JP2005348379A - プロジェクタ装置および距離データ補正方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 測距精度によらずにスクリーンの傾斜角度を精度よく求めて、台形歪みを補正するプロジェクタ装置を提供する。
【解決手段】 制御部3は、演算部32、42から出力される距離データの傾きが略一定となるように距離データを補正する。スクリーンのような平面状の対象物までの距離を測距した場合、誤差が含まれていなければ測定した距離データも直線的に変化する。そこで、距離データの傾きが略一定となるように距離データを補正することで、距離データに含まれる誤差を取り除き、台形歪みを高精度に補正することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 制御部3は、演算部32、42から出力される距離データの傾きが略一定となるように距離データを補正する。スクリーンのような平面状の対象物までの距離を測距した場合、誤差が含まれていなければ測定した距離データも直線的に変化する。そこで、距離データの傾きが略一定となるように距離データを補正することで、距離データに含まれる誤差を取り除き、台形歪みを高精度に補正することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、パッシブ測距装置を利用してスクリーンの傾斜角度を求め、求めたスクリーンの傾斜角度からスクリーンに投影される投影画像に生じる台形歪みを補正する機能を備えたプロジェクタ装置およびこの距離データ補正方法に関する。
従来、プロジェクタ装置には、プロジェクタ装置とスクリーンとの位置関係により、投影画像に台形歪みと呼ばれる歪みが生じる不具合があった。
特許文献1では、パッシブ測距装置を用いてスクリーンまでの距離をスクリーン上の複数の測距点で測定し、測定した距離からスクリーンの傾斜角度を求めている。また求めた傾斜角度に基づいて投影画像の台形歪みを補正している。
しかしながら、スクリーン付近の明るさやプロジェクタ装置の光源の状態等によって測距結果に誤差が含まれる可能性がある。このため、傾斜角度の算出や台形歪み補正の精度が低下するという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、測距精度によらずにスクリーンの傾斜角度を高精度に算出することができるプロジェクタ装置および距離デーテ補正方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために本発明のプロジェクタ装置は、スクリーンに投影された画像の反射光を受光する複数の受光素子を有する受光センサと、前記複数の受光素子の出力から得られるセンサデータに基づいて、前記スクリーンまでの複数の距離データを求める演算部と、前記複数の距離データの変化率が略一定となるように前記距離データを補正する制御部とを有する構成としている。
本発明は、演算部から出力される複数の距離データの変化率が略一定となるように距離データを補正する。スクリーンのような平面状の対象物までの複数の距離を測定した場合、誤差が含まれていなければ測定した複数の距離データも直線的に変化する。そこで、距離データの変化率が略一定となるように距離データを補正することで、距離データに含まれる誤差を取り除き、台形歪みを高精度に補正することができる。
請求項2記載のプロジェクタ装置は、請求項1記載のプロジェクタ装置において、前記制御部は、前記複数の距離データの中から、前記スクリーンに投影された画像の中央部に対応する距離データと、該距離データから離れた位置の距離データとを選択して、これらの距離データの変化率が略一定となるように前記離れた位置の距離データを補正するとよい。
投影画像の中央部に対応する距離データを基準に選択することで、精度の高い距離データを補正の基準に選択することができる。従って、投影レンズの収差等の影響を受けずに高精度な補正を行うことができる。また、簡単な演算で距離データの補正を行うことができ、距離データの補正にかかる時間を短縮させることができる。
請求項3記載のプロジャクタ装置は、請求項2記載のプロジェクタ装置において、前記制御部は、前記スクリーンに投影された画像の中央部に対応する距離データと、該距離データから所定間隔だけ離れた位置の距離データとの差が略同一となるように前記所定間隔だけ離れた距離データを補正するとよい。
これによれば、簡単な演算で距離データの補正を行うことができ、距離データの補正にかかる時間を短縮させることができる。
請求項4記載のプロジェクタ装置は、請求項1から3のいずれかに記載のプロジェクタ装置において、前記演算部は、前記複数の受光素子に設定された複数の測定エリア毎に前記距離データを求め、前記制御部は、前記測定エリア毎の距離データの変化率が略一定となるように該距離データの補正を行う。
これによれば、距離データの補正を測定エリア単位で行うことにより、補正回数を少なくして、より簡単に距離データを補正することができる。
請求項5記載のプロジェクタ装置は、請求項4記載のプロジェクタ装置において、前記制御部は、前記測定エリア毎の距離データを平均した基準の距離データと、該測定エリア毎の距離データの中から選択した距離データとの変化率が略一定となるように前記距離データの補正を行う。
これによれば、測定エリア毎の距離データを平均した平均値を基準の距離データとするため、精度の高い距離データを補正の基準に選択することができる。従って、スクリーンの傾斜角度の算出や台形歪みの補正を高精度に行うことができる。
請求項6記載のプロジェクタ装置は、請求項1から5のいずれかに記載のプロジェクタ装置において、前記演算部は、前記複数の距離データの位置に応じて設定された複数の小グループ毎に該小グループ内の複数の距離データの平均値を求め、前記制御部は、前記複数の小グループ毎の前記距離データの平均値の変化率が略同一となるように該平均値を補正するとよい。
これによれば、スクリーンまでの距離測定がノイズ等によって正しくできない場合であっても、この影響を低減して距離補正をより精度よく行うことができる。
請求項7記載のプロジェクタ装置は、請求項6記載のプロジェクタ装置において、前記演算部は、前記複数の小グループ毎にコントラスト分布の重心位置の平均値を求め、前記制御部は、前記小グループ毎の前記コントラスト分布の重心位置の平均値の変化率が略同一となるように該平均値を補正するとよい。
