JP2005343842A - アセロラパルプ抽出物を含む抗酸化剤およびage生成阻害剤ならびにそれらを含む食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、天然物由来の抗酸化剤およびAGE生成阻害剤ならびにそれらを含む食品を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明はアセロラパルプ抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有する抗酸化剤およびAGE生成阻害剤ならびにそれらを含む食品に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、抗酸化剤およびAGE生成阻害剤に関する。
活性酸素は生体に悪影響を与えることが知られている。生体への悪影響としては例えば、老化、発ガン、シミまたはソバカスの発生等が挙げられる。活性酸素はまた化粧品や飲食品を劣化させることも知られている。活性酸素を除去する抗酸化剤としてはアスコルビン酸(ビタミンC)等が化粧品や飲食品に利用されている。近年、より安全な抗酸化剤として天然物由来の抗酸化剤が求められている。
一方、近年の食生活やライフスタイルの変化に伴い、糖尿病患者は増加傾向にある。現在のわが国の糖尿病患者は740万人にのぼり、糖尿病の予備軍を含めると、1620万人に達するといわれている。
糖尿病とは、インスリンというホルモンの作用不足によって高血糖状態が長く続くという代謝疾患群である。高血糖状態が続くと、神経障害、白内障、腎障害、網膜症、関節硬化症、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性壊疽等の種々の合併症を発症することがある。合併症は主に、患者の血液中のタンパク質が糖と結合する非酵素的糖化が原因とされる血管障害と、糖が代謝されるときに生じるソルビトールの蓄積によって細胞が破壊されることが原因とされる神経障害とに分かれる。タンパク質が糖と結合して形成された糖化蛋白質は、さらに反応が進むと蛋白糖化反応最終産物(Advanced Glycation Endproducts;AGE)と呼ばれる化合物を形成する。AGEは血管内皮細胞にある特異的な受容体(RAGE)に結合して糖尿病血管障害の発症に寄与すると考えられている。
このため、AGEの生成を阻害することが、糖尿病合併症を治療・予防する方法の一つと考えられる。
これに関して、従来より、糖尿病合併症の治療・予防のための多くの薬剤が開発されている。
例えば、AGE生成阻害剤として、例えば、カルボニル試薬であるアミノグアニジンが知られており、抗糖尿病薬や抗糖尿病合併症薬として注目され様々な臨床実験が行われている。
しかし、これらの薬剤は、効果が強力である一方、服用したときの腹部膨満感、他の血糖降下薬との併用による低血糖状態の誘引、吐き気や頭痛等、患者に対する様々な副作用が問題となる。
これに対して、効果は穏やかであるが、副作用の問題はないとされる天然の成分由来の薬剤も開発されている。天然成分由来のAGE生成阻害剤として、例えばワイルドライス等の米類からの抽出物を用いた抗糖尿病活性物質および抗糖尿病合併症活性物質とその製造方法(特許文献1)等が知られているが、まだ数は少ない。
一方、アセロラはミカン目キントラノオ科ヒイラギトラノオ属の熱帯果実で、カリブ海諸島を原産としている。アセロラ果実は、現在では世界各国で飲料や健康食品として用いられている。アセロラ果実から飲料や健康食品を製造する際に、果肉、果皮などのパルプまたは種子を含む残渣が多量に発生する。これまでに、アセロラ種子抽出物にポリフェノールの一種であるクエルセチン3−O−α−L−ラムノシドおよびクエルセチン3−O−アラビノシルガラクトシドが含まれることが知られており、アセロラパルプ抽出物が抗酸化作用並びにコラーゲナーゼ活性阻害作用およびヒアルロニダーゼ活性阻害作用を有することが知られている(非特許文献1)。しかしながら、アセロラパルプ抽出物についてはこれまで調べられておらず、アセロラパルプの大部分は産業廃棄物として廃棄処分されている。これらの未利用資源を有効活用し、工業的価値を見出すことが望まれている。
特許第3334016号公報 日本薬学会第123年会(長崎)要旨集、一般学術発表27(P1)I−255
本発明は、天然物由来の抗酸化剤およびAGE生成阻害剤ならびにそれらを含む食品を提供することを目的とする。
