JP2005336019A - 金属酸化物ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属酸化物ナノ粒子を経済的に量産化できる金属酸化物ナノ粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】ディーゼルエンジンを用い、有機金属錯体を添加した軽油を燃料噴射ノズルから燃焼室に噴射し、煤を含む排ガスを排出する。このとき、空燃比を例えば1程度と不完全燃焼条件とする以外は通常の運転条件でディーゼルエンジンを作動させる。フィルタで排ガスから煤を回収し、煤をさらに完全燃焼して煤を消失させ、金属酸化物ナノ粒子を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属酸化物ナノ粒子の製造方法に関する。
21世紀の高度情報化社会における技術面での1つの突破口として、材料および製品全般にわたって、より一層の高精度化、小型化および軽量化等が強く求められている。この意味において、粒径が1〜100nm程度のナノオーダーであるナノ粒子は、セラミックスのナノ構造改質材、光機能コーティング材、電磁波遮蔽材料、二次電池用材料、蛍光材料、電子部品材料、磁気記録材料、研摩材料、化粧品材料などの高機能・高性能・高密度・高度精密化の実現を可能とするものとして注目されている。
ナノ粒子は、上記のようにナノオーダーサイズであるために、大きな粒子においては得られない表面効果あるいは体積効果等のいわゆる量子サイズ効果により上記のような特性を示すものと考えられる。
ナノ粒子のうちの金属ナノ粒子についてみると、その製造方法は、物理的形成法と化学的形成法に大別することができる。
前者の物理的形成法は、例えば、機械的な粉砕によって凝集されたナノ粒子を得る方法である。
一方、後者の化学的合成法には、固相合成法、液相合成方法および気相合成法がある。
固相合成法には、例えばシュウ酸塩やクエン酸塩等を熱分解してナノ粒子を得る方法等がある。
液相合成方法には、共沈法、化合物沈殿法、還元析出法等がある。例えば、酸化鉄類の粒子表面に結合性を有する脂溶性分子の融液等を水和酸化鉄一次粒子のヒドロゾルと接触させることにより、両相の界面で水和酸化鉄一次粒子への脂溶性分子の結合反応を進行させて、有機媒質分散性を保持した状態でマグネタイト結晶ナノ粒子を得る技術が開示されている(特許文献1参照。)。
気相合成法には、蒸発法、化学的気相堆積法等がある。
このように、金属ナノ粒子の製造方法については、研究開発が盛んに進められている。しかしながら、ナノオーダーの粒径を安定的に保った金属ナノ粒子を実用的あるいは経済的に量産化できる製造技術は実現されていないのが現状である。
これに対し、液相法によって得られる金属水酸化物にカーボン微粒子を混合し、非還元性雰囲気で熱処理してカーボン微粒子を消失させることで金属酸化物ナノ粒子を得る方法が提案されている。この方法によれば、熱処理の際に金属水酸化物の塊の中でカーボン微粒子が酸化させられて二酸化炭素にガス化することで高圧を生成し、その圧力で凝集した金属水酸化物の二次粒子が粉砕されることにより、金属酸化物ナノ粒子を量産化することができるとされている(特許文献2参照。)。
特開2003−112925号公報 特開2002−255515号公報
しかしながら、上記した製造プロセスの中間工程でカーボン微粒子を介在させる金属ナノ粒子製造方法は、いわば液相合成技術と気相合成技術を複合させた技術であるため製造工程が複雑であり、また高圧での処理が必要である。そのため、金属酸化物ナノ粒子の経済的な量産化には限界があるのではないかと考えられる。また、金属水酸化物にカーボン微粒子を混合した後、カーボン微粒子の燃焼または熱分解により金属水酸化物の凝集体を破壊するこの方法では、カーボン微粒子の分散均一化が困難であり、ナノオーダーに解砕された金属酸化物ナノ粒子を良好に得るのは必ずしも容易ではないと考えられる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、金属酸化物ナノ粒子を経済的に量産化できる金属酸化物ナノ粒子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、原料炭化水素とともにナノオーダーの金属微粒子または金属化合物微粒子を処理して煤を生成する煤生成工程と、
該煤から該金属微粒子または金属化合物微粒子の酸化物以外の他の成分を取り除いて該金属微粒子または金属化合物微粒子の酸化物を得る金属酸化物ナノ粒子生成工程を有することを特徴とする。
