上述のカメラ駆動装置において、ギヤ列を介さずにステッピングモータ43,48で中間ベース40又はカメラ基板1を直接回転させた場合、パン角・チルト角の要求精度が非常に小さいと、モータ43,48に分解能の高いものを使用しなければならず、コスト高を招くために、ギヤ列を介して中間ベース40又はカメラ基板1を駆動することで所望の分解能を実現しており、ギヤ列の容量だけカメラ駆動装置が大型化するという問題があった。
またカメラ基板1をパン・チルトさせるために、取付ベース5に対して左右方向に回転自在に軸支された中間ベース40に、カメラ基板1を上下方向に回転自在に軸支させているため、ギヤ列や軸受けなどの容積がカメラ基板1に取り付けられた撮像素子2aやレンズ2bに比べて大きくなり、装置全体が大型化するという問題があり、屋外や玄関口に取り付けて使用する場合には装置が大型化することで取付位置が制約されるという問題もあった。またギヤ列を介して駆動するために動作音が大きくなるという問題があり、特に監視用途に用いる場合にはカメラを不審者に向けるためにパン・チルトさせると、その動作音で不審者に気付かれてしまうとという問題があった。
また近年、来訪者をインターホン親機から確認できるようにカメラ付きのドアホン子器が普及しており、来訪者の身長や立ち位置に合わせてドアホン子器に設けられたカメラを、インターホン親機からパン・チルトさせることが望まれているが、上述した従来のカメラ駆動装置ではカメラ基板をパン・チルトさせる機構が大型のため小型のドアホン子器に搭載することができず、また搭載できたとしても分解能や動作音の問題が発生する。
また近年の研究により3次元アクチュエータとして球面モータが提供されており、球面モータを用いる場合は2軸の軸受けでカメラ基板1を軸支する場合と異なり、球面軸受けでカメラ基板1を軸支するので、軸受けが1つで済み、その分だけ小型化が図れるという利点があり、さらに3個或いは4個の駆動源によりカメラ基板1を任意の方向に所望の角度だけ移動させることができる。
しかしながら、球面モータを用いたパン・チルト機構を有するカメラ駆動装置を防犯・監視用途やドアホン用途に用いる場合、パン又はチルトの一方のみの動作を行わせる場合には問題ないが、パン・チルトの動作を同時に行わせた場合は、パン・チルト軸とは異なる軸回転をすることになって、カメラで撮像された映像の水平或いは垂直方向が定まらないという問題がった。一般的に防犯・監視用途やドアホン用のカメラ駆動装置では、地上面に平行な方向がカメラ駆動装置の水平軸に設定されるので、上述のようにカメラ駆動装置がパン・チルト軸と異なる軸を中心に回転した場合、水平軸が変化して、撮像対象の人物の映像に歪みが発生するという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、小型でパン・チルト動作時に発生する音が小さく、設置時の基準軸を中心にパン・チルト動作を行わせることが可能なカメラ駆動装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、所望の撮像範囲の画像を撮像する撮像手段が取着されるカメラ支持部と、カメラ支持部がばね部材を介して位置決め支持される取付ベースと、それぞれ外部より入力される制御信号に応じて変位する駆動子を具備し、該駆動子でばね部材による付勢力に抗してカメラ支持部を取付ベース側に押圧変位させることで、撮像手段の撮像方向が所望の方向を向くようにカメラ支持部を取付ベースに対して傾斜させる複数のカメラ駆動部とを備えて成ることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記カメラ駆動部を2つ備え、取付ベースにおけるカメラ支持部との対向面にカメラ支持部と当接する支点部を突設し、該支点部に当接するカメラ支持部の位置と撮像手段の撮像中心とが重なるように撮像手段をカメラ支持部に配置するとともに、2つのカメラ駆動部を、各々の駆動子がカメラ支持部を押圧する部位と支点部で支持される部位とを結ぶ線が互いに交差するように配置したことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、上記カメラ駆動部を3つ備え、各カメラ駆動部の駆動子がカメラ支持部を押圧する部位が上記撮像手段の撮像中心を囲むように各カメラ駆動部を配置したことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、3つのカメラ駆動部を、各々の駆動子がカメラ支持部を押圧する部位がそれぞれ正三角形の3つの頂点となるように配置したことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかの発明において、カメラ駆動部の駆動子と対向するカメラ支持部の部位に駆動子の押圧力を受ける受け台を設け、当該受け台における駆動子との接触部位の表面形状を、駆動子による押圧方向と略平行な方向において駆動子と接触するような形状に形成したことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、上記駆動子の先端部の形状を球面状に形成するとともに、上記受け台の上記接触部位の表面形状を駆動子と面接触する球面状に形成したことを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかの発明において、上記カメラ駆動部は、コイルへの通電に応じてプランジャが前後動する直動型の電磁ソレノイドからなり、プランジャに連結された上記駆動子でカメラ支持部を押圧駆動するとともに、上記制御信号は駆動子の駆動量に応じた駆動電流信号からなり、カメラ支持部を所望の方向に傾けるように電磁ソレノイドに印加する駆動電流信号を制御する電流制御部を設けたことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項7の発明において、上記電磁ソレノイドは取付ベースに支持固定されるとともに、駆動子をカメラ支持部に連結してあり、コイルの非励磁時に駆動子を復帰位置に移動させる復帰ばねを電磁ソレノイドに設け、当該復帰ばねで上記ばね部材を兼用したことを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項8の発明において、上記電磁ソレノイドは、コイルが巻装される筒状の巻胴部を有し、巻胴部内に磁性体からなる上記プランジャが移動自在に配置されるボビンと、ボビンの巻胴部内に配置される磁極部を具備してプランジャと閉磁気回路を形成するヨークとを備え、磁極部とプランジャとの対向部位に吸引方向に対して斜めに傾斜するテーパ面をそれぞれ形成したことを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項7又は8の発明において、上記電磁ソレノイドはコイルを2組備え、2組のコイルの内の一方を励磁することで、上記プランジャを一方のコイル内に吸引して、カメラ支持部を取付ベースに近付