以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の内燃機関の制御装置の第一の実施形態の概略構成図、図2は図1に示した内燃機関の制御装置の吸気系等の詳細図、図3は図2に示した内燃機関の制御装置の吸気系等の平面図である。図1〜図3において、1は内燃機関、2は吸気弁、3は排気弁、4は吸気弁を開閉させるためのカム、5は排気弁を開閉させるためのカム、6は吸気弁用カム4を担持しているカムシャフト、7は排気弁用カム5を担持しているカムシャフトである。図4は図1に示した吸気弁用カム及びカムシャフトの詳細図である。図4に示すように、本実施形態のカム4のカムプロフィルは、カムシャフト中心軸線の方向に変化している。つまり、本実施形態のカム4は、図4の左端のノーズ高さが右端のノーズ高さよりも大きくなっている。すなわち、本実施形態の吸気弁2のバルブリフト量は、バルブリフタがカム4の左端と接しているときよりも、バルブリフタがカム4の右端と接しているときの方が小さくなる。
図1〜図3の説明に戻り、8は気筒内に形成された燃焼室、9はバルブリフト量を変更するために吸気弁2に対してカム4をカムシャフト中心軸線の方向に移動させるためのバルブリフト量変更装置である。つまり、バルブリフト量変更装置9を作動することにより、カム4の左端(図4)においてカム4とバルブリフタとを接触させたり、カム4の右端(図4)においてカム4とバルブリフタとを接触させたりすることができる。バルブリフト量変更装置9によって吸気弁2のバルブリフト量が変更されると、それに伴って、吸気弁2の開口面積が変更されることになる。本実施形態の吸気弁2では、バルブリフト量が増加されるに従って吸気弁2の開口面積が増加するようになっている。10はバルブリフト量変更装置9を駆動するためのドライバ、11は吸気弁2の開弁期間を変更することなく吸気弁の開閉タイミングをシフトさせるための開閉タイミングシフト装置である。つまり、開閉タイミングシフト装置11を作動することにより、吸気弁2の開閉タイミングを進角側にシフトさせたり、遅角側にシフトさせたりすることができる。12は開閉タイミングシフト装置11を作動するための油圧を制御するオイルコントロールバルブである。尚、本実施形態における可変動弁機構には、バルブリフト量変更装置9及び開閉タイミングシフト装置11の両者が含まれることになる。
13はクランクシャフト、14はオイルパン、15は燃料噴射弁、16は吸気弁2のバルブリフト量及び開閉タイミングシフト量を検出するためのセンサ、17は機関回転数を検出するためのセンサである。18は気筒内に吸入空気を供給する吸気管内の圧力を検出するための吸気管圧センサ、19はエアフローメータ、20は内燃機関冷却水の温度を検出するための冷却水温センサ、21は気筒内に供給される吸入空気の吸気管内における温度を検出するための吸入空気温センサ、22はECU(電子制御装置)である。50はシリンダ、51,52は吸気管、53はサージタンク、54は排気管、55は点火栓、56はアクセルペダル開度とは無関係に開度が変更せしめられるスロットル弁、57は排気ガス空燃比を検出するための空燃比センサである。
図5は図1に示したバルブリフト量変更装置等の詳細図である。図5において、30は吸気弁用カムシャフト6に連結された磁性体、31は磁性体30を左側に付勢するためのコイル、32は磁性体30を右側に付勢するための圧縮ばねである。コイル31に対する通電量が増加されるに従って、カム4及びカムシャフト6が左側に移動する量が増加し、吸気弁2のバルブリフト量が減少せしめられることになる。
図6はバルブリフト量変更装置が作動されるのに伴って吸気弁のバルブリフト量が変化する様子を示した図である。図6に示すように、コイル31に対する通電量が減少されるに従って、吸気弁2のバルブリフト量が増加せしめられる(実線→破線→一点鎖線)。また本実施形態では、バルブリフト量変更装置9が作動されるのに伴って、吸気弁2の開弁期間も変更せしめられる。つまり、吸気弁2の作用角も変更せしめられる。詳細には、吸気弁2のバルブリフト量が増加せしめられるのに伴って、吸気弁2の作用角が増加せしめられる(実線→破線→一点鎖線)。更に本実施形態では、バルブリフト量変更装置9が作動されるのに伴って、吸気弁2のバルブリフト量がピークとなるタイミングも変更せしめられる。詳細には、吸気弁2のバルブリフト量が増加せしめられるのに伴って、吸気弁2のバルブリフト量がピークとなるタイミングが遅角せしめられる(実線→破線→一点鎖線)。
図7は図1に示した開閉タイミングシフト装置等の詳細図である。図7において、40は吸気弁2の開閉タイミングを進角側にシフトさせるための進角側油路、41は吸気弁2の開閉タイミングを遅角側にシフトさせるための遅角側油路、42はオイルポンプである。進角側油路40内の油圧が増加されるに従い、吸気弁2の開閉タイミングが進角側にシフトせしめられる。つまり、クランクシャフト13に対するカムシャフト6の回転位相が進角せしめられる。一方、遅角側油路41の油圧が増加されるに従い、吸気弁2の開閉タイミングが遅角側にシフトせしめられる。つまり、クランクシャフト13に対するカムシャフト6の回転位相が遅角せしめられる。
図8は開閉タイミングシフト装置が作動されるのに伴って吸気弁の開閉タイミングがシフトする様子を示した図である。図8に示すように、進角側油路40内の油圧が増加されるに従って吸気弁2の開閉タイミングが進角側にシフトされる(実線→破線→一点鎖線)。このとき、吸気弁2の開弁期間は変更されない、つまり、吸気弁2が開弁している期間の長さは変更されない。
図9は第二の実施形態の内燃機関の制御装置の吸気系等の詳細図である。図9において、図1〜図8に示した参照番号と同一の参照番号は、図1〜図8に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示している。本実施形態において、排気弁駆動用カムは図4に示した吸気弁駆動用カム4とほぼ同様に構成されている。9’は排気弁3のバルブリフト量を変更するために排気弁3に対して排気弁駆動用カムをカムシャフト中心軸線の方向に移動させるためのバルブリフト量変更装置である。このバルブリフト量変更装置9’は、バルブリフト量変更装置9とほぼ同様に構成されている。11’は排気弁3の開弁期間を変更することなく排気弁の開閉タイミングをシフトさせるための開閉タイミングシフト装置である。この開閉タイミングシフト装置11’は、開閉タイミングシフト装置11とほぼ同様に構成されている。
図10は第三の実施形態の内燃機関の制御装置の吸気系等の詳細図である。図10において、図1〜図8に示した参照番号と同一の参照番号は、図1〜図8に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示している。58は個々の吸気弁2(図3参照)をそれぞれ独立して駆動することができる例えば電磁駆動式の吸気弁駆動装置である。58’は個々の排気弁3(図3参照)をそれぞれ独立して駆動することができる例えば電磁駆動式の排気弁駆動装置である。
尚、上述した第一から第三の実施形態の変形例では、スロットル弁56を排除することも可能である。
上述した第一から第三の実施形態及びそれらの変形例において、空燃比センサ57の出力値に基づいて複数気筒♯1〜♯4のうちのどの気筒の空燃比がいくつであるかを算出し、各気筒の吸気弁2及び/又は排気弁3のバルブリフト量を制御すると、気筒間の空燃比のばらつきを抑制することができる。ところが、気筒間の燃料噴射量のばらつきが存在する場合には、気筒間の空燃比のばらつきが抑制されたとしても、気筒間のトルクのばらつきが生じてしまい、脈動(トルク変動)が生じてしまう。そこで第一から第三の実施形態及びそれらの変形例では、気筒間の空燃比のばらつきを抑制すると共に気筒間のトルクのばらつきを抑制するために後述するような制御が行われる。
図11は第一から第三の実施形態及びそれらの変形例の燃料噴射量ばらつき学習方法を示したフローチャートである。このルーチンは所定時間間隔で実行される。図11に示すように、このルーチンが開始されると、まずステップ100において、吸気弁2の作用角が例えば図6に一点鎖線で示すように最大になっているか否かが判断される。YESのときには、シリンダ50内に吸入される吸入空気量がスロットル弁56の開度又は吸気管51,52内の最も絞られている部分の断面積に基づいて決定され、気筒間の吸気弁2の作用角のばらつきが存在するとしても、それに伴って吸入空気量が気筒間でばらつくことはないと判断し、ステップ101に進む。一方、NOのとき、つまり、吸気弁2の作用角が比較的小さく吸気弁2の開口面積が比較的小さいときには、シリンダ50内に吸入される吸入空気量が吸気弁2の開口面積に基づいて決定され、仮に気筒間の吸気弁2の作用角のばらつきが存在する場合には吸入空気量が気筒間でばらついてしまい、燃料噴射量のばらつき学習を行うことができないと判断し、このルーチンを終了する。
ステップ101では複数気筒♯1〜♯4のうちの特定気筒(N番気筒)の排気ガス空燃比を算出するタイミングであるか否かが判断される。YESのときにはステップ102に進み、NOのときには、このルーチンを終了する。ステップ102では、N番気筒の排気ガス空燃比が数サイクル分ほど検出され、それらの平均空燃比が算出される。この平均空燃比の算出は、すべての気筒♯1〜♯4について行われる。次いでステップ103では、各気筒♯1〜♯4内に吸入される吸入空気量が等しくなっているとの考えに基づき、ステップ102において算出された各気筒♯1〜♯4の空燃比から気筒間の燃料噴射量のばらつきΔQnが算出される。
