JP2005314744A - ピストンリング用材料及びその材料を用いたピストンリング - Google Patents

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Abstract

【課題】高価な金属を多量に含有することなく十分な耐摩耗性を有し、しかも、ピストンリング溝を摩耗させることのない冷間加工性に優れたピストンリング用材料を提供すること。
【解決手段】Cが0.4〜0.5重量%、Siが0.7重量%以下、Mnが0.8重量%以下、Crが3.0〜4.0重量%、Moが0.8〜1.3重量%、Vが0.2〜0.7重量%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有している。
【選択図】 なし

Description

本発明は、内燃機関や圧縮機等に使用されるピストンリング用材料に関し、特に、耐摩耗性等の摺動特性向上のために施されるイオンプレーティング処理に適応した耐熱へたり性を備えるとともに耐摩耗性に優れたピストンリング用材料及びその材料を用いたピストンリングに関する。
本発明はピストンリング用材料及びその材料を用いたピストンリングに関するものであり、本発明の理解を深めるために現在のピストンリングの製造工程について説明する。
所定の組成の材料(例えば、高炭素鋼やマルテンサイト系ステンレス鋼組成)を溶解し、造塊後、圧延を行い、所定の温度で熱処理を施した後、冷間伸線により所定の線径の線材を得る。次ぎに、その線材は矩形断面形状に圧延された後、所定の条件で焼き入れと焼き戻しを行って線材の真直性と硬度を確保する。そして、この矩形断面の線材は、ピストンリングの外径に合致するようにコイリングされるが、コイリングに伴って歪みが生じるので、歪み取りのための熱処理が行われる。
従来、内燃機関等に使用されるピストンリング用材料は、以前は鋳鉄が主流であったが、内燃機関の高出力化や高回転化のため、ピストンリングの薄幅化、軽量化が求められており、鋳鉄に比べて高強度が得られるSi−Cr鋼やマルテンサイト系ステンレス鋼などが用いられるようになった。しかし、それらのピストンリング用材料は、耐摩耗性や耐焼付性が充分ではないため、外周面に表面処理が施されている。通常、Si−Cr鋼には図15に示すような硬質クロムメッキ2、マルテンサイト系ステンレス鋼には図16に示すような窒化処理3が施されており、さらに、摺動特性の要求される内燃機関には、図17に示すように、窒化層3の外周面にイオンプレーティングによる硬質セラミックコーティング4(窒化クロムや窒化チタン等)を施したピストンリングが用いられている。
また、耐摩耗性を向上させるために、Crを7.0〜11.0%含有するピストンリング用材料が提案されている(例えば、特許文献1)。
さらに、ピストンリング用材料として熱間金型用素材であるSKD61を用いるものが提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
特開2002−348639号公報 特開平5−223172号公報 特開平6−293954号公報 特許第2711962号明細書
ところで、Si−Cr鋼の場合、ピストンリングの製造工程におけるコイリングに伴う歪み取りのための熱処理(450℃で1時間保持)により、図15に示す約530HVの母材5の硬度が約500HVとなり、シリンダ壁に接する外周面に施されるCrメッキ層2の硬度は約1000HVである。このSi−Cr鋼の摺動特性を向上させるために、外周面にイオンプレーティングによる硬質セラミックコーティングを施す場合、高温でコーティングするほど被膜の密着性がよいため、例えば、550℃で4時間程度の高温条件でイオンプレーティングが行われる。ところが、そのイオンプレーティングに伴う熱へたりにより、約500HVの母材5の硬度が380HVに低下するという不都合がある。この程度の硬度では、耐摩耗性が不十分でピストンリングとして使用することはできない。
