JP2005251541A - プロジェクタ型車両用灯具 - Google Patents
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Abstract
【課題】 灯具重量の軽減、部品点数の削減、および多機能化の容易化を図ることができること。
【解決手段】 光源は、複数個の小リフレクタ14の各々の小凹面鏡7の第1焦点F1の近傍に1個ずつ設定される複数個のLED11であり、小リフレクタ14、小リフレクタの前開口部を覆う小凸レンズ6が樹脂で形成されており、複数個の小リフレクタ14で構成される複数個の小プロジェクタ型灯具10a〜10nをハウジング20内に組み込むと共に、複数個の小プロジェクタ型灯具10a〜10nの内小プロジェクタ型灯具10k〜10nを標識・表示板照射機能を備えた灯具として構成することにより多機能化が図れる。
【選択図】 図1
【解決手段】 光源は、複数個の小リフレクタ14の各々の小凹面鏡7の第1焦点F1の近傍に1個ずつ設定される複数個のLED11であり、小リフレクタ14、小リフレクタの前開口部を覆う小凸レンズ6が樹脂で形成されており、複数個の小リフレクタ14で構成される複数個の小プロジェクタ型灯具10a〜10nをハウジング20内に組み込むと共に、複数個の小プロジェクタ型灯具10a〜10nの内小プロジェクタ型灯具10k〜10nを標識・表示板照射機能を備えた灯具として構成することにより多機能化が図れる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えばヘッドランプとして適用される、光源としてLED(発光ダイオード)を用いたプロジェクタ型車両用灯具に関する。
図14は、この種のプロジェクタ型車両用灯具100を示す(例えば、特許文献1参照)。この車両用灯具100は、ヘッドランプであり、凹面鏡1の第1焦点の近傍に設けられる光源バルブ2と、光源バルブ2から出射して凹面鏡1で反射された光束をほぼ平行な光束に調光して灯具前方に出射する凸レンズ3とを備えて大略構成されている。
詳しくは、車両用灯具100は、光源バルブ2と凸レンズ3との間にシェード4が設けられており、このシェード4によりすれ違い用のビームとして好適なカットラインを有する配光パターンを得ることができる。
光源バルブ2は、そのフィラメントを凹面鏡1の第1焦点に位置させると共に、その電気接続部を筒状開口部1aに嵌着して取り付けられている。凹面鏡1の開放端にはフレーム5が取り付けられており、フレーム5には凸レンズ3が固着されると共に、シェード4を支承している。
さらに車両用灯具100は、図15に示すように、凹面鏡1の光源バルブ2の装着用の筒状開口部1aに直近の上方に換気用の透孔1bが、同じく直近の下方に換気用の透孔1cがそれぞれ設けられている。
そして車両用灯具100は、点灯時光源バルブ2の周辺が高温になるが、その熱はこれら透孔1b、1c間で生じる熱対流により放熱されるので、光源バルブ2の周辺の極度の昇温が抑制される。
実願平4−76322号(実開平6−41010号)のマイクロフィルム
しかしながら、車両用灯具100においては、光源バルブ2の出射光が高い熱エネルギーを持っているので、凸レンズ3はガラスで形成しなければならず、そのため灯具重量の増大を招く、という課題を有している。
また、車両用灯具100は、ヘッドランプの機能を備えるだけであり、標識・表示板照射機能を併用させることができないので、これらの機能はそれぞれ専用の機能ランプ装置を用いて、車両用灯具100とは別の箇所に設置する必要があり、多機能化により部品点数が増加するばかりでなく設置スペースの確保も必要となり、ひいてはコスト高および取付の困難さを招く、という課題を有している。
また、車両用灯具100では、例えば、凹面鏡1がアルミ蒸着板、樹脂、あるいは鉄板で形成されており、凸レンズ3がガラスで形成されており、シェード4がアルミ蒸着板、あるいは鉄板で形成されており、フレーム5がアルミ蒸着板で形成されている。このように、車両用灯具100は、各部品に使われている材料が異なるため、各部品を別々に作り、これら複数の部品を組み付ける必要があるが、精度を必要としている光軸方向の寸法が、アッシ(Assy)バラツキや部品寸法バラツキにより、設計値通りになりぬくく、ひいては配光性能についてのバラツキが大きくなる、という課題を有している。
また、車両用灯具100は、それ自体の部品点数が多く、これにより部品管理が煩雑で、組み付け工数も増大し、ひいてはコスト高を招く、という課題を有している。
さらには、車両用灯具100は、透孔1b、1cが設けられた、凹面鏡1の中央部付近の反射性能が低下し、ひいては配光パターン中央部のホットゾーンの照度が低下する、という課題をも有している。
