JP2005209635A - 燃料電池の発電運転制御方法及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の停止時の掃気時間を短くし、かつ起動時の始動性を向上させる。
【解決手段】燃料電池の発電運転の継続中に、電解質膜と反応ガス流路中の両方の残留水分を検知して反応ガスの湿り具合を制御しているので、燃料電池の運転継続中(S2→S3→S4「否定」→S2…)における電解質膜の残留水分を最適に制御することができる。その結果、燃料電池の停止時(S4)における掃気時間(S7)を軽減あるいは不要にすることができ、かつ発電停止(S9)後の再起動時の始動性を向上できる。
【選択図】図3

Description

この発明は、電解質膜を挟んで保持するアノード電極とカソード電極の両側に設けた反応ガス流路に反応ガスを供給することで発電運転を行う燃料電池の発電運転制御方法に関し、特に発電停止後の再起動時における始動性を向上させる燃料電池の発電運転制御方法及びその装置に関する。
一般的に、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜(陽イオン交換膜)からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード電極及びカソード電極を設けた電解質膜・電極構造体を、反応ガス流路が形成されたセパレータによって挟んで保持している。
この燃料電池において、反応ガス流路を通じてアノード電極に供給された燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう。)は、電極触媒上で水素が陽イオン化され、電解質膜を介してカソード電極側へと移動する。その間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。なお、カソード電極には、反応ガス流路を通じて、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう。)が供給されているために、このカソード電極において、水素イオン、電子及び酸素が反応して水が生成される。
ところで、特許文献1に記載されているように、固体高分子型燃料電池では、長時間の発電運転後に、電解質膜が過剰の加湿状態又は乾燥状態となり電池性能が低下するという問題が指摘されている。
また、特許文献2、3に記載されているように、固体高分子型燃料電池では、カソード電極側において、過剰な水分が滞留して運転効率が低下するという問題が指摘されている。
これらの問題を解決するために、特許文献1では、電解質膜の電導度に応じて、また特許文献2では、出力電圧とインピーダンスに応じて、特許文献3では、所定サイクル毎に、それぞれ加湿空気あるいは乾燥空気を交互に燃料電池に供給する燃料電池が記載されている。
さらに、特許文献4には、燃料電池を氷点下(水の凍結温度以下)で始動させようとすると、燃料電池内の水分が凍結し易く、該燃料電池内で電気化学反応が行われ難いという不具合が指摘されている。
そこで、例えば、特許文献4には、発電動作を停止したとき、反応ガス流路に加湿されていない掃気流体(パージ流体)、例えば窒素ガスを供給して、反応ガス流路内の水を掃気(パージ)することが燃料電池の凍結時起動能力を向上させる点で好ましいと記載されている。
特開平5−47394号公報 特開平7−235324号公報 特開平10−64569号公報 特表2003−510786号公報([0047]、[0048])
しかしながら、上記特許文献1〜3に係る技術により発電中の水分制御を行ったとしてもそれが燃料電池に関する最適水分制御とは限らず、また、発電停止時に、上記特許文献4に係る技術により掃気したとしても、その掃気時間が長くかかってしまうという問題がある。
この発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、発電運転中における燃料電池の水分を最適に制御することを可能とし、かつ燃料電池の発電停止時における掃気時間を軽減あるいは不要にすることを可能とする燃料電池の発電運転制御方法及びその装置を提供することを目的とする。
また、この発明は、発電停止後の再起動時の始動性を向上させることを可能とする燃料電池の発電運転制御方法及びその装置を提供することを目的とする。
さらに、この発明は、水の凍結温度以下の環境下においても迅速な始動が確実に遂行され、通常運転に直ちに移行することが可能な燃料電池の発電運転制御方法及びその装置を提供することを目的とする。
この項では、この発明の理解の容易化のために添付図面中の符号を付けて説明する。したがって、この項に記載した内容がその符号を付けたものに限定して解釈されるものではない。
この発明の燃料電池の発電運転制御方法は、電解質膜(20b)を挟んで保持するアノード電極(20a)とカソード電極(20c)の両側に反応ガス流路(46、48)を設け、前記反応ガス流路に反応ガスを供給することで発電運転を行う燃料電池の発電運転制御方法において、前記発電運転の継続中に、前記電解質膜の残留水分を検知する電解質膜残留水分検知工程(S3a)と、前記反応ガス流路中の残留水分を検知する反応ガス流路残留水分検知工程(S3c)と、検知した電解質膜残留水分及び検知した反応ガス流路残留水分に応じて、前記反応ガスの湿り具合を制御する反応ガス湿り具合制御工程(S3e、S3d)とを備えることを特徴とする(請求項1記載の発明)。
