JP2005278499A - 植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わる新規遺伝子、及びその利用 - Google Patents
植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わる新規遺伝子、及びその利用 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 花序***組織から小穂***組織への転換の抑制、葉の分化の抑制に関わるイネ由来の新規遺伝子とそのタンパク質、およびその利用方法を提供する。
【解決手段】 イネの花序***組織から小穂***組織への転換の抑制、葉の分化の抑制に関わるAPO1遺伝子をその突然変異体を用いて単離し、APO1遺伝子およびAPO1タンパク質の構造を決定した。植物の花序や花の形成、葉の分化等における分子機構を研究解析するための材料として有用である。さらに、花序形態や出葉数の改良などによって収量の増加を図るといった育種への応用も可能である。
【選択図】 なし
【解決手段】 イネの花序***組織から小穂***組織への転換の抑制、葉の分化の抑制に関わるAPO1遺伝子をその突然変異体を用いて単離し、APO1遺伝子およびAPO1タンパク質の構造を決定した。植物の花序や花の形成、葉の分化等における分子機構を研究解析するための材料として有用である。さらに、花序形態や出葉数の改良などによって収量の増加を図るといった育種への応用も可能である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わる新規遺伝子、当該遺伝子がコードするタンパク質、並びに当該遺伝子およびタンパク質の利用に関するものである。
一般に、高等植物においては、栄養成長期と生殖成長期とがあり、栄養成長期から生殖成長期に移行すると、胚発生後それまで茎葉部のほとんどの部分を形成していた茎の先端や腋芽の成長点(茎頂***組織)の性質が変化して、花序や花が形成される。植物には、一つの茎や枝に複数の花が形成される種類が多くあるが、このように、1つの枝に複数の花が形成される形状、あるいはその枝を花序という。花序形成は、遺伝的に決められた発生プログラムに基づいて、栄養成長期から生殖成長期の転換期に開始される。生殖成長期の茎頂***組織(生殖成長***組織)は、花序***組織と花芽***組織とに分けられる。花序***組織は、花序***組織の再***による性質の維持と、花芽***組織への分化を行なうが、花芽***組織は、性質が維持されることはなく、花器官に分化する。
双子葉植物については、シロイヌナズナやキンギョソウを用いて、花の形成のメカニズムについての分子レベルでの解明が進み、例えば、花器官のアイデンティティーについては、3種類の遺伝子(ABCモデル)の相互作用によりよく説明される。しかし、花序の構造の確立のような、花の形成より前の段階については、単子葉植物のみならず、双子葉植物においてもそのメカニズムのさらなる解明が待たれるところである。
単子葉植物の花序及び花の構造は、双子葉植物のものとは大きく異なっている。例えば、図7に示すように、イネ科植物の穂は、穂軸1、1次枝梗2、2次枝梗3、高次の枝梗、花が幾つか集まった小穂4等からなる。図8には、イネ科植物の花序及び花の形成における茎頂***組織の転換の様子を模式的に示す。栄養成長期に葉と分げつを分化していた茎頂***組織(栄養成長***組織)5は、生殖成長期に移行すると、1次枝梗***組織7を分化する穂軸***組織6に転換する。穂軸***組織6は複数の1次枝梗***組織7を分化し、その後退化する。1次枝梗***組織7からはさらに高次の枝梗***組織がつくられる。穂軸***組織6及び枝梗***組織7を花序***組織と呼ぶ。枝梗***組織7は側生に小穂***組織8を分化する。小穂***組織からは穎9がつくられ、小穂***組織8は、その後花器官を分化する1つ(イネ等)又は複数(オオムギ、トウモロコシ等)の花***組織10へ転換する。以上のように、例えば、イネ科植物では、生殖成長期において、茎頂***組織は、穂軸***組織、枝梗***組織、小穂***組織、花***組織の順にその性質を転換する。このことは、花序の構造は、これら4種類の茎頂***組織の活性によって制御されていることを意味している。
本発明者らは、生殖成長期における上述した茎頂***組織の転換制御のメカニズムを明らかにするために、花序及び花の構造に異常の見られるイネの劣性突然変異体 aberrant panicle organization 1(以下、apo1と称する)の表現型を同定し解析している(例えば、非特許文献1、2参照。)。非特許文献1、2では、apo1の3つのアリル、apo1−1、apo1−2、及びapo1−3の表現型の解析結果が報告されている。これらの突然変異体は、花序及び花の構造において共通の異常を示す。すなわち、野生型の穂軸***組織は、10本程度の1次枝梗を分化した後退化するが、apo1変異体では、穂軸***組織は退化するより前に、小穂***組織に転換する。同様の傾向は1次枝梗***組織でも見られ、1次枝梗***組織側生器官を殆ど分化することなく小穂に転換する。結果として、apo1変異体は、野生型より、花序が短く、小穂の数も少ない。また、apo1変異体は、花器官の組織においても、鱗被の増加、雄蕊の減少、雌蕊の増加等の表現型を示す。
また、非特許文献2では、apo1変異体は、栄養成長期においても、栄養成長期をとおして野生型よりも速く葉を分化し、野生型より、短い葉間期を有することが報告されている。これらのことから、apo1変異体においては、茎頂***組織の転換が早まっており、その野生型遺伝子は、茎頂***組織の早すぎる転換を抑制していることが示唆されている。
Ikeda,K., Nagasawa,N., Nagato,Y., Rice genetics news letter 2000 vol.17 31-34 Ikeda,K., Nagasawa,N., Nagato,Y., Rice genetics news letter 2002 vol.19 43-45
Ikeda,K., Nagasawa,N., Nagato,Y., Rice genetics news letter 2000 vol.17 31-34 Ikeda,K., Nagasawa,N., Nagato,Y., Rice genetics news letter 2002 vol.19 43-45
しかしながら、apo1変異体については、表現型の解析が行なわれているのみで、その野生型遺伝子とされるAPO1遺伝子については、未だマッピングも単離も行なわれていない。
apo1変異体の表現型より、APO1遺伝子は、生殖成長期における花序や花の形成、さらには、栄養成長期における葉の分化等に関与していることが示唆されている。この遺伝子が発現して機能することにより、花序や花の形成又は葉の分化において、茎頂***組織の性質の転換が制御されていることが考えられる。
したがって、かかる未知の遺伝子やタンパク質が明らかになれば、当該遺伝子やタンパク質の解析を通じ、花序や花の形成、葉の分化等における分子機構の解明に有用である。さらに、かかる学術的意義もさることながら、例えば、花序形態や出葉数の改良による収量の増加を図るといった、育種への幅広い利用が期待される。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わる新規遺伝子、及びその遺伝子がコードするタンパク質を提供するとともに、これらの利用方法を提案することにある。
本願発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、apo1変異体では、上記未知の野生型遺伝子であるAPO1遺伝子が有効に機能していないことを想定し、apo1変異体からポジショナルクローニング法を用いて、APO1遺伝子の単離を行った。さらに、APO1遺伝子およびそのコードするタンパク質が、F−boxタンパク質であり、標的となるタンパク質の分解に関与していることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は産業上有用な物質または方法として、下記1)〜20)の発明を含むものである。
1)以下(a)または(b)のタンパク質をコードする遺伝子。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)上記アミノ酸配列において、1個またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)上記アミノ酸配列において、1個またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質。
2)配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して50%以上の相同性を有し、かつ植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子。
3)配列番号2に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム領域として有する遺伝子。
4)配列番号2に示される塩基配列、もしくは配列番号1に示されたアミノ酸配列をコードする塩基配列、またはそれら塩基配列の一部分に対して、ストリンジェンシーな条件下で、ハイブリダイズし、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子。
