JP2005232059A - 低アディポネクチン血症予防・治療剤 - Google Patents

低アディポネクチン血症予防・治療剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 新しい機序による、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療剤を提供する。
【解決手段】 本発明は、抗酸化作用を有する化合物を有効成分として含有する低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療剤を提供する。本発明の予防・治療剤は、アディポネクチン産生を上昇させるので、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患、例えば低アディポネクチン血症、耐糖能障害、糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性症候群、糖尿病合併症、高血糖症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患、脳血管障害、血管狭窄、末梢血管疾患、動脈瘤、高脂血症、高コレステロール血症または肥満等の予防・治療剤として有用である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、抗酸化作用を有する化合物を有効成分として含有する低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患、例えば低アディポネクチン血症、糖尿病、動脈硬化症等の予防・治療剤に関する。
アディポネクチンは近年クローニングされた脂肪組織由来内分泌因子の一つであり(非特許文献1参照)、糖質代謝、脂質代謝等の重要な調節因子として機能することが明らかとなってきている。
例えば、アディポネクチンは、筋肉等においてIRS−1シグナリングを介した糖輸送を上昇させ、さらに、脂肪酸輸送蛋白質を介して脂肪酸の酸化およびクリアランスを高め、インスリン抵抗性を改善させることが示されている(非特許文献2参照)。
また、アディポネクチンは血管内皮細胞においてTNF−α依存性に上昇する接着分子の発現を抑制し、血管内皮細胞と単球との接着を阻害し、マクロファージの貪食能およびTNF−α産生を低下させ、種々の増殖因子による血管平滑筋細胞の増殖を抑制する作用を有する等、抗動脈硬化作用があることが示されている(非特許文献3〜6参照)。
そして、種々の原因に起因する血中等における低アディポネクチン状態が糖質代謝異常、脂質代謝異常等の代謝異常症候群およびそれに起因する疾患の発症、進展に深く関わっていることが示されている。
例えば、遺伝子変異によるヒトの原発性低アディポネクチン血症の患者では、血中アディポネクチン濃度は正常人の25〜30%であり、この患者の大部分は糖尿病や、心筋梗塞、狭心症等の動脈硬化性疾患の患者である(非特許文献7参照)。
アディポネクチン・ノックアウトマウスにおいては、筋肉の脂肪酸輸送タンパク質(fatty acid transport protein−1; FATP−1)が減少し、全身の脂肪酸クリアランスが低下している(非特許文献2参照)。さらに、アディポネクチン・ノックアウトマウスにおいては、高脂肪・高ショ糖食の短期間飼育にて、野生型マウスと比較して強いインスリン抵抗性・顕性の糖尿病を呈する。また、野生型マウスに比較してアディポネクチン・ノックアウトマウスは、大腿動脈擦過後の血管内膜平滑筋の増殖、すなわち内膜肥厚が進む。
アディポネクチンの血中濃度は肥満者において低下し、逆に減量によって増加し、特に内臓脂肪の蓄積とともにその血中濃度が低下する(非特許文献8参照)。
動脈硬化性疾患、冠動脈疾患では、肥満度とは独立して血中アディポネクチンが低下している(非特許文献3参照)。
血中アディポネクチン濃度は、ヒトにおいて糖尿病の重篤度に比例して低下している(非特許文献9参照)。
サルにおいて、過食、運動不足により発症する肥満2型糖尿病の発症過程において、インスリン抵抗性の指標である高インスリン血症および糖尿病が発症する以前に、低アディポネクチン血症が生じる(非特許文献10参照)。
ヒト、サルにおいて、血中アディポネクチン濃度は、インスリンクランプ試験で算出された全身のインスリン感受性に強く相関する(非特許文献11参照)。
血中におけるアディポネクチン濃度の低下、アディポネクチン発現量の低下の原因、機序に関してこれまでに一部が明らかとされている。
例えば、ひとつの原因として、前述の遺伝子変異が挙げられる。
また、肥満状態が血中アディポネクチン濃度の低下を誘導するが、これは肥大脂肪細胞において発現上昇するTNF−αがオートクライン・パラクライン的に働いて、アディポネクチン遺伝子の発現を抑制することがその機序のひとつであると考えられている(非特許文献12)。
しかし、アディポネクチンの発現量低下の原因、機序に関しては未だ不明な点が多く、その機序をより明らかにすることが期待されている。
上述のように、低アディポネクチン状態は糖質代謝異常、脂質代謝異常等の代謝異常症候群およびそれに起因する疾患の発症、進展に深く関わっていることから、アディポネクチンの発現を増強し、血中等におけるアディポネクチン濃度を上昇させる薬剤が重要となる。
このような薬剤としては、例えばPPAR(peroxisome proliferator−activated receptor)gamma アゴニストが挙げられるが(非特許文献12参照)、副作用等の安全性等に関して確認が必要である。
また、アディポネクチンの組み換えタンパク質や、アディポネクチン遺伝子をアデノウイルスベクターを用いて生体に導入する等の試みも動物実験にて行われているが、タンパク質の安定性および安全性等の面で実用化に向けた課題が多い。
以上のことから、アディポネクチンの発現量低下の原因、機序をより明らかにして、新しい機序により安全に低アディポネクチン状態を改善する薬剤を開発することが期待されている。
一方、2型糖尿病の予防に関しては、抗酸化剤が膵臓β細胞の保護作用を介することによって有効であることが公知である(非特許文献13、14参照)。しかし、抗酸化剤のアディポネクチンの発現等への関与については、開示されていない。
マエダ(Maeda)ら、「バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications)」、(米国)、1996年、第221巻、p.286−289 マエダ(Maeda)ら、「ネイチャー メディシン(Nature Medicine)」、(英国)、2002年、第8巻、p.731−737 オオウチ(Ouchi)ら、「サーキュレーション(Circulation)」、(米国)、1999年、第100巻、p.2473−2476 オオウチ(Ouchi)ら、「サーキュレーション(Circulation)」、(米国)、2000年、第102巻、p.1296−1301 オオウチ(Ouchi)ら、「サーキュレーション(Circulation)」、(米国)、2001年、第103巻、p.1057−1063 アリタ(Arita)ら、「サーキュレーション(Circulation)」、(米国)、2002年、第105巻、p.2893−2898 コンドウ(Kondo)ら、「ダイアベイテス(Diabetes)」、(米国)、2002年、第51巻、p.2325−2328 アリタ(Arita)ら、「バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications)」、(米国)、1999年、第257巻、p.79−83 ホッタ(Hotta)ら、「アルテリオスクレオシス、スロンボシス アンド バスキュラー バイオロジー(Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology)」、(米国)、2000年、第20巻、p.1595−1599 ホッタ(Hotta)ら、「ダイアベイテス(Diabetes)」、(米国)、2001年、第50巻、p.1126−1133 ウェイヤー(Weyer)ら、「ザ ジャーナル オブ クリニカル エンドクライノロジー アンド メタボリズム(The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism)、(米国)、2001年、第86巻、p.1930−1935 マエダ(Maeda)ら、「ダイアベイテス(Diabetes)」、(米国)、2001年、第50巻、p.2094−2099 ゴロウガワ(Gorogawa)ら、「ダイアベイテス リサーチ アンド クリニカル プラクティス(Diabetes Research and Clinical Practice)」、(オランダ)、2002年、第51巻、p.1−10 キモト(Kimoto)ら、「バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications)」、(米国)、2003年、第303巻、p.112−119
本発明の目的は、アディポネクチンの発現量低下の原因、機序をより明らかにして、新しい機序により安全に哺乳動物の低アディポネクチン状態を改善する薬剤を提供し、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、活性酸素種等の酸化ストレスがアディポネクチン産生低下の原因の一つであることを解明し、抗酸化作用を有する化合物がアディポネクチン産生を上昇させ、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療に著効を示すことをつきとめ、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の(1)〜(13)に関する。
(1) 抗酸化作用を有する化合物を有効成分として含有する低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療剤。
(2) 抗酸化作用を有する化合物が一般式(I)
Figure 2005232059
[式中、R1はニトロ基、シアノ基またはトリハロ(低級)アルキル基、R2、R3およびR4は、同一または異なって、それぞれ低級アルキル基を意味する]で示されるジヒドロピリジン化合物または医薬として許容されるその塩である前記(1)記載の予防・治療剤。
(3) 一般式(I)の化合物が6−シアノ−5−メトキシカルボニル−2−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸のイソプロピルエステルである前記(2)記載の予防・治療剤。