次いでステップ104では、ステップ103において算出された気筒間の燃料噴射量のばらつきΔQnに基づいて燃料噴射量のばらつき率Qrate−nが算出される。次いでステップ105では、気筒間の燃料噴射量のばらつきがなくなるように、各気筒♯1〜♯4の燃料噴射量が補正される。
第一から第三の実施形態によれば、吸気弁2の作用角が最大作用角に設定されているとステップ100において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。つまり、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2の作用角に基づいては制限されないように吸気弁2の作用角が設定されているとステップ100において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。より詳細には、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2の作用角に基づいては制限されず、スロットル弁56の開度に基づいて制限されるように吸気弁2の作用角が設定されているとステップ100において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。つまり、ステップ102においてある気筒の排気ガス空燃比を算出する場合には、不図示のステップにおいて、その気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2の作用角に基づいては制限されず、スロットル弁56の開度に基づいて制限されるように吸気弁2の作用角が最大作用角に設定される。すなわち、1番気筒♯1の排気ガス空燃比を算出するときのスロットル弁56の開度と他の気筒♯2〜♯4の排気ガス空燃比を算出するときのスロットル弁56の開度とをほぼ等しくしておくことにより、1番気筒♯1の排気ガス空燃比を算出するときにその気筒♯1内に吸入される吸入空気量と他の気筒♯2〜♯4の排気ガス空燃比を算出するときにその気筒♯2〜♯4内に吸入される吸入空気量とを等しくすることができる。
更に第一から第三の実施形態によれば、ある気筒♯1の排気ガス空燃比を算出するときにその気筒♯1内に吸入される吸入空気量と他の気筒♯2〜♯4の排気ガス空燃比を算出するときにその気筒♯2〜♯4内に吸入される吸入空気量とが等しくなるとステップ100において判断されたときに、ステップ105において、排気ガス空燃比に基づいて気筒間の燃料噴射量のばらつきが抑制される。すなわち、すべての気筒の吸入空気量が等しくされた上で、すべての気筒の排気ガス空燃比が等しくなるように燃料噴射量が補正される。そのため、気筒間の空燃比のばらつきを抑制すると共に気筒間のトルクのばらつきを抑制することができる。
言い換えれば、第一から第三の実施形態によれば、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2のバルブ開特性に基づいては制限されず、スロットル弁56の開度に基づいて制限されるように吸気弁2のバルブ開特性が設定されているとステップ100において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。つまり、ステップ102においてある気筒の排気ガス空燃比を算出する場合には、不図示のステップにおいて、その気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2のバルブ開特性に基づいては制限されず、スロットル弁56の開度に基づいて制限されるように吸気弁2のバルブ開特性が設定される。
また、スロットル弁56が設けられていない第一から第三の実施形態の変形例によれば、第一から第三の実施形態と同様に、吸気弁2の作用角が最大作用角に設定されているとステップ100において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。つまり、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2の作用角に基づいては制限されないように吸気弁2の作用角が設定されているとステップ100において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。より詳細には、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2の作用角に基づいては制限されず、吸気管51,52内の最も絞られている部分の断面積に基づいて制限されるように吸気弁2の作用角が設定されているとステップ100において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。つまり、ステップ102においてある気筒の排気ガス空燃比を算出する場合には、不図示のステップにおいて、その気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2の作用角に基づいては制限されず、吸気管51,52内の最も絞られている部分の断面積に基づいて制限されるように吸気弁2の作用角が最大作用角に設定される。
言い換えれば、第一から第三の実施形態の変形例によれば、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2のバルブ開特性に基づいては制限されず、吸気管51,52内の最も絞られている部分の断面積に基づいて制限されるように吸気弁2のバルブ開特性が設定されているとステップ100において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。つまり、ステップ102においてある気筒の排気ガス空燃比を算出する場合には、不図示のステップにおいて、その気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2のバルブ開特性に基づいては制限されず、吸気管51,52内の最も絞られている部分の断面積に基づいて制限されるように吸気弁2のバルブ開特性が設定される。
また、第一から第三の実施形態及びそれらの変形例によれば、吸気弁の作用角に基づいて気筒間ばらつきが抑制される。詳細には、吸気弁の作用角に基づいて気筒間の燃料噴射量のばらつきが抑制される。更に詳細には、図11のステップ100において吸気弁2の作用角が最大であると判断されたときに、ステップ105において気筒間の燃料噴射量のばらつきが抑制される。そのため、吸気弁の作用角が変更され得る場合に、吸気弁の作用角に基づいて気筒間ばらつきが抑制されない場合よりも適切に気筒間の空燃比のばらつきを抑制することができる。つまり、気筒間の空燃比のばらつきを適切に抑制することができる。
図12は第三の実施形態及びその変形例の吸気弁作用角ばらつき学習方法を示したフローチャートである。このルーチンは、図11に示したルーチンと同様に所定時間間隔で実行される。図12に示すように、このルーチンが開始されると、まずステップ150において、図11に示したステップ105の実行が完了したか否かが判断される。全気筒の燃料噴射量の補正が完了しているときにはステップ151に進み、まだ完了していないときには気筒間の吸気弁2の作用角のばらつきを抑制することができないと判断し、このルーチンを終了する。ステップ151では、吸気弁2の作用角が予め定められた閾値以下であるか否かが判断される。つまり、気筒内に吸入される吸入空気量がスロットル弁56の開度に基づいては制限されず、吸気弁2の作用角に基づいて制限されるように、吸気弁2の作用角が比較的小さい値に設定されているか否かが判断される。YESのときにはステップ152に進み、NOのときには、このルーチンを終了する。
ステップ152では複数気筒♯1〜♯4のうちの特定気筒(N番気筒)の排気ガス空燃比を算出するタイミングであるか否かが判断される。YESのときにはステップ153に進み、NOのときには、このルーチンを終了する。ステップ153では、N番気筒の排気ガス空燃比が数サイクル分ほど検出され、それらの平均空燃比が算出される。この平均空燃比の算出は、すべての気筒♯1〜♯4について行われる。次いでステップ154では、各気筒♯1〜♯4の燃料噴射量が等しくなっているとの考えに基づき、ステップ153において算出された各気筒♯1〜♯4の空燃比から気筒間の吸入空気量のばらつきΔQが算出される。
次いでステップ155では、ステップ154において算出された気筒間の吸入空気量のばらつきΔQに基づいて特定気筒(N番気筒)の吸気弁2の作用角のばらつきΔAngが算出される。この吸気弁2の作用角のばらつきΔAngの算出は、すべての気筒♯1〜♯4について行われる。次いでステップ156では、気筒間の吸気弁2の作用角のばらつきがなくなるように、つまり、気筒間の吸入空気量のばらつきがなくなるように、吸気弁駆動装置58によって各気筒♯1〜♯4の吸気弁2の作用角が補正される。