また、本発明に係る金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、前記煤生成工程において、煤生成装置としてディーゼルエンジンを用い、前記金属化合物微粒子である有機金属錯体または有機金属塩を添加した原料炭化水素を燃料噴射ポンプより燃焼室内に噴射して、前記煤を含む燃焼ガスを発生させることを特徴とする。
また、本発明に係る金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、前記煤生成工程において、空燃比を0.1〜9とすることを特徴とする。
また、本発明に係る金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、前記煤生成工程において、煤生成装置としてカーボンブラック発生用の反応炉を用い、前記金属化合物微粒子である有機金属錯体または有機金属塩を添加した原料炭化水素を原料として該反応炉でカーボンブラックを発生させることを特徴とする。
また、本発明に係る金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、前記金属酸化物ナノ粒子生成工程において、前記煤を完全燃焼させて前記金属微粒子または金属化合物微粒子の酸化物を得ることを特徴とする。
本発明に係る金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、原料炭化水素とともにナノオーダーの金属化合物微粒子等を不完全燃焼または熱処理して炭素粒である煤を生成する煤生成工程と、煤から金属化合物微粒子等の酸化物以外の他の成分を取り除いて金属化合物微粒子の酸化物を得る金属酸化物ナノ粒子生成工程で構成されるので、ナノオーダーの径に良好に形成された金属酸化物ナノ粒子を経済的に量産化することができる。
この場合、ディーゼルエンジンを用いて煤を生成すると、既存の小型の装置を用いて簡易に金属酸化物ナノ粒子を得ることができる。
また、この場合、カーボンブラック発生用の反応炉を用いて煤であるカーボンブラックを生成すると、既存の装置を用いて金属酸化物ナノ粒子をより大量に生産することができ、また、原料炭化水素の反応エネルギが実質的にカーボンブラック発生のみに用いられるため、エネルギ効率に優れる。
本発明に係る金属酸化物ナノ粒子の製造方法の好適な実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、以下に説明する。
本実施の形態例では、原料炭化水素とともにナノオーダーの金属微粒子または金属化合物微粒子を処理して煤を生成し(煤生成工程)、生成した煤から金属微粒子または金属化合物微粒子の酸化物以外の他の成分を取り除いて金属微粒子または金属化合物微粒子の酸化物を得る(金属酸化物ナノ粒子生成工程)ことで、金属酸化物ナノ粒子を製造する。
ここで、ナノオーダーとは、一般に1〜100nm程度の寸法をいうが、ナノ材料としての性能を発揮する観点からは、例えば数μmまでの寸法のものを含めることができる。
煤を生成するための原燃料である炭化水素は、使用する煤生成装置の燃焼あるいは熱分解の特性に合わせてあるいは金属酸化物ナノ粒子を得るのに好ましい煤形態を得るのに適したものを適宜選定して用いることができる。炭化水素は、気体であってもよく、また、液体であってもよい。また、炭化水素は、脂肪族炭化水素であってもよく、あるいは芳香族炭化水素であってもよく、さらにまたこれらの混合物であってもよい。
炭化水素に、ピリジン、キノリンなどの含窒素炭化水素化合物や、アセトン、ベンゾフェノン、ブタノン、ジメチルエーテル、メタノール、エタノールなどの含酸素炭化水素化合物、ベンゾチオフェンなどの含硫黄炭化水素化合物を、窒素酸化物や硫黄酸化物の生成量に配慮したうえで適当量混合して用いてもよい。
金属微粒子または金属化合物微粒子は、必要に応じて適宜の元素を選択して形成した微粒子または化合物微粒子用いることができる。金属微粒子または金属化合物微粒子は、既に知られた製造方法で得ることができる、例えば機械的粉砕処理や化学的合成法によって得られる一次粒子であるナノオーダーの金属微粒子や金属化合物微粒子等をそのままの形態で、あるいは炭化水素との親和性を高める装飾処理をしたものを用いることができる。より好ましくは、金属化合物微粒子として有機金属錯体または有機金属塩を用いる。
有機金属錯体は、メタロセン、ポルフィリン、フタロシアニン等を用いることができる。これらの有機金属錯体のうちでは、比較的安価で、後述する軽油との混合性が比較的良好なメタロセンを用いるのが好ましい。メタロセンの中心金属(中心元素)としては、Fe、Ni、Co、Ru、Os、Cr、Vが知られており、このうちFeを中心金属とするフェロセンは安価であるため、好適である。これら以外にも、Cu、Mg、Zn、Mn、Cd、Al、Mo、Ti、Sn等を中心金属とする有機金属錯体を用いてもよい。このような有機金属錯体として、例えば、Cuを中心金属とする銅フタロシアニン、Mgを中心金属とするクロロフィル等を挙げることができる。
