ところで、上記特許文献1に開示されたマイクロリレーでは、アーマチュアにおいて各電磁石装置との対向面に2つの永久磁石を設けてあり、ベース基板の周部とアーマチュアブロックのフレーム部との間に厚み寸法の比較的大きなスペーサを介在させる必要があるので、リレー全体としての厚み寸法が大きくなってしまう。また、上記特許文献1に開示されたマイクロリレーでは、アーマチュアおよび固定接点および可動接点が外気に曝されて酸化などにより劣化する恐れがあるので、アーマチュアブロックにおけるベース基板とは反対側にカバーを設けることが考えられる。しかしながら、上記特許文献1に開示されたマイクロリレーでは、各電磁石装置それぞれのコイルの両端部をベース基板に貫設された上記挿入孔から外部へ引き出す必要があるので、気密性が低くなる恐れがある。また、固定接点を外部と接続するためには、ベース基板の外形寸法をアーマチュアブロックの外形寸法よりも大きく設定し、ベース基板の上記一表面上に固定接点と連続し外部に露出する外部接続用の導体パターンを設ける必要があり、リレーのサイズが比較的大きくなってしまう。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、固定接点および可動接点の劣化防止を図れ且つリレー全体としての小型化を図れるマイクロリレーを提供することにある。
請求項1の発明は、厚み方向の一表面側に固定接点が設けられ且つ他表面側に電磁石装置を収納する収納部が形成されたベース基板と、ベース基板の前記一表面側に全周に亙って固着される枠状のフレーム部およびフレーム部の内側に配置されて支持ばね部を介してフレーム部に支持され電磁石装置により駆動されるアーマチュアおよび可動接点を有するアーマチュアブロックと、アーマチュアブロックにおけるベース基板とは反対側でアーマチュアブロックの少なくともアーマチュアおよび支持ばね部および可動接点を覆うように周部が全周に亙ってフレーム部に固着されたカバーとを備え、ベース基板は、厚み方向に貫通するスルーホールの内周面に被着された金属配線を介して固定接点に電気的に接続される導体パターンが前記他表面側に形成され、スルーホールを閉塞する閉塞手段が設けられてなることを特徴とする。
この発明によれば、アーマチュアブロックにおけるベース基板とは反対側で周部が全周に亙ってフレーム部に固着されたカバーおよびスルーホールを閉塞する閉塞手段を備えていることにより、アーマチュアおよび固定接点および可動接点が密閉空間内に配置されるので、密閉空間内を真空としたり密閉空間内に不活性ガスを封入しておくことが可能となり、固定接点および可動接点の劣化防止を図れ、しかも、従来のようにアーマチュアブロックとベース基板との間にスペーサを介在させる必要がない上にベース基板の一表面上に外部に露出する外部接続用の導体パターンを設ける必要もないので、アーマチュアおよび固定接点および可動接点を密閉空間内に配置しながらもリレー全体の小型化を図れる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記閉塞手段は、前記ベース基板の前記一表面において前記スルーホールの周縁に形成された環状の金属薄膜と、金属薄膜の表面の全周に亙って接合された前記スルーホールを閉塞する薄膜状の蓋体とからなることを特徴とする。
この発明によれば、前記ベース基板の前記一表面において前記スルーホールの周縁に形成された環状の金属薄膜を利用して前記スルーホールを閉塞することができるので、蓋体を前記ベース基板の前記一表面に接合する場合に比べて気密性を高めることができる。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記金属薄膜および前記蓋体は少なくとも互いの接合面近傍の部分が同種の金属材料により形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記金属薄膜と前記蓋体との接合強度を高めることができる。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記金属材料が金であることを特徴とする。
この発明によれば、250℃〜400℃程度の比較的低温で前記金属薄膜と前記蓋体とを接合することが可能となるので、製造時に前記金属薄膜と前記蓋体とを接合する接合工程において、他の部材ならびに部材間の接合箇所に生じる応力歪を小さくすることができる。
請求項5の発明は、請求項2ないし請求項4の発明において、前記蓋体は、前記金属材料からなり前記金属薄膜に接合された接合用金属薄膜と接合用金属薄膜に積層されたシリコン薄膜との積層膜からなることを特徴とする。
この発明によれば、前記蓋体を前記金属薄膜に容易に接合することができ且つ前記蓋体の機械的な強度を高めることができる。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記シリコン薄膜は、前記ベース基板側へ突出し前記金属薄膜の周囲を全周に亙って囲む環状のストッパ突起が設けられてなることを特徴とする。
この発明によれば、製造時に前記蓋体を前記金属薄膜に接合する際の圧力を均一にできるとともに所望の値に保つことができる。
請求項7の発明は、請求項5または請求項6の発明において、前記シリコン薄膜は、低抵抗であって、前記ベース基板の前記一表面側に前記金属薄膜および前記接合用金属薄膜を介して形成され、前記接合用金属薄膜とは反対側の表面に前記固定接点が積層されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記固定接点と前記可動接点とが離れた状態における前記固定接点と前記可動接点との間の距離を小さくできて前記アーマチュアの動作角を低減させることができる。