そこで、本発明は、灯具重量の軽減、部品点数の削減、および多機能化の容易化を図ることができると共に、優れた配光性能を安定して得ることができ、かつ凹面鏡の反射性能を最大限発揮して配光パターンのホットゾーンの充分な照度を得ることが可能なプロジェクタ型車両用灯具を提供することを目的としている。
前記した目的を達成するため、請求項1記載の発明は、凹面鏡の第1焦点の近傍に設けられる光源と、前記光源から出射して前記凹面鏡で反射された光束をほぼ平行な光束に調光して灯具前方に出射する凸レンズとを備えたプロジェクタ型車両用灯具であって、
前記光源は、複数個の小リフレクタの各々に回転楕円曲面あるいは回転楕円を基本にした自由曲面として形成される小凹面鏡の第1焦点の近傍に、前記小凹面鏡に発光部を対向させて1個ずつ設定される複数個のLEDで構成されており、
前記凸レンズは、前記複数個の小リフレクタの各前開口部を覆う複数個の小凸レンズで構成されており、
前記小リフレクタおよび前記小凸レンズは、樹脂で形成されており、
前記小リフレクタは、前記小凹面鏡を一体に形成した上部リフレクタと、略水平な反射面を有するシェードを一体に形成した下部リフレクタとを有して構成されており、
前記上部リフレクタと前記下部リフレクタとの間に前記小凸レンズを挟持すると共にこれら両リフレクタを結合し、かつ前記LEDを前記上部リフレクタに固定して前記小リフレクタ毎に小プロジェクタ型灯具を構成し、
前記複数個の小リフレクタで構成される複数個の小プロジェクタ型灯具をハウジング内に組み込むと共に、前記複数個の小プロジェクタ型灯具の内少なくとも1個を標識・表示板照射機能を備えた小プロジェクタ型灯具として構成されていることを特徴とする。
前記光源は、複数個の小リフレクタの各々に回転楕円曲面あるいは回転楕円を基本にした自由曲面として形成される小凹面鏡の第1焦点の近傍に、前記小凹面鏡に発光部を対向させて1個ずつ設定される複数個のLEDで構成されており、
前記凸レンズは、前記複数個の小リフレクタの各前開口部を覆う複数個の小凸レンズで構成されており、
前記小リフレクタおよび前記小凸レンズは、樹脂で形成されており、
前記小リフレクタは、前記小凹面鏡を一体に形成した上部リフレクタと、略水平な反射面を有するシェードを一体に形成した下部リフレクタとを有して構成されており、
前記上部リフレクタと前記下部リフレクタとの間に前記小凸レンズを挟持すると共にこれら両リフレクタを結合し、かつ前記LEDを前記上部リフレクタに固定して前記小リフレクタ毎に小プロジェクタ型灯具を構成し、
前記複数個の小リフレクタで構成される複数個の小プロジェクタ型灯具をハウジング内に組み込むと共に、前記複数個の小プロジェクタ型灯具の内少なくとも1個を標識・表示板照射機能を備えた小プロジェクタ型灯具として構成されていることを特徴とする。
このため、請求項1記載の発明では、LEDの光は、各小プロジェクタ型灯具毎に、小凹面鏡に向かって出射すると共に、この小凹面鏡で反射されてシェードを経て小凸レンズに達し、かつ小凸レンズを通過することによって、平行な光束に調光されて車両用灯具の前方へ出射し、所望の配光パターンを奏することができる。
このときの所望の配光パターンは、カットラインを有するすれ違いビーム用配光パターンと、前記標識・表示板照射機能を備えた小プロジェクタ型灯具により得られる前記すれ違いビーム用配光パターンの上に位置するオーバヘッドサインビーム用配光パターンとから構成される。
また、光源として適用したLEDは、それ自体小型であるので、取付に要するスペースを節約することができ、かつその出射光の熱エネルギーもフィラメント付き光源に比べて小さいので、灯室の過度の温度上昇を避けることができると共に、小凸レンズおよび小リフレクタを樹脂製にすることができる。
また、小凸レンズおよび小リフレクタは、樹脂製であるので、鉄板やアルミ蒸着板を用いたのに比べ、寸法精度良く形成することができる。
また、シェードは、略水平な反射面を有して形成されるものであるから、小凹面鏡の反射光を前記反射面で効率よく前方へ反射させることができ、これにより小凸レンズを介して出射する光束量を増大させることができる。
また、小リフレクタを構成する一方の上部リフレクタには、小凹面鏡が一体に形成されており、かつ他方の下部リフレクタには、シェードが一体に形成されているので、光学的に位置関係の重要な小凸レンズ、小凹面鏡、LED、およびシェードの相対的な位置を精度良く設定することができる。
ハウジング内に組み込まれる複数個の小プロジェクタ型灯具の内少なくとも1個を標識・表示板照射機能を備えた小プロジェクタ型灯具
として構成したので、専用のオーバヘッドサインビーム用灯具を用いることがないので、既成スペース内で容易に多機能化を図ることができる。
