図1から図46は本発明の実施例1を示したものであり、図1は頭部装着型カメラの使用形態を示す斜視図である。
この頭部装着型カメラ(以下では適宜、「カメラ」と略称する。)1は、図1に示すように、略めがね型をなす頭部装着部2と、この頭部装着部2と例えば接続手段たるケーブル3を介して接続された本体部たる制御/記録部4と、該カメラ1に係る操作入力を遠隔で行うためのリモートコントロール部(以下では、リモコン部と略称する。)5と、に大別される。
上記頭部装着部2は、シースルー表示時に観察対象である被写体を実質的に直接観察することが可能であるとともに、該被写体の撮像も行うことができるように構成されたものである。この頭部装着部2は、形状が略めがね型をなすことで分かるように、視度補正用の一般的な眼鏡とほぼ同様にして頭部に装着し用いるものとなっており、重量やサイズ等も通常の眼鏡に極力近似するように小型軽量化が図られている。
上記ケーブル3は、一端側に設けられた接続端子3aを頭部装着部2のケーブル接続端子21(図2等参照)と接続し、他端側に設けられた接続端子3bを制御/記録部4のケーブル接続端子49(図7参照)と接続することにより、これら頭部装着部2と制御/記録部4とを接続するようになっている。なお、ここでは、頭部装着部2と制御/記録部4とを電気的に接続する接続手段として、有線でなるケーブル3を用いているが、これに限らず、例えば無線で互いに通信する手段を用いても構わない。
上記制御/記録部4は、このカメラ1全体の制御を行うとともに、上記頭部装着部2により撮像された画像の記録も行うことができるように構成されたものである。この制御/記録部4は、腰のベルト等に取り付けた状態、あるいは上着の内ポケット等に収納した状態、などの各種の状態で使用することができるように、やはり可能な範囲内での小型軽量化が図られたものとなっている。もちろん、ケーブル3として長いものを用いるなどにより、この制御/記録部4をカバンなどに収納した状態で使用することも可能である。
上記リモコン部5は、上記頭部装着部2のシースルー表示の制御や撮影動作の制御などの比較的頻繁に行われる操作を、撮影者が遠隔操作により手元で行うためのものである。従って、このリモコン部5は、例えば片手の掌に収まる程度の小型な大きさで、かつ軽量となるように構成されており、上記制御/記録部4に対して例えば無線で通信を行うようになっている。
これらの頭部装着部2と制御/記録部4とリモコン部5とは、本実施例では互いに別体として構成されており、これにより、頭部装着部2を小型軽量化することによる装着感の向上、リモコン部5の採用による操作性の向上、などを図るようにしている。
次に、図2から図5を参照して、頭部装着部2の外観および概要について説明する。図2は頭部装着部を示す正面図、図3は頭部装着部を示す平面図、図4は頭部装着部を示す右側面図、図5は頭部装着部を示す斜視図である。
この頭部装着部2は、一般的な眼鏡におけるレンズ、リム、ブリッジ、智などに相当する部分であるフロント部11と、このフロント部11の左右両側から後方(被写体と反対側)に向けて各延設されており該フロント部11に対して折り畳み可能となっているテンプル部12と、を有して構成されている。
上記フロント部11は、フレーム部13と、このフレーム部13に対して左右両眼に各対応するように取り付けられた導光部材たる透明光学部材14,15と、を有して構成されている。
上記フレーム部13は、略中央部に被写体までの距離を測定するために用いられる測距手段たる投光用発光部16が、左右両側部に被写体側からの音声をステレオで採取するための第1マイク17および第2マイク18が、それぞれ設けられている。さらに、このフレーム部13の中央部には、鼻梁に対してこの頭部装着部2を載置するための鼻パッド部19や、上記透明光学部材14,15の間となる上部に形成されたブリッジ部20が設けられている。加えて、該フレーム部13の右側には、後述する第1撮像部30(この第1撮像部30は、上記測距手段も兼ねたものとなっている。)の取り付け位置を調整するための調整装置(頭部装着型カメラの調整方法が適用される頭部装着型カメラの調整装置)における調整機構(調整手段)のねじ22,23が操作可能に露呈している。
上記テンプル部12は、丁番24,25を用いて上記フロント部11と接続されていて、これによって該フロント部11に対して折り畳み可能となっている。すなわち、非使用時には、テンプル部12をフロント部11の中央部に向けて折り曲げ、該フロント部11に沿って折り畳まれた位置を取らせることができるために、小型化して収納や運搬を便利に行うことが可能となっている。また、左右の各テンプル部12の先端部には、耳にかけるための先セルモダン26,27がそれぞれ設けられている。
さらに、左眼側(つまり、図2や図3における右側)のテンプル部12には、被写体像を撮像するための撮像手段たる第1撮像部30が、該テンプル部12に対して一体的に設けられている。従って、テンプル部12を折り畳んだときには、該第1撮像部30も折り畳まれることになる。この第1撮像部30の下端側には、上記ケーブル3の一端側の接続端子3aを接続するためのケーブル接続端子21が設けられている。さらに、この右側のテンプル部12には、上記フロント部11と第1撮像部30との相対的な角度を後述するようにして調整することにより、該第1撮像部30に含まれる後述する第1撮影光学系31(図12参照)の光軸と視軸とを調整するための上記調整機構(調整手段)が設けられていて、この調整機構に含まれる角度調整用のビス32の頭部が露呈して、外部から回動することができるようになっている。
また、フロント部11の右側と丁番24との間の部分は、該フロント部11内部の各回路と第1撮像部30内の各回路とを接続するフレキシブルプリント基板等が後述するように格納されるボックス部33となっている。
次に、図6から図10を参照して、制御/記録部4の外観および概要について説明する。図6は操作パネルを閉じた状態の制御/記録部を示す平面図、図7は操作パネルを閉じた状態の制御/記録部を示す右側面図、図8は操作パネルを閉じた状態の制御/記録部を示す左側面図、図9は操作パネルに配置された操作スイッチ類を示す平面図、図10は操作パネルを開いた状態の制御/記録部を示す斜視図である。
この制御/記録部4は、制御/記録本体部41と、この制御/記録本体部41に対してヒンジ43を介して開閉自在に設けられた操作パネル42と、を有して構成されている。
上記制御/記録本体部41は、後述するような各回路を内蔵するとともに、上記操作パネル42を開いたときに観察可能となる位置に液晶モニタであるLCD表示素子(以下、「LCD」と省略する。)48が配設されたものとなっている。このLCD48は、再生時に画像を表示するのに用いられる他に、各種のモードを設定するためのメニュー画面等の表示にも用いられるようになっている。さらに、この制御/記録本体部41には、上記操作パネル42を開閉する際に指先等を掛け易いように、凹部45が形成されている。
また、この制御/記録本体部41の右側面には、図7に示すように、ヒンジ46により該制御/記録本体部41に対して開閉自在となる蓋52が設けられており、該蓋52の係止部52aを制御/記録本体部41側の被係止部52bに係止させることで、閉じ状態が保たれるようになっている。この蓋52を開くと、該図7に示すように、上記ケーブル3を介して頭部装着部2のケーブル接続端子21と接続されるようになされたケーブル接続端子49と、テレビと接続するための端子であるAV/S接続端子50と、パーソナルコンピュータ(PC)と接続するための端子であるPC接続端子51と、が露呈する。このように、コード類は、制御/記録本体部41の右側面において、まとめて接続されるようになっており、他の面からコード類が延出することがなく、コードを取り回すときの煩わしさを軽減することができるようになっている。
一方、制御/記録本体部41の左側面にも、図8に示すように、ヒンジ47により該制御/記録本体部41に対して開閉自在となる蓋53が設けられており、該蓋53の係止部53aを制御/記録本体部41側の被係止部53bに係止させることで、閉じ状態が保たれるようになっている。この蓋53を開くと、該図8に示すように、カードメモリ等でなる着脱式の記録手段たる記録用メモリ120(図12等参照)を挿入するための記録用メモリ挿入口54と、電源を供給するためのバッテリを着脱自在に挿入するためのバッテリ挿入口55と、が露呈するようになっている。
上記操作パネル42は、閉じた状態でも外部に露呈する外面側に図6に示すように電源スイッチ44が配設されていて、さらに、開いた状態でのみ操作可能に露呈する内面側に、図9に示すような各種の操作スイッチ類が配置されている。
すなわち、操作パネル42の内面側には、音声を再生するためのスピーカ56と、このスピーカ56から発生される音声のボリュームを大きくするためのスイッチ57と、該ボリュームを小さくするためのスイッチ58と、上記記録用メモリ120に記録された画像情報を再生したり一時停止したりするための再生/停止スイッチ59と、画像を逆方向に早送りしてサーチするためのスイッチ61と、画像を順方向に早送りしてサーチするためのスイッチ62と、カメラ1に係る各種の機能や日付などを設定するためのメニュー画面を上記LCD48に表示するためのメニューボタン63と、該メニュー画面に表示されている各項目の内の着目項目を上、下、左、右の各方向へ移動したり表示情報をスクロールしたりするためのメニュー選択スイッチ66,67,68,69と、表示されている着目項目等を確定するための確定スイッチ65と、が配設されている。
このように、操作パネル42に配置されたスイッチ類は、主に、変更の頻度が比較的低い情報を設定するためのスイッチ類となっている。
続いて、図11を参照して、リモコン部5の外観および概要について説明する。図11はリモコン部の構成を示す平面図である。
このリモコン部5は、上述したように、撮影動作の際に比較的高い頻度で情報を変更するためのスイッチ類が配置されたものとなっていて、図11に示すように、所定の焦点距離以上の望遠撮影時に撮影範囲を示す撮影画枠に対応する撮影画像を拡大して電子ビューとしてシースルー表示する動作を自動(A:オートモード)で行うか手動(M:マニュアルモード)で行うかを切り替えるための切換手段たるA/Mスイッチ71と、上記透明光学部材14(または/および透明光学部材15(片眼側だけで表示するか、両眼側で表示するかに応じて、後述するように各種の構成を採用することが可能である。))における後述するようなシースルー表示を撮影範囲を示す撮影画枠(F)にするかあるいは第1撮像部30からの撮影画像(V)(電子ビュー)にするかを切り替えるための切換手段たるF/Vスイッチ72と、動画に比して高精細な静止画の撮影を開始するためのレリーズスイッチ(REL)73と、動画の録画開始と録画停止とを押される毎に切り替えるための録画スイッチ(REC)74と、上記第1撮影光学系31を含む第1撮像部30のズーム(光学ズームおよび/または電子ズーム)を望遠(T:テレ)側に行うためのテレスイッチ75aおよび広角(W:ワイド)側に行うためのワイドスイッチ75bを含んでなる撮影画枠設定手段たるズームスイッチ75と、撮影される画像の露出補正をマイナス側に行うためのマイナス露出補正スイッチ76aおよびプラス側に行うためのプラス露出補正スイッチ76bを含んでなる露出補正スイッチ76と、を有して構成されている。
なお、上記第1撮影光学系31のズーム動作と観察者でもある撮影者から観察する撮影画枠の視角の変更とは連動して行われるように構成されているために、上記ズームスイッチ75は、撮影者から観察する撮影画枠の視角を縮小するためのテレスイッチ75aと、該視角を拡大するためのワイドスイッチ75bと、を有するものであると言い換えることもできる。
図12は頭部装着型カメラの主として電子回路に係る構成を示すブロック図である。
このカメラ1の構成は、上述したように、頭部装着部2と、制御/記録部4と、リモコン部5と、に大別されるが、これらの内でも上記頭部装着部2は、さらに、撮像を行うための撮像手段たる第1撮像部30と、主としてシースルー表示を行うための表示手段たるシースルー画像表示部6と、に分けられる。これら第1撮像部30とシースルー画像表示部6とは、何れも、上記ケーブル3を介して、上記制御/記録部4と接続されるようになっている。
上記第1撮像部30は、光学的な被写体像を結像するためのものであり焦点距離可変なズーム光学系として構成されている第1撮影光学系31と、この第1撮影光学系31を通過した光束から不要な高周波成分を取り除くためのローパスフィルタ86と、このローパスフィルタ86を介して上記第1撮影光学系31により結像された光学的な被写体像を電気的な信号に変換して出力する撮像素子たるCCD87と、このCCD87から出力される信号に後述するようなノイズ除去や増幅の処理を行う信号処理手段たるCDS/AGC回路88と、このCDS/AGC回路88から出力されるアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換する信号処理手段たるA/D変換回路89と、上記CCD87を制御して駆動するためのCCDドライバ91と、上記CDS/AGC回路88,A/D変換回路89,CCDドライバ91にタイミングを制御するための信号を供給するTG(タイミングジェネレータ)90と、上記第1撮影光学系31に含まれる後述する絞りシャッタ84を制御して駆動するための駆動回路たる絞りシャッタドライバ96と、該第1撮影光学系31に含まれる後述するUSM(Ultra Sonic Motor:超音波モータ)92,93,94を選択的に駆動するための駆動回路たるUSMドライバ95と、を有して構成されている。
上記第1撮影光学系31は、さらに詳しくは、フロントレンズ81と、焦点距離を変更するためのバリエータレンズ82と、焦点距離の変化に伴うピント位置のずれを補正するためのコンペンセータレンズ83と、絞りの機能とシャッタの機能とを兼用する絞りシャッタ84と、ピントを調整するためのフォーカスレンズ85と、上記バリエータレンズ82,コンペンセータレンズ83,フォーカスレンズ85をそれぞれ駆動するためのUSM92,93,94と、を有して構成されている。
このような第1撮像部30の作用は、ほぼ次のようになっている。
上記第1撮影光学系31を通過した光束は、ローパスフィルタ86を介して、CCD87の撮像面に結像する。