く向きに変位させるとともに、他方を励磁することで、上記プランジャを他方のコイル内に吸引して、カメラ支持部を取付ベースから離れる向きに変位させることを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項1乃至6の何れかの発明において、上記カメラ駆動部は、コイルへの通電に応じて回転軸が正転又は逆転する回転型の電磁ソレノイドからなり、回転軸に連結された上記駆動子でカメラ支持部を押圧駆動するとともに、上記制御信号は駆動子の駆動量に応じた駆動電流信号からなり、カメラ支持部を所望の方向に傾けるように電磁ソレノイドに印加する駆動電流信号を制御する電流制御部を設けたことを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項1乃至6の何れかの発明において、カメラ駆動部は上記駆動子が回転軸に連結された回転型のアクチュエータからなり、駆動子としてカムを用い、上記回転軸を正転又は逆転させることによって上記回転軸に連結されたカムでカメラ支持部を押圧駆動することを特徴とする。
請求項13の発明は、請求項7乃至11の何れかの発明において、上記電流制御部は、カメラ支持部を所望の目標角度へ動作させる際に、カメラ支持部が目標角度の手前で減速するように、カメラ駆動部に出力する駆動電流信号を、目標角度に対応した電流値以外の電流値に一旦切り替えてから、目標角度に対応した電流値に切り替えることを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項1乃至13の何れかの発明において、上記カメラ支持部又は上記取付ベースの何れか一方に、他方に向かって光を照射する発光手段を設けるとともに、発光手段からの照射光又はこの照射光の他方による反射光の何れかを受光する受光手段を上記カメラ支持部又は上記取付ベースの何れかに設け、受光手段の受光量からカメラ支持部と取付ベースとの間の距離を検出する距離検出手段と、当該距離検出手段の検出結果からカメラ支持部の傾斜角度を求め、カメラ支持部の傾斜方向が所望の方向となるようにカメラ駆動部をフィードバック制御するフィードバック制御手段とを設けたことを特徴とする。
以上説明したように、請求項1の発明では、複数のカメラ駆動部の駆動子でばね部材のばね力に抗してカメラ支持部を押圧変位させることで、カメラ支持部を複数の方向に傾斜させているので、駆動子で押圧されていない状態の初期位置を基準にしてカメラ支持部をパン・チルトさせることができる。しかも、従来のカメラ駆動装置のように2軸の軸受け機構を設けることなくカメラ支持部をパン・チルトさせているので、カメラ駆動装置の構成を簡単にでき、またギヤ列を介して駆動していないので動作音を小さくできるという効果がある。
また請求項2の発明では、取付ベースに設けた支点部が撮像手段の撮像中心でカメラ支持部と当接し、2つのカメラ駆動部は、各々の駆動子がカメラ支持部を押圧する部位と支点部で支持される部位とを結ぶ線が互いに交差するように配置されており、駆動子で押圧されていない状態の初期位置を基準にし、2つのカメラ駆動部の駆動子でカメラ支持部を押圧することで、撮像手段の撮像中心に対応する部位を支点にカメラ支持部を揺動させて、カメラ支持部を所望の角度にパン・チルトさせることができるので、カメラ駆動装置の構成を簡単にできる。
請求項3及び4の発明では、3つのカメラ駆動部は、各々の駆動子がカメラ支持部を押圧する部位が撮像手段の撮像中心を囲むように配置されており、駆動子で押圧されていない状態の初期位置を基準にし、各駆動子の駆動量を調整することで、カメラ支持部の傾きを制御して、所望の角度にパン・チルトさせることができるので、カメラ駆動装置の構成を簡単にできる。
カメラ駆動部の駆動子でカメラ支持部を押圧変位させる際に、カメラ支持部の傾きが大きくなると、駆動子が滑りやすくなって、その結果カメラ支持部の設定角度に対するズレが発生し易くなるが、請求項5及び6の発明では、カメラ支持部に設けた受け台と駆動子とを、駆動子による押圧方向と略平行な方向において接触させているので、駆動子による押圧力を受け台で確実に受けることができ、カメラ支持部をスムーズに動作させることができる。
請求項7の発明では、直動型の電磁ソレノイドのプランジャに連結された駆動子でカメラ支持部を押圧駆動することで、カメラ支持部を強制変位させることができ、軸受け機構やギヤ列が不要なので、カメラ駆動装置の小型化を図ることができる。さらに電流制御部が駆動電流信号を制御することによって電磁ソレノイドの吸引力が変化して、吸引力とばね部材のばね力とがバランスする時の駆動子の位置が変化するので、カメラ支持部の設定角度を駆動電流制御信号によって制御することができる。
また駆動子を復帰位置に戻す復帰ばねが電磁ソレノイドに設けられていない場合には、カメラ支持部を支持するばね部材のばね力と駆動子の押圧力とがバランスする位置で駆動子が停止することになり、複数の電磁ソレノイドで動作させる場合には各々の駆動子の変位に伴ってばね部材のばね力が変化するので、駆動子の変位量が指令値に対してばらつくためにカメラ支持部の設定角度に対してズレが生じやすく、制御が難しいという問題があるが、請求項8の発明では、電磁ソレノイド自体に駆動子を復帰位置に戻す復帰ばねを設け、この復帰ばねでカメラ支持部を支持するばね部材を兼用しているので、各々の電磁ソレノイドの吸引力と復帰ばねのばね力とで駆動子の変位量が決定されるため、設定角度に対するカメラ支持部のズレを小さくでき、制御も容易に行えるという効果がある。
請求項9の発明では、磁極部とプランジャとの対向部位に吸引方向に対して斜めに傾斜するテーパ面をそれぞれ形成することで、プランジャの変位によって生じる磁束の変化を緩やかにでき、コイルへの通電電流に対するプランジャの変位量を線形な関係に近づけることができる。
また電磁ソレノイドの吸引力によってプランジャを一方向のみに変位させる場合は、コイルを2組備えてプランジャを2方向に変位させる場合に比べ、同じ量だけプランジャを変位させるのにコイルに通電する電流が大きくなるが、請求項10の発明では、コイルを2組備えてプランジャを2方向に変位させているので、各々のコイルに通電させることでプランジャを変位させる場合の変位量は一方向のみに変位させる場合の約半分で済み、その結果各々のコイルに通電する電流を小さくできる。
また直動型の電磁ソレノイドでは通電電流に対する吸引力の特性曲線が非線形であり、ばね部材のばね荷重と吸引力とが釣り合う時の変位量が通電電流に対して非線形であるが、請求項11の発明では、カメラ駆動部として回転型の電磁ソレノイドを用いており、回転型の磁気ソレノイドでは、閉磁気回路が回転方向に対して安定した構成であり、変位量に対するトルクが略線形な特性となるので、通電電流に対する変位量を略線形な関係とすることができる。さらに電流制御部が駆動電流信号を制御することによって電磁ソレノイドの吸引力が変化して、吸引力とばね部材のばね力とがバランスする時の駆動子の位置が変化するので、カメラ支持部の設定角度を駆動電流制御信号によって制御することができる。
