JP2005317678A - 磁気部品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スイッチング電源の小型・薄型化を可能とする磁気部品を提供する。
【解決手段】 酸化物被覆した金属磁性粒子を圧縮成形してなる磁気部品であって、該磁気部品の体積抵抗率が0.01〜10Ω・cmであり、表面抵抗率が10−3Ω/□以上であることを特徴とする磁気部品およびその製造方法。
【選択図】 図2

Description

本発明は、磁気部品およびその製造方法に関し、より詳しくは、酸化物被覆金属磁性粒子を圧縮成形した磁気部品およびその製造方法に関する。
近年、各種電子機器は小型・軽量化されてきており、なおかつ、低消費電力化が求められている。これに伴い、電子機器に搭載される電源として高効率かつ小型のスイッチング電源に対する要求が高まっている。特にノート型パソコンや携帯電話等の小型情報機器、薄型CRT、フラットパネルディスプレイ等に用いられるスイッチング電源では、小型・薄型化が強く求められている。
しかし、スイッチング電源では、その主要な構成部品であるトランスやリアクトルなどの磁気部品が大きな体積を占めており、スイッチング電源を小型・薄型化するためには、これら磁気部品の体積を縮小することが必要不可欠となっていた。
従来は、このようなスイッチング電源に使用されているトランス又はリアクトルには、ボビンに巻線を施したものにフェライトコアを挿入した形のものが多かった。 しかし、この構造では薄型化が困難なため、近年では巻線を使用せず、平面形のコイルを磁性体薄膜で挟み込む形で接着して薄型にしたり、絶縁基板上に形成したスパイラル状導体パターンを巻線の替わりに使用し、薄型のフェライトコアを絶縁基板上に設けた貫通孔に挿入したりした形で薄型化をはかっている例や、フェライト基板上に貫通孔を空け、メッキによりコイルをフェライト基板上に形成して薄型化する例が見られる。
このような磁気部品には、絶縁性の高いフェライト等の酸化物磁性材料が使用されていた。フェライトに代表される酸化物磁性材料は、金属磁性材料に比べ電気抵抗率が高いため、高周波数領域でも発生する過電流損失が小さい。しかしながら、トランスやリアクトルを小型化した場合、コイルに流す電流は同じでも磁心にかかる磁場は強くなってしまう。一般に、フェライトの飽和磁束密度は金属磁性材料に比べて小さく、フェライトをスイッチング電源の磁気部品として使用した場合、上記の理由によりその小型化には限界があり、上述の小型・薄型化の要望には十分答えることができない。
一方、センダストやバーマロイ等の金属磁性材料は、一般に高い飽和磁束密度と透磁率を有する。しかしながら、金属磁性材料は電気抵抗率が低いため、特に高周波数領域では渦電流損失が大きくなってしまう。スイッチング電源では、回路を高周波駆動することにより、高効率化および小型化する傾向にあるが、上記の渦電流損失の影響から金属磁性材料をスイッチング電源用の磁気部品に使用することは困難である。
つまり、いずれの場合でも磁性体コアの体積がインダクタンス値を決定付ける一番大きな要因となっていて、磁性材料自体の磁気特性を向上させない限り、小型・薄型化が困難となっていた。
このような問題に対し、金属磁性材料および酸化物磁性材料の両者の長所を有する磁性材料として、例えば、金属磁性粉末の表面をフェライトなどの金属酸化物磁性材料で被覆した酸化物被覆金属磁性粒子を加圧焼結成形した磁性材料が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、金属磁性材からなる粒子の表面を金属酸化物磁性材で被覆した粒子を焼結成形した後、熱間静水圧焼成法で焼結時に生成したクラックを消失させる提案がある(例えば、特許文献2参照。)。
フェライト被覆金属粒子粉末の圧縮形成体は、フェライトの絶縁性能をある程度保ちつつ、金属強磁性体粒子同士を磁気的に結合することが可能で、渦電流を抑制でき、高周波数領域においても高い透磁率と飽和磁化強度を保つことができる。よって、トランスのコア材に用いる場合、従来のフェライトコア材と比較して、同じインダクタンス値を得るのに、体積が小さくて済み、小型化、薄型化が可能になる。
