OFDM変調方式により情報伝送を行う無線LANシステムとして開発された無線通信方式を、公衆マルチセルサービス用途に用いる試みがなされている。OFDM変調方式の場合には、用意された1伝送チャンネル内に、複数のサブキャリアを用意して、それぞれのサブキャリアに伝送させる情報を分散させて変調させて伝送させる方式である。OFDM変調方式を使用した無線通信システムは、移動体通信におけるマルチパス遅延波の遅延時間に比べて1OFDMシンボルの時間長を長くすることが出来るためにマルチパス耐性に優れ、移動体高速データ通信に適している。
図29は、従来の無線通信システムのキャリア配置例を示した図である。ここでは、HiSWANa と称される方式で決められたキャリア配置を示したものである。中心キャリア周波数として、5.17GHz 、5.19GHz 、5.21GHz 、5.23GHz が定義されており、各々のキャリアには、ガードバンドを含んで20MHz の信号帯域が与えられている。
図30は、従来の無線通信システムの1伝送チャンネルのサブキャリア配置例を示した図である。図29で示した各々の20MHz 帯域内には、OFDM変調により生成されたサブキャリア群が312.5kHzおきに配置され、合計53本のサブキャリア分が情報伝送用途として占有されている。なお、ここでは53本のサブキャリアの内の中心である、等価基底帯域系におけるDCを中心とするサブキャリア(搬送波周波数帯における中心周波数f0のサブキャリアに相当)は、情報が伝送されないヌルキャリア(null carrier)となっている。情報伝送用途に使用される周波数帯域は16.5625MHzであり、両外の約1.7MHz分は隣接キャリアとのアイソレーションをとるためのガードバンドとして確保され使用されていない。
図31に、従来の無線通信システムにおける制御信号の送信フォーマットの例を示す。ここで示したシステムでは、2m秒周期のMACフレームという送受信単位が定義されており、1無線フレームは2msec の長さを持っており、大別してブロードキャストバースト、ダウンリンクフェーズ、アップリンクフェーズ、コンテンションフェーズの4つの部分から構成される。なお図3131では、ブロードキャストバーストとダウンリンクフェーズだけを示してあり、ダウンリンクフェーズについてはダウンリンクバーストペイロード(DLバーストペイロード)として示してある。
ブロードキャストバーストとダウンリンクフェーズは基地局から端末局への送信を行なう区間であり、ブロードキャストバーストは主にその配下の全端末局に向けて送信される制御信号を伝送する区間であり、ダウンリンクフェーズは主に各端末局にトラフィックデータを送信するための複数のダウンリンクバーストからなる区間である。アップリンクフェーズ、コンテンションフェーズは、端末局から基地局への送信を行なう区間である。ブロードキャストバーストには、ブロードキャストプリアンブル、基地局情報などを同報する為のBCH、同一フレーム内のトラフィックチャネル割当等を各端末局に通知するためのFCH、端末局からの発呼に用いられるRCHに対する応答が行われるACHが含まれる。
ダウンリンクフェーズには、短いトラフィックチャネルであるSCHと長いトラフィックチャネルであるLCHとが含まれる。ダウンリンクフェーズの期間においては、ひとつの移動局に向けて複数のSCH及び/またはLCHを連結して使うことが出来るようになっており、これをPDU(プロトコルデータユニット)トレインと呼ぶ。このPDUトレインごとに、その先頭にダウンリンクプリアンブルが付けられる。1PDUトレインにダウンリンクプリアンブルが付加されたものをダウンリンクバーストと呼ぶ。アップリンクバーストの期間においては、短いトラフィックチャネルであるSCHと長いトラフィックチャネルであるLCHとが含まれる。アップリンクにおいても、ダウンリンクの場合と同様にPDUトレインが形成され、このPDUトレインごとに、その先頭にアップリンクプリアンブルが付けられる。1PDUトレインにアップリンクプリアンブルが付加されたものをアップリンクバーストと呼ぶ。コンテンションフェーズには移動局からの発呼に用いられるRCH が含まれ、このRCHひとつひとつの先頭にもアップリンクプリアンブルが付加され、アップリンクバーストを形成する。
ブロードキャストプリアンブルは16μsec の長さを持っており、端末局はこの区間を受信することにより電源投入後の基地局サーチ、初期同期獲得、フレーム同期、周波数誤差補正、シンボル同期等を行なう。ダウンリンクプリアンブルは8 μsec の長さを持っており、端末局はこの区間を受信することにより更に正確なタイミング補正、周波数誤差補正、シンボル同期等を行なう。アップリンクプリアンブルは16μsec の長さを持っており、基地局はこの区間を受信することにより端末局からの送信信号に対するタイミング補正、周波数誤差補正、シンボル同期等を行なう。
このようなシステムにおいては、端末局呼出信号はFCHにおける各端末局へのトラフィックチャネル割当情報として伝送され、呼出されるのを待っている待受けモードの端末局はブロードキャストバーストのBCH、FCHの全てを受信してから自分が呼びだされるかどうかを判断するようになっている。
なお、端末局における待受け時間を増大させるために、全てのフレームの先頭におけるブロードキャストバーストのBCH、FCHを受信するのではなく、基地局と端末局のネゴシエーションによって受信すべきフレーム間隔を間引くような運用方法も可能である。
図32は、従来のOFDM変調方式を適用した無線通信システムにおける端末局300の構成例を示す。先ず、送信系の構成を、信号の流れに沿って説明する。音声通信の場合は音声信号が、コンピュータと接続されるようなデータ通信の場合にはデータ信号がデータ入出力処理部301に入力され、適切なデジタルデータ列へと変換される。その出力は送信データ処理部311に入力され、必要であれば図示しない無線通信の相手である別のOFDM無線装置(基地局)に送信する通信制御データを制御部302から受け取り、それを適宜マルチプレックスした後に無線区間で送信される為のフレームやスロット構造を形成して出力される。
その出力はCRC(Cyclic Redundancy Check )付加部312に入力され、受信側での誤り検出のための冗長度が付加されて出力される。その出力は暗号器313に入力され、暗号化が施されて出力される。その出力はスクランブラ314に入力され、或る定められたアルゴリズムにしたがって擬似的にランダムになるようなスクランブル処理を施されて出力される。その出力は符号化器315に入力され、誤り訂正符号化が施され出力される。畳込み符号化、ターボ符号化、リードソロモン符号化、あるいは複数の符号化の組み合わせによる連接符号化など、様々な種類の符号化が知られている。
符号化器315の出力は、インターリーバ316に入力され、受信側において逆操作を行うことによりバースト誤りがランダム誤りに変換できるよう、符号化されたビット列を特定の規則に従って並べ替えるインターリーブが施され出力される。その出力は変調器317に入力され、送信時の信号点にマッピングされ、同相成分(I成分)と直交成分(Q成分) とが出力される。その出力は複素IFFT部318に入力され、逆FFT(逆高速フーリエ変換)が施されることによるOFMD変調が行われて出力される。
その出力は時間波形整形部319に入力され、例えばサイクルプリフィックス付加によるガードタイムを設け、OFDM変調シンボルの立ち上がりと立ち下がりが滑らかになるようなウィンドウイング処理が施されて出力される。その出力はDA変換器320に入力されて、デジタル波形からアナログ波形へと変換されて出力される。その出力はRF送信器321に入力される。このRF送信器321においては、フィルタリング、I成分とQ成分によるベクトル変調、適切な送信周波数チャネルへの周波数変換、送信電力制御、増幅等が行われて出力される。
RF送信器321からの出力信号はアンテナ共用器322に入力され、そのアンテナ共用器322からの出力はアンテナ323に入力され、最終的にはアンテナ323から電磁波として送信される。この送信信号は、図示していない無線通信の相手である別のOFDM無線装置(基地局)によって受信される。アンテナ共用器323は送信信号と受信信号を分離するためのもので、送信と受信とが異なるタイミングで実行されるTDD方式やFDD/TDMA方式においてはアンテナスイッチが、それ以外の方式ではデュープレクサが一般に使用される。
次に、端末局300の受信系の構成を説明する。ここで端末局300で受信する信号は、図示していない無線通信の相手である別のOFDM無線装置(基地局)によって送信されたものであり、上述した端末局300の送信系と同様の処理を行って送信信号が作られているものとする。
図示していない無線通信の相手である別のOFDM無線装置(基地局)による送信信号は電磁波としてアンテナ323で受信される。その信号はアンテナ共用器322で自局の送信信号と分離されて受信系の回路であるRF受信器331に入力される。このRF受信器331においては、増幅、不要周波数成分の減衰、希望周波数チャネルの選択、周波数変換、受信信号振幅レベル制御、I成分とQ成分とを分離するベクトル検波、帯域制限などが行われてI成分とQ成分が出力される。RF受信器331からの出力は、AD変換器332に入力されてアナログ波形からデジタル波形へと変換されて出力される。
その出力は同期回路333に入力され、フレーム同期、周波数誤差補正等が施されて出力される。また、電源投入直後等に可能な通信相手を探索するような場合には、この同期回路333にて同期信号検出を行ったり初期同期を行うように構成されている。同期回路333の出力は時間波形整形部334に入力され、例えばサイクルプリフィックス付加によるガードタイムを除去するような時間波形整形を施されて出力される。この出力は複素FFT部335に入力され、FFT(高速フーリエ変換)が施されることによるOFDM復調が行われて出力される。この出力は等化器336に入力される。
等化器336においては伝送路の推定や推定結果による等化が行われる。場合によっては、同期回路333の情報も等化器336に入力され、伝送路推定等に使用される。等化器336の出力は復調器337に入力され、信号点判定が施されて受信ビット推定値が出力される。その出力はデインターリーバ338に入力され、符号化されたビット列を特定の規則に従って並べ替えるデインターリーブが施され出力される。その出力は復号器339に入力され送信側で施された誤り訂正符号の復号が行われて出力される。
