JP2005254352A - 研削砥石及びその製造方法 - Google Patents

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政憲 廣瀬
Yoshihiro Tanigawa
義博 谷川
Tatsuro Onomoto
達郎 小野本
Toshifumi Abe
年史 安部
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Abstract

【課題】 研削中に発生した切り粉を収納する十分な気孔量と、形崩れしない十分な強度を備えた多孔質の硬質マトリックスを有する研削砥石及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 砥粒11を軟質粒12と共に多孔質の硬質マトリックス13中に分散させた研削砥石10であって、硬質マトリックス13は炭化珪素と金属の燃焼合成反応により生成する珪化物を含み、軟質粒12は炭化珪素と金属の燃焼合成反応から得られる黒鉛である。ここで、金属にはニッケルが使用でき、そのときに生成する珪化物は珪化ニッケルである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、研削砥石及びその製造方法に係り、更に詳細には金型製作の仕上げ加工で使用する目詰まりが生じにくい研削砥石及びその製造方法に関する。
研削砥石に目詰まりや形崩れが生じにくいと、工作機械上で簡便にツルーイング、ドレッシングを行うことができ、例えば、熟練労働者が行っていた3次元曲面の超精密研削加工の自動化も可能になる。更に、自動化に伴って熟練作業内容の数値化が可能になり、技能の伝承がスムーズに進展することも期待できる。このため、種々の研削砥石の開発が行われている。
例えば、特許文献1には、(A)ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、炭化ケイ素及び酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種類の砥粒と、(B)コバルト、ニッケル及び銅の金属から選ばれる少なくとも1種類の結合材、又は、コバルト、ニッケル及び銅の少なくとも1種類と鉄、銀、錫、亜鉛及びタングステンの少なくとも1種類との合金からなる結合材と、(C)補助材である非晶質炭素とを含んでなり、(A)の砥粒及び(C)の非晶質炭素が、(B)の結合材中に海島状に分布している研削砥石及びその製造方が記載されている。
また、特許文献2には、SiC砥粒と、Ni−Al粉末とを、4:6〜10:1の割合でに混合して調製した溶射材を、溶射距離を30〜150mmの範囲として、熱源温度3100℃の条件でガス溶射して軟鋼板の表面に砥石層を形成する砥石の製造方法が記載されている。
更に、特許文献3には、砥粒及び金属粉末を混合し所定の寸法形状に成形した後、加熱焼結することにより、砥粒が、粉末焼結により形成された多孔構造相(気孔率は5〜60%)である結合材部分によって保持されている多孔質メタルボンド砥石が記載されている。
特開2001−246566号公報 特開平6−47676号公報 特開平7−251379号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、図7に示すように、研削砥石80には被加工物81の研削中に発生した切り粉82が進入できる気孔が存在しておらず、発生した切り粉82は、砥粒83が分散している砥石層84の周囲に付着し砥粒83の表面が覆われて目詰まりが発生するという問題が生じる。なお、符号85は、砥石層84を保持する砥石本体である。
特許文献2記載の発明では、砥石層中に気孔が形成されて研削中に発生した切り粉がこの気孔中に進入して目詰まりの発生が防止できることが期待できるが、砥石層と軟鋼板との密着力が弱く、砥石層が容易に剥離して砥石としての寿命が短くなるという問題が生じる。また、溶射により砥石層を形成するので砥石層の形成歩留りが悪く、砥石の製造コストが高くなるという問題も生じる。更に、溶射中にダイヤモンドや立方晶窒化硼素は酸化されるため、粒径の小さなダイヤモンドや立方晶窒化硼素を使用することができず、製造できる砥石の仕様が限られるという問題もある。
