JP2005216599A - マイクロ波加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 チョコレート塊を対流を期待しないで、短時間で融解し、液体化させる。
【解決手段】 スロットアンテナ12aの位置(回転アンテナ12の回転角度)と、ターンテーブル4の回転角度とで決まる加熱パターンを予めチョコレート塊2を使用した加熱実験によりまたはコンピューター解析により求め、これらの各種データを制御装置11に登録すれば、制御装置11によりそれぞれを制御することによってマイクロ波がチョコレート塊2に直接照射して加熱され、熱伝導にたよらず、加熱ムラを短時間に効率良く緩和させ、チョコレート塊2をほぼ中心部まで効率良く均一に加熱することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、マイクロ波加熱装置に係り、特にマイクロ波を照射して固体化した動植物性油脂等の被加熱物を効率的に液体化処理を行うマイクロ波加熱装置に関するものである。
通常、食料品原料供給メーカーでは、動植物性油脂として例えばチョコレートの場合、カカオ豆からチョコレート原料を製造する際にこのチョコレート原料に少量の砂糖を混合させて軟化させた状態で金属製容器として例えばステンレス製の1斗缶容器またはドラム缶容器内に収容し、約5℃程度に保冷された冷蔵庫内に保管される。すなわち、約5℃に固体化されたチョレート塊とした状態で保管されることが一般的に行われている。
そして、食料品原料供給メーカーが製菓会社から注文を受けた場合には、注文量に応じてステンレス製容器内に収容された固体化した状態のチョコレート原料を融解させ、液体化した状態にして製菓会社へ輸送することが行われている。この場合、液体化したチョコレート原料は、約1日程度の日時では容易に固体化しないので、製菓会社の取り扱いの利便性を考慮して液体化させた状態で納入される。
従来、この種の固体化したチョコレート塊の液体化には、固体化チョコレート塊を金属製容器内に収容して直接ヒータ加熱処理させ、またはプラスチック容器内に収容して高周波加熱処理させてその容器を55℃〜75℃程度の加熱温度に保持させるようにしたチョコレート原料の融解方式が用いられていた。この場合、固体化したチョコレート原料の全体量を融解し、液体化処理するには例えば1斗缶容器の場合では、一昼夜以上の日時を要する。なお、この種の動植物性油脂等をマイクロ波の照射により融解させる液体化させる加熱技術に関する公開公報等は見当たらない。
しかしながら、固体化したチョコレート原料を融解し、液体化する手段として金属製容器をヒータ加熱してその熱伝導のみにて容器内のチョコレート原料を熔解する方式を用いていたので、容器の内壁部分に存在するチョコレート原料が融解しても、その中央部分に存在するチョコレート原料を融解させるまでには、1斗缶容器では一昼夜以上の日時を要し、短時間でチョコレート原料を融解することが不可能であるという課題があった。
また、製菓会社の注文に対応して重さが約1トン(縦,横,高さが約1m程度)の固体化チョコレート原料をその全体量を液体化した状態で納品するには、通常用いられる発振周波数が約2.45GHzのマイクロ波加熱を用いた場合では約3日(約72時間)以上の多大な融解時間を要し、短時間でチョコレート原料を融解することが不可能であるという課題があった。
また、固体化したチョコレート原料は、約70℃以上の高温度で液体化させると、融解したチョコレート原料内で対流が発生し、融解時間を短縮させることが可能となるが、この場合、チョコレート原料が変質し易くなり、品質を低下させ、信頼性を低下させることになる。このためにチョコレート原料の変質を極力抑えるためには、液体化させても、可能な限り低温度を保持する必要がある。この場合、低温度での対流が期待できないので、約1日(24時間)以内の短時間にて大量のチョコレート原料をその全体量を液体化することが不可能であった。
したがって、本発明は前述した従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、対流を期待しないで固体化チョコレート原料を短時間で融解し、液体化を実現可能とするマイクロ波加熱装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、固体化チョコレート原料をその変質を起こさせることなく、チョコレート自体の品質を維持させた状態で融解させ、液体化を可能とするマイクロ波加熱装置を提供することにある。
