発現、OSCAR遺伝子産物の合成またはOSCAR遺伝子産物活性を調節する1以上の化合物を投与することを含むだけであり得る。好ましくは、これらの1以上の化合物は、骨の増殖、修復、発生、再吸収、分解またはホメオスタシスが所望されるように調節されるまで投与される。
【0215】
OSCAR核酸の活性、発現または合成を調節する能力を示し得る化合物の中には、アンチセンス分子、リボザイム分子および三重らせん分子がある。このような分子は、野生型OSCAR核酸および野生型OSCARポリペプチドを減少または阻害するように設計され得るか、あるいは変異OSCAR核酸またはOSCARポリペプチドを標的化し得る。
【0216】
アンチセンスRNA分子およびアンチセンスDNA分子は、mRNA分子を標的化するためにハイブリダイズし、タンパク質翻訳を阻止することによりmRNAの翻訳を直接ブロックするために作用する。アンチセンスアプローチは、標的遺伝子mRNAに相補的なオリゴヌクレオチドの設計を含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、相補的標的遺伝子mRNA転写物に結合し、翻訳を阻止する。絶対的な相補性は、好ましくはあるが、必須ではない。
【0217】
核酸の一部に「相補的な」配列とは、核酸とハイブリダイズし、安定な二重鎖を形成し得るに十分な相補性を有する配列をいう。核酸がハイブリダイズする能力は、配列相補性の程度およびアンチセンス核酸の長さの両方に依存する。しかし、一般に、ハイブリダイズする核酸が長くなるほど、塩基ミスマッチが多くなり、これは、安定な二重鎖(または三重らせんにおいては三重鎖)を含み得、なおこれを形成し得る。ミスマッチの許容され得る程度は、例えば、ハイブリダイズした複合体の融解温度を決定するための標準的な手順を用いることにより、容易に確認され得る。
【0218】
1つの好ましい実施形態において、OSCAR遺伝子の非コード領域に相補的なオリゴヌクレオチドは、内因的なOSCAR mRNA分子の翻訳を阻害するためのアンチセンスアプローチにおいて使用され得る。アンチセンス核酸は、好ましくは、長さが少なくとも6ヌクレオチド、より好ましくは、長さ約6〜約50ヌクレオチドの範囲である。特定の実施形態において、このオリゴヌクレオチドは、長さが少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも15ヌクレオチド、少なくとも20ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチドまたは少なくとも50ヌクレオチドであり得る。
【0219】
インビトロでの研究は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが遺伝子発現を阻害する能力を定量するために最初に用いられることが一般に好ましい。これらの研究は、アンチセンス遺伝子阻害とオリゴヌクレオチドの非特異的生物学的効果との間を区別するコントロールを利用することが好ましい。これらの研究は、標的RNAまたは標的タンパク質のレベルと、内部コントロールRNAまたはコントロールタンパク質のレベルとを比較することもまた好ましい。さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて得られる結果は、コントロールオリゴヌクレオチドを用いて得られるものであることが想定される。コントロールオリゴヌクレオチドは、試験オリゴヌクレオチドとほぼ同じ長さであり、このオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列が、標的配列に対する特異的ハイブリダイゼーションを阻止することが必要であるにすぎないアンチセンス配列とは異なることが好ましい。
【0220】
標的遺伝子コード領域配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドが使用され得るが、転写され、翻訳されない領域に相補的なアンチセンスヌクレオチドが最も好ましい。
【0221】
アンチセンス分子は、好ましくは、インビボで標的遺伝子を発現する破骨細胞のような細胞に送達される。多くの方法は、細胞にアンチセンスDNAまたはアンチセンスRNAを送達されるために開発されている。例えば、アンチセンス分子は組織部位に直接注射され得るか、あるいは所望の細胞を標的にするように設計した改変されたアンチセンス分子(例えば、標的細胞表面上に発現するレセプターまたは抗原に特異的に結合する、ペプチドまたは抗体に連結するアンチセンスである)が全身投与され得る。
【0222】
好ましい実施形態は、内因性mRNAの翻訳を抑制するのに十分なアンチセンス核酸分子の細胞内濃度を達成する。例えば、一つの好ましいアプローチは、組換えDNA構築物を使用する。ここで、このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、強力なpol IIIプロモーターまたはpol IIプロモーターの制御下に位置される。患者の標的細胞にトランスフェクトするための、このような構築物の使用は、一本鎖RNAの十分な量の転写をもたらす。この一本鎖RNAは、内因性の標的遺伝子転写物と相補的な塩基対を形成し、それゆえ、標的遺伝子mRNAの翻訳を防ぐ。例えば、上に記載のベクターは、細胞によって取り込まれ、そしてアンチセンスRNAの転写に向わせるように導入される。所望のアンチセンスRNAを産生するために転写され得る限り、このようなベクターはエピソームに保持され得るか、または染色体に組み込まれ得る。このようなベクターは、当該分野で標準的な組換えDNA技術的方法により構築され得る。ベクターは、プラスミド、ウイルス、または当該分野で公知の他のものであり得、これらは哺乳動物において複製および発現のために使用され得る。アンチセンスRNAをコードする配列の発現は、特定の細胞型(例えば、哺乳動物の破骨細胞(例えば、ヒトは破骨細胞)において)において作用することが当該分野で公知である任意のプロモーターによりなされ得る。例えば、組換えOSCAR核酸の発現に関連して議論された任意のプロモーター(前出)はまた、OSCARアンチセンス核酸を発現させるために使用され得る。
【0223】
標的遺伝子のmRNA転写物を触媒的に切断するために設計されたリボザイム分子または、標的遺伝子のmRNAの翻訳を防ぎ、それゆえ、標的遺伝子産物の発現を防ぐために使用され得る(例えば、国際公開番号第WO90/11364号;Sarver,et al.,Science 1990,247:1222−1225を参照のこと)。
【0224】
リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒する能力のある酵素的RNA分子である(総論について、Rossi,Current Biology 1994,4:469−471を参照のこと)。リボザイムの作用のメカニズムは、相補的な標的RNAにリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーション、引き続くにエンドヌクレオチド鎖分解性の切断事象に関連する。リボザイム分子の組成物は、標的遺伝子mRNAに相補的な1つ以上の配列を含み、そしてmRNA切断に応答可能な周知の触媒配列を含まなければならない。この配列については、例えば、米国特許第5,093,246号を参照のこと。
【0225】
部位特異的認識配列でmRNAを切断するリボザイムを、標的遺伝子mRNAを破壊するために使用し得るが、ハンマーヘッド型リボザイムの使用が好ましい。ハンマーヘッド型リボザイムは、標的mRNAと相補的な塩基対を形成する隣接領域により規定される位置で、mRNAを切断する。唯一必要なことは、標的mRNAが以下の2つの塩基対の配列:5’−UG−3’を有することである。ハンマーヘッド型リボザイムの構築および産生は、当該分野で周知であり、そしてMyers,1995,Molecular Biology and Biotechnology:A Comprehensive Desk Reference,VCH Publishers,New York,(特に図4,833ページを参照のこと)およびHaseloff and Gerlach,Nature 1988,334:585−591により詳細に記載されている。
【0226】
好ましくは、このリボザイムは、切断認識部位が標的mRNAの5’末端近くの位置するように(すなわち、効率を上げ、そして機能的でないmRNA転写物の細胞内蓄積を最小化するように)操作されている。
【0227】
本発明のリボザイムはまた、Tetrahymena thermophilaに天然に存在する(IVS RNA、またはL−19 IVS RNAとして公知)のようなRNAエンドリボヌクレアーゼ(これ以降、「Cech型リボザイム」)を含む。これは、Thomas Cechおよび共同研究者(Zaug,et al.,Science 1984,224:574−578; ZaugおよびCech,Science 1986,231:470−475;Zaug et al.,Nature 1986,324:429−433;国際出願番号WO 88/04300;BeenおよびCech,Cell 1986,47:207−216)によって広く記載されている。Cech型リボザイムは、標的RNAの切断が生じた後に標的RNA配列にハイブリダイズする8塩基対の活性部位を有する。本発明は、標的遺伝子内に存在する8塩基対活性部位配列を標的にするこれらのCech型リボザイムを含む。
【0228】
アンチセンスアプローチの場合のように、このリボザイムは改変されたオリゴヌクレオチド(例えば、安定性、標的化を改善するために)を含み得、そしてインビボで標的遺伝子を発現する細胞に送達されるはずである。送達の一つの好ましい方法は、強力な構成的pol IIIプロモーターまたはpol IIプロモーターの制御下でリボザイムを「コードする」DNA構築物を使用することに関連する。その結果、トランスフェクトされた細胞は、内因性の標的遺伝子のメッセージを破壊し、そして翻訳を阻害するために十分な量のリボザイムを産生する。リボザイムはアンチセンス分子とは異なり触媒性なので、より低い細胞内濃度が効力のために必要とされる。このような構築物は、任意の上記のベクターを用いて細胞に導入され得る。
【0229】
内因性標的遺伝子発現はまた、標的遺伝子またはそのプロモーターを、標的化相同組換えを用いて不活性化または「ノックアウト」することにより減少させ得る(例えば、Smithies,et al.,Nature 1985,317:230−234;ThomasおよびCapecchi,Cell 1987,51:503−512;ならびにThompson et al.,Cell 1989,5:313−321を参照のこと)。例えば、内因性標的遺伝子に相同なDNA(標的遺伝子のコード領域または調節領域のいずれか)に隣接した変異体、機能的でない標的遺伝子(または完全に関連のないDNA配列)が、インビボで標的遺伝子を発現する細胞にトランスフェクトするために(選択マーカーおよび/またはネガティブ選択マーカーを伴うかまたは伴わずに)使用され得る。標的化相同組換えによるこのDNA構築物の挿入は、標的遺伝子の不活性化をもたらす。このようなアプローチは、農学分野で得に適合されており、ES(胚性幹)細胞への改変が、不活性な標的遺伝子を有する動物の子孫を生み出すために使用され得る(例えば、ThomasおよびCapecchi,1987ならびにThompson,1989,前出を参照のこと)。しかしながら、このアプローチは、ヒトにおける使用に適合され得る。但し、組換えDNA構築物は、適切なウイルスベクターを用いてインビボで必要とされる部位に直接的に投与されるか、または標的化される。
【0230】
あるいは、内因性標的遺伝子発現は、体内の標的細胞において標的遺伝子の転写を防ぐ三重らせん構造を形成するために、標的遺伝子の調節領域(すなわち、標的遺伝子プロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なデオキシリボヌクレオチド配列を標的化することにより減少され得る(一般的に、Helene,Anticancer Drug Des.1991,6:569−584;Helene,et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.1992,660:27−36;およびMaher,Bioassays 1992,14:807−815を参照のこと)。
【0231】
転写の阻害を阻害するための三重らせん形成において用いられる核酸分子は、一本鎖であり、そしてデオキシヌクレオチドを含むべきである。これらのオリゴヌクレオチドの塩基組成物は、Hoogsteen塩基対規則を介して三重らせん形成を促進するように設計されなければならず、これは、一般に二本鎖のうちの一方の鎖に存在するプリンまたはピリミジンいずれかのかなりの大きいストレッチを必要とする。ヌクレオチド配列はピリミジンベースであり得、これは生じる三重らせんの三つの結合した鎖にわたるTATおよびCGC+トリプレットをもたらす。ピリミジンの豊富な分子は、その鎖に平行方向の2本の鎖のうちの一本鎖のプリンの豊富な領域に塩基相補性を提供する。さらに、核酸分子は、プリンの豊富な(例えば、G残基の伸長を含む)分子が選択され得る。これらの分子は、GC対が豊富なDNA二重鎖と三重らせんを形成する。ここで、プリン残基の大部分は、標的化された二重鎖のうちの一本の鎖に位置し、三重鎖の3つの鎖にわたってCGCトリプレットを生じる。
【0232】
あるいは、三重らせん形成に標的化され得る潜在的な配列は、「スイッチバック」と呼ばれる核酸分子を創造することにより増加され得る。スイッチバック分子は、5’−3’、3’−5’様式を交互にすることにおいて合成され、この結果,これらは二重鎖の第一の一方の鎖と塩基対形成し、次いで、他方の鎖と塩基対形成し、二重鎖のうちの一方の鎖に存在するプリンまたはピリミジンのいずれかのかなり大きいストレッチの必要性を除去する。
【0233】
本明細書中に記載されるアンチセンス、リボザイム、および/または三重らせん分子が、変異体遺伝子発現を阻害するために使用される場合、この技術は、転写(三重らせん)および/または正常な標的遺伝子の対立遺伝子により産生されるmRNAの翻訳(アンチセンス、リボザイム)を、そのように効率的に減少させるかまたは効率的に阻害することが可能であり、存在する正常遺伝子産物の濃度が正常な表現型のとって必要とされる濃度未満であり得る可能性を上昇する。このような場合に、標的遺伝子活性の実質的に正常なレベルが維持され、それゆえ、正常な標的遺伝子活性を示す標的遺伝子ポリペプチドをコードしそしてこれらを発現する核酸分子が、遺伝子治療法(例えば、以下で記載されるような遺伝子治療法)を介して細胞に導入され得る。この遺伝子治療法は、どのアンチセンス、リボザイム、または三重らせんでも利用される処置に感受性の配列を含まない。あるいは、それらによってこの標的遺伝子が外因性タンパク質をコードする場合、標的遺伝子活性の不可欠なレベルを維持するために正常標的遺伝子タンパク質を同時投与することが望ましくあり得る。
【0234】
(遺伝子治療)
障害がOSCAR遺伝子変異に由来する場合、処置方法は、この障害の症状が改善するように、野生型OSCAR核酸分子または正常な生物学的活性を有するOSCARポリペプチドをコードする核酸分子を個体に供与することを包含し得る。
【0235】
あるいは、障害がOSCAR遺伝子変異に由来する場合、処置は、障害の症状が改善するように、野生型のOSCAR遺伝子産物または正常な生物学的活性を有するOSCAR遺伝子産物を発現するように改変された細胞(例えば、破骨細胞または線維芽細胞)を個体に移植または供与することを包含する。
【0236】
当該分野で利用可能である遺伝子治療のための方法の任意のものが、本発明に従って使用され得る。遺伝子治療法の一般的な概説については、Goldspiel et al.,Clinical Pharmacy 1993,12: 488−505;WuおよびWu,Biotherapy 1991,3:87−95;Tolstoshev,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.1993,32:573−596;Mulligan,Science 1993,260:296−932;MorganおよびAnderson,Ann.Rev.Biochem.1993,62:191−217;ならびにMay,TIBTECH 1993,11:155−215)を参照のこと。特に、細胞中の発現OSCAR核酸について前出したものに記載される任意のウイルスベクターおよび非ウイルスベクターは、こらの遺伝子治療法において使用され得る。
【0237】