(4) 抗酸化作用を有する化合物がプロブコールおよびその誘導体である前記(1)記載の予防・治療剤。
(5)抗酸化作用を有する化合物がN−アセチルシステインおよびその誘導体である前記(1)記載の予防・治療剤。
(6)抗酸化作用を有する化合物がNADPHオキシダーゼ阻害化合物である前記(1)記載の予防・治療剤。
(7)NADPHオキシダーゼ阻害化合物がアポサイニンである前記(6)記載の予防・治療剤。
(8)低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患が低アディポネクチン血症、耐糖能障害、糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性症候群、糖尿病合併症、高血糖症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患、脳血管障害、血管狭窄、末梢血管疾患、動脈瘤、高脂血症、高コレステロール血症および肥満からなる群から選択される疾患である前記(1)〜(7)のいずれかに記載の予防・治療剤。
(9)低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患が低アディポネクチン血症である前記(8)記載の予防・治療剤。
(10)低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患が糖尿病である前記(8)記載の予防・治療剤。
(11)低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患が動脈硬化症である前記(8)記載の予防・治療剤。
(12)低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患が高脂血症である前記(8)記載の予防・治療剤。
(13)低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患が肥満である前記(8)記載の予防・治療剤。
本発明の予防・治療剤は、アディポネクチン産生を上昇させるので、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患、例えば低アディポネクチン血症、耐糖能障害、糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性症候群、糖尿病合併症、高血糖症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患、脳血管障害、血管狭窄、末梢血管疾患、動脈瘤、高脂血症、高コレステロール血症または肥満等の予防・治療剤として有用である。
本発明において、抗酸化作用を有する化合物とは、生理条件下で酸化性である化合物(例えば活性酸素種等)による酸化を妨げるか、活性酸素種の産生を妨げるか、もしくは酸化された化合物による生体への影響(酸化ストレス等)を抑制する化合物を示す。それらの実施形態としては、以下に記載する実施形態が例示される。
生理条件下で酸化性である化合物による酸化を妨げる化合物の実施形態としては、化合物がin vitroで酸化性である化合物、例えば内因性酸素基等を捕捉、分解等する場合に、本発明における抗酸化作用を有する化合物とする。この場合、抗酸化作用を有する化合物は活性酸素種、例えば一重項酸素(12)、脂質過酸化物(LOOH、LOO等)、ハロゲン化酸素(ClO-等)等を捕捉、分解あるいは反応性金属に結合等して、脂質、タンパク質、核酸等の酸化損傷を防ぐ。この実施形態に分類される、本発明における抗酸化作用を有する化合物には、次の(1)〜(15)の分類に記載の化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。尚、次の(1)から(15)の分類で引用した各種公報、文献は、引用することをもって本明細書の一部とする。
(1)ジヒドロピリジン化合物
ジヒドロピリジン化合物のうち好適なものとして、例えば前記(2)で示した一般式(I)のジヒドロピリジン化合物(I)等が挙げられる。一般式(I)のジヒドロピリジン化合物(I)は既に公知であり、例えば英国特許第2036722号や特開平4−128228号公報に記載されており、活性酸素産生抑制作用が開示されている。しかし、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療に関しては開示されていない。ジヒドロピリジン化合物(I)に関して、R1、R2、R3およびR4の定義並びにその好適な例について下記の如く、詳細に説明する。
1で示される「トリハロ(低級)アルキル基」の好適な例としては、ハロゲン(例えば、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素)で三置換された後記R2、R3、R4において説明する低級アルキル基が挙げられ、その好ましい例としてはトリフルオロアルキル基が、最も好ましい例としてトリフルオロメチル基が挙げられる。
2、R3およびR4で示される「低級アルキル基」の好適な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第2級ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−または2−メチルブチル、ヘキシル等の1〜6個の炭素原子を有するアルキル基が挙げられ、その好ましい例としてはC1−C4アルキル基が、R2の最も好ましい例としてはイソプロピル基が、R3およびR4のおのおの最も好ましい例としてはメチル基が挙げられる。
上記ジヒドロピリジン化合物の好適な塩は、無毒性で医薬として許容しうる慣用の塩であり、例えばナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などの無機塩基との塩、及びトリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンアミンなどの有機アミン塩、及び塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸塩、及びギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、酒石酸などの有機カルボン酸塩、及びメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸付加塩、及びアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの塩基性又は酸性アミノ酸といった塩基との塩又は酸付加塩が挙げられる。
上記ジヒドロピリジン化合物(I)のうち、特に好適なものとして6−シアノ−5−メトキシカルボニル−2−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸のイソプロピルエステルで示される化合物が挙げられ、これは一般名「ニルバジピン」として知られている。
(2)プロブコールおよびその誘導体
プロブコールの正式な化学名は4,4−[(1−メチルエチリデン)ビス(チオ)]ビス[2,6−ビス(1,1−ジメチルエチルエチル)フェノール]であり米国特許第3862332号に開示されている。また、米国特許第5262439号に、プロブコールの一方または両方のヒドロキシル基が、化合物に水溶性を与えるエステル基で置換されているプロブコールの可溶性類似体、例えばプロブコールのモノ−またはジ−コハク酸エステル、グルタル酸エステル、アジピン酸エステル、スベシン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、またはマレイン酸エステル等が開示されている。また、エステルがカルボン酸基からなる群から選択される官能基を有するアルキルあるいはアルケニル基を含む、モノ−またはジ−エステルであるプロブコール誘導体も開示されている。米国特許第5155250号に、2,6−ジアルキル−4−シリルフェノールが開示されている。米国特許第5608095号に、アルキル化−4−シリルフェノールが開示されている。
(3)ジチオカルバメート類
ジチオカルバメートおよびその関連化合物は特許および学術分野において広く記載されており、例えば「ジチオカルバメートと関連化合物」Thornら、Elsevier、New York、1962年等に記載されている。
ジチオカルバメートは、チオール抗酸化剤として知られる化合物の一般分類のメンバーであり、カルボジチオール、カルボジチオレートとも称される、A−SC(S)−Bの構造を有する化合物である。AとBは化合物の効果あるいは毒性に有害な影響を及ぼさないどのような基でもよい。
また、代替できる実施形態としては、ジチオカルバメート中のイオウ原子の1個または両方がセレン原子で置換されていてもよい。
実施形態の一つとしては、Aは水素あるいは次のものを含むがそれらに限定されない製薬上許容されるカチオン、すなわち:ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、銅、コバルト、ニッケル、あるいはカドミウム等の金属カチオン;酢酸、シュウ酸、酒石酸、安息香酸等のカルボン酸に代表される塩形成有機酸;あるいは、窒素ヘテロ環あるいは式NR5678の一部、ただしR5、R6、R7およびR8は独立に水素、C1-6の線形、分枝または(C4-6の場合には)環状アルキル、ヒドロキシ(C1-6)アルキル(ただし1またはそれ以上のヒドロキシル基がいずれかの炭素原子上に位置する)、またはアリールである、アンモニアまたは他の窒素塩基から形成されるカチオン等である。
もうひとつの実施形態としては、Aは、結合している分子からin vivoで開裂されうる生理的に開裂可能な脱離基、例えばアシル、アルキル、リン酸塩、硫酸塩あるいはスルホン酸塩等である。
ひとつの実施形態としては、Bは例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、アリール、水素、C1-6アルコキシ−C1-10アルキル、C1-6アルキルチオ−C1-10アルキル、NR910、−(CHOH)nCH2OH、ただしnは0、1、2、3、4、5または6である、アルキルアセチル、アルキルプロピオニルおよびアルキルブチリルを含めた−(CH2nCO214、あるいはヒドロキシ(C1-6)アルキル−(ただし1またはそれ以上のヒドロキシル基がいずれかの炭素原子上に位置する)等である。ただし、R14は水素あるいは低級アルキルである。
