JP2005200596A - 制電性塗料用樹脂組成物および制電性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】制電特性が優れ、持続性を有し、ブリード、制電性のバラツキがなく、塗装膜の特性がそのまま維持され、高度な静電気対策機能を有する制電性樹脂組成物が得られ、かつ作業環境、健康に配慮した塗料用樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(a)水性樹脂塗料(固形分換算)100重量部に対し、(b)金属塩5〜100重量部を(c)水および/またはアルコール系溶媒100重量部に溶解させた溶液を、金属塩として0.01〜20重量部となるように配合してなる制電性塗料用樹脂組成物、および該組成物を基材へ塗布後、水および/またはアルコール系溶媒を揮発除去して得られる組成物、およびその製法。
【選択図】なし

Description

本発明は、制電特性が優れ、持続性を有する制電性樹脂組成物が得られる塗料用樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、ブリードなどの不具合がなく、制電性のバラツキがなく、塗装膜の特性がそのまま維持され、高度な静電気対策機能を有する制電性樹脂組成物を得ることができ、作業環境、健康に配慮した制電性塗料用樹脂組成物に関する。
溶剤型塗料は従来より多用されてきたが、環境問題などから、近年、有機溶剤の含有量の少ない水溶性塗料に置き換わりつつある。中でも、貯蔵安定性の良好な常温乾燥型水溶性塗料の実用化が望まれている。常温乾燥型水溶性塗料は、被塗装物に対して水溶性または水分散性の樹脂を含んでいて、塗装した後、水などの溶剤成分の揮発によって塗膜を形成するものである。この常温乾燥型水溶性塗料の中で、主樹脂として水溶性樹脂を用いたり、外観向上のために水溶性ポリウレタン樹脂を添加する場合には、樹脂に水溶性を付与するための親水性官能基であるカルボキシル基が、形成した塗膜中にも多量に残存するため、塗膜の耐水性が低下するという問題があった。
一方、カルボキシル基がカルボジイミド基と反応することが知られており、この反応を用いてカルボキシル基を消失させることにより、上記耐水性の不具合を解決できると考えられる。このような例として、水系で用いることができる変性カルボジイミド化合物が提案されており(特許文献1)、これを用いた水溶性塗料組成物が開示されている(特許文献2)。
しかしながら、上記変性カルボジイミド化合物を水溶性塗料組成物に含有させた場合には、上記変性カルボジイミド化合物の水分散性が充分でなく、また、カルボキシル基とカルボジイミド基との反応が塗料状態で起こり、貯蔵安定性に問題があった。
一方、制電性の水溶性塗料は、通常、ベースポリマーを液状媒体に溶解または分散させ、これに制電性材料を加えてなるものである。制電性の水溶性塗料を基体表面に塗布して液状媒体を揮発させることにより、基体表面に制電層を形成して、静電防止塗膜、各種電気電子部品の電気的接合などに用いられている(特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6など)。
ところで、制電性の水溶性塗料には、有機溶媒系塗料と水系塗料の2種類がある。有機溶媒系塗料には、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、エポキシ樹脂などのベースポリマーを、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの有機溶媒に溶解または分散させたものが知られている。有機溶媒系塗料は、塗布後の乾燥速度が早く、塗装生産性が良いため多用されているが、基体との接着性が不充分であるという問題の他、有機溶媒を蒸発させるので、環境保護の上で有機溶媒の回収・除害設備が必要という制約を有している。
これらの問題の対策として液状媒体に水を用いる水系制電性の水溶性塗料が提案されている(特許文献7、特許文献8など)。これらは、制電性材料とベースポリマー水溶液の混合物、または制電性材料と乳化重合法により製造された重合体ラテックスの混合物に増粘剤のカルボキシメチルセルロースなどを添加したものなどである。ベースポリマー水溶液を利用する方法は、ベースポリマーが吸湿しやすいため、使用される雰囲気により制電性の抵抗値が変動する問題を有しており、一方、重合体ラテックスを用いる方法には、得られる制電層が基体との接着性が不充分であるという問題があった。
