JP2005223610A - 弾性表面波デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】 IDTなどの弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段の形成領域と、反射器などの弾性表面波反射手段の形成領域とを別々に最適化することにより、デバイス性能を容易に向上させることが可能な弾性表面波デバイスを提供する。
【解決手段】 本発明の弾性表面波デバイス100は、基板上に形成された圧電体薄膜103と、該圧電体薄膜の表面に形成された励振電極104a,104bを含む弾性表面波励振手段若しくは検出電極を含む弾性表面波検出手段104と、前記表面に形成された反射電極105aを含む弾性表面波反射手段105とを備え、弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段の形成領域における圧電体薄膜の厚さt1と、弾性表面波反射手段の形成領域における圧電体薄膜の厚さt2とが異なることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は弾性表面波デバイスに係り、特に、圧電体薄膜の表面上に形成された弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段と、弾性表面波反射手段とを備えた弾性表面波デバイスの構造に関する。
一般に、通信機器や各種信号処理には、共振子やフィルタなどを構成する弾性表面波デバイスが用いられている。この弾性表面波デバイスは、ZnOなどの圧電体の圧電性を用いるものである。従来の弾性表面波デバイスにおいては、圧電体の表面上にIDT(インタディジタル変換子、例えば櫛歯状電極)などで構成される弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段と、反射器などで構成される弾性表面波反射手段とが形成され、これらのIDTや反射器を相互に結線するためのバスバーや、このバスバーをボンディングパッドへ結線するための配線が設けられる。通常の弾性表面波デバイスでは、デバイスチップをケーシングの内部に密封した状態で配置し、このデバイスチップに形成されたボンディングパッドと、ケーシングに設けられた外部端子とが導電ワイヤで導電接続されるようになっている。
特に、シリコン基板などの基板上に圧電体薄膜を成膜し、この圧電体薄膜の表面上に上記のIDTや反射器を構成する積層構造の弾性表面波デバイスが知られている(例えば、以下の非特許文献1及び2参照)。このような積層構造のデバイスでは、基板の表面領域に種々の半導体素子をモノリシックに形成したり、或いは、シリコン基板上に薄膜構造を形成したりすることによって、種々の半導体素子や配線を形成することによって半導体集積回路を構成することができる。通常、通信回路や各種信号処理回路においては、多くの部分が半導体集積回路として構成されるため、例えば、半導体集積回路が構成されるシリコン基板上に上記の弾性表面波デバイスを構成することが、通信回路や信号処理回路の小型化を進める上で重要なポイントになるものと考えられる。このため、従来から、半導体集積回路を構成してなるシリコン基板上に形成された弾性表面波デバイスが提案されている(例えば、以下の特許文献1及び2参照)。
三露常男・他4名 「薄膜弾性表面波ディバイス」 松下技報(National Technical Report) Vol.22 No.6 Dec 1976 P.905-923 S.J.Martin・他2名 「HIGH Q, TEMPERATURE STABLE ZnO−on−SILICON SAW RESONATORS」 1980 ULTRASONICS SYMPOSIUM P.113−P.117 特開平6−125226号公報 特開2000−151451号公報
ところで、前述の積層構造を有する弾性表面波デバイスでは、IDTなどの弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段によって励振若しくは検出される弾性表面波は、圧電体の圧電性、弾性係数若しくは厚さ、励振された弾性表面波の波長などが変化することによって、その伝播速度が変化し、また、励振若しくは検出時における電気機械結合係数と反射器の反射係数が変化する。この場合に、IDTなどの弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段と、反射器などの弾性表面波反射手段とが設けられてなる弾性表面波デバイスにおいては、圧電体薄膜の厚さが弾性表面波励振手段の励振効率若しくは弾性表面波検出手段の検出効率に与える影響と、弾性表面波反射手段の反射効率とに与える影響とが相互に異なる。