JP2005248272A - ステンレス鋼帯の硝弗酸酸洗液の弗酸濃度調整方法 - Google Patents

ステンレス鋼帯の硝弗酸酸洗液の弗酸濃度調整方法 Download PDF

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Abstract

【要 約】
【課 題】 ステンレス鋼帯を酸洗する硝弗酸酸洗液の弗酸濃度の好適範囲を予め設定しておき、酸洗を連続的に行ないながら硝弗酸酸洗液の弗酸濃度を好適範囲内に精度良く維持する方法を提供する。
【解決手段】 硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液のFe含有量[%Fe](質量%)と硝酸濃度[%HNO3](質量%)と温度T(℃)とを測定し、硝弗酸酸洗液中を通過するステンレス鋼帯の面積S(m2 )と硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液の体積M(m3 )とを算出し、それらを用いて弗酸消費量ΔHF(m3 )を算出し、算出されたΔHF値に相当する量の弗酸を硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液に添加する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ステンレス鋼帯の酸洗を行なう際に使用する硝弗酸酸洗液の弗酸濃度を調整する方法に関する。
ステンレス鋼帯は、ステンレス鋼スラブに熱間圧延を施してステンレス鋼帯とし、さらに焼鈍を施した後、酸洗を行なってコイルに巻き取られる。ステンレス鋼スラブは変形抵抗が大きいので、所定の寸法のステンレス鋼帯を得るために熱間圧延は不可欠の工程であり、さらに熱間圧延を施したステンレス鋼帯に所定の機械的性質を付与するための焼鈍も不可欠の工程である。
ところが熱間圧延や焼鈍を行なうことによって、スケールと呼ばれる酸化物がステンレス鋼帯の表面に生成する。一方、ステンレス鋼帯から製造される各種製品には、特有の表面光沢が要求される。したがって、ステンレス鋼帯に焼鈍を施した後、表面に生成したスケールを除去する必要がある。ステンレス鋼帯の製造ラインでは、酸性水溶液を用いてスケールを化学的に除去する技術(以下、酸洗という)が広く採用されている。
ステンレス鋼帯の酸洗は、酸洗槽に収容した酸性水溶液(以下、酸洗液という)にステンレス鋼帯を浸漬して、スケールを除去する技術である。したがって、酸洗液の酸濃度が低すぎる場合は、スケールは十分に除去されず、ステンレス鋼帯の表面にスケールが残留する。酸洗液の酸濃度が高すぎる場合は、ステンレス鋼帯が腐食され、ステンレス鋼帯の表面に凹凸が生じる。
酸洗槽はステンレス鋼帯の製造ラインに設置され、その製造ラインを搬送されるステンレス鋼帯が連続的に酸洗液に浸漬されるので、酸洗液の酸濃度が好適範囲を外れた状態で操業を継続すると、ステンレス鋼帯の歩留りや生産性に多大な悪影響を及ぼす。そのためステンレス鋼帯の製造ラインでは、酸洗液の酸濃度を好適範囲内に維持する必要がある。
酸洗液の酸濃度を好適範囲内に維持するためには、従来から、酸洗液からサンプルを採取して酸濃度を測定し、その酸濃度の測定値と予め設定された好適範囲とを比較する方法が採用されている。つまり、測定値が好適範囲より高い場合は酸洗液に水を添加して希釈し、測定値が好適範囲より低い場合は酸洗液に酸を添加して濃化する。ところが酸洗液のサンプルの酸濃度を測定するには約70分の時間を要する。酸濃度の測定値が好適範囲内であれば、そのまま操業を継続しても支障はない。
しかし測定値が好適範囲を外れた場合は、酸濃度を好適範囲内に維持するために必要な水あるいは酸の添加量を計算した上で、算出された所定量の水あるいは酸を酸洗液に添加する。その際、所定量の水あるいは酸を短時間で添加すると、酸洗槽内の酸洗液の酸濃度が局部的に希釈されたり濃化されるので、酸洗を施したステンレス鋼帯の表面性状が不均一になる。したがって酸洗液に水や酸を添加する場合は、少量ずつ長時間にわたって添加する必要がある。その結果、好適範囲から外れた酸濃度が再び好適範囲内に回復するまでには、酸濃度を測定するに要する時間,水あるいは酸の添加量を決定するに要する時間,少量ずつ添加する水あるいは酸が所定の添加量に到達するに要する時間が必要である。
