JP2005281116A - マイクロ波を利用した活性炭の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】湿潤状態の木質廃棄物原料をマイクロ波を利用した予備処理と一段の加熱処理で、実用上十分な性能を有する活性炭を製造する手段を提供する。
【解決手段】木材、竹材、樹皮等の木質原料の含有水分量を調節した後、この木質原料に所定時間マイクロ波を照射し、その後マイクロ波の照射を停止して非酸化性雰囲気下での外部加熱によりこの木質原料を炭化する。また、木質原料の含水量を、乾燥状態の該原料に対する重量比で50〜500%として、マイクロ波の照射を行い、マイクロ波の照射時間を水分の沸騰開始後3〜10分間とする。さらに、マイクロ波照射に先だって、木質原料を常圧又は減圧下で多量の水中で煮沸して原料内部に水分を浸透させる。
【選択図】図1
【解決手段】木材、竹材、樹皮等の木質原料の含有水分量を調節した後、この木質原料に所定時間マイクロ波を照射し、その後マイクロ波の照射を停止して非酸化性雰囲気下での外部加熱によりこの木質原料を炭化する。また、木質原料の含水量を、乾燥状態の該原料に対する重量比で50〜500%として、マイクロ波の照射を行い、マイクロ波の照射時間を水分の沸騰開始後3〜10分間とする。さらに、マイクロ波照射に先だって、木質原料を常圧又は減圧下で多量の水中で煮沸して原料内部に水分を浸透させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、木質系原料からの活性炭の製造方法に関し、とくに木屑、竹屑、樹皮等の木質系廃棄物原料から、賦活工程を設けることなく、比較的簡単な工程で吸着性能の良好な活性炭を製造する方法に関する。
活性炭を製造するには、やし殻等の植物系原料や褐炭等の鉱物系原料を炭化し、その後賦活工程で気孔を増加させることが必要である。賦活の方法はガス賦活法と薬品賦活法に大別されるが、我が国ではガス賦活法が主流になっている。これは、炭化後の原料を所定の温度に加熱して、水蒸気、酸素、炭酸ガス等の酸化性ガスと炭素とを反応させて、外部に導通する気孔量や比表面積の増大を図るものである。
酸素による賦活は、局部的に過熱して均一な反応の制御が難しいため、反応ガスとして水蒸気や炭酸ガスが主に用いられるが、これらは800〜900℃以上の高温にならないと炭素と反応しない。また、炭化工程と賦活工程では反応条件が大幅に異なるため、通常は別々の反応容器で処理される。そのため、従来の活性炭の製造方法では、エネルギーコストや設備コストが大きくなり、活性炭の製造コストの低減が難しいという問題がある。
一方、活性炭の製造とくに賦活工程においては、反応サイトに多量の熱を供給する必要があり、通常は直接加熱又は間接加熱により外部から加熱される。しかし、外部加熱では、伝熱促進の要請から、回転炉を用いたり炭材を攪拌したりする必要があるため、誘導加熱やマイクロ波加熱により、活性炭を内部から発熱させようとする試みもいくつか提案されている。例えば、使用済活性炭の加熱再生において、マイクロ波加熱を利用する方法が種々提案されている(下記特許文献1,2など)。
また、下記特許文献3には「成形した有機性廃棄物からなる活性炭原料を加熱炉内に配置し、賦活ガスを供給する状態において、活性炭原料にマイクロ波もしくは高周波を与え、これを内部加熱して、炭化と賦活を行なう活性炭製造方法」が開示されている。さらに下記特許文献4には「カーボンブラックをスクリューコンベヤ上で予熱しながらマイクロウエーブ室に送入し、ここでマイクロ波によって200℃以上に加熱昇温させた後、流動式水蒸気賦活炉に投入して700〜900℃の高温下で水蒸気賦活する活性炭の製造方法」が開示されている。