組換えDNA技術の分野において通常知られる方法はまた、このような遺伝子治療においても使用され得る。例えば、以下に記載される方法を参照のこと:Ausubel et al.(eds.),1993,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York;Kriegler,1990,Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual,Stockton Press,New York;およびDracopoli et al.(eds.),1994,Current Protocols in Human Genetics,John Wiley & Sons,New York。
【0238】
本発明の遺伝子治療法の一つの局面において、本明細書中に記載の発現ベクターのいずれかを含む治療ベクターが使用され、これは、適切な宿主細胞内で機能的なOSCAR遺伝子産物を発現する核酸配列を含む。特に、このベクターは、好ましくは、機能的な本発明のOSCARポリペプチドに対するコード配列に作動可能に連結されるプロモーターを含む核酸配列を含有する。このプロモーターは、誘導性プロモーター、構成的プロモーターであり得、そして必要に応じて組織特異的であり得る。別の実施形態において、このベクターは核酸分子を含み、ここでOSCAR核酸配列は、ゲノムの所望の部位で相同組換えを促進する領域により隣接される。従って、OSCAR遺伝子産物の染色体内発現を提供する(例えば、KollerおよびSmithies,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1989,86:8932−8935;Zijlstra et al.,Nature 1989,342:435−438を参照のこと)。
【0239】
例えば、骨の成長、修復、発生、再吸収、分解または恒常性のような、破骨細胞の活性を調節するための方法において、ベクターが個体に投与される実施形態では、個体へのベクターの送達は、直接的か、または間接的のいずれかであり得る。ベクター送達の直接的方法は、個体をベクターまたは送達複合体に直接曝露する工程を包含する。送達の間接的な方法において、細胞はまず、インビトロ(例えば、細胞培養物において)でベクターで形質転換し、次いで患者に移植する。このような送達の直接的方法および間接的方法はまた、インビボおよびエキソビボでの遺伝子治療法にそれぞれ関連する。
【0240】
このような遺伝子治療法において使用される核酸の正確な形態および量は、特別な用途(例えば、疾患の特定の型および所望される効果の重大性、患者の状態など)に依存する。特別な用途または治療のための適切な形態および核酸の量は、当業者によって決定され得る。
【0241】
(抗OSCAR抗体治療)
以下の特定の実施例において実証されるように、本発明のOSCAR遺伝子産物は、破骨細胞において優先的にまたは排他的に発現される。従って、本発明の治療方法はまた、標的に対するOSCAR遺伝子産物に特異的に結合し、そして破骨細胞を一過性に除去する抗体の使用を含む。このような治療法は、破骨細胞媒介性骨吸収の抑制が所望される場合、大理石骨病のような疾患および障害を処置するために特に所望される。
【0242】
本発明のOSCARポリペプチドに特異的に結合する、上記の任意の抗体はまた、このような治療において使用され得る。例えば、このような方法において使用される治療的抗体は、全長の抗体またはそれらのフラグメントであり得、これらは、細胞毒性分子(例えば、ラジオアイソトープまたはリシンのような毒素)に連結される。ついで、これらの抗体は標的細胞に対して(すなわち、破骨細胞に対して)特異的な標的細胞毒性のために使用され得る。
【0243】
これらの方法の他の実施形態において、抗体の内因性機能(すなわち、この機能は抗体のFc部分により媒介される)は、例えば、抗体媒介性細胞毒性などによって破骨細胞を明らかに標的にする。このような抗体ベースの治療はすでに当該分野で周知である。
【0244】
なお別の実施形態において、細胞内抗体(「細胞内発現抗体(intrabody)」とも呼ばれる)はまた、OSCAR遺伝子産物の活性を調節するために使用され得る。細胞内タンパク質の活性を調節するための細胞内発現抗体の用途は、当該分野に周知であり、そして多くの種々の系について記載されている(例えば、Marasco,Gen Ther.1997,4:11;Chen et al.,Hum.Gene Ther.1994,5:595を参照のこと)。これらとしては、(これらに限定されないが)以下が挙げられる:ウイルス感染(例えば、Marasco et al.,Hum.Gene Ther.1998,9:1627を参照のこと)および他の感染疾患(例えば、Rondon et al.,Annu.Rev.Microbiol.1997,51:257),ならびにp21のような癌遺伝子(例えば、Cardinale et al.,FEBS Lett.1998,439:197−202;およびCochet et al.,Cancer Res.1998,58:1170−6を参照のこと),myb(Kasono et al.,Biochem Biophys Res Commun.1998,251:124−30),erbB−2(Graus−Porta et al.,Mol Cell Biol.1995,15:1182−91)など。
【0245】
(薬学的調製物)
OSCAR遺伝子発現またはOSCAR遺伝子産物活性に影響を与えることが決定される化合物は、破骨細胞の成熟または破骨細胞に関連する活性を調節するための治療有効用量で(例えば、個体に)投与され得;あるいは、このような化合物は、個体の骨組織の成長、修復、発生、吸収、分解または恒常性を調節するための治療有効用量で投与され得る。それゆえ、用語治療有効用量は、このように調節された活性ならびに/または大理石骨病および骨粗鬆症のような障害に関連する骨成長の症状における改善を生じるのに十分な化合物の量をいう。
【0246】
化合物の毒性および治療効果は、標準的薬学的手順(例えば、細胞培養物アッセイ、またはLD50およびED50を決定するために実験動物を使用する)によって決定され得る。パラメーターLD50およびED50は当該分野で周知であり、それぞれ、集団の50%に致死的および集団の50%に治療有効な化合物の用量をいう。毒性と治療有効性との間の用量比率は、治療的インデックスと呼ばれ、比率:LD50/ED50として示され得る。大きな治療インデックスを示す化合物が好ましい。一方、毒性の副作用を示す化合物が使用され得る。しかし、このような場合において、他の細胞、組織または器官への損傷の可能性を最小にし、そして副作用を減少させる限り、このような化合物が、影響を受ける部位を特異的に標的にする送達経路のために使用されることが特に好ましい。
【0247】
細胞培養物アッセイまたは動物研究から得られたデータを、ヒトにおける使用のための投薬量の範囲を処方するのに使用し得る。本発明の治療方法において使用される化合物の投薬用は、好ましくは、ED50の濃度を含むが、毒性がほとんどないか、全くない(例えば、LD50の濃度未満である)循環濃度の範囲内である。任意の用途で使用される特定の投薬量は、使用される特定の投薬形態、利用される投薬経路、個体(例えば、患者)の状態などの因子に依存して、この範囲内で変化し得る。
【0248】
治療有効用量は、細胞培養アッセイから最初に見積もられ得、そしてIC50を含む循環濃度範囲を達成するために動物モデルにおいて処方される。化合物のIC50濃度は、症状の最大阻害の半分を達成する濃度である(例えば、細胞培養アッセイから決定されるように)。次いで、特定の個体(例えば、ヒト患者)における使用のための適切な投薬量は、このような情報を用いてさらに正確に決定され得る。
【0249】
血漿中の化合物の測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはガスクロマトグラフィーのような技術により、患者のような個体において慣用的に測定され得る。
【0250】
本発明に従う使用のための薬学的組成物は、1つ以上の生理学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤を用いる従来の様式において処方され得る。
【0251】
従って、化合物およびそれらの生理学的に受容可能な塩および溶媒は、吸入または吹送(口または鼻を通すことのいずれか)、あるいは経口的、経頬的、非経口的または直腸投与のために処方され得る。
【0252】
経口的投与のために、この薬学的組成物は、例えば、錠剤またはカプセルの形態で使用されうる。これらは、以下のような薬学的に受容可能な賦形剤を用いる慣用的な手段により調製される:結合薬剤(例えば、予めゲル化されたトウモロコシの澱粉、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはシリカ);崩壊剤(例えば、イモ澱粉またはグリコール酸ナトリウム澱粉);あるいは湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)。錠剤は、当該分野で周知の方法によりコートされ得る。経口投与のための液体調製物は、例えば溶液、シロップまたは懸濁の形態で使用され得るか、または使用前に水または他の適切なビヒクルで構成するための乾燥産物として示され得る。このような液体調製物は、以下のような薬学的に受容可能な添加物を用いて従来の手段により調製され得る:懸濁剤(例えば、ソルビトルシロップ、セルロース誘導体または水素化された食用油);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分画された植物油);および保存剤(例えば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)。この保存剤はまた、必要に応じて、緩衝塩、矯味・矯臭剤、着色料および甘味剤を含み得る。
【0253】
経口的投与のための調製は、活性化合物の制御された放出を得るように適切に処方され得る。経頬投与についての処方物は、従来の様式において処方される錠剤またはトローチ剤の形態で使用され得る。吸入による投与のために、本発明に従って使用される化合物は、適切な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、炭酸ガスまたは他の適切なガス)の使用を伴う、加圧されたパックまたはネブライザーからのエアゾールスプレー調製物の形態で従来の通りに送達される。加圧されたエアゾールの場合、投薬量単位は、定量される量を送達するためのバルブを提供することにより決定され得る。吸入器または噴霧器における使用のための例えば、ゼラチンのためのカプセルおよびカートリッジは、化合物および適切な粉末基材(例えば、ラクトースまたは澱粉)の粉末混合物を含んで処方され得る。
【0254】
化合物は、注射(例えば、ボーラス注射または持続的な注入)による非経口的投与のために処方され得る。注射のための処方物は、単位投薬形態(例えば、保存剤を添加されたアンプルまたは複数用量の容器)で存在し得る。この化合物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中の懸濁液、溶液または乳濁液のような形態をとり得、そして懸濁剤、安定剤および/または分散剤のような処方的薬剤を含み得る。あるいは、活性成分は、使用前に、適切なビヒクル(例えば、滅菌の発熱源を含まない水)で構成される粉末形態であり得る。
【0255】
この化合物はまた、坐剤または持続性浣腸のような直腸用の組成物(例えば、ココアバターもしくは他のグリセリドのような従来の坐剤基材を含む)において処方され得る。
【0256】
先に記載された処方物に加えて、この化合物はまた、デポー(depot)調製物として処方され得る。このような長い間作用する処方物は、移植(例えば、皮下または筋内)によってか、または筋内注射によって投与され得る。従って、例えば、この化合物は、適切なポリマー物質または疎水性物質(例えば、受容可能な油における乳濁液)またはイオン交換樹脂、あるいは溶解性の低い誘導体(例えば、溶解性の低い塩)を伴って投与され得る。
【0257】
所望される場合、この組成物は、パックまたはディスペンサーデバイス内に存在し得、これらは、活性成分を含む1回以上の単位投薬形態を含み得る。このパックは、ブリスターパックのような金属またはプラスチックの箔を含み得る。このパックまたはディスペンサーデバイスはまた、投与についての指示が付随し得る。
【0258】
(実施例)
本発明はまた、特定の実施例を用いることによって記載される。しかし、本明細書中のいかなる実施例の使用も、実例となるのみであり、本発明の範囲および意味または例示されたいかなる用語も制限しない。同様に、本発明はまた、本明細書中に記載される、いかなる特に好ましい実施形態に制限されない。実際に、本発明の多くの改変およびバリエーションは、本明細書を読んだ当業者に明らかであり、そしてこの精神および範囲から逸脱することなしになされ得る。それゆえ、本発明は、添付の特許請求に記載されるの等価物の全ての範囲を伴って、特許請求の範囲の用語によってのみ制限される。
【0259】
(実施例1:マウスOSCAR遺伝子の単離および特徴付け)
この実施例は、破骨細胞において特異的に発現する免疫グロブリン(Ig)様レセプターをコードする新規のcDNAの単離を記載する。この実施例は、本明細書中でOSCARと呼ばれる新規の遺伝子および遺伝子産物を提供する。
【0260】
(材料および方法)
(破骨細胞およびマクロファージの調整)
骨髄細胞を、(Wani et al.,Endocrinology 1999,140:1927−1935)に記載されるように4〜8週齢のC57BL/6の雄性マウスから単離した。大腿骨および脛骨を、無菌的に取り出す。この骨端を切断し、そして骨髄細胞を滅菌した31ゲージの針を用いてBSS溶液を注射することによって洗浄した。単一の細胞懸濁液を得るために、骨髄細胞をプラスチックのパスツールピペットを用いて懸濁した。メッシュを用いて濾過した後、骨髄細胞をGey’s溶液で処理した。この骨髄細胞を2回洗浄し、10%FBSを含有するα−MEM中に懸濁し、750mlフラスコに1×106細胞/mlの密度でM−CSF(5ng/ml)中で24時間インキュベートする。24時間後、この非接着細胞を収集し、そして同じ培地に再懸濁した。破骨細胞およびマクロファージ細胞の調整のために、10mlの懸濁液(3×107細胞)を10mmペトリ皿に添加した。ヒトM−CSF(30ng/ml)をマクロファージ細胞に添加し、一方、hM−CSF(30ng/ml)、mTRANCE(lμg/ml)およびPGE2(1μM)を破骨細胞のために使用した。培養物に3日目で養分を与え、そして4日目でPBSで2回洗浄した後、接触細胞を収集した。成熟樹状細胞を(Inaba et al.,J.Exp.Med.1992,176:1693−1702)に記載されるように骨髄前駆細胞から得た。
【0261】
(骨髄細胞からのRNAの単離)
破骨細胞およびマクロファージ細胞からの全RNAを、TRIZOL(GIBCO)を用いて培養皿から直接単離した。ポリA mRNAをオリゴテックスmRNAキット(QIAGEN)を用いて全RNAから単離した。ポリA mRNAの溶出物を、エタノールで沈殿させ、DEPCで処理した蒸留水中に再懸濁した。ポリA mRNAの濃度を、UV分光光度計により決定した。
【0262】
(頭蓋骨および長骨からのRNAの単離)
3日齢マウスから頭蓋骨を収集し、PBSで洗浄し、そしてTRIZOLで処理した。4週齢雌性マウスから長骨を収集し、凍結し、Bessman tissue pulverizer(Fisher)を用いて破砕し、そしてTRIZOLで処理した。組織由来の全RNAを製造業者のプロトコル(GIBCO)に従ってTRIZOLを用いて収集した。
【0263】
(差し引きのcDNAライブラリーの作製)
骨髄由来の破骨細胞およびマクロファージ細胞からのポリA mRNAを、製造業者のプロトコル(CLONTECH)に従ってPCR選択差し引きキットを使用して、差し引きのcDNAライブラリーを作製するために使用した。差し引きからのcDNAを、pCR2.1 TAクローニングベクター(INVITROGEN)に直接挿入した。14℃で一晩結合させた後、この結合混合物を、E.coli XLIIBのコンピテント細胞に形質転換させた。これらの細胞を、X−galおよびIPTGを含有するアンピシリンを含むLB皿上にプレートした。250の白色コロニーをミニプレップ培養のために無作為に選別した。
【0264】
(破骨細胞特異的遺伝子の同定) その差引き済みフラグメントを含むプラスミドDNAサンプルを、QIAprepスピンミニプレップキットを使用して単離した(QIAGEN)。EcoRIで消化した後、このDNAをアガロースゲル上で分離し、Nylon膜(NEN)に移し、そして破骨細胞およびマクロファージ由来の32P標識cDNAでプロービングした。全32P標識cDNAプローブは、以前に記載された(Sambrookら、1989、上記)ようにランダムヘキサマーをプライマーとして使用して、各全RNAを用いて合成した。
【0265】