請求項8の発明は、請求項5ないし請求項7の発明において、前記収納部が前記ベース基板において厚み方向に貫設した収納孔と前記ベース基板の前記一表面側において収納孔を閉塞するように前記ベース基板に固着された閉塞用薄膜とで囲まれる空間よりなり、前記蓋体と前記閉塞用薄膜とが同一平面上に配置されてなることを特徴とする。
この発明によれば、製造時に収納孔を前記閉塞用薄膜にて閉塞するのと同時に前記スルーホールを前記蓋体により閉塞することが可能となる。
請求項9の発明は、請求項5ないし請求項7の発明において、前記収納部が前記ベース基板において厚み方向に貫設した収納孔と前記ベース基板の前記一表面側において収納孔を閉塞するように前記ベース基板に固着された閉塞用薄膜とで囲まれる空間よりなり、前記蓋体と前記閉塞用薄膜とは前記ベース基板の前記一表面側に同時に固着されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記蓋体と前記閉塞用薄膜とを別々の工程で固着する場合に比べて工程数を削減できて製造プロセスの簡略化および低コスト化を図れる。
請求項10の発明は、請求項8または請求項9の発明において、前記ベース基板は、ガラス基板により形成され、前記閉塞用薄膜としてのシリコン膜が陽極接合により固着されてなることを特徴とする。
この発明によれば、製造時に前記蓋体および前記閉塞用薄膜を同時に前記ベース基板の前記一表面側へ陽極接合により固着することが可能となる。
請求項11の発明は、請求項5ないし請求項10の発明において、前記金属薄膜および前記接合用金属薄膜の一部は、前記ベース基板に形成された凹部であって且つ内底面に前記スルーホールの開口面が形成された凹部内に設けられ、前記シリコン薄膜の周部は凹部の周縁に重なっていることを特徴とする。
この発明によれば、製造時に前記蓋体を前記金属薄膜に接合する際に圧力をかけた場合に前記シリコン薄膜の周部が前記ベース基板における凹部の周縁に当接することでストッパとして機能し、接合時の圧力を均一にできるとともに所望の値に保つことができる。
請求項12の発明は、請求項1の発明において、前記閉塞手段は、前記スルーホール内の全体に亙って埋設された金属からなる封止部により構成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記固定接点および前記可動接点の劣化をより確実に防止することが可能となり、しかも、前記ベース基板の前記一表面側に形成された前記固定接点と前記他表面側に形成された前記導体パターンとの間の電気抵抗を低減できる。
請求項13の発明は、請求項1の発明において、前記スルーホールの内周面は、前記ベース基板の前記一表面から離れるほど徐々に内径が小さくなる第1のテーパ面と、前記ベース基板の前記他表面から離れるほど徐々に内径が小さくなる第2のテーパ面とで構成され、前記閉塞手段は、前記ベース基板の厚み方向における第1のテーパ面と第2のテーパ面との境界近傍にて前記スルーホールに埋設された金属からなる封止部により構成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記スルーホール内の全体に亙って金属が埋設されている請求項12の発明に比べて封止部に用いる金属の量を少なくでき、低コスト化を図れる。また、第1のテーパ面および第2のテーパ面が形成されていることにより、封止部の形成が容易になる。
請求項14の発明は、請求項12または請求項13の発明において、前記封止部は、めっきにより形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、製造時に前記封止部を前記固定接点と同時に形成することが可能となり、製造プロセスの簡略化を図れる。
請求項15の発明は、請求項1の発明において、前記閉塞手段は、前記ベース基板の前記一表面側および前記他表面側それぞれで前記スルーホールを閉塞する一対の薄膜状の蓋体と、当該一対の蓋体と前記スルーホールの内周面とで囲まれる空間内に充填された液体金属とからなることを特徴とする。
この発明によれば、前記固定接点および前記可動接点の劣化をより確実に防止することが可能となり、しかも、前記ベース基板の前記一表面側に形成された前記固定接点と前記他表面側に形成された前記導体パターンとの間の電気抵抗を低減できる。また、前記スルーホール内に隙間が形成されるのを防止することができ、より一層の低抵抗化を図ることができる。なお、液体金属としては、例えば水銀などの常温付近で液体となる金属を用いればよい。
請求項16の発明は、請求項1の発明において、前記閉塞手段は、前記スルーホール内の全体に亙って埋設されたガラスからなる封止部により構成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記固定接点および前記可動接点の劣化をより確実に防止することが可能となる。また、請求項12の発明に比べて封止部の材料コストを低減でき、低コスト化を図れるという利点がある。なお、封止部のガラスとして低融点のものを用いることで他の部材ならびに部材間の接合箇所に生じる応力歪を小さくすることができる。