また、金属磁性体粒子表面をフェライトメッキすると金属磁性体粒子とフェライトとの間に配位結合性の強い化学結合が得られ、強固で良好な被覆を行えることを見出したことに基づき、金属磁性体粒子表面をフェライトメッキする提案もある(例えば、特許文献3参照。)。
特開昭53−91397号公報 特開昭56−38402号公報 国際公開第03/015109号パンフレット
酸化物被覆金属磁性粒子を圧縮成形した磁気部品においても、薄型化のためには、巻線を使用せず、平面形のコイルを磁性体薄膜で挟み込む形で接着したり、絶縁基板上に形成したスパイラル状導体パターンを巻線の替わりに使用し、薄型のコアを絶縁基板上に設けた貫通孔に挿入したり、また、基板状の磁気部品の上に貫通孔をあけ、メッキによりコイルを磁気部品基板上に形成するなどの方法が必要となっている。
また、酸化物被覆金属磁性粒子を圧縮成形した磁気部品において、高い透磁率を実現させるためには、金属磁性粒子間の磁路形成を妨げないようにしなければならず、そのためには、酸化物被覆の膜厚を薄くしなければならない。
しかし、酸化物被覆の膜厚を薄くし、金属磁性粒子間の距離を縮めると透磁率は向上するが、電気抵抗率が下がり周波数特性が悪化する。逆に、酸化物被覆の膜厚を厚くし、金属磁性粒子間の距離を離すと電気抵抗率が上がり、周波数特性は向上するが、透磁率が悪化する。このように、酸化物被覆の膜厚に関しては、透磁率と周波数特性にはトレードオフの関係がある。
このような磁気部品は、通常、熱処理を行うことにより透磁率を向上させている。熱処理を行うことで、隣り合う粒子の酸化物被覆のぶつかり合っている部分で原子の相互拡散により空隙を少なくし、隣り合う金属磁性粒子間の距離を縮める。これにより、金属磁性粒子間の磁気的なギャップが少なくなり、高透磁率の磁性材料を得られる。
こうして作製した磁性材料は、比透磁率μ=100以上、実用周波数1MHz以上であることが好ましい。
図3に従来から行われている通常のプレス成形で得られる成形体の断面微視イメージ図を示し、図4にその成形体の断面SEM写真を示すが、図3、図4に見られるように従来から行われている通常のプレス成形で得られる成形体は、表面部分の数層の酸化物被覆金属磁性粒子が大きく変形して、金属磁性粒子の酸化物被膜4が破れ、このため、金属粒子3が直接繋がる部分が生じて、表面に低抵抗の層6が形成されるため、比透磁率μを100以上とすることはできなかった。
本発明者らは、このような状況に鑑み、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の磁気部品は、酸化物被覆した金属磁性粒子を圧縮成形してなる磁気部品であって、該磁気部品の体積抵抗率が0.01〜10Ω・cmであり、表面抵抗率が10−3Ω/□以上であることを特徴とする。
また、本発明の磁気部品の製造方法は、上記磁気部品の製造方法であって、酸化物被覆した金属磁性粒子を圧縮成形する圧縮成形工程と、該圧縮成形工程で得られた磁気部品にイオンビームエッチング、プラズマエッチングおよびウエットエッチングから選ばれる1種以上のエッチング処理を施すエッチング工程とを有することを特徴とする。
また、本発明の磁気部品の製造方法は、酸化物被覆した金属磁性粒子を圧縮成形する上記磁気部品の製造方法において、金型内表面に緩衝材を配置して圧縮成形することを特徴とする。
また、本発明の磁気部品の製造方法は、磁気部品の内層に位置する酸化物被覆金属磁性粒子の酸化物被覆膜厚よりも表面層に位置する酸化物被覆金属磁性粒子の酸化物被覆膜厚が厚いことを特徴とする磁気部品の製造方法において、酸化物被覆膜厚の異なる2種以上の金属磁性粒子を準備し、金型内表面に酸化物被覆膜厚の最も厚い金属粒子を配置し、金型中央部には酸化物被覆膜厚の最も厚い金属粒子以外の金属粒子を配置して圧縮成形を行うことを特徴とする。
