JP2005273654A - エンジン用部品およびその製造方法 - Google Patents

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裕 山縣
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Abstract

【課題】耐摩耗性および強度に優れたエンジン用部品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によるエンジン用部品は、シリコンを含むアルミニウム合金から形成されたエンジン用部品であって、摺動面を構成する複数の初晶シリコン結晶粒を有する。複数の初晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径は、12μm以上50μm以下である。
【選択図】図9

Description

本発明は、シリンダブロックやピストン等のエンジン用部品およびその製造方法に関し、特に、シリコンを含むアルミニウム合金から形成されたエンジン用部品およびその製造方法に関する。また、本発明は、そのようなエンジン用部品を備えたエンジンや自動車両にも関する。
近年、エンジンの軽量化を目的としてシリンダブロックのアルミニウム合金化が進んでいる。シリンダブロックには、高い強度や高い耐摩耗性が要求されるため、シリンダブロック用のアルミニウム合金としては、シリコンを多く含有するアルミニウム合金が有望視されている。
一般に、シリコンを多く含有するアルミニウム合金は鋳造性が悪いので、ダイカスト法による量産は困難である。そこで、本願発明者は、そのようなアルミニウム合金を用いてもシリンダブロックを好適に量産できる高圧ダイカスト法を提案している。この手法を用いると、実用上十分な耐摩耗性および強度を有するシリンダブロックを量産することができる。
国際公開第2004/002658号パンフレット
しかしながら、想定されるエンジン回転数やエンジンの使用条件によっては、シリンダブロックには、さらに高い耐摩耗性や強度が要求されることがある。例えば、二輪自動車では、エンジンを7000rpm以上の回転速度で運転するため、シリンダブロックに要求される耐摩耗性および強度はかなり高い。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐摩耗性および強度に優れたエンジン用部品およびその製造方法を提供することにある。
本発明によるエンジン用部品は、シリコンを含むアルミニウム合金から形成されたエンジン用部品であって、摺動面を構成する複数の初晶シリコン結晶粒を有し、前記複数の初晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径は、12μm以上50μm以下であり、そのことによって上記目的が達成される。
ある好適な実施形態において、前記複数の初晶シリコン結晶粒の間に位置する複数の共晶シリコン結晶粒をさらに有し、前記複数の共晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径は、7.5μm以下である。
ある好適な実施形態において、上記構成を有するエンジン用部品は、シリンダブロックであり、前記複数の初晶シリコン結晶粒がシリンダボア壁の表面に露出している。
あるいは、本発明によるエンジン用部品は、シリコンを含むアルミニウム合金から形成されたエンジン用部品であって、摺動面を構成する複数のシリコン結晶粒を有し、前記複数のシリコン結晶粒は、結晶粒径が1μm以上7.5μmの範囲内と結晶粒径が12μm以上50μm以下の範囲内とにそれぞれピークを有する粒度分布を持ち、そのことによって上記目的が達成される。
ある好適な実施形態において、前記摺動面の、800μm×1000μmのサイズを有する任意の矩形領域において、結晶粒径0.1μm以上のシリコン結晶粒が含まれていない直径50μmの円形領域の個数が5個以下である。
ある好適な実施形態において、前記アルミニウム合金は、73.4wt%以上79.6wt%以下のアルミニウム、18wt%以上22wt%以下のシリコン、および2.0wt%以上3.0wt%以下の銅を含む。
ある好適な実施形態において、前記アルミニウム合金は、50wtppm以上200wtppm以下のリンと、0.01wt%以下のカルシウムとを含む。
ある好適な実施形態において、前記摺動面のロックウェル硬さ(HRB)が60以上80以下である。
本発明によるエンジンは、上記の構成を有するエンジン用部品を備えており、そのことによって上記目的が達成される。
本発明によるシリンダブロックは、73.4wt%以上79.6wt%以下のアルミニウム、18wt%以上22wt%以下のシリコン、および2.0wt%以上3.0wt%以下の銅を含むアルミニウム合金から形成されたシリンダブロックであって、ピストンと接触する摺動面を構成する複数の初晶シリコン結晶粒と、前記複数の初晶シリコン結晶粒の間に位置する複数の共晶シリコン結晶粒とを有し、前記複数の初晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径は、12μm以上50μm以下であり、且つ、前記複数の共晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径は、7.5μm以下であり、前記アルミニウム合金は、50wtppm以上200wtppm以下のリンと、0.01wt%以下のカルシウムとを含み、前記摺動面のロックウェル硬さ(HRB)が60以上80以下であり、そのことによって上記目的が達成される。
あるいは、本発明によるシリンダブロックは、73.4wt%以上79.6wt%以下のアルミニウム、18wt%以上22wt%以下のシリコン、および2.0wt%以上3.0wt%以下の銅を含むアルミニウム合金から形成されたシリンダブロックであって、ピストンと接触する摺動面を構成する複数のシリコン結晶粒を有し、前記複数のシリコン結晶粒は、結晶粒径が1μm以上7.5μmの範囲内と結晶粒径が12μm以上50μm以下の範囲内とにそれぞれピークを有する粒度分布を持ち、前記摺動面の、800μm×1000μmのサイズを有する任意の矩形領域において、結晶粒径0.1μm以上のシリコン結晶粒が含まれていない直径50μmの円形領域の個数が5個以下であり、前記アルミニウム合金は、50wtppm以上200wtppm以下のリンと、0.01wt%以下のカルシウムとを含み、前記摺動面のロックウェル硬さ(HRB)が60以上80以下であり、そのことによって上記目的が達成される。 あるいは、本発明によるエンジンは、上記の構成を有するシリンダブロックと、前記シリンダブロックの摺動面よりも表面硬度の高い摺動面を有するピストンとを備えており、そのことによって上記目的が達成される。
本発明による自動車両は、上記の構成を有するエンジンを備えており、そのことによって上記目的が達成される。