また、有機金属塩としては、例えば脂肪族カルボン酸の金属塩として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸銅、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸コバルト、オレイン酸マグネシウムなどを用いることができる。
金属微粒子として、例えば鉄粉や銅の微粒子をそのまま軽油中に分散させて用いることができる。
煤は、炭素を含む原燃料を不完全燃焼し、あるいは熱分解して得られる炭素粒子である。すなわち、本実施の形態例で、煤生成工程において原料炭化水素とともにナノオーダーの金属微粒子または金属化合物微粒子を処理するとは、ナノオーダーの金属微粒子または金属化合物微粒子を同伴した状態で炭化水素を不完全燃焼し、あるいは熱分解して煤を生成することをいう。
煤を生成することができる限り、煤生成装置は適宜のものを用いることができる。既存の装置を用いれば、簡便かつ容易に製造することができ、このような装置として、ディーゼルエンジンやカーボンブラック発生用の反応炉を好適に用いることができる。
煤生成装置としてディーゼルエンジンを用いる場合について以下説明する。
煤生成装置としてディーゼルエンジンを用いると、装置規模を適宜選択することで、必要量の金属酸化物ナノ粒子を容易に得ることができる。
ディーゼルエンジンの燃料としては、液体炭化水素を用いることがより好ましい。液体炭化水素に有機金属錯体等を適当量添加した燃料を1つの燃料噴射ポンプより燃焼室内に噴射して煤を生成することができる。この場合、液体炭化水素燃料専用と液体炭化水素に有機金属錯体等を添加した燃料専用の複数の燃料噴射ポンプを併用してもよい。
液体炭化水素として軽油(gas oil:石油由来の軽油)を用いると、エンジンを安定的に駆動させることができて好ましい。軽油には、ベンゼン、トルエン、ナフタレンやフェナントレン等の芳香族炭化水素を混合して使用することができ、例えば、これらの成分を含むコールタール軽油(石炭由来の軽油)を混合して用いることができる。
ディーゼルエンジンの燃料として気体炭化水素を用いる場合は、有機金属錯体等を適宜の媒体とともに噴射する専用の燃料噴射ポンプを、気体炭化水素を噴射する専用の燃料噴射ポンプと別に設ける。
有機金属錯体等の金属微粒子あるいは金属化合物微粒子は、好ましくは、炭化水素に0.1〜50質量%、より好ましくは、1〜10質量%含有させる。含有量が0.1質量%を下回ると、得られる金属酸化物ナノ金属の生成量が十分でない。一方、含有量が50質量%を超えると、エンジンの安定した作動に支障を来たす。
ディーゼルエンジンは、通常の市販のものを用いて、通常の運転条件で作動させればよい。
すなわち、運転条件として、1msec〜1secの短時間において、温度300〜800℃、圧力5〜50気圧まで急速圧縮し、次いで、温度800〜3000℃、圧力5〜150気圧の反応場を形成することが望ましい。この条件を外れると、エンジンの連続運転性を落とすので好ましくない。
また、ディーゼルエンジンの回転数はピストン−クランク機構により、毎分100回〜10,000回、高温高圧の反応場を繰り返し出現させることが好ましい。毎分100回以下の低速の回転数では安定的な回転を持続することが難しく、また10,000回以上の高速回転はエンジンの寿命を短くするので好ましくない。
上記の運転条件に対して、ディーゼルエンジンの空燃比(空気燃料比)は、理論空燃比として0.1〜9、好ましくは0.5〜5、より好ましくは0.7〜2.0の範囲が望ましい。通常のディーゼルエンジンの運転条件である空燃比10〜11では、ほとんどの煤が燃焼してしまい、生成物を高い歩留で得ることができないので好ましくない。煤の収率(歩留)を上げるためには不完全燃焼を起こす1.0以下が望ましいが、この場合生成する煤のためにエンジンの連続運転性を落とすため、1.0より著しく低い空燃比は好ましくない。結果として、空燃比は1.0前後の0.7〜2.0の範囲が好ましい。
ディーゼルエンジンの構造としては、直噴式ディーゼルエンジンでも副室式のエンジンでも構わない。一つのピストンのみを使用する単気筒式だけではなく2気筒、4気筒、6気筒などの形式により、複数の機構を同時に動かすことによってより安価に大量の材料を製造することができる。複数の気筒のうち、一部をカーボンブラックと金属酸化物ナノ粒子との複合体の製造用に使用し、残りの気筒を通常のエンジンとして使用することもできる。この場合、有機金属錯体を加えた燃料の燃焼性が悪く、連続生産を行うことが容易でないときでも、この方法を使用することで、複合体の製造用の気筒による駆動の不安定さを他の炭化水素燃料専用の気筒の安定した駆動によって補い、エンジン全体として安定した作動を得ることができる。