本発明の酸化物被覆した金属磁性粒子を圧縮成形した圧粉磁気部品は、磁気部品の表面の酸化物被覆が破れることによって発生する低抵抗層がないので、比透磁率μ=100以上、実用周波数1MHz以上という高周波数に対応できる磁気部品となり、ノート型パソコン・小型携帯機器・薄型ディスプレイなどのスイッチング電源などに向けた、高機能でかつ小型・薄型の磁気部品を作ることが可能となる。
また、本発明の磁気部品の製造方法によれば、上記の比透磁率μ=100以上、実用周波数1MHz以上という高周波数に対応できる磁気部品を得ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本発明の磁気部品は、酸化物被覆した金属磁性粒子を圧縮成形してなり、該磁気部品の体積抵抗率が0.01〜10Ω・cmであり、表面抵抗率が10−3Ω/□以上である。
表面抵抗率の上限については特に限定されるものではないが、表面抵抗率が1Ω/□以下であることが好ましい。
図2は本発明の磁気部品の断面微視イメージ図であるが、このような抵抗率の磁気部品は、図2に示すように表層に金属磁性粒子3の酸化物被覆4の破れがなく、このような破れによる低抵抗の層が形成されていない構造とすることにより達成される。
本発明において、金属磁性粒子における金属としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケルなどの単金属、あるいはパーマロイ、センダストなどそれらを基とする合金などの透磁率が高い金属材料からなる粒子を用いることができる。
金属磁性粒子3の粒径は特に限定されるものではないが、1〜30μmであることが好ましい。
金属磁性粒子の表面を被覆する酸化物としては、フェライト、鉄酸化物等の高い電気抵抗率の酸化物、ガラス、シリカ、アルミナなどの絶縁性酸化物等を挙げることができ、フェライトとしては、NiZnフェライト、Coフェライト、CoZnフェライト、Mgフェライトやこれらを主成分とする複合フェライトを例示できる。ガラスとしてはSiO、B、P、Sb等を主成分とするガラスを挙げることができる。
酸化物被覆した金属磁性粒子の被覆膜厚は粒子間の電気抵抗を高めることができる厚さであれば特に限定されないが、20nm以上であることが好ましく、透磁率を高める観点からは500nm以下であることが好ましい。
金属磁性粒子の表面に酸化物被覆を形成する方法としては、フェライトメッキなどのメッキ法、機械的に行うメカノフュージョン法等を挙げることができる。
本発明の磁気部品としては、図1に示すような薄型トランス、リアクトル、電磁コイルのコア等を例示できる。
図1は薄型トランスの構成図で、図中符号1は上磁性板(コア部)、2は下磁性板(コア部)、7は絶縁基板、8は貫通孔、9は一次導体(コイル部)、10は一次接続導体、11は二次導体(コイル部)、12は二次接続導体を示している。
図1において、磁性体コア部1,2は、フェライト被覆金属粒子粉末を圧縮成形した複合磁性材料からなる。
図1において、絶縁基板7には、一定ピッチで下磁性板2の歯部2aを挿入させるための貫通孔8が複数設けられている。絶縁基板7の片面には、一次巻線を構成する一次導体9が貫通孔8の間に設けられている。一次導体9は、その端部で一次接続導体10によって接続されている。図1では8本の導体が全て直列接続され、巻数としては4回である状態を示しているが、並列接続を組み合わせることにより種々の巻数を構成することが可能である。
また、絶縁基板7の反対側の面内には、二次巻線を構成する二次導体11がやはり貫通孔8の間に設けられている。図1では導体が絶縁基板7から離れて図示されているが、一次導体9と同じく絶縁基板7に配線されているものとする。二次導体11もやはりその端部で二次接続導体12によって接続されている。
