JP2005283439A - 逃がし安全弁容量評価方法および逃がし安全弁容量評価プログラム - Google Patents

逃がし安全弁容量評価方法および逃がし安全弁容量評価プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】より精度よく原子力発電所における原子炉の動特性解析を実行することにより安全余裕を小さく設定し、適切な逃がし安全弁の弁数及び容量を設計することが可能な逃がし安全弁容量評価方法および逃がし安全弁容量評価プログラムである。
【解決手段】逃がし安全弁容量評価方法は、原子炉の動特性解析を実行するための解析コードに入力される解析パラメータを摂動させて前記原子炉の圧力のピーク値の分布を求めるステップS8、S9、S10、S11、S12と、前記原子炉の圧力のピーク値の分布の統計的上限値を求めるステップS14、S15とを有する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、沸騰水型原子力発電所等の原子力発電所において原子炉に用いられる逃がし安全弁の容量を設計する際の逃がし安全弁容量評価方法および逃がし安全弁容量評価プログラムに関する。
沸騰水型原子力発電所等の設備には、何らかの異常により過渡変化あるいは事故が発生して原子炉圧力が上昇した場合に、原子炉圧力の上昇を回避させるために蒸気を逃がす逃がし安全弁が設けられる。
この逃がし安全弁は、蒸気を冷却するための水が溜められたサプレッションプールと排気管を介して接続される。逃がし安全弁は、主蒸気管の圧力あるいは原子炉系の圧力が予め設定された値を超えた際には開放できるように構成される。
そして、原子炉系ないし主蒸気系の圧力が上昇した際には、逃がし安全弁が開放して排気管を介して蒸気をサプレッションプールの水面下に逃がし、逃がし安全弁の開閉により原子炉系における原子炉圧力が規定値を超えないように圧力の上昇が抑制される。
このため、沸騰水型原子力発電所に用いられる逃がし安全弁は、沸騰水型原子力発電所の原子炉圧力の上昇が確実に抑制されるように、所要の設計基準に基づき必要な弁数及び弁容量となるように設計される。
そこで、従来、沸騰水型原子力発電所に必要な逃がし安全弁の弁数あるいは容量を求めるために、沸騰水型原子力発電所の動特性解析用の解析コードにより、動特性解析が模擬されて、原子炉圧力のピーク値が求められる。そして、沸騰水型原子力発電所の原子炉圧力がピーク値となっても、原子炉圧力の上昇を抑制するために必要な弁数あるいは容量の逃がし安全弁が沸騰水型原子力発電所に設けられる。
従来用いられる沸騰水型原子力発電所を動特性解析するための解析コードとして、沸騰水型原子力発電所の全系を表す動特性方程式を時間領域で解くものがある。この解析コードは、原子炉の炉心を一点として近似するとともに、炉心やベッセルを複数の簡略化した領域に分割し、2相流全体の質量やエネルギバランスを平均化して計算するものである。
そして、沸騰水型原子力発電所の構成要素の設計データに基づいて、動特性解析用の解析コードに入力するデータが設定され、設定された入力データを解析コードに入力して沸騰水型原子力発電所の動特性解析が模擬される。
ここで、解析コードによる沸騰水型原子力発電所の動特性解析の結果の誤差すなわち不確さを考慮して、解析結果には安全余裕が設定される。すなわち、解析コードに入力される原子炉出力、スクラム速度、スクラム反応度、ボイド反応度係数、逃がし安全弁設定圧力等の解析パラメータには、十分に条件が厳しくなるように保守的な上乗せをしたデータが用いられる。
そして、保守的な上乗せをした解析パラメータを解析コードに入力して過渡解析を実行した結果、得られた原子炉圧力のピーク値が設計基準を満足するか否かにより逃がし安全弁の弁数及び容量の設計が評価される。
なお、従来の逃がし安全弁容量評価方法について、文書化された公報等の文献は存在しない。
従来の逃がし安全弁容量評価方法は、解析コードに十分に条件が厳しくなるように上乗せしたデータを入力して解析する方法であるため、解析条件が厳しくなって、必要な逃がし安全弁の弁数及び容量が過大となる傾向にある。
しかし、近年の沸騰水型原子力発電所や原子炉の設計においては、安全性を充分に維持しつつも経済性のある合理的設計が求められる。特に新規に原子力発電所を設計する場合、原子力発電所の安全性や保守性を必要以上に大きく設計すると、逃がし安全弁の弁数や容量が多く必要となる。このため、原子力発電所の建設費用が高コストとなる恐れがある。
同様に、原子炉出力等の原子力発電所基本仕様について設計変更をする際にも、逃がし安全弁を増設する必要性が生じる場合があり、過大な安全性や保守性は高コストにつながる。
そこで、安全余裕を大きく設定する保守的な従来の逃がし安全弁容量評価方法に代えてより適切な逃がし安全弁の弁数及び容量を設計するための解析手法の開発が必要になっている。
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、より精度よく原子力発電所における原子炉の動特性解析を実行することにより安全余裕を小さく設定し、適切な逃がし安全弁の弁数及び容量を設計することが可能な逃がし安全弁容量評価方法および逃がし安全弁容量評価プログラムを提供することを目的とする。
本発明に係る逃がし安全弁容量評価方法は、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、原子炉の動特性解析を実行するための解析コードに入力される解析パラメータを摂動させて前記原子炉の圧力のピーク値の分布を求めるステップと、前記原子炉の圧力のピーク値の分布の統計的上限値を求めるステップとを有することを特徴とする方法である。
また、本発明に係る逃がし安全弁容量評価プログラムは、上述の目的を達成するために、請求項8に記載したように、コンピュータを、原子炉の動特性解析を実行するための解析コードに入力される解析パラメータを摂動させて前記原子炉の圧力のピーク値の分布を求める手段および前記原子炉の圧力のピーク値の分布の統計的上限値を求める統計的上限値計算手段として機能させることを特徴とするものである。
本発明に係る逃がし安全弁容量評価方法および逃がし安全弁容量評価プログラムにおいては、より精度よく原子力発電所における原子炉の動特性解析を実行することにより安全余裕を小さく設定し、適切な逃がし安全弁の弁数及び容量を設計することができる。
本発明に係る逃がし安全弁容量評価方法および逃がし安全弁容量評価プログラムの実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る逃がし安全弁容量評価プログラムを用いて構築した逃がし安全弁容量評価システムの第1の実施形態を示す構成図である。
逃がし安全弁容量評価システム1は、コンピュータに逃がし安全弁容量評価プログラムを読み込ませてプラント最適評価手段2、個別感度解析手段3、実験計画法サンプリング手段4、伝達関数作成手段5、モンテカルロ計算手段6、正規性判定手段7および統計的上限値計算手段8として機能させたものである。
逃がし安全弁容量評価システム1は、例えば沸騰水型原子力発電所等の原子力発電所の原子炉に設けられる逃がし安全弁の数あるいは容量を設計する場合に適用される。
図2は、図1に示す逃がし安全弁容量評価システム1の適用対象の一例である沸騰水型原子力発電所10の概略構成図である。
沸騰水型原子力発電所10は、原子炉系11、主蒸気系12、再循環系13および図示しない制御系を備える。原子炉系11および再循環系13は、原子炉格納容器14の内部に設けられる。