従って、スクリーンまでの距離測定がノイズ等によって正しくできない場合であっても、この影響を低減して距離補正をより精度よく行うことができる。
請求項8記載のプロジェクタ装置は、請求項6又は7記載のプロジェクタ装置において、前記演算部は、前記各小グループ内の複数の距離データに対応する前記センサデータに基づいて前記距離データの信頼性を判定し、信頼性ありと判定された前記小グループの平均値の補正を行うとよい。
従って、信頼性の低い距離データを距離補正、角度補正や台形歪み補正などから排除することができ、精度の高い距離補正、角度補正や台形歪み補正を行うことができる。
請求項9記載のプロジェクタ装置は、請求項1から8のいずれかに記載のプロジェクタ装置において、前記制御部は、補正した前記距離データ又は前記平均値を用いて前記スクリーンの傾斜角度を算出し、算出した前記傾斜角度に基づいて前記スクリーンに投影する画像の台形歪みを補正するとよい。
補正した距離データを用いてスクリーンの傾斜角度を求めるため、ノイズ等の誤差によらずスクリーンの傾斜角度を精度よく求めることができる。また、スクリーンに投影される画像に生じる台形歪みを精度よく補正することができる。
請求項10記載の距離データ補正方法は、スクリーンに投影された画像の反射光を複数の受光素子で受光して、前記複数の受光素子の出力から得られるセンサデータに基づいて、前記スクリーンまでの距離データを複数求める工程と、前記複数の距離データの変化率が略一定となるように前記距離データを補正する工程とを有している。
本発明は、演算部から出力される複数の距離データの変化率が略一定となるように距離データを補正する。スクリーンのような平面状の対象物までの複数の距離を測定した場合、誤差が含まれていなければ測定した複数の距離データも直線的に変化する。そこで、距離データの変更率が略一定となるように距離データを補正することで、距離データに含まれる誤差を取り除き、台形歪みを高精度に補正することができる。
請求項11記載の距離データ補正方法は、スクリーンに投影された画像の反射光を複数の受光素子で受光して、前記複数の受光素子の出力から得られるセンサデータに基づいて、前記スクリーンまでの複数の距離データを求める工程と、前記複数の距離データの位置に応じて設定された複数の小グループ毎に、該小グループ内の複数の距離データに対応する前記センサデータに基づいて前記距離データの信頼性を判定する工程と、信頼性ありと判定された前記小グループ内の複数の距離データの平均値と、前記小グループ内のコントラスト分布の重心位置の平均値とをそれぞれ算出する工程と、前記信頼性ありと判定された前記小グループの距離データの平均値の変化率が略一定となるように該平均値を補正する工程と、前記信頼性ありと判定された前記小グループの前記コントラスト分布の重心位置の平均値の変化率が略一定となるように該平均値を補正する工程とを有している。
信頼性が高いと判定されたグループを選択して、これらのグループの代表値を求め、この代表値に対してさらに距離補正を行う。従って、スクリーンまでの距離測定がノイズ等によって正しくできない場合であっても、この影響を低減して距離補正を精度よく行うことができる。
本発明は、測距精度によらずにスクリーンの傾斜角度を精度よく求めて、台形歪みを補正することができる。
次に、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例を説明する。
まず、図1を参照しながら本実施例のプロジェクタ装置2の構成について説明する。図1に示されるように本実施例のプロジェクタ装置2は、投影レンズ光学系8によりスクリーン1上に投影された画像の反射光を受光して、投影画像の焦点位置を判定するためのコントラスト値を算出する自動焦点検出装置20と、プロジェクタ装置2からスクリーン1までの距離をスクリーン1の左右方向(水平方向)の複数ポイントで測距する第1パッシブ測距装置30と、同じくプロジェクタ装置2からスクリーン1までの距離をスクリーン1の上下方向(垂直方向)の複数ポイントで測距する第2パッシブ測距装置40と、図示しないパーソナルコンピュータ等の機器から画像を入力して、スクリーン1に投影する表示データを出力する投影画像生成部5と、投影レンズ光学系8へ表示データを出力する表示駆動部6と、表示駆動部6により出力された表示データをスクリーン1上に投影する投影レンズ光学系8と、投影レンズ光学系8の焦点距離を変更するために、光軸に沿って投影レンズ光学系8を移動させるステッピングモータ等からなる光学系駆動部7と、プロジェクタ装置2の構成に必要なデータや命令を記憶したメモリ部4と、これら各部を制御する制御部3とを有している。
自動焦点検出装置20は、投影レンズ光学系8によりスクリーン1上に投影された画像の反射光を受光する受光センサ21と、受光センサ21から出力される電気信号に演算を行い、画像のコントラスト値を算出する演算部22とを有している。本実施例では、受光センサ21としてCCDラインセンサを用いている。
図2を参照しながら自動焦点検出装置20の演算部22の構成について説明する。図2に示されるように演算部22には、受光センサ21から入力した電気信号の高周波成分を取り出す高域通過フィルタ(HPF)22aと、高周波成分だけとなった輝度信号の振幅検波を行なう検波器22bと、検波器22bの検波出力をA/D変換し、ディジタル信号に変換するA/D変換器22cと、A/D変換器22cから出力されるディジタル信号を積分する積分器22dとを有している。積分器22dからは図3に示すような画像信号のコントラスト値が出力される。
画像信号の高周波成分に現れるコントラスト値は、図3に示されるように合焦位置でコントラスト値が最大となり、合焦位置から外れるに従ってコントラスト値が減少していくという特性を有している。この特性を利用して、投影レンズ光学系8により撮影される画像がスクリーン1上に像を結ぶ時の投影レンズ光学系8の位置(合焦位置)を求める(以下、この方法を山登りオートフォーカスと呼ぶ)。
次に、第1パッシブ測距装置30及び第2パッシブ測距装置40の構成について説明する。図4には、図1に示したプロジェクタ装置2を正面から見た構成図が示されている。プロジェクタ装置2の正面には投影レンズが設けられている。投影レンズは投影レンズ光学系(コンデンサレンズを含んでいてもよい)8に含まれ、投影レンズを介してスクリーン1上へ画像を投影する。