第三の実施形態によれば、図11のステップ105において気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した後、気筒内に吸入される吸入空気量がスロットル弁56の開度に基づいては制限されず、吸気弁2のバルブ開特性に基づいて制限されるように吸気弁2のバルブ開特性が設定されているとステップ151において判断されたときには、ステップ153において、その気筒の排気ガス空燃比が算出され、次いでステップ156において、その排気ガス空燃比に基づいて気筒間の吸気弁2のバルブ開特性のばらつきが抑制される。つまり、気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した上で、ある気筒♯1の排気ガス空燃比と他の気筒♯2〜♯4の排気ガス空燃比とが等しくなるように各気筒♯1〜♯4の吸気弁2のバルブ開特性が変更せしめられる。そのため、気筒間の燃料噴射量のばらつきが存在していた場合であっても、気筒間のトルクのばらつきを生じさせることなく気筒間の吸気弁2のバルブ開特性のばらつきを抑制することができる。
また、第三の実施形態の変形例によれば、図11のステップ105において気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した後、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気管51,52内の最も絞られている部分の断面積に基づいては制限されず、吸気弁2のバルブ開特性に基づいて制限されるように吸気弁2のバルブ開特性が設定されているとステップ151において判断されたときには、ステップ153において、その気筒の排気ガス空燃比が算出され、次いでステップ156において、その排気ガス空燃比に基づいて気筒間の吸気弁2のバルブ開特性のばらつきが抑制される。つまり、気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した上で、ある気筒♯1の排気ガス空燃比と他の気筒♯2〜♯4の排気ガス空燃比とが等しくなるように各気筒♯1〜♯4の吸気弁2のバルブ開特性が変更せしめられる。そのため、気筒間の燃料噴射量のばらつきが存在していた場合であっても、気筒間のトルクのばらつきを生じさせることなく気筒間の吸気弁2のバルブ開特性のばらつきを抑制することができる。
詳細には、第三の実施形態及びその変形例によれば、図11のステップ105において気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した後、ステップ151において吸気弁2の作用角が最大作用角よりも小さい所定作用角に設定されていると判断されたときには、ステップ153において排気ガス空燃比が算出され、次いでステップ156において、その排気ガス空燃比に基づいて気筒間の吸気弁2の作用角のばらつきが抑制される。つまり、気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した上で、ある気筒♯1の排気ガス空燃比と他の気筒♯2〜♯4の排気ガス空燃比とが等しくなるように各気筒♯1〜♯4の吸気弁2の作用角が変更せしめられる。そのため、気筒間の燃料噴射量のばらつきが存在していた場合であっても、気筒間のトルクのばらつきを生じさせることなく気筒間の吸気弁2の作用角のばらつきを抑制することができる。
言い換えれば、第三の実施形態及びその変形例によれば、図11のステップ105において気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した後、ステップ151において吸気弁2の作用角が最大作用角よりも小さい所定作用角に設定されていると判断されたときには、ステップ153において排気ガス空燃比が算出され、次いでステップ156において、その排気ガス空燃比に基づいて気筒間の吸入空気量のばらつきが抑制される。つまり、気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した上で、ある気筒♯1の排気ガス空燃比と他の気筒♯2〜♯4の排気ガス空燃比とが等しくなるように各気筒♯1〜♯4の吸気弁2の作用角が変更せしめられる。そのため、気筒間の燃料噴射量のばらつきが存在していた場合であっても、気筒間のトルクのばらつきを生じさせることなく気筒間の吸入空気量のばらつきを抑制することができる。
また、第一から第三の実施形態及びそれらの変形例によれば、吸気弁の作用角に基づいて気筒間ばらつきが抑制される。詳細には、図12のステップ151において吸気弁2の作用角が予め定められた閾値以下であると判断されたときに、ステップ156において気筒間の吸気弁2の作用角のばらつきが抑制される。そのため、吸気弁の作用角が変更され得る場合に、上述した閾値とは無関係に気筒間の吸気弁2の作用角のばらつきが抑制される場合よりも適切に気筒間の空燃比のばらつきを抑制することができる。つまり、気筒間の空燃比のばらつきを適切に抑制することができる。
図13は第一及び第二の実施形態及びそれらの変形例の吸気弁作用角ばらつき学習方法を示したフローチャートである。このルーチンは、図11に示したルーチンと同様に所定時間間隔で実行される。図13に示すように、このルーチンが開始されると、まずステップ150において、図12に示した場合と同様に、図11に示したステップ105の実行が完了したか否かが判断される。全気筒の燃料噴射量の補正が完了しているときにはステップ151に進み、まだ完了していないときには気筒間の吸気弁2の作用角のばらつきを抑制することができないと判断し、このルーチンを終了する。ステップ151では、図12に示した場合と同様に、吸気弁2の作用角が予め定められた閾値以下であるか否かが判断される。YESのときにはステップ152に進み、NOのときには、このルーチンを終了する。
ステップ152では、図12に示した場合と同様に、複数気筒♯1〜♯4のうちの特定気筒(N番気筒)の排気ガス空燃比を算出するタイミングであるか否かが判断される。YESのときにはステップ153に進み、NOのときには、このルーチンを終了する。ステップ153では、図12に示した場合と同様に、N番気筒の排気ガス空燃比が数サイクル分ほど検出され、それらの平均空燃比が算出される。次いでステップ154では、図12に示した場合と同様に、各気筒♯1〜♯4の燃料噴射量が等しくなっているとの考えに基づき、ステップ153において算出された各気筒♯1〜♯4の空燃比から気筒間の吸入空気量のばらつきΔQが算出される。
次いでステップ250では、ステップ154において算出された気筒間の吸入空気量のばらつきΔQに基づき、全気筒♯1〜♯4のトルクが等しくなるように各気筒の燃料噴射量が補正される。次いでステップ251では、ステップ154において算出された気筒間の吸入空気量のばらつきΔQに基づき、全気筒♯1〜♯4のトルクが等しくなるように各気筒の点火時期が補正される。例えばノッキングが発生しやすい機関高負荷運転時には、吸入空気量が比較的多い気筒の点火時期が遅角せしめられる。
第一及び第二の実施形態によれば、図11のステップ105において気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した後、気筒内に吸入される吸入空気量がスロットル弁56の開度に基づいては制限されず、吸気弁2のバルブ開特性に基づいて制限されるように吸気弁2のバルブ開特性が設定されていると図13のステップ151において判断されたときには、ステップ153において、その気筒の排気ガス空燃比が算出され、次いでステップ250及びステップ251において燃料噴射量及び点火時期が補正されて、気筒間のトルクのばらつきが抑制される。
また、第一及び第二の実施形態の変形例によれば、図11のステップ105において気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した後、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気管51,52内の最も絞られている部分の断面積に基づいては制限されず、吸気弁2のバルブ開特性に基づいて制限されるように吸気弁2のバルブ開特性が設定されていると図13のステップ151において判断されたときには、ステップ153において、その気筒の排気ガス空燃比が算出され、次いでステップ250及びステップ251において燃料噴射量及び点火時期が補正されて、気筒間のトルクのばらつきが抑制される。
また、第一から第三の実施形態及びそれらの変形例によれば、吸気弁の作用角に基づいて気筒間ばらつきが抑制される。詳細には、図13のステップ151において吸気弁2の作用角が予め定められた閾値以下であると判断されたときに、ステップ250において気筒間の空燃比のばらつきが抑制される。そのため、吸気弁の作用角が変更され得る場合に、上述した閾値とは無関係に気筒間の空燃比のばらつきが抑制される場合よりも適切に気筒間の空燃比のばらつきを抑制することができる。つまり、気筒間の空燃比のばらつきを適切に抑制することができる。
以下、本発明の内燃機関の制御装置の第四から第六の実施形態について説明する。第四から第六の実施形態の構成は、それぞれ上述した第一から第三の実施形態の構成とほぼ同様である。また第四から第六の実施形態の変形例の構成は、それぞれ上述した第一から第三の実施形態の変形例の構成とほぼ同様である。
