JP2005262797A - インクジェット記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗液のポットライフが長いため塗工の安定性が高く、インク受理層表面にひび割れがなく、表面の光沢感に優れ、顔料インクの高い吸収性と発色性を兼ね備えたインクジェット記録材料を提供すること。
【解決手段】支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも平均二次粒子径600nm以下のアルミナおよび/またはアルミナ水和物、親水性バインダー、架橋剤を含有するインク受理層を有するインクジェット記録材料において、該インク受理層がさらに水溶性の乳酸金属塩を含有する。親水性バインダーがポリビニルアルコールであり、架橋剤がホウ酸またはホウ酸塩であると好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録方式を利用したプリンターやプロッターに使用されるインクジェット記録材料、特に顔料インクに適したインクジェット記録材料に関するものである。
近年、インクジェットプリンターやプロッターの目ざましい進歩により、フルカラーでしかも高精細な画像が容易に得られるようになってきた。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録材料に付着させ、画像・文字等の記録を行うものである。インクジェットプリンターやプロッターはコンピューターにより作成した文字や各種図形等の画像情報のハードコピー作成装置として、種々の用途に於いて近年急速に普及している。特に多色インクジェット方式により形成されるカラー画像は製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較しても遜色のない記録を得ることが可能であり、更に作成部数が少ない用途に於いては、印刷技術や写真技術によるよりも安価で済むことから広く応用されつつある。
さらに、用途の多様化に伴い、大判のポスターやPOPアート、製図用途に使用されることが多くなってきている。これら用途ではインクジェットの高鮮鋭性を活かせ、色彩性も優れていることから、良好な画像を得ることが可能であり、宣伝効果が大きいものとなる。これらへの適用はパーソナルコンピュータレベルで、鮮鋭性や色彩性といった画像再現性や色再現性に優れた画像を簡単に得ることが可能であるためであり、インクジェット記録材料を多用する理由ともなっている。
これらインクジェット記録装置の高性能化や用途の多様化により、インクジェット記録に対するニーズは高まっており、その結果記録装置或いはインクジェット記録材料に求められる特性も要求もかなり高度になってきている。例えば、大判ポスターやPOPアート、また写真画像を出力する用途の場合、その用途が屋内外の展示や個人の記録保存といったものであるため、従来以上に画像の耐候性、画像保存性が求められるようになっている。このような要望に対し、インク及びインクジェット記録材料の改良が進んでおり、従来よりはかなり良好な保存性が得られるようになってきている。しかしながら、特に耐光性に関しては未だ銀塩写真のレベルには到達しておらず、要求が満たされていないのが現状である。
このような要求を満たすために、最近では顔料タイプのインクが使用されるようになってきている。顔料インクは光劣化も少なく、水によって再溶解しないため、染料タイプのインクよりも耐候性、画像保存性が向上することが知られている。しかし、インク中の色材顔料は染料と異なり溶媒に不溶であるため、インク中の色材顔料を安定に分散させる必要があり、インク中の色材顔料の比率を容易に上げられない。また、染料インクのように着色効率が高くなく、鮮明な発色を得にくい。
そのため、インクジェット記録材料に対する要求も必然的に高まってきている。顔料インクの発色性、定着性を高めるために、インク受理層で使用する顔料をアルミナ水和物とすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法で、顔料インクの発色性、定着性は向上するものの依然不十分であった。
また、染料インクの画像保存性を高めたり、顔料インクの発色性、定着性を向上させる目的で、インク受理層に水溶性多価金属塩を含有させることが提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。さらに、粒子径が数十〜数百nmオーダーの微粒子顔料、親水性バインダー、ホウ酸、水溶性多価金属塩からなるインク受理層を設けた、塗層表面にひび割れがなく光沢感があり、インク吸収性の高いインクジェット記録材料も提案されている(例えば特許文献2参照)。こうした親水性バインダーと、ホウ酸のような親水性バインダーを架橋する架橋剤を併用したタイプのインクジェット記録材料は、塗層表面のひび割れがないため、顔料インクのひび割れへの落ち込みがなく、画像の発色には有利である。また、こうした多価金属の水溶性塩は、アニオン系物質を凝集させる作用があり、特にアニオン系分散剤を含有した顔料インクの発色、定着性向上に有効である。しかしながら、インク受理層塗液に水溶性多価金属塩を含有させると、塗液配合中の物質をも凝集・不安定化し、コーター等で塗工できなかったり、塗工できても塗液のポットライフに問題があった。特にホウ酸等の架橋剤を含有する塗液ではその傾向は顕著であった。
特許第3072824号公報(第1−4頁) 特開2001−138627号公報(第2−5頁) 特開2002−264486号公報(第2−6頁)