特許文献3記載の発明では、焼結温度と金属粉末の粒径を制御することで気孔量を制御しているが、例えば、鋳鉄粉と銅粉を用いて砥石試作を行った場合、気孔量が20%以上では、砥石としての十分な強度を発現させることができないことが判明した。このため、砥石としての寿命が短くなるという問題が予測される。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、研削中に発生した切り粉を収納する十分な気孔量と、形崩れしない十分な強度を備えた多孔質の硬質マトリックスを有する研削砥石及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う請求項1記載の研削砥石は、砥粒を軟質粒と共に多孔質の硬質マトリックス中に分散させている。
研削砥石を使用している際に、軟質粒は崩壊して研削砥石から脱落し、その跡に空孔が形成される。このため、研削時に発生した切り粉は形成された空孔内に進入し、研削砥石の表面への切り粉の付着が防止できる。また、研削時に発生した切り粉は硬質マトリックス中の気孔内にも進入でき、研削砥石の表面に切り粉が付着するのを更に防止できる。
なお、分散させる砥粒の粒径及び量は、研削内容に応じて適宜選択される研削砥石の番数及び集中度に応じて調整する。
請求項2記載の研削砥石は、請求項1記載の研削砥石において、前記硬質マトリックスは珪化物を含み、前記軟質粒は黒鉛である。
硬質マトリックスが珪化物を含むことにより、多孔質であっても硬度を維持することができる。また、黒鉛が分散しているため、研削砥石と被研削物との間の潤滑性を向上させることができる。
請求項3記載の研削砥石は、請求項2記載の研削砥石において、前記珪化物及び前記黒鉛は、炭化珪素と金属を燃焼合成反応させて得られたものである。
炭化珪素と金属が燃焼合成反応を起こすと、炭化珪素の珪素が金属と反応して珪化物が生成されると共に、残った炭素は黒鉛に変化する。また、炭化珪素と金属の割合を調整することにより、炭化珪素と金属を全て燃焼合成反応させて珪化物を含む硬質マトリックスに黒鉛を分散させることも、炭化珪素又は金属を残留させ硬質マトリックス中に含まれるようにすることもできる。
請求項4記載の研削砥石は、請求項3記載の研削砥石において、前記金属はニッケルであり、前記珪化物は珪化ニッケルである。
硬質マトリックスが珪化ニッケルを含むことにより、多孔質であっても高硬度を維持することができ、硬質マトリックスの強度を向上させることができる。このため、硬質マトリックスにおいて、高気孔率化と高強度化を両立させることができる。
請求項5記載の研削砥石は、請求項1〜4記載の研削砥石において、前記砥粒は立方晶窒化硼素粒、表面に金属被覆層が形成された立方晶窒化硼素粒、ダイヤモンド粒、及び表面に金属被覆層が形成されたダイヤモンド粒のいずれか1つである。
砥粒に硬度の高い立方晶窒化硼素粒又はダイヤモンド粒を使用するので、研削砥石の摩耗を防止して、研削効率を向上させることができる。
また、立方晶窒化硼素粒又はダイヤモンド粒の表面に金属被覆層を形成することにより、立方晶窒化硼素粒、ダイヤモンド粒と硬質マトリックスとの間の結合力を更に高めることができ、研削砥石の形崩れを抑制することができる。ここで、金属被覆層を形成する金属としては、例えば、ニッケル、チタン、クロム、鉄、モリブデン、バナジウム、タングステン、シリコンのいずれか1又は2以上の組み合わせを使用することができる。
前記目的に沿う請求項6記載の研削砥石の製造方法は、砥粒、炭化珪素粉末、及び炭化珪素と燃焼合成反応する金属粉末を所定の割合で混合して混合物を調製する第1工程と、
前記混合物を加熱し、燃焼合成反応させながら焼結させて前記砥粒及び黒鉛が分散した珪化物を含む多孔質の硬質マトリックスを形成させる第2工程とを有する。
炭化珪素と金属が燃焼合成反応を起しながら同時に焼結していくため、焼結時の収縮が阻害されて、気孔率の高い硬質マトリックスが形成される。炭化珪素と金属との燃焼合成反応では、炭化珪素の珪素が金属と反応して珪化物が生成されると共に、残留する炭素は焼結中に黒鉛に変化する。