木材資源の有効利用という観点から、木屑、竹屑、樹皮等の木質系廃棄物原料のリサイクルが課題になっている。本発明者らは、かかる廃棄物原料を有価物に再生する技術について種々の検討を行なっており、その一環として木質系原料からの活性炭の製造に着眼した。活性炭には種々の用途があり、要求される吸着性能等にも大きな幅がある。木質系廃棄物を原料とする活性炭の場合には、ある程度の吸着性能を有するものを如何に安価に製造するかが課題になると思われる。
このように活性炭を安価に製造するためには、まず第一に賦活工程を省略することが有力な手段と考えられる。しかし、そのためには、炭化終了時に活性炭として必要な吸着性能が確保されていなければならない。
また、木屑、竹屑等の廃棄物原料は野積み状態で保管されていることが多く、大抵の場合多量の水分を含んでいる。かかる湿潤状態の原料を一旦脱水・乾燥してから、炭化や賦活等の処理を行なったのでは、工程が長くなりかつ作業性も悪いため、安価に処理することが難しくなる。したがって、湿潤状態の原料をそのまま処理し、なるべく処理容器の移し変えを行なわず、かつ1回の加熱工程で、目標とする製品が得られるような方法が望ましい。
また、木屑、竹屑等の廃棄物原料は野積み状態で保管されていることが多く、大抵の場合多量の水分を含んでいる。かかる湿潤状態の原料を一旦脱水・乾燥してから、炭化や賦活等の処理を行なったのでは、工程が長くなりかつ作業性も悪いため、安価に処理することが難しくなる。したがって、湿潤状態の原料をそのまま処理し、なるべく処理容器の移し変えを行なわず、かつ1回の加熱工程で、目標とする製品が得られるような方法が望ましい。
本発明者らは、湿潤状態の木質原料にマイクロ波を照射することによって、水分等が含有する水酸基等を共鳴させ、瞬時に高温にし得ることに着目した。これによって、木質組織内に染み込んだ水分、結晶水や反応生成物が急速にガス化するために、組織内の気孔量を大幅に増大させうると考えられる。したがって、賦活工程を設けなくとも、実用上必要な気孔量や比表面積を確保できる可能性がある。
そこで本発明は、マイクロ波による内部加熱を利用して、湿潤状態の木質廃棄物原料を予備処理し、炭化を主目的とする一段の加熱処理で、実用上十分な性能を有する活性炭を製造し得る手段を提供することを課題としている。
そこで本発明は、マイクロ波による内部加熱を利用して、湿潤状態の木質廃棄物原料を予備処理し、炭化を主目的とする一段の加熱処理で、実用上十分な性能を有する活性炭を製造し得る手段を提供することを課題としている。
本発明者らは、含水した木質原料からの活性炭の製造について種々の検討を行い、含水状態の原料に、所定時間マイクロ波を照射した後、炭化することにより、マイク波照射無しに炭化したものより、炭化後の製品の比表面積を大幅に増大させ得るを見出した。これにより、炭化後の賦活工程を省略しても、実用上十分な性能の活性炭が得られることを知見した。
この知見に基づく本発明の活性炭の製造方法は、
木材、竹材、樹皮のうちの1種以上を主体とする木質原料からの活性炭の製造方法であって、必要に応じて粒度調整された該木質原料の含有水分量を調節する工程と、次いでこの含水量を調節した木質原料に所定時間マイクロ波を照射する工程と、次いでマイクロ波の照射を停止して非酸化性雰囲気下での外部加熱により該木質原料を炭化する工程とを具備することを特徴とするものである。
木材、竹材、樹皮のうちの1種以上を主体とする木質原料からの活性炭の製造方法であって、必要に応じて粒度調整された該木質原料の含有水分量を調節する工程と、次いでこの含水量を調節した木質原料に所定時間マイクロ波を照射する工程と、次いでマイクロ波の照射を停止して非酸化性雰囲気下での外部加熱により該木質原料を炭化する工程とを具備することを特徴とするものである。
本発明は、含水した木質原料にマイクロ波を照射し、これにより水酸基等を振動させて急速加熱し、木質組織内部からの水蒸気発生を促進させて内部気孔量の増大を図るものである。マイクロ波の照射が単なる加熱手段ではなく、主に内部気孔量増大の手段として用いられる点が、従来のマイクロ波を利用した活性炭の製造又は賦活方法と本質的に相違する。