5)上記遺伝子は、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わることを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載の遺伝子。
6)上記時間的制御は、植物の生殖成長***組織の花序***組織から小穂***組織への転換、及び、植物の栄養成長期における葉の分化から選ばれる少なくとも1つを時間的に遅らせることであることを特徴とする1)〜5)のいずれかに記載の遺伝子
7)イネ科植物由来である、上記1)〜6)のいずれかに記載の遺伝子。
7)イネ科植物由来である、上記1)〜6)のいずれかに記載の遺伝子。
8)イネ由来である、上記1)〜5)のいずれかに記載の遺伝子。
9)上記1)〜8)のいずれかに記載の遺伝子によりコードされるタンパク質。
10)以下(a)または(b)のタンパク質。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)上記アミノ酸配列において、1個またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)上記アミノ酸配列において、1個またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質。
11)上記9)または10)に記載のタンパク質を認識する抗体。
12)上記1)〜8)のいずれかに記載の遺伝子を含有する組換え発現ベクター。
13)上記1)〜8)のいずれかに記載の遺伝子を含有する組換え発現ベクターを含む形質転換体。
14)上記13)に記載の形質転換体を培養し、又は生育させ、該形質転換体から植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質を採取する工程を含むタンパク質の生産方法。
15)上記1)〜8)のいずれかに記載の遺伝子が導入された植物もしくはこれと同じ性質を有する該植物の子孫またはそれらの組織。
16)記1)〜8)のいずれかに記載の遺伝子を用いることにより、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御がなされている植物体を生産する方法。
17)記1)〜8)のいずれかに記載の遺伝子を用いることにより、一穂に着生する穎果数の改変がなされている植物体を生産する方法。
18)記1)〜8)のいずれかに記載の遺伝子を用いることにより、出葉数及び/又は分げつ数の改変がなされている植物体を生産する方法。
19)上記1)〜8)のいずれかに記載の遺伝子を用いて、イネ科植物を育種する方法。
20)上記1)〜8)のいずれかに記載の遺伝子における少なくとも一部の塩基配列またはその相補配列をプローブとして用いた遺伝子検出器具。
本発明にかかる遺伝子及びタンパク質は、以上のように、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わる機能を備えている。また、上記時間的制御は、植物の生殖成長***組織の花序***組織から小穂***組織への転換、または、植物の栄養成長期における葉の分化の少なくとも1つを時間的に遅らせることであることが好ましい。
それゆえ、本発明にかかる遺伝子は未だよく解明されていない植物の花序や花の形成、葉の分化等における分子機構を研究解析するための材料として有用である。また、本発明は基礎研究上の意義だけではなく、例えば、植物の生殖成長***組織の花序***組織から小穂***組織への転換、または、植物の栄養成長期における葉の分化の少なくとも1つを時間的に遅らせることは収量に影響を与える要因になることから、花序形態や出葉数の改良などによって収量の増加を図る、といった育種への応用もできるという効果を奏する。さらに、本発明にかかる遺伝子の少なくとも一部をプローブとして使用すれば、植物の形態形成に関わる未知の遺伝子を単離できるという効果を奏する。
本発明の実施の形態について以下に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
(1)本発明にかかる遺伝子および該遺伝子がコードするタンパク質の構造
本発明にかかる遺伝子は、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子である。ここで「茎頂***組織」とは、高等植物において、茎の先端にあり、側生器官を分化する能力を維持する未分化な細胞からなる組織をいう。茎頂***組織には、茎及び側生的に葉を形成する栄養成長***組織と、花序又は花を形成する生殖成長***組織とが含まれる。また、「茎頂***組織の転換」とは、茎頂***組織の性質が、転換することをいい、例えば、上述したように、イネ科植物では、生殖成長期においては、茎頂***組織は、穂軸***組織、枝梗***組織、小穂***組織、花***組織の順にその性質を転換する。
本発明にかかる遺伝子は、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子である。ここで「茎頂***組織」とは、高等植物において、茎の先端にあり、側生器官を分化する能力を維持する未分化な細胞からなる組織をいう。茎頂***組織には、茎及び側生的に葉を形成する栄養成長***組織と、花序又は花を形成する生殖成長***組織とが含まれる。また、「茎頂***組織の転換」とは、茎頂***組織の性質が、転換することをいい、例えば、上述したように、イネ科植物では、生殖成長期においては、茎頂***組織は、穂軸***組織、枝梗***組織、小穂***組織、花***組織の順にその性質を転換する。
本発明において、茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質とは、茎頂***組織の転換を早くしたり、遅くしたりする機能を有するタンパク質をいう。上記時間的制御としては、例えば、植物の生殖成長***組織の花序***組織から小穂***組織への転換を時間的に遅らせること、植物の栄養成長期における葉の分化を遅らせること、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
本実施の形態では、本発明にかかる遺伝子として、例えば、イネ由来の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子APO1(配列番号2に示す塩基配列)を挙げて説明する。上記遺伝子は、イネゲノムにおける突然変異体apo1変異体を用いたポジショナルクローニング法により単離された遺伝子である。apo1変異体は上述したように、生殖成長期において、穂軸***組織や、枝梗***組織といった花序***組織が直ちに小穂***組織へ転換し、穂の分枝(1次枝梗)や穎果数(着生粒数)が少ないという表現型を示すことから、APO1遺伝子は、イネの生殖***組織が、花序***組織から小穂***組織に転換することを抑制、すなわち、時間的に遅らせる機能を有するタンパク質をコードする遺伝子であると考えられる。また、apo1変異体は、栄養成長期においても、栄養成長期を通して野生型よりも速く葉を分化し、短い葉間期を有するという表現型を示す。また、その結果として分げつ数も増加する。このことから、APO遺伝子は、栄養成長期における葉の分化を抑制、すなわち時間的に遅らせる機能を有するタンパク質をコードする遺伝子でもある。
さらに、apo1変異体は、花器官においても、雌蕊の有限性の喪失という表現型を有する。すなわち、apo1変異体では、花***組織の未分化な細胞が維持され続ける。したがって、APO1遺伝子は、花***組織の有限性獲得という機能を有するタンパク質をコードする遺伝子でもあり、茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるものである。
また、apo1変異体では、雄蕊から鱗被へのホメオティックな転換が見られ、その結果、鱗被の増加、雄蕊の減少、雌蕊の増加が見られる。したがって、APO1遺伝子は、花器官のアイデンティティーの制御という機能を有する遺伝子であってもよい。なお、ここで花器官とは、花を構成する器官(がく片、花弁、雄蕊、雌蕊)をいう。また、花器官のアイデンティティーの制御とはどの花器官に分化するかの制御をいう。
(1−1)本発明にかかる遺伝子
本発明の遺伝子としては、例えば配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするものが挙げられる。しかしながら、複数個のアミノ酸の付加、欠失および/または他のアミノ酸との置換によって修飾されたアミノ酸配列を有するタンパク質も、もとのタンパク質と同様の機能を維持することが知られている。すなわち本発明には、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子である限り、(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子、(b)上記アミノ酸配列において、1個またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子も含まれる。このような遺伝子として、例えば、配列番号2に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム(以下、ORFと略記する。)として有する遺伝子が挙げられる。なお本願では、オープンリーディングフレーム領域を、開始コドンで始まり、終止コドンで終わる領域とする。