もうひとつの実施形態としては、BはNR910であり、ただしR9とR10は独立にアルキル;−(CHOH)n(CH2nOH;−(CH2nCO214、−(CH2nCO215;ヒドロキシ(C1-6)アルキル−;アルケニル(例えばビニル、アリルおよびCH3CH=CH−CH2−CH2等である);アルキル(CO2H)、アルケニル(CO2H)、アルキニル(CO2H)、あるいはアリール、ただしアリール基は、例えばNO2、CH3、t−ブチル、CO2H、ハロまたはp−OH基等で置換されていてもよい;あるいはR9とR10が一緒になって−(CH2m−のようなブリッジを構成していてもよく、ただしmは3、4、5、6、7、8、9または10であり、R15は、アセチル、プロピオニルおよびブチリルを含めたアルキル、アリール、アルカリールまたはアラルキルである。
さらにもうひとつの実施形態としては、Bはヘテロ環式あるいはアルキルヘテロ環式基である。ヘテロ環は、任意に一部あるいは全部が水素添加されていてもよく、例えばフェナジン、フェノチアジン、ピリジンおよびジヒドロピリジン等が挙げられる。
さらにもうひとつの実施形態としては、Bは製薬上活性な化合物あるいは薬剤の残基である。本明細書で使用する時、薬剤という用語は、疾患あるいは障害の予防または治療のための医薬品として内的あるいは外的に使用される物質を示す。このとき、−C(S)SA基は直接薬剤に結合するか、あるいは適当なリンク部分を通して薬剤に結合することができる。
もうひとつの実施形態としては、ジチオカルバメートはAO2C−R11−NR12−C(S)SA構造を有するアミノ酸誘導体であり、ここでR11はリンク部分である二価のB部分、あるいは天然のアミノ酸の内部残基(例えばアラニンであればCH3CH、グリシンであればCH2、リジンであればCH(CH24NH2等)であり、R12は水素または低級アルキルである。
Bはまた、1またはそれ以上のジチオカルバメート基が直接あるいは適当なリンク部分を通して結合したポリマーであってもよい。ジチオカルバメートは好ましくは、in vivo条件下で治療的な効果を与えるために適当な期間にわたってポリマーから放出される。好ましい実施形態としては、ポリマー自体もin vivoで生分解性であり、適用に応じて1時間から数週間の期間内に分解する。
数多くの分解性ポリマーが既知である。例えば、リジン、アルギニン等のアミノ酸のポリマーおよびコポリマー;ポリ(α−ヒドロキシ酸)、たとえばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ無水物、アルブミンまたはコラーゲンを含むポリオルトエステル、ラクトースのような糖単位を含む多糖類、およびポリカプロラクトン等のペプチド、蛋白、核蛋白、リポ蛋白、糖蛋白、合成および天然ポリペプチドならびにポリアミノ酸が挙げられる。ポリマーはランダムあるいはブロックコポリマーであってもよい。
Bはまた、ジチオカルバメートの水溶解度を高める基、例えば−低級アルキル−O−R13、ただしR13は−PO2(OH)-+またはPO3(M+2であり、M+は製薬上許容されるカチオンである;−C(O)(CH22CO2 -+あるいは−SO3 -+;−低級アルキルカルボニル−低級アルキル;−カルボキシ低級アルキル;−低級アルキルアミノ−低級アルキル;N,N−ジ置換アミノ低級アルキル、ただし置換基はそれぞれ独立に低級アルキルである;ピリジル−低級アルキル;イミダゾリル−低級アルキル−;イミタゾリル−Y−低級アルキル、ただしYはチオまたはアミノである;モルホリニル−低級アルキル;ピロリジニル−低級アルキル;チアゾリニル−低級アルキル;ピペリジニル−低級アルキル;モルホリニル−低級ヒドロキシアルキル;N−ピリル;ピペラジニル−低級アルキル;N置換ピペラジニル−低級アルキル、ただし置換基は低級アルキルである;トリアゾリル−低級アルキル;テトラゾリル−低級アルキル;テトラゾリルアミノ−低級アルキル;あるいはチアゾリル−低級アルキルであってもよい。
代替実施形態としては、B−C(S)S−SC(S)−Bのようなダイマーであってもよい。
当該(3)の分類における記載においては、アルキルという用語は、特に記載がない限り、C1−C10の飽和直鎖、分岐あるいは環状(C5またはそれ以上の場合)炭化水素を示す。アルキル基は任意にいずれかの炭素上で、ヒドロキシル、アミノ、および1または2置換アミノから成る群から選択される1またはそれ以上の部分で置換されていてもよく、該置換基は独立にアルキル、アリール、アルカリールあるいはアラルキル;アリール、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、あるいはホスホン酸塩であり、これらは、当業者には既知であるように、たとえばGreeneら、「有機合成における保護基」John Wiley and Sons,第2版、1991年等にて記載されているように、保護されていてもいなくてもよい。
当該(3)の分類における記載においては、アルケニルという用語は、特に記載がない限り、少なくとも1つの二重結合を持つC2−C10の直鎖あるいは分岐炭化水素を示す。アルキニルという用語は、特に記載がない限り、少なくとも1つの三重結合を持つC2−C10の直鎖あるいは分岐炭化水素を示す。アルカリールという用語は、少なくとも1個のアルキル置換基を持つアリール基を示す。アラルキルという用語は、少なくとも1個のアリール置換基を持つアルキル基を示す。ハロ(アルキル、アルケニル、あるいはアルキニル)という用語は、基の中の水素の少なくとも1個がハロゲン原子で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル基を示す。
当該(3)の分類における記載においては、アリールという用語は、特に記載がない限り、フェニル、ビフェニル、あるいはナフチル、好ましくはフェニルを示す。アリール基は任意に、次のものから成る群から選択される1またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい:アルキル、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、あるいはホスホン酸塩、CO2Hまたはその医薬上許容される塩、CO2(アルキル、アリール、アルカリールまたはアラルキル)、およびグルカミン。これらは、上述と同様に、保護基により保護されていてもいなくてもよい。
当該(3)の分類における記載においては、アルコキシという用語は、特に記載がない限り、−O−アルキル構造の部分を示す。アシルという用語は、−C(O)Rの式を持つ基を示し、Rはアルキル、アリール、アルカリールあるいはアラルキル基である。「ヘテロ環式」という用語は、芳香族環に少なくとも1個の硫黄、酸素あるいは窒素を含む芳香族部分を指す。該ヘテロ環式基は任意に、アリールと同様に置換されていてもよい。ヘテロ環式基は、所望する場合には部分的あるいは全面的に水素添加されていてもよい。ヒドロキシアルキルという用語は、いずれかの炭素原子に結合している水素の少なくとも1個がヒドロキシ基で置換されているC1−C6アルキル基を示す。
当該(3)の分類における記載においては、製薬上許容されるカチオンとは、陽性電荷を担い、薬剤と共に、たとえば塩中の対カチオンとして投与することができる有機あるいは無機部分である。生理的に開裂されうる脱離基という用語は、結合している分子からin vivoで開裂することができる部分を指し、例えば有機または無機アニオン、製薬上許容されるカチオン、アシル(アセチル、プロピオニルおよびブチリルを含めて、(アルキル)C(O)を含むがこれに限定されない)、アルキル、リン酸塩、硫酸塩およびスルホン酸塩等を含むがこれらに限定されない。
当該(3)の分類における記載においては、「リンク部分」とは、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ポリアルキレンオキシ(たとえば−[(CH2nO−]n−)、−C1-6アルコキシ−C1-10アルキル−、−C1-6アルキルチオ−C1-10アルキル−、あるいは−(CHOH)nCH2OH、等の、2個の化学残基を結合する二価基である。
好適なジチオカルバメートとしては、例えばN−メチル−N−エチルジチオカルバメート、ヘキサメチレンジチオカルバミン酸、ジ(β−ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸ナトリウム、N−メチルナトリウム−N−シクロブチルメチルジチオカルバメート、N−アリル−N−シクロプロピルメチル−ジチオカルバミン酸ナトリウム、シクロヘキシルアミルジチオカルバメート、ジベンジル−ジチオカルバメート、ジメチレンジチオカルバミン酸ナトリウム、種々のペンタメチレンジチオカルバメート塩、ピロリジン−N−カルボジチオ酸ナトリウム、ピペリジン−N−カルボチオ酸ナトリウム、モルホリン−N−カルボチオ酸ナトリウム、α−フルフリルジチオカルバメートおよびイミダゾリンジチオカルバメート等が挙げられる。
(4)ラジカット(エダラボン、MCI−186)およびその誘導体
ラジカットの正式名称は、3−メチル−1−フェニル−ピラゾリン−5−オンであり、欧州特許出願第0208874号に記載されている。ラジカットは、脳循環・脳代謝障害改善剤として開発されているラジカル消去剤である。その誘導体としては、該欧州特許出願に開示されている化合物群が挙げられる。
(5)N−アセチルシステインおよびその誘導体
N−アセチルシステインはシステインのN−アセチル化誘導体である。システインは1個のキラル炭素原子を持ったアミノ酸であって、L−鏡像異性体、D−鏡像異性体、あるいはL−およびD−鏡像異性体のラセミ混合物として存在する。同様にN−アセチルシステインにもL−鏡像異性体、D−鏡像異性体、L−およびD−鏡像異性体のラセミ混合物、鏡像異性体のひとつが鏡像異性的に富化された組成物が存在し、これらの形態のN−アセチルシステインのいずれもが本発明の抗酸化作用を有する化合物に含まれる。ここで鏡像異性体のひとつが鏡像異性的に富化された組成物とは化合物のひとつの鏡像異性体を少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも97重量%の割合で含む組成物を示す。ひとつの実施形態としては、N−アセチルシステインあるいはその塩のチオエステルあるいはチオエーテルの1個の異性体、好ましくはL−鏡像異性体が例示される。
N−アセチルシステインとその誘導体は、たとえばWO95/26719号に記載されており、この特許公開に記載されているN−アセチルシステインとその誘導体のいずれもが本発明の抗酸化作用を有する化合物に含まれる。
(6)抗酸化作用を有する酵素類