この発明によれば、燃料電池の発電運転の継続中に、電解質膜と反応ガス流路中の両方残留水分を検知して反応ガスの湿り具合を制御しているので、燃料電池の運転継続中の電解質膜の残留水分を最適に制御することができる。すなわち、発電運転中における燃料電池の水分を最適制御することができ、その結果、燃料電池の停止時における掃気時間を軽減あるいは不要にすることができる。
この場合、前記電解質膜残留水分検知工程での前記電解質膜残留水分は、前記電解質膜の膜抵抗値に基づいて求めることができる(請求項2記載の発明)。
また、前記反応ガス流路残留水分検知工程での前記反応ガス流路中の残留水分は、前記反応ガス流路の供給口と吐出口との間の圧力差に基づいて求めることができる(請求項3記載の発明)。
前記反応ガス湿り具合制御工程の後に、さらに、発電停止信号の入力に基づき発電停止時処理を行い発電を停止する発電停止時処理工程を設け、前記発電停止時処理は、前記発電停止信号の入力を検知する発電停止信号検知工程(S4)と、前記発電停止信号の入力を検知したとき、前記電解質膜に水分が残留していて、かつ前記反応ガス流路に水分が残留していない最適水分残留条件が成立しているかどうかを判定する最適水分残留条件判定工程(S6)と、前記最適水分残留条件が成立していると判定したとき発電を停止する発電停止工程(S9)とを備えることで、発電停止後の再起動時には、電解質膜には残留水分が残留しているので陽イオンが透過し易く、かつ反応ガス流路に水分が残留していないので凍結が発生することがないため、水の凍結温度以下の環境下においても迅速な始動が確実に遂行され、通常運転に直ちに移行することができる(請求項4記載の発明)。すなわち、この発明によれば、発電停止後の再起動時の始動性が向上する。
上述した燃料電池は、前記電解質膜を挟んで保持する前記アノード電極と前記カソード電極とを設けた電解質膜・電極構造体(20)を有し、前記電解質膜・電極構造体がセパレータ(22)(24)により挟んで保持され、かつ前記セパレータの前記電解質膜・電極構造体に対面する部分に前記反応ガス流路が設けられた発電セルを複数積層したスタック構造にされている、いわゆる燃料電池スタック(12)も含む(請求項5記載の発明)。
また、この発明の燃料電池の発電運転制御装置は、電解質膜(20b)を挟んで保持するアノード電極(20a)とカソード電極(20c)の両側に反応ガス流路(46)(48)を設け、前記反応ガス流路に反応ガスを供給することで発電運転を行う燃料電池の発電運転制御装置において、発電運転の継続中に前記電解質膜の残留水分を検知する電解質膜残留水分検知手段(60:S3a)と、発電運転の継続中に前記反応ガス流路中の残留水分を検知する反応ガス流路残留水分検知手段(60:S3c)と、発電運転の継続中に、検知した電解質膜残留水分及び検知した反応ガス流路残留水分に応じて、前記反応ガスの湿り具合を制御する反応ガス湿り具合制御手段(60:S3e、S3d)とを備えることを特徴とする(請求項6記載の発明)。
この発明によれば、燃料電池の発電運転の継続中に、電解質膜と反応ガス流路中の両方残留水分を検知して反応ガスの湿り具合を制御しているので、燃料電池の運転継続中の電解質膜の残留水分を最適に制御することができる。すなわち、発電運転中における燃料電池の水分を最適制御することができ、その結果、燃料電池の停止時における掃気時間を軽減あるいは不要にすることができる。
この発明によれば、発電運転中における燃料電池の水分を最適に制御できるので、燃料電池の停止時における掃気時間を軽減あるいは不要にすることができる。
そのため、発電停止後の再起動時の始動性を向上でき、水の凍結温度以下の環境下においても迅速な始動が確実に遂行され、通常運転に直ちに移行することができる。
図1は、この発明の実施形態に係る燃料電池の発電運転制御方法を実施し、かつ燃料電池の発電運転制御装置の一実施形態を含む燃料電池システム10の概略構成説明図である。
燃料電池システム10は、燃料電池スタック12を有し、この燃料電池スタック12は、複数の発電セル14を矢印A方向に積層した積層体として構成される。燃料電池スタック12の積層方向両端部には、正極側ターミナルプレート16a及び負極側ターミナルプレート16bと、エンドプレート18a、18bとが、順次、設けられる。エンドプレート18a、18bが図示しないタイロッド等によって締め付けられることにより、燃料電池スタック12が形成される。
各発電セル14は、電解質膜・電極構造体20と、この電解質膜・電極構造体20を挟持する金属のセパレータ22、24とを備える。セパレータ22、24には、後述する連通孔の周囲及び電極面(発電面)の外周を覆って、シール材が一体成形されている。
図2は、図1に示した燃料電池システム10を構成する燃料電池スタック12の構成要素である発電セル14の分解斜視説明図である。
図2に示すように、発電セル14の矢印B方向の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、一方の反応ガスである酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス供給連通孔30a、冷却媒体を排出するための冷却媒体排出連通孔32b、及び他方の反応ガスである燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔34bが、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
