JP2005271815A - 自律走行型二輪車および自律制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動二輪車において自律走行を可能にすること。
【解決手段】自動二輪車には、スイングアームを揺動させるための揺動用モータ9および後輪4を操舵するための操舵用モータ7が備えられている。また、バンク角を検出するためのジャイロセンサ22および走行速度を検出するための速度計23ならびに走行方位を入力するためのハンドル15が備えられている。ECU21では、ハンドル15、ジャイロセンサ22および速度計23から与えられるデータに基づき、揺動用モータ9および操舵用モータ7を制御するために必要な揺動角ξ0 および操舵角ζ0 を算出する。そしてスイングアーム3の揺動角および後輪4の操舵角が、算出された揺動角ξ0 および操舵角ζ0 になるように、モータコントローラ24による制御が行われる。
【効果】揺動角ξ0 および操舵角ζ0 は、位置情報であるから、自動二輪車が自律走行するための制御を、位置制御として取り扱え、制御が容易でかつ安定な制御を実現できる。
【選択図】 図4

Description

この発明は、車体の走行方向に沿って2つの車輪を配置した二輪車に関し、特に、モータ、エンジンなどの動力で車輪が駆動される自動二輪車に関する。
従来より二輪車は、乗員がシートに跨がって着座し、ハンドルを操作して前輪の方向を変化させるとともに、乗員自身が体を左右方向に動かしてバランスをとりながら走行するものである。このため、従来の二輪車においては、自律走行させるということは考えられていなかった。
この発明の解決課題は、従来不可能と考えられていた二輪車の自律走行を可能にすることである。
この発明の主たる目的は、二輪車において、乗員が体を左右に動かしてバランスをとらなくても、二輪車自身が自動的にバランスを保って走行できる自動二輪車を提供することである。
この発明の他の目的は、自律走行のための二輪車のメカニズムおよびそれを制御するための制御アルゴリズムを提供することである。
別の観点から見ると、この発明の目的は、接地反力と釣り合いのとれた重心位置を保つための位置制御手段を備えた二輪車を提供することである。
課題を解決するための手段および発明の効果
請求項1記載の発明は、本体と、本体に回転可能に取り付けられた第1輪と、本体に対して水平方向に揺動可能に連結されたスイングアームと、スイングアームに回転可能に取り付けられた第2輪とを備え、第1輪および第2輪が回転することによって、第1輪および第2輪を結ぶ線分の延長方向へ走行可能な二輪車であって、走行すべき方向を入力するための走行方位入力手段と、走行速度を検出するための走行速度検出手段と、走行方向に交差方向の本体の傾きであるバンク角を検出するためのバンク角検出手段と、上記入力される走行方位ならびに検出される走行速度およびバンク角に基づいて、上記第1輪および第2輪により起立している二輪車が地面から受ける接地反力と釣り合って転倒しないための重心位置を算出する手段と、二輪車の重心が上記算出された重心位置になるように本体を傾けるための揺動角を算出する手段と、上記算出された揺動角に基づき、本体に対するスイングアームの揺動角を制御するための揺動角制御手段と、を含むことを特徴とする自律走行型二輪車である。
請求項2記載の発明は、上記重心位置算出手段は、上記入力される走行方位および検出される走行速度に基づいて、その走行状態における理想バンク角を算出し、当該理想バンク角と検出される実際のバンク角との誤差Δφに基づいて上記重心位置を算出することを特徴とする、請求項1記載の自律走行型二輪車である。
請求項3記載の発明は、上記揺動角算出手段は、理想バンク角と検出される実際のバンク角との誤差Δφに比例する値、当該Δφの変化率に比例する値および当該誤差Δφの集積値に比例する値によって揺動角を算出することを特徴とする、請求項2記載の自律走行二輪車である。
