JP2005246621A - 平版印刷版原版用親水性支持体の製造方法、親水性支持体、平版印刷版原版及び平版印刷方法 - Google Patents

平版印刷版原版用親水性支持体の製造方法、親水性支持体、平版印刷版原版及び平版印刷方法 Download PDF

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直憲 牧野
Sumiaki Yamazaki
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Abstract

【課題】親水層の親水性が高く、特に耐印刷汚れ性が改善され、厳しい印刷条件においても、汚れが生じない印刷物が得られる、平版印刷版原版用の親水性支持体、および、この親水性支持体上に画像記録層を有する平版印刷版原版とこれを用いた平版印刷方法を提供すること。
【解決手段】基板上に、求核反応活性基を有する化合物と該化合物に作用する末端に求核反応活性基を有する親水性ポリマーとを含む塗膜を形成することを特徴とする平版印刷版原版用親水性支持体の製造方法、この方法により得られた親水性支持体、この親水性支持体と画像記録層とを具備してなる平版印刷版原版、およびこの平版印刷版原版を用いた平版印刷方法。

Description

本発明は、汚れがなく良好な印刷物が得られる平版印刷版原版用の親水性支持体を簡便に製造できる平版印刷版原版用親水性支持体の製造方法およびそれによって得られる親水性支持体、並びに、ディジタル信号に基づいてレーザ光による画像の走査露光が可能であり、現像処理等が不要で、直接製版可能な平版印刷版原版および平版印刷方法に関する。
最近、半導体レーザー、YAGレーザー等の高出力レーザーが安価に入手できるようになってきたことから、デジタル化技術に組み込みやすい走査露光による平版印刷版の製造方法として、これらの高出力レーザーを画像記録手段として用いる方法が有望視されるようになっている。
従来の製版方法では、感光性の平版印刷版原版に対して、低照度から中照度で像様露光を行い、画像記録層における光化学反応による像様の物性変化によって画像記録を行う。これに対して、上述した高出力レーザーを用いる方法では、露光領域に極短時間に大量の光エネルギーを照射して、光エネルギーを効率的に熱エネルギーに変換させ、その熱により、画像記録層において化学変化、相変化、形態または構造の変化等の熱変化を起こさせ、その変化を画像記録に利用する。したがって、画像情報はレーザー光等の光エネルギーによって入力されるが、画像記録は光エネルギーに加えて熱エネルギーによる反応も加味された状態で行われる。通常、このような高パワー密度露光による発熱を利用した記録方式はヒートモード記録と呼ばれ、光エネルギーを熱エネルギーに変えることは光熱変換と呼ばれる。
ヒートモード記録を用いる製版方法の大きな長所は、室内照明のような通常の照度レベルの光では画像記録層が感光しないこと、および、高照度露光によって記録された画像の定着が必須ではないことにある。つまり、ヒートモード記録に用いられる平版印刷版原版は、露光前には室内光により感光してしまうおそれがなく、露光後には画像の定着が必須ではない。したがって、例えば、高出力レーザーを用いた露光により不溶化しまたは可溶化する画像記録層を用い、露光した画像記録層を像様にして平版印刷版とする製版工程を機上現像で行えば、露光後、たとえ室内の環境光に暴露されても、画像が影響を受けないような印刷システムが可能となる。よって、ヒートモード記録を利用すれば、機上現像に好適に用いられる平版印刷版原版を得ることも可能となると期待される。
しかしながら、平版印刷版原版の支持体として一般的な、陽極酸化されたアルミニウム基板、若しくはさらに親水性を上げるためにこの陽極酸化されたアルミニウム基板をシリケート処理した基板上に、画像記録層を設けた場合には、アルミニウムの熱伝導性が高いため、レーザ照射により画像記録層に発生した熱が、アルミニウム基板に拡散してしまうため、画像記録層の温度が十分に上がらず、画像形成が不十分となる問題があった。このため、赤外線レーザーで発生した熱が、支持体に熱拡散しない材料で支持体を形成することが望まれている。
これまで、親水性アルミニウム支持体上に、断熱性の樹脂を設けることにより、熱拡散を防ぐことができることが知られているが、印刷時の汚れ性が劣化する等の問題点があった。
一方、アルミニウムの様な金属支持体を用いず、PET(ポリエチレンフタレート)、セルロースアセテートなどのフレキシブルな支持体を用いたときの親水層に関しては、特
許文献1に記載の親水性ポリマーと疎水性ポリマーとを有する膨潤親水層、特許文献2に記載のマイクロポーラスな親水性架橋シリケート表面を有するPET支持体、特許文献3及び4に記載の親水性ポリマーを含有し加水分解されたテトラアルキルオルソシリケートで硬化された親水層、等が知られている。
これらの親水層は、印刷開始時に汚れの生じない印刷物が得られる平版印刷版を与えることが可能であるが、実用的な観点から親水層の親水性がより高く、より厳しい印刷条件においても、親水層が支持体から剥離せず、かつ汚れの生じない印刷物が得られるための平版印刷版原版が望まれていた。
また、特許文献5及び6には、支持体上に有機皮膜を設け、親水性ラジカル重合性モノマーと接触させつつ光照射して、有機皮膜状に親水性グラフト層を設ける方法が記載されている。しかし、この方法では、光照射によって副生するホモポリマーおよび残存未反応モノマーの除去が煩雑であり、安定製造にも問題を残していた。
特開平8−292558号公報 欧州特許公開709228号明細書 特開平8−272087号公報 特表平8−507727号公報 特開昭53−17407号公報 特開昭54−6603号公報
従って、本発明の目的は、前記従来における諸問題を解決すること、すなわち、親水層の親水性が高く、特に耐印刷汚れ性が改善され、厳しい印刷条件においても、汚れが生じない印刷物が得られる、平版印刷版原版用の親水性支持体を提供することにある。
本発明の更なる目的は、短時間でのレーザー光等の走査露光により画像形成が可能であり、現像処理を必要とせず、印刷機に直接装着して製版することができる平版印刷版原版を提供することにある。
本発明者等は、上記の目的を達成すべく、鋭意検討した結果、基板上に形成した反応性皮膜に、さらに末端反応性基を有する親水性ポリマーを付加反応させてなる、表面グラフト基を有する親水性支持体が上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)基板上に、求核反応活性基を有する化合物と該化合物に作用する末端に求核反応活性基を有する親水性ポリマーとを含む塗膜を形成することを特徴とする平版印刷版原版用親水性支持体の製造方法。
(2)上記親水性ポリマーが、一般式(I)で表されるポリマーであることを特徴とする、(1)記載の平版印刷版原版用親水性支持体の製造方法。
一般式(I)
X―L3−(CHR3―CR4(―L1―Y1))x―(CHR5―CR6(―L2―Y2))y
(式中、Xは、求核性基を表し、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、xは100〜1mol%、yは0〜99mol%の範囲を表す。L1、L2、L3はそれぞれ独立に単結合又は有機連結基を表し、Y1、Y2はそれぞれ独立に−N(R7)(R8)、−OH、−NHCOR7、−COR7、−CO2M又は−SO3Mを表し、ここで、R7、R8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭
化水素基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表す。)
(3)(1)又は(2)記載の方法により得られた平版印刷版原版用親水性支持体。
(4)(1)又は(2)記載の方法により得られた親水性支持体と、該親水性支持体上に形成された画像記録層とを具備してなる平版印刷版原版。
(5)上記画像記録層が、印刷インキ、湿し水またはこれらの両方により除去可能な画像記録層であることを特徴とする(4)記載の平版印刷版原版。
(6)(5)記載の平版印刷版原版を、印刷機に装着し、赤外線レーザーで画像様に露光した後、又は、赤外線レーザーで画像様に露光した後、印刷機に装着し、該平版印刷版原版に、印刷インキと湿し水とを供給して、該画像記録層の赤外線レーザー未露光部分を除去し、印刷する平版印刷方法。
本発明の平版印刷版原版用親水性支持体は、親水層の親水性が高く、特に耐印刷汚れ性が改善され、厳しい印刷条件においても、汚れが生じない印刷物が得られる。
そして、本発明の親水性支持体の製造方法は、光照射等により表面にラジカルを発生させる方法(前記特許文献5及び6)に比べ、残存モノマーの除去やホモポリマーの除去が不要であり、簡易且つ簡便に親水性支持体を製造することができる。
また、本発明の平版印刷版原版は、短時間でのレーザー光等の走査露光により画像形成が可能であり、現像処理を必要としない、直接に印刷機に装着して製版することができるものである。
本発明の親水性支持体により上述のような効果が奏される理由は定かではないが、運動性の高い親水性グラフト鎖が架橋親水層に導入されることで印刷時に供給される湿し水の給排水速度が速くなるためであると推定される。更に、画像記録層を設けると、有機皮膜が熱拡散を抑制するので、高効率な熱の利用による高感度画像形成を可能にし、短時間でのレーザー光等による画像の走査露光が可能となり、現像処理を必要とせず、直接に印刷機に装着して製版することができるようになると考えられる。
以下に本発明の平版印刷版原版用親水性支持体及びその製造方法、並びに平版印刷版原版について詳細に説明する。
まず、本発明の製造方法により得られる本発明の平版印刷版原版用親水性支持体について説明する。
〔1.親水性支持体〕
本発明の平版印刷版原版用親水性支持体は、後述する本発明の親水性支持体の製造方法により得られるものであり、具体的には、基板上に、求核反応活性基を有する化合物と該化合物に作用する末端に求核反応活性基を有する親水性ポリマーとを含む塗膜を形成してなる。
<1−1.求核反応活性基を有する塗膜>
上記の求核反応活性基を有する塗膜は、下記に示す求核反応活性基を有する化合物を含有する皮膜であり、3次元架橋されていてもよい。
該求核反応活性基を有する化合物としては、低分子化合物でもポリマーでもよいが、ポリマーが好ましく用いられる。該ポリマーにおける基本骨格としては、ポリ(メタ)アクリル系、ポリスチレン系、ポリポリアミド系、ポリウレタン系、ポリウレア系、ポリエステル系、フェノール系、メラミン系、エポキシ系等、特に制限はなく公知のポリマーの基
本骨格が使用可能である。このうち、アクリル系、スチレン系、ポリウレタン系、ポリウレア系、フェノール系が好ましい。
上記化合物に用いられる好ましい求核反応活性基としては、イソシアナート基、グリシジル基、ハロメチル基、エステル基、ホルミル基、酸クロリド基、スルホン酸クロリド基をあげることができ、更に、イソシアナート基、グリシジル基、ハロメチル基が好ましい。
このような求核反応活性基を有する化合物としてのポリマーは、該求核反応活性基を導入したモノマーを重合させたり、該求核反応活性基を有しないモノマーを重合させる等して、ポリマーを得た後、該ポリマーに求核反応活性基を高分子反応により導入する等して得ることができる。
求核反応活性基を有する上記化合物は溶剤に溶解した塗液として用いるのが好ましい。この際用いられる溶剤としては、求核性基を持たない溶剤が好ましい。具体的には、酢酸エチル、トルエン、アセトニトリル、ヘキサン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン等をあげることができる。塗液中の上記化合物の固形分濃度は、2〜40質量%とするのが好ましく、5〜20質量%とするのが更に好ましい。
上記の求核反応活性基を有する塗膜中には、求核反応活性基を持たないポリマーを任意の割合で混合してもよい。このようなポリマーを使用する場合、その添加割合は、塗膜全体中の1〜50質量%の範囲とするのが好ましい。
また、膜強度を高めるために、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物等の無機微粒子をフィラーとして添加してもよい。フィラーの添加割合は、塗膜全体中の1〜50質量%の範囲とするのが好ましい。これらの求核反応活性基を持たないポリマーやフィラーを用いる場合には、上記塗液中に該ポリマーやフィラーを添加混合して用いるのが好ましい。
上記の求核反応活性基を有する塗膜中には、さらに、塗布性の向上のため、特開平2−195356号、特開昭59−121044号、特開平4−13149号、特開2002−365789号の各公報に記載されているノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性又はフッ素系の界面活性剤や、塗膜の柔軟性等を付与するために、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等の可塑剤を加えることが出来る。
求核反応活性基を有する塗膜は、上記塗液を基板上に塗設することにより得ることができる。また、基板上にポリマー皮膜を形成後、求核反応活性着基を有する化合物を表面に作用させる方法も可能である。更に、多官能のイソシアナート化合物のような、自己架橋性を有する化合物を用いて、塗液を基板上に塗設した後、架橋させることにより、求核反応活性基を有するポリマー皮膜形成することも可能であり、下記の親水性ポリマー水溶液との反応と同時に、架橋皮膜を形成することもできる。
ここで、塗膜に架橋構造を形成する場合に架橋剤を用いることもでき、この場合に用いられる架橋剤としては、多官能の求核性基を有する化合物を用いることができる。架橋剤としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン等をあげることができる。架橋剤を用いる場合、架橋剤の使用量は塗膜の固形文中の0.1〜10質量%の範囲とするのが好ましい。
また、塗膜の膜厚は、0.1〜20μmとするのが好ましく、より好ましくは0.5〜10μmである。
<1−2.末端に求核反応性活性基を有する親水性ポリマー>
本発明において上記塗膜に作用させる末端に求核反応性活性基を有する親水性ポリマーとは、下記一般式(I)で表される高分子化合物である。
一般式(I)
X―L3―(CHR3―CR4(―L1―Y1))x―(CHR5―CR6(―L2―Y2))y
