JP2005310654A - 照明方法及び照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エネルギー量が相対的に少ない光源を用いながら、従来必要とされてきた照度よりも低い照度、少ないエネルギー量で生体リズムを調整することを可能とする。
【解決手段】生体リズムでの最低体温出現時刻から少なくとも11時間後までの時間帯(これを照射推奨時間帯と呼ぶ)において、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源により人の生体リズムの調整に必要な所定の照明レベルと時間で照射する。その光源は、410〜505nmまでの範囲の波長域におけるエネルギー量をA、それ以外の波長域におけるエネルギー量をB、さらに、510〜610nmまでの範囲の波長域において含まれるエネルギー量をC、それ以外の波長域において含まれるエネルギー量をDとしたときに、A>B、かつC<Dとなるものを用いる。
【選択図】図5
【解決手段】生体リズムでの最低体温出現時刻から少なくとも11時間後までの時間帯(これを照射推奨時間帯と呼ぶ)において、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源により人の生体リズムの調整に必要な所定の照明レベルと時間で照射する。その光源は、410〜505nmまでの範囲の波長域におけるエネルギー量をA、それ以外の波長域におけるエネルギー量をB、さらに、510〜610nmまでの範囲の波長域において含まれるエネルギー量をC、それ以外の波長域において含まれるエネルギー量をDとしたときに、A>B、かつC<Dとなるものを用いる。
【選択図】図5
Description
本発明は、人の生体リズムに合わせた照明方法及び照明装置に関する。
人の生体リズムは、24時間よりも長く、そのため、光などによってその位相を毎日前進させることにより人が持つ生体リズムをリセットし、実際の社会生活に同調させている。これまでも、人が持つ生体リズムの調整やメラトニンの抑制に、高照度の光が有効であることが知られており、一般的に午前中の時間帯に一定時間、高照度の光を照射することが有効であることが知られている(特許文献1参照)。このように、これまでは光を照射するタイミング(時間帯)、光の出力(顔面部での鉛直面照度)と照射時間が重要であるといわれてきた。
図1は、人の生体リズムの位相反応曲線を示し(Minors et al. 1991)、同図の横軸は人の最低体温出現時刻を0とし、それより以前の時刻を正の値、それ以後を負の値とした相対時間、縦軸はそれぞれの相対時刻に光を浴びることによって、どれだけ人の生体リズムの位相を前進(正)、又は後退(負)させることができるかを表している。このように光照射の時間帯によって、生体リズムの位相を前進させたり、後退させたりすることができ、光照射の効果が異なり、また、反応量も時間帯によって異なることが分かる。一般に、正常な生体リズムを持つ人であれば、この最低体温出現時刻はおおよそ明け方の午前3時から5時の間となる。
図1から分かるように、最低体温出現時刻から6時間後ぐらいまでが位相の前進効果が大きく、その後も11時間後程度までは位相の前進効果がある。このことから、特に最低体温出現時刻から11時間後ぐらいまで、特に、6時間後ぐらいまで(最低体温出現時刻を午前4時とすると、概ね午前中)に高照度の光を浴び、生体リズムの位相を前進させることで睡眠・覚醒リズムの立ち上がりを速やかにすることで、日中の覚醒度を高く保ち、夜間の睡眠を良質なものとなり、健康な日常生活を送ることができる。
また、図1より、最低体温出現時刻のおよそ8時間前、つまり最低体温出現時刻の16時間後ぐらいから位相が後退する反応が急激に起こっている。そのため、最低体温出現時刻の略8時間前から最低体温出現時刻までは光を浴びると逆に、生体リズムの位相が後退し、ますます夜間の睡眠の質が低下することが予想される。
つまり、最低体温出現時刻のおよそ8時間前、つまり最低体温出現時刻の16時間後ぐらいから位相が後退する反応が急激に起こっている。そのため、生体リズムの位相を後退させないようにするには、最低体温出現時刻の略8時間前から最低体温出現時刻まではできるだけ光を浴びない方が良い、ということになる。
さらに、以上のことから最低体温出現時刻の11時間後から16時間後までは光による生体リズムへの影響は小さく、この時間帯においては視環境上の観点からの配慮のみを行った照明をすればよいことになる。照明に使用される光源の分光分布は、非特許文献1に示される通りである。
