JP2005280596A - ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブレーキ装置において、引きずりトルクの車両の走行状態への影響を小さくする。
【解決手段】前後制動力配分制御において、要求制動力と理想配分線に基づいて決まる比率とに基づいて、前輪制動力の目標値と後輪制動力の目標値とが決定される。この場合において、左右後輪に引きずりトルクが検出された場合には、要求制動力に基づいて決まる後輪制動力の目標値から引きずりトルクに対応する制動力を引いた値が最終的な後輪制動力の目標値とされる。そして、最終的な後輪制動力の目標値に応じて後輪のブレーキシリンダの液圧の目標値が決定され、実際のブレーキシリンダの液圧が目標値に近づくように制御される。それによって、引きずりトルクの前後制動力配分制御への影響を小さくすることができる。
【選択図】図8

Description

本発明は、ブレーキ作動力を制御するブレーキ作動力制御装置を備えたブレーキ装置に関するものである。
特許文献1には、ブレーキ作動力制御装置を備えたブレーキ装置の一例が記載されている。このブレーキ装置においては、後輪のブレーキ作動力を、前輪制動力と後輪制動力との比率が理想配分線に基づく大きさとなるように制御する前後制動力配分制御において、エンジンブレーキに起因して駆動輪に加えられる制動トルクが考慮されることが記載されている。
特開平10−230829号公報
本発明の課題は、ブレーキの引きずりを考慮してブレーキ作動力の制御が行われるようにすることである。
課題を解決しようとする手段、作用および効果
請求項1の発明に係るブレーキ装置は、(a)車両の複数の車輪にそれぞれ設けられた少なくとも1つずつのブレーキと、(b)それら複数のブレーキのうちの少なくとも1つの引きずりトルクを検出する引きずりトルク検出装置と、(c)その引きずりトルク検出装置による検出結果に基づいて、前記複数のブレーキのうちの少なくとも1つの作動力を制御するブレーキ作動力制御装置とを含むものとすることによって得られる。
本ブレーキ装置において、複数の車輪のそれぞれに少なくとも1つずつのブレーキが設けられる。複数の車輪各々に設けられるブレーキの数は同じであっても異なっていてもよい。また、1つの車輪に複数のブレーキが設けられる場合には、互いに異なる種類のブレーキが設けられるのが普通である。
例えば、前後左右に位置する車輪の各々にサービスブレーキとしての液圧ブレーキが設けられるとともに、左右後輪にケーブルに加えられる引張力により作動させられるパーキングブレーキが設けられる場合がある。この場合において、液圧ブレーキがディスクブレーキでパーキングブレーキがドラムブレーキである場合、液圧ブレーキもパーキングブレーキもドラムブレーキである場合等がある。パーキングブレーキについては、運転者によるパーキングブレーキ操作部材に加えられる操作力によってケーブルに引張力が加えられる場合(マニュアル式パーキングブレーキ)や、ケーブルに電動モータを含む張力付与装置が接続され、運転者によるパーキングブレーキ作動指示に応じた張力付与装置の作動によりケーブルに引張力が加えられる場合(電動パーキングブレーキ)がある。また、前後左右の車輪の各々にサービスブレーキとしての電動ブレーキ(電動モータによる押圧力により摩擦係合部材がブレーキ回転体に押し付けられて作動させられるブレーキ)が設けられ、左右後輪にパーキングブレーキが設けられる場合等もある。いずれにしても、左右後輪には、サービスブレーキとパーキングブレーキとの2つのブレーキが設けられるのであり、2つのブレーキは、ディスクブレーキとドラムブレーキとである場合、液圧ブレーキとパーキングブレーキとである場合、電動ブレーキとパーキングブレーキとである場合等があり、互いに種類が異なる。
引きずりトルク検出装置は、複数の車輪の少なくとも1つずつのブレーキ、すなわち、車両全体に設けられた複数のブレーキのうちの少なくとも1つの引きずりトルクを検出する。複数のブレーキすべての引きずりトルクを検出するものであっても、1つ以上のブレーキについて引きずりトルクを検出するものであってもよい。また、2つ以上のブレーキの引きずりトルクを共通に検出するものであっても、個別に検出するものであってもよい。
例えば、左右前輪にサービスブレーキとしての液圧ブレーキが設けられ、左右後輪にパーキングブレーキが設けられる場合において、引きずりトルク検出装置は、パーキングブレーキの引きずりトルクを検出し、サービスブレーキの引きずりトルクを検出しないものとすることができる。また、パーキングブレーキの引きずりトルクを検出する場合において、アンカピンに加えられる力を検出することによって、パーキングブレーキの引きずりトルクを個別に検出するものとしたり、ケーブルに加えられる引張力を検出することによって、2つのパーキングブレーキの引きずりトルクを共通に検出するものとしたりすることができる。
引きずりトルクは、車両の走行中において、ブレーキが非作動状態にある場合に車輪に加わる制動トルク(回転抵抗)である。引きずりトルクは、液圧ブレーキの場合において、ブレーキシリンダの液圧が大気圧になっても、摩擦係合部材がブレーキ回転体から完全に離間しないで摺動していることによって生じることがある。電動ブレーキの場合には、電動モータのロック解除異常等に起因して、供給電流が0になっても摩擦係合部材がブレーキ回転体に摺動していることによって生じることがある。また、マニュアル式のパーキングブレーキの場合には、パーキングブレーキ操作部材が解除位置に確実に戻されていないことに起因してケーブルに引張力が加わったままとなることによって生じること等がある。
ブレーキ作動力制御装置は、引きずりトルク検出装置による検出結果に基づいて、車両全体の複数のブレーキのうちの少なくとも1つの作動力を制御する。ブレーキ作動力制御装置による制御対象ブレーキは、複数のブレーキすべてであっても、複数のブレーキの一部であってもよい。例えば、左右前後輪にサービスブレーキとしての液圧ブレーキが設けられるとともに、左右後輪にマニュアル式のパーキングブレーキが設けられる場合には、液圧ブレーキの作動力は制御され、マニュアル式のパーキングブレーキの作動力は制御されないのが普通である。また、ブレーキ作動力制御装置がスピン抑制制御部を含む場合において、左右前輪のブレーキの作動力が制御され、左右後輪のブレーキの作動力が制御されないようにすることができる。
さらに、ブレーキ作動力制御装置は、運転者によるブレーキ操作中において制御するものであっても、非操作中において制御するものであってもよい。例えば、ブレーキの作動力を運転者のブレーキ操作状態に基づいて決まる要求制動力に応じて制御するものとしたり、車両の走行状態(例えば、スリップ状態)に基づいて制御するものとしたりすることができる。
ブレーキ作動力の制御の具体的態様については後述するが、引きずりトルク検出装置によって検出された引きずりトルクの大きさ、引きずりトルクが生じた車輪の位置等に基づいてブレーキ作動力が制御されるのであり、引きずりトルクの車両の走行状態への影響が小さくされる。
なお、制動トルク、引きずりトルクは、トルクで表しても力で表してもよく、例えば、制動トルクと制動力は1対1に対応する量であり、本明細書において、これらを区別することなく使用する。
このように、複数のブレーキの少なくとも1つの作動力が引きずりトルクに基づいて制御されるようにすれば、引きずりトルクの車両走行状態への影響を小さくすることができ、ブレーキ制御精度を向上させることができる。
特許請求可能な発明
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
以下の各項のうち、(1)、(2)、(3)項が請求項1〜3に対応し、(5)、(7)、(8)項が請求項4〜6に対応し、(9)〜(11)項が請求項7〜9に対応する。
(1) 車両の複数の車輪にそれぞれ設けられた少なくとも1つずつのブレーキと、
