JP2005333812A - Grのパーシャルアゴニストのスクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 グルココルチコイドレセプター(GR)のパーシャルアゴニストのスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】 GRの転写共役因子であるTIF2、SRC1またはPGC1とGRとの相互作用を測定し、該相互作用を増強させる被験物質を選択することにより、GRのパーシャルアゴニストのスクリーニングを実施する。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、副作用の低減されたグルココルチコイドレセプター(GR)のリガンドを効率的に探索する方法を提供することを目的とする。より詳細には、本発明は、GRのパーシャルアゴニストを非常に高感度にスクリーニングする方法を提供することを目的とする。
ステロイドは抗炎症作用が強く、炎症性疾患に用いられる薬剤である。これらは核内受容体として知られるグルココルチコイド受容体(Glucocorticoid receptor、以下GR)に結合して、抗炎症作用を発揮することが知られている。
古くは難治性炎症性疾患の一つであるリウマチに対して著効を示したステロイドであったが、その強い主薬効の一方で、糖代謝異常・副腎機能低下・骨代謝異常・易感染性などの強い副作用を示すことも明らかとなった(非特許文献1を参照)。そこで近年では、抗炎症作用は保持したまま、これら副作用を低減した新規なGR結合化合物(GRリガンド)が望まれている(非特許文献2を参照)。
GRは通常細胞質内に留まっているが、リガンドの結合により細胞質内から核内移行し、遺伝子の転写調節を行うことが知られている。
GRの主作用である抗炎症作用を発揮する作用機構としては、GRが炎症性因子であるAP1やNFkBと何らかの形で相互作用をして、活性抑制を行うことで発揮されること(非特許文献3、非特許文献4を参照)や、炎症性反応に関与する酵素の活性を抑制していること(非特許文献3、非特許文献5を参照)が考えられている。
一方、GRが副作用を発揮する作用機構としては、GRがホモ2量体を形成し、標的遺伝子の近傍にあるグルココルチコイド応答配列(Glucocorticoid responsive element; GRE)と呼ばれる遺伝子配列に直接結合して転写調節を行うものと考えられている(非特許文献2、非特許文献6を参照)。
近年、GRリガンドが主作用を発揮する際の作用機構と副作用を発揮する際の作用機構が異なることが明らかとなってきたため、副作用を低減した化合物を見出す目的で、この作用機構の違いを考慮した化合物探索が報告されている(非特許文献2を参照)。特に副作用の低減に着目した場合、従来使用されてきたステロイドは、GREを介した転写調節に対して強いアゴニスト作用を示すことから、これらより弱いアゴニスト作用を発揮する化合物を探索することによって、副作用を軽減した化合物、すなわちGRのパーシャルアゴニストを見出すことができると考えられている。
GRのパーシャルアゴニストを探索する目的では、GREを含むレポータージーンアッセイが一般に用いられており、デキサメタゾン(DEX)・プレドニゾロン等のGRのフルアゴニストを陽性対照として、GRへの結合能はGRのフルアゴニストと同等ではあるものの、GRのフルアゴニストよりも低い転写活性を示す化合物が選択されている。その結果、GRのパーシャルアゴニストと呼ばれる化合物群が見出され、確かにこれらのGRのパーシャルアゴニストは抗炎症作用を保持したまま、副作用は多少なりとも低減されていることが示されている(非特許文献7、8を参照)。
しかしGRのパーシャルアゴニストとは、一般には、GREを介する転写活性が、濃度をいくら上げてもGRのフルアゴニストに及ばないものである。そのため、GRのフルアゴニストと比較してどの程度低い転写活性を示すものをGRのパーシャルアゴニストとして選択すればよいのか判断が非常に難しく、GRのパーシャルアゴニストを選別することは困難である。
ステロイド薬の選び方と使い方 pp39-49 南江堂 2002 Ernst Schering Research Foundation Workshop 40:357-371,2002 Endocrine Reviews 24:488-522,2003 Ernst Schering Research Foundation Workshop 40:233-278,297-304,2002 Ernst Schering Research Foundation Workshop 40:131-152, 2002 Science 240:889-895,1988; Molecular Endocrinology 17:860-869,2003 PNAS 101:227-232, 2004