また、光の出力と照射時間は密接な関係にあり、目に入射する光の量と時間の積分値によって効果が決まると一般的にいわれている。つまり、強い光を浴びるほど短時間で生体リズム変更の効果を発揮すると言われてきた。
電気工学ハンドブック(電気学会)p.1014,1015平成9年2月1日発行 特開平6−314595号公報
電気工学ハンドブック(電気学会)p.1014,1015平成9年2月1日発行
上述のように、人の生体リズムは24時間よりも長く、そのため、光などによってその位相を毎日前進させることにより人がもつ生体リズムをリセットし、実際の社会生活に同調させている。もし、この毎日の位相の前進が不十分であると、生体リズムと実際の時刻とにずれが生じ、睡眠・覚醒リズムがくずれてしまう。しかし、現代では深夜まで明るい光が満ち溢れ、逆に日中は太陽光と比べて強度の弱い人工光源の下で生活している。さらに社会的な活動も24時間化してきており、この生体リズムの毎日の微調整が難しくなっており、生体リズムの位相が後退したり、乱れたりしやすくなり、睡眠・覚醒リズムが崩れ、日中の覚醒度が低くなったり、夜間の睡眠の質が低下したりしている。
これまでも人が持つ生体リズムの調整や、メラトニンの抑制に高照度の光が有効であることが知られており、一般的に午前中の時間帯に一定時間、高照度の光を照射することが有効であることが知られている。
このため、屋内において不足している光を補うために、光刺激装置などの高照度の光を照射する装置があったが、これまでは蛍光灯などの一般的に用いられている光源を使用し、その出力を例えば顔面部の照度といった測光値で規定してきた。
そのために必要とされる顔面部の照度は、視環境上の観点から一般の室内環境において必要とされる推奨照度より数倍の出力を必要とされる。そのため、これらの高輝度の光源と周辺との輝度対比や、視野全体が非常に明るくなることで、特に屋内においてまぶしさから不快グレアや減能グレアが生じてしまい、視環境上、好ましくない問題が生じることがあった。
また、必要な出力を得るために、照明器具の大きさが大きくなったり、灯数が多数必要であったり、また対象者の近くに照明器具を置く必要があったりした。そのため、初期コスト及びランニングコストも増加してしまっていた。本発明は、上記のような問題を解消できる照明方法と照明装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の手段について以下に説明する。上述したように従来では、生体リズムの調整に必要な光の強さを照度のような測光値によって規定してきたが、測光値とは光の分光分布と人が持つ分光視感効率から求められる。人が感じる明るさは波長により効率が異なり、その波長ごとの相対効率を分光視感効率と呼ぶ。明所視の場合、そのピークは555nmであり、暗所視の場合、507nmである。照度などの測光値は、光源の分光分布にこれらの分光視感効率を掛け合わせて求められたものであり、同じエネルギー量でも光源の分光分布によって、測光値は異なることがある。
最近になり、メラトニンというホルモンの、夜間の分泌抑制の効果が、光の色(波長)によって異なることが分かった(Brainerd et al 2001)。メラトニンとは、脳にある松果体から分泌されているホルモンであり、夜間の入眠前から睡眠前半の時間帯(個人差や生活リズムによって差があるが、午後10時ごろから深夜にかけて)多く分泌され、体温の低下や入眠促進を促すと考えられており、生体リズムとの関連も深い。メラトニンは、夜間に比較的強い光を浴びると、その分泌が抑制されると言われており(Lewy AJ et al.: Light suppressed melatonin secretion in humans、 Science、 210(12)、 1267−1269、 1980)、さらに、逆に日中に数千ルクスの光を浴びることで、夜間睡眠中のメラトニン分泌量が増加するという報告もなされている(Mishima K et al.: Diminished melatonin secretion in the elderly caused by insufficient environmental illumination、 J Clin Endocrinol Metab、 86(1)、 129−134、 2001)。