本発明は以下の発明を包含する。
(1)アセロラパルプ抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有する食品。
(2)アセロラパルプ抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有する抗酸化剤。
(3)アセロラ果肉に由来する成分を有効成分として含有する上記(2)に記載の抗酸化剤。
(4)アセロラパルプ抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有するAGE生成阻害剤。
(5)アセロラ果肉に由来する成分を有効成分として含有する上記(4)に記載のAGE生成阻害剤。
(6)糖尿病合併症の治療または予防に用いるための、上記(4)または(5)に記載のAGE生成阻害剤。
(7)上記(4)〜(6)のいずれかに記載のAGE生成阻害剤を含有する、AGE生成阻害のための食品。
本発明により、抗酸化作用およびAGE生成阻害作用を有する天然物由来の製剤ならびにそれらを含む食品が提供される。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明はアセロラパルプ抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有する抗酸化剤ならびにAGE生成阻害剤に関する。本発明の抗酸化剤ならびにAGE生成阻害剤は、天然物由来であるために人体に悪影響を与える可能性が低い。また、医薬品として使用された場合には副作用を引き起こす可能性が低い。本発明はアセロラパルプの有効利用に資する点でも好ましい。
本発明で用いられるアセロラパルプが採取されるアセロラの生産地や品種は特に制限されないが、生産地としては、例えば沖縄、ブラジルが挙げられる。
本発明においてアセロラパルプとは、種子を除去したアセロラ可食部から果汁を搾り取った残渣を指し、果肉や果皮が含まれる。アセロラパルプは、乾燥されたものであっても、半乾燥状態のものであっても、未乾燥のものであってもよい。
本発明に使用されるアセロラパルプは、典型的には、アセロラ果汁搾汁工程の残渣(副生成物)として提供される。例えばアセロラ果実をパルパーフィニッシャーにより種子を取り除き、得られたピューレを遠心処理することにより残渣として得られる。従って本発明は産業廃棄物の有効活用という観点からも好ましい。
アセロラパルプ抽出液を得る方法としては、例えば、水または有機溶媒で抽出する方法、アルコール等の親水性有機溶媒を含む水で抽出する方法、有機溶媒を用いて抽出された粗抽出液に、合成吸着剤を作用させて吸着させ、フラボノイドを有する抽出物を得る方法、超臨界流体を用いて抽出する方法等がある。抽出溶媒として用いられ得る水の種類には特に限定がなく、純水、精製水等であってよい。抽出溶媒として有機溶媒が用いられる場合、親水性有機溶媒、疎水性有機溶媒のいずれでもよい。親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等のアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸等の公知の有機溶媒が挙げられる。上記の親水性有機溶媒は水との混合物として用いられてもよい。疎水性有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン等の公知の有機溶媒が挙げられる。上記の親水性有機溶媒および疎水性有機溶媒はそれぞれ単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。抽出溶媒の使用量はアセロラパルプ100重量部(未乾燥品)に対して通常100〜1000重量部程度であり、200〜500重量部程度がより好ましい。また、抽出温度は効率よく抽出を行う観点から0〜130℃程度が好ましく、25〜121℃がより好ましい。なお100℃を超える温度の水で抽出が行われる場合は加圧下で行われる必要がある。抽出時間は1〜24時間程度が好ましく、1〜2時間程度がより好ましい。アセロラパルプ抽出液中には、ビタミンCの他にポリフェノールも豊富に含まれる。例えば、アセロラパルプに対して4倍量(重量基準)の100℃の水を用いて抽出されたポリフェノール回収量は、抽出時間により変動するものの、典型的には50〜100mg/100gである。