請求項12の発明では、カメラ駆動部として回転型のアクチュエータを用い、このアクチュエータの回転軸に連結されたカムでカメラ支持部を押圧駆動することによって、撮像素子を所望の方向に傾斜させており、回転軸の出力をギヤ列を介してカメラ支持部に伝達する場合はギヤの動作音が発生するが、回転軸に連結したカムでカメラ支持部を押圧駆動しているので動作音が発生せず、またカムの形状を変えることでカメラ支持部の変位量を所望の値に決定することができる。
請求項13の発明では、電流制御部が、カメラ駆動部に出力する駆動電流信号を、目標角度に対応した電流値以外の電流値に一旦切り替えてから、目標角度に対応した電流値に切り替えることで、カメラ支持部を目標角度の手前で減速させており、その結果カメラ支持部が目標角度を超えてオーバーシュートしにくくなり、カメラの映像が揺れるのを防止できる。
請求項14の発明では、受光手段は、発光手段からの照射光、或いは、照射光のカメラ支持部又は取付ベースによる反射光を受光し、距離検出手段は、受光手段の受光光量からカメラ支持部と取付ベースとの間の距離を検出しており、制御手段は、距離検出手段により検出された距離からカメラ支持部の傾きを求めてフィードバック制御しているので、カメラ支持部の傾斜方向を精度良く制御することができる。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本発明の実施形態1を図1〜図3に基づいて説明する。尚、以下の説明では特に断りがないかぎり、図1(a)に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、図1(a)における正面を前面と言う。したがって、図1(b)における下側は後側になる。
本実施形態のカメラ駆動装置は屋外或いは屋内に設置されて防犯・監視用途に用いられるものであり、パン・チルトの機能を有し、遠隔に設置されたコントローラ(図示せず)から有線通信或いは無線通信で送信された制御信号に応じてカメラをパン又はチルトさせることで、撮像範囲を切り替え、撮像した画像をコントローラ側に送信している。また本実施形態のカメラ駆動装置を、玄関横の壁や門柱に取り付けられるドアホン子器に付設し、来訪者を確認するために用いても良く、その場合も来訪者の身長や立ち位置に応じて撮像範囲を変化させる必要があるので、インターホン親機から送信される制御信号に応じてカメラをパン・チルトさせ、撮像範囲を制御している。
図1(a)はカメラ駆動装置の一部省略せる正面図、図1(b)は下側から見た断面図であり、このカメラ駆動装置は、CCDのような撮像素子(図示せず)とレンズとからなるカメラブロック2が前面に実装されるとともに、撮像素子からの信号を処理する画像処理素子3が後面に実装されたプリント配線板よりなるカメラ基板1(カメラ支持部)と、カメラ基板1がコイルばね4を介して取り付けられる取付ベース5と、カメラ基板1の前側に配置されるように図示しない適宜の固定手段を介して取付ベース5に取着される2つの直動型の電磁ソレノイド6a,6b(カメラ駆動部)と、カメラ基板1及び電磁ソレノイド6a,6bを覆うようにして取付ベース5に被着されるドーム状の透光カバー7とを主要な構成として備える。
カメラ基板1は矩形板状であって、撮像素子の撮像中心がカメラ基板1の重心位置に一致するように撮像素子が配置されており、カメラ基板1の後面の四隅に4つのコイルばね4の前端が連結されている。各コイルばね4の後端は取付ベース5に連結され、カメラ基板1は4つのコイルばね4を介して取付ベース5に支持されており、所定の位置(初期位置)に位置決めされている。また取付ベース5には、カメラ基板1の重心位置(つまり撮像素子の撮像中心)に対向する部位に前方へ突出する円錐形状の支点突起8が突設されており、支点突起8の先端はカメラ基板1の裏面に当接している。
2つの電磁ソレノイド6a,6bは、コイルへの励磁/非励磁に応じて前後動する棒状の駆動子9,9を有し、駆動子9,9の先端でカメラ基板1を後側(取付ベース5側)に押圧するようにカメラ基板1に対して取付ベース5と反対側に配置されている。そして、2つの電磁ソレノイド6a,6bは、駆動子9,9と支点突起8の先端とを結んでできる線が180度未満の角度で交差するように配置されており、本実施形態では一方の電磁ソレノイド6aの駆動子9が支点突起8の左側、もう一方の電磁ソレノイド6bの駆動子9が支点突起8の上側にそれぞれ配置され、各々の駆動子9と支点突起8の先端とを結んでできる線が約90度の角度で交差している。
次にこのカメラ駆動装置の動作を図2及び図3を参照して説明する。電磁ソレノイド6a,6bはコイルに通電すると駆動子9が通電電流に応じた変位量だけ後側に突出するような直動型のソレノイドであり、外部のコントローラ(図示せず)からハーネス11を介して電磁ソレノイド6aのコイルに通電し、その駆動子9を後側に突出させると、電磁ソレノイド6aの駆動子9がコイルばね4のばね力に抗してカメラ基板1の左端部を後向きに押圧し、カメラ基板1が支点突起8を支点にして図2中左回りに回転し、この動作によって撮像素子の撮像範囲が変化する。その後電磁ソレノイド6aのコイルへの励磁を停止すると、駆動子9がカメラ基板1を後向きに押す力がなくなるので、コイルばね4のばね復帰力でカメラ基板1は初期位置に復帰する。
電磁ソレノイド6aのコイルへの通電に応じてカメラ基板1が回転する方向をパン方向とすると、カメラ基板1をチルト方向に回転させるには電磁ソレノイド6bのコイルに通電すれば良い。すなわち外部のコントローラからハーネス11を介して電磁ソレノイド6bのコイルに通電すると、電磁ソレノイド6bの駆動子9がコイルばね4のばね力に抗してカメラ基板1の上端部を後向きに押圧し、カメラ基板1が支点突起8を支点にして上下方向に回転するので、この動作によって撮像素子をチルト方向に回転させることができる。また電磁ソレノイド6bのコイルへの通電を停止すると、駆動子9がカメラ基板1を後向きに押す力がなくなるので、コイルばね4のばね復帰力でカメラ基板1は初期位置に復帰する。
上述の説明では電磁ソレノイド6a又は6bのコイルに通電することで、カメラ基板1を1つの軸周りに回転させて、撮像素子をパン又はチルトさせているが、2つの電磁ソレノイド6a,6bのコイルに同時に通電することでパン、チルトの動作を両方同時に行わせ、基準面(取付ベース5の前面と略平行な平面)Eに対してカメラ基板1を左側及び下側に回転させることができる。また従来のカメラ駆動装置のように2軸の軸受け機構を設けることなくカメラ基板1をパン・チルトさせているので、カメラ駆動装置の構成を簡単にでき、またギヤ列を介して駆動していないので動作音を小さくできる。