上記リモコン部5から、上記レリーズスイッチ73の操作による静止画の撮影指示、または、上記録画スイッチ74の操作による動画の撮影指示、が入力されると、上記制御/記録部4を介した制御により、上記CCD87による光電変換が行われ、アナログの画像信号が出力される。
このCCD87からの信号は、CDS/AGC回路88に入力されて、該CDS/AGC回路88内のCDS回路部により公知の相関二重サンプリングなどが行われてリセットノイズが除去されるとともに、該CDS/AGC回路88内のAGC回路部により所定の信号レベルへの増幅が行われて出力される。
このCDS/AGC回路88からのアナログの画像信号は、続くA/D変換回路89によって、デジタルの画像信号(画像データ)に変換される。本実施例においては、このA/D変換回路89の出力信号をRAW画像データということにする。すなわち、本実施例におけるRAW画像データは、CCD87からのアナログ出力信号を最初にA/D変換した直後のデジタルデータとして定義され、他のデジタル信号処理等を施す前のデータとなっている。
これらCDS/AGC回路88、上記A/D変換回路89へは、タイミングジェネレータ90により生成されたタイミングを制御するための信号が入力されるようになっており、該タイミングジェネレータ90からの信号は、さらに上記CCDドライバ91へも入力される。このタイミングジェネレータ90と、上記USMドライバ95と、上記絞りシャッタドライバ96とは、制御/記録部4に設けられている後述する第1CPU111により制御されるようになっている。
このように、第1撮像部30は、CCD87で生成された画像信号のアナログ信号処理を行って、画像データをデジタル信号に変換した後に出力するようになっているために、アナログ信号が該第1撮像部30から外部に出力されることがない。従って、上記ケーブル3などを介して画像信号を伝送する際に受ける可能性があると考えられる外来ノイズにも強い構成となっている。
また、第1撮像部30は、RAW画像データを出力するようになっているために、色分離やホワイトバランス調整等の信号処理回路を該第1撮像部30の内部に設ける必要がなく、該第1撮像部30が設けられている頭部装着部2の小型軽量を図ることが可能となっている。
上述したような第1撮像部30のA/D変換回路89からのデジタル画像信号は、上記ケーブル3等を介して接続された制御/記録部4により処理されて記録されるようになっている。
この制御/記録部4は、上記A/D変換回路89からの信号に対して所定のデジタル信号処理を行うDSP回路115と、このDSP回路115からの信号を一時的に記憶するフレームバッファ等でなるメモリ116と、このメモリ116に記憶されているデジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換回路117と、このD/A変換回路117により変換されたアナログの画像信号に基づき画像を表示する上記LCD48(図10参照)と、このLCD48を制御して駆動するためのLCDドライバ118と、上記メモリ116に記憶されているデジタル信号を圧縮するとともに後述する記録用メモリ120から読み出した圧縮されたデジタル信号の伸張も行う圧縮/伸張回路119と、この圧縮/伸張回路119により圧縮されたデジタル信号を記録する記録用メモリ120と、上記A/D変換回路89からのデジタル画像信号に基づき露出制御用の算出を行うオート露出処理回路(以下、「AE処理回路」と略記する。)121と、該A/D変換回路89からのデジタル画像信号に基づきオートフォーカス(AF)制御用の算出を行うオートフォーカス処理回路(以下、「AF処理回路」と略記する。)122と、後述する第1CPU111の制御に基づき画像再生時に音声の再生を行ったりあるいは必要に応じて警告用の音声を発生したりするための上記スピーカ56(図9等参照)と、上記リモコン部5の後述する送信回路133からの信号を受信するための受信回路123と、当該カメラ1に係る各種の操作入力を行うための上記図9に示したような各スイッチ類を含む第1操作スイッチ113と、このカメラ1において用いられる各種のデータ等を記録するEEPROM114と、例えば着脱式となるように構成されたバッテリ等を含みこの制御/記録部4だけでなく上記第1撮像部30および上記シースルー画像表示部6へも電源を供給し得るようになされた電源回路124と、主として該シースルー画像表示部6の制御を行うように構成された制御手段たる第2CPU112と、この制御/記録部4内の各回路および上記第1撮像部30内の各回路を制御するとともに上記第2CPU112と通信を行うことにより該第2CPU112を介して上記シースルー画像表示部6の制御も行うようになされたこのカメラ1に係る統合的な制御手段であり警告手段と切換手段も兼ねた第1CPU111と、を有して構成されている。
このような制御/記録部4の作用は、ほぼ次のようになっている。
上記DSP回路115は、上記A/D変換回路89からの画像データに対して、所定の画像処理演算を行うとともに、得られた演算結果に基づいて該画像データにオートホワイトバランス処理も行う。
このDSP回路115により処理された画像データは、メモリ116に一時的に記憶される。
このメモリ116内の画像データは、圧縮/伸張回路119内の圧縮回路部で圧縮された後に、記録用メモリ120に記憶される。
また、上記第1操作スイッチ113のメニューボタン63やメニュー選択スイッチ66,67,68,69、確定スイッチ65などの操作により記録済みの画像が選択されて、上記再生/停止スイッチ59の操作により再生の指示が行われた場合には、記録用メモリ120に記憶されている圧縮されたデータが、圧縮/伸張回路119内の伸張回路部により伸張されてメモリ116に一時的に記憶され、その画像データがD/A変換回路117によりアナログの画像信号に変換された後に、LCD48に表示される。このときのLCD48の動作は、LCDドライバ118から発生された信号により制御される。
一方、上記A/D変換回路89からのデジタル画像データは、上記ケーブル3を介して該制御/記録部4内へ伝達された後に、AE処理回路121とAF処理回路122とへそれぞれ入力される。
AE処理回路121は、1フレーム(1画面)分の画像データの輝度値を算出して重み付け加算する等の処理を行うことにより、被写体の明るさに対応したAE評価値を算出し、算出結果を第1CPU111へ出力する。
また、AF処理回路122は、1フレーム(1画面)分の画像データの輝度成分にハイパスフィルタなどを用いて高周波成分を抽出し、抽出した高周波成分の累積加算値を算出する等により高周波域側の輪郭成分等に対応したAF評価値を算出し、算出結果を第1CPU111へ出力する。この実施例1においては、AF処理回路122により算出された上記AF評価値に基づいて、第1CPU111が焦点検出を行うようになっている。
上記EEPROM114は、露出制御やオートフォーカス処理等に必要な各種補正データがカメラ製造時に記録されたものであり、第1CPU111は、必要に応じて、このEEPROM114から補正データを読み出して各種の演算を行うようになっている。
第2CPU112は、上述したように、主に、上記シースルー画像表示部6を制御するものである。この第2CPU112は、上記第1CPU111と接続されていて、相互に連携動作を行いながら所定の動作を実行するようになっている。また、該第2CPU112には、上記第1撮影光学系31が取り付けられたテンプル部12の開き角が十分であるか否かを検出するための接点109a,109b(詳細については後述する。)が電気的に接続されている。
上記シースルー画像表示部6は、撮影範囲を示す撮影画枠や、第1撮像部30により撮影されている画像等を、反射型コンバイナとしてのホログラフィー光学素子(以下、「HOE(Holographic Optical Element)」と呼ぶ。)により投影して、撮影者の視野方向前方に虚像として表示するためのものである。ここに、「撮影画枠」とは、上記第1撮像部30により撮影される被写体の範囲を表す指標である(図17等参照)。
このシースルー画像表示部6は、上記第2CPU112の制御に基づき後述するLED102を発光させるLEDドライバ101と、このLEDドライバ101により駆動されて光を発光する発光源であり投影手段(水平投影手段)を構成するLED102と、このLED102により発光された光を集光するものであり上記投影手段(水平投影手段)を構成する集光レンズ103と、撮影画枠や撮影された映像などを表示するためのものであり上記集光レンズ103を介したLED102の光により背面側から照明される透過型の液晶表示手段であり上記投影手段(水平投影手段)を構成するLCD104と、上記第2CPU112の制御に基づきこのLCD104を駆動して撮影画枠等を表示させるものであり後述するようなパララックスを補正するための補正手段も兼ねたLCDドライバ105と、上記LCD104を介して射出される光を後述するように収差を補正しながら鉛直下方(図14参照)へ向けて反射する反射光学部材たる第1HOE106と、この第1HOE106からの光を撮影者の眼へ向けて反射し回折させることにより上記LCD104に表示された撮影画枠等を観察可能に投影するとともに外界光を撮影者の眼へ向けて透過させ得るように構成されたコンバイナたる第2HOE107と、測距を行うための上記投光用発光部16に含まれる投光用LED16aと、上記第2CPU112の制御に基づきこの投光用LED16aを駆動するためのLEDドライバ108と、上記投光用LED16aにより発光された測距用の光を被写体に向けて投影するための集光レンズ16bと、被写体側からの音声をステレオで採取して上記第2CPU112へ出力するための上記第1マイク17および第2マイク18と、を有して構成されている。
上記リモコン部5は、上記図11に示したようなスイッチ類を含む第2操作スイッチ131と、この第2操作スイッチ131からの操作入力を無線送信用の信号に変換するためのデコーダ132と、このデコーダ132により変換された信号を上記制御/記録部4へ送信するための送信回路133と、このリモコン部5内の各回路へ電源を供給するためのものであり電池等を含んでなる電源回路134と、を有して構成されている。
続いて、図13〜図16を参照して、シースルー画像表示部6の主として光学的な構成について説明する。図13はシースルー画像表示部の光学系の原理を説明するための図、図14はシースルー画像表示部の光学系の構成を示す一部断面を含む正面図、図15はシースルー画像表示部の光学系の構成を示す左側面図、図16はシースルー画像表示部の光学系の構成を示す平断面図である。
このシースルー画像表示部6は、撮影者が実質的に直接観察している被写体上に、撮影範囲を示す撮影画枠を虚像としてスーパーインポーズ表示することができるようになっており、このような表示を、以下では、シースルー表示と呼ぶことにする。なお、「実質的に直接観察している」とは、肉眼で観察している場合だけでなく、ガラスやプラスチックなどで形成された略平板な透明部材を介して観察している場合や、あるいは視度調整用のレンズを介して観察している場合などを含んでいる。
まず、図13を参照して、この実施例1におけるシースルー画像表示部6の光学系(以下、「シースルー画像表示光学系」という。)によりシースルー画像を表示する原理について説明する。
LED102により発光された光は、集光レンズ103により集光されて、LCD104を背面から照明する。ここに上記LED102は、R(赤),G(緑),B(青)の3色の光をそれぞれ発光可能なダイオードを含んで構成されており、撮影画枠を表示する場合には、例えばG(緑)のダイオードのみを発光させるものとする。
第2CPU112は、撮影範囲を示す撮影画枠に対応する信号を生成して、LCDドライバ105へ出力する。LCDドライバ105は、この信号に基づいてLCD104を駆動することにより、該LCD104に撮影画枠を表示させる。
上記LED102の光を受けてLCD104から射出された撮影画枠の像は、第2HOE107によって反射された後に、撮影者の眼に導かれる。こうして、撮影者は、撮影範囲を示す撮影画枠を虚像VIとして観察することができる。なお、この図13では原理を説明しているために、第1HOE106の図示は省略している。
第2HOE107は、フォトポリマー等の感光材料を使用した体積位相型のホログラフィー光学素子であり、上記LED102により発光されるR,G,Bの各波長において最大の反射率で光を反射する特性を備えるように設計されている。従って、撮影画枠を表示するときにGの光を発光させる場合には、グリーンの撮影画枠が虚像としてクリアに表示されることになる。HOEは、優れた波長選択性を備えており、上述したR,G,Bの各波長の光線に対しては極めて狭い波長幅において高い反射特性を示す一方で、それ以外の波長の光線に対しては高い透過特性を示す。従って、表示光と同じ波長域の外界光は回折反射されて撮影者の瞳に届かないが、それ以外の波長域の外界光は撮影者の瞳に到達する。一般に、可視光は、波長の帯域幅が広いために、R,G,Bの各波長を含む極めて狭い波長幅の光が到達しなくても、何等支障なく外界像を観察することが可能である。
また、このシースルー画像表示部6は、上記第1撮像部30により撮像された画像をカラー画像としてシースルー表示することも可能となっており、この場合には、LCD104に撮像された映像を表示させるとともに、上記LED102によりR,G,B3色の光を発光させれば良い。これにより、撮像された映像が、第2HOE107から、撮影者の瞳に虚像として到達することになる。
上記第1HOE106は、LCD104からの光を第2HOE107に導くように反射するだけでなく、像面歪曲も補正する機能を備えたものとなっている。なお、ここでは第1HOE106を用いたが、これに代えて、自由曲面の光学素子を用いることも可能である。自由曲面の光学素子は、小型軽量でありながら複雑な収差を補正することができるために、重量をあまり増加させることなく収差の少ないクリアな像を表示することが可能となる。
続いて、図14から図16を参照して、上記シースルー画像表示光学系の具体的な配置例を説明する。
上記フレーム部13の内部における被写体側の部分であって、上記透明光学部材14(または/および透明光学部材15)の上部となる位置に、上記LED102,集光レンズ103,LCD104,第1HOE106が図14に示すように順に配置されている。これらの各部材は、図16に示すように、保持枠144,145により挟み込まれるようにして固定されている。このとき、上記LED102は、電気回路基板141に実装された状態で、上記保持枠144,145により固定されるようになっている。また、これらの内の第1HOE106は、上述したように、LED102からの光を鉛直下方へ向けて反射するように、傾けて配置されている。