上記一般式(1)において、Xは求核性基を表し、具体的には−NH2、−OH、−SH、−COOH、または−COOM(Mはアルカリ金属原子)を表す。R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、xは100〜1mol%、yは0〜99mol%の範囲を表す。L1、L2及びL3はそれぞれ独立に単結合又は有機連結基を表し、Y1、Y2はそれぞれ独立に−N(R7)(R8)、−OH、−NHCOR7、−COR7、−CO2M又は−SO3Mを表し、ここで、R7、R8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表す。
また、上記式(I)で表わされる高分子化合物は、その右側末端に、水素原子、―L3―Xで表される求核反応性基のいずれかを有していてもよい。
以下、上記一般式(I)について更に詳細に説明する。
上記一般式(1)において、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数8以下の炭化水素基を表す。炭素数8以下の炭化水素基としては、炭素数8以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基である。
1、L2およびL3はそれぞれ独立に、単結合又は有機連結基を表す。ここで、有機連結基とは、非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には、1個から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から構成されるものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位またはこれらが組合わさって構成されるものを挙げることができる。
Figure 2005246621
1、Y2はそれぞれ独立に−N(R7)(R8)、−OH、−NHCOR7、−COR7、−CO2M又は−SO3Mを表す。ここで、R7、R8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表す。また、−N(R7)(R8)についてR7、R8がお互い結合して環を形成していてもよく、また、形成された環は酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含むヘテロ環であってもよい。
7およびR8が表す上記炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが挙げられ、炭素数8以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s―ブチル基、t―ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1―メチルブチル基、イソヘキシル基、2―エチルヘキシル基、2―メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
これらの炭化水素基は更に置換基を有していてもよい。アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(―F、―Br、―Cl、―I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N―アルキルアミノ基、N,N―ジアリールアミノ基、N―アルキル−N―アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν―アルキルカルバモイルオキシ基、N―アリールカルバモイルオキシ基、N,N―ジアルキルカルバモイルオキシ
基、N,N―ジアリールカルバモイルオキシ基、N―アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N―アルキルアシルアミノ基、N―アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N'―アルキルウレイド基、N',N'―ジアルキルウレイド基、N'―アリールウレイド基、N',N'―ジアリールウレイド基、N'―アルキル−N'―アリールウレイド基、N―アルキルウレイド基、N―アリールウレイド基、N'―アルキル−N―アルキルウレイド基、N'―アルキル−N―アリールウレイド基、N',N'―ジアルキル−N―アルキルウレイト基、N',N'―ジアルキル−N―アリールウレイド基、N'―アリール−Ν―アルキルウレイド基、N'−アリール−N―アリールウレイド基、N',N'―ジアリール−N―アルキルウレイド基、N',N'―ジアリール−N―アリールウレイド基、N'―アルキル−N'−アリール−N―アルキルウレイド基、N'−アルキル−N'―アリール−N―アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N―アルコキシカルボニルアミノ基、N―アルキル−N―アリーロキシカルボニルアミノ基、N―アリール−N―アルコキシカルボニルアミノ基、N―アリール−N―アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N―アルキルカルバモイル基、N,N―ジアルキルカルバモイル基、N―アリールカルバモイル基、N,N―ジアリールカルバモイル基、N―アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(―SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N―アルキルスルフィナモイル基、N,N―ジアルキルスルフィナモイル基、N―アリールスルフィナモイル基、N,N―ジアリールスルフィナモイル基、N―アルキル−N―アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N―アルキルスルファモイル基、N,N―ジアルキルスルファモイル基、N―アリールスルファモイル基、N,N―ジアリールスルファモイル基、N―アルキル−N―アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(―PO32)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(―PO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(―PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(―PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(―OPO32)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(―OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスフォノオキシ基(―OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(―OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(―OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(―OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、モルホルノ基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N―フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。また