それら複数のブレーキのうちの少なくとも1つの引きずりトルクを検出する引きずりトルク検出装置と、
その引きずりトルク検出装置による検出結果に基づいて、前記複数のブレーキのうちの少なくとも1つの作動力を制御するブレーキ作動力制御装置と
を含むことを特徴とするブレーキ装置。
(2) 前記ブレーキ作動力制御装置が、前記引きずりトルク検出装置によって引きずりトルクが検出されたブレーキが設けられた車輪とは異なる車輪に設けられた少なくとも1つのブレーキのうちの少なくとも1つの作動力を、前記検出された引きずりトルクに基づいて制御する他輪引きずりトルク対応作動力制御部を含む(1)項に記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、引きずりトルクが検出されたブレーキが設けられた車輪とは異なる車輪のブレーキの作動力が制御される。
例えば、ブレーキ作動力制御装置によって、スピン傾向が強い場合に左右前輪のうちの旋回外輪に制動力を付与することによってスピンを抑制するスピン抑制制御が行われる場合において、右旋回中に、引きずりトルクが生じていないと想定した場合の左前輪の目標制動力がFFLであるとされた場合に、左後輪の液圧ブレーキに引きずりトルクTrld(引きずりトルクに対応する制動力がFrldである)が生じている場合には、左前輪の目標制動力が(FFL−Frld)とされ、右後輪に引きずりトルクTrrd(引きずりトルクに対応する制動力がFrrdである)が生じている場合には左前輪の目標制動力が(FFL+Frrd)とされる。このようにすれば、スピン抑制制御において引きずりトルクの影響を小さくすることができ、より確実にスピンを抑制することができる。
(3) 前記ブレーキが、前記複数の車輪の少なくとも一部のものにそれぞれ複数ずつ設けられ、前記ブレーキ作動力制御装置が、前記引きずりトルク検出装置によって引きずりトルクが検出されたブレーキが設けられた車輪と同じ車輪の複数のブレーキのうち、前記引きずりトルクが検出されたブレーキとは異なるブレーキの作動力を、前記検出された引きずりトルクに基づいて制御する他ブレーキ引きずりトルク対応作動力制御部を含む(1)項または(2)項に記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、引きずりトルクが検出されたブレーキが設けられたブレーキと同じ車輪の異なるブレーキの作動力が制御される。
例えば、左右前後輪にそれぞれ液圧ブレーキが設けられる場合において、左右後輪にパーキングブレーキが設けられる場合において、右後輪のパーキングブレーキに引きずりトルクTrrd(引きずりトルクに対応する制動力がFrrdである)が検出された場合を考える。ブレーキ作動力制御装置によって、前後制動力配分制御が行われる場合に、左右前輪の液圧ブレーキによる目標制動力がそれぞれFFとされ、左右後輪の液圧ブレーキによる目標制動力がそれぞれFRとされた場合に、右後輪の液圧ブレーキによる目標制動力が(FR−Frrd)とされる。このようにすれば、引きずりトルクが生じていても前輪、後輪に加えられる制動力を理想制動力配分線に沿った大きさに制御することが可能となる。
(4) 前記ブレーキ作動力制御装置が、前記引きずりトルク検出装置によって引きずりトルクが検出されたブレーキ自体の作動力を、その引きずりトルクに基づいて制御する自ブレーキ引きずりトルク対応作動力制御部を含む(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項のブレーキ装置においては、引きずりトルクが検出されたブレーキと同じブレーキの作動力が制御される。例えば、ブレーキが電動ブレーキである場合に、0点のずれあるいはロック解除異常等に起因して、電動ブレーキへの供給電流が0であるにも係わらず摩擦係合部材がブレーキ回転体に摺動し、制動トルクが加えられる場合がある。この場合には、その電動モータへの供給電流を、引きずりトルクに応じて補正することが望ましい。
なお、引きずりトルクに応じて0点自体を補正することもできる。
(5) 前記引きずりトルク検出装置が、車両全体が非制動で走行中に前記少なくとも1つのブレーキの制動トルクを検出する非制動走行中制動トルク検出部を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
車両が非制動で走行している場合には、本来ブレーキの制動トルクは0あるいは予想される設定値より小さいはずである(実質的に0であると称することもできる)。したがって、非制動の走行中において制動トルクを検出すれば、引きずりトルクを検出することができる。後述するように、非操作中で、かつ、非制御中で走行している場合に、車両全体として、非制動で走行中であると考えることができる。
(6) 前記引きずりトルク検出装置が、車両全体が非制動で、かつ、非駆動で走行中において前記少なくとも1つのブレーキの制動トルクを検出する非制動・非駆動走行中制動トルク検出部を含む(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
(7) 前記ブレーキ作動力制御装置が、前記複数のブレーキのうちの少なくとも1つの作動力の目標値を表す制御指令値を作成する制御指令値作成部と、前記少なくとも1つのブレーキの実際の作動力が、その制御指令値作成部によって作成された制御指令値が表す目標値となるように、前記少なくとも1つのブレーキの作動力を制御する作動力制御部とを含み、前記引きずりトルク検出装置が、前記少なくとも1つのブレーキのうちの前記制御指令値が0であるブレーキの制動トルクを検出する非制御時制動トルク検出部を含む(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
ブレーキ作動力制御装置による制御対象のブレーキについて、ブレーキの作動力の目標値に応じた制御指令値が作成され、実際の作動力が制御指令値に応じた目標値となるように制御される。その制御対象であるブレーキにおいて、制御指令値が0である場合には作動力は0で、制動トルクも実質的に0であるはず(0あるいは予想される設定値より小さいはず)である。したがって、制御指令値が0である場合に検出すれば、引きずりトルクを検出することができる。
制御指令値は、運転者によるサービスブレーキ操作部材あるいはパーキングブレーキ操作部材の操作状態に基づいて決定される場合や、車両の走行状態、例えば、スリップ状態に基づいて決定される場合等がある。
また、制御指令値が0より大きい状態から0になった場合に、直ちに制動トルクを検出するのではなく、設定時間経過した後に検出されるようにすることもできる。
(8) 当該ブレーキ装置が、前記複数のブレーキのうちの少なくとも1つを、運転者によるブレーキ操作部材の操作に応じて作動させるマニュアルブレーキ作動装置を含み、前記引きずりトルク検出装置が、前記ブレーキ操作部材の非操作状態において前記少なくとも1つのブレーキの制動トルクを検出する非操作時制動トルク検出部を含む(1)項ないし(7)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
運転者によるマニュアル操作に応じて作動させられるブレーキにおいては、運転者によってブレーキ操作部材が操作されていない場合には、制動トルクは0あるいは予想される設定値より小さいはずである。したがって、ブレーキ操作部材の非操作中に検出すれば、引きずりトルクを検出することができる。
また、ブレーキ操作が解除された場合に直ちに制動トルクを検出するのではなく、設定時間経過のちに検出されるようにすることが望ましい。
なお、車両の複数のブレーキには、(a)マニュアルで作動可能(すなわち、運転者によるブレーキ操作部材の操作に起因して、操作力に応じた大きさの作動力が加えられるもの)であり、かつ、自動ブレーキ可能(動力により作動させられるものであり、ブレーキ操作部材が操作されなくても作動可能なもの)であるブレーキ、(b)マニュアル作動不能、かつ、自動ブレーキ可能なブレーキ、(c)マニュアル作動可能、かつ、自動ブレーキ不能なブレーキの少なくとも1種類以上が含まれる。
