上記方式の電気光学装置では、ある画素が走査信号により選択され、次に選択されるまでの期間を全て表示期間あるいは発光期間として利用して動画表示を行った場合、疑似輪郭、像のずれ等の問題が発生することがある。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであって、その目的は動画表示を行う場合の疑似輪郭、像のずれ等を抑制して動画特性を向上することのできる電子回路の駆動方法、電子装置の駆動方法、電気光学装置の駆動方法及び電子機器を提供することにある。
本発明に係る電子装置の駆動方法は、複数の第1の信号線と、複数の第2の信号線と、前記複数の第1の信号線と前記複数の第2の信号線の交差部に対応して配置された複数の単位回路と、を備えた電子装置の駆動方法であって、前記複数の単位回路のうち、前記複数の第1の信号線のうちの第1の第1の信号線に接続された第1群の単位回路に対してセット動作を行う第1のステップと、前記複数の単位回路のうち、前記複数の第1の信号線のうちの第2の第1の信号線に接続された第2群の単位回路に対してリセット動作を行う第2のステップと、前記複数の単位回路のうち、前記複数の第1の信号線のうちの第3の第1の信号線に接続された第3群の単位回路に対してセット動作を行う第3のステップと、前記複数の単位回路のうち、前記複数の第1の信号線のうちの第4の第1の信号線に接続された第4群の単位回路に対してリセット動作を行う第4のステップと、を含み、前記第1の第1の信号線と前記第3の第1の信号線は互いに隣接し、前記第2の第1の信号線と前記第4の第1の信号線は互いに隣接していることを特徴とする。
上記の電子装置の駆動方法において、前記複数の単位回路の全てに前記複数の第2の信号線を介してデータ信号を供給する1フレーム期間内に、前記複数の第1の信号線の各々を少なくとも2回選択することが好ましい。
上記の電子装置の駆動方法において、前記第1のステップの終了後から前記第2のステップを行うまでの間、前記複数の単位回路のいずれの単位回路に対してもセット動作又はリセット動作を行わず、前記第2のステップの終了後から前記第3のステップを行うまでの間、前記複数の単位回路のいずれに対してもセット動作又はリセット動作を行わず、前記第3のステップの終了後から前記第4のステップを行うまでの間、前記複数の単位回路のいずれに対してもセット動作又はリセット動作を行わないことが好ましい。
本発明に係る他の電子装置の駆動方法は、複数の第1の信号線と、複数の第2の信号線と、前記複数の第1の信号線と前記複数の第2の信号線の交差部に対応して配置された複数の単位回路と、を備えた電子装置の駆動方法であって、
前記複数の単位回路のうち、前記複数の第1の信号線のうちの第1の第1の信号線に接続された第1群の単位回路に対してセット動作を行う第1のステップと、前記複数の単位回路のうち、前記複数の第1の信号線のうちの第2の第1の信号線に接続された第2群の単位回路に対してリセット動作を行う第2のステップと、前記複数の単位回路のうち、前記複数の第1の信号線のうちの第3の第1の信号線に接続された第3群の単位回路に対してセット動作を行う第3のステップと、前記複数の単位回路のうち、前記複数の第1の信号線のうちの第4の第1の信号線に接続された第4群の単位回路に対してリセット動作を行う第4のステップと、前記第1群の単位回路に対してリセット動作を行う第5のステップと、前記第2群の単位回路に対してセット動作を行う第6のステップと、前記第3群の単位回路に対してリセット動作を行う第7のステップと、前記第4群の単位回路に対してセット動作を行う第8のステップと、を含み、前記第1の第1の信号線と前記第3の第1の信号線は互いに隣接し、前記第2の第1の信号線と前記第4の第1の信号線は互いに隣接することを特徴とする。
上記の電子装置の駆動方法において、前記第1のステップの終了後から前記第2のステップを行うまでの間、前記複数の単位回路のいずれの単位回路に対してもセット動作又はリセット動作を行わず、前記第2のステップの終了後から前記第3のステップを行うまでの間、前記複数の単位回路のいずれに対してもセット動作又はリセット動作を行わず、前記第3のステップの終了後から前記第4のステップを行うまでの間、前記複数の単位回路のいずれに対してもセット動作又はリセット動作を行わないことが好ましい。
上記の電子装置の駆動方法において、前記複数の単位回路の全てに前記複数の第2の信号線を介してデータ信号を供給する1フレーム期間内に、前記第1のステップと前記第5のステップとを行うようにしてもよい。
上記の電子装置の駆動方法において、前記複数の単位回路の各々は、第1のトランジスタを含み、前記セット動作により、前記複数の第2の信号線の一つの第2の信号線を介して供給されるデータ信号に応じて前記第1のトランジスタの導通状態を設定するようにしてもよい。
上記の電子装置の駆動方法において、前記リセット動作により、前記セット動作によって設定された前記第1のトランジスタの導通状態を減ずるようにしてもよい。
上記の電子装置の駆動方法において、前記リセット動作により、前記第1のトランジスタをオフ状態とするようにしてもよい。
上記の電子装置の駆動方法において、前記複数の単位回路の各々は、電子素子を含み、前記リセット動作により、前記電子素子を停止させるようにしてもよい。
上記の電子装置の駆動方法において、前記複数の単位回路の各々は、駆動用トランジスタと第1スイッチングトランジスタとを含み、前記セット動作により、前記駆動用トランジスタを、前記複数の第2の信号線のうちの一つの第2の信号線及び前記第1スイッチングトランジスタを介して供給されるデータ信号に応じた導通状態に設定し、前記リセット動作により、前記第1スイッチングトランジスタをオフ状態として前記駆動用トランジスタをオフ状態とするようにしてもよい。
上記の電子装置の駆動方法において、前記複数の単位回路の各々は、駆動用トランジスタと第1スイッチングトランジスタと第2スイッチングトランジスタを含み、前記セット動作により、前記第2スイッチングトランジスタをオフ状態として、前記駆動用トランジスタを、前記複数の第2の信号線のうちの一つの第2の信号線及び前記第1スイッチングトランジスタを介して供給されるデータ信号に応じた導通状態に設定し、前記リセット動作により、前記第2スイッチングトランジスタをオン状態として、前記第1スイッチングトランジスタをオフ状態として前記駆動用トランジスタをオフ状態とするようにしてもよい。
上記の電子装置の駆動方法において、前記第2スイッチングトランジスタは、前記駆動用トランジスタのゲートとソース又はドレインとの電気的な接続を制御するようにしてもよい。
上記の電子装置の駆動方法において、前記複数の第1の信号線は複数の走査線であり、前記複数の第2の信号線は複数のデータ線であり、前記複数の単位回路の各々は電気光学素子を含んでもよい。
上記の電子装置の駆動方法において、前記電気光学素子は発光素子であってもよい。
本発明に係る電子装置は、上記の電子装置の駆動方法で駆動される。
本発明における電子回路の駆動方法は、第1の端子と第2の端子を備えた第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタの第1の制御用端子に接続された容量素子と、前記第1の端子と前記容量素子との電気的な接続を制御する、第3の端子と第4の端子を備えた第2のトランジスタと、第5の端子と第6の端子を備えた第3のトランジスタと、を備えた電子回路の駆動方法であって、前記第2のトランジスタ及び前記第3のトランジスタをオン状態とし、前記第6の端子及び前記第5の端子を介して信号を供給し、前記容量素子に前記信号に応じた電荷を蓄積し、前記第1のトランジスタの導通状態を前記信号に応じて設定する第1のステップと、前記第3のトランジスタ及び前記第2のトランジスタをそれぞれオフ状態及びオン状態とすることにより前記第1のステップで設定された前記第1のトランジスタの導通状態を変化させる第2のステップと、を含むことを特徴とする。
これによれば、第1のステップにおいて、第2及び第3のトランジスタをオン状態として容量素子に信号に応じた電荷を蓄積し、第1のトランジスタの導通状態を信号に応じて設定する。その後、第2のステップにおいて、第3及び第2のトランジスタをそれぞれオフ状態及びオン状態とすることにより第1のステップで設定された第1のトランジスタの導通状態を変化させることができる。これにより、第1のステップで信号に応じて設定された第1のトランジスタの導通状態を第2のステップで変化させた状態で、次の第1のステップにおいて、容量素子に信号、例えばデータ電流に応じた電荷を書き込むことができる。このため、データ電流が小さい場合でも、データ電流を書き込むのに要する時間を短くすることができる。その結果、データ線の配線容量等による影響を抑制することができ、動画表示を行う場合に疑似輪郭、像のずれなどの発生が抑制され、動画特性を向上することができる。なお、ここにいう「疑似輪郭」とは、表示画像に追従する視線の動き等により生ずる階調表示色のずれ等をいう。
また、第1のトランジスタの導通状態を変化させるために、トランジスタや回路を特別に設ける必要がなく、第3のトランジスタ及び第2のトランジスタのオン、オフを制御するだけでよい。したがって、トランジスタや回路を特別に設けることなく、低輝度の階調に対応するデータを書き込む場合でもデータ書込み時間を短縮して動作の遅延を低減することができる。
この電子回路の駆動方法において、前記第2のステップでは、前記第1のトランジスタをオフ状態とする。
これによれば、第1のステップで信号に応じて導通状態が設定された第1のトランジスタを、第2のステップで、次の第1のステップ実行前にオフ状態にすることができる。これにより、第1のトランジスタを次の第1のステップ実行前にオフ状態にして、次の第1のステップで、容量素子に信号、例えばデータ電流に応じた電荷を書き込むことになる。このため、データ電流が小さい場合でも、データ書込み時間をより短縮して動作の遅延をより低減することができ、動画特性をさらに向上することができる。
この電子回路の駆動方法において、前記第1のトランジスタの前記第2の端子は電気的に所定の電位に接続されており、前記第2のステップにおいて、前記第1の制御用端子に印加される電位は前記所定の電位とは異なっている。
これによれば、第2のステップにおいて、所定の電位とは異なる電位を第1の制御用端子に印加して、第1のトランジスタの導通状態を変化させあるいは第1のトランジスタをオフさせることができる。
この電子回路の駆動方法において、前記第2のステップにおいて、前記第1の制御用端子に印加される電位を、前記所定の電位から前記第1のトランジスタの閾値電圧を差し引いた電位、あるいは前記所定の電位と前記第1のトランジスタの閾値電圧とを足し合わせた電位とする。
これによれば、第2のステップにおいて、所定の電位から第1のトランジスタの閾値電圧を差し引いた電位あるいは所定の電位と第1のトランジスタの閾値電圧とを足し合わせた電位を第1の制御用端子に印加する。これにより、第1のトランジスタの導通状態を変化させあるいは第1のトランジスタをオフさせることができる。
この電子回路の駆動方法において、前記第1のトランジスタに電子素子が接続されている。
これによれば、第2のステップにおいて、第1のトランジスタの導通状態を変化させあるいは第1のトランジスタをオフさせることにより、電子素子の動作状態を変化させあるいはその動作をリセット(終了)させることができる。
この電子回路の駆動方法において、前記第2のステップにおいて、前記第1のトランジスタの前記第1の制御用端子に印加される電位で前記第1のトランジスタをオフ状態にして前記電子素子の動作をリセットする。
これによれば、第2のステップにおいて、第1の制御用端子に印加される電位で第1のトランジスタをオフ状態にして電子素子の動作をリセットすることができる。