発電セル14の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔34a、冷却媒体を供給するための冷却媒体供給連通孔32a、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔30bが、矢印C方向に配列して設けられる。
電解質膜・電極構造体20は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜20bと、この固体高分子電解質膜20b挟んで保持するアノード電極20a及びカソード電極20cとを備える(図1及び図2参照)。
アノード電極20a及びカソード電極20cは、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に支持された多孔質カーボン粒子を前記ガス拡散層の表面に一様に塗布した電極触媒層とをそれぞれ有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜20bの両面に接合されている。
セパレータ22の電解質膜・電極構造体20に対向する面22aには、酸化剤ガス供給連通孔30aと酸化剤ガス排出連通孔30bとに連通する酸化剤ガス流路(反応ガス流路ともいう。)46が設けられる。酸化剤ガス流路46は、例えば、矢印B方向に延びて存在する複数の溝部とカソード電極20cとの間に形成される。
セパレータ24の電解質膜・電極構造体20に対向する面24aには、燃料ガス供給連通孔34aと燃料ガス排出連通孔34bとに連通する燃料ガス流路(反応ガス流路ともいう。)48が形成される。この燃料ガス流路48は、例えば、矢印B方向に延びて存在する複数の溝部とアノード電極20aとの間に形成される。
セパレータ22の面22bとセパレータ24の面24bとの間には、冷却媒体供給連通孔32aから供給される冷却媒体を冷却媒体排出連通孔32bに導くための冷却媒体流路50が形成される。この冷却媒体流路50は、金属セパレータ22に設けられる複数の溝部と、セパレータ24に設けられる複数の溝部とを重ね合わせることにより、矢印B方向に延びて一体的に構成される。
再び、図1において、燃料電池システム10は、例えば、自動車等の車両に搭載されており、基本的には、燃料電池スタック12と、この燃料電池システム10全体を制御する制御部60と、燃料ガス供給系62と、酸化剤ガス供給系64とを備える。
燃料電池スタック12は、複数の発電セル(燃料電池)14が電気的に直列に接続され、正極側ターミナルプレート16aから発電電流Ifが出力される。
この場合、各発電セル14で発生された電圧(セパレータ24と22間の電圧)の電圧値Vcは、電圧センサとしても機能する制御部60に図示しない電線を介して取り込まれる。
正極側ターミナルプレート16aから出力された発電電流Ifは、電流センサ68を通じ、負荷制御器70を介して走行用モータを含む負荷72、及び補機(コンプレッサ102、各種バルブ等)に供給される。
この発電電流Ifの電流値(符号はIfを使用する。)は、電流センサ68により検出され、制御部60に取り込まれる。制御部60では、各発電セル14の電圧値Vcを加算することで燃料電池スタック12の発電電圧Vs(ターミナルプレート16a、16b間の電圧)を計算し、発電電力をVs×Ifとして管理する。
一方のエンドプレート18aには、各発電セル14の酸化剤ガス流路46に酸化剤ガス供給連通孔30aを通じて空気を供給するための空気供給口78aと、発電セル14から排出される未使用の酸素を含む空気を酸化剤ガス排出連通孔30bを介して排出するための空気排出口78bとが設けられる。
他方のエンドプレート18bには、各発電セル14の燃料ガス流路48に燃料ガス供給連通孔34aを介して水素ガスを供給するための水素供給口76aと、発電セル14から排出される未使用の水素ガスを含む排ガスを燃料ガス排出連通孔34bを介して排出するための水素排出口76bとが設けられる。
燃料ガス供給系62は、燃料電池スタック12に燃料ガスを供給する水素供給流路82と、燃料電池スタック12から未使用の燃料ガスを含む排ガスを排出する水素排出流路83と、排出ガス(水素含有ガス)を水素供給流路82の途上に戻して燃料電池スタック12に供給するための水素循環流路84とを備える。
水素供給流路82には、高圧水素を貯留する水素タンク86と、水素タンク86から図示しない水素供給バルブを通じて供給される燃料ガスの圧力を減圧するレギュレータ88と、減圧された燃料ガスを燃料電池スタック12に供給するとともに、水素循環流路84から排ガスを吸引して燃料電池スタック12に戻すためのエゼクタ90と、燃料電池スタック12に供給される燃料ガスの圧力を検出する圧力センサ92とが設けられる。圧力センサ92により検出された燃料ガスの圧力値Phは、制御部60に取り込まれる。
水素排出流路83には、燃料電池スタック12から排出される排ガスを廃棄するためのパージバルブ94が設けられる。
酸化剤ガス供給系64は、燃料電池スタック12に酸化剤ガス(空気)を供給する空気供給流路98と、燃料電池スタック12から排出される未使用の空気を含む排ガスを外部に廃棄するための空気排出流路100とを備える。
空気供給流路98には、空気を圧縮して出力するためのコンプレッサ102と、コンプレッサ102から出力された圧縮空気に水分を与えて加湿空気として供給する加湿器103と、加湿器103を通じて供給される加湿空気とコンプレッサ102から直接供給される乾燥空気の混合割合を制御する切替バルブ105と、燃料電池スタック12に供給される酸化剤ガス(空気)の圧力を検出する圧力センサ104とが設けられる。圧力センサ104により検出された酸化剤ガスの供給圧力値Pinは制御部60に取り込まれる。