本発明によるエンジン用摺動部品の製造方法は、73.4wt%以上79.6wt%以下のアルミニウム、18wt%以上22wt%以下のシリコン、および2.0wt%以上3.0wt%以下の銅を含むアルミニウム合金を用意する工程(a)と、前記アルミニウム合金の溶湯を鋳型の中で冷却して成形体を形成する工程(b)と、前記成形体を、450℃以上520℃以下の温度で3時間以上5時間以下の間熱処理した後液冷する工程(c)と、前記工程(c)の後、前記成形体を、180℃以上220℃以下の温度で3時間以上5時間以下の間熱処理する工程(d)と、を包含し、前記成形体を形成する工程(b)は、摺動面近傍が4℃/秒以上50℃/秒以下の冷却速度で冷却されるように実行され、そのことによって上記目的が達成される。
ある好適な実施形態において、前記成形体を形成する工程(b)は、摺動面近傍に平均結晶粒径が12μm以上50μm以下となるように複数の初晶シリコン結晶粒を析出させる工程(b−1)と、前記複数の初晶シリコン結晶粒の間に平均結晶粒径が7.5μm以下となるように複数の共晶シリコン結晶粒を析出させる工程(b−2)とを包含する。
本発明によると、耐摩耗性および強度に優れたエンジン用部品およびその製造方法が提供される。
本願発明者は、シリンダブロックの摺動面(ピストンと接触する面)におけるシリコン結晶粒の態様と、シリンダブロックの耐摩耗性および強度との関係を詳細に検討した。その結果、シリコン結晶粒の平均結晶粒径を特定の範囲内に設定したり、シリコン結晶粒に特定の粒度分布を持たせたりすることによって、耐摩耗性と強度を大幅に向上できることがわかった。本願発明は、上記知見に基づいて想到されたものである。
また、本願発明者は、シリンダブロックの製造条件についても鋭意検討を重ねた結果、摺動面に上述した好ましい態様でシリコン結晶粒を析出させるための好適な製法を見出した。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、以下では、主にシリンダブロックを例として説明を行うが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、シリンダブロックやピストンなどの内燃機関の燃焼室を形成するエンジン用摺動部品およびその製造方法に好適に用いられる。
図1に、本実施形態におけるシリンダブロック100を示す。シリンダブロック100は、シリコンを含むアルミニウム合金から形成されている。
シリンダブロック100は、図1に示すように、シリンダボア102を画定する壁部(「シリンダボア壁」と呼ぶ)103と、シリンダボア壁103を包囲し、シリンダブロック100の外郭を構成する壁部(「シリンダブロック外壁」と呼ぶ)104とを有している。シリンダボア壁103とシリンダブロック外壁104との間には、冷却液を保持するウォータジャケット105が設けられている。
シリンダボア壁103のシリンダボア102側の表面101が、ピストンと接触する摺動面である。この摺動面101を拡大して図2に示す。
シリンダブロック100は、図2に示すように、摺動面101に位置する複数のシリコン結晶粒1011、1012を有している。これらのシリコン結晶粒1011、1012は、アルミニウムを含む固溶体のマトリックス1013中に分散して存在している。換言すれば、摺動面を構成する複数のシリコン結晶粒1011、1012は、マトリックス1013に保持されている。
シリコンを多く含む過共晶組成のアルミニウム合金の溶湯を冷却したときに、最初に析出するシリコン結晶粒は「初晶シリコン結晶粒」と呼ばれ、次いで析出するシリコン結晶粒は「共晶シリコン結晶粒」と呼ばれる。図2に示す複数のシリコン結晶粒1011、1012のうち、比較的大きなシリコン結晶粒1011は、初晶シリコン結晶粒である。また、初晶シリコン結晶粒の間に位置する比較的小さなシリコン結晶粒1012は、共晶シリコン結晶粒である。
共晶シリコン結晶粒1012は、典型的には、図2に示すような針状結晶である。ただし、必ずしも全ての共晶シリコン結晶粒1012が針状結晶であるわけではない。実際には、共晶シリコン結晶粒1012には粒状結晶も一部含まれている。初晶シリコン結晶粒1011は、主に粒状結晶から構成されており、共晶シリコン結晶粒1012は、主に針状結晶から構成されている。
本願発明者は、初晶シリコン結晶粒1011の平均結晶粒径を12μm以上50μm以下の範囲内にすることによって、シリンダブロック100の耐摩耗性および強度を大幅に向上できることを実験的に見出した。実験結果については後ほど詳しく述べることとし、ここでは、平均結晶粒径を上記の範囲内にすることによって耐摩耗性および強度を大幅に向上できる理由を図3(a)〜(c)を参照しながら説明する。
初晶シリコン結晶粒1011の平均結晶粒径が50μmを超える場合、図3(a)の左側に示すように、摺動面101の単位面積当りの初晶シリコン結晶粒1011の個数が少ない。そのため、エンジン運転時に初晶シリコン結晶粒1011のそれぞれに大きな荷重がかかり、図3(a)の右側に示すように、初晶シリコン結晶粒1011が破壊されることがある。初晶シリコン結晶粒1011が破壊されると、摺動面101上に形成されていた潤滑油の膜が破断するので、ピストンリングやピストンが直接摺動面101のマトリックス1013に接触し、スカッフが発生してしまう。さらに、破壊された初晶シリコン結晶粒1011の破片は、研摩粒子として作用してしまうため、摺動面101が大きく摩耗してしまう。
また、初晶シリコン結晶粒1011の平均結晶粒径が12μm未満である場合、図3(b)の左側に示すように、初晶シリコン結晶粒1011の、マトリックス1013中に埋まっている部分が小さい。そのため、エンジン運転時には、図3(b)の右側に示すように、初晶シリコン結晶粒1011の脱落が容易に起こってしまう。脱落した初晶シリコン結晶粒1011は、硬度が高く研摩粒子として作用してしまうため、摺動面101が大きく摩耗してしまう。また、この場合、初晶シリコン結晶粒1011の、マトリックス1013から浮き出している部分の高さが低いので、摺動面101上に保持される潤滑油膜の厚さが小さくなる。そのため、潤滑油膜の破断が容易に起こり、スカッフが発生してしまう。
これに対し、初晶シリコン結晶粒1011の平均結晶粒径が12μm以上50μm以下である場合、図3(c)の左側に示すように、初晶シリコン結晶粒1011は摺動面101の単位面積あたりに十分な数存在する。そのため、エンジン運転時に各初晶シリコン結晶粒1011にかかる荷重は相対的に小さくなるため、図3(c)の右側に示すように、初晶シリコン結晶粒1011の破壊が防止される。また、この場合、初晶シリコン結晶粒1011のマトリックス1013から浮き出した部分は十分な高さを有しているので、十分な量の潤滑油を保持できる。そのため、摺動面101上に十分な厚さの潤滑油膜を保持することが可能になる。従って、潤滑油膜の破断およびそれに伴うスカッフの発生を防止することができる。また、初晶シリコン結晶粒1011のマトリックス1013に埋まっている部分が十分に大きいので、初晶シリコン結晶粒1011の脱落が防止され、そのため、脱落した初晶シリコン結晶粒による摺動面101の摩耗も防止される。
また、本願発明者は、共晶シリコン結晶粒1012が、マトリックス1013を補強する役割を果たすことに着目した。その結果、共晶シリコン粒1012を微細化することによって、シリンダブロック100の耐摩耗性および強度を向上できることを見出した。具体的には、共晶シリコン粒1012の平均結晶粒径を7.5μm以下とすることによって、耐摩耗性および強度を向上する効果が得られる。