本発明の遺伝子としては、例えば配列番号1に示されるアミノ酸配列をコードするものが挙げられる。しかしながら、複数個のアミノ酸の付加、欠失および/または他のアミノ酸との置換によって修飾されたアミノ酸配列を有するタンパク質も、もとのタンパク質と同様の機能を維持することが知られている。すなわち本発明には、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子である限り、(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子、(b)上記アミノ酸配列において、1個またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子も含まれる。このような遺伝子として、例えば、配列番号2に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム(以下、ORFと略記する。)として有する遺伝子が挙げられる。なお本願では、オープンリーディングフレーム領域を、開始コドンで始まり、終止コドンで終わる領域とする。
ここで、「1個又はそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加された」とは、部位特異的突然変異誘発法(Hashimoto-Gotoh,Gene 152,271-275(1995)他)等の公知の変異タンパク質作製法により置換、欠失、挿入、及び/又は付加できる程度の数(好ましくは10個以下、より好ましくは7個以下、さらに好ましくは5個以下)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されることを意味する。したがって、上記(b)のタンパク質をコードする遺伝子は、上記(a)のタンパク質の変異タンパク質をコードする遺伝子である。また、ここでいう「変異」は、主として公知の変異タンパク質作製法により人為的に導入された変異を意味するが、天然から単離精製された同様の変異タンパク質をコードする遺伝子であってもよい。
なお、本発明にかかる遺伝子は、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖およびアンチセンス鎖といった各1本鎖DNAやRNAを包含する。アンチセンス鎖は、プローブとして又はアンチセンス薬剤として利用できる。DNAには、例えばクローニングや化学合成技術、又はそれらの組み合わせで得られるようなcDNAやゲノムDNAなどが含まれる。さらに、本発明にかかる遺伝子は、上記(a)又は(b)のアミノ酸をコードする配列以外に、非翻訳領域(UTR)の配列やベクター配列(発現ベクター配列を含む)などの配列を含むものであってもよい。
また本発明にかかる遺伝子には、配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して、20%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%または70%以上の相同性を有するタンパク質であって、かつ植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子も含まれる。なおここで「相同性」とは、アミノ酸配列中に占める同じ配列の割合であり、この値が高いほど両者は近縁であるといえる。
また、本発明にかかる遺伝子には、配列番号1に記載の塩基配列もしくはそこに記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列、またはそれらの塩基配列の一部分、例えばコンセンサス領域の6個以上のアミノ酸をコードする塩基配列に対して、ストリンジェンシーな条件下で、ハイブリダイズし、かつ植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子も含まれる。なお、上記「ストリンジェンシーな条件」とは、少なくとも80%の同一性、好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97%の同一性が配列間に存在するときにのみハイブリダイゼーションが起こることを意味する。具体的には、例えば、5×SSC、50℃の条件下でハイブリダイズして得られるという条件を挙げることができる。
上記ハイブリダイゼーションは、J.Sambrook et al. Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法等、従来公知の方法で行うことができる。通常、温度が高いほど、塩濃度が低いほどストリンジェンシーは高くなる(ハイブリダイズし難くなる)。なお、適切なハイブリダイゼーション温度は塩基配列やその塩基配列の長さによって異なり、例えばアミノ酸6個をコードする18塩基からなるDNAフラグメントをプローブとした場合には50℃以下の温度が好ましい。
このようなハイブリダイゼーションによって選択される遺伝子としては、天然由来のもの、例えば植物由来のもの、例えば、コケ科植物由来の遺伝子が挙げられるが、植物以外の由来であってもよい。また、ハイブリダイゼーションによって選択される遺伝子はcDNAであってもよく、ゲノムDNAであってもよい。
(1−2)本発明にかかるタンパク質
本発明にかかるタンパク質は、上記(1−1)欄で説明した遺伝子にコードされるタンパク質であればよい。かかるタンパク質として、例えば、上述の(a)配列番号1示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、または(b)上記アミノ酸配列において、1個またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質を挙げることができる。
本発明にかかるタンパク質は、上記(1−1)欄で説明した遺伝子にコードされるタンパク質であればよい。かかるタンパク質として、例えば、上述の(a)配列番号1示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、または(b)上記アミノ酸配列において、1個またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質を挙げることができる。
本発明にかかるタンパク質は、上記(1−1)欄で説明した遺伝子を宿主細胞に導入して、そのタンパク質を細胞内発現させた状態であってもよいし、細胞、組織などから単離精製された状態であってもよい。また、上記宿主細胞での発現条件によっては、本発明にかかるタンパク質は、他のタンパク質とつながった融合タンパク質であってもよい。さらに本発明にかかるタンパク質は、化学合成されたものであってもよい。
なお、本発明にかかるタンパク質は、アミノ酸がペプチド結合してなるポリペプチドであればよいが、これに限定されるものではなく、ポリペプチド以外の構造を含む複合タンパク質であってもよく、付加的なポリペプチドを含むものであってもよい。ポリペプチドが付加される場合としては、例えば、HisやMyc、Flag等によって本発明にかかるタンパク質がエピトープ標識されるような場合が挙げられる。
(2)本発明にかかる遺伝子およびタンパク質の取得方法
本発明にかかる遺伝子およびタンパク質の取得方法(生産方法)は特に限定されるものではないが、代表的な方法として次に示す各方法を挙げることができる。
本発明にかかる遺伝子およびタンパク質の取得方法(生産方法)は特に限定されるものではないが、代表的な方法として次に示す各方法を挙げることができる。
(2−1)遺伝子の取得方法
本発明にかかる遺伝子の取得方法は、従来公知の方法を利用することが可能であり、特に限定されるものではない。生来の塩基配列を有する遺伝子については、後述する実施例で説明するように、例えばポジショナルクローニング法によって得ることができる。
本発明にかかる遺伝子の取得方法は、従来公知の方法を利用することが可能であり、特に限定されるものではない。生来の塩基配列を有する遺伝子については、後述する実施例で説明するように、例えばポジショナルクローニング法によって得ることができる。
また、本発明にかかる遺伝子を取得する方法として、PCR等の増幅手段を用いる方法を挙げることができる。例えば、本発明にかかる遺伝子のcDNA配列のうち、5’側および3’側の配列(またはその相補配列)の中からそれぞれプライマーを調製し、これらプライマーを用いてゲノムDNA(またはcDNA)等を鋳型にしてPCR等を行い、両プライマー間に挟まれるDNA領域を増幅することで、本発明にかかる遺伝子を含むDNA断片を大量に取得できる。
また遺伝子配列情報をもとにして、該配列を持つポリヌクレオチドを、公知の化学合成を用いて合成してもよい。
修飾されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAについては、生来の塩基配列を有するDNAを基礎として、常用の部位特定変異誘発やPCR法を用いて合成することができる。例えば、修飾を導入したいDNA断片を生来のcDNAまたはゲノムDNAの制限酵素処理によって得て、これを鋳型にして、所望の変異を導入したプライマーを用いて部位特異的変異誘発またはPCR法を実施し、所望の修飾を導入したDNA断片を得る。その後、この変異を導入したDNA断片を目的とするタンパク質の他の部分をコードするDNA断片と連結すればよい。あるいはまた、短縮されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAを得るには、例えば目的とするアミノ酸配列より長いアミノ酸配列、例えば全長アミノ酸配列をコードするDNAを所望の制限酵素により切断し、その結果得られたDNA断片が目的とするアミノ酸配列の全体をコードしていない場合は、不足部分の配列からなるDNA断片を合成し、連結すればよい。