抽出操作は特に限定的でなく常法に従って行えばよい。抽出効率を向上させるため、振とう抽出や攪拌機等を備えた抽出機を用いて抽出することもできる。例えば、アセロラパルプを抽出溶媒に浸漬するか、または浸漬せずに抽出溶媒とともに攪拌、振とうする抽出処理を行い、処理液をろ過、遠心分離またはデカンテーション等によって抽出液と抽出残渣とに分離することにより抽出処理を行うことができ、抽出残渣は更に同様な抽出処理に付してもよい。得られる抽出液はそのまま用いてもよいが、必要に応じて更に濃縮、固液分離、精製等の処理が施されてもよい。本発明における「アセロラパルプ抽出物の処理物」には典型的にはこれらの処理が施されたものが包含される。濃縮処理手段としては、溶媒除去、水および/または有機溶媒に対する溶解性を利用した可溶分回収処理、不溶分回収処理、水−疎水性有機溶媒での液液分配処理、再結晶処理、再沈澱処理、冷却により生じた析出物を回収する処理等が挙げられるがこれらに限定されない。固液分離処理手段としては、ろ過、遠心分離等が挙げられるがこれらに限定されない。精製処理手段としては、順相または逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過等が挙げられるがこれらに限定されない。これらの濃縮、固液分離、精製手段は単独で用いられても適宜組み合わされてもよい。
本発明に使用されるアセロラパルプ抽出物には典型的にはポリフェノールが含まれる。本発明のアセロラパルプ抽出物に含まれ得るポリフェノールとしては、例えばアントシアニン類およびケルセチン類が挙げられるがこれらに限らない。アセロラパルプ抽出固形分中のポリフェノール含量は0.1〜100重量%が好ましく、5〜100重量%が特に好ましい。
本発明の抗酸化剤またはAGE生成阻害剤中のアセロラパルプ抽出物の含有量は、所望の作用が奏される含有量である限りとくに限定されない。また本発明の抗酸化剤またはAGE生成阻害剤はアセロラパルプ抽出物以外の任意の成分、好ましくは、アセロラ果肉に由来する成分を更に含み得る。アセロラ果汁にはビタミンCが約1500mg/100gあるいはそれ以上含まれており、更に、本発明者らが独自に測定したところポリフェノールもまた多量に含まれている。
本発明の抗酸化剤またはAGE生成阻害剤は、常法により、必要に応じて適当な担体等を利用して食品形態または製剤形態に調製され得る。
食品形態としては、飲料、固形食品、半固形食品等が挙げられ、特定保健用食品(例えば、糖尿病・糖尿病合併症予防食品)にもなり得る。飲料としては、具体的には、果汁飲料、清涼飲料、アルコール飲料等が挙げられる。また、摂取時に水等を用いて希釈して摂取される形態であってもよい。固形食品としては、例えば、飴、トローチ等を含む錠剤(タブレット)や糖衣錠の形態、顆粒の形態、粉末飲料、粉末スープ等の粉末の形態、ビスケット等のブロック菓子類の形態、カプセル、ゼリー等の形態等、種々の形態の食品が挙げられる。半固形食品としては、例えばジャムのようなペーストの形態、チューイングガムのようなガムの形態が挙げられる。食品中における本発明の抗酸化剤またはAGE生成阻害剤の含有量は、食品の種類および該食品に含有される他の成分の種類や量、形態等に応じて適宜選択され得るが、通常、食品全量に対してアセロラパルプ抽出物の乾燥物換算で0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%である。本発明の食品には、本発明の所望の効果が損なわれない範囲で、通常、食品原料として用いられる種々の他の成分を配合することができる。他の成分としては例えば水、アルコール類、甘味料、酸味料、着色料、保存剤、香料、賦形剤等が挙げられる。これらの成分は単独で、または組み合わされて使用され得る。
製剤形態としては、例えば、経口投与用製剤または非経口投与用製剤が挙げられる。
経口投与用製剤としては例えば散剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、液剤、カプセル剤、丸剤、トローチ、内用液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等の形態とすることができる。非経口投与用製剤としては例えば経鼻、経腸、経皮投与用製剤が挙げられ、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤、軟膏剤等の形態とすることができる。またこれらの製剤形態が症状に応じて単独で、または組み合わされて使用され得る。