請求項17の発明は、厚み方向の一表面側に固定接点が設けられ且つ他表面側に電磁石装置を収納する収納部が形成されたベース基板と、ベース基板の前記一表面側に全周に亙って固着される枠状のフレーム部およびフレーム部の内側に配置されて支持ばね部を介してフレーム部に支持され電磁石装置により駆動されるアーマチュアおよび可動接点を有するアーマチュアブロックと、アーマチュアブロックにおけるベース基板とは反対側でアーマチュアブロックの少なくともアーマチュアおよび支持ばね部および可動接点を覆うように周部が全周に亙ってフレーム部に固着されたカバーとを備え、ベース基板は、厚み方向に貫通するスルーホールの内周面に被着された金属配線を介して固定接点に電気的に接続される導体パターンが前記他表面側に形成され、アーマチュアブロックは、ベース基板の前記一表面側でスルーホールを閉塞する蓋体がフレーム部から連続一体に延設されてなることを特徴とする。
この発明によれば、アーマチュアブロックにおけるベース基板とは反対側で周部が全周に亙ってフレーム部に固着されたカバーおよびスルーホールを閉塞する蓋体を備えていることにより、アーマチュアおよび固定接点および可動接点が密閉空間内に配置されるので、密閉空間内を真空としたり密閉空間内に不活性ガスを封入しておくことが可能となり、固定接点および可動接点の劣化防止を図れ、しかも、従来のようにアーマチュアブロックとベース基板との間にスペーサを介在させる必要がない上にベース基板の一表面上に外部に露出する外部接続用の導体パターンを設ける必要もないので、アーマチュアおよび固定接点および可動接点を密閉空間内に配置しながらもリレー全体の小型化を図れる。また、スルーホールを閉塞する蓋体がフレーム部から連続一体に延設されているので、請求項1の発明に比べて部品点数を削減することができるとともに製造プロセスの簡略化を図れるという利点がある。
請求項18の発明は、厚み方向の一表面側に固定接点が設けられ且つ他表面側に電磁石装置を収納する収納部が形成されたベース基板と、ベース基板の前記一表面側に全周に亙って固着される枠状のフレーム部およびフレーム部の内側に配置されて支持ばね部を介してフレーム部に支持され電磁石装置により駆動されるアーマチュアおよび可動接点を有するアーマチュアブロックと、アーマチュアブロックにおけるベース基板とは反対側でアーマチュアブロックを覆うように周部が全周に亙ってベース基板の前記一表面側に固着されたカバーとを備え、ベース基板は、厚み方向に貫通するスルーホールの内周面に被着された金属配線を介して固定接点に電気的に接続される導体パターンが前記他表面側に形成され、カバーは、ベース基板の前記一表面側でスルーホールを閉塞する蓋体が連続一体に延設されてなることを特徴とする。
この発明によれば、アーマチュアブロックにおけるベース基板とは反対側でアーマチュアブロックを覆うように周部が全周に亙ってベース基板の前記一表面側に固着されたカバーおよびスルーホールを閉塞する蓋体を備えていることにより、アーマチュアおよび固定接点および可動接点が密閉空間内に配置されるので、密閉空間内を真空としたり密閉空間内に不活性ガスを封入しておくことが可能となり、固定接点および可動接点の劣化防止を図れ、しかも、従来のようにアーマチュアブロックとベース基板との間にスペーサを介在させる必要がない上にベース基板の一表面上に外部に露出する外部接続用の導体パターンを設ける必要もないので、アーマチュアおよび固定接点および可動接点を密閉空間内に配置しながらもリレー全体の小型化を図れる。また、スルーホールを閉塞する蓋体がカバーから連続一体に延設されているので、請求項1の発明に比べて部品点数を削減することができるとともに製造プロセスの簡略化を図れるという利点がある。
請求項1,16,17の発明では、固定接点および可動接点の劣化防止を図れ且つリレー全体としての小型化を図ることが可能となるという効果がある。
(実施形態1)
以下、本実施形態のマイクロリレーについて図1〜図6を参照しながら説明する。
本実施形態のマイクロリレーは、ヨーク20に巻回されたコイル22,22への励磁電流に応じて磁束を発生する電磁石装置2と、矩形板状のガラス基板からなり厚み方向の一面側において長手方向の両端部それぞれに各一対の固定接点14が設けられたベース基板1と、ベース基板1の上記一表面側に固着される枠状(矩形枠状)のフレーム部31およびフレーム部31の内側に配置されて4本の支持ばね部32を介してフレーム部31に揺動自在に支持され電磁石装置2により駆動されるアーマチュア30およびアーマチュア30にそれぞれ2本の接圧ばね部35を介して支持されそれぞれ可動接点39が設けられた2つの可動接点基台部34を有するアーマチュアブロック3と、アーマチュアブロック3におけるベース基板1とは反対側で周部がフレーム部31に固着された矩形板状のガラス基板からなるカバー4とを備えている。
電磁石装置2におけるヨーク20は、2つのコイル22,22が直接巻回される細長の矩形板状のコイル巻回部20aと、コイル巻回部20aの長手方向の両端部それぞれからアーマチュア30に近づく向きに延設されコイル22,22への励磁電流に応じて互いの先端面が異極に励磁される一対の脚片20b,20bと、ヨーク20の両脚片20b,20bの間でコイル巻回部20aの長手方向の中央部に重ねて配置された矩形板状の永久磁石21と、細長の矩形板状であってヨーク20のコイル巻回部20aにおける永久磁石21との対向面とは反対側でコイル巻回部20aと直交するようにコイル巻回部20aに固着されるプリント基板23とを備えている。なお、ヨーク20は、電磁軟鉄などの鉄板を曲げ加工あるいは鋳造加工することにより形成されており、両脚片20b,20bの断面が矩形状に形成されている。
永久磁石21は、コイル巻回部20aとの重ね方向(厚み方向)の両面それぞれの磁極面21a,21bが異極に着磁されており、一方の磁極面21bがヨーク20のコイル巻回部20aに当接し、他方の磁極面21aがヨーク20の両脚片20b,20bの先端面と同一平面上に位置するように厚み寸法を設定してある。