図14は第四から第六の実施形態及びそれらの変形例の燃料噴射量ばらつき学習方法を示したフローチャートである。このルーチンは、図11に示した場合と同様に所定時間間隔で実行される。図14に示すように、このルーチンが開始されると、まずステップ300において、吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が最小になっているか否かが判断される。YESのときには、シリンダ50から吸気管51への吹き返しガス量が少ないために、シリンダ50内に吸入される吸入空気量がスロットル弁56の開度又は吸気管51,52内の最も絞られている部分の断面積に基づいて決定され、気筒間の吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量のばらつきが存在するとしても、それに伴って吸入空気量が気筒間でばらつくことはないと判断し、ステップ101に進む。一方、NOのとき、つまり、吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が比較的大きいときには、シリンダ50内に吸入される吸入空気量が吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量に基づいて決定され、仮に気筒間のバルブオーバラップ量のばらつきが存在する場合には吸入空気量が気筒間でばらついてしまい、燃料噴射量のばらつき学習を行うことができないと判断し、このルーチンを終了する。
ステップ101では、図11に示した場合と同様に、複数気筒♯1〜♯4のうちの特定気筒(N番気筒)の排気ガス空燃比を算出するタイミングであるか否かが判断される。YESのときにはステップ102に進み、NOのときには、このルーチンを終了する。ステップ102では、図11に示した場合と同様に、N番気筒の排気ガス空燃比が数サイクル分ほど検出され、それらの平均空燃比が算出される。次いでステップ103では、図11に示した場合と同様に、ステップ102において算出された各気筒♯1〜♯4の空燃比から気筒間の燃料噴射量のばらつきΔQnが算出される。
次いでステップ104では、図11に示した場合と同様に、ステップ103において算出された気筒間の燃料噴射量のばらつきΔQnに基づいて燃料噴射量のばらつき率Qrate−nが算出される。次いでステップ105では、図11に示した場合と同様に、気筒間の燃料噴射量のばらつきがなくなるように、各気筒♯1〜♯4の燃料噴射量が補正される。
第四から第六の実施形態によれば、吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が最小バルブオーバラップ量に設定されているとステップ300において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。つまり、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量に基づいては制限されないように吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が設定されているとステップ300において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。より詳細には、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量に基づいては制限されず、スロットル弁56の開度に基づいて制限されるように吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が設定されているとステップ300において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。つまり、ステップ102においてある気筒の排気ガス空燃比を算出する場合には、不図示のステップにおいて、その気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量に基づいては制限されず、スロットル弁56の開度に基づいて制限されるように吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が最小バルブオーバラップ量に設定される。すなわち、1番気筒♯1の排気ガス空燃比を算出するときのスロットル弁56の開度と他の気筒♯2〜♯4の排気ガス空燃比を算出するときのスロットル弁56の開度とをほぼ等しくしておくことにより、1番気筒♯1の排気ガス空燃比を算出するときにその気筒♯1内に吸入される吸入空気量と他の気筒♯2〜♯4の排気ガス空燃比を算出するときにその気筒♯2〜♯4内に吸入される吸入空気量とを等しくすることができる。
更に第四から第六の実施形態によれば、ある気筒♯1の排気ガス空燃比を算出するときにその気筒♯1内に吸入される吸入空気量と他の気筒♯2〜♯4の排気ガス空燃比を算出するときにその気筒♯2〜♯4内に吸入される吸入空気量とが等しくなるとステップ300において判断されたときに、ステップ105において、排気ガス空燃比に基づいて気筒間の燃料噴射量のばらつきが抑制される。すなわち、すべての気筒の吸入空気量が等しくされた上で、すべての気筒の排気ガス空燃比が等しくなるように燃料噴射量が補正される。そのため、気筒間の空燃比のばらつきを抑制すると共に気筒間のトルクのばらつきを抑制することができる。
言い換えれば、第四から第六の実施形態によれば、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性に基づいては制限されず、スロットル弁56の開度に基づいて制限されるように吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性が設定されているとステップ300において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。つまり、ステップ102においてある気筒の排気ガス空燃比を算出する場合には、不図示のステップにおいて、その気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性に基づいては制限されず、スロットル弁56の開度に基づいて制限されるように吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性が設定される。
また、スロットル弁56が設けられていない第四から第六の実施形態の変形例によれば、第四から第六の実施形態と同様に、吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が最小バルブオーバラップ量に設定されているとステップ300において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。つまり、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量に基づいては制限されないように吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が設定されているとステップ300において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。より詳細には、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量に基づいては制限されず、吸気管51,52内の最も絞られている部分の断面積に基づいて制限されるように吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が設定されているとステップ300において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。つまり、ステップ102においてある気筒の排気ガス空燃比を算出する場合には、不図示のステップにおいて、その気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量に基づいては制限されず、吸気管51,52内の最も絞られている部分の断面積に基づいて制限されるように吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が最小バルブオーバラップ量に設定される。
言い換えれば、第四から第六の実施形態の変形例によれば、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性に基づいては制限されず、吸気管51,52内の最も絞られている部分の断面積に基づいて制限されるように吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性が設定されているとステップ300において判断されたときに、ステップ102において、その気筒の排気ガス空燃比が算出される。つまり、ステップ102においてある気筒の排気ガス空燃比を算出する場合には、不図示のステップにおいて、その気筒内に吸入される吸入空気量が吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性に基づいては制限されず、吸気管51,52内の最も絞られている部分の断面積に基づいて制限されるように吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性が設定される。