本発明は、GRのパーシャルアゴニストを高感度かつ簡便に探索することのできるスクリーニング方法を提供することを目的とする。すなわち、副作用を軽減した抗炎症剤等を探索するためのスクリーニング方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行い、転写共役因子SRC1、TIF2またはPGC1と、GRとの相互作用を検出する評価系にて、薬理評価において副作用(肝酵素誘導等の代謝調節作用)が少ないことが確認されているGRのパーシャルアゴニストと、GRのフルアゴニストとを評価した。TIF2、SRC1およびPGC1は、いずれもGRがGREに結合して作用する際の転写共役因子として知られている。その結果、GRと転写共役因子(SRC1、TIF2またはPGC1)との相互作用は、GRのフルアゴニストを反応させるよりもGRのパーシャルアゴニストを反応させる方が弱くなるだろうと予想していたが、予想に反し、GRのパーシャルアゴニストを作用させた方が、いずれの転写共役因子でもGRとの相互作用が強く認められることを新たに見出した。本発明者は、この新しい知見により、これら転写共役因子とGRとの相互作用を増強させる化合物をスクリーニングすることによって、非常に簡便にGRのパーシャルアゴニストのスクリーニングを行うことができることを明らかにした。本発明のスクリーニング方法では、GRのパーシャルアゴニストが顕著に高い活性を示すため、従来のレポータージーンアッセイに比較してfalse positiveが少ないと考えられる。
この知見は先行文献(Molecular Endocrinology 17:860-869,2003)とは全く正反対の現象であるが、このような結果が得られたのは、評価に用いた形質転換体(本検討では酵母)にはGRと転写共役因子との相互作用に影響を及ぼす蛋白の存在が少ないため、評価系の検出感度が高く、Artifactが少ないからであると考えられた。従って、本発明のスクリーニングは、GRの転写共役因子とGRとの相互作用に影響を及ぼす蛋白の存在が少ない形質転換体などを用いることによって、より高感度に実施することができる。
本発明はかかる知見を基礎として完成するに至ったものである。
即ち本発明は、下記に掲げるものである。
〔1〕下記の工程(a)および(b)を含む、グルココルチコイドレセプター(GR)のパーシャルアゴニストのスクリーニング方法、
(a)被験物質存在下において、GRの転写共役因子とGRとを接触させる工程、
(b)上記の被験物質存在下での該転写共役因子とGRとの相互作用を測定し、相互作用を増強させる被験物質を選択する工程、
〔2〕転写共役因子がTIF2、SRC1またはPGC1である、前記〔1〕に記載のスクリーニング方法、
〔3〕工程(b)の被験物質を選択する工程において、コントロール化合物よりも該相互作用を増強する被験物質を選択することを特徴とする、前記〔1〕または〔2〕に記載のスクリーニング方法、
〔4〕コントロール化合物がGRのフルアゴニストである、前記〔3〕に記載のスクリーニング方法、
〔5〕コントロール化合物がデキサメタゾン(DEX)あるいはプレドニゾロンである、前記〔3〕に記載のスクリーニング方法、
〔6〕相互作用をtwo-hybridシステムによる形質転換体をもちいて測定する、前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載のスクリーニング方法、
〔7〕形質転換体の宿主細胞がU2OS細胞、COS1細胞、COS7細胞、Jurkat細胞、A549細胞またはHeLa細胞である、前記〔6〕に記載のスクリーニング方法、
〔8〕形質転換体の宿主細胞が酵母あるいは大腸菌である、前記〔6〕に記載のスクリーニング方法、
〔9〕相互作用をGSTプルダウン法により測定する、前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載のスクリーニング方法、
〔10〕相互作用を分子間相互作用測定装置を用いて測定する、前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載のスクリーニング方法。
本発明は、GRのパーシャルアゴニストが、GRとその転写共役因子(例えば、SRC1、TIF2、PGC1など)との相互作用を、GRのフルアゴニストであるDEXなどよりも増強するという全く新たな知見に基づくものである。
本発明によって、非常に簡便で高感度なGRのパーシャルアゴニストのスクリーニング方法が提供される。
更に、本発明のスクリーニング方法によって得られる物質は、副作用の少ない抗炎症剤、免疫疾患治療剤(喘息・リウマチ・多発性硬化症、潰瘍性大腸炎等)、移植拒絶阻害剤などとして有効に利用することができる。
以下、本明細書において、アミノ酸、(ポリ)ペプチド、(ポリ)ヌクレオチドなどの略号による表示は、IUPAC-IUBの規定〔IUPAC-IUB Communication on Biological Nomenclature, Eur. J. Biochem., 138: 9 (1984)〕、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」(日本国特許庁編)および当該分野における慣用記号に従う。
本明細書において「GRのパーシャルアゴニスト」とは、AP1やNFkB等の炎症性因子に拮抗することにより抗炎症作用は示すが、GR存在下でGREを介する転写活性の増強作用がGRフルアゴニストよりも弱い物質(化合物など)のことであり、具体的には、GR存在下でGREを介する転写活性を調べることができるルシフェラーゼ等のレポーターアッセイ系(Bioorg. Med. Chem. Lett. 14:17211727, 2004)において、過剰量(濃度10〜100μM)を反応させた際のGREを介する転写活性の増強作用が、デキサメタゾン(濃度10μM)で反応させた際の作用と比較して90%以下、好ましくは80%以下、更に好ましくは60%以下である物質をいう。
GRのパーシャルアゴニストとしては、例えば、Proge(プロゲステロン)、MPA(メドロキシプロゲステロン)、Cpd18、Cpd32などが挙げられる。
