JP2005274845A - 感放射線性組成物およびこれを用いてなる積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】パターニング性能および耐熱性等に優れた樹脂膜が得られる感放射線性組成物を提供すること。
【解決手段】橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基を有し、該カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合体、架橋剤、及び感放射線性化合物とを含んでなる感放射線性組成物。そのような重合体としては、例えば、橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基を有し、カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合性化合物(M)を含む単量体を重合したものが挙げられる。
【選択図】なし
【解決手段】橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基を有し、該カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合体、架橋剤、及び感放射線性化合物とを含んでなる感放射線性組成物。そのような重合体としては、例えば、橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基を有し、カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合性化合物(M)を含む単量体を重合したものが挙げられる。
【選択図】なし
Description
本発明は、脂環構造含有重合体を含んでなる感放射線性組成物、並びにそれを用いてなる積層体及び積層体の製造方法に関し、さらに詳しくは、放射線でのパターン化性能に優れ、且つ誘電特性や耐熱性に優れた樹脂膜を形成するための感放射線性組成物、並びに該感放射線性組成物からなる樹脂膜を基板上に積層してなる積層体及びその製造方法に関する。
液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子などの電子部品には、その劣化や損傷を防止するための保護膜、素子表面や配線を平坦化するための平坦化膜、電気絶縁性を保つための電気絶縁膜等、機能性の電子部品用樹脂膜が設けられている。また、薄膜トランジスタ型液晶表示素子や集積回路素子には、層状に配置される配線の間を絶縁するために層間絶縁膜が機能性の電子部品用樹脂膜として設けられている。これらの保護膜、平坦化膜、層間絶縁膜などには、様々な機能性を有する樹脂膜が用いられている。従来、このような電子部品用の樹脂膜を形成するための樹脂材料としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂材料が汎用されていた。しかし、従来から、電子材料用として知られている樹脂材料を使用すると、十分な平坦性を有する樹脂膜が得られない場合があることが問題となっていた。そのため、十分な性能を有し、性能を微細なパターンニングが可能な新しい感放射線性の電子部品用樹脂材料の開発が求められてきた。また、近年、配線やデバイスの高密度化に伴い、これらの樹脂材料にも、低誘電性が求められるようになってきた。
このような要求に対して、脂環構造にカルボキシル基が直接結合した構造を分子内に有する重合体を樹脂成分として用いることが提案されている。例えば、特許文献1には、エステル基含有テトラシクロドデセン誘導体を単独重合した後に、該エステル基の95%を加水分解してカルボキシル基を発現させた重合体、ビスフェノールA型エポキシなどの2官能エポキシ化合物からなる架橋剤、及びキノンジアジドなどの感放射線性化合物を含む感放射線性組成物が開示されている。特許文献2には、エステル基含有テトラシクロドデセン誘導体を単独重合した後に該エステル基の75%を加水分解してカルボキシル基を発現させた重合体、多官能アルコキシ化合物等の架橋剤、キノンジアジドなどの感放射線性化合物及び特定のフェノール系老化防止剤を含んでなる感放射線性組成物が開示されている。また、特許文献3には、エステル基含有テトラシクロドデセン誘導体を単独重合した後に該エステル基の94%を加水分解してカルボキシル基を発現させた重合体、多価アルコキシ化合物などの架橋剤及び感放射線性化合物を、溶媒としてエチレングリコールモノブチルエーテルやジエチレングリコールモノエチルエーテルなどの特定のアルキレングリコールモノアルキルエーテルに溶解させて得られる感放射線性組成物が開示されている。さらに、特許文献4には、エステル基含有テトラシクロドデセン系化合物を単独重合した後に該エステル基の94%を加水分解してカルボキシル基を発現させた重合体、多価アルコキシ化合物などの架橋剤及び感放射線性化合物を、各種の溶媒に溶解して得られる感放射線性組成物が開示されている。ところが、最近になって、配線やデバイスの一層の高密度化に伴い、感度や解像性等のパターニング性能、耐熱性等の特性に充分に優れた樹脂膜が要求されており、これらの文献に開示される感放射線性組成物は、十分に優れた性能を示さない傾向があった。
上記の特許文献では、脂環構造にカルボキシル基が直接結合した構造を分子内に有する重合体を、脂環構造にエステル基が直接結合した構造を分子内に有する重合体を加水分解することにより得ている。他に、脂環構造にカルボキシル基が直接結合した構造を分子内に有する重合体を得る方法としては、脂環構造にカルボキシル基が直接結合した構造を分子内に有する重合性化合物を重合して得る方法がある。そのような、脂環構造にカルボキシル基が直接結合した構造を分子内に有する重合性化合物としては、例えば、特許文献5には、アクリル酸メチル(1モル当量)とジシクロペンタジエン(1モル当量、シクロペンタジエン2モル当量の供給源として)とを185〜190℃でディールスアルダー反応を行い8−メトキシルボニル−テトラシクロドデセンを含む混合物を製造し、次いでこの混合物に10〜20重量%程度の水酸化ナトリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液の3〜4倍量程度のエタノールを加え、80℃で3時間、加水分解反応を行うことにより、目的とする8−カルボキシル−テトラシクロドデセンを含む混合物を製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法によって得られるカルボキシル基含有テトラシクロドデセン化合物を、脂環構造にカルボキシル基が直接結合した構造を分子内に有する重合性化合物として用いて重合して得られる重合体を、前記の感放射線性組成物に用いても、感度や解像性等のパターニング性能、耐熱性等の特性に充分に優れた樹脂膜が得られない場合があった。
本発明は、放射線でのパターン化性能に優れ、且つ誘電特性や耐熱性に優れた樹脂膜を形成するための感放射線性組成物、並びに該感放射線性組成物からなる樹脂膜を基板上に積層してなる積層体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決しようと鋭意検討を重ねた結果、脂環構造にカルボキシル基が直接結合した構造を分子内に有する重合体の、橋状基とカルボキシル基の立体配座に注目した。そして、従来技術で用いられてきた、脂環構造にカルボキシル基が直接結合した構造を分子内に有する重合体中のエンド形とエキソ形の割合がほぼ半々であること、エキソ形/エンド形の比率がどちらかに偏っていること、つまりエキソ形又はエンド形のいずれかが50%を越えて一定の割合以上あるような重合体が優れた効果を示すことを見出した。さらに、従来、脂環構造にカルボキシル基が直接結合した構造を分子内に有する重合体を製造するために従来用いられてきた、脂環構造にカルボキシル基が直接結合した構造を分子内に有する重合性化合物(例えば特許文献5)の、エンド形とエキソ形の割合がほぼ半々であること、エキソ形/エンド形の比率がどちらかに偏っていること、つまりエキソ形又はエンド形のいずれかが50%を越えて一定の割合以上ある場合に、これを重合して得られる重合体が優れた効果を示すことを見出した。つまり、これらの優れた効果を示す重合体を感放射線性組成物に用いたときに、感度や解像性等のパターニング性能、耐熱性等の特性に充分に優れた樹脂膜が得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
かくして、本発明によれば、
橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基を有し、該カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合体(本発明では「重合体(P)」と呼ぶことがある。)、架橋剤(Q)、及び感放射線性化合物(R)とを含んでなる感放射線性組成物;
およびその好ましい態様として、
上記の重合体(P)が、橋掛け型脂環構造、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基、および重合性の炭素−炭素不飽和結合を有し、且つ該カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合性化合物(本発明では「重合性化合物(M)」と呼ぶことがある。)を含む単量体を重合したものである上記の感放射線性組成物;
その用途として、
上記の感放射線性組成物からなる樹脂膜を基板上に積層してなる積層体;
並びに、そのような積層体の製造方法として、
上記の感放射線性組成物からなる樹脂膜を基板上に積層し、この樹脂膜に放射線を照射して、この樹脂膜中に潜像パターンを形成し、次いで潜像パターンを有する当該樹脂膜と現像液とを接触させることによりパターンを顕在化させて、基板上にパターン化された樹脂膜を形成する工程を含む積層体の製造方法;
が提供される。
橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基を有し、該カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合体(本発明では「重合体(P)」と呼ぶことがある。)、架橋剤(Q)、及び感放射線性化合物(R)とを含んでなる感放射線性組成物;
およびその好ましい態様として、
上記の重合体(P)が、橋掛け型脂環構造、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基、および重合性の炭素−炭素不飽和結合を有し、且つ該カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合性化合物(本発明では「重合性化合物(M)」と呼ぶことがある。)を含む単量体を重合したものである上記の感放射線性組成物;
その用途として、
上記の感放射線性組成物からなる樹脂膜を基板上に積層してなる積層体;
並びに、そのような積層体の製造方法として、
上記の感放射線性組成物からなる樹脂膜を基板上に積層し、この樹脂膜に放射線を照射して、この樹脂膜中に潜像パターンを形成し、次いで潜像パターンを有する当該樹脂膜と現像液とを接触させることによりパターンを顕在化させて、基板上にパターン化された樹脂膜を形成する工程を含む積層体の製造方法;
が提供される。
本発明の感放射線性組成物は、感度や解像性等のパターニング性能、耐熱性等の特性に充分に優れた樹脂膜が得られるという利点があり、例えば、電子部品用樹脂膜の形成用材料として適している。本発明により提供される積層体は優れた性能を有する電子部品の中間体として有用であり、本発明の積層体の製造方法により、そのような積層体を生産性良く製造できる。
<重合体(P)>