本発明の課題は、インク受理層表面にひび割れを生じさせずに、表面の光沢感が高く、顔料インクの高い吸収性と発色性を兼ね備え、安定生産可能なインクジェット記録材料を提供することにある。
上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも平均二次粒子径600nm以下のアルミナおよび/またはアルミナ水和物、親水性バインダー、架橋剤を含有するインク受理層を有するインクジェット記録材料において、該インク受理層にさらに水溶性の乳酸金属塩を含有させたインクジェット記録材料とすることにより解決した。
親水性バインダーがポリビニルアルコールであり、架橋剤がホウ酸またはホウ酸塩であると好ましい。
ポリビニルアルコールの平均重合度が4000以上であると好ましい。
支持体とインク受理層との間に、少なくとも気相法シリカおよび/または平均二次粒子径が600nm以下になるまで粉砕された湿式法シリカからなる第二のインク受理層を有すると好ましい。
前記気相法シリカまたは湿式法シリカのBET法による比表面積が、前記アルミナおよび/またはアルミナ水和物のBET法による比表面積よりも小さいと好ましい。
本発明のインクジェット記録材料は、塗液のポットライフが長いため塗工の安定性が高く、表面の光沢感に優れ、インク受理層表面にひび割れがないため、顔料インクのひび割れへの落ち込みがなく、高い吸収性と発色性を兼ね備えることが可能となる。
以下、本発明のインクジェット記録材料を詳細に説明する。本発明者らは、少なくとも平均二次粒子径600nm以下の無機超微粒子、親水性バインダー、架橋剤を含有するインク受理層を有するインクジェット記録材料において、顔料インクの発色性、定着性を向上させるべく水溶性金属塩について鋭意検討した結果、本発明に至った。
顔料インクの発色性、定着性を向上させる目的で、インク受理層に水溶性多価金属塩を含有させることが知られている。こうした多価金属の水溶性塩は、アニオン系物質を凝集させる作用があり、特にアニオン系分散剤を含有した顔料インクの発色、定着性向上に有効である。しかしながら、インク受理層塗液に水溶性多価金属塩を含有させると、塗液配合中の物質をも凝集・不安定化し、コーター等で塗工できなかったり、塗工できても塗液のポットライフに問題があった。特に、インク受理層塗液が少なくとも平均二次粒子径600nm以下のアルミナおよび/あるいはアルミナ水和物、親水性バインダー、架橋剤を含有する場合には、液性の悪化は顕著であった。本発明のように、水溶性金属塩として乳酸金属塩を用いると、顔料インクの発色向上、定着性向上の効果を維持しつつ、塗液の液性が良化し、ポットライフを長くすることができ、安定にインクジェット記録材料を製造することが可能となる。
本発明でいう顔料インクとは、色材顔料、分散溶媒、その他の添加剤等からなる記録液体であり、特に限定されない。また、分散溶媒は、水および各種有機溶剤のいずれを用いたものでも良い。
本発明において、水溶性の乳酸金属塩とは、水に1質量%以上溶解する乳酸金属塩を指す。例えば、乳酸リチウム、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム等の乳酸の一価金属塩、乳酸亜鉛、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸マンガン、乳酸カドミウム、乳酸鉄、乳酸銀、乳酸銅、乳酸鉛、乳酸バリウム、乳酸ビスマス、乳酸ストロンチウム、乳酸アルミニウム等の乳酸の多価金属塩、および下記一般式1で表される多価金属の塩基性乳酸塩等が挙げられる。多価金属の塩基性乳酸塩は、ヒドロキシアクオ金属イオンが重合した多核錯体となった化合物も含む。これらのうち、顔料インクの発色性・定着性の点で、乳酸の多価金属塩および多価金属の塩基性乳酸塩が好ましく使用される。特に、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸アルミニウムおよびこれら金属の塩基性乳酸塩が、顔料インクの発色性・定着性および塗液液性の点で好ましく使用される。
M(OH)p-x(CH3CHOHCOO)x・nH2O 一般式1
(Mは金属元素、nは0以上の整数、pは金属原子の原子価、xは1以上p−1以下の自然数)
本発明において、インク受理層は平均二次粒子径600nm以下のアルミナおよび/またはアルミナ水和物を含有する。無機超微粒子としてアルミナおよび/またはアルミナ水和物を使用すると、顔料インクの発色性、定着性および表面の光沢感が向上するため好ましい。しかしながら、アルミナおよび/またはアルミナ水和物を水等の溶剤に分散させた分散液は、チキソ性が高く、攪拌等の剪断力がかかっていると液性は良好であるが、静置すると塗液の粘度が上昇していき、流動性が低下する性質を有している。このため、アルミナおよび/またはアルミナ水和物、親水性バインダー、架橋剤を含有するインク受理層塗液は、塗液の安定性に劣り、これにさらに顔料インクの発色性、定着性向上のため、水溶性金属塩を配合すると、塗液の安定性はいっそう悪化する問題を生じていた。本発明のように、金属塩として水溶性の乳酸金属塩を配合すると、無機超微粒子としてアルミナおよび/またはアルミナ水和物を使用した場合、塗液の安定性は大きく向上するため好ましい。本発明において、水溶性の乳酸金属塩のインク受理層中の含有量は、顔料インクの発色性、定着性、インク受理層塗液の安定性の点から、乾燥固形分比率で0.01質量%以上4質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.05%以上2%以下である。