混合物中には、砥粒、炭化珪素粉末、金属粉末が混合されて均一に分散しているので、混合物中で燃焼合成反応を均一に発生させることができる。このため、炭化珪素粉末と金属粉末が全て燃焼合成反応するように調整した場合は、珪化物及び気孔からなる硬質マトリックス中に砥粒と黒鉛が分散した状態が形成される。また、炭化硅素粉末の量が多いと、珪化物、炭化硅素、及び気孔からなる硬質マトリックス中に砥粒と黒鉛が分散した状態がが形成され、金属粉末の量が多いと、珪化物、金属、及び気孔からなる硬質マトリックス中に砥粒と黒鉛が分散した状態が形成される。
請求項7記載の研削砥石の製造方法は、請求項6記載の研削砥石の製造方法において、前記焼結がプラズマ放電焼結である。
プラズマ放電焼結を採用することにより短時間で焼結を完了することができ、焼結に伴う粒成長を抑制することができる。このため、組織の微細な硬質マトリックスを形成することができる。
請求項8記載の研削砥石の製造方法は、請求項6及び7記載の研削砥石の製造方法において、前記金属粉末はニッケル粉末であり、前記混合物中での前記炭化珪素粉末の体積VS と該ニッケル粉末の体積VN との比VS /VN は、3/7以上で7/3以下である。
炭化珪素粉末の体積VS とニッケル粉末の体積VN との比VS /VN を調整することで、硬質マトリックスに含まれる珪化ニッケルの量を確保して、硬質マトリックスの硬度及び強度が低下するのを防止することができると共に、硬質マトリックス中に黒鉛を所定量分散させることで、研削中に切り粉が進入できる空孔を形成することができ、研削砥石の表面への切り粉の付着を防止することができる。
なお、比VS /VN が3/7未満、あるいは7/3を超えると、硬質マトリックス中での珪化ニッケル及び黒鉛の含有量が少なくなり、硬質マトリックスの硬度及び強度が低下すると共に、黒鉛の脱落によって形成される空孔量が少なくなり研削砥石の表面への切り粉の付着が顕著になって好ましくない。
請求項1〜5記載の研削砥石においては、研削中に黒鉛が研削砥石から脱落しその跡に形成される空孔内に切り粉が進入でき、研削砥石の目詰まりを防止することが可能になる。また、硬質マトリックス中の気孔内にも切り粉が進入して研削砥石の表面に切り粉が付着するのを防止でき、研削砥石の目詰まりを更に防止することが可能になる。その結果、研削砥石の研削性能が維持されて、高精度の研削仕上げを行うことが可能になると共に、工作機械上で簡便にツルーイング、ドレッシングを行うことができ、3次元曲面の超精密研削加工の自動化も可能になる。
特に、請求項2記載の研削砥石においては、硬質マトリックスが珪化物を含むことにより、多孔質であっても硬度を維持して硬質マトリックスの強度を向上させることができ、研削砥石の形崩れを防止することが可能になる。また、硬質マトリックス中には黒鉛が分散しているため、研削砥石と被研削物との間の潤滑性が向上し、研削時の抵抗を減少させることが可能になる。
請求項3記載の研削砥石においては、珪化物及び黒鉛は、炭化珪素と金属を燃焼合成反応させて得られたものであるので、珪化物が一様に分布した硬質マトリックスを形成することが可能になる。その結果、硬質マトリックスの硬度及び強度のバラツキを小さくすることができ、研削砥石の寿命を延長することができる。
黒鉛を硬質マトリックス中に均一に分散させることが可能になる。その結果、研削砥石を使用している際に、研削砥石中に空孔を均一に形成することができ、発生した切り粉を効率的に空孔内に進入させることができる。また、黒鉛が分散しているため、研削砥石と被研削物との間の潤滑性が向上させることができ、研削時の抵抗を減少させることが可能になる。
請求項4記載の研削砥石においては、金属はニッケルであり、珪化物は珪化ニッケルであるので、硬質マトリックスの硬度を更に高くして硬質マトリックスの強度を向上させることができ、研削砥石の形崩れをより防止することが可能になる。その結果、容易に高精度の研削仕上げを行うことが可能になる。
