JP2005343732A - 熱線反射ガラス - Google Patents

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Kenichi Okada
顕一 岡田
Kenji Goto
謙次 後藤
Takuya Kawashima
卓也 川島
Nobuo Tanabe
信夫 田辺
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Abstract

【課題】 可視域の光の透過性に優れた熱線反射ガラスを提供する。
【解決手段】 本発明の熱線反射ガラス10は、接着部材12を介して2枚のガラス部材13、14を配してなる合わせガラス11からなり、何れか一方又は両方のガラス部材13、14の少なくとも一面にスプレー熱分解法によりスズ添加酸化インジウムからなる透明導電体15を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、透視性が良好で反射光害等がなく、建築物、自動車または車両の窓部への使用に好適なガラス部材で、特に、可視域の光の透過性に優れた熱線反射ガラスとその製法に関する。
近年、冷房負荷の軽減或いは太陽光線熱暑感の低減を目的に、熱線吸収ガラスや熱線反射ガラスが、建築物或いは自動車、車両等に広く用いられるようになり、以下のような可視域の光の透過性に優れた熱線反射ガラスが提案されている。
(1)熱線・紫外線吸収緑色系ガラスの片面に、銀層を含む多層膜からなり、垂直放射率0.2以下の低放射性膜を形成した熱遮断ガラスが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
この熱遮断ガラスは、熱線・紫外線吸収緑色系ガラス(例えば、セントラル硝子株式会社製の紫外線・赤外線吸収緑色系ガラス、商品名グリーンラルSP)の片面に、スパッタリング法により、例えば、ZnO、Agを交互に積層して、総膜厚88nmで、JIS R 3106に規定する測定法による垂直放射反射率が0.1以下からなる低放射性膜を膜付けしたものである。
かかる構成による熱遮断ガラスは、視覚上穏やかで草木の緑色にマッチした色調を呈し、日射からの熱線を吸収し、有害な紫外線を遮断する作用を呈する熱線・紫外線吸収緑色系ガラスを基に、近赤外域の熱線を遮断する低放射性膜を皮膜形成したことにより、熱遮断作用を向上させ、採光、透視性を損なうことがないと記載されている。
(2)FeO、Feで着色したソーダ石灰シリカ系ガラス基板に、Snの酸化物とSbの酸化物の混合物またはそれらにFの化合物またはTiの化合物を添加した酸化物被膜を形成したものが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
前記ソーダ石灰シリカ系ガラスの成分は、重量百分率で、65〜80%のSiO2、0〜5%のAl23、0〜10%のMgO、5〜15%のCaO、10〜18%のNa2O、0〜5%のK2O、5〜15%の(MgO+CaO)、10〜20%の(Na2O+K2O)であり、板厚5mmにおけるC光源での可視光透過率が60%台であり、日射透過率が60%前後のガラス基板で、このガラス基板を高温に加熱した状態で、溶液スプレー法により、SnとSbの化合物若しくはこれにFの化合物又はTiの化合物を含む溶液を噴霧して、膜厚10〜150nmの酸化物皮膜を形成したものである。
かかる構成によれば、可視域の光の透過率に優れ、低い可視光反射率、低い電波反射性能を有し、耐久性も高い熱線反射ガラスを得ることができると記載されている。
(3)ガラス板上にCo、CuおよびCrを含む酸化物を主成分とする皮膜を形成した熱線反射ガラスが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
この熱線反射ガラスは、実体色が緑色を呈するソーダライムガラス(可視光透過率81.1%)を650℃に加熱しておいて、3価のCoのジプロピオニルメタン、Cuのアセチルアセトナート、クロムのアセチルアセトナートを、単位面積当たりの総金属量にしめるCo、Cu、Crの重量百分率が、Co:65〜96%、Cu:2〜33%、Cr:2〜15%になるように混合溶解させた原料液を市販のスプレーガンを用いて噴霧して、膜厚が10〜70nmになるように形成したものである。
かかる構成からなる熱線反射ガラスは、加熱を伴う基材の強化処理を施しても、可視光透過率が変化しないと記載されている。
特開平7−10609号公報 特開平8−171015号公報 特開平9−301741号公報
しかしながら、上記の可視光透過性の熱線反射ガラスは、いずれも可視光透過率が70%未満であり、透視安全性の観点から道路運送車両法の保安基準で可視光透過率70%以上と規定されている自動車用ウィンドウシールドガラス(フロントガラス)やフロントドアガラスには不向きであると思われる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、赤外線を十分に反射、遮断するとともに、可視域の光の透過率が70%以上の熱線反射ガラスを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る熱線反射ガラスは、接着部材を介して2枚のガラス部材を配してなる合わせガラスからなり、何れか一方又は両方のガラス部材の少なくとも一面に、可視域の光に対する透過率が70%以上であり、かつ近赤外域の光に対する透過率が1%以下である透明導電体を設けたことを特徴としている。