あるいはまた、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対する抗体を用いて他の生物から本発明にかかる遺伝子と相同性を有する遺伝子をクローン化することもできる。
(2−2)タンパク質の取得方法
本発明にかかるタンパク質を取得する方法(生産方法)は、特に限定されるものではないが、まず、本発明にかかるタンパク質を発現する細胞、組織などから単純精製する方法を挙げることができる。なお、本発明にかかるタンパク質を発現する細胞、組織は、自然発生型のものでもかまわないし、例えば、組み換えバキュロウイルスに感染した細胞、組織であってもかまわない。精製方法も特に限定されるものではなく、上述したように本発明にかかる遺伝子を含む発現ベクターによって形質転換された宿主を培養、栽培または飼育し、培養物から常法に従って、例えば濾過、遠心分離、細胞の破砕、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等により目的とするタンパク質を回収、精製すればよい。
本発明にかかるタンパク質を取得する方法(生産方法)は、特に限定されるものではないが、まず、本発明にかかるタンパク質を発現する細胞、組織などから単純精製する方法を挙げることができる。なお、本発明にかかるタンパク質を発現する細胞、組織は、自然発生型のものでもかまわないし、例えば、組み換えバキュロウイルスに感染した細胞、組織であってもかまわない。精製方法も特に限定されるものではなく、上述したように本発明にかかる遺伝子を含む発現ベクターによって形質転換された宿主を培養、栽培または飼育し、培養物から常法に従って、例えば濾過、遠心分離、細胞の破砕、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等により目的とするタンパク質を回収、精製すればよい。
また、本発明にかかるタンパク質を取得する方法として、遺伝子組み換え技術等を用いる方法も挙げられる。この場合、例えば、本発明にかかる遺伝子をベクターなどに組み込んだ後、公知の方法により、発現可能に宿主細胞に導入し、細胞内で翻訳されて得られる上記タンパク質を精製するという方法などを採用することができる。遺伝子の導入(形質転換)や遺伝子の発現等の具体的な方法については後述する。
あるいはまた、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対する抗体を用いても、本発明のタンパク質を得ることができる。
なお、このように宿主に外来遺伝子を導入する場合、外来遺伝子の発現のため宿主内で機能するプロモーターを組み入れた発現ベクター及び宿主には様々なものが存在するので、目的に応じたものを選択すればよい。産生されたタンパク質を精製する方法は、用いた宿主、タンパク質の性質によって異なるが、タグの利用等によって比較的容易に目的のタンパク質を精製することが可能である。
変異タンパク質を作製する方法についても、特に限定されるものではない。例えば、部位特異的突然変異誘発法(Hashimoto-Gotoh,Gene 152,271-275(1995)他)、PCR法を利用して塩基配列に点変異を導入し変異タンパク質を作製する方法、あるいはトランスポゾンの挿入による突然変異株作製法などの周知の変異タンパク質作製法を用いることができる。これら方法を用いることによって、上記(a)のタンパク質をコードするcDNAの塩基配列において、1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されるように改変を加えることによって作製することができる。また、変異タンパク質の作製には、市販のキットを利用してもよい。
また、本発明にかかるタンパク質の取得方法は、上述したものに限定されることなく、例えば、市販されているペプチド合成器等を用いて化学合成されたものであってもよい。またその他の例としては、無細胞系のタンパク質合成液(Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 78, 5598―5602 (1981)、J.Biol.Chem.、253, 3753―3756 (1978)など)を利用して、本発明にかかる遺伝子から本発明にかかるタンパク質を合成してもよい。
(3)本発明にかかる抗体
本発明にかかる抗体は、上記(1−2)欄で説明したタンパク質、例えば、上記(a)又は(b)のタンパク質、またはその部分タンパク質、あるいは部分ペプチドを抗原として、公知の方法によりポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体として得られる抗体である。公知の方法としては、例えば、文献(Harlowらの「Antibodies : A laboratory manual(Cold Spring Harbor Laboratory, New York(1988))、岩崎らの「単クローン抗体 ハイブリドーマとELISA、講談社(1991)」」に記載の方法が挙げられる。このようにして得られる抗体は、本発明にかかるタンパク質の検出・測定などに利用できる。
本発明にかかる抗体は、上記(1−2)欄で説明したタンパク質、例えば、上記(a)又は(b)のタンパク質、またはその部分タンパク質、あるいは部分ペプチドを抗原として、公知の方法によりポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体として得られる抗体である。公知の方法としては、例えば、文献(Harlowらの「Antibodies : A laboratory manual(Cold Spring Harbor Laboratory, New York(1988))、岩崎らの「単クローン抗体 ハイブリドーマとELISA、講談社(1991)」」に記載の方法が挙げられる。このようにして得られる抗体は、本発明にかかるタンパク質の検出・測定などに利用できる。
(4)本発明にかかる組換えベクター
本発明にかかる組換え発現ベクターは、上記(1−1)欄で説明した遺伝子、例えば、上記(a)又は(b)のタンパク質をコードする本発明の遺伝子を含むものである。例えば、cDNAが挿入された組換え発現ベクターが挙げられる。組換え発現ベクターの作製には、プラスミド、ファージ、又はコスミドなどを用いることができるが特に限定されるものではない。また、作製方法も公知の方法を用いて行えばよい。
本発明にかかる組換え発現ベクターは、上記(1−1)欄で説明した遺伝子、例えば、上記(a)又は(b)のタンパク質をコードする本発明の遺伝子を含むものである。例えば、cDNAが挿入された組換え発現ベクターが挙げられる。組換え発現ベクターの作製には、プラスミド、ファージ、又はコスミドなどを用いることができるが特に限定されるものではない。また、作製方法も公知の方法を用いて行えばよい。
ベクターの具体的な種類は特に限定されるものではなく、ホスト細胞(宿主細胞)中で発現可能なベクターを適宜選択すればよい。すなわち、ホスト細胞の種類に応じて、確実に遺伝子を発現させるために適宜プロモーター配列を選択し、これと本発明にかかる遺伝子を各種プラスミド等に組み込んだものを発現ベクターとして用いればよい。
本発明にかかる遺伝子がホスト細胞に導入されたか否か、さらにはホスト細胞中で確実に発現しているか否かを確認するために、各種マーカーを用いてもよい。例えば、ホスト細胞中で欠失している遺伝子をマーカーとして用い、このマーカーと本発明にかかる遺伝子とを含むプラスミド等を発現ベクターとしてホスト細胞に導入する。これによってマーカー遺伝子の発現から本発明にかかる遺伝子の導入を確認することができる。あるいは、本発明にかかるタンパク質を融合タンパク質として発現させてもよく、例えば、オワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質GFP(Green Fluorescent Protein)をマーカーとして用い、本発明にかかるタンパク質をGFP融合タンパク質として発現させてもよい。
上記ホスト細胞は、本発明にかかる遺伝子を発現させることが可能な細胞であれば特に限定されるものではなく、従来公知の各種細胞を好適に用いることができる。具体的には、原核生物としては細菌、例えばエシェリヒア(Escherichia)属に属する細菌、例えば大腸菌(Escherichia coli)、バシルス(Bacillus)属微生物、例えばバシルス.スブシルス(Bacillus subtilis)など常用の宿主を用いることができる。真核性宿主としては、下等真核生物、例えば真核性微生物、例えば真菌である酵母または糸状菌が使用できる。酵母としては例えばサッカロミセス(Saccharomyces)属微生物、例えばサッカロミセス.セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等が挙げられ、また糸状菌としてはアスペルギルス(Aspergillus)属微生物、例えばアスペルギルス.オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス.ニガー(Aspergillus niger)、ペニシリウム(Penicillium)属微生物が挙げられる。