空気排出流路100には、燃料電池スタック12の空気出口温度を検出する温度センサ106と、空気出口圧力を検出する圧力センサ107と、燃料電池スタック12に供給される酸化剤ガスの圧力を制御するための圧力調整バルブ108とが設けられる。温度センサ106と圧力センサ107によりそれぞれ検出された空気出口温度値Taと空気出口圧力値Poutは、制御部60に取り込まれる。
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)を有し、演算・制御・記憶・処理手段として機能し、この実施形態において、電解質膜残留水分検知手段、反応ガス流路残留水分検知手段、及び反応ガス湿り具合制御手段としても機能する。
この制御部60には、燃料電池システム10のイグニッションスイッチとして機能する起動スイッチ138や図示していないアクセルの開度を示すアクセル開度センサも接続されている。制御部60に対して、起動スイッチ138からオン状態に対応する発電開始信号(Ig=1)が供給されることで発電運転の開始処理がなされ、オフ状態に対応する発電停止信号(Ig=0)が供給されることで発電運転の停止処理がなされる。
そして、制御部60(のCPU)は、各種入力(起動スイッチ138からの信号Ig、及び各セル電圧値Vc、発電電流値If、空気供給圧力値Pin、空気出口圧力値Pout、水素入口圧力値Ph、空気出口温度Ta等)に対応して、プログラムを実行することで、コンプレッサ102の回転数、レギュレータ88の開度、切替バルブ105の切替位置、負荷制御器70の制御等を行い、所定の発電電流Ifを発生して負荷制御器70に供給するとともに、燃料電池システム10全体を統括して制御する。
この実施形態に係る燃料電池システム10は、基本的には、以上のように構成されかつ動作するものであり、次に、この燃料電池システム10のより詳しい動作について、図3に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、ステップS1において、ユーザの操作により起動スイッチ138がオフ状態からオン状態にされると(Ig=0→1)、ステップS2において、燃料電池システム10が始動され燃料電池スタック12の通常発電運転が行われる。
この通常発電運転の継続時には、水素タンク86から供給される燃料ガスが、レギュレータ88を介して所定の圧力に調整され、エゼクタ90を介し水素供給流路82を通じて燃料電池スタック12の水素供給口76aに供給される。
水素供給口76aに供給された燃料ガスは、各発電セル14を構成する燃料ガス供給連通孔34aを通じ燃料ガス流路48に沿ってアノード電極20aに供給されアノード電極20aに沿って移動後、水分を含む未使用の水素ガスを含む排ガスは、燃料ガス排出連通孔34bを通じ水素排出口76bから水素排出流路83に排出されて水素循環流路84に送られる。
水素循環流路84に排出された排ガスは、エゼクタ90の吸引作用下に、水素供給流路82の途上に戻された後、再度、燃料電池スタック12内に燃料ガスとして供給される。この燃料ガスは、水分を含むガス、すなわち加湿ガスになっている。
一方、空気は、外気が圧縮された圧縮空気としてコンプレッサ102から供給され、通常運転時には、切替バルブ105を介し、加湿器103を通じて加湿空気(加湿ガス)が空気供給流路98に供給される。この空気、すなわち酸化剤ガスは、空気供給口78aから各発電セル14を構成する酸化剤ガス供給連通孔30aを通じ酸化剤ガス流路46に沿ってカソード電極20cに供給されカソード電極20cに沿って移動後、未使用の空気を含む排ガスが、酸化剤ガス排出連通孔30bを通じ空気排出口78bから空気排出流路100に排出される。
これにより、各発電セル14では、アノード電極20aに供給される燃料ガスである水素と、カソード電極20cに供給される酸化剤ガス中の酸素とが反応して発電が行われる。
この発電の過程について詳しく説明すると、アノード電極20aにおいて水素ガスが水素イオン化され水素イオンと電子が発生する。水素イオンは電解質膜20b内を水分を伴ってカソード電極20c側に到達する。発生した電子は、アノード電極20aから負極側ターミナルプレート16bを通じ外部負荷(負荷制御器70、負荷72及び補機等)を介し、電流センサ68を通じ正極側ターミナルプレート16aを介してカソード電極20cに到達する。そして、電解質膜20bのカソード電極20c側で、酸素が水素イオン及び電子と結合して水になる。
このように発電セル(燃料電池セルともいう。)14では、アノード電極20aで生成された水素イオンが電解質膜20bの中を通ってカソード電極20cに移動するときには、水の分子を同伴する。したがって、水素イオンの導電性を維持するために、電解質膜20bは、水分を含んだ湿潤の状態であることが必須の要件とされている。
この場合、酸化剤ガス供給系64では、酸化剤ガスのガス圧力が、目標の発電電流値Ifに基づき圧力調整バルブ108を介して所定の圧力に調整されるとともに、酸化剤ガスのガス流量がコンプレッサ102の回転数制御によって所定の流量に調整される。
一方、燃料ガス供給系62では、水素ガスのガス圧力がレギュレータ88を介して所定の圧力に調整されるとともに、水素ガスのガス流量がエゼクタ90を介して所定の流量に調整されている。
ステップS2の通常発電運転が継続されているときに、ステップS3に示す発電運転中における電解質膜20b及び反応ガス流路46、48の水分残留状態の最適化処理を行う。