制電性の水溶性塗料は、様々な形態や種類の基体に塗布して使用されるが、基体がシートやフィルムの場合は、制電層が形成された後に基体が繰り返し屈曲されるなどして変形を受けながら用いられることがある。このとき、基体の変形により、基体から制電層が剥離したり、制電層から制電性材料が脱落して制電性が低下するなどの問題がある。また、基体の変形に伴って制電層内部に亀裂が生じて抵抗値が変化する問題がある。特に、水溶性ポリマーは極性が高いためTgも高く、塗布し、乾燥して得られる制電層は柔軟性が不足し、基体の変形により制電性材料が脱落しやすい傾向がある。そのため、基体との密着性の良いベースポリマーが求められている。
制電性付与剤としては、通常、界面活性剤、カーボンブラック、金属系フィラーなどの導電性粉末に加え、最近ではポリアニリンやポリアセチレンのような導電性ポリマ―などが分散または溶解された形で使用されているが、界面活性剤は効果の持続性、制電能力、環境依存性など問題が多く、カーボンブラックは黒色に限定され、塗装膜の強度低下の問題、金属系フィラーは塗装膜強度低下やコストの問題が大きく、それぞれに問題があった。
また、制電性付与剤としてカチオンとなるアルカリ金属またはアルカリ土類金属を添加したものも提案されている(特許文献9)。金属塩は、単体で使用すると可燃性が高いものや、吸湿性が特に高いものがほとんどである。それ故、有機化合物(−{O(AO)n}−基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜7の整数を示す)を有し、かつ分子鎖末端がCH3基および/またはCH2基である有機化合物)にあらかじめ該金属塩を溶解させて使用することにより、工業生産の効率を促すと、特許文献9には記載されている。
しかし、これらの金属塩に有機化合物を配合した制電性塗料用樹脂組成物を用いて成形品に塗布したものは、他の熱可塑性樹脂の成形品、特にアルキル系、ポリエステル系の樹脂の成形品と接触したとき、接触面に当該有機化合物と金属塩がブリードあるいは直接移行して相手の成形品の外観を損ねる問題がある。
また、上記のような金属塩を単体で使用すると、体積固有抵抗値は低くなっても、バラツキが大きいという問題があった。これは、製品として致命傷であり、解決が望まれていた。
特開平7−330849号公報 特開平9−235508号公報 特開平5−171072号公報 特開平6−271793号公報 特開平8−41388号公報 特開平11−246758号公報 特開平5−125301号公報 特開平6−179839号公報 特開2002−309097号公報
本発明は、以上のような従来の技術的課題を解決するものであり、制電特性が優れ、持続性を有し、さらに詳しくは、ブリードなどの不具合がないほか、制電性のバラツキがなく、塗装膜の特性がそのまま維持され、高度な静電気対策機能を有する制電性樹脂組成物が得られ、かつ作業環境、健康に配慮した塗料用樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、(a)水性樹脂塗料(固形分換算)100重量部に対し、(b)下記の金属塩5〜100重量部を(c)水および/またはアルコール系溶媒100重量部に溶解させた溶液を、金属塩として0.01〜20重量部となるように配合してなることを特徴とする制電性塗料用樹脂組成物に関する。
(b)金属塩:Li+、Na+、K+、Mg2+およびCa2+よりなる群から選ばれるカチオンならびにCl-,Br-,F-,I-,NO3 -,SCN-,ClO4 -,CF3SO3 -,BF4 -,(CF3SO22-および(CF3SO23-よりなる群から選ばれたアニオンとによって構成される金属塩
ここで、(b)成分は、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、およびリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドの群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
また、上記の制電性塗料用樹脂組成物から、水および/またはアルコール系溶媒を揮発除去してなることを特徴とする制電性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(a)水性樹脂塗料(固形分換算)100重量部に対して、上記の(b)金属塩5〜100重量部を(c)水および/またはアルコール系溶媒100重量部に溶解させた溶液を、金属塩として0.01〜20重量部となるように配合して混合し、該配合物を基材へ塗布後、水および/またはアルコール系溶媒を揮発除去することを特徴とする上記の制電性樹脂組成物の製造方法に関する。