原子炉系11は、原子炉15を備え、主蒸気系12、再循環系13および図示しない制御系と接続される。制御系は、原子炉系11の原子炉15の運転を制御するように構成される。
再循環系13は、循環路16と再循環ポンプ17とを備える。循環路16は、原子炉系11を経由して設けられ、再循環ポンプ17は、循環路16上に設けられる。そして、再循環ポンプ17により所要量の冷却材が循環路16を循環せしめられることにより原子炉系11が冷却される。
一方、主蒸気系12は、タービン18および復水器19を備え、主蒸気管20により原子炉系11と接続される。原子炉系11に接続された上流側の主蒸気管20には、原子炉系11において生成された高温高圧の主蒸気が導かれる。さらに、上流側の主蒸気管20は分岐して一方がタービン18に導かれ、他方は、復水器19に導かれる。復水器19からは、原子炉系11に導かれる下流側の主蒸気管20が設けられる。
また、主蒸気系12のタービン18には、発電機21が設けられる。そして、原子炉系11において、生成された主蒸気によりタービン18が回転せしめられ、タービン18の回転により発電機21において電力が生成される。タービン18を経由した主蒸気は復水器19において低温低圧化されて再び原子炉系11に導かれて加熱される。
また、主蒸気系12の上流側の主蒸気管20には、主蒸気隔離弁22、タービン主蒸気止め弁23、タービン主蒸気加減弁24およびタービンバイパス弁25が設けられる。主蒸気隔離弁22は、主蒸気管20の原子炉系11近傍に設けられる。タービン主蒸気止め弁23およびタービン主蒸気加減弁24は、分岐した主蒸気管20のタービン18側に設けられる一方、復水器19側の主蒸気管20には、タービンバイパス弁25が設けられる。
さらに、主蒸気管20の主蒸気隔離弁22と原子炉系11との間には、逃がし安全弁26が設けられる。この逃がし安全弁26により主蒸気管20から分岐した排気管27はサプレッションプール28に導かれる。サプレッションプール28には、蒸気を冷却するための水が溜められる。
ここで、設備圧力の一例である原子炉系11における原子炉圧力は、原子炉ドーム圧力あるいはタービン入口圧力の検出値に基づいて圧力制御される。そして、原子炉圧力が異常に上昇した場合には、原子炉圧力の上昇を緩和するために、原子炉15を緊急停止すなわち原子炉スクラムさせる設備により原子炉15の出力が低下するように制御される。このため、原子炉スクラム設備は、原子炉圧力があらかじめ設定された値を超えたとき作動するように構成される。
また、主蒸気系12において、主蒸気管20の圧力が上昇し、タービントリップによりタービン主蒸気止め弁23が閉鎖した場合あるいは負荷遮断によりタービン主蒸気加減弁24が閉鎖した際には、タービンバイパス弁25が開放して主蒸気を復水器19に逃がすことにより主蒸気管20の圧力あるいは原子炉系11における原子炉圧力が低減される。
さらに、原子炉系11ないし主蒸気系12の圧力が上昇した際には、逃がし安全弁26が開放して排気管27を介して蒸気をサプレッションプール28の水面下に逃がす。逃がし安全弁26は、主蒸気管20の圧力あるいは原子炉系11の圧力が予め設定された値を超えた際には開放できるように構成される。そして、逃がし安全弁26の開閉により原子炉系11における原子炉圧力が規定値を超えないように圧力の上昇が抑制される。
このため、沸騰水型原子力発電所10に用いられる逃がし安全弁26は、何らかの異常により沸騰水型原子力発電所10に過渡変化が生じた場合あるいは事故が発生した場合であっても原子炉圧力の上昇が確実に抑制されるように、所要の設計基準に基づき必要な弁数及び弁容量となるように設計される。
図3は、図2に示す逃がし安全弁26の構造図である。
逃がし安全弁26は、アクチュエータ30と弁本体31で構成される。弁本体31は、ボディ32、スプリング33、端部に弁体34を設けた弁棒35および弁座36を備える。弁体34と弁座36とはボディ32の内部に設けられる。スプリング33はボディ32の外部に設けられ、弁棒35の弁体34が設けられない側は、ボディ32外部に貫通してスプリング33と接続される。
また、弁本体31のボディ32には、入口37と出口38が設けられる。ボディ32内部には入口37から出口38に向かう蒸気Yの流路39が形成され、スプリング33の作用により弁棒35とともに弁体34が弁座36側に駆動して、弁体34と弁座36とが互いに接触することにより蒸気Yの流路39が遮断される。そして、弁体34に加わる弁入口圧力によりスプリング33が圧縮すると、弁体34と弁座36との間に隙間が生じて、蒸気Yが通過可能となる。
さらに、必要に応じてアクチュエータ30に外部信号を与えて制御することにより、弁体34を弁棒35とともに強制的に弁座36から引き離して蒸気Yを通過可能にできるように構成される。アクチュエータ30は、図示しない蒸気Yの圧力センサの計測値に基づいて遠隔操作スイッチあるいは圧力スイッチ信号により作動するように構成される。
すなわち、逃がし安全弁26は、スプリング33作動による安全弁としての機能と、ボディ32内部の蒸気Yの圧力がスプリング33作動に必要な蒸気Yの吹出圧力以下であっても一定の設定圧力に達すれば補助作動装置であるアクチュエータ30により強制的に弁を開くことのできる逃がし弁機能とを有する。
このような逃がし安全弁26の弁数及び弁容量あるいはスプリング33作動に必要な設定圧力の設計の際には、原子炉圧力の上昇が厳しくなる事象が生じた場合であっても、設計された逃がし安全弁26の弁数及び弁容量並びに蒸気Yが吹出すための設定圧力で原子炉圧力の上昇を適切に抑制できるか否かが解析されて評価される。
原子炉圧力の上昇が厳しくなる事象としては、例えば「発電機負荷遮断・タービンバイパス弁不作動」や「主蒸気隔離弁の誤閉止」と呼ばれる事象が挙げられる。
「発電機負荷遮断・タービンバイパス弁不作動」は、原子炉15の出力運転中に電力系統事故等の要因により発電機21の負荷遮断が生じて、図示しない出力負荷アンバランス検出回路からの信号でタービン主蒸気加減弁24が急速に閉止することにより、原子炉圧力が上昇する事象である。
「発電機負荷遮断・タービンバイパス弁不作動」の状態となると、原子炉15はスクラムされて原子炉圧力が低下せしめられ、原子炉圧力が逃がし安全弁26の設定圧力に達すると逃がし安全弁26が作動して弁体34が弁座36から離れることにより開放される。
「主蒸気隔離弁の誤閉止」は原子炉15の出力運転中に原子炉水位低等の誤信号や誤動作等の要因により主蒸気隔離弁22が閉止し、原子炉圧力が上昇する事象である。
「主蒸気隔離弁の誤閉止」の状態においても、原子炉圧力が逃がし安全弁26の設定圧力に達すると原子炉圧力の上昇を防止するために、逃がし安全弁26が作動して弁体34が弁座36から離れることにより開放される。
このため、逃がし安全弁26の弁数及び弁容量並びに蒸気Yを逃がす際の設定圧力の設計基準は、例えば「発電機負荷遮断・タービンバイパス弁不作動」および「主蒸気隔離弁の誤閉止」の2つの状態のうち、より原子炉圧力上昇の厳しい事象について沸騰水型原子力発電所10が動特性解析され、いずれの事象で原子炉圧力が増加しても原子炉圧力を安全に低下できるように決定される。
沸騰水型原子力発電所10を動特性解析するためには、燃料、炉心、原子炉内部構造物の形状データを含む原子炉系11、主要な弁特性を含む主蒸気系12、再循環ポンプ17特性を含む再循環系13、原子力発電所の運転を制御する主要な制御系等の構成要素の設定値を解析パラメータとする解析コードにより計算する必要がある。このため、原子炉系11、主蒸気系12、再循環系13および制御系等の構成要素の設計データに基づいて、動特性解析用の解析コードに入力する解析パラメータが設定される。