また、第四から第六の実施形態及びそれらの変形例によれば、吸気弁及び排気弁のバルブオーバラップ量に基づいて気筒間ばらつきが抑制される。詳細には、吸気弁及び排気弁のバルブオーバラップ量に基づいて気筒間の燃料噴射量のばらつきが抑制される。更に詳細には、図14のステップ300において吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が最小であると判断されたときに、ステップ105において気筒間の燃料噴射量のばらつきが抑制される。そのため、吸気弁及び排気弁のバルブオーバラップ量が変更され得る場合に、吸気弁及び排気弁のバルブオーバラップ量に基づいて気筒間ばらつきが抑制されない場合よりも適切に気筒間の空燃比のばらつきを抑制することができる。つまり、気筒間の空燃比のばらつきを適切に抑制することができる。
図15は第六の実施形態及びその変形例のバルブオーバラップ量ばらつき学習方法を示したフローチャートである。このルーチンは、図14に示したルーチンと同様に所定時間間隔で実行される。図15に示すように、このルーチンが開始されると、まずステップ150において、図12に示した場合と同様に、図14に示したステップ105の実行が完了したか否かが判断される。全気筒の燃料噴射量の補正が完了しているときにはステップ450に進み、まだ完了していないときには気筒間の吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量のばらつきを抑制することができないと判断し、このルーチンを終了する。ステップ450では、吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が予め定められた閾値以上であるか否かが判断される。つまり、気筒内に吸入される吸入空気量がスロットル弁56の開度に基づいては制限されず、吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量に基づいて制限されるように、吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が比較的大きい値に設定されているか否かが判断される。YESのときにはステップ152に進み、NOのときには、このルーチンを終了する。
ステップ152では、図12に示した場合と同様に、複数気筒♯1〜♯4のうちの特定気筒(N番気筒)の排気ガス空燃比を算出するタイミングであるか否かが判断される。YESのときにはステップ153に進み、NOのときには、このルーチンを終了する。ステップ153では、図12に示した場合と同様に、N番気筒の排気ガス空燃比が数サイクル分ほど検出され、それらの平均空燃比が算出される。次いでステップ154では、図12に示した場合と同様に、各気筒♯1〜♯4の燃料噴射量が等しくなっているとの考えに基づき、ステップ153において算出された各気筒♯1〜♯4の空燃比から気筒間の吸入空気量のばらつきΔQが算出される。
次いでステップ451では、ステップ154において算出された気筒間の吸入空気量のばらつきΔQに基づいて特定気筒(N番気筒)の吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量のばらつきΔVOが算出される。この吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量のばらつきΔVOの算出は、すべての気筒♯1〜♯4について行われる。次いでステップ452では、気筒間の吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量のばらつきがなくなるように、つまり、気筒間の吸入空気量のばらつきがなくなるように、吸気弁駆動装置58によって各気筒♯1〜♯4の吸気弁2の開弁時期が補正されると共に、排気弁駆動装置58’によって各気筒♯1〜♯4の排気弁3の閉弁時期が補正される。
第六の実施形態によれば、図14のステップ105において気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した後、気筒内に吸入される吸入空気量がスロットル弁56の開度に基づいては制限されず、吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性に基づいて制限されるように吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性が設定されていると図15のステップ450において判断されたときには、ステップ153において、その気筒の排気ガス空燃比が算出され、次いでステップ452において、その排気ガス空燃比に基づいて気筒間の吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性のばらつきが抑制される。つまり、気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した上で、ある気筒♯1の排気ガス空燃比と他の気筒♯2〜♯4の排気ガス空燃比とが等しくなるように各気筒♯1〜♯4の吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性が変更せしめられる。そのため、気筒間の燃料噴射量のばらつきが存在していた場合であっても、気筒間のトルクのばらつきを生じさせることなく気筒間の吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性のばらつきを抑制することができる。
また、第六の実施形態の変形例によれば、図14のステップ105において気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した後、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気管51,52内の最も絞られている部分の断面積に基づいては制限されず、吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性に基づいて制限されるように吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性が設定されていると図15のステップ450において判断されたときには、ステップ153において、その気筒の排気ガス空燃比が算出され、次いでステップ452において、その排気ガス空燃比に基づいて気筒間の吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性のばらつきが抑制される。つまり、気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した上で、ある気筒♯1の排気ガス空燃比と他の気筒♯2〜♯4の排気ガス空燃比とが等しくなるように各気筒♯1〜♯4の吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性が変更せしめられる。そのため、気筒間の燃料噴射量のばらつきが存在していた場合であっても、気筒間のトルクのばらつきを生じさせることなく気筒間の吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性のばらつきを抑制することができる。
詳細には、第六の実施形態及びその変形例によれば、図14のステップ105において気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した後、図15のステップ450において吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が最小バルブオーバラップ量よりも大きい所定バルブオーバラップ量に設定されていると判断されたときには、ステップ153において排気ガス空燃比が算出され、次いでステップ452において、その排気ガス空燃比に基づいて気筒間の吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量のばらつきが抑制される。つまり、気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した上で、ある気筒♯1の排気ガス空燃比と他の気筒♯2〜♯4の排気ガス空燃比とが等しくなるように各気筒♯1〜♯4の吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が変更せしめられる。そのため、気筒間の燃料噴射量のばらつきが存在していた場合であっても、気筒間のトルクのばらつきを生じさせることなく気筒間の吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量のばらつきを抑制することができる。
