JP2005314136A - 気密封止用封着材料およびガラスペースト組成物 - Google Patents

気密封止用封着材料およびガラスペースト組成物 Download PDF

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晃暢 宮崎
Shinya Hasegawa
真也 長谷川
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和弘 横田
Yoshiaki Kai
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Abstract

【課題】 ガラス成分に鉛を含まない場合であっても、封止品質が良好な気密封止用封着材料を提供することを目的とする。
【解決手段】 気密封止用封着材料であって、P25−SnO系またはBi23系の低融点ガラス粉末と、フィラーとからなる混合体を含む封着材料において、前記混合体における前記フィラーの含有量が、10重量部以上、50重量部以下であり、前記フィラーの平均粒子径が3μm以上、20μm以下となるように調整されている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル及びFEDなどのフラットパネルディスプレイを封着する封着材料およびガラスペースト組成物に関し、封着を行う際に生じるクラックの発生を抑制する技術に関する。
近年、プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」という。)、FED、液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という。)などのフラットパネルディスプレイは、薄型軽量化を実現することのできるものとして注目されている。
これらフラットパネルディスプレイは、いずれも構成要素がガラス基板上に形成されてなる前面板と背面板とを対向させてその外周を封着ガラスによって封着された構成を有する。
ここで、PDPを例に挙げ、より具体的に説明する。
PDPは、上述のように前面板と背面板とを対向させてその外周を封着ガラスによって封着された構成を有する。
上記前面板は、前面ガラス基板の表面上にストライプ状の表示電極が形成され、さらに、その上に誘電体層が形成されてなる。
また、上記背面板は、背面ガラス基板の表面上にストライプ状のアドレス電極が形成され、その上に誘電体層が形成され、さらに、隣り合うアドレス電極同士の間に隔壁が形成され、形成された隣り合う隔壁間に蛍光体層が形成されてなる。
上記背面板と上記前面板とが、双方の電極が直交するように対向配置され、背面板または前面板の外縁が封着されており、内部に形成される密閉空間に放電ガスが充填されている。
なお、上記表示電極は2本で1対を構成しており、その一方をX電極、他方をY電極という。
上記一対の表示電極と1本のアドレス電極とが、放電空間を挟んで立体的に交差する領域が画像表示に寄与するセルとなる。
以下、PDPの製造工程の概略について説明する。
PDPの製造工程では、通常、背面ガラス基板上に、アドレス電極、隔壁及び蛍光体層を順に積層することにより、背面板が作成される。
また、前面ガラス基板上に、表示電極(X電極及びY電極)、誘電体層及び保護層を順に積層することにより、前面板が作成される。
このように作成された前面板と背面板とを、外縁部に封着材を介在させて重ね合わせ、この封着材を400℃から500℃までの温度範囲で加熱して軟化させることにより封着し、その後パネル全体を数百度に加熱しながら、背面板にあらかじめ接合したガラス排気管を通じてパネル内部を一旦高真空に排気して不純物を除去し、続いて必要な成分及び圧力に調整された希ガスを、ガラス排気管を通じて封入した後、ガラス排気管を加熱軟化させて封口し、当該ガラス排気管を溶断して希ガスを封密することによりPDPが完成する。
上記封着ガラスには、通常、軟化点が低い鉛系ガラスが用いられており、さらに、前面板や背面板と、封着材との熱膨張係数の差を緩和し、熱応力によるクラックの発生を抑制する目的で膨張率の低いフィラーが添加されている。
また、封止品質を向上させる試みとして、例えば、チタン酸鉛の鉛成分を40モル%以下のCaで置換したフィラーとガラスとを混合して、微小なクラックの発生を抑制する封止ガラスの基材、即ち封着材料がある。(例えば特許文献1)
さらに、ガラス粒子にチタン酸鉛系セラミックスからなる粒径の小さな低膨張率フィラーを添加することにより、上記ガラス加熱冷却時における微小なクラックの発生を抑制した封着材料がある。(例えば特許文献2)
ところで、近年、人体への影響、今後の環境負荷を考慮し、鉛を含まない封着材料(以下、「非鉛封着材料」という。)の開発が進んでいる。
しかしながら、非鉛封着材料を用いて封着を行う場合、鉛を含有する封着材料(以下、「有鉛封着材料」という。)よりも、その主成分を構成するガラスと添加物としてのフィラーとの界面接合強度が低下する分、封着される前面板や背面板と、封着材料との熱膨張率の違いに起因する熱応力の発生がする際、クラックが生じ易く、封止品質が劣化するという問題がある。
なお、厳密には、上記封着材料は、封着材料単体で用いられるのではなく、実際には、封着材料に溶剤及び樹脂が混合されたペースト状のガラスペースト組成物として用いられる。
本発明は、このような問題を解決しようとなされたものであって、ガラス成分に鉛を含まず、封止品質が良好な気密封止用封着材料及びガラスペースト組成物を提供することを目的とする。
特開昭62−256741号広報 特開平2−30639号広報