逃がし安全弁容量評価システム1のプラント最適評価手段2は、解析コードの一例であるプラント最適評価コードをコンピュータに読み込ませて構築され、沸騰水型原子力発電所10における構成要素の設定値を解析パラメータとして動特性解析するための解析コードを実行する手段としての機能を有する。すなわち、プラント最適評価手段2は、設定された解析パラメータを入力して沸騰水型原子力発電所10の動特性解析を模擬する機能を有する。
プラント最適評価手段2を構成するプラント最適評価コードでは炉心の核熱水力体系が3次元モデルとされ、炉心やベッセルは多数のノードに分割される。そして、プラント最適評価コードでは、分割された各ノードにおける2相流体の各相について、質量、エネルギ、運動量の保存式を組合せて計算することにより、現実的に原子炉15の過渡変化が解析される。
プラント最適評価コードについては、例えば(1)J.A. Borkowski, et. al., TRAC-BF1/MOD1: An Advanced Best Estimate Program for BWR Accident Analysis, NUREG/CR-4356, Idaho National Engineering Laboratory, August 1992、(2)D.D. Taylor et. al., TRAC-BD1/MOD1: An Advanced Best Estimate Computer Program for Boiling Water Reactor Transient Analysis, Volume 1:Model Description, NUREG/CR-3633, EGG-2294, April 1984、(3)R.J. Pryor et. al., TRAC-PIA, An Advanced Best Estimate Computer Program for PWR LOCA Analysis, Los Alamos Scientific Laboratory, NUREG/CRA-0665, May 1979、(4)S. Kawamura et. al., Best Estimate Methods for Licensing Analysis, International Meeting on “Best-Estimate” Methods in Nuclear Installation Safety Analysis, Washington DC, November, 2000等の文献に記載されている。
このような、プラント最適評価コードに解析パラメータを入力して得られた解析結果により、原子炉圧力のピーク値が得られ、この原子炉圧力のピーク値に基づいて逃がし安全弁26の弁数及び弁容量並びに蒸気Yが吹出すための設定圧力等の逃がし安全弁26の設計値を設定することができる。
ここで、プラント最適評価コードによる動特性解析の解析誤差、すなわち原子炉圧力のピーク値の誤差分を考慮して、これら逃がし安全弁26の設計値には、安全余裕が設けられる。すなわち、プラント最適評価コードの解析結果により必要とされる逃がし安全弁26の設計値に加えて、安全余裕としてさらに逃がし安全弁26の容量が追加される。
この安全余裕は、プラント最適評価コードの解析結果の不確かさを定量化することにより設定される。プラント最適評価コードの解析結果の不確かさは、プラント最適評価コードに入力される解析パラメータの不確かさから、統計的手法を用いて数学的に得ることができる。
なお、プラント最適評価コードの動特性解析に用いられる解析パラメータの不確かさの原因は、プラント最適評価コードに用いられる要素モデルと実際の機器の設定値との誤差や解析パラメータと設計値との誤差等の要因である。つまりプラントの定常運転時であっても、機器の圧力や出力等の設定値は、計器誤差等の要因により完全には一定に制御できないため、時間によりある程度のバラツキが生じる。そして、そのような機器の設定値のバラツキにより解析パラメータには不確かさが生じる。
そこで、逃がし安全弁容量評価システム1では、実験計画法により各解析パラメータを変化させたときの原子炉圧力のピーク値の統計的分布を求めて、求められた原子炉圧力のピーク値の統計的分布から各解析パラメータと原子炉圧力のピーク値との関係を示す伝達関数を導いて計算するという統計的な方法によりプラント最適評価コードの解析結果の不確かさ、すなわち原子炉圧力のピーク値のばらつきが求められる。
すなわち、逃がし安全弁容量評価システム1では、プラント最適評価コードの解析結果に影響を与える全ての解析パラメータの不確かさを確率変数として取扱い、個々の解析パラメータの不確かさ(バラツキ)に基づいて統計的手法によって変化させた解析パラメータの組合せを多数ケース作成して過渡変化解析が行われる。そして、過渡変化解析結果の統計的分布から、標準偏差や平均値等の統計量が求められることにより、プラント最適評価コードの解析結果の不確かさが定量化されて安全余裕が設定される。
換言すれば、逃がし安全弁容量評価システム1では、各解析パラメータを用いたときのプラント最適評価コードの解析結果のばらつきから原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を求め、この統計的上限値に基づいて安全余裕が評価される。ここで、統計的上限値とは、一定の確率以内で、ある信頼度で起こり得る値のうち最も厳しい値をいう。
ところで、原子炉圧力のピーク値に影響を及ぼす解析パラメータは比較的多く、全ての解析パラメータを用いて原子炉圧力のピーク値を解析すると計算が煩雑となる。このため、原子炉圧力のピーク値の変動に対して支配的な解析パラメータのみを用いてより簡易に原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を解析することが有効である。
そこで、原子炉圧力のピーク値に対する感度が十分に高い解析パラメータ、すなわち解析パラメータを変化させてプラント最適評価コードを実行させることにより過渡変化解析を行った結果、過渡変化解析結果である原子炉圧力のピーク値の変化の大きさが一定の大きさとなるような解析パラメータを抽出することが必要となる。このように、解析パラメータを感度が十分に高いものに絞り込むことにより、限られた計算機環境であっても効率的に精度よい結果を得ることができる。
ここで、現実には各解析パラメータは相互に依存して変化するため、ある解析パラメータが他の解析パラメータに依存しないと仮定して原子炉圧力のピーク値に対する各解析パラメータの不確かさの個別の感度解析を行うことにより、統計的上限値の解析に含めるべき解析パラメータをより容易に抽出することができる。
逃がし安全弁容量評価システム1の個別感度解析手段3、実験計画法サンプリング手段4、伝達関数作成手段5、モンテカルロ計算手段6、正規性判定手段7および統計的上限値計算手段8には、上述した手法により原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を求めるための各種機能が備えられる。
すなわち、個別感度解析手段3は、各解析パラメータが互いに依存しないと仮定して各解析パラメータを個別にそれぞれ摂動させてプラント最適評価手段2に与えて動特性解析を実行させることにより、解析パラメータごとの原子炉圧力のピーク値に対する感度解析(以下、「個別感度解析」という)を行う機能と、個別感度解析の結果に基づいて比較的感度の高い解析パラメータを抽出して不確かさパラメータとして定義する機能を有する。