、アルケニル基の例としては、ビニル基、1―プロペニル基、1―ブテニル基、シンナミル基、2―クロロ−1―エテニル基等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1―プロピニル基、1―ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。アシル基(G1CO―)におけるG1としては、水素、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。
これら置換基のうち、より好ましいものとしてはハロゲン原子(―F、―Br、―Cl、―I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N―アルキルアミノ基、N,N―ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N―アルキルカルバモイルオキシ基、N―アリールカバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N―アルキルカルバモイル基、N,N―ジアルキルカルバモイル基、N―アリールカルバモイル基、N―アルキル−N―アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N―アルキルスルファモイル基、N,N―ジアルキルスルファモイル基、N―アリールスルファモイル基、N―アルキル−N―アリールスルファモイル基、ホスフォノ基、ホスフォナト基、ジアルキルホスフォノ基、ジアリールホスフォノ基、モノアルキルホスフォノ基、アルキルホスフォナト基、モノアリールホスフォノ基、アリールホスフォナト基、ホスフォノオキシ基、ホスフォナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。
一方、置換アルキル基における置換基と反応させられるアルキレン基としては、前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られる置換アルキル基の好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチルと、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N―シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N―フェニルカルバモイルオキシエチルル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキシエチル基、2−オキシプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノへキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
上記親水性ポリマーの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005246621
Figure 2005246621
Figure 2005246621
上記親水性ポリマーは、下記一般式(II)、(III)で表される不飽和化合物と、下記一般式(IV)で表されるメルカプト基を有するシラン化合物を用いてラジカル重合により合成することができる。なお、メルカプト基を有するシラン化合物(IV)が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端にシランカップリング基が
導入されたポリマーも合成することができる。
Figure 2005246621
上記式(II)、(III)及び(IV)において、R3〜R6、L1、L2、L3、Y1、Y2は、上記式(I)におけるそれらと同義である。
上記親水性ポリマーの分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量として1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜30,000がさらに好ましい。
<1−3.求核反応活性基有する塗膜への親水性ポリマーの導入(本発明の製造方法の説明)>
本発明の親水性支持体は、後述する基板上に形成した上記塗膜に上記親水性ポリマーを作用させることにより得られるものである。すなわち、本発明の親水性支持体は、基板上に形成した上記塗膜に、上記親水性ポリマーを作用させるという本発明の平版印刷版原版用親水性支持体の製造方法により得られた親水性支持体である。なお、以下の説明においては、上記塗膜と上記親水性ポリマーとにより形成された層を親水層という。
以下に、本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法において、上記塗膜に上記親水性ポリマーを作用させるには、(1)上記塗膜上に上記親水性ポリマーを塗布し加熱乾燥する方法、(2)上記塗膜の形成された基板を、親水性ポリマーを含有する水溶液に浸漬し、浸漬終了後加熱する方法等を用いることができる。
(1)の方法について
塗布に際して上記親水性ポリマーは、溶剤に溶解させた溶液として用いるのが好ましい。この際用いることができる溶剤としては、水が好ましく、水混和性の溶剤を求核反応活性基を有する塗膜を溶解しない範囲の任意の割合で混合してもよい。溶剤としては、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールジメチルエーテル、ピリジン等を挙げることができる。また、該溶液における親水性ポリマー濃度は、1〜200g/リットルとするのが好ましい。
また、加熱乾燥の条件は、乾燥温度25〜150℃、乾燥時間0.5分〜1時間とするのが好ましい。
(2)の方法について
上記水溶液における親水性ポリマー濃度は、1〜200g/リットルとするのが好ましい。
また、加熱の条件は、乾燥温度25〜150℃、乾燥時間0.5分〜1時間とするのが好ましい。
このような本発明の製造方法により得られる本発明の親水性支持体は、塗膜上の求核反応活性基と親水性ポリマーの求核性基Xとが反応して親水性グラフト部分を有するものである。
(親水性塗膜の膜厚)
求核反応活性基を有する上記塗膜は、その坪量が、0.02〜5g/m2となるようにするのが好ましく、0.05〜2g/m2とするのが更に好ましい。この範囲内とするのが、断熱性の効果を良好に発現させて、画像形成感度を向上させることができる。
また、上記親水性ポリマーを作用させて形成されるグラフト重合体の層は、その厚さを0.001g/m2〜10g/m2とするのが好ましく、0.01g/m2〜5g/m2とするのが更に好ましい。0.001g/m2以上とすることにより、親水性の効果が発現し、10g/m2以下とすることにより、感応層との密着が良好になり、耐刷性が向上する。