さらに、本願発明者は、摺動面101に析出する複数のシリコン結晶粒の粒度分布にも着目した。その結果、複数のシリコン結晶粒に、結晶粒径が1μm以上7.5μmの範囲内と結晶粒径が12μm以上50μm以下の範囲内とにそれぞれピークを有する粒度分布を持たせることによって、シリンダブロック100の耐摩耗性および強度を大きく向上できることを見出した。
本発明によるシリンダブロック100では、上述したように、摺動面101に位置するシリコン結晶粒によって、高い耐摩耗性が実現されている。いわば、シリンダボア壁103の内側表面に一体的に耐摩耗層が形成されている。また、この耐摩耗層は、シリンダボア壁103の強度を向上する役割も果たす。
従来、シリンダブロックの耐摩耗性を向上する手法として、シリンダボア内にシリンダスリーブをはめ込む手法が知られていた。しかし、このような手法では、シリンダスリーブとシリンダブロック本体とを完全に密着させることは難しく、熱伝達率が低下してしまうし、また、シリンダスリーブ自体の厚さによってシリンダボア壁全体が厚くなってしまう。そのため、冷却性能が低下してしまう。
これに対し、本発明によるシリンダブロック100では、強度を向上する役割も果たす耐摩耗層がシリンダボア壁103に一体に形成されているため、熱伝達率が低下することもなく、シリンダボア壁103自体の厚さも薄くすることができる。そのため、冷却性能を向上することができる。さらに、シリンダブロック100の冷却性能が向上すると、シリンダ内に吸入できる混合気(直噴式の場合には空気)の量が増加するため、エンジンの出力が向上する。
次に、シリンダブロック100の製造に好適に用いられる製造方法を図4を参照しながら説明する。図4は、本実施形態におけるシリンダブロックの製造方法を示すフローチャートである。
まず、シリコンを含むアルミニウム合金を用意する(工程S1)。シリンダブロック100の耐摩耗性および強度を十分に高くするためには、アルミニウム合金として、73.4wt%以上79.6wt%以下のアルミニウム、18wt%以上22wt%以下のシリコン、および2.0wt%以上3.0wt%以下の銅を含むアルミニウム合金を用いることが好ましい。アルミニウム合金は、アルミニウムの新塊から製造してもよいし、アルミニウム合金の再生塊から製造してもよい。
次に、用意したアルミニウム合金を溶解炉で加熱して溶解させることによって、溶湯を形成する(工程S2)。このとき、溶湯中に未溶解のシリコンが残存しないように、溶湯を所定の温度以上に加熱する。アルミニウム合金が完全に溶解したら、酸化やガスの吸収を防ぐために溶湯の温度を少し低い温度に保持しておく。溶解前の地金または溶湯には、100wtppm程度のリンを添加しておくことが好ましい。アルミニウム合金が50wtppm以上200wtppm以下のリンを含んでいると、シリコン結晶粒の粗大化を抑制することができるので、合金中にシリコン結晶粒を均一に分散させることができる。
続いて、アルミニウム合金の溶湯を用いて鋳造を行う(工程S3)。つまり、溶湯を鋳型の中で冷却して成形体を形成する。成形体を形成するこの工程は、摺動面近傍が4℃/秒以上50℃/秒以下の冷却速度で冷却されるように実行される。この工程で用いられる鋳造装置については、後にその構造を詳しく説明する。
次に、鋳型から取り出したシリンダブロック100に対し、「T5」、「T6」および「T7」と呼ばれる熱処理のうちのいずれかを行う(工程S4)。T5処理は、成形体を鋳型から取り出した直後に水冷等により急冷し、続いて、機械的性質の改善や寸法安定化のために所定温度で所定時間だけ人工時効し、その後空冷する処理である。T6処理は、成形体を鋳型から取り出した後に所定温度で所定時間だけ溶体化処理し、続いて水冷し、次いで所定温度で所定時間だけ人工時効処理し、その後空冷する処理である。T7処理は、T6処理に比べて過時効にする処理であり、T6処理よりも寸法安定化を図ることができるが硬度はT6処理よりも低下する。
続いて、シリンダブロック100に所定の機械加工を行う(工程S5)。具体的には、シリンダヘッドとの合せ面、クランクケースとの合せ面およびシリンダボア壁103の内側表面の研削、旋削等を行う。
その後、シリンダボア壁103の内側表面(すなわち摺動面101となる面)に対してホーニング加工を行う(工程S6)ことによって、シリンダブロック100が完成する。ホーニング加工は、例えば、荒ホーニング、中ホーニング、仕上ホーニングの三段階で行うことができる。
上述したように、本実施形態における製造方法では、成形体を形成する工程は、摺動面近傍が4℃/秒以上50℃/秒以下の冷却速度で冷却されるように行われる。そのため、後述する試作例からもわかるように、摺動面101に析出する初晶シリコン結晶粒1011の平均結晶粒径を12μm以上50μm以下の範囲内にすることができる。また、同じく後述する試作例からわかるように、初晶シリコン結晶粒1011の間に析出する共晶シリコン粒1012の平均結晶粒径を7.5μm以下とすることもできる。従って、本実施形態における製造方法によれば、耐摩耗性および強度に優れたシリンダブロック100を製造することができる。
熱処理工程としては、特に、T6処理を行うことが好ましい。さらに、その熱処理工程(T6処理工程)が、成形体を、450℃以上520℃以下の温度で3時間以上5時間以下の間熱処理した後液冷する工程(第1の熱処理工程)と、その後、成形体を、180℃以上220℃以下の温度で3時間以上5時間以下の間熱処理する工程(第2の熱処理工程)とを含むことが好ましい。
第1の熱処理工程によって、合金中に存在するアルミニウムと銅との化合物を分解して銅原子をマトリックス1013中に分散させることができ、その後の第2の熱処理工程によって、銅原子をマトリックス1013中で凝集させることができる。この凝集状態は、整合析出状態とも呼ばれる。銅原子をマトリックス1013中に整合析出させると、シリコン結晶粒1011、1012を保持するマトリックス1013の強度が向上する。また、第1の熱処理工程によって針状の共晶シリコン結晶粒1012がマトリックス1013中に拡散するため、マトリックス1013の支持力(シリコン結晶粒を支持する力)が向上し、シリコン結晶粒の脱落が防止されるという効果も得られる。
ここで、鋳造工程(図4における工程S3)において用いられる鋳造装置を説明する。図5に、鋳造工程において用いられる高圧ダイカスト装置を示す。図5に示す高圧ダイカスト装置は、金型1と、金型1の全体を覆うカバー14とを備えている。
金型1は、固定されたままの固定型2と、一部が可動な可動型3とから構成されている。可動型3は、ベース金型4とスライド金型5とを有している。これらの金型は、冷却効率を考慮した材料から形成されており、例えば、シリコンおよびバナジウムをそれぞれ1%前後添加された鉄合金(例えばJIS−SKD61材)から形成されている。
まず、金型の構造について説明する。スライド金型5は、90°間隔で4分割されており、分割された個々の部分にシリンダ6(図5には2つのみ示されている)が設けられている。スライド金型5は、シリンダ6によって、ベース金型4のスライド金型5側の表面(スライド金型5との合せ面)30に沿って図中に矢印Aで示す方向にスライドし、鋳造時には中央部にシリンダブロックのキャビティ7を形成する。
