JP2005281707A - 生分解性の潤滑油用基油および潤滑油組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】油脂、脂肪族カルボン酸、及びアルキレンオキシドを原料として用い、これらを混合した状態でアルキレンオキシドの付加反応とエステル交換反応を行うことによって得られる油脂誘導体からなる生分解性の潤滑油用基油、並びに前記潤滑油用基油を50重量%以上含有してなる生分解性の潤滑油組成物。
【選択図】なし
Description
しかしながら、これらの天然油脂を主成分とするものは生分解性に優れるものの天然油脂中に不飽和結合が多い為、酸化劣化を受けやすく熱酸化安定性に問題がある。
また、環境汚染防止の為に、自然界に漏洩することの多い油圧作動油及びグリース油はより高い生分解性が要求されるが、生分解性に優れるとともに熱酸化安定性に優れた油圧作動油及びグリース油は従来知られていなかった。
(1) 油脂、脂肪族カルボン酸、及びアルキレンオキシドを原料として用い、これらを混合した状態でアルキレンオキシドの付加反応とエステル交換反応を行うことによって得られる油脂誘導体からなる生分解性の潤滑油用基油、並びに
(2) 前記潤滑油用基油を50重量%以上含有してなる生分解性の潤滑油組成物、に関する。
なお、以下の説明において、態様別に記載されていない部分は、両態様に共通する内容である。
天然油脂としては、ヤシ油、パーム油、パーム核油、オリーブ油、大豆油、ナタネ油、棉実油、アマニ油、ヒマワリ油、サフラワー油、コーン油、ゴマ油、ヒマシ油などの植物油、牛脂、豚脂、骨油などの動物油、イワシ油、サバ油、サメ肝油などの魚油およびこれらの油脂の精製工程で得られる回収油等が挙げられる。
硬化油脂としては、上記天然油脂および合成油脂を水素添加することでそのアルキル鎖中の不飽和結合の全部或いは一部を飽和結合へ還元したものである。
また、低温流動性の面からは平均炭素数16以下、特に平均炭素数8〜16の炭化水素基を含有するもの、例えばヤシ油やパーム核油等が好ましい。
これらのうち、好ましくはグリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、エチレングリコールが用いられる。
また、炭素数4〜20の直鎖および分岐ジカルボン酸の具体例として、コハク酸、アジピン酸等の飽和ジカルボン酸;マレイン酸、フマール酸、アルケニルコハク酸等の不飽和ジカルボン酸等が用いられる。
これら (1)〜(4) の脂肪族カルボン酸の中でも、生分解性、低温流動性及び熱酸化安定性の点から、(1) の炭素数1〜12の直鎖モノカルボン酸がより好ましい。
ここで低温流動性とは、0℃以下の温度における流動性をいう。
具体的には反応に用いるアルキレンオキシドの使用モル数が大きくなるほど生分解性が低下し、少なくなるほど低温流動性が低下することから、反応に用いるアルキレンオキシドは油脂1モル(即ち、油脂中のグリセリン部1モル)に対して5〜150モルであり、5〜90モルがより好ましく、5〜50モルが更に好ましく、特に好ましくは9〜30モルである。
Z−O−(AO)c−Z (II)
(式中、AOはアルキレンオキシドを表し、c>1、Zは水素またはR’CO基(R’は脂肪族カルボン酸又は油脂由来のアルキル基)で少なくとも1つはR’CO基である。)
一般式(III) は、油脂と多価アルコールのアルキレンオキシド付加物とのエステル交換反応により得られるグリセリン誘導体の遊離の水酸基へのアルキレンオキシドの付加反応、及びグリセリン誘導体のアルキレンオキシド付加物と反応混合液中に存在する他の化合物とのエステル交換反応などにより得られる化合物の構造を示す。
Z−O−(AO)c−Z (V)
(式中、AOはアルキレンオキシドを表し、c>1、Zは水素またはR’CO基(R’は脂肪族カルボン酸又は油脂由来のアルキル基)で少なくとも1つはR’CO基である。)
5Lのオートクレーブにヤシ油673g(1モル,ヨウ素価11)、グリセリン414g(4.5モル)および水酸化カリウム1.7gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド1320g(30モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、酢酸を加えてpH6に中和した。この反応生成物のヨウ素価は2.8Ig/100g、100℃における動粘度10.2mm2/s であった。
なお、ヤシ油のモル数は、ヤシ油の組成をトリグリセリド体100%であると仮定して、その鹸化価より求めた平均分子量を基準とした。以下の実施例における油脂のモル数についても同様である。また、動粘度は、JIS K−2283により測定した。以下の実施例における動粘度についても同様に測定した。
5Lのオートクレーブに硬化パーム油841g(1モル,ヨウ素価0.9)、パルミチン酸514g(2モル)、グリセリン230g(2.5モル)および水酸化カリウム1.7gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド2200g(50モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、酢酸を加えてpH6に中和した。この反応生成物のヨウ素価は0.2Ig/100g、100℃における動粘度15.7mm2/s であった。
5Lのオートクレーブにナタネ油990g(1モル,ヨウ素価100)、グリセリン184g(2モル)および水酸化カリウム1.7gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド440g(10モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、酢酸を加えてpH6に中和した。この反応生成物のヨウ素価は61.3Ig/100g、100℃における動粘度7.4mm2/s であった。