並列接続の場合、二次接続導体12が交差する部分が出てくるが、これは基板上にジャンパー線によって接続することも可能であり、また、スルーホールによって一度一次導体側の面に引き出し、再度スルーホールにより二次導体側に戻る形の接続法でも良い。一次導体9及び二次導体11を囲んで、上磁性板1及び下磁性板2から成る磁性体コアが閉磁路を構成している。隣接する導体は、図1に示すように、逆向きの接続であるので、両導体に流れる電流が作る磁束は、一区画の閉磁路のみを通ることになる。したがって、一次導体9に印加された電圧は、そのまま二次導体11に現われ、この区画では変圧比1:1のトランスを構成する。図1に示すように、一次導体9は全て直列接続、二次導体11は全て並列接続とすると変圧比4:1のトランスが構成されていることになる。
コイル構成は、パターン巻数とパターン幅、奥行き長さによって決まる。例えば50Wクラスのスイッチング電源用途としては、奥行き50mm、24巻きのミヤンダ巻きのコイルを用いる。このパターン形状は一般的なもので、これを限定するものではない。
図1には、一次巻線及び二次巻線を備える電源用トランスの例を示したが、一次巻線のみのリアクトルも同様に製作することが可能である。また、さらに単純なEコア形状、トロイダル形状やスパイラル形状のコイルを用いた極小型のリアクトル、スパッタやメッキで磁性体コアに直接コイルを形成した構成も可能である。
本発明の磁気部品は、上述のような酸化物被覆金属磁性粒子を用い、後述の圧縮工程とエッチング工程を有する製造方法あるいは、金型内表面に緩衝材を配置して圧縮成形する製造方法により製造することができる。
また、本発明の磁気部品として、磁気部品の内層に位置する酸化物被覆金属磁性粒子の酸化物被覆膜厚よりも表面層に位置する酸化物被覆金属磁性粒子の酸化物被覆膜厚が厚い構成の磁気部品を好ましい例として例示できる。
このような構成にすると、従来から行われている、金属金型を用いた通常の圧縮成形方法で成形しても、体積抵抗率が0.01〜10Ω・cmであり、表面抵抗率が10−3Ω/□以上である磁気部品とすることができる。
本発明の磁気部品において内層に位置する酸化物被覆粒子の酸化物被覆の膜厚は20〜200nmであることが好ましく、表面層に位置する酸化物被覆粒子の酸化物被覆の膜厚は200〜500nmであることが好ましい。ここで、内層に位置する酸化物被覆金属磁性粒子の膜厚は1種のみでもよく、2種以上からなってもよいが、表面層に位置する酸化物被覆粒子の酸化物被覆の膜厚が内層に位置する粒子の酸化物被覆の膜厚よりも厚い必要がある。
本発明の圧縮工程とエッチング工程を有する磁気部品の製造方法において、圧縮工程に採用される圧縮成形方法は、通常、酸化物被覆金属磁性粒子の圧縮成形に採用される圧縮成形法であればいずれも採用できる。この圧縮成形方法では通常、金属製の金型を用いて、5〜20ton/cm(490〜1,960MPa)の高圧で成形される。この様な成形方法により得られる圧縮成形体の表層においては大きな応力がかかるため、表層の酸化物被覆金属磁性粒子の被覆4が破れて、図3、図4に示すように低電気抵抗の層6が形成される。
しかし、圧縮成形工程で得られた磁気部品にイオンビームエッチング、プラズマエッチングおよびウエットエッチングから選ばれる1種以上のエッチング処理を施すと、上述のような低電気抵抗の層が削り取られ、図2に示すような、本発明の磁気部品を得ることができる。表面には金属磁性粒子の金属部分が一部露出しているが、それぞれ酸化物被覆により区画されているので低電気抵抗の層を形成することがない。
このような処理を経た磁気部品は、体積抵抗率が0.01〜10Ω・cmであり、表面抵抗率が10−3Ω/□以上であり、比透磁率μ=100以上、実用周波数1MHz以上という高周波数に対応できる磁気部品を得ることができる。
金型内表面に緩衝材を配置して圧縮成形する本発明の磁気部品の製造方法において用いられる金型は、通常、酸化物被覆金属磁性粒子の圧縮成形に用いられる金型が用いられ、通常は金属製であるが、これに限定されるものではない。この製造方法においては、金型の内表面に緩衝材が配置される。緩衝材としては、圧縮成形時の圧力に耐えて局所にかかる応力を分散できるものであればどのような緩衝材も用いることができるが、例えば、ゴム製の緩衝材を例示できる。