キャビティ7の中心部には、シリンダボアを形成するためのシリンダボア形成部7aが設けられている。例示する高圧ダイカスト装置では、シリンダボア形成部7aは、ベース金型4と一体的に形成されており、鋳造時には図示されている様にその先端部7bが固定型2の可動型3側表面に当接する。また、キャビティ7内には、ウォータジャケットを形成するための中子7cが設けられている。この中子7cは、取り外しが可能なようにベース金型4とは別体に形成されている。
ベース金型4には、押出ピン8が設けられている。1ショットごとに、スライド金型5が開いた状態で押出ピン8によって成形品が押出され、そのことによって成形品は金型1から取り出される。
次に、注湯システムについて説明する。固定型2には、射出スリーブ9が設けられている。射出スリーブ9内では、ロッド10の先端に設けられたプランジャチップ11が往復する。射出スリーブ9には、給湯口12が形成されており、プランジャチップ11が原位置(給湯口12よりも後方(図中では右側)の位置)にある状態で、この給湯口12から1ショット分の溶湯が注入される。給湯口12の前方には、チップセンサ13が設けられている。このチップセンサ13は、プランジャチップ11が給湯口12を通過したことを検出する。プランジャチップ11が溶湯を押し出すことによって、キャビティ7内に溶湯が充填される。
カバー14は、固定型2を収容する第1のカバー部材14aと、可動型3を収容する第2のカバー部材14bとを有している。第1のカバー部材14aの第2のカバー部材14bとの合せ面32には、カバー14内の気密を保つために、Oリング等のシール材15が装着されている。また、カバー14を貫通するシリンダ6、押出ピン8および射出スリーブ9のそれぞれとカバー14との間の隙間にも、Oリング等のシール材15が装着されている。第2のカバー部材14bには、カバー14内を大気に開放するためのリークバルブ16が設けられている。なお、リークバルブ16は第1のカバー部材14aに設けられてもよい。
固定型2には、キャビティ7に連通する排気通路17が形成される。排気通路17内には、オンオフバルブ18が設けられており、オンオフバルブ18が設けられている部分を迂回するようにバイパス通路17aが形成されている。バイパス通路17aは、鋳造時(図示した状態)において金型1内を真空吸引したときに、排気通路17を金型1の外部と連通させるために設けられている。バイパス通路17aおよび排気通路17は、オンオフバルブ18が図面の上下方向に沿って移動することによって開閉される。オンオフバルブ18は、通常時に通路が開いている状態となるように、ばねによって付勢されている。なお、排気通路17は可動型3に形成されていてもよい。
オンオフバルブ18は、例えばメタルタッチ式のバルブである。キャビティ7に溶湯が充填されて残りの溶湯が排気通路17内を上昇すると、溶湯がオンオフバルブ18に接触してオンオフバルブ18を押上げる。これにより、排気通路17とともにバイパス通路17aが閉じられ、溶湯が金型1の外に噴き出ることが防止される。
このようなメタルタッチ式のバルブに代えて、プランジャチップ11の位置を検出し、1ショット分の溶湯の押し込みが終了したときにアクチュエータによって排気通路17を閉じるようなバルブを用いてもよい。
また、溶湯の噴出しを防止する手段として、チルベント構造を用いてもよい。チルベント構造では、キャビティ7に連通するジグザグ状で経路の長い細い通路が形成される。キャビティ7から溢れた溶湯を、この通路を通して途中で固化させることによって、溶湯の金型1の外への噴出しが防止される。
成形体への空気の巻き込みを少なくするため、注湯前にはキャビティ7内を減圧状態にすることが要求される。カバー14(より厳密にはここでは第1のカバー部材14a)には、真空タンク19に連通する1本または複数本(ここでは2本)の真空配管20が接続されている。真空タンク19は、真空ポンプ21によって所定の真空圧に維持される。真空配管20中に設置された電磁弁20aは、制御装置22により開閉制御される。制御装置22は、具体的には、プランジャチップ11のストローク位置の検出信号やストローク時間のタイマ信号等に基づいて、キャビティ7の減圧の開始及び終了のタイミングで開閉制御を行う。
なお、本実施形態ではカバー14は金型1全体を覆っているが、カバー14が局所的に金型1を覆っていてもよい。例えば、金型1の外周部を、ベース金型4のスライド金型5との合せ面30およびスライド金型5の固定型2との合せ面31の周縁30a、31aに沿ってリング状に覆ってもよい。また、スライド金型5を駆動するためのシリンダ6を覆うような形状のカバーを設けてもよい。
このように、本実施形態における高圧ダイカスト装置では、金型1を覆うようにカバー14が設けられており、このカバー14内を真空排気してキャビティ7内を減圧しながら鋳造が行われる。そのため、スライド金型5が多くの部分に分割されている場合であっても、金型1自体にはシールを施すことなく金型1全体に対し真空吸引を行うことができる。また、合せ面30、31の隙間からもキャビティ7を真空吸引するため、真空度を高くすることができ、金型1内からガスをより確実に除去することができる。また、第1のカバー部材14aと第2のカバー部材14bとの間のシール材15は、高温となる金型1からは離間した位置に装着されているため、金型1からの熱的な影響が小さく、シール材15の劣化が防止されて耐久性が向上する。
冷却水流量調整ユニット60は、鋳造工程において金型1の冷却制御を行う。金型1の冷却は、ベース金型4に形成された冷却水通路60aに冷却水を流すことによって行われる。具体的には、プランジャチップ11による高速射出のタイミングでバルブ(不図示)を開いて一定時間(例えば型割りして成形品を取り出すまでの時間)冷却水を流すことによって冷却が行われる。
本実施形態における冷却水流量調整ユニット60は、さらに、金型1のシリンダボア形成部7aの冷却速度を制御することができる。本実施形態では、冷却水通路60aがシリンダボア形成部7aの内部にまで延びているので、冷却水の水量を制御することによってシリンダボア形成部7aの冷却速度を制御することができる。そのため、成形品の摺動面近傍(溶湯の摺動面近傍に位置する部分)を所望の冷却速度で冷却することができる。
既に述べたように、摺動面近傍を4℃/秒以上50℃/秒以下の冷却速度で冷却すると、初晶シリコン結晶粒1011の平均結晶粒径を12μm以上50μm以下の範囲内にすることができ、また、共晶シリコン結晶粒1012の平均結晶粒径を7.5μm以下とすることができる。
冷却速度の制御は、例えば図示されているように、ベース金型4のシリンダボア形成部7a内部に設置された温度センサ61により摺動面近傍の温度を検出し、データレコーダ62による温度管理によって実際の温度をモニタしながら、所望の冷却速度になるように冷却水流量を調整することによって行われる。冷却速度が速すぎると、シリコン結晶粒が十分な耐摩耗性を実現し得る粒径まで成長しないので、最初は比較的遅い冷却速度で冷却し、シリコン結晶粒が粗大になる直前にその成長を停止させるために冷却速度を速くすることが好ましい。