この分類の化合物としては、例えばカタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、セレニウムグルタチオンペルオキシダーゼ、リン脂質ヒドロペルオキシドグルタチオンペルオキシダーゼ等が挙げられる。
(7)チオール類
この分類の化合物としては、例えばジチオトレイトール、2−メルカプトメタノール、N−2−メルカプトプロピオニルグリシン、オボチオール等が挙げられる。
(8)鉄イオンキレーター類
この分類の化合物としては、例えばデスフェリオキサミン(また、デフェロキサミン又はデスフェロールとも呼ばれる)等が挙げられる。
(9)ピラゾロピリミジン系化合物
ピラゾロピリミジン系化合物はキサンチンオキシダーゼを妨げる。この分類の化合物としては、例えばアロプリノール、オキシプリノール等が挙げられる。
(10)アミノステロイド類
この分類の化合物としては、例えばラザロイド(lazaroids、U74006F)と称する21−アミノステロイド等が挙げられる。
(11)抗酸化作用を有するビタミン類
この分類の化合物としては、例えばビタミンC群(例えばアスコルビン酸等)、ビタミンE群(例えばトコフェロール、トコトリエノール等)、アルファリボ酸、またはそれらのプロドラッグ、あるいは類似体等が挙げられる。
(12)ポリフェノール類等のフラボノイド
この分類の化合物としては、例えばカテキン、アントシアニン、ルチン、クロロゲン酸、ケルセチン、タンニン、イソフラボン等が挙げられる。
(13)カロテノイド類
この分類の化合物としては、例えばβ−カロチン、カンタキサンチン、アスタキサンチン、クリプトキサンチン、ルテイン等が挙げられる。
(14)その他の生理学的な抗酸化作用を有する化合物
この分類の化合物としては、例えばグルタチオン、システイン、ビリルビン、尿酸、キノン、ユビキノン、金属−結合タンパク質等が挙げられる。
(15)添加物等として使用されている抗酸化作用を有する化合物
この分類の化合物としては、例えばBHA(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHT(ジブチルヒドロキシアニソール)、Torolox(商品名)、EDTA二ナトリウム、エリソルビン酸、クエン酸イソプロピル、二酸化硫黄、プロポリス抽出物、ローズマリー抽出物、マンニトール、ジメチルチオウレア(DMTU)、ブチル−α−フェニルニトロン(BPN)、ヒポキサンチン、キサンチン、ブチオニンスルフォキシミン、マレイン酸ジエチル等が挙げられる。
活性酸素種の産生を妨げる化合物の実施形態としては、活性酸素種の産生に係る細胞機能を妨げる化合物、活性酸素種の産生に係る酵素等を妨げる化合物等が含まれる。例えば、活性酸素種を産生する細胞(例えば白血球等)の活性化を抑制する化合物(例えばステロイド系抗炎症化合物、非ステロイド系抗炎症化合物等)等がこの実施形態に含まれる。また、活性酸素産生系の一つとしてアンジオテンシンII刺激によるNADPHオキシダーゼ活性化による活性酸素の発生を抑制する化合物(例えばACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体ブロッカー、NADPHオキシダーゼ阻害剤等)等もこの実施形態に含まれる。
この実施形態に分類される、本発明における抗酸化作用を有する化合物には、次の(16)〜(20)の分類に記載の化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
(16)ステロイド系抗炎症化合物
この分類の化合物としては、例えばヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアメイノロン、α−メチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、クロベタゾールバレテート、デゾニド、デゾキシメタゾン、デゾキシコルチコステロンアセトート、デキサメタゾン、ジクロリゾン、ジフロラゾンジアセテート、ジフルコルトロンバレテート、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルオロコルチゾン、フルメタゾンピバレート、ノルオシノロンアセトニド、フルオキシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、フルプレドニデン(フルプレドニリデン)アセテート、フルランドレノロン、ハルシノニド、ヒドロコルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾンブチレート、メチルプレドニゾロン、トリアンシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロソンジアセテート、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アンシナフェル、アンシナフィド、ベータメゾン、クロロプレドニゾン、クロルプレドニゾンアセテート、クロコルテロン、クレアシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドオネート、フルクロロニド、フルニゾリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレクルニゾロン、ヒドロコルチゾンバレレート、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プラドニゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、トリアンシノロン、のごときコルチコステロイド等が挙げられる。
(17)非ステロイド系抗炎症化合物
この分類の化合物としては、例えばピロキシカム、イソキシカム、テノキシカム、スドキシカム、CP−14,304、アスピリン、ジサルシド、ベノリレート、トリリセート、サファプリン、ソルプリン、ジフルニサル、フェンドサル、ジクロフェナック、フェンクロフェナック、インドメタシン、スリンダックトルメチン、イソキセパック、フロレナック、チオピナック、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザック、ゾメピラック、クリダナック、オキセピナック、フェルビナック、メフェナミック、メクロフェナミック、フルフェナミック、ニフルミック、トルフェナム酸、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェニック、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェプラゾン、アザプロパゾン、トリメタゾン等が挙げられる。
(18)ACE阻害化合物
この分類の化合物としては、例えばマレイン酸エナラプリル、セタプリル、カプトプリル、塩酸イミダプリル、シラザプリル、塩酸デラプリル、リシノプリル、塩酸キナプリル、アラセプリル、トランドラプリル、ペリンドプリルエルブミン、塩酸ベナゼプリル、塩酸デラプリル等が挙げられる。
(19)アンジオテンシンII受容体ブロッカー
この分類の化合物としては、例えばロサルタン、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、エプロサルタン、ゾラサルタン等が挙げられる。
(20)NADPHオキシダーゼ阻害化合物
この分類の化合物としては、例えば化学式(II)
Figure 2005232059
で表される化合物(アポサイニン)や化学式(III)
Figure 2005232059
で表される化合物(ジフェニレンイオジニウム(DPI))等が挙げられる。好ましくは、NADPHオキシダーゼ阻害化合物はアポサイニンである。
また、酸化された化合物による生体への影響(酸化ストレス等)を抑制する化合物の実施形態としては、酸化ストレスにより活性化される酵素(例えばJNK、p38MAPキナーゼ、NFκB、PI3K等)を妨げる化合物等が含まれる。この実施形態に分類される、本発明における抗酸化作用を有する化合物には、次の(21)〜(24)の分類に記載の化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
(21)JNK阻害化合物
この分類の化合物としては、例えばSP600125等のアントラピラゾロン系化合物等が挙げられる。
(22)p38MAPキナーゼ阻害化合物
この分類の化合物としては、例えばSB203580、SB202190、SB239063、SB220025、SC68376等が挙げられる。
(23)NFκB阻害化合物
この分類の化合物としては、例えばNFκBデコイ、SP100030等が挙げられる。
(24)PI3K阻害化合物
この分類としては、例えばウォルトマンニン、LY294002、ケルセチン等が挙げられる。
また、上記の抗酸化作用が報告されている化合物に加え、今後新たに抗酸化作用が見出される化合物は、既知、新規を問わず、本発明の予防・治療剤において使用し得る、抗酸化作用を有する化合物である。
本発明の予防・治療剤において使用し得る、抗酸化作用を有する化合物としては、上述の化合物をいずれも使用することが可能であるが、好ましくはジヒドロピリジン化合物、プロブコール及びその誘導体、N−アセチルシステイン及びその誘導体又はNADPHオキシダーゼ阻害化合物を使用する。
本発明における低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療剤に含有される抗酸化作用を有する化合物は1種であっても2種以上であってもよい。ここで、2種以上の抗酸化作用を有する化合物を使用する場合、それぞれを投与対象に対して同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。またこのとき、2種以上の抗酸化作用を有する化合物を別々の製剤としてもよいし、単一の製剤としてもよい。