このような緩衝材を内表面に配置して、酸化物被覆金属磁性粒子の圧縮成形を行うと、5〜20ton/cm(490〜1,960MPa)の高圧で成形されても、表層の酸化物被覆金属磁性粒子の被覆が破れることなく、体積抵抗率が0.01〜10Ω・cmであり、表面抵抗率が10−3Ω/□以上であり、比透磁率μ=100以上、実用周波数1MHz以上という高周波数に対応できる磁気部品を得ることができる。
本発明の磁気部品の内層に位置する酸化物被覆金属磁性粒子の酸化物被覆膜厚よりも表面層に位置する酸化物被覆金属磁性粒子の酸化物被覆膜厚が厚い構成の磁気部品は、酸化物被覆膜厚の異なる2種以上の金属磁性粒子を準備し、金型内表面に酸化物被覆膜厚の最も厚い金属粒子を配置し、金型中央部には酸化物被覆膜圧の最も厚い金属粒子以外の金属粒子を配置して圧縮成形を行うことにより得られ、金型および圧縮成形条件は特に限定されるものではない。このように酸化物被覆金属磁性粒子を金型内に配置することにより、金型種類、圧縮成形条件を特に限定せずとも、表層の酸化物被覆金属磁性粒子の被覆が破れることなく、体積抵抗率が0.01〜10Ω・cmであり、表面抵抗率が10−3Ω/□以上であり、比透磁率μ=100以上、実用周波数1MHz以上という高周波数に対応できる磁気部品を得ることができる。
以下に、実施例を用いて本発明をさらに説明する。
(参考例1)酸化物被覆金属磁性粒子の調製
酸化物被覆金属磁性粒子としてフェライトにより絶縁被覆したNi78MoFe金属粒子粉末を超音波励起フェライトメッキ法により以下のように調製した。
金属磁性材料の粒子としては、水アトマイズ法により作製したNi78MoFe粒子(平均粒子径8μm)を20g用いた。フェライトメッキの前処理として、これらの粒子をHO:300ml+47%HSO:1250μl+2mol/l、HCl:1250μlの溶液中(液温70℃)に入れて、5分間超音波を印加した。その後、純水を入れたガラス製の反応容器中にNi78MoFe粒子を移し替え、19.5kHzの超音波を印加した。この反応容器に反応液(HO:500ml+FeCl・4HO:3.98g+NiCl・6HO:1.19g+ZnCl:0.68g)および酸化液(HO:500ml+NaNO:1.00g)をそれぞれ3ml/min、2ml/minの速度で供給しながら、適宜アンモニア水を滴下することによりpHを10.0に保った。この時、メッキ層の温度を湯浴により60℃に保った。このメッキ処理を60分間行った。メッキ処理後、粒子を分級・乾燥して酸化物被覆金属磁性粒子を得た。得られた粒子の平均粒径は10μm、フェライト皮膜の平均膜厚は100nmであった。
(参考例2)
参考例1で得た分級・乾燥後の酸化物被覆金属磁性粒子を用いて、さらに参考例1と同様の条件で60分更にメッキ処理を行い、メッキ処理後、粒子を分級・乾燥して、参考例1の被覆厚みの2倍の厚みのフェライト被覆を持つ金属磁性粒子を得た。
(実施例1)
超鋼製の金型中に、参考例1で得た酸化物被覆金属磁性粒子を投入し、全体をよくならした後、上パンチをはめ込み、プレスにより5ton/cm(490MPa)で圧縮成形し、その後、熱処理を600℃で10分間行い、図1に示す上磁性板(1)および下磁性板(2)を作製した。得られた磁性板につき、電子顕微鏡写真(SEM)により断面観察を行ったところ、図3に示すように、表面部分で酸化物被覆が破れて、内部の金属粒子がつながっている部分が確認された。ついで、得られた上下磁性板につきさらに、イオンビームエッチングを10分間行い、酸化物皮膜の破れた粒子を含む表面層を取り除いた。これを、SEMにより断面観察をしたところ図2のように内部と表面部分で違いはなく酸化物被覆が破れて、内部の金属粒子がつながっている部分はなかった。
また、これらの磁性板と、図1に示すような貫通孔8を有するガラス繊維強化エポキシ樹脂製絶縁基板と一次導体、二次導体を図1に示すように重ね合わせて薄型トランスを作製した。