実際に後記実施例に示すように、マイクロ波の照射の有無により、炭化後の活性炭の比表面積が大幅に相違する。このようにマイクロ波の照射により比表面積が増大するメカニズムは十分明らかではないが、やはり木質組織内部での急速なガス発生により、組織がルーズになり、ガスの離脱後も気孔が残存することによるのではないかと推測される。
実際に後記実施例に示すように、マイクロ波の照射の有無により、炭化後の活性炭の比表面積が大幅に相違する。このようにマイクロ波の照射により比表面積が増大するメカニズムは十分明らかではないが、やはり木質組織内部での急速なガス発生により、組織がルーズになり、ガスの離脱後も気孔が残存することによるのではないかと推測される。
本発明の活性炭の製造方法においては、このような気孔生成を効率良く行なうために、マイクロ波照射時の木質原料の含水量を適正な範囲に調節しておくことが重要で、マイクロ波照射に先立つ含水量調節工程において、含水原料中の水分量を、乾燥状態の木質原料の重量に対する比で50〜500%の範囲内としておくことが好ましい。
本発明においては、炭化工程ではマイクロ波の照射を停止し、非酸化性雰囲気下での外部加熱により炭化を行なう。マイクロ波の照射はエネルギーコストが大きく、炭化工程でマイクロ波照射しても、比表面積増大の効果がほとんどないためである。なお、本発明において、非酸化性雰囲気とは酸化性ガスを含まない雰囲気(真空雰囲気を含む)又は燃焼排ガスとしてH2O,CO2等を含んでいても、温度が低いために、これらの酸化性成分と炭素との反応が実質的に起こらない雰囲気をいう。
また、本発明においては、マイクロ波照射工程において、マイクロ波の照射を開始して、含有水分が沸騰を開始した後3〜10分間継続して照射を行なうことが好ましい。なお、沸騰開始時点の判定は、必ずしも目視によらず何らかの計測手段を利用してもよい。あるいは、経験的に(含水量との関係において)沸騰開始までの時間を把握しておき、この時間に3〜10分加えた間継続してマイクロ波の照射を行なうようにしてもよい。
本発明においては、水分量調節工程において(又はこれに先立って)、前記木質原料を常圧又は減圧下で多量の水中で煮沸して該原料内部に水分を浸透させた後、含有水分量の調節を行なうようにしてもよい。木屑等の木質原料が乾燥状態である場合、その組織内部に水分を十分浸透させることが容易でない場合が多い。かかる場合は、予め木質原料を常圧又は減圧下で多量の水分中で煮沸しておくことが好ましい。これにより、原料内部に水分がよく浸透して、マイクロ波照射による比表面積増大の効果をより大きくすることができる。なお、煮沸時は水の量が多い方が作業が容易なので、煮沸後に含水量を前記の範囲に調節すればよい。
さらに、本発明においては、マイクロ波の照射を、絶対圧で400〜710Torr(標準大気圧−(50〜390)Torr)の減圧状態の大気雰囲気下又は同じ減圧状態の不活性ガス雰囲気下で行なってもよい。これにより、マイクロ波照射時の内部気孔の生成量、生成速度がさらに大きくなって、炭化後の活性炭の比表面積をさらに大きくすることができる。
本発明は、木質原料をマイクロ波で予備処理した後炭化することにより、賦活処理を行なうことなく、実用上十分な吸着性能を有する活性炭の製造を可能にしたものである。また、本発明においては、湿潤状態の木質原料の乾燥を行なうことなく含水状態のまま処理することができる。これらにより、活性炭の製造工程が簡単になり、そのエネルギーコストも低減されるため、安価に活性炭を製造することが可能となった。そのため、木屑、竹屑、樹皮等の木質廃棄物から、安価に有価物を製造することができ、木質資源の再利用という観点からも本発明の意義は大きい。