かかる構成によれば、熱線反射ガラスは、透明導電体の可視域の光に対する透過率が70%以上であり、かつ近赤外域の光に対する透過率が1%以下であることから、透視性を損なうことなく近赤外域の光からなる熱線を効率よく反射することができる。特に、可視域の光の透過率が70%以上であるため、自動車用ウィンドウシールドガラス(フロントガラス)にも適用できる。
上記熱線反射ガラスを構成する透明導電体としては、スズ添加酸化インジウムが好適に用いられる。
後述するスプレー熱分解法により形成されるスズ添加酸化インジウムは、可視域の光に対しては70%を越える透過性を持つとともに、近赤外域の光はほとんど透過せず、70%を越える反射性を備えているので、可視域の光の透過性に優れ、かつ近赤外域の光の反射性に優れた熱線反射ガラスが得られる。
また、上記透明導電体としては、スズ添加酸化インジウムからなる第一の透明導電膜とフッ素添加酸化スズからなる第二の透明導電膜との積層体が好ましい。
スズ添加酸化インジウムは、高耐熱性のフッ素添加酸化スズで覆われているため、500℃以上の高温に加熱された場合でも酸化することがなく、比抵抗の増大や可視域の光の透過性の低下を防ぐことができる。
さらに熱線反射ガラスを構成する合わせガラスの外表面の少なくとも一面に、酸化チタンからなる光触媒膜を設けてもよい。
酸化チタンは、その光触媒機能による超親水性作用を備えているので、熱線反射ガラスの外側(屋外側)に設けた場合は、降雨時の透視性が向上し、内側に設けた場合には、防曇性が向上する。また、酸化チタンを熱線反射ガラスの外側に設けた場合には、酸化チタンの光触媒機能により、熱線反射ガラスに付着した有機物を分解するため、付着した有機物を降雨により容易に洗い流すこともできる。更には、酸化チタンは紫外線を吸収するため、紫外線をカットすることも可能になる。
本発明に係る熱線反射ガラスの製造方法は、接着部材を介して2枚のガラス部材を配してなる合わせガラスからなり、何れか一方又は両方のガラス部材の少なくとも一面に、可視域の光に対する透過率が70%以上であり、かつ近赤外域の光に対する透過率が1%以下である透明導電体を設けた熱線反射ガラスの製造方法であって、前記透明導電体として、スズ添加酸化インジウムからなる第一の透明導電膜をスプレー熱分解法により形成する工程Aを備えていることを特徴としている。
かかる構成によれば、可視域の光の透過率が70%以上で近赤外域の光の透過率が1%以下である透明導電性のスズ添加酸化インジウムを大気中で成膜できるため、製造コストを低減することができる。
上記の製造方法は、前記第一の透明導電膜を被成膜面としてフッ素添加酸化インジウムからなる第二の透明導電膜をスプレー熱分解法により形成する工程Bを備えてもよい。
上記工程Bによれば、スズ添加酸化インジウムとフッ素添加酸化インジウムは、いずれも同じスプレー熱分解法で成膜するので、スズ添加酸化インジウムを成膜した後、試料を成膜装置の外に取り出すことなく、原料化合物溶液をスズ添加酸化インジウム用からフッ素添加酸化スズ用に切り替えることにより成膜できるので、積層界面の制御性に優れると友に、製造時間を大幅に短縮できる。
また、上記の製造方法は、前記合わせガラスの外表面の少なくとも一面に酸化チタンからなる光触媒膜をスプレー熱分解法により形成する工程Cを備えてもよい。
上記工程Cによれば、酸化チタンからなる光触媒膜も、スズ添加酸化インジウムやフッ素添加酸化スズと同様にスプレー熱分解法により形成するので、試料を成膜装置の外に取り出すことなく、原料化合物溶液を酸化チタン用に切り替えることにより引き続いて成膜できるので、製造時間を大幅に短縮できる。また、光触媒膜を透明導電体上に設ける場合は、積層界面の整合性を持たせることができ、光触媒膜を合せガラス上に設ける場合は、工程A又はBと工程Cとを当時に行うことにより、合せガラスに対して両面処理が可能となる。
かかる課題を解決するために、本発明に係る熱線反射ガラスは、強化ガラスの少なくとも1面に、可視域の光に対する透過率が70%以上であり、かつ近赤外域の光に対する透過率が1%以下である透明導電体を設け、透明導電体は、スズ添加酸化インジウムからなる第一の透明導電膜からなることを特徴としている。
かかる構成によれば、熱線反射ガラスは、透明導電体の可視域の光に対する透過率が70%以上であり、かつ近赤外域の光に対する透過率が1%以下であることから、透視性を損なうことなく近赤外域の光からなる熱線を効率よく反射することができる。特に、可視域の光の透過率が70%以上であるため、自動車用フロントドアガラスにも適用できる。
上記熱線反射ガラスを構成する透明導電体としては、スズ添加酸化インジウムが好適に用いられる。
後述するスプレー熱分解法により形成されるスズ添加酸化インジウムは、可視域の光に対しては70%を越える透過性を持つとともに、近赤外域の光はほとんど透過せず、70%を越える反射性を備えているので、可視域の光の透過性に優れ、かつ近赤外域の光の反射性に優れた熱線反射ガラスが得られる。