このナイロン膜を、ハイブリダイゼーション緩衝液(50%ホルムアミド、150mMリン酸ナトリウム、pH6.8、2×デンハート溶液、250mM NaCl、1% SDS、1mM EDTA、および10% PEG 8,000)中で4時間プレハイブリダイズした。変性DNAプローブを添加し、そして16時間ハイブリダイズした。フィルターを洗浄し、そして以前に記載された(Sambrookら、1989、上記)ように、オートラジオグラフした。破骨細胞プローブに選択的にハイブリダイズしたサンプルを、さらなる分析のために選択した。
【0266】
(ノーザン分析) ノーザンブロット分析を、記載された(Sambrookら、1989、上記)ように、ノーザンハイブリダイゼーション緩衝液(50%ホルムアミド、50mMリン酸ナトリウム、pH6.8、5×デンハート溶液、5×SSC、および3mg/mlの超音波処理済みサケ***(DNA))を使用して実施した。異なる細胞型および組織サンプルから、製造業者のプロトコル(GIBCO)に従ってTRIZOLを使用して、全RNAを収集した。OCL178、および全長TRAPおよびカテプシンK cDNAを標識し、そしてプローブとして使用した。
【0267】
(結果および考察)
(OSCARのためのcDNAフラグメントの単離) 破骨細胞(OC)およびマクロファージ(MΦ)は、骨髄前駆細胞に由来する。OCおよびMΦが潜在的に共通の前駆細胞に由来するので、本発明者らは、製造業者のプロトコル(CLONTECH)に従ってPCR選択差引きキットを使用して、差引きcDNA(マウスOC−MΦ)ライブラリーを構築した。OC特異的遺伝子を同定するために、この差引き済みフラグメントを含むプラスミドDNAを250クローンから精製し、消化し、アガロースゲル上で分離し、Nylon膜(NEN)に移し、そしてOCまたはMΦ由来の32P標識cDNAでプロービングした(図8)。1つのクローン(OCL178と呼ぶ)を同定した。このクローンは、マクロファージ中よりも破骨細胞中の方が高発現される。このクローンを、さらなる分析のために選択した。このクローンが、新規な遺伝子(本明細書中でOSCARと呼ぶ)のフラグメントであることを決定した。
【0268】
(OSCARは、OCにおいて特異的に発現されるが、MΦまたは樹状細胞(DC)において特異的には発現されない) OCL178が破骨細胞中で特異的に発現される遺伝子に由来するか否かを決定するために、OCおよびMΦ由来のmRNAを、32P標識OCL178でハイブリダイズした。図9に示されるように、このOCL178フラグメントは、見かけのサイズが4.0kb、1.8kb、および1.0kbである3つの異なるmRNA種を検出した。OSCARの発現が、骨髄由来OC(BMOC)において特異的に検出されたが、骨髄由来MΦ(BMM)において特異的には検出されなかった。さらに、OSCAR発現は、骨髄由来DC(BMDC)において検出されなかった。この骨髄由来DCは、OCおよびMΦと同じ前駆体に由来する。TRAPおよびカテプシンKは、破骨細胞特異的マーカーであると当該分野において考えられている遺伝子である。なぜなら、これらの発現が、OCにおいて検出されたがMΦにおいては検出されなかったからである(例えば、Minkin,C.、Calcif.Tissue Int.、1982、34:285;Ek−Rylanderら、Biochem J.1997、321:305〜11;Chambersら、Cell Tissue Res.、1985、241:671〜675;Laceyら、Cell,1998、93:165〜176を参照のこと)。しかし、OSCARと異なり、TRAPおよび/またはカテプシンKの発現はまた、BMDCにおいても検出され得る(図9を参照のこと)。従って、破骨細胞におけるOSCARの発現は、TRAPまたはカプテシンKのいずれかよりもかなり特異的であり、このことは、このOSCARの遺伝子およびその遺伝子産物が、当該分野で公知の他のマーカー(例えば、TRAPおよびカプテシンK)よりも改善された、破骨細胞特異的マーカーであることを示す。
【0269】
(OSCARは、OCにおいて特異的に発現されるが、他の細胞において特異的には発現されない) OSCAR mRNA発現の特異性を決定するために、種々の組織由来のmRNAを、ノーザン分析によって分析した(図10)。図10に示されるように、OSCAR mRNA発現が、OC(OCL)において特異的に検出されるが、試験した他の組織(筋肉、腎臓、脳、心臓、肝臓、肺、腸、胸腺、脾臓およびリンパ節を含む)において特異的には検出されない。比較において、TRAP mRNAまたはカテプシンK mRNA(これらは、OCについての特異的マーカーであると当該分野で考えられている)は、他の細胞型(すなわち、破骨細胞以外の組織由来の細胞)由来のmRNAにおいて検出され得る。従って、この結果は、OSCAR発現が破骨細胞に特異的であること、ならびにOSCAR遺伝子およびその遺伝子産物が改善された破骨細胞特異的マーカーであることを、確認する。
【0270】
(OSCARは、インビトロおよびインビボにおいて分化した細胞において発現される) RAW264.7細胞は、TRANCEにより処理した場合、インビボで破骨細胞様細胞へと分化することが示されている(Hsuら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、1999、96:3540〜3545)。本明細書の図11A〜Cにおいて示されるノーザンブロット分析は、これらの細胞がまた、48時間の処理の間もOSCARを発現することを示す。OSCAR発現は、4日後が最も高い。この4日後は、これらの細胞が完全に分化している。
【0271】
さらに、OSCAR発現は、上記の種々の組織(例えば、筋肉、腎臓、脳、心臓、肝臓、肺、腸、胸腺、脾臓およびリンパ節)において検出されないが、OSCAR mRNAは、破骨細胞が豊富な組織(例えば、頭蓋および長骨)のノーザンブロット分析において検出される(図11C)。
【0272】
従って、OSCARは、分化した破骨細胞において発現され、そしてさらに、分化がインビボで生じるかまたはインビトロで生じるかに関わらず、そのような発現が生じる。
【0273】
(実施例2:OSCARは、新規な免疫グロブリン(Ig)様レセプターをコードする)
本実施例は、全長マウスOSCARポリペプチドをコードする配列を含むcDNA分子の、単離および特徴付けを記載する。
【0274】
(材料および方法)
(マウスcDNAライブラリーの作製) マウスcDNAライブラリーを、製造業者のプロトコル(STRATAGENE)に従って、骨髄由来成熟破骨細胞由来のポリA mRNAを使用して、作製した。全長OSCAR cDNAを、記載された(Sambrookら、1989、上記)ように、OCL178インサートを使用してスクリーニングすることによって、このライブラリーから単離した。
【0275】
(アミノ酸配列分析) 全長マウスOSCARアミノ酸配列を、NCBIタンパク質データベースにおいて相同タンパク質配列について検索するために使用した。検索は、BLASTファミリーのアルゴリズム(Altschulら、Nucleic Acids Res.1997、25:3389〜3402;Altschulら、1990、J.Mol.Biol.1990、215:403〜410)をデフォルトパラメータ値とともに使用して、実行した。
【0276】
(結果および考察)
OCL178を、マウス骨髄破骨細胞由来のcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用した。実施例1(上記)に記載される1.8kb OSCAR cDNAに対応するクローンおよび1.0kb OSCAR cDNAに対応するクローンを、標準的配列決定技術に従って配列決定した。これらのクローンの各々からのcDNA配列が、図1A(1.8kb OSCAR cDNA)および図1B(1.0kb OSCAR cDNA)、ならびに配列番号1および配列番号2に、それぞれ示される。これらの2つの核酸配列の比較により、この2つのクローンは3’非翻訳領域でのみ異なることが示される。各クローンは、同じ推定アミノ酸配列をコードし、この推定アミノ酸配列は、図1C(配列番号3)に示される。上記4.0kb OSCAR cDNAを含むクローンの配列分析によって、このクローンが同じポリペプチドをコードするが、OSCARゲノム配列由来のイントロン配列を含むプロセシングされていない(すなわち、スプライシングされていない)OSCAR mRNAに由来することが、明らかになった。
【0277】
クローンOCL178の配列分析により、このクローン中に含まれるcDNAが、全長OSCAR cDNA配列のフラグメントに対応することが確認された。詳細には、OCL178中に含まれるOSCAR核酸配列(図2A;配列番号4)は、図1C(配列番号3)に示されるOSCARポリペプチド配列のアミノ酸残基161〜165をコードする、全長マウスOSCAR cDNA配列のフラグメントに対応する。この特定のフラグメントのアミノ酸配列は、図2Bおよび配列番号5にもまた、別に示される。
【0278】
推定マウスOSCARポリペプチドのアミノ酸配列分析は、OSCARが264アミノ酸残基の新規なIg様レセプターであることを示す。この全長マウスOSCARポリペプチドは、シグナルペプチド配列(アミノ酸残基1〜16に対応する)、2つのIg様ドメイン配列(それぞれ、アミノ酸残基17〜122および123〜228に対応する)、単一の膜貫通ドメイン配列(アミノ酸残基229〜247に対応する)、および短い細胞質テール配列(アミノ酸残基248〜264に対応する)を含む。これらの個々のドメインを描写するために使用されたアミノ酸残基数は概数であることが、理解される。
【0279】
BLASTファミリーのアルゴリズムを使用してNCBI核酸およびタンパク質データベースにおいて相同配列について検索することにより、図1A〜C(配列番号1〜3)に示されるOSCAR核酸配列およびOSCARポリペプチド配列が新規であることが、確認された。本明細書に記載されるマウスOSCAR配列に対応する核酸配列もタンパク質配列も、これらのデータベースにおいて同定されなかった。しかし、このOSCARポリペプチド配列は、他の2つのIg様レセプターに対して有意な配列相同性を示した。詳細には、BLASTPアルゴリズムを使用するNCBIタンパク質データベースの検索により、このマウスOSCARポリペプチド(図1C;配列番号3)が、マウスPirA(登録番号AAC53217.1)に対して26.4%同一性を有し、そしてタンパク質ウシFcαR(登録番号P24071)に対して24.2%同一性を有することが、明らかになった。
【0280】
このOSCARポリペプチド配列の膜貫通ドメインは、他のIg様レセプター(前記のようなマウスPirAおよびウシFcαRを含む)に対するアミノ酸配列類似性を示す。さらに、このOSCARポリペプチドの膜貫通配列中に保存されたアルギニン(図1Cおよび配列番号3におけるアミノ酸残基231)が存在することは、膜貫通シグナル伝達アダプターモチーフとの会合活性を示す。このようなシグナル伝達アダプターは、例えば、OSCARポリペプチドと免疫共沈するタンパク質を同定することによってか、またはこの膜貫通配列のすべてもしくは一部を好ましくは含むOSCARポリペプチドのフラグメントと免疫共沈するタンパク質を同定することによって、容易に同定し得る(上記、スクリーニングアッセイを参照のこと)。
【0281】
Ig様レセプターは、これらのレセプターを発現する細胞の発生および/または機能の調節に関与することが公知である。さらに、Ig様レセプターの活性は、通常はIg様ドメインにて、特定のリガンドとの結合を介して媒介される。従って、図1Cおよび配列番号3に示されるマウスOSCARポリペプチドの配列分析は、OSCARがOSCAR特異的リガンド(本明細書中でOSCAR−Lと呼ばれる)と相互作用し、そしてこのような相互作用は破骨細胞の発生および機能を調節するという、知見を支持する。
【0282】
(実施例3:マウスおよびヒトのゲノムDNAは、マウスOSCAR cDNAにハイブリダイズする)
本実施例は、マウスOSCAR cDNAにハイブリダイズするヒトゲノムDNAの同定を開示する。このヒトOSCARゲノムDNAを、BLAST検索(これもまた本明細書中に記載される)を介してさらに特徴付けた。
【0283】
(材料および方法)
(サザンブロット分析) サザンブロット分析を、低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション緩衝液(30%ホルムアミド、10mM Tris(pH7.6)、2.5×デンハート溶液、5×SSC、0.5% SDS、1.5mg/ml超音波処理済サケ***DNA)を使用して、42℃にて16時間実施した。その膜を、低ストリンジェンシー洗浄緩衝液(0.5×SSC、1% SDS)を使用して、50℃にて2回洗浄した(洗浄1回につき20分間)。
【0284】
(結果および考察)
(マウスOSCARは、単一遺伝子に由来する) マウスゲノムDNAを、EcoRI制限酵素およびBglII制限酵素で消化し、そして、図1C(配列番号3)に示される全長マウスOSCARポリペプチド配列をコードする32P標識cDNAを用いるサザンブロット分析によって、分析した。7.0kb EcoRIフラグメントおよび5.0kb BglIIフラグメントが、OSCARプローブにハイブリダイズした(図12A)。これらの結果は、上記の選択的スプライシングされた4.0kb cDNA、1.8kb cDNA、および1.0kb cDNAにおいて同定されたマウスOSCAR配列が、単一マウス遺伝子の選択的スプライシングされた転写物であることを、示す。
【0285】
(ヒトゲノムDNAは、マウスOSCAR核酸にハイブリダイズする) ヒトゲノムDNAもまたEcoRI制限酵素およびBglII制限酵素で消化し、そして、マウスゲノムDNAを分析するために使用した(上記)のと同じ全長OSCAR cDNAプローブおよびハイブリダイゼーション条件を使用するサザンブロット分析によって、分析した。マウスOSCAR cDNAプローブは、ヒトゲノムDNAの約1.65kb EcoRIフラグメントとハイブリダイズし、かつヒトゲノムDNAの約5.5kb BglIIフラグメントとハイブリダイズする(図12B)。従って、本発明のマウスOSCAR核酸分子に対するハイブリダイゼーションにより検出および同定され得る、ヒトOSCARホモログもまた存在する。
【0286】
(ヒトOSCAR遺伝子の同定および特徴付け) このBLASTNアルゴリズムは、NCBI核酸データベースを検索して図1A〜B(配列番号1〜2)に示されるマウスOSCAR cDNA配列に相同な配列を同定するために、そのアルゴリズムのデフォルトパラメータを用いて使用した。これらのデータベースは、公知の多数の遺伝子の核酸配列を含むだけではなく、部分的なヒトゲノム配列も含む。
【0287】
このBLAST検索により、ヒト第19染色体のクローンCTD−3093中に含まれるヌクレオチド配列(GenBank登録番号AC012314.5;GI:771547)の一部は、マウスOSCAR cDNA配列に対して相同性を共有することが、明らかになった。従って、ヒトOSCAR遺伝子は、この染色体上に位置する。このヒト第19染色体配列をマウスOSCAR cDNA配列と比較することによって、このゲノムヒトOSCAR核酸配列のエキソンを同定した。
【0288】
図7A〜Dおよび配列番号12は、ヒト第19染色体上のこの新規なヒトOSCAR遺伝子を含む領域のヌクレオチド配列を示す。特に、配列番号12および図7A〜Dに示されるヌクレオチド配列は、GenBankデータベースに供託されたヒト第19染色体クローンCTD−3093の配列(登録番号AC012314.5;GI:7711547)からのヌクレオチド117001〜124920の配列に対応する。この染色体領域内に含まれる新規なOSCARゲノム配列のエキソンは、図7A〜Dにおいて大文字により示され、一方、このOSCAR遺伝子内のイントロン配列は、小文字で示される。この新規なOSCARゲノム配列のイントロン/エキソン境界のヌクレオチド残基数はまた、上記表1に示され、これは、配列番号12におけるヌクレオチド残基数に対する。
【0289】