請求項4記載の発明は、上記第2輪は、垂直方向に対して走行方向と逆方向に所定の角度で傾いた軸を中心に操舵可能に設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の自律走行型二輪車である。
請求項5記載の発明は、上記第1輪は前輪であり、第2輪は後輪であることを特徴とする、請求項4記載の自律走行型二輪車である。
請求項6記載の発明は、上記入力される走行方位ならびに検出される走行速度およびバンク角に基づいて、スイングアームの揺動角を制御する際に補助的に必要な操舵角を算出する手段と、上記算出された操舵角に基づいて、上記第2輪を操舵する手段とを含むことを特徴とする、請求項4記載の自律走行型二輪車である。
請求項7記載の発明は、上記スイングアームには、本体に対してスイングアームを揺動させるための揺動用アクチュエータが連結されていることを特徴とする、請求項1記載の自律走行型二輪車である。
請求項8記載の発明は、上記第2輪には、スイングアームに対し第2輪を所定の角度範囲内で回動させるための操舵用アクチュエータが連結されていることを特徴とする、請求項2記載の自律走行型二輪車である。
請求項9記載の発明は、本体と、本体に回転可能に取り付けられた第1輪と、本体に対して水平方向に揺動可能に連結されたスイングアームと、スイングアームに回転可能に取り付けられた第2輪とを備え、第1輪および第2輪が回転することによって、第1輪および第2輪を結ぶ線分の延長方向へ走行可能な二輪車のための自律制御方法であって、走行方位、速度速度およびバンク角に基づいて、上記第1輪および第2輪により起立している二輪車が地面から受ける接地反力と釣り合って転倒しないための重心位置を算出するステップと、上記二輪車の重心が上記算出された重心位置になるように本体を傾けるためのスイングアームの揺動角を算出するステップと、算出された揺動角に基づき、本体に対するスイングアームの揺動角を調整するステップと、を含むことを特徴とする自動二輪車の自律制御方法である。
請求項10記載の発明は、上記重心位置を算出するステップは、走行状態における理想バンク角と、実際のバンク角との誤差Δφに基づいて重心位置を算出するステップを含むことを特徴とする、請求項9記載の自律制御方法である。
請求項11記載の発明は、上記揺動角を算出するステップは、理想バンク角と実際のバンク角との誤差Δφに比例する値、誤差Δφの変化率に比例する値および誤差Δφの集積値に比例する値に基づいて算出するステップを含むことを特徴とする、請求項10記載の自律制御方法である。
請求項1,9の発明によれば、走行方位、走行速度およびその時の二輪車のバンク角に基づいて、当該二輪車が地面から受ける接地反力と釣り合った重心位置が算出される。そして算出された重心位置になるように、本体を傾けるための揺動角が求められて、スイングアームの揺動角を制御することにより本体が傾けられる。その結果、本体の傾き、換言すれば二輪車のバンク角は、接地反力と釣り合った理想バンク角になり、自律走行が可能となる。
請求項2,10の発明では、重心位置算出手段が、まず、理想バンク角を算出し、当該理想バンク角と検出されるバンク角との差に基づいて重心位置を算出する。つまり、走行速度および走行方位に基づいて理想バンク角が算出された後は、算出された理想バンク角とその時の実際のバンク角との差に基づいて重心位置を算出すればよい。こうすると、理想バンク角の算出のために走行データが活用されるが、算出された理想バンク角とバンク角との差に基づく重心位置の算出処理は、二輪車が走行している場合であっても二輪車が静止している場合であっても同じように重心位置の位置制御処理として扱うことができる。この位置制御処理は、比較的簡単なアルゴリズムに基づくコンピュータ制御で実現することができる。
よって、制御装置の構成の簡易化を図れ、しかも演算速度を上げて応答性が良く、安定走行のできる自律走行型二輪車を提供できる。
請求項3,11の発明では、理想バンク角と実際のバンク角との誤差Δφにより、簡単に、正しい揺動角を算出できる。