本発明における他の電子装置の駆動方法は、複数の第1の信号線と、複数の第2の信号線と、複数の第3の信号線と、電源線と、複数の単位回路とを備えた電子装置の駆動方法であって、前記複数の単位回路の各々は、第1の端子と第2の端子を備えた第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタの第1の制御用端子に接続された容量素子と、前記第1の端子と前記容量素子との電気的な接続を制御する、第3の端子と第4の端子を備えた第2のトランジスタと、第5の端子と第6の端子を備えた第3のトランジスタと、を備え、前記第2のトランジスタの第2の制御用端子は前記複数の第2の信号線の一つに接続され、前記第3のトランジスタの第3の制御用端子及び前記第6の端子はそれぞれ前記複数の第1の信号線の一つ及び前記複数の第3の信号線の一つに接続されており、前記第2のトランジスタ及び第3のトランジスタが共にオン状態となっている間に前記第3の信号線の一つを介して供給される信号を前記容量素子に電荷として蓄積し、前記第1のトランジスタの導通状態を前記信号に応じて設定する第1のステップと、前記第3のトランジスタ及び第2のトランジスタをそれぞれオフ状態及びオン状態として、前記第1のステップで設定された前記第1のトランジスタの導通状態を減ずるような電荷量を前記容量素子に供給する第2のステップと、備える。
これによれば、第2のステップにおいて、第1のステップで信号に応じて設定された第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させた状態で、次の第1のステップにおいて、容量素子に信号、例えばデータ電流に応じた電荷を書き込むことができる。このため、データ電流が小さい場合でも、データ電流を書き込むのに要する時間を短くすることができる。その結果、データ線の配線容量等による影響を抑制することができ、動画表示を行う場合に疑似輪郭、像のずれなどの発生が抑制され、動画特性を向上することができる。また、第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させるために、トランジスタや回路を特別に設ける必要がなく、第3のトランジスタ及び第2のトランジスタのオン、オフを制御するだけでよい。
この電子装置の駆動方法において、前記第2のステップでは、前記第1のトランジスタをオフ状態とする。
これによれば、第1のステップで信号に応じて導通状態が設定された第1のトランジスタを、第2のステップで、次の第1のステップ実行前にオフ状態にすることができる。これにより、第1のトランジスタを次の第1のステップ実行前にオフ状態にして、次の第1のステップで、容量素子に信号、例えばデータ電流に応じた電荷を書き込むことになる。このため、データ電流が小さい場合でも、データ書込み時間をより短縮して動作の遅延をより低減することができ、動画特性をさらに向上することができる。
この電子装置の駆動方法において、前記第1のトランジスタの前記第2の端子は電気的に所定の電位に接続されており、前記第2のステップにおいて、前記第1の制御用端子に印加される電位は前記所定の電位とは異なっている。
これによれば、第2のステップにおいて、所定の電位とは異なる電位を第1の制御用端子に印加して、第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させあるいは第1のトランジスタをオフさせることができる。
この電子装置の駆動方法において、前記第2のステップにおいて、前記第1の制御用端子に印加される電位を、前記所定の電位から前記第1のトランジスタの閾値電圧を差し引いた電位、あるいは前記所定の電位と前記第1のトランジスタの閾値電圧とを足し合わせた電位とする。
これによれば、第2のステップにおいて、所定の電位から第1のトランジスタの閾値電圧を差し引いた電位あるいは所定の電位と第1のトランジスタの閾値電圧とを足し合わせた電位を第1の制御用端子に印加する。これにより、第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させあるいは第1のトランジスタをオフさせることができる。
この電子装置の駆動方法において、前記第1のトランジスタに電子素子が接続されている前記第1のトランジスタに電子素子が接続されている。
これによれば、第2のステップにおいて、第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させあるいは第1のトランジスタをオフさせることにより、電子素子の動作状態を減ずるように変化させあるいはその動作をリセットすることができる。
この電子装置の駆動方法において、前記第2のステップにおいて、前記第1のトランジスタの前記第1の制御用端子に印加される電位で前記第1のトランジスタをオフ状態にして前記電子素子の動作をリセットする。
これによれば、第2のステップにおいて、第1の制御用端子に印加される電位で第1のトランジスタをオフ状態にして電子素子の動作をリセットすることができる。
本発明における電気光学装置の駆動方法は、第1の副走査線と第2の副走査線をそれぞれ有するn行の走査線と、m列のデータ線と、電源線と、前記走査線と前記データ線の交差部に対応してn行m列に配置された複数の単位回路と、を備えた電気光学装置の駆動方法であって、前記複数の単位回路の各々は、第1の端子と第2の端子を備えた第1のトランジスタと、前記第1のトランジスタの第1の制御用端子に接続された容量素子と、前記第1の端子と前記容量素子との電気的な接続を制御する、第3の端子と第4の端子を備えた第2のトランジスタと、第5の端子と第6の端子を備えた第3のトランジスタと、前記第1のトランジスタに接続された電気光学素子と、を備え、前記第2のトランジスタの第2の制御用端子は前記n行の走査線の一つの前記第2の副走査線に接続され、前記第3のトランジスタの第3の制御用端子は前記n行の走査線の一つの前記第1の副走査線に接続され、そして前記第6の端子は前記m列のデータ線の一つに接続されており、 前記第2のトランジスタ及び前記第3のトランジスタが共にオン状態となっている間に前記m列のデータ線の一つを介して供給されるデータ信号を前記容量素子に電荷として蓄積し、前記第1のトランジスタの導通状態を前記データ信号に応じて設定する第1のステップと、 前記第3のトランジスタ及び第2のトランジスタをそれぞれオフ状態及びオン状態として、前記第1のステップで設定された前記第1のトランジスタの導通状態を減ずるような電荷量を前記容量素子に供給する第2のステップと、を備える。
これによれば、第2のステップにおいて、第1のステップでデータ信号に応じて設定された第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させた状態で、次の第1のステップにおいて、容量素子にデータ信号、例えばデータ電流に応じた電荷を書き込むことができる。このため、データ電流が小さい場合でも、データ電流を書き込むのに要する時間を短くすることができる。その結果、データ線の配線容量等による影響を抑制することができ、動画表示を行う場合に疑似輪郭、像のずれなどの発生が抑制され、動画特性を向上することができる。また、第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させるために、トランジスタや回路を特別に設ける必要がなく、第3のトランジスタ及び第2のトランジスタのオン、オフを制御するだけでよい。
この電気光学装置の駆動方法において、前記第2のステップでは、前記第1のトランジスタをオフ状態とする。
これによれば、第1のステップで信号に応じて導通状態が設定された第1のトランジスタを、第2のステップで、次の第1のステップ実行前にオフ状態にすることができる。これにより、第1のトランジスタを次の第1のステップ実行前にオフ状態にして、次の第1のステップで、容量素子に信号、例えばデータ電流に応じた電荷を書き込むことになる。このため、データ電流が小さい場合でも、データ書込み時間をより短縮して動作の遅延をより低減することができ、動画特性をさらに向上することができる。
この電気光学装置の駆動方法において、前記第1のトランジスタの前記第2の端子は電気的に所定の電位に接続されており、前記第2のステップにおいて、前記第1の制御用端子に印加される電位は前記所定の電位とは異なっている。
これによれば、第2のステップにおいて、所定の電位とは異なる電位を第1の制御用端子に印加して、第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させあるいは第1のトランジスタをオフさせることができる。
この電気光学装置の駆動方法において、前記第2のステップにおいて、前記第1の制御用端子に印加される電位を、前記所定の電位から前記第1のトランジスタの閾値電圧を差し引いた電位、あるいは前記所定の電位と前記第1のトランジスタの閾値電圧とを足し合わせた電位とする。
これによれば、第2のステップにおいて、所定の電位から第1のトランジスタの閾値電圧を差し引いた電位あるいは所定の電位と第1のトランジスタの閾値電圧とを足し合わせた電位を第1の制御用端子に印加する。これにより、第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させあるいは第1のトランジスタをオフさせることができる。
この電気光学装置の駆動方法において、前記第2のステップにおいて、前記第1の制御用端子に印加される電位で前記第1のトランジスタをオフ状態にして前記電気光学素子への電流の供給を停止させる。
これによれば、第2のステップにおいて、第1の制御用端子に印加される電位で第1のトランジスタをオフ状態にして電気光学素子の動作を停止させる(リセットする)ことができる。
この電気光学装置の駆動方法において、1フレーム期間に前記n行の走査線を順に一つずつ選択する垂直走査を少なくとも2回行い、1回目の垂直走査では、前記n行の走査線のうち奇数行或いは偶数行のいずれか一方の走査線の選択時に、前記複数の単位回路のうち選択された一つの走査線に接続された一行分の単位回路の前記第1のトランジスタの導通状態を前記データ信号に応じて設定するとともに、前記奇数行或いは偶数行のいずれか他方の走査線の選択時に、選択された一つの走査線に接続された一行分の単位回路の前記第2のトランジスタをオン状態にすることで前記第1のトランジスタをオフ状態とし、2回目の垂直走査では、前記n行の走査線のうち奇数行或いは偶数行のいずれか他方の走査線の選択時に、選択された一つの走査線に接続された一行分の単位回路の前記第1のトランジスタの導通状態を前記データ信号に応じて設定し、前記奇数行或いは偶数行のいずれか一方の走査線の選択時に、選択された一つの走査線に接続された一行分の単位回路の前記第2のトランジスタをオン状態にすることで前記第1のトランジスタをオフ状態とする。
これによれば、インタレース型の垂直走査を行って1フレームの画像を構成することにより、各走査線を選択して第1のトランジスタをオン状態とし、電気光学素子を動作状態にするセット期間が集中することなく分散されるため、回路の負荷が軽減される。また、各走査線を選択して第1のトランジスタをオフ状態とし、電気光学素子の動作を停止させるリセット期間も集中することなく分散されるため、回路の負荷が軽減される。こうして回路の負荷を軽減できるので、その負荷が軽減された分、大きめの電流値のデータ信号を供給できるようになる。このため、データ線の配線容量等による動作の遅延をより一層低減することができ、セット期間をより短くすることができる。したがって、高速でのデータ書き込みが可能になるとともに、データ電流が小さい場合でも、データ書込み時間をより短縮して動作の遅延をより低減することができ、動画特性をさらに向上することができる。