図4に示されるように第1パッシブ測距装置30は、プロジェクタ装置2の正面を構成する平面上で、水平方向に基線長aだけ離間して配置された一対のレンズ31a及び31bを備えた撮像部31を有している。同様に第2パッシブ測距装置40は、プロジェクタ装置2の正面を構成する平面上で、垂直方向に基線長bだけ離間して配置された一対のレンズ41a及び41bを備えた撮像部41を有している。第1パッシブ測距装置30は、図5(A)に示すように第1基準方向(プロジェクタ装置2の水平方向)に対するスクリーン1の傾斜角度θ1を算出するために、スクリーン1の水平方向の複数の測定位置までの距離を測距する。第2パッシブ測距装置40は、図5(B)に示すように第2基準方向(プロジェクタ装置2の垂直方向)に対するスクリーン1の傾斜角度θ2を算出するために、スクリーン1の垂直方向の複数の測距位置までの距離を測距する。なお、図5(A)には、プロジェクタ装置2及びスクリーン1を上から見た上面図が示され、図5(B)には、プロジェクタ装置2及びスクリーン1を側方から見た側面図が示されている。また、本実施例では、図4に示されるように撮像部31の基線長aに平行な方向をプロジェクタ装置2の第1基準方向と呼ぶ。また、撮像部41の基線長bに平行な方向をプロジェクタ装置2の第2基準方向と呼ぶ。
図6および図7を参照しながらスクリーン1の水平方向に撮像を行う撮像部31の構成について説明する。外部から入射した光を受光するレンズ31aの下には、焦点距離fだけ離間して水平方向ラインセンサ31cを配置している。またレンズ31bの下には、焦点距離fだけ離間して水平方向ラインセンサ31dを配置している。これらの水平方向ラインセンサ31c,31dは、直線状に配列された複数の光検出素子を有する一対のラインCCDまたはその他のライン型撮像素子からなる。水平方向ラインセンサ31c,31dの構成を図7に示す。図7に示す水平方向ラインセンサ31c,31dは、一対のラインセンサにより複数方向の距離を検出することが可能となる。図7に示すように、水平方向ラインセンサ31c、31dを複数に分割し、測距方向に応じて基準位置を複数設定することにより、1つの測距装置で複数方向の距離を検出することができる。すなわち、図7に示すように水平方向ラインセンサ31c中に複数の測距方向(本例ではR(右)、C(中央)、L(左)とする)に基づく複数の基準位置に応じた複数の測距演算領域(31cR、31cC、31cL)を設ける。同様に水平方向ラインセンサ31d中に複数の測距方向(R、C、L)に基づく複数の基準位置に応じた複数の測距演算領域(31dR、31dC、31dL)を設ける。そして、測距方向で対応する1対の測距演算領域(31cRと31dR、31cCと31dC、31cLと31dL)中の部分映像データを使用して基準位置からのずれ量を求めることができる。
撮像部31は、レンズ31a及び31bを介して水平方向ラインセンサ31c及び31d上に結像した画像について、図示しない出力部を介して画像の光量に応じた電気信号を直列的に出力する。なお、撮像部41の構成は撮像部31と同様であるため説明を省略する。
演算部32は、撮像部31から出力される電気信号にA/D変換等の演算を行い、センサデータを出力する。同様の演算部42も撮像部41から出力される電気信号にA/D変換等の演算を行い、センサデータを出力する。センサデータは、スクリーン1からの反射光量に比例するデータであり、水平方向ラインセンサ31c,31d、垂直方向ラインセンサ41c,41dの各画素ごとに出力される。このセンサデータは制御部3にも出力される。
また演算部32は、一対の画像信号(センサデータ)のうちの少なくとも一方の画像信号(センサデータ)を、所定のシフト範囲に渡って順次シフトさせながら相関値を演算する。演算部42も同様に垂直方向ラインセンサ41c,41dから出力される一対の画像信号(センサデータ)のうちの少なくとも一方の画像信号(センサデータ)を、所定のシフト範囲に渡って順次シフトさせながら相関値を演算し、この相関値に基づいて測定対象までの距離を演算する。
制御部3は、投影画像のコントラスト値を自動焦点検出装置20から受け取って、投影レンズ光学系8の焦点がスクリーンに合う位置(合焦位置)を特定する。また、測距用の画像パターンを投影し、第1パッシブ測距装置30の水平方向ラインセンサ31c,31dと、第2パッシブ測距装置40の垂直方向ラインセンサ41c,41dとを用いてスクリーン1までの距離をスクリーン上の複数の測距点で測定し、測定結果に基づいてスクリーン1の傾きを求める。図5(A)に示す第1基準方向(プロジェクタ装置2の水平方向)に対するスクリーン1の傾斜角度θ1と、図5(B)に示す第2基準方向(プロジェクタ装置2の垂直方向)に対するスクリーン1の傾斜角度θ2とを算出する。算出したスクリーン1の傾斜角度θ1、θ2に基づき、スクリーン1に投影される投影画像に生じる台形歪みを補正する。
投影画像生成部5は、外部のパソコン等から出力される画像データを入力し、入力した画像データを表示用データに変換して表示駆動部6に出力する。
表示駆動部6は、画像歪み補正部として機能し、制御部3が算出した第1基準方向および第2基準方向に対する傾斜角に基づき、不図示の投影レンズとしてのコンデンサレンズを含む投影レンズ光学系8を調整するか、又は電気的に投影画像の台形歪みを補正する。また、表示駆動部6は、不図示の投影レンズのピント調整を自動的に行うオートフォーカス手段として機能する。投影レンズ光学系8は、所定の映像光をスクリーン1上に投影する。
次に、図6を参照しながら第1パッシブ測距装置(外光三角測距方式)30の動作原理を説明する。図6は、第1パッシブ測距装置30によりスクリーン1までの距離を測距する様子を示した図である。なお、第2パッシブ測距装置40の動作原理も第1パッシブ測距装置30と同様であるため説明を省略する。
図6(A)において、一対のレンズ31a及び31bが、プロジェクタ装置2の正面を構成する平面上に水平方向に延びた所定の基線長aだけ離間して配置されている。プロジェクタ装置2の正面を構成する平面の下には、これら一対のレンズ31a及び31bからそれらの焦点距離fだけそれぞれ離間して、基線長a方向に延びた一対の水平方向ラインセンサ31c及び31dが配置されている。水平方向ラインセンサ31c及び31dは、その中央部分がそれぞれレンズ31a及び31bの光軸31ax及び31bx上にほぼ位置するように配置されている。これら水平方向ラインセンサ31c及び31d上に、それぞれ対応するレンズ31a及び31bを介して距離測定(測距)対象のスクリーン1上のある位置の画像Tが結像される。図6(A)においては、スクリーン1上の測定位置Tが、異なる方向の光路A及びBを通って、それぞれのレンズ31a及び31bを介して、水平方向ラインセンサ31c及び31d上に結像されている。