また、高温強度がそれほど高くない低Cr(8〜13%Cr)マルテンサイト系ステンレス鋼の場合、ピストンリングの製造工程におけるコイリングに伴う歪み取りのための熱処理(600℃で1時間保持)により、図16に示す約400HVの母材6の硬度が約360HVとなるが、全周にわたって施される窒化処理3により多量のCrNが析出するので、表面硬度は1200HV程度に上昇する。1200HVという硬度はイオンプレーティングにより得られるセラミック被膜の硬度と同程度であるが、窒化処理は全周にわたって施される関係上、その高硬度の窒化層がピストンリング溝7(図16参照)を摩耗させてしまうことがある。
その点で、高Cr(例えば、17%Cr)マルテンサイト系ステンレス鋼は高温強度が優れており、上記のような歪み取りのための熱処理(600℃で1時間保持)やイオンプレーティング処理時にも熱へたりを生じることはないが、図16に示すように、イオンプレーティングによる硬質セラミックコーティング4に先立って窒化処理3を施す場合、上記したように、窒化処理に伴って多量のCrNが全周にわたって析出するので、表面硬度が高くなりすぎ、それに伴ってピストンリング溝を摩耗させてしまうという弊害が懸念される。
しかも、高Crマルテンサイト系ステンレス鋼は、多量のCrの存在により冷間加工性が劣るという欠点がある。
Crは耐摩耗性の向上に効果のある元素であり、ピストンリングのような摺動部材に使用する場合、一定量のCrを含有することは好ましいが、一方で、Crは上記したような欠点をもちあわせている。さらに、Crは高価な元素であるから、その添加量は耐摩耗性を確保する上で必要な範囲にとどめるのが好ましい。
この点で、特許文献1に記載されたピストンリング用材料は、高Crマルテンサイト系ステンレス鋼よりCrの添加量は少ないが、それでもCrの添加量は7.0〜11.0%であって、いまだ十分に低いとは言えない。
さらに、SKD−61は耐熱へたり性に優れた材料であるが、高価なCrやMoやVの含有量がそれぞれ、4.5〜5.5%、1.0〜1.5%、0.8〜1.2%と多い。
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、高価な金属を多量に含有することなく十分な耐摩耗性を有し、しかも、ピストンリング溝を摩耗させることのない冷間加工性に優れたピストンリング用材料及びその材料を用いたピストンリングを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のピストンリング用材料は、Cが0.4〜0.5重量%、Siが0.7重量%以下、Mnが0.8重量%以下、Crが3.0〜4.0重量%、Moが0.8〜1.3重量%、Vが0.2〜0.7重量%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴としている。
すなわち、合金元素を適量含有するので、冷間加工性を低下させることなく、十分な耐摩耗性を備え、しかも、ピストンリング溝を摩耗させることもない。
本発明は上記のとおり構成されているので、次ぎのような効果を奏する。
(1)CrやMoやVなどの高価な金属の含有量が適正であるから、低コストでありながら、耐摩耗性に優れている。しかも、イオンプレーティング処理による熱へたりがなく、熱処理による硬度低下がほとんどない。従って、イオンプレーティング処理時の電流値を増加することが可能であり、成膜速度を向上することができる。
(2)CrやMoやVの含有量を適度に抑えているので、冷間加工性に優れている。
(3)Crの含有量が多くないので、窒化処理によるCrNの析出量がマルテンサイト系ステンレス鋼に比して少なく、窒化層の硬度は700〜800HV程度である。従って、窒化層がピストンリング溝を摩耗させることはない。
本発明のピストンリング用材料を構成する各元素の数値限定理由は、下記のとおりである。
(1) Cは、0.4〜0.5重量%とする。
Cは侵入型の固溶元素であり、硬さや強度の向上に寄与する元素である。また、炭化物を生成して耐摩耗性を高める。これらの効果を享受するためには、Cは0.4重量%以上含有することが好ましい。しかし、多量に添加すると、粗大な炭化物を生成することにより疲労強度を低下させるので、その上限値は0.5重量%とするのが好ましい。
(2) Siは、0.7重量%以下とする。
Siは鋼の溶製時において脱酸剤として添加されるとともに、基地中に固溶し、硬さや強度向上に寄与するが、多量に添加すると、冷間加工性を低下させるので、その上限値は0.7重量%とするのが好ましい。