この電気光学装置の駆動方法において、1フレーム期間に、前記複数の単位回路のうち選択された一つの走査線に接続された一行分の単位回路の前記第1のトランジスタの導通状態を前記データ信号に応じて設定するセット動作と、前記一行分の単位回路の前記第2のトランジスタをオン状態にすることで前記第1のトランジスタをオフ状態とするリセット動作とを、前記走査線を選択する毎に交互に行なう。
これによれば、上述したような飛び越し走査型の垂直走査を行って1フレームの画像を構成することにより、各走査線を選択して第1のトランジスタの導通状態を設定し、電気光学素子を動作状態にするセット期間が集中することなく分散されるため、回路の負荷が軽減される。また、各走査線を選択して第1のトランジスタをオフ状態とし、電気光学素子の動作を停止させるリセット期間も集中することなく分散されるため、回路の負荷が軽減される。こうして回路の負荷を軽減できるので、その負荷が軽減された分、大きめの電流値のデータ信号を供給できるようになる。このため、データ線の配線容量による動作の遅延をより一層低減することができ、セット期間をより短くすることができる。したがって、高速でのデータ書き込みが可能になり、データ電流が小さい場合でも、データ書込み時間をより短縮して動作の遅延をより低減することができ、動画特性をさらに向上することができる。
この電気光学装置の駆動方法において、前記セット動作がなされる走査線と前記リセット動作がなされる走査線とをそれぞれ、前記複数の走査線から順に選択する。
これによれば、最初にリセット動作がなされる走査線を適宜選択することにより、電気光学素子の動作期間を変更することができる。これにより、最適な動画特性が得られる電気光学素子の動作期間を容易に設定することができる。
この電気光学装置の駆動方法において、前記電気光学素子は赤色、緑色及び青色でそれぞれ発光する3種類の発光素子であり、前記n行の走査線の各々に接続された単位回路は、前記3種類の発光素子のうち、同色で発光する1種類の発光素子を含む。
これによれば、各走査線には、赤色、緑色及び青色でそれぞれ発光する3種類の発光素子のうち、同色で発光する発光素子が接続されているので、各走査線毎に発光素子の発光を停止させるタイミングを変えることにより、発光素子の発光期間を色毎に適宜変更することができる。これにより、経年変化などによる色バランスの変化を容易に調整することができる。
本発明における電子回路の駆動方法は、第1の端子と第2の端子を備えた第1のトランジスタと、第3の端子及び第4の端子を備えた第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタの第1の制御用端子及び前記第2のトランジスタの第2の制御用端子に共通に接続された容量素子と、前記第2のトランジスタの前記第3の端子と前記第2の制御用端子との電気的な接続を制御する、第5の端子と第6の端子を備えた第3のトランジスタと、第7の端子と第8の端子を備えた第4のトランジスタと、を備えた電子回路の駆動方法であって、前記第3のトランジスタ及び第4のトランジスタをオン状態とし、前記第8の端子及び前記第7の端子を介して信号を供給し、前記容量素子に前記信号に応じた電荷を蓄積し、前記第2のトランジスタ及び前記第1のトランジスタの導通状態を前記信号に応じて設定する第1のステップと、前記第4のトランジスタ及び前記第3のトランジスタをそれぞれオフ状態及びオン状態とすることにより前記第1のステップで設定された前記第2のトランジスタ及び前記第1のトランジスタの導通状態を変化させる第2のステップと、を含む。
これによれば、第1のステップにおいて、第2及び第3のトランジスタをオン状態として容量素子に信号に応じた電荷を蓄積し、第1のトランジスタの導通状態を信号に応じて設定する。その後、第2のステップにおいて、第3及び第2のトランジスタをそれぞれオフ状態及びオン状態とすることにより第1のステップで設定された第1のトランジスタの導通状態を変化させることができる。これにより、第1のステップで信号に応じて設定された第1のトランジスタの導通状態を第2のステップで変化させた状態で、次の第1のステップにおいて、容量素子に信号、例えばデータ電流に応じた電荷を書き込むことができる。このため、データ電流が小さい場合でも、データ電流を書き込むのに要する時間を短くすることができる。その結果、データ線の配線容量等による影響を抑制することができ、動画表示を行う場合に疑似輪郭、像のずれなどの発生が抑制され、動画特性を向上することができる。
また、第1のトランジスタの導通状態を変化させるために、トランジスタや回路を特別に設ける必要がなく、第3のトランジスタ及び第2のトランジスタのオン、オフを制御するだけでよい。したがって、トランジスタや回路を特別に設けることなく、低輝度の階調に対応するデータを書き込む場合でもデータ書込み時間を短縮して動作の遅延を低減することができる。
この電子回路の駆動方法において、前記第2のステップでは、前記第1のトランジスタをオフ状態とする。
これによれば、第1のステップで信号に応じて導通状態が設定された第1のトランジスタを、第2のステップで、次の第1のステップ実行前にオフ状態にすることができる。これにより、第1のトランジスタを次の第1のステップ実行前にオフ状態にして、次の第1のステップで、容量素子に信号、例えばデータ電流に応じた電荷を書き込むことになる。このため、データ電流が小さい場合でも、データ書込み時間をより短縮して動作の遅延をより低減することができ、動画特性をさらに向上することができる。
この電子回路の駆動方法において、前記第1のトランジスタの前記第2の端子は電気的に所定の電位に接続されており、前記第2のステップにおいて、前記第1の制御用端子に印加される電位は前記所定の電位とは異なっている。
これによれば、第2のステップにおいて、所定の電位とは異なる電位を第1の制御用端子に印加して、第1のトランジスタの導通状態を変化させあるいは第1のトランジスタをオフさせることができる。
この電子回路の駆動方法において、前記第1のトランジスタに電子素子が接続されている。
これによれば、第2のステップにおいて、第1のトランジスタの導通状態を変化させあるいは第1のトランジスタをオフさせることにより、電子素子の動作状態を変化させあるいはその動作をリセット(終了)させることができる。
この電子回路の駆動方法において、前記第2のステップにおいて、前記第1の制御用端子に印加される電位で前記第1のトランジスタをオフ状態にして前記電子素子の動作をリセットする。
これによれば、第2のステップにおいて、第1の制御用端子に印加される電位で第1のトランジスタをオフ状態にして電子素子の動作をリセットすることができる。
本発明における他の電子装置の駆動方法は、複数の第1の信号線と、複数の第2の信号線と、複数の第3の信号線と、電源線と、複数の単位回路とを備えた電子装置の駆動方法であって、前記複数の単位回路の各々は、第1の端子と第2の端子を備えた第1のトランジスタと、第3の端子及び第4の端子を備えた第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタの第1の制御用端子及び前記第2のトランジスタの第2の制御用端子に共通に接続された容量素子と、前記第2のトランジスタの前記第3の端子と前記第2の制御用端子との電気的な接続を制御する、第5の端子と第6の端子を備えた第3のトランジスタと、第7の端子と第8の端子を備えた第4のトランジスタと、を備え、前記第3のトランジスタの第3の制御用端子は前記複数の第2の信号線の一つに接続され、前記第4のトランジスタの第4の制御用端子及び前記第8の端子はそれぞれ前記複数の第1の信号線の一つ及び前記複数の第2の信号線の一つに接続されており、前記第3のトランジスタ及び第4のトランジスタが共にオン状態となっている間に前記複数の第3の信号線の一つを介して供給される信号を前記容量素子に電荷として蓄積し、前記第1のトランジスタの導通状態を前記信号に応じて設定する第1のステップと、前記第4のトランジスタ及び第3のトランジスタをそれぞれオフ状態及びオン状態として、前記第1のステップで設定された前記第1のトランジスタの導通状態を減ずるような電荷量を前記容量素子に供給する第2のステップと、を備える。
これによれば、第2のステップにおいて、第1のステップで信号に応じて設定された第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させた状態で、次の第1のステップにおいて、容量素子に信号、例えばデータ電流に応じた電荷を書き込むことができる。このため、データ電流が小さい場合でも、データ電流を書き込むのに要する時間を短くすることができる。その結果、データ線の配線容量等による影響を抑制することができ、動画表示を行う場合に疑似輪郭、像のずれなどの発生が抑制され、動画特性を向上することができる。また、第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させるために、トランジスタや回路を特別に設ける必要がなく、第3のトランジスタ及び第2のトランジスタのオン、オフを制御するだけでよい。
本発明における電気光学装置の駆動方法は、 第1の副走査線と第2の副走査線をそれぞれ有するn行の走査線と、m列のデータ線と、電源線と、前記走査線と前記データ線の交差部に対応してn行m列に配置された複数の単位回路と、を備えた電気光学装置の駆動方法であって、前記複数の単位回路の各々は、第1の端子と第2の端子を備えた第1のトランジスタと、第3の端子と第4の端子を備えた第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタの第1の制御用端子及び前記第2のトランジスタの第2の制御用端子に共通に接続された容量素子と、前記第2のトランジスタの前記第3の端子と前記第2の制御用端子との電気的な接続を制御する、第5の端子と第6の端子を備えた第3のトランジスタと、第7の端子と第8の端子を備えた第4のトランジスタと、前記第1のトランジスタに接続された電気光学素子と、を備え、前記第3のトランジスタの第3の制御用端子は前記n行の走査線の一つの前記第2の副走査線に接続され、前記第4のトランジスタの第4の制御用端子及び前記第8の端子はそれぞれ前記n行の走査線の一つの前記第1の副走査線及び前記m列のデータ線の一つに接続されており、前記第3のトランジスタ及び第4のトランジスタが共にオン状態となっている間に前記m列のデータ線の一つを介して供給されるデータ信号を前記容量素子に電荷として蓄積し、前記第2のトランジスタ及び前記第1のトランジスタの導通状態を前記データ信号に応じて設定する第1のステップと、前記第4のトランジスタ及び第3のトランジスタをそれぞれオフ状態及びオン状態として、前記第1のステップで設定された前記第2のトランジスタ及び前記第1のトランジスタの導通状態を減ずるような電荷量を前記容量素子に供給する第2のステップと、備える。
これによれば、第2のステップにおいて、第1のステップでデータ信号に応じて設定された第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させた状態で、次の第1のステップにおいて、容量素子にデータ信号、例えばデータ電流に応じた電荷を書き込むことができる。このため、データ電流が小さい場合でも、データ電流を書き込むのに要する時間を短くすることができる。その結果、データ線の配線容量等による影響を抑制することができ、動画表示を行う場合に疑似輪郭、像のずれなどの発生が抑制され、動画特性を向上することができる。また、第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させるために、トランジスタや回路を特別に設ける必要がなく、第3のトランジスタ及び第2のトランジスタのオン、オフを制御するだけでよい。