として構成したので、専用のオーバヘッドサインビーム用灯具を用いることがないので、既成スペース内で容易に多機能化を図ることができる。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のプロジェクタ型車両用灯具であって、
前記標識・表示板照射機能を備えた小プロジェクタ型灯具は、前記シェードが、前記下部リフレクタに立設されている起立壁と、この起立壁の上端に連続して形成されている前記略水平な反射面と、前記起立壁と前記略水平な反射面との境界部位に形成されている前記小凹面鏡の反射光をスルーさせる中央斜面とを有して形成されていることを特徴とする。
前記標識・表示板照射機能を備えた小プロジェクタ型灯具は、前記シェードが、前記下部リフレクタに立設されている起立壁と、この起立壁の上端に連続して形成されている前記略水平な反射面と、前記起立壁と前記略水平な反射面との境界部位に形成されている前記小凹面鏡の反射光をスルーさせる中央斜面とを有して形成されていることを特徴とする。
このため、請求項2記載の発明では、シェードに形成された中央斜面により、シェードの反射面は小凹面鏡の第2焦点位置よりも後方に位置することになり、これにより前記中央斜面をスルーするLEDの反射光、および前記反射面によりさらに反射するLEDの反射光により、標識・表示板照射に適した、略左右対称の横長の長円形状を呈するオーバヘッドサインビーム用配光パターンを奏することができる。
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載のプロジェクタ型車両用灯具であって、
前記標識・表示板照射機能を備えた小プロジェクタ型灯具は、
前記小凹面鏡が、その第2焦点よりも前方に延設された楕円の端部曲線に沿う断面形状の前側曲面を有して形成されており、かつ
前記シェードが、前記前側曲面による前記LEDの反射光を斜め上前方に反射させる斜面を有して前記下部リフレクタに立設される起立壁と、この起立壁の上端に連続して形成されている前記略水平な反射面と、前記起立壁と前記略水平な反射面との境界部位であって前記第2焦点位置に略合致させて形成されている折曲エッジ部とを有して形成されていることを特徴とする。
前記標識・表示板照射機能を備えた小プロジェクタ型灯具は、
前記小凹面鏡が、その第2焦点よりも前方に延設された楕円の端部曲線に沿う断面形状の前側曲面を有して形成されており、かつ
前記シェードが、前記前側曲面による前記LEDの反射光を斜め上前方に反射させる斜面を有して前記下部リフレクタに立設される起立壁と、この起立壁の上端に連続して形成されている前記略水平な反射面と、前記起立壁と前記略水平な反射面との境界部位であって前記第2焦点位置に略合致させて形成されている折曲エッジ部とを有して形成されていることを特徴とする。
このため、請求項3記載の発明では、1個の小プロジェクタ型灯具で、カットラインを有するすれ違いビーム用配光パターンと、オーバヘッドサインビーム用配光パターンの両配光パターンを同時に奏することができる。
すなわち、カットラインを有するすれ違いビーム用配光パターンは、主に折曲エッジ部に集光する反射光、および略水平な反射面による反射光に起因して形成することができるものであり、オーバヘッドサインビーム用配光パターンは、主に起立壁の斜面で反射する反射光に起因して形成することができるものである。
以上、詳述したように、請求項1記載の発明によれば、光源として適用したLEDは、それ自体小型であるので、取付に要するスペースを節約して小リフレクタを小型化することができ、かつその出射光の熱エネルギーもフィラメント付き光源に比べて小さいので、灯室の過度の温度上昇を避けることができると共に、小凸レンズおよび小リフレクタを樹脂製にすることができ、総じて車両用灯具全体のコンパクト化および重量の軽減を図ることができる。
また、請求項1記載の発明によれば、小凹面鏡に換気用の孔を穿設する必要がないので小凹面鏡の反射性能を最大限発揮することができること、およびシェードの反射面により小凸レンズを介して出射する光束量を増大させることができることにより、配光パターンのホットゾーンの充分な照度を得ることができ、ひいては走行車線の視認性を向上させることができる。
また、請求項1記載の発明によれば、小リフレクタおよび小凸レンズを樹脂製にしたので高寸法精度に形成することができること、および小リフレクタを構成する一方の上部リフレクタには、小凹面鏡が一体に形成されており、かつ他方の下部リフレクタには、シェードが一体に形成されているので、光学的に位置関係の重要な小凸レンズ、小凹面鏡、LED、およびシェードの相対的な位置を精度良く決定することができ、これにより光学的に優れた小プロジェクタ型灯具を品質の安定したものとして形成することができる。