(9) 前記ブレーキが、車両の前輪と後輪とにそれぞれ少なくとも1つずつ設けられ、前記引きずりトルク検出装置が、それら前輪と後輪とに設けられた少なくとも1つずつのブレーキの少なくとも1つの引きずりトルクを検出する前輪・後輪引きずりトルク検出部を含み、前記ブレーキ作動力制御装置が、前記前輪・後輪引きずりトルク検出部による検出結果に基づいて、前記前輪のブレーキ作動力と前記後輪のブレーキ作動力とを、前輪に加わる制動力と後輪に加わる制動力との比率が理想配分線に基づいて決まる大きさとなるように制御する前後制動力配分制御部を含む(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
前後制動力配分制御は、前輪の制動力(左右前輪の制動力の和)と後輪の制動力(左右後輪の制動力の和)との比率が理想配分線に基づいて決まる大きさとなるように、前輪のブレーキの作動力と後輪のブレーキの作動力とが制御される。この場合において、前輪のブレーキ作動力と後輪のブレーキ作動力とが引きずりトルクに基づいて制御されるようにすれば、実際の前輪制動力と後輪制動力との比率をより理想配分線に基づいて決まる大きさに近づけることができる。
「前輪制動力と後輪制動力との比率が理想配分線に基づいて決まる大きさとなるように行われる制御」には、これらの比率が理想配分線上の大きさとなるように行われる制御(目標比率が理想配分線上の値に決定される制御)、理想配分線にほぼ沿った比率となる制御等が含まれる。例えば、理想配分線上の比率より後輪制動力が小さめになるように目標比率が決定される場合がある。このようにすれば、外乱により後輪制動力が大きくなって理想配分線から外れ、直ちに後輪のスリップが過大となる事態に至ることを回避することができる。また、これら比率が制動開始から理想配分線に基づく大きさとなるように制御される場合やブレーキ作動力が設定値以上になった場合に理想配分線に基づく大きさとなるように制御される場合もあるのである。
前述のように、理想配分線より後輪の制動力が小さくなるように制御される場合、換言すれば、前輪の制動力が大きくなるように制御される場合において、後輪にパーキングブレーキが設けられた場合において、パーキングブレーキの引きずりトルクが加えられる可能性を考慮し、前輪の制動力の後輪の制動力に対する比率をさらに大きくすることがある。それに対して、引きずりトルクに基づいて前後制動力配分制御が行われるようにすれば、前もって前輪の制動力の比率が大きくなるようにする必要性が低くなり、より理想配分線に近づけることができる。
(10) 前記ブレーキが、車両の右側輪と左側輪とにそれぞれ少なくとも1つずつ設けられ、前記引きずりトルク検出装置が、それら右側輪と前記左側輪とに設けられた少なくとも1つずつのブレーキの少なくとも1つの引きずりトルクを検出する右側輪・左側輪引きずりトルク検出部を含み、前記ブレーキ作動力制御装置が、前記右側輪・左側輪引きずりトルク検出部による検出結果に基づいて、前記右側輪のブレーキ作動力と前記左側輪のブレーキ作動力とを、前記右側輪に加わる制動力と左側輪に加わる制動力との比率が車両の旋回状態に応じた大きさとなるように制御する左右制動力配分制御部を含む(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、右側輪の制動力(右側の前後輪の制動力の和)と左側輪の制動力(左側の前後輪の制動力の和)との比率が、車両の旋回状態に応じた大きさになるように、右側輪のブレーキの作動力と左側輪のブレーキの作動力とが制御される。
例えば、旋回中においては旋回外輪に加わる荷重が旋回内輪に加わる荷重より大きくなる。車輪のスリップが過大とならない範囲において、旋回外輪のブレーキの作動力を旋回内輪のブレーキの作動力より大きくすることができるのであり、旋回外輪に加えられる制動力を大きくすることができ、車両全体に作用する制動力を大きくすることができる。
左右制動力配分制御が引きずりトルクに基づいて行われるようにすれば、右側輪の制動力と左側輪の制動力との比率を旋回状態に応じて決まる大きさにより近づけることができる。
(11) 前記ブレーキが、車両の前後左右輪のそれぞれに少なくとも1つずつ設けられ、前記引きずりトルク検出装置が、前記前後左右輪の少なくとも1つずつのブレーキのうちの少なくとも1つの引きずりトルクを検出するものであり、前記ブレーキ作動力制御装置が、前記引きずりトルク検出装置による検出結果に基づいて、前記前後左右輪の少なくとも1つずつのブレーキの少なくとも1つの作動力を制御することにより、車両の旋回時のヨーモーメントを制御する旋回時制御部を含む(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
旋回時制御は、制動中に行われても、非制動中に行われてもよいが、非制動中に行われることが多い。旋回時制御は、旋回時の挙動の安定化を図る制御であり、旋回限界を越えた場合に、その旋回状態を抑制する制御をいい、旋回時挙動安定制御と称することもできる。旋回時制御には、例えば、(a)実ヨーレイトと目標ヨーレイトとの差の絶対値が設定値以上である場合に、実ヨーレイトを目標ヨーレイトに近づける制御、(b)スピン状態、ドリフトアウト状態に至った場合(スピン傾向やドリフトアウト傾向が強い場合)のスピン抑制制御、ドリフトアウト抑制制御等が該当する。
例えば、引きずりトルクが検出されたブレーキが設けられた車輪の位置、引きずりトルクの大きさ等に基づいて旋回状態を解析することができる。引きずりトルクに起因してヨーモーメントが生じたか否か、そのヨーモーメントが旋回に起因するヨーモーメントと同じ向きか逆向きか等に基づけば、引きずりトルクの旋回状態に対する影響や、引きずりトルクが生じていない場合の旋回状態を取得することができる。
また、旋回時制御において、1つ以上のブレーキの作動力の目標値を決定する場合に、引きずりトルクが検出されたブレーキが設けられた車輪の位置、引きずりトルクの大きさ等を考慮することができる。旋回時制御において、旋回内輪(基準車輪)の回転速度に基づいて旋回外輪のブレーキの作動力の目標値(制御指令値)が作成される場合に、引きずりトルクが検出されたブレーキが設けられた車輪が基準車輪として選択されないようにすることができる。例えば、左旋回中において左前輪に引きずりトルクが検出された場合には、左前輪ではなく左後輪が基準車輪として選択されるようにするのである。また、引きずりトルクが検出されたブレーキの車輪の位置および大きさを考慮してモデルを変更して、その変更されたモデルに基づいて制御指令値を作成することができる。このようにすれば、実際の旋回状態と変更されたモデルとに基づけば、引きずりトルクに基づく制御指令値を作成することができる。さらに、引きずりトルクが生じていない場合の旋回状態に基づいて旋回外輪のブレーキ作動力の目標値を取得し、その後、引きずりトルクに基づいて補正することもできる。
旋回時制御が引きずりトルクに基づいて行われれば、引きずりトルクに基づいて行われない場合に比較して、より旋回時の挙動安定化を図ることができる。
(12) 前記ブレーキ作動力制御装置が、前記引きずりトルク検出装置による検出結果に基づいて、前記旋回時制御部が前記ブレーキ作動力を制御する際に利用するモデルを変更するモデル変更部を含む(11)項に記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、旋回時制御部による制御が実際に行われないていない場合に、引きずりトルクに基づいてモデルが変更される。モデルを変更しておけば、旋回時制御の開始条件が満たされた場合に、その変更されたモデルに基づいて旋回時制御を行うことが可能となる。