この水分残留状態の最適化処理は、燃料電池スタック12の発電状態の最適化を図るとともに、後述する燃料電池システム10の発電停止時における掃気時間を軽減あるいは不要にするための処理であり、発電継続中に、各発電セル14を構成する空気の流路である酸化剤ガス流路46内の残留水分と電解質膜20bの残留水分を確認し、電解質膜20bに水分が所定量残留していて、かつ酸化剤ガス流路46内に水分が残留していない最適水分残留条件を成立させる処理工程である。
そして、最適水分残留条件が成立しているときに、発電停止処理がなされた場合、その発電停止処理がなされた時点の以降の時点で起動スイッチ138がオフ状態からオン状態に切り替えられた再起動時に、酸化剤ガス流路46内に水分が残留していないことから凍結が発生しないことを確実化し、また電解質膜20bに水分が残留しているので水素イオン(陽イオン)が透過し易いことを確実化し、結果として確実に正常な発電を開始することができる。すなわち、ステップS3に示す発電運転中における電解質膜20b及び反応ガス流路46、48の水分残留状態の最適化処理を行うことで、水の凍結温度以下の環境でも迅速な起動が確実に遂行され、起動後、通常発電運転に直ちに移行させることができる。
水分残留状態の最適化処理を行わない場合、発電運転状況により、電解質膜20b及び酸化剤ガス流路46の水分残留状態が以下の3態様を有する可能性がある。
(i)酸化剤ガス流路46内に液滴の水が残留している状態(電解質膜20bと酸化剤ガス流路46がともに湿潤状態)。(ii)電解質膜20b内に水分が残留している状態(電解質膜20bのみが湿潤状態)。(iii)電解質膜20bが乾燥している状態(電解質膜20bと酸化剤ガス流路46がともに乾燥状態)。そして、発電停止時には、(ii)の状態(最適水分残留条件・最適停止条件)で停止されていることが好ましい。
この実施形態において、上記(ii)の最適水分残留条件は、第1に、酸化剤ガス流路46内に水分が残留しているかどうかを判定するために、空気の供給圧力値Pinと排出圧力値Poutとの圧力差(圧力損失)α(α=Pin−Pout)が所定圧力値(閾値)ΔP以下の値になっているかどうかで判定している(α≦ΔP)。第2に、電解質膜20bの湿潤状態を判定するために、電解質膜20bの膜抵抗値Rmが、閾値である所定膜抵抗値(閾値)Rt以下の値であるかどうかで判定している(Rm≦Rt)。
図4は、発電セル14の内部残留水分が少ない状態(乾燥状態)から多い状態(加湿状態)に変化した場合の圧力差αと膜抵抗値Rmの変化特性を示している。圧力差αは、発電セル14を構成する酸化剤ガス流路46内の残留水分が多い場合に大きな値となり、少なくなるにしたがい小さな値になる。その一方、膜抵抗値Rmは、電解質膜20b内の残留水分が少ない場合に大きな値となり、多くなるにしたがい小さな値となる。
図4中に、上述した判定基準である所定圧力値ΔPと所定膜抵抗値Rtを記載している。したがって、この実施形態において、発電停止時における最適水分残留条件範囲は、所定膜抵抗値Rtと膜抵抗値Rmとの交点から所定圧力値ΔPと圧力差αとの交点までの範囲になる。
そこで、ステップS3に示す発電運転中における電解質膜20b及び反応ガス流路46、48の水分残留状態の最適化処理(反応ガス湿り具合制御工程)では、まず、ステップS3aにおいて、電解質膜20bの残留水分を検知する電解質膜残留水分検知工程を行う。このステップS3aでは、電解質膜20bの残留水分を、電解質膜20bの膜抵抗値Rmにより置換して判定している。そのため、このステップS3aでは、図5に示す電流電圧特性図(I−V線図という。)を取得し、現時点での膜抵抗値Rmを求める。
図5は、I−V線図を示し、このI−V線図は、運転中、所定時間経過毎に、発電電流値Ifとセル電圧値Vcとを測定しプロットすることで取得される。取得したI−V線図のプロット箇所の近似直線を求めることで、その傾きΔVc/ΔIfから現時点での膜抵抗値Rm(Rm=ΔVc/ΔIf)を求めることができる。なお、I−V線図は、発電セル14の温度が高いほどセル電圧値Vcが高くなる傾向にある。また、この実施形態において、膜抵抗値Rmを計算する際のセル電圧値Vcは、燃料電池スタック12を構成する各発電セル14のセル電圧値Vcの平均値としている。
次いで、ステップS3bにおいて、求めた膜抵抗値Rmが、閾値である所定膜抵抗値(閾値)Rt以下の値であるかどうかを判定する(Rm≦Rt)。
所定膜抵抗値Rt以下の値であった場合には、電解質膜20bは湿潤状態にあるものと推定として、次のステップS3cの反応ガス流路残留水分検知工程を行う。
この実施形態では、酸化剤ガス流路46内に水分が残留しているかどうかを判定するために、空気供給口78aの供給圧力値Pinと、空気排出口78bの排出圧力値Poutを、圧力センサ104、107を通じてそれぞれ測定し、圧力差(圧力損失)α(α=Pin−Pout)を計算し、計算した圧力差αが所定圧力値(閾値)ΔP以下の値になっているかどうかを判定する(α≦ΔP)。
圧力差αが所定圧力値ΔP以下の値である場合には、酸化剤ガス流路46には水分が残留していないとみなせるので、このステップS3cの判定が成立したときに、電解質膜20bは最適水分残留状態にあると判定する。
その一方、圧力差αが、所定圧力値ΔPを超える値であった場合には(最適水分残留条件が成立していない場合には)、酸化剤ガス流路46に過剰の水分が残留しているとみなし電解質膜20bが過湿潤、いわゆる濡れすぎの状態にあるとしてステップS3dの反応ガス流路の乾燥ガスによる掃気処理(反応ガス湿り具合制御工程)を行う。