請求項4の発明では、第2輪がスイングアームに対して操舵可能に設けられている。しかも、操舵軸(第2輪が向きを変えるための中心軸)は、垂直方向に対して走行方向と逆方向に所定の角度で傾いている。
第2輪の操舵は、スイングアームを揺動する際に、第2輪と地面との摩擦抵抗を軽減し、スイングアームの揺動を助けるとともに、二輪車にスイングアームの揺動に伴う新たな横揺れや横滑りが生じるのを防止する働きをする。
すなわち、スイングアームに対して第2輪が操舵不能に固定されている場合は、スイングアームを揺動させる際に、第2輪は回転方向と交差方向に滑ることになる。これに対し、第2輪を揺動方向に操舵すれば、揺動方向と第2輪の回転方向とが近付き、スイングアームの揺動がスムーズに行える。その結果、スイングアームの揺動に伴う新規な横揺れ等が生じるのを軽減できる。
請求項5の発明のように、第1輪を前輪とし、スイングアームに取り付けられた第2輪を後輪とすると、ロール運動とヨー運動との連成を避けることができる。また、前進速度の影響で揺動が滑らかになる。あるいは旋回運動の為に要求されるロール運動とヨー運動との好ましい組み合わせを生成できる。
請求項6の発明のように、スイングアームの揺動角を制御する際に補助的に必要な第2輪の操舵角を算出する手段を設け、算出された操舵角に基づいて第2輪を操舵する手段を設けることにより、第2輪を積極的にスイングアームが揺動するのを助ける姿勢にすることができ、自律走行をよりスムーズに行うことができる。
特に、二輪車の走行時のバンク角が、乗員の運転姿勢や横風等の制御対象外の力を受けた場合に、その力は二輪車のバンク角の変化として現れるので、当該バンク角の変化を吸収するように第2輪を操舵する構成とすれば、より安定した自律走行が可能となる。
請求項7または8の発明のように、スイングアームの揺動および第2輪の操舵は、それぞれ、所定のアクチュエータ手段、たとえばDCサーボモータ等を用いることにより行うのが望ましい。
以下、この発明の実施形態として、モータにより駆動される自動二輪車を例にとって説明する。
[自動二輪車の構成概要]
図1は、この発明の一実施形態に係る自動二輪車の分解斜視図である。自動二輪車は、本体に含まれるメインフレーム1と、メインフレーム1の前方に取り付けられた前輪(第1輪)2と、メインフレーム1の後方に、スイングアーム3を介して取り付けられた後輪(第2輪)4とを備えている。
この実施形態では、前輪2が駆動輪とされ、メインフレーム1に備えられた駆動モータ5によってたとえばチェーンドライブにより駆動される。
後輪4は、操舵輪とされており、操舵軸6を中心に後輪4の方向が、水平方向に見て左右に所定の角度範囲内で向きを変えられるようになっている。そのために、後輪4の近傍には、操舵軸6を中心に後輪4を回動させて後輪4の向きを変えるための操舵用モータ7が備えられている。操舵用モータ7には、操舵角を検知するための角度計が含まれている。
操舵軸6は、垂直な軸ではなく、進行方向(後輪4から前輪2へ向かう方向)に対して後方に所定角度λ傾斜した軸となっている。
スイングアーム3は、ほぼ垂直方向に延びる揺動軸8を中心に、メインフレーム1に対して水平方向に揺動可能に連結されている。スイングアーム3およびメインフレーム1の間には、揺動用モータ9が取り付けられている。揺動用モータ9には、揺動角を検知するための角度計が含まれている。
また、上述した駆動モータ5、操舵用モータ7および揺動用モータ9を制御するためのコントローラ10が備えられている。
メインフレーム1の上部には、乗員室11が区画された車体カバー12が取り付けられ、車体カバー12内には運転席シート13およびその後方に図示しない客席シートが配置される。さらに、運転席シート13の前方には、ハンドル15が配置されている。メインフレーム1およびその上部に配置された自動二輪車の各種必要部材が、自動二輪車の本体を形成している。
[メカニズム]