測定位置Tが無限遠の位置に存在すると仮定した場合、一対のレンズ31a及び31bから焦点距離fにある水平方向ラインセンサ31c及び31d上には、測定位置Tがレンズ31a及び31bのそれぞれの光軸31ax及び31bxと交差する基準位置31cx及び31dxに結像されることになる。ここで測定位置Tが無限遠位置からレンズ31aの光軸31ax上の方向Aに沿って近づき、図6(A)に示す位置、すなわち、レンズ31aからスクリーン1までの距離LCに達すると、測定位置Tは水平方向ラインセンサ31c上においては、基準位置31cx上に結像されたままであるが、水平方向ラインセンサ31d上においては、レンズ31bにより基準位置31dxから位相差(ずれ量)αだけずれた位置に結像される。
このとき、三角測距の原理から測定位置Tまでの距離LCは、LC=af/αで求められる。ここで、基線長aと焦点距離fは予め知られている既知の値であり、水平方向ラインセンサ31d上の基準位置31dxからの位相差(ずれ量)αを検出すれば、距離LCを測定できる。すなわち、スクリーン1までの距離を検出できる。これが外光三角測距のパッシブ型ラインセンサ測距装置の動作原理である。位相差(ずれ量)αの検出及びLC=af/αの演算は、図1で示した演算部32で実行される。
水平方向ラインセンサ31dの基準位置31dxからの位相差(ずれ量)αの検出は、一対の水平方向ラインセンサ31c及び31dから出力される一対の画像データ信号列IL及びIRからそれぞれ抽出した部分画像データ群iLm及びiRnについて、演算部32が相関演算を行なうことにより検出する。
相関演算は、図6(B)に示すように、部分画像データ群iLm及びiRnを互いに重ねた時に最も一致度が高くなる領域を求める演算である。演算方法は、重ね合わせる部分画像データ群iLm及びiRnを水平方向ラインセンサ31c及び31d上で相対的にずらしながら検出していく。図6(B)においては、一方の水平方向ラインセンサ31cからの部分画像データ群iLmを基準位置31cxに位置を固定して、基準部として使用する。他方の水平方向ラインセンサ31dからの部分画像データ群iRnは参照部として位置を一画素ずつずらして行き、基準部と最も一致度の高い部分画像データ群iRnを探す。最も一致度の高い部分画像データ群iRnを発生する水平方向ラインセンサ31d上の位置とその水平方向ラインセンサ31dの基準位置31dxとの間の間隔が位相差(ずれ量)αである。
水平方向ラインセンサ31c及び31dの各々は、所定数の受光素子(画素)を所定長の直線上に配列した一対のラインCCDで構成されているから、位相差(ずれ量)αは、部分画像データ群iRnの画像データ信号列IR内の画素位置と画素ピッチから容易に求めることができる。このようにしてレンズ31aの光軸31axと同じ方向Aにある測定位置Tまでの距離LCを、位相差(ずれ量)αを検出することにより測定できる。なお、本実施例では、上述した測距演算領域毎に距離を測定する。
次に、スクリーン1までの距離を測定して、投影画像に生じる台形歪みを補正するまでの一連の手順を図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、投影レンズ光学系8によりスクリーン1上に測距用の画像パターンを投影する(ステップS1)。第1パッシブ測距装置30、及び第2パッシブ測距装置40で位相差の検出が容易となるように、白と黒の縦縞、横縞の画像パターンが測距用の画像パターンとして使用される。スクリーン1上に投影された測距用画像の反射光を水平方向ラインセンサ31c,31dと、垂直方向ラインセンサ41c,41dでそれぞれ受光する。水平方向ラインセンサ31c,31d、垂直方向ラインセンサ41c,41dの出力にA/D変換等の処理を行い、センサデータを出力する(ステップS2)。演算部32は、水平方向ラインセンサ31c,31dから出力される一対の画像データ信号列からそれぞれ抽出した部分画像データ群について相関演算を行い、ずれ量を検出して距離データを算出する(ステップS3)。演算部42についても同様に、垂直方向ラインセンサ41c、41dから出力される画像データに対して相関演算を行い、ずれ量を検出して距離データを算出する(ステップS3)。第1パッシブ測距装置30および第2パッシブ測距装置40によって測定された距離データは、制御部3に送信される。制御部3は、得られた距離データの補正をまず行い(ステップS4)、補正後にスクリーン1の傾斜角度を求める(ステップS5)。
まず、投影レンズ光学系8によりスクリーン1上に測距用の画像パターンを投影する(ステップS1)。第1パッシブ測距装置30、及び第2パッシブ測距装置40で位相差の検出が容易となるように、白と黒の縦縞、横縞の画像パターンが測距用の画像パターンとして使用される。スクリーン1上に投影された測距用画像の反射光を水平方向ラインセンサ31c,31dと、垂直方向ラインセンサ41c,41dでそれぞれ受光する。水平方向ラインセンサ31c,31d、垂直方向ラインセンサ41c,41dの出力にA/D変換等の処理を行い、センサデータを出力する(ステップS2)。演算部32は、水平方向ラインセンサ31c,31dから出力される一対の画像データ信号列からそれぞれ抽出した部分画像データ群について相関演算を行い、ずれ量を検出して距離データを算出する(ステップS3)。演算部42についても同様に、垂直方向ラインセンサ41c、41dから出力される画像データに対して相関演算を行い、ずれ量を検出して距離データを算出する(ステップS3)。第1パッシブ測距装置30および第2パッシブ測距装置40によって測定された距離データは、制御部3に送信される。制御部3は、得られた距離データの補正をまず行い(ステップS4)、補正後にスクリーン1の傾斜角度を求める(ステップS5)。
制御部3の傾斜角度の演算方法を、第1基準方向に対するスクリーン1の傾斜角度θ1(図5参照)を算出する方法を例に説明する。図9には、第1パッシブ測距装置30のレンズ31aと水平方向ラインセンサ31c,31d、及び測定された測距点との位置関係が示されている。スクリーン1上の測距点1Aに対して図9に示す測距演算領域31cCを用いて測距演算された結果をLl、測距点1Bに対して図9に示す測距演算領域31cRを用いて測距演算された結果をL2、測距点1Aと光軸Lとの距離をL1’、測距点1Bと光軸Lとの距離をL2’とすると、傾斜角度θ1は、