この乾燥ガスによる掃気処理では、切替バルブ105を制御し、空気の流路を加湿器103側流路から直接供給流路側に切り替えることで、コンプレッサ102から供給される空気(乾燥ガス)が空気供給流路98を通じて空気供給口78aに供給される。この酸化剤ガスとしての乾燥空気は、空気供給口78aから酸化剤ガス供給連通孔30aを通じ、各発電セル14の酸化剤ガス流路46に沿って移動し酸化剤ガス排出連通孔30bを介して空気排出口78bから排出され、さらに空気排出流路100を通じ圧力調整バルブ108を通じて車外の外気に排出される。
このとき、酸化剤ガス流路46の残留水分が乾燥ガスにより空気排出口78bから空気排出流路100に排出される(パージされる)とともに、酸化剤ガス流路46が乾燥される、すなわち乾燥掃気(乾燥パージ)が行われる。
その一方、この乾燥ガスによる掃気処理では、乾燥した酸化剤ガスの供給と同時に、水素排出口76b、水素排出流路83を通じてエゼクタ90に供給された循環水素及び水素タンク86からレギュレータ88を通じて供給された水素が、エゼクタ90から水素供給流路82を通じて水素供給口76aから乾燥している燃料ガスとして燃料電池スタック12に供給される。
このようにステップS3dの反応ガス流路乾燥ガス掃気処理では、乾燥した酸化剤ガスと乾燥した燃料ガスを燃料電池スタック12に供給することで、電解質膜20bが乾燥方向に向かい、かつ反応ガス流路46、48内の残留水分が除去される。
なお、ステップS3bにおいて、膜抵抗値Rmが所定膜抵抗値Rtより高い値であると判定された場合、例えば通常運転を開始したが直ぐに運転を停止した場合等には、ステップ3eに示す電解質膜20bの加湿処理(反応ガス湿り具合制御工程)が行われる。
この電解質膜20bへの加湿処理では、コンプレッサ102から吐出される乾燥空気が切替バルブ105を介し加湿器103を通じて空気供給口78aから燃料電池スタック12内に供給される。これと同時に、水素タンク86からエゼクタ90を通じて供給される燃料ガスが水素供給口76aから燃料電池スタック12内に供給される。
加湿ガスが各発電セル14に供給されることで発電が促進され、電解質膜20bが乾燥状態から湿潤状態に向かう。
ステップS3e、S3c、S3dの処理後、ユーザが運転を停止するために起動スイッチ138を操作したかどうかが、ステップS4において判定される。すなわち、起動スイッチ138からハイレベルからローレベルに遷移する発電停止信号(Ig=0)が制御部60に供給されているかどうかが判定される。
なお、起動スイッチ138がオフ状態にされるまでの間、ステップS2の通常発電運転、及びステップS3の通常発電運転中の残留水分最適化処理(反応ガス湿り具合制御工程)が繰り返し実行される。
このように、上述したステップS3の処理では、燃料電池スタック12の発電運転の継続中に、電解質膜20bと酸化剤ガス流路46中の両方の残留水分を検知して反応ガスの湿り具合を制御しているので、燃料電池スタック12の運転継続中の電解質膜20b(電解質膜・電極構造体20)の残留水分を最適に制御することができる。すなわち、発電運転中に発電セル14中の水分を最適に制御することができ、その結果、以下に説明する発電停止時における掃気時間を軽減あるいは不要にすることができる。
以上の通常発電運転処理及び通常発電時残留水分最適処理が継続されているときに(ステップS2→S3→S4「否定」→S2…)、ユーザが運転を停止するために起動スイッチ138を操作し起動スイッチ138からの発電停止信号(Ig=0)が制御部60により検知されると、この発電停止信号検知工程を契機として以下に示す発電停止時処理が行われる。以下、ステップS5以降の発電停止時処理例について、図6の波形図をも参照して説明する。
図6の(a)に示すように、時点t0において、ハイレベル1からローレベル0に遷移する発電停止信号(Ig=0)が、制御部60により検知されると(ステップS4「肯定」)、発電停止時処理が実行開始される。このとき、図6の(b)に示すように、直ちに、水素タンク86に取り付けられている水素供給バルブ(不図示)が閉じられて、水素タンク86から燃料ガスである水素ガスの新たな供給が停止される、ステップS5の燃料ガス供給停止工程が行われる。
次に、ステップS6の発電停止時における最適水分残留条件判定工程が実行され、ステップS6中、まず、ステップS6aにおいて、念のため、酸化剤ガス流路46内に水分が残留しているかどうかを判定するために、上述したように、空気供給口78aの供給圧力値Pinと、空気排出口78bの排出圧力値Poutの圧力差(圧力損失)α(α=Pin−Pout)αを測定し、この圧力差αが所定圧力値(閾値)ΔP以下の値になっているかどうかを判定する(α≦ΔP)。
もし、図6の(c)に示すように、時点t0で発電停止信号(Ig=0)が入力されたときの圧力差αが、所定圧力値ΔPを超える値であった場合には(最適水分残留条件が成立していない場合には)、酸化剤ガス流路46に水分が残留しているとみなして、ステップS7の酸化剤ガス流路46の残留水分のパージ処理を行う。