5Lのオートクレーブに大豆油886g(1モル,ヨウ素価102)、グリセリン46g(0.5モル)および水酸化カリウム1.7gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド880g(20モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、酢酸を加えてpH6に中和した。この反応生成物のヨウ素価は48.9Ig/100g、100℃における動粘度16.3mm2/s であった。
実施例1で得られた反応生成物80重量部に、合成エステル(ペンタエリスリトールのC8 〜C1 8直鎖脂肪酸エステルよりなる潤滑油用基油)20重量部を配合した。
5Lのオートクレーブにパーム核油687g(1モル,ヨウ素価18)、グリセリン92g(1モル)および水酸化カリウム1.1gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド880g(20モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)9gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。この反応生成物のヨウ素価は7.5Ig/100g、100℃における動粘度10.7mm2/s であった。
5Lのオートクレーブにヤシ油673g(1モル,ヨウ素価11)、トリメチロールプロパン134g(0.5モル)および水酸化カリウム1.1gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド1188g(27モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)9gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。この反応生成物のヨウ素価は3.8Ig/100g、100℃における動粘度10.7mm2/s であった。
5Lのオートクレーブにヤシ油673g(1モル,ヨウ素価11)、エチレングリコール62g(1モル)および水酸化カリウム1.1gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド660g(15モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)9gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。この反応生成物のヨウ素価は5.3Ig/100g、100℃における動粘度9.4mm2/s であった。
5Lのオートクレーブにヤシ油673g(1モル,ヨウ素価11)、2−エチルヘキサン酸288g(2モル)及び水酸化カリウム1.1gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキサイド881g(20モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキサイドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)9gを加えて30分間攪拌したのちろ過した。この反応生成物はヨウ素価3.0、100℃における動粘度5.2mm2/s であった。
5Lのオートクレーブにヤシ油1346g(2モル)、グリセリン55.2g(0.6モル)および水酸化カリウム9gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド・プロピレンオキシド混合物(エチレンオキシド:プロピレンオキシドの混合割合は40モル%:60モル%)1258g(24モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシド・プロピレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)50gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。
5Lのオートクレーブにヤシ油1346g(2モル)、グリセリン55.2g(0.6モル)および水酸化カリウム9gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、プロピレンオキシド1856g(32モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。プロピレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)50gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。
5Lのオートクレーブにヤシ油673g(1モル、ヨウ素化11)、C36ダイマー酸(Empol 1008、ヘンケル社製)585g(0.5モル)および水酸化カリウム2.8gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキサイド705g(16モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキサイドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和科学工業製)20gを加えて30分間攪拌したのちろ過した。この反応生成物はヨウ素価4.2、100℃における動粘度19.1mm2/s であった。
