JP2005226147A - ステンレス鋼線材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
フェライト系ステンレス鋼線材の製造において、線材圧延後の熱処理を省略して製造コストの低減をはかっても、従来の熱処理したものと、実質上違わない冷間加工性を有する製品を製造する方法を提供する。
【解決手段】
C含有量0.10%以下のフェライト系ステンレス鋼を、700℃以上であってγ変態点以下の温度において線材圧延し、0.3℃/秒以下の冷却速度で徐冷する(図1に黒角のプロットで示したような温度の推移)。これにより、マルテンサイトの析出を避けて圧延を完了し、Cr欠乏層の生成を避けることもできる。その結果、引張り強さが低下し、絞り値は向上した、軟らかい線材製品が得られる。
【選択図】 図1
フェライト系ステンレス鋼線材の製造において、線材圧延後の熱処理を省略して製造コストの低減をはかっても、従来の熱処理したものと、実質上違わない冷間加工性を有する製品を製造する方法を提供する。
【解決手段】
C含有量0.10%以下のフェライト系ステンレス鋼を、700℃以上であってγ変態点以下の温度において線材圧延し、0.3℃/秒以下の冷却速度で徐冷する(図1に黒角のプロットで示したような温度の推移)。これにより、マルテンサイトの析出を避けて圧延を完了し、Cr欠乏層の生成を避けることもできる。その結果、引張り強さが低下し、絞り値は向上した、軟らかい線材製品が得られる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ステンレス鋼、とくにフェライト系ステンレス鋼の線材を製造する方法に関する。
ステンレス鋼、とくに13〜19%のCrを含有するフェライト系ステンレス鋼から線材を製造する工程においては、熱間圧延ののち、必ず熱処理および酸洗を行なう。圧延におけるポイントは、製品の外観および品質を良好にするため、材料を比較的高い温度に加熱し、圧延中の温度を常に950〜1100℃程度に保ち、圧延後は空冷する、という手順が一般に採用されている。温度の推移を、加熱炉からの抽出にはじまって、初段−中段−終段の圧延段階まで追うと、図1に白抜き丸のプロットで示したようになる。
熱間圧延により製造した線材は、多くの場合、冷間で伸線してそのまま、またはさらに加工を加えて最終製品にすることが多く、冷間引き抜き、曲がり矯正などの処理を受ける。こうした冷間の加工に当たって、割れや折損を生じることのない線材を製造することを企てた出願人は、フェライト系ステンレス鋼の組織を結晶粒度6以上の細粒とすべきこと、それが、熱間圧延速度を調節して圧延終止温度を800〜930℃の範囲にすれば実現することを知り、すでに開示した(特許文献1)。
特開2002−167619
いうまでもなく熱処理はコストのかかる工程であるから、なるべく簡略化または省略したい。しかし、熱処理を行なわなければ、圧延材は硬すぎて、伸線などの冷間加工に適しないものになる。代表的なフェライト系ステンレス鋼であるSUS430についていえば、望ましい冷間加工性を得るには、引張り強さが540N/mm2以下、絞りが60%以上という軟らかさをもつことが要求される。
本発明の目的は、フェライト系ステンレス鋼線材の製造において、線材圧延後の熱処理を省略しても、熱処理したものと実質上違わない冷間加工性を有する製品を製造する方法を提供することにある。
上記の目的を達成する本発明のステンレス鋼線材の製造方法は、C含有量0.10%以下のフェライト系ステンレス鋼を、700℃以上であってγ変態点以下の温度において線材圧延し、0.3℃/秒以下の冷却速度で徐冷することからなる。本発明に従う圧延の一例について温度の推移を追うと、図1に黒角のプロットで示したような経過をたどり、圧延の開始時と終止時とで、温度はほとんど変わらない。
本発明の方法に従ってステンレス鋼線材を製造すれば、圧延の間γ変態点以下の温度が維持されているから、マルテンサイトの析出を避けて圧延を完了することができる。圧延後は徐冷することにより、クロムの炭化物Cr23C6の析出が少なく、かつ、比較的高い温度が維持されている間にCrが拡散するので、Cr欠乏層の生成を避けることができる。その結果、引張り強さが低下し、絞り値は向上する上、耐食性の向上も期待できる。従来の圧延方法によるときは、マルテンサイトの析出が不可避であり、圧延に続く熱処理が必要であったが、本発明により、熱処理は不要になった。これにより工程の簡略化とコストの低減が可能になった。
Fe−17%Crの系において、炭素量と温度とにより決定される相をサーモカルクにより状態図に画くと、図2のようになる。この図から、γ変態点は、940℃近辺にあると推定される。従来の比較的高い加熱温度を採用した圧延は、図2の破線で囲んだ領域において行なわれていたものであるが、本発明の圧延は、実線で囲んだ領域において行なうことになる。C:0.10%という上限は、α単相ではなく、α+γの二相域を設けるC量、という理由で設けたものである。この限界内のC含有量で0.03%を超える比較的高炭素の鋼も、ほぼ940℃以下の温度で加熱炉から抽出し圧延することにより、マルテンサイトの析出を避けて圧延することができる。C含有量0.03%以下の低炭素の鋼は、基本的にα単相の圧延が可能である。
従来の高温で行なう圧延は、フェライト(α)+オーステナイト(γ)の混合相であって、γ相中のC量が高いものを対象にしている。α相は再結晶しにくいため圧延方向に伸長し、γ粒界から一部α相再結晶粒が析出する。このような組織を有する圧延材を放冷すると、γがマルテンサイトに変態するとともにCr23C6が析出し、その近傍には欠乏層ができる。それゆえ、熱処理を行なわなければならないわけである。これに対し、本発明にしたがって低温で圧延を進めると、γ相が存在しないためα粒が成長し、圧延方向に伸長する。この圧延材を放冷すると、マルテンサイトの析出はないものの、Cr23C6が析出し、その近傍に欠乏層ができることは同じである。そこで徐冷すれば、ある程度高い温度に長時間置かれることにより、α粒は若干成長すると思われるが、前記のようにCrの拡散が起こってCr23C6が消失し、かつ、加工硬化が解消して、軟らかい材料となる。