各種形態への調製は、常法により行われる。その際使用される担体、賦形剤、結合剤、防腐剤、酸化安定剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味剤、希釈剤も、慣用されているものから適宜選択される。
以上のように本発明の抗酸化剤またはAGE生成阻害剤は種々の形態に調製され得るものである。更に必要に応じて、これら食品形態または製剤形態の調製に際して、慣用されている各種添加剤を添加配合することもできる。添加剤としては、例えば、安定化剤、pH調整剤、糖類、甘味料、香料、各種ビタミン類、ミネラル類、抗酸化剤、賦形剤、可溶化剤、結合剤、滑沢剤、懸濁剤、湿潤剤、皮膜形成物質、矯味剤、矯臭剤、着色料、保存剤、界面活性剤、流動性促進剤等を例示することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
パルプからのポリフェノール抽出方法の検討
アセロラ果実の搾汁時に生じる残渣であるパルプからポリフェノールの回収方法を検討した。まず、アセロラ果実から種子を除去した後、5000×gで10分間遠心分離することによりパルプを回収し、乾燥させることなく本実験に用いた。このアセロラパルプに4倍量(重量基準)の蒸留水を添加し、ポリトロンで10分間ホモジナイズした後、この懸濁液を用いて以下の抽出処理方法を検討した。
1.1 熱水抽出法による抽出時間の検討
100℃で15、30、60および120分間抽出処理を行った。
1.2 抽出温度の検討
25、50、75、80、85、90、95および100℃でそれぞれ60分間抽出処理を行った。
抽出結果は、ポリフェノール回収量(mg/100g)を測定することにより評価した。ポリフェノール回収量は、出発原料であるアセロラパルプ100gから抽出処理により得られたポリフェノール量である。ここでポリフェノールの量はFolin−Denis法により測定した。
熱水抽出法による抽出時間の検討(上記1.1)では、ポリフェノール回収量は抽出時間に関わらず、おおよそ50〜60mg/100g程度であった(図1のA)。また、抽出温度の検討(上記1.2)では、抽出温度100℃で若干ポリフェノール回収量が増加した(図1のB)。これらの結果から、アセロラパルプからのポリフェノールの抽出は、100℃の熱水で抽出することが最も効率良く、また抽出時間2時間の範囲では特に抽出時間に影響しないことが判明した。そこで以下の検討では、100℃、60分間の抽出条件で行った。
アセロラパルプ抽出物の精製方法の検討
次にアセロラパルプ抽出物を精製処理し、ポリフェノールの純度を高める方法を検討した。陰イオン交換樹脂3種(DOWEX 1×2、DOWEX 2×8、DOWEX MARATHON WBA)、陽イオン交換樹脂2種(DOWEX 50W×2、DOWEX MAC−3)、合成吸着樹脂3種(Amberlite XAD16HP、Amberlite XAD7HP、Amberlite XAD1180)の計8種類の樹脂を用いた。各樹脂について5ml容量のカラムを作製し、残渣抽出液(100℃60分間抽出。その他の条件抽出は実施例1の通り)10mlを各カラムに供した(流速2ml/min)。
検討を行った樹脂のうち、合成吸着樹脂のAmberlite XAD7HPに供した場合が最も効率よくポリフェノールを回収でき、そのポリフェノール純度は、約10%であった。ここでポリフェノール純度とは、カラム吸着画分中の固形分に占めるポリフェノールの割合(重量%)を意味する。ポリフェノールの量は実施例1と同様にFolin−Denis法により測定した。
以上のことから、検討した樹脂の中では合成吸着樹脂のAmberlite XAD7HPがアセロラパルプからのポリフェノールの精製に最も適していることがわかった。
アセロラパルプ抽出物の精製
本実施例では実施例1および2の結果を受けて、搾汁時に生じたアセロラパルプ残渣から抽出液を調製し、抽出液をさらに、Amberlite XAD7HPの500ml容量のカラムで精製した。
まず、アセロラパルプ残渣に、4倍量(重量基準)の蒸留水を添加し、ブレンダーミキサーにて破砕して懸濁液を調製し、この懸濁液を100℃に昇温して1時間維持して抽出を行った。続いてこの懸濁液を遠心分離し、ろ過してアセロラパルプ抽出液を得た。