〔画像記録層の説明〕
次いで、本発明の平版印刷版原版について説明する。
本発明の平版印刷版原版は、上述の本発明の親水性支持体と、該親水性支持体上に形成された画像記録層とを具備してなる。
上記画像記録層は、光または熱により溶解度または親疎水性が変化する層であってもよいし、またアブレーション的に除去される層であってもよいが、上記画像記録層は、印刷インキ、湿し水またはこれらの両方により除去可能な画像記録層であるのが好ましい。すなわち、上記画像記録層は、印刷インキや湿し水により未露光部又は露光部が除去される、いわゆる機上現像が可能な層であるのが好ましい。
このような機上現像可能な画像記録層としては、親疎水性が変化する官能基を有する高分子化合物を含有する感光層もしくは感熱層の他に、従来のPS版、およびフォトレジストの分野で公知のポジ作用もしくはネガ作用感光層を使用することができる。
以下に代表例を挙げる。
(1)特開平10−282642号、特開平10−282644号、特開平10−282646号及び特開平10−282672号公報に記載の、特定のスルホンイミド基、ジスルホン基又はスルホン酸エステル基を側鎖に有する親油性ポリマーを含有し、該ポリマーが熱及び/又は酸によりスルホン酸を有する親水性ポリマーに変換される極性変換材料系の画像記録層。
(2)特開2000−122272号公報に記載の、α−スルホニル酢酸構造等、脱炭酸を起こすカルボン酸基及びカルボン酸塩基から選ばれた基を有するポリマー極性変換材料を用いてなる画像記録層。
(3)特公昭46−27919号、特開平7−285275号等に記載の、ノボラック樹脂のような会合性のポリマーに熱を加えると溶解性が向上し、熱を与えなかった部分との間に溶解性の差ができ、アルカリ水溶液で現像することによってポジ画像を形成するようになされた画像記録層。
(4)特開平7−20629号及び特開平7−271029号公報に記載の、赤外線を吸収して発熱する赤外線吸収色素、酸発生剤である潜在性ブレンステッド酸又はs−トリアジン化合物、架橋剤であるレゾール樹脂、バインダーであり被架橋ポリマーであるノボラック樹脂を主成分とする熱架橋層からなる画像記録層。
(5)特許2938397号明細書に記載の、親水性樹脂中に熱可塑性疎水性重合体の微粒子を分散させた感光層からなる画像記録層。
(6)特開2001−277740号、特開2002−046361号、特開2002−137562号公報等に記載の、反応性化合物を内包したマイクロカプセルを分散させた感光層からなる画像記録層。
本発明において、画像記録層は、通常前記各成分を溶媒に溶かして、親水層上に塗布することにより形成される。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等をあげることができるが、これらに限定されるものではない。
これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。溶媒中の上記成分の濃度(添加剤を含む全固形分)は、好ましくは1〜50質量%である。また塗布、乾燥後に得られる親水層上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、好ましくは0.1g/m2〜10g/m2の範囲であり、更に好ましくは0.5g/m2〜5g/m2の範囲である。0.1g/m2以上とすることにより、耐刷性が向上し、10g/m2以下とすることにより、印刷物の細線再現性が向上する。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等の塗布方法を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大きくなるが、画像記録層の皮膜特性は低下する。
本発明における平版印刷版原版の画像記録層には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、画像記録層の全固形分中、0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
[基板]
本発明に使用される基板は、通常この種の平版印刷版原版に用いられるものであれば特に制限はないが、寸度的に安定な板状物が好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート若しくは蒸着された、紙若しくはプラスチックフィルム等が挙げられる。本発明に用いる基板としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が特に好ましい。
本発明に使用される好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート若しくは蒸
着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.8mmである。
アルミニウム板以外の基板の厚みは、好ましくは0.05mm〜0.6mm、より好ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を用いる場合には、その使用に先立ち、表面の粗面化、陽極酸化などの表面処理をすることが好ましい。表面処理により、求核活性基を有する塗膜の接着性の確保が容易になる。
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸などの酸を含む電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように混合酸を用いた電解粗面化方法も利用することができる。上記の如き方法による粗面化は、アルミニウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜1.0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。
粗面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望により耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.0g/m2、特に1.5〜4.0g/m2であることが好ましい。
[赤外線吸収剤]
なお、本発明の平版印刷版原版には、該光エネルギーを熱エネルギーに変換するための赤外線吸収剤を該平版印刷版原版のいずれかの層、特に上記画像記録層に含有させておくことが好ましい。
上記赤外線吸収剤は、画像記録層の感度を高めるために配合される成分である。該赤外線吸収剤としては、赤外線、中でも近赤外線(波長700〜2000nm)を吸収する物質であればよく、種々の公知の顔料、染料又は色素、及び金属微粒子を用いることができる。
例えば、特開2001−301350号公報、特開2002−137562号公報、日本印刷学会誌、38卷35〜40頁(2001)「新イメージング材料、2.近赤外線吸収色素」等に記載の顔料、染料又は色素、及び金属微粒子が好適に用いられる。顔料及び
金属微粒子は、必要に応じて、公知の表面処理を施したものを用いることがでる。