このヒトOSCAR遺伝子をさらに特徴付けるために、ヒト破骨細胞に由来するcDNAライブラリーを、マウスcDNAライブラリーをスクリーニングするための上記の技術と同様の技術を使用して、スクリーニングした。ヒトOSCARの3つのスプライス改変体またはアイソフォームを、同定した。これらの3つのアイソフォームは、本明細書中でそれぞれ、C18ヒトOSCARアイソフォーム、C16ヒトOSCARアイソフォーム、およびC10ヒトOSCARアイソフォームと呼ばれる。これらの3つのアイソフォームの各々についてのcDNA配列は、図3Aおよび配列番号6(C18ヒトOSCARアイソフォームについて)、図4Aおよび配列番号8(C16ヒトOSCARアイソフォームについて)、ならびに図5Aおよび配列番号8(C10ヒトOSCARアイソフォームについて)に示される。これら3つのアイソフォームの各々によりコードされるOSCARポリペプチドについての推定アミノ酸配列もまた、本明細書において、図3Bおよび配列番号7(C18ヒトOSCARアイソフォームについて)、図4Bおよび配列番号9(C16ヒトOSCARアイソフォームについて)、ならびに図5Bおよび配列番号11(C10ヒトOSCARアイソフォームについて)に提供される。これらの配列を、後に再配列決定し、そして些細な配列決定訂正して確認した。特に、ヒトOSCAR C18アイソフォームのcDNAの核酸残基328(図3Aおよび配列番号6に示される)が、もともと配列決定したときのチミジンでなくグアニン(G)であることを決定した。この訂正は、C18スプライス改変体についての推定アミノ酸配列(図3Bおよび配列番号7に示される)における些細な変化をもたらし、そのアミノ酸残基97は、もともと推定したときのイソロイシン(IまたはIle)でなく、セリン(SまたはSer)である。C18アイソフォームについて訂正した核酸配列およびアミノ酸配列は、本明細書中で図3Aおよび3B、ならびに配列番号6および7に、それぞれ提示される。
【0290】
同様に、ヒトOSCAR C10アイソフォームcDNAの核酸残基295(図5Aおよび配列番号10に示される)が、もともと配列決定したときのチミジンでなくグアニン(G)であることを決定した。この訂正は、C10スプライス改変体についての推定アミノ酸配列(図5Bおよび配列番号11に示される)における些細な変化をもたらし、そのアミノ酸残基86は、もともと推定したときのイソロイシン(IまたはIle)でなく、セリン(SまたはSer)である。C10アイソフォームについて訂正した核酸配列およびアミノ酸配列は、本明細書中で図5Aおよび5B、ならびに配列番号10および11に、それぞれ提示される。
【0291】
ヒトOSCARポリペプチド配列とマウスOSCARポリペプチド配列との整列(図6)により、これらの配列が、非常に高いレベルの相同性を共有することが確認される。特に、この2つの配列は、74.6%(すなわち、約75%)同一であることが見出された。
【0292】
(実施例4:OSCARの細胞外ドメインを含む融合タンパク質は、破骨細胞の変異および活性を調節する)
本実施例は、本発明のOSCARアミノ酸配列を含む、特定の融合ポリペプチドを記載する。本実施例はまた、予備実験を記載し、この予備実験は、このような融合ポリペプチドが、OSCAR特異的リガンドに結合可能であること、そして破骨細胞活性を調節するために使用され得ることを、示す。
【0293】
(材料および方法)
(FACS分析) FACS分析を、例えば、Sharrow、Current Protocols in Immunology、Vol.I(Coliganら編)第5.1〜5.2章、John Wiley & Sons,Incにより記載される慣用的方法;およびKevinら、Current Protocols in Immunology、Vol.I(Coliganら編)第5.3章、John Wiley & Sons,Incに記載される慣用的方法に従って、実施した。
【0294】
(融合タンパク質の生成) OSCARの細胞外ドメインを含む融合タンパク質を、下記のように生成した。Herculase(STRATAGENE)を使用するPCRを使用して、関連するOSCARドメインおよびヒトIgG1 Fc部分を増幅した。
【0295】
(pcDNAにおけるOSCAR−Fcの生成) 図1Cに示されるマウスOSCARポリペプチドの細胞外ドメイン(配列番号3;アミノ酸残基1〜228)をコードする核酸を、5’OSCAR−Met−RIおよび3’−OSCAR−Ec−Bgl ii(それぞれ、配列番号13〜14)と呼ばれるプライマーを使用して、OSCAR cDNAプラスミドからPCR増幅した。このPCR生成物を、EcoRIおよびBglIIで消化した。
【0296】
ヒトIgG1のFc領域を、5’−Human IgG1(配列番号15)および3’−Human IgG1(配列番号16)と呼ばれるプライマーを使用して、ヒトcDNAプラスミドからPCR増幅した。この第2のPCR反応からの生成物を、BglIIおよびXbaIで消化した。その後、両方のPCR反応からの消化産物を、EcoRIおよびXbaIを使用してpcDNA1発現ベクター中に連結した。
【0297】
使用したプライマーの核酸配列は、以下の通りである:
5’−OSCAR−Met−RI: 5’−GGAATTCACCATGGTCCTGTCGCTGATACTC−3’(配列番号13)
3’−OSCAR−Ec−Bgl ii: 5’−GAAGATCTGTTTCCCTGGGTATAGTCCAA−3’(配列番号14)
5’−Human IgG1: 5’−GAGCCGCTCGAGGAATTCGTCGACAGATCTTGTGACAAAACTCAC−3’(配列番号15)
3’−Human IgG1: 5’−GGCCGCTCTAGAACTAGTTCATTT−3’(配列番号16)。
【0298】
(pMT/V5−HisにおけるOSCAR−Fcの作製) OSCAR−Fc cDNAを、EcoRIおよびXbaIを使用して、Drosophila発現ベクターpMT/V5−His(Invitrogen)中に連結した。
【0299】
(pGEX6p−1におけるGST−OSCARの作製) 図1Cに示されるOSCARポリペプチドの細胞外ドメイン(配列番号3;アミノ酸残基1〜228)をコードする核酸配列を、5’−OSCAR−Ec−HR(配列番号17)および3’−OSCAR−Ec−STOP−XhoI(配列番号18)と呼ばれるプライマーを使用して、OSCAR cDNAプラスミドからPCR増幅した。このPCR生成物をEcoRIおよびXhoIで消化し、そしてEcoRIおよびXhoIを使用して、pGEX6p−1ベクター中に連結した。このベクターをE.coli BL21株細胞中にトランスフェクトし、そしてIPTGおよびX−gal誘導法を使用してそのE.coli BL21株細胞中で発現させた(例えば、Sambrookら、1989、上記を参照のこと)。
【0300】
使用したプライマーの核酸配列は、以下の通りである:
5’−OSCAR−Ec−HR: 5’−CCCAAGCTTGAATTCGACTTCACACCAACAGCG−3’(配列番号17)
3’−OSCAR−Ec−STOP−XhoI: 5’−CCGCTCGAGTCAGTTTCCCTGGGTATAGTCCAA−3’(配列番号18)。
【0301】
(pGEX6p−1におけるGST−F−OSCARの作製) 図1C(配列番号3)に示されるOSCARポリペプチドの第1のIg様ドメイン(すなわち、アミノ酸残基17〜122)をコードする核酸配列を、5’−OSCAR−Ec−HR(配列番号17、上記)および3’−OSCAR−EcI−STOP−XhoI(配列番号19)と呼ばれるプライマーを使用して、OSCAR cDNAプラスミドからPCR増幅した。このPCR生成物をEcoRIおよびXhoIで消化し、そしてpGEX6p−1ベクター中に連結した。このベクターをE.coli BL21株細胞中にトランスフェクトし、そしてIPTGおよびX−gal誘導法を使用してそのE.coli BL21株細胞中で発現させた(例えば、Sambrookら、1989、上記を参照のこと)。
【0302】
使用したプライマーの核酸配列は、以下の通りである:
5’−OSCAR−Ec−HR: 5’−CCCAAGCTTGAATTCGACTTCACACCAACAGCG−3’(配列番号17)
3’−OSCAR−EcI−STOP−XhoI: 5’−CCGCTCGAGTCAATCCGTTACCAGCAGTTC−3’(配列番号19)。
【0303】
(pGEX6p−1におけるGST−S−OSCARの作製) 図1C(配列番号3)に示されるOSCARポリペプチドの第2のIg様ドメイン(すなわち、アミノ酸残基123〜228)をコードする核酸配列を、5’−OSCAR−EcII−HR(配列番号20)および3’−OSCAR−Ec−STOP−XhoI(配列番号18、上記)と呼ばれるプライマーを使用して、OSCAR cDNAプラスミドからPCR増幅した。このPCR生成物をEcoRIおよびXhoIで消化し、そしてpGEX6p−1ベクター中に連結した。このベクターをE.coli BL21株細胞中にトランスフェクトし、そしてIPTGおよびXgal誘導法を使用してそのE.coli BL21株細胞中で発現させた(例えば、Sambrookら、1989、上記を参照のこと)。
【0304】
使用したプライマーの核酸配列は、以下の通りである:
5’−OSCAR−EcIII−RI: 5’−GGAATTCGATCAGCTCCCCAGACCAT−3’(配列番号20)
3’−OSCAR−Ec−STOP−Xho I: 5’−CCGCTCGAGTCAGTTTCCCTGGGTATAGTCCAA−3’(配列番号18)。
【0305】
(OSCAR−Fcの精製) OSCAR−IgGを、記載された(Sambrookら、1989、上記)ようにプロテインAクロマトグラフィーを使用して、培養上清から精製した。
【0306】
(破骨細胞成熟アッセイ) 破骨細胞を、Sudaら(Methods in Enzymolozy 1977、282、223〜35)により記載されるように、野生型マウスおよびTRANCEノックアウトマウスの頭蓋冠から単離した。破骨細胞と造血前駆体との同時培養実験において、骨髄細胞(1×105細胞)および破骨細胞(1×104細胞)を、1×10−7Mまたは1×10−8Mの1α,25(OH)2D3の存在下で、10%FBSを含むα−MEM中で、96ウェルプレート(0.2ml/ウェル)にて同時培養した。20μg/mlのOSCAR−IgGまたはヒトIgG1を培養物に添加して、破骨細胞の分化の間のOSCARの役割を観察した。160μlの古い培地を新鮮な培地で置換することによって、3日ごとに培養液を供給した。6日または7日の間培養した後、細胞を固定し、記載された(Waniら、Endocrinology 1999、140:1927〜1935)ように、TRAP(SIGMA)について染色した。3つを超える核を有するTRAP(+)多核性破骨細胞の数を、ウェル各々から計数した。
【0307】
(結果および考察)
(OSCAR−Lは、破骨細胞の表面上に発現される) マウス頭蓋冠由来の初代破骨細胞を、アイソタイプコントロールヒトIgG1タンパク質(図13A)、または上記の材料および方法の節に記載されるOSCAR−Ig融合ポリペプチドのいずれかで染色(すなわち、インキュベート)し(図13B)、その後、PE結合体化抗ヒトIgG1抗体とともにインキュベートした。その後、その細胞をFACSによって分析し、これらの細胞に関連するPE蛍光のレベルを検出した。その結果を、図13A〜Bに示すヒストグラムにおいて示す。詳細には、これらのヒストグラムは、各実験について、特定レベルのPE蛍光(水平軸)を有する、観察された細胞の数(垂直軸)を示す。より高い観察された蛍光レベルを有する細胞は、より多量のPE結合体化抗体がそれらの細胞に結合していることを示す。次いで、このPE結合体化抗ヒトIgG抗体は、細胞表面に結合したhIgG(図13A)またはOSCAR−Ig(図13B)のいずれかに、例えば、OSCAR特異的リガンドへの結合によって結合することによって、その細胞に間接的に結合する。
【0308】
PE蛍光レベルは、その細胞をOSCAR−Ig融合ポリペプチドとともにインキュベートした場合に、IgG1コントロールとともにインキュベートした細胞におけるPE蛍光と比較して、有意に増加した。従って、このデータは、破骨細胞が、本発明のOSCARポリペプチドに特異的に結合する化合物(すなわち、OSCARリガンド)を発現することを示す。特に、IgG1ポリペプチドが破骨細胞に結合しなかったので、それらの細胞により発現されたOSCARリガンドは、これらの実験において使用したOSCAR−Ig融合ポリペプチドのOSCARポリペプチド配列に特異的に結合し、かつその融合ポリペプチドのIgG1配列には結合しない。
【0309】
PE蛍光レベルは、破骨細胞をビタミンD3または副甲状腺ホルモンのいずれかで処理した同じ実験においても、有意には変化しなかった。ビタミンD3または副甲状腺ホルモンは、それぞれ、破骨細胞および破骨細胞活性を増加させることが公知である。従って、そのOSCARリガンドの発現は、このような化合物により影響されない。
【0310】
(OSCAR−Igの添加は、破骨細胞活性を調節する) OSCARポリペプチドが破骨細胞および/または骨芽細胞の活性を調節する能力を試験するために、パイロット実験を行った。マウスの骨髄細胞および骨芽細胞を、破骨細胞成熟アッセイにおいて、上記のように共培養した。指定された単一の時点での共培養物の観察は、アイソタイプ−コントロールヒトIgG1タンパク質で処理したTRAP染色共培養物において、成熟(すなわち、多核性)破骨細胞の存在を明らかにしなかった。ビタミンD3(100nM)およびコントロールIgG1タンパク質での共培養した骨髄細胞および骨芽細胞のさらなる処理は、TRAP染色によって検出されたように、多核性の破骨細胞の形成を誘導した。より低いレベルのビタミンD3(10nM)での共培養した骨髄細胞および骨芽細胞の処理は、いくらかの破骨細胞前駆細胞の形成を生じたが、成熟した多核性の破骨細胞は、TRAP染色によって検出されなかった。これらの結果は、骨芽細胞中のTRANCEを活性化し、それによって破骨細胞成熟を誘導する、ビタミンD3の既知の能力に起因して、予測どおりである。実際、TRANCEノックアウト破骨細胞を骨髄細胞とこの共培養したコントロール実験において、同様のレベルのビタミンD3での処理は、破骨細胞の成熟に対して効果を有さなかった。
【0311】
対照的に、ビタミンD3(10nMまたは100nM)および上記のOSCAR−Ig融合ポリペプチドでの共培養細胞の処理は、上記のコントロール実験と比較して、形成された成熟多核性破骨細胞の数の明らかな増加を生じた。これらの結果を、図14に定量的に示す。
【0312】
TRAP(+)多核性細胞の観察は、破骨細胞成熟を示す。従って、OSCAR融合ポリペプチドの存在下でのこれらの細胞数の増加は、破骨細胞活性が、この特定のパイロット実験の特定の条件下で、いくつかの様式で調節されたことを示唆する。いかなる特定の理論にも作用機構にも限定されないが、これらの実験において使用された可溶性OSCARポリペプチドは、骨芽細胞によって発現されるOSCAR特異的リガンドに競合的に結合し、それによって、そのOSCAR特異的リガンドと、骨髄細胞によって(例えば、骨髄細胞中の破骨細胞前駆細胞および未成熟破骨細胞によって)発現されるOSCARポリペプチドとの間の相互作用を妨げると考えられる。
【0313】
従って、これらの実験において示されたデータは、本発明のOSCARポリペプチドおよびOSCAR特異的リガンドを使用して、破骨細胞の成熟および/または活性を調節し、それによって、骨組織の成長、発達、修復、分解、吸収または恒常性に関連するプロセスの調節を可能にし得ることを示す。
【0314】
(実施例5:OSCARの細胞外ドメインを含む融合タンパク質は、破骨細胞の成熟および活性を阻害する)
この実験は、予備データ(上記実施例4に示される)によってOSCARが破骨細胞活性を調節し得ることを示された後に行った、さらなるより確定的な実験を記載する。詳細には、破骨細胞成熟の速度論的測定からのデータを提示する。これらのデータは、破骨細胞の活性を調節するOSCAR融合ポリペプチドの能力をさらに特徴付ける。
【0315】
(材料および方法)
(OSCAR−Fc融合タンパク質の生成および精製) OSCAR−Ig融合タンパク質の調製を、実施例4に先に記載のように行った。
【0316】
(破骨細胞成熟の速度論的測定) 骨髄細胞および破骨細胞を、先の実施例4に記載のように、野生型マウスおよびTRANCEノックアウトマウスから単離し、そして96ウェルプレート中で共培養した。元の共培養物よりも高い破骨細胞特異的前駆細胞の集団を含む、浮遊細胞培養物もまた調製した。手短に言うと、全骨髄培養物(3×105細胞)を5ng/mlのマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)で処理し、その後、得られたマクロファージ細胞を除去することよって、この浮遊培養物を調製した。
【0317】
10nMのビタミンD3をこれらの培養物に添加し、破骨細胞成熟を刺激した。20μg/mlのOSCAR−IgまたはヒトIgG1のいずれかもまた、培養物に添加して、破骨細胞分化中のOSCARの役割を観察した。コントロール培養物もまた、10nMのビタミンD3のみ(すなわち、OSCARもIgG1もなし)を添加して調製したか、またはビタミンD3もタンパク質も添加しない培地中で培養したかのいずれかであった。少なくとも6日間培養した後、ウェル中のTRAP(+)多核性細胞の数を、先に実施例4に記載したように、毎日カウントした。
【0318】