重合体(P)は、橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基を有し、該カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合体である。脂環構造とは、炭素原子のみにより構成される環構造で、炭素−炭素間の結合は飽和結合でも不飽和結合でも良いが、芳香環を含まない。橋掛け型脂環構造とは、四員以上の員数の脂環構造が複数、お互いの環構造の一部を共有して存在する構造を言う。より大きな員数の脂環構造を中心に見たときに、その脂環構造の二つの構成炭素を結ぶ基(炭素鎖)は、該より大きな員数の脂環構造に対して、橋渡しをする形となり、これを橋状基と呼ぶ。このように橋状基を有する脂環構造を、本発明では橋掛け型脂環構造と呼ぶ。橋状基は、該より大きな員数の脂環構造の一部と一緒になって複数の、より小さな員数の脂環構造を形成する。該より大きな員数の脂環構造の員数は通常は5以上で8以下、好ましくは6である。該より小さな員数の脂環構造の員数は通常4以上で7以下、好ましくは5である。該より大きな員数の脂環構造は、さらに別の脂環構造と脂環構造内の炭素原子を共有していてもよい。橋状基の炭素数は、通常0から3であり、好ましくは0から2、一層好ましくは1である。橋状基の炭素数がこのような範囲にある時に、カルボキシル基のエキソ形とエンド形の比(本発明ではエキソ/エンド比と呼ぶ。)が0.5/0.5から外れてどちらかに偏ることの効果が大きく現れて、そのような重合体(P)を用いた感放射線性組成物の性能が顕著に優れるため好適である。重合体(P)は、カルボキシル基を有している。本発明では、前記橋状基に対して、エンド形またはエキソ形の立体配置を取りうるカルボキシル基に注目している。本発明では、橋状基に対して、シス配置にある場合のカルボキシル基をエキソ形、そのようなエキソ形カルボキシル基を有する化合物をエキソ体と呼ぶ。同様に、トランス配置の場合を、それぞれエンド形、エンド体と呼ぶ。他の官能基に対しても同様にエキソとエンドを定義して用いる。前記橋状基に対して、エンド形またはエキソ形の立体配置を取りうるカルボキシル基は、上記の該より大きな員数の脂環構造中の炭素であって、該橋状基が結合する炭素の隣にある炭素、に直接に結合するカルボキシル基である。直接に結合するとは、アルキレン基などの基を介さずに、脂環構造中の炭素に隣接してカルボキシル基の炭素が結合することを指す。
重合体(P)は、橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基を有し、該カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合体である。脂環構造とは、炭素原子のみにより構成される環構造で、炭素−炭素間の結合は飽和結合でも不飽和結合でも良いが、芳香環を含まない。橋掛け型脂環構造とは、四員以上の員数の脂環構造が複数、お互いの環構造の一部を共有して存在する構造を言う。より大きな員数の脂環構造を中心に見たときに、その脂環構造の二つの構成炭素を結ぶ基(炭素鎖)は、該より大きな員数の脂環構造に対して、橋渡しをする形となり、これを橋状基と呼ぶ。このように橋状基を有する脂環構造を、本発明では橋掛け型脂環構造と呼ぶ。橋状基は、該より大きな員数の脂環構造の一部と一緒になって複数の、より小さな員数の脂環構造を形成する。該より大きな員数の脂環構造の員数は通常は5以上で8以下、好ましくは6である。該より小さな員数の脂環構造の員数は通常4以上で7以下、好ましくは5である。該より大きな員数の脂環構造は、さらに別の脂環構造と脂環構造内の炭素原子を共有していてもよい。橋状基の炭素数は、通常0から3であり、好ましくは0から2、一層好ましくは1である。橋状基の炭素数がこのような範囲にある時に、カルボキシル基のエキソ形とエンド形の比(本発明ではエキソ/エンド比と呼ぶ。)が0.5/0.5から外れてどちらかに偏ることの効果が大きく現れて、そのような重合体(P)を用いた感放射線性組成物の性能が顕著に優れるため好適である。重合体(P)は、カルボキシル基を有している。本発明では、前記橋状基に対して、エンド形またはエキソ形の立体配置を取りうるカルボキシル基に注目している。本発明では、橋状基に対して、シス配置にある場合のカルボキシル基をエキソ形、そのようなエキソ形カルボキシル基を有する化合物をエキソ体と呼ぶ。同様に、トランス配置の場合を、それぞれエンド形、エンド体と呼ぶ。他の官能基に対しても同様にエキソとエンドを定義して用いる。前記橋状基に対して、エンド形またはエキソ形の立体配置を取りうるカルボキシル基は、上記の該より大きな員数の脂環構造中の炭素であって、該橋状基が結合する炭素の隣にある炭素、に直接に結合するカルボキシル基である。直接に結合するとは、アルキレン基などの基を介さずに、脂環構造中の炭素に隣接してカルボキシル基の炭素が結合することを指す。
以上の説明を、化学式を用いて模式的に説明する。一般式(2)は、重合体(P)の好ましい構造の一部を表す。
式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R4はカルボキシル基を示す。一般式(2)は、より大きな員数の脂環構造の員数が6の場合で、1−2−3−4−5−6(ここで数字は化学式中の炭素の番号を指す。)の6つの炭素で6員環を形成している。一般式(2)は、より小さな員数の脂環構造の員数が5の場合で、1−2−3−4−7の5つの炭素と、1−6−5−4−7の5つの炭素とで2つの5員環を形成している。炭素7から炭素1と炭素4に伸びる炭素数1の橋状基が形成されおり、橋状基は6員環の中の炭素1と炭素4と結合する。6員環中で、橋状基が結合している炭素1の隣の炭素2にカルボキシル基R4が直接に結合している。一般式(2)に示す構造は、重合体(P)の中の構造の一部であり、重合体(P)は、このような構造を有している重合体であればよく、この部分以外の構造については特に制約は無い。一般式(2)に示す構造は、例えば炭素5および炭素6(図中のXおよびY)の部位で重合体(P)中の残りの部分と結合している。XとYとで他の(図中に無い)脂環構造を形成していても良い。一般式(2)に例示される橋掛け型脂環構造は特に好ましい構造であり、炭素1〜7でノルボルナンとなることから本発明ではノルボルナン環構造と言う。
上述のエキソ/エンド比が0.5/0.5から外れて、エンド形かエキソ形のどちらかに偏ることにより、本発明の効果が現れる。本発明では、エキソ形/エンド形の比が偏り、いずれか一方が70%以上であることを特徴とする。言葉を変えると、エキソ/エンド比は、70〜100/30〜0であるか、0〜30/100である。エキソ形/エンド形の比の偏りが大きいほど好ましく、好ましくはエキソ形/エンド形のいずれか一方が80%以上、より好ましくは90%以上である。エキソ形が多い場合とエンド形が多い場合とを比較すると、エキソ形が多い場合がより好ましい。言葉を変えると、エキソ/エンド比は、70〜100/30〜0であることが好ましく、より好ましくは80〜100/20〜0、一層好ましくは90〜100/10〜0である。このような好ましい場合に、そのような重合体(P)を用いて調製される感放射線性組成物のパターン化性能や、得られる樹脂膜の誘電特性が高度にバランスされ好適である。重合体(P)中のエンド形とエキソ形の比は例えば13C−NMRや1H−NMRにより測定できる。
好ましい構造である一般式(2)において、R1、R2、R3は水素または炭素数1〜10の炭化水素基であるが、そのような炭化水素基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基およびアリール基などが挙げられる。R1、R2、R3は、それぞれ、好ましくは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。R1、R2およびR3のなかで、特にR1およびR2は水素原子であることが好ましい。このような好ましいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、ヘキシル基およびヘプチル基などが挙げられ、更に好ましいアルキル基としてはメチル基およびエチル基が、より一層好ましいアルキル基としてはメチル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基およびシクロオクチル基などが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基およびベンジル基などが挙げられる。
重合体(P)は、上述のような立体配置の区別のない、その他のカルボキシル基を有していてもよい。そのような、その他のカルボキシル基としては、脂環構造に直接結合しないカルボキシル基、脂環構造に直接結合するカルボキシル基であるが対応する橋状基が無い場合のカルボキシル基が挙げられる。そのようなその他のカルボキシル基の比率は、重合体(P)中の全カルボキシル基中の、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。
重合体(P)を得る方法としては、
(1)橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基および重合性の基を有し、該カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合性化合物を重合して得る方法;
(2)橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基以外の極性基を有し、該カルボキシル基以外の極性基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合体を得たあとに、該カルボキシル基以外の極性基をエンド形/エキソ形間の異性化反応が起きにくい条件で変性してカルボキシル基に変えて得る方法;および
(3)橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基以外の極性基を有する重合体を得たあとに、該カルボキシル基以外の極性基を、該カルボキシル基以外の極性基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形となるようにエンド形/エキソ形間の異性化反応が起きやすい条件で変性してカルボキシル基に変えて得る方法
が挙げられる。(2)と(3)の場合には、カルボキシル基以外の極性基は、加水分解反応によりカルボキシル基を発現しうる基であることが好ましい。
(1)橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基および重合性の基を有し、該カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合性化合物を重合して得る方法;
(2)橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基以外の極性基を有し、該カルボキシル基以外の極性基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合体を得たあとに、該カルボキシル基以外の極性基をエンド形/エキソ形間の異性化反応が起きにくい条件で変性してカルボキシル基に変えて得る方法;および
(3)橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基以外の極性基を有する重合体を得たあとに、該カルボキシル基以外の極性基を、該カルボキシル基以外の極性基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形となるようにエンド形/エキソ形間の異性化反応が起きやすい条件で変性してカルボキシル基に変えて得る方法
が挙げられる。(2)と(3)の場合には、カルボキシル基以外の極性基は、加水分解反応によりカルボキシル基を発現しうる基であることが好ましい。
一旦重合体を得た後に、エンド形/エキソ形間の異性化反応が起きにくい条件で変性したり、エンド形/エキソ形間の異性化反応が起きにくい条件で変性してカルボキシル基以外の極性基をカルボキシル基に変性したるする場合、所望の範囲までエキソ形/エンド形の比に偏りを持たせることが困難である場合が多く、(2)と(3)の手法に比べて、(1)の手法が優れている。以下に、好ましい(1)の手法について説明する。
<重合性化合物(M)>
上記の(1)の手法では、重合性化合物(M)を重合することにより重合体(P)を得る。重合性化合物(M)は、橋掛け型脂環構造、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基、および重合性の炭素−炭素不飽和結合を有し、且つ該カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合性化合物である。脂環構造の定義、橋掛け型脂環構造の定義と好ましい構造とその理由、橋状基の定義と好ましい定義とその理由、エンド形とエキソ形の定義、エキソ/エンド比の定義および直接に結合することの定義は、重合体(P)で述べた定義と同様である。
上記の(1)の手法では、重合性化合物(M)を重合することにより重合体(P)を得る。重合性化合物(M)は、橋掛け型脂環構造、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基、および重合性の炭素−炭素不飽和結合を有し、且つ該カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合性化合物である。脂環構造の定義、橋掛け型脂環構造の定義と好ましい構造とその理由、橋状基の定義と好ましい定義とその理由、エンド形とエキソ形の定義、エキソ/エンド比の定義および直接に結合することの定義は、重合体(P)で述べた定義と同様である。