染料又は色素として、より具体的には、米国特許第4756993号明細書、同第4973572号明細書、特開平10−268512号、同11−235883号、特公平5−13514号、同5−19702号、特開2001−347765号等の各公報に記載のシアニン色素、ポリメチン色素、アゾメチン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム及びチオピリリウム塩系染料、ジチオール金属錯体、フタロシアニン色素等が挙げられる。特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、フタロシアニン色素が挙げられる。
顔料としては、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。中でもカーボンブラックが好適である。
金属微粒子としてはAg、Au、Cu、Sb、Ge及びPbの微粒子が好ましく、Ag、Au及びCuの微粒子がより好ましい。
赤外線吸収剤を画像記録層に添加する場合、ポリマー微粒子又はマイクロカプセルに含有させた形で添加してもよいし、これら微粒子以外の親水性媒質中に添加してもよい。以下に、特に好適な赤外線吸収剤の具体例を示すが、これらに限定されない。(IR−1)〜(IR−11)は、親水性媒質中に添加するのに好適な親水性の赤外線吸収剤であり、(IR−21)〜(IR−29)は、ポリマー微粒子又はマイクロカプセル中に含有させるのに好適な親油性の赤外線吸収剤である。また、(IR−1)〜(IR−11)は、後述の親水性オーバーコート層に添加する赤外線吸収剤としても好適である。
Figure 2005246621
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Figure 2005246621
Figure 2005246621
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赤外線吸収剤の添加割合は、画像記録層固形分全体中の1〜50質量%の範囲とするのが好ましく、3〜25質量%の範囲とするのがより好ましい。これらの範囲で、画像記録層の膜強度を損なうことなく、良好な感度が得られる。
上記画像記録層には、熱反応基等の反応性基の反応を開始又は促進する反応促進剤を含有させることができる。また、反応促進剤は、酸又はラジカルを発生するため、発生した酸又はラジカルで変色する染料と組み合わせて焼き出し系を形成できる。かかる反応促進剤としては、公知の酸前駆体、酸発生剤、熱ラジカル発生剤と呼ばれる化合物が好適なものとして挙げられる。例えば、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、焼き出し画像形成用の酸発生剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等が挙げられる。
より具体的には、特開2002−29162号、特開2002−46361号、特開2002−137562号等の各公報に記載のトリハロメチル置換へテロ環化合物に代表される有機ハロゲン化合物、イミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、オニウム塩(例えばヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩など)を挙げることができる。またこれらの酸又はラジカルを発生する基又は化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物を用いることもできる。以下に化合物例を挙げるが、これらに限定されない。
Figure 2005246621
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Figure 2005246621
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上記反応促進剤は2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、反応促進剤の画像記録層への添加は、画像記録層塗布液への直接添加でも、ポリマー微粒子やマイクロカプセル中に含有させた形での添加でもよい。画像記録層中の反応促進剤の含有量は、画像記録層全固形分の0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。この範囲内で、機上現像性を損なわず、良好な反応開始又は促進効果が得られる。
上記画像記録層には、焼き出し画像生成のため、酸又はラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p',p"−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノ−フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチルー7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフロオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、などが挙げられる。
酸又はラジカルによって変色する化合物の好適な添加量は、それぞれ、画像記録層固形分全体中0.01〜10質量%の割合である。
本発明の画像記録層には、さらに必要に応じて上記以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、耐刷力を一層向上させるために多官能モノマーを画像記録層マトリックス中に添加することができる。この多官能モノマーとしては、マイクロカプセル中に入れられるモノマーとして例示したものを用いることができる。なかでも好ましいモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどを挙げることができる。
また、本発明においては、画像記録層塗布液の調製中又は保存中においてエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、画像記録層固形分全体中0.01〜5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸やその誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で画像記録層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸やその誘導体の添加量は、画像記録層固形分全体中0.1〜約10質量%が好ましい。
また、本発明の画像記録層には無機微粒子を添加してもよく、無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物などが好適な例として挙げられ、これらは光熱変換性でなくても皮膜の強化や表面粗面化による界面接着性の強化などに用いることができる。
また、無機微粒子の平均粒径は5nm〜10μmのものが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmである。粒径がこの範囲内で、樹脂微粒子や赤外線吸収剤の金属微粒子とも親水性樹脂内に安定に分散し、画像記録層の膜強度を充分に保持し、印刷汚れを生じにくい親水性に優れた非画像部を形成できる。