しかしながら、従来の弾性表面波デバイスでは、このような励振効率若しくは検出効率(電気機械結合係数)と反射効率の双方を同時に向上させるという観点からの構造提案がなされていなかった。すなわち、従来構造では、各手段の励振効率若しくは検出効率と、反射効率とを別々に向上させるという配慮がなされておらず、これらの効率の結果として生ずるデバイス性能の向上を必ずしも充分に図ることができなかった。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、IDTなどの弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段の形成領域と、反射器などの弾性表面波反射手段の形成領域とを別々に最適化することにより、デバイス性能を容易に向上させることが可能な弾性表面波デバイスを提供することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明の弾性表面波デバイスは、基板上に形成された圧電体薄膜と、該圧電体薄膜の表面に形成された励振電極を含む弾性表面波励振手段若しくは検出電極を含む弾性表面波検出手段と、前記表面に形成された反射電極を含む弾性表面波反射手段とを備えた弾性表面波デバイスにおいて、前記弾性表面波励振手段若しくは前記弾性表面波検出手段の形成領域における前記圧電体薄膜の厚さと、前記弾性表面波反射手段の形成領域における前記圧電体薄膜の厚さとが異なることを特徴とする。
従来の弾性表面波デバイスでは、圧電体薄膜の平坦な表面上にIDTなどの弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段と、反射器などの弾性表面波反射手段とが形成されるため、励振電極若しくは検出電極の形成領域における圧電体薄膜の厚さと、反射電極の形成領域における圧電体薄膜の厚さとは同一であった。ところが、圧電体薄膜の厚さは、励振効率及び検出効率、又は、反射効率に大きな影響を与えるとともに、これらの効率を高めるために好適な値が相互に異なる。さらに、圧電体薄膜の厚さによる上記効率に与える影響の度合は、他のパラメータ、例えば、圧電体薄膜を構成する素材の圧電性や弾性が変化することによっても変動し、この変動態様も励振電極若しくは検出電極と、反射電極とでは相互に異なる。したがって、従来構造における励振電極若しくは検出電極の形成領域における圧電体薄膜の厚さと反射電極の形成領域における圧電体薄膜の厚さとの同一性は、実際には励振効率若しくは検出効率と反射効率とを共に高める上での大きな制約となっていた。
しかし、本発明においては、弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段の形成領域における圧電体薄膜の厚さと、弾性表面波反射手段の形成領域における圧電体薄膜の厚さとが異なることにより、励振効率若しくは検出効率の向上と、反射効率の向上とを、圧電体薄膜の厚さの同一性による制約を受けずに図ることができるので、従来構造よりもデバイス性能の向上を図ることが容易になるという利点がある。例えば、励振効率若しくは検出効率の向上による電気機械結合係数の向上と、反射効率の向上による弾性表面波の減衰量の低減とを共に図ることができる。なお、電気機械結合係数や反射係数の向上は、デバイス性能の向上とともに、電極数の低減にも寄与し、デバイスの小型化にも繋がる。
ところで、上記従来の非特許文献2では、圧電体薄膜を周期的にエッチングして溝/***型の反射器を形成してなる弾性表面波デバイスが開示されている。しかしながら、このデバイスでは、反射器を構成するために溝或いは***を周期的に形成することを主眼とし、反射器の形成領域における圧電体薄膜の厚さを小さくすることを目指しているわけではなく、また、圧電体薄膜の厚さと反射効率との関係に対する言及もない。さらに、非特許文献2の構造では、反射器の形成領域における圧電体薄膜の厚さが周期的に大きく変動するため、溝の深さと圧電体薄膜の元の厚さとの双方の影響により反射効率が複雑に変化する。
本発明において、前記弾性表面波励振手段若しくは前記弾性表面波検出手段の形成領域における前記圧電体薄膜の厚さは、前記弾性表面波反射手段の形成領域における前記圧電体薄膜の厚さよりも大きいことが好ましい。電気機械結合係数Kは、圧電体薄膜の厚さによって大きく変動するが、反射器の反射係数は、通常、圧電体薄膜の厚さが小さくなるほど緩やかに増大する。したがって、弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段の形成領域における圧電体薄膜の厚さを適宜に設定し、それよりもさらに弾性表面波反射手段の形成領域における圧電体薄膜の厚さを小さくすることによって、電気機械結合係数を低下させずに反射効率を高めることができるため、デバイス性能を向上させることができる。