(象牙質吸収アッセイ) 骨吸収活性を示す、象牙質吸収アッセイを、以前に記載されたように行った。例えば、Tamuraら、J.Bone Miner.Res.1993,8(8):953−60;およびSudaら、Methods in Enzymology 1997、282:223−25を参照のこと。
【0319】
手短に言うと、マウスの骨芽細胞および骨髄細胞の共培養物を、象牙質スライス上で、かつ10nMのビタミンD3の存在下で、上記のように調製した。20μg/mlのOSCAR−IgGまたはヒトIgG1をこの培養物に添加し、破骨細胞活性(すなわち、骨吸収または象牙質吸収)に対するOSCARの役割を観察した。コントロール培養物もまた、10nMのビタミンD3のみ(すなわち、OSCAR−IgもIgG1もなし)の存在下でか、あるいはビタミンD3または融合タンパク質のいずれにも曝露しないでのいずれかで、象牙質スライス上で増殖させた。
【0320】
6日間の象牙質スライス上での培養後、細胞をTRAPで染色し、多核性の破骨細胞を検出した。象牙質スライス中の吸収窩を、光学顕微鏡で可視化した。
【0321】
(結果および考察)
(OSCAR−Igの添加は、TRAP(+)の数を減少させる)
(多核性細胞) OSCARが破骨細胞の成熟および/または活性をどのように調節し得るかをより良好に特徴付けるために、OSCARポリペプチドの存在下および非存在下の両方で数日間の期間にわたって破骨細胞成熟をモニターする、速度論的実験を行った。この速度論的実験は、OSCARが有し得る破骨細胞に対する効果を完全に特徴付けるために必要である。なぜなら、成熟破骨細胞は、通常は、培養物中で生存可能に存続しないからである。従って、破骨細胞を刺激する因子は、培養物中で観察される成熟(すなわち、多核性)破骨細胞の数の最初の増加、およびその後の成熟後細胞死に起因する数の減少によって、特徴付けられ得る。図15A〜15Cは、共培養マウス骨髄細胞および骨芽細胞(図15A〜15B)、および破骨細胞特異的前駆細胞のより高い集団を含む浮遊細胞培養物(図15C)を使用した、速度論的実験について得られたデータを示す。
【0322】
図15Aにおいて定量的に示されるように、多核性TRAP(+)細胞の数によって示される、全骨髄培養物中のビタミンD3刺激骨芽細胞成熟は、処理後約7日で劇的にピークに達する。しかし、この最初の増加の後、それぞれ8日目および9日目までに、活性は、迅速に進行的に減少する。対照的に、ビタミンD3およびOSCAR−Ig融合ポリペプチドでの共培養物の処理は、コントロール実験と比較して、6日目〜9日目に形成されるTRAP(+)細胞数において有意な減少を生じた。
【0323】
処理7日後(この時点で、刺激された破骨細胞成熟がピークに達した)で共培養物中に存在する成熟(すなわち、TRAP(+)、多核性)細胞の数を示す棒グラフを、図15Bに示す。ビタミンD3のみの存在下またはコントロールIgGと共にビタミンD3の存在下のいずれかで培養した細胞は、成熟破骨細胞の数の顕著な増加(1ウェル当たり約150〜200個の細胞)を示す。成熟破骨細胞の数は、ビタミンD3およびOSCAR−Ig融合タンパク質を含む共培養物においては大いに減少される(すなわち、1ウェル当たり50個未満の細胞)。
【0324】
浮遊細胞培養物についての速度曲線(図15C)は、TRAP(+)細胞の数において類似するが、より段階的な増加が、ビタミンD3によって処理の約7日後で誘導され、少なくとも9日目まで継続する。ビタミンD3およびコントロールヒトIgG1タンパク質での浮遊細胞培養物の処理は、予測されたように、類似の増殖曲線を生じる。しかし、ビタミンD3およびOSCAR−Ig融合タンパク質での浮遊細胞培養物の処理は、図15Aに示される共培養された骨髄細胞および骨芽細胞培養物について観察された阻害と類似の様式で、破骨細胞の成熟を有意に阻害する。
【0325】
(OSCAR−Igは、破骨細胞による象牙質吸収を阻害する) 象牙質吸収アッセイ実験もまた、以前に記載されたように行い(例えば、Yasudaら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1998、95:3597−3602;およびTamuraら、J.Bone Miner.Res.1993、8:953−960)、破骨細胞および/または骨芽細胞の活性に対するOSCARの効果をより徹底的に特徴付けた。より詳細には、このアッセイは、骨または象牙質の吸収に対するOSCARの効果を検出する。図16のパネルA〜Eは、象牙質スライド上で共培養した、TRAP(+)染色マウス骨芽細胞および骨髄細胞の顕微鏡写真を示す。図16のパネルF〜Jは、対応する象牙質スライドの顕微鏡写真を示す。顕微鏡写真の暗い染色は、象牙質が吸収された、スライド中の窩を示す。
【0326】
予測されるように、ビタミンD3を含まない象牙質スライド上で共培養した細胞(パネル16A)は、TRAP(+)細胞の欠失によって示されるように、ほとんどまたは全く破骨細胞成熟を示さない。同様に、その対応する象牙質スライド上には、吸収が示されない(図16F)。対照的に、10−8MのビタミンD3のみ(図16B)またはコントロールIgGタンパク質(20μg/ml)と共に10−8MのビタミンD3(図16E)のいずれかに曝露した場合、象牙質スライド上の共培養物は、顕著に増加したTRAP(+)染色を示す。象牙質吸収を示す暗い染色もまた、それらの対応する象牙質スライド(それぞれ、図16Gおよび16J)上に観察される。これらの吸収窩は、対応する細胞培養物中のTRAP(+)染色領域と相関し、これは、予測されたように、破骨細胞成熟の増加が吸収の増加と相関することを確証する。
【0327】
これらの陽性コントロールで観察されたものとは対照的に、10−8MのビタミンD3と一緒にOSCAR−Ig(20μg/mL)と共にインキュベートした象牙質上の共培養物は、ごくわずかにしかTRAP(+)染色を示さないかまたは全くTRAP(+)染色を示さず(図16C)、そして象牙質吸収は、ほとんどまたは全く存在しない(図16H)。従って、OSCAR−Igでの処理は、実際には、破骨細胞の活性を阻害し、そしてより詳細には、骨または象牙質の吸収を阻害する。
【0328】
OSCAR−Igで観察されたこれらの結果を確認するために、陰性コントロール実験もまた実施した。詳細には、骨芽細胞および骨髄細胞の共培養物を、10−8MのビタミンD3およびマウスTRANCEインヒビター(mTR−Fc)(破骨細胞活性の公知のインヒビター(Fullerら、J.Exp.Med.1998、188:997−1000))と共にインキュベートした。予測されたように、これらの共培養物において、TRAP(+)染色は、ほとんどまたは全く観察されず(図16D)、存在した場合でも、ごくわずかな象牙質吸収しか生じなかった(図16I)。
【0329】
これらの象牙質吸収実験からの結果を、図17に定量的に示す。詳細には、これらの図の棒グラフは、共培養した破骨細胞および骨髄細胞の各スライス上でカウントされた、象牙質吸収窩の平均の数を示す。平均して100個を超える窩が、ビタミンD3のみ(102.7±16.8個)またはコントロールIgG1タンパク質(114.7±22.2個)と共にインキュベートしたスライス上で観察された。対照的に、OSCAR−Igと共にインキュベートすると、10分の1未満に吸収が阻害され、各スライス上には10個未満(7±2)の窩が観察される。
【0330】
従って、これらの実験からのデータは、本発明のOSCARポリペプチドおよびOSCAR特異的リガンドが、破骨細胞の成熟および/または活性(例えば、本明細書中に記載される象牙質吸収アッセイによって測定または推測され得る、骨または象牙質の吸収のような活性を含む)を調節するために使用され得ることを確証する。詳細には、いかなる特定の理論にも作用機構にも限定されないが、これらの実験において使用された可溶性OSCARポリペプチドは、骨芽細胞によって発現されるOSCAR特異的リガンドに競合的に結合し、それによって、骨髄細胞によって(例えば、破骨細胞前駆細胞によって、および骨髄細胞中の未成熟破骨細胞によって)発現されるOSCARポリペプチドが活性化されるのを妨げると考えられる。結果として、OSCARがその特定のリガンドに結合することによって通常活性化または刺激される、破骨細胞の成熟および活性は、阻害される。従って、本発明の方法および組成物を使用して、破骨細胞活性に関連するプロセス(骨組織の成長、発達、修復、分解、吸収または恒常性に関連するプロセスが挙げられるが、これらに限定されない)が容易に調節され得る。
【0331】
(実施例6:OSCAR−Ig融合タンパク質が破骨細胞成熟を阻害する能力は、種間で交差反応性である)
上記の実施例4および5は、マウス由来のOSCAR核酸配列およびOSCARアミノ酸配列を使用する、可溶性OSCARポリペプチド(OSCAR−IgまたはmOSCAR−Igと称する)の調製および単離を記載する。これらの実施例はまた、マウス細胞の成熟および活性を調節するための可溶性OSCARポリペプチドの使用を実証する。
【0332】
本実施例は、ヒト由来のOSCAR核酸配列およびOSCARアミノ酸配列を使用する可溶性OSCARポリペプチド(hOSCAR−Igと称する)の調製および単離を記載し、ヒト細胞の成熟および活性を調節するためのこの可溶性ヒトOSCARポリペプチドの使用をさらに実証する。OSCARが異なる種間で交差反応性であることを示すデータもまた示される。詳細には、本実施例は、ヒト細胞の成熟および活性を調節するための可溶性マウスOSCARポリペプチドの使用を実証する。同様に、マウス細胞の成熟および活性を調節するためのヒトOSCARポリペプチドの使用もまた記載する。
【0333】
(材料および方法)
(pcDNAにおけるhOSCAR−Fcの生成) 図3Aに示されるヒトOSCARポリペプチドの細胞外ドメイン(配列番号6:アミノ酸残基1〜219)をコードする核酸配列を、5’hOSCAR−Met−XhoIおよび3’−hOSCAR−Ec−HindIIIと称するプライマー(それぞれ、配列番号21および配列番号22)を使用して、hOSCAR cDNAプラスミドからPCR増幅した。そのPCR産物を、XhoIおよびHindIIIで消化した。
【0334】
Thrombin−SおよびThrombin−ASと称するプライマー(それぞれ、配列番号23および配列番号24)を使用して、上記の生成された産物をさらに増幅することによって、トロンビン部位を、ヒトOSCARの末端に挿入した。
【0335】
ヒトIgG1のFc領域を、5’−Human IgG1(配列番号15)および3’−Human IgG1(配列番号16)と称するプライマーを使用して、ヒトcDNAプラスミドからPCR増幅した。この第3のPCR反応由来の産物を、Bgl IIおよびXbaIで消化した。次いで、両方のPCR反応由来の消化産物を、Ex6およびXbaIを使用して、pcDNA1発現ベクターに連結した。
【0336】
使用したプライマーの核酸配列は、以下のとおりである:
5’hOSCAR−Met−XhoI:5’−CCGCTCGAGACCATGGCCCTGGTGCTGAT−3’(配列番号21)
3’−hOSCAR−Ec−HindIII:5’−CCCAAGCTTTGATCCTCCTCCGTCTTCCCAGCTGATGACCA−3’(配列番号22)
Thrombin−S:5’−CCCAAGCTTCTGGTTCCGCGTGGATCCGCG−3’(配列番号23)
Thrombin−AS:5’−CGCGGATCCACGCGGAACCAGAAGCTTGGG−3’(配列番号24)
5’−Human IgG1:5’−GAGCCGCTCGAGGAATTCGTCGACAGATCTTGTGACAAAACTCAC−3’(配列番号15)
3’−Human IgG1:5’−GGCCGCTCTAGAACTAGTTCATTT−3’(配列番号16)。
【0337】
(pMT/V5−HisにおけるhOSCAR−Fcの生成) hOSCAR−Fc cDNAを、XhoIおよびXbaIを使用して、Drosophila発現ベクターpMT/V5−His(Invitrogen)に連結した。
【0338】
(hOSCAR−Fcの精製) hOSCAR−IgGを、記載されるように(Sambrookら、1989、前出)プロテインAクロマトグラフィーを使用して培養上清から精製した。
【0339】
(ヒト単球培養物の生成) 血液白血球を、Leukopakフィルターを使用する連続濾過白血球搬出法(CFL)によって収集し、次いで、向流遠心溶離に供して、質量によって分けられた別々の画分を得た。CD14+細胞について約90%の純度を含む画分は、単球である。Matsuzakiら、Biochem.Biophys.Res.Comm.1998、246(1):199−204に記載されるように、この単球を維持し、そしてヒト破骨細胞へ分化するように誘導した。
【0340】
(マウス骨髄細胞培養物) マウス骨芽細胞および骨髄細胞の共培養物を、実施例4に記載されるように調製した。
【0341】
(象牙質吸収アッセイ) 象牙質吸収アッセイを、上記のように調製したヒト単球細胞培養物を使用して、慣用的なプロトコル(実施例5(前出)およびTamuraら、J.Bone Miner.Res.1993、8(8):953−960)に従って行った。
【0342】
(結果および考察)
(OSCAR−Igは、ヒト破骨細胞の成熟および活性を阻害する) 実施例4および5(前出)に記載の実験と同様の実験を、可溶性マウスOSCARポリペプチドおよびヒトOSCARポリペプチド(それぞれ、mOSCAR−IgおよびhOSCAR−Ig)を使用して行い、OSCARポリペプチドがヒト細胞の成熟および/または活性を調節する能力を特徴付けた。詳細には、ヒト単球細胞を、M−CSF(30ng/ml)、TRANCE(200ng/ml)、および20ng/mlの可溶性hOSCAR−IgまたはmOSCAR−Igのいずれかの存在下で培養し、そしてTRAP(+)多核性細胞を、曝露後5日および10日にのいずれかでカウントした。これらのデータを、それぞれ、図18A(曝露後5日)および図18B(曝露後10日)にグラフで示す。コントロール実験もまた行い、ここでは、ヒト単球を、M−CSFおよびTRANCEのみ(すなわち、OSCAR−Igなし)と共にか、またはM−CSF、TRANCEおよびヒトIgG1ポリペプチドと共にのいずれかで培養した。ネガティブコントロールのために、ヒト単球細胞を、M−CSFのみ(すなわち、TRANCEもOSCAR−Igもなし)と共に、およびM−CSF、TRANCEおよび公知の破骨細胞インヒビターTR−Fc(実施例5(前出)を参照のこと)と共に、培養した。
【0343】
予測されたように、M−CSFのみ(M)またはM−CSF、TRANCEおよびTR−Fc(MT+TR−Fc)と共にインキュベートした細胞培養物には、TRAP(+)多核性細胞が、ごくわずかにしか観察されなかったかまたは全く観察されなかった。図18Aおよび図18Bの、それぞれ、レーン1、5および6を参照のこと。しかし、対照的に、M−CSFおよびTRANCEのみ(MT;図18Aおよび18Bのレーン2)またはM−CSF、TRANCEおよびIgG(MT+IgG;図18Aおよび18Bのレーン5)のいずれかとのヒト単球細胞のインキュベーション、hOSCAR−IgG(図18Aおよび18Bのレーン3)との単球のインキュベーションは、それらが破骨細胞の成熟レベルの上昇を阻害したことを示した。mOSCAR−IgG(図18Aおよび18Bのレーン4)とのインキュベーションは、同様の効果を有した。hOSCAR−Igと比較して、mOSCAR−Igとの10日間のインキュベーションの後に、いくらか多くのTRAP(+)多核性細胞が観察された(図18B、それぞれ、レーン4および3)。にもかかわらず、mOSCAR−Igとの10日間のインキュベーションの後に観察されたTRAP(+)多核性細胞の数は、ヒト細胞をM−CSFおよびTRANCEのみとインキュベートした場合またはIgG1とインキュベートした場合に観察された数よりも、1桁を超えて低い。従って、ヒトおよびマウスの両方のOSCARポリペプチドは、ヒト破骨細胞の成熟および活性を効果的に調節し得る。
【0344】
これらの細胞の培養物由来の顕微鏡写真を、図19(曝露後5日)および図20(曝露後10日)に示す。M−CSFおよびTRANCE(図19Bおよび20B)またはM−CSF、TRANCEおよびIgG1(図19Fおよび20F)と共にインキュベートした培養物は、より多くの多核性細胞(矢印によって示される)を有するが、hOSCAR−Ig(図19Cおよび20C)またはmOSCAR−Ig(図19Dおよび20D)のいずれかと共に培養した培養物由来の顕微鏡写真には、多核性細胞は、ごくわずかにしか観察され得ないかまたは全く観察され得ない。
【0345】
