JP2005254521A - 三次元造形物及び三次元造形物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 支持体上に粉末材料を含む層を形成する工程、および、得られた粉末材料層を結合剤により像様に結合させる工程を含む三次元造形物の製造方法であって、(a)前記粉末材料として合成有機粉末を使用し、(b)前記結合剤が活性放射線により硬化することを特徴とする三次元造形物の製造方法。また、粉末材料と結合剤を含み、該結合剤を立体的に硬化して形成される三次元造形物において、前記粉末材料が合成有機粉末を含み、前記結合剤が活性放射線により硬化する結合剤を含むことを特徴とする三次元造形物。
【選択図】図1
Description
また、人手での彩色では、三次元造形物の所定の位置に所望の模様などを確実に描くことが一般的に困難である。
(1)支持体上に粉末材料を含む層を形成する工程、および、得られた粉末材料層を結合剤により像様に結合させる工程を含む三次元造形物の製造方法であって、(a)前記粉末材料として合成有機粉末を使用し、(b)前記結合剤が活性放射線付与により硬化することを特徴とする三次元造形物の製造方法、
(2)粉末材料と結合剤を含み、該結合剤を像様に硬化して形成される三次元造形物において、前記粉末材料が合成有機粉末を含み、前記結合剤が活性放射線により硬化する結合剤を含むことを特徴とする三次元造形物。
本発明において「像様に」とは、三次元造形物の製造方法においては「2次元画像状に」の意味であり、また、三次元造形物においては最終的に「3次元形状に」の意味である。前者の場合、「断面形状になるように」の意であると言え、又後者の場合、「製造しようとする三次元造形物と同一又は相似の立体形状となるように」の意であるとも言える。
海島構造とは、連続相中に、閉じた界面(相と相との境界)を有する島状の相が存在している構造のものをいう。すなわち、本発明では、海である活性放射線により硬化した結合剤の連続相中に、合成有機粉末の島が存在している構造をとるものとなっている。この様に、本発明の三次元造形物は、連続相中に別の構成成分の相が島状に存在している構造をとるものである。
合成有機粉末として、合成高分子化合物を使用することが好ましい。合成高分子化合物とは、石油、石炭、カーバイドなどを原料として得られた低分子量化合物を、人工的に重合または縮合による化学反応で高分子量化したものをいう。
粉末材料層の所定の厚さとしては、1スライスピッチあたり10〜500μmの厚さの層とすることが好ましく、25〜150μmの厚さとすることがより好ましい。層形成工程および着色断面形状形成工程を1回繰り返すごとに粉末材料層全体の積層厚さを前記のスライスピッチずつ増大させる。
着色断面形状とは、造形対象物のスライスした断面データに基づいた、一切断面の形状を有し、かつ、形状に対応する彩色を伴うものを言う。断面形状は特に不透明な造形物の場合には、中空の造形物としても良く、この場合には、形状の輪郭近傍の形状を再現すれば充分である。彩色も造形物表面の色彩を再現すれば良く、形状の輪郭の色再現が重要である。
図1は、本発明の三次元造形物の製造方法の一実施態様について主要な工程を示す模式図である。
本発明の製造方法においては、粉末材料の薄層1が三次元造形部3に設けられた支持体(造形ステージ)4の上に形成される。支持体4は、垂直方向移動部5により支持されており、周囲を枠6により取り囲まれている。粉末供給部から支持体4上に供給された余分の粉末材料上を、Y方向(紙面と垂直な方向)に長く伸びたブレード7がX方向(紙面上左から右方向)に移動することにより薄層1が形成される。このように形成された薄層1の上に、結合剤付与部のインクジェットヘッド8から、断面形状データにしたがって、結合剤が粉末材料の薄層1上に供給され、結合剤付与領域2を形成する。この結合剤付与領域2は、紫外線照射部9から照射される紫外線により硬化することにより、粉末材料をその結合剤付与領域2において薄層全体の厚さにわたり結合して断面形状を形成し、かつそのすぐ下の断面形状とも結合する。
引き続いて、垂直方向移動部5を1スライスピッチだけ下方に移動させ、新たな粉末材料層を形成する。
新たに形成された薄層の上に、結合剤付与部のインクジェットヘッドから、隣接する次の断面形状データにしたがって、結合剤が供給され、新たな結合剤付与領域が形成される。この領域に紫外線照射して硬化させることにより粉末材料を結合する。
粉末材料の薄層1の形成、結合剤の供給及び硬化を必要な回数順次繰り返した後、結合剤が付与されていない領域の粉末材料を分離することにより、三次元造形物10を得ることができる。
図2は、上記のような三次元造形物の製造において隣接する各層に形成された断面形状を模式的に示す斜視図である。
続いて、造形対象物を造形する際における粉末層の厚さ(断面データ作成の際のスライスピッチ)及び積層数(着色形状データのセット数)に関する情報が、コンピュータからパターン作成装置の駆動制御部に入力される。