また、各コイル22,22はそれぞれ、永久磁石21とヨーク20の脚片20b,20bとによって口軸方向(つまり、コイル巻回部20aの長手方向)への移動が規制される。プリント基板23は、絶縁基板23aの一表面における長手方向の両端部に導体パターン23bが形成されており、各導体パターン23bにおいて円形状に形成された部位が外部接続用電極を構成し、矩形状に形成された部位がコイル接続部を構成している。ここにおいて、コイル接続部には、コイル22,22の端末が接続されるが、コイル22,22は、外部接続用電極間に電源を接続してコイル22,22へ励磁電流を流したときにヨーク20の両脚片20b,20bの先端面が互いに異なる磁極となるように接続されている。なお、各導体パターン23bにおける外部接続用電極には、導電性材料(例えば、Au,Ag,Cu,半田など)からなるバンプ24が適宜固着されるが、バンプ24を固着する代わりに、ボンディングワイヤをボンディングしてもよい。
ベース基板1は、パイレックス(R)のような耐熱ガラスにより形成されており、外周形状が矩形状であって、中央部には厚み方向に貫通し電磁石装置2を収納する収納孔16が貫設され、四隅の各近傍には厚み方向に貫通するスルーホール10が貫設されている。また、ベース基板1の厚み方向の両面であって各スルーホール10それぞれの周縁にはランド12が形成されている。ここに、ベース基板1の厚み方向において重なるランド12同士はスルーホール10の内周面に被着された導電性材料(例えば、Cu,Cr,Ti,Pt,Co,Ni,Au,あるいはこれらの合金など)からなる導体層11(図6(c)参照)により電気的に接続されている。また、ベース基板1の厚み方向の他表面側の各ランド12にはバンプ13が適宜固着されており、バンプ13をランド12に固着することによって、ベース基板1の上記他表面側ではスルーホール10の開口面がバンプ13により覆われる(つまり、ベース基板1の上記他表面側でスルーホール10の開口面がバンプ13により閉塞される)。スルーホール10の開口面は円形状であって、ベース基板1の上記一表面には、それぞれスルーホール10の開口面およびランド12を覆う4枚の薄板状の蓋体19(図1および図6参照)が固着されている。なお、蓋体19については後述する。
また、上述の各一対の固定接点14は、ベース基板1の長手方向の両端部においてベース基板1の短手方向に離間して形成された2つのスルーホール10の間で上記短手方向に並設されており、上記短手方向において隣り合うスルーホール10の周縁に形成されたランド12と導電パターン18を介して電気的に接続されている。ここに、固定接点14および導電パターン18およびランド12の材料としては、例えば、Cr,Ti,Pt,Co,Cu,Ni,Au,あるいはこれらの合金などの導電性材料を採用すればよく、バンプ13の材料としては、例えば、Au,Ag,Cu,半田などの導電性材料を採用すればよい。なお、上述のスルーホール10および収納孔16は、例えば、サンドブラスト法やエッチング法などによって形成すればよく、上述の導体層11は、例えば、めっき法、蒸着法、スパッタ法などによって形成すればよい。なお、本実施形態では、ベース基板1の上記一表面側においてスルーホール10の周縁に形成されたランド12からなる環状の金属薄膜と蓋体19とで、スルーホール10の開口面を閉塞する閉塞手段を構成し、導体層11がスルーホール10内に被着された金属配線を構成し、ベース基板1の上記他表面側におけるランド12が金属配線を介して固定接点14に電気的に接続された導体パターンを構成している。
また、収納孔16の開口面は十字状であって、ベース基板1の上記一表面側には、収納孔16を閉塞するシリコン薄膜からなる蓋体17が固着されている。すなわち、電磁石装置2は、ヨーク20の両脚片20b,20bの各先端面が蓋体17と対向する形で収納孔16に挿入される。なお、本実施形態では、収納孔16の内周面と蓋体17とで囲まれる空間が電磁石装置2を収納する収納部を構成しており、電磁石装置20は、永久磁石21がベース基板1の厚み寸法内でアーマチュア30とヨーク20とにより形成される磁路中に設けられ、プリント基板23における絶縁基板23aの表面がベース基板1の上記他表面と略面一となっている。なお、蓋体17は、シリコン基板をエッチングや研磨などで薄くすることにより形成したシリコン膜により構成されており、厚み寸法を20μmに設定してある。ここに、蓋体17の厚み寸法は20μmに限定するものではなく、例えば、5μm〜50μm程度の範囲内で適宜設定すればよい。また、蓋体17は、シリコン膜に限らず、ガラス基板をエッチングや研磨などで薄くすることにより形成したガラス膜により構成してもよい。
収納孔16は、ベース基板1の上記一表面から上記他表面に近づくにつれて徐々に開口面積が大きくなるテーパ形状となっており、ベース基板1の上記他表面側から電磁石装置2を挿入しやすく、且つ、ベース基板1の上記一表面における収納孔16の開口面積を比較的小さくすることができる。
アーマチュアブロック3は、シリコン基板からなる半導体基板を半導体微細加工プロセスにより加工することによって、上述の矩形枠状のフレーム部31と、上述の4本の支持ばね32と、フレーム部31の内側に配置されアーマチュア30の一部を構成する矩形板状の可動基台部30aと、上述の4本の接圧ばね35と、上述の2つの可動接点基台部34とを形成してあり、可動基台部30aと、可動基台部30aにおけるベース基板1との対向面に固着された磁性体(例えば、軟鉄、電磁ステンレス、パーマロイなど)からなる矩形板状の磁性体部30bとでアーマチュア30を構成している。したがって、アーマチュア30が4本の支持ばね部32を介してフレーム部31に揺動自在に支持されている。なお、可動基台部30aはフレーム部31よりも薄肉であり、アーマチュア30の厚み寸法は、アーマチュアブロック3とベース基板1とを固着した状態においてアーマチュア30の磁性体部30bと蓋体17との間に所定のギャップが形成されるように設定されている。