このような目的を達成するために本発明によるマイクロ波加熱装置は、一方の面に被加熱物を挿入出する開閉自在な開閉蓋を有し、且つ他方の面に開口窓を有する金属製板材からなる箱状の加熱室と、この加熱室内の底部に回転自在に設置され、且つ被加熱物を搭載するターンテーブルと、加熱室内の底面に設置され、且つターンテーブルの平滑回転駆動を支持するローラと、加熱室に外部に設置され、且つターンテーブルに回転駆動力を付与する第1の駆動手段と、開口窓に空洞部を介在させて連結され、且つ加熱室内にマイクロ波を伝播させる伝送線路と、この伝送線路に結合され、且つ伝送線路内にマイクロ波を放射するマグネトロンアンテナを有するマイクロ波発生装置と、開口窓と空洞部との境界に回転自在に設置され、且つ伝送線路内を伝播するマイクロ波を加熱室内に拡散させる少なくとも1つのスロットアンテナを有する円板状の回転アンテナと、加熱室の外部に設置され、且つ回転アンテナに回転駆動力を付与する第2の駆動手段と、ターンテーブルの回転駆動及び回転アンテナの回転駆動を制御させる制御装置とを設けたことにより、回転アンテナのスロットアンテナから拡散されるマイクロ波が被加熱物に直接照射して加熱され、熱伝導に頼らず非加熱物をそのほぼ中心部まで加熱が可能となり、背景技術の課題が解決される。
また、上記構成において、マイクロ波発生装置は、被加熱物を立体形状とし、当該立体形状の最小寸法の厚さをBとしたとき、当該被加熱物の厚さBに対して当該被加熱物に浸透する前記マイクロ波の電力半減深度Hを2.5H≧Bとなるマイクロ波周波数を選択し、マイクロ波が被加熱物に直接照射して加熱され、熱伝導に頼らず非加熱物をほぼ中心部まで均一加熱が可能となり、背景技術の課題が解決される。
また、上記構成において、好ましくはマイクロ波発生装置のマイクロ波発振周波数を450MHzとすることにより、マイクロ波が被加熱物に直接照射して加熱され、熱伝導に頼らず非加熱物をほぼ中心部まで加熱が可能となり、背景技術の課題が解決される。
なお、本発明は、前記各構成及び後述する実施の形態に記載される構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
本発明によるマイクロ波加熱装置によれば、マイクロ波が直接被加熱物を加熱するので、熱伝導に頼らず被加熱物の中心部まで加熱可能となるので、非加熱物に変質を極力抑えて短時間のうちに加熱熔解できるという極めて優れた効果が得られる。
また、本発明によるマイクロ波加熱装置によれば、確認した発熱パターンを重ね合わせて加熱するので、被加熱物の融解が短時間で均一化され、非加熱物の変質を極力抑えて短時間のうちに加熱熔解できるという極めて優れた効果が得られる。
以下、本発明の具体的な実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明によるマイクロ波加熱装置の実施例1による構成の概略を説明する要部斜視図であり、図2はその断面図である。図1及び図2において、1は金属製板材により密閉して形成された箱状の大型の加熱室であり、この加熱室1の前面側には、内部に被加熱物として例えば固体化したチョコレート塊2を収容したプラスチック容器3を挿入出させる開閉自在な金属製板材からなる開閉扉(図示せず)が設けられている。この加熱室1の大きさは、その内部の横方向が約1600mm,高さ方向が約1400mm,奥行き方向が約1600mmであり、固体化したチョコレート塊2の大きさは、一辺が約1000mmの直方体で成形されてある。
また、この加熱室1の底面には、固体化したチョコレート塊2を収容するプラスチック容器3を搭載して周方向に回転させるターンテーブル4が配設されている。このターンテーブル4は、加熱室1内において重量の大きいチョコレート塊2を支持するとともに、円滑に回転させるリング状の複数のローラ5a,5b上に配設され、加熱室1の底面の外側側に配設されたモータ6の回転駆動軸7に連結されている。なお、このモータ6はターンテーブル4のステップ回転を制御させる後述する制御装置に接続されている。
また、この加熱室1の側面には、円形状の開口窓8が形成され、この開口窓8には、主空洞部9a及び副空洞部9bを有し、マイクロ波を効率良く伝播させる伝送線路9の副駆動部9bが連結され、この伝送線路9の主空洞部9aには伝送線路9内にマグネトロンアンテナ10aを突出させたマイクロ波発生装置10が連結されている。また、このマイクロ波発生装置10には、マグネトロンアンテナ10aから放射するマイクロ波の連続放射または断続放射を制御させる制御装置11が接続されている。なお、本実施例では、マイクロ波発生装置10のマイクロ波発振周波数は約450MHzである。