本発明の制電性塗料用樹脂組成物によれば、制電特性が優れ、ブリードなどの不具合がなく、制電性のバラツキがなく、表面外観のよい、かつ持続性に優れた安定した制電性樹脂組成物が得られ、さらに作業環境、健康に配慮した、塗膜加工性のよい制電性塗料用樹脂組成物を得ることができる。その優れた特性を生かし、機械部品、自動車部品、スポーツ用品関係、OA機器、家電分野、電気・電子分野、その他の各種パーツ、パッケージ、チューブ、被覆関係などの静電気対策関係に幅広く好適に使用することができる。
(a)水性樹脂塗料
本発明の制電性塗料用樹脂組成物に用いられる(a)水性樹脂塗料は、水性樹脂を水系の溶媒に均一に分散させた水系の樹脂であり、樹脂の基本骨格としては、例えばポリウレタン樹脂とポリエステル樹脂が挙げられる。
このうち、ポリウレタン樹脂の溶液タイプとしては、強制乳化タイプ、自己乳化タイプが一般的であり、イオン性としてはアニオン型、カチオン型、ノニオン型がある。ポリウレタン樹脂の構造としてはポリエステル型、ポリエーテル型、ポリカーボネート型が挙げられる。
また、ポリエステル樹脂の例としては、脂肪族ポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂の溶液タイプとしては、強制乳化タイプ、自己乳化タイプがあり、イオン性は非イオン系が一般的である。(接着助剤はポリイソシアネートが使用される。)
水系媒体への分散安定化に際し、乳化剤を使用しているものと使用していないものがあるがいずれも使用可能である。
本発明の(a)水性樹脂塗料に用いられるポリウレタン樹脂は、アニオン型として、
(1)ポリウレタンプレポリマーにジアミノフェニルカルボン酸塩を鎖延長剤とする方法、
(2)イソシアネート基にブロック化剤を反応させ安定な化合物を作り、使用時に加温して、元のイソシアネート基を再生し、架橋や、鎖延長反応を進める方法、
(3)疎水性ポリオールと芳香族イソシアネートから得たポリウレタンプレポリマーの芳香環をスルホン化し、3級アミンで中和し、媒体である水と反応させてアニオン性自己乳化型水系ポリウレタン樹脂を作成する方法、
(4)ポリウレタンプレポリマーとジアミノアルカンスルホネートの水溶液とを反応させ、アニオン性ポリウレタンポリ尿素分散体を得る方法、
(5)ジオールとジイソシアネートからプレポリマーを作り、ヒドロキシル基を有する酸と反応させて、トリエタノールアミンを加えてアイオノマーとしてから水に加えてエマルジョンとし、さらにジアミンを加えて鎖延長を行なう方法、
がある。
次にカチオン型として、
(1)ポリウレタンプレポリマーを、3級アミノ基を有する鎖延長剤でポリマー化し、その3級アミノ基を4級化剤でカチオン化する方法、
(2)ポリウレタンプレポリマーをトルエン中で、OH基を有する3級アミンと反応させ、次に酸の水溶液で中和し、乳化する方法、
(3)末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、ヒドロキシ基を有する4級塩を反応させる方法、
(4)ポリウレタン尿素ポリアミンにエピハロヒドリンと酸を反応させることでカチオン性樹脂を得る方法、
(5)ポリウレタンプレポリマーを重合しておき、尿素化合物でビスビュレット化しα−クロルアセトアミドで4級化した自己分散性オリゴマーをホルマリン水溶液で希釈し酸性にすると縮合反応を起こす方法、
がある。
さらに、ノニオン型として、
(1)ポリウレタンプレポリマーを乳化剤で乳化し、同時にジアミンを加えて鎖延長反応を行なわせる方法、
(2)ポリウレタンプレポリマーを1,2ビス(2−シアノエチルアミノ)エタンで鎖延長し、乳化剤を用いて水に分散する方法、
(3)長鎖アルコールのアルキレンオキサイド縮合物とヒドロキシ基のような親水基を有するアミンとをポリウレタンプレポリマーと反応させることにより、非イオン性の分散体を得る方法、
がある。
一方、本発明の(a)水性樹脂塗料に用いられる脂肪族ポリエステルとしては、ポリブチレンサクシネート(コハク酸と1,4−ブタンジオールの2元系縮合物)、ポリブチレンサクシネートアジペート(コハク酸およびアジピン酸、ならびに1,4−ブタンジオールの3元系縮合物)などが挙げられる。脂肪族ポリエステルには、イソシアネート基、ウレタン基といった反応基を構造中に導入することも可能である。さらに、本発明の脂肪族ポリエステルとして、ポリ乳酸などを共重合したコポリエステルのような種々の共重合体を用いることもできる。