上述の支持ばね部32は、可動基台部30aの短手方向の両側面側で可動基台部30aの長手方向に離間して2箇所に形成されている。各支持ばね部32は、一端部がフレーム部31に連続一体に連結され他端部が可動基台部30aに連続一体に連結されている。なお、各支持ばね部32は、平面形状において上記一端部と上記他端部との間の部位を同一面内で蛇行した形状に形成することにより長さ寸法を長くしてあり、アーマチュア30が揺動する際に各支持ばね部32にかかる応力を分散させることができ、各支持ばね部32が破損するのを防止することができる。
また、可動基台部30aは、短手方向の両側縁の中央部から矩形状の突片36が連続一体に延設され、フレーム部31の内周面において突片36に対応する部位からも矩形状の突片37が連続一体に延設されている。すなわち、可動基台部30aから延設された突片36とフレーム部31から延設された突片37とは互いの先端面同士が対向している。ここに、可動基台部30aから延設された各突片36の先端面には凸部36aが形成されており、フレーム部31から延設された各突片37の先端面には、凸部36aが入り込む凹部37aが形成されている。したがって、凸部36aが凹部37aの内周面に当接することでフレーム部31の厚み方向に直交する面内におけるアーマチュア30の移動が規制される。なお、アーマチュア30の同一の側縁側に配設される2つの支持ばね部32は、突片36の両側に位置している。
また、アーマチュアブロック3は、アーマチュア30の長手方向においてアーマチュア30の両端部とフレーム部31との間にそれぞれ可動接点基台部34が配置されており、各可動接点基台部34におけるベース基板1との対向面に導電性材料からなる可動接点39が固着されている。ここに、可動接点基台部34は上述の2本の接圧ばね部35を介して可動基台部30aに支持されている。なお、可動基台部30aは上述のように矩形板状に形成されており、磁性体部30bの変位量を制限するストッパ部33が四隅それぞれから連続一体に延設されており、接圧ばね部35の平面形状は、ストッパ部33の外周縁の3辺に沿ったコ字状に形成されている。このストッパ部33は、ベース基板1の上記一表面と接触することにより磁性体部30bの変位量を制限する。
なお、アーマチュアブロック3は、上述の説明から分かるように、フレーム部31、可動基台部30a、支持ばね部32、可動接点保持部34、接圧ばね部35が上述の半導体基板の一部により構成されている。半導体基板としては、例えば厚み寸法が200μm程度のシリコン基板を用いればよいが、当該厚み寸法は特に限定するものではなく、例えば、50μm〜300μm程度の範囲で適宜設定すればよい。
また、可動接点基台部34の厚み寸法と可動接点39の厚み寸法との合計寸法についても、接点開成状態において可動接点39と固定接点14との間の距離が所定距離となるように設定されている。
カバー4は、パイレックス(R)のような耐熱ガラスにより構成されており、アーマチュアブロック3との対向面にアーマチュア30の揺動空間を確保する凹所4aが形成されている。
上述のアーマチュアブロック3のフレーム部31におけるベース基板1との対向面の周部およびカバー4との対向面の周部にはそれぞれ全周に亙って接合用金属層(図示せず)が形成されている。また、ベース基板1におけるアーマチュアブロック3との対向面の周部にも全周に亙って接合用金属層(図示せず)が形成され、カバー4におけるアーマチュアブロック3との対向面の周部にも全周に亙って接合用金属層(図示せず)が形成されている。したがって、アーマチュアブロック3とベース基板1およびカバー4とを圧接または陽極接合により気密的に接合することができ、ベース基板1とカバー4とフレーム部31とで囲まれる空間の気密性を向上できる。
その結果、本実施形態のマイクロリレーは、ベース基板1と、カバー4と、ベース基板1とカバー4との間に介在するフレーム部31とで囲まれる気密空間(密閉空間)内に、アーマチュア30、可動接点33、固定接点14が収納される。ここにおいて、上記密閉空間内を真空としたり、上記密閉空間内に不活性ガスを封入するようにすれば、可動接点33および固定接点14の酸化などによる劣化を防止することができる。なお、上述の各接合用金属層の材料としては、例えば、Au,Al−Siなどを採用すればよい。
以上説明した本実施形態のマイクロリレーをプリント基板のような実装基板に実装する際には、例えばベース基板1の上記他表面側において露出した2個のバンプ24および4個のバンプ13それぞれを上記実装基板の一表面側に形成された導体パターンに接続すればよい。
本実施形態のマイクロリレーの製造プロセスは、半導体基板たるシリコン基板をリソグラフィ技術、エッチング技術などの半導体微細加工プロセス(マイクロマシンニング技術)により加工してフレーム部31、支持ばね部32、接圧ばね部35、可動接点基台部34、アーマチュア30の一部を構成する可動基台部30aを形成した後で可動基台部30aにおいてベース基板1側となる一面に磁性体からなる磁性体部30bを固着し且つ可動接点基台部34に可動接点39を固着することでアーマチュアブロック3を形成するアーマチュアブロック形成工程と、ベース基板1の基礎となる基板たるガラス基板に収納孔16およびスルーホール10を形成した後で蓋体17,19を固着してベース基板を形成するベース基板形成工程と、カバー4の基礎となるガラス基板に凹所4aを設けてカバー4を形成するカバー形成工程と、アーマチュアブロック形成工程にて形成したアーマチュアブロック3とベース基板1およびカバー4を圧接または陽極接合により固着することでベース基板1とカバー4とアーマチュアブロック3のフレーム部31とで囲まれる空間を密封する密封工程と、密封工程の後でベース基板1の収納部に電磁石装置2を収納してベース基板1に固定する電磁石装置配設工程とを備えている。