その出力はデスクランブラ340に入力され、送信側で行われたスクランブルの逆変換であるデスクランブル処理が施されて出力される。その出力は暗号解除器341に入力され、送信側で施された暗号化が解除されて出力される。その出力はCRCチェック部342に入力され、CRCを外したデータとその受信ブロックのCRCチェックの結果とが出力される。その出力は受信データ処理部343に入力される。受信ブロックのCRCチェックの結果誤りが無いと判断されていれば、無線区間で送信のために施されたフレーム構造やスロット構造を外して出力する。その出力はデータ入出力処理部301に入力され、音声通信の場合は音声信号が、コンピュータと接続されるようなデータ通信の場合にはデータ信号へと変換されて出力される。
受信データに図示しない無線通信の相手である基地局から送信された通信制御データが含まれていた場合には、その部分を受信データ処理部343が取り出して出力し、その出力は受信系制御線304を介して制御部302に入力され、制御部302は受け取った制御データを解釈して、その指示に従って端末局300の各部の動作制御を行う。
仮に、ARQ(Automatic Request for Reception )方式が採用されている場合には、受信データ処理部343は以下のように動作する。即ち、CRCチェック部342からの入力信号に、受信ブロックに誤りが含まれていないという情報が含まれていた場合は、上述したように受信ブロックを受信データ処理部343へと出力する一方、受信ブロックに誤りが含まれていなかった旨を受信系制御線304を介して制御部302へと出力し、これを受け取った制御部302は、図示しない無線通信相手である別のOFDM無線装置(基地局)にACK信号を送信するように送信系制御線303を介して送信データ処理部311に指示する。送信データ処理部311は送信ACK信号を送信データにマルチプレックスする等して、以下は既に説明した送信系の処理でACK信号が基地局に向けて送信される。
逆に、CRCチェック部342からの入力信号に、受信ブロックに誤りが含まれていたという情報が含まれていた場合は、上述したような受信ブロックを受信データ処理部343へと出力せず、受信ブロックに誤りが含まれていた旨を受信系制御線304を介して制御部302へと出力する。これを受け取った制御部302は、図示しない無線通信相手である基地局にNAK信号を送信するように送信系制御線303を介して送信データ処理部311に指示し、送信データ処理部311は送信NAK信号を送信データにマルチプレックスする等して、以下は既に説明したような送信系の処理にしたがってNAK信号が基地局に向けて送信される。これを受信した基地局は、NAK信号が送られてきたブロックの再送を行う。
また、ARQ方式等の再送が用いられていない、音声通信のようなストリーム通信の場合には、受信データ処理部343は以下のように動作する。即ち、CRCチェック部342からの入力信号に、受信ブロックに誤りが含まれていないという情報が含まれていた場合は、上述したように受信ブロックを受信データ処理部343へと出力する。逆に、CRCチェック部342からの入力信号に、受信ブロックに誤りが含まれていたという情報が含まれていた場合は、受信データ処理部343は当該受信ブロックを破棄し、イレイジャーとして扱い、ひとつ前の受信ブロックを用いて補完するなどの処理を行う。
送信系の各部は送信系制御線303を介して制御部302に接続されており、制御部302はこれを介して送信系のオン・オフ制御、RF送信器331の動作制御・状態監視、送信タイミングの微調整、符号化方式や信号点マッピングの方式の変更、前述した再送制御等、様々な送信系の動作の制御・監視を行う。受信系の各部は受信系制御線304を介して制御部302に接続されており、制御部302はこれを介して受信系のオン・オフ制御、RF受信器331の動作制御・状態監視、受信タイミングの微調整、復号方式や信号点デマッピングの方式の変更、前述した再送制御等、様々な受信系の動作の制御・監視を行う。
以下、本発明の第1の実施の形態を、図1〜図12を参照して説明する。
まず、本例の無線通信システムの構成例を、図1を参照して説明する。ここでは、1台の基地局1が、有線で接続された外部ネットワーク2に接続してあり、基地局1が複数台の端末局(移動局)3,4と無線通信を行う構成としてある。ここでは2台の端末局だけを示してあるが、より多くの台数の端末局を用意することも可能である。各端末局3,4は、原則的に基地局1との間で無線通信を行う構成としてある。無線通信を行う方式としては、従来の技術の欄で説明した、マルチキャリア信号が使用されるOFDM変調方式を適用するようにしてあり、ここではHiSWANa と称される無線通信方式を基本としてある。
基地局の構成について、図2を参照して説明する。図2は、基地局の送信部100の構成を示した図である。基地局内では、音声信号やデータ通信の為のデジタルデータが図示しないデータ入出力処理部によって適切なデジタルデータ列へと変換され、その出力が送信データ処理部110に入力する。ここで、必要であれば、図示しない無線通信の相手である端末局に送信する通信制御データを制御部101から受け取り、それを適宜マルチプレックスした後に無線区間で送信される為のフレームやスロット構造を形成して出力する。
送信データ処理部110の出力はCRC付加部112に入力され、受信側での誤り検出のための冗長度が付加されて出力される。CRC付加部112の出力は暗号器113に入力され、暗号化が施されて出力される。暗号器113の出力はスクランブラ114に入力され、或る定められたアルゴリズムにしたがって擬似的にランダムになるようなスクランブル処理を施されて出力される。スクランブラ114の出力は符号化器115に入力され、誤り訂正符号化が施され出力される。ここでの符号化としては、例えば畳込み符号化、ターボ符号化、リードソロモン符号化、あるいは複数の符号化の組み合わせによる連接符号化など、様々な種類の符号化が適用可能である。
符号化器115の出力はインターリーバ116に入力され、受信側において逆操作を行うことによりバースト誤りがランダム誤りに変換できるよう、符号化されたビット列を特定の規則に従って並べ替えるインターリーブが施され出力される。インターリーバ116の出力は変調器117に入力され、送信時の信号点にマッピングされ、同相成分(I成分)と直交成分(Q成分) とが出力される。それぞれの成分の出力は複素IFFT(逆高速フーリエ変換)部118に入力され、逆高速フーリエ変換処理が施されることによるOFDM変調が行われて出力される。
このOFDM変調された信号は、加算部119に入力されるものの、通常はここでは何もされずにそのまま出力される。その出力は時間波形整形部120に入力され、例えばサイクルプリフィックス付加によるガードタイムを設け、OFDM変調シンボルの立ち上がりと立ち下がりが滑らかになるようなウィンドウイング処理が施されて出力される。その出力はDA変換器121に入力されて、デジタル波形からアナログ波形へと変換されて出力される。その出力はRF送信器122に入力される。このRF送信器122においては、フィルタリング、I成分とQ成分によるベクトル変調、適切な送信周波数チャネルへの周波数変換、送信電力制御、増幅等が行われて出力される。
RF送信器122からの出力信号は、基地局送信部100からの送信信号として図示しないアンテナ共用器に入力され、そのアンテナ共用器からの出力は図示しないアンテナに入力され、最終的にはそのアンテナから電磁波として送信される。この送信信号は、無線通信の相手である端末局によって受信される。
ここまでの送信系の説明は、通常の送信処理であるが、基地局から端末局宛の特定の制御データを送信する必要が有る場合には、基地局送信部100は以下のような動作を行なう。即ち、制御部101は、端末局宛の特定の制御データが有る事を認識すると、端末局宛の特定の制御データを送信系制御信号線102を介して端末局制御信号波形作成部103に送り、端末局制御信号波形作成部103はその受信したデータに相当する信号波形を作成する。作成された信号波形は加算部119に入力され、複素IFFT部118からの信号と加算され、出力される。これ以降の処理は上述した通常の送信信号の場合と同様である。
なお、加算器119で特定の制御データの信号波形を加算する位置が、複素IFFT部118で作成されたOFDM変調波と重なる位置である場合には、その重なる位置のOFDM変調波は、無効なデータとなるようにする。即ち、送信系制御信号線102を介し、送信データ作成部111で作成するビット列においてそのサブキャリアで送信されるデータの部分をヌルで埋めるように指示し、送信データ作成部401はその処理を行なう。CRC付加部112から複素IFFT部118までは、その部分のデータがないものとして、通常と同様の処理を行なう。そして、加算器119で、そのデータがない部分に、端末局制御信号波形作成部103が作成した信号波形を加算して、送信処理を行う。
このように構成される基地局からは、端末局に対して制御信号についても伝送するように構成してあり、その制御信号の内の特定の制御信号(制御信号波形作成部103で作成される制御信号)については、OFDM変調されたマルチキャリア信号とは別に伝送するようにしてある。ここで、本例における特定の制御信号の配置について概略を説明する。図3は、本例の無線通信システムにおけるキャリア配置の一例を示した図である。
ここでは、20MHz おき(5.17GHz,5,19GHz,5,21GHz,‥‥)に情報通信用キャリアC1,C2,C3,C4,‥‥が配置されて、それぞれの情報通信用キャリアで、マルチキャリア信号であるOFDM変調信号が伝送されるようにしてある。ここまでは従来例として図29に示した周波数配置と同じであるが、本例の場合には、20MHz おきに配置された情報通信用キャリアのガードバンドにあたるところに、狭帯域の制御信号用キャリアC11,C12,C13,‥‥を配置する。この狭帯域の制御信号用キャリアは、情報通信用キャリアの中心周波数からちょうど10MHz 離れたところに配置してあり、ガードバンドの中心に位置していることになる。この狭帯域の制御信号用キャリアを使用して、基地局から端末局宛の一部の制御信号を送信する。