このような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物などの市販品として容易に入手できる。無機微粒子の画像記録層への含有量は、画像記録層の全固形分中20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
また、本発明の画像記録層には、画像記録層の分散安定性、製版及び印刷性能向上や塗布性の向上のため、特開平2−195356号、特開昭59−121044号、特開平4−13149号、特開2002−365789号の各公報に記載されているノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性又はフッ素系の界面活性剤を添加することができる。これらの界面活性剤の好適な添加量は、画像記録層全固形分全体中0.005〜1質量%である。
さらに、本発明の画像記録層には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えることができる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリ
ル等が用いられる。
本発明の画像記録層は、必要な上記各成分を溶剤に分散、又は溶かして塗布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像記録層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。この範囲より塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす画像記録層の皮膜特性は低下する。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
[オーバーコート層]
本発明の平版印刷版原版においては、保存時の親油性物質による汚染や取り扱い時の手指の接触による指紋跡汚染等から親水性画像形成層表面を保護するため、画像形成層上に、特開2001−162961号公報に記載のアラビアガム、ポリアクリル酸、繊維素誘導体などの水溶性樹脂を含有するオーバーコート層を設けることができる。
上記オーバーコート層としては、表面上に水滴を置いたときの水の接触角(空中水滴接触角)が、親水性画像形成層の接触角よりも大きい疎水性オーバーコート層が好適である。
この疎水性オーバーコート層に用いられる有機高分子化合物としては、例えばポリブテン、ポリブタジエン、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ナイロン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、塩素化ポリエチレン、アルキルフェノールのアルデヒド縮合樹脂、アセタール樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル系樹脂及びこれらの共重合樹脂等が挙げられる。
上記のオーバーコート層には、感度を向上させるため赤外線吸収剤を含有させることができる。また、オーバーコート層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イオン系界面活性剤を、疎水性オーバーコート層の場合はフッ素系界面活性剤を添加することができる。さらに、上記オーバーコート層には、積み重ね保存時のプレート間のくっつきを防止するため、特開2001−341448号公報記載のフッ素原子及びケイ素原子のうちいずれかを有する化合物を含有することができる。
上記オーバーコート層の厚みは、0.1〜4.0μmが好ましく、0.1〜1.0μmがより好ましい。この範囲内で、印刷機上でのオーバーコート層の除去性を損なうことなく、親油性物質による画像形成層の汚染を防止できる。
[製版及び印刷]
本発明の平版印刷版原版は、印刷に先立って、熱により画像(潜像)が記録される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセ
ノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられる。なかでも、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザー、YAGレーザー等の固体高出力赤外線レーザーによる露光が好ましい。
潜像形成された本発明の版材は、それ以上の処理なしに印刷機に装着することができる。インキと湿し水を用いて印刷を開始すると、未露光部の画像記録層が除去され、露光部にインキが着肉して印刷が開始される。
また、本発明の版材は、印刷機の版胴上に取り付けた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、続いて機上現像し、印刷するシステムにも用いられる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
[実施例1]
(基板の製造)
厚さ0.30mmのアルミニウム板をナイロンブラシと400メッシュのパミストンの水懸濁液とを用いその表面を砂目立てした後、水でよく洗浄した。10質量%水酸化ナトリウム水溶液に70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後、20質量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これをVA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で160クーロン/dm2 の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.6μm(Ra表示)であった。引き続いて30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し55℃で2分間デスマットした後、20質量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2 において、陽極酸化被膜の厚さが2.7g/m2 になるように、2分間陽極酸化処理した。
(親水層の作成)
得られたアルミニウム製の基板上に、求核反応活性基を有する化合物として下記の構造式で表されるメチルメタクリレートとグリシジルメタクリレートとの共重合体(平均分子量10万)を溶剤としてメチルエチルケトンに溶解してなる塗液をバー塗布し、70℃で1分間乾燥し、求核反応活性基としてのグリシジル基を有する皮膜を形成した。塗布量は1.5g/m2であった。
Figure 2005246621
次にこの塗膜上に、親水性ポリマー化合物例(1)(平均分子量Mw=1万)の10質量%水溶液を、バーコーターを用いて塗布し、120℃で1時間加熱乾燥し、放冷後、水洗、乾燥し、表面に親水性ポリマーを有する親水層を形成し、本発明の平版印刷版原版用親水性支持体を作成した。親水性ポリマーの塗布量は0.2g/m2であった。空中水滴接触角を測定したところ、拡張濡れを示し、高い親水性を示すことが判った。
(画像記録層の形成)
次に、得られた親水性支持体における親水層上に、下記の組成の画像記録層塗布液(1)をバー塗布した後、100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画