本発明に用いられるアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、下記の一般式により表すことができる。Al23・nH3Oアルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
また、アルミナ水和物の分散液を安定化させるために、通常は種々の酸類が分散液に添加される。このような酸類としては、硝酸、塩酸、乳酸、臭化水素酸、酢酸、蟻酸、塩化第二鉄、塩化アルミニウム等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
アルコキシドからアルミナ水和物を得る方法としては、特開昭57−88074号公報、同62−56321号公報、特開平4−275917号公報、同6−64918号公報、同7−10535号公報、同7−267633号公報、米国特許第2,656,321号明細書等にアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法として開示されている。これらのアルミニウムアルコキシドとしてはイソプロポキシド、2−ブトキシド等が挙げられる。
本発明で使用するアルミナ水和物において平均一次粒子径が3nm〜25nmのアルミナ水和物が好ましい。特に好ましい平均一次粒子径は5nm〜20nmのものである。またこれらが凝集した二次粒子径としては、50nm〜200nmにするのが好ましい。
本発明のインク受理層には、皮膜としての特性を維持し、透明性が高くインクの浸透性が高い親水性バインダーが用いられる。親水性バインダーとしては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉などの澱粉誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、またはシラノール変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体;カゼイン、ゼラチンおよびそれらの変性物、大豆蛋白、プルラン、アラビアゴム、カラヤゴム、アルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、アルギン酸、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、無水マレイン酸またはその共重合体等が挙げられ、単独あるいは併用して用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。接着力、成膜性等の点から、ポリビニルアルコール、またはシラノール変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体が好ましい。塗液粘度の調整、および成膜性等の点で、ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上のポリビニルアルコールであり、さらに好ましくはケン化度が88%以上96%未満のポリビニルアルコールである。また、塗層のひび割れ抑制の観点から、ポリビニルアルコールの平均重合度は大きい方が好ましく、平均重合度4000以上が好ましい。また、塗液の取り扱い性から、上限は6000以下であることが好ましい。
本発明のインク受理層は、親水性バインダーの効果を損ねない範囲で、親水性バインダー以外のバインダーを配合してもよい。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体などのアクリル系共重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリウレタン樹脂ラテックス、アルキッド樹脂ラテックス、不飽和ポリエステル樹脂ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体のカルボキシ基などの官能基含有単量体による官能基変性共重合体ラテックス等のラテックス系バインダー、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂などの水性接着剤等が挙げられる。
本発明におけるインク受理層は、前記親水性バインダーとともに架橋剤を含有する。架橋剤を含有すると、インク受理層のひび割れがよりいっそう発生しにくくなるため好ましい。架橋剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ホウ酸およびホウ酸塩の如き無機架橋剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にホウ酸またはホウ酸塩が好ましい。本発明において用いられるホウ酸としては、オルトホウ酸だけでなくメタホウ酸、次ホウ酸等が使用できる。ホウ酸塩はこれらの可溶性塩が好ましく、具体的には、Na447・10H2O、NaBO2・4H20、K247・5H2O、NH4HB47・3H2O、NH4BO2等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
架橋剤の添加量は、塗液粘度の調整、塗層のひび割れ等の点で、親水性バインダーの乾燥固形分に対して1〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。