前記目的を達成するために、本発明は、以下を特徴とする。
(1) P25−SnO系またはBi23系の低融点ガラス粉末と、フィラーとからなる混合体を含む封着材料において、前記混合体における前記フィラーの含有量が、10重量部以上、50重量部以下であり、前記フィラーの平均粒子径が3μm以上、20μm以下であることを特徴とする。
(2) 上記(1)の気密封止用封着材料において、前記フィラーのBET比表面積が、0.3m2/g以上、3.0m2/g以下である。
(3) 上記(1)、(2)のいずれかの気密封止用封着材料において、前記フィラーのうち、粒子径が45μm以上であるものの割合が、20重量部以下である。
(4) 上記(1)から(3)のいずれかの気密封止用封着材料において、前記フィラーの熱膨張率が、−35×10-7/゜C以上、60×10-7/゜C以下である。
(5) 上記(1)から(4)のいずれかの気密封止用封着材料において、前記フィラーにおける鉛の含有量が、0.5重量部以下である。
(6)上記(1)から(5)のいずれかの気密封止用封着材料と、溶剤と、樹脂とを含むガラスペースト組成物。
(7) 上記(1)から(5)のいずれかの気密封止用封着材料を用いて、前面板と背面板とが封着されたプラズマディスプレイパネル。
(8) 上記(7)の気密封止用封着材料において、前記前面板と前記背面板とが前記気密封止用封着材料により結合されている実封着部面積が、2700mm2以上である。
(9) 上記(6)のガラスペースト組成物を用いて、前面板と背面板とが封着されたプラズマディスプレイパネル。
(10) 上記(9)のプラズマディスプレイパネルにおいて、前記前面板と前記背面板とが前記ガラスペースト組成物により結合されている実封着部面積が、2700mm2以上である。
前記(1)の構成により、前記フィラーの平均粒子径及び割合が、以下のように設定されるため、クラックの発生及び貼り合わせ間隔のばらつきが抑制される。
即ち、フィラーの平均粒子径が、3μm以上に設定されるので、当該粒子径の減少に伴いクラックの発生が顕著となる粒子径以上に設定され、さらに、フィラーの平均粒子径が、当該粒子径の増加に伴い貼り合わせ間隔のばらつきが助長され始める粒子径以下に設定されている。
また、フィラーの添加割合が、当該添加量の減少に伴い、封着対象物との熱膨張率の差が大きくなり始める量以上で、また、当該添加量の増加に伴い、流動性が悪化し始める量以下となっている。
前記(2)の構成により、クラックの発生に大きく影響する、低融点ガラスとフィラーとの界面の面積が、当該面積の増加に伴い、クラックの発生が顕著となる面積以上に設定され、さらに、前記界面の面積が、当該面積の減少に伴いアンカー効果が失われ、フィラーの偏在が顕著となり始める面積以上に設定されているので、局部的に単位体積あたりの界面の大きさが不当に大きくなることがなく、マイクロクラックの発生が抑制される。
前記(3)の構成により、封着層の高さのばらつきが小さく、十分な表面平滑性が得られる。
通常、前記ガラス粉末が溶融して凝固したものの熱膨張率は、封着対象のガラスの熱膨張率よりも大きい。
前記(4)の構成により、熱膨張率の小さなフィラーを気密封止用封着材料に含有させることにより、気密封止用封着材料全体の熱膨張率を小さく抑え、気密封止用封着材料と封着対象のガラスとの熱膨張率の差を小さくすることができるので、クラックの発生を抑制することができる。
前記(5)の構成により、これにより、人体に有害な鉛の使用量を少なく抑えることができる。
前記(6)の構成により、前記(1)において記載した効果と同様の効果が発揮される。
前記(7)の構成により、前面板と背面板とを封着する際のクラックの発生が抑制され、歩留まりが向上する。
前記(8)の構成により、封止代が十分に確保され、よりリークし難くなる。
前記(9)の構成により、前面板と背面板とを封着する際のクラックの発生が抑制され、歩留まりが向上する。
前記(10)の構成により、封止代が十分に確保され、よりリークし難くなる。
(実施の形態)
(1.構成)
図1は、本発明の実施形態におけるプラズマディスプレイパネルの概略図である。
PDP100は、交流型(AC型)のPDPであり、互いに主面を対向させて配設された前面板90および背面板91から構成される。
前面板90は、前面ガラス基板101と、表示電極102と、誘電体層106と、保護層107とからなる。
前面ガラス基板101は、前面板90のベースとなる材料で、この前面ガラス基板101上に表示電極102が形成されている。
この表示電極102は、透明電極103と、黒色電極膜104と、バス電極105とからなる。
黒色電極膜104は、主成分の酸化ルテニウムが黒色を呈することで、ガラス裏面側から見た場合の外光の反射を防止する役割を果たす。
また、バス電極105は、高い導電性を有する銀を主成分とするため、全体の抵抗値を下げる役割を果たす。
バス電極105は、長手方向の一端に、駆動回路に接続するための端子部108を有する。
表示電極102及び前面ガラス基板101は、さらに、誘電体層106及び保護層107で覆われている。
背面板91は、背面ガラス基板111と、アドレス電極112と、誘電体層113と、隔壁114と、隣接する隔壁114どうしの間隙(以下、「隔壁溝」という。)の壁面に形成された蛍光体層115とからなる。
上記蛍光体層の発光物質としては、例えば、下記に示すような蛍光体材料を用いる。
青色蛍光体 BaMgAl1017:Eu
緑色蛍光体 Zn2SiO4:Mn
赤色蛍光体 Y23:Eu
前面板90及び背面板91は、図1に示すように重ね合わされ、その周縁部に設けられた封着ガラス190を介して接合されている。