鋳造の開始に際しては、スライド金型5を所定の位置に配置した後に可動型3を固定型2に突き合せて型締めすることによってキャビティ7を形成する。このとき、第1のカバー部材14aと第2のカバー部材14bとがシール材15を介して突き合わされることによって、カバー14内が封止される。このように、固定型2と可動型3とを突き合せてキャビティ7を形成する型締め工程と、金型1をカバー14で覆って封止する封止工程とを同時に行うと、鋳造のサイクルタイムの短縮を図ることができる。なお、必ずしもこれらの工程を同時に行う必要はなく、固定型2と可動型3を型締めしてキャビティ7を形成した後に、金型1をカバー14で覆って封止してもよい。
ここで、図5に示す高圧ダイカスト装置の動作を時系列で(時間t0〜t6の順に)説明する。
時間t0:プランジャチップ11は原位置(給湯口12の後方)にあり、給湯口12が開いている。給湯口12を介して金型1内は大気に開放されている。この状態で給湯口12から射出スリーブ9内に1ショット分のアルミニウム合金の溶湯が注入される。溶湯が注入されるとプランジャチップ11が低速で前方に移動し、射出スリーブ9内の溶湯を押し込む。
時間t1:チップセンサ13がプランジャチップ11を検出する。この状態では、プランジャチップ11が給湯口12よりも前方に位置するため、カバー14内は完全に気密封止される。この時点で、電磁弁20aを駆動してカバー14内を真空排気する。
この真空排気の際、金型1とカバー14との間の空間33の真空排気とキャビティ7の真空排気とが同時に行われる。そのため、減圧工程が効率よく行われ、鋳造のサイクルタイムの短縮が図られる。
なお、キャビティ7の真空排気経路と、金型1とカバー14との間の空間33の真空排気経路とを別にし、タイミングをずらして真空排気してもよい。例えば、キャビティ7よりも先に、金型1とカバー14との間の空間33を真空排気すると、金型1の合せ面やスライド型5の摺動面側の表面等の隙間に入り込んで付着している液状の離型剤が、キャビティ7内に吸引されることなく空間33側へ直接吸い出される。従って、余分な離型剤がキャビティ7内に流入して溶湯に混入することを防止することができ、鋳巣等の欠陥の発生を防止することができる。
上述したような真空排気により金型1のキャビティ7内が減圧され、徐々に真空度が高まっていく。プランジャチップ11は低速で前進し続け、溶湯をキャビティ7側に押し込み続ける。プランジャチップ11が給湯口12を越えてから真空排気を開始すると、給湯口12を通して大気が金型1内に吸引されることを回避できる。これにより、鋳巣の発生をより確実に防止するとともに、大気によって溶湯表面が局所的に冷却されることを防止し、均一で安定した品質の鋳造品を得ることができる。
時間t2:溶湯がキャビティ7の入口に達した時点でプランジャチップ11の前進が低速から高速に切換えられ、溶湯が急速にキャビティ7内に供給される。
時間t3:キャビティ7内が溶湯で完全に充填されて射出が完了する。このとき、溶湯が排気通路17のオンオフバルブ18を押上げることによって排気通路17からの溶湯の噴き出しが防止される。
また、プランジャチップ11によって高速射出が行われるタイミングで、シリンダボア形成部7aの内部に設けられた冷却水通路60aに冷却水が流れ、溶湯の摺動面(シリンダボア側表面)となる部分の近傍が4℃/秒以上50℃/秒以下の冷却速度で冷却される。
時間t4:真空ポンプ21が停止され、真空排気による減圧が終了する。この時点ではカバー14内はまだ減圧された状態である。
時間t5:リークバルブ16を開きカバー14内を大気に開放する。リークバルブ16を介して大気が流入することにより、カバー14内の気圧が時間の経過とともに大気圧に近付いていく。
時間t6:カバー14内の気圧が完全に大気圧に戻る。この時点で金型1が開かれ、成形品(鋳造品)が取り出される。
上述した製造方法により、図2に示すシリンダブロック100を実際に試作し、耐摩耗性および強度の評価を行った。その結果の一部を以下に示す。アルミニウム合金としては、下記表1に示す組成のアルミニウム合金を用いた。
なお、シリコンとして高純度のシリコンを用い、アルミニウム合金のカルシウム含有量を0.01wt%以下とした。また、溶解時における除滓方法としてアルゴンガスによるバブリングのみを行い、アルミニウム合金のナトリウム含有量を0.1wt%以下とした。カルシウムおよびナトリウムの含有量をそれぞれ0.01wt%以下、0.1wt%以下とすることによって、リンによるシリコン結晶粒の微細化効果を確保し、耐摩耗性に優れた金属組織を得ることができる。
上記の組成のアルミニウム合金を用い、図5に示す高圧ダイカスト装置により鋳造を行った。シリンダボア形成部7aに対する冷却は、温度センサ61で温度を検出しながら冷却速度が25℃/秒以上30℃/秒以下となるように冷却水を冷却水通路60aに流して行い、温度が400℃以上500℃以下の範囲内になるまで冷却を行った。金型1から取り出したシリンダブロックを、490℃で4時間の間熱処理(溶体化処理)した後水冷し、さらに200℃で4時間の間熱処理(時効処理)を行った。その後、シリンダブロックに対してホーニング処理を施した。
また、比較のために、同じ組成のアルミニウム合金を用いて砂型により、シリンダボア形成部を冷却することなく鋳造を行った。砂型による鋳造後、試作例と同様の溶体化処理、時効処理及びホーニング処理を行なった。
得られた試作例及び比較例のシリンダブロックについて、摺動面を金属顕微鏡により観察した。図6(a)および(b)と図7(a)および(b)に、摺動面の金属顕微鏡写真を示す。図6(a)および(b)は、砂型により鋳造した比較例の摺動面201を示し、図7(a)および(b)は、高圧ダイカストにより鋳造した試作例の摺動面101を示している。ただし、図6(a)および図7(a)中には、参照符号を付しており、図6(a)中には、直径50μmの円を示している。
図6(a)および(b)からわかるように、比較例の摺動面201においては、粒径が50μmを超える初晶シリコン結晶粒2011が多数存在している。これに対し、図7(a)および(b)からわかるように、試作例の摺動面101においては、初晶シリコン結晶粒1011の粒径は50μm以下であり、比較例に比べると微小な初晶シリコン結晶粒1011が均一に分散している。
また、比較例の摺動面201に析出した共晶シリコン結晶粒(ほとんどが針状である)2012よりも、試作例の摺動面101に析出した共晶シリコン結晶粒(主に針状であり、一部が粒状である)1012の方が微細であることがわかる。
比較例および試作例の両方について、シリコン結晶粒の平均結晶粒径を求めた。ここでの粒径は円相当径であり、対象となる部分の表面データをコンピュータに取り込み、市販のソフトウェア(三谷商事社製のwin ROOF)を用いて平均結晶粒径を求めた。
比較例の摺動面201における初晶シリコン結晶粒2011の平均結晶粒径は、60μm以上であった。これに対し、試作例の摺動面101における初晶シリコン結晶粒1011の平均粒径は24μmであった。さらに、試作例の摺動面101における共晶シリコン結晶粒1012の平均結晶粒径は6.4μmであった。