ピーク波長が555nmである明所視の分光視感効率を図2に示し、夜間におけるメラトニンの分泌を抑制する効率を波長ごとに求めた特性(Brainard et al. 2001)を図3に示す。図3において、縦軸は相対効率を、横軸は波長を表している。分光視感効率と同様に、夜間におけるメラトニンの分泌を抑制する効率も波長によって異なる。つまり、同じエネルギーを持つ光源であっても分光分布により、その効率が異なることが分かる。日中に強い光を浴びることで、夜間睡眠中のメラトニン分泌量が増加することから、夜間のメラトニン抑制効率の高い光を日中に浴びると、逆に夜間睡眠中のメラトニン分泌量が増加することが期待できる。
ここに、図3の分光効率と光源の分光分布とを波長で積分したときの値ができるだけ高い分光分布を持つ光源を前述の生体リズムの位相前進に効果的な時間帯に照射することにより、より効率的に生体リズムの調整を行うことができるのである。
図2及び図3から、分光視感効率よりも、夜間におけるメラトニンの分泌を抑制する波長ごとの効率の方が、短波長側にピークを持っていることが分かる。つまり、これまでは測光値によって生体リズムの調整に必要な光の出力を規定してきたわけであるが、測光値が高くても必ずしも生体リズムの調整に効果的であるわけではない。
等しいエネルギー量の各種光源の分光分布を図4に示している。同図の横軸には波長を、縦軸には相対エネルギーを表している。光源1は、一般的に用いられている相関色温度5000Kの昼白色の三波長型蛍光灯であり、光源2は、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源であり、光源3は、410〜505nmの波長域にエネルギーをほとんど持たない光源であり、光源4は一般的な白熱灯である。
図2、図3、及び図4を基に、測光値とメラトニンの抑制効率をそれぞれ、光源1の値を1として算出すると、下記の表1のようになる。表1より、例えば一般的に用いられている3波長型蛍光灯である光源1と比べて、光源2のように、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源であれば、測光値は低くても、メラトニンの抑制効率は高くなる。逆に、光源3のように、410〜505nmの波長域にエネルギーをほとんど持たない光源であれば、メラトニンの抑制効率は低くなる。つまり、光源2のような、410〜505nmに最大ピークを有する光源であれば、生体リズムの調整をより効率良くできることになり、これまで必要とされてきた照度よりも低い照度、少ないエネルギー量で生体リズムを調整することが可能となる。
上記のように、測光値を低く押さえたまま、効率的にメラトニンの分泌を抑制するためには、図3より波長464nm付近に相対的にエネルギーを多く含み、同時に明所視での分光視感効率のピーク波長555nm付近に相対的にエネルギーを余り含まないことが必要となる。つまり、図3より、そのピーク波長464nmにおける感度を1としたとき、感度が0.5以上となる範囲、すなわち410〜505nmまでの範囲の波長域において相対的に多くのエネルギーを含み、同時に、図2に示すように、分光視感効率のピーク波長555nmにおける感度を1としたとき、感度が0.5以上となる範囲、すなわち510〜610nmまでの範囲の波長域において含まれるエネルギー量が相対的に少ない光源を用いることで、これまで必要とされてきた照度よりも低い照度、少ないエネルギー量で生体リズムを調整することが可能となる。
以上の説明から分かるように、請求項1の発明は、最低体温出現時刻から少なくとも11時間後までの時間帯に、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源により人の生体リズムの調整に必要な所定の照明レベルと時間で照射する方法である。そして、その光源は、410〜505nmまでの範囲の波長域におけるエネルギー量をA、それ以外の波長域におけるエネルギー量をB、さらに、510〜610nmまでの範囲の波長域において含まれるエネルギー量をC、それ以外の波長域において含まれるエネルギー量をDとしたときに、A>B、かつC<Dとなるものを用いる。この光源による照射中以外の時間帯においては、その他の光源により視環境上、必要な照度レベルにおいて照射する。
請求項2の発明は、仕事の始業時刻から略午後3時までの時間帯(この時間帯を照射推奨時間帯と呼ぶ)において、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源により人の生体リズムの調整に必要な所定の照明レベルと時間で照射し、この光源による照射中以外の時間帯においては、その他の光源により視環境上、必要な照度レベルにおいて照射する方法である。