ディーゼルエンジンのピストンとしては、耐熱金属、セラミックなどの材質を用いることができるが、これらの材質に依存するものではない。また、燃料噴射ノズルは、電子制御式のシステムによりコントロールすることが望ましい。
煤生成工程において、ディーゼルエンジンを用いることで、有機金属錯体等の一次粒子と炭化水素が良好に混合した状態で不完全燃焼し、煤、言い換えれば炭素粒子、さらに言い換えればカーボンブラックと有機金属錯体等が複合した二次粒子としての複合物の凝集体を得ることができる。すなわち、得られる複合物あるいは凝集体において、炭素粒子である煤中に有機金属錯体等のナノオーダーの一次粒子あるいは凝集による粒径の増加が抑えられた二次粒子が均一に分散した状態を得ることができる。
このとき、ディーゼルエンジンの運転条件を変えることで複合物の粒子径や凝集体の大きさを制御することができるが、さらに原燃料として軽油にコールタール軽油を添加することで、複合物の粒子径や凝集体の大きさをより好適に制御することができる。
得られるカーボンブラックと有機金属錯体等の複合物は、これを機械的粉砕等の適宜の手段で解砕することでナノ粒子複合体とすることができる。ナノ粒子複合体は、新規なナノ粒子として、燃料電池の触媒担体、キャパシタ、二次電池用負極材、潤滑材等の種々の用途への応用が考えられる。
煤生成装置として、上記のディーゼルエンジンに代えて、カーボンブラック発生用の反応炉も好適に用いることができる。
カーボンブラック発生用の反応炉の運転条件は、通常のカーボンブラック製造条件をそのまま適用することができる。カーボンブラック発生用の反応炉を用いると、カーボンブラックと有機金属錯体等が複合した二次粒子としての複合物をより大量に効率的に得ることができる。また、長年蓄積されたカーボンブラック製造技術により、複合物の粒子径や凝集体の大きさを自在に制御することができる。また、原燃料が実質的にカーボンブラックの生成のみに消費されるため、エネルギ効率に優れる。
反応炉では、原燃料の投入量を制御することで、複合物の生成量を適当量とすることができる。また、カーボンブラック製造と複合物製造とを時間を区切って行うことで、カーボンブラックと複合物を併産し、製造コストの低減を図ることができる。
本実施の形態例では、煤生成工程で生成したカーボンブラックと有機金属錯体等の複合物、言い換えれば生成した煤から金属微粒子または金属化合物微粒子の酸化物以外の他の成分を取り除いて金属微粒子または金属化合物微粒子の酸化物を得る(金属酸化物ナノ粒子生成工程)。ここで、他の成分とは、大半が煤、すなわち炭素粒子であるが、製造方法によっては付随的に含まれうる不純物も含む。
金属微粒子または金属化合物微粒子の酸化物以外の他の成分、主として炭素粒子を取り除く方法としては、適宜の方法を採用することができ、これにより簡易に金属酸化物ナノ粒子を得ることができる。
例えば、ディーゼルエンジンに二次燃焼室を併設し、あるいは、カーボンブラック発生用の反応炉に二次反応炉を併設し、二次燃焼室あるいは二次反応炉で炭素粒子を完全燃し、あるいは熱分解処理して消失させることで、金属酸化物ナノ粒子を容易に得ることができる。例えば、二次燃焼室あるいは二次反応炉で500℃以上より好ましくは700℃以上の酸化雰囲気で酸化することで炭素粒子を取り除くことができる。このとき、必要に応じて金属酸化物ナノ粒子をさらに洗浄処理して不純物を取り除くことができる。
また、炭素粒子と金属酸化物ナノ粒子は、サイクロンセパレータなどを用い、比重差を利用して分離することもできる。
また、金属酸化物ナノ粒子がマグネタイト等の強磁性体の場合は、磁石を用いて金属酸化物ナノ粒子を複合物あるいは凝集体から選択的に取り出すことができる。
また、炭素粒子との親和性に相対的に優れる溶剤と金属酸化物ナノ粒子との親和性に相対的に優れる溶剤を用いて混合、撹拌した後、炭素粒子および金属酸化物ナノ粒子を異相に分離した後、金属酸化物ナノ粒子を含む溶剤相から金属酸化物ナノ粒子を回収してもよい。金属酸化物との親和性に優れる溶媒としては、ピリジンなどの金属に対する配位子として働くことができる溶媒を用い、炭素と親和性に優れる溶媒としてはトルエン、ヘキサンなどの炭化水素を用いることができる。
水冷4サイクル渦流式二気筒OHVディーゼルエンジン(富士重工製 型番ロビンDY−41D)を使用し、炭素粒子(カーボンブラック)と酸化鉄の複合物を試作した。