本明細書において「GRのフルアゴニスト」とは、デキサメタゾンあるいはプレドニゾロン、ベタメタゾン、ベクロメタゾン、ブデソニドなど、GRリガンドのうちGRに強い親和性を持ち、GR存在下でGREを介する転写活性を強く増強させる活性を有する化合物のことであり、好ましくは、デキサメタゾンやプレドニゾロンが挙げられる。
本明細書において「グルココルチコイドレセプター(GR)」とは、特定アミノ酸配列(配列番号:2)で示されるアミノ酸配列を含有するタンパク質のみならず、グルココルチコイドに結合し、転写共役因子(例えば、SRC1、TIF2、PGC1など)と相互作用を示すという特徴を有する限り、配列番号2に類似のアミノ酸配列や、それらの一部からなるアミノ酸配列を含有するタンパク質(ポリペプチド)も包含される。
「類似のアミノ酸配列」とは、例えば、アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは1〜9個程度、より好ましくは1〜5個程度、更に好ましくは1〜3個)のアミノ酸が置換されたアミノ酸配列が含まれる。
「一部からなるアミノ酸配列」とは、例えば、配列番号2のリガンド結合領域を有するタンパクはGRリガンド依存的に転写補因子と相互作用するという活性を示すことが知られているため、少なくとも配列番号2のアミノ酸領域556-777を有する配列、またはこれに該当する領域を有する配列であればよい。具体的には、例えば、実施例において配列番号2のアミノ酸領域485-777を用いてスクリーニング系が構築できることを確認しているため、配列番号2のアミノ酸領域485-777を含むアミノ酸配列が挙げられる。また、配列番号2のアミノ酸領域523-777(Mol Endocrinol 17:845-59,2003)を含む配列、アミノ酸領域488-777(Nucleic Acids Res 26:1191-1197,1998)を含む配列、アミノ酸領域501-777(Journal of steroid biochemistry & molecular biology 72:35-46)を含む配列、マウスGRのアミノ酸配列のアミノ酸領域513-783(Mol Cell Biol 17:2735-2744,1997)を含む配列なども挙げることができる。なお、グルココルチコイドに結合し、転写共役因子(例えば、SRC1、TIF2、PGC1など)と相互作用を示すという活性は、GST-プルダウン法(Mol Endocrinol 17:845-859,2003)や免疫沈降法などの公知の方法により確認することができる。
そのため、「GR遺伝子」といった用語を用いる場合、前記の「GR」をコードする遺伝子であるため、特に言及しない限り、特定塩基配列(配列番号:1)で示される塩基配列を含有する遺伝子のみならず、前記特定塩基配列に類似の塩基配列を含有する遺伝子や、それらの一部である、前述の「一部からなるアミノ酸配列を含有するタンパク質(ペプチド)」をコードする塩基配列も含まれる。
なお、「類似の塩基配列を含有する遺伝子」とは、特定塩基配列に示される塩基配列中、1もしくは複数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列を含有する遺伝子や、前記配列番号で示される塩基配列と高い相同性を有する塩基配列を含有する遺伝子が挙げられる。「高い相同性を有する塩基配列を含有する遺伝子」とは、ストリンジェントな条件でハイブリダイズする遺伝子を意味し、具体的には前記特定塩基配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列を含有する遺伝子が挙げられる。ここでストリンジェントな条件とは、ハイブリダイズ反応や洗浄の際の温度、塩濃度等を適宜変化させることにより調節することができ、所望の相同性に応じて設定されるが、例えば塩濃度:6XSSC、温度:65℃の条件が挙げられる。
本明細書において「GRの転写共役因子」とは、GRが核内で作用する際の転写共役因子であり、好ましくは、GRがGREに結合して転写調節を行う際の転写共役因子(例えば、TRAP220、p300、CBP、SRC1、TIF2およびPGC1など)、更に好ましくは、SRC1、TIF2およびPGC1である。これらの転写共役因子は、マウス、ラット、ヒト、サル等いかなる種由来のものであってもよいが、ヒト由来のものが好ましい。
本明細書において「SRC1」とは、特定アミノ酸配列(配列番号:4)で示されるアミノ酸配列を含有するタンパク質のみならず、GRと相互作用を示すという特徴を有する限り、配列番号4に類似のアミノ酸配列や、それらの一部からなるアミノ酸配列を含有するタンパク質(ペプチド)も包含される。
ここで、「一部からなるアミノ酸配列」とは、例えば、配列番号4のアミノ酸配列のうち核内受容体と相互作用する領域を有すれば、GRとリガンド依存的に相互作用する活性を示すことが知られているため、少なくとも配列番号4のアミノ酸領域569-821(Mol Endocrinol 17:845-859,2003)を有する配列、あるいはこれに該当する領域を有する配列であればよい。具体的には、実施例においてGRリガンド依存的にGRとの相互作用が強まることを確認している配列番号4のアミノ酸領域611-1441を含むアミノ酸配列が挙げられる。またC末端領域を含めばよいという報告があるので、アミノ酸領域1428-1441(Journal of steroid biochemistry & molecular biology 72:35-46)を含む配列なども挙げることができる。GRと相互作用を示すか否かについては、GST-プルダウン法(Mol Endocrinol 17:845-859,2003)や免疫沈降法などの公知の方法により確認することができる。