また、この伝送線路9には、加熱室1の開口窓8を塞ぐようにスロットアンテナ(マイクロ波放出口)12aを有するアルミニウム板材からなる回転アンテナ12が回転自在に配設されている。この回転アンテナ12は、伝送線路9の外側に配設されたモータ13の回転駆動軸13aに固定ナット14によりその中心軸に保持固定され、モータ13の回転に伴って伝送線路9内を伝播するマイクロ波が矩形状に穿設されたスロットアンテナ12aを通過させて加熱室1内に均一に拡散される構造となっている。
また、この回転アンテナ12の駆動用モータ13及び上記ターンテーブル4の駆動用モータ6は、制御装置11に電気的に接続され、この制御装置11から出力されるシーケンス制御による制御信号に基づいてそれぞれモータ13,6の各種の回転駆動を行う構造となっている。
このような構成において、固体化したチョコレート塊2は、図3に斜視図で示すように例えば直方体からなり、その大きさは、横方向寸法をA,奥行き方向寸法をB,縦方向寸法をCとしたとき、奥行き方向寸法Bは、横方向寸法A及び縦方向寸法Cより小さく(B<A,C)、奥行き寸法Bを厚さと称することとする。
また、このような構成において、固体化チョコレート塊2は、この直方体形状の最小寸法の厚さ(奥行き方向寸法B)をBとしたとき、その厚さBに対してチョコレート塊2に浸透するマイクロ波の電力半減深度Hを2.5H≧Bとなるようなマイクロ波を発生させるマイクロ波発生装置10を用いる。
つまり、加熱室1の内部にマイクロ波を充満させた場合には、チョコレート塊2を構成する各材料の誘電特性によりマイクロ波の浸透深さが変化する。ここで構成材料の比誘電率をε´とし、誘電損失角正接をtanδとすると、マイクロ波電力半減深度Hは、
H≒3.32×107/(f・√ε´・tanδ) (m)
で規定される。ここで、fはマイクロ波の周波数である。
このように構成されるマイクロ波加熱装置は、まず、固体化した直方体状のチョコレート塊2が収容されたプラスチック容器3を加熱室1内のターンテーブル4上に一定の方向(例えば図示しない開閉扉に対して略平行な位置)に載置する。この位置でターンテーブル4は回転させずに停止した状態に保持させる。
次に、図示しない開閉扉を閉じた後、マイクロ波発生装置10を駆動させ、マグネトロンアンテナ10aから出射したマイクロ波は伝送線路9内に供給され、この伝送線路9内を伝播する。伝送線路9内に供給されたマイクロ波は、駆動モータ13を回転駆動させ、回転アンテナ12を連続的に低速度回転,90度毎のステップ回転またはその組み合わせ回転により、スロットアンテナ12aを通して加熱室1内に均一に拡散させて固体化したチョコレート塊2の回転アンテナ12と対向する面にマイクロ波を均一に照射させて加熱させる。
この場合、チョコレート塊2の最高温度部分(一般にはマイクロ波を供給する回転アンテナ12に近接して対向する部分)が変質温度以下のある一定幅(約50℃から約60℃までの範囲)になるようにマイクロ波加熱させる。これによってプラスチック容器3内に収容される固体化したチョコレート塊2が均一に加熱融解される。この温度幅に到達したら、モータ6を駆動させてターンテーブル4をゆっくりと回転(等速回転)させ、約90度回転(チョコレート塊2の加熱されなかった面がマイクロ波を供給する回転アンテナ12に近接対向する)させて停止する。
この場合、スロットアンテナ12aは、回転アンテナ12の回転に伴ってその照射位置が変化するので、固体化したチョコレート塊2が加熱ムラを発生することなく均一に融解される。すなわち、加熱ムラが緩和される。
この位置でチョコレート塊2の最高温度部分が変質温度以下の一定幅(約50℃から約60℃までの温度範囲)になるようにマイクロ波加熱させ、均一に加熱融解される。この場合、最初に回転アンテナ12に近接対向する部分(面)では、約50℃から約60℃までに達していた部分の温度は、他の温度の低い部分に熱が伝導拡散したり、空気や他の物体に熱を伝達したりして低くなる。このためにこの加熱工程を順に複数回にわたって繰り返すことにより、チョコレート塊2の温度は均一化され、その全体が約35℃から約60℃までの範囲の低温液体化状態となる。