また、上記透明導電体としては、スズ添加酸化インジウムからなる第一の透明導電膜とフッ素添加酸化スズからなる第二の透明導電膜との積層体が好ましい。
スズ添加酸化インジウムは、高耐熱性のフッ素添加酸化スズで覆われているため、500℃以上の高温に加熱された場合でも酸化することがなく、比抵抗の増大や可視域の光の透過性の低下を防ぐことができる。
さらに、熱線反射ガラスを構成する強化ガラスの外表面の少なくとも一面に、酸化チタンからなる光触媒膜を設けてもよい。
酸化チタンは、その光触媒機能による超親水性機能により、熱線反射ガラスの外側(屋外側)に設けた場合は、降雨時の透視性が向上し、内側に設けた場合には、防曇性が向上する。また、酸化チタンを熱線反射ガラスの外側に設けた場合には、酸化チタンの光触媒機能により、可視光透過性の熱線反射ガラスに付着した有機物を分解するため、付着した有機物を降雨により容易に洗い流すこともできる。更には、酸化チタンは紫外線を吸収するためUVカットガラスとすることも可能となる。
本発明に係る熱線反射ガラスの製造方法は、強化ガラスの少なくとも一面に、可視域の光の透過率が70%以上であり、かつ近赤外域の光に対する透過率が1%以下であるスズ添加酸化インジウムからなる第一の透明導電膜をスプレー熱分解法により成膜する工程Dを備えていることを特徴としている。
かかる構成によれば、可視光域の光の透過率が70%以上で近赤外域の光の透過率が1%以下である透明導電性のスズ添加酸化インジウムを大気中で成膜できるため、製造コストを低減することができる。
上記の製造方法は、前記第一の透明導電膜を被成膜面としてフッ素添加酸化インジウムからなる第二の透明導電膜をスプレー熱分解法により形成する工程Eを備えてもよい。
上記工程Eによれば、スズ添加酸化インジウムとフッ素添加酸化インジウムを、いずれも同じスプレー熱分解法で成膜するので、スズ添加酸化インジウムを成膜した後、試料を成膜装置の外に取り出すことなく、原料化合物溶液をスズ添加酸化インジウム用からフッ素添加酸化スズ用に切り替えることにより引き続いて成膜できるので、積層界面の制御性に優れるとともに、製造時間を大幅に短縮できる。
また、上記の製造方法は、前記強化ガラスの外表面の少なくとも一面に、酸化チタンからなる光触媒膜をスプレー熱分解法により成膜する工程Fを備えてもよい。
上記工程Fによれば、酸化チタンからなる光触媒膜も、スズ添加酸化インジウムやフッ素添加酸化スズと同様にスプレー熱分解法により形成するので、試料を成膜装置の外に取り出すことなく、原料化合物溶液を酸化チタン用に切り替えることにより引き続いて成膜できるので、製造時間を大幅に短縮できる。また、光触媒膜を透明導電体上に設ける場合は、積層界面の整合性を持たせることができ、光触媒膜を強化ガラス上に設ける場合は、工程D又はEと工程Fとを同時に行うことにより、強化ガラスに対して両面処理が可能となる。
本発明の熱線反射ガラスは、その構成体である透明導電体が可視域の光を効率よく透過するとともに近赤外域の光(熱線)を反射し、光触媒膜が超親水性による防曇作用や有機物分解作用を発揮する。しかも、いずれもスプレー熱分解法により大気中での成膜が可能であり、製造コストを低く抑えることができる。
以下、本発明の実施例にかかる熱線反射ガラスについて添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解するために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本発明に係る熱線反射ガラスの第一の実施形態は、接着部材を介して2枚のガラス部材を配してなる合わせガラスからなり、何れか一方又は両方のガラス部材の少なくとも一面に熱線反射性の透明導電体を形成したものであり、透明導電体としては、スズ添加酸化インジウム膜(以下、ITO膜という)が好適に用いられる。
図1は、第一の実施形態のうち、接着部材12を介して2枚のガラス部材13、14を配してなる合わせガラス11の一方の面のみに透明導電体15を形成した熱線反射ガラス10の断面図である。
透明導電体15を合せガラス11の外表面に形成することにより、予め2枚のガラス部材を、接着部材12を介して加熱、圧接して合せガラス11としておくことができるので、透明導電体15を形成した後は加熱、圧接する必要がなく、透明導電体15への加熱、圧接の影響の虞がなくなる。
また、合せガラス11の外表面に透明導電体15を形成した熱線反射ガラス10を、例えば、自動車のフロントガラスに適用し、透明導電体15を車外に向けて設置した場合は、近赤外線からなる熱線が、直接、透明導電体15に入射することになり、透明導電体15で反射されずに、一部、吸収された熱エネルギは車外に放出され易いので、車内温度への影響が低減される。
なお、透明導電体15は、合せガラス11の一方の面だけでなく、両方の外表面に設けても良く、この場合には、1層当たりの透明導電体15の厚さを薄くできるので、1回当たりの透明導電体15の形成時間を短くでき、合せガラス11への熱影響を低減できる。
透明導電体15を合せガラス11の外表面に形成する場合は、JIS R 3205で規定されるいずれかの合せガラスを用意し、適当な寸法に切断して用いることができる。