実験計画法サンプリング手段4は、実験計画法によるサンプリングを行って個別感度解析手段3により定義された不確かさパラメータをそれぞれの摂動条件に従って同時に変化させた組合せの解析ケースを複数通り設定する機能と、設定した解析ケースをプラント最適評価手段2に与えて動特性解析を実行させることにより、各不確かさパラメータを同時に変化させたときの原子炉圧力のピーク値に対する各不確かさパラメータの感度解析(以下、「同時変化感度解析」という)を行う機能とを有する。
この結果、実験計画法サンプリング手段4により不確かさパラメータをそれぞれ同時に変化させたときの原子炉圧力のピーク値の分布である同時変化分布が得られる。このため、不確かさパラメータと原子炉圧力のピーク値との定量的な関係を得ることができる。
また、実験計画法サンプリング手段4は、原子炉圧力のピーク値の同時変化分布を伝達関数作成手段5に与える機能を有する。
伝達関数作成手段5は、実験計画法サンプリング手段4による同時変化感度解析の結果得られた原子炉圧力のピーク値の同時変化分布に基づいて、不確かさパラメータと原子炉圧力のピーク値の上昇量についての伝達関数を最小二乗フィッティング等のフィッティングにより定式化する機能を有する。
モンテカルロ計算手段6は、伝達関数作成手段5により導かれた伝達関数のモンテカルロ計算により原子炉圧力のピーク値の分布を求める機能を有する。
また、以上の構成により、実験計画法サンプリング手段4、伝達関数作成手段5およびモンテカルロ計算手段6は、原子炉の圧力のピーク値の分布を求める手段として機能する。
正規性判定手段7は、モンテカルロ計算手段6により得られた原子炉圧力のピーク値の分布が正規分布とみなせるか否か、すなわち正規性を検定する機能を有する。
統計的上限値計算手段8は、モンテカルロ計算手段6により得られた原子炉圧力のピーク値の分布に基づいて、原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を求める機能を有する。この際、統計的上限値計算手段8は、正規性判定手段7により、原子炉圧力のピーク値の分布に正規性が認められると検定された場合には、区間推定により原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を求める一方、正規性が認められないと検定された場合には、順序統計により原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を求めるようにされる。
次に、逃がし安全弁容量評価システム1の作用について説明する。
図4は、図1に示す逃がし安全弁容量評価システム1により、実験計画法により得られた伝達関数を計算する方法で原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を計算する際の流れを示すフローチャートを示す。また、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
まず、ステップS1において、個別感度解析手段3は、沸騰水型原子力発電所10のベースケースにおけるプラントデータD1、例えば構成要素や部品のノミナル設計値等のプラントデータD1を基本的なベース条件における解析パラメータとしてプラント最適評価手段2に与えて動特性解析を実行させる。この結果、プラント最適評価手段2は、ベースケースの解析パラメータを用いてプラント最適評価コードを実行することにより原子炉圧力のピーク値のノミナル値を求め、個別感度解析手段3はプラント最適評価手段2から原子炉圧力のピーク値のノミナル値を受け取る。
ここで、プラント最適評価コードの解析パラメータには、実際には不確かさが存在し、解析結果である原子炉圧力のピーク値にも不確かさが存在する。このため、解析パラメータの不確かさから統計的手法を用いて原子炉圧力のピーク値の不確かさを数学的に定量的に得る必要があるが、解析パラメータは非常に多いため、全ての解析パラメータを用いて原子炉圧力のピーク値の不確かさを求めようとすると計算が煩雑となる。
そこで、原子炉圧力のピーク値に対する各解析パラメータが互いに依存しないと仮定した個別感度解析を行って感度の高い解析パラメータが抽出される。
まず、ステップS2において、解析パラメータの個別感度解析を実行する際における入力パラメータとなる解析パラメータの分布が図示しない入力手段により入力されて個別感度解析手段3に与えられる。解析パラメータの分布は、沸騰水型原子力発電所10における構成要素や部品の製造公差並びに検証試験データのばらつき等の分布データを用いることができる。
次に、ステップS3において、個別感度解析手段3は、解析パラメータの分布に基づいて、解析パラメータのノミナル値から変化させた解析パラメータを個別感度解析の入力データとして作成する。個別感度解析の入力データの求め方としては、解析パラメータが一様分布であると仮定する方法と、正規分布であると仮定する方法とで異なる。
解析パラメータが、計器類により直接計測できる出力値等の解析パラメータである場合には、一様分布と仮定することができる。この場合、解析パラメータの上下限値を個別感度解析の入力データとすることができる。解析パラメータの上下限値としては、例えば各プラントの設定値根拠書に記載された計器類の計器誤差を用いることができる。
また、解析パラメータが、機械的に直接制御できない解析パラメータである場合には、正規分布と仮定することができる。この場合、標準偏差から個別感度解析の入力データを求めることができる。
この際、解析パラメータの標準偏差は、プラント起動試験や小スケール試験等の各種試験による実験データから求めることができる。例えば、解析パラメータが熱流束である場合には、圧力、流量、温度等の条件を変化させて繰り返し試験が実施される。そして、試験により得られた実験データと、試験と同じ条件を模擬した動特性解析コードによる解析結果とを比較して実験値と解析値との差の分布を求めることにより、動特性解析コードの誤差を含んだ解析パラメータの不確かさを求めることができる。
ここで、解析パラメータの実験値と解析値との差は統計的に分布するため、その分布の指標である標準偏差は式(1)で示す一般の定義式で求めることができる。
Figure 2005283439
なお、解析パラメータを正規分布と仮定する場合に、解析パラメータの不確かさを求めるための試験の詳細については、Boyak et al., “Quantifying Reactor Safety Margins: Application of Code Scaling, Applicability, and Uncertainty Evaluation Methodology to a Large-Break, Loss-of-Coolant Accident,” NUREG/CR-5249,(1989).に記載されている。
次にステップS4において、個別感度解析手段3は、作成した個別感度解析の入力データを解析パラメータとしてプラント最適評価手段2に与えて動特性解析を実行させる。すなわち、個別感度解析手段3は、不確かさを有する解析パラメータを摂動させてプラント最適評価コードにより動特性解析を実行することにより、解析パラメータ不確かさの原子炉圧力のピーク値に対する個別感度解析を実行する。
この結果、プラント最適評価手段2は、解析パラメータの標準偏差や上下限値等の摂動条件に応じた原子炉圧力のピーク値を求め、個別感度解析手段3はプラント最適評価手段2から動特性解析結果である原子炉圧力のピーク値を受け取る。
次にステップS5において、個別感度解析手段3は、解析パラメータの摂動による原子炉圧力のピーク値の変化量すなわち解析パラメータを摂動させて得られた原子炉圧力のピーク値とベースケースにおける原子炉圧力のピーク値のノミナル値との差を求め、求めた差が予め定められた基準値よりも大きいか否かを判定する。