tanθ1=(L2−L1)/(L1’+L2’)
で求められる。
tanθ1=(L2−L1)/(L1’+L2’)
で求められる。
ここで、三角形の相似により、L1:L1’=f:P(1a−k)が成り立つ。これを展開すると、L1’=PL1(1a−k)/fとなる。ここで、1aは測距演算領域31cLに結像した測距位置1Aのコントラスト重心位置に相当する画素番号、kは光軸に相当する水平方向ラインセンサの画素番号、Pは水平方向ラインセンサの画素ピッチ、fは焦点距離である。同様に、L2’は、L2’=PL2(1b−k)/fで表わせる。ここで、1bは測距演算領域31cRに結像した測距位置1Bのコントラスト重心位置に相当する画素番号である。なお、P及びfは設計段階等で求められる定数であり、これらの値は制御部3内に予め記憶しておく。なお、コントラスト重心位置の求め方については公知技術(例えば特開平8−75985号参照)であるため、本実施例では、その説明を省略する。また、第2パッシブ測距装置40の距離データに基づいて、第2基準方向に対するスクリーン1の傾斜角度θ2を算出する方法についても同様の方法を適用することができる。また、傾斜角度の演算方法は上記に限らず、例えば特許文献1に記載されている方法を用いても良い。
傾斜角θ1、θ2が求まると、制御部3は求めた傾斜角θ1、θ2を投影画像生成部5に出力する。投影画像生成部5において、制御部3が算出した水平方向および垂直方向の傾斜角度に基づき投影画像とは逆の台形歪みのある画像の表示データを生成し(キーストン補正)、投影画像の台形歪みを電気的に補正する(ステップS6)。補正後の画像は、表示駆動部6によりスクリーン8に投影される。
次に上述したステップS4の距離補正の詳細について説明する。制御部3は、第1パッシブ測距装置30と第2パッシブ測距装置40により測定された距離データを補正して、より精度の高い距離データを用いてスクリーン1の傾斜角度を求める。測定対象となるスクリーン1は平面なので、スクリーン1上のある直線に沿った複数の測距点を距離測定した場合、測定した距離データも直線的に変化する。すなわち、距離データを結ぶ線の傾き(距離データの変化率)が略一定となる。しかしこれに誤差が含まれていると、直線的な変化とはならない。本実施例は、この点に着目して、スクリーン1を複数の測定エリアに分割し、分割した各測定エリアの距離データを結ぶ線の傾き(距離データの変化率)が略一定となるように距離データの補正を行う。
図10に示すフローチャートを参照しながら距離データの補正手順を説明する。なお、第1パッシブ測距装置30の距離データと第2パッシブ測距装置40の距離データとで補正方法は同一なので、ここでは第1パッシブ測距装置30の距離データを例として補正方法を説明する。まず、変数Aを1に、変数BをMaxに、変数nを0に設定する。変数AとBは、測定エリアを識別する番号である。また、Maxとは各ラインセンサの最大画素番号である。水平方向ラインセンサ31c,31dの各画素を所定個ずつに分けて、スクリーン1を複数の測定エリアに分ける。また変数nは、以下で行う距離補正の回数をカウントする変数である。なお、本実施例では、測定エリアは上述した測距演算領域と同一であり、各エリア毎にスクリーン1までの距離データを演算している。
次に、基準となる距離LCを設定する(ステップS11)。まず、測定エリアが奇数個の場合には、中央の測定エリアを選択する。この中央の測定エリア(図11、12、13、14に示すエリアC)に対応する距離データを基準距離LCに設定する。なお、図11〜図14の(A)には、縦軸を距離、横軸を測定エリアとした各測定エリアの補正前の距離データ(図中の丸印がスクリーン上の測距点を表す)が示されている。また図11〜図14の(B)には、補正後の各測定エリアの距離データが示されている。また、測定エリアが偶数個の場合には、各測定エリアに対応する距離データを使用し、これらの平均値を基準となる距離LCに選択する。また平均値を求める際にすべての測定エリアの距離データを使用するのではなく、スクリーン1の中央付近の所定個の測定エリアの距離データを使用して、平均値を算出してもよい。
次に、左端の測定エリアAと右端の測定エリアBとを選択し、これらのエリアに対応する距離データをそれぞれ距離LA、LBとする。最初に一番両端の測定エリアの距離データの補正を行い、次にこれらの測定エリアより一つ内側の測定エリアの距離データの補正を行う。すなわち、補正ごとに左右共に内側の測定エリアを全エリアに亘って選択していく。また、測定エリアCは、奇数個に分割した中央のエリアであるため、図11〜図14に示すように測定エリアAと測定エリアBは、測定エリアCから左右に等距離に位置する。なお、本実施例では便宜上、各測定エリアの距離データが、各エリアの中央の画素に対応する位置にあり、基準距離LCと距離LAの画素の間隔と基準距離LCと距離LBの画素の間隔とが等しくなるように設定している。
次に、選択した距離LA、LBと基準距離LCとの差を求める(ステップS12)。距離LAと基準距離LCとの差の絶対値をDAとし、距離LBと基準距離LCとの差の絶対値をDBとする。また、DAからDBを減算した値をαとする(ステップS12)。
もし、測距結果に誤差が含まれていなければ、DAとDBの差αは0になる。そこで、差αが0でない場合には、0になるように距離LA、LBの補正を行う。
まず、距離LAと距離LBとの大小比較を行う(ステップS13)。距離LAが距離LBよりも小さい場合(ステップS13/YES)、図11(A)又は図12(A)に示すように各測定エリアの距離データを結ぶ直線が右上がりとなる。この場合、距離LAと距離LBにα/2を加算して新たな距離LA、距離LBとする(ステップS14)。
図11(A)に示すように距離LA<距離LBで、DA>DBの場合、(DA−DB)/2=α/2だけ距離LA、距離LBを長くする。なお、DA>DBなのでαは正の値を取る。従って、距離LAと距離LBにα/2を加算する。これにより基準距離LCとの差が、距離LA側ではα/2だけ短くなり、距離LB側ではα/2だけ長くなる。これにより、図11(B)に示すように測定エリアAの測距点と、測定エリアCの測距点と、測定エリアBの測距点とが一直線上に並ぶ。すなわち、測定エリアA,B,Cの距離データの変化率(傾き)が一定となる。