図3はカメラ基板1の回転動作を説明する説明図であり、カメラ基板1の4つの角部と基準面Eとの間の距離をそれぞれX1,X2,X3,X4とすると、カメラ基板1の基準面Eに対する傾斜角はこれらの距離X1〜X4で決定される。カメラ基板1を基準面Eに対して所望の方向に傾斜させたい場合には、上記の距離X1〜X4を所定の距離に変化させれば良く、カメラ基板1の重心位置Oと基準面Eとの間の距離Xoは一定値(支点突起8の高さ)であるから、電磁ソレノイド6a,6bへの通電に応じて各々の駆動子9,9でカメラ基板1を押圧し、電磁ソレノイド6aの駆動子9で押される駆動ポイントAと基準面Eとの間の距離Xaと、電磁ソレノイド6bの駆動子9で押される駆動ポイントBと基準面Eとの間の距離Xbをそれぞれ変化させることで、距離X1〜X4を所望の距離に設定することができる。つまり電磁ソレノイド6a,6bのコイルへの通電電流を制御して距離Xa,Xbを調整することによって、距離X1〜X4を所望の距離に設定できるので、カメラ基板1を所望の方向に傾斜させて、撮像素子の向きをパン・チルトさせることができ、従来のカメラ駆動装置のようにカメラ基板1を2軸で支持して、各々の軸周りに回転させる場合に比べてカメラ駆動装置の構成を簡単にできる。
なお本実施形態では、カメラ基板1を支持するばね部材として4本のコイルばね4を用い、これら4本のコイルばね4でカメラ基板1の四隅を支持しているが、図4及び図5に示すようにばね部材を1枚の板ばね10で構成しても良い。板ばね10は、弾性を有する板金に抜き加工および曲げ加工を施して形成され、円板部10aの中央に支点突起8を挿通させる丸孔10bを貫設するとともに、円板部10aの周部から斜め前方に断面L字形の押圧片10cを90度おきに4本延出してある。
この板ばね10をカメラ駆動装置に組み込む際には、図4(a)(b)に示すように、板ばね10の押圧片10cを前方に向け、丸孔10b内に支点突起8を挿通させるようにして円板部10aを取付ベース5に圧入・接着などの適宜の方法で固定するとともに、板ばね10の4本の押圧片10cの先端部をカメラ基板1の裏面の4隅に当接させた状態で、各押圧片10cの先端部をカメラ基板1の裏面に結合すれば良く、カメラ基板1を1枚の板ばね10で初期位置に支持している。
ここで電磁ソレノイド6a,6bのコイルに通電すると、各々の駆動子9,9が板ばね10のばね力に抗してカメラ基板1を後側に押圧し、カメラ基板1を取付ベース5に対して所望の方向に傾斜させることができるので、撮像素子をパン・チルトさせることができる。なお、図1〜図3に示すカメラ駆動装置のように4本のコイルばね4でカメラ基板1を支持する場合は、各々のコイルばね4の取付位置や荷重にばらつきが発生しやすいが、板ばね10に一体に形成された4本の押圧片10cでカメラ基板1を支持しているので、各々の押圧片10cで支持される位置にばらつきが生じにくく、各々の押圧片10cで均一に荷重を受けることができ、また電磁ソレノイド6a,6bを励磁していない状態でカメラ基板1を所定の基準位置に確実に位置決めすることができる。
(実施形態2)
本発明の実施形態2を図6〜図8に基づいて説明する。上述した実施形態1では2つの電磁ソレノイド6a,6bの駆動子9,9でばね部材のばね力に抗してカメラ基板1を後側に押圧することにより、カメラ基板1を所望の方向に傾斜させて、撮像素子をパン・チルトさせているのに対して、本実施形態では3つの電磁ソレノイド6a,6b,6cを備え、各電磁ソレノイド6a〜6cの駆動子9でカメラ基板1を押圧する部位が撮像素子の撮像中心(すなわちカメラ基板1の重心位置)の周りの位置となるように、各電磁ソレノイド6a〜6cを配置してある。ここで、各電磁ソレノイド6a〜6cの駆動子9がカメラ基板1を押圧する部位はそれぞれ正三角形の3つの頂点となっており、電磁ソレノイド6a,6cの駆動子9,9はカメラ基板1の下側部の左右両側をそれぞれ押圧し、電磁ソレノイド6bの駆動子9はカメラ基板1の上側部の左右方向における中間部を押圧するようになっている。また取付ベース5には支点突起8が突設されておらず、カメラ基板1は4本のコイルばね4によって初期位置に位置決めされている。なおカメラ駆動装置の基本的な構成は実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
このカメラ駆動装置の動作について図7及び図8を参照して説明する。電磁ソレノイド6a〜6cはコイルに通電すると駆動子9が通電電流に応じた変位量だけ後側(カメラ基板1側)に突出するような直動型のソレノイドであり、外部のコントローラ(図示せず)からハーネス11を介して電磁ソレノイド6aのコイルのみに通電し、その駆動子9を後側に突出させると、電磁ソレノイド6aの駆動子9がコイルばね4のばね力に抗してカメラ基板1の下部の左端部を後向きに押圧し、カメラ基板1は電磁ソレノイド6b,6cの駆動子9,9で押圧される部位を支点にして回転し、この動作によって撮像素子の撮像範囲が変化する。その後電磁ソレノイド6aのコイルへの励磁を停止すると、駆動子9がカメラ基板1を後向きに押す力がなくなるので、コイルばね4のばね復帰力でカメラ基板1は初期位置に復帰する。また同様に電磁ソレノイド6b,6cのコイルに通電することによって、各々の電磁ソレノイド6b,6cの駆動子9,9でカメラ基板1が後向きに押圧され、カメラ基板1の傾きが変化する。而して3つの電磁ソレノイド6a〜6cの通電電流を制御することで、各々の駆動子9の変位量を調整して、カメラ基板1の傾きを制御することができ、撮像素子をパン・チルトさせることができる。例えば図7に示すようにカメラ基板1をパンさせる場合には、電磁ソレノイド6a,6bのコイルに通電して各々の駆動子9,9を距離Ya,Ybだけ突出させることで、撮像素子の撮像中心を通り上下方向と平行な軸周りにカメラ基板1を回転(パン)させることができる。
図8はカメラ基板1の回転動作を説明する説明図であり、カメラ基板1の4つの角部と基準面Eとの間の距離をそれぞれX1,X2,X3,X4とすると、カメラ基板1の基準面Eに対する傾斜角はこれらの距離X1〜X4で決定される。すなわちカメラ基板1を基準面Eに対して所望の角度だけ傾斜させたい場合には、上記の距離X1〜X4を所定の距離に変化させれば良く、電磁ソレノイド6a〜6cへの通電に応じて各々の駆動子9でカメラ基板1を押圧し、電磁ソレノイド6aの駆動子9で押される駆動ポイントAと基準面Eとの間の距離Xa、電磁ソレノイド6bの駆動子9で押される駆動ポイントBと基準面Eとの間の距離Xb、および電磁ソレノイド6cの駆動子9で押される駆動ポイントCと基準面Eとの間の距離Xcをそれぞれ変化させることで、距離X1〜X4を所望の距離に設定することができる。つまり電磁ソレノイド6a〜6cの通電電流を制御して距離Xa〜Xcを調整することによって、距離X1〜X4を所望の距離に設定できるので、カメラ基板1を取付ベース5に対して所望の方向に傾斜させ、撮像素子の向きをパン・チルトさせることができ、従来のカメラ駆動装置のようにカメラ基板1を2軸で支持して、各々の軸周りに回転させる場合に比べてカメラ駆動装置の構成を簡単にできる。
(実施形態3)