請求項3の発明は、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源による照射は、照射推奨時間帯の終了時刻から少なくとも略5時間後から次の照射推奨時間帯の開始時刻までは停止させる方法である。
請求項4の発明は、照射停止時間帯において視認上、照明を必要とするときは、410〜505nm波長域の分光成分の少ない光源により照明する方法である。
請求項5の発明は、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光を照射する光源を持ち、この光源を照射対象者の顔面周辺を顔面前方から照射するように配置した照明装置である。
請求項6の発明は、相関色温度が略3000K以下の光を照射する光源をさらに備えた照明装置である。
請求項1の発明によれば、効率的に生体リズムの位相の前進を促進、つまり生体リズムの立ち上がりを促進し、速やかに覚醒することを促すことができ、しかも、従来の光刺激装置とは異なり、照度レベルを押さえることにより不快グレアや減能グレアのような視覚的な不快感を起こしにくい。
請求項2の発明によれば、交代勤務のような特殊な勤務形態である場合を除き、一般的に仕事の時間帯は午前中に始業し、夕刻に就業となる場合が多い(例えば午前9時始業、午後5時終業とする)。そこで、最低体温出現時刻を午前4時とすると、少なくともその11時間後までは生体リズムの位相の前進効果を期待できるので、効率的に生体リズムを調整することができ、位相の前進を促進、つまり生体リズムの立ち上がりを促進し、速やかに覚醒することを促すことができ、しかも、従来の光刺激装置とは異なり、照度レベルを押さえることにより不快グレアや減能グレアのような視覚的な不快感を起こしにくい。
請求項3の発明によれば、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源による照射は、照射推奨時間帯の終了時刻から少なくとも略5時間後から次の照射推奨時間帯の開始時刻までは停止し、必要に応じて他の光源によって、視環境上、必要な照度レベルにおいて照射することにより、夜間のメラトニンの分泌を妨げず、生体リズムの位相の後退を防ぎ、生体リズムが乱れることを防ぐことができる。
請求項4の発明によれば、照射停止時間帯においては、410〜505nm波長域の分光成分の少ない照明を行うことにより、夜間のメラトニンの分泌を妨げず、生体リズムが乱れることを防ぎながら、視環境上必要な照度を確保することができる。
また、図4に示される、光源2のような410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源は上述のように生体リズムの調整に非常に効果的なわけであるが、一方で一般的に用いられている光源よりも青みの強い光である場合が多い。そのため視作業を行うにあたってはあまり適切な光源であるとは言い難い。そこで、請求項5の発明によれば、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源により対象者の顔面周辺を顔面前方から照射することにより、顔面部には生体リズムの調整に有効な光を供給しする。
さらに、一般に相関色温度の低い照明は空間の雰囲気を落ち着いたものにし、リラックスするのに適しているといわれている。住宅空間においてもベッドルームの照明などには低色温度の照明が推奨されている。一方、高色温度の照明は反対に作業に適しているといえる。そこで、請求項6の発明によれば、相関色温度略3000K以下の光を照射する光源をさらに用いることにより、2種類の照明光をタスク面に供給することにより、周囲の雰囲気を良いものとし、410〜505nmに最大ピークを有する光源により、周辺に供給される照明の色温度よりも高い色温度の照明が供給される。これにより、上記と同様、対象者の顔面部に生体リズムの調整に有効な光を供給しながら、周辺やタスク面には別途視作業に適した光を供給することができる。
また、光源の相関色温度が略3000K以下であるということは一般的に言って長波長側に多くのエネルギーが分布するため、410〜505nm波長域の相対分光分布のエネルギーは少ないといえる。そのため、照射停止時間帯において、相関色温度略3000K以下程度の光源を備えた照明装置によって照明すれば、メラトニンの分泌を妨げず、生体リズムが乱れることを防ぎながら必要な照度を確保することができる。
以下、本発明の実施形態による照明方法及び照明装置について図面を参照して説明する。