(13) 前記ブレーキ作動力制御装置が、前記引きずりトルク検出装置によって検出された引きずりトルクが設定値以上である場合に、前記少なくとも1つのブレーキの作動力を前記検出された引きずりトルクに基づいて制御し、前記検出された引きずりトルクが設定値より小さい場合にはその検出された引きずりトルクに基づく制御をしないものである(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
(14) 前記ブレーキ作動力制御装置が、前記引きずりトルク検出装置による検出結果に基づいて、引きずりトルクの車両の走行状態への影響を取得する引きずり影響取得部を含み、その引きずりトルク影響取得部によって取得された前記車両の走行状態への影響が設定程度より大きい場合には前記検出された引きずりトルクに基づいて前記少なくとも1つのブレーキの作動力を制御し、前記車両の走行状態への影響が設定程度以下である場合には、前記引きずりトルクに基づくブレーキの作動力の制御をしないものである(1)項ないし(13)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
ブレーキ作動力の制御において、常に、引きずりトルクを考慮することは不可欠ではない。引きずりトルクを考慮する必要性が高い場合に考慮すればよい。引きずりトルクを考慮する必要性が高い場合には、例えば、引きずりトルクが大きい場合、車両の走行状態への影響が大きい場合等が該当する。例えば、スピン抑制制御において、左右後輪のパーキングブレーキに同じ大きさの引きずりトルクが検出されても、走行状態への影響は小さく、引きずりトルクに基づいてスピン抑制制御を行う必要性は低い。
(15) 前記ブレーキ作動力制御装置が、前記引きずりトルク検出装置によって検出された引きずりトルクが設定値より大きい場合に、そのことを報知する報知装置を含む(1)項ないし(14)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
引きずりトルクが設定値より大きい場合にはそのことが報知される。そのため、運転者は、引きずりトルクが発生していることを考慮しつつ運転することが可能となる。また、マニュアル式のパーキングブレーキが設けられている場合には、パーキングレバーを解除位置に戻す操作を行うこと等が可能となる。
なお、報知装置は警報装置とすることもできる。
(16) 前記ブレーキ作動力制御装置が、要求制動力に基づいて前記少なくとも1つのブレーキ作動力の目標値を決定する目標値決定部と、その目標値決定部によって決定された目標値を前記引きずりトルク検出装置によって検出された引きずりトルクで補正する目標値補正部とを含む(1)項ないし(15)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
(17) 前記ブレーキ作動力制御装置が、要求制動力と前記引きずりトルク検出装置によって検出された引きずりトルクとに基づいて、前記少なくとも1つのブレーキの作動力の目標値を決定する合成目標値決定部を含む(1)項ないし(16)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
引きずりトルクが検出された場合の制御対象ブレーキの作動力の目標値は、引きずりトルクが加わっていない場合の目標値を求め、その目標値を引きずりトルクで補正しても、要求制動力と引きずりトルクとの両方に基づいて目標値を決めてもよい。
本発明の一実施例であるブレーキ装置について図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すブレーキ装置は、サービスブレーキのブレーキ操作部材としてのブレーキペダル10,2つの加圧室を含むマスタシリンダ12,動力により作動させられる動力式液圧源としてのポンプ装置14,左右前輪FL、FRに対応してそれぞれに設けられた液圧ブレーキ16,17、左右後輪RL、RRに対応してそれぞれ設けられた液圧ブレーキ18,19等を含む。これら液圧ブレーキ16〜19は、図2に示すように、それぞれ、ブレーキシリンダ20〜23を含み、液圧により一対のブレーキパッド30、32が、車輪とともに回転可能なブレーキ回転体としての回転ディスク34に押し付けられて作動させられるディスクブレーキである。
一対のブレーキパッド30,32は、非回転体としてのマウンティングブラケット36に回転ディスク34の回転軸線方向に移動可能に保持され、ブレーキシリンダ20〜23は、回転軸線方向に相対移動可能、かつ、回転方向に相対移動不能に設けられたキャリパ38に保持される。図2の矢印Xは前進時に回転ディスク34が回転する方向を示す。
マウンティングブラケット36の受け部40,41は、ブレーキパッド30,32に加えられる摩擦力を受ける部分である。一対のブレーキパッド30,32が回転ディスク34に接触してつれ回ると、その進行方向側の端部でマウンティングブラケット36の受け部40,41に当接し、連れ回りが阻止される。この受け部40,41(本実施例においては受け部40)が受けるトルクが、それぞれ、引きずりトルクセンサ42〜45によって検出される。
マスタシリンダ12は、2つの加圧ピストンを含むタンデム式のものであり、2つの加圧ピストンそれぞれの前方の液圧室には運転者によるブレーキペダル10の操作によって、その操作力に応じた液圧が発生させられる。マスタシリンダ12の2つの加圧室には、それぞれ、マスタ通路46,47を介して左右前輪のブレーキシリンダ20,21が接続される。マスタ通路46,47の途中には、それぞれ、マスタ遮断弁49,50が設けられる。マスタ遮断弁49,50は常開の電磁開閉弁である。
また、ポンプ装置14には、4つのブレーキシリンダ20〜23がポンプ通路52を介して接続される。ブレーキシリンダ20〜23には、マスタシリンダ12から遮断された状態でポンプ装置14から液圧が供給されて、液圧ブレーキ16〜19が作動させられる。ブレーキシリンダ20〜23の液圧は液圧制御弁装置54により制御される。
ポンプ装置14は、ポンプ56,ポンプ56を駆動するポンプモータ58を含む。ポンプ56の吸入側は吸入通路60を介してリザーバ62に接続され、吐出側にはアキュムレータ64が接続される。ポンプ56によってリザーバ62の作動液が汲み上げられてアキュムレータ64に供給され、加圧された状態で蓄えられる。
また、ポンプ56の吐出側のアキュムレータ64より下流側(ブレーキシリンダ側)の部分とポンプ56の吸入側とが戻し通路としてのリリーフ通路66によって接続される。リリーフ通路66にはリリーフ弁68が設けられる。リリーフ弁68は、高圧側であるアキュムレータ側の液圧が設定圧を越えると閉状態から開状態に切り換えられる。
液圧制御弁装置54は、ポンプ通路52に設けられた増圧リニアバルブ100〜103と、ブレーキシリンダ20〜23とリザーバ62とを接続する減圧通路104に設けられた減圧リニアバルブ110〜113とを含む。これら増圧リニアバルブ100〜103と減圧リニアバルブ110〜113との制御によりブレーキシリンダ20〜23の液圧がそれぞれ別個独立に制御され得る。
増圧リニアバルブ100〜103および前輪側の減圧リニアバルブ110,111は、常閉の電磁制御弁であり、後輪側の減圧リニアバルブ112,113は、常開の電磁制御弁である。
マスタ通路46にはストロークシミュレータ装置130が設けられる。ストロークシミュレータ装置130は、ストロークシミュレータ132とシミュレータ用開閉弁134とを含む。シミュレータ用開閉弁134は常閉の電磁開閉弁であり、供給電流のON・OFFにより開閉させられ、ストロークシミュレータ132がマスタシリンダ12に連通させられる連通状態と遮断される遮断状態とに切り換えられる。
一方、左右後輪には電動バーキングブレーキ140,142が設けられる。電動パーキングブレーキ140,142は、パーキングブレーキ操作部材としてのバーキングスイッチ144の操作によって電動モータ146を含む張力付与装置147が作動させられて、ケーブル148が引っ張られ、その引張力によって作動させられる。