なお、以上のポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂のいずれも、水系媒体への分散安定化に際し、乳化剤を使用しているものと使用していないものがあるが、いずれも使用可能である。また、用途や施工状況に応じて任意に架橋剤、粘度調整剤などを適宜用いてもよい。
本発明において、(b)金属塩を構成するカチオンは、Li+、Na+、K+、Mg2+およびCa2+よりなる群から選ばれる。イオン半径の小さいLi+,Na+が好ましく、特に好ましくは、リチウムLi+である。また、本発明の(b)金属塩の構成要素であるアニオンは、Cl-,Br-,F-,I-,NO3 -,SCN-,ClO4 -,CF3SO3 -,BF4 -,(CF3SO22-,(CF3SO23-よりなる群から選ばれるが、本発明に用いられる好ましいアニオン種は、CF3SO3 -,(CF3SO22-,(CF3SO23-である。上記好ましいアニオン種は、カチオンの解離を促進させ、より少ない添加量で効果を生じるという利点がある。
上記カチオンおよびアニオンによって構成されている金属塩類は数多くあるが、中でも、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムLi・N(CF3SO22、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムNa・N(CF3SO22、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド リチウムLi・C(CF3SO23、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドナトリウムNa・C(CF3SO23を用いることが好ましい。これらを少量添加するだけで樹脂組成物の固有抵抗が低くなるので、上記効果が一層発揮されることになる。本発明の組成物は、これらの金属塩を少なくとも1種含有する。
上記原料を使用して製造される(b)金属塩成分は、水および/またはアルコール系溶媒100重量部に対し、5〜100重量部溶解して、溶液の状態で(a)成分に配合される。配合量は、(a)成分100重量部(固形分換算)に対し、(b)金属塩として、好ましくは0.01〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜20重量部、特に好ましくは0.5〜10重量部である。0.1重量部未満では、充分な導電性を得ることが難しく、一方、20重量部を超えると、ブリードして塗膜が剥離しやすくなったり、金属塩による錯体の形成による導電性バラツキや低下、膜物性の低下などが引き起こされる。
(c)水および/またはアルコール系溶媒としては、水を主な成分として含む溶媒系、水単独を溶媒として使用したもの、一般的な水,純水、蒸留水、またはイオン交換水などが挙げられる。また、アルコール系溶媒とは、アルコールを主な成分として含む溶媒系を意味し、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノールなどのC1〜C4アルコールが挙げられる。水とアルコール系溶媒を併用してもよい。また、これらの溶媒には、アセトンなどの親水性(特に水溶性)有機溶媒を添加してもよい。
本発明に用いられる(b)成分を溶解する(c)水および/またはアルコール系溶媒の溶液は、本発明の組成物において、金属塩の溶解性、解離安定性、ブリードアウト防止、電気伝導性の促進、加工安定性、表面外観の改良に効果がある。(c)成分に溶解しないで金属塩を添加したものは、体積固有抵抗値のバラツキが大きく安定せず、製品としては使用できない。
上記の(a)成分、(b)成分および(c)成分を含有する本発明の組成物を混合する混合機としては、一般的な高速回転式混合機を用いて混合撹拌することにより、製造することができる。ただし、高粘度の製造においては、例えば、プロペラミキサー、プラネタリーミキサー、Vブレンダ、三本ロール、ハイシェアミキサーなどの混合機を使用することが好ましい。
上記の本発明の制電性塗料用樹脂組成物は、固形分濃度が、20〜80重量%が好ましく、さらに好ましく30〜70重量%である。固形分濃度が20重量%未満では、水中でウレタン合成を行う際に水との副反応が発生しやすく高分子量化に弊害を及ぼす恐れがあるほか、溶媒の除去に時間がかかり作業効率の低下を招く、一方、80重量%を超えると、エマルジョン粒子が不安定な分散状態となり、粒子径が均一なものが得られ難くなるほか、溶液の粘度のバラツキが生じやすくなる。それ故に、塗装膜の形成工程において作業性を低下させ均一な膜が得られないため好ましくない。