本発明におけるインク受理層は、顔料インクおよび染料インクの定着性、耐水性を高める目的で、水溶性の乳酸金属塩以外に、水溶性の乳酸金属塩の効果を損なわない範囲でさらにカチオン性化合物を含有することもできる。カチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーまたは水溶性金属化合物を使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同昭59−33176号、同昭59−33177号、同昭59−155088号、同昭60−11389号、同昭60−49990号、同昭60−83882号、同昭60−109894号、同昭62−198493号、同昭63−49478号、同昭63−115780号、同昭63−280681号、同平1−40371号、同平6−234268号、同平7−125411号、同平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマー等が挙げられる。水溶性金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられ、中でもアルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましく使用される。
本発明において、支持体と前記インク受理層(以下、本発明のアルミナおよび/またはアルミナ水和物、親水性バインダー、架橋剤、水溶性の乳酸金属塩を含有するインク受理層を第一のインク受理層として説明する。)との間に、少なくとも気相法シリカおよび/または平均二次粒子径が600nm以下になるまで粉砕された湿式法シリカからなる第二のインク受理層を有すると好ましい。第二のインク受理層は主にインク吸収性を付与するための層である。該構成とすることで、インク受理層表面のひび割れが発生しにくくなり、顔料インクのひび割れへの落ち込みがなくなるため発色が向上し、表面光沢が高くインク吸収性を兼ね備えたインクジェット記録材料とすることが可能となる。
本発明に係わる第二のインク受理層は、気相法シリカおよび/または平均二次粒子径が600nm以下になるまで粉砕された湿式法シリカを含有する。特に気相法シリカが好ましく使用できる。気相法シリカは乾式法シリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
本発明に用いられる気相法シリカの平均一次粒子径は、第一のインク受理層の塗層のひび割れ、表面光沢、顔料インクの発色の点から5nm以上50nm以下が好ましく、より好ましくは、10nm以上40nm以下、特に好ましくは15nm以上30nm以下である。また、BET法による比表面積は、第二のインク受理層の塗層のひび割れ、インク吸収性の点から30m2/g以上300m2/g以下が好ましく、特に好ましくは40m2/g以上150m2/g以下が好ましい。尚、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒子径として平均粒子径を求めたものであり、本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
本発明の第二のインク受容層には、気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で、該気相法シリカの平均二次粒子径が600nm以下、好ましくは50〜400nm、更に好ましくは100〜300nmに分散したものが使用できる。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカとカチオン性化合物及び分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。尚、ここでいう気相法シリカの平均二次粒子径とは、希薄分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られる。
本発明において第二のインク受理層で使用される湿式法シリカは、製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の行程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば日本シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、日本シリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販さている。
本発明では、平均二次粒子径600nm以下に粉砕した湿式法シリカが使用される。本発明に用いられる湿式法シリカ粒子としては、平均一次粒子径50nm以下、好ましくは3〜40nmであり、且つ平均凝集粒子径が5〜50μmである湿式法シリカ粒子が好ましく、これをカチオン性化合物の存在下で平均二次粒子径600nm以下、好ましくは50〜400nm程度まで微粉砕した湿式法シリカ微粒子を使用する。ここでいう粉砕された湿式法シリカの平均二次粒子径とは、希薄分散液をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られる。
通常の方法で製造された湿式法シリカは、1μm以上の平均凝集粒子径を有するため、これを微粉砕して使用する。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。この際、分散液の初期粘度上昇が抑制され、高濃度分散が可能となり、粉砕・分散効率が上昇してより微粒子に粉砕することができることから、吸油量が210ml/100g以下、平均凝集粒子径5μm以上の沈降法シリカを使用することが好ましい。高濃度分散液を使用することによって、記録用紙の生産性も向上する。吸油量は、JIS K−5101の記載に基づき測定される。