また、上記ホスト細胞としては、植物細胞を使用することもできる。かかる植物細胞としては、特に限定されるものではなく、双子葉植物であってもよいし、単子葉植物であってもよい。例えば、イネ科植物、カヤツリグサ科、アブラナ科植物など種々の植物細胞が利用可能であり、これらの中でもイネ、キビ、アワ、トウモロコシ、大麦、コムギ、モロコシ、ライムギ、エンバク等のイネ科植物の植物細胞であることが好ましく、イネの植物細胞であることが特に好ましい。これらの順で、遺伝子の発現の確実性を高めることが可能であると考えられる。また、上記植物には、完全な植物だけでなく、その一部、例えば、葉、種子、塊茎、挿木等を含めてもよい。さらには、上記植物には、予め形質転換された遺伝子組み換え植物やその子孫を起源とする植物組織、プロトプラスト、細胞、カルス、器官、植物種子、胚芽、花粉、卵細胞、接合子などの増殖可能な植物材料;花、茎、実、葉、根などを含む植物の一部;等も含めてよい。尚、上記植物材料は、有性的又は無性的にin vitro又はin vivo で繁殖可能なものを指す。さらに、動物細胞を用いてもよく、動物細胞としては、例えば、マウス、ハムスター、サル、ヒト等の細胞系を使用することができる。さらに昆虫細胞、例えばカイコ細胞、またはカイコの成虫それ自体も使用される。
本発明の組換え発現ベクターは、それらを導入すべき宿主の種類に依存して発現制御領域、例えばプロモーターおよびターミネーター、複製起点等を含有する。細菌用発現ベクターのプロモーターとしては、常用のプロモーター、例えばtrcプロモーター、tacプロモーター、lacプロモーター等が使用され、酵母用プロモーターとしては、例えばグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、PH05プロモーター等が使用され、糸状菌用プロモーターとしては例えばアミラーゼ、trpC等が使用される。また動物細胞宿主用プロモーターとしてはウイルス性プロモーター、例えばSV40アーリープロモーター、SV40レートプロモーター等が使用される。また植物細胞宿主用プロモーターとしては、例えばカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)19SRNAプロモーター又は35SRNAプロモーター及びCaMV二重プロモーター;ノパリンシンターゼプロモーター;病因関連(PR);アクチンプロモーター;タバコのPR1a遺伝子プロモーター;トマトのリブロース1,5−二リン酸カルボキシラーゼ・オキシダーゼ小サブユニットプロモーター等が使用される。発現ベクターの作製は制限酵素、リガーゼ等を用いて常用に従って行うことができる。また、発現ベクターによる宿主の形質転換も常法に従って行うことができる。
上記発現ベクターをホスト細胞に導入する方法、すなわち形質転換方法も特に限定されるものではなく、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法等の直接遺伝子導入法、または、アグロバクテリウムによる形質転換法等従来公知の方法を好適に用いることができる。
(5)本発明にかかる形質転換体
本発明にかかる形質転換体は、上記(1−1)欄で説明した本発明にかかる遺伝子、例えば、上記(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子が導入された形質転換体である。ここで、「遺伝子が導入された」とは、公知の遺伝子工学的手法(遺伝子操作技術)により、対象細胞(宿主細胞)内に発現可能に導入されることを意味する。また、上記「形質転換体」とは、細胞・組織・器官のみならず、生物個体を含む意味である。
本発明にかかる形質転換体は、上記(1−1)欄で説明した本発明にかかる遺伝子、例えば、上記(a)又は(b)のタンパク質をコードする遺伝子が導入された形質転換体である。ここで、「遺伝子が導入された」とは、公知の遺伝子工学的手法(遺伝子操作技術)により、対象細胞(宿主細胞)内に発現可能に導入されることを意味する。また、上記「形質転換体」とは、細胞・組織・器官のみならず、生物個体を含む意味である。
本発明にかかる形質転換体の作製方法(生産方法)としては、上述した(4)欄で説明した組換え発現ベクターを形質転換する方法を挙げることができる。また、形質転換の対象となる生物も特に限定されるものではなく、上記ホスト細胞で例示した各種微生物や植物を挙げることができる。また、プロモーターやベクターを選択すれば、動物、昆虫も形質転換の対象とすることが可能である。
また、ここでいう形質転換体には、本発明にかかる遺伝子が導入された植物もしくはこれと同じ性質を有する該植物の子孫またはそれらの組織も含まれる。
(6)本発明にかかる遺伝子検出器具
本発明にかかる遺伝子検出器具は、本発明にかかる遺伝子における少なくとも一部の塩基配列またはその相補配列をプローブとして用いたものである。遺伝子検出器具は、種々の条件下において、本発明にかかる遺伝子の発現パターンの検出・測定などに利用することができる。
本発明にかかる遺伝子検出器具は、本発明にかかる遺伝子における少なくとも一部の塩基配列またはその相補配列をプローブとして用いたものである。遺伝子検出器具は、種々の条件下において、本発明にかかる遺伝子の発現パターンの検出・測定などに利用することができる。
本発明にかかる遺伝子検出器具としては、例えば、本発明の遺伝子と特異的にハイブリダイズする上記プローブを基盤(担体)上に固定化したDNAチップが挙げられる。ここで「DNAチップ」とは、主として、合成したオリゴヌクレオチドをプローブに用いる合成型DNAチップを意味するが、PCR産物などのcDNAをプローブに用いる貼り付け型DNAマイクロアレイをも包含するものとする。
プローブとして用いる配列は、cDNA配列の中から特徴的な配列を特定する従来公知の方法によって決定することができる。具体的には、例えば、SAGE:Serial Analysis of Gene Expression法(Science 276:1268, 1997; Cell 88:243, 1997; Science 270:484, 1995; Nature 389:300, 1997; 米国特許第5,695,937 号)等を挙げることができる。
なお、DNAチップの製造には、公知の方法を採用すればよい。例えば、オリゴヌクレオチドとして合成オリゴヌクレオチドを使用する場合には、フォトリソグラフィー技術と固相法DNA合成技術との組み合わせにより、基盤上で該オリゴヌクレオチドを合成すればよい。一方、オリゴヌクレオチドとしてcDNAを用いる場合には、アレイ機を用いて基盤上に貼り付ければよい。
また、一般的なDNAチップと同様、パーフェクトマッチプローブ(オリゴヌクレオチド)と、該パーフェクトマッチプローブにおいて一塩基置換されたミスマッチプローブとを配置して遺伝子の検出精度をより向上させてもよい。さらに、異なる遺伝子を並行して検出するために、複数種のオリゴヌクレオチドを同一の基盤上に固定してDNAチップを構成してもよい。
(7)本発明にかかる遺伝子及びタンパク質等の利用方法(有用性)
ここまでは主にイネを例に挙げて、茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質について述べてきたが、本発明はイネ由来遺伝子のみに限定されるものではなく、広く、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質の利用に関するものである。茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質の起源としては、植物でも動物でも微生物であってもよい。また、上記時間的制御は、花序***組織から小穂***組織への転換の抑制、広く植物における葉の分化の抑制、及び花***組織の有限性の獲得から選ばれる少なくとも1つの機能を有していることが好ましい。また、本発明にかかるタンパク質は、花器官のアイデンティティーを制御する機能を有しているものであってもよい。かかる機能を有していれば同様に、一穂に着生する穎果数、出葉数、分げつ数、花器官の有限性、及び/又は花器官の数や配置の制御に利用できる。さらに本発明は上記タンパク質をコードする遺伝子を導入することにより、一穂に着生する穎果数、出葉数、分げつ数、花器官の有限性、及び/又は花器官の数や配置が調節された植物もしくはその子孫又はこれらの組織に関するものである。
ここまでは主にイネを例に挙げて、茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質について述べてきたが、本発明はイネ由来遺伝子のみに限定されるものではなく、広く、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質の利用に関するものである。茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質の起源としては、植物でも動物でも微生物であってもよい。また、上記時間的制御は、花序***組織から小穂***組織への転換の抑制、広く植物における葉の分化の抑制、及び花***組織の有限性の獲得から選ばれる少なくとも1つの機能を有していることが好ましい。また、本発明にかかるタンパク質は、花器官のアイデンティティーを制御する機能を有しているものであってもよい。かかる機能を有していれば同様に、一穂に着生する穎果数、出葉数、分げつ数、花器官の有限性、及び/又は花器官の数や配置の制御に利用できる。さらに本発明は上記タンパク質をコードする遺伝子を導入することにより、一穂に着生する穎果数、出葉数、分げつ数、花器官の有限性、及び/又は花器官の数や配置が調節された植物もしくはその子孫又はこれらの組織に関するものである。
本発明にかかる茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子、より好ましくは、花序***組織から小穂***組織への転換を時間的に遅らせる機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を用いると、一穂に着生する穎果数を改変、すなわち、増加、又は、減少させることが可能となる。すなわち、宿主として、例えば、イネ科植物を用いた場合には、穂(花序)の形態が収量に大きく影響することから、穂の形態や形成を制御することによって、種子の収穫を増大させることが可能となる。また、宿主の種類によっては、わざと花序の形成を抑制したり完全に妨げたりすることもできる。