この抽出液を10〜15ml/分の流速でAmberlite XAD7HPカラム(500ml容量)に供し、カラムの5倍容(2500ml)の蒸留水で洗浄した後、3倍容(1500ml)のエタノールで溶出させて吸着画分を得た。吸着画分を減圧濃縮し、蒸留水に再溶解後、凍結乾燥した。こうして、アセロラパルプ1kg(未乾燥重量)からポリフェノールを約10重量%含む、粗精製されたアセロラパルプ抽出物(以下、「アセロラパルプ抽出物粗精製物」という)を4.0g得た。
アセロラパルプ抽出物粗精製物の抗酸化活性
本実施例では実施例3で調製されたアセロラパルプ抽出物粗精製物の抗酸化活性の評価を行った。
抗酸化活性は、キサンチン−キサンチンオキシダーゼ反応系によるスーパーオキシドアニオンラジカルの消去活性で評価した。ラジカルの検出はESR(電子スピン共鳴法)を用いて行った。
DMPO(5,5−ジメチル−1−ピロリン−N−オキシド) 15μl、50mM リン酸緩衝液(pH7.4) 50μl、試料溶液 50μl、2mM ヒポキサンチン/リン酸緩衝液溶液 50μl、0.4unit/ml キサンチンオキシダーゼ(XOD)/リン酸緩衝液 50μlを混合し、XOD添加後45秒後にESRスペクトル測定を行った。こうしてスーパーオキシドアニオンラジカル量を測定した。ここで試料溶液は、実施例3で調製されたアセロラパルプ抽出物粗精製物の濃度が0.5または1.0mg/mlとなるように該精製物を水で希釈することにより調製したものである。また、比較対照として標品の(+)−カテキンも同様に評価した。
ESR装置は日本電子社製 ESR装置(JES−FR30)を用い、ESRスペクトル解析は以下の条件で行った。
磁場掃引幅:335.9±5mT、磁場変調:0.1mT、増幅率:100、掃引時間2分間、応答時間:0.1秒、測定温度:室温。
また、試料溶液の代わりに同量の蒸留水を用いたものをコントロールとし、同様にスーパーオキシドアニオンラジカルの量を測定した。コントロールの結果をラジカル消去活性0%とした。
結果を図2に示す。実施例3で調製されたアセロラパルプ抽出物粗精製物は、(+)−カテキン標品には及ばないものの十分な抗酸化活性を示すことが確認された。
アセロラパルプ抽出物粗精製物のAGE生成阻害作用
実施例3で調製されたアセロラパルプ抽出物粗精製物について、以下の方法によりAGE生成阻害作用を測定した。
16mg/mlの牛血清アルブミン1ml、4Mグルコース1ml、1/15Mリン酸緩衝液(pH7.2)1ml、0.3mg/mlの試料溶液1mlを混合し、60℃で貯蔵した。7日後に、タンパク質とグルコースによって生成されたAGEを蛍光分光計により分析した。蛍光の条件は、AGE初期産物の分析では励起波長325nm・蛍光波長405nm、AGE後期産物の分析では励起波長370nm・蛍光波長440nmとした。また、比較のためにアミノグアニジンを用いた実験も同様に行った。また、試料溶液の代わりに同量の蒸留水を用いたものをコントロールとし、同様に蛍光分析を行った。コントロールの結果をAGE生成阻害率0%とした。
結果を図3に示す。実施例3で調製されたアセロラパルプ抽出物粗精製物は、アミノグアニジン標品には及ばないものの十分なAGE生成阻害作用を有することが示された。
各抽出処理条件おけるポリフェノール成分の回収量を示す図である(A:100℃抽出、B:抽出温度の検討)。 アセロラパルプ抽出物粗精製物のスーパーオキシドアニオンラジカル消去活性を示す図である。 アセロラパルプ抽出物粗精製物のAGE生成阻害作用を示す図である。

Claims (7)

  1. アセロラパルプ抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有する食品。
  2. アセロラパルプ抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有する抗酸化剤。
  3. アセロラ果肉に由来する成分を有効成分として含有する請求項2に記載の抗酸化剤。
  4. アセロラパルプ抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有するAGE生成阻害剤。
  5. アセロラ果肉に由来する成分を有効成分として含有する請求項4に記載のAGE生成阻害剤。
  6. 糖尿病合併症の治療または予防に用いるための、請求項4または5に記載のAGE生成阻害剤。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載のAGE生成阻害剤を含有する、AGE生成阻害のための食品。
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