透明導電体15は、大気中での成膜が可能なスプレー熱分解法(Spray Pyrolysis Deposition:以下、SPD法という)により形成する。
SPD法は、加熱した基板に原料液をスプレー塗布することで、基板表面上で熱分解および化学反応を生じさせて成膜する方法であるが、大気中での成膜が可能であり、製造コスト低減の上で好適に用いられる成膜法である。
本発明におけるITO膜の成膜は、塩化インジウム(水和物)と塩化スズ(水和物)のエタノール液を350℃に加熱した基板に噴霧することにより行い、スズの添加量をインジウムに対して元素比で5at%となるように配合して行うのが好ましく、導電性、透光性に優れた厚さ100nmから1000nm程度の薄膜である。
第一の実施形態は、図2のように2枚のガラス部材の内面に透明導電体を設けても良い。
図2は、一方のガラス部材23の一方の面に透明導電体25を形成し、透明導電体25の表面に接着部材22を介して、他方のガラス部材24を張り合わせた熱線反射ガラス20の断面図である。
透明導電体25をガラス部材23、24の内面側に設けると、例えば、自動車のフロントガラス等に適用した場合、ワイパー等により直接擦られなくなるので、透明導電体25の摩滅の虞がなくなる。
また、透明導電体25は電気伝導性があるので、この透明導電体25に通電することにより、いわゆるヒータとなって熱線反射ガラス20を加熱することができるため、曇り止め防止作用を発揮することができる。
ガラス部材23の一方の面に透明導電体23を形成した場合は、透明導電体25を形成後、ポリビニールブチラール(PVB)からなる接着部材22を透明導電体25上に介して他のガラス部材24を積層し、油圧または空気圧のオートクレープ(圧力釜)に入れ、120〜130℃に加熱しながら圧着して、熱線反射ガラス20が得られる。
上述のように、透明導電体は、合せガラスの外表面のみに形成しても良いし、内表面のみに形成しても良い。さらには、合せガラスの外表面と内表面の両方に形成しても良く、第一の実施形態は、接着部材を介して2枚のガラス部材を配してなる合わせガラスからなり、何れか一方又は両方のガラス部材の少なくとも一面に熱線反射性の透明導電体を形成した熱線反射ガラスである。
なお、自動車用ウィンドウシールドガラス(フロントガラス)には、可視域の光の透過率が70%以上である合わせガラスを装着することが道路運送車両の保安基準で決められているため、透明導電体を複数層設ける場合は、可視域の光の透過性を確保するために、形成する層数により膜厚を調整する必要がある。
〔実施例1]
本発明の第一の実施形態のうち、熱線反射ガラス1Aを以下のようにして作製した。
ガラス部材13、14の厚さが2mm、接着部材12の厚さが0.8mmの合わせガラス11を10cm×10cmに切断して、この合わせガラス11をSPD法成膜装置にセットし、350℃に加熱保持しながら、合わせガラス5の一方の面にITO膜用原料化合物溶液を噴霧して、厚さ約700nmの透明導電膜15を形成して熱線反射ガラス10を作製した。
ITO膜用原料化合物溶液は、塩化インジウム(lll)四水和物5.58gと塩化スズ(ll)二水和物0.23gとをエタノール100mlに溶解して得た。
[実施例2]
厚さ2mmで、10cm×10cmのガラス部材23、24を2枚準備し、先ず、一方のガラス部材23をSPD法成膜装置にセットし、350℃に加熱保持して、ITO膜用原料化合物溶液をガラス部材23の一方の面に噴霧し、厚さ約700nmのITO透明導電体25を形成した。
次に、一方の面に透明導電体25を形成したガラス部材23をSPD法成膜装置から取り出して室温まで冷却した後、透明導電体25上に、厚さが1mmで、10cm×10cmに切断したポリビニールブチラールからなる接着部材22を介して、もう一方のガラス部材24を積層し、オートクレープ(圧力釜)に入れて120〜130℃に加熱しながら約15kg/cmに加圧、圧着して熱線反射ガラス20を作製した。ITO膜用原料化合物は、実施例1で使用したものを用いた。
[比較例1]
ITO膜を真空スパッタリング法で形成した以外は、実施例1と同じ構成の熱線反射ガラスを作製した。
[比較例2]
ITO膜を真空スパッタリング法で形成した以外は、実施例2と同じ構成の熱線反射ガラスを作製した。
本発明に係る熱線反射ガラスの第二の実施形態は、接着部材を介して2枚のガラス部材を配してなる合わせガラスからなり、何れか一方又は両方のガラス部材の少なくとも一面に、熱線反射性のスズ添加酸化インジウム膜(以下、ITO膜という)と耐熱性のフッ素添加酸化スズ膜(以下、FTO膜という)の積層体からなる透明導電体を設けたものである。
図3は、第二の実施形態のうち、接着部材32を介して2枚のガラス部材33、34を配してなる合わせガラス31の一方の面に、ITO膜36、FTO膜37の積層体からなる透明導電体35が設けられた熱線反射ガラス30の断面図である。
熱線反射ガラス30は、合せガラス31の一方の面(外表面)に熱線反射性のITO膜36を設け、さらにその上に、耐熱性のFTO膜37を設けたもので、ITO膜36がFTO膜37に覆われているため、高温に加熱されても、表面のFTO膜37の耐熱性が高いため、ITO膜36の酸化が防止さる。従って、ITO膜36の酸化による比抵抗の増大や可視域の光の透過性の低下が抑えられる。