上記の圧延温度と徐冷の模様は、図3(従来法)および図4(本発明)に見るとおりである。従来法(図3)は、たとえば1150℃というような高温から圧延が始まり、次第に温度が低下してCr23C6ノーズを横ぎる。冷却速度が、たとえば2〜3℃/秒といった通常の冷却であると、Cr欠乏層を形成する領域(斜線部分)に触れ、かつ、マルテンサイトの析出を見る。Cr欠乏層の形成を避けるためには、0.1℃/秒以下の、非常に遅い冷却をしなければならない。遅い冷却を実施したとしても、マルテンサイトができているため、熱処理をしなければならない。
これに対し、本発明(図4)では、α単相の領域で圧延が進行し、マルテンサイトの析出もない。Cr欠乏層の形成を避けるためには、やはり徐冷が必要であるが、前記したように0.3℃/秒以下の冷却速度で、通常は足りる。しかしこの場合も、できれば0.1℃/秒程度の遅い冷却をすることが望ましい。前述の機構にかんがみれば、徐冷に当たってある温度にある時間、たとえば後記する実施例の830℃×7分間とか9分間とか保持することが、Crの拡散による欠乏層の消滅や加工硬化の解消をもたらす上で有効である。
フェライト系ステンレス鋼SUS430(C:含有量0.04%)を溶製し、表1に記した温度条件で線材圧延して、径13mmの線材コイルとした。
表1
抽 出 巻取時
比較例 1100℃ 850℃
実施例 900℃ 820℃
コイルの冷却に当たっては、下記の3種の条件を試みた:
(1)ループコンベア上でヘビーパックの状態で放冷した(冷却速度約0.1℃/秒)
(2)上記に加え、830℃の大気炉内に7分間置いた
(3)上記に加え、830℃の大気炉内に9分間置いた
表1
抽 出 巻取時
比較例 1100℃ 850℃
実施例 900℃ 820℃
コイルの冷却に当たっては、下記の3種の条件を試みた:
(1)ループコンベア上でヘビーパックの状態で放冷した(冷却速度約0.1℃/秒)
(2)上記に加え、830℃の大気炉内に7分間置いた
(3)上記に加え、830℃の大気炉内に9分間置いた
得られた線材について、引張り強さと絞りを測定して冷間加工性を評価するとともに、腐食減量を測定して耐食性を確認した。結果を表2に示す。
表2
比較例 実施例
冷却条件 (1) (2) (3) (1) (2) (3)
引張り強さ(kg/cm2) 71.0 61.5 61.0 55.5 45.1 44.4
絞り(%) 56.2 56.9 59.7 73.2 81.3 84.2
腐食減量(g/m3/hr) 12.7 0.75 0.60 9.3 0.72 0.29
表2
比較例 実施例
冷却条件 (1) (2) (3) (1) (2) (3)
引張り強さ(kg/cm2) 71.0 61.5 61.0 55.5 45.1 44.4
絞り(%) 56.2 56.9 59.7 73.2 81.3 84.2
腐食減量(g/m3/hr) 12.7 0.75 0.60 9.3 0.72 0.29
上記の試験において、目標としたレベルは、引張り強さが55kg/cm2以下、絞りが75%以上、腐食減量が1.0g/m3/hr以下である。本発明の実施例は容易に目標を超えたが、比較例は圧延条件が満たされていないため、耐食性以外は不満足なものであった。実施例においては、冷却の途中で加熱保持が効果的であることがわかる。
上記した本発明の実施例で得たものと同じ材質の線材であって、径5.5mmのものを、径2.0mmまで伸線した。その間における種々の冷間の加工率段階で、引張り強さを測定した。その結果を、従来法で(圧延後の熱処理を伴う)製造したものと比較して、図5に示す。本発明の方法で製造した線材が、従来法によるものと同等の冷間加工性を有することが、このグラフから確認できる。
Claims (2)
- ステンレス鋼の線材を製造する方法であって、C含有量0.10%以下のフェライト系ステンレス鋼を、700℃以上であってγ変態点以下の温度において線材圧延し、0.3℃/秒以下の冷却速度で徐冷することからなるステンレス鋼線材の製造方法。
- 圧延後の徐冷を、ループコンベア上にある圧延材に対し、ヒーターの熱を与えることにより0.1℃/秒以下の冷却速度で実施する請求項1のステンレス鋼線材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004037819A JP2005226147A (ja) | 2004-02-16 | 2004-02-16 | ステンレス鋼線材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004037819A JP2005226147A (ja) | 2004-02-16 | 2004-02-16 | ステンレス鋼線材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005226147A true JP2005226147A (ja) | 2005-08-25 |
Family
ID=35001095
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2005226147A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2457911C1 (ru) * | 2011-02-10 | 2012-08-10 | Открытое акционерное общество "Магнитогорский металлургический комбинат" | Способ производства горячекатаной канатной катанки |
WO2020196595A1 (ja) | 2019-03-27 | 2020-10-01 | 日鉄ステンレス株式会社 | 棒状鋼材 |
-
2004
- 2004-02-16 JP JP2004037819A patent/JP2005226147A/ja active Pending
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