言い換えれば、第六の実施形態及びその変形例によれば、図14のステップ105において気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した後、図15のステップ450において吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が最小バルブオーバラップ量よりも大きい所定バルブオーバラップ量に設定されていると判断されたときには、ステップ153において排気ガス空燃比が算出され、次いでステップ452において、その排気ガス空燃比に基づいて気筒間の吸入空気量のばらつきが抑制される。つまり、気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した上で、ある気筒♯1の排気ガス空燃比と他の気筒♯2〜♯4の排気ガス空燃比とが等しくなるように各気筒♯1〜♯4の吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が変更せしめられる。そのため、気筒間の燃料噴射量のばらつきが存在していた場合であっても、気筒間のトルクのばらつきを生じさせることなく気筒間の吸入空気量のばらつきを抑制することができる。
また、第六の実施形態及びその変形例によれば、吸気弁及び排気弁のバルブオーバラップ量に基づいて気筒間ばらつきが抑制される。詳細には、図15のステップ450において吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が予め定められた閾値以上であると判断されたときに、ステップ452において気筒間の吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量のばらつきが抑制される。そのため、吸気弁及び排気弁のバルブオーバラップ量が変更され得る場合に、上述した閾値とは無関係に気筒間の吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量のばらつきが抑制される場合よりも適切に気筒間の空燃比のばらつきを抑制することができる。つまり、気筒間の空燃比のばらつきを適切に抑制することができる。
図16は第四及び第五の実施形態及びそれらの変形例のバルブオーバラップ量ばらつき学習方法を示したフローチャートである。このルーチンは、図14に示したルーチンと同様に所定時間間隔で実行される。図16に示すように、このルーチンが開始されると、まずステップ150において、図15に示した場合と同様に、図14に示したステップ105の実行が完了したか否かが判断される。全気筒の燃料噴射量の補正が完了しているときにはステップ450に進み、まだ完了していないときには気筒間の吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量のばらつきを抑制することができないと判断し、このルーチンを終了する。ステップ450では、図15に示した場合と同様に、吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が予め定められた閾値以上であるか否かが判断される。YESのときにはステップ152に進み、NOのときには、このルーチンを終了する。
ステップ152では、図15に示した場合と同様に、複数気筒♯1〜♯4のうちの特定気筒(N番気筒)の排気ガス空燃比を算出するタイミングであるか否かが判断される。YESのときにはステップ153に進み、NOのときには、このルーチンを終了する。ステップ153では、図15に示した場合と同様に、N番気筒の排気ガス空燃比が数サイクル分ほど検出され、それらの平均空燃比が算出される。次いでステップ154では、図15に示した場合と同様に、各気筒♯1〜♯4の燃料噴射量が等しくなっているとの考えに基づき、ステップ153において算出された各気筒♯1〜♯4の空燃比から気筒間の吸入空気量のばらつきΔQが算出される。
次いでステップ250では、図13に示した場合と同様に、ステップ154において算出された気筒間の吸入空気量のばらつきΔQに基づき、全気筒♯1〜♯4のトルクが等しくなるように各気筒の燃料噴射量が補正される。次いでステップ251では、図13に示した場合と同様に、ステップ154において算出された気筒間の吸入空気量のばらつきΔQに基づき、全気筒♯1〜♯4のトルクが等しくなるように各気筒の点火時期が補正される。例えばノッキングが発生しやすい機関高負荷運転時には、吸入空気量が比較的多い気筒の点火時期が遅角せしめられる。
第四及び第五の実施形態によれば、図14のステップ105において気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した後、気筒内に吸入される吸入空気量がスロットル弁56の開度に基づいては制限されず、吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性に基づいて制限されるように吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性が設定されていると図16のステップ450において判断されたときには、ステップ153において、その気筒の排気ガス空燃比が算出され、次いでステップ250及びステップ251において燃料噴射量及び点火時期が補正されて、気筒間のトルクのばらつきが抑制される。
また、第四及び第五の実施形態の変形例によれば、図14のステップ105において気筒間の燃料噴射量のばらつきを抑制した後、気筒内に吸入される吸入空気量が吸気管51,52内の最も絞られている部分の断面積に基づいては制限されず、吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性に基づいて制限されるように吸気弁2及び排気弁3のバルブ開特性が設定されていると図16のステップ450において判断されたときには、ステップ153において、その気筒の排気ガス空燃比が算出され、次いでステップ250及びステップ251において燃料噴射量及び点火時期が補正されて、気筒間のトルクのばらつきが抑制される。
また、第四及び第五の実施形態及びそれらの変形例によれば、吸気弁及び排気弁のバルブオーバラップ量に基づいて気筒間ばらつきが抑制される。詳細には、図16のステップ450において吸気弁2及び排気弁3のバルブオーバラップ量が予め定められた閾値以上であると判断されたときに、ステップ250において気筒間の空燃比のばらつきが抑制される。そのため、吸気弁及び排気弁のバルブオーバラップ量が変更され得る場合に、上述した閾値とは無関係に気筒間の空燃比のばらつきが抑制される場合よりも適切に気筒間の空燃比のばらつきを抑制することができる。つまり、気筒間の空燃比のばらつきを適切に抑制することができる。
以下、本発明の内燃機関の制御装置の第七の実施形態について説明する。本実施形態の構成は、上述した第一から第六の実施形態及びそれらの変形例のいずれかの構成と、後述する構成とを組み合わせたものである。図17は第七の実施形態の内燃機関の制御装置の概略構成図である。図17において、図1〜図10に示した参照番号と同一の参照番号は、図1〜図10に示した部品又は部分と同一の部品又は部分を示している。22’はECU22の一部を構成する吸入空気量演算部、22”はECU22の他の一部を構成するニューラルネットワークによる遅れ系演算部、60はニューラルネットワークである。ニューラルネットワーク60は、例えば特開平9−88685号公報に記載された公知のニューラルネットワークとほぼ同様に構成されている。
本実施形態では、機関過渡運転時にバルブリフト量変更装置9,9’、開閉タイミングシフト装置11,11’、吸気弁駆動装置58及び排気弁駆動装置58’が有する遅れを補うために、ニューラルネットワーク60を用いて気筒間のばらつきが抑制される。具体的には、機関過渡運転時に吸入空気量を算出する場合、エアフローメータ19の出力値、スロットル弁56の開度、スロットル弁開度の変化率、吸気弁2の開弁時期、吸気弁2の閉弁時期、機関回転数、水温、油温、油圧、吸入空気温センサ21の出力値に基づいて吸入空気量を推定し、その吸入空気量と空燃比センサ57の出力値に基づいて算出された空気量との差分から、ニューラルネットワークによる遅れが学習される。その結果、どのような条件下においても実際の空燃比を目標空燃比に精度良く一致させることができる。
つまり、吸入空気量遅れの演算部にニューラルネットワークを適用し、上述したデータに基づいて吸入空気量を算出する。その吸入空気量に基づいて算出された燃料噴射量と、そのサイクルでの実際の排気ガス空燃比とから誤差が検出される。あらゆるパターンでこれを繰り返し、各パラメータの感度係数を修正していくことにより、どのような機関運転条件下においても実際の空燃比を目標空燃比に精度良く一致させることができる。
以下、本発明の内燃機関の制御装置の第八の実施形態について説明する。第八の実施形態の構成は、上述した第一及び第二の実施形態並びにそれらの変形例のうちのいずれかの構成とほぼ同様である。あるいは、図示しないが、カムプロフィルが異なる複数の吸気弁用カムを備え、それらを切換えて使用することにより、吸気弁のバルブ開特性を変更できるように第八の実施形態を構成することも可能である。
図18は第八の実施形態の気筒間ばらつき抑制制御方法を示したフローチャートである。このルーチンは所定時間間隔で実行される。図18に示すように、このルーチンが開始されると、まずステップ500において、後述するマップが既に作成されているか否かが判断される。YESのときにはステップ505に進み、NOのときにはステップ501に進む。ステップ501では、例えば特開昭59−101562号公報、又は特開平5−180040号公報に記載された方法により、空燃比センサ57の出力値に基づいて例えば機関アイドル運転時のような定常状態における各気筒#1〜#4の空燃比が算出される。