そのため、「SRC1遺伝子」といった用語を用いる場合、前記の「SRC1」をコードする遺伝子であるため、特に言及しない限り、特定塩基配列(配列番号:3)で示される塩基配列を含有する遺伝子のみならず、前記特定塩基配列に類似の塩基配列を含有する遺伝子や、それらの一部からなる塩基配列である、前述の「一部からなるアミノ酸配列を含有するタンパク質(ペプチド)」をコードする塩基配列も含まれる。
本明細書において「TIF2」とは、特定アミノ酸配列(配列番号:6)で示されるアミノ酸配列を含有するタンパク質のみならず、GRと相互作用を示すという特徴を有する限り、前記特定アミノ酸配列に類似のアミノ酸配列や、それらの一部からなるアミノ酸配列を含有するタンパク質(ペプチド)も包含される。
ここで、「一部からなるアミノ酸配列」とは、例えば、配列番号6のうち核内受容体と相互作用する領域を有すれば、GRとリガンド依存的に相互作用する活性を示すことが知られているため、少なくともアミノ酸領域594-766(Mol Cell Biol 18:6001-6013,1998)を含む配列、またはこれに該当する部分を含む配列であればよい。具体的には、実施例においてGRとの相互作用を確認している配列番号6のアミノ酸領域670-1464を含むアミノ酸配列が挙げられる。またマウスホモログ(GRIP1)でのアミノ酸領域322-1121を含む配列、アミノ酸領域543-703を含む配列、またはアミノ酸領域703-765を含む配列(Nucleic Acids Res 26:1191-1197,1998)なども挙げることができる。GRと相互作用を示すか否かについては、GST-プルダウン法や免疫沈降法などの公知の方法により確認することができる。
そのため、「TIF2遺伝子」といった用語を用いる場合、前記の「TIF2」をコードする遺伝子であるため、特に言及しない限り、特定塩基配列(配列番号:5)で示される塩基配列を含有する遺伝子のみならず、特定塩基配列に類似の塩基配列を含有する遺伝子や、それらの一部からなる塩基配列からなる塩基配列である、前述の「一部からなるアミノ酸配列を含有するタンパク質(ペプチド)」をコードする塩基配列も含まれる。
本明細書において「PGC1」とは、特定アミノ酸配列(配列番号:8)で示されるアミノ酸配列を含有するタンパク質のみならず、GRと相互作用を示すという特徴を有する限り、前記特定アミノ酸配列に類似のアミノ酸配列や、それらの一部からなるアミノ酸配列を含有するタンパク質(ペプチド)も包含される。
ここで、「一部からなるアミノ酸配列」とは、例えば、配列番号8のうち核内受容体相互作用領域部分を有すればGRと相互作用して転写活性化を促進するという活性を示すことが知られているため(Mol Cell Biol 20:2411-2422,2000)、少なくともアミノ酸領域91-186を有する配列、またはアミノ酸領域189-293を有する配列、あるいはこれらに該当するアミノ酸領域を有する配列であればよい。具体的には、実施例において配列番号8のアミノ酸領域91-186を用いて活性を確認しているため、配列番号8のアミノ酸領域91-186を含むアミノ酸配列が挙げられる。また配列番号8のアミノ酸領域1-408、配列番号8のアミノ酸領域1-293を用いた報告もあるため(Mol Cell Biol 20:2411-2422,2000)、これらのうちいずれかのアミノ酸領域を含む配列も挙げることができる。GRと相互作用を示すか否かについては、GST-プルダウン法や免疫沈降法などの公知の方法により確認することができる。
そのため、「PGC1遺伝子」といった用語を用いる場合、前記の「PGC1」をコードする遺伝子であるため、特に言及しない限り、特定塩基配列(配列番号:7)で示される塩基配列を含有する遺伝子のみならず、特定塩基配列に類似の塩基配列を含有する遺伝子や、それらの一部からなる塩基配列である、前述の「一部からなるアミノ酸配列を含有するタンパク質(ペプチド)」をコードする塩基配列も含まれる。
これらGR、SRC1、TIF2およびPGC1は、本発明により提供される遺伝子の配列情報(配列番号:1、3、5、7)などに基づいて、DNAクローニング、各発現ベクターの構築、宿主へのトランスフェクション、形質転換体の培養および培養物からのタンパク質の回収の操作により得ることができる。
発現ベクターの宿主へのトランスフェクションする方法としては、具体的にはリン酸カルシウム法、DEAE-デキストラン法、エレクトロポレーション法、遺伝子導入用リピッド(Lipofectamine、Lipofectin; Gibco-BRL社)を用いる方法、マイクロインジェクション法等の公知の方法が挙げられる。発現ベクターは、一般的に使用されているGST、His-tag等のマーカータンパク等との融合タンパク質が発現されるように設計されたものであってもよい。
これらの操作は、当業者に既知の方法、あるいは文献記載の方法(Molecular Cloning, T.Maniatis et al., CSH Laboratory (1983), DNA Cloning, DM. Glover, IRL PRESS (1985))などに準じて行うことができる。また、市販品のGR(Invitrogen社)を購入することもできる。
本発明のスクリーニング方法は、GRが核内で作用する際の転写共役因子とGRとの相互作用を増強させる物質をスクリーニングする方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法は、下記の(a)および(b)の工程を含む:
(a)被験物質存在下において、GRの転写共役因子とGRとを接触させる工程、
(b)上記の被験物質存在下での転写共役因子とGRとの相互作用を測定し、該相互作用を増強させる被験物質を選択する工程。
本発明は、実施例に示すように、公知のGRのパーシャルアゴニストが、デキサメタゾンまたはプレドニゾロンなどのGRのフルアゴニストよりもGRと転写共役因子との相互作用を増強させるという知見に基づいたものである。
ここで「相互作用を増強させる被験物質を選択する工程」とは、GRの転写共役因子とGRとの相互作用を増強させる被験物質を選択する工程であれば何ら限定されない。必要に応じ、コントロール化合物を接触させた場合と比較してより相互作用を増強させる被験物質を選別することによって、スクリーニング精度を高くすることができる。
しかしながら、本発明のスクリーニング方法は、実施例に示すように、条件によっては、GRのフルアゴニストではGRと転写共役因子との相互作用がほとんど認められなくても、GRのパーシャルアゴニストでは相互作用が認められることから、必ずしもコントロール化合物を対照に用いる必要があるわけではない。
本明細書において「コントロール化合物」とは、本スクリーニング評価系においてデキサメタゾンまたはプレドニゾロン、あるいはこれらの化合物と同程度の活性を持つ化合物であればよく、何ら限定はされない。好ましくはGRのフルアゴニストであり、更に好ましくはデキサメタゾンおよびプレドニゾロンである。
本発明スクリーニング方法により選択される物質は、GRのパーシャルアゴニストの有力な候補物質となるため、当該物質は副作用の少ない抗炎症剤、免疫疾患治療剤(喘息・リウマチ・多発性硬化症、潰瘍性大腸炎等)、移植拒絶阻害剤等の有力な候補となる。
なお、本発明のスクリーニング方法は、GRの転写共役因子とGRとの相互作用を測定する手段を変更することにより、種々の実施態様を取ることができる。
以下、GRの転写共役因子とGRとの相互作用の測定方法について具体的に例示する。
(1)two-hybridシステムによる形質転換体を利用したスクリーニング方法
GRの転写共役因子とGRとの相互作用は、公知のtwo-hybridシステムによる形質転換体を用いて検出することができる。two-hybridシステムを用いたアッセイは定法に従って行うことができる(Molecular Endocrinology 17:860-869,2003)。
そのため、two-hybridシステムによる形質転換体を用いた本発明スクリーニング方法としては、次の工程(a)および(b)を含むスクリーニング方法が例示される:
(a)GRの転写共役因子またはGRの一方を、転写因子のDNA結合ドメインとの融合タンパク質として発現させるベクター、他方を転写因子の転写活性化ドメインとの融合タンパク質として発現させるベクター、及び該DNA結合ドメインにより認識・結合されるシスエレメントを含むプロモーター領域の制御下にあるレポーター遺伝子を含む発現ベクターが導入された形質転換体を、被験物質に接触させる工程、
(b)上記形質転換体の該レポーター遺伝子発現産物の活性を測定し、活性を上昇させる被験物質を選択する工程。
ここで、DNA結合ドメイン(DBD)としては、GAL4、LexA等の転写共役因子のDNA結合ドメイン(DBD)を挙げることができ、転写因子の転写活性化ドメイン(AD)としては、VP16、B42、NFkB等の転写因子の転写活性化ドメイン(AD)を挙げることができる。宿主に酵母を用いるときはGAL4-VP16、LexA-B42、LexA-VP16の組合わせを用いるのが好ましく、動物細胞を用いるときはGAL4-VP16、GAL4-NFkBの組合わせを用いるのが好ましい。
また、DBDおよびダイマー形成領域を含む全長のbacteriophage λ repressor protein (λcI, 237 amino acids)をDBD側の融合蛋白質として用い、RNAポリメラーゼαサブユニットのN末端領域(248アミノ酸)を他方の融合蛋白質として用いて、大腸菌内で相互作用を検出する方法も知られているので(ストラタジーン社:BacterioMatch II two-hybrid system 等)、この公知の方法を用いてGRと転写共役因子との相互作用の測定を行ってもよい。
ベクターとしては、pM、pVP16 (BD社)、pCMV-AD、pCMV-BD (Stratagene社)、pBT、pTRG (Stratagene社; BacterioMatch II two-hybrid system)等の市販のベクターを用いることができる。
レポーター遺伝子としては、β―ガラクトシダーゼ、CAT、ルシフェラーゼ、GFPなどが挙げられる。このようなレポーター遺伝子はいずれも当業者に周知であり、プロメガ社、Stratagene社、BD社などから市販されている。
形質転換体の宿主細胞としては、ラット、マウス、ハムスター、ウサギ、ミンク、ブタなどの哺乳動物由来の細胞や、酵母・大腸菌などを挙げることができるが、何らこれらに限定されない。好ましくは、GRの転写共役因子とGRとの相互作用に影響を与えるタンパク質が少ない細胞であり、特に好ましくは酵母や大腸菌である。形質転換体の宿主細胞としては、(i)内在性GRがないか、あるいはあっても反応が弱いといわれている細胞(GRの転写共役因子とGRとの相互作用に影響を与えるタンパク質が少ないと考えられるため)であるU2OS細胞、COS1細胞、COS7細胞およびJurkat細胞など、(ii)GRが発現しておりDex等によく反応する細胞(GRを介する反応に必要な因子群が揃っており、スクリーニングの検出感度が高くなると考えられるため)である、A549細胞、HeLa細胞など、も挙げることができる。