この封着ガラス190は、低融点ガラス中に熱膨張率の低いフィラーが分散配置されてなる。
そして、この封着ガラス190における、前面板90及び背面板91の封着に実際に寄与している面積(以下、「実封着部面積」という。)は、2700mm2以上となるように形成されている。
上記実封着部面積を2700mm2以上に設定する目的は、封止品質を許容レベル以上に安定した状態で確保すること、つまり、安定してリークが生じないようにすることにある。
上記封着ガラス190に含まれる低融点ガラスは、P25−SnO系低融点ガラス、もしくはBi23系低融点ガラスであって、これに化学的安定性、コスト、安全性などの観点から、ZnO、SiO2、WO3、MoO2、Nb25、TiO2、ZrO2、ZnO、Al23、In23、B23、Li2O、Na2O、K2O、Cs2O、MnO、MgO、CeO、CaO、SrO、BaO、Cl、Fの少なくとも一種類以上添加されることが望ましい。
放電空間116には、He、Xe、Neなどの希ガス成分からなる放電ガス(封入ガス)が500〜600Torr(66.5〜79.8kPa)程度の圧力で封入されている。
隣り合う一対(X電極及びY電極)の表示電極102と1本のアドレス電極112とが、放電空間116を挟んで交差する領域が画像表示に寄与するセルとなる。
このPDP100において、点灯させようとするセルを横切るX電極とアドレス電極112間に電圧が印加されてアドレス放電がなされた後に、前記セルを横切るX電極及びY電極にパルス電圧が印加されることにより維持放電がなされる。
PDP100において、放電空間116では、この維持放電により紫外線が発生し、発生した紫外線が蛍光体層115に当たることにより、この紫外線が可視光に変換され、セルが点灯し、画像が表示される。
(2.本実施の形態におけるPDP100の特徴)
本実施の形態におけるPDP100は、封着ガラス190の組成に特徴がある。
より具体的には、封着ガラス190の焼成前の状態における基材、即ち、ガラスペート組成物において、含有されるガラス成分に鉛が含まれておらず、また、添加されているフィラーが、従来よりも厳しい条件で選定されている。
上記ガラスペースト組成物は、P25−SnO系またはBi23系の低融点ガラス粉末と以下の条件に該当する低膨張率のフィラーとからなる封着材料に、バインダーとしての樹脂及び溶剤が混合攪拌されてなる。
上記ガラスペースト組成物には、例えば、界面活性剤、現像促進剤、接着助剤、ハレーション防止剤、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料等の種々の目的に応じた添加剤が配合含有されていても構わない。
また、上記ガラスペースト組成物中の樹脂は、低融点ガラス粉末との反応性が低いものであればよく、化学的安定性、コスト、安全性などの観点から、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、カーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂等が望ましい。
また、上記ガラスペースト組成物中の溶剤は、低融点ガラス粉末との反応性が低いものであればよく、化学的安定性、コスト、安全性などの観点から、例えば、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂等の樹脂との相溶性の面から酢酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸のエステル類、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酢酸2−エチルヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル(酪酸メチル)、ブタン酸エチル(酪酸エチル)、ブタン酸プロピル(酪酸プロピル)、ブタン酸イソプロピル(酪酸イソプロピル)等の脂肪族カルボン酸のエステル類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート類;テルピネオール、ベンジルアルコール等のアルコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル等のエステル類;N−メチルピロリドン、NN−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、NN−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独で使用することもでき、また、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
本実施の形態のガラスペースト組成物における溶剤の含有割合は、当該ペースト組成物の可塑性又は流動性(粘度)が、成形処理又は塗布処理に適したものとなる範囲で適宜調整することができる。
(フィラーの仕様)
(材質)
上記フィラーは、PDP内の構成材との反応性が低く、ガラスの軟化点よりも高い耐熱性を有し、熱膨張率の低い材料であれば使用することができ、化学的安定性、コスト、安全性などの観点から、例えば、ジルコン、ジルコニア、チタン酸アルミニウム、コーディエライト、シリカ、アルミナ、チタニア、チタン酸バリウム、石英ガラス、β−ユークリブタイト、β−スポジュメン、ムライト、サイアロン、リン酸ジルコニウム、酸化スズ、窒化珪素、炭化珪素、β−石英固溶体、[AB2(MO43]の基本構造を持つ化合物、
A:Li,Na,K,Mg,Ca,Sr,Ba,Zn,Cu,Ni,Mn etc.