上記透明光学部材14(または/および透明光学部材15)は、図15に示すように、透明なガラスやプラスチック等により所定の厚みを有するように形成された導光部材142,143と、これらの導光部材142,143の間に挟み込まれながら後方へ向けて光を反射するように傾けて配設された上記第2HOE107と、を有して構成されている。このような構成において、上記第1HOE106から反射された光は、第2HOE107の上側に配置された導光部材142の内部を透過して、該第2HOE107に到達するようになっている。なお、この導光部材142の内部における光の伝播は、図15(A)に示すように透過のみであっても良いし、図15(B)に示すように透過と内面における全反射とを組み合わせたものであっても構わない。図15(B)に示したような光学設計を行えば、透明光学部材14(または/および透明光学部材15)を肉薄にすることが可能となるために、頭部装着部2の軽量化をより一層図ることができる。
また、上記フレーム部13の内部における撮影者の頭部側(被写体と反対側)の部分には、図16に示すように、上記LEDドライバ101やLCDドライバ105を実装する電気回路基板146が、上記保持枠144を挟んでシースルー画像表示光学系と反対の側に配設されている。
なお、シースルー画像表示光学系は、上述したような各部材の内の、LED102と、集光レンズ103と、LCD104と、第1HOE106と、第2HOE107と、導光部材142,143と、を含むものとなっている。
観察者は一般的に両眼で被写体を観察するために、上記シースルー画像表示部6をどのように配置するかについては、例えば以下のような、2つの例が考えられる。
まず、第1の構成例は、両眼の内の、一方の眼に対応する部分のみを上記図14等に示したようなシースルー画像表示光学系により構成し、他方の眼に対応する部分はシースルー画像表示機能を備えていない単なる透明な光学部材により構成するというものである。このときには、他方の眼に対応する透明な光学部材は、視感透過特性が透明光学部材14(または透明光学部材15)と同じ特性のものとすることが望ましく、これにより、長時間使用しても眼の疲労を少なくすることが可能となる。
次に、第2の構成例は、両眼のそれぞれに対応して、上記図14等に示したようなシースルー画像表示光学系を構成するというものである。このようなペアのシースルー画像表示光学系を用いる場合には、さらに眼の疲労を少なくすることが可能であるとともに、必要に応じて立体的に観察される画像を表示することも可能となる。
続いて、図17から図26を参照して、シースルー画像表示部6による画像の表示例について説明する。
まず、図17は、シースルー表示における初期状態の表示例を示す図である。カメラ1の電源を投入するか、またはシステムをリセットしたときに、この図17に示すような表示が行われるようになっている。このときには、図示のように、標準レンズ(例えば、画角が50度であるものとする)に相当する撮影範囲を示す撮影画枠151がシースルー表示される(つまり、撮影者から見たときの視角が50度となるような撮影画枠151がシースルー表示される)ようになっている。
次に、図18は、テレへのズームが行われたときの表示例を示す図である。表示される撮影画枠151が、上記図17に示したよりもテレに対応する撮影範囲を示すものになっている。この撮影画枠151の変更は、上述したように、例えば上記ズームスイッチ75の操作により行われ、このときには第1撮像部30の撮影画角も該撮影画枠151の視角に一致するように、上記第1撮影光学系31の焦点距離が変更される。具体的には、上記図17に示したような標準レンズの焦点距離に対応する撮影範囲において、該ズームスイッチ75のテレスイッチ75aを操作することにより、この図18に示すような望遠側への変更が行われる。
続いて、図19は、ワイドへのズームおよび露出補正が行われたときの表示例を示す図である。表示される撮影画枠151が、上記図17に示したよりもワイドに対応する撮影範囲を示すものになっているとともに、この撮影画枠151の例えば右下に、露出補正量が情報表示152として表示されている。この図に示す例では、例えば上記露出補正スイッチ76により、+1.0の露出補正が行われたことが示されている。なお、露出補正は、数字で示すに限るものではなく、棒グラフや指標などの各種の表示を用いても構わないことは勿論である。また、この図19に示すような撮影画枠151は、例えば上記図17に示したような標準レンズの焦点距離に対応する撮影範囲において、上記ズームスイッチ75のワイドスイッチ75bを操作することにより、設定される。
また、図20は、電子ビュー表示を行うときの表示例を示す図である。例えば上記F/Vスイッチ72により電子ビュー表示(V)が選択されると、この図に示すように、第1撮像部30で撮像された電子画像153が虚像として撮影者の目に投影されるようになっている。なお、この電子ビューとして表示する画像の大きさは、該画像の解像度により設定することができ、例えば解像度が低い場合は画像を小さく表示すれば良い。
図21は、動画を録画中の表示例を示す図である。例えば上記録画スイッチ74が操作されて録画中となったときには、この図21に示すように、撮影範囲を示す撮影画枠151が表示されるとともに、録画中であることを示す情報表示154が「REC」の文字として、撮影画枠151の例えば右下に表示されるようになっている。この録画中であることを示す表示も、上述と同様に、文字に限るものではない。
図22は、マニュアルモード時の表示例を示す図である。例えば上記A/Mスイッチ71が操作されることによりマニュアルモード(M)に設定されているときには、該マニュアルモード(M)を示す情報表示155が「MANU」の文字として、撮影画枠151の例えば右下に表示されるようになっている。一方、「MANU」の情報表示155が行われていないときには、オートモード(A)であることになる。
図23は、テンプル部12を開いたときに、フロント部11に対する開き角度が不十分であると表示される警告表示156の例を示す図である。使用時に、テンプル部12が所定の位置まで開かれていないと、第1撮像部30と視軸とに角度のずれが生じるために、後述するような構成によってこれを検出して警告を行うようになっている。
図24は、第1撮影光学系31の焦点距離fが焦点調節可能な下限値k1に達しているにもかかわらず、さらに小さい方へ操作されようとしている場合にシースルー表示される警告表示157の例を示す図である。すなわち、ワイド側へのズーム操作を行ってズームのワイド端に達したときに、依然としてワイド側へのズーム操作が行われている場合に、この警告表示157が撮影範囲を示す撮影画枠151の表示とともに行われる。
図25は、第1撮影光学系31の焦点距離fが焦点調節可能な上限値k2に達しているにもかかわらず、さらに大きい方へ操作されようとしている場合にシースルー表示される警告表示158の例を示す図である。すなわち、テレ側へのズーム操作を行ってズームのテレ端に達したときに、依然としてテレ側へのズーム操作が行われている場合に、この警告表示158が撮影範囲を示す撮影画枠151の表示とともに行われる。
図26は、静止画を撮影する操作が行われたときの表示例を示す図である。このときには、撮影範囲を示す撮影画枠151が表示されるとともに、静止画を記録したことを示す情報表示159が「REL」の文字として、撮影画枠151の例えば右下に表示されるようになっている。この静止画を記録したことを示す表示も、上述と同様に、文字に限るものではない。
なお、上述したような各表示において、通常の情報表示は上記LED102の中の例えばG(緑)のダイオードを発光させることにより行い、警告表示は上記LED102の中の例えばR(赤)のダイオードを発光させることにより行うようにすると良い。
続いて、図27は、測距の原理を説明するための図である。
投光用発光部16の投光用LED16aおよび集光レンズ16bを有して構成される測距用投光光学系と、第1撮影光学系31およびCCD87を含む撮像系とは、各光軸同士が所定の距離(後述するL)だけ離間するように配置されている。
このような構成において、投光用LED16aから発光された光束は、集光レンズ16bによりほぼ平行光束となって射出され、被写体Oに照射される。この光は、該被写体Oによって反射され、第1撮影光学系31を介してCCD87の撮像面に入射する。
このときに、集光レンズ16bの光軸と第1撮影光学系31の光軸との間隔をL、第1撮影光学系31の主点からCCD87の撮像面までの距離をf1、被写体Oからの反射光のCCD87の撮像面上における結像位置と第1撮影光学系31の光軸との距離を△L、とすると、被写体までの距離Rは、次の数式1により求めることができる。
[数1]
次に、図28〜図30を参照して、上述したような被写体までの距離に基づくパララックスの補正の原理について説明する。図28は被写体と第1撮影光学系とCCDとの光学的な関係を説明するための図、図29はHOEとこのHOEにより形成される虚像と眼との光学的な関係を説明するための図、図30はパララックスを補正するための虚像のシフト量を説明するための図である。
図28に示すように、CCD87の撮像領域の水平方向のサイズをh2、第1撮影光学系31の焦点距離をf、第1撮影光学系31の主点からCCD87までの距離をf+x、第1撮影光学系31の主点から被写体までの距離をL2、CCD87で撮影される被写体の水平方向の長さをH2、水平方向の撮影画角をθ2、とすると、次の数式2に示すような関係式が成り立つ。
[数2]
一方、図29に示すように、撮影者の瞳Pの位置から撮影範囲を示す水平方向の撮影画枠の位置(虚像VI)までの距離をL1、該撮影画枠の水平方向の長さをH1、瞳Pの位置から水平方向の長さH1でなる該撮影画枠を見込む角度(視角)をθ1とすると、次の数式3に示すような関係式が成り立つ。
[数3]
撮影者が設定した撮影範囲で撮影するためには、撮影画角と視角が等しくなること、すなわち、θ2=θ1であることが必要である。このθ2=θ1が成り立つ条件の下では、数式2の右辺と数式3の右辺とが等しくなるために、第1撮影光学系31の焦点距離fは、次の数式4に示すように求められる。
[数4]
一方、レンズの結像原理から、次の数式5が成り立つ。
[数5]
これら数式4と数式5とから、xを消去することにより、次の数式6が導かれる。
[数6]
この数式6から、被写体距離L2を求めることができれば焦点距離fを求めることができることがわかる。
ここで、通常の被写体においてはh2/L2≪H1/L1の関係が成立するために、計算を簡略化したいときや、被写体距離を求める手段を備えていないときは、次の数式7により近似値を求めることができる。
[数7]
次に、パララックスの補正原理について、図30を参照して説明する。
まず、パララックスの補正の原理を説明する際の前提条件として、第1撮影光学系31の光軸方向と撮影者の視軸の方向とは、ともに顔面に対して垂直であるものとし、これらの光軸と視軸とは距離Xだけ隔てて配置されているものとする。ここに、パララックスは、光軸と視軸とが距離Xだけ離れていることに起因して発生するものである。なお、光軸と視軸とが相対的に傾いている場合には、大きなパララックスを生ずる要因となり得るために、これらは平行となるように調整する必要がある。この光軸と視軸との調整を行う手段については、後で詳しく説明する。
図30の実線および点線に示すように、もし、撮影範囲を示す撮影画枠の虚像VI0までの距離と、被写体距離と、が同じであれば、撮影者が観察している範囲と第1撮像部30が撮像している範囲とのずれ量(パララックス)は、Xとなって不変である。しかし、実際には、撮影者の瞳Pから虚像VI1までの距離L1は、第1撮影光学系の主点から被写体までの距離L2と異なるために、虚像としての撮影画枠が示す範囲を実際の撮像範囲に合致させるためのパララックス補正量X’は、次の数式8に示すようになる。
[数8]
撮影画枠の虚像VI1の倍率(つまり、LCD104上に表示される像に対する虚像の大きさの比)の逆数をβとすると、パララックスを補正するために、LCD104上に表示する像のシフト量SPは、次の数式9に示すようになる。
[数9]
従って、第2CPU112は、この数式9で表わされる量SPだけ、LCD104に表示する像の位置をシフトさせるように、上記LCDドライバ105を制御することになる。これにより、虚像VI1の位置が距離X’だけシフトされて虚像VI2となり、図30の2点鎖線に示すように、虚像の撮影画枠が示す範囲が、実際の撮像範囲に一致する。
このように、パララックス補正を行うためのシフト量SPは、被写体距離L2に依存しているために、被写体距離が異なる毎に、随時行うことが基本となる。
しかしながら、例えば、β=1/100、L1=2m、L2=2m、X=4cmの場合を例に取ると、シフト量SPは0.4mmとなるが、このパララックス補正量を次のような数式10、
[数10]
を用いて視角Sθに換算すると、約1度となって、さほど大きなパララックスが生じているとはいえない。このように、通常の撮影を行う場合には、パララックス補正はほとんど必要がないということができる。その一方で、数式10の右辺括弧内は被写体距離L2の逆数に比例しているために、視角Sθが大きくなって上述した数式9によるパララックス補正が必要となってくるのは、L2が小さいとき、つまり近接撮影のとき、であることが分かる。
次に、図31から図33を参照して、被写体と虚像とを同時に眼のピントを合わせて観察し得るようにする構成について説明する。
眼から撮影画枠の虚像までの距離と、眼から被写体までの距離と、の差が大きいと、これらの両方に同時に眼のピントを合わせることができないために、撮影画枠と被写体とを同時に鮮明に観察することができない。
そこで、眼から撮影画枠の虚像までの距離が、眼から被写体までの距離に一致するように設定して、撮影画枠と被写体とを同時に鮮明に観察することができるようにする構成について説明する。
まず、図31は眼から虚像までの位置を変更する原理を説明するための図である。なお、この図31においては、他の部材等に煩わされることなく原理のみを簡潔に説明するために、上記第1HOE106等の図示や該第1HOE106等に係る説明などを省略している。