次いでステップ502では、気筒間の空燃比のばらつきがあるか否かが判断される。気筒間の空燃比のばらつきが所定値以上のときにはステップ503に進み、気筒間の空燃比のばらつきが所定値未満のときには、このルーチンを終了する。ステップ503では、算出された各気筒#1〜#4の空燃比に基づいて各気筒#1〜#4の燃料噴射量補正係数がそれぞれ算出される。例えばある気筒の実際の空燃比が目標空燃比に対してリッチ側にばらついているときには、その気筒の燃料噴射量を減量補正すべく比較的小さい値の燃料噴射量補正係数が算出される。一方、ある気筒の実際の空燃比が目標空燃比に対してリーン側にばらついているときには、その気筒の燃料噴射量を増量補正すべく比較的大きい値の燃料噴射量補正係数が算出される。
次いでステップ504では、ステップ503において算出された燃料噴射量補正係数とそのときの吸気弁2の作用角とに基づき、燃料噴射量補正係数と吸気弁2の作用角との関係を示す燃料噴射量補正係数マップが作成される。図19は燃料噴射量補正係数と吸気弁の作用角との関係を示す図である。図19に示すように、ステップ503において点P1が算出されると、ステップ504において、燃料噴射量補正係数と吸気弁の作用角との関係を示す曲線L1が点P1から算出され、その曲線L1に基づいて燃料噴射量補正係数マップが作成される。第八の実施形態の変形例では、ステップ504において、マップを作成する代わりに、曲線L1を簡略化させた関係式を算出することも可能である。また第八の実施形態の他の変形例では、点P1だけでなく点P1’をステップ503と同様のステップにおいて算出し、点P1と点P1’とに基づいて曲線L1と同様の曲線を算出し、その曲線に基づいて燃料噴射量補正係数マップを作成することも可能である。
ステップ505では、各気筒#1〜#4について燃料噴射量が補正される。つまり、図19に示したマップが作成されておらず、ステップ500においてNOと判断されたときには、燃料噴射量の補正を行うための燃料噴射量補正係数がステップ503において算出され、ステップ505において、その燃料噴射量補正係数に基づいて燃料噴射量が補正される。一方、図19に示したマップが既に作成されており、ステップ500においてYESと判断されたときには、マップが作成された時点から吸気弁2の作用角が変更されている場合であってもステップ503は実行されず、ステップ505において、既に作成されたマップに基づいて燃料噴射量が補正されることになる。
上述したステップ505を実行するとハンチングするおそれがある場合には、不図示のステップにおいて燃料噴射量補正係数をなまし、次いでステップ505に代わるステップにおいて、そのなまされた燃料噴射量補正係数に基づいて燃料噴射量を補正することも可能である。(この場合には、燃料噴射量補正係数をなました値を用いて燃料噴射量を補正し、再び燃料噴射量補正係数を求めることを繰返して収束した燃料噴射量補正係数に基づいて燃料噴射量を補正する。)
第八の実施形態又はその変形例によれば、吸気弁2の作用角に基づいて気筒間ばらつきが抑制される。詳細には図19に示すように、吸気弁2の作用角に基づいて各気筒#1〜#4の燃料噴射量補正係数を算出し、ステップ505において、その燃料噴射量補正係数に基づいて各気筒#1〜#4の燃料噴射量を補正することにより、気筒間の燃料噴射量のばらつきが抑制される。そのため、吸気弁の作用角が変更され得る場合に、吸気弁の作用角に基づいて気筒間ばらつきが抑制されない場合よりも適切に気筒間の空燃比のばらつきを抑制することができる。
また、第八の実施形態又はその変形例によれば、吸気弁の作用角に基づいて気筒間ばらつきが抑制されるため、例えばセンサ57のガス当りが悪く、センサ57の出力値から算出される目標空燃比が適切な目標空燃比にならない場合にも適切に気筒間ばらつきを抑制することが可能となる。
また第八の実施形態又はその変形例によれば、ステップ505において吸気弁2の作用角に基づいて燃料噴射量を補正することにより気筒間の空燃比のばらつきが抑制される。例えばある気筒の空燃比がリッチ側にばらついている場合にはその気筒の燃料噴射量を減量補正することにより気筒間の空燃比のばらつきが抑制される。また、吸気弁の作用角が小さくなるほど、実際の作用角が目標作用角からずれたときに気筒間の空燃比のばらつきが大きくなる点に鑑み、図19に示すように、吸気弁の作用角が小さくなるほど燃料噴射量補正係数と1.0との差分が大きくなるようにし、その結果、燃料噴射量の補正量が多くなるようにすることにより気筒間の空燃比のばらつきが抑制される。そのため、吸気弁の作用角に基づいて燃料噴射量が補正されない場合よりも適切に気筒間の空燃比のばらつきを抑制することができる。
詳細には、ステップ501及びステップ502において気筒間の空燃比のばらつきが検出されたとき、ステップ503において、そのばらつきを低減する燃料噴射量補正係数が算出され、ステップ504において、その燃料噴射量補正係数とそのときの吸気弁の作用角とに基づいて燃料噴射量補正係数と吸気弁の作用角との関係L1が算出され、吸気弁の作用角が変更されたときには、変更後の吸気弁の作用角とその関係L1とに基づいて吸気弁作用角変更後の燃料噴射量補正係数が算出される。
以下、本発明の内燃機関の制御装置の第九の実施形態について説明する。第九の実施形態の構成は、上述した第八の実施形態の構成とほぼ同様である。
図20は第九の実施形態の目標空燃比補正制御方法を示したフローチャートである。このルーチンは所定時間間隔で実行される。図20に示すように、このルーチンが開始されると、まずステップ600において、後述するマップが既に作成されているか否かが判断される。YESのときにはステップ604に進み、NOのときにはステップ501に進む。ステップ501では、第八の実施形態と同様に、空燃比センサ57の出力値に基づいて例えば機関アイドル運転時のような定常状態における各気筒#1〜#4の空燃比が算出される。
次いでステップ502では、第八の実施形態と同様に、気筒間の空燃比のばらつきがあるか否かが判断される。気筒間の空燃比のばらつきが所定値以上のときにはステップ601に進み、気筒間の空燃比のばらつきが所定値未満のときには、このルーチンを終了する。ステップ601では、すべての気筒#1〜#4の平均空燃比が算出される。すべての気筒#1〜#4の平均空燃比は、例えば各気筒#1〜#4の空燃比を加算し、それを4で割ることによって算出される。次いでステップ602では、センサ57の出力値に基づく目標空燃比(以下、「センサ目標空燃比」という)と、例えばストイキ空燃比と、ステップ601において算出された平均空燃比とに基づいて、新たな目標空燃比(以下、「補正目標空燃比」という)が算出される。つまり、センサ目標空燃比が補正されて、補正目標空燃比が算出される。
補正目標空燃比=センサ目標空燃比×ストイキ空燃比/平均空燃比・・(1)
上述した式(1)によってはハンチングするおそれがある場合、あるいは、ステップ601において算出された平均空燃比の精度が低い場合には、式(2)に示すように、なまして補正目標空燃比を算出することも可能である。(この場合には、補正目標空燃比をなました値を用いて空燃比を補正し、再び補正目標空燃比を求めることを繰返して収束した補正目標空燃比を用いてステップ603にて目標空燃比マップを作成する。)
補正目標空燃比
=(ストイキ空燃比−平均空燃比)/k+センサ目標空燃比・・(2)
kは正の整数
次いでステップ603では、ステップ602において算出された補正目標空燃比とそのときの吸気弁2の作用角とに基づき、補正目標空燃比と吸気弁2の作用角との関係を示す目標空燃比マップが作成される。図21は補正目標空燃比と吸気弁の作用角との関係を示す図である。図21に示すように、ステップ602において点P2が算出されると、ステップ603において、補正目標空燃比と吸気弁の作用角との関係を示す曲線L2が点P2から算出され、その曲線L2に基づいて目標空燃比マップが作成される。第九の実施形態の変形例では、ステップ603において、マップを作成する代わりに、曲線L2を簡略化させた関係式を算出することも可能である。また第九の実施形態の他の変形例では、点P2だけでなく点P2’をステップ602と同様のステップにおいて算出し、点P2と点P2’とに基づいて曲線L2と同様の曲線を算出し、その曲線に基づいて燃料噴射量補正係数マップを作成することも可能である。
ステップ604では空燃比のフィードバック制御が実行される。つまり、ステップ603において作成されたマップ上の補正目標空燃比に基づいて、すべての気筒#1〜#4の燃料噴射量が一律に補正される。すなわち、図21に示したマップが作成されておらず、ステップ600においてNOと判断されたときには、空燃比のフィードバック制御を実行するための補正目標空燃比がステップ602において算出され、ステップ604において、その補正目標空燃比に基づいて空燃比のフィードバック制御が実行される。一方、図21に示したマップが既に作成されており、ステップ600においてYESと判断されたときには、マップが作成された時点から吸気弁2の作用角が変更されている場合であってもステップ602は実行されず、ステップ604において、既に作成されたマップ上の補正目標空燃比に基づいて空燃比のフィードバック制御が実行されることになる。
第九の実施形態では、燃料噴射量は下記の式(3),(4)に基づいて算出される。
燃料噴射量=基本噴射量+フィードバック補正量・・(3)