このような本発明の制電性塗料用樹脂組成物は、プラスチック、紙、陶器、木工、皮革、繊維などの基材に対し、ハケ、スプレー、ディッピングなどの塗装手段により塗布し、コーティング、接着、プライマー、塗装などの材料として実施する。
制電性の塗膜を基材上に形成させるには、上記のように塗布後、次いで、加熱乾燥処理すればよい。加熱乾燥処理は、通常、25±2℃で、30〜60分で予備乾燥を行った後、100〜125℃で1〜2時間、乾燥することによって平滑な膜が得られる。予備乾燥が無い場合、気泡の巻き込みなどによって平滑性が損なわれる場合があり125℃を超えると、膜の物理的特性の低下、急激な加熱による膜の流動化による平滑性の低下が起こる。100℃未満では、残留水分による物理特性の低下などを引き起こす。
本発明においては、上記の組成物を塗布後、上記のように加熱乾燥して塗膜を形成することができるが、上記の組成物から、水および/またはアルコール系溶媒を一部揮発除去して、水および/またはアルコール系溶媒を揮発除去した組成物とすることもできる。このようなものは、他の基材と貼り合せるために用いることができる。
この場合、(a)水性樹脂塗料(固形分換算)100重量部に対して、上記の(b)金属塩5〜100重量部を(c)水および/またはアルコール系溶媒100重量部に溶解させた溶液を、金属塩として0.01〜20重量部となるように配合して混合し、該配合物を混合しながら、加熱および/または減圧して、水および/またはアルコール系溶媒を揮発除去することができる。加熱する場合は、25〜60℃、好ましくは30〜50℃で、20〜60分、好ましくは30〜40分行えばよい。特に金属塩溶液を多量に混合しなければならない場合はこの操作によって金属塩溶液の溶媒や、ウレタンの分散溶媒を揮発除去しながら適正な溶液粘度に調整した後、塗膜形成加工を行うことが望ましい。
上記のような水および/またはアルコール系溶媒が一部揮発除去された組成物から、制電性の塗膜を形成させるには、次いで、加熱乾燥処理すればよい。
加熱乾燥処理は、通常、25±2℃で、30〜60分で予備乾燥を行った後、100〜125℃で1〜2時間、乾燥することによって平滑な膜が得られる。予備乾燥が無い場合、気泡の巻き込みなどによって平滑性が損なわれる場合があり、125℃を超えると、膜の物理的特性の低下、急激な過熱による膜の流動化による平滑性の低下が起こる。一方、100℃未満では、残留水分による物理特性の低下などを引き起こす。
本発明の制電性塗料用樹脂組成物の乾燥膜厚は用途に応じて厚みを選択するが、通常、5〜300μm、好ましくは10〜250μm程度である。
本発明の制電性塗料用樹脂組成物には、本発明の目的を損なわないかぎり、その他の無機充填材、安定剤、着色剤、強化用ゴム、エラストマー成分、可塑剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、安定剤、補強剤、滑剤、発泡剤、耐候(光)剤、金属粉などの添加剤を目的に応じて任意に配合することができる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例中における部および%は、特に断らない限り、重量基準である。
実施例および比較例に用いた各種成分は、以下のとおりである。
(a)水性樹脂塗料;
(a)−1 ポリウレタン樹脂系 旭電化工業(株)製、商標名『ボンタイター UX-241』(アニオン系、ポリエステル主骨格、ウレタン固形分35%)
(a)−2 ポリエステル樹脂系 昭和高分子(株)製、商標名『ビオノーレエマルジョンEM-9018』 (非イオン系、脂肪族ポリエステル骨格、ポリエステル固形分52.5%)
なお、(a)−2成分を混合もしくは単独塗布する場合は、塗布後一旦過熱してエマルジョン粒子を溶融させてから塗布した。
(b)成分;
ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム:Li・N(CF3SO22 (b)成分を調合する為;(d)蒸留水、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル(旭電化製)を用いた。
実施例1〜6、比較例1〜12
(a)成分中の固形分100部に対し、表1〜3に示す量で(b)金属塩を(c)蒸留水またはアジピン酸ジブトキシエトキシエチルに溶解させた溶液を配合、または(b)金属塩だけを配合し、室温にて高速回転式混合機を使用して約3,000rpmの条件で30分混合して、混合拡散させた組成物を得た。