この図3に示すように狭帯域キャリアを配置することで、例えば端末局で狭帯域キャリアを受信するためには、端末局の受信チャンネルを決める周波数シンセサイザを、従来、情報通信用キャリアの周波数間隔である20MHz ステップで変化させる構成であったものを、本例の場合には、10MHz ステップで変化させる構成とすれば、狭帯域キャリアについても受信できるようになる。端末局の具体的な構成については後述する。狭帯域キャリアの信号帯域幅は、好ましくは、情報通信用キャリアのシンボルレートあるいはサンプルレートの整数分の1になっている。狭帯域キャリアが配置された帯域は、ガードバンドにあたる周波数帯であり、隣接帯域への電力の漏洩がなければ、他の帯域での通信を妨げるものではない。
狭帯域キャリアで基地局から送信される信号は、情報通信用キャリアで送信される信号とフレーム同期がとられている。即ち、図4に本例の無線通信システムにおける制御信号の送信フォーマットを示すと、基地局が狭帯域キャリアを使用して送信する制御信号Dbは、情報通信用キャリアで送信される信号Daのフレーム周期であるMACフレームの送信開始時刻にあわせて送信されている。MACフレームは、従来例で図31を参照して説明したように、一定の時間(ここでは2m秒)毎に周期的に設定される送受信単位であり、図4に示した情報通信用キャリアで送信される信号Daの基本的な構成は、図31に示した従来の信号と同じである。
それぞれのMACフレームの前半では、情報通信用キャリアを使用して、基地局から各端末局に送信する下りチャンネルの信号が伝送され、MACフレームの後半は、各端末局から基地局への上りチャネルが送信されてくるタイミングとしてある。狭帯域キャリアを使用した基地局から端末局への制御信号Dbの送信については、MACフレーム内の下りチャンネルの信号伝送期間内に行われるようにしてある。ここでは、図4に示すように、1単位のMACフレームの始端から、狭帯域キャリアの送信を開始させ、そのフレーム内のダウンリンクバーストペイロードが終わるまでに、狭帯域キャリアの送信を終了させる。
このように狭帯域信号を基地局から送信することで、端末局では、狭帯域信号のみを受信している場合であっても、該基地局における情報通信用キャリアのMACフレームの切れ目を認識することが可能となり、狭帯域信号を受信して得られた情報により情報通信用キャリアにおける受信を開始したり情報通信用キャリアにおける送信を開始すべきことが明らかになった場合などには、即座にMACフレームの切れ目を認識し、所望の処理を行うことが可能となる。
狭帯域キャリアを使用して基地局から端末局に送信される制御信号の一部としては、例えば、端末局を個別又はグループ毎に呼び出すための呼出し信号とする。この信号を端末局で受信することで、端末局は基地局からの呼び出しがあることを判別できる。この呼出し信号を使用した処理の具体例については後述する。なお、本例の場合には、狭帯域キャリアを使用して端末局の呼出し信号を基地局から送信する場合であっても、情報通信用キャリアを使用して、MACフレーム内の制御信号送信区間内にも、予めシステムで決められた通りの構成で、端末局の呼出し信号を送信する。但し、情報通信用キャリアを使用した、端末局の呼出し信号の内の一部の信号の送信については、省略するようにしても良い。
ここまで説明したように狭帯域キャリアを使用して送信する場合に、基地局は、図3に示すように各ガードバンドに配置された複数の狭帯域キャリアで、それぞれの別の信号を送信するようにして、例えば1本の狭帯域キャリアに割当てる端末局(又はグループ)を予め決めるようにしても良い。
或いは、複数の狭帯域キャリアにて同一の信号を送信するようにしても良い。これは、伝送路が遅延を伴うマルチパスにより周波数選択性フェージングの影響を受けている場合には特に有効で、情報通信用キャリアの下方に配置された狭帯域キャリアで送信された信号がフェージングの谷に落ちていた場合であっても、情報通信用キャリアの上方に配置された狭帯域キャリアで送信された信号はフェージングの谷に落ちていないなどという周波数ダイバーシティ効果を得ることができる。このような場合、端末局は、上方に配置された狭帯域キャリアと下方に配置された狭帯域キャリアのうちどちらか受信状況のよいほうを受信することが可能となる。
なお、図3,図4に示した周波数配置では、狭帯域キャリアを、OFDM変調信号のガードバンドの中心に配置するようにしたが、ガードバンドの中心でなくても良い。例えば、図5に示すように、複数のサブキャリアが一定の周波数間隔で配置されたOFDM変調信号C1の内の最も上又は下の周波数のサブキャリアに隣接して、制御信号用の狭帯域キャリアC11′を配置しても良い。この場合、制御信号用の狭帯域キャリアC11′と隣接したサブキャリアとの周波数間隔を、OFDM変調信号のサブキャリアの周波数間隔と等しく設定するようにしても良い。
この図5に示すように制御信号用の狭帯域キャリアを配置することで、基地局側で狭帯域キャリアを配置する処理が、OFDM変調信号を生成させるブロック内で、他の信号と同時に処理できることになる。即ち、この場合には、送信データ処理部111から変調器117までの回路で、狭帯域キャリア用の制御信号についても同時に送信処理を行い、複素IFFT部118でサブキャリアが1本多いOFDM変調信号を生成させれば良い。図5のキャリア配置で送信処理を行う場合には、端末局制御信号波形作成部103と加算器119は必要なくなり、それだけ基地局の送信系の構成が簡単になる。
また、ガードバンドの中心や、OFDM変調信号を構成するサブキャリアに隣接した位置以外に、制御信号用の狭帯域キャリアを配置して無線伝送行うようにしても良い。
次に、本例の無線通信システムで使用される端末局の構成について説明する。図6は、本例の無線通信システムにおける端末局装置200の構成の一例を示した図である。端末局装置200は、例えば、内蔵されたバッテリを電源として使用して、持ち運び可能な移動局として構成される。
まず、端末局装置200の送信系の構成について説明する。音声通信の場合は音声コーダーの出力が、コンピュータと接続されるようなデータ通信の場合にはデータ信号がデータ入出力処理部201に入力され、適切なデジタルデータ列へと変換される。その出力は送信データ処理部211に入力され、必要であれば図示しない無線通信の相手である別のOFDM無線装置(基地局)に送信する通信制御データを制御部202から受け取り、それを適宜マルチプレックスした後に無線区間で送信される為のフレームやスロット構造を形成して出力される。
送信データ処理部211の出力は、CRC付加部212に入力され、受信側での誤り検出のための冗長度が付加されて出力される。その出力は暗号器213に入力され、暗号化が施されて出力される。その出力はスクランブラ214に入力され、或る定められたアルゴリズムにしたがって擬似的にランダムになるようなスクランブル処理を施されて出力される。その出力は符号化器215に入力され、誤り訂正符号化が施され出力される。畳込み符号化、ターボ符号化、リードソロモン符号化、あるいは複数の符号化の組み合わせによる連接符号化など、様々な種類の符号化が適用可能である。
符号化器215の出力はインターリーバ216に入力され、受信側において逆操作を行うことによりバースト誤りがランダム誤りに変換できるよう、符号化されたビット列を特定の規則に従って並べ替えるインターリーブが施され出力される。その出力は変調器217に入力され、送信時の信号点にマッピングされ、同相成分(I成分)と直交成分(Q成分) とが出力される。それぞれの成分の出力は複素IFFT部218に入力され、逆高速フーリエ変換処理が施されることによるOFDM変調が行われて出力される。その出力は時間波形整形部219に入力され、例えばサイクルプリフィックス付加によるガードタイムを設け、OFDM変調シンボルの立ち上がりと立ち下がりが滑らかになるようなウィンドウイング処理が施されて出力される。
時間波形整形部219の出力は、DA変換器220に入力されてデジタル波形からアナログ波形へと変換されて出力される。DA変換器220の出力は、RF送信器221に入力される。このRF送信器221においては、フィルタリング、I成分とQ成分によるベクトル変調、適切な送信周波数チャネルへの周波数変換、送信電力制御、増幅等が行われて出力される。RF送信器221からの出力信号はアンテナ共用器222に入力され、そのアンテナ共用器222からの出力はアンテナ223に入力され、最終的にはアンテナ223から電磁波として送信される。この送信信号は、無線通信の相手である基地局によって受信される。アンテナ共用器222は送信信号と受信信号を分離するためのもので、アンテナスイッチ又はデュープレクサが一般に使用される。
次に、端末局の受信系の構成について説明する。まず、端末局200が情報通信用キャリアにて通常のトラフィックを受信する場合の受信系の処理構成について説明する。ここで、端末局200で受信する信号は、無線通信の相手である基地局によって送信されたものである。
基地局から送信された信号は、電磁波としてアンテナ223で受信される。その信号はアンテナ共用器222で、端末局からの送信信号と分離された後に、RF受信器230に入力される。RF受信器230においては、RF増幅器231によって受信信号が増幅され、その増幅出力が、周波数合成器233によって作られる正弦波と直交検波器232において混合され、DCを中心周波数とするI成分とQ成分に分離され、第1,第2のフィルタ234,235によって特定の信号の帯域だけが濾過される。第1のフィルタ234は、後述する狭帯域キャリア又は特定のサブキャリアで伝送される、特定の制御信号を抽出するためのフィルタであり、第2のフィルタ235よりも通過帯域幅が狭く設定してある。第2のフィルタ235は、通常のトラフィックの信号を抽出するためのフィルタであり、OFDM変調された1単位の伝送チャンネルの信号を抽出するためのフィルタである。
第1のフィルタ234の出力は、第1のAD変換器241に入力されて、アナログ波形からデジタル波形に変換する。第1のAD変換器241の出力は、制御信号受信器242に入力される。制御信号受信器242では、基地局からの制御信号を検出して、その検出情報を、制御信号線(後述する呼出し報知信号線)205を介して制御部202に伝送する。制御信号受信器242で検出する制御信号としては、例えば基地局から自局又は自局が属するグループを呼び出していることを示す信号がある。