像記録層を形成して平版印刷版原版を得た。
画像記録層塗布液(1)は、下記感光液(1)及び下記マイクロカプセル液(1)を塗布直前に混合し攪拌することにより得たものである。
感光液(1)
・下記のバインダーポリマー(1)(平均分子量10万) 0.162g
・下記の重合開始剤(1) 0.100g
・下記の赤外線吸収剤(1) 0.020g
・重合性モノマー、アロニックスM-215(東亜合成(株)製) 0.385g
・下記のフッ素系界面活性剤(1) 0.044g
・メチルエチルケトン(MEK) 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール(MFG) 8.609g
マイクロカプセル液(1)
・下記の通り合成したマイクロカプセル(1) 2.640g
・水 2.425g
Figure 2005246621
(マイクロカプセル(1)の合成)
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)10g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)製、SR444)3.15g、下記の赤外線吸収剤(2)0.35g、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化
成製ODB)1g、及びパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製) 0.1gを酢酸エチル17gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液40gを調製した。油相成分及び水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.25μmであった。
Figure 2005246621
(露光および印刷)
得られた平版印刷版原版を水冷式40W赤外線半導体レーザ搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、解像度2400dpiの条件で、ドラム回転数を変えることにより、印刷版原版の表面での照射エネルギー変えて露光した。得られた露光済み原版を現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付けた。湿し水(EU−3(富士写真フイルム(株)製エッチ液)/水/イソプロピルアルコール=1/89/10(容量比))とTRANS−G(N)墨インキ(大日本インキ化学工業社製)とを用い、湿し水とインクを供給した後、毎時6000枚の印刷速度で印刷を100枚行った。画像部のインク濃度が十分にあり、非画像部に汚れのない良好な印刷物が、7000枚得られた。
画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、印刷用紙にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測したところ、20枚であった。
[実施例2〜4]
実施例1で、親水性ポリマー化合物例(1)を、表1に示す親水性ポリマーに変えた他は、実施例1と同様にして親水性支持体及び平版印刷版原版を得、実施例1と同様に評価した。印刷評価結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1で作成したアルミニウム支持体上に、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N)の酢酸エチル溶液を、バー塗布し、70℃で1分間乾燥し、イソシアナート基を有する層を形成した。塗布量は1.5g/m2であった。
次に、このアルミニウム板を、親水性ポリマー化合物例(1)(平均分子量Mw=1万)の20質量%溶液に浸漬し、40℃で1時間加熱した。水洗後、100℃で1時間乾燥し、表面に親水性ポリマーを有する親水性支持体を作成した。親水性ポリマーの反応量は0.15g/m2であった。空中水滴接触角を測定したところ、拡張濡れを示し、高い親
水性を示すことが判った。
画像記録層は、実施例1と同様にして形成した。また実施例1と同様にして評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例6〜8]
実施例5で、親水性ポリマー化合物例(1)を、表1に示す親水性ポリマーに変えた他は、実施例5と同様にして親水性支持体、平版印刷版原版を得、実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で、親水性ポリマー化合物例(1)による親水層形成を行わない他は、実施例1と同様にして支持体、平版印刷版原版を得、実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1で、求核反応活性基を有する化合物(共重合体)を、求核反応活性基を持たないポリメチルメタクリレート(平均分子量10万)に変えた他は、実施例1と同様にして支持体、平版印刷版原版を得、実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
Figure 2005246621

Claims (6)

  1. 基板上に、求核反応活性基を有する化合物と該化合物に作用する末端に求核反応活性基を有する親水性ポリマーとを含む塗膜を形成することを特徴とする平版印刷版原版用親水性支持体の製造方法。
  2. 上記親水性ポリマーが、一般式(I)で表されるポリマーであることを特徴とする、請求項1記載の平版印刷版原版用親水性支持体の製造方法。
    一般式(I)
    X―L3−(CHR3―CR4(―L1―Y1))x―(CHR5―CR6(―L2―Y2))y
    (式中、Xは、求核性基を表し、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、xは100〜1mol%、yは0〜99mol%の範囲を表す。L1、L2、L3はそれぞれ独立に単結合又は有機連結基を表し、Y1、Y2はそれぞれ独立に−N(R7)(R8)、−OH、−NHCOR7、−COR7、−CO2M又は−SO3Mを表し、ここで、R7、R8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はオニウムを表す。)
  3. 請求項1又は2記載の方法により得られた平版印刷版原版用親水性支持体。
  4. 請求項1又は2記載の方法により得られた親水性支持体と、該親水性支持体上に形成された画像記録層とを具備してなる平版印刷版原版。
  5. 上記画像記録層が、印刷インキ、湿し水またはこれらの両方により除去可能な画像記録層であることを特徴とする請求項4記載の平版印刷版原版。
  6. 請求項5記載の平版印刷版原版を、印刷機に装着し、赤外線レーザーで画像様に露光した後、又は、赤外線レーザーで画像様に露光した後、印刷機に装着し、該平版印刷版原版に、印刷インキと湿し水とを供給して、該画像記録層の赤外線レーザー未露光部分を除去し、印刷する平版印刷方法。
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