図2は、この発明の一実施形態にかかる自動二輪車のメカニズムの特徴を説明するための図解的な平面図である。この自動二輪車は、本体に含まれるメインフレーム1に対してスイングアーム3が揺動軸8を中心に水平方向に揺動可能に連結されている。それゆえ、スイングアーム3が左右に揺動されると、前輪2と後輪4とを結ぶ線分は、図示のLs の位置からLL およびLR の範囲で変化する。通常は、スイングアーム3は、後輪4が線分Ls 上に位置するホームポジションにあり、前輪2と後輪4とを結ぶ線分Ls の上にこの自動二輪車の重心Gが存在する。そしてその場合、前輪2および後輪4が地面から受ける接地反力もこの線分Ls 上に存在するので、重心Gと接地反力とは釣り合いを保っている。
スイングアーム3をメインフレーム1に対して時計方向に角度ξ揺動させると、前輪2および後輪4を結ぶ線分はLL となり、この線分LL 上に前輪2および後輪4が受ける接地反力が移動する。一方、自動二輪車の重心Gは、スイングアーム3を角度ξ揺動させても、ほとんどその位置は変化しない。このため、接地反力の位置する線分LL に対して重心Gが右側になり、自動二輪車は右側に傾いてしまう。
逆に、スイングアーム3をメインフレーム1に対して反時計方向に角度ξ揺動させると、前輪2および後輪4が地面から受ける接地反力は線分LR 上に生じ、自動二輪車の重心Gはそれよりも左側の位置にくる。このため、自動二輪車は左側に傾く。
このように、スイングアーム3を揺動させることによって、前輪2および後輪4が地面から受ける接地反力に対する自動二輪車の重心Gの位置を左右に変化させることができ、これにより、自動二輪車のバンク角を制御することが可能になる。
これがこの実施形態のメカニズム上の特徴であり、このメカニズムを制御することにより自律走行を実現させる制御アルゴリズム(後述する)がこの実施形態のもう1つの特徴である。
ところで上述の場合において、スイングアーム3を揺動させる場合、後輪4の方向が変化しないと、スイングアーム3の揺動時に後輪4と地面との摩擦抵抗が大きく、スイングアーム3の揺動時に不所望の横揺れ等を引き起こす場合がある。そこで、この実施形態では、スイングアーム3の揺動時に後輪4をスイングアーム3が揺動しやすい角度に操舵する。大まかには、矢印ζで示すように、スイングアーム3を時計方向に揺動させる際には、後輪4を反時計方向に回動させ、逆に、スイングアーム3を反時計方向に揺動する場合には、後輪4を時計方向に回動させるように操舵する。
[自律走行の制御理論]
次に図3を参照して、この発明の一実施形態に係る自動二輪車が自律走行を行うための理論的な裏付け(原理)を説明する。
図3に示す自動二輪車が速度v0 で、ヨーレートμ=ω、旋回半径=rの旋回運動を行っているとする。そのとき、重心点Gには重力mgが働き、さらに、旋回による遠心力mrω2 が働く。
そしてこの場合の理想バンク角φ0 は、
φ0 =arctan(mrω2 /mg) …… (1)
で与えられる。
もし車体対称面(自動二輪車の重心点Gを含み、自動二輪車の前後方向および上下方向に広がる車体中央を左右に区画する面)Aが鉛直面に対して上記理想バンク角φ0 をとっているとすれば、重力mgおよび遠心力mrω2 の合ベクトルWと、前輪2の受ける接地反力Rfおよび後輪4の受ける接地反力Rrの合成力ならびに前輪2および後輪4の各タイヤ横力(接線力)Ff,Frの合成力の合ベクトルUとは、おおよそ車体対称面Aに含まれる。このため、この状態ではスイングアーム3の揺動角ξをとる必要がない。すなわち、この状態では、不安定ながら、自動二輪車はバランスをとって自律走行している状態である。
しかしながら、図3に示すように、もし、車体の実際のバンク角φが上記理想バンク角φ0 よりも小さく(φ<φ0 )なった、車体の傾きが足りなくなった状態では、中心点O0 (中心点O0 は、車体対称面A内において、重心点Gから鉛直下方に下ろした直線と地面との交点)回りに合ベクトルWが作るモーメントによって、車体の実際のバンク角φは益々減少傾向を持ち、倒立振り子的な不安定性を示すことになる。