請求項5記載の研削砥石においては、砥粒は立方晶窒化硼素、表面に金属被覆層が形成された立方晶窒化硼素、ダイヤモンド粒、及び表面に金属被覆層が形成されたダイヤモンド粒のいずれか1つであるので、研削砥石の摩耗を防止して研削砥石の形崩れを抑制することができ、高精度の研削仕上げを行うことが可能になる。
請求項6〜8記載の研削砥石の製造方法においては、砥粒を黒鉛と共に多孔質の硬質マトリックス中に分散させさせることができ、研削時に発生した切り粉を硬質マトリックス中の気孔内に進入させて研削砥石の表面に付着するのが防止できる研削砥石を製造することが可能になる。更に、研削中に研削砥石から黒鉛を徐々に脱落させてその跡に生じる空孔内にも発生した切り粉を効率的に進入させることができる研削砥石を製造することが可能になる。
特に、請求項7記載の研削砥石の製造方法においては、焼結がプラズマ放電焼結であるので、焼結が短時間で完了して硬質マトリックスを構成する粒子の粒径を小さくすることができ、硬質マトリックスの強度を向上させることが可能になる。その結果、研削砥石の形崩れを防止することが可能になる。
請求項8記載の研削砥石の製造方法においては、金属粉末はニッケル粉末であるので、燃焼合成反応により珪化ニッケルが生成し多孔質の硬質マトリックスの硬度を高くして硬質マトリックスの強度を向上させることが可能になる。
また、混合物中での炭化珪素粉末の体積VS とニッケル粉末の体積VN との比VS /VN は、3/7以上で7/3以下であるので、硬質マトリックスに含まれる珪化ニッケルの量を確保して硬質マトリックスの硬度及び強度が低下するのを防止することができ、研削砥石の形崩れを防止することが可能になると共に、研削砥石の寿命を長くすることが可能になる。
また、硬質マトリックス中に黒鉛を所定量分散させることで、黒鉛が脱落することにより形成される空孔量を研削中に確保することができ、発生した切り粉を順次空孔内に進入させて研削砥石の表面に切り粉が付着するのを防止できる。その結果、研削砥石の目詰まりを防止することが可能になる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る研削砥石の砥石層の部分断面図、図2は炭化珪素とニッケルの混合物を燃焼合成反応させて得られた生成物のX線回折ピークパターン、図3は本発明の一実施の形態に係る研削砥石の研削時の状況を示す説明図、図4は同研削砥石の製造方法に適用されるプラズマ放電焼結装置の要部説明図、図5は同プラズマ放電焼結装置の運転状況を示す説明図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る研削砥石10は、多孔質の硬質マトリックス13中に砥粒の一例である立方晶窒化硼素粒11と軟質粒の一例である黒鉛12が分散している。多孔質の硬質マトリックス13は、炭化珪素と金属の一例であるニッケルとを燃焼合成反応させながら焼結して形成される珪化物の一例である珪化ニッケル(Ni2 Si)を含んでいる。以下これらについて、詳細に説明する。
立方晶窒化硼素粒11の量は研削砥石10の集中度に応じて調整する。集中度の低い研削砥石では立方晶窒化硼素粒11の体積VBNと硬質マトリックス13の体積VPMの体積比VBN/VPMは小さくし、集中度の高い研削砥石では体積比VBN/VPMは大きくする。例えば、集中度125の研削砥石では、体積比VBN/VPMが31.3/68.1である。
炭化珪素とニッケルが燃焼合成反応を起こすと、炭化珪素の珪素とニッケルの反応により珪化ニッケル(Ni2 Si)が生成し、炭素が遊離する。そして、生成した珪化ニッケルは焼結して一体化し、遊離した炭素は粒状の黒鉛12に変化し、立方晶窒化硼素11は変化せずそのままの状態で存在する。なお、珪化ニッケルの焼結は燃焼合成反応が発生している状態で進行しているので、焼結時の収縮が阻害され、炭化珪素やニッケルが存在していた場所に気孔14が残ることになる。
その結果、珪化ニッケルを含む、例えば、気孔率が6〜30%の多孔質の硬質マトリックス13が形成され、この硬質マトリックス13中に黒鉛12と立方晶窒化硼素粒11が分散した状態になる。