なお、本発明において、「層形成工程及び断面形状形成工程を順次繰り返す」とは、(1)新たな層形成工程を完了した後にその新たな層全面に対して断面形状を形成する工程を実施する以外に、(2)新たな層形成工程を実施しながら、その新たな層の形成が完結する前に、新たに形成された層の領域に対して断面形状を形成することを含むものである。後者の例は、特開2002−307562に例示されている。
第2ステップで作成された形状データおよび彩色データに基づき、格子状に細分化したCMY各色のビットマップ情報に変換して、インクジェットヘッドをXY平面内に移動させる。そして、移動中に彩色データに基づいて各インクジェット吐出ノズルから紫外線(UV)硬化性結合剤の吐出を適宜に行わせる。結合剤としては、少なくとも1種の着色された結合剤、白色の結合剤、及び無色透明の結合剤よりなる群から選ばれた2種以上の結合剤を使用する。尚、本発明において、着色された結合剤には、白色で着色された結合剤は含まれないものとする。
着色された結合剤としては、減色法の3原色である、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色の組み合わせとすることが好ましい。必要に応じて、更に、着色された結合剤として黒(ブラック)染料で着色した結合剤(ブラック結合剤)を併用しても良い。本発明において、イエローに着色された結合剤を「イエロー結合剤」、マゼンタに着色された結合剤を「マゼンタ結合剤」、シアンに着色された結合剤を「シアン結合剤」という。M染料及びC染料は濃淡2種類に着色した結合剤としても良い。無色の結合剤は、CMYの色濃度を調節するために使用することができる。また、チタンホワイト等の白色顔料を含む結合剤(白色結合剤)を併用して所望の効果を発現させることができる。
着色した結合剤、無色の結合剤及び白色結合剤の吐出総量は単位面積あたり一定となるようにすることが好ましい。
なお、着色した断面形状の別の形成工程例として、形状データに基づき無色の紫外線硬化性結合剤のみを粉末材料に吐出して紫外線照射により硬化した後に、その層の彩色データに基づき、結合剤を含まない通常のCMYインクジェットを結合した粉末材料層上に吐出する2段階の工程とすることもできる。
紫外線照射の雰囲気を窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気にするとラジカル重合性の重合性化合物の酸素による遅延効果を低減できる。
さらに、第3ステップ及び第4ステップを繰り返しおこなうことで、目的の三次元造形物が得られる。
なお、結合剤が塗布されない粉末材料の領域では粉末が個々に独立した状態を保持している。
第3ステップ〜第4ステップを順次繰り返すことにより、造形対象物を複数の面で切断した切断面に対応する粉末材料の着色した結合体を順次積層形成して三次元造形物を製造することができる。
屈折率n1を有する粉末材料の層を屈折率n2を与える結合剤により着色した断面形状に接合させること(ただし、−0.1≦(n1−n2)≦0.1である。)により、透明ないし略透明な三次元造形物を製造することができる。
(合成有機粉末)
合成有機粉末としては、例えば合成樹脂粒子が挙げられ、具体的にはアクリル樹脂、オレフィン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアクリロニトリル、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、メラミンホルムアルデヒド、ポリカーボネート、スルホン重合体、ビニル重合体、カルボキシメチルセルロールス、ゼラチン、デンプン、キチン、キトサン等が挙げられる。この中で、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、およびフッ素樹脂を好ましく用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステラリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等が例示できる。
また、アクリル樹脂として、ポリメタクリル酸メチルを好ましく用いることができる。
その他のアクリル樹脂としては、例えば、三田 達 監訳「高分子大辞典」丸善株式会社(1994年刊)6〜12頁に記載の樹脂等が挙げられる。
その他のオレフィン樹脂としては、例えば、三田 達 監訳「高分子大辞典」丸善株式会社(1994年刊)102〜109頁に記載の樹脂等が挙げられる。
その他のフェノール類及びアルデヒド類としては、例えば、日本化学会編「第4版 実験科学講座28 高分子合成」(1992年刊)427〜430頁に記載された化合物等が挙げられる。
スチレンモノマーの共重合体については、例えば、三田 達 監訳「高分子大辞典」丸善株式会社(1994年刊)506〜507頁に記載の共重合体等が挙げられる。