電動パーキングブレーキ140,142については図3に示す。符号150は車体側部材に相対回転不能に取り付けられた非回転体としてのバッキングプレートを示し、符号152は、車輪とともに回転するドラムを示す。ドラム152は摩擦面154を有する。バッキングプレート150には、アンカピン156が設けられる。また、一対のブレーキシュー160a,160bが、シューホールドダウン装置162a,162bによってバッキングプレート150の面に沿って移動可能に取り付けられる。
一対のブレーキシュー160a,160bは、一端部において、アンカピン156に係合させられるとともに、リターンスプリング163a,163bによって、アンカピン156に接近する向きに付勢される。また、他端部において、アジャスタ164によって連結されるとともにスプリング165によって互いに接近する向きに付勢される。
ブレーキシュー160a,160bは、それぞれ、ウェブとリムとを備え、リムの外周面には、摩擦材としてのブレーキライニング166a,166bが保持される。ブレーキライニング166a,166bがドラム152の摩擦面154に押し付けられると、摺動させられ、摩擦力が発生する。
ブレーキシュー160aのウェブにはレバー180の一端部がピン182によって回動可能に取り付けられ、レバー180の他端部である自由端部にはケーブル148の一端部が連結されるとともに、レバー180とブレーキシュー160bとは、ストラット186によって連結される。
また、ケーブル148には、図1に示すように、張力付与装置147が接続される。張力付与装置147の電動モータ146は、正・逆両方向に回転可能なものであり、電動モータの駆動力が伝達装置188を介してケーブル148に伝達される。伝達装置188は、複数のギヤを含むものであり、電動モータ146の回転をケーブル148の引っ張りに変換して伝達する。
また、電動モータ146が停止状態にされると、ケーブル148もその状態に保たれる。電動モータ146に電流が供給されなくても、電動パーキングブレーキ140,142において作用力が維持されることになる。
本実施例においては、アンカピン156に加えられる力を検出する引きずりトルクセンサ190,192が設けられる。ブレーキシュー160a,160bのブレーキドラム152の摩擦面154への摺動によってアンカピン156に力が加えられるため、その力が検出されるのである。
ブレーキ装置はブレーキECU200(図1参照)の指令に基づいて制御される。ブレーキECU200は、コンピュータを主体とするもので、実行部202,記憶部204,入出力部206等を含む。入出力部206には、引きずりトルクセンサ42〜45,パーキングスイッチ144,引きずりトルクセンサ190,192、ブレーキペダル10の操作状態を検出するブレーキスイッチ210、ブレーキペダル10の操作ストロークを検出するストロークセンサ212、マスタ圧センサ214、ブレーキ液圧センサ216、車輪速センサ218、液圧源液圧センサ220、旋回状態検出装置228等が接続される。また、増圧リニアバルブ100〜103,減圧リニアバルブ110〜113,マスタ遮断弁49,50,シミュレータ制御弁134が図示しない駆動回路を介して接続され、ポンプモータ58、張力付与用の電動モータ146が図示しない駆動回路を介して接続されるとともに警報装置230が接続される。
旋回状態検出装置228は、車両の旋回状態を検出するものであり、図示しないステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ、車両のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ、車両に加わる横加速度を検出する横加速度センサ等の少なくとも1つを含む。
警報装置230は、検出された引きずりトルクが設定値以上である場合に、そのことを報知する。警報装置230は、運転席周辺に設けられたディスプレイを含むものとしたり、音声発生装置を含むものとしたり、光を点滅させたり、消灯状態から点灯状態に変更可能な発光装置を含むものとしたりすること等ができる。
記憶部204には、図4のフローチャートで表される引きずりトルク検出プログラム、図5のフローチャートで表されるブレーキ液圧制御プログラム、図6のフローチャートで表されるスピン抑制制御プログラム、図7の理想配分比率を表すテーブル等が格納される。
運転者によってブレーキペダル10が操作された場合には、マスタ遮断弁49,50が閉状態とされることによりブレーキシリンダ20,21がマスタシリンダ12から遮断される。ブレーキシリンダ20〜23にはポンプ装置14の液圧が供給されて、液圧ブレーキ16〜19が作動させられる。ストロークセンサ212によって検出されたストローク、マスタ圧センサ214によって検出されたマスタ圧等のブレーキ操作状態に基づいて運転者の要求制動力が求められ、要求制動力が得られるようにブレーキシリンダ20〜23の各々の目標液圧が決定される。この場合に、ブレーキシリンダ20〜23の各々の目標液圧は、前輪の制動力と後輪の制動力との比率が図7に示す理想配分線に基づいて決まる大きさとなるように決定される。そして、実際のブレーキシリンダ20〜23の液圧が各輪毎に決められた目標液圧と同じになるように、各増圧リニアバルブ100〜103,減圧リニアバルブ110〜113のコイルへの供給電流量が決定される。
例えば、求められた要求制動力と図7の理想配分線で表されるテーブル(前輪、後輪の制動力と、配分比率との関係を表すテーブル)とに基づけば、前輪の要求制動力、後輪の要求制動力が決まり、左右前輪のブレーキシリンダ20,21の目標液圧、左右後輪のブレーキシリンダ22,23の目標液圧が決まるのである。
また、車輪速センサ218によって検出された車輪速度に基づいて決まる各車輪のスリップ状態が過大である場合には、アンチロック制御が行われる。アンチロック制御は、フローチャートの図示は省略するが、アンチロック制御プログラムの実行に従って行われ、ブレーキシリンダ20〜23の液圧が、各輪のスリップ状態が路面の摩擦係数で決まる適正な大きさとなるように、個別に制御される。
一方、運転者によってパーキングスイッチ144が操作された場合には、電動モータ146が作動させられ、ケーブル148に予め定められた引張力が加えられる。ケーブル148に加えられた引張力によって、電動パーキングブレーキ140,142が作動させられる。
運転者によってブレーキペダル10もパーキングレバー144も操作されていない非操作状態にあり、かつ、ブレーキシリンダ20〜23の目標液圧が0で、増圧リニアバルブ100〜103,減圧リニアバルブ110〜113への供給電流の指令値が0である非制御状態にある場合に、引きずりトルクが検出される。液圧ブレーキ16〜19の制動トルクが引きずりトルクセンサ42〜45によって検出され、パーキングブレーキ140,142の制動トルクが引きずりトルクセンサ190,192によって検出されるのである。
そして、運転者によってブレーキペダル10が操作された場合には、ブレーキ操作状態と、理想配分線に基づいて決まる比率と、引きずりトルクセンサ190,192による検出結果とに基づいて、ブレーキシリンダ20〜23の目標液圧が決定される。本実施例においては、電動パーキングブレーキ140,141の引きずりトルクに基づいて液圧ブレーキ16〜19が制御されるのである。
例えば、前述のように、ブレーキ操作状態に基づいて求められた要求制動力と理想配分線に基づいて決まる比率とに基づいて前輪の目標制動力FF、後輪の目標制動力FRが決定されるが、図8に示すように、電動パーキングブレーキ140,142の各々に引きずりトルクTrd(引きずりトルクに対応する制動力をFrdとする)が検出された場合には、前輪の液圧ブレーキ16,17の目標作動力(ブレーキシリンダ20,21の目標液圧に対応する)は、ブレーキ操作状態に基づいて決まる操作対応目標制動力FFに応じた大きさとされ、後輪の液圧ブレーキ18,19の目標作動力(ブレーキシリンダ22,23の目標液圧に対応する)は、後輪の操作対応目標制動力FRから引きずりトルクに応じた制動力Frdを引いた大きさ(FR−Frd)に応じた大きさとされる。