第2HOE107の焦点距離をf、LCD104に表示された撮影画枠151の位置から第2HOE107までの距離をLl、第2HOE107から虚像VIまでの距離をLi、撮影者が撮影画枠151の対角線の虚像を見込む角度(視角)を2ω、LCD104に表示される撮影画枠の対角線の長さをXlとすると、次の数式11および数式12に示すような関係が成り立つ。
[数11]
[数12]
これらの数式に現れる各変数や定数の内、fは第2HOE107を設計するときに定まるものであるが、ωは撮影者が所望に設定するものであり、虚像までの距離Liが被写体までの距離に一致するようにしたい距離(すなわち、例えば測距により求められる被写体距離)である。従って、これらの値を数式11へ代入することにより、被写体距離と同じ距離の位置に虚像を表示させるためのLCD104の表示位置Llが求まり、さらに、上記各値を数式12へ代入することにより、撮影画枠の視角を撮影画角と一致させるための、LCD104に表示する撮影画枠の大きさXlが求まることになる。
図32は、LCD104を虚像距離調整手段たるアクチュエータ162により光軸方向に駆動する構成例を示す図である。この例では、アクチュエータ162として、例えば、電磁モータ、超音波モータ(USM)、静電アクチュエータなど公知のアクチュエータを用いて、上記Llを変更するようにしている。すなわち、LCD104は集光レンズ103の光軸方向に移動可能となるように設けられており、該LCD104を支持する枠部材等に該LCD104を光軸方向に変位させるための虚像距離調整手段たる例えばラック161などが設けられている。このラック161には、アクチュエータ162の回転軸に固定されたピニオンギヤ162a等が噛合して駆動力が伝達されるようになっている。これによって、該アクチュエータ162を所望の量だけ回転させることにより、LCD104を所望の量だけ光軸方向に移動させることができるようになっている。このような構成により、虚像VIまでの距離Liが被写体までの距離に一致するように、上記Llを変更することになる。また、この構成を用いてLlを変更したときには、上記数式12に示すようなXlになるように、視角調整手段たるLCDドライバ105により該LCD104に表示する撮影画枠の大きさを変更することも勿論である。
なお、上記図32、または次に説明する図33に示す例では、虚像位置を変更すると倍率(被写体を見込む角度2ω)が変化するために、視角調整手段たるLCDドライバ105を用いてLCD104に表示する像の大きさを補正することにより、上記倍率が一定になるように補正を行う。具体的には、LCD104に表示された撮影画枠151の位置から第2HOE107までの距離Llと、LCD104に表示される撮影画枠151の対角線の長さXlと、の比が一定になるように、LCD104に表示する像の大きさを補正することになる。
次に、図33は、LCD104の像を一次結像させるようにし、この一次結像の位置を光軸方向に変化させるようにした構成例を示す図である。この例では、LCD104を通過した光束の光路上に結像光学系たる結像レンズ163が配設されており、この結像レンズ163によって、該結像レンズ163と第2HOE107との間の光路上の位置164において、該LCD104の像が一次結像されるようになっている。上記結像レンズ163は、光軸方向に移動可能となるように設けられており、該結像レンズ163を支持する鏡枠等の部材に該結像レンズ163を光軸方向に変位させるための虚像距離調整手段たる例えばラック165などが設けられている。このラック165には、上述と同様に、虚像距離調整手段たるアクチュエータ166の回転軸に固定されたピニオンギヤ166a等が噛合して駆動力が伝達されるようになっている。これによって、該アクチュエータ166を所望の量だけ回転させることにより、結像レンズ163を光軸方向に移動させて、一次結像面の位置164を所望の量だけ光軸方向に移動させることができる。このような構成を用いて、虚像VIまでの距離Liが被写体までの距離に一致するように、上記Llを変更することになる。なお、上記図31で説明した原理におけるLlは、この図33に示す例では、一次結像面の位置164から第2HOE107までの距離を指すことになる。また、このときにも、LCD104に表示する撮影画枠の大きさを変更するのはいうまでもない。
なお、ここでは、被写体距離に追従して眼から撮影画枠の虚像VIまでの距離を調整するようにしているが、この場合には、撮影者の視線が変化する毎に被写体距離が変化し、撮影画枠の位置を時々刻々と変更することになるために、撮影画枠を高い精度で連続的に調整しないと、視覚的に違和感を生じてしまう可能性がある。また、撮影画枠の位置を時々刻々と調整すると電力消費も大きくなる。そこで、撮影画枠の位置を至近から無限大の距離で数段階(例えば3段階)に分けて調整するようにしてもよい。
次に、図34から図36を参照して、撮影者の瞳位置と第2HOE107を介して観察される虚像との眼幅方向の位置の調整について説明する。図34は第1HOE106の眼幅方向の位置をアクチュエータにより変更する構成例を示す図、図35は第1HOE106の眼幅方向の位置を機構的に変更する構成例を示す図、図36は図35における電気的な構成を示す回路図である。
第2HOE107により表示される虚像を、被写体に対して正確な位置で観察するためには、第2HOE107と撮影者の瞳Pとの位置関係が調整されている必要がある。これに対して、瞳の位置は、人によってそれぞれ異なるために、撮影者が必要に応じて自分に合うように調整する機構があれば便利である。そこで、図34は、このような調整を行うことができるようにした構成の一例を示している。
反射光学部材たる第1HOE106は、眼幅方向(両眼を結ぶ線と平行な水平方向)に歯が設けられた例えばラック169(眼幅調整手段の構成要素)に取り付けられており、このラック169に眼幅調整手段を構成するアクチュエータ170の回転軸に固定されたピニオンギヤ170a等が噛合して、駆動力が伝達されるようになっている。これによって、該アクチュエータ170を所望の量だけ回転させることにより、第1HOE106が眼幅方向に移動可能となっている。
同様に、水平投影手段を構成するLCD104も、眼幅方向に歯が設けられた例えばラック167(眼幅調整手段の構成要素)に取り付けられており、このラック167に眼幅調整手段を構成するアクチュエータ168の回転軸に固定されたピニオンギヤ168a等が噛合して、駆動力が伝達されるようになっている。これによって、該アクチュエータ168を所望の量だけ回転させることにより、LCD104が眼幅方向に移動可能となっている。
第1HOE106のみを眼幅方向に移動すると、上記図31に示したLlが変化してしまうために、この図34に示す例では、Llが変化することなく一定に保たれるように、該第1HOE106に連動してLCD104が同一方向に同一量だけ移動されるように構成している。
さらに、第2HOE107は、上記第1HOE106が眼幅方向に移動したときの範囲をカバーして、該範囲内の何れの位置になったときにも上記LCD104の画像を虚像として観察可能とし得るように(すなわち、LCD104により表示される画像が瞳Pに導かれるように)、上記図14に示したものよりも眼幅方向に横長に形成されている。
なお、第1HOE106やLCD104の駆動量は、アクチュエータ168,170として、例えば電磁モータたるパルスモータを採用し、所定の基準位置からの駆動パルスを計数することにより行なうことができる。また、これに限らず、その他の公知のエンコーダー等を用いて、駆動量を検出するようにしても構わない。すなわち、移動方向に沿って多数のスリットが等間隔に設けられた板部材を、第1HOE106やLCD104とそれぞれ一体に移動するように配置して、この板部材を挟んで、一方の面側に発光素子としてのLEDを、他方の面側に上記スリットを介して該LEDの光を受光する受光素子を、それぞれ設け、該受光素子から出力されるパルス数を計数することにより、移動量を検出するようにしても構わない。
なお、アクチュエータ168,170を用いた瞳Pに対するシースルー画像表示光学系の位置の調整は、撮影者が電気的なスイッチ等を操作することにより、これらのアクチュエータ168,170を駆動して所望に調整するようになっている。あるいは、これに限らず、瞳Pの位置を検出するセンサ等を設けて、該センサの出力に応じて上記第2CPU112または第1CPU111がアクチュエータ168,170を制御することにより、自動的に調整を行うようにしても構わない。
次に、図35は、上述したような瞳に対する第2HOE107の相対的な位置を調整するために、第1HOE106の眼幅方向の位置を機構的に変更するようにした構成例を示している。
すなわち、第1HOE106は、支持部材たるスライダー171に取り付けられており、このスライダー171は、上記フレーム部13に固定されているガイド部材172により、所定範囲内で眼幅方向に移動可能となるように支持されている。上記スライダー171には、ツマミ171aが設けられており、撮影者がこのツマミ171aを用いてスライダー171を眼幅方向に移動させることができるようになっている。
また、上記スライダー171には、電気的な切片174が取り付けられており、その先端部は、凸状をなす接点174aとなっている。そして、この接点174aは、該スライダー171から離間する方向の弾性を備えている。これにより、接点174aは、力を加えない状態では該スライダー171から離間する位置となっており、力を加えることにより、該スライダー171に沿うように弾性をもって変位する。
一方、上記接点174aに対向するように、基板173がフレーム部13に固定されている。この基板173は、スライダー171の移動方向に沿って、該スライダー171に対向する底面側に複数の凹部が等間隔に設けられており、この凹部の底面にはそれぞれ電気的な接点175b(図示の例では、3つの接点175b1,175b2,175b3が示されている。)が設けられている。
上記接点174aは、この凹部と係合したときに、該凹部の底面に設けられた接点175bと接触して、電気的に接続されるようになっている。このときには、接点174aと凹部との係合によりクリック感が発生して、所定位置までスライダー171が移動したことが撮影者に分かるようになっている。そして、接点174aとの電気的な接続が、複数の接点175b1,175b2,175b3の内の何れと行われたかに応じて、第1HOE106の眼幅方向の位置を検出することが可能である。
次に、接点174aおよび接点175bを含む電気的な検出回路の構成について、図36を参照して説明する。
接点174aは電源Vccに接続されていて、上述したように、複数の接点175b1,175b2,175b3(これらをまとめて接点175bという。)に対して、択一的に導通し得るようになっている。これらの接点175b1,175b2,175b3は、抵抗176R1,176R2,176R3(これらをまとめて抵抗176Rという。)をそれぞれ介して接地されているとともに、さらに他の端子177c1,177c2,177c3(これらをまとめて端子177cという。)に電気的に接続されている。
このような構成において、上記複数の接点175b1,175b2,175b3の内の、上記接点174aと接触している端子175bに導通される端子177cの電位は、上述した電源電圧Vccとなる一方で、その他の端子177cの電位は接地電位に等しくなる。従って、各端子177cの電位を検出することにより、第1HOE106の位置を検出することが可能となっている。
このように検出された第1HOE106の位置に応じて、LCD104(例えば、図34参照)の位置、あるいはLCD104の一次結像面の位置、を補正することにより、撮影画枠の虚像位置を一定に保つことができるようになっている。
なお、上述では、離散的に配置された接点175bに対して接点174aを相対的に移動させることにより、第1HOE106の位置を段階的に調整しかつ検出するようにしたが、これに限らず、連続的に調整可能、かつ連続的な位置を検出可能となるように構成しても構わない。このためには、例えば、スライダー171がガイド部材172に対して連続的に位置を変化させ得るように構成し、該スライダー171のスライド方向に沿って基板173上に薄膜抵抗を印刷するとともに、接点174aがこの薄膜抵抗上を電気的な接触を保ちながらスライドするように構成する例が考えられる。このときには、接点174aと上記薄膜抵抗の一方の端子との間の抵抗値を検出することにより、連続的に変化し得る第1HOE106の位置を、検出することが可能である。
上述したような第1HOE106等の眼幅方向の位置の機構的な調整は、上述したようにツマミ171aを用いて手動で行うように構成されており、これによって、高度な制御を不要とし、構成を簡単にすることが可能となる。このような構成を採用しても、撮影者が変わらない限り、第1HOE106等の位置調整は一度行なえば足りるために、特に不便はない。
このような構成を採用することにより、頭部装着型カメラ1の外観を変えることなく、撮影者の瞳と第2HOE107からの主光線との相対的な位置を調整して、撮影者によることなく、撮影画枠を撮影者の眼に正確に導くようにすることができる。
次に、図37から図42を参照して、丁番部200近傍の第1の構成例について説明する。図37はフロント部11と丁番部200とテンプル部12とを含む接続部分の構造を示す一部断面を含む平面図、図38はフロント部11と丁番部200との接続部分を図37の紙面左方向から見た縦断面図、図39はフロント部11と丁番部200とのねじ23による固定部分を示す断面図、図40は丁番部200とテンプル部12との接続部分を図37の左側から略右方向へ見た図、図41はテンプル部12の突起部181に設けられた電気接点の構成を示す正面図、図42はテンプル部12の突起部181に設けられた電気接点の構成を示す平面図である。
ここに、上記丁番部200は、丁番24を含む、テンプル部12とフロント部11(あるいは、フレーム部13)とを接続する部分の総称である。
本実施例の頭部装着型カメラ1は、撮影者が撮影範囲を示す撮影画枠を指定し、指定された撮影画枠の視角に対応する画角で撮影を行うものであるために、パララックスを補正する必要があることは既に述べた通りである。このパララックスの発生原因として、撮影者の視軸と撮影光軸との水平方向の位置的なずれと、視軸と撮影光軸との角度のずれと、があるが、後者の角度のずれの影響が非常に大きいために、この角度のずれを精密に補正することができるような調整機構(調整手段)を設けたものとなっている。