本発明の活性炭の製造方法は、木質原料の含有水分量を調節するステップ(水分量調節工程)と、次いでこの含水原料に所定時間マイクロ波を照射するステップ(マイクロ波照射工程)と、次いでマイクロ波の照射を停止して非酸化性雰囲気下での外部加熱により該木質原料を炭化するステップ(炭化工程)とからなっている。また、必要に応じて、水分量調節工程の前に、サイズの過大な原料を切断・破砕したり、粉状原料の整粒・造粒等を行なう粒度調整工程を設けてもよい。以下、これらの各工程の好ましい実施態様について説明する。
活性炭の原料には、木材、竹材、樹皮のうちの1種又は2種以上を主体とするものを用いる。一般には、木材や竹材の製材工程から発生する切断屑、カンナ屑、鋸屑、剥離樹皮等を主原料とすればよい。ただし、かかる木質廃棄物に限定する必要は無く、製材前の原木材や原竹材、あるいは製材後の木材や竹材を原料として用いても差し支えない。なお、「木質材を主体とする原料」と規定した理由は、上記の木質材がある比率以上、例えば70%程度以上含まれていればよいとの趣旨である。残余の原料は有機物であればよいが、一般には植物繊維質原料であることが好ましく、とくに籾殻、藁屑、故紙等の植物繊維質廃棄物を一部混入して、原料としてもよい。
木質原料のサイズに格別の限定は必要としないが、サイズが大きすぎると反応容器内に充填しにくかったり、マイクロ波照射の効果にむらが生じたりするので、数センチ程度以下のサイズであることが好ましい。木材や竹材の切断屑、カンナ屑、鋸屑等であれば、ほとんどそのまま原料として用いることができる。また、製品活性炭の目標サイズを考慮して、予め原料サイズを調節しておいてもよいが、一般には炭化後に製品活性炭の粒度調整を行なえばよい。
水分量調整工程においては、含水原料中の水分量Wを、乾燥状態の木質原料の重量Mに対する比W/M(以下、含水率という)で、50〜500%の範囲内の所定の目標値に調節する。本発明者らの知見によれば、マイクロ波照射時の含水率が50%未満では、木質組織内部に気孔を生成させる効果、すなわち製品活性炭の比表面積を増大させる効果が不十分なためである。一方、含水率が500%を超えても、内部気孔生成効果はそれ以上増大せず、逆にマイクロ波のエネルギーが過剰水分の蒸発に消費されて好ましくないためである。
なお、この含水率の調整は、さほど厳密に目標値に一致させる必要は無く、±20%程度の範囲内に入ればよい。粉砕後の原料の含水率を何らかの方法(例えば乾燥重量の測定、スラリー状原料の比重測定等)で測定又は推定し、必要に応じて加水したり、乾燥原料を追加したり、脱水したりすればよい。脱水は篩や濾紙で簡単に行なうことができる。
また、本発明においては、マイクロ波照射時に木質組織内部に十分な量の水分が浸透していることが、マイクロ波照射の効果を発揮する上できわめて重要である。一般に乾燥状態の木質材、とくに鋸屑に含水させることは容易でない場合が多い。乾燥状態の鋸屑等は撥水性が強く、長時間水中に浸漬しておいても、あまり木質組織内に水が浸透していないことが観察されている。
したがって、原料木質材を予め煮沸して、木質組織内部に水を十分浸透させておくことが好ましい。煮沸時間は、原料の種類等にもよるが、通常は2〜10分程度であればよい。通常は大量の水中で煮沸処理する方が作業が容易なので、煮沸処理後に木質原料の含水率を調節すればよい。なお、マイクロ波の照射下で水を沸騰させて、この煮沸処理を行なってもよいことは云うまでもない。さらに、この煮沸処理は、常圧下で行なってもよいが、これを減圧下で行なえば、木質組織内部からのガスの離脱が容易になり、組織内部への水分の浸透をより確実にすることができる。減圧の程度は、さほど厳密に限定する必要はないが、例えば絶対圧で400〜710Torr程度であればよい。