本発明において、前記圧電体薄膜は、いずれの領域においても、弾性表面波の波長で規格化された膜厚が0.005〜0.1の範囲内にあることが好ましい。この厚さの範囲においては、電気機械結合係数が大きく、しかも、反射係数が大きいので、デバイス性能をさらに向上させることができる。この場合、弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段の形成領域における圧電体薄膜の膜厚は、高い電気機械結合係数を得るために、0.02〜0.1の範囲内であることが好ましく、特に、0.04〜0.06の範囲内であることが望ましい。また、弾性表面波反射手段の形成領域における圧電体薄膜の膜厚は、高い反射係数を得るために、0.005〜0.06の範囲内であることが好ましく、特に、0.01〜0.04の範囲内であることが望ましい。なお、上記の膜厚範囲では、圧電体薄膜の厚さは、通常の弾性表面波の波長であれば1μmより薄くなるので、圧電体薄膜の成膜時間も短く、製造コストの低減や製造効率の向上を図ることができる。
本発明において、前記基板と前記圧電体薄膜との間に絶縁層を有することが好ましい。基板と圧電体薄膜との間に絶縁層を介在させることにより、導電性を有する素材で構成される基板、基板上に導電パターンなどの導電体が形成されてなる基板、或いは、半導体基板などを用いても、基板若しくは基板上の導電体の導電性が弾性表面波デバイスの特性に与える影響を低減できる。
本発明において、前記圧電体は、ZnO、AlN、PZT、LiNbO、TaNbO、KNbO、PMN−PTやPNN−PTのリラクサ系から選ばれたいずれか一の素材で構成されていることが好ましい。これらの材料は、最も典型的な圧電体である水晶よりも高い圧電性を呈するため、高性能の弾性表面波デバイスを構成することができる。
本発明の弾性表面波デバイスには、基板上に形成された圧電体薄膜と、該圧電体薄膜の表面に形成された励振電極を含む弾性表面波励振手段若しくは検出電極を含む弾性表面波検出手段と、前記表面に形成された弾性表面波反射手段とを備えた弾性表面波デバイスにおいて、前記弾性表面波励振手段若しくは前記弾性表面波検出手段の形成領域における前記圧電体薄膜の厚さは、前記弾性表面波反射手段の形成領域における前記圧電体薄膜の厚さよりも小さい場合が包含される。この場合には、反射係数が小さくなるものの、弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段の形成領域における圧電体薄膜の厚さを好適な領域(電気機械結合係数の高い領域)に設定することができる。例えば、圧電体薄膜の厚さ変化に対して電気機械結合係数が大きく変化する領域では、圧電体薄膜の厚さが設定値と僅かに異なるだけでデバイス性能が大きく変化してしまうが、圧電体薄膜を厚めに形成しておき、その後、弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段の形成領域にエッチングなどを施すことにより、当該形成領域において圧電体薄膜を好適な厚さ(電気機械結合係数の高い厚さ)に正確に設定することができる。この場合、エッチング領域を弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段の形成領域に限定することで、エッチング液のダメージが低減され、エッチング精度を高めるといった効果も得られる。
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は本発明に係る実施形態の弾性表面波デバイス100の断面構造を模式的に示す概略断面図、図2は弾性表面波デバイス100の平面形状を示す概略平面図である。
この実施形態では、シリコン基板などの半導体基板、ガラス基板、セラミックス基板などの種々の素材で構成された基板101の表面上に、SiO、TiO、Taなどで構成された絶縁層102が形成され、この絶縁層102の上に圧電体薄膜103が形成されている。圧電体薄膜103を構成する素材としては、圧電性を有するものであれば如何なるものでも用いることができるが、特に、ZnO、AlN、PZT(Pb−Zn−Ti)、LiNbO、TaNbO、KNbO、PMN−PTやPNN−PTのリラクサ系などの高い圧電性を有する素材を用いることが望ましい。圧電体薄膜103の厚さは特に限定されないが、例えば、弾性表面波の波長λで規格化された膜厚khp=2πtp/λ(tpは圧電体の厚さ)としては、0.005〜3.0程度である。圧電体薄膜の膜厚がこの範囲を下回ると、電気機械結合係数が急激に低下するとともに、圧電体薄膜としての充分な膜質を得ることが難しくなる。特に、電気機械結合係数が或る程度確保できるという点では、膜厚khpが0.005〜0.1の領域と、0.3〜3.0の領域のいずれかであることが好ましい。