2枚のガラス部材33、34および合せガラス31は第一の実施形態の合せガラスと同様なものが用いられる。
透明導電体35は、第一の実施形態と同様に、SPD法により形成するが、被成膜面を350℃に加熱保持しながらITO膜36を形成した後、ITO膜36を550℃に昇温し、速やかに、FTO膜用原料化合物溶液を噴霧してFTO膜37を形成する。
本発明におけるITO膜36の成膜は、第一の実施形態と同様に、塩化インジウム(水和物)と塩化スズ(水和物)のエタノール液を350℃に加熱した被成膜面に噴霧することにより行い、スズの添加量をインジウムに対して元素比で5at%となるように配合して行うのが好ましく、導電性、透光性に優れた厚さ100nmから1000nm程度の薄膜である。
FTO膜37の成膜は、塩化スズ(水和物)のエタノール液とフッ化アンモニウムの飽和水溶液の混合液を、400℃以上700℃以下に加熱した被成膜面上に噴霧して行うが、フッ素の添加量は、スズに対して数ppm程度ドープするのが好ましく、耐熱性、耐薬品性に優れた厚さ50〜300nm程度の薄膜である。
第二の実施形態は、熱線反射ガラス30に限定されずに、図4のような変形例も含む。
図4は、ガラス部材43の一方の面にITO膜46とFTO膜47を順に積層した透明導電体45が設けられ、接着部材42を介して他方のガラス部材44が張り合わされた熱線反射ガラス40の断面図である。ITO膜46とFTO膜47の製法は、熱線反射ガラス30と同様である。
以下、具体的な実施例について説明する。
[実施例3]
ガラス部材33、34の厚さが2mm、接着部材32の厚さが0.8mmの合わせガラス31を10cm×10cmに切断し、この合わせガラス31をSPD法成膜装置にセットし、350℃に加熱保持して、合わせガラス31の一方の面にITO膜用原料化合物溶液を噴霧して厚さ約700nmのITO膜36を形成した後、ITO膜36を550℃に昇温し、速やかにFTO膜用原料化合物用液をITO膜36に噴霧して厚さ約50nmのFTO膜37を形成して、熱線反射ガラス30を作製した。
なお、ITO膜用原料化合物溶液は、実施例1と同様に、塩化インジウム(lll)四水和物5.58gと塩化スズ(ll)二水和物0.23gとをエタノール100mlに溶解して得た。
FTO膜37用原料化合物溶液は、塩化スズ(lV)五水和物0.701gをエタノール10mlに溶解し、これにフッ化アンモニウム0.592gの飽和水溶液を加え、この混合物を超音波洗浄機に約20分間掛けて、完全に溶解して得た。
[実施例4]
厚さ2mmで、10cm×10cmのガラス部材43、44を2枚用意し、一方のガラス部材43をSPD法成膜装置にセットし、350℃に加熱保持して、ITO膜用原料化合物溶液をガラス部材43の一方の面に噴霧して、厚さ約700nmのITO膜46を形成した後、ITO膜46を550℃に昇温し、速やかにFTO膜用原料化合物用液をITO膜46に噴霧して厚さ約50nmのFTO膜47を積層して、ガラス部材43の一方の面にITO膜46とFTO膜47の積層体からなる透明導電体45を形成した。
透明導電体45を形成したガラス部材43をSPD法成膜装置から取り出して室温まで冷却した後、透明導電体45上に、厚さが1mmで、10cm×10cmに切断したポリビニールブチラールからなる接着部材42を介して、他方のガラス部材44を積層し、オートクレープ(圧力釜)に入れて120〜130℃に加熱しながら約15kg/cmに加圧、圧着して熱線反射ガラス40を作製した。
ITO膜用原料化合物とFTO膜用原料化合物は、実施例3で使用したものを用いた。
[比較例3]
ITO膜とFTO膜の積層体からなる透明導電体を真空スパッタリング法で形成した以外は、実施例3と同じ構成の熱線反射ガラスを作製した。
[比較例4]
ITO膜とFTO膜の積層体からなる透明導電体を真空スパッタリング法で形成した以外は、実施例4と同じ構成の熱線反射ガラスを作製した。
本発明に係る熱線反射ガラスの第三の実施形態は、接着部材を介して2枚のガラス部材を配してなる合わせガラスからなり、何れか一方又は両方のガラス部材の少なくとも一面に熱線反射性の透明導電体を設け、さらに合せガラスの外表面の少なくとも一面に光触媒膜を設けたものであり、透明導電体としては、スズ添加酸化インジウム膜(以下、ITO膜という)が好適に用いられ、光触媒膜としては酸化チタン膜が好適に用いられる。
図5は、第三の実施形態のうち、接着部材52を介して2枚のガラス部材53、54を配してなる合わせガラス51の一方の面のみに透明導電体55を設け、さらに合せガラス51の他方の面に光触媒膜58を設けた熱線反射ガラス50である。
熱線反射ガラス30は、一方の表面に光触媒膜58が設けられ、この光触媒膜58が超親水性作用を発揮する。従って、熱線反射ガラス50を自動車のフロントガラスに適用して、光触媒膜58が車外に出るように設置すると、降雨が光触媒膜58上に滴下した場合、雨滴にならずに、薄い水膜上に拡がるため、透視性が向上する。また、光触媒膜58に紫外線があたると、有機物分解作用が発揮され、熱線反射ガラス50(光触媒膜58)に付着した有機物を分解する作用があるので、分解された有機物は、降雨により洗い流され易くなる。