また、本発明にかかる茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子、より好ましくは、葉の分化を時間的に遅らせる機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を用いると、出葉数又は分げつ数を改変、すなわち、増加、又は、減少させることが可能となる。すなわち、葉の分化を時間的に遅らせる機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を用いることで、出葉速度を制御することができる。葉は、光合成器官であり、その面積及び受光体制は収量に密接に結びつく。また、イネ科作物においては、出葉数の増加の結果、分げつ数が増加する。イネ科植物の分げつ形成は、収量に大きく影響することから、分げつ数を制御することにより、収穫を増大することが可能となる。
また、本発明で得た茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子、より好ましくは、花***組織の有限性獲得という機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を用いると、花器官の有限性を獲得、又は、喪失させることが可能となる。
さらに、本発明にかかる、花器官のアイデンティティーを制御する機能を有するタンパク質をコードする遺伝子を用いると、花器官の数や配置を調節することが可能となる。
現在の技術水準をもってすれば、植物に遺伝子を導入し、その遺伝子を構成的あるいは組織特異的に発現させることは可能であるし、またアンチセンス法、コサプレッション法およびRNAi法などによって目的の遺伝子の発現を抑制することも可能である。形質転換可能な植物の例としては、イネ、ゴマ、レンギョウ、タバコ、シロイヌナズナ、ミヤコグサ、オオムギ、コムギ、ナタネ、ポテト、トマト、ポプラ、バナナ、ユーカリ、サツマイモ、ダイズ、アルファルファ、ルーピン、トウモロコシ、カリフラワー、バラ、キク、カーネーション、キンギョソウ、シクラメン、ラン、トルコギキョウ、フリージア、ガーベラ、グラジオラス、カスミソウ、カランコエ、ユリ、ペラルゴニウム、ゼラニウム、ペチュニア、トレニア、チューリップ等があげられるがこれらに限定されるものではない。
以上のように、本発明にかかるタンパク質又は遺伝子は、花序や花の形成、葉の分化等における分子機構の解明に有用であるばかりでなく、収量の増加を図るといった育種への幅広い利用が期待される。
また、本発明にかかる遺伝子は、イネ科植物を育種する方法にも利用可能である。この方法によれば、例えば、本発明にかかる遺伝子を導入して、一穂に着生する穎果数を増加させたイネ科植物、出葉数又は分げつ数を増加させたイネ科植物等を育種することができる。
以下添付した図面に沿って実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)apo1変異体の観察
<apo1変異体の取得>
apo1変異体apo1−1、apo1−2、及びapo1−3を得た。apo1−1及びapo1−2は、イネ品種台中65号(Taichung65)の受精卵にMNU(N-methyl-N-nitrosourea:N−メチル−N−ニトロソ尿素)処理したM2世代から得た。また、apo1−3は、イネ品種金南風(Kinmaze)の受精卵にMNU処理したM2世代から得た。
<apo1変異体の取得>
apo1変異体apo1−1、apo1−2、及びapo1−3を得た。apo1−1及びapo1−2は、イネ品種台中65号(Taichung65)の受精卵にMNU(N-methyl-N-nitrosourea:N−メチル−N−ニトロソ尿素)処理したM2世代から得た。また、apo1−3は、イネ品種金南風(Kinmaze)の受精卵にMNU処理したM2世代から得た。
<apo1変異体のスクリーニング>
表1に、野生型台中65号及びその突然変異体apo1−1・apo1−2、並びに、野生型金南風及びその突然変異体apo1−3の穂の形質を示す。また、図1にapo1変異体と野生型の穂の構造を示す。図1の左側は野生型の穂の構造を示し、右側はapo1変異体の穂の構造を示す。なお、図中スケールバーは5cmを表す。表1に示すように、apo1変異体の穂長は、野生型と比べて短く、一次桔梗数も、野生型と比べて少なかった。2次枝梗数にいたっては、apo1変異体では、野生型と比べて、著しく減少していた。また、apo1変異体の穎花数も野生型と比べて減少していた。図1に示すように、このようなapo1変異体の表現型は、単にapo1変異体と野生型との間で、イネの穂の構造を肉眼観察により比較するだけでも容易に確認することができる。なお、図1に示すapo1変異体の穂はapo1−3のものであるが、他のapo1変異体も同様の構造を示した。以上のように、apo1変異体は、穂長が短く、枝梗数が少なく、穎花やその結果として穎果(着生粒数)が少ない穂として同定された。
表1に、野生型台中65号及びその突然変異体apo1−1・apo1−2、並びに、野生型金南風及びその突然変異体apo1−3の穂の形質を示す。また、図1にapo1変異体と野生型の穂の構造を示す。図1の左側は野生型の穂の構造を示し、右側はapo1変異体の穂の構造を示す。なお、図中スケールバーは5cmを表す。表1に示すように、apo1変異体の穂長は、野生型と比べて短く、一次桔梗数も、野生型と比べて少なかった。2次枝梗数にいたっては、apo1変異体では、野生型と比べて、著しく減少していた。また、apo1変異体の穎花数も野生型と比べて減少していた。図1に示すように、このようなapo1変異体の表現型は、単にapo1変異体と野生型との間で、イネの穂の構造を肉眼観察により比較するだけでも容易に確認することができる。なお、図1に示すapo1変異体の穂はapo1−3のものであるが、他のapo1変異体も同様の構造を示した。以上のように、apo1変異体は、穂長が短く、枝梗数が少なく、穎花やその結果として穎果(着生粒数)が少ない穂として同定された。
<apo1変異体の観察>
同定されたapo1変異体の枝梗分化期の幼穂、出葉数及び葉の分化(分げつ)、並びに花器官の観察を行った。
同定されたapo1変異体の枝梗分化期の幼穂、出葉数及び葉の分化(分げつ)、並びに花器官の観察を行った。
apo1−1及び野生型の枝梗分化期の幼穂から作成したパラフィン切片を光学顕微鏡で観察した結果を図2に示す。図2(a)は野生型の枝梗分化期の幼穂を示し、図2(b)はapo1変異体の枝梗分化期の幼穂を示す。なお、図中スケールバーは、100μmを表す。図2(a)に示すように、野生型では、穂軸***組織(図中矢頭で示す)は、複数の1次枝梗原基を分化後に退化する。これに対して、apo1変異体では、図2(b)に示すように、穂軸***組織は(図中矢頭で示す)、複数の1次枝梗原基を分化後、小穂に転換していた。また、図には示していないが、枝梗***組織でも同様の現象が見られた。すなわち、野生型では、2次枝梗原基を分化後に退化する1次枝梗***組織が、apo1変異体では小穂に転換していた。このことより、apo1変異体では、花序***組織から小穂***組織への転換が早まっていることが観察された。
なお、上記パラフィン切片の作成にあたっては、まず、70%FAA(ホルマリン:酢酸:70%エタノール=1:1:18)で幼穂の組織を固定し、脱気、エタノールキシレンシリーズにより脱水した後、パラプラスト(Fisher Scientific製)に包埋した。これから、ミクロトームにより8μmの厚さの切片を作成した。
また、幼穂発生過程の観察により、栄養成長期後期にも、茎頂***組織の異常が観察されたため、栄養成長期における表現型を観察した。図4はapo1変異体と野生型の栄養成長期における出葉数を示す。図中縦軸は出葉数を示し、横軸は発芽からの日数を示す。図中□はapo1−1、▲はapo1−2、×はapo1−3、◇は台中65、●は金南風の出葉数をそれぞれ示す。図4に示されるように、apo1変異体では、野生型より多くの葉を分化していた。また、図3は、金南風及びapo1−3の、発芽後42日及び62日における分げつの様子の様子を示している。図3(a)及び(b)において、ともに、左側が金南風、右側がapo1−3である。図3に示されるように、apo1変異体では、野生型に比べて、出葉数の増加に伴い、分げつ数も増加していた。なお、図中、スケールバーは、5cmを示す。
さらに、apo1変異体では花器官にも異常が見られた。図5にapo1変異体及び野生型の花器官の形態を示す。図5(a)は、野生型の花器官を示し、図5(b)及び(c)は、それぞれapo1−2及びapo1−1の花器官を示す。図5(a)に示されるように、野生型のイネの花は、2枚の鱗被と6本の雄蕊、1つの雌蕊で構成されている。これに対して、図5(b)に示すように、apo1−2では、雄蕊から鱗被へのホメオティックな転換が見られた。また、apo1−1では、図5(c)に示すように、無限成長的な雌蕊の分化が見られた。この無限的な雌蕊の分化は、花***組織の未分化な細胞が維持され続けたためであり、野生型APO1遺伝子は、花***組織の有限性獲得に必要であると考えられた。
(2)ポジショナルクローニング法によるAPO1遺伝子の単離
apo1変異体の野生型遺伝子APO1遺伝子をポジショナルクローニング法により単離し、アミノ酸配列を決定した。