この圧電体薄膜103の表面上には、弾性表面波の励振及び検出を行うための励振検出電極104a,104b(上記の励振電極又は検出電極に相当する。)を備えた弾性表面波励振検出手段104(上記の弾性表面波励振手段又は弾性表面波検出手段に相当する。)が形成されている。この弾性表面波励振検出手段104は、図示例の場合、励振検出電極104aと104bとが交互に配列されている。複数の励振検出電極104aは接続端子104Aに導電接続され、同一電位が与えられ、また、複数の励振検出電極104bは接続端子104Bに導電接続され、同一電位が与えられるようになっている。この弾性表面波励振検出手段104は、本実施形態ではインタディジタル変換子(IDT)によって構成されている。具体的には、図示例において一対の櫛歯状電極が相互に噛み合う形状で対向配置されている。なお、以下の記述において、上記の弾性表面波励振検出手段104を単に「IDT104」という。
また、この弾性表面波励振検出手段104によって生ずる弾性表面波の伝播方向(図示例では左右方向)の両側には、それぞれ反射電極105aを備えた弾性表面波反射手段105が設けられている。この弾性表面波反射手段105は、複数の反射電極105aを上記伝播方向に配列させたグレーティング反射器である。弾性表面波反射手段105において、反射電極105a同士は相互に導電接続されている。実際には反射電極105aを数十本以上設けることで、高い反射率が得られる。なお、以下の記述において、上記の弾性表面波反射手段105を単に「反射器105」という。
本実施形態においては、IDT104の形成領域(励振検出電極104a,104bの形成されている領域)における圧電体薄膜103の厚さt1と、反射器105の形成領域(反射電極105aの形成されている領域)における圧電体薄膜103の厚さt2とは相互に異なっている。より具体的には、本実施形態において、厚さt1が厚さt2よりも大きくなるように構成され、両領域間には厚さt1とt2の差に相当する表面段差が形成されている。
図3は、上記実施形態の製造方法を示す概略工程断面図(a)〜(c)である。本実施形態では、最初に、図3(a)に示すように、基板101の上に絶縁層102を構成する。この絶縁層102は、例えば、基板101がシリコン基板であれば、基板101を熱酸化することによって構成することができる。また、基板101上に絶縁材料をスパッタリング法やCVD法などによって成膜してもよい。未硬化の樹脂や水ガラスなどを塗布して乾燥・焼成してもよい。
この絶縁層102上に形成される圧電体薄膜103は、スパッタリング法やCVD法などで成膜される。特に、高品位の薄膜を形成するには、RFマグネトロンスパッタリング法やMOCVD(有機金属CVD)法などによって成膜されることが好ましい。
次に、図3(b)に示すように、圧電体薄膜103に、第1領域103Aよりも薄い第2領域103Bを形成する。この工程では、第1領域103A上にレジストなどのマスクを形成し、エッチング処理を施すことにより、第2領域103Bの圧電体薄膜をエッチングで薄くする。圧電体薄膜がZnOであるとき、エッチング処理は硝酸水溶液によって行うことができる。上記のマスクはその後除去される。
その後、図3(c)に示すように、圧電体薄膜103の表面上にアルミニウムなどの導電体を蒸着法やスパッタリング法などにより成膜し、フォトリソグラフィ法によってレジストなどをマスクとしてパターニングすることによりIDT104及び反射器105を形成する。ここで、IDT104は上記第1領域103Aに形成され、反射器105は上記第2領域103Bに形成される。このときのパターニングには、例えば、KOHなどのアルカリ溶液を用いる。その後、必要な配線接続などを行う。
なお、上記実施形態では、圧電体薄膜103の第2領域103Bをエッチングすることにより、IDT104の形成領域(第1領域103A)と反射器105の形成領域(第2領域103B)とを異なる厚さに形成しているが、第1領域103Aに圧電体薄膜を複数回(2回)積み重ねることにより厚く形成してもよい。すなわち、第2領域103Bをマスキングした状態で余分に圧電体薄膜の成膜を行うことで、第1領域103Aにおける圧電体薄膜を厚く形成する。
本実施形態は、IDT104が入力ポートと出力ポートとを兼ねた1ポート型の共振子であるが、入力ポートとして励振電極を備えた弾性表面波励振手段を有し、出力ポートとして検出電極を備えた弾性表面波検出手段を有する2ポート型共振子を構成することもできる。この場合、弾性表面波反射手段は、弾性表面波励振手段と弾性表面波検出手段の配列方向の両側にそれぞれ構成される。