炭化珪素とニッケルを燃焼合成反応させながら焼結して形成される硬質マトリックスでは、炭化珪素とニッケルを過不足なく燃焼合成反応させて実質的に珪化ニッケル及び気孔14からなる硬質マトリックス13にすることも、炭化珪素量とニッケル量を調整して炭化珪素又は金属を残留させ硬質マトリックス中に含まれるようにすることもできる。炭化珪素とニッケルを過不足なく反応するように調整した混合物を燃焼合成反応させ得られた生成物のX線回折ピークパターンを図2に示す。図2から、珪化ニッケルとしてNi2 Siが生成し、炭化硅素から遊離した炭素が黒鉛に変化することが確認できる。なお、図2には、原料の一部となる炭化珪素とニッケルのX線回折ピークパターン、珪化ニッケル(Ni2 Si)の回折ピーク位置(▲)、及び黒鉛の回折ピーク位置(×)を併記している。
一般に、硬質マトリックスに含まれる珪化ニッケルの生成量を多くすると硬質マトリックスの強度を高く、炭化珪素を残留させるようにすると硬質マトリックスの硬度を高く、金属を残留させるようにすると硬質マトリックスの靱性を高くすることができる。従って、使用目的に応じて硬質マトリックスの構成内容を調整するのがよい。
図3に示すように、研削砥石10を用いて、例えば、金型母材15の研削を行うと、硬質マトリックス13中には黒鉛12が分散しているため、研削砥石10の表面と金型母材15との間の潤滑性が向上し、研削時の抵抗を小さくすることができる。
また、分散している黒鉛12は研削中に徐々に脱落し、その跡に空孔16が順次形成される。このため、研削時に発生した切り粉17は形成された空孔16内に進入する。更に、研削時に発生した切り粉17は硬質マトリックス13中の気孔14内にも進入する。このため、研削砥石10の表面に切り粉17が付着するのを防止できる。
次に、本発明の一実施の形態に係る研削砥石の製造方法について説明する。
例えば、粒度が48〜8000番の立方晶窒化硼素粒、粒度が40〜3000番の炭化珪素粉末、及び粒度が40〜3000番のニッケル粉末(金属粉末の一例)を所定の割合で秤量し、混合機の一例であるV型ミルで混合して混合物18(図4参照)を調製する(以上、第1工程)。
ここで、立方晶窒化硼素粒の粒度は、作製する砥石仕様(粗仕上げ用、中仕上げ用、最終仕上げ用)に応じて選択する。また、立方晶窒化硼素粒の使用量は研削砥石10の集中度に応じて調整し、例えば、集中度125の研削砥石では、立方晶窒化硼素粒11の体積VBNと硬質マトリックス13の体積VPMの体積比VBN/VPMを31.3/68.1になるように調整する。また、炭化珪素粉末の体積VS とニッケル粉末の体積VN との比VS /VN は、3/7〜7/3の範囲に調整する。これによって、硬質マトリックス13に含まれる珪化ニッケル量を確保して硬質マトリックス13の硬度及び強度を維持すると共に、硬質マトリックス13中に所定量の黒鉛12を分散させることができる。
次に、調製された混合物18を、図4に示すプラズマ放電焼結装置19の黒鉛製のパンチダイ20内に装入する。ここで、パンチダイ20には、パンチダイ20に一端側が嵌入して混合物18を上下方向から加圧する黒鉛製の上パンチ21及び下パンチ22が設けられており、上、下パンチ21、22の他端側にはそれぞれ上部電極23、下部電極24が形成されている。また、パンチダイ20の側部には、パンチダイ20の内面側の温度を検知するための熱電対25が挿入されている。
そして、パンチダイ20を収納する図示しないチャンバー内を真空ポンプで、例えば、0.1〜0.3トールの減圧状態(非酸化雰囲気の一例)にしてプラズマ放電焼結を行う。
ここで、プラズマ放電焼結は、図5に示すように、上部電極23と下部電極24間にパルス電流を一定時間Tだけ流してパンチダイ20内に放電プラズマを断続的に発生させ混合物18内の立方晶窒化硼素粒、炭化珪素粉末、及びニッケル粉末の表面を活性化する(例えば、表面の酸化物を除去して活性面を出現させる)パルス焼結と、パルス焼結終了後に上、下パンチ21、22で混合物18を加圧しながら上部電極23と下部電極24間に高電流を一定時間Sだけ流して混合物18を直接加熱し活性化した炭化珪素粉末及びニッケル粉末を燃焼合成反応させながら焼結させる通電加熱焼結により構成されている。