また、本発明の、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療剤は、インスリン感受性増強薬、糖吸収阻害薬、ビグアナイド薬、インスリン分泌促進薬、インスリン又はインスリン類縁体、グルカゴン受容体アンタゴニスト、インスリン受容体キナーゼ阻害薬、トリペプチジルペプチダーゼII阻害薬、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害薬、プロテインチロシンホスファターゼ−1B阻害薬、グリコゲンホスホリラーゼ阻害薬、グルコース−6−ホスファターゼ阻害薬、フルクトース−ビスホスファターゼ阻害薬、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ阻害薬、肝糖新生阻害薬、D−カイロイノシトール、グリコゲン合成酵素キナーゼ−3阻害薬、グルカゴン様ペプチド−1、グルカゴン様ペプチド−1類縁体、グルカゴン様ペプチド−1アゴニスト、アミリン、アミリン類縁体、アミリンアゴニスト、アルドース還元酵素阻害薬、終末糖化産物生成阻害薬、プロテインキナーゼC阻害薬、γ−アミノ酪酸受容体アンタゴニスト、ナトリウムチャンネルアンタゴニスト、N−アセチル化−α−リンクト−アシッド−ジペプチダーゼ阻害薬、インスリン様成長因子−I、血小板由来成長因子、血小板由来成長因子類縁体、上皮増殖因子、神経成長因子、カルニチン誘導体、ウリジン、5−ヒドロキシ−1−メチルヒダントイン、EGB−761、ビモクロモル、スロデキシド、Y−128、ヒドロキシメチルグルタリルコエンザイムA還元酵素阻害薬、フィブラート系化合物、β3−アドレナリン受容体アゴニスト、アシルコエンザイムA:コレステロールアシル基転移酵素阻害薬、甲状腺ホルモン受容体アゴニスト、コレステロール吸収阻害薬、リパーゼ阻害薬、ミクロソームトリグリセリドトランスファープロテイン阻害薬、リポオキシゲナーゼ阻害薬、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ阻害薬、スクアレン合成酵素阻害薬、低比重リポ蛋白受容体増強薬、ニコチン酸誘導体、胆汁酸吸着薬、ナトリウム共役胆汁酸トランスポーター阻害薬、コレステロールエステル転送タンパク阻害薬、食欲抑制薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、中性エンドペプチダーゼ阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、エンドセリン変換酵素阻害薬、エンドセリン受容体アンタゴニスト、利尿薬、カルシウム拮抗薬、血管拡張性降圧薬、交感神経遮断薬、中枢性降圧薬、α2−アドレナリン受容体アゴニスト、抗血小板薬、尿酸生成阻害薬、尿酸***促進薬および尿アルカリ化薬からなる群より選択される1種または2種以上の薬剤と併用することも出来る。このとき、本発明の低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療剤と前述の薬剤とを投与対象に対して同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本発明の低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療剤と前述の薬剤とを別々の製剤としてもよいし、単一の製剤としてもよい。
本発明において、低アディポネクチン状態とは、例えば過食・運動不足等による肥満や内臓脂肪の蓄積、遺伝子変異による肥満や内臓脂肪の蓄積、あるいは遺伝子変異等の原因によって引き起こされるアディポネクチン産生低下に特徴付けられる状態である。
この低アディポネクチン状態としては、例えば細胞、組織または生体等におけるアディポネクチン遺伝子発現の低下;細胞、組織または生体等におけるアディポネクチンタンパク質の産生低下;血漿中、組織中または生体中等のアディポネクチンタンパク質濃度の低下;血漿中、組織中または生体中等のアディポネクチン活性の低下;細胞、組織または生体等におけるアディポネクチンタンパク質のクリアランスの上昇等が挙げられる。
本発明において、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患とは、該疾患の発症、進展または形成等の原因の一部または全部が、低アディポネクチン状態にあることに特徴付けられる疾患をいう。
低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患としては、例えば低アディポネクチン血症、耐糖能障害、糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性症候群(インスリン受容体異常症、Rabson−Mendenhall症候群、レブリコニズム、Kobberling−Dunnigan症候群、Seip症候群、Lawrence症候群、Cushing症候群、先端巨大症等)、糸球体疾患(例えば糖尿病性糸球体硬化症等)、糖尿病合併症(例えば糖尿病性壊疽、糖尿病性関節症、糖尿病性糸球体硬化症、糖尿病性皮膚障害、糖尿病性神経障害、糖尿病性白内障、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性骨減少症等)、高血糖症(例えば摂食障害等の異常糖代謝で特徴づけられるもの)、骨粗鬆症(特に糖尿病性もしくは前糖尿病症状によるもの)、緑内障、多嚢胞性卵巣症候群、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患(狭心症、心不全、心筋梗塞等)、脳血管障害(たとえば脳梗塞、脳卒中等)、血管狭窄(例えば経皮性動脈形成術後のもの)、末梢血管疾患、動脈瘤、黄色腫、PCTA後の再狭窄、高血圧、肺高血圧、腎不全、腎炎、悪液質(例えば、癌・結核・内分泌性疾患およびエイズ等の慢性疾患における、脂肪分解・筋変性・貧血・浮腫・食欲不振等による進行性の体重減少)、高脂血症、高コレステロール血症、肥満等が挙げられ、好ましくは低アディポネクチン血症、耐糖能障害、糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性症候群、糖尿病合併症、高血糖症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患、脳血管障害、血管狭窄、末梢血管疾患、動脈瘤、高脂血症、高コレステロール血症または肥満が挙げられる。
本発明において、低アディポネクチン血症とは低アディポネクチン状態の中で、特に血漿中のアディポネクチンタンパク質濃度および/またはアディポネクチン活性の低下に特徴付けられる疾患を示す。
本発明の低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療剤は該疾患の発症前でも、あるいは発症後でも用いることが出来る。
その中でも特に本発明が優れているのは、生体(例えばヒト、マウス等の哺乳動物)が低アディポネクチン状態ではあるものの、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患をいまだ発症していない段階において、本発明の予防・治療剤を投与することにより低アディポネクチン状態を改善せしめ、該疾患の発症を未然に防ぐことが出来る点にある。
本発明の、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療剤は、ヒトを含む哺乳動物へ、カプセル剤、マイクロカプセル剤、錠剤、顆粒剤、粉末、トローチ剤、丸剤、軟膏剤、坐剤、注射剤、シロップ剤等の自体公知の医薬製剤の形で、経口または非経口投与することができる。
本発明の、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療剤は、例えばスクロース、でん粉、マンニット、ソルビット、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の賦形剤、例えばセルロース、メチルセルロース、ヒドロキメチルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、スクロース、でん粉等の結合剤、例えばでん粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルでん粉、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の崩壊剤、例えばステアリン酸マグネシウム、エアロシル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑沢剤、例えばクエン酸、メントール、グリシン等の矯味剤、例えば安息香酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等の保存剤、例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸等の安定化剤、例えばメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニウム等の懸濁化剤、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース等の分散剤、例えば水等の希釈剤、例えばカカオバター、白色ワセリン、ポリエチレングリコール等の基材ワックスのような製剤化に慣用の有機または無機の各種担体を用いる自体公知の方法によって製造することができる。
本発明の、抗酸化作用を有する化合物を有効成分として含有する各種の剤の投与量は、有効成分として用いる化合物の種類および/または患者の体重および/または年齢ならびに/または疾患の程度さらには投与経路のような様々の要因によって変化するが、通常は、経口投与により、1日あたり0.5−1000mg、好ましくは1−500mgを投与する。有効な1回投与量は、患者の体重1kgあたり0.01−20mgの範囲、好ましくは0.05−2mgの範囲内で選択される。
また、本発明を応用して、候補化合物の抗酸化作用を調べることにより、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療に有効な化合物のスクリーニングを行うことが出来る。ここで、候補化合物の「抗酸化作用を調べる」方法としては、例えば候補化合物が生理条件下で「酸化性である化合物による酸化を妨げる活性を測定する工程」、「活性酸素種の産生を妨げる活性を測定する工程」、「酸化された化合物による生体への影響を妨げる活性を測定する工程」等の工程を1つあるいは2つ以上含む方法が例示される。
候補化合物が生理条件下で酸化性である化合物による酸化を妨げる活性を測定する工程の実施形態としては、例えば候補化合物がin vitroで酸化性である化合物、例えば一重項酸素(12)、脂質過酸化物(LOOH、LOO等)、ハロゲン化酸素(ClO-等)、酸素、スーパーオキシドアニオン、過酸化水素、スーパーオキシド基、リポオキシド基、ヒドロキシル基等の活性酸素種等を捕捉、分解等する活性を測定する工程が挙げられる。
活性酸素種の産生を妨げる活性を測定する工程の実施形態としては、活性酸素種の産生に係る細胞機能を妨げる活性を測定する工程、活性酸素種の産生に係る酵素等を妨げる活性を測定する工程等が含まれる。活性酸素産生系の一つとしてアンジオテンシンII刺激によるNADPHオキシダーゼ活性化による活性酸素の発生が例示されるので、アンジオテンシンII受容体へのアンジオテンシンの結合を妨げる活性を測定する方法、NADPHオキシダーゼ活性を妨げる活性を測定する方法等を用いることが出来る。