そこで、スイングアーム3を揺動させて、接地反力に対する自動二輪車の重心点Gの位置を変化させてバランスをとるのである。
今、スイングアーム3を揺動させ、揺動角ξとしたとき、上記の不安定性を解消できることを、中心点O0 回りのモーメントのバランスを手がかりに考察する。
中心点O0 回りの慣性力によるモーメントは、車体後部から見て時計回りに重力の影響として
1 =mghsinφ …… (2)
また、反時計回りに、遠心力の影響として
1 =mrω2 hcosφ …… (3)
総和は
Figure 2005271815
つまり、φ=φ0 (実際のバンク角φが理想バンク角φ0 となったとき)に、
Figure 2005271815
となり、P1 −Q1 =0となって、バランスがとれる。
そこで図3のように、φ<φ0 でP1 −Q1 >0のとき、スイングアーム3を揺動角ξとした場合の合ベクトルUの作用点までのスパンqは
Figure 2005271815
これによる中心点O0 回りのモーメントは
Figure 2005271815
よって、実際のバンク角φが理想バンク角φ0 からずれても、揺動角ξを調整することによりバランスを保てることがわかる。
次に、この自動二輪車を自律状態で安定化させるための制御原理を述べる。
上記式(8)で示されるモーメントQ=(P1 −Q1 −Q2 )は、φによって支配される項A(φ)とξによって支配される項B(ξ)に分けることができ、次のように表わせる。
Q=A(φ)−B(ξ) …(9)
ところで、ロール運動(バンク角φ)についての運動方程式は
Figure 2005271815
となる。そこで、この運動方程式が0となるよう(Q=0)、φの大きさに応じてξを制御すればよい。
理想バンク角φ0 と実際のバンク角φとの誤差Δφは、下記式(12)であるから、この誤差Δφに比例する項GP Δφ、誤差Δφの変化率に比例する項GD ×(Δφ/dt)および誤差Δφの集積値に比例する項GI ∫Δφdtによってξを定めれば、動的および静的な安定を実現できる。
Figure 2005271815
すなわちスイングアーム3の揺動角ξという角度データ(位置データ)を制御することによって、ロール運動により自動二輪車が転倒することのないようにバランスをとることができる。
[補助的な制御]
ところで、このような揺動角ξの位置制御を実現するためのスイングアーム3の揺動動作は、後輪4の路面に対する付加的な横滑りを誘起し、ロール運動とヨー運動の連成を再来させる可能性がある。
また、揺動角ξの位置制御による車体の制御は、理想バンク角φ0 と実際のバンク角φとの差が小さいことを前提としている。
このため、必要に応じて、スイングアーム3の揺動に連動させて、後輪4の操舵角ζを制御し、ロール(横揺れ)モーメントの補正を行うのが望ましい。
つまり、スイングアーム3に備えられた後輪2の操舵角ζによる補助的なバランス制御を加味することが好ましい。
具体的には、揺動角ξと等しく、かつ、反対方向に操舵角ζを制御し、後輪4が常に進行方向を向いているように制御するのが好ましい。
さらに、揺動角ξが変化するときには、揺動による横向きの動きが誘起する見かけの舵角Γ・(dξ/dt)/vが発生するので、それを相殺するように、操舵角ζを制御するのが好ましい。
すなわち、
ξ+ζ+Γ・(dξ/dt)/v=0 …(13)
を満たすように、
ζ=−ξ−Γ・(dξ/dt)/v …(14)
と操舵角ζを制御する。
[制御装置]
図4に、この発明の実施形態に係る自動二輪車における自律走行用位置制御のための制御ブロック図を示す。
制御ブロックは、ヒューマンインタフェースブロック、センサブロック、コントローラブロックおよびコントローラブロック、アクチュエータブロックおよびバッテリブロックに区分することができる。