図5は、本発明方法に係る、通常の生活様式での1日の推奨照射時間帯と照射停止時間帯とを示す。同図の(1)は、照射開始時刻であり、最低体温出現時刻、又は仕事の始業時刻とする。(2)は(照射)終了時刻であり、(1)から(2)が、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源による照射推奨照射時間帯を表している。推奨照射時間帯の終了時刻(2)から少なくとも略5時間後、つまり(3)以降の時間帯においては、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源による照射を停止する。
図5は、本発明方法に係る、通常の生活様式での1日の推奨照射時間帯と照射停止時間帯とを示す。同図の(1)は、照射開始時刻であり、最低体温出現時刻、又は仕事の始業時刻とする。(2)は(照射)終了時刻であり、(1)から(2)が、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源による照射推奨照射時間帯を表している。推奨照射時間帯の終了時刻(2)から少なくとも略5時間後、つまり(3)以降の時間帯においては、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源による照射を停止する。
(1)から(2)の推奨照射時間帯において、上記の光源によって必要量の照射を行うことで、生体リズムの位相の前進を促進、つまり生体リズムの立ち上がりを促進し、速やかに覚醒することを促すことができる。このような制御は、手動又は自動制御により行われる。このような照明方法を自動制御することにより、使用者は煩雑な照明の切り替え、又は照明スイッチのオン/オフをすることなく、効果的に生体リズムの調整ができる。また、自動制御の場合は、時間による制御又は使用者の生体リズムに対応した制御などが考えられる。
(2)の推奨照射時間帯の終了時刻から少なくとも略5時間後、つまり、(3)以降の時間帯においては、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源による照射を停止することにより、メラトニンの分泌が抑制されたり、生体リズムの位相が後退することを防ぎ、睡眠の質を向上し、生体リズムが乱れることを防ぐことができる。このような制御は、手動又は自動制御により行われる。このような照明方法を自動制御することにより、上記と同等の効果が得られる。
また、(3)以降の時間帯において、410〜505nmの分光成分の少ない照明を行うことにより、メラトニンの分泌が抑制されたり、生体リズムの位相が後退することを防ぎながら、必要な照度を確保し、視作業を行うことができる。このような制御は手動又は自動制御により行われる。このような照明方法を自動制御することにより、上記と同等の効果が得られる。
図6は、本発明方法を実施するための照明装置の配置構成を示す。図において、第1の照明装置10は、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源を持ち、対象者の顔面周辺を略顔面前方から照射するように配置される。この照明装置10による光照射により、生体リズムの調整を効果的に行うことができる。第2の照明装置20は、蛍光灯のような一般的な光源を持ち、タスク面30及び対象者の周辺を照明し、これにより、タスク面30及び対象者の周辺は違和感のない光で照射されることとなる。この照明装置20は、必ずしも天井面40に取り付けてある必要はなく、スタンドのようなものでもよい。第1の照明装置10による410〜505nmの波長域による照射をしていない場合に、第2の照明装置20は、対象者に必要な照度を供給する。
このような制御は手動又は自動制御により行われる。このような照明方法を自動制御することにより、使用者は煩雑な照明の切り替え、又は照明のスイッチのオン/オフをすることなく、効果的に生体リズムの調整ができる。また、自動制御の場合は、時間による制御又は使用者の生体リズムに対応した制御などが考えられる。
第2の照明装置20の光源を略3000K以下程度とすることにより、周囲の雰囲気を良いものとし、さらに、第1の照明装置10により410〜505nmの波長域にピークを有する光を対象者の顔面周辺に照射することにより、生体リズムの調整に有効であり、これら2種類の照明光をタスク面に供給することにより、周辺に供給される照明の色温度よりも高い色温度の照明が供給され、タスク面には別途視作業に適した光を供給することができる。また、第2の照明装置20は、相関色温度が略3000K以下であって、長波長側に多くのエネルギーが分布しており、410〜505nmの波長域の相対分光分布のエネルギーは少ないといえる。そのため、410〜505nmにピークを有する光源を持つ第1の照明装置10による照射を停止した後、相関色温度略3000K以下程度の照明装置20によって照明することにより、メラトニンの分泌を妨げず、生体リズムが乱れることを防ぎながら必要な照度を確保することができる。