マイクロ波照射工程では、マイクロ波の照射を開始して、含有水分が沸騰し始めた後3〜10分間継続して照射を行なうことが好ましい。木質組織内部で水を蒸発させて、内部気孔を生成させる効果は、水が沸騰を開始する温度になった後の照射時間に依存する。本発明者らの知見によれば、沸騰開始後の照射時間が3分未満では、製品比表面積増大の効果が十分でない。一方、この時間を10分以上にしても、それ以上比表面積増大の効果が増すことはなく、マイクロ波のエネルギーが過大になって好ましくないためである。
本発明において、マイクロ波照射の処理を行なう装置の方式、構造等をとくに限定する必要はなく、例えばバッチ式の処理容器内で、所定時間マイクロ波の照射を行なってもよく、ベルトコンベア等で搬送中に、所定のゾーンでマイクロ波照射を行なって、連続的に処理してもよい。マイクロ波の発生装置やこれを処理室に導く導波管の構造等もとくに限定を要しない。マイクロ波の周波数としては、電子レンジで常用されている2.45GHzのマイクロ波を好適に用いることができる。
炭化工程は、マイクロ波照射後の木質原料を非酸化性雰囲気下で加熱して、乾溜と炭化を行なう工程である。この際マイクロ波の照射は停止し、外部より木質原料を加熱する。本発明においては、この炭化を主目的とする一回の加熱過程のみで、賦活処理を行なったと同様な吸着性能の活性炭を製造し得ることが特徴である。
炭化工程における温度パターンはとくに限定を要しないが、所定の昇温速度で昇温する昇温過程と、所定の温度範囲内に所定時間保持する温度保持過程を設ける場合が多い。加熱の最高温度は500〜800℃程度で十分炭化可能であり、賦活工程を設ける場合よりも低い加熱温度で活性炭を製造することができる。この工程で用いる反応容器の形式はとくに限定を要しないが、通常は加熱パターンの制御の容易なバッチ式の反応器を用いる。反応器内の温度を一様にするため、回転容器や攪拌羽根を用いてもよい。なお、マイクロ波照射用の容器と同一の容器で炭化を行なってもよく、別容器に移し替えて炭化を行なってもよい。
炭化工程での加熱方式は、外熱式でも内熱式でもよい。内熱式加熱は一般には燃焼排ガスを流通させて行なう。この炭化工程の比較的高温の温度域で、過剰空気を含む燃焼排ガスを流通させると、非酸化雰囲気という条件が維持できなくなるので、過剰空気を含まない燃焼排ガスを流通させる必要がある。なお、燃焼排ガスのH2O,CO2は、本発明での炭化工程の温度範囲(800℃以下)ではほとんどCと反応しないので、流通ガス中に含まれていても差し支えない。
なお、炭化工程においては、雰囲気中のH2O,CO2は木質原料の炭素とほとんど反応しないと考えられる。しかし、原料中の酸素が炭素や水素と反応して、H2O,CO2が生成する可能性は十分ある。すなわち、木質原料の主成分であるセルロースは、化学式(C6H10O5)nで表され、原子比でCの5/6のOを含有する。このセルロースは、かなりの高温域まで完全には分解されず、炭化過程の後期に未分解のOがH2O又はCOとなって外気中に逸出し、その際に外部に通ずる細孔が多量に形成されて、賦活と同様の効果を与えている可能性も考えられる。
いずれにしても、上記の方法で製造された活性炭は、後記実施例に示すように、BET法により測定される比表面積が500m2/g以上である。したがって、この活性炭は、脱臭、脱色、調湿等の用途に好適である。
活性炭の原料として木屑(おが屑)、竹屑、樹皮チップの3種を単独で炭化し、炭化の前処理としてのマイクロ波照射の有る場合(実施例)と無い場合(比較例)で、炭化後の製品の比表面積とミクロ組織を調査した。上記の各原料いずれも、サイズが1mm以下の粉末状のものを準備し、実施例、比較例ともに各10gづつを供試材とした。
実施例(マイクロ波照射有り)では、この原料を100〜200CCの常圧のの水中で煮沸した。煮沸時間は、いずれも10分とした。マイクロ波照射は、含水率を約250%に調節して、通常の家庭用電子レンジ内で10分間(水の沸騰開始後約7〜8分間)2.45GHzのマイクロ波を照射した。