B:Zr,Ti,Sn,Nb,Al,Sc,Y etc.
M:P,Si,W,Mo etc.
もしくはこれらの混合物が望ましい。
(混合比)
封着材料中の低融点ガラスとフィラーの混合比は、フィラーの含有量が、低融点ガラスと低膨張率フィラーとの総重量に対して、10重量部以上、50重量部以下の範囲にある。
(熱膨張率)
前記フィラーの熱膨張率が、−35×10-7/゜C以上、60×10-7/゜C以下となっている。
(粒径)
上記フィラーの平均粒子径が、クラックの発生を抑制する上で、3μm以上にすることが好ましく、また、封着ガラス前駆体の高さを均一にする上で、20μm以下にすることが望ましい。
さらに、上記フィラーの平均粒子径が小さい程コストが高くなる傾向にあるため、低コスト化の観点から、粒子径の下限としては、8μmが好ましく、さらに、封止品質の確保し易さの観点から、粒子径の上限としては、16μmが好ましい。
(粒子径分布)
前記フィラーの粒子径分布としては、粒子径が45μm以上である粒子の割合が、フィラー全体の粒子に対して、20重量部以下にすることが好ましい。
(BET比表面積)
上記フィラーのBET比表面積が、封着ガラス前駆体の高さを均一にする上で、0.3m2/g以上にすることが好ましく、また、クラックの発生を抑制する上で、3m2/g以下とすることが好ましい。
さらに、コスト低減化の観点から、フィラーのBET比表面積を0.4m2/g以上、2m2/g以下にすることが好ましい。
(混合比の選定理由)
上記フィラーが10重量部未満では、封着材料の焼成後の熱膨張係数が大きくなり過ぎるため、封着される対象物、即ち、前面板90や背面板91との熱膨張係数の差が大きくなり、封着の際に実施される加熱冷却時に割れやすい。
また、上記フィラーが50重量部を超える場合では、ガラス成分が少なくなるので流動性が低下することとなり、封着部の気密性が低下する場合がある。
厳密には、ガラスペースト組成物を焼成して形成される封着ガラス190の25℃以上、250℃以下の範囲における平均熱膨張係数が、60×10-7以上、90×10-7/℃以下の範囲となるように、封着材料中の低融点ガラスとフィラーの混合比が選定されている。
(フィラー平均粒径選定の理由)
本発明者らは、鋭意検討した結果、PDPの前面板と背面板とを、フィラー入り封着材料で封密する場合、大粒子径のフィラーが存在すると、封着ガラス前駆体の高さのばらつきが大きく生じ、前面板と背面板と密着性が悪化し易く、安定して良好な封着品質が得られないことを見出した。
つまり、図2(A)に示すように、上記フィラーの平均粒子径が20μmを超えるガラスペースト組成物を使用する場合には、前面板90と背面板91との間隔(以下、「シール高さ」という。)の高さが、例えば、一部においては、高さH1、また別の箇所では、H2(H1>H2)となり、シール高さのばらつきが大きく、優れた表面平滑性(例えば算術平均粗さRaの値が5μm以下)を有するものもが得られず、プラズマディスプレイにおいて前面板90と背面板91との寸法関係が正規の範囲に収まらず、安定した良好な封着が行えない。
さらに、発明者らは、フィラー入り封着材料におけるリーク発生原因を調べたところ、封着に伴う加熱及び冷却の際に、フィラーとガラス成分の熱膨張率の差により、界面を起点とするマイクロクラックが発生し、このマイクロクラックを通じてリークが発生することを発見した。
そして、図2(C)に示すように、フィラーの平均粒子径が3μm未満と小さい場合、フィラー及びガラス間の界面の面積が大きくなるため、マイクロクラックが発生し易いが、平均粒径を3μm以上に規定すると、マイクロクラックの発生が抑えられることが判明した。
したがって、リークの発生を抑制するためには、適度なフィラー平均粒径を選定する必要がある。
(フィラー平均粒径分布選定の理由)
前記フィラーの粒子径が45μm以上である粒子の割合が20重量部を超える場合には、図2(A)で示したように、封着層の高さのばらつきが大きくなり、表面平滑性に劣るものとなる。
したがって、これらの問題が生じないために、粒子径が45μm以上のフィラーの割合を、20重量部以下にする必要がある。
ちなみに、上述の粒子径及び平均粒子径は、レーザー回折散乱法より求められた数値である。
(BET比表面積選定の理由)
前記フィラーのBET比表面積が0.3m2/g未満の場合、低融点ガラスが軟化する際に、前記フィラーと低融点ガラスとの界面の面積が少なくなるので、低融点ガラス中におけるフィラーの位置固定性能を示すいわゆるアンカー効果が生まれ難くなり、上記フィラーと低融点ガラスの比重差から、低融点ガラス中におけるフィラーの分布に偏りが生じ、そのために熱膨張係数についても位置的な偏りが生じて、微小な亀裂(以下、「マイクロクラック」という。)が発生し易い箇所ができ、リークする場合がある。