エキソ/エンド比が0.5/0.5から外れていることが好ましい。それに対応する重合体(P)を得やすいからである。エンド形かエキソ形のどちらかに偏ることにより、好ましい重合体(P)を得やすい。エキソ形/エンド形の比が偏り、いずれか一方が70%以上であることが好ましい。言葉を変えると、エキソ/エンド比は、70〜100/30〜0であるか、0〜30/100である。エキソ形/エンド形の比の偏りが大きいほど好ましく、好ましくはエキソ形/エンド形のいずれか一方が80%以上、より好ましくは90%以上である。エキソ形が多い場合とエンド形が多い場合とを比較すると、エキソ形が多い場合がより好ましい。言葉を変えると、エキソ/エンド比は、70〜100/30〜0であることが好ましく、より好ましくは80〜100/20〜0、一層好ましくは90〜100/10〜0である。このような好ましい場合に、それに対応する好ましい重合体(P)を得やすく、その結果得られる重合体(P)を用いて調製される感放射線性組成物のパターン化性能や、それにより得られる樹脂膜の誘電特性が高度にバランスされる。
重合性化合物(M)は好ましくは一般式(1)に示される化合物である。
一般式(1)中のR1、R2、R3は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示す。R4はカルボキシル基を示す。nは0以上の整数を示す。R1、R2、R3およびR4は、重合体(P)に含まれる好ましい構造である一般式(2)のR1、R2、R3およびR4にそれぞれ対応する。炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基およびアリール基などが挙げられる。R1、R2、R3は、それぞれ、好ましくは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。R1、R2およびR3のなかで、特にR1およびR2は水素原子であることが好ましい。このような好ましいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、ヘキシル基およびヘプチル基などが挙げられ、更に好ましいアルキル基としてはメチル基およびエチル基が、より一層好ましいアルキル基としてはメチル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基およびシクロオクチル基などが挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基およびベンジル基などが挙げられる。一般式(1)中のnは、0以上の整数であるが、好ましくは0〜4、さらに好ましくは0〜2個、一層好ましくは1である。そのような好ましい場合に、これを重合して得られる重合体(P)を感放射線性組成物として使用した場合に、パターニング性能と耐熱性が高度にバランスされた樹脂膜が得られ好適である。
一般式(2)で表される重合性化合物(M)の好適な例としては、5−カルボキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンおよび8−メチル−8−カルボキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどのカルボキシル基を有するノルボルネン化合物;8−ヒドロキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンおよび8−メチル−8−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどのカルボキシル基を有するテトラシクロドデセン化合物などが挙げられる。
本発明の重合性化合物(M)を製造する方法には格別な限定はない。例えば、加水分解反応でカルボキシル基を発現しうるような極性基(R5基)を、一般式(2)のR4位に有する重合性化合物のR5基を、アルカリ水溶液及び有機溶剤存在下に適切な温度範囲で加水分解反応する方法により製造することが可能である。このような方法により、重合性化合物(M)を効率良く製造することができ好ましい。
以下に上述の好ましい重合性化合物(M)の製造方法を説明する。加水分解反応でカルボキシル基を発現しうる極性基(R5基)を、一般式(2)のR4位に有する重合性化合物は、一般式(3)
(式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R5は加水分解反応でカルボキシル基を発現しうる基を示す。)で表される。式中のR1、R2、R3は、前記一般式(1)のものと同じである。本発明では、一般式(3)で表される基R5を有する化合物、およびこれを相当量の成分として含む混合物を、極性基含有重合性化合物(N)と呼ぶ。
式中のR5は、加水分解反応でカルボキシル基が発現しうる基であり、そのような基であれば特別な限定はない。R5の具体例としては、ニトリル基、アミド基、アルコキシカルボニル基およびアリーロキシカルボニル基などが挙げられ、好ましくはニトリル基およびアルコキシカルボニル基であり、より好ましくはニトリル基である。
一般式(3)で表される極性基含有重合性化合物(N)の具体例としては、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンおよび5−メチル−5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどのR5位にニトリル基を有するノルボルネン化合物;5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンおよび5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどのR5位にアルコキシカルボニル基を有するノルボルネン;8−シアノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンおよび8−メチル−8−シアノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどのR5位にニトリル基を有するテトラシクロドデセン化合物;8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンおよび8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどのR5位にアルコキシカルボニル基を有するテトラシクロドデセン化合物などが挙げられる。これらの中で、ニトリル基とアルコキシカルボニル基との比較ではニトリル基を有するものが好ましく、好ましくはテトラシクロドデセン化合物であり、さらに好ましくはニトリル基を有するテトラシクロドデセン化合物である。これらの極性基含有重合性化合物は、それぞれ単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。
かかる極性基含有重合性化合物(N)は、常法に従い合成することができる。例えば、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル化合物、またはアクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステルに、シクロペンタジエンを1つ以上ディールスアルダー付加することにより得ることができる。
アルカリ水溶液としては、通常の一般的な加水分解反応で用いるものを用いることができる。アルカリの具体例としては、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムを挙げることができる。アルカリの量は、加水分解反応でカルボキシル基を発現しうる極性基の量に対して、通常は等モル量以上、好ましくは1.0〜1.2倍モル量の範囲である。アルカリ水溶液の濃度は、極性基含有重合性化合物(N)の種類及び反応条件に応じて適宜選択されるが、通常20重量%以上、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは50〜90重量%、一層好ましくは60〜85重量%の範囲である。アルカリ水溶液の量は、反応条件等で適宜選択されるが、極性基含有重合性化合物(N)100重量部に対して、通常5〜500重量部、好ましくは10〜300重量部、より好ましくは20〜100重量部の範囲である。
加水分解反応時に有機溶剤を添加することが好ましい。そのような溶剤としては、特に限定はないが、エーテル、ケトン、エステル及び多価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。有機溶剤はそれぞれ単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いても良く、さらに、エーテルアルコールおよびエステルアルコールなどのように分子内に上記群から選ばれる溶剤に対応する官能基の中から複数の官能基を有するものであってもよい。これらの中で、さらに好ましくはエーテルおよび多価アルコールであり、一層好ましくは多価アルコールである。有機溶剤の具体例としては、n−ブチルメチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、n−ブチルフェニルエーテル、エチルベンジルエーテル、ジグリシジルエーテルおよび1,4−ジオキサン等のエーテル;メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジ−i−ブチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン;酢酸−n−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ヘキシル、酢酸−2−エチルブチル、酢酸−2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸−n−ブチル、酪酸イソアミル、イソ吉草酸イソアミル、安息香酸メチルおよびマロン酸ジエチル等のエステル;エチレングリコール、グリセリン、2,3−ブタンジオール、3,4−へキシレングリコールおよび1,2,6−ヘキサントリオール等の多価アルコール;乳酸メチル、乳酸−n−ブチルおよびグリセリルモノアセテート等のアルコールエステル;ジエチレングリコールなどのエーテルアルコールなどが挙げられる。有機溶剤の沸点には、格別な限定はないが、通常は100℃以上、好ましくは130〜300℃、より好ましくは150〜250℃、一層好ましくは160〜220℃の範囲である。有機溶剤の沸点がこのような範囲にあるときに加水分解反応の効率がよく好適である。有機溶剤の使用量は、使用する極性基含有重合性化合物に応じて適宜選択されるが、使用するアルカリ水溶液中の水分量に対して、通常3倍以上、好ましくは5〜50倍、より好ましくは7〜15倍の範囲である。有機溶剤の使用量が過度に少ないと、目的物の収率が低下する場合があり好ましくない。
加水分解反応の方法と反応条件は、常法に従えばよいが、好ましくは、上記有機溶剤の加熱還流下で行われる。反応温度は、130℃以上、好ましくは150〜300℃、より好ましくは170〜250℃の範囲である。加水分解反応の反応圧力は、格別な限定はないが、通常5気圧以下、好ましくは3気圧以下、より好ましくは常圧である。加水分解反応の反応時間は、通常30分〜24時間、好ましくは1時間〜10時間の範囲である。
加水分解反応後の後処理は、格別な限定はないが、上述の(i)加水分解反応後の反応液に、(ii)(他の)有機溶剤を添加、(iii)撹拌し、(iv)静置させて水層と有機層に分離させた後に、(v)有機層を捨て水層を取り出し、(vi)得られた液に酸を加えて、酸不溶物を析出させ、(vii)生成した析出物を濾別して取り出し、(viii)濾別した析出物を有機溶剤に溶解し、(ix)脱水剤処理を行った後に、(x)有機溶剤を除去する工程を含むことにより、純度が高く且つ含水量の少ない重合性化合物(M)が得られ好適である。酸不溶物を析出させるために用いる酸としては、その後の操作の簡便性や経済的な面から塩酸および硫酸等の鉱酸が好ましく用いられる。
<重合体(M)の製造法の例>
上記(1)の手法では、重合性化合物(M)を含む単量体を重合することにより重合体(P)を得る。重合性化合物(M)は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、また、必要に応じて、その他の単量体と共重合してもよい。全単量体中の重合性化合物(M)の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常10重量%以上、好ましくは30重量以上、より好ましくは40重量%以上である。