また、比較例の摺動面201についての空白率(摺動面201全体の面積に対する、銅等を含むアルミニウム固溶体2013の面積比率)は15%であった。これに対し、試作例の摺動面101についての空白率(摺動面101全体の面積に対する、銅等を含むアルミニウム固溶体1013の面積比率)は35%であった。
また、比較例および試作例の両方について、摺動面の、800μm×1000μmのサイズを有する任意の矩形領域において、結晶粒径0.1μm以上のシリコン結晶粒が含まれていない直径50μmの円形領域の個数を目視により数えた。試作例では、その個数が5個以下であることが確認された。これに対し、比較例では、図6(a)からも明らかなように、そのような円形領域が多数存在している。このことからも、試作例では比較例よりも摺動面においてシリコン結晶粒が均一に分散していることがわかる。
比較例および試作例の両方について、摺動面におけるシリコン結晶粒の粒度分布を調べた。その結果を図8および図9に示す。図8は、砂型を用いて鋳造した比較例についてのグラフであり、図9は、高圧ダイカストにより鋳造した試作例についてのグラフである。
比較例の摺動面201に析出したシリコン結晶粒は、図8からわかるように、結晶粒径が10μm以上15μm以下の範囲内と51μm以上63μm以下の範囲内とにそれぞれピークを有する粒度分布を有している。結晶粒径が10μm以上15μmの範囲内にあるシリコン結晶粒は、共晶シリコン結晶粒であり、結晶粒径が51μm以上63μm以下の範囲内にあるシリコン結晶粒は、初晶シリコン結晶粒である。
これに対し、試作例の摺動面101に析出したシリコン結晶粒は、図9からわかるように、結晶粒径が1μm以上7.5μmの範囲内と12μm以上50μm以下の範囲内とにそれぞれピークを有する粒度分布を有している。結晶粒径が1μm以上7.5μmの範囲内にあるシリコン結晶粒は、共晶シリコン結晶粒であり、結晶粒径が12μm以上50μm以下の範囲内にあるシリコン結晶粒は、初晶シリコン結晶粒である。これらの結果からも、試作例では、比較例よりも小さなシリコン結晶粒が析出していることがわかる。なお、試作例について摺動面101のロックウェル硬さ(HRB)を測定したところ約70であった。
続いて、試作例および比較例のシリンダブロックを用いてエンジン(具体的には4サイクルの水冷式ガソリンエンジン)を組み立て、摩耗試験を行った。シリンダボアに挿入するピストンの摺動面には、厚さ15μmの鉄めっきを施した。エンジンの運転は、9000rpmの回転数で10時間行った。
図10に、摩耗試験を行った後の比較例のシリンダブロック200の摺動面201の拡大写真を示す。図10に示されるように、ピストンリングの上死点206よりも下方の摺動面201全体に激しいスクラッチ傷203が発生しており、比較例のシリンダブロック200が耐久性に欠けていることがわかる。
図11に、摩耗試験を行った後の試作例のシリンダブロック100の摺動面101の拡大写真を示す。図11に示されるように、ピストンリングの上死点106よりも下方の摺動面101には、スクラッチ傷は発生しておらず、試作例のシリンダブロック100が耐久性に優れていることがわかる。
ここまでの結果からもわかるように、砂型を用いた鋳造では、シリンダボア形成部の冷却を積極的に行わず、摺動面近傍の冷却速度を制御しないため、摺動面に析出するシリコン結晶粒が粗大化し、そのことによって、シリンダブロックの耐久性が低下してしまう。これは、金型を用いた従来のダイカスト法でも同様である。ダイカスト法を用いた量産工程においては、金型のシリンダボア形成部に熱がこもりやすく、そのため、シリコン結晶粒の粗大化を引き起こしてしまう。これに対し、本実施形態における製造方法では、摺動面近傍の冷却速度を特定の範囲内に制御するため、好ましい平均結晶粒径(あるいは好ましい粒度分布)のシリコン結晶粒を摺動面に析出させることができ、シリンダブロックの耐摩耗性および強度を大幅に向上させることができる。
シリコン結晶粒の粗大化を抑制する観点からは、既に述べたように、カルシウムの含有量を0.01wt%以下とすることも好ましい。アルミニウム合金中のカルシウムは、シリコン結晶粒の微細化材として機能するリンと化合物を形成し、リンの微細化効果を阻害する。そのため、アルミニウム合金が0.01wt%を超えるカルシウムを含んでいると、図12に示すように、初晶シリコン結晶粒が粗大化してしまうことがある。これに対し、カルシウムの含有量が0.01wt%以下であると、リンによるシリコン結晶粒の微細化効果をより確実に得ることができる。
また、摺動面に微細なシリコン結晶粒が均一に分散していると、シリコン結晶粒の間に形成されるオイルポケットも小さいため、潤滑油をオイルポケットに確実に保持することが可能になり、潤滑性が向上して耐摩耗性が向上する。図13に模式的に示す様に、摺動面101においては、銅等を含むアルミニウム固溶体(マトリックス)1013からシリコン結晶粒1010が突出しており、シリコン結晶粒1010間の凹部1014に潤滑油1015が保持される。微細なシリコン結晶粒を均一に分散させ、凹部1014の直径を1μm以上7.5μmの範囲内とすると、表面張力のために潤滑油をより確実に保持することが可能になり、潤滑性および耐摩耗性の向上を図ることができる。
次に、摺動面近傍の冷却速度、シリコン結晶粒の平均結晶粒径および耐摩耗性の関係を検証するために、上記の試作例と同様の条件で、摺動面近傍の冷却速度を変化させて複数のシリンダブロックを製造した。
製造した複数のシリンダブロックを用いてエンジンを組み立て、摩耗試験を行ったところ、冷却速度が4℃/秒以上50℃/秒以下の条件で鋳造されたシリンダブロックについては、スクラッチ傷がほとんど発生せず、良好な耐摩耗性を有していることが確認された。
また、冷却速度が4℃/秒以上50℃/秒以下の条件で鋳造されたシリンダブロックについて、摺動面を金属顕微鏡で観察した。摺動面における初晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径が12μm以上50μm以下であり、共晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径が7.5μm以下であることが確認された。また、摺動面におけるロックウェル硬さ(HRB)は60以上80以下の範囲内にあった。
図14(a)〜(e)に、冷却速度を変化させたときの初晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径および空白率の変化を示す。図14(a)に示すように、冷却速度が1℃/秒以下のときには、平均結晶粒径が56.5μmと大きく、初晶シリコン結晶粒が粗大化している。これに対し、図14(b)〜(e)に示すように、冷却速度が4℃/秒以上50℃/秒以下であると、初晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径が12μm以上50μm以下の範囲内にある。
また、摺動面の冷却速度が50℃/秒よりも速い条件で鋳造したシリンダブロックを用いてエンジンを組み立て、摩耗試験を行ったところ、摺動面の全面にわたってスクラッチ傷が発生した。摺動面を金属顕微鏡で観察したところ、初晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径は10μm以下であり、共晶シリコン結晶粒は観察されなかった。