また、前記フィラーのBET比表面積が3m2/gを超える場合には、強度的には脆弱なフィラーと低融点ガラスとの界面の面積が大きくなり、マイクロクラックが発生し、封密の際にリークを引き起こす場合がある。
さらに、ガラスペースト組成物中の樹脂と上記フィラーとの間の吸着力が増加し、高温封止の際に樹脂が除去され難くなり、本来気化して除去されるはずの樹脂が封着ガラス190内に残留する場合がある。
(3.PDPの製造方法)
次に、本実施の形態におけるPDP100の製造方法を示す。
(前面板の製造方法)
以下、前面板90の作成方法について説明する。
平坦な前面ガラス基板101の内面に、銀ペーストをライン状に複数本塗布した後、上記前面ガラス基板101全体を加熱することにより、上記銀ペーストを焼成して表示電極102を形成する。
そして、上記表示電極102が形成された前面ガラス基板101の内面に誘電体ガラスペーストを塗布した後、上記前面ガラス基板101全体を加熱することにより、上記誘電体ガラスペーストを焼成して誘電体層106を形成し、さらに、その上に酸化マグネシウム(MgO)を塗布して、上記と同様の焼成を行い、保護層107を形成する。
(背面板の製造方法)
以下、背面板91の作成方法について説明する。
平坦な背面ガラス基板111の内面に、銀ペーストをライン状に等ピッチで塗布した後、上記背面ガラス基板111全体を加熱することにより、上記銀ペーストを焼成してアドレス電極112を形成する。
そして、隣り合うアドレス電極112の間にガラスペーストを塗布し、上記背面ガラス基板111全体を加熱することにより、上記ガラスペーストを焼成して隔壁114を形成する。
さらに、隣り合う隔壁114同士の間に、R、G、B各色の蛍光体インクを塗布し、背面ガラス基板111を約500℃に加熱することにより、上記蛍光体インクを焼成して、蛍光体インク内のバインダーとしての樹脂成分等を除去することにより蛍光体層115を形成する。
(仮焼成工程)
前面板90と背面板91とを重ね合わせると想定した場合に、前面板90において背面板91の縁部が近接する箇所(以下、「シール領域」という。)に、上述の諸条件を満足するガラスペースト組成物を塗布した後、前面板90の温度を常温から10℃/分の昇温速度で330℃以上、420℃以下の温度範囲のいずれかの温度(好ましくは、360℃程度)まで昇温し、その温度雰囲気で10分間維持し、上記ガラスペースト組成物中のガラス粒子同士の結合度合いを高めた封着ガラス前駆体にするいわゆる仮焼成を実施する。
(前面板及び背面板の貼り合わせ工程)
さらに、前面板90と背面板91とを重ね合わせ、400℃以上、500℃以下の温度範囲のいずれかの温度(好ましくは、460℃程度)になるまで、当該炉内の温度を常温から10℃/分の割合で昇温した後、15分間一定温度に保持することによりガラスペースト組成物を封着ガラス190へと変化せしめ、封着する。
(封密工程)
その後、PDP100を300℃以上、470℃以下の範囲のいずれかの温度(好ましくは、340℃程度)に維持しながら背面板に設けられた未図示の排気管より高真空排気して希ガスを封入後封密する。
(4.評価試験)
発明者らは、本実施の形態におけるPDP100の封止品質を確認するための試験を実施した。
(評価品の仕様)
本実施の形態のガラスペート組成物を用いて封止ガラスを形成したPDPの試験品(以下、「実施品」という。)においてのガラス成分及びフィラーの仕様については、以下の通りである。
即ち、P25−SnO系にZnOおよびSiO2、Al23、B23を含有した平均粒子径8〜15μmの低融点ガラス粉末を作製し、この低融点ガラス粉末を75重量部、調製した低膨張率フィラーであるコーディエライトA〜Jをそれぞれ25重量部の割合に混合し、表1に示す内容の封着材料A〜Jとした。
Figure 2005314136
なお、表1に記載のフィラーは、市販のコーディエライトおよびチタン酸鉛を、イソプロピルアルコール中で湿式粉砕し乾燥することにより上記各仕様に調製した。
以下、上記封着材料A〜Jを用いて封止ガラスを形成した実施品の詳細な説明である。
(実施品1)
・ガラスペースト組成物の調製
上記フィラーBが25重量部、P25−SnO系低融点ガラス粉末が75重量部の割合で混合された封着材料と、酢酸イソアミルに1.2重量部のニトロセルロースが溶解されたビヒクルとを、重量比6.5:1の割合で混合し、粘度が11000cPのガラスペート組成物とした。
・ガラスペースト組成物の塗布
以上のように作成されたガラスペースト組成物を、ディスペンサを用いて32インチプラズマディスプレイ用前面板に塗布速度1m/分で実封着部分面積を、それぞれ2700mm2及び3600mm2となるよう、n数10のサンプル品それぞれにおいて、背面ガラス基板の外周、即ち、シール領域に塗布した。
なお、塗布されたガラスペースト組成物の封着材料部分に凝集物、筋状の塗布跡、ピンホールなどの欠陥は見られなかった。
・仮焼成の実施