本発明の実施形態3を図9及び図10に基づいて説明する。上述の実施形態2では3つの電磁ソレノイド6a〜6cをカメラ基板1に対して取付ベース5と反対側に配置し、コイルばね4でカメラ基板1を前側(電磁ソレノイド6a〜6c側)に付勢するとともに、電磁ソレノイド6a〜6cの駆動子9でカメラ基板1を後側(取付ベース5側)に押圧しているのに対して、本実施形態では3つの電磁ソレノイド6a〜6cを取付ベース5に固定し、カメラ基板1の前側に配置された4つのコイルばね4でカメラ基板1を支持するとともに、各電磁ソレノイド6a〜6cの駆動子9でカメラ基板1を前方に押圧することによって、カメラ基板1を所望の向きに傾斜させている。なおカメラ駆動装置の基本的な構成は実施形態1又は2と同様であるので共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
取付ベース5の四隅の角部からは、斜め前方に向けて断面L字形に支持アーム5aが突出しており、各支持アーム5aの先端部の横片にはコイルばね4の前端が結合されている。各コイルばね4の後端はカメラ基板1の前面の四隅にそれぞれ結合されており、カメラ基板1は4本のコイルばね4を介して取付ベース5に位置決めされている。
一方、3つの電磁ソレノイド6a〜6cは取付ベース5の前面に駆動子9をカメラ基板1側に向けて固定されている。なお各電磁ソレノイド6a〜6cの駆動子9でカメラ基板1を押圧する部位が撮像素子の撮像中心(すなわちカメラ基板1の重心位置)の周りの位置となるように、各々の電磁ソレノイド6a〜6cは配置されており、3つの駆動子9がカメラ基板1を押圧する部位はそれぞれ正三角形の3つの頂点となって、電磁ソレノイド6a,6cの駆動子9,9はカメラ基板1の下側部の左右両側をそれぞれ押圧し、電磁ソレノイド6bの駆動子9はカメラ基板1の上側部の左右方向における中央部を押圧するようになっている。
次にこのカメラ駆動装置の動作について図10(a)を参照して説明する。電磁ソレノイド6a〜6cはコイルに通電すると駆動子9が通電電流に応じた変位量だけ前側(カメラ基板1側)に突出するような直動型のソレノイドであり、外部のコントローラ(図示せず)からハーネス11を介して電磁ソレノイド6aのコイルのみに通電し、その駆動子9を前側に突出させると、電磁ソレノイド6aの駆動子9がコイルばね4のばね力に抗してカメラ基板1の下部の左端部を前側に押圧し、カメラ基板1は電磁ソレノイド6b,6cの駆動子9,9で押圧される部位を支点にして回転し、この動作によって撮像素子の撮像範囲が変化する。その後電磁ソレノイド6aのコイルへの励磁を停止すると、駆動子9がカメラ基板1を前側に押す力がなくなるので、コイルばね4のばね復帰力でカメラ基板1は初期位置に復帰する。同様に電磁ソレノイド6b,6cのコイルに通電することによって、各々の電磁ソレノイド6b,6cの駆動子9,9でカメラ基板1が前側に押圧され、カメラ基板1の傾きが変化する。而して3つの電磁ソレノイド6a〜6cのコイルへの通電電流を制御することによって、各々のプランジャのストロークを調整して、カメラ基板1の傾きを制御することができ、撮像素子をパン・チルトさせることができる。例えば図10(a)に示すようにカメラ基板1をパンさせる場合には、電磁ソレノイド6a,6bのコイルに通電して各々の駆動子9,9を所定量だけ突出させることで、撮像素子の撮像中心を通り上下方向と平行な軸周りにカメラ基板1を回転(パン)させることができる。
なお本実施形態において、図10(b)に示すように各駆動子9の先端部に球状の押圧部9aを一体に形成するとともに、駆動子9の押圧部9aが当接するカメラ基板1の部位に、押圧部9aとの接触面が半球状に凹んだ受け台12を固着しても良い。この場合は電磁ソレノイド6a〜6cの励磁時に球状の押圧部9aが受け台12の凹曲面12aを押圧することで、カメラ基板1をコイルばね4のばね力に抗して変位させるのであるが、カメラ基板1が図中上下方向に変位し、それに応じてカメラ基板1の傾きが変化したとしても、押圧部9aが凹曲面12aの表面に沿って摺動することで、押圧部9aが凹曲面12aを常に上側(つまり駆動子9の突出方向)へ押圧することができる。つまり、カメラ基板1に設けた受け台12の凹曲面12aと駆動子9の押圧部9aとを、駆動子9による押圧方向と略平行な方向において面接触させているので、カメラ基板1が傾斜したとしても駆動子9がカメラ基板1の表面を滑って、カメラ基板1の設定角度に対するズレが発生することはなく、駆動子9による押圧力を受け台12で確実に受けて、カメラ基板1をスムーズに動作させることができる。なお他の実施形態においても、上述と同様に駆動子9の先端部に球状の押圧部9aを形成するとともに、カメラ基板1に押圧部9aとの接触面が半球状に窪んだ受け台12を形成しても良いことは言うまでもない。
(実施形態4)
本発明の実施形態4を図11及び図12に基づいて説明する。上述の実施形態1では電磁ソレノイド6a…とコイルばね4とがカメラ基板1を挟んで互いに反対側に配置され、カメラ基板1の片側に配置されたコイルばね4でカメラ基板1を電磁ソレノイド6a…側に常に付勢するとともに、電磁ソレノイド6a…のコイルに通電した時に電磁ソレノイド6a…の駆動子9でコイルばね4のばね力に抗してカメラ基板1をコイルばね4側に押圧変位させているのに対して、本実施形態では電磁ソレノイド6a…の駆動子9をカメラ基板1に連結し、電磁ソレノイド6a…に設けた復帰ばねで駆動子9を復帰位置側に常時付勢することで、非通電時にカメラ基板1を復帰位置に戻している。すなわち電磁ソレノイド6aに設けた復帰ばねでコイルばね4の機能を兼用している。なお電磁ソレノイド6a…以外の構成は実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図11(a)は電磁ソレノイド6aの断面図であり、この電磁ソレノイド6aは、コイル13が巻装される筒状の巻胴部を有するボビン14と、ボビン14の一方の端面及び側面を覆う断面コ字形の固定鉄心15と、ボビン14の巻胴部内に挿通される円柱状のプランジャ部16aおよびプランジャ部16aの一端部から側方に突出する鍔部16bからなる可動鉄心16と、可動鉄心16のプランジャ部16aに挿通されて、鍔部16bとボビン14との間に配置されるコイルばね18(復帰ばね)とを備え、可動鉄心16のプランジャ部16aに丸棒状の駆動子9が結合され、この駆動子9は固定鉄心15に設けた貫通孔15cから外部に突出する。
この電磁ソレノイド6a…は、駆動子9を後側(カメラ基板1側)に向けた状態で、固定鉄心15が図示しない固定手段を介して取付ベース5に固定してあり、駆動子9の先端部をカメラ基板1に連結してある。そして電磁ソレノイド6a…のコイル13に通電していない状態では、可動鉄心16の鍔部16bがコイルばね18によって前側に押圧され、駆動子9が取付ベース5と反対側に変位して初期位置まで移動する。一方電磁ソレノイド6a…のコイル13に通電すると、固定鉄心15と可動鉄心16とで閉磁気回路を形成するように磁束が流れて、可動鉄心16がコイルばね18のばね力に抗して吸引され、可動鉄心16の鍔部16bでコイルばね18が圧縮されるので、コイル13に発生する磁気吸引力とコイルばね18のばね力とがバランスする位置まで駆動子9が変位し、駆動子9によってカメラ基板1が後側に押圧される。その後コイル13への通電を停止すると、コイルばね18のばね力によって可動鉄心16の鍔部16bが前側に押圧され、駆動子9が取付ベース5と反対側に変位して初期位置まで移動するので、駆動子9の変位に応じてカメラ基板1が初期位置に戻される。