本発明の平均二次粒子径が600nm以下の湿式法シリカ微粒子を得る具体的な方法としては、まず水中でシリカ粒子とカチオン性化合物を混合(添加はどちらが先であっても、また同時でも良い)しても良く、又それぞれの分散液あるいは水溶液を混合しても良く、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも1つを用いて予備分散液を得る。必要であれば更に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散物の固形分濃度は高いほうが好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、より強い機械的手段を与えることによって、平均二次粒子径が600nm以下の湿式法シリカ微粒子分散液が得られる。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えばボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
上記気相法シリカ及び湿式法シリカの分散に使用するカチオン性化合物としては、前記第一のインク受理層で使用するカチオン性化合物として例示した化合物が使用可能である。中でも、カチオン性ポリマーとしてはジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性および分散液粘度の面で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2,000〜10万程度が好ましく、特に2,000〜3万程度が好ましい。また、水溶性金属化合物としては、水溶性アルミニウム化合物が好ましく用いられる。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られており、好ましく用いられる。
本発明において、第二のインク受理層で使用される気相法シリカまたは湿式法シリカのBET法による比表面積は、第一のインク受理層で使用されるアルミナおよび/またはアルミナ水和物のBET法による比表面積よりも小さいことが好ましい。こうした構成とすることで、第二のインク受理層の塗層の上に第一のインク受理層を設けた際に、塗層のひび割れの発生がよりいっそう抑制され、良好な顔料インクの発色が得やすくなる。おそらく、第二のインク受理層で使用される気相法シリカあるいは湿式シリカのBET法による比表面積が、第一のインク受理層で使用されるアルミナ水和物のBET法による比表面積よりも小さいため、第一のインク受理層への第二のインク受理層中のバインダー成分等の落ち込みが少なくなり、インク吸収性への悪影響がほとんどなく、該インク受理層の塗層のひび割れが発生しにくくなるものと推定される。
本発明において、第一のインク受理層は、アルミナおよびアルミナ水和物をそれぞれ単独で用いてもよいし併用してもよいが、前記アルミナまたはアルミナ水和物の第一のインク受理層中の含有比率(併用した場合は合計の含有比率)は、第一のインク受理層中の全固形分に対して50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、特に80質量%以上が好ましい。また、第二のインク受理層は、気相法シリカおよび平均二次粒子径が600nm以下になるまで粉砕された湿式法シリカを、それぞれ単独で用いてもよいし併用してもよいが、前記気相法シリカまたは粉砕された湿式法シリカの第二のインク受理層における含有比率(併用した場合は合計の含有比率)は、第二のインク受理層中の全固形分に対して50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、特に80質量%以上が好ましい。また、本発明において、第一および第二のインク受理層は、本発明の効果を損ねない範囲で、上記した微粒子以外の無機または有機の白色顔料を含有することができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどの白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料、また、平均二次粒子径が600nm以下の無機超微粒子、例えば、特開平8−72387公報などに記載されている気相法アルミナ、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているようなコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているようなシリカ/アルミナハイブリッドゾル、その他にも、ヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アルミニウムゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
本発明の第二のインク受理層は、前記第一のインク受理層で例示したバインダーを使用することができる。中でも、皮膜としての特性を維持し、透明性が高くインクの浸透性が高い親水性バインダーが好ましく用いられる。また、塗層のひび割れ抑制等を目的に、第一のインク受理層で例示した架橋剤を使用することができる。
これらの親水性バインダーの配合量は、塗層のひび割れ、インク吸収性の点で、第一のインク受理層では、全乾燥固形分比率で、3〜15質量%であることが好ましく、4〜10質量%であることが特に好ましい。第二のインク受理層では、全乾燥固形分比率で、8〜25質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることが特に好ましい。