ガラスペースト組成物が塗布された前面板を焼成炉内に配置し、形成した塗布部を炉内の温度を常温から10℃/分の昇温速度で360℃まで昇温し、360℃の温度雰囲気で10分間熱処理することによって封着ガラス前駆体を形成した。
・焼成及び封密の実施
前面板と背面板とを張り合わせ後、焼成炉内に配置し、形成した塗布部を炉内の温度を常温から10℃/分の昇温速度で460℃まで昇温し、460℃の温度雰囲気で15分間の熱処理により封止し、その後、パネル全体を340℃に加熱しながら背面板の排気管より高真空排気して希ガスを封入後封密した。
(実施品2)
・ガラスペースト組成物の調製
実施品2は、上記実施品1のフィラーBをフィラーCに代えたものである。
より具体的には、表1に示すフィラーCが25重量部、P25−SnO系低融点ガラス粉末が75重量部の割合で混合された封着材料と、酢酸イソアミルに1.2重量部のニトロセルロースが溶解されたビヒクルとを重量比6.5:1の割合で混合し、粘度が10000cPのガラスペート組成物とした。
このガラスペート組成物をPDPの作成に用いる際のPDPの製造方法及び製造条件は、実施品1と同様であり、以下に示す実施品及び比較品についても、同様であるものとする。
(実施品3)
・ガラスペースト組成物の調製
実施品3は、上記実施品1のフィラーBをフィラーDに代えたものである。
より具体的には、表1に示すフィラーDが25重量部、P25−SnO系低融点ガラス粉末が75重量部の割合で混合された封着材料と、酢酸イソアミルに1.2重量部のニトロセルロースが溶解されたビヒクルとを重量比6.5:1の割合で混合し、粘度が9500cPのガラスペート組成物とした。
(実施品4)
実施品4は、上記実施品1のフィラーBをフィラーEに代えたものである。
より具体的には、表1に示すフィラーEが25重量部、P25−SnO系低融点ガラス粉末が75重量部の割合で混合された封着材料と、酢酸イソアミルに1.2重量部のニトロセルロースが溶解されたビヒクルとを重量比6.5:1の割合で混合し、粘度が8500cPのガラスペート組成物とした。
(実施品5)
実施品5は、上記実施品1のフィラーBをフィラーFに代えたものである。
より具体的には、表1に示すフィラーFが25重量部、P25−SnO系低融点ガラス粉末が75重量部の割合で混合された封着材料と、酢酸イソアミルに1.2重量部のニトロセルロースが溶解されたビヒクルとを重量比6.5:1の割合で混合し、粘度が8000cPのガラスペート組成物とした。
(実施品6)
実施品6は、上記実施品1のフィラーBをフィラーGに代えたものである。
より具体的には、表1に示すフィラーGが25重量部、P25−SnO系低融点ガラス粉末が75重量部の割合で混合された封着材料と、酢酸イソアミルに1.2重量部のニトロセルロースが溶解されたビヒクルとを重量比6.5:1の割合で混合し、粘度が7500cPのガラスペート組成物とした。
(実施品7)
実施品7は、上記実施品1のフィラーBをフィラーHに代えたものである。
より具体的には、表1に示すフィラーHが25重量部、P25−SnO系低融点ガラス粉末が75重量部の割合で混合された封着材料と、酢酸イソアミルに1.2重量部のニトロセルロースが溶解されたビヒクルとを重量比6.5:1の割合で混合し、粘度が7000cPのガラスペート組成物とした。
(比較品1)
比較品1は、表1に示すフィラーA及びP25−SnO系低融点ガラス粉末について、上記フィラーAが25重量部、上記低融点ガラス粉末が75重量部の割合で混合された封着材料と、酢酸イソアミルに1.2重量部のニトロセルロースが溶解されたビヒクルとを重量比6.5:1の割合で混合し、粘度が12500cPのガラスペート組成物とした。
(比較品2)
比較品2は、上記実施品1のフィラーBをフィラーIに代えたものである。
より具体的には、表1に示すフィラーI及びP25−SnO系低融点ガラス粉末について、上記フィラーIが25重量部、上記低融点ガラス粉末が75重量部の割合で混合された封着材料と、酢酸イソアミルに1.2重量部のニトロセルロースが溶解されたビヒクルとを重量比6.5:1の割合で混合し、粘度が6500cPのガラスペート組成物とした。
(比較品3)
比較品3は、上記実施品1のフィラーBをフィラーJに代えたものである。
より具体的には、表1に示すフィラーJ及びP25−SnO系低融点ガラス粉末について、上記フィラーJが25重量部、上記低融点ガラス粉末が75重量部の割合で混合された封着材料と、酢酸イソアミルに1.2重量部のニトロセルロースが溶解されたビヒクルとを重量比6.5:1の割合で混合し、粘度が6000cPのガラスペート組成物とした。
(比較品4)
実施品1〜7及び比較品1〜3に用いたガラスペースト組成物を用い、32インチプラズマディスプレイ用前面板に塗布速度1m/分で実封着部分面積を2250mm2になるよう、即ち、実封着部分面積を減少させて、それぞれn数10のサンプル品について、背面ガラス基板の外周、即ち、シール領域に塗布した。