ところで、実施形態1のカメラ駆動装置ではカメラ基板1を支持するコイルばね4のばね力と駆動子9の押圧力とがバランスする位置で駆動子9が停止することになり、複数の電磁ソレノイド6a…で動作させる場合には各々の駆動子9の変位に伴ってコイルばね4のばね力が変化するため、駆動子9の変位量が指令値に対してばらつきやすく、その結果カメラ基板1の設定角度に対してズレが生じやすくなって、制御し難いが、本実施形態ではカメラ基板1を初期位置に戻すためのコイルばね18を電磁ソレノイド6a…に内蔵させており、コイルばね18のばね力と磁気吸引力とがバランスする位置で可動鉄心16を強制的に位置決めしているので、各々の電磁ソレノイド6a…の吸引力とコイルばね18(復帰ばね)のばね力とで駆動子9の変位量が決定されるため、設定角度に対するカメラブロックのズレを小さくでき、制御も容易に行えるという利点がある。
なお図11(a)に示す電磁ソレノイド6aは、コイル13への通電に応じてプランジャ部16aと鍔部16bとを一体に形成した可動鉄心16が吸引されるようになっているが、図11(b)に示すように可動鉄心16を板状に形成し、この可動鉄心16を固定鉄心15で吸引するような構造のものでも良い。この電磁ソレノイド6a…は、コイル13が巻装される巻胴部を備えたボビン14と、ボビン14の一方の端面及び側面を覆う断面コ字形の外側ヨーク15aおよびボビン14の巻胴部内に挿通される円柱状の内側ヨーク15bが一体に形成された固定鉄心15と、ボビン14の他方の端面に対向配置される可動鉄心16と、可動鉄心16のボビン14側の面に一体に突設され、固定鉄心15の内側ヨーク15bを貫通する貫通孔15cに挿通された駆動子9と、駆動子9に挿通されて、可動鉄心16とボビン14との間に配置されるコイルばね18とで構成される。ここで、コイル13に通電すると、固定鉄心15と可動鉄心16とで閉磁気回路を形成するように磁束が流れて、板状の可動鉄心16がコイルばね18のばね力に抗して吸引され、可動鉄心16によりコイルばね18が圧縮されるので、コイル13に発生する磁気吸引力とコイルばね18のばね力とがバランスする位置まで駆動子9が変位し、駆動子9によってカメラ基板1が押圧される。
また図11(a)に示す電磁ソレノイド6a…では、固定鉄心15と可動鉄心16のプランジャ部16aとの対向部位(磁極部)がそれぞれ平面状に形成されているが、図11(c)に示すように、固定鉄心15と一体にボビン14の巻胴部内に挿通される内側ヨーク15b(磁極部)を突設し、この内側ヨーク15bと可動鉄心16のプランジャ部16aとの対向部位に、それぞれ磁気吸引方向に対して斜めに傾斜するテーパ面15d,16cを形成しても良い。
ここで、図12(b)はコイル13への印加電流と可動鉄心16の停止位置との関係を示した図であり、図中のaは固定鉄心15と可動鉄心16のプランジャ部16aとの対向部位が平面状に形成された場合の特性を、図中のbは固定鉄心15と可動鉄心16のプランジャ部16aとの対向部位にテーパ面15d,16cを形成した場合の特性をそれぞれ示し、テーパ面15d,16cを形成することで、可動鉄心16の変位量に対する磁束の変化(すなわち磁気吸引力の変化)を緩やかにできるから、印加電流に対する停止位置の特性を線形な特性に近づけることができる。
図12(a)は通電電流値を変化させた場合の可動鉄心16のストロークと磁気吸引力F1との関係、および、可動鉄心16のストロークとコイルばね18のばね力F2との関係をそれぞれ示しており、磁気吸引力F1がストロークに対して緩やかに変化するような特性の場合には、コイルばね18のばね力F2と磁気吸引力F1が整合するポイントを、通電電流値に対して線形な関係にすることができる。ここで図11(a)(b)に示す構造の電磁ソレノイド6a…では磁極面が平面状に形成されているので、ストロークの変化に応じて磁気吸引力が急激に変化するため、印加電流に対する停止位置の関係が非線形な関係となるが、図11(c)に示すように磁極面にテーパ面15d,16cを形成することによって、ストロークの変化に対する磁気吸引力の変化を緩やかにして、印加電流に対する停止位置の関係を線形な関係にでき、停止位置の制御が容易になる。
(実施形態5)
本発明の実施形態5を図13及び図14に基づいて説明する。上述した実施形態1では2つの電磁ソレノイド6a,6bをカメラ基板1に対して取付ベース5と反対側に配置し、コイルばね4でカメラ基板1を前側(電磁ソレノイド6a,6b側)に付勢するとともに、電磁ソレノイド6a,6bの駆動子9でカメラ基板1を後側(取付ベース5側)に押圧しているのに対して、本実施形態では2つの電磁ソレノイド6a,6bを取付ベース5に固定し、取付ベース5に固定された支持アーム5bにコイルばね4の一端を結合して、コイルばね4の他端でカメラ基板1を後ろ向きに常時付勢するとともに、各電磁ソレノイド6a,6bの駆動子9でカメラ基板1を前方に押圧することで、カメラ基板1を所望の向きに傾斜させている。また本実施形態では電磁ソレノイド6a,6bに、2組のコイルを具備して駆動子9を前後両側に駆動できる直動型のソレノイドを用いている。なおカメラ駆動装置の基本的な構成は実施形態1と同様であるので共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
電磁ソレノイド6aは、それぞれコイル131,132が巻回され前後方向に並べて配設される一対のボビン141,142と、後側のボビン141の後端面および側面を覆う断面コ字形の固定鉄心151と、前側のボビン142の前端面および側面を覆う断面コ字形の固定鉄心152と、板状の鍔部16bの両側面にボビン141,142の筒内に挿通される円柱状のプランジャ部16a,16aがそれぞれ突設された可動鉄心16と、可動鉄心16のプランジャ部16a,16aにそれぞれ挿通されて、鍔部16bとボビン14の端面との間に介装されるコイルばね18,18とで構成され、一対の固定鉄心151,152はそれぞれ適宜の固定手段を用いて取付ベース5に固定されている。また駆動子9は可動鉄心16のプランジャ16aの中央に埋設固定され、固定鉄心152に貫設された挿通孔15cを通して前方に突出している。