更に、本発明の第一および第二のインク受理層には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、粘度安定剤、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などを適宜添加することもできる。
本発明に用いる支持体は透明、半透明および不透明のいずれであっても良く、紙、各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、セラミック紙、ガラス板など、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることが出来るが、これらに限定されるものではない。紙のごとき透気性のある支持体を用いる場合、本発明のインク受理層を設けた場合でも、インク受理層塗液が支持体に浸透し、塗層のひび割れを生じることがある。このため、透気性のある支持体を使用する場合は、浸透性を制御する目的で、顔料を主成分とする層を支持体上に塗工する等して、浸透性を制御した支持体を使用することが好ましい。
支持体として用いる紙としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプと従来公知の顔料を主成分として、バインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙、更に原紙に、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙や、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙も含まれる。この様な原紙及び塗工紙に、そのまま本発明における塗層を設けても良いし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。
本発明において、各インク受理層の乾燥塗工量は特に限定されるものではないが、インク吸収性、塗層のひび割れの点で、各インク受理層の乾燥塗工量の範囲は3〜16g/m2、より好ましくは5〜12g/m2である。
本発明においてインク受理層を設ける際に、塗工する方法は、特に限定されず、公知の塗工方法を用いることができる。例えば、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スライドリップコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコーター、サイズプレスなどの各種装置により塗工することができる。
本発明において、塗液塗工後に乾燥する方法は、特に限定されず、公知の乾燥方法を用いることができる。
本発明において、各インク受理層を塗工、乾燥後、平坦化をコントロールしたり表面光沢をさらに高めたりする目的で、カレンダー処理により、平滑化しても良い。その際のカレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどが挙げられる。また、公知のキャストコート法を用いて光沢面を形成することができる。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例に於いて示す「部」および「%」は特に明示しない限り質量部および質量%を示す。
<第一のインク受理層塗液1>
水400部に、60%硝酸2部、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(平均一次粒子径15nm、BET法による比表面積160m2/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を使用して、20.2%のアルミナ水和物分散液を作製した。こうして得たアルミナ水和物分散液500部、4%ホウ酸水溶液10部、4%乳酸カルシウム水溶液20部、8%ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度4500)100部、界面活性剤0.3部、水20部を混合し、固形分濃度17.0%の第一のインク受理層塗液1を調製した。なお、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られたアルミナ水和物微粒子の平均二次粒子径は150nmであった。
<第一のインク受理層塗液2〜8>
第一のインク受理層塗液1で使用した乳酸カルシウム水溶液を表1のように変更した以外は同様にして、第一のインク受理層塗液2〜8を調製した。
<第一のインク受理層塗液9>
第一のインク受理層塗液1でホウ酸を使用しなかった以外は同様にして、第一のインク受理層塗液9を調製した。
<塗液の安定性>
上記のようにして調製した第一のインク受理層塗液1〜9の調液直後、および20℃65%環境下で1時間静置後の、ブルックフィールド粘度計で粘度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2005262797
表1に示すように、平均二次粒子径600nm以下のアルミナ水和物、親水性バインダー、ホウ酸、および水溶性の乳酸塩を含有する第一のインク受理層塗液1〜4は、水溶性の乳酸塩を添加していない第一のインク受理層塗液8に比べ、塗液の経時安定性に優れ、ポットライフを長くすることが可能となり、安定にインクジェット記録材料を製造することが可能となる。乳酸塩以外の金属塩を用いた第一のインク受理層塗液5〜7は、金属塩を添加していない第一のインク受理層塗液8よりも、塗液の経時安定性は悪化し、塗工不能となった。