ヒューマンインタフェースブロックには、ハンドル(ステアリング)15が含まれている。センサブロックには車体の傾き(バンク角)を検出するためのジャイロセンサ22および走行速度を検出するための速度計23が備えられている。コントローラブロックには、演算制御の中枢であるECU(Electronic Control Unit)21およびモータコントローラ24が含まれている。アクチュエータブロックには、揺動用モータ9および操舵用モータ7が含まれている。バッテリブロックには、制御システム用電源としての第1バッテリ25およびアクチュエータ用電源としての第2バッテリ26が含まれている。
ハンドル15は、従来の自動二輪車のハンドルとは異なり、操舵輪の向きを直接変更する(操舵する)ものではない。ハンドル15は、乗員が所望する走行方位を入力するためのものである。すなわち、ハンドル15が操作されると、走行方位である目標ヨーレートμ(=ω)がECU21へ与えられる。
また、ジャイロセンサ22によりバンク角φが検出され、当該バンク角φおよびその微分値dφ/dtがECU21へ与えられる。
さらに、速度計23により自動二輪車の走行速度vが検出されて、ECU21へ与えられる。
ECU21では、上記与えられるヨーレートμ、バンク角φ、バンク角の微分値dφ/dtおよび速度vに基づいて所定の演算を行い、揺動角ξ0 および操舵角ζ0 を演算する。そして、それをモータコントローラ24へ与える。モータコントローラ24は、与えられた揺動角ξ0 および操舵角ζ0 に相当する電圧/トルク指令信号を、それぞれ、揺動用モータ9および操舵用モータ7に与える。
そして揺動用モータ9および操舵用モータ7では、それぞれ、角度計によって揺動角ξおよび操舵角ζが検知され、制御後の揺動角ξおよび操舵角ζがモータコントローラ24を介してECU21へフィードバックされる。ECU21は、フィードバックされた結果と、さらにハンドル15、ジャイロセンサ22および速度計23から与えられるヨーレートμ、バンク角φ、バンク角の微分値dφ/dt、および速度vに基づき、制御すべき位置データである揺動角ξ0 および操舵角ζ0 を演算し直して、モータコントローラ24へ与える。これらの処理が繰返されることにより、自動二輪車は安定した自律走行をする。
なお、第1バッテリ25は、ジャイロセンサ22、ECU21およびモータコントローラ24へ、制御システム用電源を供給する。第2バッテリ26は、モータコントローラ25を介して揺動用モータ9および操舵用モータ7にアクチュエータ用電源を供給する。
図5は、図4におけるECU21で行われる演算処理、すなわち揺動角ξ0 および操舵角ζ0 を算出するための制御フロー図である。
制御フローは、大きくは、ブロックI,II,III,IVに区分することができる。ブロックIは、理想バンク角φ0 を算出するためのブロック、ブロックIIは車両を安定させるための重心位置CGを求めるためのブロック、ブロックIIIは補助的な操舵角ζa を求めるためのブロック、ブロックIVは、揺動用モータ9および操舵用モータ7に与えるべき揺動角ξ0 および操舵角ζ0 を求めるためのブロックである。以下、図5の流れに従って、演算処理について具体的に説明をする。
ECU21では、与えられるヨーレートμと、速度vとを手掛かりに、理想バンク角φ0 を算出する。(ブロックI)
すなわち、理想バンク角φ0 は、前述した式(1)で示す
φ0 =arctan(mrω2 /mg) …(1)
で表わされる。ところで、速度vと旋回半径r、旋回運動の角速度ω(=ヨーレートμ)との間には、
v=rω=rμ
という関係がある。したがって、
φ0 =arctan(1/g)vμ …(15)
となる。この式(15)から、理想バンク角φ0 を算出する。
そして、理想バンク角φ0 と、ジャイロセンサ22により検出された実際のバンク角φとの誤差Δφをエラー信号(φ0 −φ)として求める。
また、φ0 およびφの各微分値(変化率)dφ0 /dt,dφ/dtが算出され、d(φ0 −φ)/dtが求められる。
同様に、積分値∫(φ0 −φ)dtも求められる。
そしてこれらの信号に、予め設定された制御ゲインGP ,GI ,GD が掛け合わされる。すなわち、前述した式(11)を用いて、揺動角ξが求められる。この揺動角ξは目標の重心位置CGを決定する値である。(ブロックII)