上記(1)の手法では、重合性化合物(M)を含む単量体を重合することにより重合体(P)を得る。重合性化合物(M)は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、また、必要に応じて、その他の単量体と共重合してもよい。全単量体中の重合性化合物(M)の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常10重量%以上、好ましくは30重量以上、より好ましくは40重量%以上である。
単量体中の、重合性化合物(M)以外の、その他の単量体は、重合性化合物(M)と共重合可能なものであれば格別な限定はないが、重合性化合物(M)以外の、ノルボルネン化合物が好適に用いられる。ノルボルネン化合物は、分子内に少なくとも一つのノルボルネン環構造を有する化合物であり、ノルボルネン環構造が重合性を有する。
このようなノルボルネン化合物としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[8.4.0.111,14.03,8]ペンタデカ−3,5,7,12−テトラエン、およびテトラシクロ[8.4.0.110,13.02,7]テトラデカ−3,5,7,11−テトラエンなどのノルボルネンおよびノルボルネン誘導体;テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン);8−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−アセトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンおよび8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどのカルボキシル基以外の極性基を有するテトラシクロドデセン誘導体;8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンおよび8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどの非極性のテトラシクロドデセン誘導体;トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)などのシクロペンタジエンの多量体などが挙げられる。
また、上記のその他の単量体は、シクロオレフィンや鎖状オレフィンなどの共重合可能な化合物であっても良い。上記のその他の単量体は、それぞれ単独であるいは2つ以上を組み合わせて用いることができる。
重合性化合物(M)を含む単量体を重合する方法は、従来の重合方法にしたがえばよく、開環重合や付加重合が好適であり、開環重合が一層好適である。開環重合及び付加重合の具体的な方法は、例えば特許文献5乃至8等に開示されている。
重合反応の触媒については、特に制限はなく、例えば前記特許文献5乃至8に例示されている触媒を使用することができる。これらの中でも、モリブデン、ルテニウムおよびオスミウムの錯体は、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも重合体の生産が可能であるため、これらの錯体をメタセシス重合触媒として用いることが好ましく、ルテニウムカルベン錯体が特に重合活性が高く好ましい。
本発明の重合体(P)の好ましい例示は、上記した重合反応の後に、必要に応じて得られた重合体に水素添加反応を行ったものを含む。水素添加反応は、常法に従えばよく、例えば、特許文献9乃至13等に開示される方法を挙げることができる。水素添加触媒は、特に制限はないが、チ−グラータイプの均一系触媒、ロジウムやルテニウムなどの貴金属錯体触媒、及び担持型貴金属触媒等が利用できる。
本発明の重合体(P)の重量平均分子量(Mw)は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常1,000〜1,000,000、好ましくは2,000〜500,000、より好ましくは3,000〜30,000の範囲である。分子量分布は、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)比で、通常4.0以下、好ましくは3.5以下、より好ましくは2.5以下である。ヨウ素価は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常200以下、好ましくは40以下、より好ましくは10以下である。ヨウ素価がこの範囲にある場合に、感放射線性組成物の保存安定性に優れ好適である。
<感放射線性組成物>
本発明では、重合体(P)、架橋剤(Q)、感放射線性化合物(R)および必要に応じて使用されるその他の成分を、必要に応じて溶媒に溶解して、感放射線性組成物とする。
本発明では、重合体(P)、架橋剤(Q)、感放射線性化合物(R)および必要に応じて使用されるその他の成分を、必要に応じて溶媒に溶解して、感放射線性組成物とする。
(i)架橋剤(Q)
架橋剤(Q)としては、重合体(P)のカルボキシル基と反応する官能基を、分子内に2つ以上、好ましくは3つ以上有するものを用いる。そのようなカルボキシル基と反応する官能基としては、例えば、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、ビニル基などが挙げられ、好ましくはアミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、更に好ましくはエポキシ基である。かかる架橋剤の具体例としては、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン類;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルフォンなどの芳香族ポリアミン類;2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンおよび4,4’−ジアジドジフェニルスルフォンなどのアジド類;ナイロン、ポリヘキサメチレンジアミンテレレフタルアミドおよびポリヘキサメチレンイソフタルアミドなどのポリアミド類;N,N,N’,N’,N”,N”−(ヘキサアルコキシメチル)メラミンなどのメラミン類;N,N’,N”,N”’−(テトラアルコキシメチル)グリコールウリルなどのグリコールウリル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのアクリレート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート系ポリイソシアネートおよびトリレンジイソシアネート系ポリイソシアネートなどのイソシアネート系化合物;水添ジフェニルメタンジイソシアネート;1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)ノルボルナンおよび1,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサンなどの複数のヒドロキシ基を有する脂環式化合物;主鎖構造に脂環構造を有し且つエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、主鎖構造にクレゾールノボラック構造を有し且つエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、主鎖構造にフェノールノボラック構造を有し且つエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、主鎖構造にビスフェノールA構造を有し且つエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物および主鎖構造にナフタレン構造を有し且つエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物などの多官能エポキシ化合物などが挙げられる。これらの中でも、多官能エポキシ化合物が好ましく、特に、本発明に使用される重合体(P)との相容性の良好さから、主鎖構造に脂環構造を有し且つエポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ化合物が好ましい。
架橋剤(Q)としては、重合体(P)のカルボキシル基と反応する官能基を、分子内に2つ以上、好ましくは3つ以上有するものを用いる。そのようなカルボキシル基と反応する官能基としては、例えば、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、ビニル基などが挙げられ、好ましくはアミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、更に好ましくはエポキシ基である。かかる架橋剤の具体例としては、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン類;4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルフォンなどの芳香族ポリアミン類;2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンおよび4,4’−ジアジドジフェニルスルフォンなどのアジド類;ナイロン、ポリヘキサメチレンジアミンテレレフタルアミドおよびポリヘキサメチレンイソフタルアミドなどのポリアミド類;N,N,N’,N’,N”,N”−(ヘキサアルコキシメチル)メラミンなどのメラミン類;N,N’,N”,N”’−(テトラアルコキシメチル)グリコールウリルなどのグリコールウリル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのアクリレート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート系ポリイソシアネートおよびトリレンジイソシアネート系ポリイソシアネートなどのイソシアネート系化合物;水添ジフェニルメタンジイソシアネート;1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ−(ヒドロキシメチル)ノルボルナンおよび1,3,4−トリヒドロキシシクロヘキサンなどの複数のヒドロキシ基を有する脂環式化合物;主鎖構造に脂環構造を有し且つエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、主鎖構造にクレゾールノボラック構造を有し且つエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、主鎖構造にフェノールノボラック構造を有し且つエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物、主鎖構造にビスフェノールA構造を有し且つエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物および主鎖構造にナフタレン構造を有し且つエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物などの多官能エポキシ化合物などが挙げられる。これらの中でも、多官能エポキシ化合物が好ましく、特に、本発明に使用される重合体(P)との相容性の良好さから、主鎖構造に脂環構造を有し且つエポキシ基を2つ以上有する多官能エポキシ化合物が好ましい。
架橋剤(Q)の量は、感放射線性組成物の使用目的に応じて適宜選択されるが、重合体(P)100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは10〜70重量部、より好ましくは20〜50重量部の範囲である。架橋剤がこの範囲にある時に感放射線性組成物の耐熱性が高度に改善され好適である。
(ii)感放射線性化合物(R)