このカメラ1は、上記図3にも示したように、左右のテンプル部12が、使用状態では、フロント部11に対してほぼ直角の状態となり、非使用時に、丁番24,25を回転中心として、フロント部11へ向けて内側に折り畳むことができるようになっている。ここでは、上記図2〜図5に示したような、右側のテンプル部12に第1撮像部30が取り付けられた例における、右側の丁番24を含む丁番部200の近傍について説明する。
この丁番部200は、テンプル部12がフロント部11に対して略直角となる最大開き状態において、フロント部11のシースルー画像表示部6と第1撮像部30との略直角をなす最大開き角を、ピッチ(上下)方向、およびヨー(左右)方向に、相対的に角度調整(微調整)することができるように構成されたものとなっている。これにより、テンプル部12に取り付けられた第1撮像部30の第1撮影光学系31の撮影光軸を、視軸と平行となるように調整することが可能となっている。
丁番部200における丁番24は、ひじ継手として構成されており、図40に示すように、フロント部11側に設けられた円筒状のネジ孔193aが形成されたコの字状の軸受け193と、テンプル部12側に設けられた円筒状の孔194aが形成された軸受け194と、を互いの孔193a,194aが貫通するように組み合わせて、これらの孔193a,194aに連結ピンとしての機能を果たす軸191を挿通して構成されたものである。なお、図40においては、テンプル部12に属する部分に点線でハッチングを施している。
図37に示すように、丁番部200におけるテンプル部12側の部分は図37の右側に突出する調整手段たる突起部181を、該丁番部200におけるフロント部11側の部分も同様に図37の右側に突出する調整手段たる突起部182を、各突起部181,182の突き当て面が互いに対向するように、それぞれ備えている。丁番部200側の突起部182には、使用状態における第1撮影光学系31の撮影光軸にほぼ平行なねじ孔182aが貫通して穿設されており、このねじ孔182aにはビス32が螺合されている。そして、このビス32をねじ込むと、該ビス32の先端が上記突起部182のねじ孔182aから延出するように構成されており、延出したビス32の先端はテンプル部12の突起部181に当接する。このような構成により、使用状態におけるテンプル部12の最大開き角度が規制されて、テンプル部12に取り付けられている第1撮影光学系31の光軸をヨー方向に微調整することができるようになっている。
このような正確な微調整は、テンプル部12を所定位置にしたとき(ここでは、最大に開いた状態にしたとき)に行われるために、該最大開き状態が使用状態となる必要があって、不十分な開き角では使用しないようにしなければならない。そこで、図41、図42に示すような、最大開き角になっているか否かを検出するための手段を設けて、使用状態において最大開き角になっていない場合には、上記図23に示したような警告表示156を行うようにしている。
すなわち、図41、図42に示すように、突起部181の上記突起部182に対向する面側には絶縁体211が設けられており、この絶縁体211に例えば直線状をなす電気的な接点109bと、この接点109bと該絶縁体211を介して略平行に設けられかつ先端部がコの字状にUターンするように形成された電気的な接点109aと、が埋め込まれている。これらの内の接点109aは、コの字状にUターンした部分の先端部109a1が弾性をもって突起部181の表面(絶縁体211の表面)から浮き上がるように構成されており、該突起部181の表面へ向かう付勢力が加えられたときに、該接点109aの先端部109a1が上記接点109bと当接して電気的に導通するようになっている。
このような構成において、上記ビス32の先端は、テンプル部12を開いたときに、この接点109aの先端部109a1に当接するように構成されており、テンプル部12が最大に開いたときに、該ビス32の先端に押圧されて、接点109aが上記接点109bに当接し、それ以外の最大に開いていないときには、接点109aと接点109bとは互いに離れて絶縁されるようになっている。このようにして、テンプル部12が最大角度開いたか否かを検出することが可能となっている。
なお、これらの接点109a,109bは、上記図2や図4等に示したケーブル接続端子21を介して、制御/記録部4に設けられた第2CPU112に、上記図12に示したように接続されている。
再び図37の説明に戻って、次に、フロント部11を丁番部200に対してピッチ方向に調整(回転調整)する機構について説明する。
フロント部11は、図38に示すような、使用状態における第1撮影光学系31の撮影光軸に平行な線に沿った縦断面において、外装部材196の図37の右側の端部が、コの字状をなすように形成されており、図37における上側の部分が開口となっている。また、この外装部材196の内部には、図37に示すような壁部199と、図38に示すような該外装部材196の底面側の内部から立設された壁状のばね押さえ部206と、が設けられている。そして、外装部材196および壁部199とによって仕切られる空間内に、丁番部200の先端部が、該外装部材196のコの字状の開口から挿入されるようになっている。
上記丁番部200も、内部に空間が形成されるような構造部材である外装部材197を有しており、該丁番部200の先端部が上記フロント部11内の空間に挿入された状態で、この外装部材197を眼幅方向に貫通するように、上記外装部材196には調整手段を構成する2本の軸201,202が固定して取り付けられている。
これらの内の軸201は、調整手段を構成する円筒形状のシース203内に挿通された状態で、両端がフロント部11の外装部材196に固定して取り付けられている。一方、シース203は、両端が丁番部200の外装部材197に対して固定されている。これにより、軸201はシース203に対して同軸を維持しながら相対的に回動することができるように構成されている。
シース203の外周側には、巻きを解く方向に付勢力を発生させるコイル状のばね204,205(調整手段の一部)が取り付けられていて、このばね204,205の一端側は上記ばね押さえ部206により支持され、他端側は丁番部200の外装部材197の底面により支持されている。これにより、丁番部200の外装部材197の底面には、軸201を支点としてフロント部11の外装部材196の底面へ向かう方向の回転力が掛かるようになっている。
また、上記軸202は、両端がフロント部11の外装部材196に固定されており、さらに、丁番部200の外装部材197に穿設された調整手段の一部であるガイド孔207に摺動可能に挿通されている。このガイド孔207は、上記軸201を中心とする円弧状の長孔として構成されたものである。
上記軸201を中心とした丁番部200の外装部材197のさらに外径側には、ボス208を介してねじ23が取り付けられている。一方、フロント部11の外装部材196には、該軸201を中心とする円弧状の長孔でなる調整手段の一部たるガイド孔209が穿設されており、上記ねじ23は、このガイド孔209を挿通するように、フロント部11の右側面外側から締め付け可能に上記ボス208に対して螺合されている。このねじ23は、後述するように、上記軸201を中心とするフロント部11と丁番部200との相対的な回転位置を固定するためのものである。
一方、フロント部11の外装部材196の底面にはねじ孔198が形成されて、ねじ22が螺合されている。このねじ22の先端は、丁番部200の外装部材197の底面に当接して、押し上げ得るようになっている。
このような機構により、フロント部11を、丁番部200に対して、従って、丁番部200に取り付けられている第1撮像部30に対して、ピッチ方向に調整するときの作用について説明する。
まず、ねじ23を緩めて、フロント部11と丁番部200とが相対的に回転し得るようにする。
次に、ねじ22を、例えば締め付ける方向に回動すると、上記ばね204,205の付勢力に抗して、丁番部200の底面が上方に持ち上がり、上記軸201を中心として回動する。一方、ねじを緩める方向に回動すると、上記ばね204,205の付勢力により、丁番部200の底面が、上記軸201を中心として下方に下がるように回動する。
このようにして、ねじ22を回動させて、ピッチ方向の位置が所望の位置となるように調整する。
こうして、所望の位置となったところで、上記ねじ23を締め付けることにより、ピッチ方向に調整された位置での固定が行われる。
上述したような調整機構(調整手段)を用いて、シースルー画像表示部6と第1撮像部30との相対的な傾きを調整する作業は、カメラ1を製造したときに工場などにおいて行う場合と、カメラ1を使用する撮影者自身が行う場合と、が考えられるが、何れの場合にも、全く同じ方法で調整することが可能である。
まず、カメラ製造時に調整を行う場合は、無限遠の位置に、例えば明るい点光源を配置し、この点光源を第1撮像部30により撮像して、シースルー画像表示部6によりシースルー表示を行う。そして、瞳の位置に実質的に直接入射する点光源の像と、第2HOE107を介して瞳の位置から観察される点光源の電子画像と、が重なるように、ねじ22,23を用いてピッチ方向の調整を、またビス32を用いてヨー方向の調整を、上述したようにそれぞれ行えば良い。なお、このカメラ製造時の調整は、人間が実質的に直接観察して行うに限らず、瞳の位置にモニタ用のカメラ等を配置して、該カメラ画像に基づき行うことが考えられる。
次に、撮影者自身が調整を行う場合は、遠方にある適宜の被写体を用いて、上述と同様に調整を行えば良い。
なお、調整時に用いる被写体は、必ずしも無限遠位置にある必要はなく、誤差の影響を無視することができるような、実質的な無限遠位置であれば構わない。
次に、図37および図40を参照しながら、フロント部11の電装部と、テンプル部12(第1撮像部30)の電装部と、を電気的に接続する構成について説明する。
図37に示すように、フロント部11に設けられた電気回路基板184は、フレキシブルプリント基板185の一端側に電気的に接続されている。このフレキシブルプリント基板185は、フロント部11内から丁番部200内へ渡って配設され、他端側が図40に示すような複数の接点187に電気的に接続されている。これらの接点187は、丁番部200内に立設された壁部195に設けられたものであり、フレキシブルプリント基板185と各接点187との接続は、接続部186を介して行われている。
一方、フロント部11側の軸受け193に対して相対的に回転するようになされたテンプル部12側の軸受け194は、周面に沿って円弧状をなす同軸接点である導体188が、軸方向に沿って複数設けられている。これらの導体188は、上記複数の接点187に各対応するものであり、絶縁体の中に埋め込まれていて、該絶縁体から露呈する表面には例えば金メッキが施されたものとなっている。なお、導体188は、表面全体に金メッキが施されたものであっても構わない。
このような構成により、フロント部11とテンプル部12とが相対的に回転しても、接点187と導体188との電気的接続が維持されるようになっている。
上記接点187は、該軸受け194の周面上において、接続部189を介してフレキシブルプリント基板190の一端側と電気的に接続されている。このフレキシブルプリント基板190の他端側は、図示はしないが、テンプル部12に取り付けられた第1撮像部30内の電気回路基板に接続されており、さらには、上記ケーブル3を介して制御/記録部4と電気的に接続されるようになっている。
このような構成により、フレーム部13に配設されているシースルー画像表示部6のLEDドライバ101,108やLCDドライバ105を駆動するための信号は、制御/記録部4の第2CPU112から伝達され、逆に、フレーム部13の第1マイク17および第2マイク18から取り込まれた音声信号は、該第2CPU112へ伝達されるようになっている。
次に、第1撮像部30を、フレーム部13の側面に対して、ピッチ方向およびヨー方向に相対的に角度調整可能となるように取り付ける第2の構成例について、図43および図44を参照して説明する。図43は第1撮像部30をフレーム部13に取り付ける構成を示す平面図および右側面図、図44は第1撮像部30を取り付けるためにフレーム部13に設けられた孔の構成を示す右側面図である。
フレーム部13とテンプル部12とは、図43(A)に示すように、丁番24Aを介して、折り畳み可能に接続されている。この丁番24Aは、上記フレーム部13から延設されるやや長めの継手229を介して、上記丁番24よりもややフロント部11側から離れた位置に配設されている。また、この丁番24Aは、上記丁番24と異なり、電気接点やフレキシブルプリント基板等は配設されていない。
上記継手229の側面には、該側面に沿った形状部220aと、該側面から略垂直に立設される形状部220bと、を備えた、正面から見たときに略L形状をなす調整手段たる台座220が接続されるようになっている。
すなわち、上記継手229には、図44に示すように、前方側にピッチ方向調整手段たる孔223が、後方側に該孔223を中心とした円弧状をなすピッチ方向調整手段たる長孔224が、それぞれ穿設されている。これらの孔223,224を介して、ピッチ方向調整手段たるビス221,222をそれぞれ台座220の上記形状部22aに螺合することにより、該台座220が継手229に対して取り付けられている。
また、上記台座220の形状部220bには、図43(A)に示すように、前方側にヨー方向調整手段たる孔227が、後方側に該孔227を中心とした円弧状をなすヨー方向調整手段たる長孔228が、それぞれ穿設されている。これらの孔227,228を介して、図43(B)に示すように、ヨー方向調整手段たるビス225,226をそれぞれ第1撮像部30の底面側に螺合することにより、該第1撮像部30が台座220に対して取り付けられている。なお、上記第1撮像部30の背面側からはケーブル230が延出されていて、被写体側に曲折された後に、上記フレーム部13内の電気回路等に接続されている。
このような構成において、ビス221およびビス222をやや緩めた状態で、ビス222が挿通される長孔224内の位置を変更することにより、台座220がビス221を中心として回動し、台座220、ひいてはこの台座220に取り付けられている第1撮像部30のピッチ方向の角度調整を行うことができる。こうして、所望の位置に調整された後には、上記ビス221およびビス222を固締めすれば良い。