そして、個別感度解析手段3は、解析パラメータを摂動させて得られた原子炉圧力のピーク値と原子炉圧力のピーク値のノミナル値との差が基準値よりも大きいと判定した場合には、ステップS6において、その解析パラメータを不確かさパラメータとして定義する一方、基準値よりも大きいと判定しなかった場合には、その解析パラメータを不確かさパラメータとしては定義しない。
次にステップS7において、別の解析パラメータiが選択され、解析パラメータiについて再びステップS2からステップS6において、摂動による原子炉圧力のピーク値の変化量が大きい場合には、不確かさパラメータとして定義される。さらに同様な処理が各解析パラメータについて実施される。
この結果、各解析パラメータの原子炉圧力のピーク値に対する感度が得られ、感度が高い解析パラメータが抽出されて不確かさパラメータとして定義される。
図5は図1に示す個別感度解析手段3により得られた、解析パラメータの原子炉圧力のピーク値に対する個別感度解析結果の一例を表す図である。
図5において、縦軸は、解析パラメータのIDを示し、横軸は各解析パラメータを摂動条件に基づいて変化させた場合における原子炉圧力のピーク値の変化量、すなわち原子炉圧力のピーク値のノミナル値との差を示す。
図5に示すように感度解析の対象となる解析パラメータは、例えばパラメータAからパラメータXまである。各解析パラメータの原子炉圧力のピーク値に対する感度すなわち原子炉圧力のピーク値の変化量を比較すると、パラメータSやパラメータXは比較的感度が高く、パラメータMやパラメータOは比較的感度が低いことが分かる。
すなわち個別感度解析手段3は、解析パラメータを摂動させて変化させた場合におけるベースケースからの原子炉圧力のピーク値の変化量の大きさに基づいて解析パラメータの感度を評価し、比較的感度の高い解析パラメータを抽出して不確かさパラメータとして定義する。このため、不確かさパラメータを確率変数として取り扱うことにより原子炉圧力のピーク値の分布を統計的手法により求めることができる。
ここで、統計的手法により原子炉圧力のピーク値の分布を求める場合、計算簡略化のために実験計画法を利用して不確かさパラメータの同時変化感度解析を実施することが有効である。そこで、個別感度解析手段3は、定義した不確かさパラメータを実験計画法サンプリング手段4に与える。
そして、ステップS8において、実験計画法サンプリング手段4は、実験計画法によるサンプリングを行って個別感度解析手段3により定義された不確かさパラメータをそれぞれの摂動条件に従って同時に変化させた組合せの解析ケースを同時変化感度解析に用いる入力パラメータとして複数通り設定する。
図6は、図1に示す逃がし安全弁容量評価システム1により、実験計画法によるサンプリングにおいて設定される解析ケースの例を示す図である。
図6に示すように、各不確かさパラメータ(パラメータ1、パラメータ2、・・・)に、−1と+1とを割り当てて組み合わせることにより、複数の解析ケース(ケース1、ケース2、・・・)が作成される。そして、+1が割り当てられた解析パラメータを正側に摂動させる一方、−1が割り当てられた解析パラメータを負側に摂動させることにより、同時変化感度解析の入力パラメータを設定することができる。
ここで、不確かさパラメータが一様分布であり、確率が100%であると仮定される場合には、個別感度解析と同一の上下限値をそのまま同時変化感度解析の摂動条件とすることができる。すなわち、+1が割り当てられた解析パラメータについては上限値が、−1が割り当てられた解析パラメータについては下限値が同時変化感度解析の入力パラメータとして用いられる。
一方、不確かさパラメータが正規分布と仮定される場合には、不確かさパラメータが一定の値を超える確率が目標値以内となるような値を上限値および下限値として使用することができる。つまり、動特性解析結果の分布が適当な確率範囲に入るように適切な摂動条件を見積もることができる。
なお、動特性解析結果の分布が適当な確率範囲に入るように適切な摂動条件を見積もる方法については、例えば「確率・統計 薩摩順吉 岩波書店」等の一般的な確率統計の教科書に記載されている。すなわち、摂動条件は、標準偏差と正規分布の数表から求めることができる。
正規分布において、標準偏差をσとして、ある値μ±zσよりも外側の確率をαとした場合、正規分布の数表からz値に対する確率αを求めることができる。例えば、z値が1.65の場合には、正規分布の数表によれば確率αは、0.0495であるため、μ±1.65σよりも外側の確率は約5%となる。従って、片側確率95%(α≒0.05)をカバーする範囲は、μ+1.65σとなる。
ここで、確率範囲である片側確率95%は両側確率90%に相当するが、動特性解析結果が原子炉圧力のピーク値の分布であり上限値のみを検討するため、確率範囲は片側として設定した。
また、同時変化感度解析の結果である原子炉圧力のピーク値は複数の不確かさパラメータの摂動により得られるため、正確には原子炉圧力のピーク値の確率と不確かさパラメータの確率とは一致しない。そこで、例えば正規分布の数表を利用して原子炉圧力のピーク値の確率がおおよそ何%確率に相当するのかを見積もることができる。
例えば、原子炉圧力のピーク値の同時変化分布を片側確率95%(両側確率90%、およそμ+1.65σに相当)としたい場合には、正規分布と仮定した不確かさパラメータでχ±2σ(χはノミナル値)の範囲に入るのは正規分布の数表より両側確率97.7%(片側確率98.8%)であるため、不確かさパラメータの摂動条件をχ±2σとすれば、原子炉圧力のピーク値は少なくとも片側確率95%の範囲に入る程度であろうことを見積もることができる。このため、原子炉圧力のピーク値の同時変化分布を片側確率95%(両側確率90%)としたい場合には、χ±2σが不確かさパラメータの適切な摂動条件と考えられる。
次に、ステップS9において、実験計画法サンプリング手段4は、摂動条件に応じた不確かさパラメータの組合せとして設定した解析ケースをプラント最適評価手段2に与えてプラント最適評価コードによる動特性解析を実行させることにより、各解析パラメータの同時変化感度解析を実行する。
次に、ステップS10において、別の解析ケースnがプラント最適評価手段2に与えられて、再びステップS9において、解析ケースnについての同時変化感度解析が実行される。そして、各解析ケースn(1≦n≦解析ケースの総数)について繰り返し同時変化感度解析が実行され、不確かさパラメータをそれぞれ同時に変化させたときの原子炉圧力のピーク値の分布である同時変化分布が得られる。
そして、実験計画法サンプリング手段4は、原子炉圧力のピーク値の同時変化分布を伝達関数作成手段5に与える。
次に、ステップS11において、伝達関数作成手段5が、実験計画法サンプリング手段4から受けた原子炉圧力のピーク値の同時変化分布に基づいて、不確かさパラメータと原子炉圧力のピーク値の上昇量との定量的な関係を示す伝達関数を導出する。伝達関数の導出方法としては、例えば式(2)に示すように伝達関数を2次式として最小二乗フィッティングによりフィッティング係数を求めて定式化する方法がある。
Figure 2005283439
但し、
Y:原子炉圧力のピーク値の上昇量
f:伝達関数
、X、…、X:不確かさパラメータ
N:不確かさパラメータの数(個)
,c,cij:フィッティング係数
である。
すなわち、式(2)において、フィッティング係数が原子炉圧力のピーク値の同時変化分布からフィッティングにより求められる。
図7は、図1に示す逃がし安全弁容量評価システム1により、最小二乗フィッティングにより求められた伝達関数の一例をプロットした図である。