ここにおいて、ベース基板1の形成にあたっては、ベース基板1の基礎となる基板たるガラス基板において収納部に対応する部位に厚み方向に貫通する収納孔16を形成するとともにガラス基板の四隅近傍に厚み方向に貫通するスルーホール10を形成した後、ランド12、固定接点14、導電パターン18、導体層11などを形成してから、上記ガラス基板において固定接点14を設けた側の表面に収納孔16を覆う蓋体17およびスルーホール10の覆う蓋体19を陽極接合により固着すればよい。なお、収納孔16およびスルーホール10はエッチング法やサンドブラスト法などにより形成すればよい。
また、カバー4の形成にあたっては、カバー4の基礎となる基板たるガラス基板において凹所4aを形成した後、上記接合用金属層を形成すればよい。ここに、凹所4aはエッチング法やサンドブラスト法などにより形成すればよい。
なお、本実施形態では、ベース基板1およびカバー4それぞれがガラス基板を加工することにより形成されているが、ベース基板1とカバー4との一方あるいは両方を、シリコン基板を加工することにより形成してもよい。また、ベース基板1およびカバー4をそれぞれガラス基板に限定し、アーマチュアブロック3の元となる半導体基板をシリコン基板に限定すれば、上記接合用金属層を設けなくてもアーマチュアブロック3とベース基板1およびカバー4とを陽極接合によって気密的に接合することも可能である。なお、上述のアーマチュアブロック3を多数形成したウェハと、上述のベース基板1を多数形成したウェハおよび上述のカバー4を多数形成したウェハとを圧接または陽極接合により固着してからダイシング工程などによって個々のマイクロリレーに分割してもよいことは勿論である。
以下、本実施形態のマイクロリレーの動作について説明する。
本実施形態のマイクロリレーでは、コイル22,22への通電が行われると、磁化の向きに応じて磁性体部30bの長手方向の一端部がヨーク20の一方の脚片20bに吸引されてアーマチュア30が揺動しアーマチュア30の一端側の可動接点基台部34に固着された可動接点39が対向する一対の固定接点14,14に所定の接点圧で接触する。この状態で通電を停止しても、永久磁石21の発生する磁束により、吸引力が維持され、そのままの状態が保持される。
また、コイル22,22への通電方向を逆向きにすると、アーマチュア30の磁性体部30bがヨーク20の他方の脚片20bに吸引されてアーマチュア30が揺動しアーマチュア30の他端側の可動接点基台部34に保持された可動接点39が対向する一対の固定接点14,14に所定の接点圧で接触する。この状態で通電を停止しても、永久磁石21の発生する磁束により、吸引力が維持され、そのままの状態が保持される。
なお、本実施形態のマイクロリレーは、永久磁石21による磁性体部30bの吸引力が支持ばね32による復帰力よりも強くなるように支持ばね32のばね定数を設定してあるが、永久磁石21による磁性体部30bの吸引力が支持ばね32による復帰力よりも弱くなるように支持ばね32のばね定数を設定してもよい。また、本実施形態のマイクロリレーでは、永久磁石21がコイル巻回部20aの長手方向の中央部におけるアーマチュア30側に重ねて配置され重ね方向の両面が異極に着磁されているので、アーマチュア30の長手方向の中心部を中心としてアーマチュア30が揺動可能となり、耐衝撃性が向上する。また、アーマチュア30の可動基台部30aから延設した各突片36におけるベース基板1との対向面から支点突起36bを突設してあるので、このような一対の支点突起36bを設けることでアーマチュア30の揺動動作をより安定させることができる。
以上説明した本実施形態のマイクロリレーによれば、アーマチュアブロック3におけるベース基板1とは反対側で周部が全周に亙ってフレーム部31に固着されたカバー4およびスルーホール10を閉塞する閉塞手段を備えていることにより、アーマチュア30および固定接点14および可動接点39が上記密閉空間内に配置されるので、上記密閉空間内を真空としたり密閉空間内に不活性ガスを封入しておくことが可能となり、固定接点14および可動接点39の劣化防止を図れ、しかも、従来のようにアーマチュアブロックとベース基板との間にスペーサを介在させる必要がない上にベース基板の一表面上に外部に露出する外部接続用の導体パターンを設ける必要もないので、アーマチュア30および固定接点14および可動接点39を上記密閉空間内に配置しながらもリレー全体の小型化を図れる。
また、本実施形態では、図6(c)に示したように、ベース基板1の上記一表面においてスルーホール10の周縁に形成された環状の金属薄膜たるランド12と、ランド12の表面の全周に亙って接合されたスルーホール10を閉塞する薄膜状の蓋体19とで閉塞手段を構成しており、ベース基板1の上記一表面においてスルーホール10の周縁に形成された環状の金属薄膜を利用してスルーホール10を閉塞することができるので、蓋体19をベース基板1の上記一表面に接合する場合に比べて気密性を高めることができる。なお、図6に示したスルーホール10は、ベース基板1の基礎となるガラス基板を厚み方向の両方からサンドブラスト法やエッチング法などにより加工することで形成されており、スルーホール10の内周面は、ベース基板1の上記一表面から離れるほど徐々に内径が小さくなる第1のテーパ面と、ベース基板1の上記他表面から離れるほど徐々に内径が小さくなる第2のテーパ面とで構成されている。