また、図12(A)に示すように距離LA<距離LBで、DA<DBの場合、(DA−DB)/2=α/2だけ距離LA,距離LBを短くする。なお、DA<DBなのでαは負の値を取る。従って距離LAと距離LBにα/2を加算すると、減算を行ったことになる。これにより、基準距離LCとの差が、距離LA側ではα/2だけ長くなり、距離LB側ではα/2だけ短くなる。これにより、図12(B)に示すように測定エリアAの測距点と、測定エリアCの測距点と、測定エリアBの測距点とが一直線上に並ぶ。すなわち、測定エリアA,B,Cの距離データの変化率(傾き)が一定となる。
また、距離LAが距離LBよりも大きい場合(ステップS13/NO)、図13(A)又は図14(A)に示すように各測定エリアの距離データを結ぶ直線が右下がりとなる。この場合、距離LA、距離LBそれぞれからα/2を減算して新たな距離LA、距離LBとする(ステップS15)。
図13(A)に示すように距離LA>距離LBで、DA>DBの場合、(DA−DB)/2=α/2だけ距離LA、距離LBを短くする。DA>DBなのでαは正の値を取る。従って、距離LAと距離LBにα/2を減算する。これにより、基準距離LCとの差が、距離LA側ではα/2だけ短くなり、距離LB側ではα/2だけ長くなる。これにより、図13(B)に示すように測定エリアAの測距点と、測定エリアCの測距点と、測定エリアBの測距点とが一直線上に並ぶ。すなわち、測定エリアA,B,Cの距離データの変化率(傾き)が一定となる。
また、図14(A)に示すように距離LA>距離LBで、DA<DBの場合、(DA−DB)/2=α/2だけ距離LA,距離LBを長くする。DA<DBなのでαは負の値を取る。従って距離LAと距離LBにα/2を減算すると、加算を行ったことになる。これにより、基準距離LCとの差が、距離LA側ではα/2だけ長くなり、距離LB側ではα/2だけ短くなる。これにより、図14(B)に示すように測定エリアAの測距点と、測定エリアCの測距点と、測定エリアBの測距点とが一直線上に並ぶ。すなわち、測定エリアA,B,Cの距離データの変化率(傾き)が一定となる。
1回の距離補正が終了すると距離補正回数nを1加算して(ステップS16)、nが(Max−1)/2よりも大きくなったか否かを判定する(ステップS17)。nが(Max−1)/2よりも小さい場合には(ステップS17/NO)、Aの値を1加算し、Bの値を1減算して、距離補正をさらに行う(ステップS18)。またnが(Max−1)/2よりも大きい場合には(ステップS17/YES)、距離補正を終了する。
このように本実施例は、測定した距離データの変化率が略一定となるように距離データを補正する。スクリーン1のような平面状の対象物までの複数の距離を測定した場合、誤差が含まれていなければ測定した複数の距離データも直線的に変化する。そこで、距離データの変化率が略一定となるように距離データを補正することで、距離データに含まれる誤差を取り除き、台形歪みを高精度に補正することができる。
基準距離LCと、これから所定間隔だけ離間した2つの距離LA、LBとの差に基づいて距離LA,LBを補正するので、簡単な演算処理で距離データの補正を行うことができる。また、投影画像の中央部を含むエリアの距離データを基準距離LCに設定しているため、投影レンズの収差の影響を低減して、より高精度にスクリーンの傾斜角度を算出することができる。
なお、本実施例では、補正を行う距離データを基準距離LCから等しい間隔だけ離れた位置の距離データを選択していたが、異なる間隔だけ離れた距離データを選択することも可能である。このとき、距離データの変化率(傾き)が略一定となるように補正を行えばよいのであるから、補正を行う2つの距離の基準距離LCからの間隔の比に応じて補正量を決定すればよい。
次に、本発明の第2実施例について説明する。上述したようにスクリーン1上のある直線に沿った複数の位置を距離測定した場合、測定した距離データも直線的に変化する。しかし、実際にはノイズ及び製造誤差等のさまざまな原因により、測定された距離を結んでも直線的には並ばない。そこで、本実施例では、測定対象のスクリーン1上に直線的に並んだ複数の位置までの距離を測定し、個々の位置の距離測定による誤差が最小になるような代表値を算出する。この代表値に対して距離補正を行い、補正後の距離データを用いてスクリーン1の傾斜角度を求める。代表値を算出する方法は、以下の通りである。
(1)個々の領域のコントラスト重心位置に対しての平均化処理で、N、N+1、及びN+2の領域に対してのコントラスト分布の重心位置の平均を検出する。
(2)個々の領域の測距結果に対しての平均化処理によりN、N+1、及びN+2領域に対しての測距結果の平均を検出する。
(1)個々の領域のコントラスト重心位置に対しての平均化処理で、N、N+1、及びN+2の領域に対してのコントラスト分布の重心位置の平均を検出する。
(2)個々の領域の測距結果に対しての平均化処理によりN、N+1、及びN+2領域に対しての測距結果の平均を検出する。
図15(B)に示すように、上記2つの平均化処理(1)及び(2)を、図15(A)のN、N+1、N+2(図15(A)ではN=1〜4の自然数)の各3つの測距演算領域、すなわち3つの距離データを含む4つの小グループ毎について行なうと、小グループ毎の測距結果の平均値を縦軸に、小グループ毎のコントラスト分布の重心の平均位置を横軸に示したグラフを生ずる。図15(A)と図15(B)を比較してみれば容易に理解されるように、平均化された値によるグラフはほぼ直線上に並ぶ。従って、スクリーン1の傾斜角度θ1を、図15(B)の平均化された値を結ぶ直線的な関係を示すグラフの傾きから算出すれば、より精度の高い角度を検出できる。
例えば、図15(b)に示される平均化された測距結果の4つから、隣り合った2つ同士の測距結果を使用して、上述した式から傾斜角度θ1をそれぞれ求めると3つの傾斜角度θ1が得られる。3つの傾斜角度の内で、最大値と最小値を除いた真中の中央値の大きさの傾斜角度又はそれらの平均値を検出された傾斜角度θ1とすることができる。このようにして、より精度の高い角度を検出できる。