形質転換体は、宿主が細胞・大腸菌の場合は薬剤耐性遺伝子、酵母の場合はアミノ酸欠乏培地によって選抜する方法が一般的であり、これらの公知の方法に従ってスクリーニングに用いるのに適した形質転換体を選択することができる。
レポーター遺伝子発現産物の活性は、公知の方法に従って測定することができる。CAT、ルシフェラーゼ等の活性は市販のキットを用いて測定することができる。
(2)GSTプルダウン法を利用したスクリーニング方法
GRの転写共役因子とGRとの相互作用は、公知のGSTプルダウン法により検出することができる。GSTプルダウン法を用いたアッセイは定法に従って行うことができる(Mol Endocrinol 17:845-859,2003など)。
そのため、GSTプルダウン法を利用した本発明スクリーニング方法として、次の工程(a)、(b)および(c)を含むスクリーニング方法が例示される:
(a)GRの転写共役因子とGSTとの融合タンパク(GST融合タンパク)をグルタチオンセファロースビーズに結合させる工程、
(b)上記の結合物に、RI標識したGRと被験物質とを更に添加して反応させる工程、
(c)上記(b)の反応後のビーズを回収し、ビーズに結合したタンパクの放射活性を測定し、放射活性を上げる被験物質を候補物質として選択する工程。
ここでGST融合タンパクとは、GRの転写共役因子のいずれかのGST融合タンパクであればよく、前述のように、公知の技術を用いて作製することができる。例えば、GRの転写共役因子の蛋白コード領域遺伝子配列をGST融合蛋白作製用ベクター(アマシャム社pGEX等)にサブクローニングしてDH5α等の大腸菌にトランスフォームし、IPTGにより蛋白発現を誘導して、大腸菌を回収して公知の方法で精製することにより得ることができる。
また、グルタチオンセファロースビーズは、GST融合タンパクと結合するものであれば何ら限定されない。グルタチオンセファロース4Bであっても、遠心することにより回収することができるため、グルタチオンセファロースビーズの代わりに用いることができる。
RI標識されたGRとは、例えば、35Sなどで標識されたGRであり、TNTキット(プロメガ社)等を用いて作製することができる。
ビーズに結合しているタンパク(RI標識されたGR)の放射活性は、複合体のまま検出することもできるし、該タンパク(RI標識されたGR)を常法に従いSDS-PAGEを行い解析することもできる。放射活性は、公知の測定機器を用いて測定することができ、例えばイメージアナライザー(BAS:富士写真フィルム社製)等を用いることができる。
(3)分子間相互作用測定装置を利用したスクリーニング方法
GRの転写共役因子とGRとの相互作用は、公知の分子間相互作用測定装置を用いて検出することができる。分子間相互作用測定装置を用いたアッセイは、公知の一般的な方法に準じて実施することができる(例えば、Anal Biochem. Vol.,265,No.2, pp340-50. (Dec.15, 1998)など参照)。
例えば、分子間相互作用測定装置である測定器Biacoreを用いて、GRの転写共役因子とGRとの相互作用を増強する候補物質をスクリーニングするには、10mMの酢酸バッファー(pH4)に溶解したGRを、BiacoreのセンサーチップCM5表面のマトリックスにカルボキシル基を介して固定化する。HBSバッファー(アマシャム ファルマシア バイオテク株式会社製)をセンサーチップに20μl/分の流速で流した後、HBSバッファーで調製した被験物質(候補物質)もしくはDMSOなどの溶媒を流し、更にGRの転写共役因子を含むHBSバッファーに切り替えて流し、GRの転写共役因子の添加によるレスポンスの変化を測定する。再び、GRの転写共役因子を含まないHBSバッファーを流し、結合したGRの転写共役因子の解離に伴う値の変化と、この値に対する被検物質(候補物質)の作用を測定する。結合と解離の速度、あるいは最大結合量からGRとGRの転写共役因子との親和性と、この値に対する被検化合物の作用を計算することにより、GRの転写共役因子とGRとの相互作用を増強する候補物質を選択することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
GRと転写共役因子との相互作用を検出するスクリーニング系の構築
(1)使用化合物
デキサメタゾン(Dex)、メドロキシプロゲステロン(MPA)、プレドニゾロン(Pred)、プロゲステロン(Proge)、RU486は、いずれもシグマ社より購入し、エストラジオール(E2)は和光純薬より購入した。
Cpd18(2,5-Dihydro-10-methoxy-5-(2-propenyl)-2,2,4-trimethyl-1H-[1]benzopyrano[3,4-f]quinoline), Cpd32(5-Cyclopentyl-2,5-dihydro-10-methoxy-2,2,4-trimethyl-1H-[1]benzopyrano[3,4-f]quinoline)は合成したものを使用した(J Med Chem 44:4481-4491, 2001)。
(2)使用ベクター
(GR関連)