また、加熱工程の途中でマイクロ波発生装置10の駆動を停止させてマイクロ波加熱を中止させると、チョコレート塊2の中での熱伝導により加熱の均一化が改善される。チョコレート塊2から他の物体への熱の伝達による熱損失を加味すると、一回のマイクロ波加熱の休止期間は約3時間以内に留め、その加熱サイクルを数回繰り返すことにより、大きな均一加熱効果が得られる。なお、この休止期間は約3時間以内に制限されるものではなく、チョコレート塊2の大きさ及び融解状態などに対応して適宜決定すれば良い。
これらの一連の制御は、スロットアンテナ12aの位置(回転アンテナ12の回転角度)と、ターンテーブル4の回転角度とで決まる加熱パターンを予めチョコレート塊2を使用した加熱実験によりまたはコンピューター解析により求め、これらの各種データを制御装置11に登録すれば、制御装置11によりそれぞれを制御することによって加熱ムラを短時間に効率良く緩和させ、効率良く均一に加熱することができる。
したがって、このように構成されたマイクロ波加熱装置では、形状及び重量が一定にチョコレート塊2をターンテーブル4上に一定の位置に載置すれば、チョコレート塊2を搭載したターンテーブル4及び回転アンテナ12の連続回転,ステップ回転及びそれらの組み合わせ回転を制御装置11から出力される加熱パターンに基づくシーケンス制御により、
ある角度までは低速度回転させてマイクロ波加熱させ、ある角度である時間固定させてマイクロ波加熱し、また、次のある角度までは低速度回転させてマイクロ波加熱させ、これらを複数回繰り返すことにより、チョレート塊2の均一な融解を促進させ、効率良く均一に加熱融解することができる。発明者らの複数回の実験を繰り返した結果、一辺が約1mの立方体の大きさのチョコレート塊2を現状の約72時間から約24時間以内で液体化することが確認できた。
このような構成によれば、チョコレート塊2の融解が短時間(現状の約72時間が約24時間になる)で可能となるので、TAT(Turn Around Time:データを入力してから処理結果が返ってくるまでの時間)の短縮及びチョコレート原料の在庫削減が実現可能となる。また、同業他社との優位性が明確になるなど、チョコレート原料供給メーカーにとっても、製菓会社にとってもその効果が極めて大きくなる。
ここで、被加熱物をチョコレート原料とした場合の融解熱について説明する。一般的にチョコレート原料の融解熱は、水と異なり、−15℃〜35℃の温度範囲であり、一回目の融解と二回目の融解とでその融解パターンが異なる結果となり、一定していない。チョコレート原料に含まれるカカオ油脂は約6種類の結晶が存在するが、熱的に安定なものであっても、約34℃程度で融解する。
図4は、チョコレート原料の融解熱のパターンを示す図であり、図4(a)は一回目の融解パターンを、図4(b)二回目の融解パターンをそれぞれ示している。同図に示すように一回目の融解熱は、約36.26J/gであり、二回目の融解熱は約23.45J/gである。
一方、チョコレート原料の誘電常数とマイクロ波周波数との関係については、チョコレート原料の誘電常数を実測した結果、例えば約32℃における値は下記表1になることが分った。したがって、マイクロ波電力半減深度Hも計算により求められるので、その結果も下記表1に示す。
Figure 2005216599
チョコレート原料は、高温度状態となると、変質し易い物質であり、可能な限り変質点から離れて融点に近いところで融解する状態では、対流による熱の伝導が殆ど期待できない。熱伝導による熱の移動を実測し、その結果を用いてコンピュータ・シュミュレーションし、伝熱係数及び伝達係数を推定した。その結果を用い、厚さ方向の二面の壁から導波管を介してマイクロ波を給電したときの温度分布を推定した。
得られた結果の一例としてチョコレート塊2の最高温度部(チョコレート塊2の表面で回転アンテナ12に対向する部分)が約60℃になったとき、約25℃の室温で放置したときの各部の温度変化をシュミュレーションした結果を図5に示す。図5中、曲線イはチョコレート表面の高温部(約60℃)を、曲線ロはチョコレート中央部を、曲線ハはチョコレート表面の低温部(約5℃)をそれぞれ示している。
図5から明らかなように放置時間の設定もチョコレート塊2の均一加熱に大きく寄与することが判明した。特に加熱後の約3時間以内の放置がエネルギーの損失が少なく、チョコレート塊2の温度の均一化に有効であることが分った。この分析結果から、チョコレート塊2を水平に載置したターンテーブル4上で回転させると同時に加熱室1の内部側面に設置した回転アンテナ12を回転させてマイクロ波を均一に照射することにより、チョコレート塊2が均一に加熱融解される。