また、請求項1記載の発明によれば、部品点数が少ないので、部品管理も容易で、容易に組み立てることができ、ひいてはコストの低減化をも図ることができる。
さらに、請求項1記載の発明によれば、ハウジング内に組み込まれる複数個の小プロジェクタ型灯具の内少なくとも1個を標識・表示板照射機能を備えた小プロジェクタ型灯具として構成したので、標識・表示板に対する視認性の向上した多機能化を図ることができる。
また、請求項2記載の発明によれば、シェードに形成された中央斜面により、シェードの反射面は小凹面鏡の第2焦点位置よりも後方に位置することになり、これにより前記中央斜面をスルーするLEDの反射光、および前記反射面によりさらに反射するLEDの反射光により、標識・表示板照射に適した、略左右対称の横長の長円形状を呈する配光パターン(オーバヘッドサインビーム用)を奏することができるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、標識・表示板に対する良好な視認性を確保することができる。
また、請求項3記載の発明によれば、ヘッドランプ機能を奏する複数個の小プロジェクタ型灯具の少なくとも1個を、カットラインを有するすれ違いビーム用配光パターンと、標識・表示板照射用(オーバヘッドサインビーム用)配光パターンの両配光パターンを同時に奏することができる小プロジェクタ型灯具で構成するようにしたので、請求項1記載の発明の効果に加えて、標識・表示板に対する良好な視認性を確保することができると共に、ヘッドランプ機能を奏する複数個の小プロジェクタ型灯具の設置エリア内で多機能化を容易に図ることができる。
以下、本発明を、その実施の形態に基づいて説明する。なお、図14、図15に開示したものと同一機能を奏する構成要素は、同一符号を付して説明する。
図1〜図3は、本発明のプロジェクタ型車両用灯具Aを示す。この車両用灯具Aは、LED11を光源とする複数個の小プロジェクタ型灯具10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i、10j、10k、10l、10m、10nを1個のハウジング20内に組み込んで大略構成されている。
本実施形態では、車両用灯具Aは、複数個の小プロジェクタ型灯具10a〜10jでヘッドランプ機能を奏するように構成されていると共に、複数個の小プロジェクタ型灯具10k〜10nで標識・表示板照射機能を奏するように構成されている。なお、小プロジェクタ型灯具は、以下代表例で示すときは、小プロジェクタ型灯具10a〜10jを符号10Aで示し、小プロジェクタ型灯具10k〜10nを符号10Bで示す。
ハウジング20は、前部を開口したケーシング22と、ケーシング22の開口部を覆う素通しガラス21とから構成されている。そして、複数個の小プロジェクタ型灯具10a〜10jは、取付具23を介してケーシング22に固着されることによってハウジング20内に組み込まれている。このとき、取付具23は、図外の2個のアジャストスクリュウとピボット構造とにより、複数個の小プロジェクタ型灯具10a〜10jの全体を上下左右に光軸調整可能にケーシング22に支持されている。
また、小プロジェクタ型灯具10a〜10jは、その取付位置によって、例えば次の配光パターンが得られるように設計される。
図6は、その配光パターンで、(a)は水平拡散タイプ(第1配光パターン)、(b)は集光フラットタイプ(第2配光パターン)、(c)はすれ違いビームのカットラインを有する水平拡散タイプ(第3配光パターン)、(d)はすれ違いビームのカットラインを有する集光フラットタイプ(第4配光パターン)をそれぞれ示す。
そして、小プロジェクタ型灯具10a〜10j中、小プロジェクタ型灯具10a、10c、10d、10gは、第3配光パターン(図6(c)参照)が得られるように設計され、小プロジェクタ型灯具10b、10e、10fは、第4配光パターン(図6(d)参照)が得られるように設計され、小プロジェクタ型灯具10h、10i、10jは、第1配光パターン(図6(a)参照)が得られるように設計される。そして複数個の小プロジェクタ型灯具10a〜10jは、総じて、図9に示す、すれ違いビームに適したカットラインCLを有する配光パターンLPを奏することができる。
詳しくは、小プロジェクタ型灯具10Aにおいては、光源は、図7に示すように、複数個の小リフレクタ14の各々に回転楕円曲面あるいは回転楕円を基本にした自由曲面として形成される小凹面鏡7の第1焦点F1の近傍に、小凹面鏡7に発光部11aを対向させて1個ずつ設定される複数個のLED11で構成されている。