ジビニルベンゼン樹脂として、ポリジビニルベンゼンを好ましく用いることができる。
その他の多官能イソシアネート及びポリオールとしては、例えば、岩田敬治編「ポリウレタンハンドブック」日刊工業新聞社(1987年刊)77〜81頁及び99〜117頁に記載の化合物等が挙げられる。
本発明に使用する合成有機粉末は、平均粒径が100μm以下の微粉末であることが好ましく、平均粒径が0.8〜50μmの微粉末であることがより好ましい。平均粒径が上記範囲であると、得られる三次元造形物の表面光沢度が向上するので好ましい。粒径分布は広くても良いが、狭い方が好ましい。粒径分布は単分散に近い方が好ましく、粒径分布の変動係数は20%以下が好ましく、15%以下であることが特に好ましい。
合成有機粉末の形状としては、無定型、球形、平板状、針状、多孔質状等どのようなものでも使用可能である。
合成有機粉末を相互に結合する状態の結合剤の屈折率をn2とする。エチレン性不飽和モノマーを結合剤として使用する場合には、このモノマーが重合してできる接合剤の屈折率をn2とする。(n1−n2)は、その絶対値が小さいほど得られる造形物の透明性が高くなる。屈折率の差の絶対値が0.1以下で透明感が高くなり、0.06以下で透明に近い造形物が得られる。ここで、本発明において「略透明」及び「透明に近い」とは、光路1cmあたり透過率が50%以上のことをいう。
本発明における結合剤は、活性放射線の付与により硬化する。結合剤は、紫外線または電子線などの活性放射線を照射すると、重合または架橋を開始し、高分子化して硬化する性質を有する。結合剤は、外部から活性放射線を与えない限り反応が進行しないため、放射線を照射しない限り粘度が安定している。
なお、本発明で用いられる活性放射線には、電子線(β線)、紫外線、X線、γ線、α線などの各種の放射線が含まれる。
結合剤としては、紫外線硬化性化合物を含む紫外線硬化性結合剤が好ましく使用できる。紫外線硬化性結合剤は、光重合開始剤及び少なくとも1種の重合性化合物を必須成分とし、ほぼすべての構成材料が紫外線により硬化し、粉末材料を結着する機能を有する。各構成材料の割合としては、光重合開始剤を、重合性化合物及び光重合開始剤の総量に対して、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%含有する。重合性化合物の含量は、好ましくは90〜99.5重量%、より好ましくは95〜99.9重量%である。
結合剤の25℃における粘度は、1〜100mPa・sが好ましく、10〜50mPa・sが更に好ましい。この粘度範囲になるように、粘度の高い多官能重合性化合物と粘度の低い単官能重合性化合物とを適宜混合して使用することが好ましい。
紫外線硬化性結合剤に使用できる重合性化合物としては、紫外線照射により、光重合開始剤から生じるラジカル種またはカチオン種等により、付加重合または開環重合が開始され、重合体を生じるものが好ましく使用される。付加重合の重合様式として、ラジカル、カチオン、アニオン、メタセシス、配位重合が挙げられる。また、開環重合の重合様式として、カチオン、アニオン、ラジカル、メタセシス、配位重合が挙げられる。
付加重合性化合物としては、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が例示できる。付加重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく使用できる。このような末端エチレン性不飽和化合物群は当該産業分野において広く知られるものである。本発明においては結合剤組成物をインクジェットノズルから安定に吐出できる限り、特に限定無く使用することができる。
エチレン性不飽和重合性化合物は、単官能の重合性化合物及び多官能の重合性化合物、(すなわち2官能、3官能および4〜6官能の重合性化合物等)、またはそれらの混合物の化学的形態をもつ。
単官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられる。多官能の重合性化合物としては、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族の多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
式(I)
CH2=C(R1)COOCH2CH(R2)OH
(ただし、R1およびR2は、HまたはCH3を示す。)
好ましいエポキシ誘導体の例としては、例えば単官能グリシジルエーテル類、多官能グリシジルエーテル類、単官能脂環式エポキシ類、多官能脂環式エポキシ類などに大別される。