酸化された化合物による生体への影響を妨げる活性を測定する工程としては、酸化ストレスにより活性化される酵素(例えばJNK、p38MAPキナーゼ、NFκB、PI3K等)を妨げる活性を測定する工程等を挙げることが出来る。
上述の候補化合物の抗酸化作用を調べる方法と、候補化合物のアディポネクチンプロモーター活性への影響を調べる方法を組み合わせて用いることによって、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療に有効な化合物をより効率的にスクリーニングすることが出来る。
このスクリーニングにより単離される化合物は、アディポネクチン遺伝子の発現を促進する化合物の候補となり、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療に有効な化合物の候補となる。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実験例1)
KKAyマウスの脂肪組織における酸化ストレスの亢進および抗酸化酵素の発現抑制
(試験方法)
7週令および13週令の雌性C57BL/6マウス(正常マウス)、雌性KKAyマウス(肥満・糖尿病マウス)から、血漿、肝臓、内臓脂肪(卵巣周囲脂肪、腸管膜脂肪)をそれぞれ摘出し、秤量した後、液体窒素で凍結した。
血漿中のグルコース濃度はLタイプワコーGlu2(和光純薬社製)を用いて測定した。血漿中インスリン濃度は、シオノリアインスリンRIAキット(塩野義製薬社製)を用いて測定した。血漿中のトリアシルグリセロール濃度はLタイプワコーTG・H(和光純薬社製)を用いて測定した。血漿中過酸化脂質量は、LPOテストワコー(和光純薬社製)を用いて測定した。組織中過酸化脂質量は、まず凍結組織片を50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−1.15%塩化カリウムバッファー(pH7.4)中で超音波破砕し、3000回転/分で15分遠心分離し、その上清中の過酸化脂質量を上述のキットを用いて測定した。測定値は上清中のタンパク質濃度で補正した。タンパク質濃度は、BCAプロテインアッセイキット(Pierce社製)を用いて測定した。
組織中のmRNA発現量の測定は、まず凍結組織片を1mLのRNA−STAT60液(TEL−TEST“B”社製)中でポリトロンホモジナイザーを用いてホモジナイズし、プロトコールに従って、RNAを抽出した。抽出したRNA400ngを鋳型としてThermoScript RT−PCR System(Invitrogen社製)を用いてcDNAを合成した。cDNA中の各種遺伝子の発現量は、リアルタイムPCR法により、ライトサイクラー(ロシュダイアグノスティックス社製)を用いて測定し、コントロールとして、サイクロフィリンのmRNA発現量の値で補正した相対値として算出した。なお、測定におけるPCRの条件は95℃、10分→(95℃、15秒→65℃、5秒→72℃、15秒)×40サイクルであり、測定に使用した各遺伝子のPCRプライマーの配列は以下の通りである。
アディポネクチン
Fwプライマー:5'-GATGGCAGAGATGGCACTCC-3'〔配列番号1〕
Rvプライマー:5'-CTTGCCAGTGCTGCCGTCAT-3'〔配列番号2〕
TNF alpha
Fwプライマー:5'-GCCACCACGCTCTTCTG-3'〔配列番号3〕
Rvプライマー:5'-GGTGTGGGTGAGGAGCA-3'〔配列番号4〕
PAI−1
Fwプライマー:5'-TCAGCCCTTGCTTGCCTCAT-3'〔配列番号5〕
Rvプライマー:5'-GCATAGCCAGCACCGAGGA-3'〔配列番号6〕
PPAR gamma
Fwプライマー:5'-CCAGAGTCTGCTGATCTGCG-3'〔配列番号7〕
Rvプライマー:5'-GCCACCTCTTTGCTCTGCTC-3'〔配列番号8〕
gp91phox
Fwプライマー:5'-TTGGGTCAGCACTGGCTCTG-3'〔配列番号9〕
Rvプライマー:5'-TGGCGGTGTGCAGTGCTATC-3'〔配列番号10〕
p22phox
Fwプライマー:5'-GTCCACCATGGAGCGATGTG-3'〔配列番号11〕
Rvプライマー:5'-CAATGGCCAAGCAGACGGTC-3'〔配列番号12〕
p67phox
Fwプライマー:5'-CTGGCTGAGGCCATCAGACT-3'〔配列番号13〕
Rvプライマー:5'-AGGCCACTGCAGAGTGCTTG-3'〔配列番号14〕
p47phox
Fwプライマー:5'-GATGTTCCCCATTGAGGCCG-3'〔配列番号15〕
Rvプライマー:5'-GTTTCAGGTCATCAGGCCGC-3'〔配列番号16〕
p40phox
Fwプライマー:5'-GCCGCTATCGCCAGTTCTAC-3'〔配列番号17〕
Rvプライマー:5'-GCAGGCTCAGGAGGTTCTTC-3'〔配列番号18〕
スーパーオキシドジスムターゼ
Fwプライマー:5'-CAGCATGGGTTCCACGTCCA-3'〔配列番号19〕
Rvプライマー:5'-CACATTGGCCACACCGTCCT-3'〔配列番号20〕
カタラーゼ
Fwプライマー:5'-CCAGCGACCAGATGAAGCAG-3'〔配列番号21〕
Rvプライマー:5'-CCACTCTCTCAGGAATCCGC-3'〔配列番号22〕
サイクロフィリン
Fwプライマー:5'-CAGACGCCACTGTCGCTTT-3'〔配列番号23〕
Rvプライマー:5'-TGTCTTTGGAACTTTGTCTGCAA-3'〔配列番号24〕
結果を[図1]から[図18]に示す。
(結果)
[図1]および[図2]にて明らかなように、KKAyマウスはC57BL/6マウスと比較して7週令ですでに体重および内臓脂肪重量が著明に増加していた。また、[図3]および[図4]から明らかなように、KKAyマウスではC57BL/6マウスと比較して7週令からすでに血漿インスリンおよび血漿トリアシルグリセロール濃度も顕著に高い値を示しており、インスリン抵抗性、高脂血症の状態であることが確認された。さらに、血漿中の過酸化脂質が上昇しており、7週令ですでに酸化ストレスが亢進していることが明らかとなった([図5]参照)。さらに脂肪組織の過酸化脂質を測定したところ、脂肪組織においても酸化ストレスが亢進していることが判明した([図6]参照)。しかし、7週令の段階ではまだ高血糖はきたしていないことから([図7]参照)、肥満、高脂血症状態によって酸化ストレスが亢進することが確認された。
脂肪組織の各種遺伝子の発現量を測定したところ、([図8]参照)にて明らかなように、KKAyマウスではアディポネクチンの発現が低下していた。また、このとき7週令の段階からアディポネクチンの転写の調節因子の一つであるPPAR gammaの発現も低下していた([図9]参照)。逆に炎症性サイトカインであるTNF alpha、PAI−1の発現は上昇していた([図10]、[図11]参照)。NADPHオキシダーゼは、gp91phox、p22phox、p67phox、p47phox、p40phoxの5つのサブユニットから構成されているが、KKAyマウスの脂肪組織ではこれらのすべてのサブユニットの発現が亢進していた([図12]〜[図16]参照)。
また、活性酸素種を除去する酵素である、スーパーオキシドジスムターゼやカタラーゼの発現は、KKAyマウスの脂肪組織において低下していた([図17]、[図18]参照)。以上の結果から、肥満の脂肪組織においては、活性酸素種を産生する酵素の発現上昇、除去する酵素の発現低下により、酸化ストレスが亢進していることが示唆された。
また、別の系統の肥満・糖尿病マウスであるdb/dbマウスを用いて同様の検討を行い、KKAyマウスと同様の傾向、すなわち、脂肪組織中における過酸化脂質の上昇、タンパク質の過酸化の上昇等の酸化ストレスの亢進、アディポネクチン遺伝子発現の低下、活性酸素種を産生する酵素(NADPHオキシダーゼのサブユニットgp91、p67)の遺伝子発現上昇、活性酸素種を除去する酵素群(SOD、カタラーゼ)の遺伝子発現の低下が確認され、脂肪組織において活性酸素種が増加し、酸化ストレスの上昇によりアディポネクチンの発現が抑制されている可能性が示唆された。
(実施例1)
3T3−L1細胞に対する活性酸素種の作用
(試験方法)
6穴プレートに3×104個/穴の3T3−L1細胞を播種し、10%ウシ胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地で培養した。1日おきに培地を交換し、8日後、培地にインスリン5mg/mL、デキサメタゾン1μM、3−イソブチル−1−メチルキサンチン0.5mMを添加して、分化を誘導した。分化誘導2日後、培地をもとの10%ウシ胎児血清を含むダルベッコ改変イーグル培地に戻し、1日おきに培地を交換しながら、さらに培養を続けた。分化誘導8日後、脂肪細胞に分化した3T3−L1細胞に活性酸素種を添加し、24時間後、細胞内の各種遺伝子のmRNA発現量を測定した。活性酸素種は、培地に600μMヒポキサンチンと、0〜20mU/mLのキサンチンオキシダーゼを添加することによって発生させた。RNAの抽出はRNA−STAT60(TEL−TEST“B”社製)を用いて行い、細胞内の各種遺伝子のmRNA発現量の測定は、組織中のmRNA発現量の測定と同様に行った。なお、各種遺伝子のmRNA発現量は、コントロールとしてサイクロフィリンのmRNA発現量の値で補正した相対値として算出した。
3T3−L1細胞に対する抗酸化剤の作用は、3T3−L1細胞を上述の条件で分化させ、分化誘導8日後、過酸化水素0.2mMと抗酸化剤N−アセチルシステイン10mMを添加し、24時間後の細胞内の各種遺伝子のmRNA発現量を測定した。サイクロフィリンのmRNA発現量の値で補正した相対値として算出した。
結果を[図19]から[図23]に示す。
(結果)
3T3−L1脂肪細胞に対する活性酸素種の作用を検討したところ、活性酸素種の用量依存的にアディポネクチンの発現が低下することが判明した([図19]参照)。また、このときPPAR gammaの発現も低下した([図20]参照)。一方、PAI−1の発現は活性酸素種の作用によって逆に上昇した([図21]参照)。以上の結果から、活性酸素種等の酸化ストレスにより、アディポネクチンの産生が抑制されることが明らかとなった。