一方、光触媒膜58が車内側になるように熱線反射ガラス50を設置すると、超親水性作用により、車内の空気中から結露した水滴が、水滴状に付着することなく薄い膜状に広がるので、ガラス面の透視性が向上する。
透明導電体55の形成は、第一の実施の形態と同様にSPD法で行い、光触媒膜58の形成は、SPD法により、TiO前駆体溶液に過酸化水素を添加したTiO膜用原料化合物溶液を高温保持された被成膜面に間歇噴霧することによりTiO前駆体をTiOに熱分解して被成膜面上に多孔質のTiO膜を形成する。
第三の実施形態は、図5に限定されることはなく、透明導電体の上に光触媒膜を設けても良い。
図6は、接着部材62を介して2枚のガラス部材63、64を配してなる合わせガラス61の一方の面のみに透明導電体65を設け、この透明導電体65を被成膜面として光触媒膜68を設けた熱線反射ガラス60の断面図である。
光触媒膜68の下面に透明導電体65が設けられているので、透明導電体65に通電して発熱させることにより、光触媒膜68の温度を制御でき、光触媒膜68の超親水性や有機物分解作用をコントロールし易くなる。
透明導電体を配置する位置は、実施例1と同様に合せガラス61の外表面だけでなく、合せガラス61を構成するガラス部材63、64の内表面に透明導電体65を設けても良く、また、外表面と内表面に透明導電体65を設けても良いが、光触媒膜68を形成する位置は、光触媒機能を発揮させる関係上、合せガラス61の外表面に形成する必要がある。
[実施例5]
実施例1で作製した熱線反射ガラス10を出発材として、透明導電膜が設けられていない面が被成膜面となるように、SPD法成膜装置にセットし、この被成膜面を350℃に加熱保持しながら、TiO膜用原料化合物溶液を噴霧して厚さ約500nmのTiO膜を形成して、熱線反射ガラス50を作製した。
TiO膜用原料化合物溶液は、0.2質量%の四塩化チタンをエタノール溶媒に溶解し、過酸化水素を添加後、アルコールで希釈し、超音波洗浄機で10分間混合することにより調整して得た。
[実施例6]
実施例1で作製した熱線反射ガラス10を出発材として、透明導電膜が被成膜面となるように、SPD法成膜装置にセットし、この被成膜面を350℃に加熱保持しながら、TiO膜用原料化合物溶液を噴霧して厚さ約500nmのTiO膜を形成して、熱線反射ガラス60を作製した。
[比較例5]
ITO膜を真空スパッタリング法で形成した以外は、実施例5と同じ構成の熱線反射ガラスを作製した。
[比較例6]
ITO膜を真空スパッタリング法で形成した以外は、実施例6と同じ構成の熱線反射ガラスを作製した。
本発明に係る熱線反射ガラスの第四の実施形態は、強化ガラスの少なくとも一面に、ITO膜からなる透明導電体を設けたものであり、透明導電体は、第一の実施形態と同様にSPD法により形成される。
図7は、第四の実施形態のうち、強化ガラス71の一方の面にITO膜からなる透明導電体75が設けられた熱線反射ガラス70の断面図である。
強化ガラス71の外表面に透明導電体75を形成した熱線反射ガラス70を、例えば、自動車のドアガラスに適用して透明導電体75を車外に向けて設置した場合は、近赤外線からなる熱線が、直接、透明導電体75に入射することになり、透明導電体75で反射されずに、一部、吸収された熱エネルギは車外に放出され易いので、車内温度への影響が低減される。
透明導電体70は、強化ガラス71の一方の面だけでなく、両方の外表面に設けても良く、この場合には、1層当たりの透明導電体の厚さを薄くできるので、1回当たりの透明導電体を形成する時間を短くでき、強化ガラス71への熱影響を低減できる。
強化ガラスは、JIS R 3206で規定されているが、ガラスを軟化点(約700℃)近くまで加熱し、空気で急冷することにより、ガラスの表面に圧縮応力層を形成したガラスであり、衝撃強度が高く、破片は粒状になり安全であり、温度の急変に対しても強い。
[実施例7]
厚さ5mmで10cm×10cmの強化ガラス71の一方の面に、実施例1と同様にして、厚さ約700nmの透明導電膜75を形成して熱線反射ガラス70を作製した。
[比較例7]
ITO膜を真空スパッタリング法で形成した以外は、実施例6と同じ構成の熱線反射ガラスを作製した。
本発明に係る熱線反射ガラスの第五の実施形態は、強化ガラスの少なくとも一面に、ITO膜とFTO膜の積層体からなる透明導電体を設けたものであり、透明導電体は、第二の実施形態と同様にSPD法により形成される。
図8は、強化ガラス81の一方の面にITO膜86が設けられ、さらにこのITO膜86の上にFTO膜87が設けられた熱線反射ガラス80の断面図である。
ITO膜86は、耐熱性の高いFTO膜87で覆われているため、酸化が防止され、比抵抗の増加や透過性の低下が抑制される。
[実施例8]
厚さ5mmで10cm×10cmの強化ガラス81の一方の面に、実施例3と同様にして、厚さ約700nmのITO膜86を形成した後、ITO膜86上に厚さ約50nmのFTO膜87を形成して熱線反射ガラス80を作製した。
[比較例8]
ITO膜とFTO膜を真空スパッタリング法で形成した以外は、実施例7と同じ構成の熱線反射ガラスを作製した。
本発明に係る熱線反射ガラスの第六の実施形態は、強化ガラスの少なくとも一面に、ITO膜からなる透明導電体を設け、さらに強化ガラスの外表面の少なくとも一面に光触媒膜を設けたものであり、透明導電体や光触媒膜は、第一の実施形態や第三の実施形態と同様にSPD法により形成される。