感放射線性化合物(R)は、紫外線や電子線などの放射線を吸収し、化学反応を引き起こすことのできる化合物であり、重合体(P)のアルカリ溶解性を制御できるものが好ましい。感放射線性化合物としては、たとえば、アセトフェノン化合物、トリアリルスルホニウム塩、ジアジド化合物およびキノンジアジド化合物などが挙げられ、好ましくはキノンジアジド化合物である。キノンジアジド化合物としては、特に制限はないが、例えば、特許文献14などに例示されている化合物を用いることができ、具体的には、キノンジアジドスルホン酸ハライドとフェノール性水酸基を1つ以上有する化合物とのエステル化合物である。キノンジアジドスルホン酸ハライドとしては、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライドおよび1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸クロライドなどが挙げられる。フェノール性水酸基を1つ以上有する化合物としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、1,1,2,2 −テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4’−{1−{4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル}エチリデン}ビスフェノール、ノボラック樹脂のオリゴマー、およびフェノール性水酸基を1つ以上有する化合物とジシクロペンタジエンとを共重合して得られるオリゴマー(特許文献15)などが挙げられる。このようなエステル化合物の代表的な好ましいものとしては、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドのエステル化合物、および4’−{1−{4−{1−{4−ヒドロキシフェニル}−1−メチルエチル}フェニル}エチリデン}ビスフェノールと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドとのエステル化合物などが挙げられる。
感放射線性化合物(R)は、紫外線や電子線などの放射線を吸収し、化学反応を引き起こすことのできる化合物であり、重合体(P)のアルカリ溶解性を制御できるものが好ましい。感放射線性化合物としては、たとえば、アセトフェノン化合物、トリアリルスルホニウム塩、ジアジド化合物およびキノンジアジド化合物などが挙げられ、好ましくはキノンジアジド化合物である。キノンジアジド化合物としては、特に制限はないが、例えば、特許文献14などに例示されている化合物を用いることができ、具体的には、キノンジアジドスルホン酸ハライドとフェノール性水酸基を1つ以上有する化合物とのエステル化合物である。キノンジアジドスルホン酸ハライドとしては、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライドおよび1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸クロライドなどが挙げられる。フェノール性水酸基を1つ以上有する化合物としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、1,1,2,2 −テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4’−{1−{4−{1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル}フェニル}エチリデン}ビスフェノール、ノボラック樹脂のオリゴマー、およびフェノール性水酸基を1つ以上有する化合物とジシクロペンタジエンとを共重合して得られるオリゴマー(特許文献15)などが挙げられる。このようなエステル化合物の代表的な好ましいものとしては、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドのエステル化合物、および4’−{1−{4−{1−{4−ヒドロキシフェニル}−1−メチルエチル}フェニル}エチリデン}ビスフェノールと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドとのエステル化合物などが挙げられる。
感放射線性化合物(R)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。感放射線性化合物(R)の量は、重合体(P)100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜40重量部の範囲である。感放射線性化合物(R)の使用量がこの範囲にある時に、感放射線性組成物を用いて基板上に形成された樹脂膜をパターニングする際の、放射線照射部と放射線未照射部との溶解度差が大きく、現像によるパターン形成が容易で、且つ、放射線に対する感度も高く好適である。
(iii)その他の成分
感放射線性組成物に、必要に応じて添加されるその他の成分しては、重合体(P)以外のその他のポリマー成分やその他の配合剤などが挙げられる。その他のポリマー成分としては、重合性化合物(M)以外のノルボルネン化合物の重合体、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリレーンスルフィド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴム及びエラストマーなどを挙げることができる。その他の配合剤としては、例えば、増感剤、界面活性剤、潜在性酸発生剤、酸化防止剤、光安定剤、接着助剤、帯電防止剤、消泡剤、顔料および染料などを挙げることができる。
感放射線性組成物に、必要に応じて添加されるその他の成分しては、重合体(P)以外のその他のポリマー成分やその他の配合剤などが挙げられる。その他のポリマー成分としては、重合性化合物(M)以外のノルボルネン化合物の重合体、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアリレーンスルフィド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴム及びエラストマーなどを挙げることができる。その他の配合剤としては、例えば、増感剤、界面活性剤、潜在性酸発生剤、酸化防止剤、光安定剤、接着助剤、帯電防止剤、消泡剤、顔料および染料などを挙げることができる。
増感剤は、感放射線性組成物の感度を向上させる目的で使用され、例えば、2H−ピリド−(3,2−b)−1,4−オキサジン−3(4H)−オン類、10H−ピリド−(3,2−b)−1,4−ベンゾチアジン類、ウラゾール類、ヒダントイン類、バルビツール酸類、グリシン無水物類、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール類、アロキサン類、およびマレイミド類などが好ましい例として挙げられる。
界面活性剤は、ストリエーション(基板上に感放射先生組成物を塗布した際に発生するスジ状の厚みムラ)の防止、現像性の向上などの目的で使用される。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、およびポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、およびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、およびポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、同303、同352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F172、同F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−430、同FC−431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)などのフッ素系界面活性剤;オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo. 57、同95(共栄社油脂化学工業(株)製)などのアクリル酸またはメタクリル酸共重合体系界面活性剤などが挙げられる。
潜在性酸発生剤としては、本発明の感放射線性組成物の耐熱性および耐薬品性を向上する目的で使用され、例えば、加熱により酸を発生するカチオン重合触媒であり、このようなものとしてはスルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、アンモニウム塩およびホスホニウム塩、オニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、スルホニウム塩およびベンゾチアゾリウム塩が好ましい。スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩の具体例としては、特許文献16例示されているものなどの、一般に公知の物質を使用できる。
酸化防止剤としては、通常の一般的な重合体に使用されている、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤およびラクトン系酸化防止剤などが使用できる。例えば、フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、p−メトキシフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、およびアルキル化ビスフェノール等を挙げることができる。リン系酸化防止剤としては、亜リン酸トリフェニル、および亜リン酸トリス−(ノニルフェニル)等を挙げることができる。硫黄系酸化防止剤としては、チオジプロピオン酸ジラウリルなどが挙げられる。これらの中でも、感放射線性組成物の保存安定性を改良する効果に優れることから、フェノール系酸化防止剤が好ましく、中でも、ペンタエリスリトールテトラキス{3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}(チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)製、イルガノックス1010)が好ましい。「耐候安定剤」、「紫外線吸収剤」または「光安定剤」との概念で市場で入手可能な添加剤を、保存安定性の改良その他の目的で、単独でまたは他の添加剤と組合せて用いても良い。そのような添加剤の例としては、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、金属錯塩系等の紫外線吸収剤と、ヒンダードアミン系(HALS)など、光により発生するラジカルを捕捉するものがある。これらのなかでも、HALSはピペリジン構造を有する化合物で、本発明の感放射線性組成物に対し着色が少なく、安定性が良いため好ましい。HALSの具体的な例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(アデカスタブLA−77;旭電化社製)、1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル/トリデシル1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(アデカスタブLA−62、旭電化社製)、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(TINUVIN123;チバスペシャルティーケミカルス社製)などが挙げられる。
接着助剤は、感放射線性組成物の基板との接着性を改良するために用いられる。そのような接着助剤としては、例えば、官能性シランカップリング剤などが挙げられる。官能性シランカップリング剤の具体例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
これらのその他の成分は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせてもいることができ、その添加量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択される。
(iv)溶媒、および感放射線性組成物の調製
重合体(P)と、上記の架橋剤(Q)および感放射線性化合物(R)、並びに必要に応じて添加されるその他の成分を、通常は溶媒に溶解または分散させたあと、必要に応じて濾過により溶剤への不溶成分を除去して、感放射線性組成物として用いる。
重合体(P)と、上記の架橋剤(Q)および感放射線性化合物(R)、並びに必要に応じて添加されるその他の成分を、通常は溶媒に溶解または分散させたあと、必要に応じて濾過により溶剤への不溶成分を除去して、感放射線性組成物として用いる。