なお、鋳造工程の開始から終了までの間、冷却速度は実際には一定ではない。図15に、鋳造工程開始後の時間と温度との関係を示す。本願明細書では、鋳造工程における冷却速度を、給湯温度T0、取り出し温度T3、鋳造開始時間t0、取り出し時間t3を用いて、(T0−T3)/(t3−t0)と定義する。下記表2に、給湯温度、取り出し温度およびサイクルタイムと、冷却速度との関係の例を示す。
なお、初晶シリコン結晶粒のサイズは、凝固開始温度をT1、共晶温度をT2、凝固開始時間をt1、共晶温度に達した時間をt2としたとき、(T1−T2)/(t2−t1)によって決まる。一方、共晶シリコン結晶粒のサイズは、共晶シリコン結晶粒の晶出が終了する時間をt2’とするとき、t2’−t2によって決まる。一般に、初晶シリコン結晶粒のサイズが大きくなるほど、共晶シリコン結晶粒のサイズも大きくなり、初晶シリコン結晶粒のサイズが小さくなるほど、共晶シリコン結晶粒のサイズも小さくなる。
上述したように、本発明によるシリンダブロックは、優れた耐摩耗性および強度を有しているので、自動車両用のエンジンをはじめとして各種のエンジンに好適に用いられる。特に、二輪自動車用のエンジンなどの高回転で運転されるエンジンに好適に用いられ、エンジンの耐久性を大きく向上させることができる。
図16に、本発明によるシリンダブロック100を備えたエンジン150の一例を示す。エンジン150は、クランクケース110、シリンダブロック100およびシリンダヘッド130を有している。
クランクケース110内にはクランクシャフト111が収容されている。クランクシャフト111は、クランクピン112およびクランクウェブ113を有している。
クランクケース110の上に、シリンダブロック100が設けられている。シリンダブロック100のシリンダボア内には、ピストン122が挿入されている。ピストン122の摺動面には、鉄めっきが施されており、その表面硬度はシリンダブロック100の摺動面101よりも高い。なお、ピストン122の摺動面には、固体潤滑材によるコーティングを施してもよく、その場合には、ピストン122の摺動面は、その表面硬度がシリンダブロック100の摺動面よりも低いこともある。ピストン122の摺動面とシリンダブロック100の摺動面101のいずれの表面硬度をより高くするか(すなわちいずれの耐摩耗性をより高くするか)は、種々の条件(例えばモデル、仕向地、コスト等)に応じて決定される。
また、シリンダボア内には、シリンダスリーブははめ込まれておらず、シリンダブロック100のシリンダボア壁103の内側表面にはめっきは施されていない。つまり、初晶シリコン結晶粒1011がシリンダボア壁103の表面に露出している。なお、シリンダボア壁にめっきが施されたシリンダブロックに、上述したような態様でシリコン結晶粒が析出した摺動面を有するピストンを組み合わせて用いることもできる。ただし、その場合には、耐摩耗性は得られるものの冷却性能が低下してしまう。
シリンダブロック100の上に、シリンダヘッド130が設けられている。シリンダヘッド130は、シリンダブロック100のピストン122とともに燃焼室131を形成する。シリンダヘッド130は、吸気ポート132および排気ポート133を有している。吸気ポート132内には燃焼室131内に混合気を供給するための吸気弁134が設けられており、排気ポート内には燃焼室131内の排気を行うための排気弁135が設けられている。
ピストン122とクランクシャフト111とは、コンロッド140によって連結されている。具体的には、コンロッド140の小端部142の貫通孔にピストン122のピストンピン123が挿入されているとともに、大端部144の貫通孔にクランクシャフト111のクランクピン112が挿入されており、そのことによってピストン122とクランクシャフト111とが連結されている。大端部144の貫通孔の内周面とクランクピン112との間には、ローラベアリング(転がり軸受け)114が設けられている。
図16に示すエンジン150は、本発明によるシリンダブロック100を備えているので、耐久性に優れている。また、本発明によるシリンダブロック100は、摺動面101の耐摩耗性および強度が高いため、シリンダスリーブを必要としない。そのため、エンジンの製造工程の簡略化、エンジンの軽量化および冷却性能の向上が可能となる。さらに、シリンダボア壁103の内側表面にめっきを施す必要もないので、製造コストの低減を図ることもできる。
図17に、図16に示したエンジン150を備えた自動二輪車を示す。
図17に示す自動二輪車では、本体フレーム301の前端にヘッドパイプ302が設けられている。ヘッドパイプ302には、フロントフォーク303が車両の左右方向に揺動し得るように取り付けられている。フロントフォーク303の下端には、前輪304が回転可能なように支持されている。
本体フレーム301の後端上部から後方に延びるようにシートレール306が取り付けられている。本体フレーム301上に燃料タンク307が設けられており、シートレール306上にメインシート308aおよびタンデムシート308bが設けられている。
また、本体フレーム301の後端に、後方へ延びるリアアーム309が取り付けられている。リアアーム309の後端に後輪310が回転可能なように支持されている。
本体フレーム301の中央部には、図16に示したエンジン150が保持されている。エンジン150には、本発明によるシリンダブロック100が用いられている。エンジン150の前方には、ラジエータ311が設けられている。エンジン150の排気ポートには排気管312が接続されており、排気管312の後端にマフラー313が取り付けられている。
エンジン150には変速機315が連結されている。変速機315の出力軸316に駆動スプロケット317が取り付けられている。駆動スプロケット317は、チェーン318を介して後輪310の後輪スプロケット319に連結されている。変速機315およびチェーン318は、エンジン150により発生した動力を駆動輪に伝える伝達機構として機能する。
図17に示した自動二輪車は、本発明によるシリンダブロック100が用いられたエンジン150を備えているので、好適な性能が得られる。
本発明によると、耐摩耗性および強度に優れたエンジン用部品およびその製造方法が提供される。
本発明によるエンジン用部品は、自動車両用をはじめとする各種のエンジンに好適に用いることができ、特に、高回転で運転されるエンジンに好適に用いられる。