したがって従来の技術では、酸洗液の酸濃度を常に好適範囲内に維持することは困難であり、一旦酸濃度が好適範囲を外れた後、再び好適範囲内に回復するまでには、かなり長時間を要する。その間に酸洗を施したステンレス鋼帯は、その表面にスケールが残留したり凹凸が生じる恐れがある。
特にステンレス鋼帯の製造ラインでは、酸洗液として硫酸の水溶液(以下、硫酸酸洗液という)を用いて酸洗を行なった後、さらに硝酸と弗酸とを混合した水溶液(以下、硝弗酸酸洗液という)を用いて酸洗を行なう。ステンレス鋼帯の酸洗で使用する硫酸酸洗液および硝弗酸酸洗液のうち、硝弗酸酸洗液は酸性が強いので、その濃度管理は極めて重要である。硝弗酸酸洗液の弗酸あるいは硝酸の濃度が低すぎる場合は、スケールは十分に除去されず、ステンレス鋼帯の表面にスケールが残留する。弗酸あるいは硝酸の濃度が高すぎる場合は、ステンレス鋼帯が著しく腐食され、ステンレス鋼帯の表面に生じる凹凸の高低差や開口面積が拡大される。
特に、弗酸の濃度が高すぎる状態でステンレス鋼帯の酸洗を行なうと、FeとFの化合物(いわゆるスラッジ)が多量に発生する。硝弗酸酸洗液を収容した酸洗槽(以下、硝弗酸酸洗槽という)にスラッジが堆積すると酸洗に支障を来たすので、スラッジを硝弗酸酸洗槽から排出しなければならない。しかし硝弗酸酸洗液は酸性が強いので、作業者がスラッジを排出するのは容易ではなく、しかも排出したスラッジの洗浄やスラッジとともに排出された硝弗酸酸洗液の中和が必要である(たとえば特許文献1参照)。
このように硝弗酸酸洗液の弗酸濃度が好適範囲を外れると、ステンレス鋼帯の歩留りや生産性に多大な悪影響を及ぼすばかりでなく、設備の保全にも多大な負荷が加わる。そこで、硝弗酸酸洗液の硝酸濃度を好適範囲内に維持するために、硝弗酸酸洗液の硝酸濃度,F濃度あるいはFe濃度を測定し、その測定値に基づいて弗酸を添加する技術が検討されている(たとえば特許文献2参照)。しかし既に説明した通り、それらの技術では、硝弗酸酸洗液の弗酸濃度を常に好適範囲内に維持することは困難であり、一旦弗酸濃度が好適範囲を外れた後、再び好適範囲内に回復するまでには長時間を要する。
特開平9-201516号公報 特開平5-263279号公報
本発明は、ステンレス鋼帯を酸洗する硝弗酸酸洗液の弗酸濃度を精度良く調整する方法を提供することを目的とする。
本発明は、ステンレス鋼帯の硝弗酸酸洗槽に収容した硝弗酸酸洗液の弗酸濃度調整方法において、前記硝弗酸酸洗槽内の前記硝弗酸酸洗液のFe含有量[%Fe](質量%)と硝酸濃度[%HNO3](質量%)と温度T(℃)とを測定し、前記硝弗酸酸洗液中を通過する前記ステンレス鋼帯の面積S(m2 )を前記ステンレス鋼帯の寸法に基づいて算出し、前記[%Fe],前記[%HNO3],前記Tの測定値を用いて下記の (1)式で弗酸濃度の減少量Δ[%HF](質量%/m2 )を算出し、前記S,前記Δ[%HF]の算出値および前記硝弗酸酸洗槽内の前記硝弗酸酸洗液の体積M(m3 )を用いて下記の (2)式で弗酸消費量ΔHF(m3 )を算出し、算出された前記ΔHF値に相当する量の弗酸を前記硝弗酸酸洗槽内の前記硝弗酸酸洗液に添加する弗酸濃度調整方法である。
なお硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液に弗酸を添加する場合には、純粋な弗酸(以下、弗酸原液という)を添加するか、あるいは弗酸を希釈した水溶液を添加する。ただし弗酸原液を短時間で添加すると、硝弗酸酸洗液の弗酸濃度が局部的に上昇して、ステンレス鋼帯の酸洗処理に支障を来たす。そのため硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液には、弗酸原液を少量ずつ長時間にわたって添加するか、あるいは弗酸を希釈した水溶液を添加するのが好ましい。算出されたΔHF値と同量の弗酸原液を添加するのに要する弗酸水溶液の添加量は、その濃度に応じて変化する。したがって本発明では、ΔHF値に相当する質量の弗酸を硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液に添加する(すなわち弗酸水溶液に含有される弗酸の質量を弗酸原液に換算した値がΔHF値に等しくなる)ように、弗酸水溶液の添加量を決定する。