なお、プロジェクタ装置2の投影レンズ光学系8が自動焦点機構を有していて、スクリーン1までの距離を自動的に検出して、スクリーン1上に投射された画像の自動焦点を行なう場合、スクリーン1までの距離としては、図15(b)に示される測距結果の平均値のうち、最大値と最小値を除いた中央値又はそれらの平均値を選ぶことができる。このようにして、より精度の高い距離を検出できる。
次に、図16及び図17に示されるフローチャートを参照して、本実施例の動作手順を説明する。まず、図16を図1と併せて参照しながら説明する。なお、図16に示すステップS22のセンサデータにA/D変換を施すまでの処理はすでに説明済みであるので説明を省略する。なお、以下では演算部32の動作を説明するが、第2パッシブ測距装置40の演算部42も演算部32と同様な動作を行うため、説明を省略する。
演算部32は、得られたセンサデータに対して、相関演算処理、最大相関度検出処理、補間演算処理、位相差検出処理、コントラスト重心演算処理、そして信頼性判定処理を行う(ステップS23)。
相関演算処理は、図6を参照しながら説明したように画像データ信号列IL及びIR内から空間的に近接した例えば26個の画素グループからなる部分画像データ群iLm(基準部)及びiRn(参照部)をそれぞれ選択的に取り出して、データの一致度を計算するために両部分画像データ群iLm及びiRnを互いに比較する。例えば、一方の部分画像データ群iLmを基準部として固定して、他方の部分画像データ群iRnを参照部としてIR内で画素を1つずつづらしながら、互いに比較を繰り返す。最大相関度検出処理では、一対の画像データ信号列IL及びIR内で最もデータの一致度の高い2つの部分画像データ群iLm及びiRnを検出する。
補間演算処理は、最大相関度検出処理で得られた最大の一致度の部分画像データ群iLm及びiRnの位置間隔を、既知の補間方法により画素ピッチ単位の位置間隔よりも正確な位置間隔に補間する。この補間演算により補間された位置間隔に基づいて、位相差検出処理では、一対のラインセンサ31c及び31d上に結像された対象物の一対の像の相対的な位相差(ずれ量)αを算出する。
コントラスト重心演算処理では、ラインセンサ31c及び31d上に結像された画像のコントラスト重心を求める。
信頼性判定処理では、算定された両ラインセンサ31c及び31d上に結像された位置の相対的な位相差(ずれ量)αの信頼性を判定する。この信頼性の判定では、対象物が両ラインセンサ31c及び31d上に正しく結像され、最大相関度検出処理において得られる一致度が所定値以上となると、信頼性ありと判定され、CONF_FLG1=OKをセットする(ステップS23)。但し、最大相関度検出処理において得られる一致度が例え相対的に最高であったとしても、所定値未満の一致度であれば信頼性が低いとして、信頼性判定でその測定結果を排除する。また、2つ以上の測距演算領域でデータ信頼性判定(CONF_FLG1=OK)に合格していなければ(ステップS24/NO)、以後の角度検出は不可能であるから(ステップS31)、動作を終了する。
2つ以上の測距演算領域でデータ信頼性に合格していれば(ステップS24/YES)、図6を参照して説明した方法により距離を算出する(ステップS25)。距離を算出する際にはレンズ収差による補正や温度補正等の既知の補正をする。そして、3つ以上の測距演算領域でデータ信頼性判定(CONF_FLG1=OK)に合格しているかを見る(ステップS26)。もし、3つ以上の測距演算領域でのデータ信頼性(CONF_FLG1=OK)が合格していなければ(ステップS26/NO)、平均化処理方法(1)及び(2)と相互信頼性判定は使用できないから、そのまま上述した実施例1で説明した距離補正を行う(ステップS28)。そして、補正後の距離データを使用して傾斜角度演算を行い(ステップS29)、台形歪みを補正する(ステップS30)。
また、3つ以上の測距演算領域でのデータ信頼性判定(CONF_FLG1=OK)が合格していれば(ステップS26/YES)、図17のサブルーチン処理による本発明の平均化処理方法(1)及び(2)と相互信頼性判定が適用される(ステップS27)。図17のサブルーチン処理で実行される本発明の平均化処理方法(1)及び(2)と相互信頼性判定を適用した後(ステップS27)、距離測定結果を用いて、上述した実施例1で説明した距離補正を行う(ステップS28)。そして、補正後の距離データを使用して傾斜角度演算を行い(ステップS29)、台形歪みを補正する(ステップS30)。
図17は、図16中のステップS27において実行される平均化処理方法(1)及び(2)と相互信頼性判定を行なうためのサブルーチンを示すフローチャートである。これらのサブルーチンは、制御部3にて実行される。
図16のステップS27に入ると、図17のサブルーチン測距結果処理が開始されて、N=1にセットされる(ステップS41)。そして、N、N+1、N+2の測距演算領域のデータ信頼性(CONF_FLG1=OK)がすべて合格しているかを検査する(ステップS42)。もし、連続した3つの測距演算領域のデータ信頼性(CONF_FLG1=OK)が合格していなければ(ステップS42/NO)、Nに1を加算して(ステップS49)、加算後のNが最終値から1を引いた値であれば(ステップS50/YES)、図16のステップS28から処理を再開する。加算後のNが、最終値から1を引いた値でなければ(ステップS50/NO)、ステップS41に戻る。
もし、連続した3つの測距演算領域のデータ信頼性(CONF_FLG1=OK)が合格していれば(ステップS42/YES)、領域Nの測距結果と領域N+2の測距結果の平均値Sを求める(ステップS43)。そして、領域N+1の測距結果をTとして(ステップS44)、SとTの差の絶対値Uを求める(ステップS45)。
もし、差の絶対値Uが所定の判定値以上であれば(ステップS46/NO)、この隣接する3領域の測定データの信頼性がないと判定されて、ステップS49に行く。もし、差の絶対値Uが所定の判定値未満であれば(ステップS46/YES)、この隣接する3領域の測定データの信頼性が有ると判定され、本発明の平均化処理方法(2)が適用されて、隣接する測距演算領域による測距結果の平均値が求められて記憶される(ステップS47)。すなわち、(N、N+1、N+2の測距結果合計)/3=Distance(N)が求められて記憶されて、図16のステップS29における傾斜角度演算に使用される。