ここで、後側のコイル131に通電すると、固定鉄心151と可動鉄心16とで閉磁気回路を形成するように磁束が流れ、可動鉄心16のプランジャ部16aがコイルばね18のばね力に抗して固定鉄心151に吸引され、可動鉄心16の鍔部16bでコイルばね18が圧縮されるので、コイル131に発生する磁気吸引力とコイルばね18のばね力とがバランスする位置まで駆動子9が後側に変位する。このとき駆動子9がカメラ基板1の端部を前側に押圧する力が無くなるので、カメラ基板1の端部がコイルばね4のばね力によって駆動子9に当接する位置まで後側に押圧変位され、カメラ基板1が取付ベース5に対して斜めに傾斜させられる。
また前側のコイル132に通電すると、固定鉄心152と可動鉄心16とで閉磁気回路を形成するように磁束が流れ、可動鉄心16のプランジャ部16aがコイルばね18のばね力に抗して固定鉄心152に吸引され、可動鉄心16の鍔部16bでコイルばね18が圧縮されるので、コイル132に発生する磁気吸引力とコイルばね18のばね力とがバランスする位置まで駆動子9が前側に変位する。このとき駆動子9がコイルばね4のばね力に抗してカメラ基板1の端部を前側に押圧することで、カメラ基板1が取付ベース5に対して斜めに傾斜させられる。
一方、コイル131,132への通電を停止すると、コイルばね18,18のばね力がバランスする初期位置まで可動鉄心16が戻され、コイルばね4のばね力によってカメラ基板1の端部が初期位置に変位させられる。
なお図14(a)に示す電磁ソレノイド6aは、コイル13への通電に応じてプランジャ部16aと鍔部16bとを一体に形成した可動鉄心16が吸引されるようになっているが、図14(b)に示すように可動鉄心16を板状に形成し、この可動鉄心16を固定鉄心151,152で吸引するような構造のものでも良い。この電磁ソレノイド6a…は、それぞれコイル131,132が巻回される巻胴部を具備し前後方向に並べて配設される一対のボビン141,142と、後側のボビン141の後端面および側面を覆う断面コ字形の外側ヨーク15aおよびボビン141の巻胴部内に挿通される円柱状の内側ヨーク15bが一体に形成された固定鉄心151と、前側のボビン142の前端面および側面を覆う断面コ字形の外側ヨーク15aおよびボビン142の巻胴部内に挿通される円柱状の内側ヨーク15bが一体に形成された固定鉄心152と、ボビン141,142間に配置される可動鉄心16と、可動鉄心16に貫設され、固定鉄心151,152の内側ヨーク15b,15bを貫通する貫通孔15c,15cに挿通された駆動子9と、駆動子9に挿通されて、可動鉄心16とボビン141,142との間に配置されるコイルばね18,18とで構成される。ここで、コイル131又は132に通電すると、固定鉄心151又は152と可動鉄心16とで閉磁気回路を形成するように磁束が流れて、板状の可動鉄心16がコイルばね18のばね力に抗して吸引され、可動鉄心16でコイルばね18が圧縮されるので、コイル131又は132に発生する磁気吸引力とコイルばね18のばね力とがバランスする位置まで駆動子9が変位し、駆動子9の変位に応じてカメラ基板1が駆動されるのである。
(実施形態6)
本発明の実施形態6を図15(a)(b)に基づいて説明する。本実施形態では、上述した実施形態5において直動型の電磁ソレノイド6a,6bの代わりに、ロータリソレノイド20a,20bを用いている。なおロータリソレノイド20a,20b以外は上述した実施形態1又は5と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
ロータリソレノイド20a,20bは取付ベース5に固定されており、各々の出力軸21にはカメラ基板1を押圧するために短冊状の駆動板22が固着されている。なおロータリソレノイド20a,20bは、駆動板22,22によってカメラ基板1が押圧される部位(駆動ポイントP1,P2)と支点突起8で支持される部位(撮像素子の撮像中心)とを結ぶ線が180度未満の角度で交差するように配置されており、本実施形態では一方のロータリソレノイド20aの駆動板22による駆動ポイントP1が支点突起8の左側、もう一方のロータリソレノイド20bの駆動板22による駆動ポイントP2が支点突起8の上側にそれぞれ配置され、各々の駆動ポイントP1,P2と支点突起8による支点部とを結んでできる線が約90度の角度で交差している。
ここで、ロータリソレノイド20aに電流が印加されると、ロータリソレノイド20aの出力軸21が軸の先端側から見て左回りに回転し、出力軸21に固着された駆動板22がコイルばね4のばね力に抗してカメラ基板1の左端部を前方に押圧するので、カメラ基板1が支点突起8を支点にして図15(b)中の右回りに回転し、この動作によって撮像素子の撮像範囲が変化する。その後ロータリソレノイド20aへの通電を停止すると、駆動板22がカメラ基板1を前方に押す力がなくなるので、コイルばね4のばね復帰力を受けてカメラ基板1が初期位置に復帰する。
ロータリソレノイド20aの通電によってカメラ基板1が回転する方向をパン方向とすると、カメラ基板1をチルト方向に回転させるにはロータリソレノイド20bに通電すれば良い。すなわち、ロータリソレノイド20bに電流が印加されると、ロータリソレノイド20bの出力軸21が軸の先端側から見て左回りに回転し、出力軸21に固着された駆動板22がコイルばね4のばね力に抗してカメラ基板1の上端部を前方に押圧するので、カメラ基板1が支点突起8を支点にして上下方向に回転し、この動作によって撮像素子をチルト方向に回転させることができる。またロータリソレノイド20bへの通電を停止すると、駆動板22がカメラ基板1を前方に押す力がなくなるので、コイルばね4のばね復帰力でカメラ基板1は初期位置に復帰する。
上述の説明ではロータリソレノイド20a又は20bに通電することで、カメラ基板1を1つの軸周りに回転させて、撮像素子をパン又はチルトさせているが、2つのロータリソレノイド20a,20bに同時に通電することでパン、チルトの動作を両方同時に行わせ、基準面(取付ベース5の前面と略平行な平面)に対してカメラ基板1を右側及び下側に回転させることができる。また従来のカメラ駆動装置のように2軸の軸受け機構を設けることなくカメラ基板1をパン・チルトさせているので、カメラ駆動装置の構成を簡単にでき、またギヤ列を介して駆動していないので動作音を小さくできる。
なお本実施形態では2つのロータリソレノイド20a,20bでコイルばね4のばね力に抗してカメラ基板1を前側に押圧することにより、カメラ基板1を所望の方向に傾斜させて、撮像素子をパン・チルトさせているが、図16(a)(b)に示すように3つのロータリソレノイド20a,20b,20cを、各々の出力軸21に固着された駆動板22でカメラ基板1を押圧する部位が、撮像素子の撮像中心(すなわちカメラ基板1の重心位置)の周りの位置となるように、ロータリソレノイド20a〜20cを配置しても良い。図16(a)(b)に示す例では、各ロータリソレノイド20a〜20cの駆動板22がカメラ基板1を押圧する部位(駆動ポイントP1〜P3)はそれぞれ正三角形の3つの頂点となっており、ロータリソレノイド20a,20cの駆動板22,22はカメラ基板1の下側部の左右両側をそれぞれ押圧し、ロータリソレノイド20bの駆動板22はカメラ基板1の上側部の左右方向における中間部を押圧するようになっている。