また、410〜505nmにピークを有する光源を持つ第1の照明装置10に、視作業などの一般的な照明の目的を満たすための蛍光灯や電球のような光源が別途備えられていてもよい。こうすることによって、410〜505nmにピークを有する光源による照射を行っていない場合でも、光を供給することができ、1台の器具で本発明の目的を達成することができる。
さらに、図4の光源2のような光源は、上述したように生体リズムの調整に非常に効果的であるが、一般的な光源よりも青みの強い光である。そこで、この光源に、別途の光源を設けることなく、フィルターを付けることによっても、視作業などの一般的な照明の目的を満たすことが可能である。このようにすることによって、410〜505nmにピークを有する光源による照射を行っていない場合でも光を供給することができ、1台の器具で本発明の目的を達成することができる。
以上のように、本発明は、最低体温出現時刻から少なくとも11時間後までの照射推奨時間帯において、410〜505nmにピークを有する光源により照射することでもって、生体リズムの位相の前進を促進、つまり生体リズムの立ち上がりを促進し、速やかに覚醒することを促すことができるものであり、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意の変形が可能である。
10 第1の照明装置(410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源を持つ)
20 第2の照明装置(略3000K以下程度の光源を持つ)
20 第2の照明装置(略3000K以下程度の光源を持つ)
Claims (6)
- 生体リズムでの最低体温出現時刻から少なくとも11時間後までの時間帯(この時間帯を照射推奨時間帯と呼ぶ)において、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源により人の生体リズムの調整に必要な所定の照明レベルと時間で照射し、この光源による照射中以外の時間帯においては一般の白色光源により照明することを特徴とする照明方法。
ここに、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源は、その光源の分光分布において、410〜505nmまでの範囲の波長域内にて分光パワーが最大となる波長を含み、かつ、410〜505nmまでの範囲の波長域に含まれるエネルギー量をA、それ以外の波長域に含まれるエネルギー量をB、さらに、510〜610nmまでの範囲の波長域に含まれるエネルギー量をC、それ以外の波長域に含まれるエネルギー量をDとしたとき、A>B、かつC<Dとなるような光源とする。 - 午前の通常勤務始業時刻から略午後3時までの時間帯(この時間帯も照射推奨時間帯と呼ぶ)において、410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源により人の生体リズムの調整に必要な所定の照明レベルと時間で照射し、この光源による照射中以外の時間帯においては一般の白色光源により照明することを特徴とする照明方法。
- 410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光源による照射は、照射推奨時間帯の終了時刻から少なくとも略5時間後から次の照射推奨時間帯の開始時刻まで(この時間帯を照射停止時間帯と呼ぶ)は停止されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の照明方法。
- 前記照射停止時間帯において視認上、照明を必要とするときは、410〜505nm波長域の分光成分の少ない光源により照明することを特徴とする請求項3記載の照明方法。
- 410〜505nmの波長域に最大ピークを有する光を照射する光源を持ち、この光源を照射対象者の顔面周辺を顔面前方から照射するように配置したことを特徴とする照明装置。
- 相関色温度が略3000K以下の光を照射する光源をさらに備えたことを特徴とする請求項5記載の照明装置。
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