(3) Mnは、0.8重量%以下とする。
Mnは、鋼の溶製時の脱酸および鋼中のSの固定のために添加されるが、多量に添加すると、冷間加工性を低下させるので、その上限値は0.8重量%とするのが好ましい。なお、合金元素量の低減による焼き入れ性の低下を補うためには、Mnは0.6重量%以上添加するのが好ましい。
(4) Crは、3.0〜4.0重量%とする。
CrはCと結合して炭化物を形成するとともに、窒化物を形成する元素であるから、耐摩耗性の向上に不可欠の元素である。これらの効果を享受するためには、Crは3.0重量%以上含有することが好ましい。しかし、多量に添加すると、冷間加工性を低下させるので、その上限値は4.0重量%とするのが好ましい。
(5) Moは、0.8〜1.3重量%とする。
Moは、焼き戻し軟化抵抗を向上させる効果があり、イオンプレーティング処理時の熱へたり性改善に効果がある。また、Crと同様に炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる。これらの効果を享受するためには、Moは0.8重量%以上含有することが好ましい。しかし、多量に添加すると、冷間加工性を低下させるので、その上限値は1.3重量%とするのが好ましい。
(6) Vは、0.2〜0.7重量%とする。
Vは、Moと同様に焼き戻し軟化抵抗を向上させる効果があり、イオンプレーティング処理時の熱へたり性改善に効果がある。また、Cr、Moと同様に炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる。これらの効果を享受するためには、Vは0.2重量%以上含有することが好ましい。しかし、多量に添加すると、冷間加工性を低下させるので、その上限値は0.7重量%とするのが好ましい。
上記組成の材料に以下のような処理を施すことにより、十分な耐摩耗性を有し、しかもピストンリング溝を摩耗させることがなく、冷間加工性に優れたピストンリング用材料を提供することができる。
耐摩耗性向上に寄与するCrとMoとVの含有量が適正である上記組成の材料を溶解し、熱間鍛造後、所定の直径の線材を得るように熱間圧延する。次いで、その線材を所定の直径の線材に冷間伸線する。次いで、その線材を所定の矩形断面に冷間圧延する。その矩形断面圧延材に焼き入れと焼き戻しを施すことにより、結晶粒内に炭化物を析出させて強度を向上させるとともに、真直性を改善する。次ぎに、その矩形断面圧延材を所定の外径にコイリングし、コイリング後、ピストンリングの形状に切断し、必要に応じて図16に示すような窒化処理3を施し、次いで、そのピストンリングに歪み取りのための熱処理を施した後、ピストンリング外周面に図17に示すようなイオンプレーティング処理4を施す。
このようにして得られたピストンリングは、C量を低く抑えているので、必要な疲労強度を備え、耐摩耗性向上に寄与するCrとMoとVの含有量が適正であるから冷間加工性と耐摩耗性に優れており、さらに、Crの含有量が多すぎないので、窒化処理により適量のCrNが析出し、窒化層の硬度が700〜800HV程度であるから、窒化処理を施してもピストンリング溝を摩耗させることはない。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において適宜変更と修正が可能である。
(1)高温軟化抵抗と冷間加工性の評価
以下の表1に示す組成(重量%)の各鋼10kgを真空溶解炉で溶解し、インゴットにした後、直径20mmの丸棒に熱間鍛造し、さらに、球状化焼なましを施して、この試料について後記する冷間加工性の評価をした。
また、上記焼なまし材を980℃で30分保持後に空冷して焼き入れし、さらに、580〜620℃に焼戻して、焼もどし後の硬さが480〜490HVとなるように調質した。この試料について、後記する高温軟化抵抗の評価をした。
冷間加工性と高温軟化抵抗の評価結果を表2に示す。
Figure 2005314744
Figure 2005314744