ここに、抗酸化剤であるN−アセチルシステインを作用させると、N−アセチルシステインにより3T3−L1細胞のアディポネクチンおよびPPARγの発現量が上昇することが明らかとなった([図22]、[図23]参照)。
以上の実施例1、実施例2の結果から、肥満等においては脂肪組織での酸化ストレスが亢進し、その結果アディポネクチンの発現が抑制されており、抗酸化作用を有する化合物は、肥満等に伴うアディポネクチンの産生低下を抑制できることが示された。
(実施例2)
ヒトアディポネクチンプロモーター活性に対する活性酸素種の作用
(試験方法)
HEK293細胞を96穴マルチプレート(ヌンク社製)に播種し、37℃、5%二酸化炭素条件下で一晩培養した。ヒトアディポネクチンプロモーター活性測定用プラスミドを50ng/穴、核内受容体発現用のプラスミドを各15ng/穴、リン酸カルシウム法を用いて細胞に一過性に導入した。遺伝子導入から8時間後に、培養液にヒポキサンチン100μMと20mU/mLのキサンチンオキシダーゼを添加した。16時間後上清を除き、細胞溶解液*を50μL添加してLmaxマイクロプレートルミノメーター(モレキュラーデバイス社製)で発光活性を測定した。
細胞溶解液*の組成は以下の通りである。
30mM Tricine(pH7.8)、8mM MgOAc、0.2mM EDTA、1% Triton X−100、0.5mM Luciferin、 1.5mM ATP、0.5mM CoA、0.7% 2−Mercaptoethanol
ヒトアディポネクチンプロモーター活性測定用プラスミドとは、例えば「Sambrookら、モレキュラークローニング(Molecular Cloning)、第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、1989年」に記載の方法により、プラスミドpGL3(プロメガ社製)のルシフェラーゼ遺伝子の5´側にヒトアディポネクチン遺伝子座の転写開始点の上流−908塩基から下流14塩基の部分の配列を機能的に組み換え、調製したものである([図24]参照)。
また、核内受容体発現用のプラスミドとは、例えば「Sambrookら、モレキュラークローニング(Molecular Cloning)、第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、1989年」に記載の方法により、プラスミドpcDNA3.1(インビトロジェン社製)のCMVプロモーターの下流にヒトPPAR gamma遺伝子およびヒトRXR alpha遺伝子を機能的に組み換え、調製したものである。
3T3−L1細胞を6穴プレートに播種し、前述の方法で脂肪細胞へ分化を誘導した。分化4日後、ヒトアディポネクチンプロモーター活性測定用プラスミドを2μg/穴、リポフェトアミン2000(Invitrogen社製)を用いて細胞に一過性に導入した。遺伝子導入から3時間30分後に過酸化水素0.2mMと抗酸化剤N-アセチルシステイン10mMを添加し、さらに培養した。20時間後、培養上清を除き、細胞をパッシブライシスバッファー(プロメガ社製)400μLで溶解し、12000×gで3分間遠心分離した後、上清50μLにルシフェラーゼアッセイシステム(プロメガ社製)の基質溶液250μLを添加して発光活性を測定した。
結果を[図25]および[図26]に示す。
(結果)
HEK293細胞、および脂肪細胞に分化した3T3−L1細胞において、活性酸素種がヒトアディポネクチンプロモーター活性を抑制することが確認された([図25]、[図26]参照)。また、N−アセチルシステインを作用させることによって、活性酸素種によって抑制されたプロモーター活性を元に戻すことができた([図26]参照)。本系を用いて、抗酸化剤やアディポネクチン産生低下に関わるシグナル伝達阻害剤、転写調節剤のスクリーニングが可能であると考えられる。
(実施例3)
KKAyマウスに対するNADPHオキシダーゼ阻害剤の作用
(試験方法)
実施例1、実施例2の結果から、抗酸化作用を有する化合物は、肥満等に伴うアディポネクチンの産生低下を抑制し、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患、たとえば低アディポネクチン血症、糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症などの予防・治療剤として有用である可能性が示された。肥満の脂肪組織ではNADPHオキシダーゼの発現上昇によって酸化ストレスが亢進していると考えられるため、KKAyマウスに対するNADPHオキシダーゼ阻害剤の作用を検討した。NADPHオキシダーゼ阻害剤としてアポサイニンを用いた。
5週令の雌性C57BL/6マウス、雌性KKAyマウスに、それぞれ水もしくは5mMアポサイニン水溶液を6週間、飲料水として投与した。6週後、各群のマウスから、血漿、卵巣周囲脂肪を摘出し、液体窒素で凍結した。
血漿中のグルコース濃度はグルコーステストワコー(和光純薬社製)を用いて測定した。血漿中インスリン濃度は、マウスインスリンELISAキット(シバヤギ社製)を用いて測定した。血漿中のトリアシルグリセロール濃度は、TGテストワコー(和光純薬社製)を用いて測定した。組織中過酸化脂質量、組織中mRNA発現量の測定は実施例1と同様の方法を用いて測定した。
結果を[図27]から[図34]に示す。
(結果)
C57BL/6マウス、KKAyマウスともに、対照群とアポサイニン投与群の間で、体重に差はなかった([図27]参照)。しかしながら、KKAyマウスでは、アポサイニン投与によって血糖値、血漿中インスリン、血漿トリアシルグリセロールの有意な低下が認められた([図28]、[図29]、[図30]参照)。C57BL/6マウスではアポサイニン投与によってこれらの変化は見られなかった。
また、KKAyマウスではアポサイニン投与によって、脂肪組織中の過酸化脂質量の有意な低下が認められ([図31]参照)、NADPHオキシダーゼを抑制することによって脂肪組織での酸化ストレスを低下させていることがしめされた。
さらに、KKAyマウスではアポサイニン投与によって、血漿中アディポネクチン濃度の上昇が認められた([図32]参照)。また、このとき脂肪組織中のアディポネクチンのmRNA発現量は上昇し、TNF−alphaのmRNA発現量は低下していた([図33]、[図34]参照)。
以上の結果から、NADPHオキシダーゼ阻害剤は、肥満において亢進している脂肪組織での酸化ストレスを減少させることによって、アディポネクチン産生を上昇させ、糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症を改善することが示された。
本発明の予防・治療剤は、アディポネクチン産生を上昇させるので、低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患、例えば低アディポネクチン血症、耐糖能障害、糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性症候群、糖尿病合併症、高血糖症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患、脳血管障害、血管狭窄、末梢血管疾患、動脈瘤、高脂血症、高コレステロール血症または肥満等の予防・治療剤として有用である。
C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における平均体重を平均値±標準誤差(g)にて示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における肝臓、卵巣周囲脂肪、腸間膜脂肪の組織重量の平均値±標準誤差(g)を示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における血漿インスリン濃度の平均値±標準誤差(μU/mL)を示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における血漿トリアシルグリセロール濃度の平均値±標準誤差(mg/dl)を示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における血漿中過酸化脂質濃度をチオバルビツール酸反応基質濃度の平均値±標準誤差(nmolマロンジアルデヒド/ml)として示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における脂肪組織中過酸化脂質濃度をチオバルビツール酸反応基質濃度の平均値±標準誤差(nmolマロンジアルデヒド/mgタンパク質)として示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における血糖値の平均値±標準誤差(mg/dl)を示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における組織中のアディポネクチン mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における組織中のPPAR gamma mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における組織中のTNF alpha mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における組織中のPAI−1 mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における組織中のgp91phox mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における組織中のp22phox mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における組織中のp67phox mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における組織中のp47phox mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における組織中のp40phox mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における組織中のスーパーオキシドジスムターゼ mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。 