凸レンズは、複数個の小リフレクタ14の各前開口部を覆う複数個の小凸レンズ6で構成されており、小リフレクタ14および小凸レンズ6は、樹脂で形成されている。このときの樹脂材は、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂が用いられ、特に小凸レンズ6用としては、光学的特性の優れたアクリル樹脂が用いられる。
小リフレクタ14は、図7に示すように、小凹面鏡7を一体に形成した上部リフレクタ12と、略水平な反射面4bを有するシェード4を一体に形成した下部リフレクタ13とを有して構成されている。
そして、小プロジェクタ型灯具10Aは、上部リフレクタ12と下部リフレクタ13との間に小凸レンズ6を挟持すると共にこれら両リフレクタ12、13を結合し、かつLED11を上部リフレクタ12に固定して小リフレクタ14毎に構成される。
具体的には、上部リフレクタ12は、その後部側に小凹面鏡7を形成すると共に、小凹面鏡7の前端部分に連続させて小凹面鏡7よりも大径の上部ケーシング部15が形成されると共に、さらにこの上部ケーシング部15の前端の内周に沿って、小凸レンズ6の上側部分を固定する上側固定部15aが溝状に形成されており、かつ内面に反射部材を蒸着することによって全体構成されている。
また、下部リフレクタ13は、シェード4と下部ケーシング部16とを一体に備えて構成されている。シェード4は、逆L字状の断面を有して下部ケーシング部16の後端部分に立設させて形成されており、上部の折曲エッジ部4aがメリジオナル像面に沿って形成されると共に、その上辺部に相当する反射面4bが、灯具10a〜10jの場合、図6の第1〜第4配光パターンにしたがって、図9のカットラインCLの相似形状に形成されたり、あるいは平坦面に形成されたりする。さらに、下部リフレクタ13は、下部ケーシング部16の前端の内周に沿って、小凸レンズ6の下側部分を固定する下側固定部16aが溝状に形成されており、かつ内面に反射部材を蒸着することによって全体構成されている。
そして、小リフレクタ14は、図4および図7に示すように、両リフレクタ12、13をそれぞれの外周部に形成したフランジ部12a、13aを当接させて結合手段により結合することにより構成される。これにより、小リフレクタ14は、前側の略半部分が両ケーシング部15、16により閉鎖断面に構成されており、後側の略半部分が上部リフレクタ12の小凹面鏡7とシェード4の反射面4bとからなる前側閉鎖断面と、小凹面鏡7のみによる後側半円形断面とに構成されており、かつ下部リフレクタ13に一体に設けられたシェード4の折曲エッジ部4aは、小凹面鏡7の第2焦点F2の付近に位置することになる。
このときの結合手段は、ねじ8と、上部リフレクタ12のフランジ部12aに穿設したねじ孔17と、下部リフレクタ13に一体に設けられた結合ボス部18と、下部リフレクタ13に一体に設けられた結合ボス部18とにより構成されており、ねじ8を、ねじ孔17(図7(a)参照)を透通させて結合ボス部18(図4参照)に螺合させることによって、両リフレクタ12、13を結合することができる。
また、小凸レンズ6は、薄肉状の外周フランジ部6aを有して構成されており、両リフレクタ12、13の結合の際に、その外周フランジ部6aを両固定部15a、16aに嵌着させて取り付けられている。
このように構成された小プロジェクタ型灯具10Aは、図7に示すように、前側灯室14aが小凸レンズ6と上部ケーシング部15と下部ケーシング部16とにより形成されており、その後側灯室14bが小凹面鏡7と小凹面鏡7の前側の下部を部分的に覆うシェード4の反射面4bと小凹面鏡7に発光部11aを対向させて上部リフレクタ12に固定されたLED11とにより形成されている。
このとき、LED11は、その発光部11aを、小凸レンズ6の中心部位と第1焦点F1を通る灯具10Aの光軸Zに対して略直交方向に配置して設置されている。図8は、LED11の発光部11aから出射される光の出射パターンL0を示しており、図7(b)の破線は、その出射パターンL0の光の小凹面鏡7への入射状態を示している。
本実施形態では、上部リフレクタ12には、光源固定部19が一体に形成されており、LED11は、サブアッシ部材として、光源固定部19を介して上部リフレクタ12に固定される。
LED11は、図4および図5に示すように、取付板9に固着されてサブアッシされており、取付板9を上部リフレクタ12の後側の略半部分に設けた光源固定部19にねじ24で結合することにより、その発光部11aを小凹面鏡7に対向させて取り付けられる。図4および図5中、符号25は4本のリード線で、内2本がLED11のリード線で、他の2本が冷却素子用である。この光源固定部19を介して上部リフレクタ12に固定することによって、LED11の発光部11aが小凹面鏡7の第1焦点F1の近傍に精度良く位置するようになる。