高温軟化抵抗については、硬さを調質した直径20mmの丸棒を長さ20mmに切断することにより、直径が20mmで長さが20mmの試料を各組成について複数個作製し、各試料に600℃で10時間の熱処理を施した後、熱処理前後の断面の硬さを測定することにより評価した。表2の硬さの数値は、3個の試料について、中心から半径方向に5mm離れるとともに円周方向に互いに72゜づつ等間隔で離れた5点のビッカース硬さ(HV5)を測定することによって得られた合計15点の硬さの平均値である。
冷間加工性については、焼なました直径20mmの丸棒をJISZ2201の4号の引張試験片に機械加工して引張試験を行い、絞り(%)の数値により評価した。表2の絞り(%)の数値は、3個の試料の平均値である。
表2から以下の点が明らかである。
試料No7と8は、Cr量が少ないので、熱処理後の硬さ低下が大きい。
試料No9は、Cr量が多すぎるので、冷間加工性が良くない。
試料No10は、Mo量が少ないので、熱処理後の硬さ低下が大きい。
試料No11、12、13、14はそれぞれ、Mo、V、Si、Mnの量が多いので、冷間加工性が良くない。
一方、試料No1〜6は、C、Si、Mn、Cr、Mo、Vの添加量が適正であるから、熱処理後の硬さ低下が少なく(高温軟化抵抗が大きく)、冷間加工性も良好である。
(2)高温軟化抵抗と冷間加工性に及ぼす各元素の効果
表1と表2の数値に基づいて、高温軟化抵抗と冷間加工性に及ぼす各元素の効果について整理したのが図1〜10である。
a.Crの効果(図1、図2)
図1に示すように、Cr量が多くなるほど△HVは小さくなるが、Crが3重量%を超えると、△HVの低下代は少なくなることが分かる。
図2に示すように、Cr量が多くなるほど、絞り(%)の数値はほぼ直線的に小さくなることが分かる。
b.Moの効果(図3、図4)
図3に示すように、Mo量が多くなるほど、△HVはほぼ直線的に小さくなることが分かる。
図4に示すように、Mo量が多くなるほど、絞り(%)の数値はほぼ直線的に小さくなることが分かる。
c.Vの効果(図5、図6)
図5に示すように、V量が多くなるほど、△HVはほぼ直線的に小さくなることが分かる。
図6に示すように、V量が多くなるほど、絞り(%)の数値はほぼ直線的に小さくなることが分かる。
d.Siの効果(図7、図8)
図7に示すように、Si量によらず、△HVはほぼ一定である。
図8に示すように、Si量が多くなるほど、絞り(%)の数値はほぼ直線的に小さくなることが分かる。
e.Mnの効果(図9、図10)
図9に示すように、Mn量によらず、△HVはほぼ一定である。
図10に示すように、Mn量が多くなるほど、絞り(%)の数値はほぼ直線的に小さくなることが分かる。
(3)本発明の組成のピストンリング材料とSKD61の組成のピストンリング材料の高温軟化抵抗と冷間加工性の評価
a.高温軟化抵抗
次の表3に示すような組成(重量%)の鋼を10トン電気溶解炉で溶解し、熱間鍛造後、5.5mmの直径の線材を熱間圧延により得た。次いで、その線材を直径2.00mmの線材に冷間伸線した後、1.00mm×2.00mmの矩形断面に冷間圧延した。その矩形断面圧延材を1030℃に昇温して3分間保持して油冷した後に、図11に示すような範囲の焼もどし温度に昇温して4分間保持して空冷するという、焼き入れと焼き戻し処理を施したときのビッカース硬さ(HV10)を測定した。焼もどし温度を横軸にとったときのビッカース硬さ(HV10)の変化を図11に示す。図11において、記号○は本発明品を示し、●はSKD61を示す。また、図11の各点の実際の焼もどし温度(℃)とビッカース硬さ(HV10)の数値を表4に示す。
Figure 2005314744
Figure 2005314744
図11に示すように、本発明品はSKD61と遜色ない程度のビッカース硬さ(HV10)を有し、SKD61とほぼ同程度の高温軟化抵抗を備えていることが分かる。
また、表3に示す組成の鋼から同上工程により1.00mm×2.00mmの矩形断面圧延材を得、その矩形断面圧延材を1030℃に昇温して3分間保持して油冷した後に600℃に昇温して4分間保持して空冷するという、焼き入れと焼き戻し処理を施した。次に、その矩形断面圧延材を外径70mmにコイリングし、コイリング後、図12に示すようなピストンリング1の形状に切断し、次いで、そのピストンリングに600℃×1時間の熱処理を施した後に室温まで空冷し、さらに、550℃×4時間の熱処理を施した。コイリング直前と、600℃×1時間の熱処理後と、550℃×4時間の熱処理後の硬さ(HV0.5)を表5に示す。