また、右後輪RRの電動パーキングブレーキ142に引きずりトルクが検出された場合には、右後輪RRの液圧ブレーキ19のブレーキシリンダ23の目標液圧は、操作対応目標制動力FRから引きずりトルクTrrdに対応する制動力Frrdを引いた値(FR−Frrd)に応じた大きさとされる。左後輪RLの液圧ブレーキ18のブレーキシリンダ22の目標液圧は操作対応目標制動力FRに応じた大きさとされる。
このように、本実施例においては、要求制動力に基づいて求められた各輪毎の操作対応目標制動力を引きずりトルクで補正して、各輪のブレーキ作動力の目標値(ブレーキシリンダ20〜23の目標液圧)が決定されるのである。
また、旋回状態がスピン状態に達した場合にはスピン抑制制御が行われる。
スピン抑制制御においては、原則として、前輪側の旋回内輪が基準車輪とされ、基準車輪の回転速度に基づいて前輪側の旋回外輪の目標回転速度が決定される。目標回転速度は、スピン傾向が強い場合は弱い場合より小さくされる。そして、制御対象輪である旋回外輪の目標回転速度と実際の回転速度との差に基づいてブレーキ作動力の目標値が決定される。スピン傾向の強さは、横加速度、ヨーレイト等に基づいて取得され、スピン傾向の強さを表す値が設定値以上である場合に、スピン状態であるとされる。
この制御対象輪のブレーキシリンダの液圧の目標値を決定する場合に引きずりトルクが考慮される。この場合には、引きずりトルクが、液圧ブレーキ16〜19に生じている場合も電動パーキングブレーキ140,142に生じている場合も考慮される。
本実施例においては、引きずりトルクが加えられる車輪の位置、引きずりトルクの大きさ等に基づいて、制御対象輪のブレーキシリンダの液圧の目標値(制御指令値)を決定する際の係数テーブル(モデルの一態様)が変更される。そして、その係数テーブルと実際の旋回状態(例えば、スピン傾向)とに基づいて制御指令値が作成される。この係数テーブルは、記憶部204に記憶される。
図9に示すように、後輪側の旋回内輪に引きずりトルクが加わっている場合には、引きずりトルクに起因するヨーモーメントが旋回方向とは同じ向きに作用し、後輪側の旋回外輪に加わっている場合には、引きずりトルクに起因するヨーモーメントが旋回方向と逆向きに作用することがわかる。また、ヨーモーメントの大きさは引きずりトルクの大きさに応じた大きさとなる。
例えば、引きずりトルクが検出されたブレーキが後輪側の旋回外輪である場合には、引きずりトルクが加わっていないと想定した場合の旋回状態に基づいて決定されるスピン対応目標制動力Fθから引きずりトルクに応じた制動力Frrdを引いた大きさ(Fθ−Frrd)に応じた値が制御対象輪である前輪側の旋回外輪のブレーキシリンダの液圧の目標値とされ、引きずりトルクが検出された車輪が後輪側の旋回内輪である場合には、スピン対応目標値Fθに引きずりトルクに応じた制動力Frrdを加えた値(Fθ+Frrd)に応じた値がブレーキ作動力の目標値とされる。
これらを考慮して、実際の旋回状態に基づいて制御指令値を決定し得るように係数テーブルを変更しておくのである。また、引きずりトルクが検出されたブレーキが前輪側の旋回内輪である場合には、その車輪が基準車輪として選択されないようにすることができる。引きずりトルクが加えられることにより回転速度が小さくされているからである。
図4のフローチャートで表される引きずりトルク検出プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする。)において、ブレーキペダル10とパーキングスイッチ144との両方が操作状態にあるか否かが判定され、S2において、ブレーキシリンダ20〜23のすべての液圧が制御状態にあるか否かが判定され、S3において、車両が走行中であるか否かが判定される。
ブレーキペダル10もパーキングスイッチ144も非操作中で、すべてのブレーキシリンダ20〜23に対して制御が行われていない非制御中(例えば、目標液圧が0である場合)で、かつ、走行中である場合(例えば、走行速度が設定速度以上である場合)には、S4において、引きずりトルクセンサ42〜45、引きずりトルクセンサ190,192によって制動トルクが検出される。ブレーキ操作中でもブレーキ制御中でもない場合には、本来制動トルクは実質的に0である(0あるいは予想される設定制動トルク以下である)はずである。
検出された制動トルクが0である場合には、引きずりトルクが生じていないとされるが、制動トルクが0より大きい場合には、引きずりトルクが生じているとされる。S5において、引きずりトルクが設定値より大きいか否かが判定される。設定値以上である場合には、S6において、スピン抑制制御におけるテーブルが変更され(補正され)、S7において、警報が発せられる。また、設定値より小さい場合には、S6,7が実行されることはない。
図5のフローチャートで表されるブレーキ液圧制御プログラムは予め定められた設定時間毎に実行される。S11において、ブレーキペダル10が操作中であるか否かが判定され、S12において、アンチロック制御中であるか否かが判定される。アンチロック制御はアンチロック制御プログラムの実行に従って行われる。
サービスブレーキ操作部材の操作中であって、アンチロック制御中でない場合には、S13において、前述のように、ブレーキ操作状態に基づいて要求制動力が決定され、S14において、要求制動力と図7で表す理想配分線に基づいて決まる比率とに基づいて左右前輪、左右後輪のブレーキシリンダ液圧の目標値が決定され、S15において、引きずりトルクが検出された場合には、その引きずりトルクで液圧の目標値が補正される。そして、S16において、補正された液圧目標値に基づいて増圧リニアバルブ100〜103,減圧リニアバルブ110〜113への供給電流量が決定され、S17において、それに基づいて、各ブレーキシリンダの液圧が制御される。
スピン抑制制御は、図6のフローチャートで表されるプログラムの実行に従って行われる。S21において、スピン抑制制御中であるか否かが判定される。スピン抑制制御中でない場合には、S22において、開始条件が満たされるか否かが判定される。開始条件は、例えば、スピン傾向の強さを表す値が設定値(開始しきい値)以上である場合に満たされたとすることができる。開始条件が満たされた場合には、S23において、テーブルに基づいて制御対象輪の目標液圧が決定される。検出された引きずりトルクが設定値以上である場合には、引きずりトルクに基づいてテーブルが変更されており、その変更されたテーブルに従って目標液圧が決定される。そして、S24において、目標液圧が得られるように増圧リニアバルブ100〜103、減圧リニアバルブ110〜113への供給電流が決定され、ブレーキシリンダの液圧が制御される。
それに対して、スピン制御中である場合には、S21における判定がYESとなり、S25において、終了条件が満たされるか否かが判定される。例えば、スピン傾向の強さを表す値が開始条件とは異なる設定値以下になった場合等に終了条件が満たされたとすることができる。終了条件が満たされない場合には、S23,24において、スピン抑制制御が継続して行われるが、終了条件が満たされた場合には、S26において終了処理が行われる。
本実施例いおいては、引きずりトルクが加わっている状態において、スピン抑制制御の開始条件が満たされた場合には、引きずりトルクに応じて変更されたテーブルに基づいて制御が行われるが、開始条件が満たされない場合には、変更されたテーブルに基づいて制御が行われることはない。
このように、本実施例においては、引きずりトルクに基づいてブレーキ作動力の制御が行われるため、引きずりトルクの車両の走行状態への影響を小さくすることができる。また、前後制動力配分制御においては、前輪制動力と後輪制動力との比率を理想配分線に沿った大きさにすることができる。