脂環式エポキシ化合物としては、シクロヘキセンオキシド基又はシクロペンテンオキシド基を1分子内に2個以上有する多官能脂環式エポキシ類が好ましい。単官能又は多官能の脂環式エポキシ化合物の具体例としては、4−ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、ジ(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’エポキシシクロヘキセンカルボキシレートが挙げられる。
脂環式エポキシ化合物は1種類を使用しても、2種以上の混合物を使用しても良い。
種々の脂環式エポキシ化合物が市販されており、ユニオンカーバイド日本(株)、ダイセル化学工業(株)等から入手できる。
このような通常のグリシジル化合物としては、グリシジルエーテル化合物やグリシジルエステル化合物を挙げることができるが、グリシジルエーテル化合物を併用することが好ましい。
グリシジルエーテル化合物の具体例を挙げると、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピロキシ)ベンゼン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポシキ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂等の芳香族グリシジルエーテル化合物、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリトリグリシジルエーテル等の脂肪族グリシジルエーテル化合物が挙げられる。グリシジルエステルとしては、リノレン酸ダイマーのグリシジルエステルを挙げることができる。
グリシジルエーテル類は油化シェルエポキシ(株)等から市販品を入手することができる。
R2の炭化水素基としては、フェニル基やベンジル基も採りうるが、炭素数6ないし8のアルキル基が好ましく、2−エチルへキシル基等の分岐アルキル基が特に好ましい。R2がフェニル基であるオキセタン化合物の例は、特開平11−140279号公報に記載されている。R2が置換されていても良い、ベンジル基であるオキセタン化合物の例は、特開平6−16804号公報に記載されている。
Zは酸素原子が好ましく、R3はエチル基が好ましく、mは2が好ましく、R4としては、炭素数が1ないし16の線形又は分岐アルキレン基、線形又は分岐ポリ(アルキレンオキシ)基が好ましく、R3、R4、Z、及びmに対する好ましい例の内から任意の2つ以上を組み合わせた化合物は更に好ましい。
硬化後の揮発成分を低減するために、三次元造形物を製造した後に、残存モノマーを紫外線照射または加熱により後重合させることができる。
ここで、「硬化する際の体積収縮率」とは、重合性化合物を含む結合剤の液体比重をD1とし、硬化後の固体比重をD2とすると、以下の式にて与えられる値である。
[(D2−D1)/D2]×100
また、本発明において、結合剤に使用される重合性化合物の硬化する際の体積収縮率を15%とすることも好ましい。
これに反して、環状エーテル類の開環重合における硬化に伴う体積収縮率は比較的小さいので、本発明において好ましく使用できる。複数の環状エーテル構造を1分子中に有する化合物は重合に伴い体積が膨張するものもあり、これらの化合物も本発明において使用できる。
粘度調整用重合性化合物としては、低粘度かつ重合性化合物と共重合可能な化合物が用いられる。例えば、アクリレート、メタアクリレート、アクリルアミド類が挙げられる。具体的には、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ジ(メタ)アクリロイルオキシヘキサン等、好ましくは、トリルオキシエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ジ(メタ)アクリロイルオキシヘキサン等が挙げられる。
開環重合性の環状エーテル類においても、2官能以上の環状エーテル類は、一般に反応性が高いが粘度が高い。単官能の環状エーテル類を低粘度に調整するために併用することができる。
本発明で使用する硬化性結合剤は、光重合開始剤を用いて硬化させることが好ましく、熱重合開始剤を併用するできる。
本発明に用いられる光重合開始剤とは、活性放射線により活性なラジカル種又はカチオン種を発生し、結合剤の重合反応を開始、促進する化合物を示す。活性放射線として、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが用いられる。この中でも紫外線により硬化させる方法が特に好ましい。
下記に述べる、通常、光カチオン発生剤として用いられるスルホニウム塩やヨードニウム塩なども紫外線照射によりラジカル発生剤として作用するため、本発明ではこれらを単独で用いてもよい。また、感度を高める目的で重合開始剤に加えて、増感剤を用いてもよい。増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、及びチオキサントン誘導体等が含まれる。