フィードバック補正量=a×f+b×g・・・・・・(4)
a,bはゲイン、f,gは補正目標空燃比及びセンサ目標空燃比の関数
つまり、例えば補正目標空燃比がリーン側にシフトすると、フィードバック補正量が減少し、燃料噴射量が減量補正される。一方、例えば補正目標空燃比がリッチ側にシフトすると、フィードバック補正量が増加し、燃料噴射量が増量補正される。
上述したように第九の実施形態では、吸気弁2の作用角に基づいて目標空燃比が補正される、つまり、吸気弁2の作用角に基づいて補正目標空燃比が変更されているが(図21参照)、第九の実施形態の変形例では、代わりに、吸気弁2の作用角に基づいて空燃比フィードバック制御に関するいずれか又はすべての係数を補正することも可能である。これらの係数には、上述した補正目標空燃比の他、ゲインa,b、センサ目標空燃比などが含まれる。
また第九の実施形態の他の変形例では、代わりに、燃料噴射量は下記の式(5),(6)に基づいて算出される。
燃料噴射量=基本噴射量+増量系補正量+フィードバック補正量・・(5)
フィードバック補正量=A×P+ΣA×I+(dA/dt)×D・・(6)
Aは補正目標空燃比とセンサ目標空燃比との偏差、P,I,Dはゲイン
増量系補正量には機関冷却水温が低い時の補正量や排気温度の上昇を抑制するための補正量が含まれる。
第九の実施形態の変形例では、吸気弁2の作用角に基づいて空燃比フィードバック制御に関するいずれか又はすべての係数を補正することが可能である。これらの係数には、上述した補正目標空燃比の他、ゲインP,I,D、補正目標空燃比とセンサ目標空燃比との偏差Aなどが含まれる。
第九の実施形態又はその変形例によれば、空燃比フィードバック制御に関する所定の係数が吸気弁2の作用角に基づいて補正される。詳細には、図21に示したように、吸気弁2の作用角に基づいて補正目標空燃比が算出される。例えばセンサ57のガス当たりが悪いためにセンサ目標空燃比が適切に設定されず、その結果、全体の空燃比がリッチ側にシフトしている場合には、全体の空燃比をリーン側にシフトさせるように補正目標空燃比が算出される。
また第九の実施形態又はその変形例によれば、吸気弁2の実際の作用角が吸気弁2の目標作用角からずれてしまう場合、センサ57の出力値に基づいて設定されるセンサ目標空燃比は、吸気弁2の作用角が小さいほど適切な目標空燃比から大きくずれてしまう傾向がある点に鑑み、図21に示したように、例えば吸気弁2の作用角が小さくなるほど、目標空燃比の補正量が多くされる、つまり、補正目標空燃比とストイキ空燃比との偏差が大きくされる。そのため、吸気弁2の作用角に基づいて目標空燃比が補正されない場合よりも目標空燃比の値を適切な値にすることができる。つまり、センサ57のガス当たりが悪い場合、つまり、センサ57の出力値から算出されるセンサ目標空燃比が適切な目標空燃比にならない場合であっても適切な空燃比フィードバック制御を実行することができる。
詳細には、ステップ501及びステップ502において気筒間の空燃比のばらつきが検出されたとき、ステップ602において目標空燃比が算出(適切な目標空燃比に補正)され、ステップ603において、その目標空燃比とそのときの吸気弁2の作用角とに基づいて目標空燃比と吸気弁の作用角との関係L2が算出され、吸気弁2の作用角が変更されたときには、変更後の吸気弁2の作用角とその関係L2とに基づいて吸気弁作用角変更後の適切な補正目標空燃比が算出される。
以下、本発明の内燃機関の制御装置の第10の実施形態について説明する。第10の実施形態の構成は、上述した第八及び第九の実施形態の構成とほぼ同様である。従って、第八及び第九の実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
図22は第10の実施形態の気筒間ばらつき抑制制御方法を示したフローチャートである。このルーチンは所定時間間隔で実行される。図22に示すように、このルーチンが開始されると、まずステップ501において、第八及び第九の実施形態と同様に、空燃比センサ57の出力値に基づいて例えば機関アイドル運転時のような定常状態における各気筒#1〜#4の空燃比が算出される。次いでステップ502では、第八及び第九の実施形態と同様に、気筒間の空燃比のばらつきがあるか否かが判断される。気筒間の空燃比のばらつきが所定値以上のときにはステップ503に進み、気筒間の空燃比のばらつきが所定値未満のときには、このルーチンを終了する。
ステップ503では、第八の実施形態と同様に、算出された各気筒#1〜#4の空燃比に基づいて各気筒#1〜#4の燃料噴射量補正係数がそれぞれ算出される。例えば実際の空燃比が目標空燃比に対してリッチ側にばらついているときには、燃料噴射量を減量補正すべく比較的小さい値の燃料噴射量補正係数が算出される。一方、実際の空燃比が目標空燃比に対してリーン側にばらついているときには、燃料噴射量を増量補正すべく比較的大きい値の燃料噴射量補正係数が算出される。次いでステップ700では、ステップ503において算出された燃料噴射量補正係数が所定値の範囲内にあるか否かが判断される。つまり、燃料噴射量補正係数が小さすぎるときには、ステップ701に進む。また、燃料噴射量補正係数が大きすぎるときにも、ステップ701に進む。一方、燃料噴射量補正係数が所定値の範囲内にあるときには、ステップ500に進む。
ステップ500では、燃料噴射量補正係数マップが既に作成されているか否かが判断される。YESのときにはステップ504に進み、NOのときにはステップ505に進む。ステップ504では、第八の実施形態と同様に、ステップ503において算出された燃料噴射量補正係数とそのときの吸気弁2の作用角とに基づき、図19に示したような燃料噴射量補正係数と吸気弁2の作用角との関係を示す燃料噴射量補正係数マップが作成される。ステップ505では、第八の実施形態と同様に、各気筒#1〜#4について燃料噴射量が補正される。つまり、図19に示したマップが作成されておらず、ステップ500においてNOと判断されたときには、ステップ503において算出された燃料噴射量補正係数に基づいて燃料噴射量が補正される。一方、図19に示したマップが既に作成されており、ステップ500においてYESと判断されたときには、既に作成されたマップに基づいて燃料噴射量が補正されることになる。
ステップ701では、ステップ503において算出された燃料噴射量補正係数が所定の上限値及び下限値によりガードされる。次いでステップ600では、第九の実施形態と同様に、目標空燃比マップが既に作成されているか否かが判断される。YESのときにはステップ604に進み、NOのときにはステップ601に進む。ステップ601では、第九の実施形態と同様に、すべての気筒#1〜#4の平均空燃比が算出される。次いでステップ602では、第九の実施形態と同様に、センサ目標空燃比と例えばストイキ空燃比とステップ601において算出された平均空燃比とに基づいて補正目標空燃比が算出される。次いでステップ603では、第九の実施形態と同様に、ステップ602において算出された補正目標空燃比とそのときの吸気弁2の作用角とに基づき、補正目標空燃比と吸気弁2の作用角との関係を示す目標空燃比マップが作成される。
ステップ604では、第九の実施形態と同様に、ステップ604では空燃比のフィードバック制御が実行される。尚、上述したようにステップ701において燃料噴射量補正係数がガードされているため、燃料噴射量の補正量はあまり大きくならない。
上述したように第10の実施形態では、吸気弁2の作用角に基づいて目標空燃比が補正される、つまり、吸気弁2の作用角に基づいて補正目標空燃比が変更されているが(図21参照)、第10の実施形態の変形例では、代わりに、第九の実施形態の変形例と同様に、吸気弁2の作用角に基づいて空燃比フィードバック制御に関するいずれか又はすべての係数を補正することも可能である。
また第10の実施形態の他の変形例では、第九の実施形態の他の変形例と同様に、燃料噴射量は上述した式(5),(6)に基づいて算出される。また第10の実施形態の変形例では、第九の実施形態の変形例と同様に、吸気弁2の作用角に基づいて空燃比フィードバック制御に関するいずれか又はすべての係数を補正することが可能である。
第10の実施形態によれば、第八及び第九の実施形態と同様の効果を奏することができる。更に第10の実施形態によれば、燃料噴射量の補正量が大きいとトルク変動が生ずるおそれがある点に鑑み、算出された燃料噴射量の補正量が小さいときとステップ700において判断されたときには、ステップ505においてそれぞれの気筒#1〜#4について燃料噴射量を別個に補正することによって気筒間の空燃比のばらつきが抑制され、一方、算出された燃料噴射量の補正量が大きいときとステップ700において判断されたときには、ステップ701において燃料噴射量の補正量が所定値でガードされ、ステップ602及びステップ603において補正目標空燃比が算出され、ステップ604においてその補正目標空燃比に基づいてすべての気筒#1〜#4の燃料噴射量が一律に補正される。つまり、空燃比のフィードバック制御が実行される。そのため、トルク変動を抑制しつつ、空燃比を適切に制御することができる。
当然ながら、上述した第八から第10の実施形態は、吸気弁2のバルブリフト量が図6の実線に示すように設定されている場合のみならず、図6の一点鎖線に示すように設定されている場合や、それよりも吸気弁2の閉弁時期を遅角させた場合にも適用可能である。