図9は、第六の実施形態の一例であり、強化ガラス91の一方の面にITO膜からなる透明導電体95が設けられ、強化ガラス91の他方の面に光触媒膜98が設けられた熱線反射ガラス90の断面図である。
熱線反射ガラス90は、他方の表面に光触媒膜98が設けられ、この光触媒膜98が超親水性作用を発揮する。従って、熱線反射ガラス90を自動車のドアガラス等に適用して、光触媒膜98が車外に出るように設置すると、降雨が光触媒膜98上に滴下した場合、雨滴にならずに、薄い水膜上に拡がるため、透視性が向上する。また、光触媒膜98に紫外線があたると、有機物分解作用が発揮されるので、熱線反射ガラス90(光触媒膜98)に付着した有機物が分化される傾向があるので、分解された有機物は、降雨により洗い流されやすくなる。
一方、光触媒膜98が車内側になるように設置すると、超親水性作用により、車内の空気中から結露した水滴が、水滴状に付着することなく薄い膜上に広がるので、ガラス面が曇らず、透視性が向上する。
透明導電体95の形成は、第一の実施の形態と同様にSPD法で行い、光触媒膜98の形成は、第三の実施の形態と同様に、SPD法により、TiO前駆体溶液に過酸化水素を添加したTiO膜用原料化合物溶液を高温保持された被成膜面に間歇噴霧することによりTiO前駆体をTiOに熱分解して被成膜面上に多孔質のTiO膜を形成する。
図10は、第六の実施の形態の他の一例であり、強化ガラス101の一方の面にITO膜からなる透明導電体105が設けられ、この透明導電体105を被成膜面として光触媒膜108が設けられた熱線反射ガラス100の断面図である。
光触媒膜108の下面に透明導電体105が設けられているので、透明導電体105に通電して発熱させることにより、光触媒膜108の温度を制御でき、光触媒膜108の超親水性や有機物分解作用をコントロールし易くなる。
上述して来たように、光触媒膜を形成する強化ガラスの透明導電体は、ITO膜1層の透明導電体だけでなく、ITO膜とFTO膜の積層体からなる透明導電体であっても良く、光触媒膜は一方の外表面だけでなく、両方の外表面に設けても良い。
[実施例9]
厚さ5mmで10cm×10cmの強化ガラス91の一方の面に、実施例3と同様にして、厚さ約700nmのITO膜95を形成した後、強化ガラス91の他方の面にTiOからなる光触媒膜98を形成して熱線反射ガラス90を作製した。
[実施例10]
厚さ5mmで10cm×10cmの強化ガラス101の一方の面に、実施例3と同様にして、厚さ約700nmのITO膜105を形成した後、このITO膜105を被成膜面としてTiOからなる光触媒膜108を形成して熱線反射ガラス100を作製した。
[比較例9]
ITO膜を真空スパッタリング法で形成した以外は、実施例8と同じ構成の熱線反射ガラスを作製した。
[比較例10]
ITO膜を真空スパッタリング法で形成した以外は、実施例9と同じ構成の熱線反射ガラスを作製した。
[評価方法及び評価結果]
実施例1〜10、比較例1〜10で作製した各熱線反射ガラスについて、JIS R 3106に開示された手法を用いて、各波長における分光透過率と可視光透過率を測定した。紫外線分光透過率については波長350nmの光を用い、可視光分光透過率については波長550nmの光を用い、近赤外分光透過率については波長1500nmの光を用いて測定し、可視光透過率はJIS R 3106に規定された波長380nm〜780nmの光を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2005343732
表1より、SPD法により透明導電体を形成した熱線反射ガラスは、可視域の光の透過率はいずれも70%以上であり、自動車のフロントガラスにも適用できる可視光透過性を有するとともに、近赤外域の光の透過率は1%以下であり、良好な熱線反射性を有しており、自動車のフロントガラスやドアガラスに適用した場合、太陽熱の侵入を抑える効果が大きく、冷房等の省エネ効果が期待できる。
次に、実施例5、6、9、10の熱線反射ガラス50、60、90、100を鉛直に立て掛けて、霧吹き器で5分間、水を光触媒膜に噴霧した後、噴霧を停止して熱線反射ガラスを通して透視性の評価を行った。噴霧面に水滴がほとんどなく、透視性が良い場合を○とし、噴霧面に水滴が残っていて、透視性を阻害している場合を×とした。
なお、光触媒膜の効果を確認するために、熱線反射ガラス50、60、90、100の光触媒膜を設けてない面にも水を噴霧し、比較評価した。
熱線反射ガラス50、60、90、100の光触媒膜を設けてない面に水を噴霧した場合を、それぞれ比較例11、12、13、14として評価結果を表2に示す。
Figure 2005343732
表2より、光触媒膜に水を噴霧した場合には、水滴が薄膜状に広がり、水滴が残存せず、透視性が良いことが分かる。一方、光触媒膜が形成されていないガラス部材、強化ガラスやITO膜に水を噴霧した場合は、水滴が残存して、透視性が低下することが分かる。