このステップS7のパージ処理では、パージ時間を最小の時間とするため、切替バルブ105により空気の流路を加湿器103側流路から直接供給流路側に切り替えるとともに、圧力調整バルブ108を開放し、コンプレッサ102の回転数を最大にする。これにより、図6の(d)に示すように、コンプレッサ102から供給される乾燥された最大ガス流量の空気(乾燥ガス)が空気供給流路98を通じて空気供給口78aに供給される。この乾燥空気は、空気供給口78aから酸化剤ガス供給連通孔30aを通じ、各発電セル14の酸化剤ガス流路46に沿って移動し酸化剤ガス排出連通孔30bを介して空気排出口78bから排出され、さらに空気排出流路100を通じ圧力調整バルブ108を通じて車外の外気に排出される。このとき、酸化剤ガス流路46の残留水分が乾燥ガスにより空気排出口78bから空気排出流路100に排出されるとともに、酸化剤ガス流路46が乾燥する。
なお、酸化剤ガス流路46に乾燥ガスが供給されているとき、燃料ガス流路48には、水素ガスが残留しているので、各発電セル14では、所定の発電が継続されている。
乾燥ガスの供給中、例えば図6の(c)に示すように、時点t2において、圧力差αが所定圧力値ΔP以下の値になり、この時点t2で酸化剤ガス流路46に関する最適水分残留条件が成立する。
なお、図6の(e)に示す、水素ガスの圧力は、水素供給口76aで圧力センサ92により検出した圧力であり、時点t0で水素タンク86からの水素ガスの供給が停止されているので、水素ガスの圧力は、その時点t0から徐々に低下し、時点t1における所定圧力値で安定するように設計されている。なお、この所定圧力値は大気圧より高い圧力に設定されている。また、時点t0以降、パージバルブ94が閉じられるので、水素ガス流路48内のガス圧力値が大気圧より高い圧力となった状態が保持される。このようにして、ステップS7の酸化剤ガス流路46中の残留水分のパージが遂行される。
一方、ステップS6a及びステップS7の処理とほぼ同時に、つまり並列的にステップS6bの電解質膜残留水分判定処理が行われる。
このステップS6bでは、電解質膜20bに水分が残留しているかどうかを判定するために、電解質膜20bの膜抵抗値Rmを測定する。この膜抵抗値Rmは、負荷制御器70内部で負荷の値、たとえば抵抗値を間欠的に(パルス的)に小さくすることで(負荷を大きくすることで)、図6の(f)に示すように、発電電流値Ifをパルス的に増減させる。
このとき、発電電流値Ifの変動電流値ΔIfを計算し、さらに、図6の(g)に示すように、セル電圧Vcの対応する変動電圧値ΔVcを計算して、膜抵抗値RmをRm=ΔVc/ΔIfとして求める。
そして、求めた膜抵抗値Rmが、閾値である所定膜抵抗値(閾値)Rt以下の値であるかどうかを判定する(Rm≦Rt)。なお、膜抵抗値Rmは、負荷を正弦的に変化させることで交流インピーダンスとしても求めることができる。
このようにして測定した膜抵抗値Rmが、所定膜抵抗値Rtを超える値である場合、例えば通常運転を開始したが直ぐに運転を停止した場合等には、ステップS8に示す電解質膜20bへの水分残留処理(水分付加処理、加湿工程)を行う。実際上、この電解質膜20bへの水分残留処理では、酸化剤ガス流路46に加湿ガス(酸化剤ガス)を供給したままの状態で発電運転を継続する。
次に、ステップS6cにおいて、ステップS6aのガス流路残留水分判定が成立していて、かつステップS6bの電解質膜残留水分判定が成立していたかどうかが判定され、電解質膜20bに水分が残留していて、かつ酸化剤ガス流路46に水分が残留していない最適水分残留条件が成立するまで、ステップS6a、S7、S6b、S8、S6cの処理を繰り返し、最適水分残留条件が成立したときステップS9の発電停止処理を行う。
実際上、ステップS6aのガス流路残留水分判定処理が成立しているとき、制御部60において、ガス残留水分判定成立フラグFgがセットされ、また、ステップS6bの電解質膜残留水分判定処理が成立しているとき、電解質膜水分判定成立フラグFmがセットされるので、ステップS6cの判定は、これら両方の成立フラグFg、Fmが共にセットされているかどうかで肯定の判定がなされる。
次に、ステップS9の発電停止処理では、例えばステップS7の酸化剤ガス流路46のパージ処理が行われたときには、図6の(c)の時点t3に示すように、圧力差αが所定圧力値ΔP以下となった時点t2から所定時間T23の経過後に、コンプレッサ102の停止等、全ての補機の動作を停止させる。したがって、時点t3以降において、圧力差αはゼロ値となる。なお、時点t3以降、制御部60は、成立フラグFg、Fmをリセットしていわゆるスリープ状態になる。
ここで、所定時間T23は、空気出口温度Ta、環境温度等をパラメータとし、発電電流If等の履歴に対し、発電停止信号(Ig=0)を受けたときの圧力差α及び膜抵抗値Rm等を予め実験確認等により適正な値を求めておくことができる。
このように上述した実施形態によれば、発電継続中、及び発電停止時に、電解質膜20b及び酸化剤ガス流路46内部の残留水分を監視し、最適な水分状態になるように、ガスの供給時間、湿度を制御し、最適水分判定条件が成立した最適状態で発電の継続あるいは発電停止が行われるようにしている。
発電運転中における燃料電池の水分を最適に制御できるので、燃料電池の停止時における時点t0〜時点t3までの掃気時間を軽減あるいは不要にすることができる。
また、発電停止時点t3以降の再起動時の始動性を向上でき、水の凍結温度以下の環境下においても迅速な始動が確実に遂行され、通常運転に直ちに移行することができる。
実際に、再起動時の始動性に関し、最適水分残留条件が成立した場合、最適水分残留条件が非成立で酸化剤ガス流路46の残留水分が多い場合、及び最適水分残留条件が非成立で電解質膜20bが乾燥状態にある場合のそれぞれの場合についての実験例を図7及び図8に示す。