象牙質吸収アッセイ(実施例5(前出)に記載されるような)もまた、ヒト単球細胞培養物を使用して行い、ヒト破骨細胞活性を調節するマウスOSCARポリペプチドの能力を確認した。これらの実験の結果を、図21A〜Jに示す。詳細には、図21のパネルA〜Eは、30ng/mlのM−CSF(図21A)、30ng/mlのM−CSFおよび200ng/mlのTRANCE(図21B)、M−CSF(30ng/ml)、TRANCE(200ng/ml)および20μg/mlのmOSCAR−Ig(図21C)、M−CSF(30ng/ml)、TRANCE(200ng/ml)および5μgのTR−Fc(図21D)、ならびにM−CSF(30ng/ml)、TRANCE(200ng/ml)および20μg/mlのhIgG1(図21E)の存在下で象牙質スライド上で培養した、ヒト単球細胞の顕微鏡写真を示す。図21F〜Jは、それぞれ、図21A〜Eの細胞培養物を洗い流した後の象牙質スライドの顕微鏡写真を示す。これらの顕微鏡写真の暗い染色は、象牙質が吸収された窩を示す。
【0346】
マウス細胞を使用した象牙質吸収実験で観察されたもの(実施例5(前出)および図17A〜17Cを参照のこと)と類似して、ヒト単球をM−CSFのみ(図21F)またはTR−Fc(図21I)のいずれかと共に培養した場合、象牙質吸収は、ほとんど観察されなかったかまたは全く観察されなかった。しかし、ヒト単球細胞をTRANCEのみ(図21G)またはTRANCEおよびコントロールIgG1ポリペプチド(図21J)のいずれかと培養した場合、有意な吸収が観察された。しかし、TRANCEの存在下で観察された増加した吸収レベルは、ヒト単球細胞をmOSCAR−Igとインキュベートした場合、阻害された(図21H)。
【0347】
従って、これらの実験からの結果は、ヒト細胞(すなわち、ヒト破骨細胞)の成熟および活性の両方が、本発明のOSCARポリペプチド(ヒトOSCARポリペプチドのみならず、マウスのような他の生物種由来のOSCARポリペプチドも含む)によって調節され得ることを示す。
【0348】
(ヒトOSCARは、マウス細胞と交差反応性である) ヒト単球細胞を使用する上記の実験と同様の逆の実験もまた行い、ヒトOSCARポリペプチドが他の生物種由来の細胞の成熟および活性を調節する能力を調査した。詳細には、これらの実験は、hOSCAR−Igポリペプチドがマウス骨芽細胞の成熟および活性を調節する能力を調査した。これらの実験は、マウス破骨細胞および骨髄細胞の共培養物を使用する、第4節および5節に記載の実験(前出)と本質的に同じであった。しかし、これらの実験において、細胞培養物を、先の実施例で使用した可溶性マウスOSCARポリペプチドに代えて、可溶性ヒトOSCARポリペプチド(hOSCAR−Ig)と共にインキュベートした。これらの特定の実験からの結果を、図22および23に示す。詳細には、図22A〜22Fは、増殖培地のみ(図22A)、ビタミンD3(図22B)、ビタミンD3およびhOSCAR−Ig(図22C)、またはビタミンD3およびmOSCAR−Ig(図22D)のいずれかと共に6日間インキュベートした後の、TRAP染色マウス細胞培養物の顕微鏡写真を示す。陽性コントロール実験および陰性コントロール実験もまた行い、ここでは、マウス細胞の共培養物を、ビタミンD3およびIgG1ポリペプチド(図22F)またはビタミンD3およびTR−Fc(図22E)のいずれかと共にインキュベートした。各培養物中でカウントされたTRAP(+)多核性細胞の数を、図23にグラフで示す。マウス細胞を使用する他の実験で観察されたものと一致して、ビタミンD3およびマウスOSCARポリペプチドと共にインキュベートした共培養物は、ビタミンD3のみまたはビタミンD3およびコントロールIgG1ポリペプチドとインキュベートした共培養物で観察された数と比較して、有意に少ない成熟破骨細胞を有した。しかし、興味深いことに、ビタミンD3およびヒトOSCARポリペプチドと共にインキュベートした共培養物は、同様のレベルの破骨細胞阻害を有した。
【0349】
従って、本実施例で記載される実験は、本発明のOSCAR核酸およびOSCARポリペプチドが交差反応性であり、そしてそのOSCAR核酸またはOSCARポリペプチドが由来する生物種と同じかまたは異なるかのいずれかであり得る生物種において、破骨細胞の成熟および/または活性を調節するために使用され得ることを実証する。従って、本発明のOSCARポリペプチドおよびOSCAR核酸は、本発明のOSCARポリペプチドおよびOSCAR核酸が由来する種と同じ生物種または本発明のOSCARポリペプチドおよびOSCAR核酸が由来する種とは異なる生物種のいずれかにおいて、骨組織の成長、発達、修復、分解、吸収または恒常性に関連するプロセスを調節するために使用され得る。
【0350】
本発明は、本明細書中に記載される特定の実施形態によって範囲が制限されるべきでない。実際、本明細書中に記載される改変に加え本発明の種々の改変が、前述の説明および添付の図面から当業者に明らかとなる。このような改変は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0351】
多くの参考文献(特許、特許出願および他の刊行物を含む)が、本発明の説明において引用および考察されている。このような参考文献の引用および/または考察は、単に、本発明の説明を明確にするために提供され、いかなるこのような参考文献も本明細書中に記載の本発明の「先行技術」であることを認めるものではない。本明細書中に引用および考察された全ての参考文献は、その全体が参考として、各参考文献が参考として個々に援用されるのと同程度で、本明細書中に援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1A〜1Cは、マウスOSCAR遺伝子の1.8kb(図1A;配列番号1)および1.1kb(図1B;配列番号2)のスプライス改変体のcDNA配列を示す。各配列の開始コドン(ATG)および終止コドン(TGA)を、太字で示す。両方のcDNA転写物によってコードされるOSCARポリペプチド配列を、図1C(配列番号3)に示す。
【図2】
図2A〜2Bは、クローンOCL178中に含まれるマウスOSCARフラグメントのcDNA配列(図2A;配列番号4)を示す。このクローンによってコードされるOSCARポリペプチドフラグメントのアミノ酸配列(これは、配列番号3のアミノ酸残基161〜265の配列に対応する)を、図2B(配列番号5)で示す。
【図3】
図3A〜3Bは、ヒトOSCAR遺伝子およびその遺伝子産物のC18アイソフォームの、cDNA配列(図3A;配列番号6)および推定アミノ酸配列(図3B;配列番号7)を示す。
【図4】
図4A〜4Bは、ヒトOSCAR遺伝子およびその遺伝子産物のC16アイソフォームの、cDNA配列(図4A;配列番号8)および推定アミノ酸配列(図4B;配列番号9)を示す。
【図5】
図5A〜5Bは、ヒトOSCAR遺伝子およびその遺伝子産物のC10アイソフォームの、cDNA配列(図5A;配列番号10)および推定アミノ酸配列(図5B;配列番号11)を示す。
【図6】
図6は、図1C(配列番号3)に示されるマウスOSCARポリペプチド配列と図3B(配列番号7)に示されるヒトOSCARポリペプチドのC18アイソフォームのアミノ酸配列の整列を示す。マウスOSCARポリペプチド配列およびヒトOSCARポリペプチド配列を、それぞれ、mOSCAR(上の列)およびhOSCAR(下の列)で示す。
【図7】
図7A〜7Dは、ヒト第19染色体クローンCTD−3093(GenBank登録番号AC012314.5;GI:7711547)からのヌクレオチド残基117001−124920(配列番号12)の配列を示す。このヒト第19染色体クローンCTD−3093から、ヒトOSCAR遺伝子が、BLASTNアルゴリズムを用いて単離された。ヒトOSCAR遺伝子のエキソン配列を大文字で示す。ヒトOSCAR遺伝子の翻訳領域(すなわち、タンパク質コード領域)に、下線を引く。
【図8】
図8A〜8Bは、骨髄由来マクロファージ(図8A)および骨髄由来破骨細胞(図8B)由来の総cDNAプローブを用いた、差し引きcDNAライブラリー(マウスOC−MΦ)における、250個の無作為に選択したクローンからのプラスミドDNAのサザンブロットを示す。
【図9】
図9は、それぞれ、マウスOSCARフラグメントOCL178(上段)、破骨細胞特異的遺伝子TRAP(中段)、および破骨細胞特異的遺伝子カテプシンK(下段)由来の標識cDNAを、骨髄由来マクロファージ(BMM)、骨髄由来破骨細胞(BMOC)および骨髄由来樹状細胞(BMDC)由来のmRNAに対してハイブリダイズさせた、ノーザンブロットアッセイの結果を示す。
【図10】
図10は、マウスOSCARフラグメントOCL178(上段)、ならびに破骨細胞特異的遺伝子TRAP(中段)およびカテプシンK(下段)由来の標識cDNAを、種々の異なる組織(筋肉、腎臓、脳、心臓、肝臓、肺、腸、胸腺、脾臓、リンパ節、および破骨細胞(OCL)を含む)由来のmRNAに対してハイブリダイズさせた、ノーザンブロットアッセイの結果を示す。
【図11】
図11A〜11Cは、TRANCEを用いたインビトロ処理によって破骨細胞様の細胞に分化するRAW264.7細胞(RAW)由来のmRNAに対して比較した、マウスOSCARフラグメントOCL178由来の標識cDNAを、骨髄由来マクロファージ(BMM)および破骨細胞(OCL)由来のmRNAに対してハイブリダイズさせたノーザンブロットアッセイを示す。図11Aは、マクロファージおよび破骨細胞由来のmRNAを用いたノーザンブロットを、TRANCE投与の0、3および24時間後に抽出したRAW264.7細胞のmRNAを用いたノーザンブロットと比較する。図11Bは、TRANCE投与の1、2、3および4日後のRAW264.7細胞 mRNAからのノーザンブロットを示す。図11Cは、頭蓋組織および長骨組織から抽出したmRNAのノーザンブロットを、破骨細胞(BMOC)由来の骨髄から抽出したmRNAのノーザンブロットと比較する。
【図12】
図12A〜12Bは、マウスOSCARヌクレオチドプローブを用いた、EcoRIおよびBglIIで消化したマウスゲノムDNA(図12A)およびヒトゲノムDNA(図12B)のサザンブロット分析を示す。
【図13】
図13A〜13Bは、アイソタイプコントロールヒトIgG1(図13A)または可溶性OSCAR−Ig融合ポリペプチド(図13B)、続いて、PE結合体化抗ヒトIgG1抗体を用いて染色した、初代骨芽細胞のFACS分析からの結果を示す。
【図14】
図14は、可溶性OSCAR−Ig融合ポリペプチドの存在下(黒四角)またはヒトIgG1の存在下(白四角)のいずれかにて、骨髄細胞を骨芽細胞と共に共培養し、そして示された量のビタミンD3を用いて処理した場合に観察された、TRAP(+)多核破骨細胞の数を示すチャートを示す。
【図15】
図15A〜15Cは、破骨細胞先駆体と骨芽細胞との共培養において(図15A〜C)、ビタミンD3(白四角)、ビタミンD3および可溶性OSCAR−Ig融合ポリペプチド(白菱形)、またはビタミンD3およびコントロールIgG1ペプチド(白丸)の存在下で6、7、8、および9日間インキュベートした後にTRAP(+)多核破骨細胞の数を計数した、動力学的実験からのデータをグラフで示す。図15A〜Bにおいて、総骨髄細胞を、破骨細胞前駆体に対して使用したが、図15Cにおいて、M−CSF依存性骨髄浮遊細胞を、共培養実験に使用した。図15Bは、共培養実験において、7日間のインキュベーション後に観察された、TRAP(+)多核破骨細胞の数を示す棒グラフである。
【図16】
図16A〜16Jは、マウス骨髄細胞および骨芽細胞の共培養を用いた象牙質再吸収アッセイからの顕微鏡写真である(Tamuraら、J.Bone Miner.Res.1993,8:953−960)。図16A〜16Eは、象牙質スライス上のTRAP(+)破骨細胞の顕微鏡写真である。図16F〜16Jは、細胞を除去した後の対応する象牙質スライスの顕微鏡写真である。これらの顕微鏡写真中の暗い染色部は、象牙質が再吸収した領域を示す。より詳細には、図16Aおよび16Fは、それぞれ、増殖培地単独でインキュベートした、TRAP(+)細胞および象牙質スライスを示す。図16Bおよび16Gは、ビタミンD3と共にインキュベートした、TRAP(+)細胞(図16B)および象牙質スライス(図16G)の顕微鏡写真である。ビタミンD3および可溶性マウスOSCAR−Ig融合ポリペプチドと共にインキュベートした、TRAP(+)破骨細胞および象牙質スライスの顕微鏡写真を、それぞれ、図16Cおよび16Hに示す。図16Dおよび16Iは、ビタミンD3およびTR−Fc融合ポリペプチドと共にインキュベートした、TRAP(+)破骨細胞(図16D)および象牙質スライス(図16I)の顕微鏡写真である。図16Eおよび16Jは、それぞれ、ビタミンD3およびコントロールIgG1融合ポリペプチドと共にインキュベートした、TRAP(+)細胞および象牙質スライスの顕微鏡写真である。
【図17】
図17は、図16A〜16Jに示される象牙質再吸収データからの定量的結果を示す棒グラフである。再吸収のピットは、象牙質スライスについて計数し、この象牙質スライスの上で、マウス破骨細胞前駆体および骨芽細胞の共培養を、増殖培地単独(「培地」)、ビタミンD3を有する増殖培地(「Vit.D3」)、ビタミンD3およびOSCAR−Igを有する増殖培地(「Vit.D3+OSCAR−IgG」)、またはビタミンD3およびコントロールIgG1ポリペプチド有する増殖培地(Vit.D3+IgG)中でインキュベートした。
【図18】
図18Aおよび18Bは、以下:(a)M−CSF単独(「M」);(b)M−CSFおよびTRANCE(「MT」);(c)M−CSF、TRANCEおよび可溶性ヒトOSCAR−Ig融合ポリペプチド(「MT+hOSCAR−IgG」);M−CSF、TRANCEおよび可溶性マウスOSCAR−Ig融合ポリペプチド(「MT+mOSCAR−IgG」);(c)M−CSF、TRANCEおよびコントロールIgG1ポリペプチド(「MT+IgG」);ならびに(d)M−CSF、TRANCEおよびTR−Fc融合ポリペプチド(「MT+TR−Fc」)をインキュベートした、ヒト単球細胞培養物を用いた実験からのデータを示す。TRAP(+)多核破骨細胞の数を、5日(図18A)および10日(図18B)のインキュベーション後に、各培養において計数した。
【図19】
図19A〜19Fは、M−CSF(図19A)の存在下;M−CSFおよびTRANCE(図19B)を用いて;M−CSF、TRANCEおよび可溶性ヒトOSCAR−Ig融合ポリペプチド(図19C)を用いて;M−CSF、TRANCEおよび可溶性マウスOSCAR−Ig融合ポリペプチドの存在下(図19D);(c)M−CSF、TRANCEおよびTR−Fc融合ポリペプチド(図19E)を用い;ならびに、M−CSF、TRANCEおよびヒトIgG1ポリペプチドを用いて(図19F)、5日間インキュベートしたヒト単球細胞の顕微鏡写真を示す。多核TRAP(+)破骨細胞を、図19Bおよび19Fにおいて矢印で示す。
【図20】
図20A〜20Fは、M−CSF(図20A)の存在下;M−CSFおよびTRANCE(図20B)を用いて;M−CSF、TRANCEおよび可溶性ヒトOSCAR−Ig融合ポリペプチド(図20C)を用いて;M−CSF、TRANCEおよび可溶性マウスOSCAR−Ig融合ポリペプチドの存在下(図20D);(c)M−CSF、TRANCEおよびTR−Fc融合ポリペプチド(図20E);ならびに、M−CSF、TRANCEおよびヒトIgG1ポリペプチドを用いて(図20F)、10日間インキュベートしたヒト単球細胞培養物の顕微鏡写真を示す。多核TRAP(+)破骨細胞を、図20Bおよび20Fにおいて矢印で示す。
【図21】
図21A〜21Jは、ヒト単球細胞を用いた象牙質再吸収アッセイ(Tamuraら、J.Bone.Miner.Res.1993,8:953−960)からの顕微鏡写真である。図21A〜21Eは、象牙質スライス上で培養したTRAP(+)ヒト破骨細胞の顕微鏡写真である。図21F〜21Jは、細胞を除去した後の対応する象牙質スライスの顕微鏡写真である。これらの顕微鏡写真中の暗い染色部は、象牙質が再吸収した領域を示す。より詳細には、図21Aおよび21Fは、それぞれ、M−CSF単独の存在下でインキュベートした、TRAP(+)ヒト細胞および象牙質スライスを示す。図21Bおよび21Gは、M−CSFおよびTRANCEと共にインキュベートした、TRAP(+)ヒト細胞(図21B)および対応する象牙質スライス(図21G)の顕微鏡写真である。可溶性マウスOSCAR−Ig融合ポリペプチドの存在下でインキュベートした、TRAP(+)ヒト細胞の顕微鏡写真を、それぞれ、図21Cおよび21Hに示す。図21Dおよび21Iは、TR−Fc融合ポリペプチドと共にインキュベートした、TRAP(+)ヒト細胞(図21D)および対応する象牙質スライス(図21I)の顕微鏡写真である。図21Eおよび21Jは、IgG1ポリペプチドと共にインキュベートした、TRAP(+)ヒト細胞(図21E)および対応する象牙質スライス(図21J)の顕微鏡写真である。
【図22】