芳香族スルフォニウム塩及び芳香族ヨードニウム塩をオニウム塩光反応開始剤として使用する場合、その対アニオンとしては、BF4 -、AsF6 -、SbF6 -、PF6 -、PF6 -、B(C6F5)4 -などが挙げられる。開始剤としては、芳香族スルフォニウムのPF6塩又はSbF6塩が、溶解性と適度の重合活性を有するために好ましく使用できる。又、溶解性を改良するために、芳香族基ヨードニウム塩又は芳香族スルフォニウム塩の芳香族基、通常はフェニル基に、1ないし10の炭素を有する、アルキル基又はアルコキシ基を1つ以上導入した化学構造が好ましい。
芳香族スルフォニウム塩のPF6塩又はSbF6塩は、ユニオンカーバイド日本(株)等から市販されている。旭電化工業(株)からも、アデカオプトマーSPシリーズの商品名で芳香族スルフォニウムのPF6塩が市販されている。
芳香族スルフォニウム塩は約360nmまでに吸収を有し、芳香族ヨードニウム塩は約320nmまでに吸収を有するので、硬化させるには、この領域の分光エネルギーを含む紫外線を照射することが好ましい。
上記アゾ化合物としては例えば、特開平8−108621に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
上記有機過酸化化合物としては、例えば、三田 達 監訳「高分子大辞典」丸善株式会社(1994年刊)207〜209頁に記載の化合物等が挙げられる。
上記メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
上記ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6−29285号、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各公報記載の種々の化合物等が挙げられる。
上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号、特開2002−328465号公報等記載される化合物が挙げられる。
本発明の製造方法において使用できる着色剤は染料と顔料に大別され、染料を好ましく使用することができる。
染料としては、減色法の3原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の染料を使用することにより広い範囲の色相を異なる彩度で再現することができる。本発明において、カラー写真のカラープリントに利用される染料を使用することが好ましい。以下に詳しく述べる。
なかでも特開2002−121414号公報に記載の一般式(III)で表されるピラゾロトリアゾールアゾメチン化合物が好ましく用いられ、以下に示すM−1が例示できる。
特開2002−121414号公報に記載の一般式(IV−1a)で表されるピロロトリアゾールアゾメチン化合物ならびに一般式(C−II−1)及び(C−II−2)で表されるフタロシアニン化合物が好ましく用いられ、以下に示すC−1及びC−101が例示できる。
例えば、有機合成化学協会編「染料便覧」丸善株式会社(1970年刊)、安部田貞治、今田邦彦「解説 染料化学」(株)色染社(1988年刊)、大河原信編「色素ハンドブック」(株)講談社(1986年刊)、インクジェットプリンタ用ケミカルス−材料の開発動向・展望調査−」(株)シーエムシー(1997年刊)、前記の甘利武司「インクジェットプリンタ−技術と材料」等に記載の染料類が挙げられる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、または顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
紫外線硬化性結合剤を硬化させるための紫外線露光に関しては、一般に用いられる高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、DeepUVランプ、ハロゲンランプ等が使用可能であり、露光波長は450〜250nm、好ましくは、400〜300nmとすることができる。露光エネルギーは500mJ/cm2以下が好ましく、10〜400mJ/cm2がより好ましい。紫外線光源から紫外線透過性の光ファイバーを用いて粉末材料面に紫外線を導くことができる。
KAYARAD DPCA60(カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:日本化薬(株)製)
HDDA(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:ダイセル・ユーシービー(株)製)
イルガキュア1850(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとビス(2,6―ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)フォスフィンオキサイドとの1:1混合物:チバスペシャリティケミカルズ製)