以上より、本発明の熱線反射ガラスは、可視域の光の透過性が良好で、かつ近赤外域の光をほとんど透過することがなく、優れた透視性と熱線反射性を有していることが分かった。また、外表面に光触媒膜を設けることにより、光触媒膜の超親水性作用により、水滴が付着しても薄膜状に広がるため、水滴が残存しなくなり、降雨時でも優れた透視性を有することが期待される。
以上説明したように、本発明の熱線反射ガラスは、可視域の光の透過性が良好で、かつ近赤外域の光の遮断性が良好なため、自動車等の車両の窓ガラスやドアガラスだけでなく、建築物の窓ガラスとしても利用することができる。
本発明に係る熱線反射ガラスの第一の実施形態の一例を示す断面図である。 本発明に係る熱線反射ガラスの第一の実施形態の他の一例を示す断面図である。 本発明に係る熱線反射ガラスの第二の実施形態の一例を示す断面図である。 本発明に係る熱線反射ガラスの第二の実施形態の他の一例を示す断面図である。 本発明に係る熱線反射ガラスの第三の実施形態の一例を示す断面図である。 本発明に係る熱線反射ガラスの第三の実施形態の他の一例を示す断面図である。 本発明に係る熱線反射ガラスの第四の実施形態の一例を示す断面図である。 本発明に係る熱線反射ガラスの第五の実施形態の一例を示す断面図である。 本発明に係る熱線反射ガラスの第六の実施形態の一例を示す断面図である。 本発明に係る熱線反射ガラスの第六の実施形態の他の一例を示す断面図である。
符号の説明
10、20、30、40、50、60、70、80、90、100 熱線反射ガラス、12、22、32、42、52、62 接着部材、13、14、23、24、33、34、43、44、53、54 ガラス部材、11、21、31、41、51、61 合せガラス、15、25、35、45、55、65、75、85、95、105 透明導電体、36、46、86 ITO膜、37、47、87 FTO膜、58、68、98、108 光触媒膜、71、81、91、101 強化ガラス。

Claims (14)

  1. 接着部材を介して2枚のガラス部材を配してなる合わせガラスからなり、何れか一方又は両方のガラス部材の少なくとも一面に、可視域の光に対する透過率が70%以上であり、かつ近赤外域の光に対する透過率が1%以下である透明導電体を設けたことを特徴とする熱線反射ガラス。
  2. 前記透明導電体は、スズ添加酸化インジウムからなる第一の透明導電膜であることを特徴とする請求項1に記載の熱線反射ガラス。
  3. 前記透明導電体は、スズ添加酸化インジウムからなる第一の透明導電膜とフッ素添加酸化スズからなる第二の透明導電膜との積層体であることを特徴とする請求項1に記載の熱線反射ガラス。
  4. 前記合わせガラスの外表面の少なくとも一面に、酸化チタンからなる光触媒膜を設けたことを特徴とする請求項1に記載の熱線反射ガラス。
  5. 接着部材を介して2枚のガラス部材を配してなる合わせガラスからなり、何れか一方又は両方のガラス部材の少なくとも一面に、可視域の光に対する透過率が70%以上であり、かつ近赤外域の光に対する透過率が1%以下である透明導電体を設けた熱線反射ガラスの製造方法であって、前記透明導電体として、スズ添加酸化インジウムからなる第一の透明導電膜をスプレー熱分解法により形成する工程Aを備えていることを特徴とする熱線反射ガラスの製造方法。
  6. 前記第一の透明導電膜を被成膜面としてフッ素添加酸化インジウムからなる第二の透明導電膜をスプレー熱分解法により形成する工程Bを備えていることを特徴とする請求項5に記載の熱線反射ガラスの製造方法。
  7. 前記合わせガラスの外表面の少なくとも一面に、酸化チタンからなる光触媒膜をスプレー熱分解法により形成する工程Cを備えていることを特徴とする請求項5又は6に記載の熱線反射ガラスの製造方法。
  8. 強化ガラスの少なくとも1面に、可視域の光に対する透過率が70%以上であり、かつ近赤外域の光に対する透過率が1%以下である透明導電体を設けたことを特徴とする熱線反射ガラス。
  9. 前記透明導電体は、スズ添加酸化インジウムからなる第一の透明導電膜であることを特徴とする請求項8に記載の熱線反射ガラス。
  10. 前記透明導電体は、スズ添加酸化インジウムからなる第一の透明導電膜とフッ素添加酸化スズからなる第二の透明導電膜との積層体であることを特徴とする請求項8に記載の熱線反射ガラス。
  11. 前記強化ガラスの外表面の少なくとも一面に、酸化チタンからなる光触媒膜を設けたことを特徴とする請求項8に記載の熱線反射ガラス。
  12. 強化ガラスの少なくとも一面に、可視域の光の透過率が70%以上であり、かつ近赤外域の光に対する透過率が1%以下であるスズ添加酸化インジウムからなる第一の透明導電膜をスプレー熱分解法により形成する工程Dを備えていることを特徴とする熱線反射ガラスの製造方法。
  13. 前記第一の透明導電膜を被成膜面としてフッ素添加酸化インジウムからなる第二の透明導電膜をスプレー熱分解法により形成する工程Eを備えていることを特徴とする請求項12に記載の熱線反射ガラスの製造方法。
  14. 前記強化ガラスの外表面の少なくとも一面に、酸化チタンからなる光触媒膜をスプレー熱分解法により形成する工程Fを備えていることを特徴とする請求項12又は13に記載の熱線反射ガラスの製造方法。


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