得られたトランスは、一次と二次のコイル間、および、コイルとコア(磁性板)間において、試験電圧1kVでの絶縁性を確保することができ、10MHzの高周波領域においても渦電流損失はほとんど無く、透磁率120、飽和磁化強度0.8テスラを得ることができた。
このサンプルの表面に端子を押し付け、4端子法で電気抵抗率を測定したところ、電気抵抗率は0.1Ω・cmであった。
このように、磁性板の酸化物被膜の破れている層をイオンビームエッチングで除去したため、酸化物被膜の破れている層により形成されていた表面の低電気抵抗の層がなくなり、表面の低電気抵抗層を流れることによる渦電流の発生が妨げられ、10MHzの高周波においても渦電流損失のほとんどない圧粉磁気部品を得ることができた。
イオンビームエッチングの代わりにプラズマエッチングまたはウエットエッチングを行っても、磁性板の酸化物被膜の破れている層をプラズマエッチングまたはウエットエッチングで除去できるため、酸化物被膜の破れている層により形成されていた表面の低抵抗層がなくなり、表面の低抵抗層を流れることによる渦電流の発生が妨げられ、イオンビームエッチングと同様の効果を示すことができる。したがって、これらの磁性板を用いて作成した上記と同様のトランスは上記と同様の性能を示し、10MHzの高周波においても渦電流損失のほとんどない圧粉磁気部品を得ることができる。
(比較例1)
実施例1と同様にして、超鋼製の金型中に、参考例1で得た酸化物被覆金属磁性粒子を投入し、全体をよくならした後、上パンチをはめ込み、プレスにより5ton/cm(490MPa)で圧縮成形し、その後、熱処理を600℃で10分間行って上下磁性板を作製した。イオンビームエッチングなどのエッチング処理は行わなかった。
得られた磁性板を電子顕微鏡写真(SEM)により断面観察をしたところ、図3のようになっていた。図4にSEM写真の一例を示す。表面部分で酸化物被覆4が破れて、内部の金属粒子がつながっている部分が確認された。このように表面に酸化物被覆が破れることによって発生する低電気抵抗層6があることがわかった。
この上下磁性板を用いた以外は実施例1と同様にして薄型トランスを作製した。
得られたトランスでは、100kHzの周波数において、損失が発生し比透磁率が20%低下した。これは、表面の低抵抗層部分での渦電流損失のためと考えられる。
このサンプルの表面に端子を押し付け、4端子法で電気抵抗率を測定したところ、電気抵抗率は0.005Ω・cmであった。
(実施例2)
超鋼製の金型中に、厚さ0.1mmのゴム緩衝材を敷いて参考例1で得た酸化物被覆金属磁性粒子を投入し、全体をよくならした後、同様のゴム緩衝材を重ねて上パンチをはめ込み、プレスにより5ton/cm(490MPa)で圧縮成形し、その後、熱処理を600℃で10分間行って、実施例1と同様の上磁性板を作製した。イオンビームエッチングなどのエッチング処理は行わなかった。
得られた磁性板につき、SEMにより断面観察をしたところ内部と表面部分で違いはなく、酸化物被覆が破れて、内部の金属粒子がつながっている部分はなかった。
この上磁性板と、実施例1で得た下磁性板を用いた以外は実施例1と同様にして薄型トランスを作製した。
本実施例のトランスでは、10MHzの高周波領域においても渦電流損失はほとんど無く、透磁率120、飽和磁化強度0.8テスラを得ることができた。
このサンプルの表面に端子を押し付け、4端子法で電気抵抗率を測定したところ、電気抵抗率は0.1Ω・cmであった。
このように、磁性板には、酸化物被膜の破れている層がないので表面の低抵抗層がなく、表面の低抵抗層を流れることによる渦電流の発生が妨げられ、10MHzの高周波においても渦電流損失のほとんどない圧粉磁気部品を得ることができた。
(実施例3)