エンジンは、ピストンのボアは90mm、ストロークは100mmであり、したがって、排気量が636ccである。エンジンの回転数速度は1000rpmmとした。原燃料には、軽油にフェロセン4%を加えたものを用いた。空燃比は、2.0、1.0および0.7の3水準で実験を行った。
エンジンの排気ラインにフィルタを取り付けて煤(生成物)を採取した。
生成物を透過電子顕微鏡にかけ、18万倍の倍率で観察した透過型電子顕微鏡写真を図1に示す。生成物は、カーボンブラックおよび酸化鉄の一次粒子が複雑に凝集したアグリゲート構造を持つ複合粒子(凝集体)であり、酸化鉄粒子(図1中、矢印Aで示す。)とカーボンブラック粒子(図1中、矢印Bで示す)の部分に分かれている。生成物が鉄カーバイトではなく、酸化鉄であることは、STEM/EDX(走査透過型電子顕微鏡及びエネルギ分散型蛍光X線分析)でナノスケールの元素分析を行い、酸素、炭素、鉄それぞれの元素の分布を測定し、酸素と鉄の分布が一致し、炭素の分布とは一致しないことで明らかにすることができた。また、生成物の元素分析を行ったところ、炭素28.9%、水素1.2%、窒素0.5%、酸素24.4%、鉄45%との分析結果を得た。元素分析にあたっては、鉄以外はJIS−M8813により測定し、鉄元素はICP発光分析法により測定した。
図2には空燃比1.0の場合の90万倍の透過型電子顕微鏡写真を示すが、酸化鉄粒子(図2中、矢印Aで示す。)の周囲のカーボンブラック(図2中、矢印Bで示す。)は、若干黒鉛構造が配向した形になっており、カーボンブラックと酸化鉄粒子の複合化が起きていることがわかった。なお、図2中、矢印Cで示す粒子は、元素分布で炭素と酸素原子が存在せず、鉄原子のみが存在するところがあることが確認されたことから、金属鉄粒子ではないかと考えられる。
空燃比2.0の場合には粒子の平均径は、20.6nmであり、空燃比1.0の場合には粒子の平均径が25.9nmであり、空燃比0.7の場合には粒子の平均径29.5nmであった。カーボンブラック粒子と酸化鉄粒子を厳密に見分けることは必ずしも容易ではないため、粒子の平均径は、カーボンブラックの粒子および酸化鉄の粒子を区別することなく測定したものであるが、酸化鉄の粒子のみの平均径もこれらの平均径から大きく離れたものではないことは図1より明らかである。
また、遠心沈降式の測定器(ブルックヘブン社製BI-DCP)でアグリゲート径サイズ分布を測定したところ、空燃比2.0の場合には平均136nm、1.0の場合には平均121nm、0.7の場合には平均113nmとの測定結果を得られた。
なお、酸化鉄の粒子は、前述したように、生成物を燃焼してカーボンブラックを消失させる等して得ることができる。
実施例で得られた空燃比2.0の場合のカーボンブラックおよび酸化鉄の複合粒子の18万倍の透過電子顕微鏡写真である。 実施例で得られた空燃比1.0の場合カーボンブラックおよび酸化鉄の複合粒子の90万倍の透過電子顕微鏡写真である

Claims (5)

  1. 原料炭化水素とともにナノオーダーの金属微粒子または金属化合物微粒子を処理して煤を生成する煤生成工程と、
    該煤から該金属微粒子または金属化合物微粒子の酸化物以外の他の成分を取り除いて該金属微粒子または金属化合物微粒子の酸化物を得る金属酸化物ナノ粒子生成工程を有することを特徴とする金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
  2. 前記煤生成工程において、煤生成装置としてディーゼルエンジンを用い、前記金属化合物微粒子である有機金属錯体または有機金属塩を添加した原料炭化水素を燃料噴射ポンプより燃焼室内に噴射して、前記煤を含む燃焼ガスを発生させることを特徴とする請求項1記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
  3. 前記煤生成工程において、空燃比を0.1〜9とすることを特徴とする請求項2記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
  4. 前記煤生成工程において、煤生成装置としてカーボンブラック発生用の反応炉を用い、前記金属化合物微粒子である有機金属錯体または有機金属塩を添加した原料炭化水素を原料として該反応炉でカーボンブラックを発生させることを特徴とする請求項1記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
  5. 前記金属酸化物ナノ粒子生成工程において、前記煤を完全燃焼させて前記金属微粒子または金属化合物微粒子の酸化物を得ることを特徴とする請求項1記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
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