酸化チタン(KRONOS KA−15;粒径0.4μm:チタン工業(株)製)
ポリメタクリル酸メチル(MBX−12;平均粒子径12μm:積水化成品工業(株)製)
フェノール樹脂(ベルパールR800;平均粒子径20μm:カネボウ(株)製)
ポリスチレン(SBX−12;平均粒子径12μm:積水化成品工業(株)製)
ポリジビニルベンゼン(ミクロパールSP−203;平均粒子径3μm:積水化学工業(株)製)
ポリテトラフルオロエチレン(ルブロンL−5;平均粒子径7μm:ダイキン工業(株)製)
ポリエチレン(フロービーズLE−1080;平均粒子径6μm:住友精化(株)製)
コーンでんぷん(平均粒子径15μm:日本食品化工(株)製)
小麦でんぷん(平均粒子径10μm:(株)新進製)
ZP14(Z Corp.製)
ZB−4(Z Corp.製)
(紫外線硬化性結合剤「無色結合剤」の作成)
重合性化合物:KAYARAD DPCA60 5.2g
重合性化合物:HDDA 14.8g
(HDDA ダイセル・ユーシービー製)
光重合開始剤:イルガキュア1850 0.6g
以上の成分を撹拌混合し、25℃における粘度が約20mPa・sである無色結合剤を得た。
重合性化合物:KAYARAD DPCA60 5.2g
重合性化合物:HDDA 14.8g
光重合開始剤:イルガキュア1850 0.6g
白色顔料:酸化チタン 3g
以上の成分を3本ロールミルで混練し、25℃における粘度が約25mPa・sである白色結合剤を得た。
重合性化合物:KAYARAD DPCA60 5.2g
重合性化合物:HDDA 14.8g
光重合開始剤:イルガキュア1850 0.6g
着色剤:Y−1 0.8g
上記Y−1、下記M−1および下記C−1は発明を実施するための最良の形態に記載したとおりである。
以上の成分を撹拌混合し、25℃における粘度が約20mPa・sであるイエロー結合剤を得た。
重合性化合物:KAYARAD DPCA60 5.2g
重合性化合物:HDDA 14.8g
光重合開始剤:イルガキュア1850 0.6g
着色剤:M−1 0.8g
以上の成分を撹拌混合し、25℃における粘度が約20mPa・sであるマゼンタ結合剤を得た。
重合性化合物:KAYARAD DPCA60 5.2g
重合性化合物:HDDA 14.8g
光重合開始剤:イルガキュア1850 0.6g
着色剤:C−1 0.8g
以上の成分を撹拌混合し、25℃における粘度が約20mPa・sであるシアン結合剤を得た。
重合性化合物:KAYARAD DPCA60 5.2g
重合性化合物:HDDA 14.8g
光重合開始剤:イルガキュア1850 0.6g
着色剤:Y−1 0.3g
M−1 0.3g
C−1 0.3g
以上の成分を撹拌混合し、25℃における粘度が約20mPa・sであるブラック結合剤を得た。
粉末材料としてポリメタクリル酸メチルを約80μmの厚さになるようロッドで1層分の粉末材料層を敷設した後、データにもとづいてインクジェット吐出ノズルから着色結合剤の吐出を適宜に行わせた。結合剤は、粉末材料:結合剤=60:40(重量比)となるように吐出量を調整して、吐出した。
該紫外線硬化性結合剤をインクとしたインクジェット方式により、600dpiの解像度(約42μmのドット間隔)で、各ドットが連続した線になるよう液滴を吐出した。粉末材料面にはDeepUVランプにて、20mJ/cm2の露光エネルギーを与えた。
次いで、1スライスピッチに相当する厚さ分厚くした粉末材料層を形成して、その断面に該当する断面形状に対応する結合剤を供給することを繰り返すことにより三次元造形物を作成した。
粉末材料としてポリメタクリル酸メチルの代わりにフェノール樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして三次元造形物を作成し評価した。
粉末材料としてポリメタクリル酸メチルの代わりにポリスチレンを用いた以外は、実施例1と同様にして三次元造形物を作成し評価した。
粉末材料としてポリメタクリル酸メチルの代わりにポリジビニルベンゼンを用いた以外は、実施例1と同様にして三次元造形物を作成し評価した。
粉末材料としてポリメタクリル酸メチルの代わりにポリテトラフルオロエチレンを用いた以外は、実施例1と同様にして三次元造形物を作成し評価した。
粉末材料としてポリメタクリル酸メチルの代わりにポリエチレンを用いた以外は、実施例1と同様にして三次元造形物を作成し評価した。
粉末材料としてポリメタクリル酸メチルの代わりにコーンでんぷんを用いた以外は、実施例1と同様にして三次元造形物を作成し評価した。
粉末材料としてポリメタクリル酸メチルの代わりに小麦でんぷんを用いた以外は、実施例1と同様にして三次元造形物を作成し評価した。
Z402プリンター(Z Corp.製)を使用して、粉末材料としてZP14(でんぷん)を用い、結合剤としてZB−4を用いた以外は、実施例1と同様にして三次元造形物を作製した。
上記方法にて作成した、直径5cm、厚さ1cmの円柱造形物の評価を行った。