第2のフィルタ235の出力は、第2のAD変換器251に入力されて、アナログ波形からデジタル波形へと変換されて出力される。この出力は、例えばオーバーサンプルされて、ディジタルフィルタなどによりさらに希望信号の帯域だけを濾過する手段が付加されている場合もある。第2のAD変換器251の出力は同期回路252に入力され、フレーム同期、周波数誤差補正等が施されて出力される。また、電源投入直後等に可能な通信相手を探索するような場合には、この同期回路252にて同期信号検出を行ったり初期同期を行うように構成されている。
同期回路252の出力は時間波形整形部253に入力され、例えばサイクルプリフィックス付加によるガードタイムを除去するような時間波形整形を施されて出力される。この出力は複素FFT(高速フーリエ変換)部254に入力され、高速フーリエ変換処理が施されることによるOFDM復調が行われて出力される。この復調出力は等化器255に入力される。等化器255においては、伝送路の推定や推定結果による等化が行われる。場合によっては、同期回路254の情報も等化器255に入力され、伝送路推定等に使用される。等化器255の出力は復調器256に入力され、信号点判定が施されて受信ビット推定値が出力される。その出力はデインターリーバ257に入力され、符号化されたビット列を特定の規則に従って並べ替えるデインターリーブが施され出力される。その出力は復号器258に入力され、送信側で施された誤り訂正符号の復号が行われて出力される。
復号器258の出力はデスクランブラ259に入力され、送信側で行われたスクランブルの逆変換であるデスクランブル処理が施されて出力される。その出力は暗号解除器260に入力され、送信側で施された暗号化が解除されて出力される。その出力はCRCチェック部261に入力され、CRC符号を外したデータとその受信ブロックのCRCチェックの結果とが出力される。その出力は受信データ処理部262に入力される。受信ブロックのCRCチェックの結果誤りが無いと判断されていれば、無線区間で送信のために施されたフレーム構造やスロット構造を外して出力する。その出力はデータ入出力処理部201に入力され、音声通信の場合は音声信号が、コンピュータと接続されるようなデータ通信の場合にはデータ信号へと変換されて出力される。
受信データに基地局からの通信制御データが含まれていた場合には、その部分を受信データ処理部262が取り出して出力し、その出力は受信系制御線204を介して制御部202に入力され、制御部202は受け取った制御データを解釈してその指示に従って端末局200の各部の動作制御を行う。
仮にARQ方式が採用されている場合には、受信データ処理部262は以下のように動作する。即ち、CRCチェック部261からの入力信号に、受信ブロックに誤りが含まれていないという情報が含まれていた場合は、上述したように受信ブロックを受信データ処理部262へと出力する一方、受信ブロックに誤りが含まれていなかった旨を受信系制御線204を介して制御部202へと出力し、これを受け取った制御部202は、基地局にACK信号を送信するように送信系制御線203を介して送信データ処理部211に指示し、送信データ処理部211は送信ACK信号を送信データにマルチプレックスする等して、以下は既に説明したような送信系の動作にしたがってACK信号が基地局に向けて無線送信される。
逆に、CRCチェック部261からの入力信号に、受信ブロックに誤りが含まれていたという情報が含まれていた場合は、上述したような受信ブロックを受信データ処理部262へと出力せず、受信ブロックに誤りが含まれていた旨を受信系制御線204を介して制御部202へと出力し、これを受け取った制御部202は、基地局にNAK信号を送信するように送信系制御線203を介して送信データ処理部211に指示し、送信データ処理部211は送信NAK信号を送信データにマルチプレックスする等して、以下は既に説明したような送信系の動作にしたがってNAK信号が基地局に向けて送信される。これを受信した基地局は、NAK信号が送られてきたブロックの再送を行う。
仮にARQ等の再送が用いられていない、音声通信のようなストリーム通信の場合には、受信データ処理部262は以下のように動作する。即ち、CRCチェック部261からの入力信号に、受信ブロックに誤りが含まれていないという情報が含まれていた場合は、上述したように受信ブロックを受信データ処理部266へと出力する。逆に、CRCチェック部261からの入力信号に、受信ブロックに誤りが含まれていたという情報が含まれていた場合は、受信データ処理部262は当該受信ブロックを破棄し、イレイジャーとして扱い、ひとつ前の受信ブロックを用いて補完するなどの処理を行う。
送信系の各部は送信系制御線203を介して制御部202に接続されており、制御部202はこれを介して送信系のオン・オフ制御、RF送信器221の動作制御・状態監視、送信タイミングの微調整、符号化方式や信号点マッピングの方式の変更、前述した再送制御等、様々な送信系の動作の制御・監視を行う。受信系の各部は受信系制御線204を介して制御部202に接続されており、制御部202はこれを介して受信系のオン・オフ制御、RF受信器230の動作制御・状態監視、受信タイミングの微調整、復号方式や信号点デマッピングの方式の変更、前述した再送制御等、様々な受信系の動作の制御・監視を行う。
次に、本例の通信システムでの端末局200の待受け時の動作について、図7を参照して説明する。ここでの待受けとは、基地局と情報通信は行っていないものの、基地局から呼出された場合にはこれに応答する状態である。また以下の説明では、狭帯域キャリアで送信されてくる制御信号は、具体的には端末局の呼出の為の信号データ、又はその呼出の為の信号データの一部である場合を想定する。
まず端末局200は、電源オンになってから(ステップS11)、待受け動作に入る前に、基地局に対してアソシエーションを行ない、呼出のための符号、ないしはそれに相当するデータを受信済みとする(ステップS12)。また、基地局と端末局のネゴシエーションによって受信すべきフレーム間隔を間引く事も合意されており、その時間間隔ならびに基準時間も端末局200の制御部202に設定されているものとする。
ここまでの設定が行われた上で、狭帯域キャリアで送信されてくる制御信号を受信する際には、端末局内の基本周波数発振器と制御部202の内部に有るカウンタだけが常時動作し、次に起動して受信すべきタイミングを測定するタイマーセットが行われた状態としており、それ以外の全ての部分は受信系制御信号線204を介した制御部202からの制御により、電源がオフになったスリープ状態とされる(ステップS13)。
このスリープ状態となっているときに受信すべき時間が近づくと、基本周波数発振器の周波数誤差及び端末局受信機の電源投入後の立ち上がり時間を考慮に入れて、制御部202は受信すべき信号が来ると想定している時間より若干早く、受信系の制御信号線204を介して、待受け信号受信に必要な部分の電源をオンにするように制御を行う。
そして、狭帯域キャリアで送信されてくる制御信号を受信するタイミングになると、第1のフィルタ234と第1のAD変換器241と制御信号受信器242のみが動作を開始し、基地局から送信された信号のうち、狭帯域キャリアで送信された制御信号の帯域を受信する(ステップS14)。この際、第2のフィルタ235を除くRF受信器230と第1のAD変換器241と制御信号受信器242の電源がオンになるだけで、端末局内の他の受信部は電源オンとならない。
具体的には、狭帯域キャリアの帯域幅に相当する第1の帯域幅のみ通過するよう、第1のフィルタ234によって受信信号は帯域制限され、その出力が第1のAD変換器241に入力される。このように帯域を制限されたアナログ受信信号は、第1のAD変換器241において、この第1の帯域幅の1倍以上の周波数、好適には2倍以上の周波数でサンプリングされ、デジタル信号に変換されて出力される。出力されたデジタル信号は、基地局からの呼出し信号を検出する制御信号受信器242に入力され、自分(自局)、あるいは自分を含む呼出しグループが呼出されていないかを判断する。
制御信号受信器242において、自分、あるいは自分を含む呼出しグループが呼出されていると判断された場合には、呼出し報知信号線205を介して呼出されている旨を制御部202に通知し、自局が呼び出された場合の処理に移る(ステップS15)。例えば、次のMACフレームのOFDM変調信号の先頭部で送信される、もともとシステムにおいて用意されている、正規の呼出信号が含まれる制御信号を受信できるように、制御部202は受信系制御信号線204を介して受信系を動作させる。この場合、キャリア配置が例えば図3に示す設定である場合には、狭帯域キャリアの受信から、OFDM変調信号の受信に移るので、少なくとも10MHz 受信周波数が変化する。そして、その受信したMCAフレーム内に配された制御信号で指示された、自局に割当てられた周波数やタイムスロットなどを判断して、その指示された周波数やスロットを使用して、情報伝送を行う(ステップS16)。
ステップS14での狭帯域キャリアの受信で、自局(又は自局が属するグループ)が呼び出されてないと判断した場合には、ステップS13のスリープ状態に戻って、次の狭帯域キャリアの受信まで待機する。そして、ステップS14での狭帯域キャリアの受信で、自局(又は自局が属するグループ)が呼び出された判断して、ステップS15での正規の呼出信号が含まれる制御信号を受信して、自局に対するタイムスロットの割当が行われていなかった場合には、自局を含む呼出しグループ内の他の端末が呼出されたか、或いは呼出し信号の受信判断を誤ったと判断し、制御部202は内部のカウンタをリセットするとともに、受信系制御信号線204を介して図示しない基本周波数発振器と制御部202の内部に有るカウンタ以外の電源をオフに制御し、端末局200はステップS13の待受けスリープ状態に戻る。
なお、待ち受け状態からの状態遷移を示した図7の例では、基地局から送信される制御信号の受信処理だけで、トラフィックの送受信に移るようにしたが、端末局でのトラフィックの送受信に移る前に、端末局から基地局側にもアクセス用の信号の送信が必要なシステムにも適用可能である。図8は、この場合の状態遷移の例を示した図である。