5Lのオートクレーブにヤシ油673g(1モル,ヨウ素価11)、カプリル酸725g(5モル)および水酸化カリウム1.1gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキサイド1410g(32モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキサイドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和科学工業製)9gを加えて30分間攪拌したのちろ過した。この反応生成物のヨウ素価2.4、100℃における動粘度8.6mm2/s であった。
5Lのオートクレーブにパーム油687g(1モル,ヨウ素価18)、2−エチルヘキサン酸288g(2モル)および水酸化カリウム1.1gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキサイド881g(20モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキサイドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和科学工業製)9gを加えて30分間攪拌したのちろ過した。この反応生成物のヨウ素価4.3、100℃における動粘度6.1mm2/s であった。
5Lのオートクレーブにヤシ油673g(1モル)、グリセリン92g(1モル)および水酸化カリウム1.7gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド1056g(24モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却した。
次いで、ヤシ脂肪酸メチルエステル*1(商品名:エキセパールMC、花王(株)製)660gを加え、120℃、10Torrの条件まで、徐々に減圧しながら加熱した。途中、副生するメタノールを順次回収した。
反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)14gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。この反応生成物のヨウ素価は3.5Ig/100g、酸価0.4mgKOH/g、水酸基価18mgKOH/g、100℃における粘度10.2mm2 /sであった。
*1 :C8〜C18脂肪族カルボン酸の混合物
5Lのオートクレーブにヤシ油673g(1モル)、トリメチロールプロパン134g(0.5モル)および水酸化カリウム1.1gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド396g(9モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却した。
次いで、ヤシ脂肪酸メチルエステル(商品名:エキセパールMC、花王(株)製)330gを加え、120℃、10Torrの条件まで、徐々に減圧しながら加熱した。途中、副生するメタノールを順次回収した。
反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)9gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。この反応生成物のヨウ素価は5.2Ig/100g、酸価0.6mgKOH/g、水酸基価46mgKOH/g、100℃における粘度8.1mm2 /sであった。
5Lのオートクレーブにパーム核油687g(1モル、ヨウ素価18)、グリセリン46g(0.5モル)及び水酸化カリウム1.7gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド594g(13.5モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)14gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。
次いで、カプリル酸(商品名:ルナック8−98、花王(株)製)70gを加え、210℃まで加熱、反応させた後、5Torrまで徐々に減圧し、未反応の脂肪族カルボン酸を留去した。
この反応生成物のヨウ素価8.9Ig/100g、酸価0.5mgKOH/g、水酸基価10mgKOH/g、100℃における粘度9.2mm2 /sであった。
5Lのオートクレーブにパーム核油687g(1モル、ヨウ素価18)、グリセリン46g(0.5モル)及び水酸化カリウム1.7gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド594g(13.5モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)14gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。
次いで、2−エチルヘキサン酸72gを加え、210℃まで加熱、反応させた後、5Torrまで徐々に減圧し、未反応の脂肪族カルボン酸を留去した。
この反応生成物のヨウ素価9.5Ig/100g、酸価0.6mgKOH/g、水酸基価13mgKOH/g、100℃における粘度10.1mm2 /sであった。