また、上記実施形態では、基板101上に絶縁層102を介して圧電体薄膜103を形成してなるが、基板101上に直接圧電体薄膜103を形成してもよい。また、絶縁層102と圧電体薄膜103との間、或いは、基板101と圧電体薄膜103との間に、弾性表面波の伝播領域全体に亘って形成された導電層を設けてもよい。この導電層は、圧電体薄膜103における上記各電極の形成された表面とは反対側の表面の電位勾配を低減するものであり、これによって、成膜の容易な薄い圧電膜でも電気機械結合係数が高い値を示すようになるため、弾性表面波デバイスの伝播特性を向上させることができる。
図4は、圧電体薄膜103としてZnOを用いたときの、上記実施形態の電気機械結合係数K及び弾性表面波の伝播速度vと、圧電体薄膜103の規格化された膜厚khp(IDT104の形成領域における膜厚khp1)との関係を示すグラフである。ここで、図示実線は電気機械結合係数を、図示点線は伝播速度を示す。このグラフに示されるように、電気機械結合係数Kは、圧電体薄膜の膜厚khpが0.02〜0.10の範囲内で比較的大きく、その前後では急激に低下している。特に、khpが0.04〜0.06の範囲で電気機械結合係数が最も高くなる。このグラフに示す領域では膜厚khpが小さく、圧電体薄膜103の成膜時間が短くなるため、量産に有利であるが、電気機械結合係数の膜厚依存性が大きく、その分、膜厚の精度が悪いと、デバイス性能がばらつきやすい。また、弾性表面波の伝播速度は、膜厚khpが小さくなるほど緩やかに増大する。
図5は、圧電体薄膜103としてZnOを用いたときの、上記実施形態の反射器105の反射電極105a一本当たりの反射係数τと、圧電体薄膜103の規格化された膜厚khp(反射器105の形成領域における膜厚khp2)との関係を示すグラフである。このグラフに示されるように、反射係数τは、膜厚khpが増大するに従って減少している。特に、膜厚が0.06以下では反射係数τは急激に大きくなる。
上記の図4及び図5に示すように、上述の圧電体薄膜の膜厚が0.005〜0.1と小さい領域においては、IDT104の形成領域における圧電体薄膜の膜厚khp1を0.02〜0.1の範囲内にすることによって電気機械結合係数Kを増大させることができ、また、反射器105の形成領域における圧電体薄膜の膜厚khp2を大きくすることによって反射係数τを増大させることができる。したがって、膜厚khp1を膜厚khp2より大きくすることによって、電気機械結合係数と反射係数を共に増大させてデバイス性能を高めることが可能になる。例えば、膜厚khp1を0.02〜0.10の範囲に設定し、膜厚khp2を0.005〜0.06の範囲に設定し、かつ、khp1>khp2とすることで、電気機械結合係数と反射係数のいずれをも高く構成できる。特に、膜厚khp1を0.04〜0.06の範囲に設定し、膜厚khp2を0.01〜0.04の範囲に設定することがさらに望ましい。
図6は、上記実施形態の弾性表面波デバイスの電気機械結合係数及び弾性表面波の伝播速度を図4に示す範囲よりも広い範囲、すなわち、圧電体薄膜の膜厚khpが3.0近傍までの範囲にて示すグラフである。電気機械結合係数は、膜厚khpが0.1〜0.3の範囲で大きく低下するが、膜厚khpが0.3を越えると膜厚khpが1.0付近まで急激に増大し、その後、膜厚khpが3.0程度まではほぼ一定の値になる。したがって、図4及び図5に示す膜厚の領域よりも厚い領域である、膜厚khpが0.6〜3.0の範囲では、電気機械結合係数は充分に大きい。また、膜厚khpが0.005〜0.6の領域では、電気機械結合係数は小さいが、反射係数τは大きい。したがって、膜厚khp1を0.6〜3.0の範囲とし、膜厚khp2を0.005〜0.6の範囲とすることで、電気機械結合係数と反射係数の双方を大きく設定できる。特に、膜厚khp1を0.8〜3.0とし、膜厚khp2を0.01〜0.5の範囲内に設定することがさらに望ましい。
次に、図7を参照して、上記とは異なる構造を有する弾性表面波デバイス200について説明する。この実施形態では、上記実施形態と同様の基板201、絶縁層202、IDT204及び反射器205を備えているので、これらの説明は省略する。
この弾性表面波デバイス200では、IDT204の形成領域における圧電体薄膜203の厚さt1が、反射器205の形成領域における圧電体薄膜203の厚さt2より小さい点で、上記実施形態とは異なり、厚さの大小が逆の関係になっている。上記の実施形態で説明したように、一般的には、厚さt2をt1より薄くすることで、反射器205の反射効率を高めることができるが、厚さt2をt1より厚くする場合でも、充分な電気機械結合係数及び反射係数が得られる場合がある。
例えば、図4及び図5に示す上述の膜厚khpが0.005〜0.1の小さい領域であれば、khpが0.06以下のときには充分に高い反射係数が得られるので、IDT204の形成領域における圧電体薄膜203の膜厚khp1を0.03〜0.05の範囲内とし、反射器205の形成領域における圧電体薄膜203の膜厚khp2を0.05〜0.06とすることで、電気機械結合係数と反射係数を共に高く設定することができる。