このように、ブロックIIにおいて、検出されたバンク角φならびにブロックIにおいてヨーレートμおよび速度vから求めた理想バンク角φ0 に基づいて目標重心位置CGを求める処理を行うようにすると、自動二輪車が走行中のみならず、静止時においても自律制御を行うためのブロックとして活用することができる。
ところで、静的なバランス関係を示す前述した式(8)におけるバンク角φおよび理想バンク角φ0 および揺動角ξの関係は、図6に示すグラフとして表わすことができる。
図6によれば、tanφ0 −tanφ≦0.1(φ0 −φが概ね10°)での必要揺動角は、仮定された実際の車両についての諸元に基づく計算で、概ね8°以下となる。従って、この範囲内であれば、現実にハードウェアとして構築することができるレベルであることがわかる。
図5に戻って、ブロックIIから出力される目標の重心位置CG、すなわち式(11)によって求められたξは、ブロックIVへ与えられる。そして、ブロックIVでは、前述した式(14)を満たす操舵角ζが算出される。
一方、ブロックIIIでは、横風の影響、後輪4が受ける揺動時の横滑りや抵抗等によつて生じるバンク角の変化を補正するために必要な操舵角ζa が求められ、それがブロックIVへ導出される。
より具体的には、ブロックIIIには、自動二輪車の走行方位角ψに関し、理想方位角ψ0 、実際の方位角ψおよびその変化率dψ/dtが入力される。また、理想バンク角φ0 、実際のバンク角φおよびその変化率dφ/dtが入力される。ブロックIIIでは、これらの入力値を基に、操舵角ζa を算出する。
操舵角ζa は、後輪4の接地点に横力を発生し、この横力によって車体を傾ける効果(φ,dφ/dtの調整)および方位を変える効果(ψ,dψ/dtの調整)を達成する。
そして、ブロックIVにおいて、操舵角ζa とζとが加算されて付加的な操舵角ζ0 が出力される。また、揺動角ξは目標の重心位置CGを得るために車両を傾けるのに必要な揺動角ξ0 として導出される。
こうして出力される揺動角ξ0 および操舵角ζ0 は、位置制御の目標値であるから、揺動用モータ9および操舵用モータ7に備えられた角度計との差に基づいて、モータコントローラ24により制御が行われる。
なお、モータコントローラ24による揺動用モータ9および操舵用モータ7の制御過程で発生する可能性がある一時遅れ等の制御特性の劣化については、図5のブロックIIの制御ゲインGP ,GI ,GD によって補償される。
以上説明した実施形態は、この発明が適用された自律走行型自動二輪車に基づく説明であり、この発明はかかる自動二輪車に限定されるものではない。この発明は、特許請求の範囲に記載の範囲内において、種々の変更が可能である。
この発明の一実施形態に係る自動二輪車の分解斜視図である。 この発明の一実施形態に係る自動二輪車のメカニズムの特徴を説明するための図解的な平面図である。 この発明の一実施形態に係る自動二輪車が自律走行を行うための原理を説明するための図である。 この発明の一実施形態に係る自動二輪車における自律走行用位置制御のための制御ブロック図である。 自律走行に必要な演算処理の制御フロー図である。 バンク角φ、理想バンク角φ0 および揺動角ξの関係を示すグラフである。
符号の説明
1 メインフレーム
2 前輪(第1輪)
3 スイングアーム
4 後輪(第2輪)
6 操舵軸
7 操舵用モータ
8 揺動軸
9 揺動用モータ
10,24 コントローラ
25 ハンドル(ステアリング)
21 ECU
22 ジャイロセンサ
23 速度計

Claims (11)

  1. 本体と、
    本体に回転可能に取り付けられた第1輪と、
    本体に対して水平方向に揺動可能に連結されたスイングアームと、
    スイングアームに回転可能に取り付けられた第2輪とを備え、
    第1輪および第2輪が回転することによって、第1輪および第2輪を結ぶ線分の延長方向へ走行可能な二輪車であって、