使用できる溶媒としては、格別な制限はなく、例えば、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンおよびシクロペンタノンなどのケトン;4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンおよび3−メトキシ−3−メチルブタノールなどのアルコールケトン;メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールなどのアルコール;テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの環状エーテル;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチルおよび乳酸エチルなどのエステル;γ−ブチルラクトンなどの環状エステル;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチルおよび2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチルなどのアルコールエステル;エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチルおよび3−エトキシプロピオン酸メチルなどのエーテルエステル;エチレングリコールおよびプロピレングリコール等のグリコール;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルおよびプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールのモノアルキルエーテル;ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールなどのグリコールの多量体;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールトリメチルエーテル、トリプロピレングリコールトリエチルエーテルおよびトリプロピレングリコールエチルメチルエーテルなどのグリコール多量体の部分アルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノi−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノi−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノsec−ブチルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテートなどのグリコールおよびその多量体のモノアルキルエーテルアセテート;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類が挙げられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。溶媒の使用量は、重合体(P)100重量部に対して、通常100〜10,000重量部、好ましくは200〜5,000重量部、より好ましくは300〜1,000重量部の範囲である。
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンおよびシクロペンタノンなどのケトン;4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンおよび3−メトキシ−3−メチルブタノールなどのアルコールケトン;メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールなどのアルコール;テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの環状エーテル;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチルおよび乳酸エチルなどのエステル;γ−ブチルラクトンなどの環状エステル;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチルおよび2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチルなどのアルコールエステル;エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチルおよび3−エトキシプロピオン酸メチルなどのエーテルエステル;エチレングリコールおよびプロピレングリコール等のグリコール;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルおよびプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールのモノアルキルエーテル;ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールなどのグリコールの多量体;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールトリメチルエーテル、トリプロピレングリコールトリエチルエーテルおよびトリプロピレングリコールエチルメチルエーテルなどのグリコール多量体の部分アルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノi−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノi−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノsec−ブチルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールモノt−ブチルエーテルアセテートなどのグリコールおよびその多量体のモノアルキルエーテルアセテート;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類が挙げられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。溶媒の使用量は、重合体(P)100重量部に対して、通常100〜10,000重量部、好ましくは200〜5,000重量部、より好ましくは300〜1,000重量部の範囲である。
溶媒への溶解または分散方法は、常法に従えばよい。そのような方法としては、例えば、撹拌翼を備えた攪拌機、攪拌子とマグネティックスタラーとの組合せ、高速ホモジナイザー、分散機、遊星攪拌機、二軸攪拌機、ボールミルまたは三本ロール等の装置を使用して行うことができる。溶媒に溶解または分散後に、感放射線性組成物を濾過して使用することが好ましい。濾過の際には、例えば孔径が0.5μm程度のフィルタなどを用いる。感放射線性組成物の溶媒中での固形分濃度は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常1〜70重量%、好ましくは、5〜50重量%より好ましくは10〜40重量%である。固形分濃度がこの範囲にある時に、固形分の溶解性、感放射線性組成物の基板への塗布のし易さ、得られる樹脂膜の均一性や平坦性等の特性が高度にバランスされ好適である。
(v)積層体
上記感放射線性組成物からなる樹脂膜を基板上に形成し、必要に応じて該樹脂膜をパターン化することにより、本発明の積層体が得られる。積層体の製造方法には、特に制限はなく、従来の製造方法を適用可能である。例えば、上記感放射線性組成物を基板上に塗布後必要に応じて乾燥することにより、樹脂膜を基板上に積層し、この樹脂膜にパターン状の放射線を照射して、前記樹脂膜中に潜像パターンを形成し、次いで潜像パターンを有する当該樹脂膜と現像液とを接触させることによりパターンを顕在化させて、基板上にパターン化された樹脂膜を形成し、必要に応じてその樹脂膜を架橋する方法を挙げることができる。
上記感放射線性組成物からなる樹脂膜を基板上に形成し、必要に応じて該樹脂膜をパターン化することにより、本発明の積層体が得られる。積層体の製造方法には、特に制限はなく、従来の製造方法を適用可能である。例えば、上記感放射線性組成物を基板上に塗布後必要に応じて乾燥することにより、樹脂膜を基板上に積層し、この樹脂膜にパターン状の放射線を照射して、前記樹脂膜中に潜像パターンを形成し、次いで潜像パターンを有する当該樹脂膜と現像液とを接触させることによりパターンを顕在化させて、基板上にパターン化された樹脂膜を形成し、必要に応じてその樹脂膜を架橋する方法を挙げることができる。
本発明に使用される基板は、使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば、プリント配線基板、シリコンウエハー基板、ガラス基板およびプラスチック基板などを用いることができる。本発明の感放射線性組成物および積層体は、特に、フラットパネルディスプレイを形成するための、ガラス基板やプラスチック基板などに、好ましく適用可能である。フラットパネルディスプレイ用の基板では、該基板上に薄型トランジスタ型液晶表示素子、カラーフィルタ、マトリックス等が形成されていことがあり、本発明の感放射線性組成物および積層体は、そのような場合にも好適に適用可能である。
基板上に感放射線性組成物を積層する方法は、常法に従えばよく、例えば、塗布法やフィルム積層法などを挙げることができる。塗布法は、例えば、溶媒に溶解し必要に応じて濾過した感放射線性組成物を基板上に塗布し、次いで溶媒を乾燥除去することにより行うことができる。基板上に、感放射線性組成物を塗布する方法としては、例えば、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ドクターブレード法、回転塗布法、バー塗布法およびスクリーン印刷法などの各種の方法を採用することができる。次いで、塗布した膜を加熱乾燥(プリベイクと呼ばれることがある。)して溶媒を除去し流動性のない樹脂膜を得ることができる。加熱乾燥条件は、感放射線性組成物の各成分の種類、割合に応じて異なるが、温度が通常30〜150℃、好ましくは60℃〜120℃で、時間が通常1〜90分間、好ましくは3〜60分間、より好ましくは5〜30分間の範囲である。フィルム積層法としては、例えば、溶媒に溶解または分散させた感放射線性組成物を、樹脂フィルムや金属フィルムなどの基材上に塗布し、次いで溶剤を乾燥除去してBステージ状態のフィルムを得、該Bステージ状態のフィルムを基材から剥がして基板上に積層することにより行うことができる。積層は、通常、加圧ラミネータ、プレス、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータなどの加圧機を用いて行うことができる。基板上に積層される樹脂膜の厚さは、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは1〜30μmの範囲である。
基板上に形成された樹脂膜のパターン化は、例えば、樹脂膜に放射線をパターン状に照射して潜像パターンを形成し、次いで潜像パターンを有する当該樹脂膜と現像液とを接触させることによりパターンを顕在化させて行うことができる。
放射線は、感放射線性化合物を活性化させ、感放射線性組成物の現像液への溶解性を変化させることが出来るものであれば格別な限定はいらない。具体的には、混合波長光の紫外線、g線やi線などの単色化した紫外線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、および電子線のような粒子線などを用いることができる。これらの放射線を光源として用いて、所望のパターンに対応させて選択的に露光することにより、潜像パターンを形成する。選択的に露光する方法は、常法に従えばよく、例えば、紫外線やエキシマレーザー光を光源として用いて、所望のマスクパターンを介して縮小投影露光する方法、あるいは電子線などの粒子線をパターン状に直接に描画する方法などを挙げることができる。放射線は、単一波長光であっても、混合波長光であってもよい。照射条件は、使用する放射線に応じて適宜選択されるが、例えば、照射量は、通常10〜1000mJ/cm2、好ましくは50〜500mJ/cm2の範囲である。このようにして放射線を照射した後、必要に応じ、たとえば樹脂膜を60〜130℃程度の温度で1〜2分間程度加熱処理する操作(ミドルベイク、またはポストエクスポジャーベイクと呼ばれる。)が行われる。