また、小プロジェクタ型灯具10Bは、前述した小プロジェクタ型灯具10Aと同様な構成要素を有すると共に、標識・表示板照射機能を備えて構成されている。
すなわち、小プロジェクタ型灯具10Bは、シェード4の形状を異にするのみで、他の構成は小プロジェクタ型灯具10Bと同様に構成されている。
すなわち、小プロジェクタ型灯具10Bにおけるシェード4は、図10(b)に示すように、下部リフレクタ13に立設されている起立壁4dと、この起立壁4dの上端に連続して形成されている略水平な反射面4bと、起立壁4dと略水平な反射面4bとの境界部位に形成されている小凹面鏡7の反射光L2をスルーさせる中央斜面4cとを有して構成されている。
このように構成された小プロジェクタ型灯具10Bによれば、シェード4に形成された中央斜面4cにより、シェード4の反射面4bは小凹面鏡7の第2焦点F2位置よりも後方に位置することになり、これにより中央斜面4cをスルーするLED11の反射光L2および反射面4bによりさらに反射するLED11の反射光L3により、図11に示すように、オーバヘッドサインビーム用配光パターンLP2を奏することができる。このオーバヘッドサインビーム用配光パターンLP2は、標識・表示板Dを包含する大きさの、略左右対称の横長の長円形状を呈する配光パターンとなり、標識・表示板照射機能を的確に奏することができる。
そして、車両用灯具Aは、小プロジェクタ型灯具10Aからなる小プロジェクタ型灯具10a〜10jと、小プロジェクタ型灯具10Bからなる小プロジェクタ型灯具10k〜10nとをハウジング20内の適所に組み込んで全体構成される。
すなわち、複数個の小プロジェクタ型灯具10a〜10nを、図3および図4に示すように、第1取付具23a、第2取付具23b、および第3取付具23cからなる取付具23を適宜用いて、小凸レンズ6を素通しガラス21に対向させると共に、上部および下部リフレクタ12および13をそれぞれ上側および下側になるようにしてケーシング22に取り付けることによって、全体構成される。この取付に際しては、小プロジェクタ型灯具10k〜10nは、そのオーバヘッドサインビーム用配光パターンLP2が、図11に示すように、すれ違いビーム用配光パターンLPと重ならない上方位置に位置する様に方向付けて取り付けられる。
すなわち、複数個の小プロジェクタ型灯具10a〜10nを、図3および図4に示すように、第1取付具23a、第2取付具23b、および第3取付具23cからなる取付具23を適宜用いて、小凸レンズ6を素通しガラス21に対向させると共に、上部および下部リフレクタ12および13をそれぞれ上側および下側になるようにしてケーシング22に取り付けることによって、全体構成される。この取付に際しては、小プロジェクタ型灯具10k〜10nは、そのオーバヘッドサインビーム用配光パターンLP2が、図11に示すように、すれ違いビーム用配光パターンLPと重ならない上方位置に位置する様に方向付けて取り付けられる。
このようにして構成された車両用灯具Aにおいては、ヘッドランプ機能を奏する複数個の小プロジェクタ型灯具10a〜10jのLED11の光Lは、図7(b)に示すように、その発光部11aから小凹面鏡7の反射面に向かって出射すると共に、小凹面鏡7の反射面で反射された後、小凹面鏡7の第2焦点F2の位置に形成したシェード4に集光し、集光した光の内一部がシェード4に遮られると共に他の一部は反射面4bで反射されて、大部分の光がカットラインCLを備えた配光パターンLPとなって車両用灯具Aの前方に投光される。このときの反射面4bでの反射は、前方へ投光される光束量の増加を招き、ひいては照度向上に寄与する。その上、小凹面鏡7に温度調整用の孔を穿設する必要がないので、小凹面鏡7の反射性能を最大限発揮することができ、反射面4bの反射と相俟ってホットゾーンLP1(図9参照)の照度を向上させることができる。
また、標識・表示板照射機能を奏する複数個の小プロジェクタ型灯具10k〜10nは、図11に示すように、すれ違いビーム用配光パターンLPの上に、同時にオーバヘッドサインビーム用配光パターンLP2を奏することができる。
このように車両用灯具Aは、標識・表示板照射機能を備えることによりヘッドランプの多機能化を図ることができる。
また、光源として適用したLED11は、それ自体小型であるので、取付に要するスペースを節約して小リフレクタ14を小型化することができ、かつその出射光Lの熱エネルギーもフィラメント付き光源(図11の光源バルブ2参照)に比べて小さいので、灯室の過度の温度上昇を避けることができると共に、小凸レンズ6および小リフレクタ14を樹脂製にすることができ、総じて灯具Aのコンパクト化および重量の軽減を図ることができる。