加熱後の放置による熱の拡散(伝導)も含めた一連のシュミュレーションの結果を総合すると、マイクロ波電力半減深度Hの2.5倍の厚さのチョコレート塊までは、対流が全く期待できないチョコレート塊であっても、その発振周波数で加熱が可能であることが分った。勿論、マイクロ波電力半減深度Hの約2倍の厚さのチョコレート塊までは、チョコレート塊の中心部まで十分にマイクロ波のエネルギーが到達するので、加熱時間のさらなる短縮が可能となる。したがって、チョコレート塊の場合には下記表2に示す結果が得られた。
Figure 2005216599
上記表2の結果から、被加熱物が動植物性油脂の場合は、その油脂が収容された容器の形状の大きさから、必要とするマイクロ波の周波数を選んでマイクロ波加熱装置に適用することが良いことが容易に分る。一例として3つの周波数について表2に示したが、これらの周波数に制限されるもではない。
なお、ISM周波数として認められている周波数は、漏洩限度値の規制が緩いが、ISM周波数以外であっても、電波法上の漏洩規制値を満足すれば、工業用として使用が可能である。
図6は、上記表2の結果をグラフで示したものである。一般的にUHFテレビ周波数幅は、470MHzから770MHzの範囲であることから、例えば、1m立法体のチョコレート塊2を加熱融解するためには、約450MHz前後のマイクロ波周波数を利用することが最適であることが分る。
本実施例のマイクロ波加熱装置は、チョコレート塊2をより速く加熱する方法について特にマイクロ波の給電方法,チョコレート塊2の位置及びその回転などについて説明すると、例えば、チョコレート塊2の大きさの一辺が約1mの立方体の場合では、下記表3の示すような装置構造が好適であることが明らかとなった。
Figure 2005216599
なお、前述した各実施例では、加熱室1の内側面に1個の回転アンテナ12を配設した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、この回転アンテナ12と対向する内側側面に第2の回転アンテナ及びこの第2の回転アンテナを回転駆動させるモータを配設して回転アンテナ12と同時に回転させることにより、スロットアンテナの位置が変化するので、加熱室1内に拡散されたマイクロ波がさらに攪拌され、チョコレート塊2の加熱ムラをさらに緩和させることができる。
また、前述した実施例において、加熱室1の開口窓8を塞ぐように配設された円板状の回転アンテナ12は、1個の矩形状のスロットアンテナ(マイクロ波放出口)12aを設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図7に平面図で示すように円板状の回転アンテナ12に2つのスロットアンテナ12aをハの字状に穿設して配列したスロットペアを渦巻き状に配列させて構成することにより、チョコレート塊2の厚さの面に対して均一な面給電(マイクロ波照射面)が可能となるので、回転アンテナ12の回転により、スロットアンテナ12aの位置が変化することで加熱ムラが緩和され、チョコレート塊2が効率良く昇温し、チョコレート塊2の均一な融解をさらに促進させ、融解時間をさらに短縮することが可能となる。
また、この円板状の回転アンテナ12は、他の実施例として図8に平面図で示すように開口形状がそれぞれ異なる複数個のスロットアンテナ12b,12c,12d,12eを穿設して構成しても上記同様の効果が得られる。
なお、前述した各実施例では、加熱室1の内側底面に1個のターンテーブル4を配設した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、このターンテーブル4に並列に第2のターンテーブル及びこのターンテーブルを駆動するモータを配設し、それぞれチョコレート塊2を収容したプラスチック容器3を載置して回転させることにより、チョコレート塊2の加熱ムラをさらに緩和させることができる。この場合は、回転アンテナ12A,12Bに穿設されるスロットアンテナの取り付け数量を削減することができる。
また、前述した実施例において、マイクロ波加熱装置は、加熱容器1の一方の側面に伝送線路9,マイクロ波発生装置12及び回転アンテナ12等から構成される1基のマイクロ波加熱ユニットを設置した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、加熱容器1の一方の面と対向する他方の側面に上記マイクロ波加熱ユニットと同一構成からなる2基目に相当する第2のマイクロ波加熱ユニットを設置しても良く、また、加熱容器1の一方の側面と他方の側面との間に挟まれた他の側面に上記同一構成からなる第3基目に相当する第3のマイクロ波加熱ユニットを設置しても良い。さらには加熱容器1の上面側に設置しても良い。