本発明の好適な実施形態におけるシリンダブロック100を模式的に示す斜視図である。 シリンダブロック100の摺動面を拡大して模式的に示す図である。 (a)、(b)および(c)は、初晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径とシリンダブロックの耐摩耗性との関係を説明するための図である。 シリンダブロック100の製造方法を示すフローチャートである。 シリンダブロック100の鋳造に用いられる高圧ダイカスト装置を模式的に示す図である。 (a)および(b)は、砂型を用いて鋳造した比較例のシリンダブロックの摺動面の金属顕微鏡写真である。 (a)および(b)は、高圧ダイカストにより鋳造した試作例のシリンダブロックの摺動面の金属顕微鏡写真である。 比較例のシリンダブロックの摺動面に析出したシリコン結晶粒の粒度分布を示すグラフである。 試作例のシリンダブロックの摺動面に析出したシリコン結晶粒の粒度分布を示すグラフである。 摩耗試験を行った後の比較例のシリンダブロックの摺動面の拡大写真である。 摩耗試験を行った後の試作例のシリンダブロックの摺動面の拡大写真である。 カルシウムによってリンの微細化効果が阻害されることにより粗大化したシリコン結晶粒を示す写真である。 摺動面のオイルポケットに潤滑油が保持される構造を模式的に示す断面図である。 (a)〜(e)は、それぞれ異なる冷却速度条件で鋳造したシリンダブロックの摺動面を示す金属顕微鏡写真である。 鋳造工程開始後の時間と温度との関係を示すグラフである。 シリンダブロック100を有するエンジン150を模式的に示す断面図である。 図16に示すエンジン150を備えた自動二輪車を模式的に示す側面図である。
符号の説明
100 シリンダブロック
101 摺動面
102 シリンダボア
103 シリンダボア壁
104 シリンダブロック外壁
105 ウォータジャケット
1011 初晶シリコン結晶粒
1012 共晶シリコン結晶粒
1013 マトリックス(アルミニウムを含む固溶体)

Claims (15)

  1. シリコンを含むアルミニウム合金から形成されたエンジン用部品であって、
    摺動面を構成する複数の初晶シリコン結晶粒を有し、
    前記複数の初晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径は、12μm以上50μm以下であるエンジン用部品。
  2. 前記複数の初晶シリコン結晶粒の間に位置する複数の共晶シリコン結晶粒をさらに有し、
    前記複数の共晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径は、7.5μm以下である請求項1に記載のエンジン用部品。
  3. シリンダブロックである請求項1または2に記載のエンジン用部品であって、
    前記複数の初晶シリコン結晶粒がシリンダボア壁の表面に露出している請求項1または2に記載のエンジン用部品。
  4. シリコンを含むアルミニウム合金から形成されたエンジン用部品であって、
    摺動面を構成する複数のシリコン結晶粒を有し、
    前記複数のシリコン結晶粒は、結晶粒径が1μm以上7.5μmの範囲内と結晶粒径が12μm以上50μm以下の範囲内とにそれぞれピークを有する粒度分布を持つエンジン用部品。
  5. 前記摺動面の、800μm×1000μmのサイズを有する任意の矩形領域において、結晶粒径0.1μm以上のシリコン結晶粒が含まれていない直径50μmの円形領域の個数が5個以下である請求項4に記載のエンジン用部品。
  6. 前記アルミニウム合金は、73.4wt%以上79.6wt%以下のアルミニウム、18wt%以上22wt%以下のシリコン、および2.0wt%以上3.0wt%以下の銅を含む請求項1から5のいずれかに記載のエンジン用部品。
  7. 前記アルミニウム合金は、50wtppm以上200wtppm以下のリンと、0.01wt%以下のカルシウムとを含む請求項1から6のいずれかに記載のエンジン用部品。
  8. 前記摺動面のロックウェル硬さ(HRB)が60以上80以下である請求項1から7のいずれかに記載のエンジン用部品。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載のエンジン用部品を備えたエンジン。
  10. 73.4wt%以上79.6wt%以下のアルミニウム、18wt%以上22wt%以下のシリコン、および2.0wt%以上3.0wt%以下の銅を含むアルミニウム合金から形成されたシリンダブロックであって、
    ピストンと接触する摺動面を構成する複数の初晶シリコン結晶粒と、前記複数の初晶シリコン結晶粒の間に位置する複数の共晶シリコン結晶粒とを有し、
    前記複数の初晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径は、12μm以上50μm以下であり、且つ、前記複数の共晶シリコン結晶粒の平均結晶粒径は、7.5μm以下であり、
    前記アルミニウム合金は、50wtppm以上200wtppm以下のリンと、0.01wt%以下のカルシウムとを含み、
    前記摺動面のロックウェル硬さ(HRB)が60以上80以下であるシリンダブロック。
  11. 73.4wt%以上79.6wt%以下のアルミニウム、18wt%以上22wt%以下のシリコン、および2.0wt%以上3.0wt%以下の銅を含むアルミニウム合金から形成されたシリンダブロックであって、
    ピストンと接触する摺動面を構成する複数のシリコン結晶粒を有し、
    前記複数のシリコン結晶粒は、結晶粒径が1μm以上7.5μmの範囲内と結晶粒径が12μm以上50μm以下の範囲内とにそれぞれピークを有する粒度分布を持ち、
    前記摺動面の、800μm×1000μmのサイズを有する任意の矩形領域において、結晶粒径0.1μm以上のシリコン結晶粒が含まれていない直径50μmの円形領域の個数が5個以下であり、 前記アルミニウム合金は、50wtppm以上200wtppm以下のリンと、0.01wt%以下のカルシウムとを含み、
    前記摺動面のロックウェル硬さ(HRB)が60以上80以下であるシリンダブロック。
  12. 請求項10または11に記載のシリンダブロックと、前記シリンダブロックの摺動面よりも表面硬度の高い摺動面を有するピストンとを備えたエンジン。
  13. 請求項9または12に記載のエンジンを備えた自動車両。
  14. エンジン用摺動部品の製造方法であって、
    73.4wt%以上79.6wt%以下のアルミニウム、18wt%以上22wt%以下のシリコン、および2.0wt%以上3.0wt%以下の銅を含むアルミニウム合金を用意する工程(a)と、
    前記アルミニウム合金の溶湯を鋳型の中で冷却して成形体を形成する工程(b)と、
    前記成形体を、450℃以上520℃以下の温度で3時間以上5時間以下の間熱処理した後液冷する工程(c)と、
    前記工程(c)の後、前記成形体を、180℃以上220℃以下の温度で3時間以上5時間以下の間熱処理する工程(d)と、を包含し、
    前記成形体を形成する工程(b)は、摺動面近傍が4℃/秒以上50℃/秒以下の冷却速度で冷却されるように実行されるエンジン用摺動部品の製造方法。
  15. 前記成形体を形成する工程(b)は、摺動面近傍に平均結晶粒径が12μm以上50μm以下となるように複数の初晶シリコン結晶粒を析出させる工程(b−1)と、前記複数の初晶シリコン結晶粒の間に平均結晶粒径が7.5μm以下となるように複数の共晶シリコン結晶粒を析出させる工程(b−2)とを包含する、請求項14に記載のエンジン用摺動部品の製造方法。
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