また本発明の弗酸濃度調整方法においては、前記硝弗酸酸洗槽から回収した硝弗酸酸洗液中の金属イオンを除去した後、前記硝弗酸酸洗液を回収タンクに貯留し、前記回収タンク内の弗酸濃度[%freeHF](質量%)を測定し、前記[%Fe],前記[%HNO3],前記T,前記[%freeHF]の測定値および前記回収タンク内の前記硝弗酸酸洗液の体積R(m3 )を用いて下記の (3)式で弗酸原液投入量G(m3 )を算出し、算出された前記G値と同量の弗酸原液を前記回収タンク内の前記硝弗酸酸洗液に添加して前記硝弗酸酸洗槽へ循環させることが好ましい。
なお回収タンク内の硝弗酸酸洗液に弗酸を添加する場合には、弗酸原液を添加しても支障はない。その理由は、硝弗酸酸洗液が回収タンクから硝弗酸酸洗槽へ輸送される間に十分に攪拌されるからである。
Δ[%HF]=2.55×10-4+3.77×10-6[%Fe]−2.97×10-6[%HNO3
−4.37×10-6T ・・・ (1)
ΔHF=Δ[%HF]×S×M/100 ・・・ (2)
G=1.72+2.55×10-2[%Fe]−2.01×10-2[%HNO3]−2.95×10-2
−1.82×10-2R[%freeHF] ・・・ (3)
[%Fe] :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液のFe含有量(質量%)
[%HNO3] :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液の硝酸濃度(質量%)
T :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液の温度(℃)
S :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液中を通過するステンレス鋼帯の面積(m2
M :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液の体積(m3
Δ[%HF]:硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液の弗酸濃度の減少量(質量%/m2
ΔHF :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液の弗酸消費量(m3
[%freeHF]:回収タンク内の硝弗酸酸洗液の弗酸濃度(質量%)
R :回収タンク内の硝弗酸酸洗液の体積(m3
G :回収タンクへの弗酸原液投入量(m3
本発明によれば、ステンレス鋼帯の酸洗を連続的に行ないながら硝弗酸酸洗液の弗酸濃度を調整して好適範囲内に精度良く維持することが可能である。その結果、ステンレス鋼帯の歩留りおよび生産性が向上する。
図1は、本発明を適用する装置の例を示す説明図である。本発明者らは、ステンレス鋼帯に熱間圧延を施し、さらに焼鈍を施した後、硫酸酸洗液で酸洗を行ない、次いで図1に示す硝弗酸酸洗槽2で酸洗を行なう一連の製造ラインにて、硝弗酸酸洗液の弗酸濃度を好適範囲内に維持する方法について鋭意検討した。その結果、硝弗酸酸洗槽2に収容した硝弗酸酸洗液の弗酸濃度[%HF](質量%)は、ステンレス鋼帯の酸洗を行なうことによって減少し、その[%HF]の減少量は、ステンレス鋼帯の酸洗処理量に依存することを見出した。したがってステンレス鋼帯の酸洗処理量に応じて、弗酸を補給する必要がある。
弗酸の補給は、弗酸原液の貯蔵タンク1と回収タンク7から循環タンク3を通じて行なわれる。