本発明における電気光学装置の駆動方法は、前記電気光学素子は赤色、緑色及び青色でそれぞれ発光する3種類の発光素子であり、前記n行の走査線の各々に接続された単位回路は、前記3種類の発光素子のうち、同色で発光する1種類の発光素子を含む。
これによれば、各走査線には、赤色、緑色及び青色でそれぞれ発光する3種類の発光素子のうち、同色で発光する発光素子が接続されているので、各走査線毎に発光素子の発光を停止させるタイミングを変えることにより、発光素子の発光期間を色毎に適宜変更することができる。これにより、経年変化などによる色バランスの変化を容易に調整することができる。
この電気光学装置の駆動方法において、1フレーム期間に前記n行の走査線を順に一つずつ選択する垂直走査を少なくとも2回行い、1回目の垂直走査では、前記n行の走査線のうち奇数行或いは偶数行のいずれか一方の走査線の選択時に、前記複数の単位回路のうち選択された一つの走査線に接続された一行分の単位回路の前記第1のトランジスタの導通状態を前記データ信号に応じて設定するとともに、前記奇数行或いは偶数行のいずれか他方の走査線の選択時に、選択された一つの走査線に接続された一行分の単位回路の前記第2のトランジスタをオン状態にすることで前記第1のトランジスタをオフ状態とし、2回目の垂直走査では、前記n行の走査線のうち奇数行或いは偶数行のいずれか他方の走査線の選択時に、選択された一つの走査線に接続された一行分の単位回路の前記第1のトランジスタの導通状態を前記データ信号に応じて設定し、前記奇数行或いは偶数行のいずれか一方の走査線の選択時に、選択された一つの走査線に接続された一行分の単位回路の前記第2のトランジスタをオン状態にすることで前記第1のトランジスタをオフ状態とする。
これによれば、インタレース型の垂直走査を行って1フレームの画像を構成することにより、各走査線を選択して第1のトランジスタをオン状態とし、電気光学素子を動作状態にするセット期間が集中することなく分散されるため、回路の負荷が軽減される。また、各走査線を選択して第1のトランジスタをオフ状態とし、電気光学素子の動作を停止させるリセット期間も集中することなく分散されるため、回路の負荷が軽減される。こうして回路の負荷を軽減できるので、その負荷が軽減された分、大きめの電流値のデータ信号を供給できるようになる。このため、データ線の配線容量等による動作の遅延をより一層低減することができ、セット期間をより短くすることができる。したがって、高速でのデータ書き込みが可能になるとともに、データ電流が小さい場合でも、データ書込み時間をより短縮して動作の遅延をより低減することができ、動画特性をさらに向上することができる。
この電気光学装置の駆動方法において、1フレーム期間に、前記複数の単位回路のうち選択された一つの走査線に接続された一行分の単位回路の前記第1のトランジスタの導通状態を前記データ信号に応じて設定するセット動作と、前記一行分の単位回路の前記第2のトランジスタをオン状態にすることで前記第1のトランジスタをオフ状態にして前記発光素子の発光を停止させるリセット動作とを、前記走査線を選択する毎に交互に行なう。
これによれば、上述したような飛び越し走査型の垂直走査を行って1フレームの画像を構成することにより、各走査線を選択して第1のトランジスタの導通状態を設定し、電気光学素子を動作させるセット期間が集中することなく分散されるため、回路の負荷が軽減される。また、各走査線を選択して第1のトランジスタをオフ状態とし、電気光学素子の動作を停止させるリセット期間も集中することなく分散されるため、回路の負荷が軽減される。こうして回路の負荷を軽減できるので、その負荷が軽減された分、大きめの電流値のデータ信号を供給できるようになる。このため、データ線の配線容量による動作の遅延をより一層低減することができ、セット期間をより短くすることができる。したがって、高速でのデータ書き込みが可能になり、データ電流が小さい場合でも、データ書込み時間をより短縮して動作の遅延をより低減することができ、動画特性をさらに向上することができる。
この電気光学装置の駆動方法において、前記セット動作がなされる走査線と前記リセット動作がなされる走査線とをそれぞれ、前記複数の走査線から順に選択する。
これによれば、最初にリセット動作がなされる走査線を適宜選択することにより、電気光学素子の動作期間を変更することができる。これにより、最適な動画特性が得られる電気光学素子の動作期間を容易に設定することができる。
本発明における電子回路の駆動方法は、第1の端子と第2の端子を備えた第1のトランジスタと、前記1のトランジスタの第1の制御用端子に接続された容量素子と、前記第1の端子と前記容量素子との電気的な接続を制御する、第3の端子と第4の端子を備えた第2のトランジスタと、前記第4の端子と前記容量素子を介して電気的に接続されかつ前記第1のトランジスタの第2の端子と電気的に接続され、第5の端子と第6の端子を備えた第3のトランジスタと、前記第2の端子に接続された第7の端子と第8の端子を備えた第4のトランジスタと、を備えた電子回路の駆動方法であって、前記第2のトランジスタ及び前記第3のトランジスタをオン状態とし、前記第6の端子及び前記第5の端子を介して信号を供給し、前記容量素子に前記信号に応じた電荷を蓄積し、前記第1のトランジスタの導通状態を前記信号に応じて設定する第1のステップと、前記第4のトランジスタをオフ状態とすることにより前記第1のステップで設定された前記第1のトランジスタの導通状態を変化させる第2のステップと、を含む。
これによれば、第1のステップにおいて、第2及び第3のトランジスタをオン状態として容量素子に信号に応じた電荷を蓄積し、第1のトランジスタの導通状態を信号に応じて設定する。その後、第2のステップにおいて、前記第4のトランジスタをオフ状態とすることにより第1のステップで設定された第1のトランジスタの導通状態を変化させることができる。これにより、第1のステップで信号に応じて設定された第1のトランジスタの導通状態を第2のステップで変化させた状態で、次の第1のステップにおいて、容量素子に信号、例えばデータ電流に応じた電荷を書き込むことができる。このため、データ電流が小さい場合でも、データ電流を書き込むのに要する時間を短くすることができる。その結果、データ線の配線容量等による影響を抑制することができ、動画表示を行う場合に疑似輪郭、像のずれなどの発生が抑制され、動画特性を向上することができる。また、第1のトランジスタの導通状態を変化させるために、トランジスタや回路を特別に設ける必要がなく、第4のトランジスタのオン、オフを制御するだけでよい。したがって、トランジスタや回路を特別に設けることなく、低輝度の階調に対応するデータを書き込む場合でもデータ書込み時間を短縮して動作の遅延を低減することができる。
本発明における他の電子装置の駆動方法は、複数の第1の信号線と、複数の第2の信号線と、複数の第3の信号線と、電源線と、複数の単位回路とを備えた電子装置の駆動方法であって、前記複数の単位回路の各々は、第1の端子と第2の端子を備えた第1のトランジスタと、前記1のトランジスタの第1の制御用端子に接続された容量素子と、前記第1の端子と前記容量素子との電気的な接続を制御する、第3の端子と第4の端子を備えた第2のトランジスタと、前記第4の端子と前記第1のトランジスタの第1の制御用端子に前記容量素子を介して電気的に接続され、第5の端子と第6の端子を備えた第3のトランジスタと、前記第2の端子に接続された第7の端子と第8の端子を備えた第4のトランジスタと、を備え、前記第2のトランジスタの第2の制御用端子は前記複数の第2の信号線の一つに接続され、前記第3のトランジスタの第3の制御用端子及び前記第6の端子はそれぞれ前記複数の第1の信号線の一つ及び前記複数の第3の信号線の一つに接続されており、前記第2のトランジスタ及び第3のトランジスタが共にオン状態となっている間に前記第3の信号線の一つを介して供給される信号を前記容量素子に電荷として蓄積し、前記第1のトランジスタの導通状態を前記信号に応じて設定する第1のステップと、前記第4のトランジスタをオフ状態とする第2のステップと、を備える。
これによれば、第2のステップにおいて、第1のステップで信号に応じて設定された第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させた状態で、次の第1のステップにおいて、容量素子に信号、例えばデータ電流に応じた電荷を書き込むことができる。このため、データ電流が小さい場合でも、データ電流を書き込むのに要する時間を短くすることができる。その結果、データ線の配線容量等による影響を抑制することができ、動画表示を行う場合に疑似輪郭、像のずれなどの発生が抑制され、動画特性を向上することができる。また、第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させるために、トランジスタや回路を特別に設ける必要がなく、第4のトランジスタのオン、オフを制御するだけでよい。
本発明における他の電気光学装置の駆動方法は、第1の副走査線と第2の副走査線をそれぞれ有するn行の走査線と、m列のデータ線と、電源線と、前記走査線と前記データ線の交差部に対応してn行m列に配置された複数の単位回路と、を備えた電気光学装置の駆動方法であって、前記複数の単位回路の各々は、第1の端子と第2の端子を備えた第1のトランジスタと、前記1のトランジスタの第1の制御用端子に接続された容量素子と、前記第1の端子と前記容量素子との電気的な接続を制御する、第3の端子と第4の端子を備えた第2のトランジスタと、前記第4の端子と前記第1のトランジスタの第1の制御用端子に前記容量素子を介して電気的に接続され、第5の端子と第6の端子を備えた第3のトランジスタと、前記第2の端子に接続された第7の端子と第8の端子を備えた第4のトランジスタと、前記第1のトランジスタに接続された電気光学素子と、を備え、前記第2のトランジスタの第2の制御用端子は前記n行の走査線の一つの前記第2の副走査線に、前記第3のトランジスタの第3の制御用端子は前記n行の走査線の一つの前記第1の副走査線に接続され、そして前記第6の端子は前記m列のデータ線の一つに接続され、前記第2のトランジスタ及び第3のトランジスタが共にオン状態となっている間に前記複数のデータ線の一つを介して供給されるデータ信号を前記容量素子に電荷として蓄積し、前記第1のトランジスタの導通状態を前記データ信号に応じて設定する第1のステップと、前記第4のトランジスタをオフ状態とする第2のステップと、を備える。
これによれば、第2のステップにおいて、第1のステップでデータ信号に応じて設定された第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させた状態で、次の第1のステップにおいて、容量素子にデータ信号、例えばデータ電流に応じた電荷を書き込むことができる。このため、データ電流が小さい場合でも、データ電流を書き込むのに要する時間を短くすることができる。その結果、データ線の配線容量等による影響を抑制することができ、動画表示を行う場合に疑似輪郭、像のずれなどの発生が抑制され、動画特性を向上することができる。また、第1のトランジスタの導通状態を減ずるように変化させるために、トランジスタや回路を特別に設ける必要がなく、第4のトランジスタのオン、オフを制御するだけでよい。
本発明における電子機器は、上記の駆動方法を用いた。
これによれば、データ線の配線容量等による影響を抑制することができ、動画表示を行う場合に疑似輪郭、像のずれなどの発生が抑制され、動画特性を向上することができる。また、電力負荷を低減でき安定し高速動作か可能となる。
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明に係る電子装置または電気光学装置の駆動方法を有機ELディスプレイに適用した第1実施形態について図1〜図4に基づいて説明する。