この図8の例の場合には、ステップS14で狭帯域キャリアの受信で、自局(又は自局が属するグループ)の呼び出しを判別した場合に、ステップS17に移って、制御部202は送信系制御信号線203を介して送信系の電源をオンにし、MACフレーム内の上りランダムアクセスチャネルで送信し、更に制御部504は適正なタイミングで受信系制御信号線204を介して受信系を動作させて、第1のフィルタ234と第1のAD変換器241と制御信号受信器242を除いた全ての受信系の電源をオンにして、MACフレーム内の基地局からの下りの応答を受信し、その応答に拠って、本当に自局宛の呼出しであったのか、自局を含む呼出しグループを呼出していてしかも自局が呼出されているのか、自局を含む呼出しグループを呼出していたのだが実際には自局は呼びだされていなかった、あるいはそもそも自局宛あるいは自局を含む呼出しグループに対する呼出し信号では無かったのか、を確認し自局が呼出されていることが判った場合に、通常の呼接続開始手順に入って、ステップS18のトラフィックの送受信に移るように制御を行う。
このようにランダムアクセスチャネルとその応答を使用して確認した結果自分が呼出されていなかった事が判った場合には、自分を含む呼出しグループの他の端末が呼出されたか、呼出し信号の受信判断を誤ったと判断し、制御部202は内部のカウンタをリセットするとともに受信系制御信号線204を介して図示しない基本周波数発振器と制御部202の内部に有るカウンタ以外の電源をオフに制御し、端末局200はステップS13の待受けスリープ状態に戻る。制御信号受信器242において、自局、あるいは自局を含む呼出しグループが呼出されていないと判断された場合には、呼出し報知信号線205を介して制御部202に呼出されていない旨を通知する。通知を受けた制御部202は内部のカウンタをリセットするとともに受信系制御信号線204を介して図示しない基本周波数発振器と制御部202の内部に有るカウンタ以外の電源をオフに制御し、端末局200は、ステップS13の待受けスリープ状態に戻る。図8の状態遷移図のその他の処理については、図7に示した状態遷移の処理と同じである。
次に、狭帯域キャリアで送受信される制御信号の信号方式の例について説明する。本例の場合には、狭帯域キャリアで送受信される制御信号は、MACフレーム内のOFDM変調信号として伝送される信号とは、別の変調方式の信号を採用するようにしてあり、受信側で容易に受信信号の検出ができるようにしてある。ここでは、狭帯域キャリアで制御信号の一部が送信されていることを想定しており、例えば1MACフレームあたりに数ビット程度の情報だけを送信する場合に適用される処理である。
まず、図9に基地局側での制御信号の送信構成の一部を示す。基地局は、現在収容している端末局群をいくつかのグループに分け、各々のグループに対する呼出しを時分割で行う場合もある。この場合、端末局はどのタイミングで自分宛ての呼出し信号が送信されてくるかをあらかじめネゴシエーションにより既知であり、そのタイミングでのみ間欠的に受信を行う。
基地局は、それぞれのMACフレームのタイミングにおいて呼出すべき端末局群の中から、実際に呼出したい端末局をピックアップする。このピックアップ作業は、図9に示した呼出し端末決定手段131により行われる。この結果は送信ビット列決定手段132に送られ、呼出したい端末局( 複数の場合もある) にあらかじめ対応付けたビット列を生成する。このビット列はM−ary信号生成手段133に送られ、入力されたビット列に該当するM−ary符号に変換される。
図11のA〜Hは、M−ary符号の例を示した図である。ここでは、3ビットのデータを8シンボルのM−ary符号に変換した例を示したもので、各々のデータに対して、互いに直交するベクトルを割当てる符号化方式であり、受信側では単純な相関検出で、伝送されたデータを検出できる特徴を有した符号である。
このようにしてM−ary信号生成手段133で生成された信号は、PN(Pseudo Noise)系列生成手段135により生成された擬似ランダム系列と、乗算器134で乗算( 極性の反転) されることにより、軽くスペクトラム拡散される。図9の例では、7倍に拡散された場合が示されており、最終的に合計56シンボルが出力される。出力されたシンボルは、例えば図3に示したガードバンドの中心に狭帯域キャリアを配する周波数配置の場合には、基地局内で、OFDM変調信号とは10MHz 離れたところに配置される処理が行われて、送信される。また、例えば図5に示したようにOFDM変調信号に隣接して狭帯域キャリアを配置する場合には、図9R>9の構成で生成されたシンボルは、基地局内の送信処理用の複素IFFT部に送られ、情報通信用キャリアの信号とマルチプレクスされて送信される。
次に、このように基地局で生成されて狭帯域キャリアで送信された信号を、端末局側で受信する構成について、図10を参照して説明する。図10は端末局200における受信構成の一部を示した図である。具体的には、図6における制御信号受信器242の内部構成を示している。
図6に示した制御信号受信器242の前段に配された第1のAD変換器241は、例えば狭帯域信号のシンボルレートの2倍のシンボルレートで動作させ、第1のAD変換器241の出力は、図示しないディジタルフィルタ(LPF) により信号帯域を制限した後に、図10に示した入力端270へと渡される。この信号は、DLL(Delayed Lock Loop) により受信タイミングを補正しながら信号の逆拡散処理ならび復号処理が行われる。
図10を参照して具体的な信号処理を説明すると、入力された信号は3系統に分割され、遅延回路271,272を使用して各々1サンプル時間だけずらし、それぞれの系統の信号に対して、変換回路273,274,275でシンボルレートを2倍化する。そして、送信側でスペクトラム拡散時に用いられたPN系列と同様のPN系列を、PN系列生成手段281で生成させ、乗算器276,277,278で各系統の信号にPN系列を乗算して、逆拡散処理を行う。逆拡散処理により得られた3系統の信号のうち、タイミングが真中の信号が復号処理対象となり、他の2つの信号は、減算器282で減算が行われた後に、図示しない受信タイミング制御手段へと送られる。受信タイミング制御手段においては、通常のDLLを用いた受信タイミング制御処理と同様の制御処理で、受信タイミングがドリフトしていかないようなタイミング制御を行う。
一方、復号処理対象となった系統の信号は、受信ビット列推定手段279へと送られ、相関検出によりM−ary符号化された信号をMLSE(Maximum Likelihood Sequence Estimator:最尤推定) 処理し、受信ビット列の推定値を出力する。この受信ビット列推定値は呼出し端末推定手段280におくられ、この呼出し端末推定手段280において、該タイミングで自端末局が呼出されているのか否かを判断し、判断結果に応じた処理を行う。
このように図9の構成で制御信号を生成して基地局から狭帯域キャリアなどで送信することで、端末局側での受信構成としては、伝送路の推定が不要であり、図10に示した通り、簡単な処理で送信されてきた信号を復号することが可能であるのみならず、高い耐雑音特性を有する通信が提供可能となる。また、受信タイミング制御についても、簡単な処理のみで実現することが可能となり、端末局におけるより一層の消費電流削減に貢献する。
なお、図9,図10に示した制御信号の伝送処理構成では、M−ary符号を利用して、チャンネルレスポンスなどの伝送路推定が不要な簡単な構成で伝送できるようにしたが、上述したM−ary変調のかわりに既知シンボルであるパイロットシンボルを付加した後にスペクトラム拡散処理を行って送信するようにしても良い。図12は、このパイロットシンボルを付加する場合の、送信側(基地局)での符号化処理の例を示した図である。この例では、呼出し端末決定手段131の出力を送信ビット列決定手段132に送り、呼出したい端末局にあらかじめ対応付けたビット列を生成し、生成されたビット列を、パイロット付加手段136に送り、既知シンボルであるパイロットシンボルを付加する。
パイロット付加手段136でパイロットシンボルが付加された信号は、PN系列生成手段135により生成された擬似ランダム系列と、乗算器134で乗算してスペクトラム拡散し、その拡散出力を、図9の例の場合と同様に狭帯域キャリア又は特定のサブキャリアで無線送信する処理を行う。この図12に示した構成で基地局から送信させた場合には、端末局での受信構成については、受信ビット列推定手段の内部の処理が異なるだけで、図10に示した構成と同様の処理で復号処理が可能である。
また、呼び出し信号などの制御信号の伝送処理構成として、DCオフセットが簡単に除去できるような符号化形式を採用しても良い。即ち、例えば、図13Aに示すように、サブキャリアを使用して移動局の呼出の為の信号データ、又はその呼出の為の信号データの一部を送信する際に、同じデータを偶数回繰り返して送信を行ない、その偶数回の内の半分はデータの極性を反転して送信を行なう。この例では、移動局の呼出の為の信号データ、又はその呼出の為の信号データの一部が、"111010"のような6ビットで構成されていた場合を想定すると、データの変調としてBPSK変調のように、データを−1と+1にマッピングするものとする。このように極性を反転させながら偶数回繰り返して送信を行うことで、例えば図13Bに示すように、端末局内の受信器で得られた波形にDCオフセットが生じたとしても、偶数回繰り返された受信信号を利用することで、図13Cに示すように、相互相関波形はDCオフセットが除去された波形とすることが容易にできる。
もし、半分のデータの極性を反転させながら偶数回送信させることを実行しない場合には、例えば図14Aに示すように、複数回同じデータを繰り返し基地局から送信したとしても、端末局での受信波形に、図14Bに示すDCオフセットが生じた場合、図14Cに示す受信側での相互相関波形に、DCオフセットがそのまま残ってしまうが、図13に示すように送信処理を行うことで、このような問題を簡単に回避できる効果を有する。
上述したM−ary符号化には必要なビット数が限定されており(例えば情報ビットがnビットの場合には、M−ary符号化によって2^nビットが送信に必要となる)、実際の運用上それだけのビット数を伝送できない場合には、この図13に示すように送信処理を行うのが好適である。例えば、使用可能なDCサブキャリアの帯域によって制限される移動局の呼出の為の信号データ、又はその呼出の為の信号データの一部のシンボル長が3.2 μsec であったとする。この時、このデータを送信することのできる時間が44μsec で有ったと仮定する。
このように仮定した場合の端末局の呼出の為の信号データ、又はその呼出の為の信号データの一部は、44÷3.2=13.75 となり、13シンボルしか送られないことになり、M−ary符号化には余り適さない。このような場合に、移動局の呼出の為の信号データ、又はその呼出の為の信号データの一部を6ビット長とし、これを複数回、この場合には2回繰り返して送信するものとする。このとき、送信に必要なシンボル長は38.4μsec となり、残った時間には送信しないこととする。