ステンレス鋼帯の酸洗処理量は、酸洗を行なうために硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液を通過したステンレス鋼帯の量であるが、そのステンレス鋼帯の重量で[%HF]の減少量を予測するのは困難であり、ステンレス鋼帯の面積を用いることによって、[%HF]の減少量を精度良く予測することができる。そこで、硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液を通過したステンレス鋼帯の単位面積(すなわち1m2 )あたりの[%HF]の減少量をΔ[%HF](質量%/m2 )とすると、そのΔ[%HF]は、硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液のFe含有量[%Fe](質量%),硝酸濃度[%HNO3](質量%),温度T(℃)に依存する。
操業データおよび実験データを詳細に検討して、Δ[%HF]と[%Fe],[%HNO3],Tとの関係を解析した結果、Δ[%HF]は下記の (1)式で算出できることが分かった。
Δ[%HF]=2.55×10-4+3.77×10-6[%Fe]−2.97×10-6[%HNO3
−4.37×10-6T ・・・ (1)
上記の (1)式でΔ[%HF]を算出するにあたって、硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液のFe含有量[%Fe](質量%)と硝酸濃度[%HNO3]は、硝弗酸酸洗液からサンプルを採取し、そのサンプルを分析して[%Fe]と[%HNO3]を測定する。本発明では[%Fe],[%HNO3]の測定方法は、特定の分析法に限定せず、中和適定法,吸光度法等の従来から知られている技術が使用できる。
硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液の温度Tは、温度計を用いて測定する。本発明では、温度計は特定の型式に限定せず、硝弗酸酸洗槽2の仕様や操業条件に応じて適宜選択して使用すれば良い。ただし、非接触式温度計(たとえば放射温度計等)は外乱によって測定精度が低下する恐れがあるので、外乱を排除して温度測定の環境を一定に保って使用する必要がある。一方、接触式温度計(たとえば熱電対等)は、外乱の影響は少なく、Tの測定精度が高いので好ましい。
これらの[%Fe],[%HNO3],Tを測定した後、次に測定するまでの時間(以下、測定間隔という)は、硝弗酸酸洗槽2の仕様や操業条件に応じて適宜設定する。Tについては常時連続して測定することも可能であり、Tの測定間隔は問題なく設定できる。しかし[%Fe],[%HNO3]の測定は、既に説明した通り、吸光度法で測定するには70分程度の時間を要する。したがって[%Fe],[%HNO3],Tの測定間隔は、70分以上とするのが好ましい。
ただし、他の簡便な手段で[%Fe],[%HNO3]を測定すれば、測定精度は劣るものの、所要時間70分未満で測定することが可能であり、[%Fe],[%HNO3]の測定間隔も短縮できる。[%Fe],[%HNO3]の測定間隔の設定は、その時間内に所定量の弗酸を硝弗酸酸洗液に添加することを意味する。したがって[%Fe],[%HNO3]の測定間隔を短縮すれば、所定量の弗酸を急激に添加することになり、硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液が局部的に濃化する。弗酸の添加量を決定する方法については後述するが、本発明では、所定量の弗酸を30分以上にわたって少量ずつ添加すると、硝弗酸酸洗液の局部的な濃化は抑制される。測定間隔が30分以上であれば、弗酸を添加するためのポンプも支障なく稼動できる。したがって[%Fe],[%HNO3],Tの測定間隔は、30分以上とするのが一層好ましい。
一方、[%Fe],[%HNO3],Tの測定間隔を長く設定すると、硝弗酸酸洗液の弗酸濃度が好適範囲を外れた場合に、再び好適範囲内に回復するまでの所要時間が長くなる。その間に酸洗を施したステンレス鋼帯は、その表面にスケールが残留したり凹凸が生じる恐れがある。したがって[%Fe],[%HNO3],Tの測定間隔は、3時間以下とするのが好ましい。