得られた組成物について、下記のように物性の測定を行った。結果は表1〜3に示す。
<体積固有抵抗値>
試験膜の調製;
上記の組成物を、ガラス基盤上に膜厚50〜100μmとなるように塗布し25±2℃で40分予備乾燥を行った後、120℃で1時間、乾燥し試験膜を得た。
上記調製した試験膜を用い、三菱化学(株)製、ハイレスタにて、ASTM D257に準じて測定を行った。
<体積固有抵抗値のバラツキ>
体積固有抵抗値の測定時、試験膜の位置を変えて測定した時に体積固有抵抗がバラツクものをバラツキ「有り」。試験片プレートの位置を変えて測定しても体積固有抵抗値が一定であり安定したものをバラツキ「なし」と評価した。
表3より、蒸留水に溶解しないで金属塩を添加したものは、体積固有抵抗値のバラツキが大きく安定していないことがわかる。このようなものは製品としては使用できない。
<塗膜加工性、表面外観>
上記試験膜を作製するときの塗膜加工性、表面外観の判定を以下のごとく評価した。
×:塗料のはじきが発生する。不均一な面が形成される。商品価値が無い。
△:ほぼ均一な面が形成されるが、若干凹凸が認めれる。
○:均一な面が形成される。
<ブリードの試験>
各実施例、比較例の配合の塗料を、ガラス基盤上に塗布後、塗料および金属塩を溶解している水および/またはアルコール系溶媒を、25±2℃で、60分予備乾燥を行った後、120℃で2時間揮発除去して試験膜を作製した。その試験膜の上に厚み50μmのABS樹脂シートを重ねて温度40℃、相対湿度90%中で、1日〜7日放置した後、ABS樹脂シートを剥がし、該ABS樹脂シートに溶媒が移行してベタツク現象を、目視で観察し、以下の基準で評価した。
××:ABS樹脂シートへ明確な移行が認めれ、ヌメリが発生する。
× :ABS樹脂シートへ明確な移行が認めれ、ヌメリは無いがベタツキがある。
△×:ABS樹脂シートへ明確な移行が認めれる。
△ :ABS樹脂シートへ僅かな移行が認めれる。
○ :ABS樹脂シートへの移行が認められない。
<作業性>
各実施例、比較例の配合の塗料について、以下の基準で評価した。
○:攪拌時間が短く短時間で分散するもの、および金属塩の計量精度の良いもの、また、施工性の良いもの
△:多少時間を要するが使用上特に問題無いもの
×:不適合なもの





Figure 2005200596
Figure 2005200596

Figure 2005200596
本発明の制電性塗料用樹脂組成物は、その優れた特性を生かし、先述の機械部品、自動車部品、スポーツ用品関係、OA機器、家電分野、電気・電子分野、その他の各種パーツ、パッケージ、チューブ、被覆関係などの静電気対策関係に幅広く好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. (a)水性樹脂塗料(固形分換算)100重量部に対し、(b)下記の金属塩5〜100重量部を(c)水および/またはアルコール系溶媒100重量部に溶解させた溶液を、金属塩として0.01〜20重量部となるように配合してなることを特徴とする制電性塗料用樹脂組成物。
    (b)金属塩:Li+、Na+、K+、Mg2+およびCa2+よりなる群から選ばれるカチオンならびにCl-,Br-,F-,I-,NO3 -,SCN-,ClO4 -,CF3SO3 -,BF4 -,(CF3SO22-および(CF3SO23-よりなる群から選ばれたアニオンとによって構成される金属塩
  2. (b)成分が、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、およびリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の制電性塗料用樹脂組成物。
  3. 請求項1または2記載の制電性塗料用樹脂組成物から、水および/またはアルコール系溶媒を揮発除去してなることを特徴とする制電性樹脂組成物。
  4. (a)水性樹脂塗料(固形分換算)100重量部に対して、上記の(b)金属塩5〜100重量部を(c)水および/またはアルコール系溶媒100重量部に溶解させた溶液を、金属塩として0.01〜20重量部となるように配合して混合し、該配合物を基材へ塗布後、水および/またはアルコール系溶媒を揮発除去することを特徴とする請求項3記載の制電性樹脂組成物の製造方法。
JP2004010226A 2004-01-19 2004-01-19 制電性塗料用樹脂組成物および制電性樹脂組成物 Pending JP2005200596A (ja)

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