apo1変異体の野生型遺伝子APO1遺伝子をポジショナルクローニング法により単離し、アミノ酸配列を決定した。
<イネ染色体上の位置決定>
上記apo1−3のホモ固体と、インディカ品種であるカサラス(Kasalath)とを交配し、第1世代の雑種植物F1を得た。これらF1のうち、第2世代F2でapo1変異体が分離するF1個体を選抜し、それを自殖することで、F2の種子を得た。このF2集団を遺伝子単離に用いた。
上記apo1−3のホモ固体と、インディカ品種であるカサラス(Kasalath)とを交配し、第1世代の雑種植物F1を得た。これらF1のうち、第2世代F2でapo1変異体が分離するF1個体を選抜し、それを自殖することで、F2の種子を得た。このF2集団を遺伝子単離に用いた。
F2集団中の中から、apo1変異体の表現型を示す個体を同定し、その生葉のDNAをCTAB法(Murray,M.G. and Thompson,W.F.(1980) Rapid isolation of high molecular weight plant DNA. Nucl Acid Res 8 4321-4325)により抽出した。連鎖解析には、STS及びCAPS分子マーカーを農業生物資源研究所によって提供されている情報を利用して設計し、連鎖解析を行った。
次に、農業生物資源研究所からイネゲノムの塩基配列情報の提供を受け、このゲノム情報と、上記連鎖解析により決定された位置情報とから、本発明にかかるAPO1遺伝子が存在する領域を、イネゲノムの第6染色体の約70000塩基対(約70kbp)の範囲内に限定した。この領域内には、9個の遺伝子が予測された。
そこで、推定遺伝子付近のゲノム領域について、野性型イネとapo1変異体との遺伝子配列を比較した。その結果、9個の推定遺伝子のうちの1個について、apo1変異体では、野性型に見られない1塩基対の置換が見られた。またこれ以外の遺伝子については塩基配列の違いは見られなかった。さらにもう2つのアリルにおいても、同一の遺伝子に1塩基対の置換による終止コドンが見出された。これらのことから、かかる塩基配列の違いが見られた推定遺伝子をAPO1遺伝子の候補領域とした。
<APO1遺伝子のゲノムDNAの塩基配列の決定>
農業生物資源研究所によって提供されているイネゲノム配列情報を利用して、APO1遺伝子の候補領域を含む断片を増幅させるためのプライマーを設計しPCRで増幅した。得られたPCR産物からABI PRISM Big Dye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems : Part Numbers 4336915, 4336917, 4336919, 4336921, 4336923)によりAPO1遺伝子のゲノムDNAの塩基配列を決定した。
農業生物資源研究所によって提供されているイネゲノム配列情報を利用して、APO1遺伝子の候補領域を含む断片を増幅させるためのプライマーを設計しPCRで増幅した。得られたPCR産物からABI PRISM Big Dye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems : Part Numbers 4336915, 4336917, 4336919, 4336921, 4336923)によりAPO1遺伝子のゲノムDNAの塩基配列を決定した。
<APO1遺伝子のcDNAの塩基配列の決定>
APO1遺伝子が機能していると思われる花器官を含むような幼穂(約5mm)から抽出したtotal RNAから、oligotex-dT30(Takara製)によりpoly(A)+RNAを精製した。このPoly(A)+RNAを鋳型とし、cDNAを合成した。このcDNAをテンプレートとし、APO1遺伝子のゲノムDNAの塩基配列を決定したときと同様にcDNAの塩基配列を決定した。配列番号3にAPO1遺伝子のゲノムDNAの塩基配列を、配列番号2にcDNAの塩基配列を示す。配列番号3及び2にそれぞれ示すように、APO1遺伝子のゲノムDNAは1372塩基からなり、cDNAは、1290塩基からなる。
APO1遺伝子が機能していると思われる花器官を含むような幼穂(約5mm)から抽出したtotal RNAから、oligotex-dT30(Takara製)によりpoly(A)+RNAを精製した。このPoly(A)+RNAを鋳型とし、cDNAを合成した。このcDNAをテンプレートとし、APO1遺伝子のゲノムDNAの塩基配列を決定したときと同様にcDNAの塩基配列を決定した。配列番号3にAPO1遺伝子のゲノムDNAの塩基配列を、配列番号2にcDNAの塩基配列を示す。配列番号3及び2にそれぞれ示すように、APO1遺伝子のゲノムDNAは1372塩基からなり、cDNAは、1290塩基からなる。
<APO1タンパク質のアミノ酸配列の決定>
上記cDNAの塩基配列とゲノムDNAの塩基配列との比較によりイントロン配列を決定し、ORFを作成、アミノ酸配列を決定した。APO1遺伝子のORFは、1290塩基(終止コドンを含む)で、429アミノ酸残基からなるタンパク質をコードしている。(この記載に誤りがないかご確認ください。)
相同性検索の結果、図6に示すように、APO1タンパク質は、キンギョソウのFIM(FIMBRIATA)タンパク質、シロイヌナズナのUFO(unusual floral organs)タンパク質、エンドウのSTPタンパク質、ホウセンカのImp-FIMと高い相同性を有することが明らかになった。また、APO1タンパク質は、キンギョソウのFIMタンパク質、シロイヌナズナのUFOタンパク質、及びエンドウのSTPタンパク質と、それぞれ42.7%、42.3%、及び40.7%の相同性を有する。キンギョソウのFIMタンパク質及びシロイヌナズナのUFOタンパク質は、F−boxタンパク質であり、標的となるタンパク質の分解に関与している可能性が考えられる。また、イネでは他にAPO1タンパク質と相同性を有するタンパク質は存在しないことが明らかになった。
上記cDNAの塩基配列とゲノムDNAの塩基配列との比較によりイントロン配列を決定し、ORFを作成、アミノ酸配列を決定した。APO1遺伝子のORFは、1290塩基(終止コドンを含む)で、429アミノ酸残基からなるタンパク質をコードしている。(この記載に誤りがないかご確認ください。)
相同性検索の結果、図6に示すように、APO1タンパク質は、キンギョソウのFIM(FIMBRIATA)タンパク質、シロイヌナズナのUFO(unusual floral organs)タンパク質、エンドウのSTPタンパク質、ホウセンカのImp-FIMと高い相同性を有することが明らかになった。また、APO1タンパク質は、キンギョソウのFIMタンパク質、シロイヌナズナのUFOタンパク質、及びエンドウのSTPタンパク質と、それぞれ42.7%、42.3%、及び40.7%の相同性を有する。キンギョソウのFIMタンパク質及びシロイヌナズナのUFOタンパク質は、F−boxタンパク質であり、標的となるタンパク質の分解に関与している可能性が考えられる。また、イネでは他にAPO1タンパク質と相同性を有するタンパク質は存在しないことが明らかになった。
(3)APO1遺伝子の機能の特定
<apo1変異体の表現型と野生型の比較による特定>
上述した劣性突然変異体apo1−1、apo1−2、及びapo1−3の表現型と野性型との比較から、APO1遺伝子が、花序***組織から小穂***組織への転換抑制、葉の分化の抑制、花***組織の有限性の獲得、花器官のアイデンティティーの制御等の機能を有していることが明らかとなった。
<apo1変異体の表現型と野生型の比較による特定>
上述した劣性突然変異体apo1−1、apo1−2、及びapo1−3の表現型と野性型との比較から、APO1遺伝子が、花序***組織から小穂***組織への転換抑制、葉の分化の抑制、花***組織の有限性の獲得、花器官のアイデンティティーの制御等の機能を有していることが明らかとなった。
<APO1遺伝子のin situ ハイブリダイゼーション>
APO1遺伝子の発現している細胞を詳細に調べるために、頴花分化期の幼穂を用いて、in situ ハイブリダイゼーションを行った。この結果、花序***組織(穂軸***組織及び枝梗***組織)においてmRNAが発現していることが確認された。
APO1遺伝子の発現している細胞を詳細に調べるために、頴花分化期の幼穂を用いて、in situ ハイブリダイゼーションを行った。この結果、花序***組織(穂軸***組織及び枝梗***組織)においてmRNAが発現していることが確認された。
なお、in situ ハイブリダイゼーションは具体的には、以下の方法で行った。頴花分化期の幼穂を4%パラホルムアルデヒド、2.5%グルタールアルデヒドを含む0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.2)で4℃、約20時間固定した。エタノールで脱水後、キシレンに置換し、パラプラスト(Fisher Scientific製)に包埋した。これから、ミクロトームにより厚さ8μmの切片を作成し、ベクタボンド(VectorLab製)処理したスライドガラスに乗せ接着させた。プローブとして、digoxygenin でラベルされたAPO1遺伝子のアンチセンスRNAを用いた。プローブはあらかじめ、60℃の0.1N NaCO3/NaHCO3溶液中で加水分解を行った。in situ ハイブリダイゼーション及び発色反応はKouchi and Hara (1993)の方法により行った。
<二重変異体を用いた他の花器官制御遺伝子との相互作用の解析による特定>