このような構成によれば、1基のマイクロ波加熱ユニットに加えて第2のマイクロ波加熱ユニットまたは第3のマイクロ波加熱ユニットを並行させて駆動させることにより、効率良く均一にマイクロ波加熱による融解が可能となるとともに、短時間(約24時間以内)での加熱融解が実現可能となる効果が得られる。
また、前述した各実施例においては、被加熱物として固体化したチョコレート塊を融解させるチョコレート融解装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、動物性油脂または植物性油脂などの融解装置に適用しても前述と全く同様の効果が得られる。
一般に動物性油脂及び植物性油脂は、常温から体温程度までの温度範囲で固体から液体に移行するものが多く、これらの油脂を品質を変質させることなく、短時間で加熱液体化させることができる。これらの油脂を変質させることなく短時間で加熱液体化させることは、次の加工工程への流れをスムーズに移行させることが可能となるので、生産性を大幅に向上させることができる。また、動物性油脂または植物性油脂を融解させて特定の物質を抽出する際にも対流が緩やかな物質の加熱手段としてもその適用が可能である。
本発明によるマイクロ波加熱装置の実施例1による構成を示す要部斜視図である。 図1のマイクロ波加熱装置の構成を示す要部断面図である。 チョコレートの融解熱パターンを示す図である。 チョコレート塊の形状を示す斜視図である。 チョコレート塊の最高温度部が60℃になったときに25℃の室温に放置したときの各部の温度変化を示す図である。 チョコレート塊の厚さとマイクロ波周波数との関係を示す図である。 本発明に係る回転アンテナの他の実施例による構成を示す平面図である。 本発明に係る回転アンテナのさらに他の実施例による構成を示す平面図である。
符号の説明
1・・・加熱室、2・・・チョコレート塊、3・・・プラスチック容器、4・・・ターンテーブル、5a・・・ローラ、5b・・・ローラ、6・・・モータ、7・・・回転駆動軸、8・・・開口窓、9・・・伝送線路、9a・・・主空洞部、9b・・・副空洞部、10・・・マイクロ波発生装置、10a・・・マグネトロンアンテナ、11・・・制御装置、12・・・回転アンテナ、12A・・・回転アンテナ、12B・・・回転アンテナ、12a・・・スロットアンテナ、12b・・・スロットアンテナ、12c・・・スロットアンテナ、12d・・・スロットアンテナ、12e・・・スロットアンテナ。

Claims (3)

  1. 一方の面に被加熱物を挿入出する開閉自在な開閉蓋を有し、且つ他方の面に開口窓を有する金属製板材からなる箱状の加熱室と、
    前記加熱室内の底部に回転自在に設置され、且つ前記被加熱物を搭載するターンテーブ ルと、
    前記加熱室内の底面に設置され、且つ前記ターンテーブルの平滑回転駆動を支持するロ ーラと、
    前記加熱室に外部に設置され、且つ前記ターンテーブルに回転駆動力を付与する第1の 駆動手段と、
    前記開口窓に空洞部を介在させて連結され、且つ前記加熱室内にマイクロ波を伝播させる伝送線路と、
    前記伝送線路に結合され、且つ前記伝送線路内にマイクロ波を放射するマグネトロンアンテナを有するマイクロ波発生装置と、
    前記開口窓と前記空洞部との境界に回転自在に設置され、且つ前記伝送線路内を伝播するマイクロ波を前記加熱室内に拡散させる少なくとも1つのスロットアンテナを有する円板状の回転アンテナと、
    前記加熱室の外部に設置され、且つ前記回転アンテナに回転駆動力を付与する第2の駆動手段と、
    前記ターンテーブルの回転駆動及び前記回転アンテナの回転駆動を制御させる制御装置と、
    を備えたことを特徴とするマイクロ波加熱装置。
  2. 前記マイクロ波発生装置は、前記被加熱物を立体形状とし、当該立体形状の最小寸法の厚さをBとしたとき、当該被加熱物の厚さBに対して当該被加熱物に浸透する前記マイクロ波の電力半減深度Hを2.5H≧Bとなるマイクロ波周波数を選択することを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
  3. 前記マイクロ波発生装置のマイクロ波発振周波数を450MHzとすることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波加熱装置。
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