図7は、伝達関数Y=f(X、X、・・・、X)において、2つの不確かさパラメータX、Xをパラメータとして3次元的にプロットした図である。図7に示すように2つの不確かさパラメータをパラメータとしてプロットすると、原子炉圧力のピーク値Yは曲面で表される。
伝達関数作成手段5は、このようにして導出した伝達関数をモンテカルロ計算手段6に与える。
次に、ステップS12において、モンテカルロ計算手段6は、乱数を作成して伝達関数のモンテカルロ計算を実施する。モンテカルロ計算における乱数の作成方法は公知の方法を利用することができる。
一様分布に従う乱数は、公知の適切なアルゴリズムにより作成することができる。一様分布の乱数作成方法としては、例えば線型合同法が挙げられる。すなわち、式(3−1),式(3−2)により一様分布の乱数を作成することができる。
[数3]
i+1=ax+b(mod m) ……(3−1)
η=(β−α)ξ+α ……(3−2)
すなわち、式(3−1)により0≦ξ<mのランダムな整数の並びxが作成され、この整数の並びxをmで割ることにより0≦ξ<1の範囲で一様分布する乱数ξが得られる。さらに、式(3−2)により式(3−1)において得られた乱数ξを変数変換することによりα≦η<βの範囲で一様分布する乱数ηが得られる。
また、正規分布に従う乱数を作成する場合には、まず標準正規分布に従う標準正規乱数が生成される。ここで、標準正規乱数とは、平均がゼロ、分散が1で正規分布する乱数である。標準正規乱数の作成方法は様々な方法があるが、頻繁に用いられる方法として、Box−Muller法が挙げられる。Box−Muller法では、まず2つの一様分布に従う乱数ξ1、ξ2(0≦ξ1、ξ2<1)を作成し、これらを用いて式(4−1)、式(4−2)により2つの標準正規乱数X1、X2を生成する。
[数4]
X1=(−2logξ1)(1/2)sin(2πξ2) ……(4−1)
X2=(−2logξ1)(1/2)cos(2πξ2) ……(4−2)
さらに、標準正規乱数X1、X2を式(5−1)、式(5−2)で変数変換することにより、平均μ、標準偏差σで正規分布する乱数ηを作成することができる。
[数5]
η=σX1+μ ……(5−1)
η=σX2+μ ……(5−2)
そして、このような乱数を用いて伝達関数のモンテカルロ計算を実施することにより原子炉圧力のピーク値の分布が得られる。
図8は、図1に示す逃がし安全弁容量評価システム1により、不確かさパラメータと原子炉圧力のピーク値の上昇量についての伝達関数をモンテカルロ計算することにより得られた原子炉圧力のピーク値の分布図の一例を示す図である。
図8において、横軸は原子炉圧力のピーク値を示し、縦軸は原子炉圧力のピーク値の度数を示す。図8に示すように、原子炉圧力のピーク値の分布を得ることができる。
そして、モンテカルロ計算手段6は、原子炉圧力のピーク値の分布を正規性判定手段7に与える。
次に、ステップS13において、正規性判定手段7は、原子炉圧力のピーク値の分布に正規性が認められるか否か、すなわち正規分布とみなせるか否かを判定する。そして、原子炉圧力のピーク値の分布に正規性が認められる場合には、正規性が認められる旨の情報とともに原子炉圧力のピーク値の確率分布が統計的上限値計算手段8に与えられる一方、正規性が認められない場合には、正規性が認められない旨の情報とともに原子炉圧力のピーク値の分布が統計的上限値計算手段8に与えられる。
そして、原子炉圧力のピーク値の分布に正規性が認められる場合には、ステップS14において、統計的上限値計算手段8は、原子炉圧力のピーク値の分布から区間推定により原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を求める。
統計的上限値を求める際の確率p%は、実験計画法に基づいた同時変化感度解析で不確かさパラメータのバラツキの上下限値を定義する際に、不確かさパラメータの確率の上限値をどの程度まで網羅している値を用いるかで決定することができる。
また、原子炉圧力のピーク値の分布は、実験計画法によりプラント最適評価コードによる解析ケースが少なく設定されて得られたものであるが、これは実際の母集団から無作為抽出された標本と考えることができる。つまり、原子炉圧力のピーク値の統計的上限値は、母集団から標本を無作為抽出されたケースで過渡変化解析を行って得られた値であるため、統計的分布を持っている。
さらに、モンテカルロ計算の試行回数が十分に大きい場合には、原子炉圧力のピーク値の分布は正規分布の適合性が認められることが多い。そこで、原子炉圧力のピーク値の分布に正規性が認められる場合には、区間推定を用いて、ある信頼度q%で、その確率p%となる最も厳しい値を求め、この値を統計的上限値として評価を行うことができる。すなわち、正規分布の数表と、標準偏差、平均値等の統計値からある信頼度における統計的上限値を求めることができる。例えば、95%信頼度の統計的上限値の場合には、Pmax=μ+1.96σとなる。
一方、原子炉圧力のピーク値の分布に正規性が認められない場合には、ステップS15において、統計的上限値計算手段8は、原子炉圧力のピーク値の分布から順序統計により原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を求める。
順序統計による方法について説明する。任意の分布(distribution free)に従う母集団の、無作為抽出統計量Xが100α%点以内の分布領域に属する確率はα、100α%を超える確率は1−αで表される。このため、標本数をNとすると、r個の標本が100α%点以内であり、N−r個の標本が100α%を超える確率Pは、式(6)で表される。
[数6]
P=α(1−α)N−r ……(6)
ここで、N個の標本からr個の標本を選ぶ場合の組合せの数は、通りであるため、標本数Nのうちr個の標本、換言すればr番目に大きい標本が少なくとも100α%確率点以内の分布領域に属する確率Prは式(7)で表され、二項分布に従う。
Figure 2005283439
従って、信頼度をβとすると、確率Prは信頼度β以上であればよいことになるため、式(8)の不等式が成立する。
Figure 2005283439
ここで式(8)において、r=N、r=N−1、r=N−2とすると、式(9−1),式(9−2)、式(9−3)がそれぞれ導かれる。
Figure 2005283439
さらに式(9−1),式(9−2)、式(9−3)において、例えば95%確率95%信頼度の場合には、α=β=0.95となる。このとき式(9−1),式(9−2)、式(9−3)をそれぞれ満たす最大のNは59、93、124となる。これらの結果は、rが統計量の大きさの順位を示し、95%確率95%信頼度の場合、上限値は59≦N≦92のときr=N、93≦N≦123のときr=N−1となることを意味する。
すなわち、標本数である原子炉圧力のピーク値の数(同時変化感度解析の解析ケースの数)が59から92個である場合には、全ての原子炉圧力のピーク値が少なくとも95%確率95%信頼度を満たすため、一番大きい原子炉圧力のピーク値を統計的上限値とすることができる。また、原子炉圧力のピーク値の数が93から123個である場合には、1つのデータを除く全ての原子炉圧力のピーク値が少なくとも95%確率95%信頼度を満たすため、2番目に大きい値を統計的上限値とすることができる。
このため、例えば同時変化感度解析の解析ケースの数が100ケースの場合において、原子炉圧力のピーク値の分布に正規性が認められない場合には、2番目に大きい原子炉圧力のピーク値を統計的上限値とすることができる。
さらに、ステップS16において、このようにして求められた原子炉圧力のピーク値の統計的上限値が、統計的上限値計算手段8により図示しない出力装置に与えられて出力される。