また、図6に示すように、圧電体薄膜203の膜厚khpが0.6〜3.0の領域であれば十分に高い電気機械結合係数が得られるが、この領域では反射係数の変化はそれほど大きくないので、膜厚khp1を膜厚khp2よりも小さく設定しても、充分な性能のデバイスを得ることが可能である。
本実施形態では、圧電体薄膜203を厚さt2となるように成膜しておき、その後、IDT204の形成領域のみをエッチングすることによって厚さt1となるように構成することができる。例えば、反射器205の形成領域をレジストなどで構成されたマスクで被覆し、硝酸水溶液などのエッチング液でIDT204の形成領域の圧電体薄膜203をエッチングする。このようにすると、IDT204の形成領域における圧電体薄膜203の厚さt1を正確に設定値になるように形成できる。したがって、厚さt1の変化に対して電気機械結合係数の変化が大きい場合に特に有効である。また、エッチング範囲をIDT204の形成領域に限定することで、エッチングの精度や均一性を高めることが可能になる。なお、このデバイス200において、上記実施形態と同様に、反射器205の形成領域のみに余分に成膜を行う方法で製造することもできる。
尚、本発明の弾性表面波デバイスは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記の説明では、弾性表面波デバイスとして、共振子を構成する場合について説明したが、本発明は、弾性表面波励振手段若しくは弾性表面波検出手段のうち少なくとも一方と、弾性表面波反射手段とを備えたものであればよい。例えば、外部から伝播してくる弾性表面波を、弾性表面波反射手段を介して弾性表面波検出手段によって検出するもの、弾性表面波励振手段によって励振した弾性表面波を、弾性表面波反射手段を介して外部へ送り出すものなどが考えられる。
弾性表面波デバイスの実施形態の概略断面図。 実施形態の概略平面図。 実施形態の製造方法を示す概略工程断面図(a)−(c)。 実施形態の電気機械結合係数及び弾性表面波の伝播速度と圧電体薄膜の膜厚khpとの関係を示すグラフ。 実施形態の反射係数τと圧電体薄膜の膜厚kh2との関係を示すグラフ。 実施形態の電気機械結合係数及び弾性表面波の伝播速度と圧電体薄膜の膜厚khpとの関係をより広い範囲において示すグラフ。 実施形態と異なる別の実施形態のデバイス構造を示す概略断面図。
符号の説明
100…弾性表面波デバイス、101…基板、102…絶縁層、103…圧電体薄膜、104…弾性表面波励振検出手段、104a,104b…励振検出電極、105…弾性表面波反射手段、105a…反射電極、t1…IDTの形成領域における圧電体薄膜の厚さ、t2…反射器の形成領域における圧電体薄膜の厚さ、khp…圧電体薄膜の規格化された膜厚、khp1…IDTの形成領域における圧電体薄膜の規格化された膜厚、khp2…反射器の形成領域における圧電体薄膜の規格化された膜厚

Claims (5)

  1. 基板上に形成された圧電体薄膜と、該圧電体薄膜の表面に形成された励振電極を含む弾性表面波励振手段若しくは検出電極を含む弾性表面波検出手段と、前記表面に形成された反射電極を含む弾性表面波反射手段とを備えた弾性表面波デバイスにおいて、前記弾性表面波励振手段若しくは前記弾性表面波検出手段の形成領域における前記圧電体薄膜の厚さと、前記弾性表面波反射手段の形成領域における前記圧電体薄膜の厚さとが異なることを特徴とする弾性表面波デバイス。
  2. 前記弾性表面波励振手段若しくは前記弾性表面波検出手段の形成領域における前記圧電体薄膜の厚さは、前記弾性表面波反射手段の形成領域における前記圧電体薄膜の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波デバイス。
  3. 前記圧電体薄膜は、いずれの領域においても、弾性表面波の波長で規格化された膜厚が0.005〜0.1の範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性表面波デバイス。
  4. 前記基板と前記圧電体薄膜との間に絶縁層を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の弾性表面波デバイス。
  5. 前記圧電体は、ZnO、AlN、PZT、LiNbO、TaNbO、KNbO、PMN−PTやPNN−PTのリラクサ系から選ばれたいずれか一の素材で構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の弾性表面波デバイス。
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