Figure 2005314744
表5に示すように、本発明品は、熱処理による硬度低下が少なく、SKD61と同程度の高温軟化抵抗を有することが分かる。
b.冷間加工性
表3に示す組成の各鋼10kgを真空溶解炉で溶解し、インゴットにした後、直径20mmの丸棒に熱間鍛造し、さらに、球状化焼なましを施して、この試料について前記した冷間加工性の評価(引張試験による絞り(%)の数値の比較)をした。
本発明品の絞り(%)は73〜77であり、SKD61の絞り(%)の数値は70であり、本発明品の絞り(%)の数値の方が高く、本発明品は冷間加工性に優れていることが分かる。
(4)本発明品の焼き入れ温度と硬さ(HV0.5)ならびに本発明品の焼き入れ時の加熱時間と硬さ(HV0.5)の関係
表3の組成を有する本発明のピストンリング用材料を溶解し、熱間鍛造後、5.5mmの直径の線材を熱間圧延により得た。次いで、その線材を直径2.00mmの線材に冷間伸線した後、1.00mm×2.00mmの矩形断面に冷間圧延した。その矩形断面圧延材を950〜1070℃に昇温して3分間保持して空冷または油冷した後に600℃に昇温して4分間保持して空冷するという、焼き入れと焼き戻し処理を施したものについて硬さ(HV0.5)を測定した結果を図13に示す。図13において、線(a)は油冷焼き入れ直後の硬さ、線(b)は空冷焼き入れ直後の硬さ、線(c)は油冷焼き戻し直後の硬さ、線(d)は空冷焼き戻し直後の硬さを示す。
図13に明らかなように、980〜1070℃から焼き入れすれば、空冷であっても、油冷であっても、焼き戻し後の硬さとして500HV0.5以上を得ることができる。
また、同上矩形断面圧延材を1030℃に昇温して2.64〜5.31分間保持して油冷した後に600℃に昇温して4分間保持して空冷するという、焼き入れと焼き戻し処理を施したものについて硬さ(HV0.5)を測定した結果を図14に示す。図14において、線(e)は油冷焼き入れ直後の硬さ、線(f)は油冷焼き戻し直後の硬さを示す。図14に示す程度の加熱時間の範囲では、焼き戻し後の硬さはほとんど変わらないことが分かる。
Cr含有量(%)と高温軟化抵抗(ビッカース硬さの変化)の関係を示す図である。 Cr含有量(%)と絞り(%)の関係を示す図である。 Mo含有量(%)と高温軟化抵抗(ビッカース硬さの変化)の関係を示す図である。 Mo含有量(%)と絞り(%)の関係を示す図である。 V含有量(%)と高温軟化抵抗(ビッカース硬さの変化)の関係を示す図である。 V含有量(%)と絞り(%)の関係を示す図である。 Si含有量(%)と高温軟化抵抗(ビッカース硬さの変化)の関係を示す図である。 Si含有量(%)と絞り(%)の関係を示す図である。 Mn含有量(%)と高温軟化抵抗(ビッカース硬さの変化)の関係を示す図である。 Mn含有量(%)と絞り(%)の関係を示す図である。 焼もどし温度とビッカース硬さの関係を示す図である。 ピストンリングの斜視図である。 焼き入れ温度と硬さとの関係を示す図である。 焼き入れ時の加熱時間と硬さとの関係を示す図である。 Crメッキを施したSi−Cr鋼からなるピストンリングをピストンリング溝に挿入する状態を示す概略図である。 窒化処理を施したマルテンサイト−ステンレス鋼からなるピストンリングをピストンリング溝に挿入する状態を示す概略図である。 窒化処理後にイオンプレーティング処理を施したマルテンサイト−ステンレス鋼からなるピストンリングをピストンリング溝に挿入する状態を示す概略図である。
符号の説明
1…ピストンリング
2…クロムメッキ
3…窒化処理
4…セラミックコーティング
5…母材
6…母材
7…ピストンリング溝

Claims (2)

  1. Cが0.4〜0.5重量%、Siが0.7重量%以下、Mnが0.8重量%以下、Crが3.0〜4.0重量%、Moが0.8〜1.3重量%、Vが0.2〜0.7重量%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするピストンリング用材料。
  2. 請求項1のピストンリング用材料を用いたピストンリング。
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