ここで、逃がし安全弁26の数や容量等の設計値もプラント最適評価コードの解析パラメータの1つであるため、逃がし安全弁26の設計値を変化させて、逃がし安全弁26の設計値ごとに、同様の手順でそれぞれ伝達関数が導かれて原子炉圧力のピーク値の分布が得られる。
そして、逃がし安全弁26の設計値ごとに原子炉圧力のピーク値の分布から例えば95%確率95%信頼度となる場合における原子炉圧力のピーク値の統計的上限値が求められ、原子炉圧力のピーク値の統計的上限値となっても逃がし安全弁26の各設計値により十分に原子炉圧力の過剰な増加を回避できるか否かにより逃がし安全弁26の各設計値が評価される。
換言すれば、逃がし安全弁容量評価システム1によれば、逃がし安全弁26の弁数及び容量における適正な安全余裕を統計的手法により求めた原子炉圧力のピーク値の統計的上限値から求めることができる。そして、逃がし安全弁容量評価システム1によれば、従来よりも精度よく原子力発電所等の設備の動特性解析を実行することにより安全余裕を小さく設定し、より適切な逃がし安全弁26の弁数及び容量を設計することができる。
図9は図1に示す逃がし安全弁容量評価システム1により統計的手法を用いて得られた原子炉圧力のピーク値の統計的上限値と従来の逃がし安全弁容量評価手法により得られた原子炉圧力のピーク値の一例を比較した図である。
図9において横軸は、逃がし安全弁26の弁数を示し、縦軸は、原子炉圧力のピーク値を示す。また、図9中の実線は、逃がし安全弁容量評価システム1により統計的手法を用いて得られた原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を示すデータAであり、点線は従来の逃がし安全弁容量評価手法により得られた原子炉圧力のピーク値を示すデータBである。
さらに、図9中の一点鎖線は、沸騰水型原子力発電所10に必要な逃がし安全弁26の容量となる原子炉圧力のピーク値の判断基準Cを示す。沸騰水型原子力発電所10における原子炉圧力のピーク値の判断基準Cは、例えば、沸騰水型原子力発電所10の最高使用圧力の1.1倍に設定される。
図9の従来の逃がし安全弁容量評価手法により得られた原子炉圧力のピーク値を示すデータBによれば、原子炉圧力のピーク値は、ベースとなる逃がし安全弁26の弁数において、既に逃がし安全弁26の弁数を減少させると原子炉圧力のピーク値のデータBが増加して原子炉圧力のピーク値の判断基準Cを超過することが分かる。
一方、図9の逃がし安全弁容量評価システム1により統計的手法を用いて得られた原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を示すデータAによれば、原子炉圧力のピーク値の統計的上限値は、ベースとなる逃がし安全弁26の弁数において原子炉圧力のピーク値の判断基準Cよりも十分に小さいことがわかる。
さらに、逃がし安全弁容量評価システム1による原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を示すデータAによれば、逃がし安全弁26の弁数を減少させると次第に、原子炉圧力のピーク値の統計的上限値が増加し、逃がし安全弁26の弁数をベースとなる逃がし安全弁26の弁数よりも4つ少なくしたときの原子炉圧力のピーク値の統計的上限値が原子炉圧力のピーク値の判断基準Cの値とおおよそ一致することが分かる。このため、逃がし安全弁容量評価システム1を用いて逃がし安全弁26の弁数あるいは容量を評価すれば、逃がし安全弁26の弁数をベースとなる逃がし安全弁26の弁数よりも少なくできるということが分かる。
すなわち、逃がし安全弁容量評価システム1を用いれば、より正確に沸騰水型原子力発電所10における原子炉圧力のピーク値を解析できるため、過大な安全余裕を回避させて、より適切で少ない逃がし安全弁26の弁数あるいは容量を設計することが可能となる。
図10は、本発明に係る逃がし安全弁容量評価システムの第2の実施形態を示す構成図である。
図10に示された逃がし安全弁容量評価システム1Aは、実験計画法サンプリング手段4、伝達関数作成手段5およびモンテカルロ計算手段6をモンテカルロサンプリング手段40に置換した点が、図1に示す逃がし安全弁容量評価システムと相違する。他の構成および作用については、図1に示す逃がし安全弁容量評価システムと実質的に同等であるため、同等な構成には同符号を付して説明を省略する。
逃がし安全弁容量評価システム1Aは、個別感度解析手段3により定義された不確かさパラメータを用いてモンテカルロサンプリング手段40により同時変化感度解析を実行することにより、原子炉圧力のピーク値の分布を求める機能を有する。すなわち、モンテカルロサンプリング手段40は、不確かさパラメータの摂動条件の組合せをランダムに複数の解析ケースとして設定し、設定した解析ケースをプラント最適評価手段2に与えて動特性解析を実行させることにより、原子炉圧力のピーク値に対する各不確かさパラメータの同時変化感度解析を行う機能を有する。
つまり、モンテカルロサンプリング手段40は、原子炉の圧力のピーク値の分布を求める手段として機能する。
そして、正規性判定手段7は、モンテカルロサンプリング手段40により得られた原子炉圧力のピーク値の分布に対して正規性を検定するようにされる。
次に逃がし安全弁容量評価システム1Aの作用について説明する。
図11は、図10に示す逃がし安全弁容量評価システム1Aにより、直接モンテカルロ法で原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を計算する際の流れを示すフローチャートを示す。また、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示し、図4と同等なステップについては同符号を付して説明を省略する。
まず図4に示すフローチャートと同様に、ステップS1からステップS7において不確かさパラメータが定義される。
次に、ステップS20において、モンテカルロサンプリング手段40が、モンテカルロサンプリングによって、すなわちモンテカルロ法により各不確かさパラメータの統計的分布に基づいた乱数を発生させて、ランダムに不確かさパラメータの同時変化感度解析における摂動条件の複数の組合せを解析ケースとして設定する。
次に、ステップS21において、モンテカルロサンプリング手段40は、設定した解析ケースをプラント最適評価手段2に与えて動特性解析を実行させることにより、原子炉圧力のピーク値に対する各不確かさパラメータの同時変化感度解析を行う。
次に、ステップS22において、別の解析ケースnがプラント最適評価手段2に与えられて、再びステップS21において、解析ケースnについての同時変化感度解析が実行される。そして、各解析ケースn(1≦n≦解析ケースの総数)について繰り返し同時変化感度解析が実行され、不確かさパラメータをそれぞれ同時に摂動させて変化させたときの原子炉圧力のピーク値の分布が得られる。
そして、モンテカルロサンプリング手段40は、原子炉圧力のピーク値の分布を正規性判定手段7に与え、図4のフローチャートと同様にステップS13からステップS16において、原子炉圧力のピーク値の分布の正規性が検定され、さらに正規性の有無により区間推定あるいは順序統計に基づいて原子炉圧力のピーク値の統計的上限値が求められて出力される。
なお、原子炉圧力のピーク値の同時変化分布が確率分布形とならない場合には、ノンパラメトリック法が適用され、順序統計に基づいて原子炉圧力のピーク値の統計的上限値が求められる。
図12は、図10に示す逃がし安全弁容量評価システム1Aにより、直接モンテカルロ法を用いて得られた各解析ケースにおける原子炉圧力のピーク値の分布と統計的上限値の一例を示す図である。