    走行すべき方向を入力するための走行方位入力手段と、
    走行速度を検出するための走行速度検出手段と、
    走行方向に交差方向の本体の傾きであるバンク角を検出するためのバンク角検出手段と、
    上記入力される走行方位ならびに検出される走行速度およびバンク角に基づいて、上記第1輪および第2輪により起立している二輪車が地面から受ける接地反力と釣り合って転倒しないための重心位置を算出する手段と、
    二輪車の重心が上記算出された重心位置になるように本体を傾けるための揺動角を算出する手段と、
    上記算出された揺動角に基づき、本体に対するスイングアームの揺動角を制御するための揺動角制御手段と、
    を含むことを特徴とする自律走行型二輪車。
  2. 上記重心位置算出手段は、上記入力される走行方位および検出される走行速度に基づいて、その走行状態における理想バンク角を算出し、当該理想バンク角と検出される実際のバンク角との誤差Δφに基づいて上記重心位置を算出することを特徴とする、請求項1記載の自律走行型二輪車。
  3. 上記揺動角算出手段は、理想バンク角と検出される実際のバンク角との誤差Δφに比例する値、当該Δφの変化率に比例する値および当該誤差Δφの集積値に比例する値によって揺動角を算出することを特徴とする、請求項2記載の自律走行二輪車。
  4. 上記第2輪は、垂直方向に対して走行方向と逆方向に所定の角度で傾いた軸を中心に操舵可能に設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の自律走行型二輪車。
  5. 上記第1輪は前輪であり、第2輪は後輪であることを特徴とする、請求項4記載の自律走行型二輪車。
  6. 上記入力される走行方位ならびに検出される走行速度およびバンク角に基づいて、スイングアームの揺動角を制御する際に補助的に必要な操舵角を算出する手段と、
    上記算出された操舵角に基づいて、上記第2輪を操舵する手段とを含むことを特徴とする、請求項4記載の自律走行型二輪車。
  7. 上記スイングアームには、本体に対してスイングアームを揺動させるための揺動用アクチュエータが連結されていることを特徴とする、請求項1記載の自律走行型二輪車。
  8. 上記第2輪には、スイングアームに対し第2輪を所定の角度範囲内で回動させるための操舵用アクチュエータが連結されていることを特徴とする、請求項2記載の自律走行型二輪車。
  9. 本体と、
    本体に回転可能に取り付けられた第1輪と、
    本体に対して水平方向に揺動可能に連結されたスイングアームと、
    スイングアームに回転可能に取り付けられた第2輪とを備え、
    第1輪および第2輪が回転することによって、第1輪および第2輪を結ぶ線分の延長方向へ走行可能な二輪車のための自律制御方法であって、
    走行方位、速度速度およびバンク角に基づいて、上記第1輪および第2輪により起立している二輪車が地面から受ける接地反力と釣り合って転倒しないための重心位置を算出するステップと、
    上記二輪車の重心が上記算出された重心位置になるように本体を傾けるためのスイングアームの揺動角を算出するステップと、
    算出された揺動角に基づき、本体に対するスイングアームの揺動角を調整するステップと、
    を含むことを特徴とする自動二輪車の自律制御方法。
  10. 上記重心位置を算出するステップは、走行状態における理想バンク角と、実際のバンク角との誤差Δφに基づいて重心位置を算出するステップを含むことを特徴とする、請求項9記載の自律制御方法。
  11. 上記揺動角を算出するステップは、理想バンク角と実際のバンク角との誤差Δφに比例する値、誤差Δφの変化率に比例する値および誤差Δφの集積値に比例する値に基づいて算出するステップを含むことを特徴とする、請求項10記載の自律制御方法。
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