pGBT9/GR-C(485-777):pGBT9(クロンテック社)のBamHIサイトに、ヒトGRのC末端領域断片(GRの蛋白コード領域485番目から777番目のアミノ酸を含む。DNA結合領域を含まない。リガンド結合領域は全て含む。)を挿入し作製した。
(Co-factor関連)
pAD10/hSRC1:pAD10(クロンテック社)にhSRC1の蛋白コード領域611番目から1441番目のアミノ酸までを含んだベクター。
pAD10/hTIF2:pAD10(クロンテック社)にhTIF2の蛋白コード領域670番目から1464番目のアミノ酸までを含んだベクター。
pAD424/hPGC1:pAD424(クロンテック社)にhPGC1 の蛋白コード領域91番目から186番目のアミノ酸までを含んだベクター。
pAD424/hTIF2-T20:pAD424(クロンテック社)にhTIF2の蛋白コード領域670番目から766番目のアミノ酸までを含んだベクター。
pAD424/hSRC1-S18:pAD424(クロンテック社)にhSRC1の蛋白コード領域611番目から821番目のアミノ酸までを含んだベクター。
(3)酵母ストレインと形質転換
酵母は、液体培養のレポーターアッセイに適しているとされるY187、SFY526(いずれもクロンテック社より入手)を使用した。これら酵母を終夜培養後、LiAc法によりpGBT9/GR-C(485-777)をトランスフェクトした。Trp欠乏培地で生育してきたコロニーをピックアップし、Trp欠乏培地で終夜培養後、さらにpAD10あるいはpAD424をバックボーンとした各ベクターをLiAc法にてトランスフォームした。Trp/Leu欠乏培地で生育してきたコロニーをピックアップし、レポーターアッセイに供した。
GRのフルアゴニストとパーシャルアゴニストのスクリーニング系を用いた評価
(1)βガラクトシダーゼレポーターアッセイ
実施例1によりピックアップされたコロニーをTrp/Leu欠乏培地で終夜培養した。あらかじめDMSOに溶解した被検化合物を96穴プレートに0.5μL/ウエル入れておき、その上から終夜培養した酵母を50μL添加した。プレートをシールして30℃で6〜8時間培養後、25μLを白色96穴プレート(Thermo Labsystems社)に移した後、βグロー試薬(プロメガ社)、もしくはGal-Screen試薬(Applied Biosystems社)を25μL入れ、プレートミキサーで攪拌した。室温で30分間以上(約1時間)静置して酵母を溶解させた後、ルミノメーターにて1秒間の発光量を測定した。
その結果、図1に示すように、上記の方法に従い作製した、GRの発現ベクターと各コファクターの発現ベクターを導入した酵母においては、GRのフルアゴニストであるDex(デキサメタゾン)を添加した場合に、溶媒であるDMSOを添加した場合と比較して4倍〜15倍と高いβガラクトシダーゼ活性を示した。よって、この系においては、GRリガンドによるGR-コファクターの相互作用の変化が検出できるものと考えられた。
また、表1と図1に示すように、濃度が10μMの点において、GRのフルアゴニストであるDex(デキサメタゾン)およびPred(プレドニゾロン)の活性化が数倍〜15倍であるのに対して、GRのパーシャルアゴニストであるProge(プロゲステロン)、MPA(メドロキシプロゲステロン)、Cpd18およびCpd32は、50倍〜2400倍と、明らかに強い活性を示した。ここで検討したGRのパーシャルアゴニストは、ステロイド骨格(Proge・MPA)および非ステロイド骨格(Cpd18、Cpd32)の双方を含むことから、この現象がGRのパーシャルアゴニスト全般に当てはまるものと考えられた。
これらの結果から、GRのパーシャルアゴニストのスクリーニングに、本評価系を用いることができると確信した。例えば本実験結果の場合は50倍の活性化というクライテリアを設ければ、明確にGRのパーシャルアゴニストをピックアップすることが可能となる。
Figure 2005333812
表1は、図1と同じ酵母を用いて、各種GRリガンドによるβガラクトシダーゼ活性上昇を検討した結果である。GRのフルアゴニストであるDexやPredと比較して、GRのパーシャルアゴニストであるProge、MPA、Cpd18、Cpd32は顕著に高い活性を示している。
GRを介する作用であることの確認とリガンドによるGRコンフォメーション変化有無の推測
GRリガンドの研究においては、強いGRアンタゴニストであるRU486を用いることによりアゴニスト等の作用がキャンセルされることで、GRを介した作用であることを確認する実験がよく行われている。RU486は強力なGRアンタゴニストであり、通常は等濃度〜10倍濃度のRU486を添加することでGRアゴニストリガンドの反応がほぼ100%抑制される。そこで、本系でも同様に、各リガンドの添加時に同時にRU486を添加して、本発明で見られている作用がGRを介しているか否かの確認を行った。
その結果、図2に示すようにDex 10μMによるβガラクトシダーゼ活性の上昇は、100μMのRU486でほぼ100%抑制されたのに対し、GRのパーシャルアゴニストであるCpd18やMPAの反応を100μMのRU486で部分的に抑制されたのみであった。このことから、(1)これらGRのパーシャルアゴニストの作用はGRを介する作用であること、(2)これらGRのパーシャルアゴニストがGRに結合した際のGR構造変化が通常のフルアゴニストとは異なるため、RU486での抑制が不十分であること、が強く示唆された。
本活性発現に必要な領域の検討