図1は、電子装置または電気光学装置としての有機ELディスプレイ10の回路構成を示すブロック回路図を示す。図2は、表示パネル部とデータ線駆動回路の内部回路構成を示すブロック回路図を示す。図3は、画素回路の内部回路構成を示す回路図を示す。
図1において、有機ELディスプレイ10は、表示パネル部11、データ線駆動回路12、走査線駆動回路13、メモリ回路14、発振回路15、電源回路16及び制御回路17を備えている。
有機ELディスプレイ10の各要素11〜17は、それぞれが独立した電子部品によって構成されていてもよい。例えば、各要素12〜17が1チップの半導体集積回路装置によって構成されていてもよい。また、各要素11〜17の全部若しくは一部が一体となった電子部品として構成されていてもよい。例えば、表示パネル部11に、データ線駆動回路12と走査線駆動回路13とが一体的に形成されていてもよい。各構成要素11〜16の全部若しくは一部がプログラマブルなICチップで構成され、その機能がICチップに書き込まれたプログラムによりソフトウェア的に実現されてもよい。
表示パネル部11は、図2に示すように、列方向に沿ってのびるm列のデータ線X1〜Xm(mは整数)と、行方向に沿ってのびるn行の走査線Y1〜Yn(nは整数)との交差部に対応する位置にn行m列に配列された複数の(n×m個の)画素回路20を有している。各画素回路20が単位回路または電子回路に相当する。なお、図2では、データ線X1〜Xmのうちデータ線X1〜X9のみを示しているとともに、走査線Y1〜Ynのうち走査線Y1〜Y9のみを示している。各画素回路20は、電子素子、電気光学素子または発光素子としての有機EL素子21を有している。有機EL素子21は、駆動電流が供給されることによって発光する発光素子である。
画素回路20には、赤、緑及び青用画素回路20R,20G,20Bの3種類の画素回路がある。赤用画素回路20R,緑用画素回路20G及び青用画素回路20Bは、有機材料で構成された発光層から赤色,緑色及び青色の光をそれぞれ放射する有機EL素子21を有している。赤、緑及び青用画素回路20R,20G,20Bを一つの組としてその1組が1画素を構成している。
また、図2に示すように、各走査線Y1〜Ynには、同色の画素回路20が接続されている。例えば、 本実施形態では、走査線Y1,Y4,Y7,Y10…にはm個の赤用画素回路20Rが、走査線Y2,Y5,Y8,Y11…にはm個の緑用画素回路20Gが、走査線Y3,Y6,Y9,Y12…にはm個の青用画素回路20Bがそれぞれ接続されている。
走査線Y1,Y4,Y7,Y10…のいずれか一つが選択されると、選択された走査線には多値のデータとしての赤用データ信号IDRがデータ線X1〜Xmを介して供給される。走査線Y2,Y5,Y8,Y11…のいずれか一つが選択されると、選択された走査線には多値のデータとしての緑用データ信号IDGがデータ線X1〜Xmを介して供給される。そして、走査線Y3,Y6,Y9,Y12…のいずれか一つが選択されると、選択された走査線には、多値のデータとしての青用データ信号IDBがデータ線X1〜Xmを介して供給されるようになっている。なお、各画素回路20R,20G,20B内に形成される後述する各トランジスタは、通常は薄膜トランジスタ(TFT)で構成される。
図3に示すように、各画素回路20R,20G,20Bは、ドレイン(第1の端子)とソース(第2の端子)を備えた第1のトランジスタとしての駆動用トランジスタQdと、同トランジスタのゲート(第1の制御用端子)に接続された容量素子としての保持キャパシタC1とを備える。また、各画素回路20R,20G,20Bは、駆動用トランジスタQdのドレインと保持キャパシタC1の電気的な接続を制御する、ソース(第3の端子)とドレイン(第4の端子)を備えた第2のトランジスタとしての第2スイッチングトランジスタQsw2を備える。さらに、各画素回路20R,20G,20Bは、ドレイン(第5の端子)とソース(第6の端子)を備えた第3のトランジスタとしての第1スイッチングトランジスタQsw1と、開始トランジスタQstと、有機EL素子21とを備えている。
駆動用トランジスタQdはPチャンネル型FETより構成されている。第1及び第2スイッチングトランジスタQsw1,Qsw2及び開始トランジスタQstは、それぞれNチャンネル型FETより構成されている。
駆動用トランジスタQdは、そのドレインが開始トランジスタQstを介して有機EL素子21の陽極に接続され、そのソースが電源線L1に接続されている。つまり、駆動用トランジスタQdのソース(第2の端子)は、電気的に所定の電位としての電源電圧Vddに接続されている。有機EL素子21の陰極は接地されている。電源線L1には、有機EL素子21を駆動させるための電源電圧Vddが供給されている。駆動用トランジスタQdのゲートと電源線L1との間には、容量素子としての保持キャパシタC1が接続されている。
また、駆動用トランジスタQdのゲートは、第2スイッチングトランジスタQsw2のドレインに接続されている。第2スイッチングトランジスタQsw2のソースは、第1スイッチングトランジスタQsw1のドレインに接続されている。また、第1スイッチングトランジスタQsw1のドレインは駆動用トランジスタQdのドレインに接続されている。さらに、第1スイッチングトランジスタQsw1のソースは、データ線Xmに接続されている。
また、走査線Y1〜Ynは、それぞれ第1の副走査線Y11〜Yn1と、第2の副走査線Y12〜Yn2と、第3の副走査線Y13〜Yn3とを有している。図3では、走査線Ynと、同走査線を構成する3つの副走査線Yn1,Yn2及びYn3のみを示してある。第1スイッチングトランジスタQsw1のゲート(第3の制御用端子)には、走査線Y1〜Ynのうち対応する走査線の第1の副走査線Y11〜Yn1の一つが接続されている。また、第2スイッチングトランジスタQsw2のゲート(第2の制御用端子)には、走査線Y1〜Ynのうち対応する走査線の第2の副走査線Y12〜Yn2の一つが接続されている。図3では、第1スイッチングトランジスタQsw1のゲートには走査線Ynの第1の副走査線Yn1が、第2スイッチングトランジスタQsw2のゲートには走査線Ynの第2の副走査線Yn2がそれぞれ接続されている。
そして、走査線Y1〜Ynのうち一つ、例えば走査線Ynが選択されると、第1の副走査線Yn1,Yn2をそれぞれ介して供給されるHレベル(ハイレベル)の第1走査信号SCn1,Hレベルの第2走査信号SCn2によって第1,第2スイッチングトランジスタQsw1,Qsw2がオンするようになっている。さらに、開始トランジスタQstのゲートには、走査線Y1〜Ynのうち対応する走査線(図3では走査線Yn)の第3の副走査線Y13〜Yn3のいずれか一つ(図3では副走査線Yn3)が接続されている。そして、第3の副走査線Yn3から出力されるHレベルの第3走査信号SCn3によって開始トランジスタQstはオンされるようになっている。
ここで、上記のように構成された各画素回路20(20R,20G,20B)の動作を簡単に説明する。各画素回路20R,20G,20Bは同じ動作をするので、ここでは走査線Y1〜Ynのいずれか一つが選択されるときの各画素回路20の動作に代えて、走査線Y1が選択されるときの各赤用画素回路20Rの動作を図3及び図4に基づいて説明する。
走査線Y1が選択されると、図4のセット期間Tsに、各赤用画素回路20Rの両トランジスタQsw1,Qsw2の各ゲートにHレベルの第1走査信号SC11,Hレベルの第2走査信号SC12が第1の副走査線Y11,第2の副走査線Y12をそれぞれ介して入力される。これにより、両トランジスタQsw1,Qsw2がそれぞれオン状態となる。このとき、データ線Xmから赤用データ信号IDRが各赤用画素回路20Rに供給され、赤用データ信号IDRに応じた電荷量が保持キャパシタC1に保持される。その結果、駆動用トランジスタQdのゲートに印加される電圧は、赤用データ信号IDRの電流値で設定される輝度階調に応じた電圧となる。
この後、第1走査信号SC11,第2走査信号SC12がそれぞれHレベルからLレベル(ローレベル)になるとともに、第3走査信号SC13がLレベルからHレベルになる。これにより、両トランジスタQsw1,Qsw2及び開始トランジスタQstがオン状態となり、駆動用トランジスタQdは保持キャパシタC1に保持された電荷量により設定されるゲート電圧に対応した導通状態となる。このとき、その導通状態に応じた駆動電流、つまり赤用データ信号IDRの電流値に応じた駆動電流が有機EL素子21に流れ、有機EL素子21がその駆動電流に応じた輝度階調で発光し始め、この後も発光し続ける。
こうして、走査線Y1が選択されることで、走査線Y1に接続された各赤用画素回路20Rでは、図4で示すセット期間Tsに、駆動用トランジスタQdをオン状態に設定して、赤用データ信号IDRの電流値で設定される輝度階調で有機EL素子21を発光させる。なお、以下の説明で、各画素回路20の駆動用トランジスタQdをオン状態に設定して、有機EL素子21の発光を開始させる動作を「セット動作」という。
この後、図4のリセット期間Trに、走査線Y1に接続された各赤用画素回路20Rの第1スイッチングトランジスタQsw1をオフさせたままの状態で、第2スイッチングトランジスタQsw2をオン状態とする。つまり、前記セット期間Ts後に第1走査信号SC11,第2走査信号SC12をそれぞれLレベルに維持した状態で、リセット期間Trに、第2走査信号SC12のみをLレベルからHレベルにする。これにより、所定の電位である電源電圧Vddと保持キャパシタC1が駆動用トランジスタQd及び第2スイッチングトランジスタQsw2を介して電気的に接続される。その結果、上記電荷量を保持していた各赤用画素回路20Rの保持キャパシタC1はVdd−Vth(Vthは駆動用トランジスタQdの閾値電圧)以上のリセット電圧にリセットされる。これにより、駆動用トランジスタQdはオフ状態となり、有機EL素子21への電流の供給が遮断され、有機EL素子21は発光を停止する。なお、以下の説明で、保持キャパシタC1の電荷量を上記リセット電圧にして各画素回路20の有機EL素子21の発光を停止させる動作を「リセット動作」或いは「リセット」という。
こうしてリセットされた各赤用画素回路20Rの有機EL素子21は、次のフレームのセット期間Tsに上記セット動作がなされるまで、非発光の状態にある。つまり、その赤用画素回路20Rの画素は非発光の状態(ノーマリブラックの場合には暗状態)にあり、各赤用画素回路20Rの保持キャパシタC1は上記リセット電圧の電荷量にリセットされた状態で次のセット期間Tsの開始を待つ。このとき、各赤用画素回路20Rの開始トランジスタQstをオンさせておいてもよいし、十分に有機EL素子21を非発光の状態にするために、オフさせておいてもよい。
以上説明した走査線Y1が選択されるときの各赤用画素回路20Rの動作は、他の走査線Y1〜Ynが選択されるときの各赤用画素回路20R,各緑用画素回路20G及び各青用画素回路20Bにも同様に当てはまる。
このように、本実施形態における各画素回路20の駆動方法は、次の第1のステップと、第2のステップとを備える。
(第1のステップ)両トランジスタQsw1,Qsw2を共にオン状態とする。この状態で、第3の信号線としてのデータ線X1〜Xmの一つを介して供給されるデータ信号IDRを、第1スイッチングトランジスタQsw1のソース及びドレインを介して保持キャパシタC1に供給し、保持キャパシタC1に電荷として蓄積する。これにより、駆動用トランジスタQdの導通状態をデータ信号IDRに応じて設定する。