また、図6に示した例では、薄膜状の蓋体19を金属材料により形成してあるが、金属薄膜たるランド12と同種の金属材料(例えば、Auなど)により形成すれば、ランド12と蓋体19とを容易に接合することができるとともに、ランド12と蓋体19との接合強度を高めることができる。
ところで、スルーホール10を閉塞する閉塞手段は、図6に示した例に限らず、例えば、図7〜図15のいずれかに示す構成を採用してもよい。
ここにおいて、図7に示した例では、蓋体19が、金属薄膜たるランド12に接合された接合用金属薄膜19aと接合用金属薄膜19aに積層されたシリコン薄膜19bとの積層膜により構成されており、蓋体19をランド12に容易に接合することができ且つ蓋体19の機械的な強度を高めることができる。なお、金属薄膜(ランド12)および蓋体19に関しては、少なくとも互いの接合面近傍の部分が同種の金属材料(例えば、Auなど)により形成されていれば、金属薄膜と蓋体19との接合強度を高めることができる。また、上記金属材料としてAuを採用すれば、250℃〜400℃程度の比較的低温で金属薄膜と蓋体19とを接合することが可能となるので、製造時に金属薄膜と蓋体19とを接合する接合工程において、他の部材ならびに部材間の接合箇所に生じる応力歪を小さくすることができる。
また、図8に示した例では、蓋体19が、金属薄膜たるランド12に接合された接合用金属薄膜19aと接合用金属薄膜19aに積層されたシリコン薄膜19bとの積層膜により構成され、シリコン薄膜19bには、ベース基板1側へ突出し金属薄膜12の周囲を全周に亙って囲む環状のストッパ突起19cが設けられている。したがって、製造時に蓋体19を金属薄膜たるランド12に接合する際の圧力を均一にできるとともに所望の値に保つことができる。なお、ストッパ突起19cは、シリコン薄膜19bに凹所を形成することで当該凹所の周壁により構成されている。
また、図9に示した例では、蓋体19が、金属薄膜たるランド12に接合された接合用金属薄膜19aと接合用金属薄膜19aに積層された低抵抗のシリコン薄膜19bとの積層膜により構成され、シリコン薄膜19bにおける接合用金属薄膜19aとは反対側の表面に固定接点14が積層されている。したがって、固定接点14と可動接点39とが離れた状態における固定接点14と可動接点39との間の距離を小さくできてアーマチュア30の動作角(固定接点14と可動接点39とが離れた状態におけるアーマチュア30と、可動接点39が固定接点14に接触した状態におけるアーマチュア30とのなす角度)を低減させることができる。
なお、上述の各例では、ベース基板1の上記他表面側に形成された収納部が、ベース基板1において厚み方向に貫設した収納孔16とベース基板1の上記一表面側において収納孔16を閉塞するようにベース基板1に固着された閉塞用薄膜たる蓋体17とで囲まれる空間により構成されているが、蓋体17と蓋体19とが同一平面上に配置されているので、製造時に収納孔16を蓋体19にて閉塞するのと同時にスルーホール10を蓋体19により閉塞することが可能となる。ここにおいて、製造時に蓋体17と閉塞用薄膜たる蓋体19とをベース基板1の上記一表面側に同時に固着するようにすれば、蓋体17と蓋体19とを別々の工程で固着する場合に比べて工程数を削減できて製造プロセスの簡略化および低コスト化を図れる。
また、図10に示した例では、蓋体19が、金属薄膜たるランド12に接合された接合用金属薄膜19aと接合用金属薄膜19aに積層されたシリコン薄膜19bとの積層膜により構成され、ランド12および接合用金属薄膜19aの一部が、ベース基板1の上記一表面に形成された凹部であって且つ内底面にスルーホール10の開口面が形成された凹部15内に設けられ、シリコン薄膜19bの周部が凹部15の周縁に重なっている。したがって、製造時に蓋体19をランド12に接合する際に圧力をかけた場合にシリコン薄膜19bの周部がベース基板1における凹部15の周縁に当接することでストッパとして機能し、接合時の圧力を均一にできるとともに所望の値に保つことができる。
また、図11に示した例では、スルーホール10を閉塞する閉塞手段が、スルーホール10内の全体に亙って埋設された金属からなる封止部51により構成されている。したがって、上記密閉空間の気密性を上述の各例に比べてより高めることができ、固定接点14および可動接点39の劣化をより確実に防止することが可能となり、しかも、ベース基板1の上記一表面側に形成された固定接点14と上記他表面側に形成された導体パターンたるランド12との間の電気抵抗を低減できる。なお、封止部51は、導電層11およびランド12をシード層としてめっきにより形成されており、製造時に封止部51を固定接点14と同時に形成するようにすれば、製造プロセスの簡略化を図れる。
また、図12に示した例では、スルーホール10の内径寸法が略一定となるような形状に形成されて、スルーホール10内の全体に亙って埋設された金属からなる封止部51により閉塞手段が構成されており、スルーホール10の開口面積を図11に示した例に比べて小さくでき、ベース基板1の平面サイズを小さくすることが可能であり、リレー全体のより一層の小型化を図れる。