なお、塗布されたガラスペースト組成物の封着材料部分に凝集物、筋状の塗布跡、ピンホールなどの欠陥は見られなかった。
また、従来一般的に用いられている鉛を含有するガラスペート組成物を用いて封止ガラスを形成したPDPの試験品(以下、「従来品」という。)においてのガラス成分及びフィラーについては、以下の通りである。
即ち、PbO系にSiO2、Al23、B23を含有した平均粒子径6μm以上、13μm以下の低融点ガラス粉末を作製し、この低融点ガラス粉末を75重量部、調製した低膨張率フィラーであるチタン酸鉛K〜Mをそれぞれ25重量部の割合に混合し、表1に示す内容の封着材料K〜Mとした。
(従来品1)
従来品1では、表1に示すフィラーKが25重量部、PbO系低融点ガラス粉末が75重量部の割合で混合された封着材料と、酢酸イソアミルに1.2重量部のニトロセルロースが溶解されたビヒクルとを重量比6.5:1の割合で混合し、粘度が12000cPのガラスペート組成物とした。
このガラスペート組成物をPDPの作成に用いる際のPDPの製造方法及び製造条件は、実施品1と同様であり、封着部分面積が2700mm2のもののみを試験品として作成しており、以下に示す従来品についても同様とする。
(従来品2)
従来品2では、表1に示すフィラーLが25重量部、PbO系低融点ガラス粉末が75重量部の割合で混合された封着材料と、酢酸イソアミルに1.2重量部のニトロセルロースが溶解されたビヒクルとを重量比6.5:1の割合で混合し、粘度が10000cPのガラスペート組成物とした。
(従来品3)
従来品3では、表1に示すフィラーMが25重量部、PbO系低融点ガラス粉末が75重量部の割合で混合された封着材料と、酢酸イソアミルに1.2重量部のニトロセルロースが溶解されたビヒクルとを重量比6.5:1の割合で混合し、粘度が9000cPのガラスペート組成物とした。
(評価内容)
1).平均粒子径および粒子径分布評価方法
ガラスペート組成物に添加されるフィラーにアルコールを加えて3分間超音波を当てて分散した後、粒度分布測定装置(日機装社製、商標名:マイクロトラック)を用いて、レーザー回折散乱法により、平均粒子径および粒子径分布を測定した。なお、測定は非球形粒子モードで行った。
2).BET比表面積評価方法
ガラスペート組成物に添加されるフィラーをサンプルセルにいれ、200℃にて30分間窒素循環中で乾燥した。その後、BET比表面積計(マウンテック社製、商標名:Macsorb)を用い、吸着ガスを窒素、キャリアガスをヘリウムとして、BET1点法により、BET比表面積を算出した。
3).算術平均粗さ(Ra)評価方法
表面形状測定装置(ランクテーラーホブソン社製、商標名:タリサーフ)を用い、スキャン処理40mmで、封着ガラス前駆体表面スキャンして、算術平均粗さ(Ra)を求めた。
4).パネル輝度評価方法
完成後のPDPにおいて、累積駆動時間が1000時間に達したときの輝度を計測し、表2に示すように、駆動初期における輝度に対する輝度の割合、即ち、維持率を求めた。
上記輝度の測定には、輝度計(コニカミノルタ社製、商標名:ディスプレイカラーアナライザ)を用いた。
5).リーク試験評価
完成後のPDPにおいて、累積駆動時間が1000時間に達したときのHeガスのリークの度合いを確認した。
上記リークの測定には、リークディテクタ(アルバック社製、商標名:HELIOT)を用いた。
(仮焼成後における予備的評価結果)
実施品1〜7、比較品1〜4、従来品1〜3において、形成された封着ガラス前駆体を目視にて観察したところ、いずれもひび割れや基板の剥離などは見られなかった。
(評価結果)
表2に、各評価結果を示す。
Figure 2005314136
実施品1〜7は、算術平均粗さ(Ra)が良好な結果が得られ、パネル貼り合わせによる歩留まりも高く、また輝度劣化もほとんど見られなかった。
さらに、点灯試験後のリーク評価では、実施品1〜7において、リークも確認されなかった。
また、実施品1〜7の結果が示すように、フィラーB〜Hにおいて、つまり平均粒子径が3.1μm以上、19.1μm以下のフィラーを用いた場合において、総合評価が良好となっている。
さらに、実施品3〜5の結果が示すように、フィラーD〜Fにおいて、つまり平均粒子径が8.5μm以上、15.8μm以下のものを使用したフィラーにおいて、総合評価については、最も良好な結果が得られた。
これに対し、フィラーの平均粒子径が1.5μmと小さいフィラーAを用いた比較品1では、リークが発生して輝度劣化が生じた。
また、フィラーの平均粒子径が22.4μmと大きいフィラーJを用いた比較品3では、実封着部分面積が2700mm2及び3600mm2のいずれの場合であってもリークが発生し輝度劣化が生じた。
以上のことより、封止品質を確保する上で、封着材料中におけるフィラーの粒径は、3μm以上、20μm以下であることが望ましく、さらに、封止品質を向上させるためには、フィラーの粒径が、8μm以上、16μm以下であることが望ましい。