また、小凸レンズ6および小リフレクタ14は、樹脂製であるので、鉄板やアルミ蒸着板を用いたのに比べ、寸法精度良く形成することができる。
また、小リフレクタ14を構成する一方の上部リフレクタ12には、小凸レンズ6の上側固定部15a、小凹面鏡7、および光源固定部19が一体に形成されており、かつ他方の下部リフレクタ13には、小凸レンズ6の下側固定部16aおよびシェード4が一体に形成されているので、光学的に位置関係の重要な小凸レンズ6、小凹面鏡7、LED11、およびシェード4の相対的な位置を精度良く設定することができ、ひいては光学的に優れた小プロジェクタ型灯具10A、10Bを品質の安定したものとして形成することができる。
さらに、小プロジェクタ型灯具10A、10Bは、部品点数が少ないので、部品管理も容易で、容易に組み立てることができ、ひいてはコストの低減化をも図ることができる。
図12は、本発明の他の実施形態としてのプロジェクタ型車両用灯具A1を示す。この車両用灯具A1は、ヘッドランプ機能を奏する複数個の小プロジェクタ型灯具10a〜10jの内少なくとも1個が標識・表示板照射機能を備えた小プロジェクタ型灯具Cで構成されている。
すなわち、車両用灯具A1は、小プロジェクタ型灯具10a〜10jの全部を、小プロジェクタ型灯具10Cのみで構成することもできるし、または前述した小プロジェクタ型灯具10Aと小プロジェクタ型灯具10Cとを適宜組み合わせて構成することもできる。図12中、符号26、27は、それぞれクリアランスランプ、フロントターンランプである。
小プロジェクタ型灯具10Cは、小凹面鏡7およびシェード4の形状が異なるだけで、他の構成は前述した小プロジェクタ型灯具10Aと同様に構成されている。
すなわち、小プロジェクタ型灯具10Cは、図13に示すように、小凹面鏡7が、その第2焦点F2よりも前方に延設された楕円の端部曲線に沿う断面形状の前側曲面7aを有して形成されており、かつシェード4が、前側曲面7aによるLED11の反射光L4を斜め上前方に反射(反射光L5)させる斜面4eを有して下部リフレクタ13に立設される起立壁4dと、この起立壁4dの上端に連続して形成されている略水平な反射面4bと、起立壁4dと略水平な反射面4bとの境界部位であって小凹面鏡7の第2焦点F2位置に略合致させて形成されている折曲エッジ部4aとを有して形成されている。
このように構成された小プロジェクタ型灯具10Cは、図11に示すように、1個でカットラインを有するすれ違いビーム用配光パターンLPと、オーバヘッドサインビーム用配光パターンLP2の両配光パターンを同時に奏することができる。
すなわち、カットラインを有するすれ違いビーム用配光パターンLPは、主に折曲エッジ部4aに集光する反射光、および略水平な反射面4bによる反射光に起因して形成することができるものであり、オーバヘッドサインビーム用配光パターンLP2は、主に起立壁4dの斜面4eで反射する反射光L5に起因して形成することができるものである。
このように構成された車両用灯具A1は、前述した車両用灯具Aと同様な作用効果を奏することができることは勿論であるが、それに加えてヘッドランプ機能を奏する小プロジェクタ型灯具10a〜10jの内の少なくとも1個を小プロジェクタ型灯具10Cで構成することにより、ヘッドランプの多機能化を図ることができるので、前記多機能化を、ヘッドランプ機能を奏する複数個の小プロジェクタ型灯具10a〜10jの設置エリア内で図ることができ、これにより設置スペースの確保を要することなく多機能化を容易に図ることができる。
4 シェード
4a 折曲エッジ部
4b 反射面
4c 中央斜面
4d 起立壁
4e 斜面
6 小凸レンズ
7 小凹面鏡
7a 前側曲面
10A、10B、10C 小プロジェクタ型灯具
10a、〜、10n 小プロジェクタ型灯具
11 LED
11a 発光部(LEDの)
12 上部リフレクタ
13 下部リフレクタ
14 小リフレクタ
20 ハウジング
A プロジェクタ型車両用灯具
F1 第1焦点(小凹面鏡の)
F2 第2焦点(小凹面鏡の)
L1、L2、L3、L4 反射光(小凹面鏡の)
4a 折曲エッジ部
4b 反射面
4c 中央斜面
4d 起立壁
4e 斜面
6 小凸レンズ
7 小凹面鏡
7a 前側曲面
10A、10B、10C 小プロジェクタ型灯具
10a、〜、10n 小プロジェクタ型灯具
11 LED
11a 発光部(LEDの)
12 上部リフレクタ
13 下部リフレクタ
14 小リフレクタ
20 ハウジング
A プロジェクタ型車両用灯具
F1 第1焦点(小凹面鏡の)
F2 第2焦点(小凹面鏡の)
L1、L2、L3、L4 反射光(小凹面鏡の)
Claims (3)