同様に、ビス225およびビス226をやや緩めた状態で、ビス226が挿通される長孔228内の位置を変更することにより、台座220がビス225を中心として回動し、台座220、ひいてはこの台座220に取り付けられている第1撮像部30のヨー方向の角度調整を行うことができる。所望の位置に調整された後には、同様に、上記ビス225およびビス226を固締めすることになる。
このような第2の構成例によっても、シースルー画像表示部6と第1撮像部30との相対的なピッチ方向およびヨー方向の角度調整を行うことが可能であるとともに、第1撮像部30が台座を介してフロント部11に固定されているために、テンプル部12を折り畳んでも撮像部30が折り畳まれることはなく、上記図37〜図39に示したような第1の構成例に比して、第1撮像部30とシースルー画像表示部6との相対的な角度ずれが発生する可能性が小さくなる。また、調整機構が簡単であるために、安価に構成することが可能となる。
なお、上記第2の構成例においては、第1撮像部30と台座220との相対的なヨー方向の角度を調整し、フレーム部13の側面の継手229と台座220との相対的なピッチ方向の角度を調整するようにしたが、これとは逆に、台座220に対する第1撮像部30の取り付け位置を変更することにより、第1撮像部30と台座220との相対的なピッチ方向の角度を調整し、台座220に対するフレーム部13の取り付け位置を変更することにより、フレーム部13の側面の継手229と台座220との相対的なヨー方向の角度を調整するように構成することも可能である。
次に、このようなカメラ1の動作について、図45および図46を参照して説明する。図45はカメラの動作の一部を示すフローチャート、図46はカメラの動作の他の一部を示すフローチャートである。これら図45および図46は、カメラの動作の流れを、図面の都合上、2図に分割して示したものである。
このカメラ1の電源を投入するか、またはシステムをリセットすると、標準レンズ(上述したように、例えば、画角が50度となる。)に相当する撮影範囲を示す撮影画枠を、上記シースルー画像表示部6により上記図17に示したようにシースルー表示する(ステップS1)。
次に、テンプル部12が最大の角度まで開いているか否かを、テンプル部12の突起部181に設けた接点109a,109bが閉じているか否かにより判断する(ステップS2)。
ここで、接点109a,109bが閉じていないと判断された場合には、シースルー表示部6により、上記図23に示したような警告表示156を行う(ステップS3)。
上記ステップS2において接点109a,109bが閉じていると判断されるか、あるいは上記ステップS3の警告表示を行ったら、上記第1CPU111に内蔵されているタイマをチェックすることにより、所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS4)。
ここで、所定時間が経過している場合には、図9に示したような第1操作スイッチ113や、図11に示したような第2操作スイッチ131などの各種スイッチの入力状況をモニタする(ステップS5)。
なお、上記ステップS4におけるタイマは、所定時間が経過して上記ステップS5に移行した時点で、再度、計時を開始するものとなっている。このように、タイマをチェックしながら所定の時間間隔でスイッチの入力状況を確認することにより、第1CPU111の負荷を軽減することができるとともに、スイッチのチャタリングによる誤動作を防止することも可能となっている。なお、後述するステップS11,S18,S23のタイマは、上記ステップS4におけるタイマと同様の機能を果たすものとなっている。
上記ステップS4において所定時間がまだ経過していないと判断されるか、または上記ステップS5の処理が行われたら、露出補正の操作が行われたか否かを判断する(ステップS6)。
ここで、露出補正の操作が行われている場合には、上記図19に示すように、露出補正量を情報表示152として表示する(ステップS7)。
上記ステップS6において露出補正の操作が行われていないと判断されるか、または上記ステップS7の処理が行われたら、カメラ1が、第1撮像部30で撮像された画像をシースルー表示するビューモード(V)に設定されているか、または、撮影範囲である撮影画枠のみを表示するフレームモード(F)に設定されているかを判断する(ステップS8)。このモード設定は、上述したように、F/Vスイッチ72の操作により行われるものである。
ここで、モードがフレームモード(F)に設定されていると判断されたときには、次に、カメラ1が、オートモード(A)に設定されているか、または、マニュアルモード(M)に設定されているか、を判断する(ステップS9)。このモード設定は、上述したように、A/Mスイッチ71の操作により行われるものである。
ここに、オートモード(A)は、第1撮影光学系31の焦点距離が所定値以上であるときは、フレームモード(F)に設定されていても、第1撮像部30により撮像された画像を自動的に拡大してシースルー表示するモードとなっている。このような表示を行うことにより、超望遠撮影においても面倒な操作を行うことなく被写体の詳細を容易に確認することができるとともに、通常の焦点距離(上記所定値未満の焦点距離)においては撮影範囲を示す撮影画枠が表示されるのみであるために、長時間の撮影においても違和感なく撮影を行うことが可能となる。
一方、マニュアルモードは、上述したように、上記シースルー表示を行うか否かをマニュアルで設定するものであり、通常は撮影画枠の表示のみを行うモードである。
上記ステップS9において、マニュアルモード(M)が選択されていると判断された場合には、上記図22に示したように「MANU」の情報表示155を行う(ステップS10)。
そして、タイマをチェックすることにより、所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS11)。
ここで、所定時間が経過している場合には、上記図27を参照して説明したような原理に基づいて、カメラ1から被写体までの距離を測距する(ステップS12)。
次に、このステップS12で取得された被写体距離に基づいて、撮影者の観察している範囲と第1撮像部30による撮影範囲とのずれであるパララックスを補正するために必要な補正値を上述したような原理に基づき算出する(ステップS13)。
そして、このステップS13で算出された補正値に基づいて、正しい位置に撮影画枠を表示するように、撮影画枠の表示を更新する(ステップS14)。このような処理を行うことにより、被写体距離が変化した場合にも、正確に撮影範囲を表示することができるようになっている。
一方、上記ステップS9において、オートモード(A)に設定されていると判断されたときは、次に焦点距離が所定値αよりも大きい望遠側に設定されているか否かを判断する(ステップS15)。
ここで、焦点距離が所定値α以下であると判断された場合には、上記ステップS11の処理に移行する。また、焦点距離が所定値αよりも大きいと判断された場合、あるいは上記ステップS8において、ビューモード(V)が設定されていると判断された場合には、第1撮像部30により撮像した電子画像をシースルー画像表示部6により被写体に重畳してシースルー表示する(ステップS16)。
このステップS16の処理が終了した場合、上記ステップS14の処理が終了した場合、または上記ステップS11において所定時間が経過していないと判断された場合には、撮影者が上記リモコン部5のワイドスイッチ75bを操作することにより、撮影画枠の大きさを広く(W)したか否か、より正確には、撮影者から見た撮影画枠の視角を大きくしたか否か(つまり、虚像として表示される撮影画枠の大きさを広くしても、虚像までの距離を遠くした場合には、視角が大きくなるとは限らないために、ここではより正確な言い換えをしているが、虚像位置が同じである場合には、「撮影画枠の大きさを広くする」と言っても差し支えない。)、を判断する(ステップS17)。
ここで、撮影画枠の大きさを広く(W)する操作が行われていると判断された場合には、タイマをチェックすることにより、所定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS18)。
そして、所定時間が経過していると判断された場合には、第1撮影光学系31の焦点距離fが、焦点調節可能な下限値k1に達しているにもかかわらず、さらにこの下限値k1よりも小さい方へ操作されようとしているか否かを判断する(ステップS19)。
ここで、焦点調節可能な下限値k1よりも小さい方へ操作されようとしている場合には上記図24に示したように、シースルーにより警告表示157を行う(ステップS20)。また、焦点距離fが焦点調節可能な下限値k1にまだ達していない場合には、第1撮影光学系31のバリエータレンズ82を駆動することにより焦点距離fを小さくして、撮影者が設定した撮影範囲になるように第1撮影光学系31の焦点距離を設定する(ステップS21)。
一方、上記ステップS17において、撮影画枠の大きさを広く(W)する操作が行われていないと判断された場合には、撮影画枠の大きさを狭く(T)する操作が行われているか否か、より正確には、撮影者から見た撮影画枠の視角を小さくしたか否か、を判断する(ステップS22)。
ここで、撮影画枠の大きさを狭く(T)する操作が行われていると判断された場合には、タイマをチェックすることにより、所定時間が経過しているか否かを判断する(ステップS23)。
そして、所定時間が経過していると判断された場合には、第1撮影光学系31の焦点距離fが、焦点調節可能な上限値k2に達しているにもかかわらず、さらにこの上限値k2よりも大きい方へ操作されようとしているか否かを判断する(ステップS24)。
ここで、焦点距離fが焦点調節可能な上限値k2にまだ達していない場合には、第1撮影光学系31のバリエータレンズ82を駆動することにより焦点距離fを大きくして、撮影者が設定した撮影範囲になるように第1撮影光学系31の焦点距離を設定する(ステップS25)。また、焦点調節可能な上限値k2よりも大きい方へ操作されようとしている場合には上記図25に示したように、シースルーにより警告表示158を行う(ステップS26)。
上記ステップS22において撮影画枠の大きさを狭く(T)する操作が行われていないと判断された場合、上記ステップS18あるいはステップS23において所定時間が経過していないと判断された場合、または、上記ステップS20,S21,S25、あるいはステップS26の処理が終了した場合、には、リモコン部5の第2操作スイッチ131に含まれる録画スイッチ74による動画記録の操作(あるいは、第1操作スイッチ113による動画記録の操作)が行われて録画モードが設定された否かを判断する(ステップS27)。
ここで、録画モードが設定されている場合には、図21に示したように、「REC」の文字による情報表示154をシースルーにより行ってから(ステップS28)、録画を開始する(ステップS29)。
このステップS29の処理が終了するか、または、上記ステップS27において録画モードが設定されていないと判断された場合には、リモコン部5の第2操作スイッチ131に含まれるレリーズスイッチ73による静止画撮影の操作(あるいは、第1操作スイッチ113による静止画撮影の操作)が行われたか否かを判断する(ステップS30)。
ここで、静止画撮影の操作が行われたと判断される場合には、まず、静止画像の記録を行ってから(ステップS31)、図26に示したように、静止画の記録が行われたことを示す「REL」の文字による情報表示159をシースルーにより行う(ステップS32)。
このステップS32が終了するか、または、上記ステップS30においてレリーズスイッチ73による静止画撮影の操作が行われていないと判断される場合には、上記ステップS4の処理に戻って、上述したような動作を繰り返して行う。
なお、上記図31および図32を参照して説明したような、虚像の位置を変更する構成を用いる場合には、図45および図46に示すフローチャートは、次のように変更されることになる。
すなわち、この場合には、撮影画枠を表示する前に、以下の(1)〜(3)に示すような3つのステップを実施するところが、図45および図46に示すフローチャートとは異なっている。
(1)撮影画枠の設定の前に、必ず被写体までの距離Liを測定(測距)する。
(2)上記(1)により求めた被写体距離Liを数式11,数式12に代入してLl,Xlを求め、まず、求めた位置Llに撮影画枠が設定されるように、アクチュエータ162を駆動する。
(3)上記(2)により求めた対角線長さXlになるように、LCDドライバ105によりLCD104を駆動し、撮影画枠の大きさを補正する。
具体的には、これらの(1)〜(3)のステップを、図45のフローチャートにおけるステップS1の前と、ステップS14の前と、にそれぞれ実施すれば良い。ただし、ステップS14の処理については、該ステップS14の処理を行う前にステップS12において既に測距を行なっているために、(1)の測距を行う代わりにこのステップS12で得た測距値を使用するようにすれば良い。
なお、虚像の位置を変更する構成として、上記図33に示したような構成を用いる場合にも、これとほぼ同様の処理を行うことになる。
このような実施例1によれば、第1撮影光学系の焦点距離(ズーム倍率)が変化しても、撮影被写体を実質的に直接観察しながら撮影範囲を簡単に確認することができるために、撮影動作に拘束されることなく、また、撮影の負担を感じることなく、撮影者以外の者と同様の自然な行動をしながら簡単に撮影を行うことが可能となる。
そして、被写体の全体を実質的に直接観察しながら、自分が設定しようとする撮影範囲や構図を予め確認した後に、撮影レンズの焦点距離を設定する操作を行うことができるために、焦点距離を変化させながら同時に構図を確認する従来の技術に比べて、構図をより簡単に設定することが可能となる。こうして、ズーミング動作と画角の設定とを同時に行っていた従来の撮影方法とは異なる、新しいコンセプトの撮影方法による撮影を行うことが可能な、人間工学的に新しい頭部装着型カメラとなる。
また、頭部装着部とリモコン部と制御/記録部とをそれぞれ別体として構成したために、頭部装着部の軽量化と、撮影操作部としてのリモコン部の軽量化と、を図ることが可能となり、長時間の撮影を行ったとしても、撮影者に与える負担が小さくなる。このとき、表示手段としてホログラフィー光学素子を用いることにより、頭部装着部のより一層の小型軽量化を図ることが可能となる。
