JP2005272256A - 植物散布用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 葉面や果実に散布されて植物にカルシウムやマグネシウムを効果的に補給することができ、しかも、植物に無害な農業資材を提供する。
【解決手段】 重量比で、炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウム1に対してグルタミン酸が2〜3の割合で混合されていることを特徴とする植物散布用組成物。好ましくは、炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムとグルタミン酸との混合物20〜35gを水100リットルに溶解して使用される。
【選択図】 なし
【解決手段】 重量比で、炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウム1に対してグルタミン酸が2〜3の割合で混合されていることを特徴とする植物散布用組成物。好ましくは、炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムとグルタミン酸との混合物20〜35gを水100リットルに溶解して使用される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、農業分野で植物に不足しがちなカルシウムおよび/またはマグネシウムを葉面や果実などに散布して補給するための農業資材に関する。
植物の生育に欠かせないカルシウムおよびマグネシウムはそれぞれの硫酸塩や炭酸塩の形態で土から与えられる場合が多い。しかし、これらアルカリ土類金属は、植物体内での移動が遅い傾向にあり、古い葉には残っていても新芽や果実などにこれらが不足する例が多く見られる。その場合、葉面または果実に散布することにより不足を補うことが一般的に行なわれる。
カルシウムやマグネシウムを補給する目的で植物の葉面や果実に散布するために従来より提案されているのは、それらの水溶性化合物を水に溶解して用いることである。例えば、カルシウムについては、水に対する溶解度の大きい塩化カルシウムをはじめとして、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウムなどの有機酸カルシウムを含有する液状肥料が案出されている。しかし、これらの水溶性化合物を用いても植物への吸収が低いためカルシウム含有量を可及的に高くしたりしている(例えば、特開平9−263477号公報:特許文献1)が、それでも充分ではないので、吸収促進を期待して追加の成分を添加している(例えば、特開2000−327471号公報:特許文献2)。
しかし、塩化カルシウムについては、対イオンである塩素イオンが植物に有害であるという問題があり、溶解度が最も高いにもかかわらず、液状肥料として提供されるに際して、葉面散布には適していないとの注意書が付されている程である。また、有機酸カルシウムは、塩化カルシウムに比べて薬害発生の問題は軽減されるが、植物に散布して用いられる肥料として需要者に好んで受け入れられていないのが現状である。これは、塩化カルシウムよりも溶解度が低いことに加えて、有機酸が植物にとって必ずしも有益な作用をしていないためと考えられる。
カルシウムやマグネシウムの炭酸塩は、対イオンが植物に無害である点は好ましいが、水に対する溶解度が極度に低く難溶性であるので、溶液の状態で施用することは極めて困難である。完全に溶解できないまま散布すると白い結晶が葉や果実に残ってしまい、これらはアルカリ性を示すことから植物に有害となる。
特開平9−263477号公報
特開2000−327471号公報
本発明の目的は、葉面や果実に散布されて植物にカルシウムやマグネシウムを効果的に補給することができ、しかも、植物に無害な新規な農業資材を提供することにある。
本発明者は、研究を重ねた結果、難溶性である炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムが、特定の割合で水中でグルタミン酸と塩を形成して高い溶解度を発揮することを見出し、本発明を導き出した。
かくして、本発明は、重量比で、炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウム1に対してグルタミン酸が2〜3の割合で混合されていることを特徴とする植物散布用組成物を提供するものである。
本発明の組成物は、水に溶解されると葉面や果実に散布するのに充分な濃度を確保する溶解度を発現して、カルシウムやマグネシウムを植物に効果的に補給することができる。本発明の組成物を構成する炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムは、植物に散布されると炭酸根はガスとなって大気中に放出され植物に残存することもないので植物に無害であり、また、本発明の組成物を構成するグルタミン酸自身も植物に吸収されて植物にとって有益な有機栄養剤の役目を果たす。
本発明は、葉面や果物に散布する農業資材(肥料)として従来は全く考慮されていなかった難溶性(難溶解性)の炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムを使用する新しいタイプの植物散布用組成物である。
炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムは水に難溶性であるが、水の中でグルタミン酸と塩(錯塩)を形成することにより高い溶解度を発揮できる。2分子のグルタミン酸と1分子の炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムが反応した場合に最適な条件の塩を形成するが、この比率は、重量比で概略3対1に相当する。しかし、グルタミン酸の占める比率を2まで下げてもカルシウムまたはマグネシウムの水中における溶解度は実用上許容できる範囲であることを確認している。また、炭酸塩に比べて高価なグルタミン酸の比率を下げることはコスト的には好ましい。
かくして、本発明の植物散布用組成物においては、重量比で、炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウム1に対してグルタミン酸が2から3の割合で混合されている。なお、以下の説明は、主として、炭酸カルシウムを用いる場合に沿って行なっているが、炭酸マグネシウムを用いる場合や炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムとを併用する場合にも同様のことが類推適用されることは当業者であれば容易に理解されるであろう。
本発明の植物散布用組成物は、通常、如上の割合で炭酸カルシウムおよび/または炭酸カルシウムとグルタミン酸とが混合された粉末状態で保存され、使用に際して水に溶解される。粉末状態での保存性は優れ、ガスの発生も僅かであり、吸湿して粉末状態が変化することも認められない。封をした状態であれば半年以上の保存性が確保される。
本発明の組成物は、如上の炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムとグルタミン酸との混合物(粉状混合物)20〜35gを水100リットルに溶解させる比率で使用されることが好ましい。このような比率で植物に散布される場合、水中におけるカルシウムやマグネシウムの濃度は、前に例示したような従来のものより相対的に低いにもかかわらず、植物に対して良好な効果を与えることが確認されており、本発明の組成物を用いればカルシウムやマグネシウムがきわめて効率的に植物に補給されることが理解される。
例えば、グルタミン酸2.5:炭酸カルシウム1(重量比)の割合で混合した混合物30gを水100リットルに溶解すると完全に透明な水溶液が得られ、この場合のカルシウム濃度は34.4ppm(CaO表示で48.2ppm)となり、葉面散布に充分濃い濃度と言える。また、グルタミン酸2に対して炭酸カルシウム1の割合(重量比)で混合した混合物24gを水100リットルに溶解しても透明となって溶ける。この場合のカルシウム濃度はCa表示で32.0ppm(CaO表示で44.8ppm)となり、実用上は差し支えない。同様に、グルタミン酸2.5に対して混合炭酸塩1(炭酸カルシウム:炭酸マグネシウム=8:2)の割合(重量比)の混合物30gを水100リットルに溶解した場合も、炭酸塩が完全に溶解した溶液となる。
如上の割合で、炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムとグルタミン酸との混合物が水に溶解された水溶液は、植物に適した弱酸性から中性のpHを有する。例えば、グルタミン酸2.5に対して炭酸カルシウム1の割合の混合物を水100リットルに溶解した液のpHは約6を示す。
グルタミン酸(酸性のアミノ酸)と中和させるなら、炭酸塩よりも寧ろ、アルカリ性である水酸化カルシウムや水酸化マグネシウムのような水酸化物を使用する方が適しているとも考慮され得るが、実際に水に溶解させてみると明らかに溶解度が低いことが確認できた。この事実から、グルタミン酸に対しては、炭酸カルシウムまたは炭酸マグネシウムだけが水中で高い溶解度を発現する塩を形成する対象化合物となる。
また、グルタミン酸については、溶解度を高くするためにグルタミン酸ナトリウムのようなNa塩の形態で添加することは植物に悪影響を与えるので好ましくなく、グルタミン酸のままで使用すべきである。
さらに、グルタミン酸と炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムとの間で生成するグルタミン酸カルシウムやグルタミン酸マグネシウムを結晶として取り出し、使用に際して再溶解するという考えもあるが、それらの塩は水に溶けやすいので回収するにはロスが増え、その分コストが高くなる。本発明は、カルシウムやマグネシウムを安価で容易に入手できる炭酸塩のままでグルタミン酸との混合物として使用に供し、水に溶解する過程で植物に散布するのに適した溶解度の高い化合物を生成させるという新しい考えに基づくものである。
かくして、本発明の組成物は、カルシウム剤(石灰肥料)、マグネシウム剤(苦土肥料)、またはカルシウム・マグネシウム剤(苦土石灰肥料)として植物の葉面や果物に散布して使用され、カルシウムやマグネシウムの不足を補い、それらの成分の欠乏症を予防して植物の順調な生育を助ける。例えば、カルシウム不足に起因するトマトの「尻腐れ」やイチゴの「軟化症」などを防ぎ、さらに、カルシウムの作用により細胞膜を強固にすることから、例えば、ゴルフ場で用いられているベント芝の葉の生育を促進してボールの転がりを良くするなどの効果も奏する。また、マグネシウム(苦土分)は、葉緑素を構成する金属として光合成に直接関与しているので、例えば、その欠乏に因る葉脈間の黄化や白色化を予防するのに働く。なお、苦土石灰肥料として使用するには、カルシウム分7〜8割に対してマグネシウム3〜2割とするのが一般的である。