炭化珪素粉末及びニッケル粉末の各表面は活性化しているため燃焼合成反応が促進される。また、混合物18中に均一に分散している立方晶窒化硼素粒11の表面も活性化しているため、立方晶窒化硼素粒11はその周囲に形成された硬質マトリックス13と直接接触して、立方晶窒化硼素粒11は硬質マトリックス13に保持された状態で分散する。
パルス焼結は、上、下部電極23、24間に、例えば、100〜800A、パルス幅15〜999ミリ秒のパルス電流を一定時間Tとして30〜99秒間流す条件で行うことができる。
また、通電加熱焼結は、上、下パンチ21、22で混合物18を例えば、10〜3000MPaの圧力で加圧しながら、上、下部電極23、24間に1000〜5000Aの通電加熱電流を一定時間Sとして60〜999秒間流す条件で行うことができる。通電加熱焼結をこのような条件で行うことにより、焼結温度を1000〜1300℃の範囲で調節することができる。
なお、通電加熱焼結時にパンチダイ20内の混合物18の温度を直接測定することは困難なので、パンチダイ20内の混合物18の温度とパンチダイ20の内面側の温度との間に相関関係、及びパンチダイ20の内面側の温度とパンチダイ20の表面温度の関係をそれぞれ予め求めておき、通電加熱焼結時の焼結温度の管理は、放射温度計26によるパンチダイ20の表面温度の測定値に基づいて加熱電流を調節することにより行った(以上、第2工程)。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
ここで、図6はプラズマ放電焼結時におけるパンチダイの内面側の温度とパンチダイの表面温度の関係を示すグラフである。
ゼネラルエレクトリック製の立方晶窒化硼素粒(粒度1000番)、フジミインコーポレイテッド製グリーンシリコンカーバイド粉末(粒度3000番)、及び林純薬販売製ニッケル粉末(粒度3000番)を表1に示す割合(立方晶窒化硼素の混合量は集中度125)で秤量し、V型ミルで30分間混合して混合物を調製した。
Figure 2005254352
次いで、研削砥石形状に合わせた黒鉛製のパンチダイ(内径30mm)に下パンチを嵌入して、得られた混合物をパンチダイ内に所定量だけ装入し、上パンチをパンチダイに嵌入してパンチダイを収納しているチャンバー内を真空ポンプで、0.1〜0.3トールの減圧状態にした。
そして、上、下パンチにそれぞれ形成されている上、下部電極間に800A、パルス幅90ミリ秒のパルス電流を60秒間流すことによりパルス焼結を行ない、続いて、上、下パンチで混合物を30MPaの圧力で加圧しながら、パンチダイ内の混合物の温度が1150〜1250℃になるように調整した通電加熱電流を300秒間流すことにより通電加熱焼結を行った。
ここで、調製した混合物をパンチダイ内に充填して加熱した場合、パンチダイ内の混合物の温度はパンチダイの内面側(パンチダイの内面から2mm内部の位置)の温度より20〜50℃高くなることが実験から判明しており、パンチダイの内面側の温度とパンチダイの表面温度の間には図6に示す関係が成立しているので、パンチダイ内の混合物の温度を1150〜1250℃にするために、通電加熱焼結中のパンチダイの表面温度を940〜1000℃(実施例1、2:940℃、実施例3:1000℃)に調整した。
得られた研削砥石の砥石層の気孔率をアルキメデス法により測定し、ブリネル硬度を求めた。その結果を表1に示す。なお、表1には、X線回折から得られた硬質マトリックス中の構成相も併記している。
一般に、ブリネル硬度を測定する際に、被測定物中に気孔が存在すると硬度が低く、硬度測定時に加える荷重で被測定物が割れて硬度が測定できない。しかし、得られた研削砥石では、気孔率が13〜20.8%であるにもかかわらず83以上のブリネル硬度が得られた。従って、珪化ニッケルが生成することで硬質マトリックスの硬度が高くなって、硬質マトリックスの強度を向上させることができ、高気孔率化と高強度化の両立が達成されていることが確認された。