(第2ステップ)両トランジスタQsw1,Qsw2をそれぞれオフ状態及びオン状態として、前記第1のステップで設定された駆動用トランジスタQdの導通状態を変化させる。ここでは、駆動用トランジスタQdをオフ状態とする。なお、駆動用トランジスタQdをオフ状態とする代わりに、第1のステップで設定された駆動用トランジスタQの導通状態を減ずるような電荷量を保持キャパシタC1に供給するようにしてもよい。ここにいう、「駆動用トランジスタQの導通状態を減ずる」とは、駆動用トランジスタQdのゲートに印加される電圧を前記リセット電圧(Vdd−Vth)に近づく方向に変化させて、その導電率を小さくすることをいう。
データ線駆動回路12は、図2に示すように、各データ線X1〜Xmに対して単一ライン駆動回路30をそれぞれ備えている。各単一ライン駆動回路30は、各データ線X1〜Xmを介して赤、緑及び青用画素回路20R,20G,20Bに赤、緑及び青用データ信号IDR,IDG,IDBをそれぞれ供給する。赤、緑及び青用画素回路20R,20G,20Bは、各データ信号IDR,IDG,IDBに応じて内部状態(保持キャパシタC1の電荷量)が設定されると、これに応じて有機EL素子21に流れる電流値が制御される。
各単一ライン駆動回路30は、データ電流生成回路30aを備えている。このデータ電流生成回路30aは、走査線Y1〜Ynのいずれか一つが選択されると、選択された走査線に対応する赤、緑及び青用データ信号IDR,IDG,IDBのいずれか一つをデータ線X1〜Xmのいずれか一つを介して供給するようになっている。例えば走査線Y1が選択されると、赤用データ信号IDRをデータ線X1を介して供給するようになっている。なお、各単一ライン駆動回路30のデータ電流生成回路30aが生成する赤、緑及び青用データ信号IDR,IDG,IDBは多値のデータであって、本実施形態では、64通りの電流値のデータ信号である。
走査線駆動回路13は、1フレーム期間にn行の走査線Y1〜Ynを順に一つずつ選択する垂直走査を少なくとも2回行う。
1回目の垂直走査では、n行の走査線Y1〜Ynを順に一つずつ選択し図4のセット期間Tsに上記セット動作を行う。つまり、n×m個の画素回路20(20R,20G,20B)のうち選択された一つの走査線に接続された各画素回路20(一行分の画素回路)の両トランジスタQsw1,Qswを、上述したようにそれぞれオン状態にして、駆動用トランジスタQdの導通状態をデータ信号に応じて設定する。これにより、n行の走査線Y1〜Ynにそれぞれ接続されたn行の画素回路20の各有機EL素子21を行毎に順に発光させるようになっている。なお、ここでは「n行の走査線Y1〜Ynを順に一つずつ選択する」とは、第1の副走査線Y11及び第2の副走査線Y12、第1の副走査線Y21及び第2の副走査線Y22、・・・第1の副走査線Yn1及び第2の副走査線Yn2を順に選択することを意味する。そして、選択する第1及び第2の副走査線、例えば第1の副走査線Y11及び第2の副走査線Y12には、Hレベルの第1走査信号SC11及びHレベルの第2走査信号SC12をそれぞれ供給して、両トランジスタQsw1及び第2スイッチングトランジスタQswをそれぞれオン状態にする。
2回目の垂直走査では、n行の走査線Y1〜Ynを順に一つずつ選択し、(ここでは各走査線の第2の副走査線Y12〜Yn2を順に一つずつ選択し、)図4のリセット期間Trに上記リセット動作を行う。つまり、n×m個の画素回路20(20R,20G,20B)のうち選択された一つの走査線に接続された各画素回路20(一行分の画素回路)の両トランジスタQsw1,Qswをそれぞれオフ状態,オン状態にして、各駆動用トランジスタQdをオフ状態に設定する。これにより、n行の走査線Y1〜Ynにそれぞれ接続されたn行の画素回路20の各有機EL素子21の発光を行毎に順に停止させるようになっている。なお、ここでは「n行の走査線Y1〜Ynを順に一つずつ選択する」とは、第1の副走査線Y11及び第2の副走査線Y12、第1の副走査線Y21及び第2の副走査線Y22、・・・第1の副走査線Yn1及び第2の副走査線Yn2を順に選択することを意味する。そして、選択する第1の副走査線、例えば第1の副走査線Y11に供給する第1走査信号SC11はLレベルのままにする。また、選択する第2の副走査線、例えば第2の副走査線Y12にはHレベルの第2走査信号SC12を供給する。これにより、両トランジスタQsw1及び第2スイッチングトランジスタQswをそれぞれオフ状態及びオン状態にする。
メモリ回路14は、コンピュータ18から供給される画像データを記憶する。発振回路15は、基準動作信号を有機ELディスプレイ10の他の構成要素に供給する。電源回路16は有機ELディスプレイ10の各構成要素の駆動電源を供給する。
制御回路17は、表示パネル部11及び各回路12〜16を統括制御する。制御回路17は、表示パネル部11の表示状態を表すメモリ回路14に記憶した画像データを、各有機EL素子21の発光の階調を表すマトリクスデータに変換する。マトリクスデータは、1行分の画素回路を選択するために第1及び第2走査信号SC11〜SCn1, SC12〜SCn2を出力する走査線Y1〜Ynを指定するための走査線制御信号CTSを含む。また、マトリクスデータは、行毎に選択される画素回路群の有機EL素子21の輝度を設定するための前記赤、緑及び青用データ信号IDR,IDG,IDBを決定するデータ線制御信号CTDを含む。そして、走査線制御信号CTSは走査線駆動回路13に供給され、また、データ線制御信号CTDはデータ線駆動回路12に供給される。
そして、制御回路17は、走査線Y1〜Ynの選択動作を上述したように2回行なって1フレームの画像が形成されるようにデータ線駆動回路12及び走査線駆動回路13を制御するようになっている。
次に、制御回路17による有機ELディスプレイ10の駆動方法を図4に基づいて説明する。図4は、走査線Y1〜Ynの第1及び第2の副走査線Y11〜Yn1, Y12〜Yn2に出力される第1及び第2走査信号SC11〜SCn1, SC12〜SCn2のタイミングチャートを示す。
垂直走査開始信号により1フレーム期間が開始されると、1回目の垂直走査が開始される。この1回目の垂直走査では、上述したように、n×m個の画素回路20(20R,20G,20B)のうち選択された一つの走査線に接続された一行分の画素回路20の各駆動用トランジスタQdの導通状態をデータ信号に応じて設定する(上記セット動作を行う)。これにより、n行の走査線Y1〜Ynにそれぞれ接続されたn行分の画素回路20の各有機EL素子21を行毎に順に発光させる。
この後、2回目の垂直走査を行なう。この2回目の垂直走査では、上述したように、n×m個の画素回路20(20R,20G,20B)のうち選択された一つの走査線に接続された一行分の画素回路20の各駆動用トランジスタQdを順にオフ状態に設定する。これにより、n行の走査線Y1〜Ynにそれぞれ接続されたn行分の画素回路20の各有機EL素子21の発光を行毎に順に停止させる(上記リセット動作を行う)。こうして、1フレームの画像が形成される。
このようにして、1フレーム期間に順次走査型の垂直走査を2回行い、1回目の垂直走査によりn行の走査線Y1〜Ynにそれぞれ接続された一行分の画素回路20の各駆動用トランジスタQdの導通状態を順に設定する。これにより、n行の走査線Y1〜Ynにそれぞれ接続されたn行分の画素回路20の各有機EL素子21を行毎に順に発光させて1フレームの画像が形成される。
次に、上記第1実施形態に係る有機ELディスプレイ10の駆動方法の特徴を以下に記載する。
(1)図4のセット期間Tsに、各画素回路20(20R,20G,20B)の駆動用トランジスタQdの導通状態をデータ信号に応じて設定することで、データ信号(IDR,IDG,IDB)の電流値で設定される輝度階調で各画素回路20の有機EL素子21を発光させることができる。
また、電気光学装置は、駆動用トランジスタQdのソース・ゲート間を事前に同トランジスタの閾値電圧にした後、発光階調に応じてデータ信号出力回路から供給されるデータ電流に応じた電圧を駆動用トランジスタQdのゲートに印加する方式である。この方式は、駆動用トランジスタQdの閾値電圧等の特性のバラツキを補償して、データ電流の値に対応した値の駆動電流で有機EL素子を駆動できる点で優れている。
(2)各画素回路20の有機EL素子21の発光を開始させた後、図4のリセット期間Trに第2スイッチングトランジスタQsw2をオン状態とすることにより、電源電圧Vddと保持キャパシタC1が駆動用トランジスタQd及び第2スイッチングトランジスタQsw2を介して電気的に接続される。これにより、保持キャパシタC1はVdd−Vth以上のリセット電圧にリセットされて、駆動用トランジスタQdはオフ状態となり、有機EL素子21への電流の供給が遮断されるので、有機EL素子21の発光を短い時間で停止させることができる。
(3)駆動用トランジスタQdをオフ状態にして有機EL素子21の発光を停止した状態で、次のフレームを構成する際に、保持キャパシタC1にデータ信号、すなわちデータ電流に応じた電荷を書き込むことになる。
つまり、保持キャパシタC1はVdd−Vth以上のリセット電圧によって事前に充電された状態にあるため、データ線Xnの配線容量の影響は低く抑えられているので、保持キャパシタC1はセット時に短時間に所定の電荷量(データ値)に到達する。その結果、短時間に有機EL素子21を設定した輝度階調で発光させることができる。このため、低輝度の階調の場合のようにデータ電流が小さい値である場合でも、データ電流を書き込むのに要する時間を短くすることができる。その結果、データ線の配線容量等による影響を抑制することができ、動画表示を行う場合に疑似輪郭、像のずれなどの発生が抑制され、動画特性を向上することができる。」
(4)駆動用トランジスタQdをオフ状態にするために、トランジスタや回路を特別に設ける必要がなく、第1,第2スイッチングトランジスタQsw1,Qsw2のオン、オフを制御するだけでよい。したがって、リセット電圧を生成する電圧生成回路や保持キャパシタC1にリセット電圧を印加するためのトランジスタを増やさずに、低輝度の階調に対応するデータを書き込む場合でもデータ書込み時間を短縮して動作の遅延を低減することができる。つまり、1フレーム全期間を発光期間として使用する場合に比べて、書き込み電流レベルを相対的に高く設定することにより、寄生容量の影響を抑制することができる。
(5)各画素回路20の有機EL素子21の発光期間が短くなるので、従来のように次のフレームに移るまで有機EL素子21が発光し続ける場合よりも、消費電力を小さくすることができる。
(6)データ書込み時間を短縮できるので、高速でのデータ書き込みが可能になる。
(7)図2に示すように、各走査線Y1〜Ynには、同色の画素回路20が接続されているので、各走査線Y1〜Yn毎に有機EL素子21の発光を停止させるタイミングを変えることにより、有機EL素子21の発光期間を色毎に適宜変更することができる。これにより、経年変化などによる色バランスの変化を容易に調整することができる。
(8)リセットされた各画素回路20の有機EL素子21は、次のフレームのセット期間Tsに上記セット動作がなされるまで、非発光の状態にある。つまり、各画素回路20の画素は暗状態にあり、保持キャパシタC1は上記リセット電圧の電荷量にリセットされた状態で次のセット期間Tsの開始を待つ。リセットされた各画素回路20の有機EL素子21は、次のフレームのセット期間Tsに上記セット動作がなされるまで、非発光の状態にある。つまり、その赤用画素回路20Rの画素は暗状態にあり、次のセット期間Tsでセット動作がなされると、その画素は暗状態から画像が表示される。したがって、インパルス型の表示をすることができ、動画に適した有機ELディスプレイ10を実現することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る有機ELディスプレイ10の駆動方法を図5に基づいて説明する。上記第1実施形態では、1フレーム期間に順次走査型の垂直走査を2回行って1フレームの画像を構成するようにしているが、本実施形態では、インタレース型の垂直走査を行って1フレームの画像を構成する。図5は図4と同様のタイミングチャートである。