(1)光沢度測定:表面光沢度をデジタル変角光沢計UGV−6P(スガ試験機(株)製)を用いて入射角20度で測定した。
(2)着色性:色の鮮やかさを目視で評価し、以下のランクに分けた。
○ ・・・良
△ ・・・やや良
× ・・・不良
(3)機械的強度:得られた三次元造形物にクラックが入っているかを目視で判定した。
○ ・・・クラックなし
× ・・・クラックあり
2 結合剤付与領域
3 三次元造形部
4 支持体(造形ステージ)
5 垂直方向移動部
6 枠
7 ブレード
8 インクジェットヘッド
9 紫外線照射部
10 三次元造形物
Claims (17)
- 支持体上に粉末材料を含む層を形成する工程、および、
得られた粉末材料層を結合剤により像様に結合させる工程を含む
三次元造形物の製造方法であって、
(a)前記粉末材料として合成有機粉末を使用し、
(b)前記結合剤が活性放射線により硬化することを特徴とする
三次元造形物の製造方法。 - 支持体上に粉末材料を所定の厚さを有する層に形成する工程、および、
造形対象物のスライスした断面データに基づき、その断面形状になるように粉末材料層を結合剤により像様に結合させる工程を順次繰り返すことを含むことを特徴とする
請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。 - 前記粉末材料が合成高分子化合物である、請求項1または2に記載の三次元造形物の製造方法。
- 前記粉末材料がアクリル樹脂、オレフィン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、およびフッ素樹脂よりなる群から選ばれた請求項1〜3いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。
- 前記結合剤として、少なくとも1種の着色された結合剤、白色結合剤および無色結合剤よりなる群から選ばれた2種以上の結合剤を使用する請求項1〜4いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。
- 前記着色された結合剤が、イエロー結合剤、マゼンタ結合剤、シアン結合剤、およびブラック結合剤よりなる群から選ばれた少なくとも2つの結合剤よりなる請求項1〜5いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。
- 前記結合剤の硬化する際の体積収縮率が15%以下である請求項1〜6いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。
- 25℃での前記結合剤の粘度が1〜100mPa・sである請求項1〜7いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。
- 前記結合剤が、官能性(メタ)アクリレートを少なくとも一種含む請求項1〜8いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。
- 前記結合剤が少なくとも
a)三官能以上の(メタ)アクリレート、および
b)単官能及び/または二官能(メタ)アクリレートを含む
請求項1〜9いずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。 - 粉末材料と結合剤を含み、該結合剤を像様に硬化して形成される三次元造形物において、前記粉末材料が合成有機粉末を含み、前記結合剤が活性放射線により硬化する結合剤を含むことを特徴とする三次元造形物。
- 前記三次元造形物は前記粉末材料が島の構造を有し、前記活性放射線により硬化した結合剤が海の構造を有する海島構造を内部構造として有する請求項11記載の三次元造形物。
- 前記粉末材料がアクリル樹脂、オレフィン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ジビニルベンゼン樹脂、およびフッ素樹脂よりなる群から選ばれた請求項11または12に記載の三次元造形物。
- 前記結合剤として、少なくとも1種の着色された結合剤、白色結合剤および無色結合剤よりなる群から選ばれた2種以上の結合剤を使用する請求項11〜13いずれか1つに記載の三次元造形物。
- 前記着色された結合剤が、イエロー結合剤、マゼンタ結合剤、シアン結合剤、およびブラック結合剤よりなる群から選ばれた少なくとも2つの結合剤よりなる請求項11〜14いずれか1つに記載の三次元造形物。
- 前記結合剤が官能性(メタ)アクリレートを少なくとも一種含む請求項11〜15いずれか1つに記載の三次元造形物。
- 前記結合剤が少なくとも
a)三官能以上の(メタ)アクリレート、および
b)単官能及び/または二官能(メタ)アクリレートを含む
請求項11〜16いずれか1つに記載の三次元造形物。
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