本発明者らは、APO1遺伝子が他の花器官制御遺伝子とどのように相互作用するのかを明らかにするために、apo1及びfon1(floral organ number1)、apo1及びfon2の二重変異体を作成し表現型を観察した。fon1変異体及びfon2変異体では、外穎と内穎とを除く全ての花器官が増加している。二重変異体では、花***組織は異常発生しており、相乗的な効果が認められた。このような相乗的な表現型は、FON遺伝子と、APO1遺伝子は相互作用することを示唆している。かかる観察結果より、APO1遺伝子は、FON遺伝子と相互作用することが明らかになった。
本発明者らは、APO1遺伝子が他の花器官制御遺伝子とどのように相互作用するのかを明らかにするために、apo1及びfon1(floral organ number1)、apo1及びfon2の二重変異体を作成し表現型を観察した。fon1変異体及びfon2変異体では、外穎と内穎とを除く全ての花器官が増加している。二重変異体では、花***組織は異常発生しており、相乗的な効果が認められた。このような相乗的な表現型は、FON遺伝子と、APO1遺伝子は相互作用することを示唆している。かかる観察結果より、APO1遺伝子は、FON遺伝子と相互作用することが明らかになった。
以上のように、本発明にかかる遺伝子は、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わる遺伝子であり、例えばイネ科植物における花序***組織から小穂***組織への転換の抑制、広く植物における葉の分化の抑制、花***組織の有限性の獲得、花器官アイデンティティーの制御等の機能を有する。それゆえ当該遺伝子やタンパク質を用いて、花序形態や出葉数の改良による収量の増加、花序形態や花器官の数と配置の改変による新たな観賞用植物の作出を図るといった、育種への幅広い利用が期待される。したがって、本発明は各種農業や林業、アグリビジネス、さらには農産物を加工する産業や食品産業等に利用可能であり、しかも非常に有用であると考えられる。
1 穂軸
2 1次枝梗
3 2次枝梗
4 小穂
5 栄養成長***組織
6 穂軸***組織
7 枝梗***組織
8 小穂***組織
9 穎
10 花***組織
2 1次枝梗
3 2次枝梗
4 小穂
5 栄養成長***組織
6 穂軸***組織
7 枝梗***組織
8 小穂***組織
9 穎
10 花***組織
Claims (20)
- 以下(a)または(b)のタンパク質をコードする遺伝子。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)上記アミノ酸配列において、1個またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質。 - 配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して50%以上の相同性を有し、かつ植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質をコードする遺伝子。
- 配列番号2に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム領域として有する遺伝子。
- 配列番号2に示される塩基配列、もしくは配列番号1に示されたアミノ酸配列をコードする塩基配列、またはそれら塩基配列の一部分に対して、ストリンジェンシーな条件下で、ハイブリダイズする遺伝子。
- 上記遺伝子は、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の遺伝子。
- 上記時間的制御は、植物の生殖成長***組織の花序***組織から小穂***組織への転換、及び、植物の栄養成長期における葉の分化から選ばれる少なくとも1つを時間的に遅らせることであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の遺伝子。
- イネ科植物由来である請求項1〜6のいずれか1項に記載の遺伝子。
- イネ由来である請求項1〜7のいずれか1項に記載の遺伝子。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の遺伝子によりコードされるタンパク質。
- 以下(a)または(b)のタンパク質。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)上記アミノ酸配列において、1個またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質。 - 請求項9または10に記載のタンパク質を認識する抗体。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の遺伝子を含有する組換え発現ベクター。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の遺伝子を含有する組換え発現ベクターを含む形質転換体。
- 請求項13に記載の形質転換体を培養し、又は生育させ、該形質転換体から植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わるタンパク質を採取する工程を含むタンパク質の生産方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の遺伝子が導入された植物もしくはこれと同じ性質を有する該植物の子孫またはそれらの組織。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の遺伝子を用いることにより、植物の茎頂***組織の転換の時間的制御がなされている植物体を生産する方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の遺伝子を用いることにより、一穂に着生する穎果数の改変がなされている植物体を生産する方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の遺伝子を用いることにより、出葉数及び/又は分げつ数の改変がなされている植物体を生産する方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の遺伝子を用いて、イネ科植物を育種する方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の遺伝子における少なくとも一部の塩基配列またはその相補配列をプローブとして用いた遺伝子検出器具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004097465A JP2005278499A (ja) | 2004-03-30 | 2004-03-30 | 植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わる新規遺伝子、及びその利用 |
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JP2004097465A JP2005278499A (ja) | 2004-03-30 | 2004-03-30 | 植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わる新規遺伝子、及びその利用 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005278499A true JP2005278499A (ja) | 2005-10-13 |
Family
ID=35177552
Family Applications (1)
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JP2004097465A Pending JP2005278499A (ja) | 2004-03-30 | 2004-03-30 | 植物の茎頂***組織の転換の時間的制御に関わる新規遺伝子、及びその利用 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005278499A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008206442A (ja) * | 2007-02-26 | 2008-09-11 | National Agriculture & Food Research Organization | イネの1次枝梗数に関連する遺伝子およびその利用 |
WO2008123390A1 (ja) * | 2007-03-22 | 2008-10-16 | The University Of Tokyo | 新規ポリケタイド合成酵素によるクルクミノイドの製造 |
WO2019138083A1 (en) * | 2018-01-12 | 2019-07-18 | Basf Se | Gene underlying the number of spikelets per spike qtl in wheat on chromosome 7a |
CN110066808A (zh) * | 2019-03-14 | 2019-07-30 | 华中农业大学 | Gy3基因在控制水稻每穗颖花数和单株产量中的应用 |
-
2004
- 2004-03-30 JP JP2004097465A patent/JP2005278499A/ja active Pending
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