制御回路17による有機ELディスプレイ10の駆動方法を図5に基づいて説明する。
垂直走査開始信号により1フレーム期間が開始されると、1フレーム期間にn行の走査線Y1〜Ynを順に一つずつ選択する垂直走査を2回行う。
1回目の垂直走査では、n行の走査線Y1〜Ynのうち奇数行の走査線Y1,Y3,Y5,・・・Yn−1の選択時に、上記セット動作を行う。つまり、図4で説明した1回目の垂直走査と同様に、複数の画素回路20のうち選択された一つの走査線に接続された一行分の画素回路20の各駆動用トランジスタQdの導通状態をデータ信号に応じて設定する。これにより、選択された一つの走査線に接続された各画素回路20の有機EL素子21の発光を開始させる。これとともに、偶数行の走査線Y2,Y4,Y6,・・・Yn−2,Ynの選択時に、上記リセット動作を行う。つまり、図4で説明した2回目の垂直走査と同様に、複数の画素回路20のうち選択された一つの走査線に接続された一行分の画素回路20の各第2スイッチングトランジスタQsw2をオン状態にする。これにより、導通状態に設定されている各駆動用トランジスタQdをオフ状態にして、選択された一つの走査線に接続された各画素回路20の有機EL素子21の発光を停止させる。
2回目の垂直走査では、n行の走査線Y1〜Ynのうち奇数行の走査線Y1,Y3,Y5,・・・Yn−1の選択時に、上記リセット動作を行う。これにより、選択された一つの走査線に接続され、上記1回目の垂直走査で導通状態に設定された各一行分の画素回路20の各駆動用トランジスタQdをオフ状態にして有機EL素子21の発光を停止させる。これとともに、偶数行の走査線Y2,Y4,Y6,・・・Yn−2,Ynの選択時に、上記セット動作を行う。これにより、選択された一つの走査線に接続された一行分の画素回路20の各駆動用トランジスタQdの導通状態をデータ信号に応じて設定し、各画素回路20の有機EL素子21の発光を開始させる。
こうして、1回目の垂直走査では、n行の走査線Y1〜Ynを順に一つずつ選択するとともに、奇数行の走査線選択時には上記セット動作を行い、偶数行の選択時には上記リセット動作を行う。この後の2回目の垂直走査では、1回目とは逆に、奇数行の走査線選択時にはリセット動作を行い、偶数行の選択時にはセット動作を行う。こうして1フレーム期間に2回の垂直走査を行うことにより、n行の走査線Y1〜Ynの全てが、セット動作とリセット動作のために2回ずつ選択される。
次に、先に述べた第1実施形態に係る有機ELディスプレイの駆動方法の利点に加えて、上記第2実施形態に係る有機ELディスプレイの駆動方法は以下に述べる利点を有する。
(9)上述したようなインタレース型の垂直走査を行って1フレームの画像を構成することにより、各走査線Y1〜Ynを選択して上記セット動作を行うセット期間Tsが集中することなく分散されるため、データ線駆動回路12や走査線駆動回路13などの回路の負荷が軽減される。また、各走査線Y1〜Ynを選択して上記リセット動作を行うリセット期間Trも集中することなく分散されるため、データ線駆動回路12や走査線駆動回路13などの回路の負荷が軽減される。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る有機ELディスプレイの駆動方法を図6に基づいて説明する。本実施形態では、飛び越し走査型の垂直走査を行って1フレームの画像を構成する。図6は図4と同様のタイミングチャートである。
制御回路17による有機ELディスプレイ10の駆動方法を図6に基づいて説明する。
垂直走査開始信号により1フレーム期間が開始されると、1フレーム期間に、走査線Y1〜Ynの一つを選択する毎に、上記セット動作とリセット動作を交互に行なう。つまり、一行分の画素回路20の各駆動用トランジスタQdの導通状態をデータ信号に応じて設定するセット動作と、一行分の画素回路20の各第2スイッチングトランジスタQsw2をオフ状態にして有機EL素子21の発光を停止させるリセット動作とを、走査線を選択する毎に交互に行なう。これとともに、セット動作がなされる走査線とリセット動作がなされる走査線とをそれぞれ、複数の走査線Y1〜Ynから順に選択する。
具体的には、本実施形態では、1フレーム期間が開始されると、複数の走査線Y1〜Ynは次の順に一つずつ選択されるとともに、走査線を選択する毎にセット動作とリセット動作を交互に行なう。すなわち、Y1(s)→Y3(r)→Y2(s)→Y4(r)→Y3(s)→Y5(r)→Y4(s)→Y6(r)→Y5(s)→Y7(図示略:(r))→Y6(s)→・・・,Yn−1(s)→Y1(r)→Yn(s)→Y2(r)の順に選択されて1順する。ここで、s,rはそれぞれセット動作,リセット動作を表している。この1順で、全ての走査線Y1〜Ynは、それぞれ2回ずつ選択されることになる。
このようにして、走査線を選択する毎にセット動作とリセット動作を交互に行なう。また、セット動作がなされる走査線が走査線Y1からYnまで順に選択されるとともに、リセット動作がなされる走査線が走査線Y3からYnまで、さらにはY1,Y2まで順に選択される。
次に、上記第3実施形態に係る有機ELディスプレイ10の駆動方法の特徴を以下に記載する。
(10)上述したような飛び越し走査型の垂直走査を行って1フレームの画像を構成することにより、各走査線Y1〜Ynを選択して上記セット動作を行うセット期間Tsが集中することなく分散されるため、データ線駆動回路12や走査線駆動回路13などの回路の負荷が軽減される。また、各走査線Y1〜Ynを選択して上記リセット動作を行うリセット期間Trも集中することなく分散されるため、データ線駆動回路12や走査線駆動回路13などの回路の負荷が軽減される。
(11)本実施形態では、第1行目の走査線Y1の次に選択されて最初にリセット動作がなされる走査線を第3行目の走査線Y3としている。つまり、走査線Y3が図6の符号Aで示すタイミングで選択されてリセット動作がなされている。最初にリセット動作がなされる走査線を遅らせることにより、各画素回路20の有機EL素子21の発光期間を短くすることができる。例えば、最初にリセットされる走査線を、第4行目の走査線Y4に変更して図6の符号A´でリセット動作をすると、第1行目の走査線Y1でリセット動作がなされるタイミング、すなわちリセット期間Trが符号Bで示す位置から符号B´で示す位置へ変化し、発光期間が短くなる。ここにいう「発光期間」とは、各画素回路20において有機EL素子21の発光が開始されてからその発光が停止するまでの期間をいう。したがって、最初にリセット動作がなされる走査線を適宜選択することにより、発光期間を変更することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明に係る電子装置または電気光学装置の駆動方法を有機ELディスプレイに適用した第4実施形態について図7に基づいて説明する。図7は、上記第1実施形態で説明した有機ELディスプレイ10における画素回路の内部回路構成を示す回路図を示す。
本実施形態は、図3に示す上記画素回路20R,20G,20Bに代えて図7に示す画素回路20´R,20´G,20´Bを用いて構成した有機ELディスプレイ10に本発明を適用したものである。その他の構成は、上記第1実施形態と同じである。したがって、第1実施形態と同様の部位には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図7に示すように、各画素回路20´R,20´G,20´Bは、ドレイン(第1の端子)とソース(第2の端子)を備えた第1のトランジスタとしての駆動用トランジスタQdと、第2のトランジスタとしての変換用トランジスタQcとを備える。変換用トランジスタQcは、駆動用トランジスタQdのゲート(第1の制御用端子)に接続されたゲート(第2の制御用端子)、ドレイン(第3の端子)及びソース(第4の端子)を備える。
また、各画素回路20´R,20´G,20´Bは、駆動用トランジスタQdのゲート及び変換用トランジスタQcのゲートに共通に接続された保持キャパシタC1と、第3のトランジスタとしての第2スイッチングトランジスタQsw2とを備える。この第2スイッチングトランジスタQsw2は、変換用トランジスタQcのドレインとゲートとの電気的な接続を制御するもので、ドレイン(第5の端子)とソース(第6の端子)を備える。
さらに、各画素回路20´R,20´G,20´Bは、ドレイン(第7の端子)とソース(第8の端子)を備えた第4のトランジスタとしての第1スイッチングトランジスタQsw1を備えている。
ここで、各画素回路20´R,20´G,20´Bの動作を簡単に説明する。ここでは、図3に基づいて上で説明した場合と同様に、走査線Y1〜Ynのいずれか一つ、例えば走査線Y1が選択されるときの赤用画素回路20´Rの動作のみを図7に基づいて説明する。
走査線Y1が選択されると、上記セット期間Ts(図4参照)に、各赤用画素回路20´Rの両トランジスタQsw1,Qsw2の各ゲートにHレベルの第1走査信号SC11,Hレベルの第2走査信号SC12が第1の副走査線Y11,第2の副走査線Y12をそれぞれ介して入力される。これにより、両トランジスタQsw1,Qsw2がそれぞれオン状態となる。このとき、データ線Xmから赤用データ信号IDRが各赤用画素回路20´Rに供給され、赤用データ信号IDRに応じた電荷量が保持キャパシタC1に保持される。その結果、駆動用トランジスタQdのゲートに印加される電圧は、赤用データ信号IDRの電流値で設定される輝度階調に応じた電圧となる。
この後、第1走査信号SC11,第2走査信号SC12がそれぞれHレベルからLレベルになる。これにより、両トランジスタQsw1,Qsw2が共にオン状態となり、駆動用トランジスタQdは保持キャパシタC1に保持された電荷量により設定されるゲート電圧に対応した導通状態となる。このとき、その導通状態に応じた駆動電流、つまり赤用データ信号IDRの電流値に応じた駆動電流が有機EL素子21に流れ、有機EL素子21がその駆動電流に応じた輝度階調で発光し始め、この後も発光し続ける。
こうして、走査線Y1が選択されることで、走査線Y1に接続された各赤用画素回路20´Rでは、セット期間Tsに、変換用トランジスタQc及び駆動用トランジスタQdの導通状態を赤用データ信号IDRに応じて設定して、その信号の電流値で設定される輝度階調で有機EL素子21を発光させる(セット動作)。
この後、第1スイッチングトランジスタQsw1をオフさせたままの状態で、上記リセット期間Tr(図4参照)に第2走査信号SC12をLレベルからHレベルにして第2スイッチングトランジスタQsw2をオン状態とする。これにより、電源電圧Vddと保持キャパシタC1が駆動用トランジスタQd及び第2スイッチングトランジスタQsw2を介して電気的に接続される。その結果、上記電荷量を保持していた各赤用画素回路20´Rの保持キャパシタC1はVdd−Vth以上のリセット電圧にリセットされる。これにより、駆動用トランジスタQdはオフ状態となり、有機EL素子21への電流の供給が遮断され、有機EL素子21は発光を停止する(リセット動作)。
こうしてリセットされた赤用画素回路20´Rの有機EL素子21は、次のフレームのリセット期間Trに上記セット動作がなされるまで、非発光の状態にある。つまり、その赤用画素回路20´Rの画素は非発光の状態(ノーマリブラックの場合には暗状態)にあり、各赤用画素回路20´Rの保持キャパシタC1は上記リセット電圧の電荷量にリセットされた状態で次のセット期間Tsの開始を待つ。