さらに、設定される撮影画枠の視角が、第1撮像部の撮影画角の最大値に達してもなお該撮影画枠の視角をさらに大きく設定するように操作されているときと、第1撮像部の撮影画角の最小値に達してもなお該撮影画枠の視角をさらに小さく設定するように操作されているときと、に警告表示を行うようにしたために、撮影者は、調節可能な撮影画角を容易に認識することが可能となって、故障と誤認することはなく、不必要な操作を繰り返したりすることもない。そして、この警告を、シースルー表示部の表示により行うことにより、別途の警告手段を設ける必要がなくなって、コストの削減や頭部装着部の小型化を図ることが可能となる。
そして、測距手段により測定された被写体までの距離に基づいて、撮影者が撮影画枠内で観察する範囲と、第1撮像部による撮影範囲と、のずれであるパララックスを補正するようにしたために、被写体距離が変化した場合でも、特に、接写撮影の場合でも、撮影範囲を正確に把握することができる。
加えて、撮影画枠を虚像として表示するか、あるいは、撮影画像を虚像として表示するか、を切り換えることができるようにしたために、望遠撮影時に撮影範囲が狭くなったとしても、被写体の細部を容易に確認することが可能となる。特に、オートモードに設定したときには、所定値以上の望遠になると、撮影画像の表示に自動的に切り換わるために、面倒な操作等を要することなく、被写体の細部を確認することができる。
また、非使用時には、テンプル部がフロント部に沿って折り畳まれた位置を取り得るようにしたために、収納する際にコンパクトにすることができて便利となる。
さらに、第1撮像部がテンプル部とともに折り畳まれる構成のときには、収納時の大きさをより小型化することができるとともに、該テンプル部が所定値まで開かれていないと、その旨を警告するようにしたために、撮影光軸と視軸とが一致しないのに気付かないまま撮影を行うといったことを、未然に防止することが可能となる。これにより、撮影光軸と視軸とを正確に一致させた状態で、撮影を行うことができる。そして、この警告を、シースルー表示部の表示により行うことにより、別途の警告手段を設ける必要がなくなって、コストの削減や頭部装着部の小型化を図ることが可能となる。
そして、フロント部に第1撮像部とシースルー画像表示部との両方を設ける構成を採用する場合には、テンプル部の開閉に伴う第1撮像部の撮影光軸の変化が生じることはないために、一度調整すれば、撮影光軸と視軸とにずれが生じる可能性をほぼなくすことができる。
加えて、フロント部に第1撮像部を台座を介して取り付ける場合には、該台座を用いた撮影光軸の微調整も容易に行うことが可能となる。
また、第1撮像部から画像信号を出力する際には、デジタル化してから出力するようにしたために、第1撮像部から別体で構成された制御/記録部へ画像信号を伝達するときに、外来ノイズにより受ける影響を低減することが可能となる。
さらに、第1撮像部から出力する画像信号をRAW画像データとしたために、デジタル信号処理に係る回路を第1撮像部に設ける必要がなくなり、頭部装着部の小型軽量化を図ることが可能となる。
そして、撮影光軸と視軸とを正確に一致させるように微調整するための調整機構を設けたために、製造時における機器毎の調整や、使用時におけるユーザー毎の調整を行うことができ、広範な使用形態に対応することが可能となる。この調整機構を上記台座に設けることにより、一度調整すればその後のずれが生じ難い安価な調整機構を構成することが可能となる。
加えて、ピッチ方向とヨー方向との両方に独立して調整可能とすることにより、撮影光軸と視軸と方向ずれを、任意に調整することが可能となる。
また、撮影者の瞳から虚像の位置までの距離を変更することができるようにしたために、被写体の位置に虚像を表示することが可能となって、両方を同時に鮮明に観察することができる。このとき、虚像の位置を変更しても、虚像を見込む視角が一定になるように調整することができるために、撮影範囲と撮影画枠とが常に一致するように保つことが可能となる。
さらに、被写体までの距離を測定して、その測距結果に基づき、虚像の位置をアクチュエータ等を用いて自動的に調整するようにしたために、別途の操作を要することなく、被写体と虚像とを同時に鮮明に観察することが可能となる。
そして、投影される虚像の中心位置を、眼幅方向に調整することができるように構成したために、人によって異なる瞳の位置に対応して、必要な情報を撮影者に正確に導くことが可能となる。この眼幅方向の調整を、該眼幅方向に射出される光束を反射する反射部材を該眼幅方向に移動させることにより行うようにしているために、頭部装着部の外観を変更することなく、調整可能となる。さらに、この調整を、アクチュエータ等を用いて行うことにより、調整を自動化したり、パルス毎の微調整を行ったりすることも可能となる。一方、この調整を手動により行うようにすれば、構成が簡単になってコストを削減することができるとともに、使用上も特に不便が生じることはない。
図54から図56は本発明の実施例4を示したものであり、図54は頭部装着部を示す正面図、図55は頭部装着部を示す平面図、図56は頭部装着部を示す右側面図である。この実施例4において、上述の実施例1〜3と同様である部分については同一の符号を付して説明を省略し、主として異なる点についてのみ説明する。
この実施例4のカメラにおける頭部装着部2Cは、視度調整のためのレンズを保持手段たるフレーム部13に装着することができるようにするとともに、上記第1撮像部30に対応する撮像手段たる第1撮像部30Cを上記図43等に示したような台座220を介してフレーム部13に調節可能に固定するようにしたものである。すなわち、この実施例4の頭部装着型カメラは、視度調整用レンズ付頭部装着型カメラであって、画像を表示する機能に着目すれば、視度調整用レンズ付表示装置を兼ねたものとなっている。
視力は人によって異なるために、視度調整機能を備えることは重要である。このための手段として、第2HOE107に光を導く透明光学部材14,15に、視度調整機能を備えさせる手段も可能ではある。しかし、この構成の場合には、透明光学部材が湾曲することになるために、第2HOE107により観察可能とする像に収差が発生してしまう。上述したように、視力は撮影者によってそれぞれ異なるために、撮影者毎の視度調整に応じて発生する収差を、全て最適に補正するのは困難である。
そこで、この実施例4では、図54に示すように、上記第2HOE107に対応する第2HOE243および第2HOE244と、上記透明光学部材14,15に各対応する導光部材である透明光学部材241,242と、をそれぞれ必要最小限の大きさに形成するとともに、第2HOE243および透明光学部材241の被写体側に視度調整のためのレンズ238を、第2HOE244および透明光学部材242の被写体側に視度調整のためのレンズ239を、それぞれ取り付けることができるように構成したものである。このとき、これら視度調整用のレンズ238,239は、一般的な眼鏡に用いられるレンズを利用することも可能であり、安価に構成することが可能となっている。
すなわち、フレーム部13には、上記レンズ238,239を取り付けるための取付手段たるリム231が、例えばビス234により中央側で、ビス235により左眼の左横側で、ビス236により右眼の右横側で、それぞれ取り付けられるようになっている。
このリム231には、一対のクリングス233を介して鼻梁を左右から支持するための一対の鼻パッド232が設けられている。
このような構成において、上記ビス234,235,236を外すことにより、リム231およびレンズ238,239を容易に取り外すことができるようになっており、また、レンズ238,239を他の視度に対応するものに交換して、再び取り付けることも容易となっている。
また、この実施例4の第1撮像部30Cは、上記図43(図44も参照)に示したものと同様の台座220により、フレーム部13の側面の継手229に取り付けられている。このときに、第1撮像部30Cとシースルー画像表示部6との相対的なピッチ方向およびヨー方向の調整を行うことができるのも上述と同様である。
そして、上記第1撮像部30Cからも、上記図43の第1撮像部30と同様に、背面側にケーブル230が一旦延出されて、左眼側のテンプル部12の下側を潜った後に、上記フレーム部13内の回路基板等に接続されるようになっている。
なお、上述では、視度調整用のレンズ238,239を透明光学部材241,242の被写体側に配設したが、これに限らず、透明光学部材241,242の背面側(眼の側)に配設することも勿論可能である。
また、リム231を所定以上の弾力性のある素材により形成すれば、1つのビス235を外すかまたは緩めるだけで、左眼用のレンズ238のみを選択的に(独立して)着脱可能であり、同様に、1つのビス236を外すかまたは緩めるだけで、右眼用のレンズ239のみを選択的に(独立して)着脱することが可能である。
このような実施例4によれば、上述した実施例1〜3とほぼ同様の効果を奏するとともに、視度調整用のレンズを透明光学部材の前面にそれぞれ配置するようにしたために、視力が異なる観察者でも、実質的に直接観察する(すなわち、この場合には、視度調整用のレンズを介して観察する)被写体に所定の画像を重ねて観察することができる。
また、簡単な構成で、デザイン的に美しく自然な感じの略めがね型のカメラを構成することが可能となる。
さらに、視度調整用のレンズを透明光学部材とは別々に簡単に取り外すことができるように構成したために、表示装置毎にユーザーに応じた視度調整を容易に行うことが可能となる。加えて、このときには、左眼と右眼の視力が異なっていたとしても、各眼に合わせたレンズを装着することが可能となる。
そして、透明光学部材と第1撮像部とはフレーム部に一体的に保持されているために、視度調整用のレンズを交換しても、これら透明光学部材と第1撮像部との角度調整等をその度に行う必要がなく、使い勝手の良い視度調整用レンズ付頭部装着型カメラとなる。
なお、上述した各実施例においては、技術思想を、頭部装着型のカメラ(撮像装置)に適用したものを示したが、本実施例に係る技術思想は、多目的な情報を表示する頭部装着型の表示装置に適用することが可能である。
また、上述した説明においては、光学素子としてホログラフィー光学素子(HOE)を用いたが、HOEの代わりに、ガラスやプラスチック等を素材とする凸レンズ光学系や凹レンズ光学系、ハーフミラー、自由曲面光学系、またはこれらの組み合わせを用いることも可能である。
さらに、上述では投影手段としてLED102や集光レンズ103やLCD104を用いたが、これらの代わりに、EL(Electro Luminescence)パネルや自己発光型のプラズマディスプレイなどの他の表示素子を投影手段として用いても良い。
そして、上述では、撮影画枠の視角を変更したときに、撮影光学系の焦点距離を変化させて対応するようにしたが、こうした光学ズームに限らず、電子ズームにより対応しても構わないし、光学ズームと電子ズームとを組み合わせたものであっても勿論構わない。
加えて、上述では、主として撮影画枠を表示する場合についてを説明し、さらに、撮影した画像を表示することについても述べたが、これらに限らず、例えばパーソナルコンピュータ等の機器の情報表示装置(モニタ)として用いて文字などを表示するのに利用することも可能である。このときには、上記PC接続端子51とパーソナルコンピュータ(PC)等とを接続して、該PCからの情報や画像等を表示するようにすればよい。また、上述ではテレビへ出力するためのAV/S接続端子50が設けられているが、ビデオ再生機やDVDプレーヤからの映像信号等を入力するための入力端子を設けて、映像の鑑賞に用いることも可能である。このように、上述した各実施例の頭部装着型カメラは、画像を表示する機能に着目すれば、頭部装着型表示装置を兼ねたものとなっていて、この頭部装着型表示装置は、撮像装置におけるファインダとして用いるだけでなく、画像を観察(あるいは鑑賞)する装置として用いたり、携帯に便利な多目的情報表示装置として用いることも可能である。
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
[付記]
以上詳述したような本発明の上記実施例によれば、以下のごとき構成を得ることができる。
[付記A1]
焦点距離可変な撮影光学系と、この撮影光学系により結像された光学的な被写体像を電気的な画像信号に変換する撮像素子と、を有して構成される撮像手段と、
撮影者が実質的に直接観察する被写体に重畳されるように、撮影範囲を示す撮影画枠を虚像として表示する表示手段と、
上記表示手段により虚像として表示される撮影画枠の、上記撮影者により観察される視角を設定するための撮影画枠設定手段と、
上記撮影画枠設定手段により設定された撮影画枠の視角が、上記撮像手段の撮影画角と一致するように、上記撮影光学系の焦点距離を設定する焦点距離設定手段と、
を具備したことを特徴とする頭部装着型カメラ。
[付記A2]
上記撮影画枠設定手段により設定される撮影画枠の視角が、上記撮像手段の撮影画角の最大値に達してもなお該撮影画枠の視角をさらに大きく設定するように操作されているときと、上記撮像手段の撮影画角の最小値に達してもなお該撮影画枠の視角をさらに小さく設定するように操作されているときと、の少なくとも一方において、警告を行う警告手段をさらに具備したことを特徴とする付記A1に記載の頭部装着型カメラ。
[付記A3]
上記警告手段は、上記表示手段に警告表示を行うことにより、警告を行うものであることを特徴とする付記A2に記載の頭部装着型カメラ。
[付記A4]
上記表示手段は、
上記撮影者が被写体を観察する際の視軸上に配置されるように構成されたホログラフィー光学素子と、
上記ホログラフィー光学素子に上記撮影画枠を投影する投影手段と、
を有して構成されたものであることを特徴とする付記A1に記載の頭部装着型カメラ。
[付記A5]
被写体までの距離を測定するための測距手段をさらに具備し、
上記表示手段は、上記測距手段により測定された被写体までの距離に基づいて、撮影者が上記撮影画枠の内側で観察している範囲と上記撮像手段による撮影範囲とのずれであるパララックスを補正するための補正手段を有して構成されたものであることを特徴とする付記A1に記載の頭部装着型カメラ。
[付記A6]
上記撮影画枠と、上記撮像手段により得られた画像信号に係る撮影画像と、の何れを虚像として上記表示手段により表示させるかを切り換えるための切換手段をさらに具備したことを特徴とする付記A1に記載の頭部装着型カメラ。