なお、図13に示した例では、繰返し送信として1回全部のビット列を伝送した後に極性を反転させたビット列を伝送するような例を用いて説明したが、例えば、1ビットおきに反転ビットを挿入するような構成、例えば"111010"を"101010011001"に変換するような構成にしても良い。
ここで、図13に示すように制御信号を基地局から送信した場合の、端末局での受信処理例を、図15を参照して説明する。この図15は、図6に示した端末局200内の制御信号受信器242の構成例を示した図である。この図15の例は、簡易な相互相関検出を用いて、制御信号を受信する構成の例である。ここでは制御信号受信器242は、複素相互相関計算器243、参照信号発生器244、比較器245、相関閾値設定器246から構成される。
まず、参照信号発生器244に対して、受信系制御信号線204を介した制御部202からの制御によって、自局、又は自局を含む呼出しグループを区別するための符号が送信される場合のビット列がセットされる。このビット列から、参照信号発生器244は等価基底帯域系におけるDCサブキャリア近傍の少なくとも1つのサブキャリアの帯域で伝送される場合の基底帯域の波形を生成し、複素相互相関計算器243に参照信号として入力しておく。
一方、相関閾値設定器246においては、受信系制御信号線204を介した制御部202からの制御によって、計算される相互相関値が自分もしくは自分を含むグループが呼出されていると判定するための閾値を定め、閾値として比較器245に入力しておく。第1のAD変換器241から出力された受信デジタル波形は複素相互相関計算器243に入力され、ここにおいて相関閾値設定器244から入力された参照信号との相互相関が計算され、その値が出力される。その出力は比較器245に入力され、ここにおいて相関閾値設定器245からセットされた閾値と比較され、閾値よりも相関が高いと判定された場合には、呼出し報知信号線205を介して呼出されている旨を制御部202に伝える。閾値よりも相関が低いと判定された場合には、呼出し報知信号線205を介して呼出されていない旨を制御部202に伝える。なお、相関閾値設定器246は、無線伝搬路の状況や干渉の状況などに応じて制御部202から動的に制御されても良い。
このように制御信号受信器242として、複素相関を求める手法を用いることにより、比較的簡易な構成かつ低消費電力で呼出し信号を検出することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施の形態を、図16〜図25を参照して説明する。
本実施の形態の場合にも、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、基地局と端末局との間で、OFDM変調信号を無線伝送する構成としてあり、情報伝送を行う基本的な構成については、第1の実施の形態で説明した構成と同じである。本例においては、第1の実施の形態で呼び出し信号などの特定の制御信号を伝送するために狭帯域キャリアなどを用意して、ガードバンドで伝送する構成とした代わりに、OFDM変調信号内の特定のサブキャリアを使用して、呼び出し信号などの特定の制御信号を伝送するようにしたものである。
図16は、本例における1伝送チャンネルのサブキャリアの配置を示した図である。複数のサブキャリアが一定の周波数間隔で配置されてOFDM変調信号が構成される。例えば、サブキャリア群が312.5kHzおきに配置され、合計53本のサブキャリアを用意する。そして本例においては、この53本のサブキャリアの内の中心である、等価基底帯域系におけるDCを中心とするサブキャリアSC1(搬送波周波数帯における中心周波数f0のサブキャリアに相当)と、その中心のサブキャリアSC1 に隣接(ここでは上側に隣接)したサブキャリアSC2 の合計2本のサブキャリアを、各MACフレーム内の特定区間で、呼び出し信号などの特定の制御信号の伝送に使用するように構成する。
図17は、本例における1MACフレームの構成例を示した図である。ここでは、2m秒周期のMACフレームという送受信単位が定義されており、大別してブロードキャストバースト、ダウンリンクフェーズ、アップリンクフェーズ、コンテンションフェーズの4つの部分から構成される。なお図17では、ブロードキャストバーストとダウンリンクフェーズだけを示してある。
ブロードキャストバーストは、ブロードキャストプリアンブル、基地局情報などを同報する為のBCH、同一フレーム内のトラフィックチャネル割当等を各端末局に通知するためのFCH、端末局からの発呼に用いられるRCHに対する応答が行われるACHなどが用意されている。本例の場合には、このブロードキャストバースト内のブロードキャストプリアンブルとBCHとFCHの区間で、上述した図16に示した2本のサブキャリアSC1 ,SC2 を、特定の制御信号伝送用に使用する。
各MACフレームにおいて、ブロードキャストバーストのACHの区間、及びダウンリンクフェーズとアップリンクフェーズの区間の2本のサブキャリアSC1 ,SC2 は、特定の制御信号の伝送には使用しない。この特定の制御信号の伝送には使用しない区間では、2本のサブキャリアSC1 ,SC2 は何も情報が伝送されないヌルキャリアとするか、或いは何らかの情報伝送に使用しても良い。また、中心周波数f0のサブキャリアSC1 だけACH以降の区間でヌルキャリアとして、隣のサブキャリアSC2 については、ACH以降の区間で情報伝送に使用しても良い。
このようなサブキャリア配置で、基地局から無線送信させる構成としては、例えば、既に第1の実施の形態で説明した図2に示した送信構成が適用でき、2本のサブキャリアSC1 ,SC2 に配置されるデータに、端末局の呼び出し信号などの特定の制御信号を配置すれば良い。この場合、この2本のサブキャリアSC1 ,SC2 を使用して伝送する信号については、既に第1の実施の形態の図9〜図12で説明した場合と同様に、M−ary符号化などの簡易かつ低消費電力処理が可能な簡単な符号化を行って送信するようにしても良い。また、図13〜図15で説明した場合と同様に、複数回繰り返し同じデータを反転させて送信させて、DCオフセットを除去できる送信処理を行っても良い。或いは、他のサブキャリアで伝送される信号と、同じ符号化形式で伝送するようにしても良い。
次に、このようにして基地局から送信される信号を受信する端末局の構成例を、図18を参照して説明する。図18に示した端末局200′は、送信系の構成については図6に示した端末局200と同じ構成であり、ここでは説明を省略する。端末局200′の受信系の構成について説明すると、基地局からの無線信号は、アンテナ223で受信され、アンテナ共用器222を介してRF受信器230′に入力される。RF受信器230′においては、RF増幅器231によって受信信号が増幅され、その増幅出力が、周波数合成器233によって作られる正弦波と直交検波器232において混合され、DCを中心周波数とするI成分とQ成分に分離され、通過帯域可変フィルタ236によって、特定の帯域の信号だけが濾過される。
この通過帯域可変フィルタ236は、制御部202の制御によって通過帯域が可変設定されるフィルタである。通常の受信時には、図16に示す1伝送帯域に用意された全て(ここでは53本)のサブキャリアを全て通過させる広帯域の通過帯域が設定される。また、待ち受け受信時には、ほぼ中心の2本のサブキャリアSC1 ,SC2 だけを通過させる狭帯域の通過帯域が設定される。
通過帯域可変フィルタ236の出力は、AD変換器263に入力されて、アナログ波形からデジタル波形に変換する。ここでのAD変換器263は、サンプリングレート可変AD変換器としてあり、待ち受け受信時と通常受信時とでサンプリングレートの可変に対処できるようにしてある。このサンプリングレートは、制御部202からの制御で設定される。
AD変換器263の出力は、制御信号受信器264と同期回路252に入力される。制御信号受信器264では、基地局からの制御信号を検出して、その検出情報を、制御信号線(後述する呼出し報知信号線)205を介して制御部202に伝送する。制御信号受信器264で検出する制御信号としては、例えば基地局から自局又は自局が属するグループを呼び出していることを示す信号がある。
同期回路252に入力された信号は、フレーム同期、周波数誤差補正等が施されて出力される。同期回路252から受信データ処理部262までの受信処理系については、図6に示した端末局200と同じ構成であり、受信データ処理部262の出力はデータ入出力処理部201に入力され、音声通信の場合は音声信号が、コンピュータと接続されるようなデータ通信の場合にはデータ信号へと変換されて出力される。
次に、本例の通信システムでの端末局200′の待受け時の動作について、図19を参照して説明する。ここでの待受けとは、基地局と情報通信は行っていないものの、基地局から呼出された場合にはこれに応答する状態である。また以下の説明では、狭帯域キャリアで送信されてくる制御信号は、具体的には端末局の呼出の為の信号データ、又はその呼出の為の信号データの一部である場合を想定する。
まず端末局200′は、電源オンになってから(ステップS11)、待受け動作に入る前に、基地局に対してアソシエーションを行ない、呼出のための符号、ないしはそれに相当するデータを受信済みとする(ステップS12)。また、基地局と端末局のネゴシエーションによって受信すべきフレーム間隔を間引く事も合意されており、その時間間隔ならびに基準時間も端末局200′の制御部202に設定されているものとする。
ここまでの設定が行われた上で、狭帯域キャリアで送信されてくる制御信号を受信する際には、端末局内の基本周波数発振器と制御部202の内部に有るカウンタだけが常時動作し、次に起動して受信すべきタイミングを測定するタイマーセットが行われた状態としており、それ以外の全ての部分は受信系制御信号線204を介した制御部202からの制御により、電源がオフになったスリープ状態とされる(ステップS13)。
このスリープ状態となっているときに受信すべき時間が近づくと、基本周波数発振器の周波数誤差及び端末局受信機の電源投入後の立ち上がり時間を考慮に入れて、制御部202は受信すべき信号が来ると想定している時間より若干早く、受信系の制御信号線204を介して、待受け信号受信に必要な部分の電源をオンにするように制御を行う。