<支持体1>
濾水度450mlCSFのLBKP70部、濾水度450mlCSFのNBKP30部から成る木材パルプ100部に、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、市販アルキルケテンダイマー0.1部、市販カチオン系アクリルアミド0.03部、市販カチオン化澱粉1.0部、硫酸バンド0.5部を調製後、長網抄紙機を用いて坪量105g/m2で抄造した。こうして得た紙の上に、下記顔料層塗液1を乾燥塗工量が7g/m2となるように、エアーナイフコーターで塗工、乾燥して支持体1を作製した。
<顔料層塗液1>
合成非晶質シリカ(平均二次粒子径2.3μm)100部をホモジナイザーを用いて水400部に分散し、これに10%ポリビニルアルコール(完全鹸化、重合度1700)水溶液250部、50%エチレン−酢酸ビニル共重合体ラテックス30部、界面活性剤0.3部、水を混合し、固形分濃度18.0%の顔料層塗液1を調製した。
<第二のインク受理層塗液1>
水400部に、50%ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)8部、気相法シリカ(平均一次粒子径16nm、BET法による比表面積130m2/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を使用して予備分散液を作製した。得られた予備分散液を高圧ホモジナイザーで処理して、20.5%のシリカ分散液を得た。こうして得たシリカ分散液500部、4%ホウ酸水溶液20部、8%ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500)250部、界面活性剤0.3部、水54部を混合し、固形分濃度15.0%の第二のインク受理層塗液1を調製した。なお、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られた気相法シリカ微粒子の平均二次粒子径は400nmであった。
<第二のインク受理層塗液2>
第二のインク受理層塗液1の気相法シリカを、平均一次粒子径12nm、BET法による比表面積200m2/gの気相法シリカに変更した以外は同様にして、第二のインク受理層塗液2を調製した。なお、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られた気相法シリカ微粒子の平均二次粒子径は350nmであった。
<第二のインク受理層塗液3>
水240部に、50%ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(分子量9,000)8部、沈降法シリカ(BET法による比表面積130m2/g、平均一次粒子径16nm、平均凝集粒子径6μm)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機を使用して予備分散液を作製した。得られた予備分散液をビーズミルで処理して、固形分濃度29.9%のシリカ分散液を得た。こうして得たシリカ分散液335部、4%ホウ酸水溶液20部、8%ポリビニルアルコール(ケン化度88%、平均重合度3500)300部、界面活性剤0.3部、水180部を混合し、固形分濃度15.0%の第二のインク受理層塗液3を調製した。なお、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定して得られたシリカ微粒子の平均二次粒子径は400nmであった。
(サンプル1)
支持体1の顔料層上に、第一のインク受理層塗液1を乾燥塗工量が7.5g/m2になるようにエアーナイフコーターで塗工、乾燥した。こうして得たインク受理層の上に、さらに、第一のインク受理層塗液1を乾燥塗工量が7.5g/m2になるようにエアーナイフコーターで塗工、乾燥して、本発明のインクジェット記録材料を作製した。
(サンプル2)
支持体1の顔料層上に、第二のインク受理層塗液1を乾燥塗工量が7g/m2になるようにエアーナイフコーターで塗工、乾燥した。次いで第二のインク受理層の上に、第一のインク受理層塗液1を乾燥塗工量が8g/m2になるようにエアーナイフコーターで塗工、乾燥して、本発明のインクジェット記録材料を作製した。
(サンプル3)
第一のインク受理層塗液1の代わりに、第一のインク受理層塗液2を用いた以外は、サンプル2と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
(サンプル4)
第一のインク受理層塗液1の代わりに、第一のインク受理層塗液3を用いた以外は、サンプル2と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
(サンプル5)
第一のインク受理層塗液1の代わりに、第一のインク受理層塗液4を用いた以外は、サンプル2と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
(サンプル6)
第二のインク受理層塗液1の代わりに、第二のインク受理層塗液2を用いた以外は、サンプル2と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
(サンプル7)
第二のインク受理層塗液1の代わりに、第二のインク受理層塗液3を用いた以外は、サンプル2と同様にして本発明のインクジェット記録材料を作製した。
(比較サンプル1)