図12において、横軸は解析ケースを示し、縦軸は原子炉圧力のピーク値を示す。また、図12中の丸印は、各解析ケースで動特性解析を実行して得られた原子炉圧力のピーク値を示す。さらに図12中の実線は、原子炉圧力のピーク値の平均値Dを示し、点線は原子炉圧力のピーク値のノミナル値Eを示す。
図12に示すように、各解析ケースにおける原子炉圧力のピーク値が、原子炉圧力のピーク値の平均値Dあるいはノミナル値Eをおおよそ中心として、プラス領域およびマイナス領域の双方においてランダムな値となる場合は、原子炉圧力のピーク値の分布には正規性が認められず、ノンパラメトリック法を用いる。
そこで、順序統計に基づいて、例えば解析ケースの数が100で、95%確率95%信頼度とする場合には、式(8)において、N=100、α=β=0.95として2番目に大きな原子炉圧力のピーク値が統計的上限値として求められる。
図12において2番目に大きな原子炉圧力のピーク値は、曲線Fで囲んだ丸印で示す原子炉圧力のピーク値Gであるため、この曲線Fで囲んだ丸印で示す原子炉圧力のピーク値Gを、原子炉圧力の統計的上限値とすることができる。
なお、95%確率95%信頼度の場合に、逃がし安全弁容量評価システム1Aにより直接モンテカルロ法で得られた原子炉圧力のピーク値の統計的上限値Gは、図1に示す逃がし安全弁容量評価システム1により、実験計画法により得られた伝達関数を計算する方法で得られた原子炉圧力のピーク値とほぼ同等の値となる。
以上のような、逃がし安全弁容量評価システム1Aは、モンテカルロサンプリングによってランダムに設定した不確かさパラメータの解析ケースを用いて原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を求めるものである。
このため、逃がし安全弁容量評価システム1Aによれば、原子炉圧力のピーク値の統計的上限値をより精度よく求めることができるため、図1に示す逃がし安全弁容量評価システム1と同様な効果を得ることができる。
本発明に係る逃がし安全弁容量評価システムの第1の実施形態を示す構成図。 図1に示す逃がし安全弁容量評価システムの適用対象の一例である沸騰水型原子力発電所の概略構成図。 図2に示す逃がし安全弁の構造図。 図1に示す逃がし安全弁容量評価システムにより、実験計画法により得られた伝達関数を計算する方法で原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を計算する際の流れを示すフローチャート。 図1に示す個別感度解析手段により得られた、解析パラメータの原子炉圧力のピーク値に対する個別感度解析結果の一例を表す図。 図1に示す逃がし安全弁容量評価システムにより、実験計画法によるサンプリングにおいて設定される解析ケースの例を示す図。 図1に示す逃がし安全弁容量評価システムにより、最小二乗フィッティングにより求められた伝達関数の一例をプロットした図。 図1に示すモンテカルロ計算手段により、解析パラメータと原子炉圧力のピーク値の上昇量についての伝達関数をモンテカルロ計算することにより得られた原子炉圧力のピーク値の確率分布図の一例を示す図。 図1に示す逃がし安全弁容量評価システム1により統計的手法を用いて得られた原子炉圧力のピーク値の統計的上限値と従来の逃がし安全弁容量評価手法により得られた原子炉圧力のピーク値の一例を比較した図。 本発明に係る逃がし安全弁容量評価システムの第2の実施形態を示す構成図。 図10に示す逃がし安全弁容量評価システムにより、直接モンテカルロ法で原子炉圧力のピーク値の統計的上限値を計算する際の流れを示すフローチャート。 図10に示す逃がし安全弁容量評価システムにより、直接モンテカルロ法を用いて得られた各解析ケースにおける原子炉圧力のピーク値の分布と統計的上限値の一例を示す図。
符号の説明
1,1A 逃がし安全弁容量評価システム
2 プラント最適評価手段
3 個別感度解析手段
4 実験計画法サンプリング手段
5 伝達関数作成手段
6 モンテカルロ計算手段
7 正規性判定手段
8 統計的上限値計算手段
10 沸騰水型原子力発電所
11 原子炉系
12 主蒸気系
13 再循環系
14 原子炉格納容器
15 原子炉
16 循環路
17 再循環ポンプ
18 タービン
19 復水器
20 主蒸気管
21 発電機
22 主蒸気隔離弁
23 タービン主蒸気止め弁
24 タービン主蒸気加減弁
25 タービンバイパス弁
26 逃がし安全弁
27 排気管
28 サプレッションプール
30 アクチュエータ
31 弁本体
32 ボディ
33 スプリング
34 弁体
35 弁棒
36 弁座
37 入口
38 出口
39 流路
40 モンテカルロサンプリング手段
A 統計的手法を用いて得られた原子炉圧力のピーク値を示すデータ
B 従来の逃がし安全弁容量評価手法により得られた原子炉圧力のピーク値を示すデータ
C 原子炉圧力のピーク値の判断基準
D 原子炉圧力のピーク値の平均値
E 原子炉圧力のピーク値のノミナル値
F 曲線
G 2番目に大きな原子炉圧力のピーク値
Y 蒸気

Claims (8)

  1. 原子炉の動特性解析を実行するための解析コードに入力される解析パラメータを摂動させて前記原子炉の圧力のピーク値の分布を求めるステップと、前記原子炉の圧力のピーク値の分布の統計的上限値を求めるステップとを有することを特徴とする逃がし安全弁容量評価方法。
  2. 前記解析パラメータの摂動条件を同時に変化させた組合せを実験計画法によるサンプリングを行って複数の解析ケースとして設定し、設定した解析ケースを用いた動特性解析結果から求めた伝達関数のモンテカルロ計算を行うことにより前記原子炉の圧力のピーク値の分布を求めることを特徴とする請求項1記載の逃がし安全弁容量評価方法。
  3. 前記解析パラメータの摂動条件を同時に変化させた組合せをモンテカルロ法によるサンプリングを行って複数のランダムな解析ケースとして設定し、設定した解析ケースを用いて動特性解析を実行することにより前記原子炉の圧力のピーク値の分布を求めることを特徴とする請求項1記載の逃がし安全弁容量評価方法。
  4. 前記原子炉の圧力のピーク値の分布を求めるために用いる前記解析パラメータを前記原子炉の圧力のピーク値に対する個別の感度が一定の基準値を超える不確かさパラメータとすることを特徴とする請求項1記載の逃がし安全弁容量評価方法。
  5. 前記原子炉の圧力のピーク値の分布に正規性が認められる場合には、区間推定に基づいて前記原子炉の圧力のピーク値の統計的上限値を求めることを特徴とする請求項1記載の逃がし安全弁容量評価方法。
  6. 前記原子炉の圧力のピーク値の分布に正規性が認められない場合には、順序統計に基づいて前記原子炉の圧力のピーク値の統計的上限値を求めることを特徴とする請求項1記載の逃がし安全弁容量評価方法。
  7. 前記解析コードを、前記原子炉の炉心の核熱水力体系を3次元モデルとするとともに、前記炉心やベッセルを多数のノードに分割し、分割された各ノードにおける2相流体の各相について、質量、エネルギ、運動量の保存式を組合せて計算することにより原子炉の過渡変化を解析するプラント最適評価コードとしたことを特徴とする請求項1記載の逃がし安全弁容量評価方法。
  8. コンピュータを、原子炉の動特性解析を実行するための解析コードに入力される解析パラメータを摂動させて前記原子炉の圧力のピーク値の分布を求める手段および前記原子炉の圧力のピーク値の分布の統計的上限値を求める統計的上限値計算手段として機能させることを特徴とする逃がし安全弁容量評価プログラム。
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