- 凹面鏡の第1焦点の近傍に設けられる光源と、前記光源から出射して前記凹面鏡で反射された光束をほぼ平行な光束に調光して灯具前方に出射する凸レンズとを備えたプロジェクタ型車両用灯具であって、
前記光源は、複数個の小リフレクタの各々に回転楕円曲面あるいは回転楕円を基本にした自由曲面として形成される小凹面鏡の第1焦点の近傍に、前記小凹面鏡に発光部を対向させて1個ずつ設定される複数個のLEDで構成されており、
前記凸レンズは、前記複数個の小リフレクタの各前開口部を覆う複数個の小凸レンズで構成されており、
前記小リフレクタおよび前記小凸レンズは、樹脂で形成されており、
前記小リフレクタは、前記小凹面鏡を一体に形成した上部リフレクタと、略水平な反射面を有するシェードを一体に形成した下部リフレクタとを有して構成されており、
前記上部リフレクタと前記下部リフレクタとの間に前記小凸レンズを挟持すると共にこれら両リフレクタを結合し、かつ前記LEDを前記上部リフレクタに固定して前記小リフレクタ毎に小プロジェクタ型灯具を構成し、
前記複数個の小リフレクタで構成される複数個の小プロジェクタ型灯具をハウジング内に組み込むと共に、前記複数個の小プロジェクタ型灯具の内少なくとも1個を標識・表示板照射機能を備えた小プロジェクタ型灯具として構成されていることを特徴とするプロジェクタ型車両用灯具。 - 請求項1記載のプロジェクタ型車両用灯具であって、
前記標識・表示板照射機能を備えた小プロジェクタ型灯具は、前記シェードが、前記下部リフレクタに立設されている起立壁と、この起立壁の上端に連続して形成されている前記略水平な反射面と、前記起立壁と前記略水平な反射面との境界部位に形成されている前記小凹面鏡の反射光をスルーさせる中央斜面とを有して形成されていることを特徴とするプロジェクタ型車両用灯具。 - 請求項1記載のプロジェクタ型車両用灯具であって、
前記標識・表示板照射機能を備えた小プロジェクタ型灯具は、
前記小凹面鏡が、その第2焦点よりも前方に延設された楕円の端部曲線に沿う断面形状の前側曲面を有して形成されており、かつ
前記シェードが、前記前側曲面による前記LEDの反射光を斜め上前方に反射させる斜面を有して前記下部リフレクタに立設される起立壁と、この起立壁の上端に連続して形成されている前記略水平な反射面と、前記起立壁と前記略水平な反射面との境界部位であって前記第2焦点位置に略合致させて形成されている折曲エッジ部とを有して形成されていることを特徴とするプロジェクタ型車両用灯具。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004059684A JP2005251541A (ja) | 2004-02-04 | 2004-03-03 | プロジェクタ型車両用灯具 |
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JP2004028443 | 2004-02-04 | ||
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ID=35031809
Family Applications (1)
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JP2004059684A Pending JP2005251541A (ja) | 2004-02-04 | 2004-03-03 | プロジェクタ型車両用灯具 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007134052A (ja) * | 2005-11-08 | 2007-05-31 | Koito Mfg Co Ltd | 車両用照明装置 |
JP2010165536A (ja) * | 2009-01-15 | 2010-07-29 | Ichikoh Ind Ltd | 車両用灯具 |
-
2004
- 2004-03-03 JP JP2004059684A patent/JP2005251541A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007134052A (ja) * | 2005-11-08 | 2007-05-31 | Koito Mfg Co Ltd | 車両用照明装置 |
JP4676865B2 (ja) * | 2005-11-08 | 2011-04-27 | 株式会社小糸製作所 | 車両用照明装置 |
JP2010165536A (ja) * | 2009-01-15 | 2010-07-29 | Ichikoh Ind Ltd | 車両用灯具 |
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