5Lのオートクレーブにヤシ油1346g(2モル)、グリセリン55.2g(0.6モル)および水酸化カリウム3gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド1056g(24モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)24gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。
5Lのオートクレーブにヤシ油1346g(2モル)、エチレングリコール55.8g(0.9モル)および水酸化カリウム9gを仕込み、窒素気流下、120℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド・プロピレンオキシド混合物(エチレンオキシド:プロピレンオキシドの混合割合は20モル%:80モル%)1713g(31モル)を120℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシド・プロピレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)50gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。
5Lのオートクレーブにヤシ油673g(1モル)、エチレングリコール27.9g(0.45モル)および水酸化カリウム4.5gを仕込み、窒素気流下、120℃まで昇温し、エチレンオキシド138g(3.1モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。次いで、120℃まで冷却し、プロピレンオキシド720g(12.4モル)を反応させた。その後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)25gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。
この反応生成物のヨウ素価は7.0Ig/100g、酸価0.6mgKOH/g、水酸基価62mgKOH/g、100℃における粘度9.2mm2 /sであった。
5Lのオートクレーブにヤシ油673g(1モル)、エチレングリコール27.9g(0.45モル)および水酸化カリウム4.5gを仕込み、窒素気流下、120℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド・プロピレンオキシド混合物(エチレンオキシド:プロピレンオキシドの混合割合は20モル%:80モル%)2155g(39モル)を120℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシド・プロピレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)25gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。
この反応生成物のヨウ素価は2.1Ig/100g、酸価0.4mgKOH/g、水酸基価19mgKOH/g、100℃における粘度15.4mm2 /sであった。
5Lのオートクレーブにヤシ油1346g(2モル)、グリセリン55.2g(0.6モル)および水酸化カリウム3gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド660g(15モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)24gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。
この反応生成物のヨウ素価は5.7Ig/100g、酸価0.5mgKOH/g、水酸基価54mgKOH/g、100℃における粘度8.2mm2 /sであった。
本発明で得られた実施例11及び19の油脂誘導体の赤外線吸収スペクトル(日立製作所製、270形赤外分光光度計を使用)およびプロトン核磁気共鳴スペクトル(ブルーカー製、AC200Pを使用)のデータを以下に示した。これらのデータにより、実施例11及び19で得られた油脂誘導体は、一般式(III) で表される化合物であることが分かった。
IR(NEAT、cm−1)
3500(O−H伸縮)、2925、2855(C−H伸縮)、1732(C=O伸縮)、1460(C−H変角)、1100(C−O伸縮)
1H NMR(CDC13 、δppm)
a:0.8〜1.0、多重線、9H
b:1.1〜1.2、多重線、42H
c:1.2〜1.5、多重線、50H
d:1.5〜1.7、多重線、6H
e:2.2〜2.4、三重線、6H
f:3.1〜4.0、多重線、53H
g:5.0〜5.2、多重線、3H
IR(NEAT、cm−1)
3500(O−H伸縮)、2925、2855(C−H伸縮)、1738(C=O伸縮)、1460(C−H変角)、1120(C−O伸縮)
1H NMR(CDC13 、δppm)
a:0.8〜1.0、多重線、9H
b:1.1〜1.5、多重線、54H
c:1.5〜1.7、多重線、6H
d:2.2〜2.4、多重線、6H
e:3.4〜3.9、三重線、52H
f:4.2〜4.3、多重線、6H
なお、本発明で述べた実施例の効果を比較するために、比較例1として市販のパラフィン系鉱物油(粘度分類:SAE10W)、比較例2として市販のナタネ油(ヨウ素価118.3Ig/100g)を用いた。