以上説明した走査線Y1が選択されるときの各赤用画素回路20´Rの動作は、他の走査線Y1〜Ynが選択されるときの各赤用画素回路20´R,各緑用画素回路20´G及び各青用画素回路20´Bにも同様に当てはまる。
このように、本実施形態における各画素回路20の駆動方法は、次の第1のステップと、第2のステップとを備える。
(第1のステップ)両トランジスタQsw1,Qsw2を共にオン状態とする。この状態で、第3の信号線としてのデータ線X1〜Xmの一つを介して供給されるデータ信号IDRを、第1スイッチングトランジスタQsw1のソース及びドレインを介して保持キャパシタC1に供給し、保持キャパシタC1に電荷として蓄積する。これにより、変換用トランジスタQc及び駆動用トランジスタQdの導通状態をデータ信号IDRに応じて設定する。
(第2のステップ)両トランジスタQsw1,Qsw2をそれぞれオフ状態及びオン状態として、第1のステップで設定された変換用トランジスタQc及び駆動用トランジスタQdの導通状態を変化させる。ここでは、例えば両トランジスタQc,Qdを共にオフ状態にする。なお、両トランジスタQd,Qcをオフ状態とする代わりに、第1のステップで設定された両トランジスタQc,Qdの導通状態を減ずるような電荷量を保持キャパシタC1に供給するようにしてもよい。
次に、上記第4実施形態に係る有機ELディスプレイ10の駆動方法の特徴を以下に記載する。
(12)本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様に、上記作用効果(1)〜(8)を奏することができる。また、本実施形態での駆動方法として、上記第2実施形態で説明したインタレース型の垂直走査や第3実施形態で説明した飛び越し走査型の垂直走査を採用することにより、高速でのデータ書き込みを実現することができる。
(第5実施形態)
次に、本発明に係る電子装置または電気光学装置の駆動方法を有機ELディスプレイに適用した第5実施形態について図8に基づいて説明する。図8は、上記第1実施形態で説明した有機ELディスプレイ10における画素回路の内部回路構成を示す回路図を示す。
本実施形態は、図3に示す上記画素回路20R,20G,20Bに代えて図8に示す画素回路20″R,20″G,20″Bを用いて構成した有機ELディスプレイ10に本発明を適用したものである。その他の構成は、上記第1実施形態と同じである。したがって、第1実施形態と同様の部位には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図8に示すように、各画素回路20″R,20″G,20″Bは、第1のトランジスタとしての駆動用トランジスタQdと、駆動用トランジスタQdのゲート(第1の制御用端子)に接続された保持キャパシタC1と、第2のトランジスタとしての第2スイッチングトランジスタQsw2とを備える。第2スイッチングトランジスタQsw2は、駆動用トランジスタQdのドレイン(第1の端子)と保持キャパシタC1との電気的な接続を制御するもので、ソース(第3の端子)とドレイン(第4の端子)とを備える。
第2スイッチングトランジスタQsw2のソースは駆動用トランジスタQdのドレイン(第1の端子)に、第2スイッチングトランジスタQsw2のドレインは駆動用トランジスタQdのゲートにそれぞれ接続されている。また、第2スイッチングトランジスタQsw2のゲート(第2の制御用端子)は、第2の副走査線Y12〜Yn2の一つに接続されている。
また、各画素回路20″R,20″G,20″Bは、第3のトランジスタとしての第1スイッチングトランジスタQsw1と、第4のトランジスタとしての開始トランジスタQ3とを備える。第1スイッチングトランジスタQsw1のソース(第5の端子)は、第2スイッチングトランジスタQsw2のドレインと保持キャパシタC1を介して電気的に接続されかつ駆動用トランジスタQdのソース(第2の端子)と電気的に接続されている。また、第1スイッチングトランジスタQsw1のドレイン(第6の端子)はデータ線X1〜Xmの一つに接続されており、第1スイッチングトランジスタQsw1のゲート(第3の制御用端子)は第2の副走査線Y12〜Yn2の一つに接続されている。
開始トランジスタQ3は、Pチャンネル型TFTであり、そのドレイン(第7の端子)は駆動用トランジスタQdのソースに接続されている。また、開始トランジスタQ3のソース(第8の端子)は電源線L1に接続されており、そのゲート(第4の制御用端子)は第3の副走査線SC13〜SCn3の一つに接続されている。
ここで、各画素回路20″R,20″G,20″Bの動作を簡単に説明する。ここでは走査線Y1が選択されるときの各赤用画素回路20″Rの動作のみを図8に基づいて説明する。
走査線Y1が選択されると、上記セット期間Ts(図4参照)に、各赤用画素回路20″Rの両トランジスタQsw1,Qsw2の各ゲートにHレベルの第1走査信号SC11,Hレベルの第2走査信号SC12が第1の副走査線Y11,第2の副走査線Y12をそれぞれ介して入力される。これにより、両トランジスタQsw1,Qsw2がそれぞれオン状態となる。このとき、データ線Xmから赤用データ信号IDRが各赤用画素回路20″Rに供給され、赤用データ信号IDRに応じた電荷量が保持キャパシタC1に保持される。その結果、駆動用トランジスタQdのゲートに印加される電圧は、赤用データ信号IDRの電流値で設定される輝度階調に応じた電圧となる。
この後、第1走査信号SC11,第2走査信号SC12及び第3走査信号SC13それぞれHレベルからLレベル(ローレベル)になるとともに、第3走査信号SC13がLレベルからHレベルになる。これにより、両トランジスタQsw1,Qsw2が共にオフ状態になるとともに、開始トランジスタQ3がオン状態となる。両トランジスタQsw1,Qsw2が共にオフ状態となることで、駆動用トランジスタQdは保持キャパシタC1に保持された電荷量により設定されるゲート電圧に対応した導通状態となる。このとき、その導通状態に応じた駆動電流、つまり赤用データ信号IDRの電流値に応じた駆動電流が有機EL素子21に流れ、有機EL素子21がその駆動電流に応じた輝度階調で発光し始め、この後も発光し続ける。
こうして、走査線Y1が選択されることで、走査線Y1に接続された各赤用画素回路20″Rでは、図4で示すセット期間Tsに、駆動用トランジスタQdをオン状態に設定して、赤用データ信号IDRの電流値で設定される輝度階調で有機EL素子21を発光させる(セット動作)。
この後、両トランジスタQsw1,Qsw2を共にオフさせたままの状態で、上記リセット期間Tr(図4参照)に第3走査信号SC13をLレベルからHレベルにする。これにより、開始トランジスタQ3がオフ状態となり、有機EL素子21への電流の供給が遮断され、有機EL素子21は発光を停止する。
こうしてリセットされた赤用画素回路20Rの有機EL素子21は、次のフレームのリセット期間Trに上記セット動作がなされるまで、非発光の状態にあり、保持キャパシタC1は上記リセット電圧の電荷量にリセットされた状態で次のセット期間Tsの開始を待つ。
以上説明した走査線Y1が選択されるときの各赤用画素回路20″Rの動作は、他の走査線Y1〜Ynが選択されるときの各赤用画素回路20″R,各緑用画素回路20″G及び各青用画素回路20″Bにも同様に当てはまる。
このように、本実施形態における各画素回路20の駆動方法は、次の第1のステップと、第2のステップとを備える。
(第1のステップ)両トランジスタQsw1,Qsw2を共にオン状態とする。この状態で、第3の信号線としてのデータ線X1〜Xmの一つを介して供給されるデータ信号IDRを、第1スイッチングトランジスタQsw1のドレイン及びソースを介して保持キャパシタC1に供給し、保持キャパシタC1に電荷として蓄積する。これにより、駆動用トランジスタQdの導通状態をデータ信号IDRに応じて設定する。
(第2のステップ)開始トランジスタQ3をオフ状態として、有機EL素子21は発光を停止を変化させる。
次に、上記第5実施形態に係る有機ELディスプレイ10の駆動方法の特徴を以下に記載する。
(13)本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様に、上記作用効果(1)〜(8)を奏することができる。また、本実施形態での駆動方法として、上記第2実施形態で説明したインタレース型の垂直走査や第3実施形態で説明した飛び越し走査型の垂直走査を採用することにより、高速でのデータ書き込みを実現することができる。
(電子機器)
次に、電子機器の適用について図9に基づいて説明する。上記各実施形態で説明した有機ELディスプレイ10は、モバイル型のパーソナルコンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ等種々の電子機器に適用できる。
図9は、有機ELディスプレイ10が実装された携帯電話の構成を示している。図9において、携帯電話70は、複数の操作ボタン71、受話口72、送話口73、前記有機ELディスプレイ10を用いた表示ユニット74を備えている。この場合でも、有機ELディスプレイ10を用いた表示ユニット74は上記実施形態と同様な効果を発揮する。その結果、携帯電話70は、欠陥の少ない画像表示を実現することができる。
なお、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、駆動用トランジスタQdのソース(第2の端子)は、電気的に所定の電位としての電源電圧Vddに接続されているが、その所定の電位は電源電圧に限られない。
○上記各実施形態では、駆動用トランジスタQdとしてPチャンネル型FETを用いているが、駆動用トランジスタとしてNチャンネル型FETを用いてもよい。その場合、駆動用トランジスタのゲートに印加される電圧がVdd+Vth以下の電位(電源電圧Vddとは異なる電位)になると、駆動用トランジスタがオフ状態になる。これにより、各画素
回路の保持キャパシタC1はVdd+Vth以下のリセット電圧にリセットされる。
○上記各実施形態では、電子回路として画素回路20に具体化して好適な効果を得たが、有機EL素子21以外の例えばLEDやFED、電子放出素子、プラズマ素子等の発光素子のような電流駆動素子を駆動する電子回路に具体化してもよい。RAM等の記憶装置に具体化してもよい。
○上記各実施形態では、画素回路20R,20G,20Bの電流駆動素子として有機EL素子21について具体化したが、無機EL素子に具体化してもよい。つまり、本発明を無機EL素子からなる無機ELディスプレイに応用しても良い。さらにまた、本発明は液晶ディスプレイにも応用可能で、液晶ディスプレイの動画特性を向上することができる。
○上記各実施形態では3色の有機EL素子21に対して各色用の画素回路20R,20G,20Bを設けた有機ELディスプレイであったが、1色からなるEL素子の画素回路からなるELディスプレイに応用しても良い。
10…電子装置または電気光学装置としての有機ELディスプレイ、11…表示パネル部、20…画素回路、20R…単位回路または電子回路としての赤用画素回路、20G…単位回路または電子回路としての緑用画素回路、20B…単位回路または電子回路としての青用画素回路、21…電子素子、電気光学素子または発光素子としての有機EL素子、70…電子機器としての携帯電話、L1…電源線、Y1〜Yn…走査線、Y11〜Yn1…第1の信号線としての第1の副走査線、Y12〜Yn2…第2の信号線としての第2の副走査線、X1〜Xm…第3の信号線としてのデータ線、Qd…第1のトランジスタとしての駆動用トランジスタ、Qsw1…第2のトランジスタまたは第3のトランジスタとしての第1スイッチングトランジスタ、Qsw2…第3のトランジスタまたは第4のトランジスタとしての第2スイッチングトランジスタ、Qc…第2のトランジスタとしての変換用トランジスタ、Qst…開始トランジスタ、Q3…第4のトランジスタとしての開始トランジスタ。