このようにして測定した[%Fe],[%HNO3],Tの測定値を用いて (1)式でΔ[%HF]を算出する。Δ[%HF]は、硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液を通過したステンレス鋼帯の単位面積1m2 あたりの[%HF]の減少量である。したがって、[%Fe],[%HNO3],Tを測定した後、次に測定するまでの測定間隔の間に生じる[%HF]の減少量を推定するためには、その測定間隔の間に硝弗酸酸洗液中を通過するステンレス鋼帯の面積S(m2 )を予測して、Δ[%HF]×Sを計算する必要がある。
Sを予測するにあたって、酸洗の作業計画を活用すれば精度良くSを算出できる。すなわち、測定間隔の間に酸洗を施すステンレス鋼帯を作業計画に基づいて予測し、そのステンレス鋼帯の寸法と処理能力からSを算出する。Sは、ステンレス鋼帯の両面の面積(すなわち上面の面積と下面の面積の合計)である。なお、ステンレス鋼帯の上面と下面に加えて、両側面の面積をSに加算すると、一層精度が向上するので好ましい。
測定間隔の間に生じる弗酸濃度の減少量Δ[%HF]×Sを算出すると、さらに硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液の体積M(m3 )を用いて (2)式で硝弗酸酸洗槽2内の弗酸消費量ΔHF(m3 )を算出する。Mは、硝弗酸酸洗槽2の寸法およびその硝弗酸酸洗槽2に収容された硝弗酸酸洗液の深さと比重を用いて容易に算出できる。あるいは、硝弗酸酸洗槽2に計量装置を取付けてMを測定することも可能である。
ΔHF=Δ[%HF]×S×M/100 ・・・ (2)
このようにして算出したΔHF値が、測定間隔の間に消費する弗酸の予測量(m3 )である。したがって硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液に、ΔHF値に相当する量の弗酸を添加する。このとき弗酸原液を硝弗酸酸洗液に添加すると、硝弗酸酸洗液の弗酸濃度が局部的に上昇し、硝弗酸酸洗液の弗酸濃度の分布が不均一になる恐れがある。硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液の弗酸濃度を均一に分布させながら弗酸を添加するためには、弗酸を水で希釈した弗酸水溶液を硝弗酸酸洗液に添加するのが好ましい。その場合、弗酸水溶液の添加量は、その弗酸水溶液に含有される弗酸の質量がΔHF値に等しくなるように設定する。
なお、本発明では、硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液を攪拌しながら弗酸原液を少量ずつ添加しても良い。その場合は、ΔHF値と同量の弗酸原液を添加する。
さらに本発明者らは、硝弗酸酸洗液を循環させて使用する場合の弗酸濃度の調整方法についても検討した。
ステンレス鋼帯の酸洗を行なうことによって、硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液には、金属イオンが溶解したり、不純物(たとえばスラッジ等)が浮遊する。そのため、図1に示すように、硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液の一部を回収して、金属イオンや不純物を除去した後、回収タンク7に一旦貯留し、必要に応じて硝弗酸酸洗槽2へ適宜循環させて使用する。このように循環する硝弗酸酸洗液の弗酸濃度を調整することによって、硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液の弗酸濃度を好適範囲内に一層精度良く維持することができる。
なお、不純物を除去するためには、フィルター9を使用するのが好ましい。金属イオンを除去するための金属イオン除去装置8は、イオン樹脂吸着法を採用するのが好ましい。イオン樹脂吸着法は、イオン吸着樹脂の粒子を層状に堆積し、そのイオン吸着樹脂層に硝弗酸酸洗液を供給して金属イオンを吸着させるとともに、水を供給して遊離酸を溶解して回収する技術である。そのため、金属イオン除去装置8に酸と水を供給するための酸供給タンク5,水供給タンク6がそれぞれ設置される。