そして、狭帯域キャリアで送信されてくる制御信号を受信するタイミングになると、フィルタ236を狭帯域に設定し、AD変換器263を待ち受け受信時用のサンプリングレートに設定して、RF受信器230′と制御信号受信器264のみが動作を開始し、基地局から送信された信号のうち、2本のサブキャリアSC1 ,SC2 だけを受信する(ステップS14)。受信タイミングとしては、各MACフレーム内のブロードキャストプリアンブルとBCHとFCHの区間だけを受信する。このときには、受信に関係した部分は、RF受信器230′とAD変換器263と制御信号受信器264の電源がオンになるだけで、端末局内の他の受信部は電原オンとならない。
このようにして受信動作を行うことで、サブキャリアSC1 ,SC2 で伝送された基地局からの呼出し信号が、制御信号受信器264に入力され、自分(自局)、あるいは自分を含む呼出しグループが呼出されていないかを判断する。
制御信号受信器264において、自分、あるいは自分を含む呼出しグループが呼出されていると判断された場合には、呼出し報知信号線205を介して呼出されている旨を制御部202に通知し、自局が呼び出された場合の処理に移る(ステップS19)。ここでは、フィルタ236を広帯域に設定し、AD変換器263を通常受信用のサンプリングレートに設定して、同期回路252から受信データ処理部262までの受信系についても電源オンとして作動させ、例えば次のMACフレームのOFDM変調信号の先頭部で送信される、もともとシステムにおいて用意されている、正規の呼出信号が含まれる制御信号を受信できるようにする。そして、その受信したMCAフレーム内に配された制御信号で指示された、自局に割当てられた周波数やタイムスロットなどを判断して、その指示された周波数やスロットを使用して、情報伝送を行う(ステップS20)。
ステップS14でのサブキャリアSC1 ,SC2 だけの受信で、自局(又は自局が属するグループ)が呼び出されてないと判断した場合には、ステップS13のスリープ状態に戻って、次のサブキャリアSC1 ,SC2 の受信タイミングまで待機する。そして、ステップS14でのサブキャリアSC1 ,SC2 だけの受信で、自局(又は自局が属するグループ)が呼び出された判断して、ステップS19での広帯域受信で、自局に対するタイムスロットの割当が行われていなかった場合には、自局を含む呼出しグループ内の他の端末が呼出されたか、或いは呼出し信号の受信判断を誤ったと判断し、制御部202は内部のカウンタをリセットするとともに、受信系制御信号線204を介して図示しない基本周波数発振器と制御部202の内部に有るカウンタ以外の電源をオフに制御し、端末局200はステップS13の待受けスリープ状態に戻る。
この第2の実施の形態に示すように構成してシステムを運用させることで、端末局での待ち受け時には、搬送波周波数帯における中心周波数f0の近傍の特定のサブキャリアだけを間欠受信すれば良く、簡単な処理で待ち受け受信が実現できることになり、端末局での待ち受け時の低消費電力化に貢献する。この場合、端末局内のRF受信器230で受信する受信周波数そのものは、通常の通信時と全く同じであり、例えば20MHz などの受信周波数ステップを従来の端末装置と全く同じに設定でき、端末局の構成の複雑化を回避できる。
なお、待ち受け状態からの状態遷移を示した図19の例では、基地局から送信される制御信号の受信処理だけで、トラフィックの送受信に移るようにしたが、第1の実施の形態で図8に示した状態遷移の例の場合と同様に、端末局でのトラフィックの送受信に移る前に、端末局から基地局側にもアクセス用の信号の送信が必要なシステムに、本例の狭帯域での待ち受け信号受信と、広帯域受信とを行うことを適用することも可能である。
また、この第2の実施の形態での伝送例として示した図16のサブキャリア配置では、搬送波周波数帯における中心周波数f0のサブキャリアSC1 と、このサブキャリアSC1 に隣接したサブキャリアSC2 の2本のサブキャリアで、端末局の呼び出し信号(又は端末局の呼び出し信号の一部)を伝送するようにしたが、1伝送帯域内における搬送波中心周波数近傍のその他の1つ又は複数の特定のサブキャリアを、呼び出し信号などの特定の制御信号の伝送用に使用する構成としても良い。
例えば、図20にサブキャリア配置の別の例を示すと、1伝送帯域が53本などの複数本のサブキャリアでOFDM変調信号が構成される場合に、その搬送波周波数帯における中心周波数f0のサブキャリアSC1 と、このサブキャリアSC1 の上側の周波数位置に隣接したサブキャリアSC2 と、サブキャリアSC1 の下側の周波数位置に隣接したサブキャリアSC3 との、3本のサブキャリアで、端末局の呼び出し信号(又は端末局の呼び出し信号の一部)などの特定の制御信号を伝送するようにする。
この図20例の場合の、1MACフレーム内のブロードキャストバーストとダウンリンクフェーズを図21に示すと、この例では、このブロードキャストバースト内のブロードキャストプリアンブルとBCHとFCHの区間で、図20に示した3本のサブキャリアSC1 ,SC2 ,SC3 を、特定の制御信号伝送用に使用する。各MACフレームの特定の制御信号の伝送には使用しない区間では、3本のサブキャリアSC1 ,SC2 ,SC3 は何も情報が伝送されないヌルキャリアとするか、或いは何らかの情報伝送に使用しても良い。また、中心周波数f0のサブキャリアSC1 だけACH以降の区間でヌルキャリアとして、両隣のサブキャリアSC2 ,SC3 については、ACH以降の区間で情報伝送に使用しても良い。
この3本のサブキャリアSC1 ,SC2 ,SC3 で特定の制御信号を伝送する区間では、既に説明したように、相関検出のような簡易かつ低消費電力で受信処理できる符号化形式、或いはDCオフセットの除去が容易にできる符号化形式を採用して、制御信号を伝送するようにしても良い。
さらに別のサブキャリア配置例として、図2222に示す構成としても良い。即ち、図22に示すように、1伝送帯域が53本などの複数本のサブキャリアでOFDM変調信号が構成される場合に、その搬送波周波数帯における中心周波数f0のサブキャリアSC1 (等価基底帯域系におけるDCサブキャリア)だけの1本のサブキャリアで、端末局の呼び出し信号(又は端末局の呼び出し信号の一部)などの特定の制御信号を伝送するようにする。
この図22例の場合の、1MACフレーム内のブロードキャストバーストとダウンリンクフェーズを図23に示すと、この例では、このブロードキャストバースト内のブロードキャストプリアンブルとBCHとFCHの区間で、図22に示した1本のサブキャリアSC1 ,SC2 ,SC3 を、特定の制御信号伝送用に使用する。各MACフレームの特定の制御信号の伝送には使用しない区間では、サブキャリアSC1 は何も情報が伝送されないヌルキャリアとするか、或いは何らかの情報伝送に使用しても良い。
サブキャリアSC1 で特定の制御信号を伝送する区間では、既に説明したように、相関検出のような簡易かつ低消費電力で受信処理できる符号化形式、或いはDCオフセットの除去が容易にできる符号化形式を採用して、制御信号を伝送するようにしても良い。
また、搬送波周波数帯における中心周波数f0を中心とした複数本のサブキャリアの位置を、呼び出し信号などの特定の制御信号伝送用に割当てる場合に、その複数本のサブキャリアが配置される帯域を占有する1本のサブキャリアを配置するようにしても良い。即ち、例えば図24に示すように、搬送波周波数帯における中心周波数f0を中心として、本来は3本のサブキャリアSC1 ,SC2 ,SC3 が配置される帯域を使用して、1本のサブキャリアSCaを配置して、基地局から送信する。そして、この帯域幅の広い1本のサブキャリアSCaを使用して、端末局の呼び出し信号などの特定の制御信号を伝送する。
この図24例の場合の、1MACフレーム内のブロードキャストバーストとダウンリンクフェーズを図25に示すと、この例では、このブロードキャストバースト内のブロードキャストプリアンブルとBCHとFCHの区間で、図24に示した1本のサブキャリアSCaを、特定の制御信号伝送用に使用する。各MACフレームの特定の制御信号の伝送には使用しない区間では、サブキャリアSCaの伝送に使用した帯域に、他のサブキャリアと等しい帯域幅の3本のサブキャリアSC1 ,SC2 ,SC3 を配置して、情報伝送に使用する。
帯域幅が広いサブキャリアSCaで特定の制御信号を伝送する区間では、既に説明したように、相関検出のような簡易かつ低消費電力で受信処理できる符号化形式を採用して、制御信号を伝送するようにしても良い。
この図24,図25の例のように、帯域幅が広いサブキャリアSCaで特定の制御信号を伝送する構成とすると、端末局では、サブキャリアSCaで伝送される特定の制御信号を受信し易くなり、簡易かつ低消費電力で誤検出なく良好に信号を受信できるようになる。但し、この図24,図25の例の場合には、他のサブキャリアとの直交性が失われる。また、他のサブキャリアを使用して伝送されるデータの伝送特性が劣化しないように、サブキャリアSCaの送信電力などの選定に注意を払う必要がある。
次に、本発明の第3の実施の形態を、図26〜図28を参照して説明する。
本実施の形態の場合にも、上述した第1,第2の実施の形態の場合と同様に、基地局と端末局との間で、OFDM変調信号を無線伝送する構成としてあり、情報伝送を行う基本的な構成については、第1,第2の実施の形態で説明した構成と同じである。本例においては、端末局の呼び出し信号などの特定の制御信号の基地局からの送信を、MACフレーム内の専用に用意されたタイミングで行うようにしたものである。
即ち、既に説明した第1,第2の実施の形態では、特定の制御信号の送信を、予め決めた狭帯域キャリア又は特定のサブキャリアを使用して伝送するようにしたが、本実施の形態では、1MACフレーム内の、特定の制御信号送信用に専用に用意された区間を使用して伝送するようにしたものである。
具体的には、例えば1MACフレームとして、ブロードキャストバースト、ダウンリンクフェーズ、アップリンクフェーズ、コンテンションフェーズの4つの部分から構成されると第1の実施の形態では説明したが、ここでは、1MACフレームの末尾に、呼び出し信号専用の区間を用意する。例えば図28に示すように、1MACフレーム内の構成として、基地局から制御信号を送信するブロードキャストバースト(BCH,FCH,ACHなど)と、基地局から端末局への情報信号などの伝送に使用するダウンリンクフェーズ(DLフェーズ)と、端末局から基地局への情報信号などの伝送に使用するアップリンクフェーズ(ULフェーズ)と、端末局からの発呼に使用されるRCHを含むコンテンションフェーズとが用意されている構成までは、既に第1の実施の形態などで説明した通りである。