第一のインク受理層塗液9を用いた以外は、サンプル1と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。
(比較サンプル2)
第一のインク受理層塗液1の代わりに、第一のインク受理層塗液9を用いた以外は、サンプル2と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。
(比較サンプル3)
第一のインク受理層塗液1の代わりに、第一のインク受理層塗液8を用いた以外は、サンプル2と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。
(比較サンプル4)
第一のインク受理層塗液1の代わりに、第一のインク受理層塗液8を用い、第二のインク受理層塗液1の代わりに、第二のインク受理層塗液3を用いた以外は、サンプル2と同様にしてインクジェット記録材料を作製した。
<インクジェット記録材料の光沢>
上記のようにして作製したインクジェット記録材料について、インク受理層面のJIS P8142で規定される75度鏡面光沢度を測定した。結果を表2に示した。
<塗層表面のひび割れ>
上記のようにして作製したインクジェット記録材料について、塗層表面のひび割れを観察した。各シートのインク受理層塗工面に、セイコーエプソン株式会社製MC−10000(顔料インク使用、プリンタ設定:MC光沢用紙、きれい)を用いて、黒のベタ印字を行った。塗層表面のひび割れは、印字部を光学顕微鏡で観察し、下記の基準により1〜5の数値で評価した。3以上であれば実用上問題ないレベルである。結果を表2に示した。
5:全くひび割れが認められない。
4:小さいひび割れが少し認められる。
3:やや大きめのひび割れがあるものの、肉眼では認識できない。
2:大きいひびがあり、よく見ると肉眼で認識できる。
1:肉眼ではっきり認識できる。
<印字特性>
上記のようにして作製したインクジェット記録材料に、セイコーエプソン株式会社製MC−10000(顔料インク使用、プリンタ設定:MC光沢用紙、きれい)を用いて、黒、シアン、マゼンタ、イエロー各色のベタ印字を行い、画像濃度、インク吸収性の評価を行った。黒の画像濃度について、濃度計(マクベスRD918)を用いて測定した。また、印字部のインク吸収性は目視により評価した。インク吸収性は、下記基準により1〜5の数値で評価した。3以上であれば実用上問題ないレベルである。結果を表2に示した。
5:各色の境界部のにじみが全くなく、各インクで均一な発色が得られている。
4:境界部がやや不明瞭となっているが、各インクで均一な発色が得られている。
3:境界部のにじみが見られるものの、各インクで均一な発色が得られている。
2:境界部のにじみが明確に見られ、一部のインクで発色が不均一になっている。
1:インクが溢れ、吸収性に劣る。
Figure 2005262797
本発明のように、平均二次粒子径600nm以下のアルミナ水和物、親水性バインダー、ホウ酸、および水溶性の乳酸塩を含有するインク受理層を設けたインクジェット記録材料は、表面の光沢感に優れ、インク受理層表面にひび割れがないため、顔料インクのひび割れへの落ち込みがなく、高い発色を得ることが可能となる。支持体とインク受理層との間に、気相法シリカまたは平均二次粒子径が600nm以下になるまで粉砕された湿式法シリカから構成される第二のインク受理層を設けたサンプル2〜7は、表面の光沢、インク吸収性が高くなり好ましい。サンプル2〜5の比較より、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸アルミニウムを用いたサンプル2〜4は、顔料インクの発色が特に高く好ましい。また、第二のインク受理層に含有される気相法シリカおよび/または湿式法シリカのBET法による比表面積が、第一のインク受理層に含有されるアルミナ水和物のBET法による比表面積よりも小さいサンプル2〜5、7は、インク受理層表面のひび割れが全くなく、顔料インクの発色が良好である。
一方、インク受理層がホウ酸を含有しない比較サンプル1、2は、塗層のひび割れが顕著であり、顔料インクの発色が大きく劣る。インク受理層に水溶性金属塩を配合していない比較サンプル3、4は、顔料インクの発色に劣る。

Claims (5)

  1. 支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも平均二次粒子径600nm以下のアルミナおよび/またはアルミナ水和物、親水性バインダー、架橋剤を含有するインク受理層を有するインクジェット記録材料において、該インク受理層がさらに水溶性の乳酸金属塩を含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
  2. 前記親水性バインダーがポリビニルアルコールであり、前記架橋剤がホウ酸またはホウ酸塩である請求項1記載のインクジェット記録材料。
  3. 前記ポリビニルアルコールの平均重合度が4000以上である請求項2記載のインクジェット記録材料。
  4. 前記支持体と前記インク受理層との間に、少なくとも気相法シリカおよび/または平均二次粒子径が600nm以下になるまで粉砕された湿式法シリカからなる第二のインク受理層を有する請求項1記載のインクジェット記録材料。
  5. 前記気相法シリカまたは湿式法シリカのBET法による比表面積が、前記アルミナおよび/またはアルミナ水和物のBET法による比表面積よりも小さい請求項4記載のインクジェット記録材料。
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