金属イオン除去装置8で回収された酸は、回収タンク7に貯留される。その回収タンク7内の硝弗酸酸洗液の弗酸濃度[%freeHF](質量%)を測定する。[%freeHF]の測定方法は、特定の分析法に限定せず、中和適定法,吸光度法等の従来から知られている技術が使用できる。
さらに回収タンク7内の硝弗酸酸洗液の体積R(m3 )を用いて (3)式で回収タンク7への弗酸原液投入量G(m3 )を算出する。Rは、回収タンク7の寸法およびその回収タンク7に収容された硝弗酸酸洗液の深さと比重を用いて容易に算出できる。あるいは、回収タンク7に計量装置を取付けてMを測定することも可能である。
G=1.72+2.55×10-2[%Fe]−2.01×10-2[%HNO3]−2.95×10-2
−1.82×10-2R[%freeHF] ・・・ (3)
なお (3)式中の[%Fe],[%HNO3],Tは、それぞれ (1)式の[%Fe],[%HNO3],Tと同一であるから説明を省略する。
このようにして算出されたG値と同量の弗酸原液を、回収タンク7内の硝弗酸酸洗液に添加する。硝弗酸酸洗液は、回収タンク7から硝弗酸酸洗槽2へ輸送される間に十分に攪拌されるので、回収タンク7内の硝弗酸酸洗液に弗酸原液を添加しても操業に支障はない。
図1に示す設備の硝弗酸酸洗槽2を用いてフェライト系ステンレス鋼帯の酸洗を行なった。硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液の[%Fe],[%HNO3],Tを2時間ごとに測定した。さらに、[%Fe],[%HNO3],Tを測定した後の2時間が経過する間に硝弗酸酸洗液を通過するステンレス鋼帯を作業計画に基づいて予測し、Sを算出した。また、硝弗酸酸洗槽2の寸法および硝弗酸酸洗液の深さと比重を用いてMを算出した。これらの[%Fe],[%HNO3],T,S,Mを用いて、 (1)式および (2)式からΔHFを算出した。それと並行して、硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液に弗酸水溶液を添加していき、ΔHF値に相当する質量の弗酸を添加した時点で、弗酸水溶液の添加を停止した。これを発明例1とする。
次に、発明例1と同様に酸洗を行ないながら、2時間ごとに回収タンク7内の硝弗酸酸洗液の[%freeHF]を測定し、回収タンク7の寸法および硝弗酸酸洗液の深さと比重を用いてR算出し、 (3)式からGを算出した。このG値と同量の弗酸原液を回収タンク7内の硝弗酸酸洗液に添加して、硝弗酸酸洗槽2へ循環させた。これを発明例2とする。
一方、従来は、作業者の判断で不定期に硝弗酸酸洗槽2内の硝弗酸酸洗液の[%HF]を測定し、その測定結果に基づいて弗酸を適宜添加していた。これを従来例とする。すなわち、弗酸の濃度が低い時には弗酸を投入し、濃度が高い時には給水する方法である。
発明例1,発明例2と従来例について、[%HF]の測定値のバラツキσの推移を調査した。その結果を図2に示す。
図2中の発明例1,発明例2は、2時間ごとに行なう[%Fe],[%HNO3],Tの測定と同時に[%HF]を測定し、1日の測定値(すなわち12回の測定値)のバラツキσを示した。図2中の従来例は、不定期に測定した[%HF]の測定値のバラツキσであるから、その測定頻度は必ずしも一定ではない。
従来例と発明例を比べると、[%HF]のバラツキσは、明らかに発明例の方が低減している。さらに発明例1と発明例2を比べると、[%HF]のバラツキσは、発明例2の方が低減している。
つまり本発明によれば、ステンレス鋼帯の酸洗を行なうにあたって、硝弗酸酸洗液の弗酸濃度のバラツキσを低減することが可能である。したがって硝弗酸酸洗液の弗酸濃度を好適範囲内に精度良く維持することが可能である。
その結果、ステンレス鋼帯の表面が酸洗によって腐食されるのを防止するするとともに、スケールを十分に除去できるので、ステンレス鋼帯の歩留りが向上する。しかも、スラッジの生成が抑制され、スラッジの排出等の作業に要する時間を削減できるので、ステンレス鋼帯の生産性が向上する。
さらに、弗酸濃度を好適範囲内の低濃度領域に安定して維持できるので、弗酸の消費量を削減できる。
本発明を適用する設備の例を示す説明図である。 [%HF]の推移を示すグラフである。