5Lのオートクレーブにヤシ油1346g(2モル)、グリセリン55.2g(0.6モル)および水酸化カリウム3gを仕込み、窒素気流下、150℃まで昇温した。次いで、エチレンオキシド264g(6モル)を150℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。エチレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)24gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。
この反応生成物のヨウ素価は7.0Ig/100g、酸価0.4mgKOH/g、水酸基価64mgKOH/g、100℃における粘度7.6mm2 /sであった。
5Lのオートクレーブにナタネ油1980g(2モル)、グリセリン55.2g(0.6モル)および水酸化カリウム6gを仕込み、窒素気流下、120℃まで昇温した。次いで、プロピレンオキシド349g(6モル)を120℃、圧力3.5kg/cm2 の条件で少しずつ反応させた。プロピレンオキシドの付加反応後、反応液を80℃まで冷却し、吸着剤(キョーワード600S、協和化学工業製)48gを加えて30分間攪拌したのち濾過した。
この反応生成物のヨウ素価は155Ig/100g、酸価0.6mgKOH/g、水酸基価45mgKOH/g、100℃における粘度8.5mm2 /sであった。
<生分解性試験>
実施例および比較例の生分解性をOECD 301B試験またはCEC−L33−A−93試験に準じて測定した試験結果を表1及び表2に示した。
OECD(Organizationfor Economic Co-operation and Development) による301B試験に準じた試験では、試料中に含まれる炭素から計算されるCO2 の理論発生量に対して、バクテリア分解によって発生するCO2 ガス量(試験日数は28日間)が60%以上を生分解性ありと判定している。実施例1〜9、12〜18の潤滑油用基油の生分解率はいずれも60%以上であった。
<熱酸化安定性試験>
潤滑油酸化安定度試験(JIS−K2514)に準じて、試験温度165.5℃、試験時間24時間にて試験した。その結果を表3に示す。
ナタネ油と比較して、本発明の実施例の潤滑油用基油はいずれも全酸価の増加量及び粘度増加率が低い値であり、熱酸化安定性が優れていることを示した。
<相溶性試験>
本発明で得られた生分解性基油の相溶性を調べることを目的として、鉱物油との相溶性を以下の方法で測定した。本発明の生分解性基油を鉱物油(日本石油製、スーパーオイルA)に対して10重量%、30重量%、50重量%、90重量%の割合になるように、200ml混合容器にそれぞれ100g(生分解性基油+鉱物油)入れた。60℃にて、約200rpmで10分、攪拌混合した。次いで、100mlのスクリュー管に移し、60℃の恒温槽にて、24時間静置した後の外観を観察した。その結果を表4にまとめた。
<潤滑性試験>
油圧作動油の潤滑性評価試験としてよく使用されるASTM−D−2783試験法に記載されている四球試験機を用いて、荷重30kgfおよび60kgf、回転数1200rpm、試験時間20分の条件で試験を行った。表5に各試験油における試験球の摩耗痕径(mm)をまとめた。
Claims (13)
- 油脂、脂肪族カルボン酸、及びアルキレンオキシドを原料として用い、これらを混合した状態でアルキレンオキシドの付加反応とエステル交換反応を行うことによって得られる油脂誘導体からなる生分解性の潤滑油用基油。
- 油脂1モルに対して5〜150モルのアルキレンオキシドを用いることで得られる請求項1記載の生分解性の潤滑油用基油。
- (1) 炭素数1〜12の直鎖モノカルボン酸、(2) 炭素数4〜20の分岐モノカルボン酸、(3) 炭素数4〜20の直鎖および分岐ジカルボン酸、及び(4) 炭素数3〜18の不飽和カルボン酸の多量化反応により得られる多価カルボン酸、からなる群より選ばれる少なくとも1つの脂肪族カルボン酸を用いて得られる請求項1又は2記載の生分解性の潤滑油用基油。
- ヨウ素価が50(Ig/100g)以下である請求項1〜3いずれか記載の生分解性の潤滑油用基油。
- 油脂1モルに対して9〜90モルのアルキレンオキシドを用い、かつ、アルキレンオキシドに占めるエチレンオキシドの割合が40〜100モル%、プロピレンオキシドの割合が0〜60モル%である請求項1〜4いずれか記載の生分解性の潤滑油用基油。
- 油脂1モルに対して5〜30モルのアルキレンオキシドを用い、かつ、アルキレンオキシドに占めるエチレンオキシドの割合が0〜40モル%、プロピレンオキシドの割合が60〜100モル%である請求項1〜4いずれか記載の生分解性の潤滑油用基油。
- 請求項1〜6いずれかにおいて記載の油脂誘導体が有する末端水酸基の一部または全部を、脂肪族カルボン酸またはそのエステル誘導体を用いてエステル化することで得られる生分解性の潤滑油用基油。
- 請求項1〜8いずれか記載の潤滑油用基油を50重量%以上含有してなる生分解性の潤滑油組成物。
- 更に、(1) 鉱物油、(2) 天然油脂または合成油脂、(3) ポリ−α−オレフィン、(4) ポリブテン、及び(5) ポリオールエステルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の潤滑油用基油を含有してなる請求項9記載の生分解性の潤滑油組成物。
- 環境汚染防止のため生分解性が要求される潤滑油として用いられる請求項9又は10記載の生分解性の潤滑油組成物。
- 油圧作動油又はグリース油として用いられる請求項9又は10記載の生分解性の潤滑油組成物。
- チェーンソー油、2−サイクル若しくは4−サイクルエンジン油またはギヤ油として用いられる請求項9又は10記載の生分解性の潤滑油組成物。
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