[付記A7]
上記切換手段は、上記撮影光学系の焦点距離が所定値以上であるときには、上記撮影画像を虚像として表示するように自動的に切り換えるものであることを特徴とする付記A6に記載の頭部装着型カメラ。
[付記A8]
撮影者の頭部に装着されるものであり、
頭部の正面側に位置するように構成されたフロント部と、
頭部の側面側に位置するように構成されたテンプル部と、
を有して構成された頭部装着部をさらに具備し、
上記表示手段は、上記フロント部に配設されたものであることを特徴とする付記A1に記載の頭部装着型カメラ。
[付記A9]
上記テンプル部は、上記フロント部に対して折り曲げ可能であって、非使用時に、該フロント部に沿って折り畳まれた位置を取り得るように構成されたものであることを特徴とする付記A8に記載の頭部装着型カメラ。
[付記A10]
上記撮像手段は、上記フロント部に配設されたものであることを特徴とする付記A8に記載の頭部装着型カメラ。
[付記A11]
上記撮像手段は、上記フロント部における、上記撮影者の左右両眼の間に対応する位置に配設されたものであることを特徴とする付記A10に記載の頭部装着型カメラ。
[付記A12]
上記撮像手段は、上記テンプル部に配設されたものであることを特徴とする付記A8に記載の頭部装着型カメラ。
[付記A13]
上記テンプル部は、上記フロント部に対して折り曲げ可能であって、非使用時に、該フロント部に沿って折り畳まれた位置を取り得るように構成されたものであることを特徴とする付記A12に記載の頭部装着型カメラ。
[付記A14]
使用状態において、上記テンプル部が上記折り曲げ可能に取り得る位置の内の所定位置になっていないときには、警告を行う警告手段をさらに具備したことを特徴とする付記A13に記載の頭部装着型カメラ。
[付記A15]
上記警告手段は、上記表示手段に警告表示を行うことにより、警告を行うものであることを特徴とする付記A14に記載の頭部装着型カメラ。
[付記A16]
上記頭部装着部は、上記撮像手段を含んで構成されたものであり、
上記頭部装着部とは別体に設けられていて、該頭部装着部と通信を行うことにより、該頭部装着部の動作を制御するためのリモートコントロール部と、
上記頭部装着部とは別体に設けられていて、該頭部装着部と通信を行うことにより上記撮像手段により撮像された画像を受信し得るものであり、受信した画像を記録するための記録手段を有して構成された本体部と、
を具備したことを特徴とする付記A8に記載の頭部装着型カメラ。
[付記B1]
撮像を行ってアナログ画像信号を生成する撮像手段と、情報を表示するための表示手段と、を有し、頭部に装着し得るように構成された頭部装着部と、
上記表示手段と上記撮像手段とを制御するためのものであり、かつ、該撮像手段により生成された画像信号を記録するための制御/記録部と、
上記頭部装着部と上記制御/記録部とを電気的に接続する接続手段と、
を具備し、
上記頭部装着部は、上記撮像手段により生成されたアナログ画像信号を処理するとともに、該アナログ画像信号をデジタル画像信号へ変換する信号処理手段をさらに有して構成され、
上記信号処理手段から出力されるデジタル画像信号が、上記接続手段を介して、上記制御/記録部へ送信されるように構成されたものであることを特徴とする頭部装着型カメラ。
[付記B2]
上記信号処理手段から出力され、上記接続手段を介して、上記制御/記録部へ送信されるデジタル画像信号は、該信号処理手段によりアナログ画像信号からデジタル画像信号に変換された後に他の信号処理が施されていないRAW画像データであることを特徴とする付記B1に記載の頭部装着型カメラ。
[付記B3]
上記表示手段は、撮影者が実質的に直接観察する被写体に重畳されるように、撮影範囲を示す撮影画枠を表示するものであり、
上記撮像手段は、焦点距離可変な撮影光学系と、この撮影光学系により結像された被写体像を上記アナログ画像信号に変換する撮像素子と、を有して構成されていて、当該撮像手段の撮影画角が、上記表示手段により表示される撮影画枠の上記撮影者により観察される視角と一致するように、上記撮影光学系の焦点距離を自動的に設定した後に、撮影を行うものであることを特徴とする付記B1に記載の頭部装着型カメラ。
[付記C1]
被写体を撮像するための撮像手段と、
上記撮像手段と一体的に形成されていて、撮影者が実質的に直接観察している被写体に重畳されるように撮影範囲を示す撮影画枠を表示するための表示手段と、
上記撮像手段の撮影光軸と、上記表示手段により表示される撮影画枠の中心を通る視軸と、の平行を一致させ得るように、該撮像手段と該表示手段との相対的な角度を調整するための調整手段と、
を具備したことを特徴とする頭部装着型カメラの調整装置。
[付記C2]
上記調整手段は、
上記撮像手段の撮影光軸と、上記表示手段により表示される撮影画枠の中心を通る視軸と、のヨー方向の相対的な傾きを調整するためのヨー方向調整手段と、
上記撮像手段の撮影光軸と、上記表示手段により表示される撮影画枠の中心を通る視軸と、のピッチ方向の相対的な傾きを調整するためのピッチ方向調整手段と、
を有して構成されたものであることを特徴とする付記C1に記載の頭部装着型カメラの調整装置。
[付記C3]
撮影者の頭部に装着されるものであり、頭部の正面側に位置するように構成されていて上記表示手段が配設されるとともに上記撮像手段が取り付けられたフロント部と、頭部の側面側に位置するように構成されたテンプル部と、を有して構成された頭部装着部と、
上記撮像手段を、上記フロント部に対する方向を調整可能に、該フロント部に対して取り付けるためのものであって、自己と上記フロント部との相対的な取り付け角度の調整により上記ヨー方向調整手段とピッチ方向調整手段との少なくとも一方の機能を果たし、自己と上記撮像手段との相対的な取り付け角度の調整により上記ヨー方向調整手段とピッチ方向調整手段との少なくとも他方の機能を果たすように構成された台座と、
をさらに具備したものであることを特徴とする付記C2に記載の頭部装着型カメラの調整装置。
[付記C4]
撮影者の頭部に装着されるものであり、頭部の正面側に位置するように構成されていて上記表示手段が配設されたフロント部と、頭部の側面側に位置するように構成されていて上記撮像手段が配設されたテンプル部と、上記テンプル部を上記フロント部に対して折り曲げ可能にし非使用時に該フロント部に沿って折り畳まれた位置を取り得るようにする丁番部と、を有して構成された頭部装着部、をさらに具備し、
上記ヨー方向調整手段は、使用時におけるテンプル部のフロント部に対する開き角を規制することにより、上記ヨー方向の相対的な傾きを調整するものであり、上記ピッチ方向調整手段は、上記丁番部のフロント部に対する取り付け角度を調整することにより、上記ピッチ方向の相対的な傾きを調整するものであることを特徴とする付記C2に記載の頭部装着型カメラの調整装置。
[付記C5]
被写体を撮像するための撮像手段と、撮影者が実質的に直接観察している被写体に重畳されるように撮影範囲を示す撮影画枠を表示するための表示手段と、が一体的に形成された頭部装着型カメラの調整方法であって、
上記撮像手段の撮影光軸と、上記表示手段により表示される撮影画枠の中心を通る視軸と、の平行を一致させるように、該撮像手段と該表示手段との相対的な角度を調整することを特徴とする頭部装着型カメラの調整方法。
[付記C6]
上記撮像手段の撮影光軸と、上記表示手段により表示される撮影画枠の中心を通る視軸と、の平行を一致させる調整は、上記撮像手段と上記表示手段とのヨー方向の相対的な傾きの調整と、該撮像手段と該表示手段とのピッチ方向の相対的な傾きの調整と、により行われることを特徴とする付記C5に記載の頭部装着型カメラの調整方法。
[付記D1]
被写体を撮像するための撮像手段と、上記撮像手段により撮像される被写体に係る所定の画像を表示するための表示手段と、を具備した視度調整用レンズ付頭部装着型カメラであって、
上記表示手段は、撮影者の眼前に配置されるように構成され該撮影者が実質的に直接観察する被写体に重畳されるように上記所定の画像を表示するための光学素子と、上記所定の画像を上記光学素子へ投影するための投影手段と、を有して構成され、
上記撮像手段と上記表示手段とを一体的に保持する保持手段と、
上記光学素子とは別体として構成された視度調整用レンズと、
上記光学素子を介して観察する撮影者の視線上に上記視度調整用レンズが配置されるように、該視度調整用レンズを上記保持手段に対して着脱可能に取り付けるための取付手段と、
をさらに具備したことを特徴とする視度調整用レンズ付頭部装着型カメラ。
[付記D2]
上記視度調整用レンズは、右眼用と左眼用とが別体で構成されたものであり、
上記取付手段は、該右眼用の視度調整用レンズと、左眼用の視度調整用レンズと、を独立して着脱し得るように取り付けるものであることを特徴とする付記D1に記載の視度調整用レンズ付頭部装着型カメラ。
[付記D3]
上記視度調整用レンズは、眼鏡用の視度調整用レンズであることを特徴とする付記D1に記載の視度調整用レンズ付頭部装着型カメラ。
[付記D4]
上記光学素子に投影される上記所定の画像は、上記撮像手段による撮影範囲を示す撮影画枠であることを特徴とする付記D1に記載の視度調整用レンズ付頭部装着型カメラ。
[付記E1]
観察者が実質的に直接観察する観察対象に重畳されるように、所定の情報を含む画像を虚像として表示するための光学素子と、
上記光学素子により表示する画像を該光学素子へ投影するための投影手段と、
上記光学素子から該光学素子により表示される虚像までの距離を調整するための虚像距離調整手段と、
上記光学素子から上記虚像までの距離によることなく、該虚像を見込む視角が一定になるように調整する視角調整手段と、
を具備したことを特徴とする表示装置。
[付記E2]
上記虚像距離調整手段は、上記光学素子から該光学素子により表示される虚像までの距離が、該光学素子から観察対象までの距離に略等しくなるように、該虚像までの距離を調整するものであることを特徴とする付記E1に記載の表示装置。
[付記E3]
上記光学素子から観察対象までの距離を測定する測距手段をさらに具備し、
上記虚像距離調整手段は、上記測距手段により測定された観察対象までの距離を用いて上記虚像までの距離を調整するものであることを特徴とする付記E2に記載の表示装置。
[付記E4]
上記投影手段は、上記所定の情報を含む画像を形成する表示素子を有して構成されたものであり、
上記虚像距離調整手段は、上記光学素子と上記表示素子との間の距離を調整することにより、該光学素子から該光学素子により表示される虚像までの距離を調整するものであることを特徴とする付記E1に記載の表示装置。
[付記E5]
上記投影手段は、上記所定の情報を含む画像を形成する表示素子と、この表示素子により形成された画像を該表示素子と上記光学素子との間の光路上に結像する結像光学系と、を有して構成されたものであり、
上記虚像距離調整手段は、上記表示素子により形成された画像の上記結像光学系による結像位置を調整することにより、上記光学素子から該光学素子により表示される虚像までの距離を調整するものであることを特徴とする付記E1に記載の表示装置。
[付記E6]
上記視角調整手段は、上記表示素子に形成する像の大きさを調整することにより、虚像を見込む視角が一定になるように調整するものであることを特徴とする付記E4または付記E5に記載の表示装置。
[付記E7]
撮影者が実質的に直接観察する被写体に重畳されるように、撮影範囲を示す撮影画枠を虚像として表示するための表示手段と、
上記被写体までの距離を測定する測距手段と、
上記表示手段から該表示手段により表示される虚像までの距離が、上記測距手段により測定された被写体までの距離に略等しくなるように、該虚像までの距離を調整する虚像距離調整手段と、
上記被写体の光学的な像を結像するための撮影光学系と、
上記撮影光学系により結像された上記撮影画枠に対応する撮影範囲内の光学的な被写体像を撮影して画像データを生成する撮像素子と、
上記撮像素子により生成した画像データを記録するための記録手段と、
を具備したことを特徴とする撮像装置。
[付記E8]
上記表示手段から上記虚像までの距離によることなく、該虚像を見込む視角が一定になるように調整する視角調整手段をさらに具備したことを特徴とする付記E7に記載の撮像装置。
[付記E9]
上記表示手段は、撮影者の頭部に装着して用い得るように構成されたものであることを特徴とする付記E7に記載の撮像装置。
[付記F1]
観察者が実質的に直接観察する観察対象に重畳されるように、画像を虚像として表示するための光学素子と、
上記光学素子により表示する画像を該光学素子へ投影するための投影手段と、
上記観察者の瞳に対する、上記投影手段により上記光学素子に投影される画像の相対的な位置を、該観察者の眼幅方向において調整するための眼幅調整手段と、
を具備したことを特徴とする頭部装着型表示装置。
[付記F2]
撮影者が実質的に直接観察する被写体に重畳されるように、撮影範囲を示す撮影画枠を虚像として表示するための光学素子と、
上記光学素子により表示する撮影画枠を該光学素子へ投影するための投影手段と、
上記観察者の瞳に対する、上記投影手段により上記光学素子に投影される撮影画枠の相対的な位置を、該観察者の眼幅方向において調整するための眼幅調整手段と、
上記撮影画枠により示される撮影範囲の被写体を撮像するための撮像手段と、
を具備したことを特徴とする頭部装着型カメラ。
[付記F3]
上記投影手段は、上記撮影画枠に係る光束を上記眼幅方向へ投影する水平投影手段と、この水平投影手段により投影された光束を該眼幅方向と直交する鉛直方向へ反射することにより上記光学素子へ投影する反射光学部材と、を有して構成され、
上記眼幅調整手段は、上記反射光学部材を上記眼幅方向へ移動させることにより、上記観察者の瞳に対する、上記投影手段により上記光学素子に投影される撮影画枠の相対的な位置を、該観察者の眼幅方向において調整するものであることを特徴とする付記F2に記載の頭部装着型カメラ。
[付記F4]
上記眼幅調整手段は、上記反射光学部材を上記眼幅方向へ移動させるためのアクチュエータをさらに有して構成されたものであることを特徴とする付記F3に記載の頭部装着型カメラ。
[付記F5]
上記眼幅調整手段は、上記反射光学部材を上記眼幅方向へ移動可能に支持する支持部材をさらに有して構成され、該支持部材を手動によって移動させることにより、該反射光学部材の上記眼幅方向への移動を行うように構成されたものであることを特徴とする付記F3に記載の頭部装着型カメラ。