次に、本発明の平均化処理方法(1)が適用されて、隣接する測距演算領域によるコントラスト分布重心の平均値が求められて記憶される(ステップS48)。すなわち、(N、N+1、N+2のコントラスト重心結果合計)/3=Balance(N)が求められて記憶されて、同様に図16のステップS29における傾斜角度演算に使用される。その後、ステップS49に進んでNに1が加算される。そして、Nが最終値から1を引いた数に等しければ(ステップS50/YES)、図16のフローチャートに戻る。
このように本実施例は、信頼性が高いと判定されたグループを選択して、これらのグループの代表値を求め、この代表値に対してさらに距離補正を行う。従って、スクリーンまでの距離測定がノイズ等によって正しくできない場合であっても、この影響を低減して距離補正を精度よく行うことができる。
上述した実施例は本発明の好適な一例である。但しこれに限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
1 スクリーン 2 プロジェクタ装置
3 制御部 4 メモリ部
5 投影画像生成部 6 表示駆動部
7 光学系駆動部 8 投影レンズ光学系
20 自動焦点検出装置 21 受光センサ
22 演算部 30 第1パッシブ測距装置
31 撮像部
31c,31d 水平方向ラインセンサ
32 演算部 40 第2パッシブ測距装置
41 撮像部
41c,41d 垂直方向ラインセンサ
42 演算部
3 制御部 4 メモリ部
5 投影画像生成部 6 表示駆動部
7 光学系駆動部 8 投影レンズ光学系
20 自動焦点検出装置 21 受光センサ
22 演算部 30 第1パッシブ測距装置
31 撮像部
31c,31d 水平方向ラインセンサ
32 演算部 40 第2パッシブ測距装置
41 撮像部
41c,41d 垂直方向ラインセンサ
42 演算部
Claims (11)
- スクリーンに投影された画像の反射光を受光する複数の受光素子を有する受光センサと、
前記複数の受光素子の出力から得られるセンサデータに基づいて、前記スクリーンまでの複数の距離データを求める演算部と、
前記複数の距離データの変化率が略一定となるように前記距離データを補正する制御部とを有することを特徴とするプロジェクタ装置。 - 前記制御部は、前記複数の距離データの中から、前記スクリーンに投影された画像の中央部に対応する距離データと、該距離データから離れた位置の距離データとを選択して、これらの距離データの変化率が略一定となるように前記離れた位置の距離データを補正することを特徴とする請求項1記載のプロジェクタ装置。
- 前記制御部は、前記スクリーンに投影された画像の中央部に対応する距離データと、該距離データから所定間隔だけ離れた位置の距離データとの差が略同一となるように前記所定間隔だけ離れた距離データを補正することを特徴とする請求項2記載のプロジェクタ装置。
- 前記演算部は、前記複数の受光素子に設定された複数の測定エリア毎に前記距離データを求め、前記制御部は、前記測定エリア毎の距離データの変化率が略一定となるように該距離データの補正を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプロジェクタ装置。
- 前記制御部は、前記測定エリア毎の距離データを平均した基準の距離データと、該測定エリア毎の距離データの中から選択した距離データとの変化率が略一定となるように該選択した距離データの補正を行うことを特徴とする請求項4記載のプロジェクタ装置。
- 前記演算部は、前記複数の距離データの位置に応じて設定された複数の小グループ毎に該小グループ内の複数の距離データの平均値を求め、
前記制御部は、前記複数の小グループ毎の前記距離データの平均値の変化率が略同一となるように該平均値を補正する請求項1から5のいずれかに記載のプロジェクタ装置。 - 前記演算部は、前記複数の小グループ毎にコントラスト分布の重心位置の平均値を求め、
前記制御部は、前記小グループ毎の前記コントラスト分布の重心位置の平均値の変化率が略同一となるように該平均値を補正することを特徴とする請求項6記載のプロジェクタ装置。 - 前記演算部は、前記各小グループ内の複数の距離データに対応する前記センサデータに基づいて前記距離データの信頼性を判定し、信頼性ありと判定された前記小グループの平均値の補正を行うことを特徴とする請求項6又は7記載のプロジェクタ装置。
- 前記制御部は、補正した前記距離データ又は前記平均値を用いて前記スクリーンの傾斜角度を算出し、算出した前記傾斜角度に基づいて前記スクリーンに投影する画像の台形歪みを補正することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のプロジェクタ装置。
- スクリーンに投影された画像の反射光を複数の受光素子で受光して、前記複数の受光素子の出力から得られるセンサデータに基づいて、前記スクリーンまでの複数の距離データを求める工程と、
前記複数の距離データの変化率が略一定となるように前記距離データを補正する工程とを有することを特徴とする距離データ補正方法。 - スクリーンに投影された画像の反射光を複数の受光素子で受光して、前記複数の受光素子の出力から得られるセンサデータに基づいて、前記スクリーンまでの複数の距離データを求める工程と、
前記複数の距離データの位置に応じて設定された複数の小グループ毎に、該小グループ内の複数の距離データに対応する前記センサデータに基づいて前記距離データの信頼性を判定する工程と、
信頼性ありと判定された前記小グループ内の複数の距離データの平均値と、前記小グループ内のコントラスト分布の重心位置の平均値とをそれぞれ算出する工程と、
前記信頼性ありと判定された前記小グループの距離データの平均値の変化率が略一定となるように該平均値を補正する工程と、
前記信頼性ありと判定された前記小グループの前記コントラスト分布の重心位置の平均値の変化率が略一定となるように該平均値を補正する工程とを有することを特徴とする距離データ補正方法。
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- 2004-06-07 JP JP2004169204A patent/JP2005348379A/ja not_active Withdrawn
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A761 | Written withdrawal of application |
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