符号の説明
1 弗酸原液の貯蔵タンク
2 硝弗酸酸洗槽
3 循環タンク
4 廃酸タンク
5 酸供給タンク
6 水供給タンク
7 回収タンク
8 金属イオン除去装置
9 フィルター

Claims (2)

  1. ステンレス鋼帯の硝弗酸酸洗槽に収容した硝弗酸酸洗液の弗酸濃度調整方法において、前記硝弗酸酸洗槽内の前記硝弗酸酸洗液のFe含有量[%Fe](質量%)と硝酸濃度[%HNO3](質量%)と温度T(℃)とを測定し、前記硝弗酸酸洗液中を通過する前記ステンレス鋼帯の面積S(m2 )を前記ステンレス鋼帯の寸法に基づいて算出し、前記[%Fe]と前記[%HNO3]と前記Tとの測定値を用いて下記の (1)式で弗酸濃度の減少量Δ[%HF](質量%/m2 )を算出し、前記Sと前記Δ[%HF]との算出値および前記硝弗酸酸洗槽内の前記硝弗酸酸洗液の体積M(m3 )を用いて下記の (2)式で弗酸消費量ΔHF(m3 )を算出し、算出された前記ΔHF値に相当する量の弗酸を前記硝弗酸酸洗槽内の前記硝弗酸酸洗液に添加することを特徴とする硝弗酸酸洗液の弗酸濃度調整方法。
    Δ[%HF]=2.55×10-4+3.77×10-6[%Fe]−2.97×10-6[%HNO3
    −4.37×10-6T ・・・ (1)
    ΔHF=Δ[%HF]×S×M/100 ・・・ (2)
    [%Fe] :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液のFe含有量(質量%)
    [%HNO3] :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液の硝酸濃度(質量%)
    T :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液の温度(℃)
    S :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液中を通過するステンレス鋼帯の面積(m2
    M :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液の体積(m3
    Δ[%HF]:硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液の弗酸濃度の減少量(質量%/m2
    ΔHF :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液の弗酸消費量(m3
  2. 前記硝弗酸酸洗槽から回収した前記硝弗酸酸洗液中の金属イオンを除去した後、前記硝弗酸酸洗液を回収タンクに貯留し、前記回収タンク内の弗酸濃度[%freeHF](質量%)を測定し、前記[%Fe]と前記[%HNO3]と前記Tと前記[%freeHF]との測定値および前記回収タンク内の前記硝弗酸酸洗液の体積R(m3 )を用いて下記の (3)式で弗酸原液投入量G(m3 )を算出し、算出された前記G値と同量の弗酸原液を前記回収タンク内の前記硝弗酸酸洗液に添加して前記硝弗酸酸洗槽へ循環させることを特徴とする請求項1に記載の硝弗酸酸洗液の弗酸濃度調整方法。
    G=1.72+2.55×10-2[%Fe]−2.01×10-2[%HNO3]−2.95×10-2
    −1.82×10-2R[%freeHF] ・・・ (3)
    [%Fe] :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液のFe含有量(質量%)
    [%HNO3] :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液の硝酸濃度(質量%)
    T :硝弗酸酸洗槽内の硝弗酸酸洗液の温度(℃)
    [%freeHF]:回収タンク内の硝弗酸酸洗液の弗酸濃度(質量%)
    R :回収タンク内の硝弗酸酸洗液の体積(m3
    G :回収タンクへの弗酸原液投入量(m3
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