本実施例においては、液圧制御弁装置54およびブレーキECU200の図4,5,6のフローチャートで表されるプログラムを記憶する部分、実行する部分、図7のテーブルを記憶する部分等によりブレーキ作動力制御装置が構成される。ブレーキ作動力制御装置は引きずりトルク対応ブレーキ作動力制御部でもある。また、液圧制御弁装置54およびブレーキECU200の図5のフローチャートで表されるブレーキ液圧制御プログラムを記憶する部分、実行する部分、図7のテーブルを記憶する部分等により前後制動力配分制御部が構成され、液圧制御装置54およびブレーキECU200の図6のフローチャートで表されるスピン抑制制御プログラムを記憶する部分、実行する部分、係数テーブルを記憶する部分等により旋回時制御部が構成される。
前後制動力配分制御部は、他ブレーキ引きずりトルク対応作動力制御部でもあり、スピン抑制制御部は、他輪引きずりトルク対応作動力制御部でもある。
また、ブレーキECU200のブレーキ液圧制御プログラムのS14,15を記憶する部分、実行する部分、スピン抑制制御プログラムのS23を記憶する部分、実行する部分等により制御指令値作成部が構成される。そして、引きずりトルクセンサ42〜45,190,192およびブレーキECU200の図4の引きずりトルク検出プログラムを記憶する部分、実行する部分等により引きずりトルク検出装置が構成される。引きずりトルク検出装置のうちの、引きずりトルクセンサ42〜45,190,192およびブレーキECU200の引きずりトルク検出プログラムのS2,4を記憶する部分、実行する部分等により非制御時制動トルク検出部が構成され、引きずりトルクセンサ42〜45,190,192、ブレーキスイッチ210、パーキングスイッチ144、ブレーキECU200のS1,4を記憶する部分、実行する部分等により非操作時制動トルク検出部が構成される。引きずりトルク検出装置は、非制動走行状態制動トルク検出部でもある。
さらに、液圧ブレーキ16,17は、ブレーキペダル10の操作に応じて発生させられたマスタシリンダ12の液圧がブレーキシリンダ20,21に供給されることにより作動させられるマニュアル作動装置の一構成要素である。
なお、前後制動力配分制御において、前輪のブレーキ作動力の目標値(ブレーキシリンダ20,21の液圧の目標値)と後輪のブレーキ作動力の目標値(ブレーキシリンダ22,23の液圧の目標値)とが、要求制動力と理想配分線に基づいて決まる比率とに基づいて決められるが、要求制動力は、ブレーキペダル10の操作状態と引きずりトルクとの和に基づいて決めてもよい。引きずりトルクが大きい場合等には、運転者が、引きずりトルクを考慮に入れてブレーキペダル10を操作する場合ある。この場合には、引きずりトルクに応じた制動力とブレーキペダル10の操作状態に基づいて決まる操作対応要求制動力との和が最終的な要求制動力であると考えることができるのである。それに対して、引きずりトルクが小さい場合等には、運転者は引きずりトルクが生じていることに気が付かないでブレーキペダル10を操作するのが普通であり、サービスブレーキ操作状態に基づいて決まる操作対応要求制動力を最終的な要求制動力であると考えることができる。また、検出された引きずりトルクの大きさが設定値以上である場合には、最終的な要求制動力を引きずりトルクに応じた制動力と操作対応要求制動力との和とし、設定値より小さい場合には操作対応要求制動力とすることができる。
また、上記実施例においては、通常制動時において、ブレーキシリンダ20〜23の液圧について前後制動力配分制御が行われたが、左右制動力配分制御が行われるようにすることができる。旋回外輪は旋回内輪より荷重が大きくなるため、車輪のスリップが過大にならない範囲内において、旋回外輪についてブレーキ作動力を大きくすることができ、制動力を大きくすることができる。そのため、左右制動力配分制御においては、旋回外輪の制動力と旋回内輪の制動力との比率が旋回状態に応じて決まる大きさとなるように、旋回外輪側のブレーキシリンダの液圧と旋回内輪側のブレーキシリンダの液圧とが制御される。図8に示すように、引きずりトルクが検出された場合には、上記実施例における場合と同様に、旋回状態で決まる目標制動力から引きずりトルクに対応する制動力を引いた大きさが目標制動力とされ、目標制動力に応じてブレーキシリンダの液圧の目標値が決定されるのである。
図10のフローチャートで表されるブレーキ液圧制御プログラムは、上記実施例における場合と同様に設定時間毎に実行される。そして、ブレーキスイッチ210がON状態にあり、アンチロック制御中でない場合には、ブレーキ操作状態に基づいて要求制動力が取得され、S34において、要求制動力と旋回状態とに基づいて旋回外輪の目標ブレーキシリンダ液圧と、旋回内輪の目標ブレーキシリンダ液圧とが決定され、S15において引きずりトルクに基づいて補正される。以下、補正された目標ブレーキシリンダ液圧に基づいて、液圧制御弁装置54が制御される。
本実施例において、液圧制御弁装置54,ブレーキECU200の図10のフローチャートで表されるブレーキ液圧制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により左右制動力配分制御部が構成される。
さらに、左右制動力配分制御においては、実ヨーレイトが目標ヨーレイトに近づくように、右側輪の制動力と左側輪の制動力との比率である目標比率が決定され、実際の比率が目標比率に近づくように、右側輪のブレーキシリンダの液圧と左側輪のブレーキシリンダの液圧とが制御されるようにすることもできる。本実施例において、左右制動力配分制御は、スピン傾向を表す強さが設定値(前述のスピン抑制制御の開始しきい値)より小さい場合に行われる制御をいう。
この左右制動力配分制御には、運転者による操舵部材の操舵量(ステアリングホイールの操舵角)が0である状態でブレーキペダル10が操作された場合において、各輪のブレーキシリンダ20〜23の目標液圧に対応する制動トルクより引きずりトルクの方が大きい場合に、引きずりトルクが検出された車輪については、液圧制動トルクの目標値を0とし、引きずりトルクが検出された車輪とは異なる車輪については、液圧制動トルクを目標値を引きずりトルクに基づいて大きくする制御も含まれる。この制御によれば、引きずりトルクに起因するヨーモーメントを小さくすることができる。
また、左右制動力配分制御と前後制動力配分制御との両方が並行して行われるようにすることもできる。
さらに、前後制動力配分制御、左右制動力配分制御等が行われることは不可欠ではない。各ブレーキシリンダの液圧がブレーキ操作状態に基づいて決まる要求制動力が得られるように(配分されることなく)制御される要求制動力対応制御にも適用することができる。
また、アンチロック制御、トラクション制御等においても、引きずりトルクに基づいてブレーキシリンダの液圧が制御されるようにすることができる。例えば、引きずりトルクが検出された車輪については、制動力が小さめになるようにブレーキシリンダの液圧が制御されるようにするのであり、例えば、減圧量を大きめにしたり、増圧量を小さめにしたりすることができる。
さらに、電動パーキングブレーキ140,142の引きずりトルクは、ケーブル148の張力を検出する張力センサによって検出されるようにすることができる。パーキングスイッチ144の非操作状態において、ケーブル148の張力を検出すれば、パーキングブレーキ140,142の引きずりトルクを共通に検出することができる。
また、張力付与装置147の電動モータ146の温度を検出する温度センサを設け、電動モータ146の温度が高い場合は、電動パーキングブレーキ140,142に引きずりトルクが生じているとすることができる。
さらに、プロペラシャフト等にねじりセンサを設け、エンジンブレーキが検出されるようにすることもできる。エンジンブレーキにより駆動輪に制動トルクが加えられる場合には、それを考慮して前後制動力配分制御、左右制動力配分制御等が行われるようにすることができる。