次に、パターン状の潜像が形成された樹脂膜を現像する。現像液としては、通常アルカリ性化合物を水に溶解したアルカリ水溶液が用いられる。アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムおよびアンモニアなどの無機アルカリ;エチルアミンおよびn−プロピルアミンなどの一級アミン;ジエチルアミンおよびジ−n−プロピルアミンなどの二級アミン;トリエチルアミンおよびメチルジエチルアミンなどの三級アミン;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびトリメチルエタノールアミン(慣用名コリン)などのアルコールアミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドおよびテトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの四級アンモニウム塩;ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、N−メチルピロリドンなどの環状アミン;等が挙げられる。これらアルカリ性化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。アルカリ性水溶液中のアルカリ性化合物の濃度は、通常0.05〜10重量%である。またアルカリ水溶液に、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒、界面活性剤などを適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
現像液と、潜像パターンを有する樹脂膜との接触方法は、特に制限されず、例えば、パドル法、スプレー法、ディッピング法などの方法が用いられる。現像温度は、通常0〜100℃、好ましくは5〜55℃、より好ましくは10〜30℃の範囲であり、現像時間は、通常30〜180秒間の範囲の中で適宜選択される。
このようにして、基板上に目的とするパターン化された樹脂膜を形成した後、必要に応じて、基板上、基板裏面または基板端部に残る不要な現像残渣を除去するために、この基板とリンス液とを常法により接触させることがある。リンス液と接触させた基板は、通常、例えば、圧縮空気や圧縮窒素を吹き付ること、またはスピンドライすることによって、基板上のリンス液を除去する。
さらに、必要に応じて、パターン化された樹脂膜に放射線を全面照射することもできる。放射線の照射には、選択的露光に用いたのと同様の光源を用いることができる。照射の際に該樹脂膜を加熱しながら行ってもよい。加熱する方法に格別な制限はなく、例えば前記樹脂膜を有する基板をホットプレートで加熱する方法や温風で加熱する方法が挙げられる。加熱温度は、通常100〜300℃、好ましくは120℃〜200℃の範囲である。
基板上に形成された、パターン化された樹脂膜を架橋させてから、次の工程に供することが好ましい。架橋する方法は、架橋剤の種類に応じて適宜選択されるが、通常、加熱(ハードベイクと呼ばれることがある。)により行われる。加熱方法としては、格別な制限はなく、例えばホットプレート、オーブンなどの加熱装置を用いて行うことができる。加熱温度は、架橋反応が起こる温度の範囲内であれば格別な制限はなく、通常180〜250℃であり、加熱時間は、樹脂膜の大きさや厚さ、並びに使用機器等により適宜選択され、例えばホットプレートを用いる場合は通常5〜60分間、オーブンを用いる場合は通常30〜90分間の範囲の中で適宜選択される。加熱は、必要に応じて不活性ガス雰囲気下で行っても良い。不活性ガスは、酸素を含まず且つ樹脂膜を酸化させないものであればよく、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、クリプトンなどが挙げられる。これらの中でも窒素とアルゴンが好ましく、特に窒素が好ましい。不活性ガスは、酸素含有量が0.1体積%以下であることが好ましく、0.01体積%以下であることが一層好ましい。これらの不活性ガスは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
<合成例1>(カルボキシル基を有する重合性化合物(M)の合成)
重合性化合物(M)として、8−カルボキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エンを得る目的で以下の合成実験を行った。反応器として攪拌機を備えたオートクレーブを用い、初めにジシクロペンタジエン(シクロペンタジエンの供給源として)65.7重量部およびアクリロニトリル52.9重量部を仕込み、反応器の気層をアルゴンガスで置換した後、得られた混合物を180℃で2時間攪拌した。その後、180℃の温度を維持しながら、追加のジシクロペンタジエン34.3重量部を5時間かけて滴下した。滴下を終了した後、さらに同温度を維持したまま、1時間撹拌を続け、その後冷却し、反応液を得た。得られた反応液を、減圧度1〜2mmHgで減圧蒸留を行い、8−シアノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(極性基含有重合性化合物(N))30.2重量部を得た。得られた化合物の、ニトリル基についてのエキソ/エンド比は53.5/46.5であった。エキソ/エンド比はガスクロマトグラフィーにて測定した。
重合性化合物(M)として、8−カルボキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エンを得る目的で以下の合成実験を行った。反応器として攪拌機を備えたオートクレーブを用い、初めにジシクロペンタジエン(シクロペンタジエンの供給源として)65.7重量部およびアクリロニトリル52.9重量部を仕込み、反応器の気層をアルゴンガスで置換した後、得られた混合物を180℃で2時間攪拌した。その後、180℃の温度を維持しながら、追加のジシクロペンタジエン34.3重量部を5時間かけて滴下した。滴下を終了した後、さらに同温度を維持したまま、1時間撹拌を続け、その後冷却し、反応液を得た。得られた反応液を、減圧度1〜2mmHgで減圧蒸留を行い、8−シアノ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(極性基含有重合性化合物(N))30.2重量部を得た。得られた化合物の、ニトリル基についてのエキソ/エンド比は53.5/46.5であった。エキソ/エンド比はガスクロマトグラフィーにて測定した。
上記の反応とは別に、反応器に、上記反応で調製した極性基含有重合性化合物(N)を100重量部、85重量%水酸化カリウム水溶液を35.8重量部、蒸留水を9.8重量部、エチレングリコール(多価アルコール、沸点197.7℃)を41.6重量部仕込み、180℃で5時間加熱還流し、加水分解反応を行った。冷却後、得られた反応液に蒸留水を注いで添加した。得られた混合物に、トルエンを添加し、攪拌し、静置させて水層と有機層に分離させ、有機層を捨てて水層を得る、これらの一連の行為を数回繰り返すことにより、未反応の極性基含有重合性化合物(N)及び中間体を除去した。その後、得られた水層に、濃塩酸を65.4重量部滴下して、酸不溶分を析出させ、濾別し、得られた析出物を蒸留水で再び数回洗浄し、濾過して脱水して乾燥させた。乾燥後の固形物に、トルエンを加えることにより溶解して水分を抽出し、脱水剤として無水硫酸マグネシウムを少量加えて水分を除去し、濾過により脱水剤を除去した後、減圧乾燥させることにより、目的とする重合性化合物(M)(化合物Aと呼ぶ。)を得た。化合物Aのカルボキシル基についてのエキソ/エンド比をガスクロマトグラフィーにて測定したところ、99.2/0.8であった。
<合成例2>
重合性化合物(M)として、8−カルボキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エンを得る目的で以下の合成実験を行った。合成例1と同様の反応器を用い、初めに、アクリロニトリルの代わりにアクリル酸メチル85.6重量部を仕込んだ他は合成例1と同様にして、極性基含有重合性化合物(N)として8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エンを26.2重量部を得た。得られた化合物の、メトキシカルボニル基についてのエキソ/エンド比は55.0/45.0であった。別に用意した反応器に、上記で調製した化合物を100重量部、水酸化ナトリウムを18.3重量部、蒸留水を13.8重量部、エチルアルコールを25.3重量部仕込み、80℃で3時間、攪拌しながら加熱し、加水分解反応を行った。反応終了後、得られた反応液から、エチルアルコールを減圧除去し、6mol/リットルの塩酸52.8重量部を加えて、酸不溶分を析出させ、濾別した。得られた析出物を蒸留水100重量部で洗浄し、濾過して脱水し、70℃で12時間減圧乾燥し、目的とする重合性化合物(M)
(化合物Bと呼ぶ。)を得た。化合物Bのカルボキシル基についてのエキソ/エンド比は、51.1/48.9であった。
重合性化合物(M)として、8−カルボキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エンを得る目的で以下の合成実験を行った。合成例1と同様の反応器を用い、初めに、アクリロニトリルの代わりにアクリル酸メチル85.6重量部を仕込んだ他は合成例1と同様にして、極性基含有重合性化合物(N)として8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エンを26.2重量部を得た。得られた化合物の、メトキシカルボニル基についてのエキソ/エンド比は55.0/45.0であった。別に用意した反応器に、上記で調製した化合物を100重量部、水酸化ナトリウムを18.3重量部、蒸留水を13.8重量部、エチルアルコールを25.3重量部仕込み、80℃で3時間、攪拌しながら加熱し、加水分解反応を行った。反応終了後、得られた反応液から、エチルアルコールを減圧除去し、6mol/リットルの塩酸52.8重量部を加えて、酸不溶分を析出させ、濾別した。得られた析出物を蒸留水100重量部で洗浄し、濾過して脱水し、70℃で12時間減圧乾燥し、目的とする重合性化合物(M)
(化合物Bと呼ぶ。)を得た。化合物Bのカルボキシル基についてのエキソ/エンド比は、51.1/48.9であった。
<合成例3>(重合体(P)の合成)
合成例1で得られた重合性化合物(M)(化合物A)を100重量部、分子量調整剤として1−ヘキセンを1.3重量部、重合触媒として(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドを0.05重量部、及び重合溶剤としてテトラヒドロフラン400重量部を、内部を窒素置換したガラスライニングの耐圧反応器に仕込み、70℃に保持しながら2時間撹拌して重合反応を行った。次いで重合反応終了後の反応液を、他の攪拌機つき耐圧容器に移し、温度150℃に保持ながら攪拌し、容器中の気層を水素に置換し、水素圧を4MPaに上げて、反応液中に水素を溶存させながら、5時間水素添加反応させたのち、温度を常温まで下げることにより、水素添加反応を終了した。得られた重合体溶液に活性炭粉末を添加後、重合体溶液を0.2μm孔径のフッ素樹脂製フィルタでろ過し、次いで濾過して得られた液をエタノール中に注いで水素添加後の重合体成分を凝固させた。凝固により生成したクラム状の重合体成分を乾燥して、重合体(P)(重合体Aと呼ぶ。)を得た。重合体Aはテトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(東ソー株式会社製、HLC−8020)により測定した結果、ポリイソプレン換算で重量平均分子量Mwは5,500であり、数平均分子量Mnは3,200であった。また、JIS K0070Bに従って測定したヨウ素価は1であった。
合成例1で得られた重合性化合物(M)(化合物A)を100重量部、分子量調整剤として1−ヘキセンを1.3重量部、重合触媒として(1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドを0.05重量部、及び重合溶剤としてテトラヒドロフラン400重量部を、内部を窒素置換したガラスライニングの耐圧反応器に仕込み、70℃に保持しながら2時間撹拌して重合反応を行った。次いで重合反応終了後の反応液を、他の攪拌機つき耐圧容器に移し、温度150℃に保持ながら攪拌し、容器中の気層を水素に置換し、水素圧を4MPaに上げて、反応液中に水素を溶存させながら、5時間水素添加反応させたのち、温度を常温まで下げることにより、水素添加反応を終了した。得られた重合体溶液に活性炭粉末を添加後、重合体溶液を0.2μm孔径のフッ素樹脂製フィルタでろ過し、次いで濾過して得られた液をエタノール中に注いで水素添加後の重合体成分を凝固させた。凝固により生成したクラム状の重合体成分を乾燥して、重合体(P)(重合体Aと呼ぶ。)を得た。重合体Aはテトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(東ソー株式会社製、HLC−8020)により測定した結果、ポリイソプレン換算で重量平均分子量Mwは5,500であり、数平均分子量Mnは3,200であった。また、JIS K0070Bに従って測定したヨウ素価は1であった。