実施例(マイクロ波照射有り)では、この原料を100〜200CCの常圧のの水中で煮沸した。煮沸時間は、いずれも10分とした。マイクロ波照射は、含水率を約250%に調節して、通常の家庭用電子レンジ内で10分間(水の沸騰開始後約7〜8分間)2.45GHzのマイクロ波を照射した。
炭化工程は、環状電気炉内の石英管に、供試材を充填した坩堝を入れ、窒素を流通しつつ、加熱した。加熱パターンは800℃まで約80分で昇温し、この温度に60分間保定した。
一方、比較例は上記の煮沸工程とマイクロ波照射工程を設けず、供試材を直接炭化した。比較例における炭化工程の条件は、実施例と同じである。このようにして炭化した実施例と比較例の供試材について、比表面積の測定とミクロ組織の調査を行なった。比表面積の測定はBET法により行い、ミクロ組織は走査型電子顕微鏡写真を比較した。
一方、比較例は上記の煮沸工程とマイクロ波照射工程を設けず、供試材を直接炭化した。比較例における炭化工程の条件は、実施例と同じである。このようにして炭化した実施例と比較例の供試材について、比表面積の測定とミクロ組織の調査を行なった。比表面積の測定はBET法により行い、ミクロ組織は走査型電子顕微鏡写真を比較した。
比表面積の測定結果を表1に示す。表に見られるように、比較例では比表面積の値がほぼ300m2/g以下であるのに対して、実施例ではいずれも500m2/g以上になっている。比表面積の増加倍率は、木屑で8.6倍、竹屑で6.3倍、樹皮で2.3倍になっており、マイクロ波照射により、炭化後の比表面積が顕著に増加することが確かめられた。
また、図1に竹屑での炭化後のミクロ組織の比較を、図2樹皮での炭化後のミクロ組織の比較を示す。図1,2ともに、(a)が比較例(マイクロ波照射せず炭化)、(b)が実施例(マイクロ波照射後炭化)の供試材の写真である。なお、図1の(a)と(b)は同倍率であるが、図2では(b)は(a)の2倍の倍率になっている。これらのミクロ組織写真に見られるように、マイクロ波照射により明らかに大きな気孔が増加している。また、写真では十分明らかではないが、詳細に観察すると小さい気孔量も大幅に増加していることが知れる。なお、図示していないが、木屑の場合にも、マイクロ波照射により、大きな気孔や小さな気孔が上記と同様に増加することが確かめられている。
Claims (5)
- 木材、竹材、樹皮のうちの1種以上を主体とする木質原料からの活性炭の製造方法であって、必要に応じて粒度調整された該木質原料の含有水分量を調節する工程と、次いでこの木質原料に所定時間マイクロ波を照射する工程と、次いでマイクロ波の照射を停止して非酸化性雰囲気下での外部加熱により該木質原料を炭化する工程とを具備することを特徴とする活性炭の製造方法。
- 前記の水分量調節工程において、前記木質原料の含水量を、乾燥状態の該原料に対する重量比で50〜500%とすることを特徴とする請求項1記載の活性炭の製造方法。
- 前記のマイクロ波照射工程において、マイクロ波の照射を開始して、水分が沸騰し始めた後3〜10分間継続して照射を行なうことを特徴とする請求項1又は2記載の活性炭の製造方法。
- 前記の水分量調節工程において、前記木質原料を常圧又は減圧下で煮沸して該原料内部に水分を浸透させた後、含水量の調節を行なうことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の活性炭の製造方法。
- 前記のマイクロ波照射工程を、絶対圧で400〜710Torrの減圧状態の大気雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下で行なうことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の活性炭の製造方法。
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