また、BET比表面積に着目すると、実施品1〜7の結果が示すように、フィラーB〜Hにおいて、つまりBET比表面積が0.43m2/g以上、2.91m2/g以下のフィラーを用いた場合において、総合評価が良好となっている。
これに対し、BET比表面積が3.43m2/gと大きいフィラーAを用いた比較品1では、リークが発生して輝度劣化が生じた。
また、BET比表面積が0.29m2/gと小さいフィラーJを用いた比較品3では、実封着部分面積が2700mm2及び3600mm2のいずれの場合であってもリークが発生し輝度劣化が生じた。
以上のことより、封止品質を確保する上で、封着材料に添加するフィラーのBET比表面積は、0.3m2/g以上、3.0m2/g以下であることが望ましい。
さらに、コストや封着特性などの面から、封着材料に添加するフィラーのBET比表面積は、0.4mm2/g以上、2.0m2/g以下が望ましい。
また、ガラスペースト組成物に添加されるフィラー全体に対する粒径45μm以上のフィラーの含有割合が、20重量部を超えるフィラーI及びフィラーJを用いている比較例2及び3では、総合評価が「悪い」及び「とても悪い」という結果となっている。
このことより、ガラスペースト組成物に添加されるフィラー全体に対する粒径45μm以上のフィラーの割合は、20重量部以下であることが望ましい。
また、前面板と背面板を封着する実封着部分の面積は2700mm2以上であれば有効であるが、実封着部面積は大きい方が好ましい。
なお、本発明の封着材料およびガラスペースト組成物に用いられる低膨張率フィラーは、チタン酸鉛などの鉛含有化合物、またコーディエライトやウレイマイト、ムライトなどの鉛を含有しない化合物いずれも使用できるが、今後の人体への影響、環境面などの面から鉛非含有化合物であることが望ましい。
本発明の気密封止用封着材料およびガラスペースト組成物は、ガラス基板を貼り合わせることにより作成されるディスプレイデバイス及び気密封止を目的とする容器などに適用可能である。
本実施の形態におけるPDPの概略図である。 封止ガラス中のフィラーの粒子と封着状況との関係を説明する図である。
符号の説明
90 前面板
91 背面板
100 PDP
101 前面ガラス基板
102 表示電極
103 透明電極
104 黒色電極膜
105 バス電極
106 誘電体層
107 保護層
108 端子部
111 背面ガラス基板
112 アドレス電極
113 誘電体層
114 隔壁
115 蛍光体層
116 放電空間
190 封着ガラス
309 多層電極

Claims (10)

  1. 25−SnO系またはBi23系の低融点ガラス粉末と、フィラーとからなる混合体を含む封着材料において、
    前記混合体における前記フィラーの含有量が、10重量部以上、50重量部以下であり、
    前記フィラーの平均粒子径が3μm以上、20μm以下であることを特徴とする気密封止用封着材料。
  2. 前記フィラーのBET比表面積が0.3m2/g以上、3.0m2/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の気密封止用封着材料。
  3. 前記フィラーのうち、粒子径が45μm以上であるものの割合が、20重量部以下であることを特徴とする請求項1記載または請求項2記載の気密封止用封着材料。
  4. 前記フィラーの熱膨張係数が、−35×10-7/゜C以上、60×10-7/゜C以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の気密封止用封着材料。
  5. 前記フィラーにおける鉛の含有量が、0.5重量部以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の気密封止用封着材料。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の気密封止用封着材料と、溶剤と、樹脂とを含むガラスペースト組成物。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の気密封止用封着材料を用いて、前面板と背面板とが封着されたプラズマディスプレイパネル。
  8. 前記前面板と前記背面板とが前記気密封止用封着材料により結合されている実封着部面積が、2700mm2以上であることを特徴とする請求項7に記載のプラズマディスプレイパネル。
  9. 請求項6に記載のガラスペースト組成物を用いて、前面板と背面板とが封着されたプラズマディスプレイパネル。
  10. 前記前面板と前記背面板とが前記ガラスペースト組成物により結合されている実封着部面積が、2700mm2以上であることを特徴とする請求項9に記載のプラズマディスプレイパネル。
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