ここで本例においては、図28に示すように、1MACフレーム内のコンテンションフェーズのRCHの後に、呼び出し信号伝送区間を用意して、その呼び出し信号用区間で、基地局から各端末局を呼び出す信号を送信する。なお、この呼び出し信号用区間は、例えば既に提案されているフレーム構成の末尾に用意された、通信に使用しない期間を使用しても良い。
この呼び出し信号伝送区間に、基地局から送信する信号としては、例えば1MACフレーム内の他の区間で配置する信号と同じ変調方式の信号であるOFDM変調されたマルチキャリア信号としても良いが、端末局で簡単に受信信号を処理できるような信号を伝送しても良い。
例えば、呼び出し信号伝送区間に伝送する信号として、クロック周波数が低い信号を伝送するようにしても良い。クロック周波数が低い信号としては、例えば既に第1の実施の形態において、図11に説明したM−ary符号化、或いは図13に説明した偶数回の繰り返し送信処理を行う符号化を適用しても良い。何れにしても、呼び出し信号伝送区間では、OFDM変調信号とは異なる比較的簡単な受信処理で受信できる変調信号を無線伝送するようにする。
この場合には、端末局として例えば図26に示す構成が適用可能である。図26は、端末局の受信系にクロックなどを供給する構成を示した図である。アンテナ223で受信した信号は、RF増幅器231によって増幅され、その増幅出力が、周波数合成器233によって作られる正弦波と直交検波器232において混合され、特定の伝送周波数の受信信号が取り出され、受信処理部250に供給される。受信処理部250内で受信信号の復調などの受信処理が行われるが、この受信処理部250に供給するクロックとして、基本クロック発生器292の出力と、基本クロックよりも低周波数の低周波クロック発生器293の出力とが、切換スイッチ291での切換えで選択的に供給される構成とする。なお、低周波クロック発生器293を設ける代わりに、基本クロック発生器292の出力を分周器で分周して、低周波クロックを得るようにしても良い。
そして、通常の受信時には基本クロック発生器292の出力を使用して受信処理部250で受信処理を行い、端末局での待ち受け時には、低周波クロック発生器293の出力を使用して受信処理部250で受信処理を行う。端末局での待ち受け時の受信は、基本的に図28に示した呼び出し信号伝送区間だけを受信する間欠受信を行えば良く、また数フレームに1回だけ受信するようなことも可能である。
端末局のその他の構成や基地局の構成については、第1,第2の実施の形態で説明した構成が適用可能であり、ここでは説明を省略する。
このように構成して端末局で待ち受け時の受信を行うことで、端末局での待ち受け時の消費電力を効果的に低減させることができる。この場合、本例の場合には、呼び出し信号伝送区間については、OFDM変調信号が伝送されないので、他のOFDM変調信号の伝送に及ぼす影響が全くなく、呼び出し信号を既に説明した他の実施の形態の場合よりも良い条件で伝送できる可能性が高い。また、無線伝送される周波数については、呼び出し信号伝送区間と他の区間とで全く同じであり、周波数合成器233が作成する周波数ステップについては、従来と全く変更する必要がなく、端末局の構成が複雑にならない。
なお、呼び出し信号伝送区間に伝送する信号の伝送帯域が、他の区間で伝送する信号の帯域幅よりも狭い場合には、呼び出し信号受信時に、受信系に帯域フィルタを通過させる構成とすれば良い。即ち、例えば図27に示すように、RF増幅器231の出力と周波数合成器233の出力とを混合する直交検波器232の出力を、切換スイッチ294に供給し、帯域フィルタ295を通過させる系と、フィルタを通過させない系とを切換えられる構成とする。そして、帯域フィルタ295を通過させた系の出力と、フィルタを通過させない系の出力とを、切換スイッチ296で選択して、受信処理部250に入力させる。帯域フィルタ295は、呼び出し信号伝送区間に伝送する呼び出し信号の伝送帯域を抽出するフィルタである。受信処理部250に供給するクロックは、基本クロック発生器292の出力と、低周波クロック発生器293の出力とを、切換スイッチ291での切換えで選択的に供給する構成とする。
各切換スイッチ291,294,296の切換えは、端末局の受信状態に連動して制御部の制御で実行する。即ち、端末局で待ち受け状態の場合に基地局からの呼び出し信号を受信する場合には、クロックを選択する切換スイッチ291を低周波クロック発生器293側とし、フィルタの使用,不使用を選択する切換スイッチ294,296を帯域フィルタ295を使用する側とする。そして、端末局で情報伝送などを行う通常の受信状態の場合には、クロックを選択する切換スイッチ291を基本クロック発生器292側とし、フィルタの使用,不使用を選択する切換スイッチ294,296を帯域フィルタ295を使用しない側とする。なお、呼び出し信号伝送区間に伝送される呼び出し信号の伝送周波数が、情報伝送などの際に基地局から伝送される周波数と異なる場合には、周波数合成器233の出力周波数についても連動して変化させる必要がある。
このように端末局を構成することで、クロック周波数の変化だけでなく、伝送帯域の変化にも容易に対処できるようになる。
なお、ここまで説明した各実施の形態では、HiSWANa と称される無線通信方式に適用する例を基本として説明したが、その他のOFDM変調方式を適用して無線通信を行うシステムにも適用可能である。その場合には、1単位のOFDM変調信号を構成するサブキャリアの本数や、周波数配置などを適宜変更する必要がある。
また、上述した各実施の形態では、狭帯域キャリアや特定のサブキャリアなどで伝送される特定の制御信号として、端末局の呼び出し信号(或いは呼び出し信号の一部)を配置するようにしたが、その他の特定の制御信号を配置して無線伝送するようにしても良い。
また、上述した第1の実施の形態では、端末局の構成として、狭帯域キャリアなどで伝送される特定の制御信号を受信するためのフィルタやAD変換器と、通常受信時に1伝送帯域の全ての信号を受信するためのフィルタやAD変換器とを別に用意する構成とし、第2の実施の形態では、フィルタやAD変換器として可変設定できるものを用意して、共通に使用される構成としたが、それぞれの端末局の構成を、別の実施の形態の例に適用することも可能である。第3の実施の形態についても、フィルタやAD変換器については、第1,第2の実施の形態で説明したいずれの構成を適用しても良い。
また、ここまで説明した各実施の形態においては、OFDM変調方式で無線通信を行う基地局と端末局内に、それぞれ呼び出し信号などの特定の制御信号を送信又は受信するための処理回路を構成させるようにしたが、例えば同様の送信処理及び/又は受信処理を実行する制御プログラムをソフトウェアとして作成して、その制御プログラムを基地局又は端末局に実装させて、同様の送信動作や受信動作を行うようにしても良い。この場合、制御プログラムは、例えばディスク,テープなどの媒体に記憶(記録)させて、基地局を運用する会社に配付したり、端末局を所持するユーザに配付すれば良い。或いは、インターネットなどの伝送媒体を介して配付するようにしても良い。
1…基地局、2…外部ネットワーク、3,4…端末局(移動局)、100…基地局送信部、101…制御部、102…制御信号線、103…端末局制御信号波形作成部、111…送信データ処理部、112…CRC付加部、113…暗号器、114…スクランブラ、115…符号化器、116…インターリーバ、117変調器、118…複素IFFT(逆高速フーリエ変換)部、119…加算部、120…時間波形整形部、121…DA変換器、122…RF送信器、131…呼び出し端末決定手段、132…送信ビット列決定手段、133…M−ary信号生成手段、134…混合器、135…PN系列生成部、136…パイロット付加手段、200,200′…端末局、201…データ入出力処理部、202…制御部、203,204,205…制御信号線、211…送信データ処理部、212…CRC付加部、213…暗号器、214…スクランブラ、215…符号化器、216…インターリーバ、217…変調器、218…複素IFFT(逆高速フーリエ変換)部、219…時間波形整形部、220…DA変換器、221…RF送信器、222…アンテナ共用器、223…アンテナ、230,230′…RF受信器、231…RF増幅器、232…直交検波器、233…周波数合成器、234…第1のフィルタ、235…第2のフィルタ、236…通過帯域可変フィルタ、241…第1のAD変換器、242…制御信号受信器、243…複素相互相関計算器、244…参照信号発生器、245…比較器、246…相関閾値設定器、250…受信処理部、251…第2のAD変換器、252…同期回路、253…時間波形整形部、254…複素FFT(高速フーリエ変換)部、255…等化器、256…復調器、257…デインターリーバ、258…復号器、259…デスクランブラ、260…暗号解除器、261…CRCチェック部、262…受信データ処理部、263…サンプリングレート可変AD変換器、264…制御信号受信器、271,272…遅延回路、273,274,275…係数乗算器、276,277,278…混合器、279…受信ビット列推定手段、280…呼び出し端末推定手段、281…PN系列生成部、282…減算器、291…切換スイッチ、292…基本クロック発生器、293…低周波クロック発生器、294…切換スイッチ、295…帯域フィルタ、296…切換スイッチ、300…端末局、301…データ入出力処理部、302…制御部、303,304…制御信号線、311…送信データ処理部、312…CRC付加部、313…暗号器、314…スクランブラ、315…符号化器、316…インターリーバ、317…変調器、318…複素IFFT(逆高速フーリエ変換)部、319…時間波形整形部、320…DA変換器、321…RF送信器、322…アンテナ共用器、323…アンテナ、331…RF受信器、332…AD変換器、333…同期回路、334…時間波形整形部、335…複素FFT(高速フーリエ変換)部、336…等化器、337…復調器、338…デインターリーバ、339…復号器、340…デスクランブラ、341…暗号解除器、342…CRCチェック部、343…受信データ処理部