また図15に示したカメラ駆動装置ではカメラ基板1を駆動するカメラ駆動部としてロータリソレノイド20a,20bからなる回転型のアクチュエータを用いているが、回転型のアクチュエータをロータリソレノイド20a,20bに限定する趣旨のものではなく、図17に示すようにロータリソレノイド20a,20bに代えてステッピングモータ23a,23bを用いても良い。
ステッピングモータ23a,23bは取付ベース5に固定されており、各々の出力軸24にはカメラ基板1を押圧するためのカム板25が固着されている。なお2つのステッピングモータ23a,23bは、カム板25,25によってカメラ基板1が押圧される部位と支点突起8で支持される部位(撮像素子の撮像中心)とを結ぶ線が180度未満の角度で交差するように配置されており、本実施形態では一方のステッピングモータ23aのカム板25による駆動ポイントが支点突起8の左側、もう一方のステッピングモータ23bのカム板25による駆動ポイントが支点突起8の上側にそれぞれ配置され、各々の駆動ポイントと支点突起8の先端とを結んでできる線が約90度の角度で交差している。
ここで、ステッピングモータ23a,23bの出力軸24を所望の角度だけ回転させると、出力軸24の回転に応じてカム板25が回転し、カム板25の形状に応じた距離だけコイルばね4のばね力に抗してカメラ基板1が前側に押圧駆動されて、カメラ基板1が所望の角度だけ傾斜するようになっている。なお図18(a)(b)はカム板25のカム形状を示す図であり、カム板25の高さ寸法Xa1,Xa2を異ならせることによってカム板25の回転に応じたカメラ基板1の駆動量を変化させることができる。なお上述したロータリソレノイド20a,20bを用いるカメラ駆動装置において、ロータリソレノイド20a,20bの出力軸(回転軸)に上述のカム板25を連結し、出力軸を正転又は逆転させることによってカム板25でカメラ基板1を押圧変位させるようにしても良いことは言うまでもない。
次に上述した各実施形態のカメラ駆動装置を駆動する駆動回路について図19を参照して説明する。図19は3つの電磁ソレノイド6a〜6cを駆動する駆動回路の例を示し、この駆動回路は入力部30と制御部31と駆動回路部32a〜32cとで構成される。ここで、入力部30はスライド式やロータリ式のボリュームなどからなり、この入力部30を用いて撮像素子の撮像角度(パン角およびチルト角)を入力すると、撮像角度に応じた信号が制御部31に与えられる。制御部31は、入力部30から入力された撮像角度に基づいて各電磁ソレノイド6a,6b,6cの変位量を演算し、演算結果を指令値(駆動電流信号)Sa,Sb,Scとして各電磁ソレノイド6a,6b,6cに対応して設けた駆動回路部32a,32b,32cに出力する。そして駆動回路部32a,32b,32cは、制御部31から入力された変位指令信号Sa,Sb,Scに基づいて、対応する電磁ソレノイド6a,6b,6cに駆動電流Ia,Ib,Icを印加し、所望の変位量だけ変位させることにより、撮像素子の撮像角度を所望の角度に制御することができる。ここに、制御部31と駆動回路部32a…とで駆動電流信号を制御する電流制御部が構成される。
なお入力部30により撮像角度を直接入力するかわりに、複数の撮像方向と、各々の撮像方向における駆動電流Ia,Ib,Icとの対応関係が予め設定されたデータテーブルを記憶する記憶部33を設け、入力部30により複数の撮像方向の中から所望の撮像方向を選択すると、制御部31が入力部30からの選択信号をもとに記憶部33に記憶されたデータテーブルから駆動電流Ia,Ib,Icを読み出し、この駆動電流Ia,Ib,Icをもとに変位指令信号Sa,Sb,Scを作成する。そして駆動回路部32a,32b,32cは、制御部31から入力された変位指令信号Sa,Sb,Scに基づいて、対応する電磁ソレノイド6a,6b,6cに駆動電流Ia,Ib,Icを印加し、所望の変位量だけ変位させることで、撮像素子を所望の撮像方向に向けている。なお表1は、記憶部33に登録されたデータテーブルを示しており、このデータテーブルには複数の撮像方向(ポジション1,2…)と、各々の撮像方向における駆動電流Ia,Ib,Icとの対応関係が設定されている。
ところで図19に示す駆動回路では制御部31はオープン制御を行っているが、カメラ基板1と取付ベース5との間の距離を検出する距離センサを設け、制御部31が距離センサの検出結果からカメラ基板1の傾きを求めて、カメラ基板1の傾斜角度が目標値に一致するようにフィードバック制御を行うようにしても良く、撮像素子の撮像角度を高精度に制御することができる。
図20(a)は距離センサ(距離検出手段)の一例を示しており、カメラ基板1に一対の発光ダイオード26を配置するとともに、取付ベース5に一対のフォトダイオード27を配置し、発光ダイオード26からの光を対向配置されたフォトダイオード27で受光し、フォトダイオード27の受光光量によって発光ダイオード26とフォトダイオード27との間の距離D1,D2を検出しており、これらの距離D1,D2を用いてカメラ基板1の傾斜角度を検出している。また図20(b)は距離センサの別の例を示しており、カメラ基板1に、取付ベース5に向かって光を照射する発光ダイオード26と、発光ダイオード26から照射された後に取付ベース5で反射された光を受光するフォトダイオード27とを2組配置してあり、取付ベース5による反射光をフォトダイオード27で受光し、フォトダイオード27の受光光量によって発光ダイオード26と取付ベース5との間の距離D3,D4を検出しており、これらの距離D3,D4を用いてカメラ基板1の傾斜角度を検出している。なお図20(a)(b)に示した角度センサでは、フォトダイオード27の受光光量から距離を求めているが、発光ダイオード26から照射される光を変調して、発光ダイオード26からの照射光とフォトダイオード27の受光光との位相差をもとに距離を検出するようにしても良い。
また図19で説明した駆動回路では、制御部31が、撮像素子の設定角度に対応した駆動電流をそのままの電流値で電磁ソレノイド6a〜6cに印加させた場合、駆動系の質量と慣性力によってカメラ基板1が設定角度X0を越えてオーバーシュートし、その後振動して設定角度X0に収束することになり(図21参照)、その結果撮像素子の画像に揺れが発生するという問題がある。そこで制御部31では、図22に示すように最終の設定角度に対応する駆動電流I0以外に複数の電流指令値I1,I2(I0>I1>I2)を用意し、動作開始直後は最終の設定角度に対応した駆動電流I0よりもやや小さい駆動電流I1を印加することで、カメラ基板1の立ち上がりを早めるとともに、最終の設定角度に到達する手前で電流指令値をI1からI2に低下させることによって、カメラ基板1の動作速度を減速させ、最終的に電流指令値I0を印加することで、カメラ基板1の傾斜角度を最終の設定角度に制御しており、オーバーシュートの発生を防止して、撮像素子の画像の揺れを低減することができる。