図22A〜22Fは、増殖培地単独(図22A);ビタミンD3と共に(図22B);ビタミンD3およびヒトOSCAR−Ig融合ポリペプチドと共に(図22C);ビタミンD3およびマウスOSCAR−Ig融合ポリペプチド(図22D)と共に;ビタミンD3およびTR−Fc融合ポリペプチドと共に(図22E);ならびにビタミンD3およびヒトIgG1ポリペプチドと共に(図22F)、6日間インキュベートした、マウス骨芽細胞と骨髄細胞との共培養からの顕微鏡写真を示す。
【図23】
図23は、図22A〜22Fに示したマウス共培養からの定量的データをグラフで示す。詳細には、成熟TRAP(+)多核破骨細胞の数を、図22A〜22Fに関して、上記の共培養した各々について示す。
【図24】
図24A〜Bは、ヒトOSCAR遺伝子およびその遺伝子産物のS1スプライス改変体の、cDNA配列(図24A;配列番号26)および推定アミノ酸配列(図24B;配列番号25)を示す。各配列の開始コドン(ATG)および終止コドン(TGA)を、太字で示す。
【図25】
図25A〜Bは、ヒトOSCAR遺伝子およびその遺伝子産物のS2スプライス改変体の、cDNA配列(図25A;配列番号28)および推定アミノ酸配列(図25B;配列番号27)を示す。各配列の開始コドン(ATG)および終止コドン(TGA)を、太字で示す。
【図26】
図26Aは、マウスOSCAR遺伝子のM3スプライス改変体のcDNA配列を示す(図26A;配列番号30)。各配列の開始コドン(ATG)および終止コドン(TGA)を、太字で示す。両方のcDNA転写物によってコードされるOSCARポリペプチド配列を、図26B(配列番号29)に示す。
【図27】
図27Aは、マウスOSCAR遺伝子のM4スプライス改変体のcDNA配列を示す(図27A;配列番号32)。各配列の開始コドン(ATG)および終止コドン(TGA)を、太字で示す。両方のcDNA転写物によってコードされるOSCARポリペプチド配列を、図27B(配列番号31)に示す。
Claims (108)
- 単離されたOSCARポリペプチド。
- 前記ポリペプチドがマウスポリペプチドである、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
- 配列番号5(図2B)に示されるアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の単離されたポリペプチド。
- 前記ポリペプチドが、配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列を含む、請求項3に記載の単離されたポリペプチド。
- 前記ポリペプチドがヒトポリペプチドである、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
- 請求項5に記載の単離されたポリペプチドであって、該ポリペプチドは、配列番号12(図7A〜図7D)に示されるゲノム配列中に含まれるOSCAR遺伝子によりコードされる、単離されたポリペプチド。
- 前記ポリペプチドが、配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の単離されたポリペプチド。
- 前記ポリペプチドが、配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の単離されたポリペプチド。
- 前記ポリペプチドが、配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列を含む、請求項6に記載の単離されたポリペプチド。
- 請求項1に記載の単離されたポリペプチドであって、以下:
(a)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基1〜16の配列;
(b)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基17〜122の配列;
(c)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基123〜228の配列;
(d)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基229〜247の配列;または
(e)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基248〜264の配列;
を含む、単離されたポリペプチド。 - 請求項1に記載の単離されたポリペプチドであって、以下:
(a)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基1〜18の配列;
(b)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基19〜123の配列;
(c)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基124〜229の配列;
(d)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基230〜248の配列;または
(e)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基249〜263の配列;
を含む、単離されたポリペプチド。 - 請求項1に記載の単離されたポリペプチドであって、以下:
(a)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基1〜18の配列;
(b)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基19〜127の配列;
(c)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基128〜233の配列;
(d)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基234〜252の配列;または
(e)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基253〜267の配列;
を含む、単離されたポリペプチド。 - 請求項1に記載の単離されたポリペプチドであって、以下:
(a)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基1〜13の配列;
(b)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基14〜112の配列;
(c)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基113〜218の配列;
(d)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基219〜237の配列;または
(e)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基238〜252の配列;
を含む、単離されたポリペプチド。 - アミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドであって、該アミノ酸配列は、請求項3に記載のポリペプチドをコードする核酸の相補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされる、単離されたポリペプチド。
- 請求項14に記載の単離されたポリペプチドであって、前記アミノ酸配列が、配列番号4(図2A)に示されるヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズする核酸によりコードされる、単離されたポリペプチド。
- アミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドであって、該アミノ酸配列は、請求項4に記載のポリペプチドをコードする核酸の相補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされる、単離されたポリペプチド。
- 請求項16に記載の単離されたポリペプチドであって、前記アミノ酸配列が、
(a)配列番号1(図1A);または
(b)配列番号2(図1B);
に示されるヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズする核酸によりコードされる、単離されたポリペプチド。 - アミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドであって、該アミノ酸配列は、請求項7に記載のポリペプチドをコードする核酸の相補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされる、単離されたポリペプチド。
- 請求項18に記載の単離されたポリペプチドであって、前記アミノ酸配列が、配列番号6(図3A)に示されるヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズする核酸によりコードされる、単離されたポリペプチド。
- アミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドであって、該アミノ酸配列は、請求項8に記載のポリペプチドをコードする核酸の相補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされる、単離されたポリペプチド。
- 請求項20に記載の単離されたポリペプチドであって、前記アミノ酸配列が、配列番号8(図4A)に示されるヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズする核酸によりコードされる、単離されたポリペプチド。
- アミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドであって、該アミノ酸配列は、請求項9に記載のポリペプチドをコードする核酸の相補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によりコードされる、単離されたポリペプチド。
- 請求項22に記載の単離されたポリペプチドであって、前記アミノ酸配列が、配列番号10(図5A)に示されるヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズする核酸によりコードされる、単離されたポリペプチド。
- OSCARポリペプチドをコードする、単離された核酸。
- 請求項24に記載の単離された核酸であって、前記OSCARポリペプチドが、マウスポリペプチドである、単離された核酸。
- 請求項25に記載の単離された核酸であって、配列番号5(図2B)に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、単離された核酸。
- 請求項25に記載の単離された核酸であって、該核酸は、配列番号4(図2A)に示されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
- 請求項25に記載の単離された核酸であって、該核酸は、配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、単離された核酸。
- 請求項28に記載の単離された核酸であって、該核酸は、
(a)配列番号1(図1A)に示されるヌクレオチド配列;または
(b)配列番号2(図1B)に示されるヌクレオチド配列;
を含む、単離された核酸。 - 請求項24に記載の単離された核酸であって、前記OSCARポリペプチドが、ヒトポリペプチドである、単離された核酸。
- 請求項30に記載の単離された核酸であって、
(a)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列;
(b)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列;または
(c)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列;
を含むポリペプチドをコードする、単離された核酸。 - 請求項31に記載の単離された核酸であって、該核酸は、配列番号6(図3A)に示されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
- 請求項31に記載の単離された核酸であって、該核酸は、配列番号8(図4A)に示されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
- 請求項31に記載の単離された核酸であって、該核酸は、配列番号10(図5A)に示されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
- 請求項24に記載の単離された核酸であって、
(a)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基1〜16の配列;
(b)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基17〜122の配列;
(c)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基123〜228の配列;
(d)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基229〜247の配列;または
(e)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基248〜264の配列;
を含むポリペプチドをコードする、単離された核酸。 - 請求項24に記載の単離された核酸であって、
(a)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基1〜18の配列;
(b)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基19〜123の配列;
(c)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基124〜229の配列;
(d)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基230〜248の配列;または
(e)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基249〜263の配列;
を含むポリペプチドをコードする、単離された核酸。 - 請求項24に記載の単離された核酸であって、
(a)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基1〜18の配列;
(b)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基19〜127の配列;
(c)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基128〜233の配列;
(d)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基234〜252の配列;または
(e)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基253〜267の配列;
を含むポリペプチドをコードする、単離された核酸。 - 請求項24に記載の単離された核酸であって、
(a)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基1〜13の配列;
(b)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基14〜112の配列;
(c)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基113〜218の配列;
(d)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基219〜237の配列;または
(e)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基238〜252の配列;
を含むポリペプチドをコードする、単離された核酸。 - 請求項30に記載の単離された核酸であって、
(a)配列番号12(図7A〜7D)に示されるゲノムOSCARヌクレオチド配列;および、必要に応じて
(b)該ゲノムOSCARヌクレオチド配列と天然では結合していない、非内因性ヌクレオチド配列;
からなる、単離された核酸。 - 請求項39に記載の単離された核酸であって、前記ゲノムOSCARヌクレオチド配列が、
(a)配列番号12(図7A〜7D)に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド768〜841の配列;