また、スピン抑制制御の態様は、上記実施例におけるそれに限らない。例えば、実ヨーレイトと目標ヨーレイドとの差の絶対値が設定値以上の場合に開始され、実ヨーレイトを目標ヨーレイトに近づける制御が行われるようにすることができる。この場合には、実ヨーレイトと目標ヨーレイトとの差に応じたヨーモーメントが加えられることになるのであり、ヨーモーメントが得られるように、旋回外輪に制動力が加えられる。
さらに、スピン抑制制御の他にドリフトアウト抑制制御が行われるようにすることができる。ドリフトアウト抑制制御においても同様であり、ドリフトアウト傾向で決まる各輪毎の目標制動力と引きずりトルクとに基づいて、各輪毎のブレーキシリンダの目標液圧が決定されるようにすることができる。
なお、スピン抑制制御、ドリフトアウト抑制制御等の旋回制御が行われることは不可欠ではない。
また、液圧ブレーキ16〜19の代わりに電動ブレーキとしたり、電動パーキングブレーキ140,142をマニュアル式のパーキングブレーキとしたりすることができる。さらに、液圧ブレーキ16〜19はディスクブレーキでなくドラムブレーキとすることもできる。また、後輪にドラムブレーキを設け、ドラムブレーキが電動のサービスブレーキとしての機能とパーキングブレーキとしての機能とを有するものとすることができる。
さらに、液圧ブレーキ16〜19の引きずりトルクに基づいて電動パーキングブレーキ140,141の作動力が制御されるようにすることもできる。
その他、本発明は、前述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
本発明の一実施例であるブレーキ装置の回路図である。 上記ブレーキ液圧制御装置に含まれるディスクブレーキの断面図である。 上記ブレーキ液圧制御装置に含まれるパーキングブレーキの正面図である。 上記ブレーキ液圧制御装置のブレーキECUの記憶部に記憶された引きずりトルク検出プログラムを表すフローチャートである。 上記ブレーキECUの記憶部に記憶されたブレーキ液圧制御プログラムを表すフローチャートである。 上記ブレーキECUの記憶部に記憶されたスピン抑制制御プログラムを表すフローチャートである。 上記ブレーキECUの記憶部に記憶された前後制動力配分制御において使用されるテーブルを概念的に示す図である。 上記ブレーキ装置において行われる制動力配分制御の一例を概念的に示す図である。 上記ブレーキ装置において行われるスピン抑制制御の一例を概念的に示す図である。 上記ブレーキ液圧制御装置のブレーキECUの記憶部に記憶された別のブレーキ液圧制御プログラムを表すフローチャートである。
符号の説明
16〜19:液圧ブレーキ 42〜45:引きずりトルクセンサ 140,142:電動パーキングブレーキ 144:ブレーキスイッチ 148:ケーブル 190,192:引きずりトルクセンサ 210:ブレーキスイッチ

Claims (9)

  1. 車両の複数の車輪にそれぞれ設けられた少なくとも1つずつのブレーキと、
    それら複数のブレーキのうちの少なくとも1つの引きずりトルクを検出する引きずりトルク検出装置と、
    その引きずりトルク検出装置による検出結果に基づいて、前記複数のブレーキのうちの少なくとも1つの作動力を制御するブレーキ作動力制御装置と
    を含むことを特徴とするブレーキ装置。
  2. 前記ブレーキ作動力制御装置が、前記引きずりトルク検出装置によって引きずりトルクが検出されたブレーキが設けられた車輪とは異なる車輪に設けられた少なくとも1つのブレーキのうちの少なくとも1つの作動力を、前記検出された引きずりトルクに基づいて制御する他輪引きずりトルク対応作動力制御部を含む請求項1に記載のブレーキ装置。
  3. 前記ブレーキが、前記複数の車輪の少なくとも一部のものにそれぞれ複数ずつ設けられ、前記ブレーキ作動力制御装置が、前記引きずりトルク検出装置によって引きずりトルクが検出されたブレーキが設けられた車輪と同じ車輪の複数のブレーキのうち、前記引きずりトルクが検出されたブレーキとは異なるブレーキの作動力を、前記検出された引きずりトルクに基づいて制御する他ブレーキ引きずりトルク対応作動力制御部を含む請求項1または2に記載のブレーキ装置。
  4. 前記引きずりトルク検出装置が、車両全体が非制動で走行中に前記少なくとも1つのブレーキの制動トルクを検出する非制動走行中制動トルク検出部を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  5. 前記ブレーキ作動力制御装置が、前記複数のブレーキのうちの少なくとも1つの作動力の目標値を表す制御指令値を作成する制御指令値作成部と、前記少なくとも1つのブレーキの実際の作動力が、その制御指令値作成部によって作成された制御指令値が表す目標値となるように、前記少なくとも1つのブレーキの作動力を制御する作動力制御部とを含み、前記引きずりトルク検出装置が、前記少なくとも1つのブレーキのうちの前記制御指令値が0であるブレーキの制動トルクを検出する非制御時制動トルク検出部を含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  6. 当該ブレーキ装置が、前記複数の車輪のブレーキのうちの少なくとも1つを、運転者によるブレーキ操作部材の操作に応じて作動させるマニュアルブレーキ作動装置を含み、前記引きずりトルク検出装置が、前記ブレーキ操作部材の非操作状態において前記少なくとも1つのブレーキの制動トルクを検出する非操作時制動トルク検出部を含む請求項1ないし5のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  7. 前記ブレーキが、車両の前輪と後輪とにそれぞれ少なくとも1つずつ設けられ、前記引きずりトルク検出装置が、それら前輪と後輪とに設けられた少なくとも1つずつのブレーキの少なくとも1つの引きずりトルクを検出する前輪・後輪引きずりトルク検出部を含み、前記ブレーキ作動力制御装置が、前記前輪・後輪引きずりトルク検出部による検出結果に基づいて、前記前輪のブレーキ作動力と前記後輪のブレーキ作動力とを、前輪に加わる制動力と後輪に加わる制動力との比率が理想配分線に基づいて決まる大きさとなるように制御する前後制動力配分制御部を含む請求項1ないし7のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  8. 前記ブレーキが、車両の右側輪と左側輪とにそれぞれ少なくとも1つずつ設けられ、前記引きずりトルク検出装置が、それら右側輪と左側輪とに設けられた少なくとも1つずつのブレーキの少なくとも1つの引きずりトルクを検出する右側輪・左側輪引きずりトルク検出部を含み、前記ブレーキ作動力制御装置が、前記右側輪・左側輪引きずりトルク検出部による検出結果に基づいて、前記右側輪のブレーキ作動力と前記左側輪のブレーキ作動力とを、前記右側輪に加わる制動力と左側輪に加わる制動力との比率が車両の旋回状態に応じた大きさとなるように制御する左右制動力配分制御部を含む請求項1ないし7のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  9. 前記ブレーキが、車両の前後左右輪のそれぞれに少なくとも1つずつ設けられ、前記引きずりトルク検出装置が、前記前後左右輪の少なくとも1つずつのブレーキのうちの少なくとも1つの引きずりトルクを検出するものであり、前記ブレーキ作動力制御装置が、前記引きずりトルク検出装置による検出結果に基づいて、前記前後左右輪の少なくとも1つずつのブレーキの少なくとも1つの作動力を制御することにより、車両の旋回時のヨーモーメントを制御する旋回時制御部を含む請求項1ないし8のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
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