C57BL/6マウス(C57)およびKKAyマウス(KKAy)の7週令時(7W)および13週令時(13W)における組織中のカタラーゼ mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。 3T3−L1細胞におけるアディポネクチンmRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。横軸には添加したキサンチンオキシダーゼの濃度(mU/ml)を示す。 3T3−L1細胞におけるPPAR gamma mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。横軸には添加したキサンチンオキシダーゼの濃度(mU/ml)を示す。 3T3−L1細胞におけるPAI−1 mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。横軸には添加したキサンチンオキシダーゼの濃度(mU/ml)を示す。 3T3−L1細胞におけるアディポネクチンmRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。 3T3−L1細胞におけるPPAR gamma mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。 ヒトアディポネクチンプロモーター活性測定用プラスミドの構造を模式的に示した図である。LUCとはルシフェラーゼ遺伝子を示す。 HEK293細胞におけるアディポネクチンプロモーター活性をルシフェラーゼ活性の相対値の平均値±標準誤差として示した図である。また横軸には、核内受容体発現用プラスミド(PPARγ/RXRα/LRH−1)の添加(+)/非添加(−)、活性酸素種の添加(+)/非添加(−)を示す。 脂肪細胞に分化した3T3−L1細胞におけるアディポネクチンプロモーター活性をルシフェラーゼ活性の相対値の平均値±標準誤差として示した図である。横軸には、N−アセチルシステインの添加(+)/非添加(−)、活性酸素種の添加(+)/非添加(−)を示す。 C57BL/6マウス(C57BL/6)およびKKAyマウス(KKAy)の対照群(白カラム)およびアポサイニン投与群(黒カラム)における体重を平均値±標準誤差(g)にて示した図である。 C57BL/6マウス(C57BL/6)およびKKAyマウス(KKAy)の対照群(白カラム)およびアポサイニン投与群(黒カラム)における血糖値を平均値±標準誤差(mg/dL)にて示した図である。 C57BL/6マウス(C57BL/6)およびKKAyマウス(KKAy)の対照群(白カラム)およびアポサイニン投与群(黒カラム)における血漿インスリン濃度を平均値±標準誤差(ng/mL)にて示した図である。 C57BL/6マウス(C57BL/6)およびKKAyマウス(KKAy)の対照群(白カラム)およびアポサイニン投与群(黒カラム)における血漿トリアシルグリセロール濃度を平均値±標準誤差(mg/dL)にて示した図である。 C57BL/6マウス(C57BL/6)およびKKAyマウス(KKAy)の対照群(白カラム)およびアポサイニン投与群(黒カラム)における脂肪組織中過酸化脂質濃度をチオバルビツール酸反応基質濃度の平均値±標準誤差(nmolマロンジアルデヒド/mgタンパク質)として示した図である。 C57BL/6マウス(C57BL/6)およびKKAyマウス(KKAy)の対照群(白カラム)およびアポサイニン投与群(黒カラム)における血漿アディポネクチン濃度を平均値±標準誤差(μg/mL)にて示した図である。 KKAyマウス(KKAy)の対照群(左カラム)およびアポサイニン投与群(右カラム)における脂肪組織中のアディポネクチン mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。 KKAyマウス(KKAy)の対照群(左カラム)およびアポサイニン投与群(右カラム)における脂肪組織中のTNF alpha mRNA発現量の相対値の平均値±標準誤差を示した図である。
配列番号1:アディポネクチン遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号2:アディポネクチン遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号3:TNF alpha遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号4:TNF alpha遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号5:PAI−1遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号6:PAI−1遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号7:PPAR gamma遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号8:PPAR gamma遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号9:gp91phox遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号10:gp91phox遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号11:p22phox遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号12:p22phox遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号13:p67phox遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号14:p67phox遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号15:p47phox遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号16:p47phox遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号17:p40phox遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号18:p40phox遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号19:スーパーオキシドジスムターゼ遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号20:スーパーオキシドジスムターゼ遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号21:カタラーゼ遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号22:カタラーゼ遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号23:サイクロフィリン遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド
配列番号24:サイクロフィリン遺伝子を検出するためのPCRプライマーとして作用すべく設計されたオリゴヌクレオチド

Claims (13)

  1. 抗酸化作用を有する化合物を有効成分として含有する低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療剤。
  2. 抗酸化作用を有する化合物が一般式(I)
    Figure 2005232059

    [式中、R1はニトロ基、シアノ基またはトリハロ(低級)アルキル基、R2、R3およびR4は、同一または異なって、それぞれ低級アルキル基を意味する]で示されるジヒドロピリジン化合物または医薬として許容されるその塩である請求項1記載の予防・治療剤。
  3. 一般式(I)の化合物が6−シアノ−5−メトキシカルボニル−2−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸のイソプロピルエステルである請求項2記載の予防・治療剤。
  4. 抗酸化作用を有する化合物がプロブコールおよびその誘導体である請求項1記載の予防・治療剤。
  5. 抗酸化作用を有する化合物がN−アセチルシステインおよびその誘導体である請求項1記載の予防・治療剤。
  6. 抗酸化作用を有する化合物がNADPHオキシダーゼ阻害化合物である請求項1記載の予防・治療剤。
  7. NADPHオキシダーゼ阻害化合物がアポサイニンである請求項6記載の予防・治療剤。
  8. 低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患が低アディポネクチン血症、耐糖能障害、糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性症候群、糖尿病合併症、高血糖症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患、脳血管障害、血管狭窄、末梢血管疾患、動脈瘤、高脂血症、高コレステロール血症および肥満からなる群から選択される疾患である請求項1〜7のいずれかに記載の予防・治療剤。
  9. 低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患が低アディポネクチン血症である請求項8記載の予防・治療剤。
  10. 低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患が糖尿病である請求項8記載の予防・治療剤。
  11. 低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患が動脈硬化症である請求項8記載の予防・治療剤。
  12. 低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患が高脂血症である請求項8記載の予防・治療剤。
  13. 低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患が肥満である請求項8記載の予防・治療剤。
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