<合成例4>
重合性化合物(M)として、化合物Aの代わりに合成例2で得られた化合物Bを用いる以外は合成例3と同様にして、重合体(P)(重合体Bと呼ぶ。)を得た。得られた重合体Bのポリイソプレン換算のMwは5,500であり、Mnは3,200であった。またヨウ素価は1であった。
重合性化合物(M)として、化合物Aの代わりに合成例2で得られた化合物Bを用いる以外は合成例3と同様にして、重合体(P)(重合体Bと呼ぶ。)を得た。得られた重合体Bのポリイソプレン換算のMwは5,500であり、Mnは3,200であった。またヨウ素価は1であった。
<実施例1>(感放射線性組成物の調製および性能試験)
重合体Aを100重量部、架橋剤としてEHPE3150(ダイセル化学工業(株)製)25重量部、感放射線性化合物として1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル当量)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(1.9モル当量)との縮合物を25重量部、接着助剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを5重量部、酸化防止剤のイルガノックス1010(チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)製)を1重量部、及び界面活性剤としてKP−341(信越化学工業社製)を0.05重量部からなる成分を、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート200重量部、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル100重量部、およびN‐メチル−1−ピロリドン100重量部からなる混合溶媒に溶解させた後、孔径0.45μmのフッ素樹脂製フィルター(ミリポア社製)でろ過して感放射線性樹脂組成物を調製した。
重合体Aを100重量部、架橋剤としてEHPE3150(ダイセル化学工業(株)製)25重量部、感放射線性化合物として1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン(1モル当量)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(1.9モル当量)との縮合物を25重量部、接着助剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを5重量部、酸化防止剤のイルガノックス1010(チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)製)を1重量部、及び界面活性剤としてKP−341(信越化学工業社製)を0.05重量部からなる成分を、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート200重量部、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル100重量部、およびN‐メチル−1−ピロリドン100重量部からなる混合溶媒に溶解させた後、孔径0.45μmのフッ素樹脂製フィルター(ミリポア社製)でろ過して感放射線性樹脂組成物を調製した。
得られた感放射線性樹脂組成物を以下の様に性能試験した。感放射線性樹脂組成物を、厚さ0.7mm×縦100mm×横100mmに切ったガラス基板(コーニング社製、商品名1737 AMLCD)に16.7回転/秒の回転速度で回転塗布し、95℃で2分間ホットプレート上で乾燥(これをプリベークと呼ぶ)、膜厚2.0μmの樹脂膜を形成した。得られた樹脂膜のパターンニング性(感度と現像残膜性)、耐熱性及び誘電特性を試験した。表1に、使用した重合体の種類と、その原料となった重合性化合物(M)中のエキソ/エンド比と共に、感放射線性組成物の試験結果を示す。試験方法は以下に依った。
試験(1)感度の試験
得られた樹脂膜に、5μmのラインアンドスペースパターンのマスクを介して、365nmにおける光強度が5mW/cm2である紫外線を、大気雰囲気下で、30、40もしくは50秒間照射した。ついで、現像液としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.3重量%水溶液に、25℃で70秒間浸漬処理することにより現像を行ったあと、超純水で30秒間リンス処理し、ポジ型(露光部が溶解する)の5μmのライン&スペースのパターンを形成させた。30秒間の露光でパターンが形成できた場合を○、40秒間の場合を△、50秒間の場合を×とした。照射時間が短くてもパターンを形成出来るほど、感放射線性組成物の感度が優れる。
得られた樹脂膜に、5μmのラインアンドスペースパターンのマスクを介して、365nmにおける光強度が5mW/cm2である紫外線を、大気雰囲気下で、30、40もしくは50秒間照射した。ついで、現像液としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.3重量%水溶液に、25℃で70秒間浸漬処理することにより現像を行ったあと、超純水で30秒間リンス処理し、ポジ型(露光部が溶解する)の5μmのライン&スペースのパターンを形成させた。30秒間の露光でパターンが形成できた場合を○、40秒間の場合を△、50秒間の場合を×とした。照射時間が短くてもパターンを形成出来るほど、感放射線性組成物の感度が優れる。
試験(2)現像残膜試験
試験(1)において、樹脂膜中の紫外線を照射していない部分で、現像前後の膜厚を比較し、残膜率(%)を(現像後の膜厚)/(プレベーグ後の膜厚)×100と定義した。残膜率が95%以上は○、90%以上95%未満は△、90%未満は×とした。残膜率が大きく100%に近いほど、鮮明なパターンを形成することが可能で、感放射線性組成物の特性が優れる。
試験(1)において、樹脂膜中の紫外線を照射していない部分で、現像前後の膜厚を比較し、残膜率(%)を(現像後の膜厚)/(プレベーグ後の膜厚)×100と定義した。残膜率が95%以上は○、90%以上95%未満は△、90%未満は×とした。残膜率が大きく100%に近いほど、鮮明なパターンを形成することが可能で、感放射線性組成物の特性が優れる。
試験(3)耐熱性の試験
試験(1)で得られたパターンニングを形成済みのガラス基板サンプルの全面に、365nmにおける光強度が5mW/cm2である紫外線を、大気雰囲気下で、60秒間照射した。このガラス基板サンプルをホットプレートにて160℃で2分間、1回目の加熱(ミドルベイク)をした後に、クリーンオーブン中で、230℃で1時間、2回目の加熱(ハードベイク)をし、焼成したガラス基板サンプルを得た。ハードベイク後のパターン断面を、電子顕微鏡で観察した。パターンの上端の形状を評価し、下記の判定基準で評価した。○が感放射線性組成物の耐熱性が優れていることを示す。
○:上端に丸みは認められない。
×:上端が丸みを帯びている。
試験(1)で得られたパターンニングを形成済みのガラス基板サンプルの全面に、365nmにおける光強度が5mW/cm2である紫外線を、大気雰囲気下で、60秒間照射した。このガラス基板サンプルをホットプレートにて160℃で2分間、1回目の加熱(ミドルベイク)をした後に、クリーンオーブン中で、230℃で1時間、2回目の加熱(ハードベイク)をし、焼成したガラス基板サンプルを得た。ハードベイク後のパターン断面を、電子顕微鏡で観察した。パターンの上端の形状を評価し、下記の判定基準で評価した。○が感放射線性組成物の耐熱性が優れていることを示す。
○:上端に丸みは認められない。
×:上端が丸みを帯びている。
試験(4)誘電特性試験
感放射線性樹脂膜の誘電特性試験を以下のように行った。アルミニウム基板上にスピンナー(ミカサ社製)を用いて、感放射線性組成物を塗布した後、ホットプレートにて90℃、120秒間の乾燥処理(プリベイク)を行い、製膜した(膜厚が、触針式膜厚計P−10(テンコール(株)製)にて測定したときに3.0μmになるように、スピンナーの回転条件を選んだ)。紫外線照射することなしに、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.2重量%水溶液により23℃で100秒間現像処理を行った後、超純水で1分間リンス処理し、230℃のホットプレートにて1時間乾燥処理(ハードベイク)を行った。得られた樹脂膜上(アルミ基板の反対側)に、アルミニウムを0.3μmの厚みで蒸着した。得られたアルミニウムで挟まれた感放射線性樹脂膜の、23℃の環境下にて1MHzにおける誘電率を測定した。誘電率は3未満のものを○、3以上を×として表示した。誘電率が小さいほど感放射線性組成物の誘電特性が優れていることを示す。
感放射線性樹脂膜の誘電特性試験を以下のように行った。アルミニウム基板上にスピンナー(ミカサ社製)を用いて、感放射線性組成物を塗布した後、ホットプレートにて90℃、120秒間の乾燥処理(プリベイク)を行い、製膜した(膜厚が、触針式膜厚計P−10(テンコール(株)製)にて測定したときに3.0μmになるように、スピンナーの回転条件を選んだ)。紫外線照射することなしに、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.2重量%水溶液により23℃で100秒間現像処理を行った後、超純水で1分間リンス処理し、230℃のホットプレートにて1時間乾燥処理(ハードベイク)を行った。得られた樹脂膜上(アルミ基板の反対側)に、アルミニウムを0.3μmの厚みで蒸着した。得られたアルミニウムで挟まれた感放射線性樹脂膜の、23℃の環境下にて1MHzにおける誘電率を測定した。誘電率は3未満のものを○、3以上を×として表示した。誘電率が小さいほど感放射線性組成物の誘電特性が優れていることを示す。
<比較例1>
重合体Aの代わりに、合成例4で得られた重合体Bを用いる以外は実施例1と同様に行い感放射線性組成物及び積層体を得た。樹脂膜のパターンニング性(感度&現像残膜性)、耐熱性及び誘電特性を評価し、その結果を表1に示した。
重合体Aの代わりに、合成例4で得られた重合体Bを用いる以外は実施例1と同様に行い感放射線性組成物及び積層体を得た。樹脂膜のパターンニング性(感度&現像残膜性)、耐熱性及び誘電特性を評価し、その結果を表1に示した。
本発明により、新規な感放射線性組成物、およびそれを用いてなる積層体と、そのような積層体の製造方法が提供される。本発明の感放射線性組成物により、感度や解像性等のパターニング性能、耐熱性等の特性に充分に優れた樹脂膜が得られるという利点がある。また、そのような樹脂膜を構成要素として含む積層体は、電子部品およびその中間部品として好適である。
Claims (9)
- 橋掛け型脂環構造と、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基を有し、該カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合体(P)、架橋剤(Q)、及び感放射線性化合物(R)とを含んでなる感放射線性組成物。
- 橋掛け型脂環構造が、ノルボルナン環構造である請求項1記載の感放射線性組成物。
- 重合体(P)が、橋掛け型脂環構造、該橋掛け型脂環構造に直接結合したカルボキシル基、および重合性の炭素−炭素不飽和結合を有し、且つ該カルボキシル基の70%以上が該橋掛け形脂環構造の橋状基に対してエンド形またはエキソ形である重合性化合物(M)を含む単量体を重合したものである請求項1記載の感放射線性組成物。
- 重合性化合物(M)が、一般式(1)
- 架橋剤(Q)が、多官能エポキシ化合物である請求項1乃至4のいずれかに記載の感放射線性組成物。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の感放射線性組成物からなる樹脂膜を基板上に積層してなる積層体。
- 樹脂膜が、パターン化されたものである請求項6記載の積層体。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の感放射線性組成物からなる樹脂膜を基板上に積層し、この樹脂膜に放射線を照射して、この樹脂膜中に潜像パターンを形成し、次いで潜像パターンを有する当該樹脂膜と現像液とを接触させることによりパターンを顕在化させて、基板上にパターン化された樹脂膜を形成する工程を含む積層体の製造方法。
- 基板上にパターン化された樹脂膜を形成した後に、該パターン化された樹脂膜を架橋する工程を含む請求項8記載の積層体の製造方法。
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