本発明の植物散布用組成物を使用する利点は、如上のカルシウムおよび/またはマグネシウムの補給のみならず、グルタミン酸も植物に吸収されることによりその栄養効果が付加されることである。グルタミン酸は、生理活性物質である5−アミノレブリン酸に変化することが知られており、この物質はホルモンに似た作用を有し、植物においては5−アミノレブリン酸を経て最後に葉緑素が作られるので、光合成に寄与することになる。この結果、グルタミン酸を含有する本発明の組成物を用いると植物の生長点の生育が促進され、根や地上部の増産などの効果が認められる。芝草の発育が増強されるのもグルタミン酸の吸収が寄与しているものと考えられる。
このように、本発明の組成物は、カルシウムやマグネシウムの補給とともにグルタミン酸から変換する生理活性物質を経て、最後は葉緑素の生産まで寄与する広範な目的を持つ農業資材を構成する。本発明は、基本的には全部の植物を使用対象とし、果樹や永年樹にも適用され得るが、特に、芝草や果菜類、葉菜類および根菜類など一年草を重点的な対象としている。
以下、本発明が適用される実施例を示すが、本発明の適用範囲はこれらの実施例によって制限されるものではない。
以下、本発明が適用される実施例を示すが、本発明の適用範囲はこれらの実施例によって制限されるものではない。
グルタミン酸2.5に対して炭酸カルシウム1の割合(重量比)で混合した粉状混合物30gを水100リットルに溶解すると完全に透明な溶液が得られた。この内訳はグルタミン酸が21.4g、炭酸カルシウムが8.6gとなる。比較のため、炭酸カルシウムのみを水100リットルに8.6g溶かしても溶けず、白濁した状態に留まった。上記のようにして得られた溶液のカルシウム濃度は計算上Ca表示で34.4ppm(CaO表示では48.2ppm)となって、葉面散布するには充分濃い濃度と言える。この溶液をメロン、トマトおよびキュウリに散布した。
着果した直後のメロンの果実と新芽に散布したところ、1週間後、見事な次の花が咲いた。その花の数は多く、それが受粉して美しい姿の果実となった。この変化はカルシウムの影響に加えてグルタミン酸の影響に因るものと考えられる。トマトでは多発している「尻腐れ」症に効果を発揮した。1週に1度の定期的な散布で効果が示された。キュウリではベト病と呼ぶ葉の病気から守ることができた。月3回の定期的な予防散布が効果を発揮した。
着果した直後のメロンの果実と新芽に散布したところ、1週間後、見事な次の花が咲いた。その花の数は多く、それが受粉して美しい姿の果実となった。この変化はカルシウムの影響に加えてグルタミン酸の影響に因るものと考えられる。トマトでは多発している「尻腐れ」症に効果を発揮した。1週に1度の定期的な散布で効果が示された。キュウリではベト病と呼ぶ葉の病気から守ることができた。月3回の定期的な予防散布が効果を発揮した。
グルタミン酸2.5に対して炭酸カルシウム1の割合(重量比)で混合した粉状混合物30gを水100リットルに溶解した液をゴルフ場のベント芝に散布した。その結果、芝の植密度が増した上、ボールの転がりが良くなった。散布した区の平方センチメートル当たり平均芽数は16.8本に達し、散布しない対照区は15.3本に留まった。ボールの転がりが良くなったのは葉にカルシウム分が吸収されて葉が固くなったことに因ると考えられる。このように、良いグリーンの条件として重要なボールの転がりの良い芝草の生育が確保できた。
以上の詳細な説明から明らかなように、本発明の植物散布用組成物は、低コストであり、調製が容易であり、保存性に優れ、且つ植物に無害な農業資材として、植物にカルシウムやマグネシウムを補給し、更にグルタミン酸に因る植物の健全な生育を促進する目的で産業の多くの分野で利用することができる。
Claims (3)
- 重量比で、炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウム1に対してグルタミン酸が2〜3の割合で混合されていることを特徴とする植物散布用組成物。
- 前記割合の炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムとグルタミン酸との混合物が水に溶解されていることを特徴とする請求項1に記載の植物散布用組成物。
- 前記炭酸カルシウムおよび/または炭酸マグネシウムとグルタミン酸との混合物20〜35gが水100リットルに溶解されていることを特徴とする請求項2に記載の植物散布用組成物。
Priority Applications (1)
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JP2004090887A JP2005272256A (ja) | 2004-03-26 | 2004-03-26 | 植物散布用組成物 |
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KR101361557B1 (ko) | 2012-07-24 | 2014-02-12 | 농업회사법인 제이아그로 주식회사 | 과실작물용 다기능 비료조성물 |
CN104446911A (zh) * | 2014-11-14 | 2015-03-25 | 沈德华 | 一种绿色高效草莓用有机环保型改性竹纤维肥料及其制备方法 |
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2004
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