また、作製した研削砥石を用いて金型鋼の研削を行うと、目詰まりを起して研削が不能になるまでの時間が、従来の研削砥石に比較して2〜5倍に延長した。従って、本発明の研削砥石では、研削中に硬質マトリックス中に分散している黒鉛が脱落した跡に形成される空孔内及び硬質マトリックス中に存在していた気孔内に研削時に発生した切り粉が進入することができ、研削砥石の表面に切り粉が付着し難くなることが確認された。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の研削砥石及びその製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、砥粒に立方晶窒化硼素粒を使用したが、表面に金属被覆層が形成された立方晶窒化硼素粒、ダイヤモンド粒、表面に金属被覆層が形成されたダイヤモンド粒を使用してもよい。また、炭化珪素と燃焼合成反応を起こす金属としてニッケルを使用したが、鉄を使用することもできる。更に、研削砥石の配合割合において、砥粒の混合量を31.3体積%(集中度125)としたが、砥粒の混合量が31.3体積%未満(低集中度)又は31.3体積%を超える(高集中度)研削砥石を作製することもできる。
焼結にはプラズマ放電焼結を採用したが、混合物を砥石形状に予め成形し、水素雰囲気、窒素雰囲気、窒素と水素の混合雰囲気等の雰囲気調整が可能な焼結炉を用いて、1000〜1300℃の温度で焼結させることもできる。更に、砥粒(立方晶窒化硼素粒、表面に金属被覆層が形成された立方晶窒化硼素粒、ダイヤモンド粒、表面に金属被覆層が形成されたダイヤモンド粒)や黒鉛の酸化が抑制される場合は、大気中で加熱してもよい。
本発明の一実施の形態に係る研削砥石の砥石層の部分断面図である。 炭化珪素とニッケルの混合物を燃焼合成反応させて得られた生成物のX線回折ピークパターンである。 本発明の一実施の形態に係る研削砥石の研削時の状況を示す説明図である。 同研削砥石の製造方法に適用されるプラズマ放電焼結装置の要部説明図である。 同プラズマ放電焼結装置の運転状況を示す説明図である。 プラズマ放電焼結時におけるパンチダイの内面側の温度とパンチダイの表面温度の関係を示すグラフである。 従来例に係る研削砥石の研削時の状況を示す説明図である。
符号の説明
10:研削砥石、11:立方晶窒化硼素粒、12:黒鉛、13:硬質マトリックス、14:気孔、15:金型母材、16:空孔、17:切り粉、18:混合物、19:プラズマ放電焼結装置、20:パンチダイ、21:上パンチ、22:下パンチ、23:上部電極、24:下部電極、25:熱電対、26:放射温度計

Claims (8)

  1. 砥粒を軟質粒と共に多孔質の硬質マトリックス中に分散させたことを特徴とする研削砥石。
  2. 請求項1記載の研削砥石において、前記硬質マトリックスは珪化物を含み、前記軟質粒は黒鉛であることを特徴とする研削砥石。
  3. 請求項2記載の研削砥石において、前記珪化物及び前記黒鉛は、炭化珪素と金属を燃焼合成反応させて得られたものであることを特徴とする研削砥石。
  4. 請求項3記載の研削砥石において、前記金属はニッケルであり、前記珪化物は珪化ニッケルであることを特徴とする研削砥石。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の研削砥石において、前記砥粒は立方晶窒化硼素粒、表面に金属被覆層が形成された立方晶窒化硼素粒、ダイヤモンド粒、及び表面に金属被覆層が形成されたダイヤモンド粒のいずれか1つであることを特徴とする研削砥石。
  6. 砥粒、炭化珪素粉末、及び炭化珪素と燃焼合成反応する金属粉末を所定の割合で混合して混合物を調製する第1工程と、
    前記混合物を加熱し、燃焼合成反応させながら焼結させて前記砥粒及び黒鉛が分散した珪化物を含む多孔質の硬質マトリックスを形成させる第2工程とを有することを特徴とする研削砥石の製造方法。
  7. 請求項6記載の研削砥石の製造方法において、前記焼結がプラズマ放電焼結であることを特徴とする研削砥石の製造方法。
  8. 請求項6及び7のいずれか1項に記載の研削砥石の製造方法において、前記金属粉末はニッケル粉末であり、前記混合物中での前記炭化珪素粉末の体積VS と該ニッケル粉末の体積VN との比VS /VN は、3/7以上で7/3以下であることを特徴とする研削砥石の製造方法。
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