また、図13に示した例では、スルーホール10を閉塞する閉塞手段が、ベース基板1の厚み方向における上記第1のテーパ面と上記第2のテーパ面との境界近傍にてスルーホール10に埋設された金属からなる封止部51により構成されているので、図11に示した例のようにスルーホール10内の全体に亙って埋設された金属からなる封止部51に比べて封止部51に用いる金属の量を少なくでき、低コスト化を図れる。なお、図13に示した例では、ベース基板1の上記一表面におけるスルーホール10の開口面の直径をd1、上記他表面におけるスルーホール10の開口面の直径をd2、上記第1のテーパ面と上記第2のテーパ面との境界におけるスルーホール10の内径をd3とすれば、d3<d1<d2となっている。
また、図14に示した例では、スルーホール10を閉塞する閉塞手段が、ベース基板1の上記一表面側および上記他表面側それぞれでスルーホール10を閉塞する一対の薄膜状の蓋体19(図14では上記一表面側の蓋体19のみ示してある)と、当該一対の蓋体19とスルーホール10の内周面とで囲まれる空間内に充填された液体金属52とで構成されている。したがって、図14に示した例においても、図11に示した例と同様に、固定接点14および可動接点39の劣化をより確実に防止することが可能となるという利点、ベース基板1の上記一表面側に形成された固定接点14と上記他表面側に形成された導体パターンたるランド12との間の電気抵抗を低減できるという利点がある。また、図11に示した封止部51をめっき法やスパッタ法などにより形成した場合にはスルーホール10内に隙間が形成される可能性があるが、図14に示したようにスルーホール10内に液体金属52を気泡が残らないように充填した場合にはスルーホール10内に隙間が形成されるのを防止することができ、より一層の低抵抗化を図ることができる。なお、液体金属52としては、例えば水銀などの常温付近で液体となる金属を用いればよい。
また、図15に示した例では、スルーホール10を閉塞する閉塞手段が、スルーホール10内の全体に亙って埋設されたガラスからなる封止部53により構成されている。したがって、図11に示した例と同様に、上記密閉空間の気密性をより高めることができ、固定接点14および可動接点39の劣化をより確実に防止することが可能となる。また、図11に示した例に比べて封止部53の材料コストを低減でき、低コスト化を図れるという利点がある。なお、封止部53のガラスとして低融点のものを用いることで他の部材ならびに部材間の接合箇所に生じる応力歪を小さくすることができる。なお、図13に示した封止部51をガラスにより形成するようにしてもよい。
(実施形態2)
本実施形態のマイクロリレーの基本構成は実施形態1と略同じであって、図16に示すように、ベース基板1の上記一表面側でスルーホール10を閉塞する蓋体19が、アーマチュアブロック3のフレーム部31から連続一体に延設されている点に特徴がある。なお、他の構成は実施形態1と同様なので、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
しかして、本実施形態のマイクロリレーにおいても、実施形態1と同様に、アーマチュアブロック3におけるベース基板1とは反対側で周部が全周に亙ってフレーム部31に固着されたカバー4およびスルーホール10を閉塞する蓋体19を備えていることにより、アーマチュア30および固定接点14(図1参照)および可動接点39が密閉空間内に配置されるので、密閉空間内を真空としたり密閉空間内に不活性ガスを封入しておくことが可能となり、固定接点14および可動接点39の劣化防止を図れ、しかも、従来のようにアーマチュアブロックとベース基板との間にスペーサを介在させる必要がない上にベース基板の一表面上に外部に露出する外部接続用の導体パターンを設ける必要もないので、アーマチュア30および固定接点14および可動接点39を密閉空間内に配置しながらもリレー全体の小型化を図れる。
また、本実施形態のマイクロリレーでは、スルーホール10を閉塞する蓋体19がフレーム部31から連続一体に延設されているので、実施形態1に比べて部品点数を削減することができるとともに製造プロセスの簡略化を図れるという利点がある。すなわち、アーマチュアブロック3のフレーム部31とベース基板1とを陽極接合などにより固着するのと同時に蓋体19をランド12に固着すればよい。
(実施形態3)
本実施形態のマイクロリレーの基本構成は実施形態1と略同じであって、図17に示すように、カバー4の周部が、アーマチュアブロック3のフレーム部31ではなくてベース基板1の上記一表面側に固着され、ベース基板1の上記一表面側でスルーホール10を閉塞する蓋体19が、カバー4の周部から連続一体に延設されている点に特徴がある。なお、他の構成は実施形態1と同様なので、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
しかして、本実施形態のマイクロリレーでは、アーマチュアブロック3におけるベース基板1とは反対側でアーマチュアブロック3を覆うように周部が全周に亙ってベース基板1の上記一表面側に固着されたカバー4およびスルーホール10を閉塞する蓋体19を備えていることにより、アーマチュア30および固定接点14(図1参照)および可動接点39が密閉空間内に配置されるので、密閉空間内を真空としたり密閉空間内に不活性ガスを封入しておくことが可能となり、固定接点14および可動接点39の劣化防止を図れ、しかも、従来のようにアーマチュアブロックとベース基板との間にスペーサを介在させる必要がない上にベース基板の一表面上に外部に露出する外部接続用の導体パターンを設ける必要もないので、アーマチュア30および固定接点14および可動接点39を密閉空間内に配置しながらもリレー全体の小型化を図れる。また、スルーホール10を閉塞する蓋体19がカバー4から連続一体に延設されているので、実施形態1に比べて部品点数を削減することができるとともに製造プロセスの簡略化を図れるという利点がある。