超鋼製の金型に、参考例2で得た酸化物被覆金属磁性粒子を投入し、全体をよくならした後、0.5ton/cm(49MPa)で圧縮成形した。その上に、参考例1で得た酸化物被覆金属磁性粒子を投入し、全体をよくならした後、再度0.5ton/cm(49MPa)で圧縮成形した。更にその上に参考例2で得た厚くフェライト被覆した金属磁性粒子を投入し、全体をよくならした後、5ton/cm(490MPa)で圧縮成形し、その後、熱処理を600℃で10分間行って厚み50μmの参考例2で得た酸化物被覆金属磁性粒子層を両面に有する上磁性板を得た。イオンビームエッチングなどのエッチング処理は行わなかった。得られた磁性板の断面イメージ図を図5に示す。本体成形部13の両面に厚くフェライト被覆された金属磁性粒子層14を有する構造となっている。
この上磁性板につき、SEMにより断面観察をしたところ、表面の厚いフェライト被覆金属粒子の変形はなく、酸化物被覆が破れて内部の金属粒子がつながっている部分はなかった。フェライト被覆が硬く厚いために粒子が変形しなかったと考えられる。
この上磁性板と、実施例1で得た下磁性板を用いた以外は実施例1と同様にして薄型トランスを作製した。
本実施例のトランスでは、10MHzの高周波領域においても渦電流損失はほとんど無く、透磁率120、飽和磁化強度0.8テスラを得ることができた。
このサンプルの表面に端子を押し付け、4端子法で電気抵抗率を測定したところ、電気抵抗率は0.2Ω・cmであった。
このように、磁性板には、酸化物被膜の破れている層がないので表面の低抵抗層がなく、表面の低抵抗層を流れることによる渦電流の発生が妨げられ、10MHzの高周波においても渦電流損失のほとんどない圧粉磁気部品を得ることができた。
本発明の磁気部品は電子機器に搭載される電源として高効率かつ小型のスイッチング電源用のトランス、リアクトル、電磁コイルコア等の磁気部品として有用である。
本発明の磁気部品の一実施形態を説明するための図である。 本発明の磁気部品の断面微視イメージ図である。 従来技術による磁気部品の断面微視イメージ図である。 従来技術による磁気部品の断面SEM写真である。 実施例3の厚い酸化物被覆金属磁性粒子層を両面に有する磁気部品の断面イメージ図である。
符号の説明
1 上磁性板
2 下磁性板
3 金属磁性粒子
4 酸化物被覆(フェライト被覆)
5 空孔
6 低抵抗の層
7 絶縁基板
8 貫通孔
9 一次導体
10 一次接続導体
11 二次導体
12 二次接続導体
13 フェライト被覆金属磁性材料の成形体部分
14 厚くフェライト被覆された金属磁性材料の成形体部分

Claims (5)

  1. 酸化物被覆した金属磁性粒子を圧縮成形してなる磁気部品であって、該磁気部品の体積抵抗率が0.01〜10Ω・cmであり、表面抵抗率が10−3Ω/□以上であることを特徴とする磁気部品。
  2. 磁気部品の内層に位置する酸化物被覆金属磁性粒子の酸化物被覆膜厚よりも表面層に位置する酸化物被覆金属磁性粒子の酸化物被覆膜厚が厚いことを特徴とする請求項1記載の磁気部品。
  3. 酸化物被覆した金属磁性粒子を圧縮成形する圧縮成形工程と、該圧縮成形工程で得られた磁気部品にイオンビームエッチング、プラズマエッチングおよびウエットエッチングから選ばれる1種以上のエッチング処理を施すエッチング工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の磁気部品の製造方法。
  4. 酸化物被覆した金属磁性粒子を圧縮成形する磁気部品の製造方法において、金型内表面に緩衝材を配置して圧縮成形することを特徴とする請求項1記載の磁気部品の製造方法。
  5. 酸化物被覆した金属磁性粒子を圧縮成形する磁気部品の製造方法において、酸化物被覆膜厚の異なる2種以上の金属磁性粒子を準備し、金型内表面に酸化物被覆膜厚の最も厚い金属粒子を配置し、金型中央部には酸化物被覆膜圧の最も厚い金属粒子以外の金属粒子を配置して圧縮成形を行うことを特徴とする請求項2記載の磁気部品の製造方法。
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