図7の特性201から分かるように、停止時に最適水分残留条件が成立していて再起動した場合には、各発電セル14の電圧が安定し発電電流値Ifは、直ちに所望の電流値に達するが、停止時に残留水分が多い場合には、特性202に示すように、再起動した場合、各発電セル14の電圧が安定せず発電電流Ifの上昇が緩やかで、時点taで発電が停止してしまっていることが分かる。発電が停止してしまった状態において、酸化剤ガス流路46内は、ほとんど水で満たされた状態になっている。また、特性203に示すように、停止時に乾燥状態であった場合には、再起動時には、発電電流Ifがなかなか上昇せず、所望の電流値に達するまでの時間がきわめて長い時間となってしまう。
また、図8から分かるように、氷点下以下の温度で再起動した場合において、冷却媒体流路50に冷却媒体を流し、エンドプレート18b側の冷却媒体排出口側において温度センサにより検出した冷却媒体の出口温度Twは、特性211から分かるように、最適水分残留条件が成立していて再起動した場合には、比較的に短い時間で所定温度に到達する、すなわち低温起動時間が短縮されるが、停止時に残留水分が多い場合及び停止時に乾燥状態の場合、及び再起動時には、それぞれ特性212、213に示すように、冷却媒体の温度がなかなか上昇しないということが分かる。
この発明の実施形態が適用された燃料電池システムのブロック図である。 発電セル内の酸化ガス、冷却媒体及び燃料ガスの流れ方の説明図である。 図1例の燃料電池システムの動作説明に供されるフローチャートである。 最適水分残留条件成立範囲の説明図である。 燃料電池の発電電流と電圧との関係を示すI−V線図である。 停止時における反応ガス流路のガスパージ処理の説明用波形図である。 停止後、再起動時における残留水分の違いに基づく発電電流特性の違いの実験例を示す特性図である。 停止後、再起動時における残留水分の違いに基づく冷却媒体の温度上昇特性の違いの実験例を示す特性図である。
符号の説明
10…燃料電池システム 12…燃料電池スタック
14…発電セル 20…電解質膜・電極構造体
20a…アノード電極 20b…固体高分子電解質膜(電解質膜)
20c…カソード電極 22、24…セパレータ
46…酸化剤ガス流路 48…水素ガス流路
60…制御部

Claims (6)

  1. 電解質膜を挟んで保持するアノード電極とカソード電極の両側に反応ガス流路を設け、前記反応ガス流路に反応ガスを供給することで発電運転を行う燃料電池の発電運転制御方法において、
    前記発電運転の継続中に、
    前記電解質膜の残留水分を検知する電解質膜残留水分検知工程と、
    前記反応ガス流路中の残留水分を検知する反応ガス流路残留水分検知工程と、
    検知した電解質膜残留水分及び検知した反応ガス流路残留水分に応じて、前記反応ガスの湿り具合を制御する反応ガス湿り具合制御工程と
    を備えることを特徴とする燃料電池の発電運転制御方法。
  2. 請求項1記載の燃料電池の発電運転制御方法において、
    前記電解質膜残留水分検知工程での前記電解質膜残留水分は、前記電解質膜の膜抵抗値に基づいて求める
    ことを特徴とする燃料電池の発電運転制御方法。
  3. 請求項1記載の燃料電池の発電運転制御方法において、
    前記反応ガス流路残留水分検知工程での前記反応ガス流路中の残留水分は、前記反応ガス流路の供給口と吐出口との間の圧力差に基づいて求める
    ことを特徴とする燃料電池の発電運転制御方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池の発電運転制御方法において、
    前記反応ガス湿り具合制御工程の後に、さらに、
    発電停止信号の入力に基づき発電停止時処理を行い発電を停止する発電停止時処理工程を設け、
    前記発電停止時処理は、
    前記発電停止信号の入力を検知する発電停止信号検知工程と、
    前記発電停止信号の入力を検知したとき、前記電解質膜に水分が残留していて、かつ前記反応ガス流路に水分が残留していない最適水分残留条件が成立しているかどうかを判定する最適水分残留条件判定工程と、
    前記最適水分残留条件が成立していると判定したとき発電を停止する発電停止工程と
    を備えることを特徴とする燃料電池の発電運転制御方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池の発電運転制御方法において、
    前記燃料電池は、前記電解質膜を挟んで保持する前記アノード電極と前記カソード電極とを設けた電解質膜・電極構造体を有し、前記電解質膜・電極構造体がセパレータにより挟んで保持され、かつ前記セパレータの前記電解質膜・電極構造体に対面する部分に前記反応ガス流路が設けられた発電セルを複数積層したスタック構造にされている
    ことを特徴とする燃料電池の発電運転制御方法。
  6. 電解質膜を挟んで保持するアノード電極とカソード電極の両側に反応ガス流路を設け、前記反応ガス流路に反応ガスを供給することで発電運転を行う燃料電池の発電運転制御装置において、
    発電運転の継続中に前記電解質膜の残留水分を検知する電解質膜残留水分検知手段と、
    発電運転の継続中に前記反応ガス流路中の残留水分を検知する反応ガス流路残留水分検知手段と、
    発電運転の継続中に、検知した電解質膜残留水分及び検知した反応ガス流路残留水分に応じて、前記反応ガスの湿り具合を制御する反応ガス湿り具合制御手段と
    を備えることを特徴とする燃料電池の発電運転制御装置。
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