(b)配列番号12(図7A〜7D)に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド842〜1818の配列;
(c)配列番号12(図7A〜7D)に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド1819〜1851の配列;
(d)配列番号12(図7A〜7D)に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド1852〜1997の配列;
(e)配列番号12(図7A〜7D)に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド1998〜2009の配列;
(f)配列番号12(図7A〜7D)に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド2010〜4439の配列;
(g)配列番号12(図7A〜7D)に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド4440〜4742の配列;
(h)配列番号12(図7A〜7D)に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド4743〜5013の配列;
(i)配列番号12(図7A〜7D)に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド5014〜5295の配列;
(j)配列番号12(図7A〜7D)に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド5296〜5809の配列;および
(k)配列番号12(図7A〜7D)に示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド5810〜6499の配列;
からなる群より選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列からなる、単離された核酸。 - 単離された核酸であって、請求項3に記載のポリペプチドをコードする核酸の相補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸。
- 請求項41に記載の単離された核酸であって、配列番号4(図2A)に示されるヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズする、単離された核酸。
- 単離された核酸であって、請求項4に記載のポリペプチドをコードする核酸の相補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸。
- 請求項43に記載の単離された核酸であって、
(a)配列番号1(図1A);または
(b)配列番号2(図1B);
に示されるヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズする、単離された核酸。 - 単離された核酸であって、請求項7に記載のポリペプチドをコードする核酸の相補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸。
- 請求項45に記載の単離された核酸であって、配列番号6(図3A)に示されるヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズする、単離された核酸。
- 単離された核酸であって、請求項8に記載のポリペプチドをコードする核酸の相補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸。
- 請求項47に記載の単離された核酸であって、配列番号8(図4A)に示されるヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズする、単離された核酸。
- 単離された核酸であって、請求項9に記載のポリペプチドをコードする核酸の相補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸。
- 請求項49に記載の単離された核酸であって、配列番号10(図5A)に示されるヌクレオチド配列の相補体にハイブリダイズする、単離された核酸。
- 単離された核酸であって、請求項39に記載の核酸の相補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸。
- 発現制御配列と作動可能に結合した請求項24に記載の核酸を含む、発現ベクター。
- 発現制御配列と作動可能に結合した請求項28に記載の核酸を含む、発現ベクター。
- 発現制御配列と作動可能に結合した請求項30に記載の核酸を含む、発現ベクター。
- 発現制御配列と作動可能に結合した請求項35に記載の核酸を含む、発現ベクター。
- 発現制御配列と作動可能に結合した請求項36に記載の核酸を含む、発現ベクター。
- 発現制御配列と作動可能に結合した請求項37に記載の核酸を含む、発現ベクター。
- 発現制御配列と作動可能に結合した請求項38に記載の核酸を含む、発現ベクター。
- 請求項24に記載の核酸を発現するように遺伝的に改変された、宿主細胞。
- 請求項28に記載の核酸を発現するように遺伝的に改変された、宿主細胞。
- 請求項30に記載の核酸を発現するように遺伝的に改変された、宿主細胞。
- 請求項35に記載の核酸を発現するように遺伝的に改変された、宿主細胞。
- 請求項36に記載の核酸を発現するように遺伝的に改変された、宿主細胞。
- 請求項37に記載の核酸を発現するように遺伝的に改変された、宿主細胞。
- 請求項38に記載の核酸を発現するように遺伝的に改変された、宿主細胞。
- OSCARポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体。
- 請求項3に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体。
- モノクローナル抗体である、請求項67に記載の抗体。
- 請求項4に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体。
- モノクローナル抗体である、請求項69に記載の抗体。
- 請求項7に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体。
- モノクローナル抗体である、請求項71に記載の抗体。
- 請求項8に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体。
- モノクローナル抗体である、請求項73に記載の抗体。
- 請求項9に記載のポリペプチドに特異的に結合する、単離された抗体。
- モノクローナル抗体である、請求項75に記載の抗体。
- 破骨細胞の活性を増加させるための方法であって、該方法は、該破骨細胞を、該破骨細胞により発現されるOSCAR遺伝子産物の活性を増加させる化合物と接触させる工程を包含する、方法。
- 請求項77に記載の方法であって、前記OSCAR遺伝子産物は、
(a)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列;
(b)配列番号5(図2B)に示されるアミノ酸配列;
(c)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列;
(d)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列;または
(e)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列;
を有するポリペプチドを含む、方法。 - 請求項77に記載の方法であって、前記化合物が、OSCAR特異的リガンドである、方法。
- 請求項79に記載の方法であって、前記化合物が、前記OSCAR遺伝子産物に特異的に結合する抗体である、方法。
- 骨吸収を増加させるための方法であって、該方法は、請求項77に記載の方法に従って破骨細胞の活性を増加させる工程を包含する、方法。
- 破骨細胞の活性を減少させるための方法であって、該方法は、該破骨細胞を、該破骨細胞により発現されるOSCAR遺伝子産物の活性を減少させる化合物と接触させる工程を包含する、方法。
- 請求項82に記載の方法であって、前記OSCAR遺伝子産物は、
(a)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列;
(b)配列番号5(図2B)に示されるアミノ酸配列;
(c)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列;
(d)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列;または
(e)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列;
を有するポリペプチドを含む、方法。 - 請求項82に記載の方法であって、前記化合物が、OSCAR特異的リガンドが前記OSCAR遺伝子産物に結合することを妨げる、方法。
- 請求項84に記載の方法であって、前記化合物が、可溶性OSCARポリペプチドを含む、方法。
- 請求項85に記載の方法であって、前記可溶性OSCARポリペプチドが、
(a)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基17〜122の配列;
(b)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基123〜228の配列;
(c)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基19〜123の配列;
(d)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基124〜229の配列;
(e)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基19〜127の配列;
(f)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基128〜233の配列;
(g)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基14〜112の配列;または
(h)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基113〜218の配列;
を含む、方法。 - 請求項84に記載の方法であって、前記可溶性OSCARポリペプチドが、融合ポリペプチドである、方法。
- 請求項84に記載の方法であって、前記化合物が、
(a)前記OSCAR遺伝子産物に特異的に結合する、抗体;または
(b)前記OSCAR特異的リガンドに特異的に結合する、抗体;
を含む、方法。 - 骨吸収を減少させるための方法であって、該方法は、請求項82に記載の方法に従って破骨細胞の活性を減少させる工程を包含する、方法。
- 細胞を破骨細胞として同定するための方法であって、該方法は、該細胞によるOSCAR遺伝子の発現を検出する工程を包含し、該OSCAR遺伝子の発現の検出により、該細胞が破骨細胞として同定される、方法。
- 請求項90に記載の方法であって、前記OSCAR遺伝子の発現が、OSCARポリペプチドをコードするmRNAを検出することによって検出される、方法。
- 請求項90に記載の方法であって、前記OSCAR遺伝子の発現が、OSCARポリペプチドを検出することによって検出される、方法。
- OSCARポリペプチドに結合する化合物を同定するための方法であって、該方法は、
(a)試験化合物を、OSCARポリペプチドに、該試験化合物が該OSCARポリペプチドに結合することを可能にするに十分な条件下で接触させる工程;および
(b)該OSCARポリペプチドに結合した該試験化合物を検出する工程、
を包含し、該OSCARポリペプチドに結合した該試験化合物の検出により、該試験化合物が、OSCARポリペプチドに結合する化合物として同定される、方法。 - 請求項93に記載の方法であって、前記OSCARポリペプチドが、
(a)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列;
(b)配列番号5(図2B)に示されるアミノ酸配列;
(c)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列;
(d)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列;
(e)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列;
(f)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基17〜122の配列;
(g)配列番号3(図1C)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基123〜228の配列;
(h)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基19〜123の配列;
(i)配列番号7(図3B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基124〜229の配列;
(j)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基19〜127の配列;
(k)配列番号9(図4B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基128〜233の配列;
(l)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基14〜112の配列;または
(m)配列番号11(図5B)に示されるアミノ酸配列のアミノ酸残基113〜218の配列;
を含む、方法。 - 請求項93に記載の方法であって、前記試験化合物が、ポリペプチドである、方法。
- 請求項95に記載の方法であって、前記ポリペプチドが、破骨細胞、胚線維芽細胞、NIH 3T3線維芽細胞、ST2骨芽様細胞、肺上皮細胞、UMR106細胞、HEK293細胞、HEK293 T細胞、hFOB1.19細胞、またはCOS−1細胞により発現される、方法。
- 個体における骨成長関連障害を処置するための方法であって、該方法は、請求項81に記載の方法に従って、該個体における骨吸収を増加させる工程を包含する、方法。
- 請求項97に記載の方法であって、前記骨成長関連障害が大理石骨病である、方法。
- 個体における骨成長関連障害を処置するための方法であって、該方法は、請求項89に記載の方法に従って、該個体における骨吸収を減少させる工程を包含する、方法。
- 請求項99に記載の方法であって、前記骨成長関連障害が骨粗鬆症である、方法。
- 請求項2に記載の単離されたポリペプチドであって、配列番号29(図26B)に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
- 請求項2に記載の単離されたポリペプチドであって、配列番号31(図27B)に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
- 請求項5に記載の単離されたポリペプチドであって、配列番号25(図24B)に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
- 請求項5に記載の単離されたポリペプチドであって、配列番号27(図25B)に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
- 請求項25に記載の単離された核酸であって、配列番号30(図26A)に示されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
- 請求項25に記載の単離された核酸であって、配列番号32(図27A)に示されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
- 請求項30に記載の単離された核酸であって、配列番号26(図24A)に示されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
- 請求項30に記載の単離された核酸であって、配列番号28(図25A)に示されるヌクレオチド配列を含む、単離された核酸。
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