次に、hSRC1、hTIF2の領域を削り、短い断片でも同様の作用が見られるか否かを検討した。hSRC1は蛋白コード領域611番目から821番目、hTIF2は蛋白コード領域670番目から766番目を用いた。その結果、図3及び図4に示すように、長い領域を用いた場合よりは活性化の度合いが落ちるものの、GRのフルアゴニストで反応が見られない場合にも、GRのパーシャルアゴニストで明確な反応が認められることが明らかとなった。そのため、本評価系においては、βガラクトシダーゼ活性上昇作用を有した化合物については、ほぼ全てがGRのパーシャルアゴニストであると判断することも可能である。
GSTプルダウン法を利用したスクリーニング
GRの転写共役因子群のいずれか(SRC1、TIF2など)の蛋白コード領域遺伝子配列を各々GST融合蛋白作製用ベクター(アマシャム社pGEX等)にサブクローニングする。DH5α等の大腸菌にトランスフォームした後、IPTGにより蛋白発現を誘導して、大腸菌を回収する。プロテアーゼ阻害剤含有のNETNバッファー(20 mM Tris, 100 mM NaCl, 1 mM EDTA, 0.01% NP40, pH.8.0)にサスペンドした後、氷中、超音波破砕器で破砕する。遠心して上清を別のチューブに移し、グルタチオンセファロースビーズを添加し、4℃で1時間静置する。ビーズをNETNバッファーで3度洗浄し、冷蔵保存する。
RI標識されたGR蛋白は、TNTキット(プロメガ社)等を用い35S-Metの存在下で作製する。GST融合蛋白としての転写補因子群は35S標識されたGRと混合し、4℃で数時間、化合物の存在下でNETNバッファー中にて静置する。静置後、NETNバッファーで3回洗浄し、洗浄後のビーズに残された蛋白(35S標識されたGR)を常法に従いSDS-PAGEで解析する。イメージアナライザー(BAS:富士写真フィルム社製)等を用いて放射活性を測定し、化合物の種類によりGRの転写共役因子とGRとの結合能が異なるか否かを検討する(Mol Endocrinol 17:845-859,2003)ことによってスクリーニングを行う。
本発明により、副作用の軽減されたGRリガンドを高感度に簡便に探索することのできるスクリーニング方法が提供される。より詳細には、GRの転写共役因子とGRとの相互作用を測定し、該相互作用を増強させる被験物質を選択することを特徴とする、GRのパーシャルアゴニストのスクリーニング方法が提供される。
本発明のスクリーニング方法により選られうる候補物質は、副作用を軽減した抗炎症剤、免疫疾患治療剤(喘息・リウマチ・多発性硬化症、潰瘍性大腸炎等)、移植拒絶阻害剤などとして有用である。
GRのリガンド結合領域を発現するベクターと、各コファクターの部分領域を発現するベクターの双方を導入した酵母における、GRのフルアゴニスト(Dex)によるβガラクトシダーゼ活性の上昇を検討した結果である。いずれにおいても溶媒であるDMSOと比較して明確な活性上昇が認められている。 GRのパーシャルアゴニストであるCpd18、MPAによるβガラクトシダーゼ活性上昇がGRを介しているか否かを検討した結果である。強いGRのアンタゴニストであるRU486の過剰量の添加において、GRのフルアゴニストであるDexの作用は完全にキャンセルされる一方で、Cpd18、MPAの作用は部分的にのみキャンセルされた。 表1・図1で用いたコファクターであるSRC1の領域より短い領域を用いて同様の検討をした結果である。活性化の度合いはやや落ちるものの、GRのフルアゴニストが反応しない場合においてもGRのパーシャルアゴニストは明確な活性化が認められた。 図3と同様、表1・図1・図2で用いたコファクターであるTIF2の領域より短い領域を用いて同様の検討を行った結果である。図3と同様、活性化の度合いはやや落ちるものの、GRのフルアゴニストが反応しない場合においてもGRのパーシャルアゴニストは明確な活性化が認められた。

Claims (10)

  1. 下記の工程(a)および(b)を含む、グルココルチコイドレセプター(GR)のパーシャルアゴニストのスクリーニング方法、
    (a)被験物質存在下において、GRの転写共役因子とGRとを接触させる工程、
    (b)上記の被験物質存在下での該転写共役因子とGRとの相互作用を測定し、相互作用を増強させる被験物質を選択する工程。
  2. 転写共役因子がTIF2、SRC1またはPGC1である、請求項1記載のスクリーニング方法。
  3. 工程(b)の被験物質を選択する工程において、コントロール化合物よりも該相互作用を増強する被験物質を選択することを特徴とする、請求項1または2記載のスクリーニング方法。
  4. コントロール化合物がGRのフルアゴニストである、請求項3記載のスクリーニング方法。
  5. コントロール化合物がデキサメタゾン(DEX)あるいはプレドニゾロンである、請求項3記載のスクリーニング方法。
  6. 相互作用をtwo-hybridシステムによる形質転換体をもちいて測定する、請求項1〜4いずれか記載のスクリーニング方法。
  7. 形質転換体の宿主細胞がU2OS細胞、COS1細胞、COS7細胞、Jurkat細胞、A549細胞またはHeLa細胞である、請求項6記載のスクリーニング方法。
  8. 形質転換体の宿主細胞が酵母あるいは大腸菌である、請求項6記載のスクリーニング方法。
  9. 相互作用をGSTプルダウン法により測定する、請求項1〜4いずれか記載のスクリーニング方法。
  10. 相互作用を分子間相互作用測定装置を用いて測定する、請求項1〜4いずれか記載のスクリーニング方法。
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